JP2010079250A - レンズ鏡筒および撮像装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】交換レンズユニット2は、第2レンズ群ユニット77と、フォーカスレンズユニット75と、第4レンズ群ユニット78と、ズームリングユニット83と、フォーカスモータ64と、フォトセンサ67と、を備えている。ズームリングユニット83は、ズームリング84に入力された操作力を、第2レンズ群ユニット77および第4レンズ群ユニット78に機械的に伝達する。フォーカスモータ64は、電力を利用して第2レンズ群ユニット77に対してフォーカスレンズユニット75をZ軸方向に駆動する。フォトセンサ67は、第2レンズ群ユニット77に対してフォーカスレンズユニット75が原点位置Dに配置されているか否かを検出する。フォーカスレンズユニット75の全移動範囲E内に原点位置Dが配置されている。
【選択図】図14
Description
例えば、従来のレンズ鏡筒では、ズーム機構の動作に伴い、フォーカスレンズを含むフォーカスレンズユニットをカム機構により光軸方向に移動させている。これにより、被写体距離を実質的に一定に保ちながら焦点距離を変更することができる(例えば、特許文献1を参照)。
しかし、最近では、オートフォーカスの方式としてコントラスト検出方式が採用された交換レンズ式デジタルカメラが提案されている。このコントラスト検出方式では、例えば、フォーカスレンズユニットを光軸方向に動かしながら、フォーカスレンズユニットの各位置における評価値が画像データに基づいて求められる。評価値が一旦ピークを超えるまでフォーカスレンズユニットを移動させ、その後に、評価値が最大である位置まで戻すことで被写体像(被写体の光学像)を合焦させる。このように、コントラスト検出方式によるオートフォーカスにおいては、フォーカスレンズユニットを光軸方向に往復移動させる必要がある。
このように、コントラスト検出方式を用いる場合、フォーカスレンズユニットを光軸方向に移動させるため、駆動速度を考慮するとフォーカスレンズユニットを小型化するのが好ましい。
しかし、特許文献1に記載のレンズ鏡筒のように、フォーカスレンズユニットをカム機構で光軸方向に駆動する構成を採用すると、フォーカスレンズユニットの寸法が大きくなったり、あるいはフォーカスレンズユニットの重量が増大したりする。
そこで、ズーム機構の駆動をユーザーの手動操作のみで行い、かつ、ズーム機構に対するフォーカスレンズユニットの駆動をアクチュエータのみで行うレンズ鏡筒を、本願の発明者は検討している。この場合、フォーカスレンズユニットおよびその周辺の構造が簡素化されるため、フォーカスレンズユニットの小型化が可能となる。
特許文献2には、アクチュエータからレンズ支持枠が脱調するのを検知する脱調検知手段の出力に基づき、レンズ支持枠の位置を所定の基準位置にリセットするリセット手段が開示されているが、起動時間の短縮を考慮した構成は未だ提案されていない。
ここで、「起動時間」とは、フォーカスアクチュエータへの電力供給が停止している状態から撮影可能状態までレンズ鏡筒の状態が移行するために必要とされる時間である。起動時間としては、例えば撮像装置の電源をオンしてから撮影が可能となるまでの時間、再生モードから撮影モードに動作モードを切り換えた時点から撮影が可能となるまでの時間、スリープモードが解除されてから撮影が可能となるまでの時間が考えられる。
なお、第1レンズ素子、第2レンズ素子およびフォーカスレンズは、それぞれ複数のレンズから構成されていてもよい。また、「フォーカスアクチュエータが第1レンズユニットと一体で移動する」状態には、フォーカスアクチュエータが第1レンズユニットに対して移動しながら全体として一体で移動する状態も含まれる。
[第1実施形態]
<デジタルカメラの概要>
図1〜図13を用いて、デジタルカメラ1について説明する。図1はデジタルカメラ1の概略構成図である。図1に示すように、デジタルカメラ1(撮像装置の一例)は、交換レンズ式のデジタルカメラであり、主に、カメラ本体3と、カメラ本体3に取り外し可能に装着された交換レンズユニット2(レンズ鏡筒の一例)と、を備えている。交換レンズユニット2は、レンズマウント95を介して、カメラ本体3の前面に設けられたボディーマウント4に装着されている。
図2はカメラ本体3の構成を示すブロック図である。図3はデジタルカメラ1の概略斜視図である。図4(A)はカメラ本体3の上面図であり、図4(B)はカメラ本体3の背面図である。図5〜図8は交換レンズユニット2の概略断面図である。図5および図6が広角端の状態を示しており、図7および図8が望遠端の状態を示している。図6は図5とは異なる平面における断面図である。図8は図7とは異なる平面における断面図である。図9および図10は第2レンズ群ユニット77およびフォーカスレンズユニット75の分解斜視図である。図12(A)および図12(B)は光学系Lの構成図である。図12(A)が広角端の状態を示しており、図12(B)が望遠端の状態を示している。図13は、ズームリング84の回転位置と、各部材の撮像センサ11からの距離と、の関係を示している。
<交換レンズユニット>
図1〜図12(B)を用いて交換レンズユニット2の概略構成を説明する。図1に示すように、交換レンズユニット2は、光学系Lと、光学系Lを支持するレンズ支持機構71と、フォーカス調節ユニット72と、絞り調節ユニット73と、振れ補正ユニット74と、レンズマイコン40(駆動制御部の一例)と、を有している。
光学系Lは、被写体の光学像を形成するためのズームレンズ系であり、主に4つのレンズ群から構成されている。具体的には図12(A)および図12(B)に示すように、光学系Lは、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、負の屈折力を有する第3レンズ群G3と、正の屈折力を有する第4レンズ群G4と、を有している。
第1レンズ群G1は、第1レンズL1と、第1レンズL1の撮像センサ11側に配置あされた第2レンズL2と、を有している。第1レンズL1は被写体側を向く凸面を有する負メニスカスレンズである。第2レンズL2は、被写体側を向く凸面を有する正メニスカスレンズであり、接着層を介して第1レンズL1に接合されている。
第3レンズ群G3は第6レンズL6(フォーカスレンズの一例)から構成されている。第6レンズL6は、撮像センサ11側を向く凸面を有する負メニスカスレンズであり、第5レンズL5と第7レンズL7とのZ軸方向間(第2レンズ群G2と第4レンズ群G4とのZ軸方向間)に配置されている。
第4レンズ群G4は、第7レンズL7(第2レンズ素子の一例)と、第8レンズL8と、第9レンズL9と、第10レンズL10と、第11レンズL11と、第12レンズL12と、を有している。第7レンズL7は、振れ補正のための正メニスカスレンズであり、撮像センサ11側を向く凸面を有している。第8レンズL8は両凸レンズである。第9レンズL9は、両凹レンズであり、接着層を介して第8レンズL8に接合されている。第10レンズL10は両凸レンズである。第10レンズL10の被写体側の面は、非球面である。第11レンズL11は、被写体側を向く凸面を有する負メニスカスレンズであり、接着層を介して第10レンズL10に接合されている。第12レンズL12は両凸レンズである。
また、無限遠合焦状態から近接合焦状態へのフォーカシング時には、第3レンズ群G3が光軸AZに沿って被写体側へと移動する。
さらに、デジタルカメラ1の動きに起因する光学像の振れを抑制するために、第7レンズL7が光軸AZと直交する2方向に移動する。
レンズ支持機構71は、光学系Lを移動可能に支持するための機構であり、レンズマウント95と、固定枠50と、カム筒51と、第1ホルダー52と、第1レンズ群支持枠53と、第2レンズ群支持枠54(第1レンズ支持枠の一例)と、第2ホルダー55(第1レンズ支持枠の一例)と、第3レンズ群支持枠56(フォーカスレンズ支持枠の一例)と、第4レンズ群支持枠61と、ズームリングユニット83(ズーム機構の一例)と、フォーカスリングユニット88と、を有している。
レンズマウント95は、カメラ本体3のボディーマウント4に装着される部分であり、レンズ側接点91を有している。固定枠50は、カム筒51を回転可能に支持する部材であり、レンズマウント95に固定されている。固定枠50は、Z軸方向正側の端部に突起50aと、外周に設けられた3つの凹部50bと、光軸AZ回りに等ピッチで配置された3本の貫通直進溝50cと、を有している。カム筒51は、内周に設けられた3つの凸部51aと、3本の第1カム溝51dと、3本の第2カム溝51bと、3本の第3カム溝51cと、を有している。カム筒51の凸部51aが固定枠50の凹部50bに挿入されているため、Z軸方向の相対移動が規制された状態で、固定枠50に対して回転可能なようにカム筒51が固定枠50により支持されている。
第2レンズ群支持枠54は、第2ホルダー55に固定されており、第2レンズ群G2を支持している。第2レンズ群支持枠54および第2ホルダー55により、第2レンズ群ユニット77(第1レンズユニットの一例)が構成されている。第2ホルダー55は、光軸AZ周りに等ピッチで配置された3つの凸部55bと、凸部55bに固定された3つのカムピン82と、を有している。カムピン82はカム筒51の第2カム溝51bに挿入されている。凸部55bは固定枠50の貫通直進溝50cに挿入されている。これらの構成により、第2レンズ群支持枠54および第2ホルダー55は、固定枠50に対して回転することなくZ軸方向に移動可能である。固定枠50に対する第2レンズ群支持枠54および第2ホルダー55の移動量は、第2カム溝51bの形状により決まる。
ラック支持部56cは、軸受け部56aからZ軸方向負側に延びる部分であり、ラック66を軸方向に一体で移動可能にかつ回転可能に支持している。ラック66は、複数の歯66cを有するラック本体66aと、Z軸方向に延びる軸部66bと、を有している。複数の歯66cはフォーカスモータ64のリードスクリュ64aと噛み合っている。軸部66bはラック支持部56cに支持されているため、ラック66はラック支持部56cに対して中心軸R回りに回転可能となっている。
第2ホルダー55にはフォーカスモータ64(フォーカスアクチュエータの一例)が固定されている。フォーカスモータ64は例えばステッピングモータである。フォーカスモータ64は、Z軸方向に延びた回転軸としてのリードスクリュ64aを有している。このリードスクリュ64aにラック66が噛み合っている。
第4レンズ群支持枠61(第2レンズ支持枠の一例)は、第1支持枠57と、第2支持枠58と、第3支持枠59と、第4支持枠60と、を有している。第4レンズ群G4および第4レンズ群支持枠61により、第4レンズ群ユニット78(第2レンズユニットの一例)が構成されている。
第1支持枠57は第7レンズL7を支持している。第2支持枠58は、第8レンズL8および第9レンズL9を支持しており、さらに第1支持枠57を光軸AZに直交する2方向に移動可能に支持している。第2支持枠58は光軸AZ周りに等ピッチで配置された3つのカムピン80を有している。
また、第1支持枠57は、例えば第2支持枠58により光軸AZに直交する2方向に移動可能なように支持されている。この構成により、第1支持枠57は、第2支持枠58、第3支持枠59および第4支持枠60に対してZ軸方向には一体で移動しつつ光軸AZに直交する方向に移動可能である。
ズームリングユニット83は、リングベース86と、ズームリング84(ズーム操作部の一例)と、ズームリング84の回転位置を検出するリニアポジションセンサ87と、を有している。ズームリング84の回転位置とは、ズームリング84の回転方向の位置を意味しており、ある基準位置からのズームリング84の回転角度ということもできる。
リニアポジションセンサ87は、ユーザーによるズームリング84の回転位置および回転方向を検出し、検出結果をレンズマイコン40に送信する。具体的には、リニアポジションセンサ87は、リングベース86に固定されており、半径方向外側に突出する摺動子87aを有している。この摺動子87aは、ズームリング84に形成されたカム溝84bに挿入されている。固定枠50に対してズームリング84が回転すると、カム溝84bに沿って摺動子87aはZ軸方向に移動する。リニアポジションセンサ87は、可変抵抗器を有しており、摺動子87aがこの可変抵抗器内にある磁気抵抗体上をスライドすることにより、両端に所定の電圧を付与した端子間において、摺動子87aのZ軸方向の位置に比例した出力(出力電圧)をリニアに得ることができる。リニアポジションセンサ87の出力を回転位置情報に変換することで、ズームリング84の回転位置を検出することが可能となる。ズームリング84の外周面には、光学系Lの焦点距離が表示されている。
フォーカスリングユニット88は、フォーカスリング89と、フォーカスリング89の回転角度を検出するフォーカスリング角度検出部90と、を有している。フォーカスリング89は、円筒形状を有しており、リングベース86により、Z軸方向の移動が規制された状態で光軸AZ周りに回転可能に支持されている。フォーカスリング89の回転角度および回転方向は、フォーカスリング角度検出部90により検出可能である。例えば、このフォーカスリング角度検出部90は、2つのフォトセンサ(図示せず)を有している。フォーカスリング89は、回転方向に等間隔で配置され半径方向内側に突出する複数の突起89aを有している。各フォトセンサは、発光部(図示せず)および受光部(図示せず)を有しており、発光部および受光部の間を複数の突起89aが通過することで、フォーカスリング89の回転角度および回転方向を検出することができる。なお、フォーカスリング89は、例えば可動式のレバーのような他の構造を有していてもよい。
フォーカス調節ユニット72は、フォーカスモータ64と、フォーカス駆動制御部41と、フォトセンサ67(原点検出部の一例)と、を有している。フォーカスモータ64は、第2ホルダー55に固定されており、第2レンズ群ユニット77に対してフォーカスレンズユニット75をZ軸方向に駆動する。第2レンズ群ユニット77に対するフォーカスレンズユニット75の駆動は、フォーカスモータ64のみにより行われる。言い換えると、フォーカスモータ64がフォーカスレンズユニット75を駆動していない状態(例えば、フォーカスモータ64に電力が供給されていない状態)では、第2レンズ群ユニット77に対してフォーカスレンズユニット75を移動させることはできない。この場合、フォーカスレンズユニット75は第2ホルダー55と一体でZ軸方向に移動する。
このデジタルカメラ1では、被写体距離を実質的に一定に保ちつつ焦点距離を変更できるズームレンズ系を実現するために、レンズマイコン40に予め記憶されているトラッキングテーブルに基づいてフォーカス調節ユニット72によりフォーカスレンズユニット75が駆動される。ここでは、このようなトラッキング方式を電子トラッキングと呼ぶ。
トラッキングテーブルとは、焦点距離が変化しても焦点が合う被写体距離が実質的に一定に保たれるフォーカスレンズユニット75の位置(より詳細には、第2レンズ群ユニット77に対するフォーカスレンズユニット75の位置)を示す情報である。被写体距離が実質的に一定とは、被写体距離の変化量が所定の被写界深度内に収まることを意味している。電子トラッキングについては後述する。
フォトセンサ67により検出できる原点位置は第2レンズ群ユニット77に対して移動することがない絶対位置である。このため、フォーカスレンズユニット75の位置を第2レンズ群ユニット77に対して原点位置にリセットする際には、フォトセンサ67により原点検出用の突起56dが検出される位置までフォーカスレンズユニット75を駆動する。例えば、デジタルカメラ1の電源スイッチ25をオフにすると、フォーカスレンズユニット75の現在位置に関わらず、第3レンズ群支持枠56の突起56dがフォトセンサ67に検出される位置までフォーカスレンズユニット75がフォーカスモータ64により駆動される。フォーカスレンズユニット75の駆動完了後、デジタルカメラ1の電源がオフになる。逆に、デジタルカメラ1の電源スイッチ25をオンにすると、フォーカスモータ64によりフォーカスレンズユニット75がトラッキングテーブルに基づいて求められた所定の位置まで駆動される。なお、原点検出器は、フォトセンサに限られず、例えば、マグネットおよび磁気センサを組み合わせることで実現されてもよい。
絞り調節ユニット73は、第2支持枠58に固定された絞りユニット62と、絞りユニット62を駆動する絞り駆動モータ(図示せず)と、絞り駆動モータを制御する絞り駆動制御部42と、を有している。絞り駆動モータは、例えばステッピングモータである。絞り駆動モータは、絞り駆動制御部42から入力される駆動信号に基づいて駆動される。絞り駆動モータで発生した駆動力により、絞り羽根62aが開方向および閉方向に駆動される。絞り羽根62aを駆動することで光学系Lの絞り値を変更することができる。
(5)振れ補正ユニット
振れ補正ユニット74は、交換レンズユニット2およびカメラ本体3の動きに起因する光学像の振れを抑制するためのユニットであり、電磁アクチュエータ46と、位置検出センサ47と、振れ補正用マイコン48と、を有している。
位置検出センサ47は、第2支持枠58に対する第1支持枠57の位置を検出するためのセンサであり、例えばホール素子である。交換レンズユニット2には、ジャイロセンサなどの動き検出センサ(図示せず)が搭載されている。振れ補正用マイコン48は、位置検出センサ47の検出結果および動き検出センサの検出結果に基づいて、電磁アクチュエータ46を制御する。これにより、デジタルカメラ1の動きに起因する被写体像の振れを抑制することができる。
(6)レンズマイコン
レンズマイコン40は、CPU(図示せず)、ROM(図示せず)およびメモリ40aを有しており、ROMに格納されているプログラムがCPUに読み込まれることで、様々な機能を実現し得る。例えば、レンズマイコン40は、フォトセンサ67の検出信号によりフォーカスレンズユニット75が原点位置にあることを認識することができる。
メモリ40aは、不揮発性メモリであり、電力供給が停止している状態でも記憶している情報を保持できる。メモリ40aには、例えば交換レンズユニット2に関する情報(レンズ情報)やズームレンズ系を実現するためのトラッキングテーブル(後述)が格納されている。レンズマイコン40は、このトラッキングテーブルに基づいてフォーカスモータ64を制御し、フォーカスモータ64によりフォーカスレンズユニット75がZ軸方向に駆動される。以下、トラッキングテーブルに基づいてフォーカスレンズユニット75の位置を焦点距離の変化に追従させる動作を、電子トラッキングという。
例えば、フォーカスモータ64のリードスクリュ64aの1回転当たり、ラック66が0.6mmだけZ軸方向に駆動される。マグネット(図示せず)が10極であるフォーカスモータ64を1−2相励磁にて駆動する場合、1パルス当たり、0.6/20/2=0.015mm(15μm)だけラック66がZ軸方向に駆動される。マイクロステップ駆動時には、さらに細かい単位でラック66を駆動できる。ステッピングモータを用いることで、細かい単位でフォーカスレンズユニット75を駆動することができ、例えば反転駆動時のバックラッシュを小さくすることができる。つまり、フォーカスモータ64としてステッピングモータを選定することで、高精度なフォーカス調節を実現できる。また、駆動パルス数をカウントすることで、第2レンズ群ユニット77に対するフォーカスレンズユニット75の現在位置を把握でき、さらにフォーカスレンズユニット75の駆動量を算出することができる。
図1〜図4(B)を用いてカメラ本体3の概略構成について説明する。図1〜図4(B)に示すように、カメラ本体3は、筐体3aと、ボディーマウント4と、操作ユニット39と、画像取得部35と、画像表示部36と、ファインダ部38と、ボディーマイコン10(駆動制御部の一例)と、バッテリー22と、を有している。
(1)筐体
筐体3aは、カメラ本体3の外装部を構成している。図4(A)および図4(B)に示すように、筐体3aの前面には、ボディーマウント4が設けられており、筐体3aの背面および上面には、操作ユニット39が設けられている。具体的には、筐体3aの背面には、表示部20と、電源スイッチ25と、モード切り換えダイヤル26と、十字操作キー27と、メニュー設定ボタン28と、設定ボタン29と、モード切り換えボタン34と、動画撮影操作ボタン24が設けられている。筐体3aの上面には、シャッターボタン30が設けられている。
ボディーマウント4は、交換レンズユニット2のレンズマウント95が装着される部分であり、レンズ側接点91と電気的に接続可能なボディー側接点(図示せず)を有している。ボディーマウント4およびレンズマウント95を介して、カメラ本体3は交換レンズユニット2とデータの送受信が可能である。例えば、ボディーマイコン10(後述)は、ボディーマウント4およびレンズマウント95を介して露光同期信号などの制御信号をレンズマイコン40に送信する。
(3)操作ユニット
図4(A)および図4(B)に示すように、操作ユニット39は、ユーザーが操作情報を入力するための各種操作部材を有している。例えば、電源スイッチ25は、デジタルカメラ1あるいはカメラ本体3の電源の入切を行うためのスイッチである。電源スイッチ25により電源がオン状態になると、カメラ本体3および交換レンズユニット2の各部に電源が供給される。
十字操作キー27は、ユーザーが上下左右の方向を選択できるボタンである。十字操作キー27を用いて、例えば表示部20に表示された各種メニュー画面から所望のメニューを選択することができる。
動画撮影操作ボタン24は、動画撮影の開始および停止を指示するためのボタンである。モード切り換えダイヤル26において選択された動作モードが静止画撮影モードまたは再生モードであっても、この動画撮影操作ボタン24を押すことにより、モード切り換えダイヤル26での設定内容に関係なく、強制的に動作モードが動画撮影モードに移行し、動画撮影が開始される。さらに、動画撮影中に、この動画撮影操作ボタン24が押されると、動画撮影が終了し、モード切り換えダイヤル26において選択された動作モード、すなわち動画撮影開始前の動作モードへと移行する。例えば、動画撮影操作ボタン24が押される際にモード切り換えダイヤル26により静止画撮影モードが選択されている場合は、動画撮影操作ボタン24が再度押された後に動作モードが自動的に静止画撮影モードへと移行する。
マクロ撮影切り換えボタン23は、通常撮影とマクロ撮影とを切り換えるためのボタンである。例えば、ユーザーによりマクロ撮影切り換えボタン23が押されると、被写体距離が最短である0.3mに対応するトラッキングテーブルがレンズマイコン40により自動的に選択される。
(4)画像取得部
画像取得部35は主に、光電変換を行うCCD(Charge Coupled Device)などの撮像センサ11(撮像素子の一例)と、撮像センサ11の露光状態を調節するシャッターユニット33と、ボディーマイコン10からの制御信号に基づいてシャッターユニット33の駆動を制御するシャッター制御部31と、撮像センサ11の動作を制御する撮像センサ駆動制御部12と、を有している。
シャッター制御部31は、タイミング信号を受信したボディーマイコン10から出力される制御信号にしたがって、シャッター駆動アクチュエータ32を駆動し、シャッターユニット33を動作させる。
なお、本実施形態では、オートフォーカス方式として、撮像センサ11で生成された画像データを利用するコントラスト検出方式が採用されている。コントラスト検出方式を用いることにより、高精度なフォーカス調節を実現することができる。
ボディーマイコン10は、カメラ本体3の中枢を司る制御装置であり、操作ユニット39に入力された操作情報に応じて、デジタルカメラ1の各部を制御する。具体的には、ボディーマイコン10にはCPU、ROM、RAMが搭載されており、ROMに格納されたプログラムがCPUに読み込まれることで、ボディーマイコン10は様々な機能を実現することができる。例えば、ボディーマイコン10は、交換レンズユニット2がカメラ本体3に装着されたことを検知する機能、あるいは交換レンズユニット2から焦点距離情報などのデジタルカメラ1を制御する上で必要な情報を取得する機能を有している。
ボディーマイコン10は、電源スイッチ25、シャッターボタン30、モード切り換えダイヤル26、十字操作キー27、メニュー設定ボタン28および設定ボタン29の信号を、それぞれ受信可能である。また、ボディーマイコン10内のメモリ10aには、カメラ本体3に関する各種情報が格納されている。メモリ10aは、不揮発性メモリであり、電力供給が停止している状態でも記憶している情報を保持できる。
撮像センサ駆動制御部12は、垂直同期信号に基づいて、撮像センサ11の読み出し信号と電子シャッター駆動信号とを一定の周期で生成する。撮像センサ駆動制御部12は、読み出し信号および電子シャッター駆動信号に基づいて、撮像センサ11を駆動する。すなわち、撮像センサ11は、読み出し信号に応じて、撮像センサ11内に多数存在する光電変換素子(図示せず)で生成された画素データを垂直転送部(図示せず)に読み出す。
撮像センサ11から出力された画像信号は、アナログ信号処理部13から、A/D変換部14、デジタル信号処理部15、バッファメモリ16および画像圧縮部17へと、順次送られて処理される。アナログ信号処理部13は、撮像センサ11から出力される画像信号にガンマ処理等のアナログ信号処理を施す。A/D変換部14は、アナログ信号処理部13から出力されたアナログ信号をデジタル信号に変換する。デジタル信号処理部15は、A/D変換部14によりデジタル信号に変換された画像信号に対してノイズ除去や輪郭強調等のデジタル信号処理を施す。バッファメモリ16は、RAM(Random Access Memory)であり、画像信号を一旦記憶する。バッファメモリ16に記憶された画像信号は、画像圧縮部17から画像記録部18へと、順次送られて処理される。バッファメモリ16に記憶された画像信号は、画像記録制御部19の命令により読み出されて、画像圧縮部17に送信される。画像圧縮部17に送信された画像信号のデータは、画像記録制御部19の命令に従って画像信号に圧縮処理される。画像信号は、この圧縮処理により、元のデータより小さなデータサイズになる。画像信号の圧縮方法として、例えば1フレームの画像信号毎に圧縮するJPEG(Joint Photographic Experts Group)方式が用いられる。その後、圧縮された画像信号は、画像記録制御部19により画像記録部18に記録される。ここで、動画を記録する場合、複数の画像信号をそれぞれ1フレームの画像信号毎に圧縮するJPEG方式を用いることもでき、また、複数のフレームの画像信号をまとめて圧縮するH.264/AVC方式を用いることもできる。
(6)画像表示部
画像表示部36は、表示部20と、画像表示制御部21と、を有している。表示部20は例えば液晶モニタである。表示部20は、画像表示制御部21からの命令に基づいて、画像記録部18あるいはバッファメモリ16に記録された画像信号を可視画像として表示する。表示部20での表示形態としては、画像信号のみを可視画像として表示する表示形態や、画像信号と撮影時の情報とを可視画像として表示する表示形態が考えられる。
ファインダ部38は、撮像センサ11により取得された画像を表示する液晶ファインダ8と、筐体3aの背面に設けられたファインダ接眼窓9と、を有している。ユーザーは、ファインダ接眼窓9を覗くことで液晶ファインダ8に表示された画像を視認することができる。
(8)バッテリー
バッテリー22は、カメラ本体3の各部に電力を供給し、さらにレンズマウント95を介して交換レンズユニット2に電力を供給する。本実施形態ではバッテリー22は充電池である。なお、バッテリー22は、乾電池でもよいし、電源コードにより外部から電力供給が行われる外部電源であってもよい。
デジタルカメラ1では、被写体距離を実質的に一定に保ちつつ焦点距離が変更できるようにするために、フォーカス調節ユニット72により電子トラッキングが行われる。具体的には図14に示すように、電子トラッキングを行うために、トラッキングテーブル100がメモリ40aに格納されている。このトラッキングテーブル100は、ズームリング84の回転位置とフォーカスレンズユニット75の第2レンズ群ユニット77に対するZ軸方向の位置との関係を示している。例えば、被写体距離が0.3m、1.0mおよび無限遠(∞)に対応する3つのトラッキングテーブル100がメモリ40aに格納されている。無限遠は第1被写体距離の一例である。
トラッキングテーブル100は、ズームリング84の回転位置およびフォーカスレンズユニット75のZ軸方向の位置がいくつかに分割された離散的な情報である。一般的には、分割数は、ズームリング84を回転させても被写体距離が所定の被写界深度内に納まるように決定されている。
第2レンズ群ユニット77に対するフォーカスレンズユニット75の原点位置Dはフォトセンサ67により検出され、図14では一点鎖線で示されている。全トラッキングテーブルに基づいて、フォーカスレンズユニット75は位置E1から位置E2までの範囲を移動可能である。本実施形態では、原点位置Dは、フォーカスレンズユニット75の全移動範囲E(位置E1および位置E2の間)内であって全移動範囲Eの中央に位置している。このように、原点位置Dを全移動範囲Eの中央に配置することにより、例えばデジタルカメラ1の電源オン時に、いずれの位置にも比較的素早くフォーカスレンズユニット75を移動させることができる。これにより、停止状態から撮影可能状態までデジタルカメラ1の状態を切り換えるための起動時間を短縮することができる。
さらに、無限遠のトラッキングテーブル100に基づくフォーカスレンズユニット75の移動範囲Gには、位置H2(第1位置の一例)から位置H1(第2位置の一例)までの移動範囲Hが含まれている。位置H2は、光学系Lが広角端の状態で無限遠に焦点を合わすことができるフォーカスレンズユニット75の位置である。ズームリング84の回転位置が広角端に対応している状態で無限遠のトラッキングテーブル100に基づいてフォーカスモータ64がレンズマイコン40により制御されると、フォーカスレンズユニット75は位置H2まで移動する。位置H1は、無限遠のトラッキングテーブル100に基づいてフォーカスレンズユニット75が駆動された場合にフォーカスレンズユニット75が撮像センサ11から最も離れる位置である。
なお、トラッキングテーブル100は、いくつかに分割された離散的な情報ではなく多項式で表されてもよい。ズームリング84の回転位置の代わりに、第1レンズ群G1、第2レンズ群G2または第4レンズ群G4のZ軸方向の位置情報を用いてもよい。第2レンズ群ユニット77に対するフォーカスレンズユニット75のZ軸方向の位置とは、第2レンズ群ユニット77に対する第3レンズ群G3のZ軸方向の位置、あるいは、第2レンズ群G2に対する第3レンズ群G3のZ軸方向の位置と言い換えることもできる。
デジタルカメラ1の動作について説明する。
(1)撮影モード
このデジタルカメラ1は、2つの撮影モードを有している。具体的には、デジタルカメラ1は、ユーザーがファインダ接眼窓9で被写体を観察するファインダ撮影モードと、ユーザーが表示部20で被写体を観察するモニタ撮影モードと、を有している。
ファインダ撮影モードでは、例えば画像表示制御部21が液晶ファインダ8を駆動する。この結果、液晶ファインダ8には、撮像センサ11により取得された被写体の画像(いわゆるスルー画像)が表示される。
モニタ撮影モードでは、例えば画像表示制御部21により表示部20が駆動され、表示部20に被写体の実時間画像が表示される。この2つの撮影モードの切り換えは、撮影モード切り換えボタン34にて行うことができる。
次に、ユーザーがズーム操作を行う際の交換レンズユニット2の動作を説明する。
ユーザーによりズームリング84が回転操作されると、ズームリング84とともにカム筒51が回転する。カム筒51が光軸AZ周りに回転すると、第1ホルダー52は、カム筒51の第1カム溝51dに案内され、Z軸方向に直進する。また、第2ホルダー55および第4レンズ群支持枠61も、カム筒51の第2カム溝51bおよび第3カム溝51cに案内され、Z軸方向に直進する。よって、ズームリング84を回転操作することにより、交換レンズユニット2の状態を、図5および図6に示す広角端の状態から図7および図8に示す望遠端の状態まで変化させることができる。これにより、ズームリング84の回転位置を調節することで、所望のズーム位置にて被写体を撮影することが可能となる。
より詳細には、ズームリング84が回転操作されると、第1レンズ群G1、第2レンズ群G2、第3レンズ群G3および第4レンズ群G4が光軸AZに沿ってZ軸方向に移動する。これにより、被写体像の倍率が変化する。このとき、第3レンズ群G3も第3レンズ群支持枠56を介して第2ホルダー55に支持された状態で光軸AZに沿ってZ軸方向に移動する。第1レンズ群G1、第2レンズ群G2、第3レンズ群G3および第4レンズ群G4の相対的な位置関係が変化すると、撮像センサ11上に結像する被写体像のフォーカス状態も変化する。つまり、撮像センサ11上に焦点を結んでいる被写体距離が変化する。
続いて、レンズマイコン40は、ズームリング84の現在の回転角度とズームリング84の回転速度とから、所定時間経過後のズームリング84の回転位置を予測し、選択されたトラッキングテーブル100に基づいて、予測したズームリング84の回転位置に対応するフォーカスレンズユニット75のZ軸方向の位置を目標位置として求める。所定時間経過後にフォーカスレンズユニット75がこの目標位置に位置するように、レンズマイコン40はフォーカス駆動制御部41を介してフォーカスモータ64を駆動する。これにより、フォーカスレンズユニット75が他のレンズ群の移動に追従するように駆動され、被写体距離が一定に保たれる。
とりわけ、フォーカスレンズユニット75およびフォーカスモータ64が第2レンズ群ユニット77と一体でZ軸方向に移動するようになっているため、ユーザーによりズームリング84が素早く操作された場合でも、フォーカスレンズユニット75を第2レンズ群ユニット77と一体で移動させることができる。したがって、変倍動作の前後で被写体距離を実質的に一定に保ちたい場合に、フォーカスモータ64は、撮像センサ11に対して第3レンズ群G3が移動すべき距離から撮像センサ11に対して第2レンズ群G2がカム機構により移動する距離を差し引いた距離だけ、第3レンズ群G3を移動させればよい。これにより、ユーザーによるズームリング84の高速操作への対応が容易となる。
次に、デジタルカメラ1のフォーカス動作について説明する。デジタルカメラ1は、オートフォーカス撮影モードおよびマニュアルフォーカス撮影モードの2つのフォーカスモードを有している。デジタルカメラ1の操作を行うユーザーは、カメラ本体3に設けられたフォーカス撮影モード設定ボタン(図示せず)により、フォーカスモードを選択することができる。
オートフォーカス撮影モード時においては、コントラスト検出方式を用いたオートフォーカス動作が行われる。コントラスト検出方式のオートフォーカス動作を行う際には、ボディーマイコン10は、レンズマイコン40に対して、コントラストAF用データを要求する。コントラストAF用データは、コントラスト検出方式のオートフォーカス動作の際に必要なデータであり、例えば、フォーカス駆動速度、フォーカスシフト量、像倍率、コントラストAF可否情報などが含まれる。
ボディーマイコン10は、受信した画像データに基づいて、オートフォーカス動作用の評価値(以下、AF評価値という)を算出する。具体的には、ボディーマイコン10は、デジタル信号処理部15へ命令を送信する。デジタル信号処理部15は、受信した命令に基づいて所定のタイミングで画像信号をボディーマイコン10へ送信する。ボディーマイコン10は、撮像センサ11で生成された画像データから輝度信号を求め、輝度信号の画面内における高周波成分を積算して、AF評価値を求める。算出されたAF評価値は、露光同期信号と関連付けた状態でDRAM(図示せず)に保存される。ボディーマイコン10がレンズマイコン40から取得したレンズ位置情報も露光同期信号と関連付けられているため、ボディーマイコン10は、AF評価値をレンズ位置情報と関連付けて保存することができる。
ボディーマイコン10は、抽出した合焦点に対応する位置までフォーカスレンズユニット75が駆動されるように、レンズマイコン40を介して制御信号をフォーカス駆動制御部41へ送信する。フォーカス駆動制御部41は、例えばボディーマイコン10(または、レンズマイコン40)からの制御信号に基づいて、フォーカスモータ64を駆動するための駆動パルスを生成する。この駆動信号に応じた駆動量だけフォーカスモータ64が駆動され、フォーカスレンズユニット75が合焦点に対応する位置までZ軸方向に移動する。
なお、コントラスト検出方式によるフォーカシングは、撮像センサ11で実時間の画像データを生成できるモニタ撮影モード(いわゆる、ライブビューモード)で動作し得る。なぜなら、ライブビューモードでは、定常的に、撮像センサ11で画像データを生成しており、その画像データを用いたコントラスト検出方式のオートフォーカス動作をするのが容易だからである。
ライブビューモードでは、被写体の実時間画像が表示部20に表示されるので、ユーザーは、表示部20を見ながら静止画あるいは動画を撮るための構図を決めることができる。また、表示部20を用いてライブビューモードの他に、ユーザーが選択できる撮影モードとしては、交換レンズユニット2からの被写体像を液晶ファインダ8(ファインダ部38)に導く第2のライブビューモード(ファインダ撮影モード)もある。
ユーザーによりフォーカスリング89が回転操作されると、フォーカスリング角度検出部90は、フォーカスリング89の回転角度を検出し、その回転角度に応じた信号を出力する。フォーカス駆動制御部41は、フォーカスリング角度検出部90から信号を受信可能であり、フォーカスモータ64へ信号を送信可能である。フォーカス駆動制御部41は、判断した結果をレンズマイコン40へ送信する。フォーカス駆動制御部41は、レンズマイコン40からの制御信号に基づいてフォーカスモータ64を駆動する。より詳細には、レンズマイコン40は、フォーカスリング回転角度信に基づいて、フォーカスモータ64を駆動する駆動信号を生成する。駆動信号によりフォーカスモータ64のリードスクリュ64aが回転すると、リードスクリュ64aと噛み合うラック66を介してフォーカスレンズユニット75がZ軸方向に移動する。図5および図6に示す広角端の状態では、被写体距離は無限遠であるが、被写体距離が近くなるにしたがって、フォーカスレンズユニット75は、Z軸方向正側へ移動する。同様に、図7および図8に示す望遠端の状態では、被写体距離は無限遠であるが、被写体距離が短くなるにしたがって、フォーカスレンズユニット75は、Z軸方向正側に移動する。広角端の場合に比べ、この場合のフォーカスレンズユニット75の移動量は多くなる。
(4)静止画撮影
ユーザーによりシャッターボタン30が全押しされると、撮像センサ11の測光出力に基づいて計算された絞り値に光学系Lの絞り値が設定されるように、ボディーマイコン10からレンズマイコン40へ命令が送信される。そして、レンズマイコン40により絞り駆動制御部42が制御され、指示された絞り値まで絞りユニット62を絞り込む。絞り値の指示と同時に、撮像センサ駆動制御部12から撮像センサ11へ駆動命令が送信され、シャッターユニット33の駆動命令が送信される。撮像センサ11の測光出力に基づいて計算されたシャッタースピードの時間だけ、シャッターユニット33により撮像センサ11が露光される。
さらに、露光完了後、撮像センサ駆動制御部12は、撮像センサ11から画像データを読み出し、所定の画像処理後、ボディーマイコン10を介して画像表示制御部21へ画像データが出力される。これにより、表示部20へ撮影画像が表示される。
また、露光終了後、ボディーマイコン10により、シャッターユニット33が初期位置にリセットされる。また、ボディーマイコン10からレンズマイコン40へ絞りユニット62を開放位置にリセットするよう絞り駆動制御部42に命令が下され、レンズマイコン40から各ユニットへリセット命令が下される。リセット完了後、レンズマイコン40は、ボディーマイコン10にリセット完了を伝える。ボディーマイコン10は、レンズマイコン40からリセット完了情報を受信した後であって、かつ、露光後の一連の処理が完了した後に、シャッターボタン30が押されていないことを確認し、撮影シーケンスを終了する。
デジタルカメラ1は、動画を撮影する機能も有している。動画撮影モードでは、一定の周期で撮像センサ11により画像データが生成され、生成される画像データを利用してコントラスト検出方式によるオートフォーカスが継続的に行われる。動画撮影モードにおいて、シャッターボタン30が押される、あるいは動画撮影操作ボタン24が押されると、画像記録部18に動画が記録され、シャッターボタン30、あるいは動作撮影操作ボタン24が再度押されると、画像記録部18での動画の記録が停止する。
<デジタルカメラの特徴>
以上に説明したデジタルカメラ1の特徴は以下の通りである。
(1)
このデジタルカメラ1では、フォトセンサ67により第2レンズ群ユニット77に対してフォーカスレンズユニット75が原点位置Dに配置されているか否かを検出することができる。さらに、原点位置Dが全移動範囲E内に配置されている。これらの構成により、フォーカスレンズユニット75を原点位置Dから全移動範囲E内の所定位置まで移動させるための駆動時間を比較的短くすることができる。これにより、このデジタルカメラ1では起動時間の短縮を図ることが可能となる。
このデジタルカメラ1では、トラッキング情報として3つのトラッキングテーブル100が存在し、被写体距離が無限遠および1mのトラッキングテーブル100に基づくフォーカスレンズユニット75の移動範囲G内に原点位置Dが配置されており、被写体距離が0.3mのトラッキングテーブル100の移動範囲には原点位置Dが配置されていない。このように、一部のトラッキングテーブル100の使用される確率が高い場合には、その一部のトラッキングテーブル100に基づくフォーカスレンズユニット75の移動範囲内に原点位置Dを配置することで、フォーカスレンズユニット75を原点位置Dから所定位置まで移動させるための駆動時間を比較的短くすることができる。
例えば、このデジタルカメラ1では、原点位置Dが、無限遠のトラッキングテーブル100に基づくフォーカスレンズユニット75の移動範囲G内に配置されている。一般的に、ユーザーがデジタルカメラ1の電源を入れて被写体を撮影する際に無限遠の位置にある被写体を撮影する確率が高いため、原点位置Dを移動範囲G内に配置することで、起動時間を短縮することができる。
このデジタルカメラ1では、全移動範囲Eの中央に原点位置Dが配置されているため、全移動範囲E内のいずれの位置までフォーカスレンズユニット75を移動させる際にも、駆動時間を短縮することができる。
(4)
このデジタルカメラ1では、無限遠のトラッキングテーブル100に基づくフォーカスレンズユニット75の移動範囲Hには、広角端に対応する位置H2からフォーカスレンズユニット75が撮像センサ11から最も離れる位置H1までの移動範囲Hが含まれている。この移動範囲Hの中央に原点位置Dが配置されている。一般的に、ユーザーがデジタルカメラ1の電源を入れて被写体を撮影する際に光学系Lが広角端の状態である確率が高いため、原点位置Dを移動範囲Hの中央に配置することで、さらに起動時間を短縮することができる。
本発明の実施形態は、前述の実施形態に限られず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の修正および変更が可能である。また、前述の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
(1)
前述の実施形態では、デジタルカメラ1は静止画および動画の撮影が可能であるが、静止画撮影のみ、あるいは、動画撮影のみ可能であってもよい。
(2)
前述の実施形態においては、デジタルカメラ1は、交換レンズ式のデジタルカメラに限られず、例えばデジタルスチルカメラ、デジタルビデオカメラ、カメラ付き携帯電話およびカメラ付きPDAであってもよい。
前述のデジタルカメラ1はクイックリターンミラーを有していないが、従来の一眼レフカメラのようにクイックリターンミラーが搭載されていてもよい。
(4)
光学系Lの構成は前述の実施形態に限定されない。例えば、第3レンズ群G3が複数のレンズから構成されていてもよいし、第2レンズ群G2が単一のレンズから構成されていてもよい。また、光学系Lの配置は、図13に示す配置に限定されない。
(5)
前述の実施形態では、シャッターユニット33を動作させることにより撮像センサ11への露光時間を制御しているが、電子シャッターにより撮像センサ11の露光時間を制御してもよい。
前述の実施形態では、レンズマイコン40により電子トラッキングが行われるが、ボディーマイコン10からレンズマイコン40に命令が送信され、その命令に基づいて電子トラッキングの制御が行われてもよい。
(7)
前述の実施形態では、原点位置Dが移動範囲Hの中央に配置されているが、図15に示すように、原点位置Dが移動範囲Gの中央に配置されていてもよい。この場合であっても、被写体距離が無限遠のトラッキングテーブル100を基準として原点位置Dを決定しているため、起動時間の短縮が可能となる。
(8)
前述の実施形態では、被写体距離が無限遠のトラッキングテーブル100を基準に原点位置Dが決定されているが、他のトラッキングテーブル100を基準としてもよい。例えば、図16に示すように、被写体距離が0.3mのトラッキングテーブル100を基準に原点位置Dが決定されていてもよい。
例えば光学系Lがマクロ撮影用の光学系である場合、被写体距離が最短である0.3mの状態で撮影が行われる確率が高いため、移動範囲Jの中央に原点位置Dを配置することで、起動時間を短縮することができる。
(9)
前述の実施形態では、原点位置Dが全移動範囲Eの中央に配置されているが、起動時間の短縮が図れる範囲内で原点位置Dが全移動範囲Eの中央からずれていてもよい。つまり、原点位置Dは全移動範囲Eの概ね中央に配置されていればよい。
さらに、起動時間の短縮が図れる範囲内で原点位置Dが移動範囲Jの中央からずれていてもよい。つまり、原点位置Dは移動範囲Jの概ね中央に配置されていればよい。
(10)
図14〜図16に示すトラッキングテーブル100は一例であるため、トラッキングテーブルは前述のトラッキングテーブル100に限定されない。前述の実施形態では、図14〜図16において被写体距離が無限遠(∞)に対応するトラッキングテーブルが撮像センサ11に最も近い位置(つまり、図14〜図16において最も下側)に配置されているが、図14〜図16において被写体距離が0.3mなどの近距離に対応するトラッキングテーブルが撮像センサ11に最も近い位置に配置されていてもよい。このような光学系であっても、前述の実施形態と同様の効果を得ることができる。
2 交換レンズユニット(レンズ鏡筒の一例)
3 カメラ本体
3a 筐体
4 ボディーマウント
10 ボディーマイコン(駆動制御部の一例)
11 撮像センサ(撮像素子の一例)
12 撮像センサ駆動制御部
20 表示部
21 画像表示制御部
22 バッテリー
40 レンズマイコン(駆動制御部の一例)
50 固定枠
51 カム筒
52 第1ホルダー
53 第1レンズ群支持枠
54 第2レンズ群支持枠(第1レンズ支持枠の一例)
55 第2ホルダー(第1レンズ支持枠の一例)
61 第4レンズ群支持枠(第2レンズ支持枠の一例)
64 フォーカスモータ(フォーカスアクチュエータの一例)
67 フォトセンサ(原点検出部の一例)
75 フォーカスレンズユニット
77 第2レンズ群ユニット(第1レンズユニットの一例)
78 第4レンズユニット(第2レンズユニットの一例)
83 ズームリングユニット(ズーム機構の一例)
84 ズームリング(ズーム操作部の一例)
87 リニアポジションセンサ
88 フォーカスリングユニット
89 フォーカスリング
90 フォーカスリング角度検出部
99 レンズ取り外しボタン
100 トラッキングテーブル
L 光学系
G1 第1レンズ群
G2 第2レンズ群
G3 第3レンズ群
G4 第4レンズ群
L5 第5レンズ(第1レンズ素子の一例)
L6 第6レンズ(フォーカスレンズの一例)
L7 第7レンズ(第2レンズ素子の一例)
E 全移動範囲(トラッキング範囲の一例)
G、H、J 移動範囲(第1トラッキング範囲の一例)
Claims (9)
- 被写体の光学像を撮像素子に結像するためのレンズ鏡筒であって、
第1レンズ素子と、前記第1レンズ素子を支持する第1レンズ支持枠と、を有する第1レンズユニットと、
前記第1レンズ素子に対して光軸方向に相対移動することで焦点距離を変化させるための第2レンズ素子と、前記第2レンズ素子を支持する第2レンズ支持枠と、を有する第2レンズユニットと、
前記第1レンズ素子または前記第2レンズ素子に対して前記光軸方向に移動することで前記光学像のフォーカス状態を変化させるためのフォーカスレンズと、前記フォーカスレンズを支持するフォーカスレンズ支持枠と、を有するフォーカスレンズユニットと、
前記第1レンズユニットおよび前記第2レンズユニットを前記光軸方向に相対移動させるための機構であって、ユーザーにより操作されるズーム操作部を有し、前記ズーム操作部に入力された操作力を、前記第1レンズユニットおよび前記第2レンズユニットのうち少なくとも一方に機械的に伝達するズーム機構と、
前記第1レンズユニットと一体で移動するように前記ズーム機構により支持されたアクチュエータであって、電力を利用して前記第1レンズユニットに対して前記フォーカスレンズユニットを前記光軸方向に駆動するフォーカスアクチュエータと、
前記第1レンズユニットに対して前記フォーカスレンズユニットが原点位置に配置されているか否かを検出する原点検出部と、
前記原点位置を含むトラッキング範囲内で前記フォーカスレンズユニットが移動するように前記フォーカスアクチュエータを制御する駆動制御部と、
を備えたレンズ鏡筒。 - 前記駆動制御部は、予め設定されたトラッキング情報に基づいて前記フォーカスアクチュエータを制御し、
前記トラッキング情報は、焦点距離が変化しても焦点が合う物点距離が実質的に第1被写体距離に保たれるように前記フォーカスアクチュエータを制御できる第1トラッキングテーブルと、前記焦点距離が変化しても焦点が合う物点距離が実質的に第2被写体距離に保たれるように前記フォーカスアクチュエータを制御できる第2トラッキングテーブルと、を有しており、
前記第1トラッキングテーブルに基づいて前記フォーカスアクチュエータが前記駆動制御部により制御された場合、前記フォーカスレンズユニットは、第1トラッキング範囲内で前記光軸方向に移動し、
前記原点位置は、前記トラッキング範囲の少なくとも一部である前記第1トラッキング範囲内に配置されている、
請求項1に記載のレンズ鏡筒。 - 前記原点位置は、前記光軸方向において前記トラッキング範囲の概ね中央に配置されている、
請求項1および2に記載のレンズ鏡筒。 - 前記原点位置は、前記光軸方向において前記第1トラッキング範囲の概ね中央に配置されている、
請求項2に記載のレンズ鏡筒。 - 前記第1トラッキングテーブルの前記第1被写体距離は、無限遠である、
請求項2に記載のレンズ鏡筒。 - 前記第1トラッキング範囲は、前記焦点距離が広角端の状態で無限遠に焦点を合わせることができる第1位置から前記第1トラッキングテーブルに基づいて前記フォーカスレンズユニットが駆動された場合に前記フォーカスレンズユニットが前記撮像素子から最も離れる第2位置までの範囲である、
請求項5に記載のレンズ鏡筒。 - 前記第1トラッキングテーブルの前記第1被写体距離は、前記第2被写体距離よりも短い、
請求項2に記載のレンズ鏡筒。 - 前記第1トラッキングテーブルの前記第1被写体距離は、前記トラッキング情報に含まれるトラッキングテーブルの被写体距離のなかで最短である、
請求項2に記載のレンズ鏡筒。 - 請求項1から8のいずれかに記載のレンズ鏡筒と、
前記撮像素子を有するカメラ本体と、
を備えた撮像装置。
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