JP2010079085A - 平版印刷版原版及び平版印刷版の製造方法 - Google Patents

平版印刷版原版及び平版印刷版の製造方法 Download PDF

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知也 佐々木
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Abstract

【課題】現像速度が速く、耐刷性に優れ、かつ初期及び経時での耐汚れ性に優れる平版印刷版原版、並びに、平版印刷版の製造方法を提供すること。
【解決手段】支持体上に、(A)式(I)、式(II)又は式(III)で表される基を少なくとも1つ有する化合物、(B)重合開始剤、(C)前記(A)成分以外の重合性化合物、及び、(D)バインダーポリマーを含有する感光層を有し、前記感光層における前記(A)成分と前記(C)成分との重量比〔(A)/(C)〕が0.02以上4以下であることを特徴とする平版印刷版原版、並びに、平版印刷版の製造方法。
Figure 2010079085

【選択図】なし

Description

本発明は、平版印刷版原版及び平版印刷版の製造方法に関する。
一般に、平版印刷版は、印刷過程でインキを受容する親油性の画像部と、湿し水を受容する親水性の非画像部とからなる。平版印刷は、水と印刷インキが互いに反発する性質を利用して、平版印刷版の親油性の画像部をインキ受容部、親水性の非画像部を湿し水受容部(インキ非受容部)として、平版印刷版の表面にインキの付着性の差異を生じさせ、画像部のみにインキを着肉させた後、紙などの被印刷体にインキを転写して印刷する方法である。
この平版印刷版を作製するため、従来、親水性の支持体上に親油性の感光性樹脂層(感光層、画像記録層)を設けてなる平版印刷版原版(PS版)が広く用いられている。通常は、平版印刷版原版を、リスフィルムなどの原画を通した露光を行った後、画像記録層の画像部となる部分を残存させ、それ以外の不要な画像記録層をアルカリ性現像液又は有機溶剤によって溶解除去し、親水性の支持体表面を露出させて非画像部を形成する方法により製版を行って、平版印刷版を得ている。
このように従来の平版印刷版原版の製版工程においては、露光の後、不要な画像記録層を現像液などによって溶解除去する工程が必要であるが、環境及び安全上、より中性域に近い現像液での処理や少ない廃液が課題として挙げられている。特に、近年、地球環境への配慮から湿式処理に伴って排出される廃液の処分が産業界全体の大きな関心事となっており、上記課題の解決の要請は一層強くなってきている。
一方、近年、画像情報をコンピュータで電子的に処理し、蓄積し、出力する、デジタル化技術が広く普及してきており、このようなデジタル化技術に対応した新しい画像出力方式が種々実用されるようになってきている。これに伴い、レーザー光のような高収斂性の輻射線にデジタル化された画像情報を担持させて、その光で平版印刷版原版を走査露光し、リスフィルムを介することなく、直接平版印刷版を製造するコンピュータ・トゥ・プレート(CTP)技術が注目されてきている。
また、特許文献1には、親水性支持体上に、(A)アミド基、ウレタン基、ウレア基、バルビツル酸基からなる群より選ばれた少なくとも一種を有するラジカル重合性化合物、(B)酸価が0.3meq/g以下であるバインダーポリマー、(C)360〜450nmの波長域に極大吸収を有する増感色素、及び(D)開始剤化合物を含有する感光層と保護層とをこの順に有する平版印刷版原版を、360〜450nmのレーザーで画像露光した後、擦り部材を備えた自動処理機により、pHが2〜10の現像液の存在下、擦り部材で版面を擦ることにより、保護層および非露光部の感光層を除去することを特徴とする平版印刷版の作製方法が開示されている。
特開2007−293222号公報
本発明の目的は、現像速度が速く、耐刷性に優れ、かつ初期及び経時での耐汚れ性に優れる平版印刷版原版、並びに、平版印刷版の製造方法を提供することである。
本発明の上記課題は以下の<1>又は<8>に記載の手段によって解決された。好ましい実施態様である<2>〜<7>、<9>及び<10>と共に以下に記載する。
<1>支持体上に、(A)式(I)、式(II)又は式(III)で表される基を少なくとも1つ有する化合物、(B)重合開始剤、(C)前記(A)成分以外の重合性化合物、及び、(D)バインダーポリマーを含有する感光層を有し、前記感光層における前記(A)成分と前記(C)成分との重量比〔(A)/(C)〕が0.02以上4以下であることを特徴とする平版印刷版原版、
Figure 2010079085
(式(I)〜(III)中、R1〜R3、R5、R6及びR9〜R11はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基又はアリール基を表し、R4、R7及びR8はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基又は複素環基を表し、波線部分は他の部分との結合位置を表し、R7及びR8は環を形成してもよい。)
<2>前記(A)成分が、式(IV)又は式(V)で表される化合物である上記<1>に記載の平版印刷版原版、
Figure 2010079085
(式(IV)及び式(V)中、A1は式(III)で表される基を含んでいてもよい(n1+n2)価の有機基を表し、A2はそれぞれ独立に、二価の有機基を表し、R1〜R3、R5、R6及びR9〜R11はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基又はアリール基を表し、R4、R7及びR8はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基又は複素環基を表し、n1及びn2はそれぞれ独立に、0以上10以下の整数を表し、n3は1以上5以下の整数を表し、R7及びR8は環を形成してもよい。ただし、n1及びn2は両方とも0になることはない。)
<3>前記(A)成分が、式(I)、式(II)又は式(III)で表される基を2以上有する上記<1>又は<2>に記載の平版印刷版原版、
<4>前記(C)成分が、(メタ)アクリレート化合物、ビニル芳香族化合物、及び/又は、アリル化合物を含む上記<1>〜<3>のいずれか1つに記載の平版印刷版原版、
<5>前記感光層が、さらに(E)増感色素を含有する上記<1>〜<4>のいずれか1つに記載の平版印刷版原版、
<6>前記(A)成分が、感光層の全固形分に対して、5〜75重量%である上記<1>〜<5>のいずれか1つに記載の平版印刷版原版、
<7>前記(C)成分が、感光層の全固形分に対して、5〜75重量%である上記<1>〜<6>のいずれか1つに記載の平版印刷版原版、
<8>上記<1>〜<7>のいずれか1つに記載の平版印刷版原版を画像露光する露光工程、及び、pH2〜10の現像液の存在下で非露光部の感光層を除去する現像工程を含むことを特徴とする平版印刷版の製造方法、
<9>前記現像工程が、前記保護層の除去、現像処理及びガム引き処理を1液で行う工程である上記<8>に記載の平版印刷版の製造方法、
<10>前記現像工程の前及び後のいずれにも水洗工程を施さない上記<8>又は<9>に記載の平版印刷版の製造方法。
本発明によれば、現像速度が速く、耐刷性に優れ、かつ初期及び経時での耐汚れ性に優れる平版印刷版原版、並びに、平版印刷版の製造方法を提供することができた。
以下、本発明の平版印刷版原版、及び、平版印刷版の製造方法について詳細に説明する。
〔平版印刷版原版〕
本発明の平版印刷版原版は、支持体上に、(A)式(I)、式(II)又は式(III)で表される基を少なくとも1つ有する化合物、(B)重合開始剤、(C)前記(A)成分以外の重合性化合物、及び、(D)バインダーポリマーを含有する感光層を有し、前記感光層における前記(A)成分と前記(C)成分との重量比〔(A)/(C)〕が0.02以上4以下であることを特徴とする。
Figure 2010079085
(式(I)〜(III)中、R1〜R3、R5、R6及びR9〜R11はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基又はアリール基を表し、R4、R7及びR8はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基又は複素環基を表し、波線部分は他の部分との結合位置を表し、R7及びR8は環を形成してもよい。)
本発明の平版印刷版原版は、ネガ型平版印刷版原版であり、また、pH2〜10の現像液で好適に現像することができる。
本発明の平版印刷版原版は、感光層において前記(A)成分と前記(C)成分とを特定の混合量で含有することにより、現像速度が速く、耐刷性に優れ、かつ初期及び経時での耐汚れ性に優れる。
従来の平版印刷版原版、例えば、特許文献1に記載されているような平版印刷版原版では、現像性、耐刷性、初期及び経時での耐汚れ性低下の抑制のすべてを満たすことは困難であった。
特に、pH2〜10の現像液を使用する方式において、現像性、耐刷性、初期及び経時での耐汚れ性低下の抑制のすべてを満たすことは極めて難しい。
この理由は、以下のように推測される。
すなわち、同一の素材を用いて現像液の種類を変更する場合、pH2〜10の現像液では、従来用いられてきたpH12〜13のアルカリ現像液に比べ、未露光部の現像性、汚れ性が悪化する。そこでpH2〜10の現像液を使用する現像の現像性、汚れ性を良化させようとして、素材の親水性を上げると、耐刷性が悪化する傾向にあるためであると推測される。
<支持体>
本発明の平版印刷版原版に用いることができる支持体は、特に限定されず、寸度的に安定な板状な親水性支持体であればよい。例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)、アルミニウム、亜鉛、銅等の金属がラミネートされ若しくは蒸着された紙又はプラスチックフィルム等が挙げられる。好ましい支持体としては、ポリエステルフィルム及びアルミニウム板が挙げられる。中でも、寸法安定性がよく、比較的安価であるアルミニウム板が好ましい。
アルミニウム板は、純アルミニウム板、アルミニウムを主成分とし、微量の異元素を含む合金板、又は、アルミニウム若しくはアルミニウム合金の薄膜にプラスチックがラミネートされているものである。アルミニウム合金に含まれる異元素には、ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、チタン等が挙げられる。合金中の異元素の含有量は10重量%以下であることが好ましい。本発明においては、純アルミニウム板が好ましいが、完全に純粋なアルミニウムは精錬技術上製造が困難であるので、わずかに異元素を含有するものでもよい。アルミニウム板は、その組成が特定されるものではなく、公知公用の素材のものを適宜利用することができる。
支持体の厚さは、0.1〜0.6mmであることが好ましく、0.15〜0.4mmであることがより好ましく、0.2〜0.3mmであることがさらに好ましい。
アルミニウム板を使用するに先立ち、粗面化処理、陽極酸化処理等の表面処理を施すことが好ましい。表面処理により、親水性の向上及び感光層と支持体との密着性の確保が容易になる。アルミニウム板を粗面化処理するに先立ち、所望により、表面の圧延油を除去するための界面活性剤、有機溶剤、アルカリ性水溶液等による脱脂処理が行われる。
アルミニウム板表面の粗面化処理は、種々の方法により行われるが、例えば、機械的粗面化処理、電気化学的粗面化処理(電気化学的に表面を溶解させる粗面化処理)、化学的粗面化処理(化学的に表面を選択溶解させる粗面化処理)が挙げられる。
機械的粗面化処理の方法としては、ボール研磨法、ブラシ研磨法、ブラスト研磨法、バフ研磨法等の公知の方法を用いることができる。
電気化学的粗面化処理の方法としては、例えば、塩酸、硝酸等の酸を含有する電解液中で交流又は直流により行う方法が挙げられる。また、特開昭54−63902号公報に記載されているような混合酸を用いる方法も挙げられる。
粗面化処理されたアルミニウム板は、必要に応じて、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等の水溶液を用いてアルカリエッチング処理を施され、さらに、中和処理された後、所望により、耐摩耗性を高めるために陽極酸化処理を施される。
アルミニウム板の陽極酸化処理に用いられる電解質としては、多孔質酸化皮膜を形成させる種々の電解質の使用が可能である。一般的には、硫酸、塩酸、シュウ酸、クロム酸又はそれらの混酸が用いられる。それらの電解質の濃度は電解質の種類によって適宜決められる。
陽極酸化処理の条件は、用いられる電解質により種々変わるので一概に特定することはできないが、一般的には、電解質濃度1〜80重量%溶液、液温度5〜70℃、電流密度5〜60A/dm2、電圧1〜100V、電解時間10秒〜5分であることが好ましい。形成される陽極酸化皮膜の量は、1.0〜5.0g/m2であることが好ましく、1.5〜4.0g/m2であることがより好ましい。上記範囲であると、良好な耐刷性と平版印刷版の非画像部の良好な耐傷性が得られる。
前記支持体としては、上記のような表面処理をされ陽極酸化皮膜を有する基板そのままでもよいが、上層との接着性、親水性、汚れ難さ、断熱性などの一層改良のため、必要に応じて、特開2001−253181号公報や特開2001−322365号公報に記載されている陽極酸化皮膜のマイクロポアの拡大処理、マイクロポアの封孔処理、及び親水性化合物を含有する水溶液に浸漬する表面親水化処理などを適宜選択して行うことができる。もちろんこれら拡大処理、封孔処理は、これらに記載のものに限られたものではなく、従来公知のいずれの方法も行うことができる。
封孔処理としては、蒸気封孔のほかフッ化ジルコン酸の単独処理、フッ化ナトリウムによる処理など無機フッ素化合物を含有する水溶液による封孔処理、塩化リチウムを添加した蒸気封孔、熱水による封孔処理でも可能である。
中でも、無機フッ素化合物を含有する水溶液による封孔処理、水蒸気による封孔処理及び熱水による封孔処理が好ましい。
親水化処理としては、米国特許第2,714,066号、同第3,181,461号、同第3,280,734号及び同第3,902,734号の明細書に記載されているようなアルカリ金属シリケート法がある。この方法においては、支持体をケイ酸ナトリウム等の水溶液で浸漬処理し、又は、電解処理する。そのほかに、特公昭36−22063号公報に記載されているフッ化ジルコン酸カリウムで処理する方法、米国特許第3,276,868号、同第4,153,461号及び同第4,689,272号の明細書に記載されているようなポリビニルホスホン酸で処理する方法等が挙げられる。
支持体としてポリエステルフィルムなど表面の親水性が不十分な支持体を用いる場合は、親水層を塗布して表面を親水性にすることが好ましい。
親水層としては、特開2001−199175号公報に記載の、ベリリウム、マグネシウム、アルミニウム、珪素、チタン、硼素、ゲルマニウム、スズ、ジルコニウム、鉄、バナジウム、アンチモン及び遷移金属よりなる群から選択された少なくとも1つの元素の酸化物又は水酸化物のコロイドを含有する塗布液を塗布してなる親水層や、特開2002−79772号公報に記載の、有機親水性ポリマーを架橋あるいは疑似架橋することにより得られる有機親水性マトリックスを有する親水層や、ポリアルコキシシラン、チタネート、ジルコネート又はアルミネートの加水分解、縮合反応からなるゾル−ゲル変換により得られる無機親水性マトリックスを有する親水層、あるいは、金属酸化物を含有する表面を有する無機薄膜からなる親水層が好ましい。中でも、珪素の酸化物又は水酸化物のコロイドを含有する塗布液を塗布してなる親水層が好ましい。
また、本発明の支持体としてポリエステルフィルム等を用いる場合には、支持体の親水性層側又は反対側、あるいは両側に、帯電防止層を設けることが好ましい。帯電防止層を支持体と親水性層との間に設けた場合には、親水性層との密着性向上にも寄与する。帯電防止層としては、特開2002−79772号公報に記載の、金属酸化物微粒子やマット剤を分散したポリマー層等が使用できる。
支持体は、中心線平均粗さが0.10〜1.2μmであることが好ましい。上記範囲であると、感光層との良好な密着性、良好な耐刷性と良好な汚れ難さが得られる。
また、支持体の色濃度としては、反射濃度値として0.15〜0.65であることが好ましい。上記範囲であると、画像露光時のハレーション防止による良好な画像形成性と現像後の良好な検版性が得られる。
<感光層>
本発明の平版印刷版原版における感光層(以下、「画像形成層」ともいう。)は、基本成分として、(A)式(I)、式(II)又は式(III)で表される基を少なくとも1つ有する化合物、(B)重合開始剤、(C)前記(A)成分以外の重合性化合物、及び、(D)バインダーポリマーを含有する。
また、前記感光層における前記(A)成分と前記(C)成分との重量比〔(A)/(C)〕は、0.02以上4以下である。
((A)式(I)、式(II)又は式(III)で表される基を少なくとも1つ有する化合物)
本発明の平版印刷版原版における感光層は、式(I)、式(II)又は式(III)で表される基を少なくとも1つ有する化合物(「(A)成分」ともいう。)を含有する。
Figure 2010079085
(式(I)〜(III)中、R1〜R3、R5、R6及びR9〜R11はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基又はアリール基を表し、R4、R7及びR8はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基又は複素環基を表し、波線部分は他の部分との結合位置を表し、R7及びR8は環を形成してもよい。)
式(I)〜(III)におけるR1〜R3、R5、R6及びR9〜R11はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基又はアリール基を表し、水素原子又はアルキル基であることが好ましく、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基又はヒドロキシメチル基であることがより好ましく、水素原子又はメチル基であることがさらに好ましい。
前記アルキル基及びアリール基は、前記ヒドロキシメチル基のように、置換基を有していてもよい。導入可能な置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環基、アルコキシ基、エステル基、アミド基、カルバモイル基、カーボネート基などが挙げられる。
式(I)及び式(II)におけるR4、R7及びR8はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基又は複素環基を表し、水素原子又はアルキル基であることが好ましく、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基であることがより好ましく、水素原子又はメチル基であることがさらに好ましい。
前記アルキル基は、直鎖状であっても、分岐を有していてもよい。
前記アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基又は複素環基は、置換基を有していてもよい。導入可能な置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環基、アルコキシ基、エステル基、アミド基、カルバモイル基、カーボネート基などが挙げられる。
また、R7とR8とは、その一部が連結して、環を形成してもよい。
式(I)〜(III)における波線部分は、他の部分との結合位置を表す。すなわち、式(I)又は式(II)で表される基では、他の部分と1つの位置で結合しており、式(III)で表される基では、他の部分と2つの位置で結合している。
前記(A)成分において、式(I)〜(III)の波線部分と結合する他の部分は、水素原子、又は、非金属原子から構成される多価の有機基であり、多価の有機基であることが好ましい。
また、前記(A)成分は、多価の有機基を2以上有していてもよい。
前記多価の有機基は、直鎖状、分岐状、環状いずれの形状であってもよい。環状の場合は、単環、多環、縮環いずれでもよく、脂環、芳香環いずれでもよい。
また、前記多価の有機基は、炭素原子、水素原子、酸素原子、窒素原子、及び/又は、硫黄原子よりなる群から選ばれた原子から構成された基であることが好ましく、炭素原子、水素原子、酸素原子、及び/又は、窒素原子よりなる群から選ばれた原子から構成された基であることがより好ましい。
具体的には、炭素数40以下の炭化水素と、必要に応じて、20個以下の酸素原子、15個以下の窒素原子及び/又は15個以下の硫黄原子とから構成される化合物から式(I)〜(III)で表される基が結合する数の水素原子を除いた基が例示できる。
また、前記多価の有機基は、置換基を有してもよい。
導入可能な置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アルコキシ基、エステル基、アミド基、カルバモイル基、カーボネート基などが挙げられる。
また、前記多価の有機基としては、炭化水素(アルカン、アルケン、アルキン、芳香環及びこれらの組み合わせを含む。また、直鎖状であっても、分岐状であっても、環状であってもよい。)からa個の水素原子の除いた基、複素環からb個の水素原子の除いた基、又は、炭化水素からa個の水素原子の除いた基、複素環からb個の水素原子の除いた基、エーテル結合、チオエーテル結合、エステル結合及びウレタン結合よりなる群から選ばれた基を2以上組み合わせた基であることが好ましく、炭化水素からa個の水素原子の除いた基、又は、1以上の炭化水素からa個の水素原子の除いた基と1以上のエーテル結合及び/又は1以上のエステル結合とを組み合わせた基であることがより好ましい。なお、前記a及びbはそれぞれ独立に、1以上の整数を表す。
また、前記(A)成分における式(II)又は式(III)で表される基の数は、1以上であるが、2以上であることが好ましく、3以上であることがより好ましく、また、8以下であることが好ましく、6以下であることがより好ましい。
前記感光層における(A)成分(式(I)、式(II)又は式(III)で表される基を少なくとも1つ有する化合物)と(C)成分(前記(A)成分以外の重合性化合物)との重量比〔(A)/(C)〕は、0.02以上4以下である。この値が0.02未満であると現像性の向上効果が得られない。また、この値が4を超えると画像部の耐水性が不足し、耐刷性が低下してしまう。
また、前記感光層における(A)成分と(C)成分との重量比〔(A)/(C)〕は、0.03以上3.5以下であることが好ましく、0.05以上3以下であることがより好ましく、0.07以上2.5以下であることがさらに好ましい。上記範囲であると、現像性、及び、耐刷性に優れる。
(A)成分の分子量は、1,000以下であることが好ましく、850以下であることがより好ましく、700以下であることがさらに好ましく、また、160以上であることが好ましい。
また、前記(A)成分は、下記式(IV)又は式(V)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2010079085
(式(IV)及び式(V)中、A1は式(III)で表される基を含んでいてもよい(n1+n2)価の有機基を表し、A2はそれぞれ独立に、二価の有機基を表し、R1〜R3、R5、R6及びR9〜R11はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基又はアリール基を表し、R4、R7及びR8はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基又は複素環基を表し、n1及びn2はそれぞれ独立に、0以上10以下の整数を表し、n3は1以上5以下の整数を表し、R7及びR8は環を形成してもよい。ただし、n1及びn2は両方とも0になることはない。)
式(IV)におけるA1は、1以上の式(III)で表される基を含んでいてもよい(n1+n2)価の有機基を表す。
前記(n1+n2)価の有機基は、直鎖状、分岐状、環状いずれの形状であってもよい。環状の場合は、単環、多環、縮環いずれでもよく、脂環、芳香環いずれでもよい。
また、前記(n1+n2)価の有機基は、炭素原子、水素原子、酸素原子、窒素原子、及び/又は、硫黄原子よりなる群から選ばれた原子から構成された基であることが好ましく、炭素原子、水素原子、酸素原子、及び/又は、窒素原子よりなる群から選ばれた原子から構成された基であることがより好ましい。
具体的には、炭素数40以下の炭化水素と、必要に応じて、20個以下の酸素原子、15個以下の窒素原子及び/又は15個以下の硫黄原子とから構成される化合物から(n1+n2)個の水素原子を除いた基が例示できる。
また、前記(n1+n2)の有機基は、置換基を有してもよい。導入可能な置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アルコキシ基、エステル基、アミド基、カルバモイル基、カーボネート基などが挙げられる。
また、前記(n1+n2)価の有機基としては、炭化水素(アルカン、アルケン、アルキン、芳香環及びこれらの組み合わせを含む。また、直鎖状であっても、分岐状であっても、環状であってもよい。)からa’個の水素原子の除いた基、複素環からb’個の水素原子の除いた基、又は、炭化水素からa’個の水素原子の除いた基、複素環からb’個の水素原子の除いた基、式(III)で表される基、エーテル結合、チオエーテル結合、エステル結合及びウレタン結合よりなる群から選ばれた基を2以上組み合わせた基であることが好ましく、炭化水素からa’個の水素原子の除いた基、又は、1以上の炭化水素からa’個の水素原子の除いた基と1以上の式(III)で表される基、1以上のエーテル結合及び/又は1以上のエステル結合とを組み合わせた基であることがより好ましい。なお、前記a’及びb’はそれぞれ独立に、1以上の整数を表す。
式(IV)におけるn1及びn2はそれぞれ独立に、0以上10以下の整数を表し、0以上6以下の整数であることが好ましく、0以上4以下の整数であることがより好ましく、0以上2以下の整数であることがさらに好ましい。
なお、式(IV)におけるn1及びn2は、両方とも0になることはない。
また、式(IV)においては、n1が2であり、かつn2が0であるか、n1及びn2が1であるか、又は、n1が0であり、かつn2が2であることが特に好ましい。
式(V)におけるA2はそれぞれ独立に、二価の有機基を表す。
前記二価の有機基は、炭素原子、水素原子、酸素原子、窒素原子、及び/又は、硫黄原子よりなる群から選ばれた原子から構成された基であることが好ましく、炭素原子、水素原子、酸素原子、及び/又は、窒素原子よりなる群から選ばれた原子から構成された基であることがより好ましく、アルキレン基であることがさらに好ましく、メチレン基又はエチレン基であることが特に好ましい。
また、前記二価の有機基は、炭素数1〜8の基であることが好ましく、炭素数1又は2の基であることがより好ましい。
式(V)におけるn3は、n3は1以上5以下の整数を表し、1又は2であることが好ましい。
また、式(V)において、2以上のA2及び2以上の窒素原子からなる環の大きさは、特に制限はないが、5員環又は6員環であることが好ましい。
また、式(V)において、2以上存在するA2は、前述のように同じであっても、異なっていてもよいが、全て同じ基であることが好ましい。
式(I)、式(II)又は式(III)で表される基を少なくとも1つ有する化合物の具体例としては、以下に示すA−1〜A−56を好適に例示できるが、本発明はこれらに限定されるわけではない。
Figure 2010079085
Figure 2010079085
Figure 2010079085
Figure 2010079085
Figure 2010079085
Figure 2010079085
前記感光層における前記(A)成分の含有量は、感光層全固形分の総重量に対し、3〜75重量%であることが好ましく、5〜75重量%であることがより好ましく、5〜65重量%であることがさらに好ましく、7〜60重量%であることが特に好ましく、10〜55重量%であることが最も好ましい。上記範囲であると、現像性、耐刷性、初期及び経時での耐汚れ性低下抑制のバランスに優れる。
((B)重合開始剤)
本発明の平版印刷版原版における感光層は、重合開始剤(「(B)成分」又は「開始剤化合物」ともいう。)を含有する。
開始剤化合物は、増感色素の電子励起状態に起因する電子移動、エネルギー移動、発熱などの作用をうけて、化学変化を生じ、ラジカル、酸及び塩基から選択される少なくとも1種を生成する化合物である。以下、このようにして生じたラジカル、酸、塩基を単に活性種と呼ぶ。開始剤化合物が存在しない場合や、開始剤化合物のみを単独で用いた場合には、実用上十分な感度が得られない。増感色素と開始剤化合物を併用する一つの態様として、これらを、適切な化学的方法(増感色素と開始剤化合物との化学結合による連結等)によって単一の化合物として利用することも可能である。
通常これらの開始剤化合物の多くは、次の(1)〜(3)に代表される初期化学プロセスをへて、活性種を生成するものと考えられる。すなわち、(1)増感色素の電子励起状態から開始剤化合物への電子移動反応に基づく、開始剤化合物の還元的分解、(2)開始剤化合物から増感色素の電子励起状態への電子移動に基づく、開始剤化合物の酸化的分解、(3)増感色素の電子励起状態から開始剤化合物へのエネルギー移動に基づく、開始剤化合物の電子励起状態からの分解である。個々の開始剤化合物が(1)〜(3)のどのタイプに属するかに関しては、曖昧な場合も多いが、本発明における増感色素は、これらいずれのタイプの開始剤化合物と組み合わせても非常に高い増感効果を示す。
開始剤化合物としては、当業者間で公知のものを制限なく使用でき、具体的には、例えば、トリハロメチル化合物、カルボニル化合物、有機過酸化物、アゾ系化合物、アジド化合物、メタロセン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、有機ホウ素化合物、ジスルホン化合物、オキシムエステル化合物、オニウム塩化合物、鉄アレーン錯体が挙げられる。中でも、ヘキサアリールビイミダゾール系化合物、オニウム塩、トリハロメチル化合物及びメタロセン化合物よりなる群から選択された少なくとも1種であることが好ましく、ヘキサアリールビイミダゾール系化合物が特に好ましい。
また、前記重合開始剤は、2種以上を適宜併用することもできる。
ヘキサアリールビイミダゾール系化合物としては、特公昭45−37377号、特公昭44−86516号の各公報記載のロフィンダイマー類、例えば2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−ブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o,p−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(m−メトキシフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(o,o’−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−ニトロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−メチルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−トリフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール等が挙げられる。
ヘキサアリールビイミダゾール系化合物は、300〜450nmに極大吸収を有する増感色素と併用して用いられることが特に好ましい。
本発明において好適に用いられるオニウム塩(本発明においては、酸発生剤としてではなく、イオン性の重合開始剤として機能する)は、下記式(RI−I)〜(RI−III)で表されるオニウム塩である。
Figure 2010079085
式(RI−I)中、Ar11は置換基を1〜6個有していてもよい炭素数20以下のアリール基を表し、好ましい置換基としては炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルケニル基、炭素数1〜12のアルキニル基、炭素数1〜12のアリール基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数1〜12のアリーロキシ基、ハロゲン原子、炭素数1〜12のアルキルアミノ基、炭素数1〜12のジアルキルアミノ基、炭素数1〜12のアルキルアミド基又はアリールアミド基、カルボニル基、カルボキシル基、シアノ基、スルホニル基、炭素数1〜12のチオアルキル基、炭素数1〜12のチオアリール基が挙げられる。
式(RI−I)中、Z11 -は1価の陰イオンを表し、具体的には、ハロゲンイオン、過塩素酸イオン、ヘオロボレートイオン、スルホン酸イオン、スルフィン酸イオン、チオスルホン酸イオン、硫酸イオンが挙げられる。中でも安定性の面から、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、テトラフルオロボレートイオン、スルホン酸イオン及びスルフィン酸イオンが好ましい。
式(RI−II)中、Ar21及びAr22はそれぞれ独立に、置換基を1〜6個有していてもよい炭素数20以下のアリール基を表し、好ましい置換基としては炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルケニル基、炭素数1〜12のアルキニル基、炭素数1〜12のアリール基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数1〜12のアリーロキシ基、ハロゲン原子、炭素数1〜12のアルキルアミノ基、炭素数1〜12のジアルキルアミノ基、炭素数1〜12のアルキルアミド基又はアリールアミド基、カルボニル基、カルボキシル基、シアノ基、スルホニル基、炭素数1〜12のチオアルキル基、炭素数1〜12のチオアリール基が挙げられる。
式(RI−II)中、Z21 -は1価の陰イオンを表す。具体的には、ハロゲンイオン、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、テトラフルオロボレートイオン、スルホン酸イオン、スルフィン酸イオン、チオスルホン酸イオン、硫酸イオンが挙げられる。中でも、安定性、反応性の面から過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、テトラフルオロボレートイオン、スルホン酸イオン、スルフィン酸イオン、カルボン酸イオンが好ましい。
式(RI−III)中、R31、R32及びR33はそれぞれ独立に、置換基を1〜6個有していてもよい炭素数20以下のアリール基、アルキル基、アルケニル基又はアルキニル基を表す。中でも反応性、安定性の面から好ましいのは、アリール基である。
置換基としては、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルケニル基、炭素数1〜12のアルキニル基、炭素数1〜12のアリール基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数1〜12のアリーロキシ基、ハロゲン原子、炭素数1〜12のアルキルアミノ基、炭素数1〜12のジアルキルアミノ基、炭素数1〜12のアルキルアミド基又はアリールアミド基、カルボニル基、カルボキシル基、シアノ基、スルホニル基、炭素数1〜12のチオアルキル基、炭素数1〜12のチオアリール基が挙げられる。
式(RI−III)中、Z31 -は1価の陰イオンを表す。具体例としては、ハロゲンイオン、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、テトラフルオロボレートイオン、スルホン酸イオン、スルフィン酸イオン、チオスルホン酸イオン、硫酸イオンが挙げられる。中でも安定性、反応性の面から、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、テトラフルオロボレートイオン、スルホン酸イオン、スルフィン酸イオン、カルボン酸イオンが好ましい。また、特開2002−148790号公報、又は、特開2001−343742号公報記載のカルボン酸イオンがより好ましく挙げられ、特開2002−148790号公報記載のカルボン酸イオンが特に好ましく挙げられる。
オニウム塩は、750〜1,400nmに極大吸収を有する赤外線吸収剤と併用して用いられることが特に好ましい。
その他の重合開始剤としては、特開2007−171406号公報、特開2007−206216号公報、特開2007−206217号公報、特開2007−225701号公報、特開2007−225702号公報、特開2007−316582号公報、特開2007−328243号公報に記載の重合開始剤を好ましく用いることができる。
感光層における重合開始剤は、1種単独、又は、2種以上の併用によって好適に用いられる。
感光層中の重合開始剤の使用量は、感光層全固形分の総重量に対し、0.01〜20重量%であることが好ましく、0.1〜15重量%であることがより好ましく、1.0〜10重量%であることがさらに好ましい。
(C)(A)成分以外の重合性化合物
本発明の平版印刷版原版における感光層は、(A)成分以外の重合性化合物(「(C)成分」又は単に「重合性化合物」ともいう。)を含有する。
本発明における感光層に用いることができる重合性化合物は、少なくとも1個のエチレン性不飽和二重結合を有する化合物であり、好ましくは末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、より好ましくは2個以上有する化合物から選ばれる。このような化合物群は、当該産業分野において広く知られるものであり、本発明においては、これらを特に限定なく用いることができる。これらは、例えば、モノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体及びオリゴマー、それらの共重合体、又は、それらの混合物などの化学的形態をもつ。
モノマーの例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)や、そのエステル類が挙げられ、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステルが好ましく挙げられる。
また、ヒドロキシル基やアミノ基、メルカプト基、カルボキシル基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル類と単官能若しくは多官能イソシアネート類又はエポキシ類との付加反応物、及び、単官能又は多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。また、イソシアネート基や、エポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルと単官能又は多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との付加反応物、さらにハロゲノ基や、トシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルと単官能又は多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との置換反応物も好適である。
また、別の例として、上記の「不飽和カルボン酸」を「不飽和ホスホン酸」に置き換えた化合物群を使用することも可能である。
またさらに、上記の「不飽和カルボン酸エステル」を「ビニル化合物、又は、アリル化合物」に置き換えた化合物群を使用することも可能である。この場合、ビニル基又はアリル基に酸素原子、硫黄原子、窒素原子又はアリール基が直接結合している構造が好ましい。
前記(C)成分は、(メタ)アクリレート化合物、ビニル芳香族化合物、及び/又は、アリル化合物を含むことが好ましく、前記(C)成分が、(メタ)アクリレート化合物、ビニル芳香族化合物、及び/又は、アリル化合物のみからなることがより好ましい。
脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カルボン酸とのエステルのモノマーの具体例としては、以下のモノマーが挙げられる。
アクリル酸エステルとしては、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、テトラメチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリメチロールエタントリアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、イソシアヌール酸エチレンオキシド(EO)変性トリアクリレート、ポリエステルアクリレートオリゴマー等が例示できる。
メタクリル酸エステルとしては、テトラメチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ソルビトールトリメタクリレート、ソルビトールテトラメタクリレート、ビス〔p−(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕ジメチルメタン、ビス−〔p−(メタクリルオキシエトキシ)フェニル〕ジメチルメタン等が例示できる。
イタコン酸エステルとしては、エチレングリコールジイタコネート、プロピレングリコールジイタコネート、1,3−ブタンジオールジイタコネート、1,4−ブタンジオールジイタコネート、テトラメチレングリコールジイタコネート、ペンタエリスリトールジイタコネート、ソルビトールテトライタコネート等が例示できる。
クロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、ソルビトールテトラジクロトネート等が例示できる。
イソクロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジイソクロトネート、ペンタエリスリトールジイソクロトネート、ソルビトールテトライソクロトネート等が例示できる。
マレイン酸エステルとしては、エチレングリコールジマレート、トリエチレングリコールジマレート、ペンタエリスリトールジマレート、ソルビトールテトラマレート等が例示できる。
その他のエステルの例としては、例えば、特公昭51−47334号、特開昭57−196231号の各公報に記載の脂肪族アルコール系エステル類や、特開昭59−5240号、特開昭59−5241号、特開平2−226149号の各公報に記載の芳香族系骨格を有するもの、特開平1−165613号公報記載のアミノ基を含有するもの等も好適に用いられる。
さらに、前述のエステルモノマーは、混合物としても使用することができる。
また、イソシアネートと水酸基との付加反応を用いて製造されるウレタン系付加重合性化合物も好適であり、そのような具体例としては、例えば、特公昭48−41708号公報に記載されている1分子に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物に、下記式(A)で表される水酸基を含有するビニルモノマーを付加させた1分子中に2個以上のビニル基を含有するビニルウレタン化合物等が挙げられる。
CH2=C(R4)COOCH2CH(R5)OH (A)
(式中、R4及びR5はそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表す。)
また、特開昭51−37193号公報、特公平2−32293号公報、特公平2−16765号公報に記載されているようなウレタンアクリレート類や、特公昭58−49860号公報、特公昭56−17654号公報、特公昭62−39417号公報、特公昭62−39418号公報記載のエチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物類も好適である。さらに、特開昭63−277653号公報、特開昭63−260909号公報、特開平1−105238号公報に記載される、分子内にアミノ構造やスルフィド構造を有する付加重合性化合物類を用いることによっては、非常に感光スピードに優れた光重合性組成物を得ることができる。
その他の例としては、特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、特公昭52−30490号の各公報に記載されているようなポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸を反応させたエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタクリレートを挙げることができる。また、特公昭46−43946号、特公平1−40337号、特公平1−40336号の各公報に記載の特定の不飽和化合物や、特開平2−25493号公報記載のビニルホスホン酸系化合物等も挙げることができる。また、ある場合には、特開昭61−22048号公報記載のペルフルオロアルキル基を含有する構造が好適に使用される。さらに日本接着協会誌vol.20、No.7、300〜308ページ(1984年)に光硬化性モノマー及びオリゴマーとして紹介されているものも使用することができる。
これらの重合性化合物について、その構造、単独使用か併用か、添加量等の使用方法の詳細は、最終的な平版印刷版原版の性能設計にあわせて任意に設定できる。例えば、次のような観点から選択される。
感度の点では、1分子あたりの不飽和基含量が多い構造が好ましく、多くの場合、2官能以上の重合性化合物が好ましい。
また、画像部、すなわち硬化膜の強度を高くするためには、3官能以上の重合性化合物がよく、さらに、異なる官能数・異なる重合性基(例えば、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン系化合物、ビニルエーテル系化合物)のものを併用することで、感度と強度の両方を調節する方法も有効である。
また、感光層中の他の成分(例えば、バインダーポリマー、重合開始剤、着色剤等)との相溶性、分散性に対しても、重合性化合物の選択・使用法は重要な要因であり、例えば、低純度化合物の使用や、2種以上の併用により相溶性を向上することがある。
また、支持体や後述の保護層等との密着性を向上させる目的で、特定の構造を選択することもできる。
そのほか、重合性化合物の使用法は、酸素に対する重合阻害の大小、解像度、かぶり性、屈折率変化、表面粘着性等の観点から適切な構造、配合、添加量を任意に選択でき、さらに、場合によっては下塗り、上塗りといった層構成・塗布方法も考慮することができる。
(A)成分以外の重合性化合物は、感光層の全固形分に対して、5〜75重量%であることが好ましく、25〜70重量%であることがより好ましく、30〜60重量%であることがさらに好ましい。
((D)バインダーポリマー)
本発明の平版印刷版用原版における感光層は、バインダーポリマー(「(D)成分」ともいう。)を含有する。
前記バインダーポリマーは、感光層の皮膜形成剤として機能するポリマーであり、線状有機高分子重合体を含有させることが好ましい。このような「線状有機高分子重合体」としては、公知のものを使用することができる。
このようなバインダーポリマーの例としては、アクリル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、メタクリル樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル樹脂よりなる群から選ばれた高分子であることが好ましい。中でも、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂がより好ましい。ここで「アクリル樹脂」とは、アクリル酸誘導体を(共)重合成分として有するアクリル系ポリマーのことをいう。「ポリウレタン樹脂」とは、イソシアネート基を2つ有する化合物とヒドロキシル基を2つ以上有する化合物の縮合反応により生成されるポリマーのことをいう。
さらに、バインダーポリマーは、画像部の皮膜強度を向上するために、架橋性をもたせることができる。
バインダーポリマーに架橋性を持たせるためには、エチレン性不飽和結合等の架橋性官能基を高分子の主鎖中又は側鎖中に導入すればよい。架橋性官能基は、共重合により導入してもよいし、高分子反応によって導入してもよい。
ここで架橋性基とは、平版印刷版原版を露光した際に感光層中で起こるラジカル重合反応の過程で高分子バインダーを架橋させる基のことである。このような機能の基であれば特に限定されないが、例えば、付加重合反応し得る官能基としてエチレン性不飽和結合基、アミノ基、エポキシ基等が挙げられる。また光照射によりラジカルになり得る官能基であってもよく、そのような架橋性基としては、例えば、チオール基、ハロゲン基、オニウム塩構造等が挙げられる。中でも、エチレン性不飽和結合基が好ましく、下記式(1’)〜(3’)で表される官能基が特に好ましい。
Figure 2010079085
前記式(1’)において、Rl〜R3はそれぞれ独立に、一価の有機基を表す。
1として好ましくは、水素原子又は置換基を有してもよいアルキル基などが挙げられ、中でも、水素原子又はメチル基が、ラジカル反応性が高いことからより好ましい。
また、R2及びR3はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリールアミノ基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基などが挙げられ、中でも、水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基が、ラジカル反応性が高いことから好ましい。
Xは、酸素原子、硫黄原子、又は、N(R12)を表し、R12は、水素原子、又は、一価の有機基を表す。ここで、R12は、置換基を有してもよいアルキル基などが挙げられ、中でも、水素原子、メチル基、エチル基、又は、イソプロピル基が、ラジカル反応性が高いことから好ましい。
ここで、導入し得る置換基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基、ハロゲン原子、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基などが挙げられる。
Figure 2010079085
前記式(2’)において、R4〜R8はそれぞれ独立に、一価の有機基を表す。
4〜R8は、好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、ジアルキルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリールアミノ基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基などが挙げられ、中でも、水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基がより好ましい。
導入し得る置換基としては、式(1’)と同様のものが例示される。
また、Yは、酸素原子、硫黄原子、又はN(R12)を表す。R12は、式(1’)のR12の場合と同義であり、好ましい例も同様である。
Figure 2010079085
前記式(3’)において、R9〜R11はそれぞれ独立に、一価の有機基を表す。
9として好ましくは、水素原子又は置換基を有してもよいアルキル基などが挙げられ、中でも、水素原子又はメチル基が、ラジカル反応性が高いことからより好ましい。
10及びR11はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、ジアルキルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリールアミノ基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基などが挙げられ、中でも、水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基が、ラジカル反応性が高いことから好ましい。
ここで、導入し得る置換基としては、式(1’)と同様のものが例示される。
また、Zは、酸素原子、硫黄原子、N(R13)、又は、置換基を有してもよいフェニレン基を表す。
13としては、置換基を有してもよいアルキル基などが挙げられ、中でも、メチル基、エチル基、イソプロピル基がラジカル反応性が高いことから好ましい。
上記の中でも、側鎖に架橋性基を有する(メタ)アクリル酸共重合体及びポリウレタンがより好ましい。
架橋性を有するバインダーポリマーは、例えば、その架橋性官能基にフリーラジカル(重合開始ラジカル又は重合性化合物の重合過程の生長ラジカル)が付加し、ポリマー間で直接に又は重合性化合物の重合連鎖を介して付加重合して、ポリマー分子間に架橋が形成されて硬化する。又は、ポリマー中の原子(例えば、官能性架橋基に隣接する炭素原子上の水素原子)がフリーラジカルにより引き抜かれてポリマーラジカルが生成し、それが互いに結合することによって、ポリマー分子間に架橋が形成されて硬化する。
バインダーポリマー中の架橋性基の含有量(ヨウ素滴定によるラジカル重合可能な不飽和二重結合の含有量)は、バインダーポリマー1g当たり、0.1〜10.0mmolであることが好ましく、1.0〜7.0mmolであることがより好ましく、2.0〜5.5mmolであることがさらに好ましい。
また、平版印刷版原版の製版工程において感光層の非画像部が良好に除去されるよう、用いられるバインダーポリマーは現像処理の態様に対応して適宜選択される。下記に詳細を記す。
(D−1)アルカリ可溶性バインダーポリマー
現像処理がアルカリ現像液を用いて行われる態様においては、バインダーポリマーはアルカリ現像液に溶解する必要があるため、アルカリ水に可溶性である有機高分子重合体が好ましく使用され、pH8〜10のアルカリ水に可溶性である有機高分子重合体がより好ましく使用される。
アルカリ水に可溶性であるために、アルカリ可溶性基を有することが好ましい。アルカリ可溶性は酸基であることが好ましく、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、水酸基などが挙げられる。これらのうち、被膜性・対刷性・現像性の両立という観点から、カルボキシル基を有するバインダーポリマーが特に好ましい。
さらに、アルカリ可溶性バインダーポリマーは、画像部の皮膜強度を向上するために、上記のように架橋性をもたせることができる。バインダーポリマーに架橋性を持たせるためには、エチレン性不飽和結合等の架橋性官能基を高分子の主鎖中又は側鎖中に導入すればよい。架橋性官能基は、共重合により導入してもよいし、高分子反応によって導入してもよい。
アルカリ可溶性バインダーポリマーは、重量平均分子量が5,000以上であることが好ましく、1万〜30万であることがより好ましく、また、数平均分子量が1,000以上であることが好ましく、2,000〜25万であることがより好ましい。多分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は、1.1〜10であることが好ましい。
アルカリ可溶性バインダーポリマーは、ランダムポリマー、ブロックポリマー、グラフトポリマー等のいずれでもよいが、ランダムポリマーであることが好ましい。
アルカリ可溶性バインダーポリマーは、1種単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
アルカリ可溶性バインダーポリマーの含有量は、感光層の全固形分に対して、5〜90重量%であることが好ましく、10〜70重量%であることがより好ましく、10〜60重量%であることがさらに好ましい。上記範囲であると、良好な画像部の強度と画像形成性が得られる。
(D−2)親水性基を有するバインダーポリマー
前記感光層に使用可能なバインダーポリマーとしては、現像液に対する現像性を向上させるために、親水性基を有するバインダーポリマー(親水性基含有バインダーポリマー)を用いてもよい。特に酸性〜弱アルカリ性の現像液を用いる場合には、この親水性基を有するバインダーポリマーが好ましく用いられる。
親水基としては、一価又は二価以上の親水性基から選ばれ、例えば、ヒドロキシ基、スルホン酸基、カルボン酸基、リン酸基、エチレンオキシ基、プロピレンオキシ基等のアルキレンオキシ基、第一級アミノ基、第二級アミノ基、第三級アミノ基、アミノ基を酸で中和した塩、第四級アンモニウム基、スルホニウム基、ヨードニウム基、ホスホニウム基、アミド基、エーテル基、又は、カルボン酸、スルホン酸、リン酸などの酸基を中和した塩が好ましく、特に第一級アミノ基、第二級アミノ基、第三級アミノ基、アミノ基を酸で中和した塩、第四級アンモニウム基、アミド基、ヒドロキシ基、−CH2CH2O−繰り返し単位、又は、−CH2CH2NH−繰り返し単位が好ましく、第三級アミノ基、酸基をアミノ基含有化合物で中和した塩、アミノ基を酸で中和した塩、第四級アンモニウム基が最も好ましい。
親水基含有バインダーポリマーは、共重合体であることが好ましく、共重合体の全共重合成分に占める前記のような親水性基を有する共重合成分の割合は、現像性の観点から、共重合体を構成する全モノマー単位に対して、1〜70%であることが好ましく、現像性と耐刷性との両立を考慮すると、1〜50%であることがより好ましく、1〜30%であることが特に好ましい。
このような親水基含有バインダーポリマーの骨格としては、アクリル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、メタクリル樹脂、スチレン系樹脂及びポリエステル樹脂よりなる群から選ばれた高分子であることが好ましい。中でも、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、スチレン系樹脂等のビニル共重合体、ポリウレタン樹脂が特に好ましい。
親水基含有バインダーポリマーは、前記のような架橋性基を有することが好ましい。
親水基含有バインダーポリマー中の架橋性基の含有量(ヨウ素滴定によるラジカル重合可能な不飽和二重結合の含有量)は、親水基含有バインダーポリマー1g当たり、0.01〜10.0mmolであることが好ましく、0.05〜5.0mmolであることがより好ましく、0.1〜2.0mmolであることがさらに好ましい。
さらに耐刷性向上という観点から、架橋性基は親水性基の近傍にあることが望ましく、親水性基と架橋性基が同一の重合単位上にあってもよい。
親水基含有バインダーポリマーは、前記親水性基を有するユニット、架橋性基を有するユニット、親水性基及び架橋性基を有するユニットの他に、(メタ)アクリル酸アルキル又はアラルキルエステルのユニットを有することが好ましい。(メタ)アクリル酸アルキルエステルのアルキル基は、好ましくは炭素数1〜5のアルキル基であり、メチル基がより好ましい。(メタ)アクリル酸アラルキルエステルとしては、(メタ)アクリル酸ベンジル等が挙げられる。
親水基含有バインダーポリマーは、重量平均分子量が5,000以上であることが好ましく、1万〜30万であることがより好ましく、また、数平均分子量が1,000以上であることが好ましく、2,000〜25万であることがより好ましい。多分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は、1.1〜10であることが好ましい。
親水基含有バインダーポリマーは、ランダムポリマー、ブロックポリマー、グラフトポリマー等のいずれでもよい。
親水基含有バインダーポリマーは、1種単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
親水基含有バインダーポリマーの含有量は、良好な画像部の強度と画像形成性の観点から、感光層の全固形分に対して、5〜75重量%が好ましく、10〜70重量%がより好ましく、10〜60重量%がさらに好ましい。
また、重合性化合物及びバインダーポリマーの合計含有量は、感光層の全固形分に対して、80重量%以下であることが好ましく、35〜75重量%であることがより好ましい。上記範囲であると、感度及び現像性に優れる。
以下に、親水基含有バインダーポリマーを構成する重合単位の具体例、及び、親水基含有バインダーポリマーの具体例を示すが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。なお、下記表中の重量平均分子量(Mw、下記表中では、単に「分子量」とも記載している。)は、ポリスチレンを標準物質としたゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定したものである。また、下記化学式中、TsO-は、p−CH364SO3 -の略記である。
Figure 2010079085
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(増感色素)
感光層には、増感色素を含有させることが好ましい。
増感色素としては、例えば、300〜450nmに極大吸収を有する増感色素や、500〜600nmに極大吸収を有する増感色素、750〜1,400nmに極大吸収を有する赤外線吸収剤を添加することで、各々、当業界で通常用いられている405nmのバイオレットレーザ、532nmのグリーンレーザ、830nmのIRレーザに対応した高感度な平版印刷版を提供することができる。
まず、350〜450nmの波長域に極大吸収を有する増感色素について説明する。
この様な増感色素としては、例えば、メロシアニン色素類、ベンゾピラン類、クマリン類、芳香族ケトン類、アントラセン類等を挙げることができる。
360nm〜450nmの波長域に吸収極大を持つ増感色素のうち、高感度の観点からより好ましい色素は下記式(IX)で表される色素である。
Figure 2010079085
(式(IX)中、Aは置換基を有してもよい芳香族環基又はヘテロ環基を表し、Xは酸素原子、硫黄原子又はN−(R3)を表し、R1、R2及びR3はそれぞれ独立に、一価の非金属原子団を表し、AとR1及びR2とR3とはそれぞれ互いに結合して、脂肪族性又は芳香族性の環を形成してもよい。)
式(IX)についてさらに詳しく説明する。
式(IX)におけるR1、R2及びR3はそれぞれ独立に、一価の非金属原子団であり、置換若しくは非置換のアルキル基、置換若しくは非置換のアルケニル基、置換若しくは非置換のアリール基、置換若しくは非置換の芳香族複素環残基、置換若しくは非置換のアルコキシ基、置換若しくは非置換のアルキルチオ基、ヒドロキシル基、又は、ハロゲン原子であることが好ましい。
次に、式(IX)におけるAについて説明する。
Aは置換基を有してもよい芳香族環基又はヘテロ環基を表し、置換基を有してもよい芳香族環又はヘテロ環の具体例としては、式(IX)中のR1、R2及びR3で記載したものと同様のものが挙げられる。
このような増感色素の具体例としては、特開2007−58170号公報段落0047〜0053に記載の化合物が好ましく用いられる。
さらに、下記式(V)〜(VII)で示される増感色素も用いることができる。
Figure 2010079085
Figure 2010079085
式(V)中、R1〜R14はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、シアノ基又はハロゲン原子を表す。ただし、R1〜R10の少なくとも一つは炭素数2以上のアルコキシ基を表す。
式(VI)中、R15〜R32はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、シアノ基又はハロゲン原子を表す。ただし、R15〜R24の少なくとも一つは炭素数2以上のアルコキシ基を表す。
Figure 2010079085
式(VII)中、R1、R2及びR3はそれぞれ独立に、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、−NR45基又は−OR6基を表し、R4、R5及びR6は各々独立に、水素原子、アルキル基、アリール基又はアラルキル基を表し、k、m及びnはそれぞれ独立に、0〜5の整数を表す。
また、特開2007−171406号公報、特開2007−206216号公報、特開2007−206217号公報、特開2007−225701号公報、特開2007−225702号公報、特開2007−316582号公報、特開2007−328243号公報に記載の増感色素も好ましく用いることができる。
増感色素の好ましい添加量は、感光層の全固形分100重量部に対し、0.05〜30重量部であることが好ましく、0.1〜20重量部であることがより好ましく、0.2〜10重量部であることがさらに好ましい。
続いて、本発明にて好適に用いられる750〜1,400nmに極大吸収を有する増感色素について詳述する。
ここに使用される増感色素は、赤外線レーザの照射(露光)に対し高感度で電子励起状態となり、かかる電子励起状態に係る電子移動、エネルギー移動、発熱(光熱変換機能)などが、感光層中に併存する重合開始剤に作用して、前記重合開始剤に化学変化を生起させてラジカルや酸、塩基等の活性種を生成させるものと推定されている。いずれせよ、750〜1,400nmに極大吸収を有する増感色素を添加することは、750nm〜1,400nmの波長を有する赤外線レーザ光での直接描画される製版に特に好適であり、従来の平版印刷版原版に比べ、高い画像形成性を発現することができる。
赤外線吸収剤は、750nm〜1,400nmの波長に吸収極大を有する染料であることが好ましい。
染料としては、市販の染料、及び、例えば「染料便覧」(有機合成化学協会編集、昭和45年刊)等の文献に記載されている公知のものが利用できる。具体的には、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、ナフトキノン染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン染料、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、金属チオレート錯体等の染料が挙げられる。
これらの染料のうち、シアニン色素、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、ニッケルチオレート錯体、インドレニンシアニン色素が好ましく挙げられ、シアニン色素やインドレニンシアニン色素がより好ましく挙げられ、下記式(a)で表されるシアニン色素が特に好ましく挙げられる。
Figure 2010079085
式(a)中、X1は、水素原子、ハロゲン原子、−NPh2、X2−L1又は以下に示す基を表す。ここで、X2は酸素原子、窒素原子又は硫黄原子を表し、L1は、炭素原子数1〜12の炭化水素基、ヘテロ原子を有する芳香族環、ヘテロ原子を含む炭素原子数1〜12の炭化水素基を表す。なお、ここでヘテロ原子とは、N、S、O、ハロゲン原子、Seを表す。
a -は、後述するZa -と同様に定義され、Raは、水素原子、アルキル基、アリール基、置換又は無置換のアミノ基、及び、ハロゲン原子よりなる群から選択される置換基を表す。
Figure 2010079085
1及びR2はそれぞれ独立に、炭素原子数1〜12の炭化水素基を表す。感光層塗布液の保存安定性から、R1及びR2は、炭素原子数2個以上の炭化水素基であることが好ましく、R1とR2とが互いに結合して5員環又は6員環を形成していることが特に好ましい。
Ar1及びAr2は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を表す。好ましい芳香族炭化水素基としては、ベンゼン環及びナフタレン環が挙げられる。また、好ましい置換基としては、炭素原子数12個以下の炭化水素基、ハロゲン原子、炭素原子数12個以下のアルコキシ基が挙げられる。
1及びY2は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、硫黄原子又は炭素原子数12個以下のジアルキルメチレン基を表す。
3、R4は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい炭素原子数20個以下の炭化水素基を表す。好ましい置換基としては、炭素原子数12個以下のアルコキシ基、カルボキシル基、スルホ基が挙げられる。
5、R6、R7及びR8は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、水素原子又は炭素原子数12個以下の炭化水素基を表す。原料の入手性から、好ましくは水素原子である。
また、Za-は、対アニオンを表す。ただし、式(a)で表されるシアニン色素が、その構造内にアニオン性の置換基を有し、電荷の中和が必要ない場合にはZa-は必要ない。好ましいZa-は、感光層塗布液の保存安定性から、ハロゲンイオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、又は、スルホン酸イオンであり、特に好ましくは、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、又は、アリールスルホン酸イオンである。なお、対イオンとして、ハロゲンイオンを含有してないものが特に好ましい。
顔料としては、市販の顔料、及び、カラーインデックス(C.I.)便覧、「最新顔料便覧」(日本顔料技術協会編、1977年刊)、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)、「印刷インキ技術」CMC出版、1984年刊)に記載されている顔料が利用できる。
顔料の種類としては、黒色顔料、黄色顔料、オレンジ色顔料、褐色顔料、赤色顔料、紫色顔料、青色顔料、緑色顔料、蛍光顔料、金属粉顔料、その他、ポリマー結合色素が挙げられる。具体的には、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、ペリレン及びペリノン系顔料、チオインジゴ系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、染付けレーキ顔料、アジン顔料、ニトロソ顔料、ニトロ顔料、天然顔料、蛍光顔料、無機顔料、カーボンブラック等が使用できる。これらの顔料のうち好ましいものは、カーボンブラックである。
これら顔料は表面処理をせずに用いてもよく、表面処理を施して用いてもよい。表面処理の方法には、樹脂やワックスを表面コートする方法、界面活性剤を付着させる方法、反応性物質(例えば、シランカップリング剤、エポキシ化合物、ポリイソシアネート等)を顔料表面に結合させる方法等が考えられる。上記の表面処理方法は、「金属石鹸の性質と応用」(幸書房)、「印刷インキ技術」(CMC出版、1984年刊)及び「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に記載されている。
顔料の粒径は、0.01μm〜10μmの範囲にあることが好ましく、0.05μm〜1μmの範囲にあることがさらに好ましく、0.1μm〜1μmの範囲にあることが特に好ましい。この好ましい粒径の範囲において、感光層中における顔料の優れた分散安定性が得られ、均一な感光層が得られる。
顔料を分散する方法としては、インク製造やトナー製造等に用いられる公知の分散技術が使用できる。分散機としては、超音波分散器、サンドミル、アトライター、パールミル、スーパーミル、ボールミル、インペラー、デスパーザー、KDミル、コロイドミル、ダイナトロン、3本ロールミル、加圧ニーダー等が挙げられる。詳細は、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に記載されている。
これらの赤外線吸収剤は、他の成分と同一の層に添加してもよいし、別の層を設けそこへ添加してもよい。
これらの赤外線吸収剤の添加量は、感光層中における均一性や感光層の耐久性の観点から、感光層を構成する全固形分に対し、0.01〜50重量%であることが好ましく、好ましくは0.1〜10重量%であることがより好ましく、また、染料の場合は、0.5〜10重量%であることが特に好ましく、顔料の場合は、0.1〜10重量%であることが特に好ましい。
(マイクロカプセル)
本発明においては、上記の感光層構成成分及び後述のその他の構成成分を感光層に含有させる方法として、例えば、特開2001−277740号公報、特開2001−277742号公報に記載のごとく、該構成成分の一部をマイクロカプセルに内包させて感光層に添加することができる。その場合、各構成成分はマイクロカプセル内、及び、外に、任意の比率で含有させることが可能である。
感光層構成成分をマイクロカプセル化する方法としては、公知の方法が適用できる。
例えば、マイクロカプセルの製造方法としては、米国特許第2800457号、同第2800458号明細書に記載されたコアセルベーションを利用した方法、米国特許第3287154号の各明細書、特公昭38−19574号、同42−446号の各公報に記載された界面重合法による方法、米国特許第3418250号、同第3660304号明細書に記載されたポリマーの析出による方法、米国特許第3796669号明細書に記載されたイソシアナートポリオール壁材料を用いる方法、米国特許第3914511号明細書に見られるイソシアナート壁材料を用いる方法、米国特許第4001140号、同第4087376号、同第4089802号の各明細書に記載された尿素−ホルムアルデヒド系又は尿素ホルムアルデヒド−レゾルシノール系壁形成材料を用いる方法、米国特許第4025445号明細書に記載されたメラミン−ホルムアルデヒド樹脂、ヒドロキシセルロース等の壁材を用いる方法、特公昭36−9163号、同51−9079号の各公報に記載されたモノマー重合によるin situ法、英国特許第930422号、米国特許第3111407号明細書に記載されたスプレードライング法、英国特許第952807号、同第967074号の各明細書に記載された電解分散冷却法などがあるが、これらに限定されるものではない。
好ましいマイクロカプセル壁は、3次元架橋を有し、溶剤によって膨潤する性質を有するものである。このような観点から、マイクロカプセルの壁材は、ポリウレア、ポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、又は、これらの混合物が好ましく、ポリウレア又はポリウレタンが特に好ましい。また、マイクロカプセル壁に、上記の非水溶性高分子に導入可能なエチレン性不飽和結合等の架橋性官能基を有する化合物を導入してもよい。
前記マイクロカプセルの平均粒径は、0.01〜3.0μmが好ましく、0.05〜2.0μmがさらに好ましく、0.10〜1.0μmが特に好ましい。上記範囲であると、良好な解像度と経時安定性が得られる。
(着色剤)
感光層には、可視光域に大きな吸収を持つ染料を画像の着色剤として使用することができる。また、着色剤は、前述のように増感色素としての働きを有するものもある。
具体的には、オイルイエロー#101、オイルイエロー#103、オイルピンク#312、オイルグリーンBG、オイルブルーBOS、オイルブルー#603、オイルブラックBY、オイルブラックBS、オイルブラックT−505(以上オリエント化学工業(株)製)、ビクトリアピュアブルー、クリスタルバイオレット(CI42555)、メチルバイオレット(CI42535)、エチルバイオレット、ローダミンB(CI145170B)、マラカイトグリーン(CI42000)、メチレンブルー(CI52015)等、及び、特開昭62−293247号公報に記載されている染料を挙げることができる。
着色剤としては、顔料を用いることも好ましい。
顔料としては、フタロシアニン系顔料、アゾ系顔料、カーボンブラック、酸化チタン等の顔料が好適に用いることができ、フタロシアニン系顔料が最も好ましく用いられる。
これらの着色剤は、画像形成後、画像部と非画像部の区別がつきやすいので、添加する方が好ましい。なお、添加量は、感光層全固形分に対し、0.01〜10重量%の割合が好ましい。
(その他の感光層成分)
前記感光層には、さらに、必要に応じて種々の添加剤を含有させることができる。添加剤としては、現像性の促進及び塗布面状を向上させるための界面活性剤、現像性の向上やマイクロカプセルの分散安定性向上などのための親水性ポリマー、画像部と非画像部を視認するための着色剤や焼き出し剤、感光層の製造中又は保存中のラジカル重合性化合物の不要な熱重合を防止するための重合禁止剤、酸素による重合阻害を防止するための高級脂肪誘導体、画像部の硬化皮膜強度向上のための無機粒子、現像性向上のための親水性低分子化合物、感度向上のための共増感剤や連鎖移動剤、可塑性向上のための可塑剤等を添加することができる。これらの化合物はいずれも公知のものを使用でき、例えば、特開2007−171406号公報、特開2007−206216号公報、特開2007−206217号公報、特開2007−225701号公報、特開2007−225702号公報、特開2007−316582号公報、特開2007−328243号公報に記載の化合物を使用することができる。
連鎖移動剤として作用する化合物としては、例えば、分子内にSH、PH、SiH、GeHを有する化合物群が用いられる。これらの化合物は、低活性のラジカル種に水素供与して、ラジカルを生成するか、又は、酸化された後、脱プロトンすることによりラジカルを生成することができる。
本発明の感光層には、特に、チオール化合物(例えば、2−メルカプトベンズイミダゾール類、2−メルカプトベンズチアゾール類、2−メルカプトベンズオキサゾール類、3−メルカプトトリアゾール類、5−メルカプトテトラゾール類等)を連鎖移動剤として好ましく用いることができる。
中でも、下記式(S)で表されるチオール化合物が特に好適に使用される。連鎖移動剤として式(S)で表されるチオール化合物を用いることによって、感光層から蒸発や他の層への拡散による感度減少を回避し、保存安定性に優れ、さらには高感度で高耐刷の平版印刷版原版が得られる。
Figure 2010079085
式(S)中、Rは置換基を有してもよいアルキル基、又は、置換基を有してもよいアリール基を表し、AはN=C−N部分と共に炭素原子を有する5員環又は6員環のヘテロ環を形成する原子団を表し、Aはさらに置換基を有してもよい。
<感光層の形成>
前記感光層は、必要な前記各成分を溶剤に分散又は溶解して塗布液を調製し、塗布して形成される。
ここで使用する溶剤としては、エチレンジクロリド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジメトキシエタン、乳酸メチル、乳酸エチル、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラメチルウレア、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチルラクトン、トルエン、水等を挙げることができるが、これに限定されるものではない。
これらの溶剤は、単独又は混合して使用される。
塗布液の固形分濃度は、1〜50重量%であることが好ましい。
前記感光層は、同一又は異なる上記各成分を、同一又は異なる溶剤に、分散又は溶かした塗布液を複数調製し、複数回の塗布、乾燥を繰り返して形成することも可能である。
また、塗布、乾燥後に得られる支持体上の感光層塗布量(固形分)は、用途によって異なるが、一般的に0.3〜3.0g/m2が好ましい。上記範囲であると、良好な感度と感光層の良好な皮膜特性が得られる。
塗布する方法としては、種々の方法を用いることができる。例えば、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布、ディップ塗布、エアーナイフ塗布、ブレード塗布、ロール塗布等を挙げられる。
<保護層>
本発明の平版印刷版原版には、露光時の重合反応を妨害する酸素の拡散侵入を遮断するため、感光層上に保護層(酸素遮断層)が設けられることが好ましい。
前記保護層は、25℃、1気圧下における酸素透過性Aが1.0≦A≦20(mL/m2・day)であることが好ましい。酸素透過性Aが1.0(mL/m2・day)以上であると、製造時・生保存時における不要な重合反応を抑制でき、また画像露光時に、不要なカブリ、画線の太りが生じたりという問題を生じることを抑制できる。また、酸素透過性Aが20(mL/m2・day)以下であると、感度に優れる。酸素透過性Aは、1.5≦A≦12(mL/m2・day)であることがより好ましく、2.0≦A≦10.0(mL/m2・day)であることがさらに好ましい。
また、保護層に望まれる特性としては、上記酸素透過性以外に、さらに、露光に用いる光の透過は実質阻害せず、感光層との密着性に優れ、かつ、露光後の現像工程で容易に除去できることが好ましい。この様な保護層に関する工夫が従来なされており、米国特許第3,458,311号明細書、特公昭55−49729号公報に詳しく記載されている。
保護層に使用できる材料としては、例えば、比較的結晶性に優れた水溶性高分子化合物を用いることが好ましく、具体的には、ポリビニルアルコール(PVA)、ビニルアルコール/フタル酸ビニル共重合体、酢酸ビニル/ビニルアルコール/フタル酸ビニル共重合体、酢酸ビニル/クロトン酸共重合体、ポリビニルピロリドン、酸性セルロース類、ゼラチン、アラビアゴム、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミドなどのような水溶性ポリマーが挙げられ、これらは単独又は混合して使用できる。これらのうち、ポリビニルアルコールを主成分として用いることが、酸素遮断性、現像除去性といった基本特性的に最も良好な結果を与えるので好ましい。
保護層に使用するポリビニルアルコールは、必要な酸素遮断性と水溶性を有するための、未置換ビニルアルコール単位を含有する限り、一部がエステル、エーテル、及び、アセタールで置換されていてもよい。また、同様に一部が他の共重合成分を有していてもよい。
ポリビニルアルコールの具体例としては、71〜100モル%加水分解され、重合繰り返し単位が300から2,400の範囲のものを挙げることができる。
具体的には、株式会社クラレ製のPVA−105、PVA−110、PVA−117、PVA−117H、PVA−120、PVA−124、PVA−124H、PVA−CS、PVA−CST、PVA−HC、PVA−203、PVA−204、PVA−205、PVA−210、PVA−217、PVA−220、PVA−224、PVA−217EE、PVA−217E、PVA−220E、PVA−224E、PVA−405、PVA−420、PVA−613、L−8等が挙げられる。これらは単独又は混合して使用できる。好ましい態様としてはポリビニルアルコールの保護層中の含有率が、20〜95重量%であることが好ましく、30〜90重量%であることがより好ましい。
また、公知の変性ポリビニルアルコールも好ましく用いることができる。例えば、カルボキシル基、スルホ基等のアニオンで変性されたアニオン変性部位、アミノ基、アンモニウム基等のカチオンで変性されたカチオン変性部位、シラノール変性部位、チオール変性部位等種々の親水性変性部位をランダムに有す各種重合度のポリビニルアルコール、前記のアニオン変性部位、前記のカチオン変性部位、シラノール変性部位、チオール変性部位、さらにはアルコキシル変性部位、スルフィド変性部位、ビニルアルコールと各種有機酸とのエステル変性部位、前記アニオン変性部位とアルコール類等とのエステル変性部位、エポキシ変性部位等種々の変性部位をポリマー鎖末端に有す各種重合度のポリビニルアルコール等が挙げられる。
ポリビニルアルコールと混合して使用する成分としては、ポリビニルピロリドン又はその変性物が、酸素遮断性、現像除去性といった観点から好ましく、保護層中の含有率が、3.5〜80重量%であることが好ましく、10〜60重量%であることがより好ましく、15〜30重量%であることがさらに好ましい。
保護層の成分(PVAの選択、添加剤の使用)、塗布量等は、酸素遮断性・現像除去性の他、カブリ性や密着性・耐傷性を考慮して選択される。一般には使用するPVAの加水分解率が高い程(保護層中の未置換ビニルアルコール単位含率が高い程)、膜厚が厚い程酸素遮断性が高くなり、感度の点で有利である。
前記ポリビニルアルコール(PVA)等の(共)重合体の分子量は、2,000〜1,000万の範囲のものが好ましく使用でき、2万〜300万の範囲のものがより好ましく使用できる。
保護層の他の組成物として、グリセリン、ジプロピレングリコール等を、(共)重合体に対して、数重量%相当量添加して可撓性を付与することができ、また、アルキル硫酸ナトリウム、アルキルスルホン酸ナトリウム等のアニオン界面活性剤;アルキルアミノカルボン酸塩、アルキルアミノジカルボン酸塩等の両性界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等の非イオン界面活性剤を、(共)重合体に対して、数重量%添加することができる。
また、画像部との密着性や、耐傷性も、版の取り扱い上極めて重要である。すなわち、水溶性ポリマーからなる親水性の層を親油性の感光層に積層すると、接着力不足による膜剥離が発生しやすく、剥離部分が酸素の重合阻害により膜硬化不良などの欠陥を引き起こす。これに対し、これら2層間の接着性を改良すべく種々の提案がなされている。例えば米国特許出願番号第292,501号、米国特許出願番号第44,563号には、主にポリビニルアルコールからなる親水性ポリマー中に、アクリル系エマルジョン又は水不溶性ビニルピロリドン−ビニルアセテート共重合体などを20〜60重量%混合し、感光層の上に積層することにより、十分な接着性が得られることが記載されている。本発明における保護層に対しては、これらの公知の技術をいずれも適用することができる。このような保護層の塗布方法については、例えば、米国特許第3,458,311号明細書、特公昭55−49729号公報に詳しく記載されている。
さらに、平版印刷版原版における保護層には、酸素遮断性や感光層表面保護性を向上させる目的で、無機質の層状化合物を含有させることも好ましい。
ここで無機質の層状化合物とは、薄い平板状の形状を有する粒子であり、例えば、下記式
A(B,C)2-5410(OH,F,O)2
(式中、AはK、Na、Caのいずれかを表し、B及びCはFe(II)、Fe(III)、Mn、Al、Mg、Vのいずれかを表し、DはSi又はAlを表す。)
で表される天然雲母、合成雲母等の雲母群、3MgO・4SiO・H2Oで表されるタルク、テニオライト、モンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライト、りん酸ジルコニウムなどが挙げられる。
本発明においては、前記無機質の層状化合物の中でも、合成の無機質の層状化合物であるフッ素系の膨潤性合成雲母が特に有用である。
無機質の層状化合物のアスペクト比は、20以上であることが好ましく、100以上であることがより好ましく、200以上であることがさらに好ましい。なお、アスペクト比は粒子の長径に対する厚さの比であり、例えば、粒子の顕微鏡写真による投影図から測定することができる。アスペクト比が大きい程、得られる効果が大きい。
無機質の層状化合物の粒子径は、その平均長径が、0.3〜20μmであることが好ましく、0.5〜10μmであることがより好ましく、1〜5μmであることがさらに好ましい。また、前記粒子の平均の厚さは、0.1μm以下であることが好ましく、0.05μm以下であることがより好ましく、0.01μm以下であることがさらに好ましい。例えば、無機質の層状化合物のうち、代表的化合物である膨潤性合成雲母のサイズは、厚さが1〜50nm、面サイズが1〜20μm程度である。
このようにアスペクト比が大きい無機質の層状化合物の粒子を保護層に含有させると、塗膜強度が向上し、また、酸素や水分の透過を効果的に防止することができるため、変形などによる保護層の劣化を防止し、高湿条件下において長期間保存しても、湿度の変化による平版印刷版原版における画像形成性の低下もなく保存安定性に優れる。
保護層中の無機質層状化合物の含有量は、保護層に使用されるバインダーの量に対し、重量比で5/1〜1/100であることが好ましい。複数種の無機質の層状化合物を併用した場合でも、これら無機質の層状化合物の合計量が上記の重量比であることが好ましい。
保護層に用いる無機質層状化合物の分散方法は、特開2007−171406号公報、特開2007−206216号公報、特開2007−206217号公報、特開2007−225701号公報、特開2007−225702号公報、特開2007−316582号公報、特開2007−328243号公報等に記載の方法が用いられる。
保護層の塗布量としては、乾燥後の塗布量で、0.05〜10g/m2の範囲であることが好ましく、無機質の層状化合物を含有する場合には、0.1〜0.5g/m2の範囲であることがさらに好ましく、無機質の層状化合物を含有しない場合には、0.5〜5g/m2の範囲であることがさらに好ましい。
<下塗り層>
本発明の平版印刷版原版においては、支持体上に重合性基を含有する化合物の下塗り層を設けることが好ましい。下塗り層が用いられるときは、感光層は下塗り層の上に設けられる。下塗り層は、露光部においては支持体と感光層との密着性を強化し、また、未露光部においては、感光層の支持体からの剥離を生じやすくさせるため、現像性が向上する。
下塗り層としては、具体的には、特開平10−282679号公報に記載されている付加重合可能なエチレン性二重結合反応基を有しているシランカップリング剤、特開平2−304441号公報記載のエチレン性二重結合反応基を有しているリン化合物などが好適に挙げられる。特に好ましい化合物として、メタクリル基、アリル基などの重合性基とスルホン酸基、リン酸基、リン酸エステルなどの支持体吸着性基を有する化合物が挙げられる。重合性基と支持体吸着性基に加えてエチレンオキシド基などの親水性付与基を有する化合物も好適な化合物として挙げることができる。
下塗り層の塗布量(固形分)は、0.1〜100mg/m2であることが好ましく、1〜30mg/m2であることがより好ましい。
<バックコート層>
支持体に表面処理を施した後又は下塗り層を形成させた後、必要に応じて、支持体の裏面にバックコート層を設けることができる。
バックコート層としては、例えば、特開平5−45885号公報に記載されている有機高分子化合物、特開平6−35174号公報に記載されている有機金属化合物又は無機金属化合物を加水分解及び重縮合させて得られる金属酸化物からなる被覆層が好適に挙げられる。中でも、Si(OCH34、Si(OC254、Si(OC374、Si(OC494等のケイ素のアルコキシ化合物を用いることが、原料が安価で入手しやすい点で好ましい。
〔平版印刷版の製造方法〕
本発明の平版印刷版の製造方法は、支持体上に、本発明の平版印刷版原版を画像露光する露光工程、及び、pH2〜10の現像液の存在下で非露光部の感光層を除去する現像工程を含むことを特徴とする。なお、「本発明の平版印刷版の製造方法」は、「本発明の平版印刷版の製版方法」と言ってもよい。
また、本発明の平版印刷版は、本発明の平版印刷版の製造方法により製造されたものである。
本発明の平版印刷版の製造方法は、前記現像工程が、非露光部の感光層の除去及びガム引き処理を1液で行う工程であることが好ましい。
また、使用する平版印刷版が保護層を有する場合は、前記現像工程が、保護層の除去、非露光部の感光層の除去及びガム引き処理を1液で行う工程であることが好ましい。
さらに、本発明の平版印刷版の製造方法は、前記現像工程の前及び後のいずれにも水洗工程を施さないことが好ましい。
本発明の平版印刷版の製造方法は、上記のように、本発明の平版印刷版原版を画像露光して現像処理を行うことで平版印刷版を製造する方法である。
従来の現像処理としては、(1)アルカリ現像液(pHが10より大きい)にて現像する方法、(2)印刷機上で、湿し水及び/又はインキを加えながら現像する方法(機上現像)が挙げられる。
一方、本発明においては、pHが2〜10の現像液にて現像する方法が用いられる。
本発明の平版印刷版の製造方法は、平版印刷版原版を、pH2〜10の現像液にて保護層及び非露光部の感光層を一括除去した後、直ちに印刷機にセットして印刷することも可能である。
一方、前記(1)アルカリ現像液を用いた通常の現像工程においては、前水洗工程により保護層を除去し、次いでアルカリ現像を行い、後水洗工程でアルカリを除去し、ガム引き工程でガム処理を行い、乾燥工程で乾燥するという複数の工程が必要になる。
また、本発明においては、現像液中に水溶性高分子化合物を含有することが好ましく、現像−ガム引きを同時に行うことがより好ましい。
本発明の平版印刷版の製造方法では、後水洗工程は特に必要とせず、一液で現像とガム引きとを行ったのち、乾燥工程を行うことが好ましい。さらに、前水洗工程も特に必要とせず、保護層の除去も現像、ガム引きと同時に行うことが好ましい。また、現像及びガム引きの後に、スクイズローラーを用いて余剰の現像液を除去した後、乾燥を行うことが好ましい。本発明における平版印刷版原版の現像は、常法に従って、好ましくは0〜60℃、より好ましくは15〜40℃程度の温度で、例えば、露光処理した感光性平版印刷版原版を現像液に浸漬してブラシで擦る方法、スプレーにより現像液を吹き付けてブラシで擦る方法等により行うことができる。
また、このような自動現像機での処理は、機上現像の場合に生ずる保護層/感光層に由来の現像カスへの対応から開放されるという優位性がある。
pH2〜10の現像液による現像処理は、現像液の供給手段及び擦り部材を備えた自動処理機により好適に実施することが好ましい。
自動処理機としては、例えば、画像記録後の平版印刷版原版を搬送しながら擦り処理を行う、特開平2−220061号、特開昭60−59351号各公報に記載の自動処理機や、シリンダー上にセットされた画像記録後の平版印刷版原版をシリンダーを回転させながら擦り処理を行う、米国特許第5148746号、同5568768号、英国特許第2297719号に記載の自動処理機等が挙げられる。中でも、擦り部材として、回転ブラシロールを用いる自動処理機が特に好ましい。
回転ブラシロールは、画像部の傷つき難さ、さらには、平版印刷版原版における支持体の腰の強さ等を考慮して適宜選択することができる。
回転ブラシロールとしては、ブラシ素材をプラスチック又は金属のロールに植え付けて形成された公知のものが使用できる。例えば、特開昭58−159533号公報や、特開平3−100554号公報記載のものや、実公昭62−167253号公報に記載されているような、ブラシ素材を列状に植え込んだ金属又はプラスチックの溝型材を芯となるプラスチック又は金属のロールに隙間なく放射状に巻き付けたブラシロールが使用できる。
また、ブラシ素材としては、プラスチック繊維(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系、ナイロン6.6、ナイロン6.10等のポリアミド系、ポリアクリロニトリル、ポリ(メタ)アクリル酸アルキル等のポリアクリル系、及び、ポリプロピレン、ポリスチレン等のポリオレフィン系の合成繊維)を使用することができ、例えば、繊維の毛の直径は、20〜400μm、毛の長さは、5〜30mmのものが好適に使用できる。
さらに、回転ブラシロールの外径は、30〜200mmが好ましく、版面を擦るブラシの先端の周速は、0.1〜5m/secが好ましい。
また、回転ブラシロールは、2本以上の複数本用いることが好ましい。
回転ブラシロールの回転方向は、平版印刷版原版の搬送方向に対し、同一方向であっても、逆方向であってもよいが、図1に例示した自動処理機のように、2本以上の回転ブラシロールを使用する場合は、少なくとも1本の回転ブラシロールが、同一方向に回転し、少なくとも1本の回転ブラシロールが、逆方向に回転することが好ましい。これにより、非画像部の感熱層の除去が、さらに確実となる。さらに、回転ブラシロールを、ブラシロールの回転軸方向に揺動させることも効果的である。
前記現像工程において、非露光部の感光層の除去、すなわち現像に使用する際の本発明の現像液の温度は、任意の温度で使用できるが、10℃〜50℃であることが好ましい。
現像工程が行われた後、自然乾燥にて現像液を乾燥させてもよいが、温風などによる乾燥工程を設けることが好ましい。
なお、本発明において、擦り処理後の平版印刷版を、引き続いて、水洗、乾燥処理、不感脂化処理することも任意に可能である。不感脂化処理では、公知の不感脂化液を用いることができる。
その他、本発明の平版印刷版の製造方法としては、必要に応じ、露光前、露光中、露光から現像までの間に、全面を加熱してもよい。この様な加熱により、該感光層中の画像形成反応が促進され、感度や耐刷性の向上や感度の安定化といった利点が生じ得る。さらに、画像強度・耐刷性の向上を目的として、現像後の画像に対し、全面後加熱又は全面露光を行うことも有効である。通常現像前の加熱は150℃以下の穏和な条件で行うことが好ましい。温度が上記範囲であると、非画像部迄がかぶってしまう等の問題を生じることを抑制できる。現像後の加熱には、非常に強い条件を利用する。現像後の加熱温度としては、100〜500℃の範囲であることが好ましい。上記範囲であると、十分な画像強化作用が得られ、また、支持体の劣化、画像部の熱分解といった問題を生じることが抑制できる。
前記現像工程に先立って、平版印刷版原版は、線画像、網点画像等を有する透明原画を通してレーザー露光するか、デジタルデータによるレーザー光走査等で画像様に露光される。中でも、レーザーで露光することが好ましい。
好ましい光源の波長は、350nm〜450nm又は700nm〜1,200nmの波長が好ましく用いられる。350nm〜450nmの場合は、この領域に吸収極大を有する増感色素を感光層に有する平版印刷版原版が用いられ、700nm〜1,200nmの場合は、この領域に吸収を有する増感色素である赤外線吸収剤を含有する平版印刷版原版が用いられる。
350nm〜450nmの光源としては、半導体レーザーが好適である。
700nm〜1,200nmの光源としては、赤外線を放射する固体レーザー及び半導体レーザーが好適である。
露光機構は、内面ドラム方式、外面ドラム方式、フラットベッド方式等のいずれでもよい。
以下、実施例によって本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<中間体Aの合成>
Figure 2010079085
1L三口フラスコに2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸エチル130.14g(1.0mol)、テトラヒドロフラン100ml、ジラウリン酸ジn−ブチルスズ0.632g(0.001mmol)を添加し、撹拌しているところへ、トリメチルヘキサメチレンジイソシアナート(2,2,4−と2,4,4−の混合物)105.14g(0.5mol)を1時間かけて滴下した。滴下終了後、50℃で2時間撹拌した。その後、室温まで放冷し、溶媒を減圧留去して上記に示す中間体Aを230.57g得た(収率98%)。
<中間体Bの合成>
Figure 2010079085
2L三口フラスコに中間体A141.17g(0.3mol)、アセトン500ml、5mol/l水酸化ナトリウム水溶液120ml(0.6mol)を添加し、3時間撹拌した。その後、反応溶液に濃塩酸65mlを添加し、酢酸エチル1Lを用いて抽出を行った。その後、酢酸エチル層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液と飽和塩化ナトリウム水溶液とを用いて洗浄し、硫酸ナトリウムを添加して脱水を行った後、濾過して溶媒を減圧留去して、中間体Bを103.20g得た(収率83%)。
<A−45の合成>
Figure 2010079085
三口フラスコに中間体B41.46g(0.1mol)、N,N−ジメチルアセトアミド100mlを添加し、撹拌しながら0℃に冷却したところへ塩化チオニル23.79g(0.2mol)を30分かけて滴下した。滴下終了後、さらに室温で2時間撹拌した。その後、再び反応溶液を0℃に冷却し、28%アンモニウム水溶液14.60g(0.24mol)を30分かけて滴下した。滴下終了後、さらに室温で1時間撹拌した。その後、反応溶液に酢酸エチル500ml、蒸留水500mlを添加して分液作業を行った。酢酸エチル層をさらに蒸留水500mlで3回洗浄し、硫酸ナトリウムを添加して脱水を行った後、濾過して溶媒を減圧留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製を行い、A−45を29.29g得た(収率71%)。
(実施例1〜12、及び、比較例1〜3)
〔支持体の作製〕
厚み0.3mmのアルミニウム板(材質1050)の表面の圧延油を除去するため、10質量%アルミン酸ソーダ水溶液を用いて50℃で30秒間、脱脂処理を施した後、毛径0.3mmの束植ナイロンブラシ3本とメジアン径25μmのパミス−水懸濁液(比重1.1g/cm3)を用いアルミニウム表面を砂目立てして、水でよく洗浄した。この板を45℃の25重量%水酸化ナトリウム水溶液に9秒間浸漬してエッチングを行い、水洗後、さらに60℃で20重量%硝酸水溶液に20秒間浸漬し、水洗した。この時の砂目立て表面のエッチング量は約3g/m2であった。
次に、60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。このときの電解液は、硝酸1重量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5重量%含む)、液温50℃であった。交流電源波形は、電流値がゼロからピークに達するまでの時間TPが0.8msec、duty比1:1、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的な粗面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。電流密度は電流のピーク値で30A/dm2、補助陽極には電源から流れる電流の5%を分流させた。
硝酸電解における電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量175C/dm2であった。その後、スプレーによる水洗を行った。
次に、塩酸0.5重量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5重量%含む)、液温50℃の電解液にて、アルミニウム板が陽極時の電気量50C/dm2の条件で、硝酸電解と同様の方法で、電気化学的な粗面化処理を行い、その後、スプレーによる水洗を行った。この板を15質量%硫酸水溶液(アルミニウムイオンを0.5重量%含む)を電解液として電流密度15A/dm2で2.5g/m2の直流陽極酸化皮膜を設けた後、水洗、乾燥し、支持体を得た。
このようにして得られた支持体表面の中心線平均粗さRa(JIS B0601)を直径2μmの針を用いて測定したところ、0.51μmであった。
〔中間層の形成〕
前記支持体上に、下記組成の中間層塗布液(1)をバー塗布した後、80℃、10秒オーブン乾燥し、乾燥塗布量が10mg/m2の中間層を形成した。
<中間層塗布液(1)>
・下記下塗りポリマー(A−1) 0.017重量部
・メタノール 9.00重量部
・水 1.00重量部
下記下塗りポリマー(A−1)の組成比(モル%)は、左のモノマー単位から5/15/80であり、重量平均分子量は8万である。
Figure 2010079085
〔平版印刷版原版1〜12、及び、比較用平版印刷版原版1〜3の作製〕
<感光層及び保護層の形成>
上記中間層上に、下記組成の感光層塗布液(1)をバー塗布した後、70℃、60秒でオーブン乾燥し、乾燥塗布量1.1g/m2の感光層を形成し、この上に下記組成の保護層塗布液(1)を、乾燥塗布量が0.75g/m2となるようにバーを用いて塗布した後、125℃、70秒間乾燥して保護層を形成し、平版印刷版原版1を得た。
また、使用する素材を下記表1に記載するものに変更した以外は、感光層塗布液(1)と同様にして、感光層塗布液(2)〜(12)、及び、比較用感光層塗布液(1)〜(3)を作製し、平版印刷版原版2〜12、及び、比較用平版印刷版原版1〜3を得た。ただし、感光層塗布液の(A)成分を変更する場合、その添加量は、表1に記載の(A)成分と(C)成分との重量比〔(A)/(C)〕になるように添加量を調整した。
<感光層塗布液(1)>
・下記バインダーポリマー(1) 0.48重量部
(平均分子量8万、酸価0meq/g)
・重合性化合物(A−9)〔(A)成分〕 0.54重量部
・下記重合性化合物(1)〔(C)成分〕 0.54重量部
・下記増感色素(1) 0.06重量部
・下記重合開始剤(1) 0.08重量部
・下記共増感剤(1) 0.07重量部
・ε−フタロシアニン顔料の分散物 0.40重量部
(顔料:15重量部、分散剤 バインダーポリマー(1):10重量部、溶剤:シクロヘキサノン/メトキシプロピルアセテート/1−メトキシ−2−プロパノール=15重量部/20重量部/40重量部)
・熱重合禁止剤 0.01重量部
(N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩)
・下記フッ素系界面活性剤(1) 0.001重量部
・ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン縮合物 0.04重量部
(旭電化工業(株)製、プルロニックL44)
・テトラエチルアミン塩酸塩 0.01重量部
・1−メトキシ−2−プロパノール 3.5重量部
・メチルエチルケトン 8.0重量部
Figure 2010079085
Figure 2010079085
Figure 2010079085
<保護層塗布液(1)>
・ポリビニルアルコール 40重量部
(PVA−105、(株)クラレ製、ケン化度98モル%、重合度500)
・ポリビニルピロリドン(分子量5万) 5重量部
・ポリ(ビニルピロリドン/酢酸ビニル(1/1))(分子量7万) 0.5重量部
・界面活性剤(エマレックス710、日本エマルジョン(株)製) 0.5重量部
・水 950重量部
〔露光、現像及び印刷〕
前記平版印刷版原版1〜12、及び、比較用平版印刷版原版1〜3について、FUJIFILM Electronic Imaging Ltd.製Violet半導体レーザープレートセッターVx9600(InGaN系半導体レーザー、405nm±10nm発光/出力30mWを搭載)により、それぞれ画像露光した。画像は、解像度2,438dpiで、富士フイルム(株)製FMスクリーン(TAFFETA 20)を用い、50%の平網を版面露光量0.05mJ/cm2で描画した。
その後、下記組成の現像液1を用い、図1に示す構造の自動現像処理機にて、現像処理を実施し平版印刷版(加熱なし)を作製した。現像液のpHは4.6であった。自動現像処理機は、回転ブラシロールを2本有する自動処理機であり、回転ブラシロールとしては、1本目のブラシロールに、ポリブチレンテレフタレート製の繊維(毛の直径200μm、毛の長さ17mm)を植え込んだ外径90mmのブラシロールを用い、搬送方向と同一方向に毎分200回転(ブラシの先端の周速0.94m/sec)させ、2本目のブラシロールには、ポリブチレンテレフタレート製の繊維(毛の直径200μm、毛の長さ17mm)を植え込んだ外径60mmのブラシロールを用い、搬送方向と反対方向に毎分200回転(ブラシの先端の周速0.63m/sec)させた。平版印刷版原版の搬送は、搬送速度を種々変化させて実施した。
現像液は、循環ポンプによりスプレーパイプからシャワーリングして、版面に供給した。現像液のタンク容量は、10リットルであった。
<現像液1(pH=4.6)>
・水 100.00重量部
・ベンジルアルコール 1.00重量部
・ポリオキシエチレンナフチルエーテル 1.00重量部
(オキシエチレン平均数n=13)
・ジオクチルスルホコハク酸エステルのナトリウム塩 0.50重量部
・アラビアガム(Mw=25万) 1.00重量部
・エチレングリコール 0.50重量部
・第一リン酸アンモニウム 0.05重量部
・クエン酸 0.05重量部
・エチレンジアミンテトラアセテート四ナトリウム塩 0.05重量部
次いで、平版印刷版を、ハイデルベルグ社製印刷機SOR−Mに取り付け、湿し水(EU−3(富士フイルム(株)製エッチ液)/水/イソプロピルアルコール=1/89/10(容量比))とTRANS−G(N)墨インキ(大日本インキ化学工業(株)製)とを用い、毎時6,000枚の印刷速度で印刷を行った。
〔評価〕
耐刷性、耐汚れ性及び経時後の耐汚れ性を下記のように評価した。結果を表1に示す。
<耐刷性>
上記の印刷を行い、印刷枚数が増加すると、徐々に感光層が磨耗しインキ受容性が低下するため、印刷物におけるインキ濃度が低下した。同一露光量(エネルギー密度)で露光した印刷版において、インキ濃度(反射濃度)が印刷開始時よりも0.1低下したときの印刷枚数により耐刷性を相対評価した。すなわち、比較例1を基準(100)とし、以下の式に従い計算した。数字が大きいことは耐刷性が高いことを表している。
耐刷性=(対象平版印刷版の耐刷枚数)/(基準平版印刷版の耐刷枚数)×100
<耐汚れ性>
印刷開始後500枚目の印刷物を抜き取り、非画像部に付着しているインキ濃度により耐汚れ性を相対評価した。すなわち、比較例1を基準(100)とし、以下の式に従い計算した。この値が大きいことは、非画像部に付着しているインキ濃度が低いこと、すなわち、耐汚れ性が良好であることを表す。
耐汚れ性=(基準平版印刷版使用印刷物の非画像部インキ濃度)/(対象平版印刷版使用印刷物の非画像部インキ濃度)×100
<経時後の耐汚れ性>
上記平版印刷版原版を60℃で3日間保管し、その後上記と同様に、露光、現像、印刷を行い、耐汚れ性評価を行った。ただし、比較例1(経時なし)の耐汚れ性を基準(100)とした。この値が大きいことは、経時後の耐汚れ性が良好であることを表す。
<現像速度>
得られた平版印刷版原版を上記の現像条件において、平版印刷版原版の非画像部を完全に除去するために必要な搬送速度により現像速度を相対評価した。すなわち、比較例1を基準(100)とし、以下の式に従い計算した。この値が大きいことは、現像速度が速いことを表す。
現像速度=(対象平版印刷版原版の非画像部除去に必要な搬送速度)/(基準平版印刷版原版の非画像部除去に必要な搬送速度)×100
実施例1〜12、及び、比較例1〜3の評価結果を表1に示す。
(実施例13〜24、及び、比較例4〜6)
〔露光、現像及び印刷〕
前記平版印刷版原版1〜12、及び、比較用平版印刷版原版1〜3について、上記と同様に画像露光を行った。
画像露光後、30秒以内に平版印刷版原版をオーブンに入れ、熱風を吹き付けて平版印刷版原版の全面を加熱し、110℃で15秒間保持した。
その後、30秒以内に上記と同様に現像処理を行った。
その後、上記と同様にして耐刷性、耐汚れ性、経時後の耐汚れ性の評価を行い、実施例13〜24、及び、比較例4〜6とした。
実施例13〜24、及び、比較例4〜6の評価結果を表1に示す。
Figure 2010079085
表1に記載の素材のうち、前記において示した以外のものを以下に示す。
・バインダーポリマー(2)
ポリビニルアルコール(分子量:5万、けん化度:55%)
・バインダーポリマー(3)
ポリビニルブチラール(分子量:8万、ブチラール比:65モル%、アセテート比:<1モル%)
・バインダーポリマー(4):下記P−20
Figure 2010079085
・バインダーポリマー(5):下記PA−11
なお、TsO-は、p−CH364SO3 -を表す。
Figure 2010079085
・重合性化合物(2)
イソシアヌール酸エチレンオキサイド(EO)変性トリアクリレート(アロニックスM−315、東亞合成(株)製)
・重合性化合物(3):下記化合物
Figure 2010079085
・重合性化合物(4)
トリアリルイソシアヌレート(TAIC、日本化成(株)製)
・増感色素(2):下記化合物
Figure 2010079085
・増感色素(3):下記化合物
Figure 2010079085
・重合開始剤(2):下記化合物
Figure 2010079085
・共増感剤(2):下記化合物
Figure 2010079085
・共増感剤(3):下記化合物
Figure 2010079085
・共増感剤(4):下記化合物
Figure 2010079085
(実施例25〜29、及び、比較例7)
〔平版印刷版原版13〜17、及び、比較用平版印刷版原版4の作製〕
感光層塗布液(1)を下記に示す感光層塗布液(13)に変更した以外は、平版印刷版原版1の場合と同様にして、平版印刷版13を作製した。
使用する素材を下記表2に記載するものに変更した以外は、感光層塗布液(13)と同様にして、感光層塗布液(14)〜(17)、及び、比較用感光層塗布液(4)を作製し、平版印刷版原版14〜17、及び、比較用平版印刷版原版4を得た。ただし、感光層塗布液の(A)成分を変更する場合、その添加量は、表2に記載の(A)成分と(C)成分との重量比〔(A)/(C)〕になるように添加量を調整した。
<感光層塗布液(13)>
・下記バインダーポリマー(6) 0.48重量部
・重合性化合物(A−9)〔(A)成分〕 0.54重量部
・上記重合性化合物(1)〔(C)成分〕 0.54重量部
・上記増感色素(1) 0.06重量部
・上記重合開始剤(1) 0.08重量部
・上記共増感剤(1) 0.07重量部
・ε−フタロシアニン顔料の分散物 0.40重量部
(顔料:15重量部、分散剤 バインダーポリマー(1):10重量部、溶剤:シクロヘキサノン/メトキシプロピルアセテート/1−メトキシ−2−プロパノール=15重量部/20重量部/40重量部)
・熱重合禁止剤 0.01重量部
(N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩)
・上記フッ素系界面活性剤(1) 0.001重量部
・ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン縮合物 0.04重量部
(旭電化工業(株)製、プルロニックL44)
・テトラエチルアミン塩酸塩 0.01重量部
・1−メトキシ−2−プロパノール 3.5重量部
・メチルエチルケトン 8.0重量部
〔露光、現像及び印刷〕
前記平版印刷版原版13〜17、及び、比較用平版印刷版原版4について、上記と同様に画像露光を行った。
画像露光後、30秒以内に平版印刷版原版をオーブンに入れ、熱風を吹き付けて平版印刷版原版の全面を加熱し、110℃で15秒間保持した。
その後、30秒以内に上記と同様に現像処理を行った。ただし、現像液は下記現像液2を使用した。現像液のpHは9.7であった。
その後、上記と同様にして耐刷性、耐汚れ性、経時後の耐汚れ性の評価を行い、実施例25〜29及び比較例7とした。ただし、現像液は下記現像液2を使用した。
ただし、耐刷性、耐汚れ性、経時後の耐汚れ性、現像速度は比較例7を基準(100)とした。
<現像液2(pH:9.7)>
・水 8329.8重量部
・炭酸ナトリウム 130重量部
・炭酸水素ナトリウム 70重量部
・ニューコールB13 500重量部
(日本乳化剤(株)製、ポリオキシエチレンナフチルエーテル(オキシエチレン平均数n=13))
・アラビアガム 250重量部
・ヒドロキシアルキル化澱粉 700重量部
(日澱化学(株)製、ベノンJE66)
・第一リン酸アンモニウム 20重量部
・2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール 0.1重量部
・2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン 0.1重量部
実施例25〜29、及び、比較例7の評価結果を表2に示す。
Figure 2010079085
表2に記載の素材のうち、前記において示した以外のものを以下に示す。
・バインダーポリマー(6)
メタクリル酸/メタクリル酸メチル共重合体(分子量:4万、モル比:30/70)
・バインダーポリマー(7)
アクリル酸/メタクリル酸ベンジル共重合体(分子量:5万、モル比:25/75)
・バインダーポリマー(8):下記に示すポリマー
Figure 2010079085
(実施例30〜39、並びに、比較例8及び9)
〔平版印刷版原版18〜27、並びに、比較用平版印刷版原版5及び6の作製〕
前記感光層塗布液(1)を下記感光層塗布液(18)に変更した以外は、平版印刷版原版1の作製と同様にして、中間層及び感光層を作製し、その後下記保護層塗布液(2)を、乾燥塗布量が1.2g/m2となるようにバーを用いて塗布した後、125℃、70秒で間乾燥して保護層を形成し、平版印刷版原版18を得た。
使用する素材を下記表3又は表4に記載するものに変更した以外は、感光層塗布液(18)と同様にして、感光層塗布液(19)〜(27)、並びに、比較用感光層塗布液(5)及び(6)を作製し、平版印刷版原版19〜27、並びに、比較用平版印刷版原版5及び6を得た。ただし、感光層塗布液の(A)成分を変更する場合、その添加量は、表3に記載の(A)成分と(C)成分との重量比〔(A)/(C)〕になるように添加量を調整した。
<感光層塗布液(18)>
・下記バインダーポリマー(8) 0.623重量部
・下記重合開始剤(4) 0.155重量部
・重合性化合物(A−16)〔(A)成分〕 0.428重量部
・下記重合性化合物(5)〔(C)成分〕 0.428重量部
・下記増感色素(6) 0.038重量部
・銅フタロシアニン顔料分散物 0.159重量部
・共増感剤A:前記共増感剤(1) 0.015重量部
・共増感剤B:下記共増感剤(5) 0.081重量部
・熱重合禁止剤 0.0012重量部
(N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩)
・フッ素系界面活性剤 0.0081重量部
(メガファックF−176、大日本インキ化学工業(株)製)
・メチルエチルケトン 5.856重量部
・メタノール 2.733重量部
・1−メトキシ−2−プロパノール 5.886重量部
Figure 2010079085
Figure 2010079085
Figure 2010079085
Figure 2010079085
Figure 2010079085
<保護層塗布液(2)>
・下記雲母分散液(1) 13.00重量部
・ポリビニルアルコール(けん化度98モル%、重合度500) 1.30重量部
・2−エチルヘキシルスルホコハク酸ソーダ 0.20重量部
・ポリ(ビニルピロリドン/酢酸ビニル(1/1))(分子量7万)
0.050重量部
・界面活性剤(エマレックス710;日本エマルジョン(株)製) 0.050重量部
・水 133.00重量部
<雲母分散液(1)>
水368重量部に合成雲母(ソマシフME−100:コープケミカル(株)製、アスペクト比:1,000以上)32重量部を添加し、ホモジナイザーを用いて平均粒径(レーザー散乱法)0.5μmになるまで分散し、雲母分散液(1)を得た。
〔露光、現像及び印刷〕
上記平版印刷版原版18〜22、及び、比較用平版印刷版原版5について、水冷式40W赤外線半導体レーザー搭載のCreo社製Trendsetter3244VXにて、出力9W、外面ドラム回転数210rpm、解像度2,400dpiの条件で露光した。
画像露光後、現像液1を下記現像液3に変更した以外は、実施例1と同様にして現像処理を実施し、平版印刷版を作製した。
〔評価〕
得られた平版印刷版を、実施例1と同様にして、耐刷性、耐汚れ性及び経時後の耐汚れ性の評価を行い、実施例30〜34、及び、比較例8とした。ただし、現像液は下記現像液3を使用した。
ただし、耐刷性、耐汚れ性、経時後の耐汚れ性、現像速度は比較例8を基準(100)とした。
<現像液3(pH:5.0)>
・水 100.00重量部
・N−ラウリルジメチルベタイン 10.00重量部
(竹本油脂(株)製、パイオニンC157K)
・ポリスチレンスルホン酸(Mw=2万) 1.00重量部
・第一リン酸アンモニウム 0.05重量部
・クエン酸 0.05重量部
・エチレンジアミンテトラアセテート四ナトリウム塩 0.05重量部
なお、現像液3は、リン酸を用いてpHを5.0に調整した。
実施例30〜34、及び、比較例8の評価結果を表3に示す。
Figure 2010079085
表3に記載の素材のうち、前記において示した以外のものを以下に示す。
Figure 2010079085
Figure 2010079085
・重合性化合物(6)
ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(サートマー社製SR−399)
Figure 2010079085
Figure 2010079085
Figure 2010079085
Figure 2010079085
Figure 2010079085
(なお、Etはエチル基を表す。)
Figure 2010079085
〔露光、現像及び印刷〕
前記平版印刷版原版23〜27、及び、比較用平版印刷版原版6について、実施例30〜34、及び、比較例8と同様に画像露光を行った。
画像露光後、現像液3を下記現像液4に変更した以外は、実施例30〜34、及び、比較例8と同様にして現像処理を実施し、平版印刷版を作製した。
〔評価〕
得られた平版印刷版を、実施例1と同様にして、耐刷性、耐汚れ性及び経時後の耐汚れ性の評価を行い、実施例35〜39、及び。比較例9とした。ただし、現像液は下記現像液4を使用した。
ただし、耐刷性、耐汚れ性、経時後の耐汚れ性、現像速度は比較例9を基準(100)とした。
<現像液4(pH:9.7)>
・水 8260重量部
・炭酸カリウム 150重量部
・炭酸水素カリウム 80重量部
・エレミノールMON(100%換算) 350重量部
(三洋化成工業(株)製、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5%水溶液)
・黄色デキストリン 800重量部
(日澱化学(株)製、赤玉デキストリン102)
・第一リン酸アンモニウム 180重量部
・ヘキサメタリン酸ソーダ 180重量部
実施例35〜39、及び、比較例9の評価結果を表4に示す。
Figure 2010079085
自動現像処理機の構造を示す説明図である。
符号の説明
61 回転ブラシロール
62 受けロール
63 搬送ロール
64 搬送ガイド板
65 スプレーパイプ
66 管路
67 フィルター
68 給版台
69 排版台
70 現像液タンク
71 循環ポンプ
72 版

Claims (10)

  1. 支持体上に、(A)式(I)、式(II)又は式(III)で表される基を少なくとも1つ有する化合物、(B)重合開始剤、(C)前記(A)成分以外の重合性化合物、及び、(D)バインダーポリマーを含有する感光層を有し、
    前記感光層における前記(A)成分と前記(C)成分との重量比〔(A)/(C)〕が0.02以上4以下であることを特徴とする
    平版印刷版原版。
    Figure 2010079085
    (式(I)〜(III)中、R1〜R3、R5、R6及びR9〜R11はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基又はアリール基を表し、R4、R7及びR8はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基又は複素環基を表し、波線部分は他の部分との結合位置を表し、R7及びR8は環を形成してもよい。)
  2. 前記(A)成分が、式(IV)又は式(V)で表される化合物である請求項1に記載の平版印刷版原版。
    Figure 2010079085
    (式(IV)及び式(V)中、A1は式(III)で表される基を含んでいてもよい(n1+n2)価の有機基を表し、A2はそれぞれ独立に、二価の有機基を表し、R1〜R3、R5、R6及びR9〜R11はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基又はアリール基を表し、R4、R7及びR8はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基又は複素環基を表し、n1及びn2はそれぞれ独立に、0以上10以下の整数を表し、n3は1以上5以下の整数を表し、R7及びR8は環を形成してもよい。ただし、n1及びn2は両方とも0になることはない。)
  3. 前記(A)成分が、式(I)、式(II)又は式(III)で表される基を2以上有する請求項1又は2に記載の平版印刷版原版。
  4. 前記(C)成分が、(メタ)アクリレート化合物、ビニル芳香族化合物、及び/又は、アリル化合物を含む請求項1〜3のいずれか1つに記載の平版印刷版原版。
  5. 前記感光層が、さらに(E)増感色素を含有する請求項1〜4のいずれか1つに記載の平版印刷版原版。
  6. 前記(A)成分が、感光層の全固形分に対して、5〜75重量%である請求項1〜5のいずれか1つに記載の平版印刷版原版。
  7. 前記(C)成分が、感光層の全固形分に対して、5〜75重量%である請求項1〜6のいずれか1つに記載の平版印刷版原版。
  8. 請求項1〜7のいずれか1つに記載の平版印刷版原版を画像露光する露光工程、及び、
    pH2〜10の現像液の存在下で非露光部の感光層を除去する現像工程を含むことを特徴とする
    平版印刷版の製造方法。
  9. 前記現像工程が、非露光部の感光層の除去及びガム引き処理を1液で行う工程である請求項8に記載の平版印刷版の製造方法。
  10. 前記現像工程の前及び後のいずれにも水洗工程を施さない請求項8又は9に記載の平版印刷版の製造方法。
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