JP2010078972A - カラーフィルタおよびカラーフィルタの製造方法 - Google Patents

カラーフィルタおよびカラーフィルタの製造方法 Download PDF

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滋弘 上野
Masato Okada
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Abstract

【課題】本発明は、色特性に優れ、輝度の高い着色層を有するカラーフィルタを提供することを主目的とする。
【解決手段】本発明は、基板と、上記基板上に形成され、表面が撥液性を有し、開口部を備える樹脂製遮光部、および、上記樹脂製遮光部の側面に少なくとも形成され、親液性材料からなるブラックマトリクス用親液性層を含み、頂部が撥液性を有する頂部撥液性ブラックマトリクスと、上記開口部内に形成され、上記頂部撥液性ブラックマトリクスの側面で上記ブラックマトリクス用親液性層に接する着色層と、を有することを特徴とするカラーフィルタを提供することにより、上記目的を達成するものである。
【選択図】図2

Description

本発明は、混色がなく、色特性に優れ、さらに輝度が高い着色層を有するカラーフィルタに関するものである。
近年、パーソナルコンピューターの発達、特に携帯用パーソナルコンピューターの発達に伴って、液晶ディスプレイの需要が増加している。また、最近においては家庭用の液晶テレビの普及率も高まっており、益々液晶ディスプレイの市場は拡大する状況にある。さらに近年普及している液晶ディスプレイは大画面化の傾向があり、特に家庭用の液晶テレビに関してはその傾向が強くなってきている。
このような状況において、液晶ディスプレイを構成する部材については、より低コストで高品質なものを製造することが望まれている。特に液晶ディスプレイをカラー表示化させる機能を有するカラーフィルタは、従来高コストであったことからこのような要望が高まっている。
図11は、一般的な液晶ディスプレイに用いられるカラーフィルタの一例を示す概略図である。図11に示すように、液晶ディスプレイに用いられるカラーフィルタ100は、通常、基板101と、上記基板101上に形成され、複数の開口部を備える遮光部104と、上記開口部内に形成されたR、G、B各色の着色層105とを有するものである。
そして、このようなカラーフィルタのR、G、Bの各色に対応する電極をON、OFFさせることで液晶がバックライトのシャッタとして作動し、R、G、Bのそれぞれの画素を光が通過してカラー表示が行われるものである。
このような、カラーフィルタを製造する方法としては、従来、染色法や顔料分散法等のR、G、Bの3色を着色するために同一の工程を3回繰り返す方法が用いられてきた。しかしながら、このような製造方法は、高精度なR、G、Bパターンが形成されたカラーフィルタを形成できるという点においては有用であったが、必ずしも生産性の高いものではなかった。この点、特許文献1にはインクジェット法を用いたカラーフィルタの製造方法が開示されている。インクジェット法は、大面積のカラーフィルタを高生産性で製造できる点において有効であり、低コストでカラーフィルタを製造できる方法として着目されている。
しかしながら、図12に例示するように、上記インクジェット法等の吐出法により形成された着色層105は、画素内において、その中心部の膜厚が厚く、遮光部と接する箇所で膜厚が薄くなった、凸状の形状となる。このため、着色層が、開口部外周部の周辺において、色が薄くなり、画素内において着色濃度分布が生じ、色特性が低下するといった問題があった。
このような問題に対して、所望の色特性を出すために、着色層体積を増加し、着色層の周辺部の膜厚を厚くする方法が用いられている。
しかしながら、着色層全体の体積が増加することで、輝度が低下してしまうといった問題があった。
特開2000−187111号公報
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、色特性に優れ、輝度の高い着色層を有するカラーフィルタを提供することを主目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、基板と、上記基板上に形成され、表面が撥液性を有し、開口部を備える樹脂製遮光部、および、上記樹脂製遮光部の側面に少なくとも形成され、親液性材料からなるブラックマトリクス用親液性層を含み、頂部が撥液性を有する頂部撥液性ブラックマトリクスと、上記開口部内に形成され、上記頂部撥液性ブラックマトリクスの側面で上記ブラックマトリクス用親液性層に接する着色層と、を有することを特徴とするカラーフィルタを提供する。
本発明によれば、上記頂部撥液性ブラックマトリクスが、側面にブラックマトリクス用親液性層を有するものであるため、吐出法により着色層形成用塗工液を上記開口部内に塗布して着色層を形成する場合であっても、上記着色層形成用塗工液が、上記頂部撥液性ブラックマトリクスの側面に濡れ広がりやすいものとなる。このため、表面形状が平坦な着色層とすることができる。その結果、色特性および輝度に優れたものとすることができる。
また、上記頂部撥液性ブラックマトリクスは、その頂部が撥液性であるため、上記着色層が吐出法により形成される場合であっても、上記着色層形成用塗工液が隣接する開口部に流れ込む恐れが少ないものとすることができる。このようなことから、混色の少ない着色層を有するものとすることができる。
本発明においては、上記開口部内の基板上に形成され、上記親液性材料からなる開口部内親液性層を有し、上記親液性材料が、親液性透明材料であることが好ましい。
上記開口部内の基板上に形成され、上記親液性材料からなる開口部内親液性層を有することにより、上記開口部内の表面を親液性とすることができる。このため、例えば、吐出法により着色層形成用塗工液を塗布して着色層を形成する場合、吐出される着色層形成用塗工液が上記開口部内に濡れ広がりやすいものとすることができる。したがって、開口部内において、上記着色層の薄い箇所や着色層が形成されない箇所である白抜けの発生を抑制することができ、色特性に優れたものとすることができるからである。
また、上記親液性材料が、親液性透明材料であることにより、色特性に優れたものとすることができるからである。
本発明においては、上記ブラックマトリクス用親液性層の上記着色層の形成に用いられる着色層形成用塗工液との接触角が、上記樹脂製遮光部の基板側から頂部側に向かって高くなるものであることが好ましい。上記ブラックマトリクス用親液性層の上記着色層の形成に用いられる着色層形成用塗工液との接触角が、上記樹脂製遮光部の基板側から頂部側に向かって高くなるものであることにより、上記着色層が吐出法により開口部内に着色層形成用塗工液を塗布して形成される場合であっても、平坦性に優れた着色層を有するものとすることができるからである。
本発明においては、上記着色層が、吐出法により形成されたものであることが好ましい。吐出法により形成されるものであることにより、平坦性に優れた着色層を有するものとすることができるとの効果を、より効果的に発揮することができるからである。
本発明は、基板と、上記基板上に形成され、表面が撥液性を有し、開口部を備える樹脂製遮光部と、を有するカラーフィルタ形成用基板を準備し、上記カラーフィルタ形成用基板上に、親液性材料を含む親液性層形成用層を形成する親液性層形成用層形成工程と、少なくとも上記樹脂製遮光部の頂部上の親液性層形成用層を分解除去し、ブラックマトリクス用親液性層を形成する分解除去工程と、上記分解除去工程後、上記開口部に、塗出法により着色層形成用塗工液を塗布して着色層を形成する着色層形成工程と、を有することを特徴とするカラーフィルタの製造方法を提供する。
本発明によれば、上記親液性層形成用層形成工程および分解除去工程を有することにより、頂部が撥液性を有し、側面に上記親液性材料からなるブラックマトリクス用親液性層を有する頂部撥液性ブラックマトリクスを形成することができる。
このように、上記頂部撥液性ブラックマトリクスの頂部が撥液性を有するものであるため、上記着色層形成工程において混色の少ない着色層を有するものとすることができる。
また、上記頂部撥液性ブラックマトリクスは、上記ブラックマトリクス用親液性層を有するものであるため、上記着色層形成工程において、吐出法により着色層形成用塗工液を塗布して着色層を形成する際に、塗布された上記着色層形成用塗工液が、上記頂部撥液性ブラックマトリクスの側面に濡れ広がりやすいものとなる。その結果、表面形状が平坦な着色層を形成することができる。したがって、色特性および輝度に優れたカラーフィルタを製造することができる。
本発明においては、上記分解除去工程が、上記樹脂製遮光部の開口部の基板上に、上記親液性材料からなる開口部内親液性層を形成するように、上記親液性層形成用層を分解除去するものであることが好ましい。
上記樹脂製遮光部の開口部内の表面を親液性とすることができる。このため、上記着色層形成工程を行なうことにより塗布される着色層形成用塗工液を開口部内で濡れ広がりやすいものとすることができる。したがって、上記開口部内において、上記着色層の薄い箇所や着色層が形成されない箇所である白抜けの発生を抑制することができ、色特性に優れた着色層を形成することができるからである。
なお、本工程が上記開口部内親液性層を形成する工程である場合には、上記親液性材料が、親液性透明材料であることが好ましい。上記開口部内親液性層を透明とすることができるため、発色および輝度等への影響が少ないものとすることができる。したがって、色特性に優れたものとすることができるからである。
本発明においては、上記分解除去工程が、マスクを介して、基体と、上記基体上に形成され、少なくとも光触媒を含有する光触媒含有層とを有する光触媒含有層基板を用い、上記光触媒含有層基板を上記光触媒含有層が上記親液性層形成用層と対向するように配置した状態で上記光触媒含有層にエネルギーを照射し、上記親液性層形成用層を分解除去するものであっても良い。
また、上記分解除去工程が、マスクを介して真空紫外光を照射し、上記親液性層形成用層を分解除去するものであっても良い。
上記親液性層形成用層を容易に分解除去することができるからである。
本発明においては、上記マスクが透過領域と遮光領域とを有するものであり、上記樹脂製遮光部の頂部の面積に対する上記マスクの透過領域の面積の比率、および、上記親液性層形成用層および上記マスク間の距離の少なくともいずれか一方を調整して、上記ブラックマトリクス用親液性層の上記着色層形成用塗工液との接触角が上記樹脂製遮光部の基板側から頂部側に向かって高くなるように、上記親液性層形成用層を分解除去することが好ましい。平坦性に特に優れた着色層を形成することが可能となるからである。
本発明は、色特性に優れ、輝度の高い着色層を有するカラーフィルタを提供することができるという効果を奏する。
本発明は、カラーフィルタ、および、その製造方法に関するものである。
以下、本発明のカラーフィルタ、および、カラーフィルタの製造方法について説明する。
A.カラーフィルタ
まず、本発明のカラーフィルタについて説明する。本発明のカラーフィルタは、基板と、上記基板上に形成され、表面が撥液性を有し、開口部を備える樹脂製遮光部、および、上記樹脂製遮光部の側面に少なくとも形成され、親液性材料からなるブラックマトリクス用親液性層を含み、頂部が撥液性を有する頂部撥液性ブラックマトリクスと、上記開口部内に形成され、上記頂部撥液性ブラックマトリクスの側面で上記ブラックマトリクス用親液性層に接する着色層と、を有することを特徴とするものである。
このような本発明のカラーフィルタを、図を参照して説明する。図1は、本発明のカラーフィルタの一例を示す概略平面図である。また、図2は、図1のA−A線断面図である。図1および図2に例示するように、本発明のカラーフィルタ10は、基板1と、上記基板1上に形成され、表面が撥液性を有し、開口部を備える樹脂製遮光部2および上記樹脂製遮光部2の側面に形成され、親液性材料からなるブラックマトリクス用親液性層3aを含む頂部撥液性ブラックマトリクス4と、上記開口部内に吐出法により形成された着色層5と、を有するものである。
また、上記頂部撥液性ブラックマトリクス4の開口部内の基板1上には、上記親液性材料からなる開口部内親液性層3bが形成されている。
従来、インクジェット法等の吐出法により形成される着色層を有するカラーフィルタの製造には、基板と、基板上に形成され、開口部を備える遮光部とを有するカラーフィルタ形成用基板が用いられてきた。また、塗布された着色層形成用塗工液が隣接する開口部に流れ込まないように、通常、上記遮光部は、上記着色層形成用塗工液に対する撥液性を有するものが用いられる。
このため、吐出法により、上述した遮光部が備える開口部に着色層形成用塗工液を塗布した場合、上記着色層の断面形状は、上記遮光部の側面との接触面積が小さくなるように形成されるため、上記着色層表面と、遮光部とが接触する立ち上がり箇所の形成位置が低く、上記開口部の中央が高い、凸形状となる。
ここで、一般的なカラーフィルタ形成用基板では、上記遮光部の断面形状が、長方形であるため、上記立ち上がり箇所は、上記開口部外周部に形成されることになる。したがって、図13(a)に例示するように、吐出法により形成される着色層を有するカラーフィルタでは、通常、開口部外周部での着色層105の膜厚h1が薄いものとなる。このようなことから、膜厚h1が、所望の色特性を発揮するために必要な開口部外周部での着色層105の膜厚h2より薄い場合には、所望の色特性を発揮することができない可能性があるといった問題があった。
また、図13(b)に例示するように、開口部外周部での着色層の膜厚h1を、上記膜厚h2より厚いものとするため、上記着色層全体の体積を増やした場合には、着色層全体の膜厚が厚くなり、輝度が低下するといった問題があった。
なお、図13(a)および(b)中の符号については、図12のものと同一の部材を示すものであるので、ここでの説明は省略する。
一方、本発明においては、上記頂部撥液性ブラックマトリクスが、側面にブラックマトリクス用親液性層を有するものであるため、吐出法により着色層形成用塗工液を塗布して着色層を形成する場合であっても、上記着色層形成用塗工液が、上記頂部撥液性ブラックマトリクスの側面に濡れ広がりやすいものとなる。
このため、既に説明した図2に示すように、上記着色層5の断面形状は、上記頂部撥液性ブラックマトリクスの側面との接触面積が広くなるように形成されるため、平坦なものとすることができるのである。
このようなことから、色特性および輝度に優れたものとすることができるのである。
また、上記頂部撥液性ブラックマトリクスは、その頂部が撥液性であるため、吐出法により着色層が形成される場合であっても、吐出法により開口部内に塗布された着色層形成用塗工液が、隣接する開口部に流れ込む恐れが少ないものとすることができる。このようなことから、混色の少ない着色層を有するものとすることができる。
本発明のカラーフィルタは、基板、頂部撥液性ブラックマトリクス、および着色層を有するものである。以下、本発明のカラーフィルタの各構成について説明する。
1.頂部撥液性ブラックマトリクス
本発明に用いられる頂部撥液性ブラックマトリクスは、上記樹脂製遮光部、および、上記ブラックマトリクス用親液性層を含むものであり、頂部が撥液性を有するものである。
また、上記頂部撥液性ブラックマトリクスの頂部は、上記樹脂製遮光部表面の撥液性により、撥液性を有するものである。すなわち、上記頂部撥液性ブラックマトリクスの頂部は、上記樹脂製遮光部が部分的または完全に露出しているものである。また、上記頂部撥液性ブラックマトリクスの頂部は、上記樹脂製遮光部が部分的に露出している場合、上記ブラックマトリクス用親液性層を構成する親液性材料の変性物を有するものであっても良い。
ここで、上記「撥液性」とは、本発明において、着色層の形成に用いられる着色層形成用塗工液との接触角が大きいことを意味するものである。
このような頂部撥液性ブラックマトリクスの頂部の撥液性としては、上記着色層形成用塗工液の種類等に応じて適宜設定されるものであるが、上記基板表面、上記ブラックマトリクス用親液性層および開口部内親液性層よりも上記着色層形成用塗工液の接触角が相対的に高いものであれば特に限定されるものではない。なかでも本発明においては、表面張力が28mN/mの液体との接触角が、20°以上となる程度であることが好ましく、なかでも40°以上となる程度であることが好ましく、特に50°以上となる程度であることが好ましい。上記範囲であることにより、上記開口部に着色層形成用塗工液を塗布して着色層を形成した場合に、上記着色層形成用塗工液が、隣接する開口部に流れ込む恐れが少ないものとすることができる。このため、着色層の混色防止を図ることができるからである。
なお、表面張力が28mN/mの液体としては、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(BCA)を例示することができる。
以下、本発明に用いられる頂部撥液性ブラックマトリクスを構成する樹脂製遮光部およびブラックマトリクス用親液性層について説明する。
(1)樹脂製遮光部
本発明に用いられる頂部撥液性ブラックマトリクスを構成する樹脂製遮光部は、表面が撥液性を有し、上記基板上に形成され、開口部を備えるものである。
このような樹脂製遮光部としては、全表面が撥液性を有するものであれば良く、具体的には、撥液剤を有する撥液性遮光材料からなる撥液性遮光部や、撥液性を有さない材料、すなわち親液性樹脂を含む親液性遮光材料からなる親液性遮光部の表面が事後的に撥液化された事後撥液化遮光部を挙げることができる。
(a)撥液性遮光部
本発明に用いられる撥液性遮光部は、上記撥液剤を有する撥液性遮光材料からなり、全表面が撥液性を有し、所定の遮光性を発揮するものである。
このような撥液剤としては、着色層の形成に用いられる着色層形成用塗工液に対する撥液性を備えるものであれば良く、例えば、フッ素含有基と親水基または親油基とを有するモノマーまたはオリゴマー、フッ素含有高分子化合物、および、フッ素含有物質の微粒子等を挙げることができる。
ここで、上記フッ素含有高分子化合物としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、パーフルオロエチレンプロピレン樹脂、パーフルオロアルコキシ樹脂等を挙げることができる。
また、上記フッ素含有物質の微粒子としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン、フルオロオレフィンビニルエーテル系共重合体、3フッ化エチレン−フッ化ビニリデン共重合体等からなる微粒子を挙げることができる。
さらに、上記フッ素含有基と親水基または親油基とを有するモノマーまたはオリゴマーとしては、例えば、下記一般式(1)〜(6)で表される化合物を例示することができる。
Figure 2010078972
ここで、上記一般式(1)〜(6)において、RfおよびRf´はフルオロアルキル基、RおよびR´はアルキレン基を表し、RfとRf´また、RとR´は同一でも異なっていても良い。また、X、X´およびYは、−COO−、−OCOO−、−CONR''−、−OCONR''−、−SONR''−、−SO−、−SOO−、−O−、−NR''−、−S−、−CO−、OSOO−、−OPO(OH)O−のうちのいずれかを表し、X、X´およびYは同一でも異なっていても良い。Zは、−SOH、−COOH、−OH、−NH、−SONH、−CONH、−SO NH 、−COONH 、また、R''は、アルキル基または水素を表し、R’’’はアルキル基を表す。
本発明に用いられる撥液剤としては、上記フッ素含有基と親水基または親油基とを有するモノマーまたはオリゴマー、上記フッ素含有高分子化合物、および、上記フッ素含有物質の微粒子のいずれであっても好適に用いることができるが、なかでも上記フッ素含有基と親水基または親油基とを有するモノマーまたはオリゴマーを用いることが好ましい。
なお、本発明に用いられる撥液剤は1種類のみであっても良く、または、2種類以上であっても良い。
本発明に用いられる撥液剤の含有量としては、使用する撥液剤の種類等に応じて、上記頂部撥液性ブラックマトリクスの頂部に所望の撥液性を付与できる範囲内であれば良いが、上記撥液性遮光材料中に0.005質量%〜50質量%の範囲内であることが好ましく、なかでも0.01質量%〜25質量%の範囲内であることが好ましい。上記範囲より多いと、十分な強度を有するものとすることができない可能性があるからであり、上記範囲より少ないと、十分な撥液性を発揮することができないおそれがあるからである。
上記撥液性遮光部を構成する撥液性遮光材料としては、上記撥液剤を含み、所望の撥液性を有し、上記撥液性遮光部とした際に所望の遮光性を発揮することができるものであれば良いが、通常、樹脂および遮光材料を含むものである。
また、必要に応じて、光重合開始剤、増感剤、塗布性改良剤、現像改良剤、架橋剤、重合禁止剤、可塑剤、および難燃剤等を含むものであっても良い。
上記樹脂としては、カラーフィルタの遮光部の形成に一般的に用いられる樹脂を使用することができ、撥液性を有し、上記着色層形成用塗工液の接触角が大きい撥液性樹脂であっても良く、親液性を有し、着色層形成用塗工液の接触角が小さい親液性樹脂であっても良いが、入手容易であることから、通常、親液性樹脂が用いられる。
上記親液性樹脂としては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレン−ビニル共重合体、ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体、ABS樹脂、ポリメタクリル酸樹脂、エチレン−メタクリル酸樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、塩素化塩化ビニル、ポリビニルアルコール、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、ポリビニルブチラール、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミック酸樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂等を用いることができる。
上記遮光材料としては、一般的なカラーフィルタの樹脂製遮光部に用いられる材料を使用することができ、例えば、カーボン微粒子、金属酸化物、無機顔料、有機顔料等の遮光性粒子等を挙げることができる。
本発明における撥液性遮光部の断面形状、すなわち、上記樹脂製遮光部の断面形状としては、カラーフィルタに一般的に用いられる形状とすることができる。
具体的には、既に説明した図2に示すように、上底が下底よりも短い台形であっても良く、図3に例示するように四角形であっても良い。
なお、断面形状とは、上記カラーフィルタを平面視した際に、上記開口部の外周に対して垂直方向の断面をいうものである。
なお、図3中の符号については、図2のものと同一の部材を示すものであるので、ここでの説明は省略する。
また、上記撥液性遮光部の断面の最大幅としては、カラーフィルタの種類、サイズ等に応じて適宜設定されるものである。
本発明の撥液性遮光部の厚みとしては、カラーフィルタの種類等に応じて適宜設定されるものであるが、例えば、上記着色層が吐出法により形成される場合には、吐出法により塗布された着色層形成用塗工液が開口部から溢れ出ることを防ぐことができるものであれば良いが、通常、1μm〜10μmの範囲内であり、なかでも1.2μm〜5.0μmの範囲内であることが好ましく、特に、1.5μm〜4.0μmの範囲内であることが好ましい。上記範囲内であることにより、吐出法により塗布された着色層形成用塗工液が開口部から溢れ出ることを安定的に防止することができ、混色の少ないものとすることができる。したがって、所望の色特性の着色層を容易に形成することができるからである。
なお、上記撥液性遮光部の厚みとは、基板表面から垂直方向に、上記撥液性遮光部の頂部までの距離、すなわち、基板表面からの高さをいうものである。
本発明に用いられる撥液性遮光部の表面の撥液性としては、上記頂部撥液性ブラックマトリクスの頂部が有する撥液性の程度に応じて適宜設定されるものであり、通常、上記頂部撥液性ブラックマトリクスの頂部に要求される撥液性より高い撥液性が要求されるものである。具体的には、表面張力が28mN/mの液体との接触角が、20°以上となる程度であることが好ましく、なかでも40°以上となる程度であることが好ましく、特に50°以上となる程度であることが好ましい。上記範囲であることにより、上記頂部撥液性ブラックマトリクスの頂部に所望の撥液性を付与することができるからである。
本発明に用いられる撥液性遮光部の形成方法としては、カラーフィルタの製造に一般的に用いられる方法を使用することができ、上記撥液性遮光材料を含む撥液性樹脂組成物を用いたフォトリソグラフィー法、および、上記撥液性樹脂組成物を用いた熱転写法等を挙げることができる。
なお、フォトリソグラフィー法により上記撥液性遮光部を形成する場合において、上記撥液性遮光材料に含まれる樹脂としては、ネガ型感光性樹脂およびポジ型感光性樹脂のいずれも用いることができる。
(b)事後撥液化遮光部
本発明に用いられる事後撥液化遮光部としては、上記親液性遮光部の表面が事後的に撥液化されたものであり、全表面が撥液性を有し、所定の遮光性を発揮するものである。
(i)親液性遮光部
本発明に用いられる親液性遮光部は、上記親液性樹脂を含む親液性遮光材料からなり、所定の遮光性を発揮するものであれば良い。
このような親液性遮光材料に含まれる親液性樹脂としては、上記親液性遮光部の全表面を撥液性を有するものとする撥液化方法により異なるものであるが、カラーフィルタの製造に一般的に用いられる親液性樹脂を用いることができる。具体的には、上記「(a)撥液性遮光部」の項に記載した親液性樹脂と同様とすることができる。
本発明に用いられる親液性遮光材料としては、上記親液性樹脂を含み、上記事後撥液化遮光部とした際に所望の遮光性を発揮することができるものであれば良いが、通常、遮光材料を含むものである。
このような遮光材料としては、上記「(a)撥液性遮光部」の項に記載されたものと同様とすることができる。
また、必要に応じて、光重合開始剤、増感剤、塗布性改良剤、現像改良剤、架橋剤、重合禁止剤、可塑剤、および難燃剤等を含むものであっても良い。
本発明に用いられる親液性遮光部の形成方法としては、カラーフィルタの製造に一般的に用いられる方法を使用することができ、上記「(a)撥液性遮光部」の項に記載した方法と同様とすることができる。
(ii)撥液化方法
本発明において、上記親液性遮光部の表面を撥液性とする撥液化方法としては、上記事後撥液化遮光部の表面が所望の撥液性を有するものとすることができる方法であれば良い。具体的には、フッ素化合物を導入ガスとしたプラズマ照射をするプラズマ照射方法を好ましく用いることができる。
上記プラズマ照射方法では、樹脂を含む親液性遮光部の表面のみを撥液化することができ、上記基板表面の撥液化を抑制することができる。したがって、着色層形成用塗工液を塗布した際に、上記基板表面で、上記着色層形成用塗工液が十分に濡れ広がるものとすることができるからである。
上記導入ガスに用いられるフッ素化合物としては、例えば、CF、SF、CHF、C、C、C等を挙げることができる。
また、上記導入は、上記フッ素ガスと他のガスとが混合されたものであっても良い。他のガスとしては、例えば、窒素、酸素、アルゴン、ヘリウム等を上げることができるが、なかでも窒素を用いることが好ましい。さらに上記他のガスとして窒素を用いる場合、窒素の混合比率は60%以上であることが好ましい。
また、上記プラズマ照射を行う方法としては、上記親液性遮光部の表面を撥液化することが可能な方法であれば特に限定されるものではなく、例えば、減圧下でプラズマ照射する方法であっても良く、または、大気圧下でプラズマ照射する方法であっても良い。なかでも、本発明においては特に大気圧下でプラズマ照射を行う方法が好ましい。
なお、上記プラズマ照射を行った際の、上記親液性遮光部の表面におけるフッ素の存在は、X線光電子分光分析装置(XPS:ESCALAB 220i−XL)による分析において、表面より検出される全元素中のフッ素元素の割合を測定することにより確認することができる。
(iii)事後撥液化遮光部
上記事後撥液化遮光部の形状、断面の最大幅、厚み、および表面の撥液性としては、上記「(a)撥液性遮光部」の項に記載した内容と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
(2)ブラックマトリクス用親液性層
本発明に用いられるブラックマトリクス用親液性層は、親液性材料からなり、少なくとも上記樹脂製遮光部の側面に形成されるものである。
また、上記樹脂製遮光部の表面に形成されるものである。
さらに、上記頂部撥液性ブラックマトリクスの頂部は、上記樹脂製遮光部が有する表面の撥液性が発揮することにより撥液性を有するものである。このため、上記ブラックマトリクス用親液性層は、上記樹脂製遮光部の頂部の全面を覆わないように形成されるものであり、上記樹脂製遮光部の頂部を覆うように、上記親液性材料を含む親液性層形成用層を形成した後に、上記樹脂製遮光部の頂部の親液性層形成用層の全部または一部を分解除去することにより形成されるものである。
ここで、上記「親液性」とは、本発明に用いられる着色層形成用塗工液との接触角が小さいことを意味するものである。
本発明において、上記ブラックマトリクス用親液性層の親液性としては、上記樹脂製遮光部の表面よりも上記着色層形成用塗工液の接触角が相対的に低いものであれば特に限定されるものではない。なかでも本発明においては、表面張力が28mN/mの液体との接触角が、20°未満となる程度であることが好ましく、なかでも10°以下となる程度であることが好ましく、特に5°以下となる程度であることが好ましい。上記範囲であることにより、着色層の形成に用いられる着色層形成用塗工液が、上記頂部撥液性ブラックマトリクスの側面に濡れ広がりやすいものとなる。このため、例えば、上記着色層が吐出法により形成されるものである場合であっても、表面形状が平坦な着色層とすることができる。その結果、色特性および輝度に優れたものとすることができるからである。
また、本発明においては、上記ブラックマトリクス用親液性層の上記着色層形成用塗工液との接触角が、全面で均一であっても良いが、上記樹脂製遮光部の基板側から頂部側に向かって高くなるものであることが好ましい。上記着色層が吐出法により形成される場合であっても、表面形状が平坦な着色層とすることができ、色特性および輝度に優れたものとすることができるからである。
また、このような場合において、上記ブラックマトリクス用親液性層の上記着色層形成用塗工液との接触角は、上記基板側から頂部側に向かって連続的に高くなっていても良く、段階的に高くなっていても良い。
このような親液性材料としては、親液性を有するものであれば良く、上記「(1)樹脂製遮光部」の項に記載した親液性樹脂を含むものとすることができる。
また、上記親液性材料としては、上記ブラックマトリクス用親液性層を形成した際に透明なものとすることができる親液性透明材料であっても良く、遮光性を有する等の不透明な親液性不透明材料であっても良い。
本発明に用いられるブラックマトリクス用親液性層の上記樹脂製遮光部の側面における形成箇所としては、上記樹脂製遮光部の側面全面であっても良く、上記樹脂製遮光部の側面の一部であっても良い。
上記形成箇所としては、具体的には、図4(a)に例示するように、着色層の形成に用いられる着色層形成用塗工液の表面が平坦となった場合に想定される高さである平坦時着色層形成用塗工液高さAより低い領域であっても良く、図4(b)に例示するように、基板表面から、上記平坦時着色層形成用塗工液高さA以上の高さまでの領域であっても良い。
上記形成箇所は、なかでも、上記基板表面から、上記平坦時着色層形成用塗工液高さ以上の高さまでの領域であることが好ましく、特に上記樹脂製遮光部の側面全面に形成されるものであることが好ましい。上記ブラックマトリクス用親液性層が上記形成箇所に形成されることにより、吐出法により着色層形成用塗工液を塗布して着色層を形成する場合であっても、塗布された着色層形成用塗工液の開口部内での断面形状をより平坦なものとすることができる。したがって、最終的に形成される着色層の形状がより平坦なものとなり、色特性および輝度により優れたものとすることができるからである。また、塗布された着色層形成用塗工液を乾燥し着色層とする際に、上記頂部撥液性ブラックマトリクスの側面と、上記着色層との膜剥がれを抑制することできるといった観点からも好ましい。
なお、図4(a)および(b)中の符号については、図2のものと同一の部材を示すものであるので、ここでの説明は省略する。
また、本発明においては、上記ブラックマトリクス用親液性層の頂部における形成箇所としては、上記樹脂製遮光部の頂部の全面を覆わないように形成されるものであれば良い。
したがって、上記ブラックマトリクス用親液性層の形成箇所としては、上記樹脂製遮光部の、側面全面のみ、側面の一部のみ、若しくは、側面全面または側面の一部と頂部の一部とに形成されるものとすることができる。
本発明に用いられるブラックマトリクス用親液性層の厚みとしては、親液性を安定的に発揮することができるものであれば良く、0.5nm〜100nmの範囲内であり、なかでも1nm〜20nmの範囲内であることが好ましく、特に、1nm〜10nmの範囲内であることが好ましい。上記ブラックマトリクス用親液性層の厚みが、上記範囲より厚いと、上記ブラックマトリクス用親液性層の膜厚むらの影響が着色層の膜厚むらに継承されてしまい色むらの原因となり、一方上記範囲より薄いと、樹脂製遮光部上に上記ブラックマトリクス用親液性層を塗り重ねても十分な親液性が得られない可能性があるからである。また、上記ブラックマトリクス用親液性層の厚みが、上記範囲内であることにより、親液性を安定的に発揮し、かつ着色層の色むら発生を抑制することができるからである。
2.着色層
本発明に用いられる着色層は、上記頂部撥液性ブラックマトリクスが備える開口部内に形成され、上記頂部撥液性ブラックマトリクスの側面で上記ブラックマトリクス用親液性層に接するものであり、通常、着色層形成用塗工液を用いて形成されるものである。
本発明における着色層形成用塗工液としては、カラーフィルタの着色層を形成する際に、一般的に用いられるものと同様とすることができる。このような着色層形成用塗工液としては、通常、少なくとも赤(R)、緑(G)、青(B)の3色を含む、3色以上の着色層形成用塗工液が用いられる。
本発明における着色層の厚みとしては、カラーフィルタにおいて一般的に形成される着色層と同様とすることができる。
本発明における着色層の形成方法としては、通常、上記着色層形成用塗工液を上記開口部内に塗布して形成する方法が用いられるが、吐出法により着色層形成用塗工液を塗布する方法を好ましく用いることができる。
本発明において、吐出法により着色層形成用塗工液を塗布する方法としては、上記基板および頂部撥液性ブラックマトリクスが形成されたカラーフィルタ形成用基板と、ノズルとを相対的に移動させながら、上記ノズルから上記着色層形成用塗工液を吐出する方法を挙げることができる。
本発明における吐出法としては、上記着色層形成用塗工液をノズルから吐出し、上記開口部に着色層を形成することができる方法であれば良く、具体的には、インクジェット法、ディスペンサー法、ノズルプリンティング法、エアロゾル法等を挙げることができる。
3.基板
本発明に用いられる基板としては、上記頂部撥液性ブラックマトリクスを形成できるものであれば特に限定されるものではなく、従来よりカラーフィルタに用いられているものを用いることができる。このような基板としては、例えば、石英ガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、合成石英板等の可撓性のない透明な無機基板、および、透明樹脂フィルム、光学用樹脂板等の可撓性を有する透明な樹脂基板等を挙げることができる。なかでも本発明において無機基板を用いることが好ましく、無機基板のなかでもガラス基板を用いることが好ましい。さらには、上記ガラス基板のなかでも無アルカリタイプのガラス基板を用いることが好ましい。上記無アルカリタイプのガラス基板は寸度安定性および高温加熱処理における作業性に優れ、かつ、ガラス中にアルカリ成分を含まないことから、アクティブマトリクス方式によるカラー液晶表示装置用のカラーフィルタに好適に用いることができるからである。
上記基板は、透明な基板であっても良く、または、反射性の基板や白色に着色したものであっても良いが、本発明において、通常、透明なものが用いられる。
また、上記基板は、必要に応じてアルカリ溶出防止やガスバリア性付与その他の目的の表面処理を施されたものであっても良い。このような表面処理としては例えば表面を、上記頂部撥液性ブラックマトリクスよりも、上記着色層形成用塗工液に対する接触角が低いものとするために、酸素ガスを導入ガスとしたプラズマ照射を挙げることができる。
4.開口部内親液性層
本発明のカラーフィルタは、上記樹脂製遮光部が備える開口部内の基板上に形成され、親液性材料からなる開口部内親液性層を有し、上記親液性材料が親液性透明材料であることが好ましい。
上記開口部内親液性層を有することにより、上記開口部内の基板表面を親液性とすることができる。このため、例えば、吐出法により着色層形成用塗工液を塗布して着色層を形成する場合、吐出される着色層形成用塗工液が上記開口部内に濡れ広がりやすいものとすることができる。したがって、開口部内において、上記着色層の薄い箇所や着色層が形成されない箇所である白抜けの発生を抑制することができ、色特性に優れたものとすることができるからである。
また、親液性材料が親液性透明材料からなることにより、発色および輝度等への影響を少ないものとすることができる。したがって、色特性に優れたものとすることができるからである。
このような開口部内親液性層としては、上記ブラックマトリクス用親液性層と一体に形成されているものであっても良く、上記ブラックマトリクス用親液性層と分離して形成されているものであっても良い。
本発明に用いられる開口部内親液性層を構成する親液性透明材料としては、上記親液性材料を含み、かつ透明性を有するものであれば良い。
本発明における開口部内親液性層の形成箇所としては、上記開口部内であれば良いが、上記開口部内の全域であることが好ましい。開口部内において、上記着色層の薄い箇所や着色層が形成されない箇所である白抜けの発生を抑制することができ、色特性に優れたものとすることができるからである。
また、開口部内を透過する光量を均一化することができるため、色特性に優れたものとすることができるからである。
上記開口部内親液性層を構成する親液性透明材料、上記開口部内親液性層の親液性およびその厚みとしては、上記「1.頂部撥液性ブラックマトリクス」の項に記載されたブラックマトリクス用親液性層と同様とすることができる。
5.カラーフィルタ
本発明のカラーフィルタは、上記基板、頂部撥液性ブラックマトリクス、および着色層を少なくとも有するものであるが、必要に応じて、その他の構成を有するものであっても良い。
このようなその他の構成としては、例えば、上記着色層上に形成されるオーバーコート層、および、ITO,IZO等の透明電極や、対向基板とのセルギャップを均一にするためのスペーサー、液晶の配向を制御するための配向制御構造物を挙げることができる。
本発明のカラーフィルタの製造方法としては、上記各構成を精度良く形成することができる方法であれば良く、後述する「B.カラーフィルタの製造方法」の項に記載する方法とすることができる。
本発明のカラーフィルタの用途としては、液晶表示装置に用いられ、なかでも、色特性に優れ、輝度の高いカラーフィルタが要求される液晶表示装置に用いられる。
B.カラーフィルタの製造方法
次に、本発明のカラーフィルタの製造方法について説明する。本発明のカラーフィルタの製造方法は、基板と、上記基板上に形成され、表面が撥液性を有し、開口部を備える樹脂製遮光部と、を有するカラーフィルタ形成用基板を準備し、上記カラーフィルタ形成用基板上に、親液性材料を含む親液性層形成用層を形成する親液性層形成用層形成工程と、少なくとも上記樹脂製遮光部の頂部上の親液性層形成用層を分解除去し、ブラックマトリクス用親液性層を形成する分解除去工程と、上記分解除去工程後、上記開口部に、塗出法により着色層形成用塗工液を塗布して着色層を形成する着色層形成工程と、を有することを特徴とするものである。
このような本発明のカラーフィルタの製造方法を図を参照して説明する。図5は、本発明のカラーフィルタの製造方法の一例を示す工程図である。図5に例示するように、本発明のカラーフィルタの製造方法においては、まず、基板1と、上記基板1上に形成され、表面が撥液性を有し、開口部を備える樹脂製遮光部2と、を有するカラーフィルタ形成用基板20を準備する(図5(a))。次に、図5(b)に示すように、上記カラーフィルタ形成用基板20上に、親液性材料を含む親液性層形成用塗工液塗布した後、露光することにより光硬化させ親液性層形成用層13を形成する。次いで、図5(c)に示すように、メタルマスク30を介して上記樹脂製遮光部2の頂部上の親液性層形成用層13のみに真空紫外光を照射し、上記樹脂製遮光部2の頂部上の上記親液性層形成用層13を分解除去する。これにより、上記樹脂製遮光部の側面にブラックマトリクス用親液性層および上記開口部内の基板上に開口部内親液性層が形成される。そして、上記樹脂製遮光部および上記ブラックマトリクス用親液性層を含む頂部撥液性ブラックマトリクスを有するカラーフィルタ形成用基板が形成される。次いで、図5(d)に示すように、上記頂部撥液性ブラックマトリクス4の開口部に、インクジェットヘッド25のノズルより着色層形成用塗工液15を塗布することにより、着色層5を有するカラーフィルタ10を形成する(図5(e))。
ここで、図5(b)が親液性層形成用層形成工程であり、(c)が分解除去工程であり、(d)が着色層形成工程である。
なお、図5中の符号については、図2のものと同一の部材を示すものであるので、ここでの説明は省略する。
また、本発明のカラーフィルタの製造方法の他の例としては、図6に例示するように、上記分解除去工程として、基体31と、上記基体31上に形成された光触媒含有層32と、上記光触媒含有層32上にパターン状に形成された遮光膜33とを有する光触媒含有層基板34を用い、上記光触媒含有層基板34を、上記光触媒含有層32と上記カラーフィルタ形成用基板上に形成された親液性層形成用層13とが対向するように配置し、上記光触媒含有層基板34の上記基体31側からエネルギーを照射することにより、上記樹脂製遮光部の頂部上の上記親液性層形成用層13を分解除去する工程を有するものとすることができる。
なお、図6中の符号については、図5のものと同一の部材を示すものであるので、ここでの説明は省略する。
本発明によれば、上記親液性層形成用層形成工程および分解除去工程を有することにより、頂部が撥液性を有し、側面に上記親液性材料からなるブラックマトリクス用親液性層を有する頂部撥液性ブラックマトリクスを形成することができる。
このように、上記頂部撥液性ブラックマトリクスの頂部が撥液性を有するものであるため、上記着色層形成工程において混色の少ない着色層を有するものとすることができる。
また、上記頂部撥液性ブラックマトリクスは、上記ブラックマトリクス用親液性層を有するものであるため、上記着色層形成工程において、着色層形成用塗工液を塗布して着色層を形成する際に、塗布された上記着色層形成用塗工液が、上記頂部撥液性ブラックマトリクスの側面に濡れ広がりやすいものとなる。その結果、表面形状が平坦な着色層を形成することができる。したがって、色特性および輝度に優れたカラーフィルタを製造することができる。
本発明のカラーフィルタの製造方法は、上記親液性層形成用層形成工程、上記分解除去工程および上記着色層形成工程を少なくとも有するものである。
以下、本発明のカラーフィルタの製造方法の各工程を詳細に説明する。
1.親液性層形成用層形成工程
本発明における親液性層形成用層形成工程は、上記カラーフィルタ形成用基板上に、親液性材料を含む親液性層形成用層を形成する工程である。
本工程において、上記親液性層形成用層を形成する方法としては、均一な厚みの親液性層形成用層を形成することができる方法であれば良く、スピンコート法、ダイコート法、スプレーコート法、ディップコート法、ロールコート法、ビードコート法、バーコート法等の一般的な方法を用いることができる。
塗布された親液性層形成用塗工液を硬化させ、親液性層形成用層を形成する方法としては、上記親液性材料の種類により異なるものであるが、上記親液性層形成用塗工液に含まれる溶剤を乾燥除去する方法や、加熱し熱硬化させる方法や、露光することにより光硬化させる方法等を挙げることができる。
なお、本工程に用いられるカラーフィルタ形成用基板は、基板と、樹脂製遮光部とを有するものである。このような基板および樹脂製遮光部としては、上記「A.カラーフィルタ」の項に記載したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
2.分解除去工程
本発明における分解除去工程は、少なくとも上記樹脂製遮光部の頂部上の親液性層形成用層を分解除去し、ブラックマトリクス用親液性層を形成する工程である。
本工程が、上記親液性層形成用層形成工程の後に行なわれることにより、頂部が撥液性を有し、側面に上記親液性材料からなるブラックマトリクス用親液性層を有する頂部撥液性ブラックマトリクスを形成することができる。
このように、上記頂部撥液性ブラックマトリクスの頂部が撥液性を有するものであるため、上記着色層形成工程において混色の少ない着色層を有するものとすることができる。
また、上記頂部撥液性ブラックマトリクスは、上記ブラックマトリクス用親液性層を有するものであるため、上記着色層形成工程において、着色層形成用塗工液を塗布して着色層を形成する際に、塗布された上記着色層形成用塗工液が、上記頂部撥液性ブラックマトリクスの側面に濡れ広がりやすいものとなる。その結果、表面形状が平坦な着色層を形成することができる。したがって、色特性および輝度に優れたカラーフィルタを製造することができる。
以下、上記親液性層形成用層を分解除去する分解除去方法について説明する。
(1)分解除去方法
本工程における、上記親液性層形成用層の分解除去方法としては、上記頂部上の親液性層形成用層を少なくとも分解除去できるように、上記親液性層形成用層を分解または変性する方法であれば良い。
このような分解除去方法としては、(1)マスクを介してエネルギー照射に伴う光触媒の作用を及ぼす光触媒分解方法や、(2)マスクを介して真空紫外線を照射する真空紫外光照射方法、(3)マスクを介してエネルギー等を照射するエネルギー照射方法等を挙げることができる。このような方法を用いることにより、上記親液性層形成用層を容易に分解等することができるからである。
本工程においては、なかでも、上記光触媒分解方法であることが好ましい。精度良く上記親液性層形成用層の分解除去を行なうことができるからである。
なお、これらの方法を組み合わせて用いても良いものである。
(a)光触媒分解方法
本工程における光触媒分解方法としては、マスクを介してエネルギー照射に伴う光触媒の作用により上記親液性層形成用層を所望のパターン状に分解等することができる方法であれば良く、具体的には、マスクを介して、基体と、上記基体上に形成され、酸化チタン等の光触媒を含有する光触媒含有層とを有する光触媒含有層基板を用い、上記光触媒含有層基板を上記光触媒含有層が上記親液性層形成用層と対向するように配置した状態で上記光触媒含有層にエネルギーを照射する方法を用いることができる。
ここで、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により上記親液性層形成用層が除去される機構については、必ずしも明確ではないが、エネルギー照射によって上記光触媒含有層に含有される光触媒が酸化還元反応を引き起こし、これによって生成されたスーパーオキサイドラジカル(・O )やヒドロキシラジカル(・OH)などの活性酸素種が、上記親液性層形成用層に含まれる有機物に作用を及ぼすことにより、有機物が分解物となり、この分解物が揮発除去されることで、パターン状に分解等された領域を形成することができると考えられる。
(i)光触媒含有層基板
本工程に用いられる光触媒含有層基板は、基体上に少なくとも光触媒を含有する光触媒含有層が形成されているものである。
光触媒含有層の形成位置としては、図7(a)に例示するように、基体31上の全面に光触媒含有層32が形成されていても良く、図7(b)に例示するように、基体31上に光触媒含有層32がパターン状に形成されていても良い。
光触媒含有層がパターン状に形成されている場合には、上記光触媒含有層を上記親液性層形成用層に対して所定の間隙をおいて配置し、エネルギーを照射する際に、フォトマスク等を用いてパターン照射する必要がなく、全面に照射することにより、親液性層形成用層をパターン状に分解除去等することができる。また、この場合、エネルギーの照射方向としては、上記光触媒含有層の、上記親液性層形成用層と対向する表面にエネルギーが照射されれば、いかなる方向であっても良い。さらには、照射されるエネルギーも、平行光等の平行なものに限定されない。
なお、図7(a)および(b)中の符号については、図6のものと同一の部材を示すものであるので、ここでの説明は省略する。
また、光触媒含有層基板には、遮光膜がパターン状に形成されていても良い。光触媒含有層基板がパターン状の遮光膜を有するものとすることにより、上記光触媒含有層基板をマスクとして用いることができる。このような光触媒含有層基板を用いた場合には、エネルギー照射に際して、マスクとして別途フォトマスクを準備して用いたり、レーザ光による描画照射を行ったりする必要がない。したがって、この場合には、光触媒含有層基板とフォトマスクとの位置合わせが不要であることから、簡便な工程とすることができ、また描画照射に必要な高価な装置も不要であることから、コスト的に有利となる。
遮光膜の形成位置としては、図7(c)に例示するように、基体31上に遮光膜33がパターン状に形成され、この遮光膜33上に光触媒含有層32が形成されていても良く、図6に例示するように、基体31上に光触媒含有層32が形成され、この光触媒含有層32上に遮光膜33がパターン状に形成されていても良く、図示しないが、基体の光触媒含有層が形成されていない側の表面に遮光膜がパターン状に形成されていても良い。
なお、図7(c)中の符号については、図6のものと同一の部材を示すものであるので、ここでの説明は省略する。
基体上に遮光膜が形成されている場合、および、光触媒含有層上に遮光膜が形成されている場合は、フォトマスクを用いる場合と比較すると、光触媒含有層と親液性層形成用層とが間隙をおいて配置される部分の近傍に、遮光膜が配置されることになるので、基体内等におけるエネルギーの散乱の影響を少なくすることができる。このため、エネルギーのパターン照射を極めて正確に行うことが可能となる。
また、基体の光触媒含有層が形成されていない側の表面に遮光膜が形成されている場合は、例えばフォトマスクを遮光膜の表面に着脱可能な程度に密着させることができるので、カラーフィルタの製造を小ロットで変更するような場合に好適である。
光触媒含有層基板としては、具体的には、特開2000−249821号公報等に記載されている光触媒含有層基板と同様とすることができる。
(ii)親液性層形成用層に光触媒の作用を及ぼす方法
本工程において、上記光触媒含有層基板を用いて親液性層形成用層に光触媒の作用を及ぼす方法としては、具体的には、特開2000−249821号公報等に記載されている光触媒含有層側基板を用いて特性変化層に光触媒の作用を及ぼす方法と同様とすることができる。
また、本工程において、光触媒含有層基板を用いて親液性層形成用層に光触媒の作用を及ぼす方法としては、マスクとして透過領域と遮光領域とを有する光触媒含有層基板またはフォトマスクを用いる場合、上記樹脂製遮光部の頂部の面積に対する上記マスクの透過領域の面積の比率、および、上記親液性層形成用層および上記マスク間の距離の少なくともいずれか一方を調整して、上記ブラックマトリクス用親液性層の上記着色層形成用塗工液との接触角が上記樹脂製遮光部の基板側から頂部側に向かって高くなるものとしても良い。着色層の平坦性に特に優れたものとすることが可能となるからである。
例えば、上記のエネルギー照射に伴う光触媒の作用を利用する方法の場合であって、マスクとして、遮光膜がパターン状に形成された光触媒含有基板を用いる場合、図8に例示するような、基体31上に遮光膜33が設けられている遮光領域43と、この遮光領域43以外の領域であり、基体31上に光触媒含有層32のみが設けられた透過領域42と有する光触媒含有層基板34を用いることができる。この場合、樹脂製遮光部2の頂部の面積S1に対する光触媒含有層基板34の透過領域42の面積S2の比率、および、親液性層形成用層13および光触媒含有層基板34間の距離Dの少なくともいずれか一方を調整することにより、上記着色層形成用塗工液との接触角が樹脂製遮光部2の基板1側から頂部側に向かって高くなるように、ブラックマトリクス用親液性層を形成することができる。
なお、図8中の符号については、図6のものと同一の部材を示すものであるので、ここでの説明は省略する。
また、上記光触媒含有基板にて光触媒含有層がパターン状に形成されている場合、図9に例示するような、基体31上に光触媒含有層32が設けられている領域42と、基体31が露出している領域43とを有する光触媒含有層基板34を用いることができる。この場合、樹脂製遮光部2の頂部の面積S1に対する光触媒含有層基板34の領域42の面積S3の比率、および、親液性層形成用層13および光触媒含有層基板34間の距離Dの少なくともいずれか一方を調整することにより、上記の場合と同様に、上記着色層形成用塗工液の接触角が樹脂製遮光部2の基板1側から頂部側に向かって高くなるように、ブラックマトリクス用親液性層を形成することができる。
なお、この場合、基体上に光触媒含有層が設けられている領域を、上記でいう透過領域とし、基体が露出している領域を、上記でいう遮光領域ということとする。
なお、図9中の符号については、図6のものと同一の部材を示すものであるので、ここでの説明は省略する。
これは、光の回折現象等によるものである。樹脂製遮光部の頂部の面積に対する透過領域の面積の比率、および、上記親液性層形成用層および上記マスク間の距離の少なくともいずれか一方を調整することで、光の回折現象等により、親液性層形成用層に照射されるエネルギーの照射量に勾配が生じ、その結果、親液性層形成用層に含有される材料が分解除去される量に勾配が生じる。
これにより、上記ブラックマトリクス用親液性層の上記着色層形成用塗工液との接触角が、上記樹脂製遮光部の基板側から頂部側に向かって高くなるように、上記着色層形成用塗工液の接触角に傾斜をもたせることができるのである。
また、上記樹脂製遮光部のように膜厚が比較的厚い場合、上記樹脂製遮光部の頂部側から基板側に向かって、上記親液性層形成用層および上記マスク間の距離が徐々に広くなることから、この上記親液性層形成用層および上記マスク間の距離に応じて、上記着色層形成用塗工液との接触角に傾斜をもたせることもできる。
上記樹脂製遮光部の頂部の面積に対する上記マスクの透過領域の面積の比率を調整することにより、上記着色層形成用塗工液との接触角に傾斜を生じさせる場合には、上記樹脂製遮光部の頂部の面積よりも上記マスクの透過領域の面積を大きくすることが好ましい。
これにより、樹脂製遮光部の側面上に形成されるブラックマトリクス用親液性層の、上記着色層形成用塗工液に対する接触角に傾斜をつけやすくなるからである。
本工程においては、上記光触媒含有層と親液性層形成用層とが対向するように上記光触媒含有層基板を配置する。その際の、上記光触媒含有層と上記親液性層との間隔としては、エネルギー照射に伴う光触媒の作用が及び得る間隙であれば良い。なお、間隙とは、光触媒含有層および親液性層形成用層が接触している状態も含むものとする。
光触媒含有層と親液性層形成用層との間隔は、具体的には、200μm以下であることが好ましい。光触媒含有層と親液性層形成用層とを所定の間隔をおいて配置することにより、酸素、水および光触媒作用により生じた活性酸素種が脱着しやすくなるからである。光触媒含有層と親液性層形成用層との間隔が上記範囲より広い場合には、光触媒作用により生じた活性酸素種が親液性層形成用層に届き難くなり、分解除去速度を遅くしてしまう可能性がある。逆に、光触媒含有層と親液性層形成用層との間隔を狭くしすぎると、酸素、水および光触媒作用により生じた活性酸素種が脱着しにくくなり、結果的に分解除去速度を遅くしてしまう可能性がある。
上記間隔は、パターン精度が極めて良好であり、光触媒の感度も高く、分解除去の効率が良好である点を考慮すると、0.2μm〜20μmの範囲内であることがより好ましく、さらに好ましくは1μm〜10μmの範囲内である。
一方、例えば300mm×300mmといった大面積のカラーフィルタを製造する場合には、上述したような微細な間隙を光触媒含有層基板と親液性層形成用層との間に設けることは極めて困難である。したがって、比較的大面積のカラーフィルタを製造する場合は、上記間隙は、5μm〜100μmの範囲内であることが好ましく、さらに好ましくは10μm〜75μmの範囲内である。上記間隙を上記範囲とすることにより、パターンがぼやける等のパターン精度の低下を抑制することができ、また光触媒の感度が悪化して分解等の効率が悪化するのを抑制することができるからである。
本工程においては、このような間隙をおいた配置状態は、少なくともエネルギー照射の間だけ維持されれば良い。
エネルギー照射方向は、光触媒含有層基板に遮光膜が形成されているか否か、あるいは、カラーフィルタの光の取り出し方向等により決定される。例えば、光触媒含有層基板に遮光膜が形成されており、光触媒含有層基板の基体が透明である場合は、光触媒含有層基板側からエネルギー照射が行なわれる。また例えば、光触媒含有層がパターン状に形成されている場合には、エネルギー照射方向は、上述したように、光触媒含有層の、親液性層形成用層と対向する面にエネルギーが照射されれば、いかなる方向であっても良い。さらに例えば、フォトマスクを用いる場合は、フォトマスクが配置された側からエネルギーが照射される。この場合、フォトマスクが配置された側が透明である必要がある。
本工程においては、上記光触媒含有層基板以外に、マスクとして別途フォトマスクを用いる場合、上記フォトマスクとしては、透過領域と遮光領域とを有するものであれば良く、一般的なものを用いることができる。
本工程において、上記光触媒含有層に照射されるエネルギーとしては、上記光触媒含有層に照射されることによる光触媒の作用により、上記親液性層形成用層を分解除去することができるものであれば良く、紫外線や、後述する真空紫外光等を用いることができる。
(b)真空紫外光照射方法
本工程における真空紫外光照射方法としては、マスクを介して真空紫外線を照射し、上記親液性層形成用層を所望のパターン状に分解等することができる方法であれば良い。
ここで、上記真空紫外光照射により上記親液性層形成用層が分解等される機構については、必ずしも明確ではないが、真空紫外光の照射が行われると、有機物の分子結合が、真空紫外光の作用により切断されたり、また酸素の存在下、酸素が励起されて発生する酸素原子ラジカルが有機物に作用を及ぼすことにより、有機物が分解物となり、この分解物が揮発除去されることで、パターン状に分解等された領域を形成することができると考えられる。
本工程に用いられる真空紫外光の波長は、酸素と作用することにより酸素ラジカルを発生できる範囲内であれば特に限定されるものでないが、通常100nm〜250nmの範囲内であることが好ましく、なかでも150nm〜200nmの範囲内であることが好ましい。波長が上記範囲よりも長いと酸素ラジカルの発生効率が低くなり、親液性層形成用層の分解等の効率が低下してしまう恐れがあるからである。また、波長が上記範囲よりも短いと、安定した真空紫外光の照射が困難となる可能性があるからである。
なお、上記波長範囲の真空紫外光の照射に用いられる光源としては、例えば、エキシマーランプ、低圧水銀ランプ、その他種々の光源を挙げることができる。
また、本工程における真空紫外光の照射量としては、上記親液性層形成用層を分解等することができる範囲内であれば特に限定されるものではなく、上記親液性層形成用層を構成する親液性材料の種類や、上記真空紫外光の波長等によって適宜調整すれば良い。
本工程に用いられるマスクとしては、透過領域と遮光領域とを有し、上記真空紫外光をパターン状に透過することができるものであれば良く、例えば、所望のパターン状に開口部を有するメタルマスクや、上記真空紫外光を透過することができる透明基材と、上記真空紫外光を遮光することができる遮光材料からなり、所望のパターン状の開口部を備える遮光領域とを有する透明マスクを挙げることができる。
上記メタルマスクの材料としては、上記真空紫外光を遮光することができるものであれば良く、例えば、特開2007−178783号公報等に記載されたものを用いることができる。
また、上記透明基材としては、上記真空紫外光を透過することができるものであれば良く、例えば、石英等を用いることができる。また、上記遮光領域を構成する遮光材料としては、クロム、酸化クロム等の金属薄膜等が挙げられる。
本工程において、上記真空紫外光を照射する方法としては、透過領域と遮光領域とを有するマスクを用いる場合、上記樹脂製遮光部の頂部の面積に対する上記マスクの透過領域の面積の比率、および、上記親液性層形成用層および上記マスク間の距離の少なくともいずれか一方を調整して、上記ブラックマトリクス用親液性層の上記着色層形成用塗工液との接触角が上記樹脂製遮光部の基板側から頂部側に向かって高くなるものとするようにしても良い。着色層の平坦性に特に優れたものとすることが可能となるからである。
また、真空紫外光は指向性の無い分散光であることから、マスクを介して真空紫外光を照射する場合は、上記マスクを上記親液性層形成用層に密着するように固定し、真空紫外光が上記親液性層形成用層とマスクとの間に回折しないものとしても良い。分解除去される箇所を精度良く調整することができるからである。
本工程においては、なかでも、上記樹脂製遮光部の頂部の面積に対する上記マスクの透過領域の面積の比率、および、上記親液性層形成用層および上記マスク間の距離の少なくともいずれか一方を調整して、上記ブラックマトリクス用親液性層の上記着色層形成用塗工液との接触角が上記樹脂製遮光部の基板側から頂部側に向かって高くなるものとするようにすることが好ましい。
例えば、上記の真空紫外光を照射する方法の場合、図10に例示するような、開口部に相当する透過領域42と、この透過領域42以外の領域である遮光領域43と有するメタルマスク30を用いることができる。この場合、上記樹脂製遮光部2の頂部の面積S1に対するメタルマスク30の透過領域42の面積S2の比率を調整することにより、上記着色層形成用塗工液との接触角が上記樹脂製遮光部2の基板側から頂部側に向かって高くなるように、ブラックマトリクス用親液性層を形成することができる。
なお、図10中の符号については、図5のものと同一の部材を示すものであるので、ここでの説明は省略する。
樹脂製遮光部の頂部の面積に対するマスクの透過領域の面積の比率を調整方法としては、上記「(a)光触媒分解方法」の項に記載した方法と同様とすることができる。
(c)その他の方法
また、本工程における分解除去方法としてのマスクを介したエネルギー照射方法としては、例えば、透過領域と遮光領域とを有するマスクを介して電子線、およびプラズマを照射する方法や、マスクを介して真空中でOラジカルの吹きつけ等する方法を挙げることができる。
また、この場合においても、上述した光触媒分解方法および真空紫外光照射方法と同様の方法により、上記ブラックマトリクス用親液性層の着色層形成用塗工液との接触角が上記樹脂製遮光部の基板側から頂部側に向かって高くなるものとしても良い。
(2)分解除去工程
本工程は、少なくとも上記樹脂製遮光部の頂部上の親液性層形成用層を分解除去し、ブラックマトリクス用親液性層を形成する工程であれば良い。
したがって、上記樹脂製遮光部の側面上の一部や、上記樹脂製遮光部が備える開口部内の基板上の親液性層形成用層を分解除去するものであっても良い。
本工程においては、なかでも、上記樹脂製遮光部が備える開口部内の基板上に、上記親液性材料からなる開口部内親液性層を形成するように、上記親液性層形成用層を分解除去するものであることが好ましい。具体的には、上記樹脂製遮光部が備える開口部に対応する位置に、遮光領域を有するマスクを介して分解除去が行われることが好ましい。
上記樹脂製遮光部の開口部表面、すなわち、上記樹脂製遮光部の開口部内の基板表面および樹脂製遮光部の側面を親液性とすることができるため、上記着色層形成工程を行なうことにより塗布される着色層形成用塗工液を開口部内で濡れ広がりやすくすることができる。したがって、上記開口部内において、上記着色層の薄い箇所や着色層が形成されない箇所である白抜けの発生を抑制することができ、色特性に優れた着色層を形成することができるからである。
なお、本工程が上記開口部内親液性層を形成する工程である場合には、上記親液性材料が、親液性透明材料であることが好ましい。上記開口部内親液性層を透明とすることができるため、発色および輝度等への影響が少ないものとすることができる。したがって、色特性に優れたものとすることができるからである。
本工程においては、少なくとも上記樹脂製遮光部の頂部上の親液性層形成用層を分解除去するものであれば良く、上記樹脂製遮光部の頂部上の親液性層形成用層の全てを分解除去するものであっても良く、上記頂部上の親液性層形成用層の一部を分解除去するものであっても良い。
また、本工程においては、上記頂部上の親液性層形成用層の一部を分解除去するものである場合、上記樹脂製遮光部の頂部上における上記親液性層形成用層の一部を分解除去し、残りの上記親液性層形成用層を構成する親液性材料等を変性させるものであっても良い。この場合、本工程後に形成される頂部撥液性ブラックマトリクスは、頂部に上記親液性材料の変性物等を有するものとなる。
また、本工程においては、上記親液性層形成用層の分解物等を除去する洗浄工程を有するものであっても良い。上述した分解除去方法のみでは、分解等された上記親液性材料を十分に除去することができない場合であっても、その分解物等を十分に除去することができるからである。
上記洗浄工程における洗浄方法としては、残存する分解等された親液性材料を風圧、吸引、液体により洗浄し除去する方法を挙げることができる。
また、本工程により形成されるブラックマトリクス用親液性層、開口部内親液性層および頂部撥液性ブラックマトリクスとしては、上記「A.カラーフィルタ」の「1.頂部撥液性ブラックマトリクス」の項に記載したものと同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
3.着色層形成工程
本発明における着色層形成工程は、上記分解除去工程後、上記頂部撥液性ブラックマトリクスが備える開口部に吐出法により着色層形成用塗工液を吐出して着色層を形成する工程である。
本工程における着色層の形成方法としては、上記頂部撥液性ブラックマトリクスが備える開口部に吐出法により着色層形成用塗工液を吐出して着色層を形成する方法であれば良い。このような吐出法、および吐出法を用いた着色層の形成方法としては、カラーフィルタの製造に一般的に用いられる方法を用いることができる。
具体的には、上記「A.カラーフィルタ」の項に記載した内容と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
なお、本工程により形成される着色層としては、上記「A.カラーフィルタ」の項に記載した内容と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
4.カラーフィルタの製造方法
本発明のカラーフィルタの製造方法は、上記親液性層形成用層形成工程、分解除去工程および着色層形成工程、を少なくとも有するものであるが、必要に応じて、一般的なカラーフィルタの製造に用いられる工程を有するものとすることができる。
このような工程としては、具体的には、上記着色層形成工程により形成される着色層上にオーバーコート層を形成するオーバーコート層形成工程、上記着色層上にITO,IZO等の透明電極を形成する透明電極形成工程、対向基板とのセルギャップを均一にするためのスペーサー材を所定の位置に形成するスペーサー形成工程、および、液晶の配向を制御するための構造物を形成する配向制御構造物形成工程等を挙げることができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
[実施例1]
無アルカリガラス基板の上に、撥液性の樹脂製遮光部をパターン形成し、その上に親液性層形成用層を形成し、その後、光触媒含有層を有する光触媒含有層基板を介して上記親液性層形成用層をパターン露光した。その後、露光部と非露光部の濡れ性を測定した。そして親液性領域に着色層を形成し、光学顕微鏡像にて着色層を観察した。
1.樹脂製遮光部の形成
まず、無アルカリガラス基板(旭硝子製)を、中性洗剤、超純水の順番に超音波洗浄し、UVオゾン処理を施した。
次に、上記基板の上にポジ型感光性材料であるポリイミド(PW1001東レ社製)と撥液性材料としてモディパーF200(日本油脂社製)とを有する撥液性遮光材料を、基板全面にスピンコート法により塗布した。このようにして、膜厚が1μmの上記撥液性遮光材料の塗膜を形成した。
なお、上記撥液性遮光材料は、上記ポリイミドとモディパーF200とが固形分濃度比で20:1になるように混合したものを用いた。
次に、上記塗膜を露光・現像し、ホットプレート上にて250℃、30分間加熱した。
この結果、幅50μmの開口部(ライン)および幅50μmの樹脂製遮光部(スペース)が交互に配置されたパターンを有するカラーフィルタ形成用基板を作製した。
上記樹脂製遮光部の平坦な箇所を選んで、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(BCA、表面張力28mN/m)に対する接触角を測定したところ55°であった。
2.親液性層形成用層の形成
次に、コポリ[3,3’−ヒドロキシ−テトラフェニルベンジジン/ジエチレングリコール]カーボネート(PC−TPD−DEG)をクロロホルムとトルエンの混合溶媒(重量比9:1)中に溶解させて塗布溶液を調製した。
上記基板の上に、上記塗布溶液をスピンコート法により塗布し、塗膜を形成した後、ホットプレート上で乾燥させた。
このようにして、親液性層形成用層としてのPC−TPD−DEG膜(15nm)を形成した。
上記親液性層形成用層の平坦な箇所を選んで、BCAに対する接触角を測定したところ12°であった。
3.光触媒含有層基板の作製
合成石英基板上に露光部と非露光部とが、スリット状のパターンに形成されたフォトマスクを用意した。なお、パターンの露光部の幅は30μm、非露光部の幅は70μmとした。
次いで、上記フォトマスク上に、下記組成の光触媒含有層形成用塗工液をスピンコーターにより塗布した後、150℃で10分間の加熱乾燥処理を施すことにより加水分解・重縮合反応を進行させて硬化させ、光触媒がオルガノシロキサン中に強固に固定された、膜厚200nmの透明な光触媒含有層を形成した。
このようにして、光触媒含有層を有する光触媒含有層基板を作製した。
<光触媒含有層形成用塗工液>
・二酸化チタン(石原産業(株)製、ST−K01)2質量部
・オルガノアルコキシシラン(東芝シリコーン(株)製、TSL8113)0.4重量部
・フルオロアルキルシラン(トーケムプロダクツ(株)製、MF−160E)0.3重量部
・イソプロピルアルコール3重量部
4.ブラックマトリクス用親液性層の形成
高圧水銀灯と、光触媒含有層基板および基板の位置調整機構を備える紫外露光装置を用い、光触媒含有層基板の露光部の中央が樹脂製遮光部の中央部に位置するように調整した。
次いで、光触媒含有層基板の光触媒含有層と上記樹脂製遮光部の頂部との間の距離が20μmになるように調整した後、上記光触媒含有層基板の裏面側から紫外光(253nmの光)を、露光量が200mJ/cmとなるように3分間露光し、上記樹脂製遮光部の側面に形成されたブラックマトリクス用親液性層および上記開口部に形成された開口部内親液性層を形成した。
また、それに伴い、上記樹脂製遮光部および上記樹脂製遮光部の側面に形成されたブラックマトリクス用親液性層を含み、頂部が撥液性を有する頂部撥液性ブラックマトリクスを形成した。
次いで、露光部および未露光部の接触角の測定を行った。ここで、上記頂部撥液性ブラックマトリクスの頂部および側面の接触角を測定することは困難である。そこで、露光部と未露光部とでパターン形成されていない平坦な箇所を選んで、BCAに対する接触角を測定した。その結果、露光部の接触角は40°、非露光部の接触角は12°であった。
5.着色層の形成
次に、上記開口部内に、吐出法により着色層形成用塗工液を塗布した後、130℃で20分乾燥させ、紫外線で硬化させることにより着色層を形成し、カラーフィルタを得た。
なお、上記着色層形成用塗工液としては、固形分20%(バインダー:顔料=1:1)、溶剤がBCAからなる青色カラーフィルタ層形成用の塗工液を用いた。
光学顕微鏡により形成した着色層の観察を行った。その結果、着色層は開口部内に表面形状が平坦で良好に形成されていることを確認した。
[実施例2]
253nmの紫外光の代わりに、真空紫外光を用いて2分間露光した以外は、実施例1と同様にして、上記樹脂製遮光部および上記樹脂製遮光部の側面に形成されたブラックマトリクス用親液性層を含み、頂部が撥液性を有する頂部撥液性ブラックマトリクスを有するカラーフィルタを作製した。
なお、真空紫外光としては、10mW/cmの照度で、波長が172nmの光を用いた。
また、露光部と未露光部とでパターン形成されていない平坦な箇所を選んで、BCAに対する接触角を測定したところ、露光部は44°、非露光部は12°であった。また、光学顕微鏡により形成した着色層の観察を行った。その結果、着色層は開口部内に表面形状が平坦で良好に形成されていることを確認した。
[実施例3]
露光部の幅が52μm、非露光部の幅が48μmのパターンを有するフォトマスクを用いた以外は、実施例1と同様にして、上記樹脂製遮光部および上記樹脂製遮光部の側面に形成されたブラックマトリクス用親液性層を含み、頂部が撥液性を有する頂部撥液性ブラックマトリクスを有するカラーフィルタを作製した。
光学顕微鏡により着色層の観察を行ったところ、着色層は、上記樹脂製遮光部により囲まれた樹脂製開口部に、実施例1よりも平坦で良好に形成されていた。
[比較例1]
露光部の幅が60μm、非露光部の幅が40μmのパターンを有するフォトマスクを用いた以外は、実施例1と同様にカラーフィルタを形成した。
なお、このようにして得られたカラーフィルタにおいては、上記樹脂製遮光部上に形成された親液性層形成用層の全表面が露光されており、上記樹脂製遮光部の側面に、ブラックマトリクス用親液性層が形成されていないものとなった。
光学顕微鏡により着色層の観察を行ったところ、着色層は上記樹脂製遮光部との間に剥がれが観察された。
[比較例2]
フォトマスクを用いた露光を実施しない以外は、実施例1と同様にカラーフィルタを形成した。
なお、このようにして得られたカラーフィルタにおいては、上記樹脂製遮光部上に形成された親液性層形成用層は分解除去されておらず、上記樹脂製遮光部の側面におよび頂部は親液性のものとなった。
光学顕微鏡により着色層の観察を行ったところ、着色層は樹脂製遮光部の頂部を乗り越えて隣接する開口部への流れ込みが発生した。また、着色層は平坦に形成されていなかった。
[評価結果のまとめ]
実施例1において、露光部の接触角が40°となった。一方、非露光部では12°に保たれていることから、本プロセスにより塗りわけパターニングができることがわかる。この結果は、光触媒含有層基板上で発生したスーパーオキサイドラジカルあるいはヒドロキシラジカルにより上記親液性層形成用層が分解され、表面が撥液性を有する樹脂製遮光部の撥液性が発現したものと考えられる。
なお、上述した光触媒含有層基板を用いないで、上記親液性層形成用層を上記紫外光(253nmの光)のみを実施例1と同条件で露光した場合には、露光した箇所のBCAに対する接触角を測定したところ、18°であった。
実施例2において、露光部の接触角が44°となった。一方未露光部では12°に保たれていることから、本プロセスにより塗りわけパターニングができることがわかる。
また、上述した光触媒含有層基板を用いないで、上記親液性層形成用層を真空紫外光で露光した場合、露光した箇所のBCAに対する接触角を測定したところ、34°であった。これは真空紫外光により発生した酸素ラジカルにより上記親液性層形成用層が分解された効果であると考えられる。また、上記光触媒含有層基板を用いた露光部の接触角は、44°と、上記光触媒含有層基板を用いないで、真空紫外光による露光のみを行った箇所に比べて、BCAに対する接触角が高くなっている。これは、光触媒の効果と真空紫外光による酸素ラジカルの両方の相乗効果で分解が促進されたためと考えられる。
実施例3において形成した着色層が、最も良好なものとすることができた。これは、樹脂製遮光部幅より2μm広く露光したことにより、樹脂製遮光部表面の親液性層形成用層が、上記樹脂製遮光部の基板側から頂部側にかけて、分解除去の程度が徐々に大きくなるように分解除去されたためと推測される。
このため、形成されたブラックマトリクス用親液性層の上記着色層形成用塗工液に対する接触角は、上記樹脂製遮光部の基板側から頂部側にかけて徐々に大きなものとなり、最適な濡れ性条件に調整されたためと推測される。
また、樹脂製遮光部側面が親液性である実施例1〜3においては、上記樹脂製遮光部の側面で、着色層の剥離が生じなかった。上記樹脂製遮光部側面が親液性であり着色材料との密着性が強く、剥がれの問題が生じていないと推測される。
一方、比較例1においては、上記樹脂製遮光部側面で、着色層の剥離が生じた。上記樹脂製遮光部の側面の親液性層形成用層が完全に分解除去されたことにより、完全に撥液性となったことにより、撥液性の樹脂製遮光部と着色層材料との密着性が弱く、乾燥の際に剥がれてしまったものと推測される。
以上、上述した実施例および比較例は、青色のみで着色層を形成した例であるが、赤色および緑色のカラーフィルタ層形成用の塗工液を用いた場合であっても同様の効果が得られた。また、赤、青、および緑色などを順次形成すればフルカラーのカラーフィルタに容易に適用可能である。
本発明のカラーフィルタの一例を示す概略平面図である。 図1のA−A線断面図である。 本発明のカラーフィルタの他の例を示す概略断面図である。 本発明におけるブラックマトリクス用親液性層を説明する説明図である。 本発明のカラーフィルタの製造方法の一例を示す工程図である。 本発明のカラーフィルタの製造方法の他の例を示す工程図である。 本発明に用いられる光触媒含有層基板の一例を示す概略断面図である。 本発明における分解除去工程を説明する説明図である。 本発明における分解除去工程を説明する説明図である。 本発明における分解除去工程を説明する説明図である。 従来のカラーフィルタの一例を示す概略断面図である。 従来のカラーフィルタの他の例を示す概略断面図である。 従来のカラーフィルタにおける着色層を説明する説明図である。
符号の説明
1、101 … 基板
2 … 樹脂製遮光部
3a … ブラックマトリクス用親液性層
3b … 開口部内親液性層
4 … 頂部撥液性ブラックマトリクス
5、105 … 着色層
10、100 … カラーフィルタ
20 … カラーフィルタ形成用基板
30 … メタルマスク
31 … 基体
32 … 光触媒含有層
33 … 遮光膜
34 … 光触媒含有層基板
104 … 遮光部

Claims (9)

  1. 基板と、
    前記基板上に形成され、表面が撥液性を有し、開口部を備える樹脂製遮光部、および、前記樹脂製遮光部の側面に少なくとも形成され、親液性材料からなるブラックマトリクス用親液性層を含み、頂部が撥液性を有する頂部撥液性ブラックマトリクスと、
    前記開口部内に形成され、前記頂部撥液性ブラックマトリクスの側面で前記ブラックマトリクス用親液性層に接する着色層と、
    を有することを特徴とするカラーフィルタ。
  2. 前記開口部内の基板上に形成され、前記親液性材料からなる開口部内親液性層を有し、
    前記親液性材料が、親液性透明材料であることを特徴とする請求項1に記載のカラーフィルタ。
  3. 前記ブラックマトリクス用親液性層の前記着色層の形成に用いられる着色層形成用塗工液との接触角が、前記樹脂製遮光部の基板側から頂部側に向かって高くなるものであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のカラーフィルタ。
  4. 前記着色層が、吐出法により形成されるものであることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載のカラーフィルタ。
  5. 基板と、前記基板上に形成され、表面が撥液性を有し、開口部を備える樹脂製遮光部と、を有するカラーフィルタ形成用基板を準備し、前記カラーフィルタ形成用基板上に、親液性材料を含む親液性層形成用層を形成する親液性層形成用層形成工程と、
    少なくとも前記樹脂製遮光部の頂部上の親液性層形成用層を分解除去し、ブラックマトリクス用親液性層を形成する分解除去工程と、
    前記分解除去工程後、前記開口部に、吐出法により着色層形成用塗工液を塗布して着色層を形成する着色層形成工程と、
    を有することを特徴とするカラーフィルタの製造方法。
  6. 前記分解除去工程が、前記樹脂製遮光部の開口部内の基板上に前記親液性材料からなる開口部内親液性層を形成するように、前記親液性層形成用層を分解除去するものであり、
    前記親液性材料が親液性透明材料であることを特徴とする請求項5に記載のカラーフィルタの製造方法。
  7. 前記分解除去工程が、マスクを介して、基体と、前記基体上に形成され、少なくとも光触媒を含有する光触媒含有層とを有する光触媒含有層基板を用い、前記光触媒含有層基板を前記光触媒含有層が前記親液性層形成用層と対向するように配置した状態で前記光触媒含有層にエネルギーを照射し、前記親液性層形成用層を分解除去するものであることを特徴とする請求項5または請求項6に記載のカラーフィルタの製造方法。
  8. 前記分解除去工程が、マスクを介して真空紫外光を照射し、前記親液性層形成用層を分解除去するものであることを特徴とする請求項5または請求項6に記載のカラーフィルタの製造方法。
  9. 前記マスクが透過領域と遮光領域とを有するものであり、前記樹脂製遮光部の頂部の面積に対する前記マスクの透過領域の面積の比率、および、前記親液性層形成用層および前記マスク間の距離の少なくともいずれか一方を調整して、前記ブラックマトリクス用親液性層の前記着色層形成用塗工液との接触角が前記樹脂製遮光部の基板側から頂部側に向かって高くなるように、前記親液性層形成用層を分解除去することを特徴とする請求項7または請求項8に記載のカラーフィルタの製造方法。
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