本発明にかかる個々分散型計測制御機器で構成される計測制御データ管理システムの一般的な構成例を図1に示す。図1ではデータ管理システム操作者とのGUI、及びデータ管理機器としてのPC(表示部10、システム制御部11、操作部12で構成される)、本データ管理システム1で計測制御機能の中心的な役割を分担する計測制御部7、特殊な計測を分担する個別計測器6、計測制御対象物2を制御するために使用する計測制御対象制御機器3、計測制御対象物2の概略動作状態を監視する個別監視機器8、各種センサ5、およびネットワークを構成するデータ管理機器・通信機器等9、で構成される。
計測制御データ管理システム1の各システム構成は、計測制御対象物2の特性を求める目的に合わせて各システム構成が変更される場合もある。
図2に計測制御データ管理システム1の計測制御機能の中心的な役割を分担する計測制御機部7の代表的な構成例を示す。
図2の計測制御機部7は、計測部70、入出力部71、メモリ72、信号処理部73、データ保存74、装置制御部75、モデル・シミュレーション部80、モデル作成部81、モデル82、制御値修正部83、シミュレーション部84、で構成される。また装置の操作をつかさどる外部機器としてシステム制御部11、操作部12、表示部10が計測制御機部7に内蔵される場合もある。
入出力部71は、計測制御機部7に関する信号入出力を行う手段である。具体的には、計測制御部7に関して有効な要因を入力信号として取得する機能と、取得した入力信号に対応した制御信号を出力する機能を有し、計測制御機部7に接続される計測制御対象物2に応じて、AD 変換器、DA変換器、I/O回路を任意の個数だけ任意に組合せたものである。
ここで、計測制御対象物2は、計測制御機部7で計測制御される対象を指し、直接接続される場合と、図1に示す計測制御対象物2を制御するために使用する制御対象制御機器3、計測制御対象物2の概略動作状態を監視する監視機器8、各種センサ5、およびネットワークを構成するデータ管理機器・通信機器等9、を介して接続する場合がある。
AD変換器(入力部)は、計測制御対象物2の現象把握、解析、制御等に必要な、任意の物理化学現象に関する入力信号をAD変換する手段である。 AD変換器でAD変換された信号は、後に行われるモデル・シミュレーション部80での制御や、信号処理部73での解析のため、メモリ72に一時保存される。
AD変換器に入力される入力信号の種類は、計測制御対象物2に応じて様々であるが、例えば、センサ5で検出される温度、歪み量、トルク量、圧力等の時系列信号があり、センサ5は入力信号の種類に応じて、温度センサ、圧力センサ等が選択され、計測制御対象物2に設置され、また計測制御対象制御機器3からの信号も含めネットワークを構成するデータ管理機器・通信機器等9、を介して接続される場合がある。
DA変換器(出力部)は、主として、計測制御対象物2に供給する制御信号をモデル・シミュレーション部80から出力して、DA変換する手段である。制御信号が繰り返し矩形波や正弦波等である場合には、DA変換器を介さずI/O回路から計測制御対象制御機器3の信号発生器や変調器等により制御対象物2に出力される場合もある。
I/O回路は、計測制御機部7と計測制御対象物2、計測制御対象制御機器3、およびデータ管理機器・通信機器等9とが、AD変換器やDA変換器を介さずに直接デジタル信号で入出力のやり取りが可能な場合に用いられるインターフェース回路である。
例えば、計測制御対象物2がデジタル入力部を有している場合には、モデル・シミュレーション部80から出力されるデジタル信号をI/O回路を介して計測制御対象制御機器3に供給することができ、また、計測制御対象物2に設置されたセンサがデジタル出力機能を有している場合には、そのセンサからの出力をI/O回路を介して計測制御機部7に入力することが出来る。
また、I/O回路は、任意の入力信号を変調出力する機能を有していても良いし、モデル・シミュレーション部80からの命令に応じて信号の入出力方向を転換する機能を有していてもよい。
モデル・シミュレーション部80は、モデル作成部81で作成された動作モデルのシミュレーションを実行する手段である。またモデル・シミュレーション部80は、装置制御部75を介して、計測制御対象物2から得られる任意の信号を、任意のタイミング、期間、分解能、サンプリング間隔等で入力するよう命令したり、AD変換器、DA変換器、I/O回路のうちどの手段のどのチャンネルを選択するか、入力感度、増幅率等のパラメータ設 定はどうするか等の命令を行う。
また、モデル・シミュレーション部80は、計測制御対象物2に対して制御信号を出力するための制御回路を備えており、装置制御部75に対して制御信号の出力を命令する。モデル・シミュレーション部80は、装置制御部75に対しては、メモリ72に保存された任意のデータを選択して、制御回路の動作に必要な演算処理を行うよう命令する。
信号処理部73は、メモリ72に一時保存された任意信号又はリアルタイムで入力部71に入力された任意信号について、信号処理を行う手段である。信号処理部73での信号処理結果は、後述するモデル作成部81での動作モデル作成の前段階に実行され、特に現象が複雑な動作モデル中のパラメータ決定要因となったり、または、シミュレーション部84でのシミュレーション実行中や装置制御部75の制御実行中における問題点の解決に利用される。信号処理部73での信号処理結果はデータ保存74に保存される。
また、信号処理部73は、後述する階層化され保存された保存データをネットワークを介して読み込まれたデータを装置制御部75により信号処理しデータ保存74に保存することもできる。
信号処理には、例えば、四則演算(加減乗除)、増幅演算(定倍)、論理演算(AND、OR、NOT、フリップフロップ、カウンタ等)、関数演算(平均値 演算、微積分演算、相関関数演算等)といった基本演算の他、これらの基本演算を組合わせて行われる最大最小ピーク値等の探索、フィルタリング処理、遅延時 間演算、ノーマライズ(相互に時間軸や振幅を統一して規格化すること)演算、重み付け係数演算、周期演算、FFT(高速フーリエ変換)演算等が含まれる。
尚、これら信号処理は、個々の1信号に対して行われるもの(微積分演算等)と、2以上の信号間又は、1信号(例えば時系列信号)中の複数の要素間で行われるもの(相関関数演算、ノーマライズ演算等)などがあり、これら信号処理手段は、個々の機能として、後述するモデル構成要素にもなる。
図2の計測制御機部7に示される表示部10は、信号処理部73での信号処理結果を数値やグラフ等で表示する手段である。ここでの信号処理結果には、モデル・シミュレーション部80でのシミュレーション実行結果、装置制御部75での制御実行結果が含まれる。
また、表示部10は、装置制御部75での制御状態(例えば、現在どのAD変換器が選択されどのような信号が入力されているか、パラメータはどうなっているか、どのような制御信号が出力されているか等)や、後述するモデル作成部81での動作モデル作成に必要なGUIや作成された動作モデルを表示することも出来る。
モデル作成部81は、計測制御対象物2の動作モデルを作成する手段である。ここで、作成される動作モデルには、計測制御対象物2、および計測制御機部7を含めた計測制御データ管理システム1の物理化学現象の把握に基づいて、物理化学現象を数式化、もしくはグラフ化される理論動作モデル、および理論動作モデルを装置制御部75が実行できるモデル構成要素の形に置換された制御動作モデルとがある。
本発明のような計測対象物を含む個々分散型計測制御機器の時系列データを計測、および解析する計測制御データ管理システム1では、モデル駆動型計測制御システムの場合、計測対象物の制御・計測を行うのはソフトウエアから出力される制御動作モデルで行う必要がある。
このためには、各計測制御データ管理システムではモデル化のために計測対象物を含む個々分散型計測制御機器をモデル表現するとともに、モデルの作成、変更、およびモデルでの制御動作モデルの出力を統一しておくことが色々なシステム対応に有効である。
本発明では、ソフトウエア構造を図3に示す構成により計測対象物を含む個々分散型計測制御機器をモデル表現するとともに、モデルの作成、変更、およびモデルでの制御動作モデルの出力を統一しておくことを実現している。
図3では計測制御データ管理システム1に使用されるソフトウエア構成の概要を示している。
図3ではソフトウエアのモデル化におけるデータの保存領域として理論動作モデル作成のための計測対象物を含む個々分散型計測制御機器をモデル表現するシステムデータの保存領域と計測制御データ管理システム1を制御・計測して得られる制御データを含む計測データの保存領域を区分して保存されることを示している。
このシステムデータは後述する対話型フローに従って計測対象物を含む個々分散型計測制御機器をモデル表現して、計測制御データ管理システム1を運転するために対話型ソフトウエアとして使用される部分である。
尚、モデル作成においては、計測制御対象物2自体の動作モデルを作成する前に、個々分散型計測制御機器の入出力信号やパラメータを決定するための計測制御ソフトとしての動作モデルが作成されてもよい。また、ここで作成された入出力信号やパラメータを決定するための動作モデルは、独立して実行可能であってもよいし、計測制御対象物2の動作モデルのサブルーチンモデル(サブモデル)であってもよい。この場合、計測制御対象物2の動作モデルは階層構造となる。
理論動作モデルは作成された後、計測対象物を含む個々分散型計測制御機器を制御する制御動作モデルに置換される。理論動作モデルを制御動作モデルに置換する過程では、表示部10上で操作部12の操作により、システムデータに保存されているモデル構成要素から、対話型により任意のモデル構成要素を選択し、モデル構成要素間の接続、入出力信号の仕様や各種パラメータの決定を行う。
これらの制御対象物2が使用するパラメータを決定するために、入力部71から信号が入力され、信号処理部73で信号処理を行うモデル構成要素が制御回路に接続されてもよい。
モデル構成要素とは、信号処理部73で行われる個々の演算処理(例えば、微分、積分、加算等)や、シミュレーションや制御に必要な個々の機能(例えば、スイッチ、表示等)を表すブロックであり、理論動作モデルに基づいて、モデル構成要素への分解が可能である。この制御動作モデルを構成するモデル構成要素は基本的には、計測対象物を含む個々分散型計測制御機器で実行される。
制御動作モデルからシミュレーション部84により一般的なパーソナルコンピュータ上でも動作可能であるコード、例えばバイナリーコード、のシミュレーション制御用コード、および計測対象物を含む個々分散型計測制御機器を制御できる動作可能なコード、例えば汎用プログラミングコード(例えば、C++)、の制御用コードに変換される。
制御用コードに基づいて、計測対象物2を含む個々分散型計測制御機器の制御(入出力に関する設定、制御信号の出力等)や信号処理部73の制御を行う。これにより、計測制御対象物1の実動作のみならず、計測部70の制御動作確認のためのシミュレーションや、実計測信号に基づいた実動作に限りなく近いシミュレーションが行われる。
また、図3では制御用コードに基づいて、個々分散型計測制御機器の制御により計測が行われ、得られた計測データを計測データファイルマネージャーで計測データファイルとして作成、および登録することを示している。この保存場所はシステム制御部11に含まれる半導体メモリ、ハードディスクなどの磁気ディスク、光磁気ディスク、光ディスク、など種々の媒体記憶媒体、計測制御部7、個別計測器6、および個別監視機器8のデータ保存部分でも良いが、計測データファイルマネージャーに予め保存領域、保存、および読み出し速度を登録しておくことにより、計測データファイルマネージャーにより計測データの保存、および読み出しが行われる。また、この保存場所はネットワーク機器を介して外部機器に保存しても良い。
本発明の計測制御データ管理システム1の実行は図4に示す対話型ソフトウエアに含まれる各種の設定機能を使用した計測定義ファイル実行して行われる。図4の例ではソフトウエアは計測制御データ管理システム1の制御項目、制御値に関する計測定義部、計測を実施して結果を表示する計測実行部、および計測手順を定義する計測定義ファイルで構成されている。
この計測定義ファイルで設定された手順により計測制御データ管理システム1の計測対象物を含む個々分散型計測制御機器の制御が実行される。
計測定義部は計測制御データ管理システム1のハードウエアとの関係を設定するハードウエア設定、計測制御パラメータの個別情報を保存するパラメータライブラリ、計測対象物2を含む個々分散型計測制御機器の計測点を設定する計測点設定、計測対象物2の個別パラメータの制御値を設定するパラメータ設定、および計測手順を設定するシーケンス設定で構成される。
計測実行部は計測定義ファイルで設定された計測制御の実施にかかわる計測指示・表示、計測定義ファイルの設定状態を確認する計測定義確認、および運転状態を監視する運転確認で構成される。
計測実行部では個々計測目的に応じて計測手順、制御パラメータの選択、制御値の設定を計測定義部から選択、設定し、運転手順を定義する。この制御パラメータを所定数だけ設定する方法は、図4の計測定義部のパラメータライブラリに予め設定されている制御パターンから選択して設定することもできる。
この計測定義部、計測実行部、および計測定義ファイルについて、表示部(図1中10)、および操作部(図1中12)を使用しながらシステム制御部(図1中11)で、画面の項目を選択する、もしくは値を入力する手法の対話型のGUIで行うために、順序は問題でなく、各計測点が矛盾なく設定されることが実現できる。
この計測定義ファイルの設定方法の手順を図5のフローで示す。計測定義ファイルの設定方法は計測制御データ管理システム1の操作部(図1中12)および表示部(図1中10)を用いて行われ、計測定義ファイルの作成準備(S410)、計測手順を設定するシーケンスを設定(S420)、制御パラメータを選択するパラメータの設定(S430)、計測点の設定(S440)、計測点の読み込み(S450)、さらに計測の一般的な設定項目の設定(S460)に従って行われ、また計測定義ファイル情報として出力される。実際操作としては、手順に従って表示される画面の項目を選択するもしくは値を入力する手法の対話型のGUIで行われる。
次に、本発明の中心となる計測データの管理面から計測制御データ管理システム1を説明する。
前述のように計測制御データ管理システム1のシステムデータとしてのモデルとして使用されるモデル要素、および計測用ソフトウエアは階層構造化され、保存(図3のシステムデータとして)される。
本発明では計測制御データ管理システム1での計測データについても、計測するごとに計測制御システムに使用する個別分散型計測制御機器が異なり、かつ、取り扱う計測制御項目が多く、さらに細部の測定が必要とされる計測制御システムにおいて、計測データの簡便な管理、さらにモデルに含まれる個別部分モデルの詳細な計測、および解析を目的とした個別部分モデルの作成、およびモデルの変更を行うために計測データを使用することを目的に、計測データを予め設定された階層化区分を行い保存することにより計測対象物の特性把握目的に合わせて時系列データを統一的、かつ効率的に読み出すことにより、計測者に計測対象物の特性把握目的に合わせた形態により表現が可能な計測制御データ管理システムを実現している。
図1に示す計測制御データ管理システム1で取扱う時系列計測データは計測制御対象物2、およびその計測制御目的に応じて、例えば、センサで検出される温度、歪み量、トルク量、圧力等の時系列信号があり、その解析項目によりデータ数、計測信号の大きさ、計測サンプリング周期、計測時間等により異なる。
本発明に関する計測制御データ管理システム1で取扱う計測制御対象物2、およびその計測制御目的を取扱う時系列データの時間領域を大別すると表1のように区分できる。
表1では計測制御対象物2の計測制御を行う場合、計測制御データ管理システム1を、操作者が計測制御対象物2の計測制御を全体として運転状態、および計測結果を把握でき、また、操作を開始・終了、もしくは計測制御対象物2の不具合動作を中断する行為を含めた取扱う人的対応時間の日・時・分・秒で表わされる時間領域、計測制御対象物2の特性、例えば機構物の動作時間、回転数、生体の心臓鼓動など、を把握するための計測制御対象物2のマクロ的な、概略特性が1表示結果として表現できる1〜100msecの時系列データの記録時間クロック、及び計測制御対象物2の特性の個別部分を更に詳細に、例えば車両のエンジンのノッキング現象解析、歯車の個々歯面の状態解析、心電波形の部分解析など、計測システムの物理現象の発生原因を時間限界値で解析したいミクロ的解析項目として、1〜100μsecでの時系列データのサンプリング周期の記録データのように、大別すると3段階に区分できることを示している。
本発明での計測制御データ管理システム1の個別分散型計測制御機器、その制御ソフト、および計測データの階層的保存方法について図6に示す概念図で説明する。図6では計測制御データ管理システムとして個別分散型計測制御機器は予めモデル駆動型計測制御システムとしてソフトウエアから制御動作が可能な構成機器とし、計測制御システムを運転する計測制御ソフトウエア、および計測対象物の特性把握目的とした各種アプリケーションソフトウエアが共通のプラットフォームで動作可能となっていることを示している。
またこの共通のプラットフォームにより計測制御部、個別計測器、個別監視機器、各種センサ、計測制御対象制御機器、および計測制御対象物が動作していることを示している。
また、計測データの保存階層を操作者が計測制御対象物2の計測制御を全体として運転状態、および計測結果を把握でき、主として表示上に全体概要データとして表現できる保存領域をそのサンプリング周期から10msec計測レーヤとして、計測制御対象物2のマクロ的な計測データを100μsec計測レーヤ、およびミクロ的な計測データを1μsec計測レーヤとして、3階層の計測レーヤとして計測データが保存されることを示している。
この3階層は、図13に示す計測制御データ管理システム1での操作者が計測制御対象物2の特性把握する大別される時間領域の具体化区分方法を示しており、階層区分は対象とする計測制御対象物2に応じて変更しても良い。
また、この3階層は、保存データの保存するときに計測定義ファイルの設定により計測データファイルマネージャーにより行われる。このなかには、計測データを信号処理によりサンプリング周期の間引き、データの平均化、区間計測値を区間先頭値での代替、複数データの加減乗除、相関計測等により、計測データのサンプリング周期の変更が行われても良い。この場合は、信号処理によりデータは変更されたサンプリング周期の保存場所に保存される。また、これらのサンプリング周期の変更を含む信号処理により、保存階層の関連付けを行っても良い。
また、一旦保存された各階層の計測データを読み出し、信号処理を加えて再保存される場合にも信号処理によりデータは変更されたサンプリング周期の保存場所に保存される。
この計測制御対象物2のマクロ的な、時系列データの例として図14の項目が挙げられる。
例えば、後述の実施例で示すように、計測制御データ管理システム1で車両のエンジンの特性を測定する場合、エンジンの特性はエンジンの回転数、および出力トルクで表わされることが多く、特性の概略を求める場合には、例えばアクセルを踏み込んだ場合のエンジンの回転数および出力トルクを求めるというように、エンジン回転数が0から12,000rpm(周波数換算すると200Hz)の現象を30秒間計測するように、解析目的に合わせて計測して、結果を0から30秒間の経過時間に対するエンジンの回転数、および出力トルクを表示することが挙げられる。
この場合、エンジン回転数は信号の周波数領域が0から200Hzなので計測としては100μsecサンプリング周期で計測し、平均化処理をして0から30秒間の推移を表示することが行われる。
この計測データはマクロ的な計測データとして計測データは100μsec計測レーヤ、また平均化処理されたデータは10msec計測レーヤに保存される。
この10msec計測レーヤとして、主としてPCによる計測、および表示を行う計測データの保存領域であることを示している。この保存レーヤはサンプリング周期10msecの計測データを保存し、保存される計測データとしては表示部上に表示される一般的な計測結果。例えば後述するエンジンベンチ試験装置では燃費効率、エンジン運転に対する回転数、出力トルクのトレンド値、などがある。
このような計測制御対象物2の基本的な特性を示すマクロ的な時系列データとしては表2で例示するようにエンジンにおけるエンジン回転数、軸回転計測での軸回転数、機器の移動現象に伴う位置情報、歪み量、など多岐に渡りその計測データはサンプリング周期で10msec、または100μsecレーヤに保存される。
100μsec計測レーヤとして、高速計測データとしてモデルおよび個々部分モデルを作成、および変更するためのシミュレーションモデルのための計測データの保存領域であり、この保存レーヤはサンプリング周期100μsecの計測データを保存し、保存される計測データとしては例えば、エンジンの制御パラメータに対する回転速度、トルク、燃焼特性、音・振動、など計測制御対象物2のマクロ的な、時系列データがある。
また、この100μsec計測レーヤで保存される計測データは、その信号処理により作成されるモデルおよび個々部分モデルを作成、および変更するためのシミュレーションモデルを用いて、計測制御システムでの計測制御対象物2をリアルタイムで制御して計測を行うことを想定しているレーヤでもあり、作成されたモデルにより、モデル駆動型の計測制御システムでの計測制御対象物2をリアルタイムでモデル要素を変更し制御する(通常は数μsec)とともに計測データを取得することを実現している。
また、この計測制御対象物2のミクロ的な、時系列データの例として図15の項目が挙げられる。例えば、車両分野でエンジンの燃焼特性を解析する場合、前述のアクセルを踏み込んだ場合のエンジンの回転数および出力トルクを求めると同時に、エンジンの燃焼サイクルの燃焼点火時期の時間的な近傍の筒内圧を時間的に高分解能で測定をしたい場合がある。この場合は、筒内圧を1μsec程度のサンプリング周期で測定することとなる。
これらの計測制御対象物2の詳細特性解析目的のためのミクロ的な時系列データは、図15で例示するようにエンジン燃焼現象解析のための排気温度、筒内圧測定、燃焼に伴う振動解析、軸回転における歯車の噛み合わせ、軸トルクの解析、歪み量、力、流量、など多岐に渡り、現象の周波数領域、計測するセンサおよび計測器能力で決められ、その計測データはサンプリング周期で1μsecレーヤに保存される。
また、1μsec計測レーヤとして、計測制御対象物2の物理的な現象を解析するため、また計測制御データ管理システム1が安全な領域で計測制御が行われているかの監視目的での高速計測データとして計測データの保蔵領域でもある。
このように、計測制御対象物2の計測システムの時系列データはその時間領域を大別して記録時間クロックは時・分・秒、1〜100msec、および1〜10μsecと大別され、データの保存はサンプリング周期で10msec、100μsec、および1μsecレーヤに区分して保存できる。
この大別するサンプリング周期の記録データは明確に区分されるものではなく、時系列データを計測するごとに計測制御システムに使用する個別分散型計測制御機器が異なり、かつ、取り扱う計測制御項目が多く、さらに細部の測定が必要とされる計測制御システムにおいて、計測データの簡便な管理、階層区分するのが目的であり、区分間にサンプリング周期がまたがっても良いし、階層化手法により更に多階層に区分しても良いが、計測制御データ管理システムとして統一された計測データ管理方法として予め設定されていることが重要である。
ここでは、計測データファイルの保存方法は計測時の計測サンプリングクロックを同期の取り易い、区切りの良い、また時間間隔が100倍にあたる10msec、100μsec、または1μsecに区分して計測レーヤに保存しているが、これらの階層数、サンプリング時間に限定する必要はない。
本計測制御データ管理システム1で取扱う計測制御対象物2、およびその計測制御目的を取扱う時系列データの保存容量から見ると、計測データは計測をスタートさせると経過時間により自動的にデータが取得・メモリに格納される。このデータ量はサンプリング時間10msec、計測項目数8ch(チャンネル)、及び計測時間を30秒とすると
データ容量は24kバイト出よいが、サンプリング時間100μsec、計測項目数8ch(チャンネル)、及び計測時間を30秒だと2.4Mバイト、サンプリング時間1μsec、計測項目数8ch(チャンネル)及び計測時間を30秒だと240Mバイトにもなる。
これに対し、計測者が表示機器、もしくはプリント出力により計測制御対象物2の一目で特性把握を行えるデータ容量はせいぜい8ch、1000〜2000点のデータ、8〜16kバイト程度であり大多数のデータは途中のフイルタリング、平均化、解析手法により捨て去られているといえる。例えば、後述するエンジンの特性を表わすためにはエンジンの回転数に対する気筒内圧変動、排気ガス温度の変動、のような計測対象要素を定めて計測する場合が多く必要データ数は数Mバイトの計測データから、信号処理などにより上記8〜16kバイトのデータに変換している。
また、モデル駆動型の計測制御システムの場合、全体モデルを個別部分モデルに区分して、個別モデルのモデル化精度を向上させて計測制御対象物2の特性をより細かく把握する目的から計測データをさらに細かく計測する要請が増加し、エンジンの気筒内圧変動、ノッキング状態解析などサンプリング周期1μsecでの計測データの必要性が増加している。
また、モデル駆動型の計測制御システムでの計測制御対象物2をリアルタイムで計測データでモデル要素を変更し制御するとともに計測データを取得することも必要とされている。
このためには、リアルタイムでの制御サイクル(通常は数μsec)時間内での計測データでのモデル要素変更が求めれている。
さらに、モデル駆動型の計測制御システムの自動運転での計測制御対象物2を運転して計測データを取得するために、計測制御対象物2の運転領域を、例えばエンジンであれば過大温度領域に至らない、ノッキング・失火領域に至らない安全な範囲で運転するためのリアルタイム監視機器での安全モニタが必要とされ、これらの計測データはサンプリング周期1μsecが必要とされている。
これらの要請は電子回路・計測技術の発達とともに高速化しているといえる。また、同様な側面から半導体技術の向上による記憶容量の増大に伴い計測制御装置における計測データを経過時間に従い全データを取得・メモリに格納することが容易になってきたといえる。これらを背景として、計測制御システムを高機能化し、かつメモリ容量の増加とともに計測器を用いてより高速現象解析が求められてきていて、増大する計測データに対する新たな計測制御データ管理システムが必要とされている。
すなわち、モデル駆動型の計測制御システムでは、計測制御対象物2をリアルタイムで制御モデル制御するためには100μsec計測レーヤのデータを使用する必要があり、計測の概要を見るために10msec計測レーヤのデータを使用することになる。この場合、計測時間を前述例の30秒では10msec計測レーヤでは24kバイト程度であるが、100μsec計測レーヤでは2.4Mバイトにもなる。従ってリアルタイムでモデル駆動型の計測制御システムでは計測データを区分しておくことがきわめて重要となる。
本発明では複数の個別分散型計測制御機器の計測制御データ管理システムを実現するために、特に計測対象物の特性把握目的に合わせで、計測データがサンプリング周期が1μsecから10msec、と広く、計測時間も数10秒、かつ計測項目も多種類に渡るために計測データが膨大な容量となり、これらの計測データを保存し、この保存されたデータを友好的に検索、および読み出すために、計測データの保存方法を予め決められた階層に区分して、計測制御データ管理システム内で統一的に使用することにより、また、計測制御データ管理システムの各構成機器、計測データの管理方法、計測データの読み出し、および使用方法について予め決められた条件を設定することにより実現している。
また、図6によると計測制御データ管理システムとして個別分散型計測制御機器は予めモデル駆動型計測制御システムとしてソフトウエアから制御動作が可能な構成機器とし、計測制御システムを運転する計測制御ソフトウエア、および計測対象物の特性把握目的とした各種アプリケーションソフトウエアが共通のプラットフォームで動作可能となっていることから、計測制御データ管理システム1の計測対象物を含む個々分散型計測制御機器がモデル駆動動作を実行でき、計測定義ファイルで設定された手順によりの制御が実行されることになる。また、個々分散型計測制御機器の機能に応じて10msec、100μsec、または1μsecのサンプリング周期で計測データが取得できる。
また、個々分散型計測制御機器の基準時刻を合わせることにより、計測された計測データは時間同期が得られる計測データとすることが出来ている。また、保存される計測データについては計測開始時間、およびサンプリング周期を計測データに負荷した形でファイル化することにより読み出し時に同期関係にあるデータとして使用することが出来る。
さらに計測された計測データは計測定義ファイルで設定された計測項目、計測開始時刻、計測時間、および計測サンプリング周期情報により、データ種類とデータの使用可能性、計測データの容量の推定値から計測データの保存レーヤを設定しておき、予め登録される保存領域、保存、および読み出し速度の個別構成機器の保存場所情報により保存場所を設定しておくことにより、計測データファイルマネージャーで計測データをファイルとして作成、および登録することとしている。
また、保存レーヤは設定された階層化区分を行い保存することにより計測対象物の特性把握目的に合わせて時系列データを統一的、かつ効率的に読み出すことにより、計測者に計測対象物の特性把握目的に合わせた形態により表現が可能な計測制御データ管理システムを実現している。
本発明では計測制御データ管理システム1での計測データについても、計測するごとに計測制御システムに使用する個別分散型計測制御機器が異なり、かつ、取り扱う計測制御項目が多く、さらに細部の測定が必要とされる計測制御システムにおいて、計測データの簡便な管理、さらにモデルに含まれる個別部分モデルの詳細な計測、および解析を目的とした個別部分モデルの作成、およびモデルの変更を行うために計測データを使用することを目的に、計測データを予め設定された階層化区分を行い保存することにより計測対象物の特性把握目的に合わせて時系列データを統一的、かつ効率的に読み出すことにより、計測者に計測対象物の特性把握目的に合わせた形態により表現が可能な計測制御データ管理システムを実現している。
計測データの保存場所は本発明にかかわる分散型計測制御機器を組み合わせた計測制御データ管理システム1の場合計測データの内容、および計測データの収集されるサンプリング周期により保存場所が異なる。この計測データの保存方法、及び場所について構成を示す図9、および計測フローチャートを示す図10を用いて説明する。
図9に示す各構成機器は、図1に示す個々分散型計測制御機器で構成される計測制御データ管理システムと同一物を計測データの流れから表現したもので、図9中の構成機器の番号は図1と同じである。
図9では計測制御対象物2についての制御信号、および計測信号が計測制御対象制御機器3、及び計測信号が個別計測器6、個別監視機器8により計測される。この際、計測される計測データは計測制御データ管理システム1を運転する計測定義ファイルによる手順により定められた手順により実行される。
この際、計測データの収集は計測定義ファイルで設定される初期条件、及び計測条件、計測ch、および計測サンプリング周期が、計測制御部、個別計測器、および個別監視機器に対して設定される(図10の610)。計測開始指令により各構成機器で計測が開始され計測データが計測条件、計測ch、および計測サンプリング周期により各構成機器のメモリに各計測データを独立して一時的に保存される。
保存された計測データは計測定義ファイルで設定される初期条件、及び計測条件、計測ch、および計測サンプリング周期に基づいて計測され、定められている一時的な保存場所に経時的に間保存され、お互いの計測データは独立していて相互関係はない。
次に、計測データは計測定義ファイルで設定された処理条件で、例えばノイズ処理、平均化、等の信号処理を行うかもしくはそのままの形式で計測情報を負荷する(615、625,635)。
この時刻情報の計測データへの負荷方法は計測データをブロックとして扱い、各構成機器のサンプリング開始時刻、サンプリング周期をデータとして付加しても良いし、個別計測データ毎にサンプリング時刻、またはサンプリング開始からの番号を負荷しても良いが、計測データとしてファイル保存後、個別データの時刻が判別できる時刻データが計測データに負荷されれば良い。
また、個別計測データの判別性は計測開始時刻、およびサンプリング周期によりその時間的同期性を保たせているために、計測制御データ管理システムを構成する個々分散型計測制御機器の基準時間は全て同期しておくことが必要である。
この時刻データを負荷された計測データが計測制御部7を介して計測定義ファイルで設定されるシステム制御部のファイル保存場所にデータ転送され保存される(616)。この際、計測データのサンプリング周期に応じて定常・低速ファイル(10msec計測レーヤ)、マクロデータファイル(100μsec計測レーヤ)、ミクロデータファイル(1μsec計測レーヤ)と区分して保存される。
この際、保存されるファイルには計測定義ファイルで設定される初期条件、及び計測条件、計測ch、および計測サンプリング周期に基づいてファイル名がシステム制御部11内の計測データ登録手段により登録される。このファイル名称は、データ読み出しの際の検索として使用され計測制御データ管理システム1内でファイル名が重複されないように登録される。
以上の処理を計測制御対象物についての制御信号、および計測信号が計測制御機器、及び計測信号が個別計測器、個別監視機器により計測ごとに繰り返して計測データのサンプリング周期に応じて定常・低速ファイル、マクロデータファイル、ミクロデータファイルと区分して時系列データがそれぞれ保存され、記録媒体において階層的な時系列データベースが構築される。
この保存された計測データは計測制御データ管理システム1で使用される目的に応じてシステム制御部11により計測データファイルマネージャーを用いて読み出される。
読み出し方法は、計測データファイルマネージャーを用いてシステム制御部11内の計測データ登録手段により登録されたファイル名、および計測項目、計測ch、計測開始時間および計測サンプリング周期でも、検索し読み出すことが出来る。保存された階層的な時系列データベースからデータを読み出す際の処理は、階層的に保存された時系列データに対して、データ読み出し要求が与えられた場合、システム制御部11に設けられた計測データファイルマネージャにより、どのサンプリング周期で読み出すことが最適かを判断し、その最適なサンプリング周期の時系列データのファイルにアクセスして読み出す。
この読み出された計測データは保存される保存レーヤでサンプリング周期は異なるデータも読み出されるが、保存時に計測開始時間および計測サンプリング周期を負荷していることにより同期性は保たれている。
これにより、時系列データを予め複数のサンプリング周期で保存することにで、多様なデータ読み出し要求に対しても、任意の時期の最適なサンプリング周期のデータを容易に選択して読み出すことができるので、無駄なデータ読み出し処理を削減でき、効率良くデータ読み出しを行うことができる。よって、大量のデータを保存する場合であっても、必要なデータの読み出しにかかる一連の処理を非常に高速化することが可能となる。
読み出された計測データは計測定義ファイルで定義されたシーケンスに従って、複数個の計測データを用いて信号処理を行うこともでき、モデル・シミュレーション部80でのモデル作成用に用いることもできる。
計測データをシステム制御部のファイル保存場所に保存する際に、時刻情報の計測データへの負荷方法は計測データをブロックとして扱い、各構成機器のサンプリング開始時刻、サンプリング周期をデータとして付加しても良いし、個別計測データ毎にサンプリング時刻、またはサンプリング開始からの番号を負荷しても良いが、この個別計測データ毎にサンプリング時刻、またはサンプリング開始からの番号の負荷は計測データの読み出し時に負荷する方法でも良く、読み出された個別データが個別データの時刻が判別できる方法であれば良い。
本発明の好適な実施例として、計測制御対象物2としてエンジンを用いたエンジン計測システムを図7に示す。
図7は、エンジンの自動測定方法を実行できるエンジン計測システム21の概略接続構成を示す図である。エンジン計システム21は、試験対象たるエンジン22、エンジン22に接続されたダイナモメータ23、エンジン22及びダイナモメータ23を固定する架台(エンジンベンチ)24を備える。このエンジン計測システム21は、エンジン22以外の実機部分(トランスミッション、タイヤ等)を接続することなくエンジン22単体での性能測定・評価を行なう台上試験において用いられる。
本実施の形態では、エンジン22の出力軸には、ユニバーサルジョイント等の連結手段を介してトルク伝達軸25の一端が接続されており、トルク伝達軸25の他端には回転数検出器、トルクメータ等の各種検出器31が接続され、検出器31を介してダイナモメータ23に接続している。また、トルク伝達軸25には、検出器31の他、クラッチ、変速機、各種の連結手段等が台上試験の目的に応じて挿入されていてもよい。
更に、エンジン計測システム21は、エンジン制御部41、ダイナモメータ制御部42、計測制御部43、システム制御部11、表示部10、操作部12、エンジン22の排気温度を測定するセンサ32と、エンジン22のノッキングを検出するセンサ33(図示はしていない)を備えている。
エンジン制御部41は、エンジン22に接続され、エンジン22のスロットル開度を制御する手段である。エンジン制御部41がエンジン22に所定のスロットル開度を与えることによって、エンジン22は所定の回転数で動作し、そのトルクはトルク伝達軸25を介してダイナモメータ23に伝達される。つまり、エンジン22の回転数は、スロットル開度を制御することによって制御されるものである。
ダイナモメータ制御部42は、ダイナモメータ23に接続され、ダイナモメータ23に印加する電流・電圧を可変制御する手段である。ダイナモメータ23の電流・電圧を可変制御することによってダイナモメータ23に接続されたエンジン22の負荷トルクが制御される。
計測制御部43は、エンジン制御部41の制御、ダイナモメータ制御部41の制御、後述するシステム制御部11、表示部10の制御を総合的に行なう手段である。なお、計測制御部43は、例えば、図示しない操作入力部からの指示に基づいて動作するものであってもよい。
また、計測制御部43は、エンジン計測システム21を用いてエンジン22を自動運転して計測するためのモデル駆動するための、後述するモデル作成機能、モデル修正機能、モデルで計測システムを制御するためのモデル・シミュレーション部(図2の80)を備えている。つまり、計測制御部43は、モデルシミュレーション部80、システム制御部11によりエンジン制御部3を介してエンジン22の制御することによってエンジンを動作させるものである。
計測制御部43は、詳細は図1に示す計測制御データ管理システム1の計測制御部7の構成、機能、内容は同じであり図2にその構成が示される。図2に示すように、計測部70、メモリ72、信号処理部73、データ保存74を備えており、システム制御部11の指令に基づき装置制御部75により動作する。尚、計測部70や表示部10を制御するシステム制御部が、エンジン制御部41とダイナモメータ制御部42を制御するシステム制御部11と別に用意されていてもよい。
図7の例に示すように計測制御部43により、システム制御部11の指令に基づきネットワークを介してエンジン制御部41及びダイナモメータ制御部42の制御を行い、予め決められた試験条件下で試験が行なわれている間に検出器、例えばエンジン排気温度センサ32、トルクメータ31から得られた計測データの収集、及び、同期間にエンジン制御部43からエンジン22に与えられたスロットル開度等の制御の時系列データが収集される。尚、これらの計測制御対象物としてエンジン22の制御のための時系列データ、及び計測データが同時に収集できればよく、その目的に合わせて図2に示すような各種センサ、個別計測器からの信号を収集する計測制御システムが構築される。
計測制御部43は、図1に示す計測制御データ管理システム1の計測制御部7の構成、機能、内容は同じであり図2にその構成が示されように、計測データがアナログ信号である場合には、A/D変換器を備えており、デジタル信号に変換される。測定データがデジタル信号である場合にはA/D変換器は不要であるが、いずれにせよ、入力される複数の測定データは、信号処理部73の処理のため、相互に時間的同期がとれている必要がある。
メモリ72は、計測制御部43で収集された計測データ及び信号処理部73で演算されたデータを一時格納する手段であり、信号処理部73は、メモリ72に格納されたデータに基づいて、各種の演算を行なう手段である。
表示部10は、計測データや、信号処理部73での演算結果や、データ保存74での保存データを表示する手段である。具体的に、表示部10は、個々の計測データや演算結果のみならず、複数のデータの関係グラフや、軌跡や、度数分布表や、標準偏差グラフ等を表示することが出来る。もちろん、計測データと信号処理部73での演算結果とは、同一時間におけるものであれば、組み合わせて同一画面に表示することも可能である。
表示部10において、例えば、スロットル開度をパラメータとした時のエンジントルクと回転数の関係特性をグラフ表示することによって、エンジン22の基本性能を視覚的に一目で把握することが可能となる。また、同様に、試験条件、制御データ、及び計測データ、有効ないし妥当なものであるか否かを容易に把握することが可能となる。
以下、エンジン計測システム21を用いてのエンジンの自動計測方法について、エンジン22を運転して、エンジン性能を表わすトルク、回転数とエンジンの制御特性を示す燃料注入量、空気注入量、燃料と空気の混合比、更にガソリンエンジンの場合には点火時間、ジーゼルエンジンの場合には燃料噴射制御方法等の制御パラメータの計測を行うことで、エンジンの特性を求める方法を図8のフローチャートを参照して説明する。
エンジン計測システム21を用いてのモデル駆動型エンジンの性能試験は、図8に示すモデルの作成(S200)、作成したモデル以外の統合モデルの作成と、作成したモデルへのフィードバック(S300)、及び統合モデルと作成したモデルを組み合わせたシミュレーションと各モデルへのフィードバック(S400)の大まかなフローにより実施される。以下、各フローの詳細について説明する。
まず、エンジン計測システム21は、作成したいモデルのための計測データを取得するための試験条件を設定する(S210)。本実施例での試験条件は、システム制御部11で実験計画法等の公知の手法に従って設定される。この試験条件の設定例は前述の図5に示される計測定義ファイルの設定方法で行われても良い。
このように設定された試験条件に従って、システム制御部11が、エンジン制御部3及びダイナモメータ制御部4を駆動制御して、台上試験を実施し、各種データを計測して、時系列データとして入力部71に入力し、メモリ72に格納する(S220)。
次に、信号処理部73で、計測されたデータについて、ノイズ除去等の信号処理を行い(S230)、モデル作成部81は、計測データにより個別モデル作成を行なうとともに、モデルの精度向上・モデル修正のためのシミュレーションを行なう(S240)。
作成されたモデルは、予め保存されているその他の部分モデル、もしくは全体モデルの変更を含め全体モデルに統合され、個別モデルの場合と同様にモデルの精度向上・モデル修正のためのシミュレーションを行なう(S340)。これらのその他の部分モデル、もしくは全体モデルは新たに作成しても、また保存されているモデル(S310)を用いても良い。
この統合モデルから、前述の制御パラメータの設定、および計測制御対象物2の運転手順を定める動作モデルがモデル作成部81で作成され、計測制御対象物2から得られる任意の信号を、任意のタイミング、期間、分解能、サンプリング間隔等で入力するよう命令したり、AD変換器、DA変換器、I/O回路のうちどの手段のどのチャンネルを選択するか、入力感度、増幅率等のパラメータ設定はどうするか等の命令を行い(S420)、計測が実行される(S430)。計測結果が不満足な場合は、さらの計測制御対象物2の制御条件を変更して再計測が行われる(S460)。
このモデル駆動型のエンジン計測システム21を用いて計測制御対象物2の特性の計測を行う場合、個別分散型計測制御機器が異なり、かつ、取り扱う計測制御項目が多く、さらに細部の測定が必要とされるシステムに使用される多岐に渡るシステムデータ、および計測データを統一的、かつ効率的に管理するために、本発明の計測制御対象物2の計測システムの時系列データをその時間領域を大別して記録時間クロックは時・分・秒、1〜100msec 、および1〜10μsecと大別して保存される。
この運転手順はエンジン計測システムをモデル駆動型のアプリケーションソフトで行われ、前述のモデル化、計測条件の設定はアプリケーションソフト(図3参照)に内蔵される計測定義ファイル(図4参照)を対話型で設定することにより行われる。
本発明にかかる計測データの流れの詳細を説明する。具体的には図7で示されるエンジン計測システム21で、エンジン制御部41、ダイナモメータ制御部42、個別計測器6、個別監視機器8で計測される時系列データは計測制御部43に入力され、制御モデルで設定された試験条件に従って保存される。ここで計測制御部43の構成、および機能は図2に示す計測制御部と同一であり、時系列計測データがメモリ72に一時的に保存され、装置制御部75により信号処理が行われデータ保存74に計測データとして保存される。
エンジン計測システム21を構成する個別計測器6、個別監視機器8もアプリケーションソフト(図3参照)に内蔵される計測定義ファイル(図4参照)に基づいて、各機器に計測データとして、同様に保存される。
以下、本実施例の図7で示されるエンジン計測システム21で計測データの保存方法の詳細について説明する。
本発明にかかるデータの計測方法は図4に示す例の構成のソフトウエアで実現される。図4の例ではソフトウエアは計測での制御項目、制御値に関する計測定義部、計測を実施し結果を表示する計測実行部、および計測計手順を定義する計測定義ファイルで構成されている。この計測定義ファイルで設定された手順によりエンジン計測システム21についてシステム制御部(図7中11)で運転パターンが発生され、エンジン制御部(図7中41)、ダイナモメータ制御部(図7中42)、およびシミュレーション部(図7中43の計測制御部に含まれる)により実機エンジンが運転される。
計測定義部、計測実行部の設定方法については前述しているので省略するが、ここでエンジンの制御パラメータ、および計測パラメータの計測によりエンジンのモデルを作成する場合について説明する。
図11にエンジンのモデルを作成する上での入出力信号の概念図を示す。図11ではエンジンをECUを介して制御する制御パラメータとその出力値の計測パラメータとECUを制御するパラメータの関係を示している。
エンジンを制御する制御パラメータとしての入力信号はスロットル開度指令値、回転数、VVT指令値、EGR指令値、燃料噴射時間指令値、点火進角指令値等がある。また、エンジンの出力信号としての計測パラメータにはトルク、回転数、排気ガス温度、AFR、排気ガス濃度、触媒温度、等がある。
ここでは、説明の簡略化から、多くの制御パラメータについてのエンジンモデルを作成する必要があるが、本実施例のエンジンモデルの作成方法については、試験対象のエンジン22の性能を評価する指標のうち基本的なパラメータとされる、スロットル開度指令値、回転数、VVT指令値、EGR指令値、燃料噴射時間指令値、点火進角指令値とエンジンの排気温度への影響をシミュレーションできるエンジンのモデルを作成することを例として示す。
ここに例示するエンジン22の場合、エンジンでは吸気路から空気が吸入され、噴射される燃料によって混合気になり、この混合気の点火による燃焼ガスが排気路により排気される構造となっている。この吸気通路からの空気の吸入及び排気路への排気の各タイミングは、それぞれ吸気バルブ及び排気バルブの開弁タイミングによって設定される。そして、ここに例示するエンジン22の場合、この吸気バルブの開弁タイミングは、可変バルブタイミング機構(以下VVTという)によって可変設定されている。
また、エンジン22の燃焼室に取り込まれる空気量は、吸気路の途中に設けられた電子制御スロットルによって調量される。また、排気路へ排出された排気の一部は、EGRバルブの開弁量によって調量せれ、EGR通路を介して吸気路に戻されている。
エンジンには複数個の制御パラメータ、および計測パラメータがある。またエンジンは、ECUを用いて電子的に制御されるのが一般的であるが図11の概念図で示すようにエンジンの回転数、必要トルクをアクセル信号で制御するが、エンジンの各部の制御はECU内に格納される制御マップで決められる点火時期、燃料噴射時間指令値、点火進角指令値、VVT指令値、EGR指令値、等で制御される。
また、エンジンの性能評価項目としての計測される出力信号にはトルク、回転数、排気ガス温度、AFR、排気ガス濃度、触媒温度、等がある。エンジンモデルとはこれらの入出力信号の関係を示す数式、もしくは数表表現物である。
このエンジンモデルの構成部分モデルについては、供試エンジン、エンジンの試験項目、入力信号の種類、出力信号計測用のセンサにより変更され、またモデルの使用目的により変更される。
このエンジン計測システム21を用いてエンジンの計測を行う手順を図8に示すフローチャートで説明する。まず、エンジンを設置後(S210)、エンジンのモデル化および運転可能領域を探査するためにラフな計測(S220)が行われる。
まず、エンジン計測システム21は、システム制御部(図7中11)により実験計画法等で設定され、動作条件としての初期条件を設定する。本実施の形態での初期条件は、エンジン回転数が2500rpm、スロットル開度が25%等のベースマップ点に燃料噴射時間指令値、点火進角指令値等の実機エンジン制御条件を設定してトルク、排気温度、AFR値等の計測データを得ることによりエンジン性能を測定する。
この供試エンジン制御条件の項目はモデル化するエンジンの種類、エンジンの試験項目、作成するモデルの細分化程度により異なるが、前記スロットル開度指令値、燃料噴射時間指令値、回転数、点火進角指令値、に加えてVVT指令値、EGR開度指令値、等が加えられる。
また計測データもトルク、排気温度、ノッキングセンサ値、AFR値、に加えて吸入空気量、排気圧、排気ガス成分、排気ガス触媒温度等が計測制御部43、個別計測器6、個別監視機器8で求められる。
また供試エンジン制御条件の設定値は評価する計測データの使用目的に応じて、定常試験方法、または過渡試験方法が用いられる。図12に示す計測データの例では、最下段の点火進角の制御指令値に定常試験方法、または過渡試験方法を使用している。
本実施例の図12では、実機エンジン制御パラメータとして点火進角指令値として、計測データの、エンジン回転数、スロットル開度、トルク、吸入空気量、排気温度の時系列データが計測例を示している。この制御パラメータ、および計測データは実機エンジン制御条件の設定値は評価する計測データの使用目的に応じてシステム制御部(図7中11)で設定される。また図12では、点火進角の制御手順が過渡試験、定常試験、過渡試験という順番で試験が行なわれるようになっているが、特にこの順序に限らない。
このように設定された試験条件に従って、システム制御部(図7中11)が、エンジン制御部41及びダイナモメータ制御部42を駆動制御して、台上試験を実施し、各種データを測定して、計測制御部43、個別計測器6、個別監視機器8に入力し、それぞれのメモリに格納する。図12が計測結果の例を表すデータであり、最下段に示される点火進角(図12中、G)の値に応じて、最上段から順に、A/F(空燃比)(図12中、A)、エンジン回転数(図12中、B)、スロットル開度(図12中、C)、トルク(図12中、D)、吸入空気量(図12中、E)、排気温度(図12中、F)の時系列データが計測されたことが分かる。
ラフな計測(S220)で得られた計測データを用いて供試エンジンのモデルが作成される。モデル化方法は、測定されたトルク(エンジン出力の計測パラメータ)を、同様に測定された回転数、アクセル開度、燃料噴射時間、点火進角等の制御パラメータの関数として表現することにより行う。
具体的なモデル作成方法については本発明者による特開2007−163164号公報により方法の詳細が開示されていて、またモデル作成方法については本件出願については発明の構成の主要部分では無いので説明を省略する。
また、このモデルはラフな計測(S220)で得られた計測データを用いて新たに作成しても良いし、供試エンジンと同等と思われる同等の予め作成されているモデルを用いても良く、エンジン出力の計測パラメータと制御パラメータの数値関係を表現するものであれば良い。
次に、供試エンジンを制御する目的での作成されたモデルをエンジン計測システム21の制御モデルに組み入れ統合され(S330)、シミュレーションが実施される(S340)。
更に、この制御モデルを用いて実機エンジンを制御して計測が行われる(S430)。計測されたデータは、前述のように計測定義ファイルのより定義された手順に従い予め設定された保存領域に保存される。
この計測データの保存方法はモデル駆動型の計測制御システムとしてのエンジン計測システム21の制御信号、および、計測された計測データの中で主として表示部上に表示される一般的な計測結果、例えば図12に示すような実験の概要を示すデータ、および例えば燃費効率、エンジン運転に対する回転数、出力トルクのトレンド値、などが計測データをもとに、信号処理されサンプリング周期10msecのデータとして図9に示す定常データ保存、および低速データ保存(10msec計測レーヤ)に保存される。
この際に、計測定義ファイルで設定された処理条件で、計測データをブロックとして扱い、各構成機器のサンプリング開始時刻、サンプリング周期をデータとして付加しても良いし、個別計測データ毎にサンプリング時刻、またはサンプリング開始からの番号を負荷しても良いが、計測データとしてファイル保存後、個別データの時刻が判別できる時刻データが計測データに負荷されれば良い。
また同様に、計測された計測データの中で主として高速計測データとしてモデルおよび個々部分モデルを作成、および変更するためのシミュレーションモデルのための計測データはサンプリング周期100μsecの計測データ、例えば、エンジンの制御パラメータに対する回転速度、トルク、燃焼特性、音・振動、などエンジン計測システム21のマクロ的な、時系列データが100μsec保存データとして図9に示すマクロデータ保存(100μsec計測レーヤ)に保存される。この際に、計測定義ファイルで設定された処理条件で、計測データをブロックとして扱い、各構成機器のサンプリング開始時刻、サンプリング周期をデータとして付加しても良いし、個別計測データ毎にサンプリング時刻、またはサンプリング開始からの番号を負荷しても良いが、計測データとしてファイル保存後、個別データの時刻が判別できる時刻データが計測データに負荷されれば良いのは同じである。
また、計測された計測データの中で主として、計測制御対象物の物理的な現象を詳細に解析するため、またエンジン計測システム21が安全な領域で計測制御が行われているかの監視目的での高速計測データとしてサンプリング周期1μsecの計測データが図9のミクロデータ保存(1μsec計測レーヤ)に保存される。
このミクロデータ保存領域を設定することにより、サンプリング周期が高速となり、高速性が要求される計測に対して個別計測器を適宜組込み、またデータ量が増大するための保存場所を別に設けることにより、エンジン計測システム21の柔軟な対応を可能にしている。
この保存方法、および保存場所は、予め計測定義ファイルで定義された手順に従って行われ、計測制御対象物についての制御信号、および計測信号が計測制御機器、及び計測信号が個別計測器、個別監視機器により計測ごとに繰り返して計測データのサンプリング周期に応じて定常・低速ファイル、マクロデータファイル、ミクロデータファイルと区分して時系列データがそれぞれ保存され、記録媒体において階層的な時系列データベースが構築される。
この保存された計測データは計測制御データ管理システム1で使用される目的に応じてシステム制御部11により計測データファイルマネージャーを用いて読み出される。
この読み出された計測データは、例えば、エンジンの特性を求める方法を図8のフローチャートの中でモデルの変更(S270)、統合モデルの作成(S320)のための計測データとして使用される。この際に計測データファイルマネージャーを用いてシステム制御部11内の計測データ登録手段により登録されたファイル名、および計測項目、計測ch、計測開始時間および計測サンプリング周期でも、検索し読み出すことが出来る。保存された階層的な時系列データベースからデータを読み出す際の処理は、階層的に保存された時系列データに対して、データ読み出し要求が与えられた場合、システム制御部11に設けられた計測データファイルマネージャにより、どのサンプリング周期で読み出すことが最適かを判断し、階層化区分を行い保存されたデータからその最適なサンプリング周期の時系列データのファイルにアクセスして読み出される。
この読み出された計測データは保存される保存レーヤでサンプリング周期は異なるデータも読み出されるが、保存時に計測開始時間および計測サンプリング周期を負荷していることにより同期性は保たれているために、例えばサンプリング周期の異なるデータでも信号処理をする際にサンプリング開始時刻、サンプリング周期から、個別計測データ毎のサンプリング時刻、またはサンプリング開始からの番号を判別し信号処理をすることができ、このことによりサンプリング周期の異なる複数データを用いた信号処理も行える。
このように計測データを予め設定された階層化区分を行い保存することにより、本発明では計測制御データ管理システム1での計測データについても、計測するごとに計測制御システムに使用する個別分散型計測制御機器が異なり、かつ、取り扱う計測制御項目が多く、さらに細部の測定が必要とされる計測制御システムにおいて、計測データの簡便な管理、さらにモデルに含まれる個別部分モデルの詳細な計測、および解析を目的とした個別部分モデルの作成、およびモデルの変更を行うために計測データを使用することを目的に、計測データを予め設定された階層化区分を行い保存することにより計測対象物の特性把握目的に合わせて時系列データを統一的、かつ効率的に読み出すことにより、計測者に計測対象物の特性把握目的に合わせた形態により表現が可能な計測制御データ管理システムを実現している。
以上説明したように本発明の時系列データの保存方法及び時系列データベースシステム、時系列データ表示システム、並びに時系列データの管理方法によれば、大量のデータを保存する場合に、最小限の必要構成機器で、必要なデータの読み出し処理を効率良く高速に実行可能とすることができるという効果がある。
また、本発明の時系列データの処理方法及び時系列データ処理システム、並びに時系列データの管理方法によれば、大量の時系列データを処理する際に、取り扱うデータ量を増大させることなく、データの保存、データの読み出し、データの転送などに関する処理を効率良く高速に実行可能となる効果がある。
また、本発明の時系列データベースシステム及び時系列データの管理方法によれば、複数計測制御システムにわたる大量の時系列データの中から必要な時系列データを効率良く自由に読み出すことが可能となる効果がある。
また、本発明の時系列データ表示システム及び時系列データの管理方法によれば、複数の時系列データのトレンドを計測者が求める形態で高速かつ容易に表示することが可能となる効果がある。