JP2010077727A - ハイブリッド型建設機械 - Google Patents

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Abstract

【課題】排気ガス規制に対応した車両用のディーゼルエンジンを二機搭載したハイブリッド型建設機械を提供することを課題とする。
【解決手段】油圧駆動作業要素の駆動に必要な油圧を発生する第1油圧ポンプ及び第2油圧ポンプをそれぞれ駆動するための第1内燃機関及び第2内燃機関と、前記第1油圧ポンプに同軸接続される第1電動発電機と、前記第2油圧ポンプに同軸接続される第2電動発電機と、上部旋回体を旋回させる旋回機構を駆動するための旋回用電動機と、前記第1電動発電機、前記第2電動発電機、又は前記旋回用電動機に供給するための電力を蓄積するとともに、前記第1電動発電機、前記第2電動発電機、又は前記旋回用電動機によって発電された電力を充電する蓄電器とを含む。
【選択図】図2

Description

本発明は、動力源としてエンジンの他に電動機を含むハイブリッド型建設機械に関する。
従来より、上部旋回体を旋回させるための旋回機構の動力源として電動機を備えるハイブリッド型建設機械が提案されている。このようなハイブリッド型建設機械では、電動機の力行運転で旋回機構を加速(駆動)するとともに、旋回機構を減速(制動)する際に回生運転を行い、発電される電力をバッテリに充電している(例えば、特許文献1参照)。また、この特許文献1に記載されたハイブリッド型建設機械は、旋回機構以外の駆動機構を油圧で駆動するために油圧ポンプを備えるが、この油圧ポンプを駆動するためのエンジンに増速機を介して発電機を接続し、発電で得る電力をバッテリの充電と旋回機構の電動機の駆動に用いている。
特開平2004−036303号公報
ところで、大型のディーゼルエンジンを排気ガス規制に対応させるためには、例えば、燃料噴射装置や排気ガスを浄化する触媒装置等の改良が必要であり、エンジン自体及び周辺装置を大幅に改良する必要があるため、車両用のディーゼルエンジンよりも生産台数の少ない大型のディーゼルエンジンでは、技術的なことに加えてコスト面からも対応が困難であるという課題があった。
そこで、本発明は、排気ガス規制に対応した車両用のディーゼルエンジンを二機搭載したハイブリッド型建設機械を提供することを目的とする。
本発明の一局面のハイブリッド型建設機械は、油圧駆動作業要素の駆動に必要な油圧を発生する第1油圧ポンプ及び第2油圧ポンプをそれぞれ駆動するための第1内燃機関及び第2内燃機関と、前記第1油圧ポンプに同軸接続される第1電動発電機と、前記第2油圧ポンプに同軸接続される第2電動発電機と、上部旋回体を旋回させる旋回機構を駆動するための旋回用電動機と、前記第1電動発電機、前記第2電動発電機、又は前記旋回用電動機に供給するための電力を蓄積するとともに、前記第1電動発電機、前記第2電動発電機、又は前記旋回用電動機によって発電された電力を充電する蓄電器とを含む。
また、前記第1エンジン及び前記第2エンジンは、車両用のディーゼルエンジンであってもよい。
また、前記第1エンジン及び前記第2エンジンは、Tier4以上の排気ガス規制に適合したエンジンであってもよい。
本発明によれば、排気ガス規制に対応した車両用のディーゼルエンジンを二機搭載したハイブリッド型建設機械を提供できるという特有の効果が得られる。
以下、本発明のハイブリッド型建設機械を適用した実施の形態について説明する。
図1は、本実施の形態のハイブリッド型建設機械を示す側面図である。
この建設機械の下部走行体1には、旋回機構2を介して上部旋回体3が搭載されている。また、上部旋回体3には、ブーム4、アーム5、及びバケット6と、これらを油圧駆動するためのブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9に加えて、キャビン10及び動力源が搭載される。
[全体構成]
図2は、本実施の形態のハイブリッド型建設機械の構成を表すブロック図である。この図2では、機械的動力系を二重線、高圧油圧ラインを実線、パイロットラインを破線、電気駆動・制御系を一点鎖線でそれぞれ示す。
本実施の形態のハイブリッド型建設機械は、機械式駆動部として2つのエンジン11A及び11Bを備える。これらのエンジン11A及び11Bは、従来のハイブリッド型建設機械のエンジンよりも小型化されており、例えば、Tier4以上の排気ガス規制に適合した排気量2000cc程度の乗用車用のディーゼルターボエンジンを用いることができる。
また、本実施の形態のハイブリッド型建設機械は、2つのエンジン11A及び11Bを含むことに対応して動力系統が2系統に分かれている。
機械式駆動部としてのエンジン11Aと、アシスト駆動部としての電動発電機12Aは、ともに増力機としての減速機13Aの入力軸に接続されている。また、この減速機13Aの出力軸には、メインポンプ14A及びパイロットポンプ15が接続されている。メインポンプ14Aには、高圧油圧ライン16Aを介してコントロールバルブ17が接続されている。
同様に、機械式駆動部としてのエンジン11Bと、アシスト駆動部としての電動発電機12Bは、ともに増力機としての減速機13Bの入力軸に接続されている。また、この減速機13Bの出力軸には、メインポンプ14Bが接続されている。メインポンプ14Bには、高圧油圧ライン16Bを介してコントロールバルブ17が接続されている。
なお、高圧油圧ライン16A、16Bには、メインポンプ14A、14Bから出力される圧油の油圧を検出する油圧センサ14a、14bが配設されている。
このように、本実施の形態のハイブリッド型建設機械は、エンジン11A、電動発電機12A、減速機13A、及びメインポンプ14Aを含む動力系統と、エンジン11B、電動発電機12B、減速機13B、及びメインポンプ14Bを含む動力系統との2つの動力系統を含み、パイロットポンプ15は一方の動力系統に含まれる減速機13Aの出力軸に接続されている。また、コントロールバルブ17には、両方の動力系統に含まれるメインポンプ14A及び14Bで生成される圧油が供給される。
コントロールバルブ17は、本実施の形態のハイブリッド型建設機械における油圧系の制御を行う制御装置であり、このコントロールバルブ17には、下部走行体1用の油圧モータ1A(右用)及び1B(左用)、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9が高圧油圧ラインを介して接続される。
また、電動発電機12A及び電動発電機12Bは、それぞれ、インバータ18A及び18Bを介してバッテリ19に接続されている。このバッテリ19には、インバータ20を介して旋回用電動機21が接続されている。
旋回用電動機21の回転軸21Aには、レゾルバ22、メカニカルブレーキ23、及び旋回減速機24が接続される。また、パイロットポンプ15には、パイロットライン25を介して操作装置26が接続される。
操作装置26には、油圧ライン27及び28を介して、コントロールバルブ17及び圧力センサ29がそれぞれ接続される。この圧力センサ29には、本実施の形態の建設機械の電気系の駆動制御を行うコントローラ30が接続されている。
このような本実施の形態の建設機械は、エンジン11A、11B、電動発電機12A、12B、及び旋回用電動機21を動力源とするハイブリッド型の建設機械である。これらの動力源は、図1に示す上部旋回体3に搭載される。以下、各部について説明する。
[各部の構成]
エンジン11A及び11Bは、例えば、Tier4以上の排気ガス規制に適合した排気量2200ccのディーゼルターボエンジンで構成される内燃機関であり、その出力軸は、それぞれ、減速機13A及び13Bの一方の入力軸に接続される。このエンジン11A及び11Bは、同一のものであってよく、建設機械の運転中は常時運転される。
電動発電機12A及び12Bは、力行運転及び回生運転の双方が可能な電動機であればよい。ここでは、電動発電機12A及び12Bとして、インバータ18A及び18Bによって交流駆動される電動発電機を示す。この電動発電機12A及び12Bは、同一のものであってよく、例えば、磁石がロータ内部に埋め込まれたIPM(Interior Permanent Magnetic)モータで構成することができる。電動発電機12A及び12Bの回転軸は、それぞれ、減速機13A及び13Bの他方の入力軸に接続される。
減速機13A及び13Bは、同一のものであってよく、それぞれ、2つの入力軸と1つの出力軸を有する。2つの入力軸の各々には、エンジン11A及び11Bの駆動軸と電動発電機12A及び12Bの駆動軸がそれぞれ接続される。また、出力軸にはメインポンプ14A及び14Bの駆動軸が接続される。エンジン11A及び11Bの負荷が大きい場合には、電動発電機12A及び12Bが力行運転を行い、電動発電機12A及び12Bの駆動力が減速機13A及び13Bの出力軸を経て、それぞれ、メインポンプ14A及び14Bに伝達される。これによりエンジン11A及び11Bの駆動がアシストされる。一方、エンジン11A及び11Bの負荷が小さい場合は、エンジン11A及び11Bの駆動力が減速機13A及び13Bを経て電動発電機12A及び12Bにそれぞれ伝達されることにより、電動発電機12A及び12Bが回生運転による発電を行う。電動発電機12A及び12Bの力行運転と回生運転の切り替えは、コントローラ30により、エンジン11A及び12Bの負荷等に応じて行われる。
メインポンプ14A及び14Bは、ともにコントロールバルブ17に供給するための油圧を発生するポンプである。この油圧は、コントロールバルブ17を介して油圧モータ1A、1B、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9の各々を駆動するために供給される。なお、メインポンプ14A及び14Bは、同一のものである。
パイロットポンプ15は、油圧操作系に必要なパイロット圧を発生するポンプである。この油圧操作系の構成については後述する。
コントロールバルブ17は、高圧油圧ラインを介して接続される下部走行体1用の油圧モータ1A、1B、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9の各々に供給する油圧を運転者の操作入力に応じて制御することにより、これらを油圧駆動制御する油圧制御装置である。
インバータ18Aは、電動発電機12Aの力行運転に必要な電力をバッテリ19から電動発電機12Aに供給するとともに、電動発電機12Aの回生運転によって発電された電力をバッテリ19に充電するために電動発電機12Aとバッテリ19との間に設けられたインバータである。
同様に、インバータ18Bは、電動発電機12Bの力行運転に必要な電力をバッテリ19から電動発電機12Bに供給するとともに、電動発電機12Bの回生運転によって発電された電力をバッテリ19に充電するために電動発電機12Bとバッテリ19との間に設けられたインバータである。
バッテリ19は、インバータ18A及び18Bとインバータ20との間に配設されている。これにより、電動発電機12A及び12B、又は旋回用電動機21の少なくともどちらかが力行運転を行っている際には、力行運転に必要な電力を供給するとともに、また、少なくともどちらかが回生運転を行っている際には、回生運転によって発生した回生電力を電気エネルギーとして蓄積するための電源である。
インバータ20は、旋回用電動機21とバッテリ19との間に設けられ、コントローラ30からの指令に基づき、旋回用電動機21に対して運転制御を行う。これにより、インバータが旋回用電動機21の力行運転を制御している際には、必要な電力をバッテリ19から旋回用電動機21に供給する。また、旋回用電動機21が回生運転をしている際には、旋回用電動機21により発電された電力をバッテリ19へ充電する。
旋回用電動機21は、力行運転及び回生運転の双方が可能な電動機であればよく、上部旋回体3の旋回機構2を駆動するために設けられている。力行運転の際には、旋回用電動機21の回転駆動力の回転力が減速機24にて増幅され、上部旋回体3が加減速制御され回転運動を行う。また、上部旋回体3の慣性回転により、減速機24にて回転数が増加されて旋回用電動機21に伝達され、回生電力を発生させることができる。ここでは、旋回用電動機21として、PWM(Pulse Width Modulation)制御信号によりインバータ20によって交流駆動される電動機を示す。この旋回用電動機21は、例えば、磁石埋込型のIPMモータで構成することができる。これにより、より大きな誘導起電力を発生させることができるので、回生時に旋回用電動機21にて発電される電力を増大させることができる。
なお、バッテリ19の充放電制御は、バッテリ19の充電状態、電動発電機12A及び12Bの運転状態(力行運転又は回生運転)、旋回用電動機21の運転状態(力行運転又は回生運転)に基づき、コントローラ30によって行われる。
レゾルバ22は、旋回用電動機21の回転軸21Aの回転位置及び回転角度を検出するセンサであり、旋回用電動機21と機械的に連結することで旋回用電動機21の回転前の回転軸21Aの回転位置と、左回転又は右回転した後の回転位置との差を検出することにより、回転軸21Aの回転角度及び回転方向を検出するように構成されている。旋回用電動機21の回転軸21Aの回転角度を検出することにより、旋回機構2の回転角度及び回転方向が導出される。
メカニカルブレーキ23は、機械的な制動力を発生させる制動装置であり、旋回用電動機21の回転軸21Aを機械的に停止させる。このメカニカルブレーキ23は、電磁式スイッチにより制動/解除が切り替えられる。この切り替えは、コントローラ30によって行われる。
旋回減速機24は、旋回用電動機21の回転軸21Aの回転速度を減速して旋回機構2に機械的に伝達する減速機である。
旋回機構2は、旋回用電動機21のメカニカルブレーキ23が解除された状態で旋回可能となり、これにより、上部旋回体3が左方向又は右方向に旋回される。
操作装置26は、旋回用電動機21、下部走行体1、ブーム4、アーム5、及びバケット6を操作するための操作装置であり、レバー26A及び26Bとペダル26Cを含む。レバー26Aは、旋回用電動機21及びアーム5を操作するためのレバーであり、上部旋回体3の運転席近傍に設けられる。レバー26Bは、ブーム4及びバケット6を操作するためのレバーであり、運転席近傍に設けられる。また、ペダル26Cは、下部走行体1を操作するための一対のペダルであり、運転席の足下に設けられる。
この操作装置26は、パイロットライン25を通じて供給される油圧(1次側の油圧)を運転者の操作量に応じた油圧(2次側の油圧)に変換して出力する。操作装置26から出力される2次側の油圧は、油圧ライン27を通じてコントロールバルブ17に供給されるとともに、圧力センサ29によって検出される。
レバー26A及び26Bとペダル26Cの各々が操作されると、油圧ライン27を通じてコントロールバルブ17が駆動され、これにより、油圧モータ1A、1B、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9内の油圧が制御されることによって、下部走行体1、ブーム4、アーム5、及びバケット6が駆動される。
なお、油圧ライン27は、油圧モータ1A及び1B、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダの駆動に必要な油圧をコントロールバルブに供給する。
圧力センサ29では、レバー26A、26B、及びペダル26Cの操作による、油圧ライン28内の油圧の変化が圧力センサ29で検出される。圧力センサ29は、油圧ライン28内の油圧を表す電気信号を出力する。この電気信号には、レバー26Aに入力される旋回用電動機21及びアーム5の操作内容(操作方向及び操作量)を表す信号、レバー26Bに入力されるブーム4及びバケット6の操作内容(操作方向及び操作量)を表す信号、及び、ペダル26Cに入力される下部走行体1の操作内容(操作方向及び操作量)を表す信号が含まれ、すべてコントローラ30に入力される。
[コントローラ30]
コントローラ30は、本実施の形態の建設機械の駆動制御を行う制御装置であり、速度指令変換部31、駆動制御装置32、及び旋回駆動制御装置40を含む。このコントローラ30は、CPU(Central Processing Unit)及び内部メモリを含む演算処理装置で構成され、速度指令変換部31、駆動制御装置32、及び旋回駆動制御装置40は、コントローラ30のCPUが内部メモリに格納される駆動制御用のプログラムを実行することにより、
実現される装置である。
速度指令変換部31は、圧力センサ29から入力される信号を速度指令に変換する演算処理部である。これにより、レバー26Aの操作量は、旋回用電動機21を回転駆動させるための速度指令(rad/s)に変換される。この速度指令は、駆動制御装置32及び旋回駆動制御装置40に入力される。なお、この速度指令変換部31で用いる変換特性については、図3を用いて説明する。
駆動制御装置32は、電動発電機12A及び12Bの運転制御(力行運転又は回生運転の切り替え)、及び、バッテリ19の充放電制御を行うための制御装置である。この駆動制御装置32は、エンジン11A及び11Bの負荷の状態とバッテリ19の充電状態に応じて、電動発電機12A及び12Bの力行運転と回生運転を切り替える。駆動制御装置32は、電動発電機12A及び12Bの力行運転と回生運転を切り替えることにより、インバータ18A及び18Bを介してバッテリ19の充放電制御を行う。また、駆動制御装置32には、油圧センサ14a、14bで検出される油圧を表す電気信号が入力されるとともに、バッテリ19の充電率(SOC:State Of Charge)、劣化度合(SOH:State Of Health)、及び温度を表す電気信号が入力される。
なお、コントローラ30は、エンジン11Aと11Bの回転数、油圧ポンプ14Aと14Bの圧力、インバータ20から入力される旋回用電動機21の要求出力、及び、バッテリ19のSOC、SOH、温度に基づき、油圧ポンプ14A、14B、インバータ18A、18B、及びインバータ20の各々で利用可能な出力の配分(出力配分処理)を行う。この出力配分処理については後述する。
[操作量/速度指令の変換特性]
図3は、本実施の形態のハイブリッド型建設機械の速度指令変換部31において操作レバー26Aの操作量を速度指令(上部旋回体3を旋回させるために旋回用電動機21を回転させるための速度指令)に変換する変換特性を示す図である。この変換特性は、操作レバー26Aの操作量に応じて、不感帯領域、零速度指令領域(左旋回用及び右旋回用)、左方向旋回駆動領域、及び右方向旋回駆動領域の5つの領域に区分される。
ここで、本実施の形態の建設機械の制御系では、旋回用電動機21の回転軸21Aが反時計回りに回転する回転方向を「正転」と称し、正転方向の駆動を表す制御量に正の符号を付す。一方、旋回用電動機21の回転軸21Aが時計回りに回転する回転方向を「逆転」と称し、逆転方向の駆動を表す制御量に負の符号を付す。正転は、上部旋回体3の右方向への旋回に対応し、逆転は、上部旋回体の左方向への旋回に対応する。
[不感帯領域]
この変換特性に示すように、不感帯領域は、レバー26Aの中立点付近に設けられている。この不感帯領域では、速度指令変換部31から速度指令は出力されず、旋回駆動制御装置40による旋回用電動機21の駆動制御は行われない。また、不感帯領域では、メカニカルブレーキ23によって旋回用電動機21が機械的に停止された状態となる。
従って、レバー26Aの操作量が不感帯領域内にある間は、メカニカルブレーキ23によって旋回用電動機21が機械的に停止され、これにより、上部旋回体3が機械的に停止された状態となる。
[零速度指令領域]
零速度指令領域は、レバー26Aの操作方向における不感帯領域の両外側に設けられている。この零速度指令領域は、不感帯領域における上部旋回体3の停止状態と、左右方向の旋回駆動領域における旋回状態とを切り替える際に操作性を良くするために設けられる緩衝領域である。
操作レバー26Aの操作量がこの零速度指令領域の範囲内にあるときは、速度指令変換部31から零速度指令が出力され、メカニカルブレーキ23は解除された状態となる。
ここで、零速度指令とは、上部旋回体3の旋回速度を零にするために、旋回用電動機21の回転軸21Aの回転速度を零にするための速度指令であり、後述するPI(Proportional Integral)制御では、回転軸21Aの回転速度を零に近づけるための目標値として用いられる。
なお、メカニカルブレーキ23の制動(オン)/解除(オフ)の切り替えは、不感帯領域と零速度指令領域の境界においてコントローラ30内の旋回駆動制御装置40によって行われる。
従って、レバー26Aの操作量が零速度指令領域内にある間は、メカニカルブレーキ23は解除され、零速度指令により、旋回用電動機21の回転軸21Aは停止状態に保持される。これにより、上部旋回体3は旋回駆動されずに停止状態に保持される。
[左方向旋回駆動領域]
左方向旋回駆動領域は、上部旋回体3を左方向に旋回させるための速度指令が速度指令変換部31から出力される領域である。
この領域内では、レバー26Aの操作量に応じて、速度指令の絶対値が増大するように設定されている。この速度指令に基づいて旋回駆動制御装置40で駆動指令が演算され、この駆動指令によって旋回用電動機21が駆動され、この結果、上部旋回体3が左方向に旋回駆動される。
なお、上部旋回体3の旋回速度をある一定以下に制限するために、左方向旋回駆動領域における速度指令値は、絶対値が所定の値で制限される。
[右方向旋回駆動領域]
右方向旋回駆動領域は、上部旋回体3を右方向に旋回させるための速度指令が速度指令変換部31から出力される領域である。
この領域内では、レバー26Aの操作量に応じて、速度指令の絶対値が増大するように設定されている。この速度指令に基づいて旋回駆動制御装置40で駆動指令が演算され、この駆動指令によって旋回用電動機21が駆動され、この結果、上部旋回体3が右方向に旋回駆動される。
なお、左方向旋回駆動領域と同様に、右方向旋回駆動領域における速度指令値は、絶対値が所定の値で制限される。
[旋回駆動制御装置40]
図4は、本実施の形態のハイブリッド型建設機械の旋回駆動制御装置40の構成を示す制御ブロック図である。
旋回駆動制御装置40は、インバータ20を介して旋回用電動機21の駆動制御を行うための制御装置であり、旋回用電動機21を駆動するための駆動指令を生成する駆動指令生成部50、及び主制御部60を含む。
駆動指令生成部50には、レバー26Aの操作量に応じて速度指令変換部31から出力される速度指令が入力され、この駆動指令生成部50は速度指令に基づき駆動指令を生成する。駆動指令生成部50から出力される駆動指令はインバータ20に入力され、このインバータ20によって旋回用電動機21がPWM制御信号により交流駆動される。
主制御部60は、旋回駆動制御装置40の制御処理に必要な周辺処理を行う制御部である。具体的な処理内容については、関連箇所においてその都度説明する。
なお、旋回駆動制御装置40は、操作レバー26Aの操作量に応じて、旋回用電動機21を駆動制御する際に、力行運転と回生運転の切り替え制御を行うと共に、インバータ20を介してバッテリ19の充放電制御を行う。
[駆動指令生成部50]
駆動指令生成部50は、減算器51、PI制御部52、トルク制限部53、トルク制限部54、減算器55、PI制御部56、電流変換部57、及び旋回動作検出部58を含む。この駆動指令生成部50の減算器51には、レバー26Aの操作量に応じた旋回駆動用の速度指令(rad/s)が入力される。
減算器51は、レバー26Aの操作量に応じた速度指令の値(以下、速度指令値)から、旋回動作検出部58によって検出される旋回用電動機21の回転速度(rad/s)を減算して偏差を出力する。この偏差は、後述するPI制御部52において、旋回用電動機21の回転速度を速度指令値(目標値)に近づけるためのPI制御に用いられる。
PI制御部52は、減算器51から入力される偏差に基づき、旋回用電動機21の回転速度を速度指令値(目標値)に近づけるように(すなわち、この偏差を小さくするように)PI制御を行い、そのために必要なトルク電流指令を演算する。生成されたトルク電流指令は、トルク制限部53に入力される。
トルク制限部53は、レバー26Aの操作量に応じてトルク電流指令の値(以下、トルク電流指令値)を制限する処理と、PI制御部52から入力されるトルク電流指令値が旋回用電動機21の許容最大トルク値以下となるように、トルク制限部53から入力されるトルク電流指令値を制限する処理との2種類の制限処理を行う。
レバー26Aの操作量に応じた制限処理は、レバー26Aの操作量に応じてトルク電流指令値の許容値が緩やかに増大する制限特性に基づいて行われる。このようなトルク電流指令値の制限は、PI制御部52によって演算されるトルク電流指令値が急激に増大すると制御性が悪化するため、これを抑制するために行われる。
この制限特性は、レバー26Aの操作量の増大に伴ってトルク電流指令値の許容値(の絶対値)を緩やかに増大させる特性を有し、上部旋回体3の左方向及び右方向の双方向を制限するための特性を有するものである。制限特性を表すデータは、主制御部60の内部メモリに格納されており、主制御部60のCPUによって読み出され、トルク制限部53に入力される。
また、PI制御部52から入力されるトルク電流指令値によって生じるトルクが旋回用電動機21の許容最大トルク値以下となるようにトルク電流指令値を制限する処理では、トルク制限部53においてトルク電流指令値を制限するための上限値(右旋回用の最大値)及び下限値(左旋回用の最小値)によってトルク電流指令値の制限が行われても、バケット6が積み上げられた土砂等に触れて旋回用電動機21の負荷が大きい状態でも、旋回用電動機21を駆動させるための駆動トルクを発生できるような値に設定されている。
なお、トルク電流指令値を制限するための特性を表すデータは、主制御部60の内部メモリに格納されており、主制御部60のCPUによって読み出され、トルク制限部53に入力される。
トルク制限部54は、後述する出力配分を行う際に、旋回用電動発電機21を駆動するためのトルク電流指令の値を制限する処理を行う。この処理は、コントローラ30によって後述する出力配分演算が行われ、その配分結果に基づき、主制御部60がトルク制限部54の許容値を変更することによって実現される。
減算器55は、トルク制限部54から入力されるトルク電流指令値から、電流変換部57の出力値を減算して得る偏差を出力する。この偏差は、後述するPI制御部56及び電流変換部57を含むフィードバックループにおいて、電流変換部57から出力される旋回用電動機21の駆動トルクを、トルク制限部54を介して入力されるトルク電流指令値(目標値)によって表されるトルクに近づけるためのPI制御に用いられる。
PI制御部56は、減算器55から入力される偏差に基づき、この偏差を小さくするようにPI制御を行い、インバータ20に送る最終的な駆動指令となる電圧指令を生成する。インバータ20は、PI制御部56から入力される電圧指令に基づき、旋回用電動機21をPWM駆動する。
電流変換部57は、旋回用電動機21のモータ電流を検出し、これをトルク電流指令に相当する値に変換し、減算器55に入力する。
旋回動作検出部58は、レゾルバ22によって検出される旋回用電動機21の回転位置の変化(すなわち上部旋回体3の旋回)を検出するとともに、回転位置の時間的な変化から旋回用電動機21の回転速度を微分演算によって導出する。導出された回転速度を表すデータは、減算器51及び主制御部60に入力される。
このような構成の駆動指令生成部50において、速度指令変換部31から入力される速度指令に基づき、旋回用電動機21を駆動するためのトルク電流指令が生成され、上部旋回体3が所望の位置まで旋回される。
図5は、本実施の形態のハイブリッド型建設機械のコントローラ30によって実行される出力配分処理を説明するための概念図である。
コントローラ30は、図2で説明した速度指令変換部31、駆動制御装置32、及び旋回駆動制御装置40に加え、出力配分演算部30A、油圧ポンプ要求出力演算部30B及び30Cを含む。なお、出力配分処理には速度指令値を用いないため、図5では速度指令変換部31を省略する。
出力配分演算部30Aには、圧力センサ29で検出されるレバー26A、26B、及びペダル26Cの操作量を表す電気信号、油圧ポンプ要求出力演算部30B及び30Cで演算される油圧ポンプ14A及び14Bで必要な出力を表す電気信号、旋回駆動制御装置40で演算される旋回用電動機21Aの駆動に必要な出力を表す電気信号、駆動制御装置32で検出されるバッテリ19の最大出力を表す電気信号、及び、エンジン11A、11Bの回転数を表す電気信号が入力される。
ここで、バッテリ19の最大出力は、充電率(SOC:State Of Charge)、劣化度合(SOH:State Of Health)、及び温度に基づいて駆動制御装置32で演算される。
また、油圧ポンプ14A及び14Bで必要な出力は、油圧ポンプ要求出力演算部30B及び30Cにおいて、油圧センサ14aと14bで検出される油圧と、油圧ポンプ14Aと14Bの回転数とを用いて油圧ポンプ14Aと14Bの圧力−流量特性(P−Q特性)に基づいて演算される。
出力配分演算部30Aは、入力される電気信号に基づき、インバータ18A、18B、油圧ポンプ14A、14B、及び、インバータ20の各々で利用しうる出力の配分を演算する。出力配分演算部30Aに入力されるすべての電気信号は、出力配分処理に必要なパラメータであり、これらのパラメータに基づいて出力の配分が行われる。
出力の配分を行う際には、次式(1)が成立するように演算処理が行われる。
EG出力A+EG出力B+BAT出力≧P出力A+P出力B+旋回出力 ・・・(1)
ここで、「EG出力A」はエンジン11Aの出力(W)であり、エンジン11Aの回転数に基づいて導出される。同様に、「EG出力B」はエンジン11Bの出力(W)であり、エンジン11Bの回転数に基づいて導出される。「BAT出力」はバッテリ19の最大出力(W)であり、SOC、SOH、及び温度に基づいて導出される。
また、「P出力A」は油圧ポンプ14Aの出力であり、油圧センサ14aで検出される油圧と、油圧ポンプ14Aの回転数とを用いて油圧ポンプ14Aの圧力−流量特性に基づいて演算される。同様に、「P出力B」は油圧ポンプ14Bの出力であり、油圧センサ14bで検出される油圧と、油圧ポンプ14Bの回転数とを用いて油圧ポンプ14Bの圧力−流量特性に基づいて演算される。また、「旋回出力」は、旋回用電動機21を駆動するための出力であり、この「旋回出力」に相当するトルク電流指令値が図4に示すトルク制限部54の許容値として設定される。この許容値の設定はコントローラ30内の主制御部60によって行われる。
このように、本実施の形態のハイブリッド型作業機械では、(1)式が成り立つように出力の配分が行われる。
油圧ポンプ14A及び14Bへの出力の配分は、(1)式を満たす「P出力A」及び「P出力B」の値に基づき、油圧ポンプ14A及び14Bの馬力(W=吐出圧力(P)×吐出流量(Q))を制限するための馬力制御部の制御が行われることにより、その出力が「P出力A」及び「P出力B」に設定される。なお、馬力制御部の制御は電磁比例減圧弁によって行われる。
また、旋回用電動機21については、(1)式を満たす「旋回出力」に相当するトルク電流指令値が図4に示すトルク制限部54の許容値として設定される。
以上、本実施の形態によれば、動力系統を2つに分割し、それぞれの動力系統にTier4以上の排気ガス規制に適合した排気量2200ccの乗用車用のディーゼルターボエンジン11A及び11Bと、電動発電機12A及び12Bを有するので、70トン級のような大型のハイブリッド型建設機械であっても、十分な出力を確保することができるとともに、市販の車両用のディーゼルターボエンジンを用いることにより、低コストで低公害のハイブリッド型建設機械を提供することができる。
以上では、旋回用電動機21がインバータ20によってPWM駆動される交流モータであり、その回転速度を検出するために、レゾルバ22及び旋回動作検出部58を用いる形態について説明したが、旋回用電動機21は直流モータであってもよい。この場合は、インバータ20、レゾルバ22及び旋回動作検出部58が不要となり、回転速度としては直流モータのタコジェネレータで検出される値を用いればよい。
また、高負荷時に旋回用電動機21を駆動するための最終的なトルク電流値を増大させるために、トルク制限部54のトルク許容値を絶対値で短時間定格トルクにまで増大させる形態について説明したが、旋回駆動制御装置及び建設機械の仕様等に応じて、連続定格トルクに対応するトルク許容値よりも大きく、かつ、短時間定格トルクに対応するトルク許容値以下の任意の値に設定してもよい。
また、以上では、トルク電流指令の演算にPI制御を用いる形態について説明したが、これに代えて、ロバスト制御、適応制御、比例制御、積分制御等を用いてもよい。
また、以上では、ハイブリッド型の建設機械を用いて説明したが、旋回機構が電動化されている建設機械であれば、本実施の形態の旋回駆動装置の適用対象は、バイブリッド型に限定されるものではない。
以上、本発明の例示的な実施の形態のハイブリッド型建設機械について説明したが、本発明は、具体的に開示された実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
本実施の形態のハイブリッド型建設機械を示す側面図である。 、本実施の形態のハイブリッド型建設機械の構成を表すブロック図である。 本実施の形態のハイブリッド型建設機械の速度指令変換部31において操作レバー26Aの操作量を速度指令(上部旋回体3を旋回させるために旋回用電動機21を回転させるための速度指令)に変換する変換特性を示す図である。 本実施の形態のハイブリッド型建設機械の旋回駆動制御装置40の構成を示す制御ブロック図である。 本実施の形態のハイブリッド型建設機械のコントローラ30によって実行される出力配分処理を説明するための概念図である。
符号の説明
1 下部走行体
1A、1B 油圧モータ
2 旋回機構
3 上部旋回体
4 ブーム
5 アーム
6 バケット
7 ブームシリンダ
8 アームシリンダ
9 バケットシリンダ
10 キャビン
11A、11B エンジン
12A、12B 電動発電機
13A、13B 減速機
14A、14B メインポンプ
14a、14b 油圧センサ
15 パイロットポンプ
16 高圧油圧ライン
17 コントロールバルブ
18A、18B インバータ
19 バッテリ
20 インバータ
21 旋回用電動機
23 メカニカルブレーキ
24 旋回減速機
25 パイロットライン
26 操作装置
26A、26B レバー
26C ペダル
27 油圧ライン
28 油圧ライン
29 圧力センサ
30 コントローラ
31 速度指令変換部
32 駆動制御装置
40 旋回駆動制御装置
50 駆動指令生成部
51 減算器
52 PI制御部
53 トルク制限部
54 トルク制限部
55 減算器
56 PI制御部
57 電流変換部
58 旋回動作検出部
60 主制御部

Claims (3)

  1. 油圧駆動作業要素の駆動に必要な油圧を発生する第1油圧ポンプ及び第2油圧ポンプをそれぞれ駆動するための第1内燃機関及び第2内燃機関と、
    前記第1油圧ポンプに同軸接続される第1電動発電機と、
    前記第2油圧ポンプに同軸接続される第2電動発電機と、
    上部旋回体を旋回させる旋回機構を駆動するための旋回用電動機と、
    前記第1電動発電機、前記第2電動発電機、又は前記旋回用電動機に供給するための電力を蓄積するとともに、前記第1電動発電機、前記第2電動発電機、又は前記旋回用電動機によって発電された電力を充電する蓄電器と
    を含む、ハイブリッド型建設機械。
  2. 前記第1エンジン及び前記第2エンジンは、車両用のディーゼルエンジンである、請求項1に記載のハイブリッド型建設機械。
  3. 前記第1エンジン及び前記第2エンジンは、Tier4以上の排気ガス規制に適合したエンジンである、請求項2に記載のハイブリッド型建設機械。
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