JP2010077098A - イネ育苗箱施用被覆粒剤 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】a)水に対する溶解度(20℃)が0.01g/L以上である農薬活性成分、b)ラウリル硫酸塩、c)ラウリル硫酸塩を除く陰イオン性界面活性剤、d)オルトリン酸、e)無水芒硝およびf)固体担体を含有した粒状物を、g)加水分解性シリル基を有する重合性不飽和単量体と、当該加水分解性シリル基を有する重合性不飽和単量体を除く重合性不飽和単量体との共重合体を水に溶解または分散させてなる水系樹脂組成物により被覆することを特徴とする、構成要件とでイネ育苗箱施用被覆粒剤および被覆粒剤の放出制御方法を構成している。
【選択図】なし
Description
これらの問題点を解決するために、農薬活性成分の溶出制御、溶出期間の長期化を目的とした製剤またはその製造方法が検討されてきた。例えば、徐放性を高めるために、(1)ゲル化能を有する水溶性高分子(ポリアクリル酸)のような樹脂を使用するもの(特許文献1)、(2)吸着担体(酸性白土、ホワイトカーボン)を使用するもの(特許文献2)、(3)パラフィンワックスを使用するもの(特許文献3)、(4)アルコール型ワックスを使用するもの(特許文献4)、(5)2価以上の無機金属塩(Al、Cr、CO、Cu、Fe、Mg、Zn塩)を使用するもの(特許文献5)、(6)水溶性有機酸塩と吸着性担体を使用するもの(特許文献6)、(7)カルボキシメチルセルロースを使用するもの(特許文献7)などが知られている。しかしながら、これらの方法は、得られる徐放性効果が小さいため、必ずしも満足できるものではない。
しかしながら、多層被膜で被膜が形成されている被覆農薬粒剤は、単層被膜で被覆する場合と比べて製造工程が多く、コスト高となるという欠点がある。
また、膨潤性物質を含有する農薬粒剤を樹脂の被膜で被覆した被覆農薬粒剤は、被膜に僅かでもピンホールや亀裂があるとそこから急激に水が浸入して被膜が破壊されてしまい、農薬活性成分が急激に溶出してしまう。こうしたことから完全な被覆が要求され、結果として製品管理に多大な労力を要する。また、膨潤物質を用いた刺激応答型粒剤は、一定の条件下では目的とする効果を発揮するが、気温や水の温度、潅水量、硬度などの条件が変わると、機能がうまく働かず溶出制御がコントロールできなくなり、薬害や薬効不足が生じるという問題点があった。
(1)a)水に対する溶解度(20℃)が0.01g/L以上である農薬活性成分、b)ラウリル硫酸塩、c)ラウリル硫酸塩を除く陰イオン性界面活性剤、d)オルトリン酸、e)無水芒硝およびf)固体担体を含有した粒状物を、g)加水分解性シリル基を有する重合性不飽和単量体と、当該加水分解性シリル基を有する重合性不飽和単量体を除く重合性不飽和単量体との共重合体を水に溶解または分散させてなる水系樹脂組成物により被覆することを特徴とするイネ育苗箱施用被覆粒剤、
(2)水系樹脂組成物g)が、加水分解性シリル基を有する重合性不飽和単量体と、当該加水分解性シリル基を有する重合性不飽和単量体を除く重合性不飽和単量体として(メタ)アクリル酸およびアルキル基の炭素数が1〜18である(メタ)アクリル酸アルキルエステルよりなる群から選ばれる一種以上との共重合体を水に溶解または分散させてなることを特徴とする、前記(1)に記載のイネ育苗箱施用被覆粒剤、
(3)水系樹脂組成物g)が、加水分解性シリル基を有する重合性不飽和単量体として3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランと、当該加水分解性シリル基を有する重合性不飽和単量体を除く重合性不飽和単量体として(メタ)アクリル酸、メチルメタクリレートおよびn−ブチルアクリレートとの共重合体を水に溶解または分散させてなることを特徴とする、前記(1)〜(2)のいずれかに記載のイネ育苗箱施用被覆粒剤、
(4)前記(1)〜(3)のいずれかに記載のイネ育苗箱施用被覆粒剤を育苗箱に施用後、該粒剤の被膜をイネ育苗箱から本田への移植操作によって崩壊させることにより、本田への農薬活性成分の溶出量を増加させることを特徴とする被覆粒剤の溶出制御方法に関する。
(1)水に対する溶解度(20℃)が0.01g/L以上の比較的水溶解度が高い農薬活性成分を用いても、育苗期間中は薬害を生じることがない。
(2)また、本田への移植操作によって生じる外力により溶出量が一気に高まるいわゆる刺激応答型農薬製剤であるため、育苗期間中における薬剤の流亡等により薬効を損じることなく、薬剤溶出が高まった後は、優れた薬効を発揮することができる。このため、水に対する溶解度が高く育苗箱に施用した場合、流亡によって長期的な防除効果が期待できなかった農薬活性成分や、薬害のために高濃度処理や育苗箱施用が不可能であった農薬活性成分の育苗箱処理が可能となる。したがって本発明により、適用時期の拡大及び早期化による省力化と薬量増加による効果の安定化が可能となる。
(3)さらに、本発明による刺激応答型農薬製剤は、多層被覆工程などのわずらわしい操作が必要でなく、かつ膨潤物質を使用したときのような膨潤性の管理も不要であり、効率的・経済的効果も高い。
a)農薬活性成分について
本発明に使用可能な農薬活性成分は水に対する溶解度(20℃)が0.01g/L以上であり、通常イネの栽培に用いられるものであればよく、1種または2種以上を併用してもよい。このような農薬活性成分としては、次のようなものが挙げられる。
殺虫剤としては、有機リン系、カーバメート系(例えばベンフラカルブなど)、ピレスロイド系、ネライストキシン系(例えばカルタップなど)、ネオニコチノイド系(例えばチアメトキサムなど)、クロロニコチノイド系、フェニルピラゾール系およびベンゾイルフェニル尿素系の殺虫剤、天然殺虫剤などが挙げられる。
これらに含まれる個々の具体的な農薬活性成分は、例えば「農薬ハンドブック2005年版」(財団法人 日本植物防疫協会 平成17年10月11日発行)、「SHIBUYA INDEX 8th Edition」(平成10年12月15日発行)、「The Pesticide Manual Fourteenth Edition」(British Crop Protection Council)などに記載されている。
これらの農薬活性成分の添加量は、製剤100重量部中に通常0.01〜90重量部、好ましくは0.1〜50重量部、さらに好ましくは0.5〜30重量部である。
本発明で使用できるラウリル硫酸塩としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミンなどが挙げられる。
ラウリル硫酸塩の製剤中への添加量は、製剤100重量部中に通常0.01〜20重量部、好ましくは0.1〜10重量部である。
ラウリル硫酸塩を除く陰イオン性界面活性剤としては、とくに限定はされないが、例えば、オレイン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、アルキルリン酸塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸トリエタノールアミン、リグニンスルホン酸ナトリウム、リグニンスルホン酸カルシウムなどが挙げられる。
ラウリル硫酸塩を除く陰イオン性界面活性剤の製剤中への添加量は、製剤100重量部中に通常0.01〜20重量部、好ましくは0.1〜10重量部である。
ただし、ラウリル硫酸塩とラウリル硫酸塩を除く陰イオン性界面活性剤との比率は1:0.2〜1:10であるのが好ましく、これらの範囲外であると、移植操作によって被膜が崩壊した際に、農薬活性成分が十分に拡散されず局在化してしまい、薬効不足や薬害を生じやすくなる傾向がある。
また、ラウリル硫酸塩を除く陰イオン性界面活性剤の使用にあたっては、これらの1種または2種以上を併用しても何ら問題はない。
本発明に使用できるオルトリン酸としては、リン酸特級(純度85%以上、関東化学株式会社)のように市販されているものであればよく、なんら限定されるものではない。オルトリン酸の製剤中への添加量は、製剤100重量部中に0.05〜5重量部であることが好ましく、さらには0.1〜2重量部であることがより好ましい。オルトリン酸は、移植操作によって被膜が崩壊した際、農薬活性成分などの急激な取り込みによって生じうる薬害を軽減する作用がある。
本発明に使用できる無水芒硝としては、硫酸ナトリウム特級(純度99%以上、関東化学株式会社)のように無水硫酸ナトリウムとして市販されているものであればよく、なんら限定されるものではない。ただし、本発明中における無水芒硝の含有量としては、製剤100重量部中に0.1〜50重量部であることが好ましく、さらには0.5〜30重量部であることがより好ましい。無水芒硝は、移植操作によって被膜が崩壊した際、被膜内粒状物の崩壊を促進させる作用がある。
本発明で使用できる固体担体としては、非水溶性固体担体と水溶性固体担体を挙げることができる。
非水溶性担体としては、クレー、ケイ砂およびその粉砕物、ケイソウ土、ベントナイト、タルク、ジークライト、セリサイト、酸性白土、活性白土、珪石、軽石、ゼオライト、バーミキュライト、ホワイトカーボン、シラスバルーンなどを粉砕したガラス質粉末などの無機担体、並びにセルロース、パルプ、モミガラ、木粉、デンプン、大豆粉などの有機担体が挙げられる。
水溶性担体としては、硫酸アンモニウム、塩化カリウム、炭酸カルシウム、尿素、ブドウ糖、ショ糖、果糖、乳糖などが挙げられる。固体担体は、これらに限定されるものではなく、また、これらの1種あるいは2種以上を併用しても構わない。
固体担体の製剤中への添加量は、製剤100重量部中に通常0.5〜99重量部、好ましくは5〜95重量部である。
本発明に使用できる水系樹脂組成物は、加水分解性シリル基を有する重合性不飽和単量体と、当該加水分解性シリル基を有する重合性不飽和単量体を除く重合性不飽和単量体とを共重合させて得られた共重合体を水に溶解又は分散させることにより得られる。加水分解性シリル基を有する重合性不飽和単量体としては、例えば下記一般式(1)で表されるシリル基を含む重合性不飽和単量体が挙げられる。
加水分解性シリル基は、通常、R1〜R3のうち少なくとも1つがハロゲン原子、アルコキシ基またはヒドロキシル基を有する。
ハロゲン原子には、例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が含まれ、通常、塩素原子である。
アルキル基には、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル基などのC1−10アルキル基が含まれる。
アリール基には例えば、フェニル基などのC6−10アリール基などが含まれ、アラルキル基には、例えば、ベンジル基などのC7−10アラルキル基などが含まれる。
アルコキシ基には、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、t−ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、オクチルオキシ、デシルオキシ、ドデシルオキシ基などのC1−16アルコキシ基が含まれる。好ましいアルコキシ基は、C1−4アルコキシ基、特にメトキシ基、エトキシ基である。アルコキシ基には、例えば、メトキシエトキシ基などのアルコキシ−アルコキシ基も含まれる。
アリールオキシ基には、例えば、フェノキシ基などのC6−10アリールオキシ基などが含まれる。アシルオキシ基には、例えば、アセチルオキシ、プロピオニルオキシ、ブチリルオキシ基などのC2−6アシルオキシ基などが含まれる。
アミノ基には、例えば、ジメチルアミノ基などの置換基を有していてもよいアミノ基などが含まれ、アミノオキシ基には、例えば、ジメチルアミノオキシ基などの置換基を有していてもよいアミノオキシ基などが含まれる。アルキルチオ基には、例えば、メチルチオ、エチルチオ基などのC1−6アルキルチオ基などが含まれる。
加水分解性シリル基を有する重合性不飽和単量体としては、例えば下記の一般式(2)から(13)で表される化合物が含まれる。
このような化合物としては、例えば、ビニルトリクロロシラン、ビニルメチルジクロロシラン、ビニルジメチルクロロシラン、ビニルメチルフェニルクロロシラン、イソプロペニルトリクロロシラン、イソプロペニルメチルジクロロシランおよびイソプロペニルメチルフェニルクロロシランなどが挙げられる。
このような化合物としては、例えば、アリルトリクロロシラン、アリルメチルジクロロシランおよびアリルジメチルクロロシランなどが挙げられる。
このような化合物としては、例えば、2−(メタ)アクリロキシエチルトリクロロシラン、2−(メタ)アクリロキシプロピルトリクロロシラン、2−(メタ)アクリロキシエチルメチルジクロロシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジクロロシラン、2−(メタ)アクリロキシエチルジメチルクロロシラン、および3−(メタ)アクリロキシプロピルジメチルクロロシランなどが挙げられる。
このような化合物としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ビニルトリ(ヘキシルオキシ)シラン、ビニルトリ(オクチルオキシ)シラン、ビニルトリ(デシルオキシ)シラン、ビニルトリ(ドデシルオキシ)シラン、ビニルジメトキシメチルシラン、ビニルジエトキシメチルシラン、ビニルメトキシジメチルシラン、ビニルエトキシジメチルシラン、ビニルブトキシジメチルシラン、ビニルジフェニルエトキシシラン、イソプロペニルトリメトキシシラン、イソプロペニルトリエトキシシラン、イソプロペニルトリブトキシシラン、イソプロペニルトリ(ヘキシルオキシ)シラン、イソプロペニルトリ(オクチルオキシ)シラン、イソプロペニルトリ(オクチルオキシ)シラン、イソプロペニルトリ(デシルオキシ)シラン、イソプロペニルトリ(ドデシルオキシ)シラン、イソプロペニルジメトキシメチルシラン、イソプロペニルジエトキシメチルシラン、イソプロペニルメトキシジメチルシラン、イソプロペニルエトキシジメチルシラン、イソプロペニルブトキシジメチルシランおよびビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シランなどが挙げられる。
このような化合物としては、例えば、アリルトリメトキシシラン、ビニルデシルトリメトシキシラン、ビニルオクチルトリメトキシシラン、ビニルフェニルトリメトキシシラン、ビニルフェニルジメトキシメチルシラン、ビニルフェニルメトキシジメチルシラン、イソプロペニルフェニルトリメトキシシラン、イソプロペニルフェニルジメトキシメチルシランおよびイソプロペニルフェニルメトキシジメチルシランなどが挙げられる。
このような化合物としては、例えば、2−(メタ)アクリロキシエチルトリメトキシシラン、2−(メタ)アクリロキシエチルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルジエトキシメチルシランおよび3−(メタ)アクリロキシプロピルトリス(2−メトキシエトキシ)シランなどが挙げられる。
このような化合物としては、例えば、3−(アリルオキシカルボニル−o−フェニレン−カルボキシ)プロピルトリメトキシシラン、3−(アリルオキシカルボニル−o−フェニレン−カルボキシ)プロピルジメトキシメチルシラン、3−(アリルオキシカルボニル−o−フェニレン−カルボキシ)プロピルメトキシジメチルシラン、3−(イソプロペニルメチレンオキシカルボニル−o−フェニレン−カルボキシ)プロピルトリメトキシシラン、3−(イソプロペニルメチレンオキシカルボニル−o−フェニレン−カルボキシ)プロピルジメトキシメチルシランおよび3−(イソプロペニルメチレンオキシカルボニル−o−フェニレン−カルボキシ)プロピルメトキシジメチルシランなどが挙げられる。
このような化合物としては、例えば、3−(ビニルフェニルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3−(ビニルフェニルアミノ)プロピルトリエトキシシラン、3−(ビニルベンジルアミノ)プロピルトリメトキシシランおよび3−(ビニルベンジルアミノ)プロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。
このような化合物としては、例えば、3−[ビニルフェニレンメチレン(エチレンジアミノ)]プロピルトリメトキシシランおよび3−[イソプロペニルフェニレンメチレン(エチレンジアミノ)]プロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。
このような化合物としては、例えば、2−(ビニルオキシ)エチルトリメトキシシラン、3−(ビニルオキシ)プロピルトリメトキシシラン、4−(ビニルオキシ)ブチルトリエトキシシランおよび2−(イソプロペニルオキシ)エチルトリメトキシシランなどが挙げられる。
このような化合物としては、例えば、3−(アリルオキシ)プロピルトリメトキシシラン、10−(アリルオキシカルボニル)デシルトリメトキシシラン、3−(イソプロペニルメチレンオキシ)プロピルトリメトキシシランおよび10−(イソプロペニルメチレンオキシカルボニル)デシルトリメトキシシランなどが挙げられる。
このような化合物としては、例えば、3−[(メタ)アクリロキシエチレンオキシ]プロピルトリメトキシシランおよび3−[(メタ)アクリロキシエチレンオキシ]プロピルジメトキシメチルシランなどが挙げられる。
(メタ)アクリレートには、例えば、アルキル(メタ)アクリレート[例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレートなどのC1−18アルキル(メタ)アクリレートなど]、シクロアルキル(メタ)アクリレート[例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレートなど]、アリール(メタ)アクリレート[[例えば、フェニル(メタ)アクリレートなど]、アラルキル(メタ)アクリレート[例えば、ベンジル(メタ)アクリレートなど]、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート[例えば、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル((メタ)アクリレートなどのヒドロキシ−C2−4アルキル(メタ)アクリレートなど]、グリシジル(メタ)アクリレート、ジアルキルアミノ−アルキル(メタ)アクリレート[例えば、2−(ジメチルアミノ)エチル(メタ)アクリレート、2−(ジエチルアミノ)エチル(メタ)アクリレートなどのジC1−4アルキルアミノ−C2−4アルキル(メタ)アクリレートなど]などが含まれる。
さらに好ましい(メタ)アクリル系単量体としては、C2−10アルキルアクリレート(例えば、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレートなど)、C1−6アルキルメタクリレート(例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレートなど)、ヒドロキシ−C2−3アルキル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、C1−3ジアルキルアミノ−C2−3アルキル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
好ましい不飽和カルボン酸には、例えば、(メタ)アクリル酸などのモノカルボン酸、マレイン酸などの多価カルボン酸又はその酸無水物若しくはエステル類などが含まれる。
芳香族ビニル類には、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンなどが含まれ、スチレンを用いる場合が多い。
ビニルエステル類には、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニル(VeoVaなど)などが含まれる。
ハロゲン含有ビニル類には、例えば、塩化ビニル、塩化ビニリデンなどが含まれる。
また、その他の重合性不飽和単量体として、以下の一般式(14)から(16)で表されるシリル基を含有する化合物を使用してもよい。
このような化合物としては、例えば、ビニルビス(ジメチルアミノ)メチルシランなどが挙げられる。
このような化合物としては、例えば、ビニルトリ(アセチルオキシ)シランおよびビニルジ(アセチルオキシ)メチルシランなどが挙げられる。
このような化合物としては、例えば、ビニルトリフェノキシシランなどが挙げられる。
一方、加水分解性シリル基を有する重合性不飽和単量体を除く重合性不飽和単量体として、カルボキシル基やアミノ基などのイオン性官能基を有する単量体成分[例えば、ジアルキルアミノ−アルキル(メタ)アクリレートなど]を用いると、乳化剤を用いることなく、水性樹脂組成物を得ることができる。
このように加水分解性シリル基を有する重合性不飽和単量体を除く重合性不飽和単量体として、ハードモノマー、ソフトモノマー及びイオン性基含有モノマーを用いる場合、その配合比は特には限定されないが、例えば、ハードモノマー10〜90重量%(例えば、15〜85重量%、好ましくは20〜80重量%、さらに好ましくは25〜75重量%、特に30〜70重量%)、ソフトモノマー10〜90重量%(例えば、15〜85重量%、好ましくは20〜80重量%、さらに好ましくは25〜75重量%、特に30〜70重量%)及びイオン性基含有モノマー0〜80重量%(例えば、0〜70重量%、好ましくは0〜60重量%、さらに好ましくは0〜50重量%、特に0〜40重量%)とすることができる。
本発明における、水系樹脂組成物の被覆量(重量部)としては、0.5〜40重量部であることが好ましく、さらには1.0〜20重量部であることがより好ましい。この被覆量の幅は、使用する農薬活性成分の水溶解度および育苗期間におけるイネへの薬害程度を考慮して適宜決められる。
また、水系樹脂組成物と無水芒硝の含有量(重量部)の比は、1:0.01〜1:0.5が好ましい。
本発明に使用できる陰イオン性界面活性剤以外の界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、両面性界面活性剤が挙げられる。例えば、非イオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンスチニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタンアルキレート、ポリオキシエチレンフェニルエーテルポリマー、ポリオキシエチレンアルキレンアリールフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマーなどが挙げられる。陽イオン界面活性剤としては、アルキルトリメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩などが挙げられる。両面性界面活性剤としては、ジアルキルジアミノエチルベタイン、アルキルジメチルベンジルベタインなどが挙げられる。ただし、本発明において使用できる陰イオン性界面活性剤以外の界面活性剤としてはこれらの例示に限られるものではなく、1種または2種以上を併用しても何ら問題はない。
本発明のイネ育苗箱施用被覆粒剤を得るに際して、樹脂による被覆前の粒状物とするには、核粒の造粒法によればよいが、その方法としては、押出し造粒法、転動造粒法、転動流動造粒法、流動層造粒法、圧縮造粒法、攪拌混合造粒法、被覆造粒法および打錠法などを挙げることができる。円柱状の造粒物を得る場合には、押出し造粒法が好ましく、また、球状の造粒物を得る場合には、転動造粒法および攪拌混合造粒法が好ましい。
次に、この混練物をバスケット式造粒機、スクリュー式造粒機などの押し出し造粒機を用いて造粒する。造粒時の押出し穴径(スクリーン径)は通常0.3〜5mm、好ましくは0.5〜2mmの範囲である。得られた造粒物をマルメライザーなどで整粒した後、流動乾燥機やベット式乾燥機などを用いて乾燥させ、次いで篩別することにより本発明で用いる上記粒状物が得られる。
転動造粒法や転動流動層造粒法により得られる粒状物は球状であり、本発明で用いられる粒状物としては直径または最大径が、通常0.1〜20mm、好ましくは0.5〜15mmの範囲にあるものが好ましい。
[実施例1]
<核粒の調製>
カスガマイシン(抗生物質系殺菌剤)2.0部、ラウリル硫酸ナトリウム2.0部、リグニンスルホン酸カルシウム5.0部、オルトリン酸0.5部、無水芒硝0.5部およびクレー83.0部で合計93.0部とし、ハンマーミル(不二パウダル株式会社製)にて均一になるよう混合した。この混合物に水11.0部を添加して双腕ニーダー(不二パウダル株式会社製)で混練した。
次に、この加水混練物を孔径1.0mmのバスケット型スクリーンを付けた押し出し造粒機で造粒した。得られた造粒物を流動層乾燥機(不二パウダル株式会社製)で乾燥した後、1.7mm〜850μmのフルイで篩別して粒状物を得た。
<水系樹脂組成物の調製>
攪拌機、環流冷却器、滴下ロート、窒素導入管及び温度計を備えた2リットルの反応容器にイソプロピルアルコール219部を入れ、攪拌しながら触媒としてのアゾビスイソブチロニトリル0.62部を加えて溶解し、摂氏80度に加温した。加水分解性シリル基を有する重合性不飽和単量体としての3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製の商品名KMB−503)が4.94部、メチルメタクリレートが135.7部、n−ブチルアクリレートが98.7部及びアクリル酸が7.39部からなる共重合成分を混合し、滴下ロートを用いて約4時間かけて反応容器内に滴下した。滴下終了後、追加触媒としてのアゾビスイソブチロニトリル1.25部をイソプロピルアルコール25部に溶解して反応容器内に滴下し、さらに2時間反応を保持した。重合終了後、攪拌を続けながら25%アンモニア水6.95部を反応容器内に加え、水705部を約2時間かけて反応容器内に滴下してエマルジョン化した。エマルジョン化後ロータリーエバポレーターを用いてイソプロピルアルコールを蒸発させ、水系樹脂組成物Aを得た。この水系樹脂組成物Aの固形分は35重量%であった。また、この水系樹脂組成物Aの共重合成分中に占める加水分解性シリル基を有する重合性不飽和単量体の割合は2.0重量%である。
<核粒への水系樹脂組成物のコーティング>
上記粒状物93.0部を、転動流動層コーティング装置「マルチプレックスMP−01」(株式会社パウレック製)に入れ、上記水系樹脂組成物A20.0部と水40.0部を相溶させた液を該粒状物に噴霧した。
被覆処理された粒状物をコーティング装置より取り出した後、流動層乾燥機で乾燥させて、上記粒状物93.0部が水系樹脂組成物Aの固形分7.0部にて被覆されているイネ育苗箱施用被覆粒剤を得た。
[実施例3]実施例1の水系樹脂組成物の調製時、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(前述の信越化学工業株式会社製の商品名KMB−503)の添加量を55.7部、メチルメタクリレートの添加量を116.56部とした以外は、実施例1の水系樹脂組成法に準じて水系樹脂組成物C(固形分35重量%、共重合成分中に占める加水分解性シリル基を有する重合性不飽和単量体の割合は20.0重量%)を得た。この水系樹脂組成物Cを用いて実施例1と同様に粒状物をコーティングし、水系樹脂組成物Cの固形分7.0部にて被覆されているイネ育苗箱施用被覆粒剤を得た。
[実施例6、7]実施例1の固体担体をゼオライト、乳糖とした以外は、実施例1の調製法に準じて調製し、イネ育苗箱施用被覆粒剤を得た。
[実施例8、9]実施例1のオルトリン酸の添加量を0.1または1.0部とし、クレーの添加量をそれぞれ83.4部または82.5部とした以外は、実施例1の調製法に準じて調製し、イネ育苗箱施用被覆粒剤を得た。
[実施例10]実施例1のオルトリン酸の添加量を2.0部、無水芒硝の添加量を2.0部とし、クレーの添加量を80.0部とした以外は、実施例1の調製法に準じて調製し、イネ育苗箱施用被覆粒剤を得た。
[実施例11]実施例1の無水芒硝の添加量を3.0部とし、クレーの添加量を80.5部とした以外は、実施例1の調製法に準じて調製し、イネ育苗箱施用被覆粒剤を得た。
[実施例13]実施例1のリグニンスルホン酸カルシウムの添加量を0.5部とし、クレーの添加量を87.5部とした以外は、実施例1の調製法に準じて調製し、イネ育苗箱施用被覆粒剤を得た。
[実施例14]実施例1のラウリル硫酸ナトリウムの添加量を5.0部、リグニンスルホン酸カルシウムの添加量を3.0部とし、クレーの添加量を82.0部とした以外は、実施例1の調製法に準じて調製し、イネ育苗箱施用被覆粒剤を得た。
[実施例15]実施例1のラウリル硫酸塩を除く陰イオン界面活性剤をドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム5.0部とした以外は、実施例1の調製法に準じて調製し、イネ育苗箱施用被覆粒剤を得た。
[実施例16]実施例1のラウリル硫酸塩を除く陰イオン性界面活性剤をナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物5.0部とした以外は、実施例1の調製法に準じて調製し、イネ育苗箱施用被覆粒剤を得た。
[実施例17]実施例1のラウリル硫酸ナトリウムをラウリル硫酸アンモニウム2.0部とした以外は、実施例1の調製法に準じて調製し、イネ育苗箱施用被覆粒剤を得た。
[実施例19]実施例1の農薬活性成分をピロキロン12.0部、ラウリル硫酸ナトリウムをラウリル硫酸アンモニウム2.0部、ラウリル硫酸塩を除く陰イオン性界面活性剤をドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム5.0部とし、クレーの添加量を73.0部とした以外は、実施例1の調製法に準じて調製し、イネ育苗箱施用被覆粒剤を得た。
[実施例20]実施例1の農薬活性成分をカルタップ(ネライストキシン系殺虫剤)4.0部とし、クレーの添加量を81.0部とした以外は、実施例1の調製法に準じて調製し、イネ育苗箱施用被覆粒剤を得た。
[実施例21]実施例19の農薬活性成分をカルタップ4.0部、クレーの添加量を81.0部とした以外は、実施例1の調製法に準じて調製し、イネ育苗箱施用被覆粒剤を得た。
[実施例22]実施例1の農薬活性成分をチアメトキサム(ネオニコチノイド系殺虫剤)2.0部とした以外は、実施例1の調製法に準じて調製し、イネ育苗箱施用被覆粒剤を得た。
[実施例23]実施例19の農薬活性成分をチアメトキサム2.0部、クレーの添加量を83.0部とした以外は、実施例1の調製法に準じて調製し、イネ育苗箱施用被覆粒剤を得た。
[比較例2]実施例1のラウリル硫酸塩を無添加とし、クレーの添加量を85.0部とした以外は、実施例1の調製法に準じて調製し、イネ育苗箱施用被覆粒剤を得た。
[比較例3]実施例1のオルトリン酸を無添加とし、クレーの添加量を83.5部とした以外は、実施例1の調製法に準じて調製し、イネ育苗箱施用被覆粒剤を得た。
[比較例4]実施例1の無水芒硝を無添加とし、クレーの添加量を83.5部とした以外は、実施例1の調製法に準じて調製し、イネ育苗箱施用被覆粒剤を得た。
[比較例5]比較例3のラウリル硫酸塩を除く陰イオン性界面活性剤をドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム5.0部とした以外は、実施例1の調製法に準じて調製し、イネ育苗箱施用被覆粒剤を得た。
[比較例7]実施例1のラウリル硫酸塩を除く陰イオン性界面活性剤に変えて非イオン性界面活性剤のポリオキシエチレンアルキルエーテル5.0部とした以外は、実施例1の調製法に準じて調製し、イネ育苗箱施用被覆粒剤を得た。
[比較例8]比較例1のラウリル硫酸ナトリウムをラウリル硫酸アンモニウム2.0部とした以外は、実施例1の調製法に準じて調製し、イネ育苗箱施用被覆粒剤を得た。
[比較例9〜10]比較例3〜4のラウリル硫酸ナトリウムをラウリル硫酸アンモニウム2.0部とした以外は、実施例1の調製法に準じて調製し、イネ育苗箱施用被覆粒剤を得た。
[比較例11]比較例1の農薬活性成分をピロキロン12.0部とし、クレーの添加量を78.0部とした以外は、実施例1の調製法に準じて調製し、イネ育苗箱施用被覆粒剤を得た。
[比較例13]比較例3の農薬活性成分をピロキロン12.0部とし、クレーの添加量を73.5部とした以外は、実施例1の調製法に準じて調製し、イネ育苗箱施用被覆粒剤を得た。
[比較例14]比較例4の農薬活性成分をピロキロン12.0部とし、クレーの添加量を73.5部とした以外は、実施例1の調製法に準じて調製し、イネ育苗箱施用被覆粒剤を得た。
[比較例15]実施例1の水系樹脂組成物の調製時に、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(前述の信越化学工業株式会社製の商品名KMB−503)を無添加とした以外は、実施例1と同様にして、水系樹脂組成物E(固形分35重量%、加水分解性シリル基を有する重合性不飽和単量体は含まない)を得た。この水系樹脂組成物Eを用いて実施例1と同様に粒状物をコーティングし、水系樹脂組成物Eの固形分7.0部にて被覆されているイネ育苗箱施用被覆粒剤を得た。
[比較例16]比較例15の農薬活性成分をピロキロン12.0部とし、クレーの添加量を73.0部とした以外は、実施例1の調製法に準じて調製し、イネ育苗箱施用被覆粒剤を得た。
[比較例18]比較例15の農薬活性成分をチアメトキサム2.0部とした以外は、実施例1の調製法に準じて調製し、イネ育苗箱施用被覆粒剤を得た。
[比較例19]実施例1の調製法において水系樹脂組成物の被覆を行わず、クレーの添加量を90.0部とした以外は、実施例1の調製法に準じて調製し、イネ育苗箱施用粒剤を得た。
[比較例20]比較例19の農薬活性成分をピロキロン12.0部とし、クレーの添加量を80.0部とした以外は、実施例1の調製法に準じて調製し、イネ育苗箱施用粒剤を得た。
[比較例21]比較例19の農薬活性成分をカルタップ4.0部とし、クレーの添加量を88.0部とした以外は、実施例1の調製法に準じて調製し、イネ育苗箱施用粒剤を得た。
[比較例23]実施例1の水系樹脂組成物Aに変えて、ポリゾールSH-502(酢酸ビニル樹脂50%、昭和高分子株式会社製)14.0部と水28.0部を相溶させた液を用いた以外は、実施例1の調製法に準じて調製し、酢酸ビニル樹脂7.0部にて被覆されているイネ育苗箱施用被覆粒剤を得た。
[比較例24]実施例1の水系樹脂組成物Aに変えて、ポリゾールP−3(エチレン・酢酸ビニル樹脂50%、昭和高分子株式会社製)14.0部と水28.0部を相溶させた液を用いた以外は、実施例1の調製法に準じて調製し、エチレン・酢酸ビニル樹脂7.0部にて被覆されているイネ育苗箱施用被覆粒剤を得た。
[比較例25]実施例1の水系樹脂組成物Aに変えて、スーパーフレックス126(ポリウレタン樹脂30%、第一工業製薬株式会社製)23.3部と水46.6部を相溶させた液を用いた以外は、実施例1の調製法に準じて調製し、ポリウレタン樹脂7.0部にて被覆されているイネ育苗箱施用被覆粒剤を得た。
[比較例26]比較例23の農薬活性成分をピロキロン12.0部とし、クレーの添加量を73.0部とした以外は、実施例1の調製法に準じて調製し、イネ育苗箱施用被覆粒剤を得た。
[比較例28]比較例23の農薬活性成分をカルタップ4.0部とし、クレーの添加量を81.0部とした以外は、実施例1の調製法に準じて調製し、イネ育苗箱施用被覆粒剤を得た。
[比較例29]比較例25の農薬活性成分をカルタップ4.0部とし、クレーの添加量を81.0部とした以外は、実施例1の調製法に準じて調製し、イネ育苗箱施用被覆粒剤を得た。
[比較例30]比較例23の農薬活性成分をチアメトキサム2.0部とした以外は、実施例1の調製法に準じて調製し、イネ育苗箱施用被覆粒剤を得た。
[比較例31]比較例25の農薬活性成分をチアメトキサム2.0部とした以外は、実施例1の調製法に準じて調製し、イネ育苗箱施用被覆粒剤を得た。
[試験例1] 水稲薬害試験
育苗箱に培養土4Lを入れ、種籾(品種:コシヒカリ)180g、調製した粒状農薬組成物50gを処理した。播種から20日後(本田への移植時期に相当)にイネ苗の地上部の生育および根の伸張程度を調査し、薬害程度をイネ・ムギ等殺菌剤圃場試験法(平成2年5月(社)日本植物防疫協会出稿)に準拠した下記の評価基準にて評価した。結果を表1〜表2(発明区1〜2)および表3〜5(比較区1〜3)に示す。
[イネ苗の地上部の生育における薬害評価基準]
3:無処理区と同等の背丈(無処理区対比で90%以上)。
2:無処理区の生育より僅かに劣るが、問題ない程度(無処理区の89〜80%)。
1:生育にバラツキが認められる(無処理区の79〜50%)。
0:実用上問題となる薬害(無処理区の49%以下)。
[イネ苗の根の伸張程度における薬害評価基準]
3:無処理区と同等の生育(無処理区対比で90%以上)。
2:無処理区の生育より僅かに劣るが、問題ない程度(無処理区の89〜80%)。
1:生育にバラツキが認められる(無処理区の79〜50%)。
0:実用上問題となる薬害(無処理区の49%以下)。
試験例1と同様に育苗したイネ苗を使用し、移植直前の苗の地上部(根を除く)をサンプリングした後、残りの部分を田植え機(株式会社クボタ製 SPJ400 4条植え)にて本田へ移植した。移植10日後、20日後に苗の上位3葉(移植後に吸収された薬剤が蓄積される部分)をサンプリングし、サンプリングした苗5.0gに抽出溶媒を加えて磨砕抽出し、カラムで精製後、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)または、ガスクロマトグラフィー(GC)により定量(分解物が生成した場合には、分解物も定量し、農薬活性成分に換算して合算する)し、次式から稲体中の薬剤濃度を算出した。結果を表1〜表2(発明区1〜2)および表3〜表5(比較区1〜3)に示す。
実施例1〜実施例23では、水稲生育程度(薬害程度)は無処理区と同等で問題ない。また、本発明の効果により、稲体中への薬剤取り込み濃度は、移植直前に比べ移植10日後には約2〜3倍程度に高まる傾向にある。
本発明に必要な成分のうち、ラウリル硫酸塩を除いた比較例2および比較例12、ラウリル硫酸塩を除く陰イオン性界面活性剤を除いた比較例1、比較例7、比較例8および比較例11、並びに無水芒硝を除いた比較例4、比較例6、比較例10および比較例14においては、薬剤取り込み濃度が、移植直前に比べ移植10日後には約1/2に低下する。
オルトリン酸を除いた比較例3、比較例5、比較例9および比較例13では、移植後の薬剤取り込み濃度も高まらず、水稲生育程度もやや劣る。
水系樹脂組成物から加水分解性シリル基を有する重合性不飽和単量体を除いた比較例15〜比較例18および水系樹脂組成物を被覆しない比較例19〜比較例22では、薬効上あまり必要とされない育苗期間中に薬剤が高濃度で放出・溶出され移植直前の薬剤取り込み濃度が高くなり、その結果水稲生育程度が著しく劣る。
他の市販の樹脂を被覆した比較例23〜比較例31のうち、酢酸ビニル樹脂あるいはエチレン・酢酸ビニル樹脂を用いた比較例23、比較例24、比較例26、比較例28および比較例31では、育苗期間における薬剤の溶出・放出を制御することができず、水稲生育程度が著しく劣る。ポリウレタン樹脂を用いた比較例25、比較例27、比較例29および比較例31では、水稲の生育程度(薬害程度)に問題はないが、移植後の薬剤の取り込み濃度が高まらない。
Claims (4)
- a)水に対する溶解度(20℃)が0.01g/L以上である農薬活性成分、b)ラウリル硫酸塩、c)ラウリル硫酸塩を除く陰イオン性界面活性剤、d)オルトリン酸、e)無水芒硝およびf)固体担体を含有した粒状物を、g)加水分解性シリル基を有する重合性不飽和単量体と、当該加水分解性シリル基を有する重合性不飽和単量体を除く重合性不飽和単量体との共重合体を水に溶解または分散させてなる水系樹脂組成物により被覆することを特徴とするイネ育苗箱施用被覆粒剤。
- 水系樹脂組成物g)が、加水分解性シリル基を有する重合性不飽和単量体と、当該加水分解性シリル基を有する重合性不飽和単量体を除く重合性不飽和単量体として(メタ)アクリル酸およびアルキル基の炭素数が1〜18である(メタ)アクリル酸アルキルエステルよりなる群から選ばれる一種以上との共重合体を水に溶解または分散させてなることを特徴とする、請求項1に記載のイネ育苗箱施用被覆粒剤。
- 水系樹脂組成物g)が、加水分解性シリル基を有する重合性不飽和単量体として3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランと、当該加水分解性シリル基を有する重合性不飽和単量体を除く重合性不飽和単量体として(メタ)アクリル酸、メチルメタクリレートおよびn−ブチルアクリレートとの共重合体を水に溶解または分散させてなることを特徴とする、請求項1〜2のいずれかに記載のイネ育苗箱施用被覆粒剤。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のイネ育苗箱施用被覆粒剤を育苗箱に施用後、該粒剤の被膜をイネ育苗箱から本田への移植操作によって崩壊させることにより、本田への農薬活性成分の溶出量を増加させることを特徴とする被覆粒剤の溶出制御方法。
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