JP2010075992A - レーザ加工装置 - Google Patents

レーザ加工装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2010075992A
JP2010075992A JP2008250717A JP2008250717A JP2010075992A JP 2010075992 A JP2010075992 A JP 2010075992A JP 2008250717 A JP2008250717 A JP 2008250717A JP 2008250717 A JP2008250717 A JP 2008250717A JP 2010075992 A JP2010075992 A JP 2010075992A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
laser
processing
light
workpiece
main beam
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2008250717A
Other languages
English (en)
Inventor
Tadashi Kira
唯 吉良
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Corp
Original Assignee
Fujifilm Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fujifilm Corp filed Critical Fujifilm Corp
Priority to JP2008250717A priority Critical patent/JP2010075992A/ja
Priority to PCT/JP2009/066497 priority patent/WO2010035737A1/ja
Priority to TW098133022A priority patent/TW201021951A/zh
Publication of JP2010075992A publication Critical patent/JP2010075992A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • GPHYSICS
    • G11INFORMATION STORAGE
    • G11BINFORMATION STORAGE BASED ON RELATIVE MOVEMENT BETWEEN RECORD CARRIER AND TRANSDUCER
    • G11B7/00Recording or reproducing by optical means, e.g. recording using a thermal beam of optical radiation by modifying optical properties or the physical structure, reproducing using an optical beam at lower power by sensing optical properties; Record carriers therefor
    • G11B7/24Record carriers characterised by shape, structure or physical properties, or by the selection of the material
    • G11B7/26Apparatus or processes specially adapted for the manufacture of record carriers
    • G11B7/261Preparing a master, e.g. exposing photoresist, electroforming
    • GPHYSICS
    • G11INFORMATION STORAGE
    • G11BINFORMATION STORAGE BASED ON RELATIVE MOVEMENT BETWEEN RECORD CARRIER AND TRANSDUCER
    • G11B7/00Recording or reproducing by optical means, e.g. recording using a thermal beam of optical radiation by modifying optical properties or the physical structure, reproducing using an optical beam at lower power by sensing optical properties; Record carriers therefor
    • G11B7/08Disposition or mounting of heads or light sources relatively to record carriers
    • G11B7/09Disposition or mounting of heads or light sources relatively to record carriers with provision for moving the light beam or focus plane for the purpose of maintaining alignment of the light beam relative to the record carrier during transducing operation, e.g. to compensate for surface irregularities of the latter or for track following
    • G11B7/0901Disposition or mounting of heads or light sources relatively to record carriers with provision for moving the light beam or focus plane for the purpose of maintaining alignment of the light beam relative to the record carrier during transducing operation, e.g. to compensate for surface irregularities of the latter or for track following for track following only
    • G11B7/0903Multi-beam tracking systems
    • GPHYSICS
    • G11INFORMATION STORAGE
    • G11BINFORMATION STORAGE BASED ON RELATIVE MOVEMENT BETWEEN RECORD CARRIER AND TRANSDUCER
    • G11B7/00Recording or reproducing by optical means, e.g. recording using a thermal beam of optical radiation by modifying optical properties or the physical structure, reproducing using an optical beam at lower power by sensing optical properties; Record carriers therefor
    • G11B7/08Disposition or mounting of heads or light sources relatively to record carriers
    • G11B7/09Disposition or mounting of heads or light sources relatively to record carriers with provision for moving the light beam or focus plane for the purpose of maintaining alignment of the light beam relative to the record carrier during transducing operation, e.g. to compensate for surface irregularities of the latter or for track following
    • G11B7/0948Disposition or mounting of heads or light sources relatively to record carriers with provision for moving the light beam or focus plane for the purpose of maintaining alignment of the light beam relative to the record carrier during transducing operation, e.g. to compensate for surface irregularities of the latter or for track following specially adapted for detection and avoidance or compensation of imperfections on the carrier, e.g. dust, scratches, dropouts

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Manufacturing & Machinery (AREA)
  • Laser Beam Processing (AREA)

Abstract

【課題】ディスク状の加工対象物の表面に存在する欠陥領域を予め検出することができ、この欠陥領域を避けて被加工部列を形成することができる、レーザ加工装置を提供する。
【解決手段】外周側のサブビームSBのビームスポットは、次にトラックが形成される未加工領域上に位置している。メインビームMBを加工対象物10に照射してピット列を形成するのと同時に、サブビームSBの反射光を検出して、次にトラックが形成される未加工領域上に在る欠陥領域DFを検出する。検出された欠陥領域DFの位置を特定し、欠陥領域DFの位置情報(ディフェクト情報)を記憶しておく。メインビームMBで次のトラックを形成する場合には、予め取得したディフェクト情報に基づいて、この欠陥領域DFを避けてピット列を形成する。また、メインビームMBが欠陥領域DF上を通過する間は、フォーカシング制御を一時停止して、フォーカスが大幅に外れないようにする。
【選択図】図4

Description

本発明は、レーザ加工装置に関する。
従来、半導体集積回路の製造などに用いられるフォトマスクやレチクルを製造するレーザ加工装置として、直交する2つのスライダを駆動してXYテーブル上に載置された被処理部材をX方向及びY方向に移動させながら、光学系を介してレーザ光を被処理部材上に集光し、この被処理部材上にビームスポットを照射してパターンを形成するXYテーブル式レーザ加工装置がよく知られている。
しかしながら、従来のXYテーブル式レーザ加工装置でパターンを形成した場合、ピクセル数が多くなるとXY方向のスライダの移動回数や加減速回数が増加して描画時間が長くなる等の問題があった。このような問題点を解決するために、回転体と光学系を組み合わせて、ピクセル数が多い場合でも描画時間を短縮でき、高精度なレーザ加工が可能なレーザ加工装置が提案されている。
ディスク型の回転体を用いたレーザ加工装置では、ターンテーブルに加工対象物を載せて回転させながら、ビームスポットを径方向に移動させることにより高速のレーザ加工を行うことができる。即ち、CD−R等の光情報記録媒体に記録する場合と同様にして、レーザ光をディスク状の加工対象物に照射してレーザ加工を行うのである。これらのレーザ加工装置の中でも、高精度な加工を目的として、レーザ光のビームスポットの光強度分布を調整することで、加工対象物にビームスポット径以下の微細パターン(微小凹部列)を形成する方法等が開示されている(特許文献1、2参照)
また、このような微細パターンを形成する加工対象物としては、様々な物が検討されている。特許文献1では、微細パターンの形成に関しては、ヒートモード型の記録材料層を備えた加工対象物が選択されている。このヒートモード型の記録材料層は、照射による光熱変換により、物理的変化又は化学的変化を引き起こすことで所望のパターンが形成される層である。
ヒートモード型の記録材料層は、照射の速度が遅くなると発生した熱が散逸し、より多くの照射エネルギーが必要になる低照度不軌特性(低照度、長時間照射ほど、感光材料の感度が低下する特性)を有している。従って、ヒートモード型の記録材料層にレーザ光を照射してパターンを形成する場合には、ビームスポット径以下の微細パターンを形成することが可能になる。
特開2007−216263号公報 WO2004/047096号公報
しかしながら、内部に記録層を備えた光情報記録媒体とは異なり、ヒートモード型の記録材料層が表面に形成された加工対象物では、加工対象物の表面(即ち、記録材料層の表面)に凹凸が生じてしまう。大きな凹部や大きな凸部がある領域は、レーザ加工が行えない「欠陥領域」となる。この欠陥領域では、フォーカスが大幅に外れ、フォーカシング制御が中断されるという問題がある。フォーカスが大幅に外れると、フォーカシング制御を再開することができず、それ以降はレーザ加工処理を継続できなくなる場合もある。同時にトラッキング制御を行っている場合には、トラッキング制御も中断される。トラッキング制御が中断されると、加工済み領域を重ねて加工するオーバーライト等が発生する虞もある。
例えば、図10に示すように、光加工ヘッド14から出射されるレーザ光を、加工対象物10の表面10aに照射する。加工対象物10の表面10aに焦点が合うようにフォーカス制御を行うことで、光加工ヘッド14と加工対象物10との距離が一定に維持されている。このとき、加工対象物10の表面10aに大きな凸部10dがあると、点線で図示したように、光加工ヘッド14が追随しきれなくなり、フォーカスが大幅に外れ、フォーカシング制御が中断される。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、ディスク状の加工対象物の表面に存在する欠陥領域を予め検出することができ、この欠陥領域を避けて被加工部列を形成することができる、レーザ加工装置を提供することにある。
上記目的を達成するために本発明のレーザ加工装置は、レーザ光源と、該レーザ光源から出射されたレーザ光をメインビーム及びメインビームより光強度の小さいサブビームを含む複数の光ビームに分岐する回折格子と、前記複数の光ビームの各々をディスク状の加工対象物の表面に集光する集光光学系と、を少なくとも備え、前記メインビームが前記加工対象物の表面に被加工部を形成する加工領域を照射すると共に、前記サブビームの1つが前記加工領域に隣接し且つ前記加工対象物の表面に被加工部が形成されていない未加工領域を照射するように、分岐された複数の光ビームを前記加工対象物に照射するレーザ照射手段と、前記加工対象物をディスクの回転軸の周りに回転させる回転手段と、前記レーザ照射手段を前記加工対象物の半径方向に相対移動させる移動手段と、分岐された複数の光ビームの各々について設けられ、前記加工対象物の表面により反射された反射光を検出する複数の光検出器と、前記回転手段により前記加工対象物を回転させる際に、前記光検出器で検出された前記加工領域に照射されたメインビームの反射光強度に基づいて、前記加工対象物の表面でメインビームの焦点が合うように、前記レーザ照射手段の光軸方向の位置を調整するフォーカス制御を行うフォーカス制御手段と、前記光検出器で検出された前記未加工領域に照射されたサブビームの反射光強度に基づいて、前記加工対象物の表面の凹凸に関わる欠陥領域を検出する欠陥検出手段と、前記欠陥検出手段で検出された欠陥領域の位置情報を生成する位置情報生成手段と、前記位置情報生成手段で生成された欠陥領域の位置情報を記憶する記憶手段と、前記メインビームで前記加工対象物の表面の加工領域を照射する場合に、前記記憶手段に記憶された欠陥領域の位置情報に基づいて、前記欠陥領域に被加工部が形成されず且つ前記欠陥領域以外の加工領域に複数の被加工部が形成されるように、前記レーザ照射手段のレーザ光源の出力を制御するレーザ出力制御手段と、を備え、前記メインビームを前記加工対象物の表面の加工領域に照射して、前記加工対象物の表面に複数の被加工部を形成するレーザ加工装置である。
上記のレーザ加工装置において、前記フォーカス制御手段は、前記メインビームで前記加工対象物の表面の欠陥領域を照射する期間は、前記フォーカス制御を停止し且つ前記レーザ照射手段の光軸方向の位置を所定位置に維持することができる。
上記のレーザ加工装置は、前記レーザ照射手段から照射される前記サブビームの他の1つが前記加工対象物の表面に被加工部が形成された加工済み領域を照射し、前記回転手段により前記加工対象物を回転させる際に、前記光検出器で検出された前記加工済み領域に照射された前記サブビームの他の1つの反射光強度に基づいて、前記レーザ照射手段の半径方向の位置を調整するトラッキング制御を行うトラッキング制御手段を、更に備えていてもよい。
上記のレーザ加工装置において、前記加工対象物はヒートモード型の記録材料層を表面に備え、該記録材料層に前記メインビームのビームスポット径より小さい直径の被加工部を形成することができる。また、前記サブビームは前記メインビームの半分以下の光強度を有することが好ましい。
上記のレーザ加工装置において、前記複数の光ビームは、0次回折光、−1次回折光、及び+1次回折光を少なくとも含むことができる。また、前記複数の光ビームは、レーザ加工に使用される複数のメインビームを含むことができる。前記複数の光ビームは、欠陥領域の検出に使用される複数のサブビームを含むことができる。
本発明のレーザ加工装置によれば、ディスク状の加工対象物の表面に存在する欠陥領域を予め検出することができ、この欠陥領域を避けて被加工部列を形成することができる、という効果がある。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態の一例を詳細に説明する。
<レーザ加工装置の概略構成>
まず、本発明の実施の形態に係るレーザ加工装置の概略構成について説明する。
図1は本発明の実施の形態に係るレーザ加工装置の概略構成を示す斜視図である。このレーザ加工装置は、図1に示すように、ディスク状(円盤状)の加工対象物10を回転させる回転手段としてのスピンドルモータ12と、加工対象物10の表面10aにレーザ光を照射するレーザ照射手段としての光加工ヘッド14と、加工対象物10に対して光加工ヘッド14を移動させる移動手段としてのステッピングモータ16と、を含んで構成されている。本実施の形態では、光加工ヘッド14側を移動させる場合について説明する。このため、ステッピングモータ16は、光加工ヘッド14の支持部材(図示せず)に取り付けられている。しかしながら、加工対象物10に対して光加工ヘッド14を相対移動させることができればよい。加工対象物10側を移動させる場合には、ステッピングモータは、スピンドルモータ12側に取り付けられる。
加工対象物10の中心部には、センターホール10bが形成されている。加工対象物10は、センターホール10bを係止することでターンテーブル18に装着されており、スピンドルモータ12によってターンテーブル18と共に回転される。加工対象物10は、加工対象物10の回転中心Qを通る回転軸Lの周りに、所定方向(図1では矢印X方向)に回転される。光加工ヘッド14は、ステッピングモータ16により、加工対象物10の半径方向(図1では矢印Y方向)に沿って、回転中心Qから所定距離の位置まで移動される。
加工対象物10には、光加工ヘッド14からパルス変調されたレーザ光が照射される。加工対象物10の表面10aには記録材料層(図2参照)が形成されている。加工対象物10を回転させながら、記録材料層が形成された表面10aにパルス変調されたレーザ光を照射する。レーザ光が照射された部分の記録材料層は、レーザ照射による光熱変換によって変化する。後述する通り、記録材料層のレーザ光が照射された部分が、化学変化及び物理変化の何れか一方または双方を引き起こし、レーザ加工された被加工部が形成される。例えば、加熱により記録材料層が除去されると、被加工部として凹部(ピット)が形成される。これにより加工対象物10の表面10aには、複数のピットPが同心円状に配列されたピット列が形成される。以下では、同心円状に配列されたピット列を「トラック」と称する場合がある。なお、被加工部は凹部(ピット)には限られない。例えば、加熱により記録材料層が変質(化学変化等)して、被加工部として変質部が形成されることもある。
光加工ヘッド14は、加工対象物10の加工領域内において、半径方向に沿って内周側から外周側に所定間隔ずつ移動される。移動した位置毎に、加工対象物10に同心円状のピット列を形成する。これにより、加工対象物10の加工領域全体に、複数のピット列が形成されて、多数のピットからなる凹凸パターンが形成される。以下では、特定のピットPを示す必要が無い場合には、単に「ピット」と称する。
<微小ピットの形成>
次に、加工対象物10の表面に超微細パターンを形成する方法について説明する。図2(A)は加工対象物の層構成の一例を示す部分断面図である。図2(B)は加工対象物の表面にレーザ光が照射される様子を示す部分断面図である。図2(C)は加工対象物の表面にピットが形成される様子を示す部分断面図である。
加工対象物10は、図2(A)に示すように、基材20と、基材20の表面に積層された記録材料層22と、を備えた構成とされている。記録材料層22は、記録材料となる物質を適当な溶剤に溶解または分散して塗布液を調整した後、この塗布液をスピンコート、ディップコート、エクストルージョンコートなどの塗布法により、基材20の表面に塗布することにより形成される。
なお、本実施の形態では、基材20上に記録材料層22が積層された加工対象物10を用いる場合について説明するが、加工対象物10としては、記録材料層22を最外層(加工表面)に備えた構成であればよい。例えば、記録材料層22のみの構成でもよく、記録材料層22以外の層を含む構成であってもよい。
基材20としては、プラスチック基板、ガラス基板等の平板状の基板の外に、太陽電池、発光ダイオード(LED)、フラットパネルディスプレイ等、射出光が透過する界面を備えた光学デバイスが用いられる。これらの光学デバイスでは、射出光が透過する界面の屈折率差が大きい場合に、界面反射により光取り出し効率が低下する。本実施の形態では、光学デバイスの表面又はその表面を構成する部材に凹凸パターンを形成することで、反射現象を抑制して光取り出し効率を向上させることができる。
記録材料層22には、ヒートモード型の記録材料が用いられる。ヒートモード型の記録材料層22は、レーザ光が照射された領域における光熱変換による発熱により、記録材料が形状変化してピットを形成することが可能な層である。ヒートモード型の記録材料としては、従来、CD−R、DVD−R等の光情報記録媒体の記録層に使用されてきた種々の記録材料を用いることができる。例えば、シアニン系、フタロシアニン系、キノン系、スクワリリウム系、アズレニウム系、チオール錯塩系、メロシアニン系などの記録材料を用いることができる。
記録材料層22の材料としては、有機材料に限られず、無機材料、又は無機材料と有機材料との複合材料を使用することができる。但し、スピンコートにより容易に成膜でき、転移温度が低い材料を得難いため、有機材料を採用するのが好ましい。本実施の形態における記録材料層22は、色素を記録物質として含有する色素型の記録材料層とすることが好ましい。従って、記録材料層22に含有される記録物質としては、有機色素が挙げられる。有機色素の中でも、光吸収量が分子設計で制御可能な色素を採用するのが好ましい。なお、ヒートモード型の記録材料の具体例、及び記録材料層の形成条件等については後述する。
記録材料層22の厚さは、形成されるピットの深さに対応させることが好ましい。この厚みとしては、例えば、1nm以上10000nm以下の範囲で適宜設定され、厚さの下限は、好ましくは10nm以上であり、より好ましくは30nm以上である。その理由は、記録材料層22が薄すぎると、ピットが浅く形成されることとなるため、光学的な効果が得られ難くなるからである。また、厚さの上限は、好ましくは、1000nm以下であり、より好ましくは500nm以下である。その理由は、記録材料層22が厚すぎると、大きなレーザパワーが必要になると共に、深い凹部としてのピットを形成することが困難になるからであり、さらには加工速度が低下するからである。なお、単位面積当りの「レーザパワー」が「照射強度」に相当するが、本明細書においては「レーザパワー」と「照射強度」とは同義とする。
また、記録材料層22の厚さtと、ピットの直径dとは、以下の関係であることが好ましい。すなわち、記録材料層22の厚さtの上限値は、t<10dを満たす値とするのが好ましく、t<5dを満たす値とするのがより好ましく、t<3dを満たす値とするのが更に好ましい。また、記録材料層22の厚さtの下限値は、t>d/100を満たす値とするのが好ましく、t>d/10を満たす値とするのがより好ましく、t>d/5を満たす値とするのが更に好ましい。なお、このようにピットの直径dとの関係で記録材料層22の厚さtの上限値及び下限値を設定する理由は、上述した理由と同様である。
図2(B)に示すように、ピットの加工に用いる加工用レーザ光は、対物レンズ24で集光され、加工対象物10の表面10aに照射される。加工用レーザ光として、記録材料層22を構成する記録材料が光吸収を示す波長のレーザ光を照射する。加工用レーザ光とは、光源から出射されるレーザ光の内、ピットを形成可能な照射強度及び波長のレーザ光を意味する。加工用レーザ光のビームスポット径をdsとする。レーザビームの断面光強度はガウス分布を有しており、ビームスポットの中心に行くほど光強度が大きくなる。
一方、ヒートモード型の記録材料は、照射の速度が遅くなると発生した熱が散逸し、より多くの照射エネルギーが必要になる「低照度不軌特性」を有している。この低照度不軌特性により、図2(C)に示すように、記録材料層22がレーザ光吸収による発熱によって変形する場合に、加工対象物10の記録材料層22には、ビームスポット径(直径ds)より小さい直径dpのピットPが形成される。これにより、加工対象物10の表面には、微小ピットからなる超微細パターンが形成される。
例えば、加工用レーザ光の発振波長をλとすると、各ピットの直径又は溝幅は、半値幅で、波長λの0.005〜25倍とすることができる。好ましくは0.025〜10倍であり、より好ましくは0.05〜2.5倍であり、最も好ましくは0.25〜2倍である。隣接するピット列の中心線間の半径方向の距離(トラック間隔)は、波長λの0.01〜100倍とすることができる。好ましくは0.05〜20倍であり、より好ましくは0.1〜5倍であり、最も好ましくは0.2〜2倍である。例えば、波長405nmのレーザ光で、直径0.3μmのピットを、径方向に0.1mm、周方向に1μmのピッチで形成することができる。
ここで、ピットPが形成される原理を更に詳しく説明する。記録材料層22に加工用レーザ光を照射すると、記録材料層22によって加工用レーザ光が吸収される。この吸収された光が熱に変換されて、光の照射された領域の温度が上昇する。これにより、記録材料層22が軟化、液化、気化、昇華、分解等の化学変化及び物理変化の何れか一方または双方を引き起こす。そして、このような変化を起こした材料が移動及び消失の何れか一方または双方の現象を起すことで、ピットPが形成される。
超微細パターンを形成するためには、記録材料層22の気化、昇華、又は分解は、その変化の割合が大きく、急峻であることが好ましい。具体的には、記録材料層22を構成する材料の気化、昇華、又は分解時の示差熱天秤(TG−DTA)による重量減少率が5%以上であることが好ましく、より好ましくは10%以上、更に好ましくは20%以上である。また記録材料層22を構成する材料の気化、昇華、又は分解時の示差熱天秤(TG−DTA)による重量減少の傾き(昇温1℃あたりの重量減少率)が0.1%/℃以上であることが好ましく、より好ましくは0.2%/℃以上、更に好ましくは0.4%/℃以上である。
また、軟化、液化、気化、昇華、分解などの化学変化及び物理変化の少なくとも一方の転移温度は、その上限値が2000℃以下であることが好ましく、1000℃以下であることがより好ましく、500℃以下であることが更に好ましい。その理由は、転移温度が高すぎると、大きなレーザパワーが必要となるからである。また、転移温度の下限値は、50℃以上であることが好ましく、100℃以上であることがより好ましく、150℃以上であることがさらに好ましい。その理由は、転移温度が低すぎると、周囲との温度勾配が少ないため、明瞭な形状のピットPを形成することが困難となるためである。
<加工用レーザ光>
記録材料層22を構成する記録材料は、加工用レーザ光の波長において、他の波長より吸収率の高いものが採用される。記録材料の吸収ピークの波長は、必ずしも可視光の波長領域内であるものに限定されず、紫外領域や赤外領域にあるものでも構わない。
加工用レーザ光の波長は、記録材料層22にピットが形成される程度のレーザパワーを得ることができる波長であればよい。例えば、記録材料層22の記録材料に色素を用いる場合には、1000nm以下の波長が好ましい。記録材料として使用する色素の種類に応じて、193nm、210nm、266nm、365nm、405nm、488nm、532nm、633nm、650nm、680nm、780nm、830nm等の波長で発振するレーザ光源を使用することができる。
レーザ光源としては、ガスレーザ、固体レーザ、半導体レーザなど、どのようなレーザ光源であってもよい。自在に発光間隔を変更可能なレーザ光源を採用することが好ましい。例えば、半導体レーザを採用することが好ましい。
加工用レーザ光のレーザパワー(照射強度)は、加工速度を上げるためには高い方が好ましい。但し、レーザパワーが高くなるほど、加工用レーザ光で記録材料層22を走査する速度、例えば、加工対象物10の回転速度を上げなければならない。レーザパワーの上限値は、回転速度の上限値を考慮して、100Wが好ましく、10Wがより好ましく、5Wがさらに好ましく、1Wが最も好ましい。また、レーザパワーの下限値は、0.1mWが好ましく、0.5mWがより好ましく、1mWが更に好ましい。
<光加工ヘッドの構成>
次に、本実施の形態に係る光加工ヘッドの構成について説明する。
図3はレーザ加工装置を構成する光加工ヘッドの構成を示す概略図である。図3に示すように、光加工ヘッド14は、レーザ光を出射するレーザ光源26を備えている。本実施の形態では、レーザ光源26として、所定波長で発振する半導体レーザ(レーザダイオード:LD)が用いられている。
レーザ光源26の光出射側には、入射光を回折する回折格子28、及び所定方向の偏光を透過し且つ該偏光と直交する方向の偏光を反射する偏光ビームスプリッタ30が、レーザ光源26側からこの順に配置されている。回折格子28は、入射されたレーザ光を回折により複数のレーザ光に分岐する機能を有する光学素子であればよい。例えば、グレーティング、ホログラム等を用いることができる。
偏光ビームスプリッタ30の光透過側には、コリメータレンズ32、直線偏光を円偏光に又は円偏光を直線偏光に変換する1/4波長板34、及び対物レンズ24が、偏光ビームスプリッタ30側からこの順に配置されている。一方、偏光ビームスプリッタ30の光反射側には、シリンドリカルレンズ36、及び受光した光を光量に応じた電気信号に変換する光検出デバイス38が、偏光ビームスプリッタ30側からこの順に配置されている。
また、対物レンズ24は保持部材(図示せず)により移動可能に保持されている。対物レンズ24の近傍には、フォーカスアクチュエータ40及びトラッキングアクチュエータ42が配置されている。フォーカスアクチュエータ40は、対物レンズ24を光軸方向に移動させる。また、トラッキングアクチュエータ42は、対物レンズ24を加工対象物10の半径方向に移動させる。
なお、光加工ヘッド14は、例えば、支持基板等の支持部材(図示せず)を備えている。光加工ヘッド14を構成する上記の各部材は、この支持部材(図示せず)上に支持されている。また、図7を参照すれば分かるように、レーザ光源26は、レーザドライバ50に接続されており、レーザドライバ50により駆動されている。光検出デバイス38は増幅回路58に接続されており、増幅回路58に電気信号を出力する。なお、増幅回路58で増幅された電気信号は、サーボ回路60に入力される。フォーカスアクチュエータ40及びトラッキングアクチュエータ42の各々は、サーボ回路60に接続されている。
ここで、上記の光加工ヘッド14の動作を説明する。レーザ光源26は、レーザドライバ50により駆動されて、レーザ光を出射する。レーザ光源26から出射されたレーザ光は、回折格子28により回折され、メインビームとサブビームとを含む複数のレーザ光に分岐される。本実施の形態では、0次回折光、−1次回折光、及び+1次回折光と、進行方向の異なる3本のレーザ光に分岐する場合について説明する。0次回折光が、加工用レーザ光となるメインビームMBである。−1次回折光が、トラッキング用レーザ光となるサブビームSBである。+1次回折光が、後述する通り、欠陥領域を検出する欠陥検出用レーザ光となるサブビームSBである。
回折格子28により分岐された3本のレーザ光の各々は、偏光ビームスプリッタ30を透過して、コリメータレンズ32で平行光化され、1/4波長板34で直線偏光から円偏光に変換されて、対物レンズ24に入射する。対物レンズ24に入射した3本のレーザ光は、加工対象物10の表面10aで焦点を結ぶように集光されて、加工対象物10に照射される。後述する通り、加工対象物10の表面10aには、メインビームMB、サブビームSB、及びサブビームSBに対応した3つのビームスポットが形成される。
一方、加工対象物10に照射された3本のレーザ光の各々は、加工対象物10の表面10aでその一部が反射される。反射されたレーザ光(反射光)の各々は、対物レンズ24で平行光化され、1/4波長板34で円偏光から直線偏光に変換され、コリメータレンズ32で集光されて、偏光ビームスプリッタ30に入射する。偏光方向が反転している反射光は、偏光ビームスプリッタ30で反射され、シリンドリカルレンズ36で非点収差が与えられて、光検出デバイス38側に出射される。
加工対象物10の表面10aで反射されて戻ってきた反射光の各々は、光検出デバイス38で別々に検出される。光検出デバイス38で検出された反射光の各々は、電気信号に変換されて増幅回路58に出力される。増幅回路58で増幅された電気信号は、サーボ回路60に供給される。
次に、加工対象物10の表面10aに照射されるレーザ光の照射位置及び照射強度について説明する。図4は加工対象物の表面にレーザ光が照射される様子を示す概略図である。図4に示すように、回折格子28により分岐された3本のレーザ光、即ち、メインビームMB、サブビームSB、及びサブビームSBは、各々、光学系を介して対物レンズ24に入射し、対物レンズ24により集光されて、加工対象物10の表面10aに照射される。
加工対象物10の表面10aには、メインビームMB、サブビームSB、及びサブビームSBの各々に対応して、3つのビームスポットが形成される。本実施の形態では、3つのビームスポットは、内周側から、サブビームSB、メインビームMB、サブビームSBの順序で、加工対象物10の半径方向に沿って1次元状に配列されている。また、この例では、加工対象物10の表面10aには、欠陥領域DFが存在する。欠陥領域とは、大きな凹部や大きな凸部があるために、レーザ加工が行えない領域である。
また、本実施の形態では、サブビームSBのビームスポットの中心点と、メインビームMBのビームスポットの中心点とは、所定間隔Dだけ離間されている。なお、所定間隔Dは、後述するトラック間隔Dと同じ値である。同様に、サブビームSBのビームスポットの中心点と、メインビームMBのビームスポットの中心点とは、所定間隔Dだけ離間されている。所定間隔Dと所定間隔Dとは、同じ長さでもよく、異なる長さでもよい。ここでは、所定間隔Dと所定間隔Dとが、同じ長さであるものとして説明する。
本実施の形態では、ディスク状の加工対象物10の加工領域内において、内周側から外周側に向って、同心円状に配列されたピット列(トラック)を、順次形成する場合について説明する。隣接するピット列の中心線間の半径方向の距離(トラック間隔)を「D」とする。後述する通り、本実施の形態では、トラック間隔Dが常に一定となるようにトラッキング制御を行う。
図4では、加工済み領域が内周側となり、未加工領域が外周側となる。加工済み領域と未加工領域との間に在る「加工領域」に、加工用レーザ光が照射されてピットが形成される。内周側のサブビームSBのビームスポットの中心点が、加工済み領域の最外周のトラックの中心線CLin上に位置し、メインビームMBのビームスポットの中心点が、外周側に隣接するトラックの中心線CLout上に位置するように、各光学系が調整されて、ビームスポットの基準位置が定められている。
メインビームMB、サブビームSB、及びサブビームSBの各々は、1つのレーザ光源26から出射されたレーザ光を分岐して生成され、同じ光学系を経て、加工対象物10の表面10aに照射される。従って、3つのビームスポットは、常に一定の位置関係にある。位置ずれが生じる場合には、3つのビームスポットは、同じ方向に同じ距離だけ移動する。
この固定された位置関係を利用して、内周側のサブビームSBのビームスポットの中心点が、常時、加工済み領域の最外周のトラックの中心線CLin上に位置するようにトラッキング制御を行う。即ち、トラッキングアクチュエータ42によって、対物レンズ24の半径方向の位置を調整する。これにより、メインビームMBのビームスポットの中心点が、常時、加工中のトラックの中心線CLout上に位置することになる。
即ち、加工済み領域の最外周のトラックにサブビームSBを照射し、サブビームSBの反射光を検出してトラッキング制御を行いながら、メインビームMBを加工対象物10に照射してピット列を形成する。これにより、同心円状に配列された複数のピット列(トラック)を、一定のトラック間隔Dで順次形成することができる。
また、加工中のトラックに隣接する加工済みのトラックに沿ってトラッキング制御を行うので、高速加工時でも軸ブレによる加工位置のずれが発生し難い。更に、加工済み領域を重ねて加工するオーバーライトの発生を防止できる。なお、メインビームMBの反射光を検出してフォーカシング制御を行うが、これについては後述する。
なお、最初に形成されるトラック(以下、「基準トラック」という。)は、上記の方法でピット列を形成することができない。従って、基準トラックは、軸ブレによる加工位置のずれが発生し難い別の方法で予め形成しておく。例えば、軸ブレの小さい高精度なレーザ加工装置を別に用意し、別のレーザ加工装置で基準トラックを形成する。或いは、本実施の形態に係るレーザ加工装置を用いて、軸ブレが小さい低速回転下で基準トラックを形成する。例えば、加工対象物10の内周側から外周側に向って複数のトラックを順次形成する場合には、最内周の基準トラックを予め形成しておく。
また、図4から分かるように、外周側のサブビームSBのビームスポットは、次にトラックが形成される未加工領域上に位置している。即ち、メインビームMBのビームスポットの中心点が、中心線CLout上に位置し、サブビームSBのビームスポットの中心点が、中心線CLoutの外周側に隣接する仮想トラック(一点鎖線で図示する)上に位置するように、各光学系が調整されて、ビームスポットの基準位置が定められている。
上述した通り、サブビームSBの反射光を検出してトラッキング制御を行いながら、メインビームMBを加工対象物10に照射してピット列を形成する。これと同時に、サブビームSBの反射光を検出して、次にトラックが形成される未加工領域上に在る欠陥領域DFを検出する。欠陥領域DFが検出された場合には、その欠陥領域DFの位置を特定し、欠陥領域DFの位置情報(ディフェクト情報)を記憶しておく。
メインビームMBで次のトラックを形成する場合には、予め検出した欠陥領域DFの位置情報に基づいて、この欠陥領域DFを避けてピット列を形成することができる。即ち、欠陥領域DFでは、メインビームMBの照射強度を低下させ、ピット列が形成されないようにする。また、メインビームMBが欠陥領域DF上を通過する間は、フォーカシング制御を一時停止して、フォーカスが大幅に外れないようにする。
フォーカシング制御が一時停止している間は、光加工ヘッド14の対物レンズ24の光軸方向の位置を所定位置に維持する。これにより、加工対象物10の表面10aと光加工ヘッド14との間の距離を、略一定に維持することができる。従って、欠陥領域DFを通過した後に、フォーカシング制御を再開することができ、レーザ加工処理を継続して行うことができる。
メインビームMBの照射強度及び波長としては、「加工用レーザ光」として既に説明した通り、ヒートモード型の記録材料層にピットを形成するのに好適な「照射強度及び波長」が適宜選択される。メインビームMBの波長は、例えば、記録材料層の記録材料に色素を用いる場合には、1000nm以下の波長が好ましい。メインビームMBの照射強度は、加工対象物10の回転速度を勘案すると、0.1mW〜100Wの範囲が好ましい。
一方、トラッキング用レーザ光であるサブビームSB及びサブビームSBの照射強度及び波長は、ヒートモード型の記録材料層にピットを形成することが不可能な「照射強度及び波長」に調整される。メインビームMB、サブビームSB、及びサブビームSBの照射強度の調整は、後述する通り、レーザドライバ50を介して制御部44(図7参照)により行われる。メインビームMB、サブビームSB、及びサブビームSBの照射強度の比率の調整、波長の調整は、回折格子28により行われる。
メインビームMB、サブビームSB、及びサブビームSBが同じ波長のレーザ光だと仮定すると、サブビームによりピットが形成されないように、サブビームSB及びサブビームSBの各々の照射強度を、メインビームMBの照射強度の半分以下となるように調整することが好ましい。サブビームSB及びサブビームSBの各々の照射強度を、メインビームMBの照射強度の10%〜15%となるように調整することがより好ましい。
なお、本実施の形態では、加工対象物10の内周側から外周側に向って複数のトラックを順次形成する場合について説明したが、加工対象物10の外周側から内周側に向って複数のトラックを順次形成することもできる。この場合には、外周側のサブビームSBの反射光を検出してトラッキング制御を行いながら、メインビームMBを加工対象物10に照射してピット列を形成する。これと同時に、内周側のサブビームSBの反射光を検出して、次にトラックが形成される未加工領域上に在る欠陥領域DFを検出する。
サブビームSBが欠陥検出用レーザ光となり、サブビームSBがトラッキング用レーザ光となる。この場合には、トラッキング用のサブビームSBのビームスポットの中心点と、メインビームMBのビームスポットの中心点とは、トラック間隔Dと同じ所定間隔Dだけ離間される。また、サブビームSBのビームスポットの中心点と、メインビームMBのビームスポットの中心点とは、所定間隔Dだけ離間される。
また、本実施の形態では、3つのビームスポットを加工対象物10の半径方向に沿って配列する例について説明したが、図5に示すように、3つのビームスポットを加工対象物10の半径方向に対し斜めに配列することもできる。この場合には、半径方向に沿って配列する場合に比べて、トラック間隔Dを狭くすることができ、更に微細なパターンを形成することができる。
<トラッキング制御及びフォーカシング制御>
次に、トラッキング制御及びフォーカシング制御のやり方について説明する。図6は光加工ヘッドに設けられた光検出デバイスの構成を示す平面図である。図6に示すように、光検出デバイス38には、メインビームMBの反射光を検出する光検出器70、サブビームSBの反射光を検出する光検出器72、及びサブビームSBの反射光を検出する光検出器74が設けられている。
(フォーカシング制御)
メインビームMBの反射光を検出する光検出器70は、矩形状の受光領域が4分割された4分割フォトダイオードで構成されている。4分割された各領域を、センサa,センサb,センサc,センサdとする。点線で図示した通り、メインビームMBが加工対象物10の表面10a上で焦点を結んでいる場合、即ち、焦点が合っている場合には、反射光のビームスポットMBは正円となり、4分割フォトダイオードの中心に位置するように、シリンドリカルレンズ36の位置が調整されている。この場合には、各センサから出力される電気信号をa,b,c,dとすると、(a+d)−(b+c)=0となる。
シリンドリカルレンズ36を通過した光には非点収差が発生する。このため、シリンドリカルレンズ36の焦点位置では、反射光のビームスポットMBは正円となるが、シリンドリカルレンズ36の焦点位置からずれると、反射光のビームスポットMBは楕円又は長円となる。メインビームMBが加工対象物10の表面10a上で焦点を結んでいない場合には、反射光のビームスポットMBは楕円又は長円となり、(a+d)−(b+c)≠0となる。「(a+d)−(b+c)」の値は、フォーカス残渣と称される。
光検出器70で検出された電気信号a,b,c,dは、増幅回路58で増幅されて、サーボ回路60に供給される。サーボ回路60では、(a+d)−(b+c)=0となるように、フォーカスエラー信号を生成する。このフォーカスエラー信号に基づいて、フォーカスアクチュエータ40により、光加工ヘッド14に設けられた対物レンズ24の光軸方向の位置が調整される。即ち、加工対象物10の表面10aの凹凸に応じて、メインビームMBが表面10a上で焦点を結ぶように、対物レンズ24が光軸方向に移動される。このようにしてフォーカシング制御が行われる。
(トラッキング制御)
サブビームSBの反射光を検出する光検出器72は、矩形状の受光領域が2分割された2分割フォトダイオードで構成されている。2分割された各領域を、センサL,センサRとする。また、サブビームSBの反射光を検出する光検出器74は、矩形状の受光領域が2分割された2分割フォトダイオードで構成されている。2分割された各領域を、センサL,センサRとする。光検出器72と光検出器74とは同じ構造及び同じ機能を有しているため、以下では、光検出器72で検出した反射光に基づいてトラッキング制御を行う場合について説明する。
点線で図示した通り、サブビームSBのビームスポットの中心点が、加工済み領域の最外周のトラックの中心線CLin上に位置している場合には、反射光のビームスポットSB1rは正円となり、2分割フォトダイオードの中心に位置するように、シリンドリカルレンズ36の位置が調整されている。この場合には、各センサから出力される電気信号をL,Rとすると、L−R=0となる。一方、サブビームSBのビームスポットの中心点が、トラックの中心線CLin上からずれた位置にある場合には、反射光のビームスポットSB1rは楕円又は長円となり、L−R≠0となる。
光検出器72で検出された電気信号L,Rは、増幅回路58で増幅されて、サーボ回路60に供給される。サーボ回路60では、L−R=0となるように、トラッキングエラー信号を生成する。このトラッキングエラー信号に基づいて、トラッキングアクチュエータ42により、光加工ヘッド14に設けられた対物レンズ24の半径方向の位置が調整される。即ち、サブビームSBのビームスポットの中心点が、加工済み領域の最外周のトラックの中心線CLin上に位置するように、対物レンズ24が半径方向に移動される。このようにしてトラッキング制御が行われる。
なお、上記では差信号「L−R」に基づいてトラッキング制御を行う場合について説明したが、和信号「L+R」に基づいてトラッキング制御を行うこともできる。即ち、光検出器72で検出したサブビームSBの反射光の全光量に基づいて、トラッキング制御を行うことができる。サブビームSBのビームスポットの中心点が、加工済み領域の最外周のトラックの中心線CLin上に位置している場合には、光検出器72で検出される反射光の光強度は最大となる。
サブビームSBの反射光の光強度の最大値、即ち、和信号「L+R」の最大値は、予め求めておくことができる。従って、サーボ回路60では、和信号「L+R」の値が予め求めた最大値となるように、トラッキングエラー信号を生成する。このトラッキングエラー信号に基づいて、トラッキングアクチュエータ42により、光加工ヘッド14に設けられた対物レンズ24の径方向の位置が調整される。
<欠陥領域の検出>
次に、欠陥領域の検出方法について説明する。図6に示すように、光検出デバイス38には、サブビームSBの反射光を検出する光検出器74が設けられている。サブビームSBは、欠陥検出用レーザ光である。本実施の形態では、上述した通り、光検出器74は、受光領域がセンサL,センサRとに2分割された2分割フォトダイオードで構成されている。
点線で図示した通り、サブビームSBのビームスポットが、欠陥領域DF以外の未加工領域上に位置している場合には、反射光のビームスポットSB2rは正円となり、2分割フォトダイオードの中心に位置するように、シリンドリカルレンズ36の位置が調整されている。この場合には、各センサから出力される電気信号をL,Rとすると、和信号「L+R」の値は略一定となる。即ち、サブビームSBが平坦な未加工領域を照射している間は、光検出器74で検出されるサブビームSBの反射光の光強度は略一定である。
一方、サブビームSBのビームスポットが、欠陥領域DFと重なる場合には、和信号「L+R」の値が変動する。即ち、サブビームSBが欠陥領域DFを照射している間は、光検出器74で検出されるサブビームSBの反射光の光強度は変動する。サブビームSBのビームスポットと欠陥領域DFとの重なりが大きいほど、反射光の光強度の変動幅は大きくなる。例えば、欠陥領域DFが大きな凸部である場合には、サブビームSBは反射散乱されて、光検出器74で検出される反射光の光強度は低下する。
サブビームSBの反射光の光強度の定常値は、予め求めておくことができる。サブビームSBの反射光の光強度の許容可能な変動幅(上限値及び下限値)を予め定めておいて、反射光の光強度が上限値又は下限値を超えた場合に、欠陥領域DFが検出されたものとする。例えば、定常値を100%とした場合に、許容可能な変動幅を±20%として、上限値及び下限値(閾値)を設定する。サブビームSBの反射光の光強度がこの閾値を超えた場合に、欠陥領域DFが検出されたものとする。
光検出デバイス38で検出された電気信号は、増幅回路58で増幅されて、デコーダ62で制御部44により処理できるデータにデコードされ、制御部44に供給される。この例では、光検出器74で検出されるサブビームSBの反射光の光強度を表す欠陥検出用データが、制御部44に供給される。制御部44では、供給された欠陥検出用データに基づいて、サブビームSBの反射光の光強度が、予め設定した閾値を超えたか否かを判断し、閾値を超えた場合に欠陥領域DFが検出されたものとする。
次に、欠陥領域の他の検出方法について説明する。欠陥検出用レーザ光の反射光を検出する光検出器74は、メインビームMBの反射光を検出する光検出器70と同様に、矩形状の受光領域が4分割された4分割フォトダイオードで構成することができる。4分割された各領域を、センサa,センサb,センサc,センサdとする。
欠陥領域DF以外の未加工領域は略平坦であり、サブビームSBが未加工領域を照射している間は、サブビームSBは加工対象物10の表面10a上で焦点を結ぶ。メインビームMBの場合と同様に、サブビームSBが加工対象物10の表面10a上で焦点を結んでいる場合には、反射光のビームスポットSB2rは正円となり、4分割フォトダイオードの中心に位置する。この場合には、各センサから出力される電気信号をa,b,c,dとすると、(a+d)−(b+c)=0となる。
一方、サブビームSBのビームスポットが、欠陥領域DFと重なる場合には、サブビームSBは加工対象物10の表面10a上で焦点を結ぶことが難しい。この場合には、反射光のビームスポットSB2rは楕円又は長円となり、(a+d)−(b+c)≠0となる。「(a+d)−(b+c)」の値は、フォーカス残渣と称される。このフォーカス残渣の許容可能な変動幅(上限値及び下限値)を予め定めておいて、フォーカス残渣が上限値又は下限値を超えた場合に、欠陥領域DFが検出されたものとする。
この例では、光検出器74で検出されるサブビームSBの反射光のフォーカス残渣を表す欠陥検出用データが、制御部44に供給される。制御部44では、供給された欠陥検出用データに基づいて、フォーカス残渣が予め設定した閾値を超えたか否かを判断し、閾値を超えた場合に欠陥領域DFが検出されたものとする。
<レーザ加工装置の全体構成>
次に、レーザ加工装置の制御系を含めた全体構成について説明する。図7は本発明の実施の形態に係るレーザ加工装置の全体構成を示すブロック図である。このレーザ加工装置は、図7に示すように、加工対象物10を回転させるスピンドルモータ12と、加工対象物10の表面10aにレーザ光を照射する光加工ヘッド14と、加工対象物10に対して光加工ヘッド14を移動させるステッピングモータ16と、レーザ加工装置の各部を制御する制御部44と、を含んで構成されている。
スピンドルモータ12には、スピンドルモータ12の回転数に応じた周波数のFGパルス信号を生成する周波数発生器64が取り付けられている。周波数発生器64は、サーボ回路60に接続されると共に、制御部44に接続されている。ステッピングモータ16は、ステッピングモータ16を駆動するモータドライバ48、モータドライバ48を制御するモータコントローラ46を介して、制御部44に接続されている。
光加工ヘッド14のレーザ光源26は、レーザ光源26を駆動するレーザドライバ50を介して、制御部44に接続されている。レーザドライバ50には、レーザ光の照射波形を調整するストラテジ回路52、レーザ光の照射強度を調整するレーザパワー制御回路54、及び同期信号を生成するパルス生成部56が接続されている。ストラテジ回路52、レーザパワー制御回路54、及びパルス生成部56の各々は、制御部44に接続されている。
光加工ヘッド14の光検出デバイス38は、入力された電気信号を増幅する増幅回路58に接続されている。増幅回路58は、電気信号をコンピュータで読み取り可能なデータにデコードするデコーダ62を介して、制御部44に接続されている。また、増幅回路58は、増幅された電気信号に基づいてフォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号を生成するサーボ回路60に接続されている。
光加工ヘッド14のフォーカスアクチュエータ40及びトラッキングアクチュエータ42の各々は、フォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号を出力するサーボ回路60に接続されている。また、サーボ回路60は、制御部44に接続されると共に、スピンドルモータ12にも接続されている。
制御部44は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を含んで構成されている。制御部44は、ROMに格納されたプログラムに従ってレーザ加工装置の各部を制御し、加工対象物10に対するレーザ加工処理を中枢的に制御するように構成されている。制御部44には、加工データ等を記憶するためのメモリ66が接続されている。また、制御部44には、加工データを入力するためのデータ入力手段として、PC(パーソナル・コンピュータ)68が接続されている。
<レーザ加工処理の手順>
次に、図7に示すレーザ加工装置によるレーザ加工処理の手順を説明する。制御部44が、ROMに格納されたプログラムに従ってレーザ加工装置の各部を制御し、加工対象物10に複数のピット列を形成するレーザ加工処理を中枢的に制御する。なお、加工対象物10に複数のピット列を形成するための加工データは、予めメモリ66に記憶されている。
加工対象物10がレーザ加工装置のターンテーブル18(図1参照)に装着されて加工可能な状態になると共に、レーザ加工装置の電源スイッチ(図示せず)が操作されて装置各部に電力が供給される。これにより、制御部44内のROMに記憶されたレーザ加工処理の処理ルーチンを実行するためのプログラムが読み出されて、レーザ加工処理が開始される。なお、電力供給と同時にレーザ光源26が点灯され、ピットを形成することが不可能な「照射強度及び波長」のレーザ光が、加工対象物10に照射されている。
まず、加工データをメモリ66から読み出す。この加工データには、形成する各ピットのピット情報が含まれている。ピット情報としては、各ピットの加工対象物10上での位置座標を示す位置情報、ピットの形状、大きさ、及び深さ等を示す形態情報、等が含まれている。
次に、メモリ66から読み出した加工データに基づいて、各ピットの加工対象物10上での回転中心Qからの距離を求める。回転中心Qからの距離は、各ピット情報に含まれる位置情報に基づいて算出することができる。また、メモリ66から読み出した加工データに基づいて、各ピットを形成するために加工対象物10に照射するレーザ光の照射波形及び照射強度をピット毎に導出し、ピット毎にピット形成情報(照射波形情報及び照射強度情報)を生成する。
次に、全ピットのピット形成情報を、ピットを形成する順序に並べ替える。また、周方向に隣接するピット間の距離(ピット間隔)を算出する。得られた回転中心Qからの距離、ピット形成情報(照射波形情報及び照射強度情報)、及びピット間隔を、メモリ66に記憶する。
照射強度情報とは、所望の長さ(回転方向長さ)、深さ、及び形状のピットを形成するために照射するべき加工用レーザ光の強度を示す情報である。照射時間及び照射強度は、ピットを形成するために必要な照射量(照射エネルギー)により定まり、加工データに含まれるピット情報に基づいて算出される。
照射強度情報には、照射波形におけるバイアス強度Tnに対するピーク強度Pnの比(以下、「照射波形のPn/Tn値」という。)を示す情報が含まれる。照射波形のPn/Tn値は、回転中心Qからの距離によらず一定のピットを形成するために、回転中心Qからの距離に応じて算出される。外周側に形成されるピットほど、照射波形のPn/Tn値が小さくなるように算出される。
照射波形とは、加工用レーザ光の照射強度の変化率を示す波形である。この照射波形の立ち上がりから立ち下がりまでの時間は、形成するピットの長さに応じたクロック数に応じて定められる。換言すれば、照射波形に応じた変化率で照射強度の変化する加工用レーザ光が加工対象物10に照射されることで、照射された加工用レーザ光の照射時間及び照射強度に応じた長さ、形状、及び深さのピットが形成される。
実際には、照射波形はクロック信号に同期させて出力されるので、レーザ光源26に入力される照射波形は、クロック信号に同期して変調された波形となる。また、照射波形のPn/Tn値に応じて照射波形が補正されて、加工用レーザ光の照射強度が調整される。
なお、照射波形によっては所望のピット形状が得られない場合がある。特に、ヒートモード型の記録材料層では、通常、各ピットの形成開始点に比べて、形成終了点の方が形成されるピットが太くなる傾向にある。また、加工対象物10の回転速度や、照射されるレーザ光の強度によって、隣接するピットが繋がってしまう場合がある。従って、所望のピット形状が得られるように、ワンパルス型、マルチパルス型、Lシェイプ型、キャッスル型等の照射波形を適宜選択する。
照射波形を示す照射波形情報は、形成するピット間の距離、加工対象物の回転速度、各ピットを形成するための照射強度等の情報に対応して、予めメモリ66に記憶しておくことができる。例えば、ピット間の距離、加工対象物の回転速度、及び照射強度が特定の設定値である場合に、所望のピット形状を得ることができる照射波形を予め実験により求めておいて、求めた照射波形を示す照射波形情報を設定値に関連付けて記憶しておくことができる。
次に、同期信号として用いるクロック信号の周波数を示す「クロック周波数情報」を生成する。クロック信号は、光加工ヘッド14からレーザ光を照射する際に、タイミング調整や照射時間調整のために用いられる信号である。詳しくは、制御部44の水晶発振器(図示せず)によって生成されたクロック信号の周波数を読み取り、読み取った周波数を光加工ヘッド14の基準クロック周波数として定める。この基準クロック周波数から、回転中心Qからの距離の変化に応じたクロック周波数を導出して、クロック周波数情報としてメモリ66に記憶する。
加工対象物10を回転駆動する駆動方式としては、線速度一定で回転駆動する方式(CLV方式)と、角速度一定で回転駆動する方式(CAV方式)とがある。CLV方式の場合には、回転中心Qからの距離に拘らず、クロック周波数は一定であり、基準クロック周波数と同一となる。これに対し、CAV方式の場合には、回転中心Qからの距離の変化に応じて、クロック周波数が変化する。最内周側の加工領域でのクロック周波数を基準クロック周波数とすると、内周側から外周側に行くほどクロック周波数は高くなる。
次に、光加工ヘッド14を所定位置へ移動させることを指示する「移動開始信号」をモータコントローラ46へ出力する。移動開始信号には、光加工ヘッド14の移動量及び移動方向が含まれる。移動開始信号がモータコントローラ46に出力されると、モータコントローラ46は、移動開始信号に従って、移動量や移動方向に応じたパルス信号を生成し、モータドライバ48に出力する。モータドライバ48は、モータコントローラ46から供給されるパルス信号に応じてステッピングモータ16を回転駆動する。
モータドライバ48によりステッピングモータ16が駆動されて、光加工ヘッド14が半径方向に沿って第1の加工領域に対応する所定位置へ移動される。例えば、内周側から外周側に向ってピット列を形成する場合には、光加工ヘッド14は、加工対象物10の加工領域内の最内周側の加工領域に対応する位置まで移動される。上述した通り、加工対象物10には、基準トラックが予め形成されている。この基準トラックに隣接するトラックを形成するための加工領域が、第1の加工領域である。
次に、加工対象物10の回転開始を指示する「回転開始信号」をサーボ回路60へ出力する。回転開始信号を受け付けたサーボ回路60は、スピンドルモータ12の回転制御を開始し、これによって加工対象物10の回転が開始される。なお、回転開始信号には、CLV方式、CAV方式の何れを用いるかを示す駆動方式情報が含まれる。この駆動方式情報に基づいた駆動方式によりスピンドルモータ12の回転が制御されて、加工対象物10が一定の角速度又は一定の線速度で回転される。
次に、トラッキング制御及びフォーカシング制御の開始を指示する「制御開始信号」をサーボ回路60へ出力する。サーボ回路60には、光加工ヘッド14の光検出デバイス38で検出され、増幅回路58で増幅された電気信号が入力されると共に、周波数発生器64から供給されるFGパルス信号が入力される。サーボ回路60は、光検出デバイス38から増幅回路58を介して入力された電気信号に基づいて、光加工ヘッド14のトラッキング制御及びフォーカシング制御を行う。また、サーボ回路60は、周波数発生器64から供給されたFGパルス信号に基づいて、スピンドルモータ12の回転制御を行う。
次に、形成する1トラック分のピットについて、クロック周波数情報をメモリ66から読み出し、パルス生成部56に出力する。パルス生成部56は、入力されたクロック周波数情報に基づいて、同期信号として用いるクロック信号を生成し、レーザドライバ50に出力する。
次に、形成する1トラック分のピットについて、照射波形情報及び照射強度情報をメモリ66から読み出し、照射波形情報をストラテジ回路52に出力すると共に、照射強度情報をレーザパワー制御回路54に出力する。ストラテジ回路52は、入力された照射波形情報に応じた照射波形を選択して、レーザドライバ50に出力する。また、レーザパワー制御回路54は、加工用レーザ光の照射強度が所望の値に調整されるように、入力された照射強度情報に含まれるピーク強度情報及びバイアス強度情報を、レーザドライバ50に出力する。
レーザドライバ50は、ストラテジ回路52から供給された照射波形情報、レーザパワー制御回路54から供給された照射強度情報、及びパルス生成部56から供給された同期信号に基づいて、光加工ヘッド14のレーザ光源26を駆動する。即ち、レーザドライバ50は、入力されたレーザ加工情報(照射波形情報、照射強度情報、及び同期信号)に基づいて、光加工ヘッド14のレーザ光源26を駆動する。
詳細には、レーザドライバ50は、レーザパワー制御回路54から入力されたピーク強度情報及びバイアス強度情報に基づいて、これら情報に応じたピーク強度及びバイアス強度が得られるように、ストラテジ回路52から入力された照射波形を補正して、補正照射波形を生成する。レーザドライバ50は、補正照射波形及びクロック信号を光加工ヘッド14に出力する。光加工ヘッド14のレーザ光源26は、補正照射波形に応じて変化する電圧に応じた照射強度の加工用レーザ光を、クロック信号に同期させて加工対象物10に照射する。これにより、加工対象物10の第1の加工領域に、同心円状のピット列(第1のトラック)が形成される。
1トラック分のピット形成が終了すると、光加工ヘッド14を第2の加工領域に対応する所定位置に移動させる。第2の加工領域は、加工対象物10上で第1の加工領域に対し半径方向に沿って外周側に隣接する加工領域である。続いて、次に形成する1トラック分のピットについて、クロック周波数情報、照射波形情報、及び照射強度情報を、メモリ66から読み出す。これらの情報に基づいてレーザ加工情報が生成される。
続いて、レーザドライバ50は、生成されたレーザ加工情報に基づいて、光加工ヘッド14のレーザ光源26を駆動し、加工用レーザ光を加工対象物10に照射する。このとき、先に形成された第1のトラックに沿ってトラッキング制御を行いながら、加工対象物10の第2の加工領域に加工用レーザ光を照射して、同心円状のピット列(第2のトラック)を形成する。これにより、隣接する第1のトラックと第2のトラックとの間隔を、全周にわたり一定にすることができる。
同様にして、加工データに含まれる全てのピット列の形成が終了するまで、光加工ヘッド14の移動とトラックの形成とが繰り返し行われて、加工対象物10の加工領域の全体に複数のトラックが形成される。このとき、内周側に隣接するトラックに沿ってトラッキング制御を行いながら、加工領域に次のトラックを形成することで、複数のトラックを予め定めた一定のトラック間隔で形成することができる。
本実施の形態では、トラッキング制御及びフォーカシング制御の開始と同時に、欠陥領域の検出処理を開始する。まず、制御部44は、欠陥検出用データが供給されたか否かを定期的に繰り返し判断する。そして、欠陥検出用データが供給されると、供給された欠陥検出用データに基づいて、欠陥領域DFが検出されたか否かを特定する。例えば、欠陥検出用データが、サブビームSBの反射光の光強度を表すデータの場合には、制御部44では、サブビームSBの反射光の光強度が、予め設定された閾値を超えたか否かを判断する。予め設定された閾値を超えた場合には、欠陥領域DFが検出されたものとする。
欠陥領域DFが検出されると、次に、制御部44は、欠陥領域DFの検出時に加工領域に形成されるピットの位置座標とトラック間隔Dとから、欠陥領域DFの位置座標を特定する。欠陥領域DFは、欠陥検出時に加工領域に形成されるピットの外周側にトラック間隔Dを隔てて隣接している。従って、欠陥領域DFの検出時に加工領域に形成されるピットの位置座標とトラック間隔Dとから、欠陥領域DFの位置座標を求めることができる。
なお、加工領域に形成しているピットの位置座標は、回転中心Qからの距離と、スピンドルモータ12の基準位置からの回転パルス数又は回転角度と、から求めることができる。スピンドルモータ12の基準位置からの回転パルス数又は回転角度は、クロック信号のカウント値から算出することができる。
次に、制御部44は、特定された欠陥領域DFの位置座標を、ディフェクト情報としてメモリ66に記憶する。上述した通り、1トラック分のピット形成が終了した後に、光加工ヘッド14を次の加工領域に対応する所定位置に移動させて、次に形成する1トラック分のピットについて、クロック周波数情報、照射波形情報、及び照射強度情報を、メモリ66から読み出す。このときディフェクト情報をメモリ66から一緒に読み出す。
ディフェクト情報に基づいて、欠陥領域DFが存在する領域に差し掛かると、制御部44は、フォーカシング制御を一時停止する「一時停止信号」をサーボ回路60へ出力する。サーボ回路60は、メインビームMBのフォーカシング制御を停止する。そして、対物レンズ24の位置を一定に維持するための信号を、フォーカスエラー信号に代えて、フォーカスアクチュエータ40に出力する。フォーカスアクチュエータ40は、入力された信号に基づいて、対物レンズ24を光軸方向の一定の位置に維持する。
また、制御部44は、ピットの形成を一時停止するための「一時停止信号」をパルス生成部56へ出力すると共に、ピット形成に必要な照射強度未満の照射強度のレーザ光を照射するための信号をレーザパワー制御回路54に出力する。一時停止信号を受け付けたパルス生成部56は、レーザドライバ50への同期信号の送信を停止する。
このため、レーザドライバ50からの補正波形信号の出力が停止され、ピットの形成が停止される。また、レーザパワー制御回路54は、入力された信号をレーザドライバ50へ出力する。該信号を受け付けたレーザドライバ50では、レーザパワー制御回路54から入力された照射強度のレーザ光がレーザ光源26から出射されるように、レーザ光源26を制御する。
また、ディフェクト情報に基づいて、欠陥領域DFが存在する領域を通過すると、制御部44は、フォーカシング制御を再開する「制御再開信号」をサーボ回路60へ出力する。サーボ回路60は、メインビームMBのフォーカシング制御を再開する。即ち、サーボ回路60は、光検出デバイス38から増幅回路58を介して入力された電気信号に基づいて、フォーカスエラー信号を生成して、フォーカスアクチュエータ40に出力する。このフォーカスエラー信号に基づいて、フォーカスアクチュエータ40により、光加工ヘッド14に設けられた対物レンズ24の光軸方向の位置が調整される。
また、制御部44は、ピットの形成を再開するための「形成再開信号」をパルス生成部56へ出力する。形成再開信号を受け付けたパルス生成部56は、レーザドライバ50への同期信号の送信を再開する。これにより、レーザドライバ50からの補正波形信号の出力が再開され、ピットの形成が再開される。
以上の通り、本実施の形態では、メインビームMBを加工対象物10に照射してピット列を形成しながら、サブビームSBの反射光を検出して、次にトラックが形成される未加工領域上に在る欠陥領域DFの位置情報(ディフェクト情報)を予め取得する。メインビームMBで次のトラックを形成する場合には、予め取得したディフェクト情報に基づいて、この欠陥領域DFを避けてピット列を形成することができる。
また、メインビームMBが欠陥領域DF上を通過する間は、フォーカシング制御を一時停止して、光加工ヘッド14の対物レンズ24の光軸方向の位置を所定位置に維持し、フォーカスが大幅に外れないようにする。これにより、欠陥領域DFを通過した後に、フォーカシング制御を再開することができ、レーザ加工処理を継続して行うことができる。
加工対象物10の加工領域に対するレーザ加工処理が終了した後は、トラック毎に記憶された欠陥領域DFの位置情報(ディフェクト情報)から、欠陥の存在によりピットの形成が行われなかった未加工領域を特定する位置データを得ることができる。この位置データは、レーザ加工処理の後工程でも利用することができる。
<ヒートモード型の記録材料>
ヒートモード型の記録材料としては、従来、光記録ディスクなどの記録層に使用されてきた色素型の記録材料を用いることができる。色素型の記録材料の好適な例としては、メチン色素(シアニン色素、ヘミシアニン色素、スチリル色素、オキソノール色素、メロシアニン色素など)、大環状色素(フタロシアニン色素、ナフタロシアニン色素、ポリフィリン色素など)、アゾ色素(アゾ金属キレート色素を含む)、アリリデン色素、錯体色素、クマリン色素、アゾール誘導体、トリアジン誘導体、1−アミノブタジエン誘導体、桂皮酸誘導体、キノフタロン系色素などが挙げられる。
これらの中でも、レーザ光により一回限りの情報の記録が可能な「記録層」に用いられる色素型の記録材料が好ましい。有機化合物の記録材料は、溶剤に溶かしてスピンコートやスプレー塗布により膜を形成することができるので、生産性に優れるからである。かかる色素型の記録材料層は、記録波長領域に吸収を有する色素を含有していることが好ましい。特に、光の吸収量を示す消衰係数kの値は、その上限が、10以下であることが好ましく、5以下であることがより好ましく、3以下であることがさらに好ましく、1以下であることが最も好ましい。
その理由は、消衰係数kが高すぎると、記録材料層の光の入射側から反対側まで光が届かず、不均一なピットPが形成されるからである。また、消衰係数kの下限値は、0.0001以上であることが好ましく、0.001以上であることがより好ましく、0.1以上であることがさらに好ましい。その理由は、消衰係数kが低すぎると、光吸収量が少なくなるため、その分大きなレーザパワーが必要となり、加工速度の低下を招く場合があるからである。
なお、記録材料層は、上記したように記録波長において光吸収があることが必要であり、このような観点から、レーザ光を出射する光源の波長に応じて適宜色素を選択したり、構造を改変したりすることができる。
例えば、レーザ光源の発振波長が780nm付近であった場合、ペンタメチンシアニン色素、ヘプタメチンオキソノール色素、ペンタメチンオキソノール色素、フタロシアニン色素、ナフタロシアニン色素等から選択することが有利である。
また、光源の発振波長が660nm付近であった場合には、トリメチンシアニン色素、ペンタメチンオキソノール色素、アゾ色素、アゾ金属錯体色素、ピロメテン錯体色素等から選択することが有利である。
さらに、光源の発振波長が405nm付近であった場合には、モノメチンシアニン色素、モノメチンオキソノール色素、ゼロメチンメロシアニン色素、フタロシアニン色素、アゾ色素、アゾ金属錯体色素、ポルフィリン色素、アリリデン色素、錯体色素、クマリン色素、アゾール誘導体、トリアジン誘導体、ベンゾトリアゾール誘導体、1−アミノブタジエン誘導体、キノフタロン系色素などから選択することが有利である。
以下、光源の発振波長が780nm付近であった場合、660nm付近であった場合、405nm付近であった場合に対し、記録材料としてそれぞれ好ましい化合物の例を挙げる。ここで、以下の化学式1,2で示す化合物(I−1〜I−10)は、光源の発振波長が780nm付近であった場合の化合物である。
また、化学式3,4で示す化合物(II−1〜II−8)は、光源の発振波長が660nm付近であった場合の化合物である。さらに、5,6で示す化合物(III−1〜III−14)は、光源の発振波長が405nm付近であった場合の化合物である。なお、本実施の形態は、これらを記録材料層に用いた場合に限定されるものではない。
光源の発振波長が780nm付近であった場合の記録材料層を構成する化合物の例を以下に示す。
Figure 2010075992
Figure 2010075992
光源の発振波長が660nm付近であった場合の記録材料層を構成する化合物の例を以下に示す。
Figure 2010075992
Figure 2010075992
光源の発振波長が405nm付近であった場合の記録材料層を構成する化合物の例を以下に示す。
Figure 2010075992
Figure 2010075992
また、特開平4−74690号公報、特開平8−127174号公報、同11−53758号公報、同11−334204号公報、同11−334205号公報、同11−334206号公報、同11−334207号公報、特開2000−43423号公報、同2000−108513号公報、及び同2000−158818号公報等に記載されている色素も好適に用いられる。
このような色素型の記録材料層は、色素を、結合剤などと共に適当な溶剤に溶解して塗布液を調整し、次いで、この塗布液を、基材上に塗布して塗膜を形成した後に、乾燥することにより形成される。その際、塗布液を塗布する面の温度は、10℃以上40℃以下の範囲であることが好ましい。より好ましくは、下限値が15℃以上であり、上限値としては、35℃以下であることがより好ましく、30℃以下であることが更に好ましく、27℃以下であることが特に好ましい。このように被塗布面温度が上記範囲にあると、塗布ムラや塗布故障の発生を防止し、塗膜の厚さが均一に調整される。
なお、上記の上限値及び下限値は、それぞれを任意で組み合わせればよい。ここで、記録材料層は、単層でも重層であってもよく、重層構造の場合、塗布工程を複数下位行うことによって形成される。
塗布液中の色素の濃度は、一般に、0.01質量%以上15質量%以下の範囲であり、好ましくは0.1質量%以上10質量%以下の範囲、より好ましくは、0.5質量%以上5質量%以下の範囲、最も好ましくは、0.5質量%以上3質量%以下の範囲である。
塗布液の溶剤としては、酢酸ブチル、乳酸エチル、セロソルブアセテート等のエステル;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトンなどのケトン;ジクロルメタン、1,2−ジクロルエタン、クロロホルム等の塩素化炭化水素;ジメエチルホルムアミド等のアミド;メチルシクロヘキサンなどの塩素化炭化水素;ジメチルホルムアミド等のアミド;メチルシクロヘキサン等の炭化水素;テトラヒドロフラン、エチルエーテル、ジオキサン等のエーテル;エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノールジアセトンアルコール等のアルコール;2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール等のフッ素系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類;等が挙げられる。
上記溶剤は、使用する色素の溶解性を考慮して単独で、或いは2種以上を組み合わせて使用することができる。塗布液中には、更に、酸化防止剤、UV吸収剤、可塑剤、潤滑剤など各種の添加剤を目的に応じて添加してもよい。
塗布方法としては、スプレー法、スピンコート法、ディップ法、ロールコート法、ブレードコート法、ドクターロール法、ドクターブレード法、スクリーン印刷法等が挙げられる。なお、生産性に優れ膜厚のコントロールが容易であるという点で、スピンコート法を採用するのが好ましい。
記録材料層は、スピンコート法による形成に有利であるという点から、有機溶媒に対して0.3質量%以上30質量%以下で溶解することが好ましく、1質量%以上20質量%以下で溶解することがより好ましい。特にテトラフルオロプロパノールに1質量%以上20質量%以下で溶解することが好ましい。また、記録材料層を構成する化合物は、熱分解温度が150℃以上500℃以下であることが好ましく、200℃以上400℃以下であることがより好ましい。塗布の際、塗布液の温度は、23℃以上50℃以下の範囲であることが好ましく、24℃以上40℃以下の範囲であることがより好ましく、中でも、25℃以上30℃以下の範囲であることが特に好ましい。
塗布液が結合剤を含有する場合、結合剤の例としては、ゼラチン、セルロース誘導体、デキストラン、ロジン、ゴム等の天然有機高分子物質;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリイソブチレン等の炭化水素系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル・ポリ酢酸ビニル共重合体等のビニル系樹脂、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチルなどのアクリル樹脂、ポリビニルアルコール、塩素化ポリエチレン、エポキシ樹脂、ブチラール樹脂、ゴム誘導体、フェノール・ホルムアルデヒド樹脂等の熱硬化性樹脂の初期縮合物などの合成有機高分子;が挙げられる。
記録材料層の材料として結合剤を併用する場合には、結合剤の使用量は、一般に、色素に対して0.01倍量以上50倍量以下(質量比)の範囲にあり、好ましくは0.1倍量以上5倍量以下(質量比)の範囲にあり、このましくは、0.1倍量以上5倍量以下(質量比)の範囲にある。
また、記録材料層には、記録材料層の耐光性を向上させるために、種々の褪色防止剤を含有させてもよい。褪色防止剤としては、一般的に一重項酸素クエンチャーが用いられる。この一重項酸素クエンチャーとしては、既に公知の特許明細書等の刊行物に記載されているものが利用される。
以上、記録材料層が色素型記録層である場合の溶剤塗布法について述べたが、記録材料層は記録物質の物性に合わせて、蒸着、スパッタリング、CVD等の成膜法によって形成することもできる。
なお、上記の実施の形態では、レーザ光源から出射されたレーザ光を回折格子により3本のレーザ光に分岐し、0次回折光を加工用レーザ光となるメインビームMBとし、−1次回折光及び+1次回折光をトラッキング用レーザ光となるサブビームSB、サブビームSBとする場合について説明したが、分岐数は3本には限定されない。例えば、加工用レーザ光となるメインビームは複数本であってもよい。また、トラッキング用レーザ光となるサブビームは2本以上であってもよい。
例えば、図8に示すように、レーザ光源から出射されたレーザ光を回折格子により5本のレーザ光に分岐してもよい。この場合には、0次回折光及び±1次回折光を、加工用レーザ光となるメインビームMB、メインビームMB、メインビームMBとすることができる。また、−2次回折光及び+2次回折光を、トラッキング用レーザ光となるサブビームSB、サブビームSBとすることができる。メインビームMB、メインビームMB、メインビームMB、サブビームSB、及びサブビームSBの照射強度の比率の調整、波長の調整は、回折格子により行われる。
上記の実施の形態と同様に、ディスク状の加工対象物10の加工領域内において、内周側から外周側に向って、同心円状に配列されたピット列(トラック)を、順次形成する場合について説明する。サブビームSB、メインビームMB、メインビームMB、メインビームMB、及びサブビームSBの各々は、隣接するビームスポットの中心間の距離がトラック間隔Dとなるように、回折格子及びその他の光学系により予め調整されている。
加工済み領域の最外周のトラックにサブビームSBを照射し、サブビームSBの反射光を検出してトラッキング制御を行いながら、3本のメインビームMB、メインビームMB、メインビームMBを加工対象物10の表面10aに照射してピット列を形成する。これにより、複数のピット列(トラック)を、一定のトラック間隔Dで順次形成することができる。また、メインビームMB、メインビームMB、及びメインビームMBを照射して、3本のトラックを同時に形成するので、レーザ加工処理の速度が向上する。
また、メインビームMBを加工対象物10に照射してピット列を形成しながら、サブビームSBの反射光を検出して、次にトラックが形成される未加工領域上に在る欠陥領域DFの位置情報(ディフェクト情報)を予め取得する。メインビームMBで次のトラックを形成する場合には、予め取得したディフェクト情報に基づいて、この欠陥領域DFを避けてピット列を形成することができる。更に、メインビームMBが欠陥領域DF上を通過する間は、フォーカシング制御を一時停止して、フォーカスが大幅に外れないようにする。これにより、欠陥領域DFを通過した後に、フォーカシング制御を再開することができ、レーザ加工処理を継続して行うことができる。
なお、図8に示した例でも、上記の実施の形態と同様に、加工対象物10の外周側から内周側に向って複数のトラックを順次形成することもできる。この場合には、外周側のサブビームSBの反射光を検出してトラッキング制御を行いながら、メインビームMB、メインビームMB、及びメインビームMBを加工対象物10に照射してピット列を形成する。また、図5に示したように、ビームスポットを加工対象物10の半径方向に対し斜めに配列することもできる点も、上記の実施の形態と同様である。
また、上記の実施の形態では、サブビームの反射光を利用してトラッキング制御を行う場合について説明したが、トラッキング制御は必須ではない。トラッキング制御を省略して、欠陥領域の検出だけを行うことができる。なお、トラッキング制御を省略する場合は、上述した基準トラックを形成する場合と同様に、軸ブレによる加工位置のずれが発生し難い別の方法でピット列を形成することが好ましい。
上述したように、加工用レーザ光となるメインビームは複数本であってもよく、欠陥検出用レーザ光となるサブビームは2本以上であってもよい。例えば、図9に示すように、レーザ光源から出射されたレーザ光を回折格子により5本のレーザ光に分岐して、0次回折光を、加工用レーザ光となるメインビームMBとし、+1次回折光及び+2次回折光を、欠陥検出用レーザ光となるサブビームSB、サブビームSBとすることができる。−1次回折光及び−2次回折光は使用しない。メインビームMB、サブビームSB、サブビームSB、サブビームSB、及びサブビームSBの照射強度の比率の調整、波長の調整は、回折格子により行われる。
上記の実施の形態と同様に、ディスク状の加工対象物10の加工領域内において、内周側から外周側に向って、同心円状に配列されたピット列(トラック)を、順次形成する場合について説明する。サブビームSB、サブビームSB、メインビームMB、サブビームSB、及びサブビームSBの各々は、隣接するビームスポットの中心間の距離がトラック間隔Dとなるように、回折格子及びその他の光学系により予め調整されている。
メインビームMBを加工対象物10の表面10aに照射してピット列を形成しながら、サブビームSB及びサブビームSBの反射光を検出して、次にトラックが形成される未加工領域上に在る欠陥領域DFの位置情報(ディフェクト情報)を予め取得する。複数本のサブビームを利用して欠陥領域の検出を行うことで、複数トラック分のディフェクト情報を一度に得ることができる。これにより、欠陥領域の半径方向の大きさを知ることができる。
メインビームMBで次のトラックを形成する場合には、予め取得したディフェクト情報に基づいて、この欠陥領域DFを避けてピット列を形成することができる。更に、メインビームMBが欠陥領域DF上を通過する間は、フォーカシング制御を一時停止して、フォーカスが大幅に外れないようにする。これにより、欠陥領域DFを通過した後に、フォーカシング制御を再開することができ、レーザ加工処理を継続して行うことができる。
なお、図9に示した例でも、上記の実施の形態と同様に、加工対象物10の外周側から内周側に向って複数のトラックを順次形成することもできる。この場合には、メインビームMBを加工対象物10に照射してピット列を形成しながら、内周側のサブビームSB及びサブビームSBの反射光を検出して欠陥領域の検出を行う。また、図5に示したように、ビームスポットを加工対象物10の半径方向に対し斜めに配列することもできる点も、上記の実施の形態と同様である。
本発明の実施の形態に係るレーザ加工装置の概略構成を示す斜視図である。 (A)は加工対象物の層構成の一例を示す部分断面図である。(B)は加工対象物の表面にレーザ光が照射される様子を示す部分断面図である。(C)は加工対象物の表面にピットが形成される様子を示す部分断面図である。 レーザ加工装置を構成する光加工ヘッドの構成を示す概略図である。 加工対象物の表面にレーザ光が照射される様子を示す概略図である。 ビームスポットが斜めに配列された様子を示す概略図である。 光加工ヘッドに設けられた光検出デバイスの構成を示す平面図である。 本発明の実施の形態に係るレーザ加工装置の全体構成を示すブロック図である。 ビームスポットの他の配置例を示す概略図である。 ビームスポットの更に他の配置例を示す概略図である。 加工対象物の表面に在る欠陥によりフォーカスが外れる様子を示す図である。
符号の説明
10 加工対象物
10a 表面
10b センターホール
12 スピンドルモータ
14 光加工ヘッド
16 ステッピングモータ
18 ターンテーブル
20 基材
22 記録材料層
24 対物レンズ
26 レーザ光源
28 回折格子
30 偏光ビームスプリッタ
32 コリメータレンズ
34 1/4波長板
36 シリンドリカルレンズ
38 光検出デバイス
40 フォーカスアクチュエータ
42 トラッキングアクチュエータ
44 制御部
46 モータコントローラ
48 モータドライバ
50 レーザドライバ
52 ストラテジ回路
54 レーザパワー制御回路
56 パルス生成部
58 増幅回路
60 サーボ回路
62 デコーダ
64 周波数発生器
66 メモリ
68 PC(パーソナル・コンピュータ)
70 光検出器
72 光検出器
74 光検出器

Claims (8)

  1. レーザ光源と、該レーザ光源から出射されたレーザ光をメインビーム及びメインビームより光強度の小さいサブビームを含む複数の光ビームに分岐する回折格子と、前記複数の光ビームの各々をディスク状の加工対象物の表面に集光する集光光学系と、を少なくとも備え、前記メインビームが前記加工対象物の表面に被加工部を形成する加工領域を照射すると共に、前記サブビームの1つが前記加工領域に隣接し且つ前記加工対象物の表面に被加工部が形成されていない未加工領域を照射するように、分岐された複数の光ビームを前記加工対象物に照射するレーザ照射手段と、
    前記加工対象物をディスクの回転軸の周りに回転させる回転手段と、
    前記レーザ照射手段を前記加工対象物の半径方向に相対移動させる移動手段と、
    分岐された複数の光ビームの各々について設けられ、前記加工対象物の表面により反射された反射光を検出する複数の光検出器と、
    前記回転手段により前記加工対象物を回転させる際に、前記光検出器で検出された前記加工領域に照射されたメインビームの反射光強度に基づいて、前記加工対象物の表面でメインビームの焦点が合うように、前記レーザ照射手段の光軸方向の位置を調整するフォーカス制御を行うフォーカス制御手段と、
    前記光検出器で検出された前記未加工領域に照射されたサブビームの反射光強度に基づいて、前記加工対象物の表面の凹凸に関わる欠陥領域を検出する欠陥検出手段と、
    前記欠陥検出手段で検出された欠陥領域の位置情報を生成する位置情報生成手段と、
    前記位置情報生成手段で生成された欠陥領域の位置情報を記憶する記憶手段と、
    前記メインビームで前記加工対象物の表面の加工領域を照射する場合に、前記記憶手段に記憶された欠陥領域の位置情報に基づいて、前記欠陥領域に被加工部が形成されず且つ前記欠陥領域以外の加工領域に複数の被加工部が形成されるように、前記レーザ照射手段のレーザ光源の出力を制御するレーザ出力制御手段と、
    を備え、
    前記メインビームを前記加工対象物の表面の加工領域に照射して、前記加工対象物の表面に複数の被加工部を形成するレーザ加工装置。
  2. 前記加工対象物はヒートモード型の記録材料層を表面に備え、該記録材料層に前記メインビームのビームスポット径より小さい直径の被加工部を形成する請求項1に記載のレーザ加工装置。
  3. 前記フォーカス制御手段は、前記メインビームで前記加工対象物の表面の欠陥領域を照射する期間は、前記フォーカス制御を停止し且つ前記レーザ照射手段の光軸方向の位置を所定位置に維持する請求項1又は2に記載のレーザ加工装置。
  4. 前記レーザ照射手段から照射される前記サブビームの他の1つが前記加工対象物の表面に被加工部が形成された加工済み領域を照射し、前記回転手段により前記加工対象物を回転させる際に、前記光検出器で検出された前記加工済み領域に照射された前記サブビームの他の1つの反射光強度に基づいて、前記レーザ照射手段の半径方向の位置を調整するトラッキング制御を行うトラッキング制御手段を、
    更に備えた請求項1〜3の何れか1項に記載のレーザ加工装置。
  5. 前記サブビームは前記メインビームの半分以下の光強度を有する請求項1〜4の何れか1項に記載のレーザ加工装置。
  6. 前記複数の光ビームは、0次回折光、−1次回折光、及び+1次回折光を少なくとも含む請求項1〜5の何れか1項に記載のレーザ加工装置。
  7. 前記複数の光ビームは、レーザ加工に使用される複数のメインビームを含む請求項1〜6の何れか1項に記載のレーザ加工装置。
  8. 前記複数の光ビームは、欠陥領域の検出に使用される複数のサブビームを含む請求項1〜7の何れか1項に記載のレーザ加工装置。
JP2008250717A 2008-09-29 2008-09-29 レーザ加工装置 Pending JP2010075992A (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008250717A JP2010075992A (ja) 2008-09-29 2008-09-29 レーザ加工装置
PCT/JP2009/066497 WO2010035737A1 (ja) 2008-09-29 2009-09-24 レーザ加工装置
TW098133022A TW201021951A (en) 2008-09-29 2009-09-29 Laser processing device

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008250717A JP2010075992A (ja) 2008-09-29 2008-09-29 レーザ加工装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2010075992A true JP2010075992A (ja) 2010-04-08

Family

ID=42059736

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008250717A Pending JP2010075992A (ja) 2008-09-29 2008-09-29 レーザ加工装置

Country Status (3)

Country Link
JP (1) JP2010075992A (ja)
TW (1) TW201021951A (ja)
WO (1) WO2010035737A1 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102642083A (zh) * 2011-02-22 2012-08-22 陈鸿隆 激光加工机构

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US8441903B2 (en) * 2011-08-17 2013-05-14 Lsi Corporation Optical disk playback device with prescan functionality for early detection of surface imperfections

Family Cites Families (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6222251A (ja) * 1985-07-22 1987-01-30 Victor Co Of Japan Ltd 情報記録媒体円盤の製作法
JP4106847B2 (ja) * 2000-02-28 2008-06-25 ソニー株式会社 記録媒体の製造方法、記録媒体製造用原盤の製造方法、記録媒体の製造装置、および記録媒体製造用原盤の製造装置
JP2002117547A (ja) * 2000-10-03 2002-04-19 Toshiba Corp 光ディスク、光ディスク装置および光ディスク原盤作成方法
US6882616B2 (en) * 2000-11-20 2005-04-19 Sony Corporation Optical recording medium with high density track pitch and optical disk device for recording and playback of the same
JP2003059121A (ja) * 2001-08-20 2003-02-28 Sony Corp 光記録媒体製造用原盤の製造方法、露光装置、並びに光記録媒体製造用原盤および光記録媒体
JP2003272238A (ja) * 2002-03-19 2003-09-26 Sony Corp 光学記録再生媒体、光学記録再生媒体製造用原盤及び光学記録再生装置
JP2004178781A (ja) * 2002-10-01 2004-06-24 Nec Corp 光記録媒体、光学式情報再生装置及び光記録原盤の製造方法
JP2005302085A (ja) * 2004-04-07 2005-10-27 Hitachi Ltd 光記録媒体のトラック形成方法及び情報記録方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102642083A (zh) * 2011-02-22 2012-08-22 陈鸿隆 激光加工机构

Also Published As

Publication number Publication date
TW201021951A (en) 2010-06-16
WO2010035737A1 (ja) 2010-04-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
WO2010035736A1 (ja) レーザ加工装置
JP4972015B2 (ja) 金型の加工方法および製造方法
JP5226557B2 (ja) レーザ露光方法、フォトレジスト層の加工方法およびパターン成形品の製造方法
TWI446118B (zh) 圖案形成體的製造方法以及電磁束加工裝置
JP2010086608A (ja) 短パルス光源、レーザ光出射方法、光学装置、光ディスク装置及び光ピックアップ
WO2010035737A1 (ja) レーザ加工装置
CN101785057B (zh) 用于制造其上以凹坑图案记录信息的介质的方法
JP2011092955A (ja) レーザ加工装置及びレーザ加工方法
JP2011092956A (ja) 光ヘッド装置、及び該光ヘッド装置を用いたレーザ加工方法
JP2011212726A (ja) レーザ加工装置及びレーザ加工方法
JP5111305B2 (ja) パターン形成体およびその製造方法
KR20100065353A (ko) 오목부 형성 방법, 요철 제품의 제조 방법, 발광 소자의 제조 방법 및 광학 소자의 제조 방법
WO2010024144A1 (ja) 加工装置
WO2010116898A1 (ja) 被加工物の加工方法
JP5390338B2 (ja) レーザ加工装置及びレーザ加工方法
WO2009110046A1 (ja) フォトレジスト層を有するワークの加工方法
CN1300785C (zh) 光盘驱动器及其控制方法
JP2010054604A (ja) パターン形成体の製造方法
US8427915B2 (en) Method and apparatus for recording information in optical storage medium, and multi-layer optical storage medium
JP2011092954A (ja) レーザ加工方法
JP2011210883A (ja) 凹凸構造体の製造方法、発光素子、潜像保持体、発光素子前駆体、及び発光素子の製造方法。
JP2010184288A (ja) レーザ加工方法
JP2009282278A (ja) フォトレジスト層の加工方法および曲面状部材の製造方法
JP2010240786A (ja) 被加工物の加工方法
JP2008084500A (ja) 初期化装置及び初期化方法