JP2010072637A - トナーの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】熱可塑性高分子材料を含むコア粒子の表面に、粒子径が100nm未満の超常磁性フェライト微粒子を直接生成させることにより、コア粒子と、コア粒子の表面に付着した粒子径が100nm未満の複数の超常磁性フェライト微粒子とから構成され、粒子径が100nm未満の超常磁性フェライト微粒子が他の超常磁性フェライト微粒子と接触していない構造を有するトナーを製造し、これにより磁界の影響によるトナーの飛散を防ぎ、高画質の画像を形成する。
【選択図】図1
Description
詳細には、高周波磁気誘導加熱を利用して非接触で未定着トナー像を定着する画質形成方法に用いるのに特に適したトナー及びその製造方法に関する。
この方法では、発熱メカニズムとして、金属微粒子を含有させたトナーに高周波磁界を印加すると金属微粒子内に流れるうず電流に起因するうず電流損失が発生して発熱する作用、あるいは強磁性微粒子を含有させたトナーに高周波磁界を印加すると強磁性微粒子の有する磁気ヒステリシス特性に起因してヒステリシス損失が発生して発熱する作用を利用している。
しかし、これらの方式で磁性粒子を含有させたトナーを用いる場合に、未定着のトナー像が磁界の中を通過する際、磁力線の影響でトナー粒子が飛散し、画像が乱れるという問題がある。
すなわち、うず電流損失方式の場合にはうず電流損失Pは金属微粒子径dと励磁周波数fと磁束密度Bの積の2乗に比例するため、トナーを溶融定着させるのに必要な電流損失Pを確保するには粒子径dをある程度大きくする必要がある。また、ヒステリシス損失方式の場合には強磁性微粒子の粒子径が小さくなるにつれて磁気ヒステリシスのループ面積が小さくなり、100nmを切ると完全に磁気ヒステリシス特性が失われて超常磁性となり、磁気ヒステリシス損失による加熱はできなくなるため、粒子径を小さくすることができない。
そのため、これらの金属微粒子を使用するトナーは金属が強く可視光を吸収するために透明性が損なわれ、モノクロ画像の形成にしか適用できないという欠点も有する。
なお、本発明者が、超常磁性微粒子の粒子径dと発熱量Pとの関係について研究したところ、粒子径18nmから23nmのフェライト超常磁性微粒子が他の粒子径のものに比して特にネール緩和による発熱の寄与が大きく発熱効率がよいことが判明している。
そして、本発明者らは、このような構造のトナーは、コア粒子の表面に粒子径が100nm未満の超常磁性フェライト微粒子を直接生成させることにより製造できることを見出し、本発明に到達した。
少なくとも、熱可塑性高分子材料を含むコア粒子と、前記コア粒子の表面に付着した、粒子径が100nm未満の複数の超常磁性フェライト微粒子と、を含む高周波磁気誘導加熱定着用トナーの製造方法であって、
熱可塑性高分子材料を含むコア粒子を分散させたコア粒子分散液を用意し、
前記コア粒子分散液に2価鉄イオン(Fe2+)を導入し、
前記コア粒子分散液に水の存在下で酸化剤を導入し、
前記酸化剤の導入から所定時間経過後に前記コア粒子表面におけるフェライトの成長を停止させる、方法。
また、本発明の別の実施態様は次のとおりである。
少なくとも、
熱可塑性高分子材料を含むコア粒子と、
前記コア粒子の表面に付着した、粒子径が100nm未満の複数の超常磁性微粒子と、
を含む高周波磁気誘導加熱定着用トナー。
したがって、本発明によれば、電子写真方式等の被記録媒体上に未定着のトナー像を形成すると共に、高周波磁気誘導加熱を利用して非接触で該トナー像を被記録媒体に定着する画像形成方法において、低消費電力で、かつ、高画質の画像を形成することができる。
さらに、本発明によれば、トナー中の加熱定着用の磁性粒子の大きさが著しく小さいので、トナー粒子の透過性が改善され、モノクロ画像だけでなく、解像度が高く、彩度の高いカラー画像を形成することができる。
本発明の製造方法により製造されるトナーは、少なくとも、熱可塑性高分子材料を含むコア粒子と、前記コア粒子表面に付着した粒子径が100nm未満の複数の超常磁性微粒子と、を含む。
図1に、本発明のトナー1のイメージ図を示す。コア粒子2の表面に、超常磁性微粒子3が複数個、相互に分離した状態で付着している。
本発明のトナーにおいては、誘導加熱のために用いる超常磁性微粒子の粒子径が極めて小さいので、うず電流損失やヒステリシス損失を利用する従来の高周波磁気誘導加熱方式に使用されるトナーのように、誘導加熱用の磁性粒子でトナーの透明性が損われることが少ない。そのため、本発明のトナーは、特に、カラー画像の形成に適している。したがって、本発明においては、コア粒子に着色剤を添加することもできる。着色剤としては、公知の有機又は無機の着色剤(顔料、色素等)を用いることができる。
なお、本発明において、粒子径とは、二軸平均径、すなわち、短径と長径の平均値をいう。ここで、短径、長径とは、それぞれ、粒子に外接する面積が最小となる外接長方形の短辺、長辺である。
コア粒子の表面に付着した超常磁性微粒子の粒子径は、ネール緩和及び/又はブラウン緩和を引き起こすためには100nm未満とすることが必要である。加熱効率の観点から、本発明においては、コア粒子に付着した全超常磁性微粒子の個数に対する、粒子径が100nm未満の超常磁性微粒子の個数を80%以上としてもよく、90質量%以上としてもよい。
キュリー点以上では帯磁率が低下し、高周波磁界内にあってもネール緩和やブラウン緩和が起こることがない。このため、高周波磁気誘導加熱によって超常磁性体の温度が上昇してキュリー点に達すると、それ以上の発熱は起こらなくなる。
本発明においては、このような高周波磁気誘導加熱の特徴を利用し、コア粒子表面に形成する粒子径が100nm未満の超常磁性微粒子の組成を、該超常磁性体と同じ組成を持つバルク試料について定義されるキュリー点が被記録媒体が発火する温度より低くなるように選択することにより、定着時の過加熱による被記録媒体の発火を防止することができる。
以上の観点から、コア粒子表面に形成する粒子径が100nm未満の超常磁性微粒子のキュリー点は、被記録媒体やコア粒子の種類、トナー中の超常磁性微粒子の含有量によっても異なるが、100〜300℃であってもよく、100〜200℃であってもよい。
コア粒子1個あたりに付着する粒子径が100nm未満の超常磁性微粒子の数や質量に限定はなく、超常磁性微粒子の組成や粒子径、熱可塑性高分子材料の種類、定着手段の種類等に応じて適宜決定する。
本発明のトナーの製造方法に限定はなく、例えば、コア粒子と粒子径が100nm未満の超常磁性微粒子を別々に用意し、コア粒子の表面に超常磁性微粒子を付着させてもよいし、コア粒子の表面において超常磁性微粒子を生成させることにより製造することもできる。
以下に、本発明のトナーの製造方法の一例として、いわゆるフェライトめっき法やその他の溶液プロセス法を応用してコア粒子の表面に超常磁性フェライト微粒子を生成させる方法について説明する。
この方法においては、まず、コア粒子を分散媒に分散させた分散液中に、2価鉄イオンFe2+を導入し、コア粒子の表面にこれらのイオンを吸着させる。具体的には、例えば、2価鉄イオンFe2+を含む水溶液中に、コア粒子を水中に分散させた水溶液を添加するか、またはコア粒子を水中に分散させた水溶液中にFe2+を含む水溶液を添加して、コア粒子の表面にこれらのイオンを吸着させる。
次いで、水の存在下でコア粒子分散液に酸化剤を添加して(上記具体例の場合には、得られた混合反応液に酸化剤を添加して)、Fe2+の一部をFe3+に酸化すると、Fe3+の加水分解が起こり、コア粒子の表面にスピネル構造のフェライトが生成される。ここで生成されたフェライトの表面にはOH基が存在するため、これにさらにFe2+が吸着し、Fe2+の酸化、Fe3+の加水分解が順次繰り返され、フェライトが成長していく。
フェライト粒子が所望の大きさまで成長した時点で、フェライトの生成反応を停止させることにより、所望の粒径のフェライト微粒子が表面に付着したコア粒子を得ることができる。 すなわち、フェライトめっきの初期段階でまずフェライト微粒子が表面に形成され、さらにめっき時間を長くすると連続膜になることから、めっき時間を適切な短時間にすることによって微粒子状のフェライト被覆を得ることができる。
反応液の温度、pHにも限定はない。Fe2+のコア粒子に対する吸着、Fe2+の酸化及びFe3+の加水分解を促進するために、反応液の温度を60〜100℃としてもよい。また、同様の観点から、反応液に酢酸アンモニウム溶液等の緩衝液を添加して、pHを6〜11にしてもよい。
また、コア粒子の濃度に限定はなく、例えば、1015〜1018個/Lとすることができる。
コア粒子分散媒中に導入されたFe2+は、コア粒子の表面に存在しているOH基やCOOH基等の親水基に対して配位結合により吸着する。Fe2+等のコア粒子に対する吸着を促進させるために、コア粒子の表面に公知の方法により親水基を導入してもよい。
Fe2+の導入量に限定はなく、例えば、1mmol/l〜100mmol/Lとすることができる。
酸化剤は水の存在下に導入される。ここで、水は、予め分散媒に添加されていてもよいし、酸化剤の導入と同時に分散媒に添加されてもよい。酸化剤の濃度に限定はなく、、例えば、50〜1000mmol/Lとすることができる。
すなわち、一般的なフェライトめっき法においては、コア粒子表面においてフェライトは初め複数の核の形で生成し、成長が進むにつれ隣接するフェライト核同士が結合して最終的には膜となるが、本発明では、膜となる手前でフェライトの成長を強制的に停止させることにより、コア粒子の表面に複数のフェライト微粒子を形成させる。
コア粒子の表面におけるフェライトの成長を停止させる方法に限定はなく、例えば、コア粒子分散液のpHや温度を調整してFe2+等のコア粒子に対する吸着、Fe2+の酸化又はFe3+の加水分解を起こりにくくすることやコア粒子を分散媒から分離すること等が挙げられる。
ただし、供給するコア粒子の濃度を大きくすると、コア粒子一個あたりに供給されるFe2+の供給源および酸化剤の量が減少する(従って粒子成長速度が下がる)ので最適な所定時間は長くなる。これらの要因を考慮して、所定時間を設定することが重要である。
反応液に超音波を印加するとフェライト粒子の成長速度が促進されるため、微粒子上の被覆が得られる時間が短くなるので、著しく強い超音波の印加は避けることが好ましい。
本発明のトナーを用いて被記録媒体上に未定着トナー像を形成し、高周波磁界を用いて未定着トナー像を被記録媒体に定着させることにより、画像を形成することができる。
未定着トナー像を形成する方法に限定はなく、これに用いる手段としても、あらゆるものを使用することができる。
被記録媒体上に未定着トナー像を形成する手段の一例としては、従来公知の電子写真方式の複写機やレーザープリンタ等で採用されている手段、すなわち、感光体と、前記感光体に電荷を付与する帯電手段と、前記感光体の帯電領域に光を照射して静電潜像を形成する露光手段と、前記静電潜像をトナーで現像してトナー像を形成する現像手段と 、前記トナー像を被記録媒体に転写する転写手段とを有する手段が挙げられる。
ここで、感光体、帯電手段、露光手段、現像手段及び転写手段としては、一般に使用されているものを使用することができる。
定着の際のトナーの飛散を十分に防止するためには、磁界内の各トナー粒子に作用する磁気力が均衡している方がよい。したがって、定着の際に発生させる磁界は、磁束密度が場所によらず均一なものであってよい。そのため、複数個の高周波励磁コイルを並べて磁界発生手段を構成する場合は、複数個の高周波励磁コイルは、互いに平行で相互の間隔が均一となるように配置してもよい。
さらに、磁束密度が均一の磁界を発生させるためには、例えば、3次元的に配置した複数個のコイルの各コイルに流れる電流値を適切に配分して所定の領域内に発生する磁界の磁束密度が均質になるように設定してもよい。
図2は、画像形成装置の具体例の概略図である。
画像形成装置4は、被記録媒体上に未定着トナー像を形成する手段10と、未定着トナー像を被記録媒体に定着させる定着手段20とを有する。
未定着トナー像を形成する手段10は、感光体ドラム11と、この感光体ドラムの表面に所定の電位となるように電荷を付与する帯電手段12と、感光体ドラムに画像状に露光してその表面に静電潜像を形成する露光手段13と、静電潜像をトナーで現像してトナー像として可視化する現像手段14と、トナー像を感光体ドラムから紙等の被記録媒体に転写する転写手段15を有する。さらに、未定着トナー像を形成する手段10は、感光体ドラムを次の画像形成に用いるために、その表面に残留したトナーを除去するクリーニング手段16を有している。
未定着トナー像形成手段により形成された未定着トナー像を担持した被記録媒体40を、搬送手段23を用いて磁界が発生する領域22内に搬入し、次いで、励磁コイル21aに交流を印加して磁界を発生させる。磁界の作用により、未定着トナー30の表面に付着した超常磁性微粒子(図示せず)においてネール緩和及び/もしくはブラウン緩和が起こり、緩和熱が発生し、その熱で未定着トナー30のコア粒子を構成する熱可塑性高分子材料(図示せず)が溶融し、トナーが被記録媒体40に溶融定着する。
予め設定しておいた定着時間が経過した後、高周波磁界の印加を停止し、搬送手段23によって、トナー像が定着した被記録媒体40を排紙トレイ(図示せず)に排出すると共に、次に定着を施す被記録媒体40を領域22内に搬入・配置する。
<製造例1>
500mlの三角フラスコに、Fe2+の供給源として濃度10mmol/lのFeCl2を、pH緩衝剤として濃度10mmol/lのCH3COONaを含む反応液を用意し、そこへ直径5μmのポリアクリル粒子を水中に分散させた水分散液を粒子の濃度が0.08wt%となるように加えた。さらに酸化剤として濃度250mmol/lのNaNO3を加えてから、60℃で攪拌しつつフェライトめっきを30分間行った。これらすべての工程は反応液にN2バブリングを施しつつ行った。めっき終了後、反応液を速やかに室温に冷却した後、磁石を用いて粒子を回収し、乾燥させて電界放出型透過型電子顕微鏡(FE−SEM)で観測したところ、粒径が20±5(nm)の微粒子が島状に表面に付着していた。粉末X線回折装置で観測したところ、島状に付着していた微粒子はマグネタイト構造のフェライト微粒子であることが示された。
なお、同じ条件でめっきを90分以上行うと島状に付着していた微粒子は連続フェライト被覆に転じることがわかった。
1リットルの反応容器に、直径が0.25μmのポリアクリル粒子をpH緩衝剤としてCH3COONaを含む水中に分散させた水分散液を用意し、70℃に保持した。次いで、この水分散液に、FeCl2と酸化剤としてNaNO2とを含む水溶液を添加し、pH調整液としてNaOH水溶液を加えてpHを11に保ち、70℃で攪拌しつつフェライトめっきを行った。めっき終了後、反応液からポリアクリル粒子を分離し、脱イオン水で数回洗浄した後、乾燥させて透過型電子顕微鏡(SEM)で観測したところ、ポリアクリル粒子の表面に微粒子が島状に付着していることが確認された。その写真を図4に示す。
とりわけ、本発明の製造方法により製造したトナーは、高周波磁気誘導加熱による非接触定着を行う画像形成方法を採用した画像形成装置において用いるのに適している。
2 コア粒子
3 超常磁性微粒子
4 画像形成装置
10 未定着トナー像を形成する手段
11 感光体ドラム
12 帯電手段
13 露光手段
14 現像手段
15 転写手段
16 クリーニング手段
20 定着手段
21 磁界発生手段
21a高周波励磁コイル
22 磁界が発生する領域
23 搬送手段
23a搬送ベルト
30 未定着トナー
40 被記録媒体
Claims (11)
- 少なくとも、
熱可塑性高分子材料を含むコア粒子と、
前記コア粒子の表面に付着した、粒子径が100nm未満の複数の超常磁性フェライト微粒子と、
を含む高周波磁気誘導加熱定着用トナーの製造方法であって、
熱可塑性高分子材料を含むコア粒子を分散させたコア粒子分散液を用意し、
前記コア粒子分散液に2価鉄イオン(Fe2+)を導入し、
前記コア粒子分散液に水の存在下で酸化剤を導入し、
前記酸化剤の導入から所定時間経過後に前記コア粒子表面におけるフェライトの成長を停止させる、方法。 - 前記粒子径が100nm未満の超常磁性フェライト微粒子の粒子径が、30nm以下である、請求項1に記載のトナーの製造方法。
- 前記粒子径が100nm未満の超常磁性フェライト微粒子の粒子径が、18nm〜23nmである、請求項1に記載のトナーの製造方法。
- 前記粒子径が100nm未満の超常磁性微粒子が、他の超常磁性微粒子と接触していない、請求項1に記載のトナーの製造方法。
- 少なくとも、
熱可塑性高分子材料を含むコア粒子と、
前記コア粒子の表面に付着した、粒子径が100nm未満の複数の超常磁性微粒子と、
を含む高周波磁気誘導加熱定着用トナー。 - 前記粒子径が100nm未満の超常磁性微粒子が、他の超常磁性微粒子と接触していない、請求項5に記載のトナー。
- 前記粒子径が100nm未満の超常磁性微粒子の粒子径が、30nm以下である、請求項5に記載のトナー。
- 前記粒子径が100nm未満の超常磁性微粒子の粒子径が、18nm〜23nmである、請求項5に記載のトナー。
- 被記録媒体上に未定着トナー像を形成する工程と、
高周波磁界を用いて未定着トナー像を被記録媒体に定着させる工程と、を含み、
トナーとして、請求項5に記載のトナーを使用する、画像形成方法。 - 前記高周波磁界の周波数が、100kHz〜5MHzである、請求項9に記載の画像形成方法。
- 前記高周波磁界の周波数が、300kHz以上1MHz未満である、請求項9に記載の画像形成方法。
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