JP2010071115A - シュー - Google Patents

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Masanori Akizuki
政憲 秋月
Seiji Hatta
政治 八田
Satoshi Nomura
諭 野村
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Abstract

【解決手段】 シュー4は、ピストン3と摺動する半球面4Bを有する第1部材11と、斜板2と摺動する平坦面4Aを有する第2部材12とからなり、全体として概略半球状に形成されている。
第1部材11の下面中央部に係合凹部11Aが形成されており、第2部材12の上面中央部には上記係合凹部11Aと係合する係合凸部12Aが形成されている。第1部材11と第2部材12とは相互に分離・揺動することができるので、第2部材12の下面(平坦面4A)は斜板2の摺動面2Aと満遍なく摺動して、片当たりが生じない。
【効果】 従来と比較して斜板2の摩耗を抑制することができる。
【選択図】 図2

Description

本発明はシューに関し、より詳しくは斜板式コンプレッサに用いられるシューに関する。
従来、自動車に搭載される斜板式コンプレッサは知られており(例えば特許文献1)、このような斜板式コンプレッサは、斜板とピストンとの間に摺動部材としてのシューを備えている。
そして、斜板式コンプレッサに用いられるシューとして、最近では半球状シューが提案されている(例えば特許文献2)。
特開昭53−129311号公報 特開平10−153169号公報
ところで、半球状シューを用いた従来の斜板式コンプレッサにおいては次のような問題があった。すなわち、図4に示したように、半球状シューの端面と斜板との間、および半球状シューの半球面とピストンの凹部との間には間隙が存在する。そして、斜板が回転される際には、上述した両方の間隙分だけ半球状シューが斜板とピストンとの間で頻繁に位置ずれしながら両部材と摺動することになる。すると、半球状シューの慣性力により斜板に対して衝撃荷重が加わるとともに、図4に示すように、斜板と半球状シューの端面とが片当たりすることで斜板が部分的に激しく摩耗するという欠点があった。
従来一般の斜板は基材上に溶射層、焼結層、めっき層や化成処理槽等の中間層を設けてあり、さらにその中間層の表面に樹脂層が設けられている。そして、上述したように半球状シューの端面が斜板と片当たりして斜板の表面が部分的に激しく摩耗すると、上記斜板の中間層も摩耗することになるので、斜板の耐焼付性が悪くなるという問題が指摘されていたものである。
そして、このように斜板の表面の樹脂層が摩耗することに伴って、斜板の表面とシューの端面との隙間が増大し、それによってさらに斜板の表面とシューの端面との片当たりが生じて斜板が摩耗する結果となっていた。
なお、半球状シューを軽量化することにより、半球状シューの端面と斜板との片当たりによる斜板樹脂層の摩耗を抑制することは可能である。しかしながら、近年ではより負荷の高い斜板式コンプレッサや特定の種類の冷媒を用いる斜板式コンプレッサが要求されるので、半球状シューの軽量化だけでは斜板の摩耗を抑制するには限界がある。
上述した事情に鑑み、本発明は、ピストンの凹部と摺動する半球面を有する第1部材と、斜板と摺動する平坦面を有する第2部材と、上記第1部材における第2部材との対向面に形成された係合凹部と、上記第2部材における上記第1部材との対向面に形成されるとともに上記係合凹部と揺動可能に係合する係合凸部とを備え、上記係合凸部と係合凹部とを介して上記第1部材と第2部材とが相互に分離・揺動可能に組み付けられているシューを提供するものである。
上述した構成によれば、シューは第1部材と第2部材は相互に分離・揺動可能となっている。そして、このシューが斜板式コンプレッサにおけるピストンと斜板との間に配置された際には、シューの第1部材とピストンの凹部との間およびシューの第2部材の平坦面と斜板との間に間隙が生じている。そして、斜板が回転されると、該斜板およびピストンの凹部とシューの両部材が摺動するとともに、上記間隙の分だけシューの第1部材と第2部材とが相対的に分離かつ揺動する。より詳細には、図3(a)〜図3(c)に示すように、先ず、第2部材が第1部材及び斜板に対して揺動するとともに係合凸部が係合凹部から分離して、第2部材の平坦面の全域が斜板の表面と平行になってそこと接触する(図3(a)、図3(b)参照)。
引き続いて、分離していた第1部材が第2部材に近接するように移動されて、該第1部材の係合凹部が第2部材の係合凸部と係合した後に第1部材が第2部材に対して揺動する(図3(b)、図3(c)参照)。
このようにして、シューの第1部材および第2部材は相互に揺動されてから分離することで第2部材の平坦面が斜板に満遍なく接触し、その後に分離された、両部材が係合する。そのため、シューが斜板とピストンの凹部との間で位置ずれした際において、シューの慣性力による斜板への衝撃を従来のものよりも小さくすることができるとともに、シューの平坦面(第2部材の平坦面)が斜板と片当たりすることを抑制できるので、従来と比較して斜板の表面の摩耗を低減させることができる。
以下、図示実施例について本発明を説明すると、図1は斜板式コンプレッサ内の要部を示したものである。この斜板式コンプレッサは、図示しないハウジング内に回転自在に軸支された回転軸1と、この回転軸1に取り付けられた斜板2と、上記ハウジングのシリンダに摺動自在に嵌合された複数のピストン3と、各ピストン3の凹部である切欠き部3Aと斜板2との間に配置された複数のシュー4とを備えている。
斜板2は円板状に形成されており、この斜板2における両方の端面は、シュー4と摺動する平坦な摺動面2A、2Aとなっている。一方、シュー4は全体として概略半球状になっており、上記斜板2の摺動面2Aと摺動する平坦面4Aと、ピストン3側の凹部である切欠き部3Aと摺動する半球面4Bとを備えている。
本実施例においては、各ピストン3の一端に形成された円弧状の切欠き部3A内に2個1組のシュー4を摺動自在に保持してあり、その状態の切欠き部3Aを上記斜板2の外周部を包み込むように配置すると同時に、各組のシュー4の平坦面4Aを斜板2の各摺動面2Aに当接させている。
また、上記図3に示した従来と同様に、シュー4の平坦面4Aと斜板2の摺動面2Aとの間には部分的に僅かな間隙5が存在するとともに、シュー4の半球面4Bと凹部である切欠き部3Aとの間にも部分的に僅かな間隙5が生じている。
上記回転軸2が回転されると斜板2が回転して、該斜板2の各摺動面2Aと各組のシュー4の平坦面4Aとが摺動し、それに伴って各組のシュー4を介して各ピストン3が図示しないシリンダ内を軸方向に進退動されるようになっている。
回転軸1に取り付けられている斜板2は、図示しない傾斜角度調整手段によって回転軸1に対する傾斜角度を調整できるようになっている。この傾斜角度調整手段によって斜板2の傾斜角度を変更することにより、上記ピストン3のストロークを変更できるようになっている。このような構成の斜板式コンプレッサは、従来一般に可変容量式斜板式コンプレッサと称されており、その具体的な構成は上記特許文献2他によって公知である。
しかして、図2に拡大断面図として示すように、本実施例のシュー4は、偏平な半球状をした第1部材11と概略円板状の第2部材12とからなり、それらを相互に分離・揺動可能に組み付けることで、シュー4は全体として概略半球状となっている。端的に言えば、本実施例のシュー4は、従来公知の半球状シューを軸方向において二分割し、それらを重合させて相互に分離可能かつ揺動可能に組み付けたものである。
第1部材11は偏平な半球状に形成されており、その下面となる平坦な端面の中央部に、上記半球状の係合凹部11Aが形成されている。係合凹部11Aの隣接外方側となる下面は環状平坦面11Bとなっており、後述する第2部材12の環状平坦面12Bと相互に対向するようになっている。さらに、第1部材11の上面となる半球面が上記ピストン3の切欠き部3Aと摺動する半球面4Bとなっている。
一方、第2部材12の上面の中央部には、半球状に盛り上がった係合凸部12Aが形成されている。この係合凸部12Aは、上記第1部材11の係合凹部11Aに揺動可能に係合されるようになっている。第2部材12の上面における上記係合凸部12Aを除いた領域は環状平坦面12Bとなっている。第2部材12における下面となる平坦な端面が上記斜板2と摺動する平坦面4Aとなっている。この平坦面4Aは、その外周縁に対して中央部側が例えば0〜5μm程度僅かに盛り上がった中高形状となっている。そして、この第2部材12の中心部には、軸方向の貫通孔12Cが形成されている。
この図2に示すように、第1部材11の係合凹部11Aと第2部材12の係合凸部12Aを相互に係合させて組み付けることで、概略半球状のシュー1が形成される。本実施例においては、係合凹部11Aおよび係合凸部12Aは、同一半径Rであって、かつ斜板2の厚さ方向の中心部に中心がある仮想の球によって規定されている。つまり、この仮想の球の中心Cから半径Rで規定される球面によって上記係合凹部11Aと係合凸部11Bが規定されている。
そして、図2に示すように両部材11,12を組み付けた際には、対向する環状平坦面11B、12Bの間に間隙ができるようになっており、その間隙分だけ、両部材11,12は係合凹部11Aと係合凸部12Aを揺動中心として相互に揺動できるようになっている。これらの係合凸部12Aと係合凹部11Aとの係合部分、つまり両部材の摺動部分に対しては貫通孔12Cを介して潤滑油を供給できるようになっている。
そして、図2のように組み付けた状態のシュー4が図1に示すように上記ピストン3の切欠き部3Aと斜板2との間に配置されるようになっている。それにより、各シュー4の半球面4Bは切欠き部3Aと摺動するとともに、平坦面4Aは斜板2の摺動面2Aと摺動するようになっている。
このように、本実施例のシュー4は第1部材11と第2部材12とからなり、それらは相互に分離・揺動可能となっている。そして、このシュー4が斜板式コンプレッサにおけるピストン3の切欠き部3Aと斜板2との間に配置されると、前述したようにシュー4(第1部材11)の半球面4Bとピストン3の切欠き部3Aとの間およびシュー4(第2部材12)の平坦面4Aと斜板2との間に僅かに間隙5が生じている。
そして、斜板2が回転されると、該斜板2およびピストン3とシュー4が摺動するとともに、上記間隙5の分だけシュー4は斜板2の摺動面2Aとピストン3の切欠き部3Aとの間で位置ずれし、その際にシュー4の第1部材11と第2部材12とが相対的に分離かつ揺動する。より詳細には、図3(a)〜図3(c)に示すように、先ず、第2部材12が第1部材11及び斜板2に対して揺動するとともに係合凸部12Aが係合凹部11Aから分離して、第2部材12の平坦面4Aの全域が斜板2の摺動面2Aと平行になってそこと接触する(図3(a)、図3(b)参照)。
引き続いて、分離していた第1部材11が第2部材12に接近するように移動されて、該第1部材11の係合凹部11Aが第2部材12の係合凸部12Aに重合して係合した後に第1部材11が第2部材12に対して揺動する(図3(b)、図3(c)参照)。
このようにして、シュー4の第1部材11および第2部材12は、相互に揺動されてから分離することでシュー4の平坦面4Aが斜板2の摺動面2Aに満遍なく接触し、その後に分離されていた両部材11,12が係合する。そのため、シュー4が斜板2とピストン3の切欠き部3Aとの間で繰り返し位置ずれした際において、シュー4の慣性力による斜板2への衝撃を従来のものよりも小さくすることができるとともに、シュー4の平坦面4Aが斜板2の摺動面2Aと片当たりすることを抑制することができ、従来と比較して斜板2の摺動面2Aの摩耗を低減させることができる。
したがって、一体物で構成されていた従来の半球状シューと比較すると、本実施例のシュー4によれば斜板2の表面である樹脂層の摩耗を抑制することができる。それにより、斜板2の寿命を長くして、ひいては斜板式コンプレッサの寿命を従来のものよりも長くすることが可能となる。そしてさらに、斜板2としては、樹脂層の下層側の中間層を省略した構成を採用できるので、斜板2の製造コストを下げることが可能となる。
なお、上記第1実施例においては、第2部材12に貫通孔12Cを設けているが、この貫通孔12Cは設けなくても良い。
また、本実施例においては、第1部材11と第2部材12とが別体となっているので、それらを異なる材質によって製造することができる。例えば、第1部材11或いは第2部材12の材料としては、SUJ2、SK5、高張力鋼、アルミニウム、チタン、セラミック、および合成樹脂のいずれかを用いることができる。そしてさらに、そのような材料を採用した上で、第2部材12における下面(シュー4の平坦面4A)には、焼結材や溶射によって被膜層を形成しても良いし、さらに、例えば、めっき、DLC、WCC、リン酸Mn、リン酸Zn等の所要の表面処理を第2部材12の平坦面(シュー4の平坦面)に施しても良い。
このように、本実施例のシュー4は第1部材11および第2部材12として異なる材料を選択できるので、SUJ2だけで製造されていた従来の半球状シューと比較して、シュー4の重量を軽量化することができる。このようにシュー4を軽量化することによって、さらに斜板2の摩耗を抑制することが可能となる。
つぎに、図5は本発明の第2実施例としてのシュー4を示したものである。この第2実施例においては、第1部材11の係合凹部11Aを円錐面からなる凹部とするとともに、その係合凹部11Aから連通する貫通孔11Cを第1部材11に設けたものである。また、それに関連して、第2部材12には上記第1実施例で示した貫通孔12Cは省略している。その他の構成は、上記図2に示した第1実施例と同じであり、第1実施例と対応する部分には同じ部材番号を付している。
この第2実施例のシュー4においては、円錐面からなる係合凹部11Aと半球面からなる係合凸部12Aが摺動することになり、それらの摺動部分に対して貫通孔11Cを介して潤滑油が供給されるようになっている。
このような第2実施例であっても、上述した第1実施例と同様の作用・効果を得ることができる。
つぎに、図6は本発明の第3実施例としてのシュー4を示したものである。この第3実施例は、上記第1実施例における第2部材12の外径を第1部材11の下面の外径よりも大きく設定して、第2部材12の環状平坦面12Bを第1部材11の環状平坦面11Bよりも半径方向外方側まで張り出させたものである。その他の構成は、図2に示した第1実施例と同じであり、第1実施例と対応する部分には同じ部材番号を付している。
このような第3実施例であっても、上述した第1実施例と同様の作用・効果を得ることができる。また、この第3実施例においては、上記2つの実施例の場合と比較して第2部材12の外径が大きくなっているので、シュー4の平坦面4Aの面積が上記2つの実施例のものよりも大きくなっている。そのため、この第3実施例のシュー4においては、上記2つの実施例と比較して、斜板2と摺動する際の平坦面4Aの面圧を低下させることができ、その分だけ斜板2の摩耗を抑制することが可能である。
つぎに、図7は本発明の第4実施例としてのシュー4を示したものである。この第4実施例は、第1部材11の係合凹部11Aを円錐面の凹部としたものである。その他の部分は第1実施例と同じであり、第1実施例と対応する部分には同じ部材番号を付している。
この第4実施例のシュー4においては、円錐面からなる係合凹部11Aと半球面からなる係合凸部12Aが摺動するようになっている。このような第4実施例であっても、上述した第1実施例と同様の作用・効果を得ることができる。
さらに、図8は本発明の第5実施例としてのシュー4を示したものである。この第5実施例は、上記第1実施例における係合凸部12Aおよび係合凹部11Aの最大外径を、上記第1実施例のものに対して1.5倍程度大きくしたものである。また、それに伴って、係合凸部12Aの高さおよび係合凹部11Aの深さも、第1実施例のものと1.5倍程度大きくなっている。その他の部分は第1実施例と同じであり、上記第1実施例と対応する部分には同じ部材番号を付している。
この第5実施例であっても、上述した第1実施例と同様の作用・効果を得ることができる。
なお、上記各実施例における係合凸部12Aと係合凹部11Aの寸法は適宜設定することができ、係合凸部12Aと係合凹部11Aの寸法と形状は、第1部材11と第2部材12とを組み付けた際に両者がはずれない形状と寸法であればよい。
本発明の一実施例を示す断面図。 図1に示したシュー4の拡大断面図。 図2に示したシュー4の揺動過程を示す断面図。 従来技術を示す断面図。 本発明の第2実施例を示す断面図。 本発明の第3実施例を示す断面図。 本発明の第4実施例を示す断面図。 本発明の第5実施例を示す断面図。
符号の説明
2‥斜板 3‥ピストン
4‥シュー 4A‥平坦面
4B‥半球面 11‥第1部材
11A‥係合凹部 12‥第2部材
12A‥係合凸部

Claims (5)

  1. ピストンの凹部と摺動する半球面を有する第1部材と、斜板と摺動する平坦面を有する第2部材と、上記第1部材における第2部材との対向面に形成された係合凹部と、上記第2部材における上記第1部材との対向面に形成されるとともに上記係合凹部と揺動可能に係合する係合凸部とを備え、上記係合凸部と係合凹部とを介して上記第1部材と第2部材とが相互に分離・揺動可能に組み付けられていることを特徴とするシュー。
  2. 上記係合凹部は半球状凹部からなり、上記係合凸部は中心が上記斜板内に位置する半球面からなり、さらに、上記第1部材の軸部または第2部材の軸部には、上記係合凹部と係合凸部との係合部分に連通する貫通孔が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のシュー。
  3. 上記係合凹部は円錐面からなり、上記係合凸部は中心が上記斜板内に位置する半球面からなり、さらに、上記第1部材の軸部または第2部材の軸部には、上記係合凹部と係合凸部との係合部分に連通する貫通孔が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のシュー。
  4. 上記第2部材の外径は上記第1部材の外径よりも大きく設定されており、第2部材の外周部分は第1部材よりも半径方向外方に張り出していることを特徴とする請求項2または請求項3に記載のシュー。
  5. 上記第1部材および第2部材には、上記係合凹部と係合凸部の隣接外方位置に相互に対向する環状平坦面がそれぞれ形成されており、それらが隔てた距離だけ上記第1部材と第2部材とが揺動可能となっていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1つに記載のシュー。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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