JP2010070708A - エポキシ樹脂用反応性希釈剤および熱硬化性エポキシ樹脂組成物 - Google Patents

エポキシ樹脂用反応性希釈剤および熱硬化性エポキシ樹脂組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】 希釈性能に優れ、かつ可撓性、耐熱性の両立した熱硬化性エポキシ樹脂硬化物を得ることができるエポキシ樹脂用反応性希釈剤を提供する。
【解決手段】 下記一般式(1)で表されるエポキシ化合物(A)を必須成分とすることを特徴とするエポキシ樹脂用反応性希釈剤(B)。
【化1】
Figure 2010070708

〔式(1)中、R、Rはそれぞれ独立に水素原子またはメチル基;Rは水素原子、炭素数1〜16のアルキル基、フェニル基または炭素数7〜12のフェニルアルキル基;ROは炭素数2〜4のオキシアルキレン基を表す。mは0〜3、nは1〜50の数である。〕
【選択図】 なし

Description

本発明は、エポキシ樹脂用の反応性希釈剤とそれを含有する熱硬化性エポキシ樹脂組成物に関するものである。さらに詳しくは反応性、希釈性、相溶性および硬化物の機械的特性、特に耐熱性、可撓性などが優れた反応性希釈剤に関するものである。
従来から、エポキシ樹脂はその優れた特性により、塗料、接着剤、シーラント、注型剤、積層板、封止剤など土木・建築用、電気・電子部品用、輸送機用の材料として各種の分野で広く用いられている。その内でも液状のビスフェノールA型エポキシ樹脂が物性的にも、経済的にも優れ、最も多く使用されている。しかしながら、このタイプの樹脂は粘度が高く、このままでは高粘度で作業性に問題がある。そこで各種の希釈剤が用いられ、作業に適した粘度に調整されるのが一般的である。
希釈剤は非反応性のものと反応性のものとに分けることができる。
非反応性の希釈剤としては有機溶剤や可塑剤などが一般的に用いられているが、有機溶剤は一般に揮発性を利用する塗料などの分野に限定され、毒性や大気汚染の問題がある。また、可塑剤はエポキシ樹脂の骨格と結合することができず、そのままの形で硬化物中に残るため、エポキシ樹脂本来の性能が発揮できず、物性低下が著しいという問題がある。
一方、反応性の希釈剤は分子内にエポキシ基を持つことにより、硬化剤と反応して硬化物の一部となるため、このような問題はおこらず、物性低下は比較的少ないものが多い。その中で高級アルコールのグリシジルエーテルが、有用な反応性希釈剤として提案されている(例えば特許文献1)。
しかしながら、この技術は、希釈性能に優れており、可撓性付与に効果があるが、それに反して耐熱性が不足するという問題点を有する。また、一般的には、可撓性と耐熱性は相反することが知られている。そこで、反応性希釈剤としては、希釈性能を保持した上で、可撓性と耐熱性の両方を満足するものが望まれていた。
特開平6−172336号公報
そこで、希釈性能に優れ、かつ可撓性、耐熱性の両立した熱硬化性エポキシ樹脂硬化物を得ることができるエポキシ樹脂用反応性希釈剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の目的を達成するべく検討を行った結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、下記一般式(1)で表されるエポキシ化合物(A)を必須成分とすることを特徴とするエポキシ樹脂用反応性希釈剤(B);このエポキシ樹脂用反応性希釈剤(B)、エポキシ樹脂および硬化剤からなることを特徴とする熱硬化性エポキシ樹脂組成物である。
Figure 2010070708
〔式(1)中、R、Rはそれぞれ独立に水素原子またはメチル基;Rは水素原子、炭素数1〜16のアルキル基、フェニル基または炭素数7〜12のフェニルアルキル基;ROは炭素数2〜4のオキシアルキレン基を表す。mは0〜3、nは1〜50の数である。〕
本発明のエポキシ樹脂用反応性希釈剤を用いることにより、エポキシ樹脂を作業に適した粘度に調整することができ、かつ可撓性、耐熱性の両方共に優れたエポキシ樹脂硬化物を得ることができる。
本発明は、上記一般式(1)で表されるエポキシ化合物(A)を必須成分とすることを特徴とするエポキシ樹脂用反応性希釈剤(B);およびエポキシ樹脂用反応性希釈剤(B)、エポキシ樹脂(C)および硬化剤(D)からなることを特徴とする熱硬化性エポキシ樹脂組成物である。
上記一般式(1)で表されるエポキシ化合物(A)は、フェノール類にスチレン類を反応させて得られたスチレン化フェノール類(a)に、アルキレンオキサイドを付加してスチレン化フェノール類アルキレンオキサイド付加物(b)を得た後、さらにこれをグリシジルエーテル化することにより得られる。
スチレン類に関して、一般式(1)中のR、Rはそれぞれ独立に水素原子またはメチル基を表す。
具体的には、スチレン、α−メチルスチレン等が挙げられる。
フェノール類に関して、一般式(1)中のRは水素原子、炭素数1〜16のアルキル基、フェニル基または炭素数7〜12のフェニルアルキル基を表す。
具体的には、石炭酸、クレゾール、キシレノール、エチルフェノール、プロピルフェノール、ブチルフェノール、ヘキシルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、等のアルキルフェノール類、フェニルフェノール、クミルフェノール等の芳香族置換基を有するフェノール類等が挙げられる。
スチレン化フェノール類(a)は、フェノール類とスチレン類とを、硫酸、燐酸、塩酸等の無機酸、しゅう酸、トルエンスルホン酸等の有機酸、シリカ−アルミナ、ゼオライト、イオン交換樹脂、酸性白土等の固体酸、三フッ化ホウ素などの酸触媒の存在下に反応させて得ることができる。
このうちスチレン化フェノール類(a)として好ましいものは、石炭酸、オクチルフェノール、ノニルフェノール、クミルフェノールとスチレンの反応によって得られるものである。
一般式(1)中のスチレン類の付加モル数mは、フェノール類に対して通常1〜3である。mが1未満の場合は、耐熱性を満足することができず、mが3を超えると、粘度が高くなり充分な希釈性能が発揮されない。
スチレン化フェノール類アルキレンオキサイド付加物(b)は、スチレン化フェノール類(a)にアルキレンオキサイドを付加させることにより得られる。
一般式(1)中のROは炭素数2〜4のオキシアルキレン基を表し、nはアルキレンオキサイドの付加モル数である。
炭素数2〜4のアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等があげられる。
このうち好ましくは、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、これらの併用である。
付加形式は、単独重合、2種類以上のランダム共重合又はブロック共重合のいずれでもよい。
付加モル数n は通常1〜50であり、好ましくは1〜20、さらに好ましくは1〜10がよい。nが1未満の場合は、可撓性が付与できず、nが50を超える場合は、可撓性は付与できるものの耐熱性が満足できない。
本発明の必須成分であるエポキシ化合物(A)は、上記のスチレン化フェノール類アルキレンオキサイド付加物(b)のグリシジルエーテル化によって得られ、固形アルカリ金属水酸化物の存在下、(b)にエピクロルヒドリンを反応させることによってグリシジル基を導入することが出来る。
エピクロルヒドリンの量はアルコールの水酸基1当量に対して好ましくは1.2〜2.5当量であり、より好ましくは1.5〜2.0当量である。1.2当量以上であると反応時間が長くならず、生成したグリシジルエーテルとエピクロルヒドリンとの副反応が起こりにくい。2.5当量以下であると反応バッチ当たりの収率が低下せず、生産効率が良好である。
反応には炭化水素系溶剤を加えて行っても良い。炭化水素系溶剤としては沸点60℃以上のものが挙げられ、具体的にはn−ヘキサン(沸点:約69℃)、シクロヘキサン(沸点:約81℃)、n−ヘプタン(沸点:約98℃)、n−オクタン(沸点126℃)等の脂肪族若しくは脂環式炭化水素、トルエン(沸点111℃)、キシレン(沸点約140℃)等の芳香族炭化水素が挙げられ、好ましくはn−ヘキサンであり、より好ましくはシクロヘキサンである。炭化水素系溶剤の量は通常エピクロルヒドリンに対して3重量%以上である。炭化水素系溶剤の量がエピクロルヒドリンに対して3重量%未満であるとエピクロルヒドリンの自己縮合物が多く生成する。
使用される該固形アルカリ金属水酸化物としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムの固形物が挙げられ、好ましくは水酸化カリウムであり、より好ましくは水酸化ナトリウムである。
これらの固形アルカリ金属水酸化物は単独でも、2種類以上の混合物であっても良い。これらの固形アルカリ金属水酸化物の形状は、粒状、フレーク状、粉状の何れでも良い。大きさは、粒状物は好ましくは直径1〜5mm、フレーク状物は好ましくは0.5〜3cm角、粉状物は好ましくは30〜100μmであるが、本発明はこれに限定されない。作業従事者の取り扱い上、粒状が好ましい。
使用される固形アルカリ金属水酸化物の量は、アルコールの水酸基1当量に対して好ましくは1.1〜2.5当量であり、より好ましくは1.3〜1.9当量である。1.1当量以上であると固形アルカリ表面に生成塩が付着せず、アルカリ表面の活性が低下しないため反応が効率的に進行する。2.5当量以下であると生成物への着色がない。
反応温度は通常40℃以下であり、好ましくは10〜40℃であり、より好ましくは20〜30℃である。40℃を超えると生成したグリシジルエーテルとエピクロルヒドリンとの副反応が起こりやすい。
反応時間は好ましくは10〜30時間で、より好ましくは12〜20時間である。反応時間が10時間以上であると反応率が低くならず、30時間以下であると生成したグリシジルエーテルとエピクロルヒドリンとの副反応が起こりにくい。
反応は、好ましくは窒素等の不活性ガス雰囲気下(酸素濃度:好ましくは1,000ppm以下)で行われ、固形アルカリ金属水酸化物を投入する際には、反応容器に直結した密閉容器中に固形アルカリ水酸化物を入れ、不活性ガス雰囲気下にしてから反応容器に徐々に投入していくのが好ましい。
アルコール類、エピクロルヒドリン、固形アルカリ金属水酸化物、炭化水素系溶剤の混合投入の順序は、アルコール類、炭化水素系溶剤を混合し、固形アルカリ金属水酸化物とエピクロルヒドリンを同時に混合投入しても良く、アルコール類に炭化水素系溶剤とエピクロの混合物と固形アルカリ金属水酸化物を同時に混合投入してもよい。好ましくはアルコール類、エピクロルヒドリン、炭化水素系溶剤を混合し、最後に固形アルカリ金属水酸化物を混合投入する方法である。最後に固形アルカリ金属水酸化物を混合投入すると着色が起りにくく好ましい。
反応は固形アルカリ金属水酸化物の存在下で行うが、その固形物は新鮮な粉砕物を使用するのが好ましい。
固形アルカリ金属水酸化物を粉砕する粉砕機器としては、粉砕機、混合機及びホモジナイザー等の装置を使用することが出来る。粉砕機、混合機の例としては、コーンミル、ロールクラッシャー、スクリュー中砕機、エッジランナー、リングロールミル、ロッドミル、ボールミル、衝撃微粉砕機、ジェット粉砕機、塔式摩砕機、コロイドミル、スクリュー混合機等が挙げられる。ホモジナイザーの例としては、ポッターエルビイエムホモジナイザー、アッターワークマンホモジナイザー、ワーリングブレンダー等が挙げられる。
この際の粉砕方法としては反応容器の外に粉砕機器を設置し、反応容器から反応混合物を粉砕機器を通して循環する方法;反応容器中に粉砕機器を設置し、反応混合物を粉砕する方法;複数の粉砕機器を設置し、反応混合物を連続に粉砕する方法等が挙げられるが、好ましくは複数の粉砕機器を設置し、反応混合物を連続に粉砕する方法である。湿式粉砕機の例としては、例えば市販の小松デイスインテグレーター(小松ゼノア社製)が使用できる。
粉砕機器により粉砕された粉砕物の形状は粉状であり、大きさは好ましくは数μm〜20μmである。
反応後の反応混合物に通常40℃以下の水、好ましくは10〜40℃の水を投入し、過剰のアルカリ金属水酸化物と生成塩を溶解させ分液する。分液後、有機層にアルカリ吸着剤を投入し、好ましくは70〜120℃、減圧下(好ましくは−85KPaG以下)でエピクロルヒドリン、炭化水素系溶剤、水及びアルコール類を共に留去した後、ろ過することにより、高純度脂肪族グリシジルエーテルを得ることができる。
反応混合物に水を投入して過剰のアルカリ金属水酸化物と生成塩を溶解させる際、水の温度が40℃以下であるとグリシジルエーテルの自己縮合物が生成しにくくなる。
分液後の有機層に投入する該アルカリ吸着剤は、例えば合成珪酸マグネシウム(例えば、「キョーワード600」:協和化学工業社製)、合成珪酸アルミニウム(例えば、「キョーワード700」:同上)、ハイドロタルサイト類(例えば、「キョーワード2000」:同上)、活性白土(例えば、「ガレオンアース」:同上))等が挙げられ、好ましくは合成珪酸マグネシウムである。これらの吸着剤と共に、ケイソウ土ろ過助剤(例えば、「ラヂオライト」:同上)を使用しても良い。アルカリ吸着剤の添加量は、分液後の有機層に対して好ましくは0.1〜2.0重量%である。
エピクロルヒドリン、炭化水素系溶剤、水及びアルコール類を留出する温度は好ましくは70〜120℃であり、より好ましくは90〜115℃である。留出温度が70℃以上であると実用的な留出速度が得られ、120℃以下であると反応系中に生成したエピクロの自己縮合物の留出を抑制できるためリサイクル使用が可能となる。圧力は好ましくは−85KPaG以下であり、より好ましくは−95KPaG以下である。−85KPaG以下であると実用的な留出速度が得られる。
エピクロルヒドリンとの反応には必要により公知の相間移動触媒を使用してもよい。
相間移動触媒としては好ましくは第4級アンモニウム塩、第4級ホスホニウム塩、第4級アルソニウム塩等が挙げられ、より好ましくは第4級アンモニウム塩である。第4級アンモニウム塩には、例えばテトラメチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリブチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムハイドロサルフェート、トリオクチルアンモニウムクロライド、n−ラウリルピリジニウムクロライド等が含まれる。第4級ホスホニウム塩には、例えばテトラエチルホスホニウムクロライド、ジメチルジシクロヘキシルホスホニウムブロマイド、トリフェニルメチルホスホニウムヨーダイドが含まれる。第4級アルソニウム塩には、例えばテトラメチルアルソニウムクロライド、テトラエチルアルソニウムブロマイド、テトラエチルアルソニウムヒドロオキサイドが含まれる。
これら相間移動触媒を本発明の反応系に添加する場合の添加量は、アルコールに対して、好ましくは0.5重量%以下であり、より好ましくは0.2重量%以下であり、特に好ましくは0.1重量%以下である。0.5重量%以下の使用すると、エピクロルヒドリンの自己縮合物を抑制し、かつ実用的な反応速度が得られる。
混合する方法、時期には特に限定はないが、反応前に添加を行うのが好ましい。
本発明の反応性希釈剤(B)は、上記のエポキシ化合物(A)を必須成分とする。
エポキシ化合物(A)のみを反応性希釈剤(B)として使用できるが、悪影響のない範囲で、必要により、有機溶媒などの他の成分を含有させてもよい。
もう1つの本発明である熱硬化性エポキシ樹脂組成物は、前述のエポキシ樹脂用反応性希釈剤(B)、エポキシ樹脂(C)、および硬化剤(D)からなることを特徴とする。
エポキシ樹脂(C)としては、例えば、グリシジルエーテル型エポキシド(C1)、グリシジルエステル型エポキシド(C2)、グリシジルアミン型エポキシド(C3)及び脂環式エポキシド(C4)等があげられる。
グリシジルエーテル型エポキシド(C1)としては、二価フェノールのグリシジルエーテル、多価フェノールのグリシジルエーテル、二価アルコールのグリシジルエーテル及び多価アルコールのグリシジルエーテル等が挙げられる。
二価フェノールのグリシジルエーテルとしては、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル及びビスフェノールSジグリシジルエーテル等が挙げられる。
多価フェノールのグリシジルエーテルとしては、ジヒドロキシナフチルクレゾールトリグリシジルエーテル、トリス(ヒドロキシフェニル)メタントリグリシジルエーテル及びジナフチルトリオールトリグリシジルエーテル、フェノールノボラックグリシジルエーテル、クレゾールノボラックグリシジルエーテル等が挙げられる。
二価アルコールのグリシジルエーテルとしては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、テトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコール[重量平均分子量(以下、Mw):150〜4,000]ジグリシジルエーテル及びポリプロピレングリコール(Mw:180〜5,000)ジグリシジルエーテル等が挙げられる。
多価アルコールのグリシジルエーテルとしては、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、ソルビトールヘキサグリシジルエーテル及びポリ(重合度2〜5)グリセリンポリグリシジルエーテル等が挙げられる。
グリシジルエステル型エポキシド(C2)としては、カルボン酸のグリシジルエステル及びグリシジルエステル型ポリエポキシド等が用いられる。
カルボン酸のグリシジルエステルとしては、グリシジルメタクリレート、フタル酸ジグリシジルエステル、イソフタル酸ジグリシジルエステル、テレフタル酸ジグリシジルエステル及びトリメリット酸トリグリシジルエステル等が挙げられる。
グリシジルアミン型エポキシド(C3)としては、グリシジル芳香族アミン、グリシジル脂環式アミン及びグリシジル複素環式アミン等が用いられる。
グリシジル芳香族アミンとしては、N,N−ジグリシジルアニリン、N,N−ジグリシジルトルイジン、N,N,N’,N’−テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、N,N,N’,N’−テトラグリシジルジアミノジフェニルスルホン及びN,N,N’,N’−テトラグリシジルジエチルジフェニルメタン等が挙げられる。
グリシジル脂環式アミンとしては、ビス(N,N−ジグリシジルアミノシクロヘキシル)メタン(N,N,N’,N’−テトラグリシジルジアミノジフェニルメタンの水添化合物)及びN,N,N’,N’−テトラグリシジル ジメチルシクロヘキシレンジアミン(N,N,N’,N’−テトラグリシジルキシリレンジアミンの水添化合物)等が挙げられる。
グリシジル複素環式アミンとしては、トリスグリシジルメラミン及びN−グリシジル−4−グリシジルオキシピロリドン等が挙げられる。
脂環式エポキシド(C4)としては、ビニルシクロヘキセンジオキシド、リモネンジオキシド、ジシクロペンタジエンジオキシド、ビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル、エチレングリコールビスエポキシジシクロペンチルエーテル及び3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−3’、4’−エポキシ−6’−メチルシクロヘキサンカルボキシレート等が挙げられる。
これらのエポキシ樹脂のうち、価格及び耐熱性等の観点からグリシジルエーテル型エポキシド、グリシジルエステル型エポキシド及びグリシジルアミン型エポキシドが好ましく、より好ましくはグリシジルエーテル型エポキシド及びグリシジルエステル型エポキシドである。これらのエポキシ樹脂としては、これらを単独で使用してもよいし、これらから選ばれる二種以上を混合して使用してもよい。
本発明において使用する硬化剤(D)は、エポキシ樹脂を硬化させることが可能なものであれば、特に限定することなく使用可能である。
このような硬化剤としては、例えば、多官能フェノール類、アミン類、イミダゾール化合物、酸無水物、有機リン化合物およびこれらのハロゲン化物、ポリアミド、ポリスルフィド、三フッ化ホウ素などが挙げられる。
多官能フェノール類の例としては、単環二官能フェノールであるヒドロキノン、レゾルシノール、カテコール,多環二官能フェノールであるビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ナフタレンジオール類、ビフェノール類、及びこれらのハロゲン化物、アルキル基置換体などが挙げられる。また、これらのフェノール類とアルデヒド類との重縮合物であるフェノールノボラック樹脂、レゾール樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂及びクレゾールノボラック樹脂等のフェノール樹脂などが挙げられる。
アミン類の例としては、脂肪族あるいは芳香族の第一級アミン、第二級アミン、第三級アミン、第四級アンモニウム塩及び脂肪族環状アミン類、グアニジン類、尿素誘導体等が挙げられる。
イミダゾール化合物の例としては、イミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、4,5−ジフェニルイミダゾール、2−メチルイミダゾリン、2−フェニルイミダゾリン、2−ウンデシルイミダゾリン、2−ヘプタデシルイミダゾリン、2−イソプロピルイミダゾール、2,4−ジメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾリン、2−フェニル−4−メチルイミダゾリン、ベンズイミダゾール、1−シアノエチルイミダゾールなどが挙げられる。
酸無水物の例としては、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、ピロメリット酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物等がある。
有機リン化合物としては、有機基を有するリン化合物であれば特に限定せれずに使用でき、例えば、ヘキサメチルリン酸トリアミド、リン酸トリ(ジクロロプロピル)、リン酸トリ(クロロプロピル)、亜リン酸トリフェニル、リン酸トリメチル、フェニルフォスフォン酸、トリフェニルフォスフィン、トリ−n−ブチルフォスフィン、ジフェニルフォスフィンなどが挙げられる。
これらの硬化剤は、単独、または組み合わせて用いることもできる。
また、本発明の熱硬化性エポキシ樹脂組成物には、その特性を損なわない範囲で、本発明の反応性希釈剤(B)、エポキシ樹脂(C)、および硬化剤(D)以外に必要に応じて、充填剤、離型剤、表面処理剤、難燃剤、粘度調整剤、可塑剤、防黴剤、レベリング剤、消泡剤、着色剤、着色防止剤、酸化防止剤、安定剤、カップリング剤等を配合してもよい。
本発明の熱硬化性エポキシ樹脂組成物を製造する方法としては、用いられる材料を混合、分散できる方法であれば特に限定されず、例えば、以下の方法等が例示される。
(i)ガラスビーカー、缶、プラスチックカップ等の適当な容器中にて、攪拌棒、へら等により手で混練する。
(ii)ダブルヘリカルリボン翼、ゲート翼等により混練する。
(iii)プラネタリーミキサーにより混練する。
(iv)ビーズミルにより混練する。
(v)3本ロールにより混練する。
(vi)エクストルーダー型混練押し出し機により混練する。
本発明の熱硬化性エポキシ樹脂組成物は、塗料(重防食塗料、防食コーティング剤、塗り床用コーティング剤、外装用塗料、自動車用(電着)塗料、粉体塗料、プライマー等)、接着剤(構造用接着剤、弾性接着剤、溶剤型反応性接着剤、粘接着剤、感圧接着剤等)、シーラント(建築用シーラント、自動車用シーラント等)、注型剤(コンクリート用補修注入剤、注型絶縁材等)、封止剤(半導体用封止剤、補修用パテ等)、注型・成型材(繊維強化積層物等の積層物用マトリクス樹脂、層間絶縁材、エッチングレジスト材、メッキレジスト、ソルダーレジスト等)、その他含浸、注型、成型に使用される樹脂等として用いることができる。
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下、特に定めない限り、%は重量%、部は重量部を示す。
製造例1
フェノールを66部、トルエン150部をフラスコに仕込み、これを80℃に保ち、三フッ化ホウ素を3部添加した。次いで、撹拌しつつ80℃でスチレン200部を滴下し2時間反応させた。反応終了後、水を加えて触媒をクエンチした。その後、フラスコにコンデンサーを取付け、常圧で蒸留を開始した。トルエンの留出後、未反応のフェノールを回収し、フラスコに残ったスチレン化フェノール(a−1)263部を得た。この(a−1)の分子量は、水酸基価換算で380であった。
事前に150℃恒温槽で8時間乾燥した撹拌及び温度調節機能の付いた2リットルのステンレス製オートクレーブに、前記のスチレン化フェノール(a−1)609部、45%水酸化カリウム水溶液2.0部を投入し、混合系内を窒素で置換した。このときの酸素濃度は50ppmであった。その後、減圧下(1〜5mmHg)、100℃にて2時間脱水を行った。このときの水分は200ppmであった。次いで、プロピレンオキシド(以下POと省略)391部をゲージ圧が1〜3kgf/cm2となるように導入し、スチレン化フェノール類アルキレンオキサイド付加物(b−1)を得た。(b−1)の分子量は、水酸基価換算で632であった。
撹拌装置、温度制御措置、湿式粉砕機(反応槽の外側に付属)を設置した反応槽に、前記のスチレン化フェノールPO付加物(b−1)917部、エピクロルヒドリン269部、トルエン250部を仕込み、反応槽内を窒素雰囲気下(酸素濃度:730ppm)とし、19℃の窒素雰囲気下にある粒状水酸化ナトリウム116部を19〜29℃で9.5時間かけて断続滴下し、この間反応槽内の水酸化ナトリウムは湿式粉砕機を使用して粉砕させる。その後25〜29℃で5時間反応熟成し、(b−1)をグリシジルエーテル化した。なお、湿式粉砕機は水酸化ナトリウムの滴下開始から反応熟成終了まで連続運転した。
槽内を16℃に冷却後、23℃の水200部を20〜28℃の範囲で投入して0.5時間攪拌、17℃で0.5時間分液静置後下層(水層)を取り出し、残った上層(有機層)に「キョーワード600」(協和化学工業社製;アルカリ吸着剤)10部を投入し、減圧下昇温して120℃、−98.0KPaGまでエピクロルヒドリンとトルエン混合物の留出を行い、残存物を「ラヂオライト#700」(協和化学工業社製;ケイソウ土ろ過助剤)を用いて濾過循環を施し、グリシジルエーテル(A−1)を得た。エポキシ当量は765であった。
製造例2
事前に150℃恒温槽で8時間乾燥した撹拌及び温度調節機能の付いた2リットルのステンレス製オートクレーブに、スチレン化フェノール類(a−1)673部、45%水酸化カリウム水溶液2.0部を投入し、混合系内を窒素で置換した。このときの酸素濃度は50ppmであった。その後、減圧下(1〜5mmHg)、100℃にて2時間脱水を行った。このときの水分は200ppmであった。次いで、エチレンオキシド(以下EOと省略)327部をゲージ圧が1〜3kgf/cm2となるように導入し、スチレン化フェノール類アルキレンオキサイド付加物(b−2)を得た。(b−2)の分子量は、水酸基価換算で573であった。
次に、撹拌装置、温度制御措置、湿式粉砕機(反応槽の外側に付属)を設置した反応槽に、前記のスチレン化フェノールEO付加物(b−2)910部、エピクロルヒドリン294部、トルエン250部を仕込み、反応槽内を窒素雰囲気下(酸素濃度:730ppm)とし、19℃の窒素雰囲気下にある粒状水酸化ナトリウム127部を19〜29℃で9.5時間かけて断続滴下し、この間反応槽内の水酸化ナトリウムは湿式粉砕機を使用して粉砕させる。その後25〜29℃で5時間反応熟成し、(b−2)をグリシジルエーテル化した。なお、湿式粉砕機は水酸化ナトリウムの滴下開始から反応熟成終了まで連続運転した。槽内を16℃に冷却後、23℃の水200部を20〜28℃の範囲で投入して0.5時間攪拌、17℃で0.5時間分液静置後下層(水層)を取り出し、残った上層(有機層)に「キョーワード600」(協和化学工業社製;アルカリ吸着剤)10部を投入し、減圧下昇温して120℃、−98.0KPaGまでエピクロルヒドリンとトルエン混合物の留出を行い、残存物を「ラヂオライト#700」(協和化学工業社製;ケイソウ土ろ過助剤)を用いて濾過循環を施し、グリシジルエーテル(A−2)を得た。エポキシ当量は699であった。
製造例3
クミルフェノールを233部、トルエン150部をフラスコに仕込み、これを80℃に保ち、三フッ化ホウ素を3部添加した。次いで、撹拌しつつ80℃でスチレン200部を滴下し2時間反応させた。反応終了後、水を加えて触媒をクエンチした。その後、フラスコにコンデンサーを取付け、常圧で蒸留を開始した。トルエンの留出後、未反応のフェノールを回収し、フラスコに残ったスチレン化クミルフェノール(a−2)430部を得た。この(a−2)の分子量は、水酸基価換算で390であった。
事前に150℃恒温槽で8時間乾燥した撹拌及び温度調節機能の付いた2リットルのステンレス製オートクレーブに、前記のスチレン化クミルフェノール(a−2)615部、45%水酸化カリウム水溶液2.0部を投入し、混合系内を窒素で置換した。このときの酸素濃度は50ppmであった。その後、減圧下(1〜5mmHg)、100℃にて2時間脱水を行った。このときの水分は200ppmであった。次いで、プロピレンオキシド(以下POと省略)385部をゲージ圧が1〜3kgf/cm2となるように導入し、スチレン化クミルフェノールアルキレンオキサイド付加物(b−3)を得た。(b−3)の分子量は、水酸基価換算で634であった。
撹拌装置、温度制御措置、湿式粉砕機(反応槽の外側に付属)を設置した反応槽に、スチレン化クミルフェノールプロピレンオキサイド付加物(b−3)920部、エピクロルヒドリン269部、トルエン250部を仕込み、反応槽内を窒素雰囲気下(酸素濃度:730ppm)とし、19℃の窒素雰囲気下にある粒状水酸化ナトリウム116部を19〜29℃で9.5時間かけて断続滴下し、この間反応槽内の水酸化ナトリウムは湿式粉砕機を使用して粉砕させる。その後25〜29℃で5時間反応熟成し、(b−3)をグリシジルエーテル化した。なお、湿式粉砕機は水酸化ナトリウムの滴下開始から反応熟成終了まで連続運転した。槽内を16℃に冷却後、23℃の水200部を20〜28℃の範囲で投入して0.5時間攪拌、17℃で0.5時間分液静置後下層(水層)を取り出し、残った上層(有機層)に「キョーワード600」(協和化学工業社製;アルカリ吸着剤)10部を投入し、減圧下昇温して120℃、−98.0KPaGまでエピクロルヒドリンとトルエン混合物の留出を行い、残存物を「ラヂオライト#700」(協和化学工業社製;ケイソウ土ろ過助剤)を用いて濾過循環を施し、グリシジルエーテル(A−3)を得た。エポキシ当量は768であった。
製造例4
フェノールを103部、トルエン150部をフラスコに仕込み、これを80℃に保ち、三フッ化ホウ素を3部添加した。次いで、撹拌しつつ80℃でスチレン200部を滴下し2時間反応させた。反応終了後、水を加えて触媒をクエンチした。その後、フラスコにコンデンサーを取付け、常圧で蒸留を開始した。トルエンの留出後、未反応のフェノールを回収し、フラスコに残ったスチレン化フェノール(a−3)300部を得た。この(a−3)の分子量は、水酸基価換算で274であった。
事前に150℃恒温槽で8時間乾燥した撹拌及び温度調節機能の付いた2リットルのステンレス製オートクレーブに、スチレン化フェノール(a−3)529部、45%水酸化カリウム水溶液2.0部を投入し、混合系内を窒素で置換した。このときの酸素濃度は50ppmであった。その後、減圧下(1〜5mmHg)、100℃にて2時間脱水を行った。このときの水分は200ppmであった。次いで、プロピレンオキシド(以下POと省略)471部をゲージ圧が1〜3kgf/cm2となるように導入し、スチレン化フェノール類アルキレンオキサイド付加物(b−4)を得た。(b−4)の分子量は、水酸基価換算で510であった。
撹拌装置、温度制御措置、湿式粉砕機(反応槽の外側に付属)を設置した反応槽に、スチレン化フェノールプロピレンオキサイド付加物(b−4)900部、エピクロルヒドリン326部、トルエン250部を仕込み、反応槽内を窒素雰囲気下(酸素濃度:730ppm)とし、19℃の窒素雰囲気下にある粒状水酸化ナトリウム141部を19〜29℃で9.5時間かけて断続滴下し、この間反応槽内の水酸化ナトリウムは湿式粉砕機を使用して粉砕させる。その後25〜29℃で5時間反応熟成し、(b−4)をグリシジルエーテル化した。なお、湿式粉砕機は水酸化ナトリウムの滴下開始から反応熟成終了まで連続運転した。槽内を16℃に冷却後、23℃の水200部を20〜28℃の範囲で投入して0.5時間攪拌、17℃で0.5時間分液静置後下層(水層)を取り出し、残った上層(有機層)に「キョーワード600」(協和化学工業社製;アルカリ吸着剤)10部を投入し、減圧下昇温して120℃、−98.0KPaGまでエピクロルヒドリンとトルエン混合物の留出を行い、残存物を「ラヂオライト#700」(協和化学工業社製;ケイソウ土ろ過助剤)を用いて濾過循環を施し、グリシジルエーテル(A−4)を得た。エポキシ当量は630であった。
比較製造例1
撹拌装置、温度制御措置、湿式粉砕機(反応槽の外側に付属)を設置した反応槽に、高級アルコール(炭素数12/炭素数13=10/90モル%、側鎖率87%)777部、エピクロルヒドリン724部、トルエン500部を仕込み、反応槽内を窒素雰囲気下(酸素濃度:730ppm)とし、19℃の窒素雰囲気下にある粒状水酸化ナトリウム313部を19〜29℃で30時間かけて断続滴下し、この間反応槽内の水酸化ナトリウムは湿式粉砕機を使用して粉砕させる。その後25〜29℃で5時間反応熟成し、高級アルコールをグリシジルエーテル化した。なお、湿式粉砕機は水酸化ナトリウムの滴下開始から反応熟成終了まで連続運転した。槽内を16℃に冷却後、23℃の水200部を20〜28℃の範囲で投入して0.5時間攪拌、17℃で0.5時間分液静置後下層(水層)を取り出し、残った上層(有機層)に「キョーワード600」(協和化学工業社製;アルカリ吸着剤)10部を投入し、減圧下昇温して120℃、−98.0KPaGまでエピクロルヒドリンとトルエン混合物の留出を行い、残存物を「ラヂオライト#700」(協和化学工業社製;ケイソウ土ろ過助剤)を用いて濾過循環を施し、グリシジルエーテル(A’−1)を得た。エポキシ当量は284であった。
比較製造例2
撹拌装置、温度制御措置、湿式粉砕機(反応槽の外側に付属)を設置した反応槽に、前記のスチレン化フェノール(a−1)870部、エピクロルヒドリン423部、トルエン350部を仕込み、反応槽内を窒素雰囲気下(酸素濃度:730ppm)とし、19℃の窒素雰囲気下にある粒状水酸化ナトリウム183部を19〜29℃で15時間かけて断続滴下し、この間反応槽内の水酸化ナトリウムは湿式粉砕機を使用して粉砕させる。その後25〜29℃で5時間反応熟成し、スチレン化フェノール(a−1)をグリシジルエーテル化した。なお、湿式粉砕機は水酸化ナトリウムの滴下開始から反応熟成終了まで連続運転した。槽内を16℃に冷却後、23℃の水200部を20〜28℃の範囲で投入して0.5時間攪拌、17℃で0.5時間分液静置後下層(水層)を取り出し、残った上層(有機層)に「キョーワード600」(協和化学工業社製;アルカリ吸着剤)10部を投入し、減圧下昇温して120℃、−98.0KPaGまでエピクロルヒドリンとトルエン混合物の留出を行い、残存物を「ラヂオライト#700」(協和化学工業社製;ケイソウ土ろ過助剤)を用いて濾過循環を施し、グリシジルエーテル(A’−2)を得た。エポキシ当量は486であった。
比較製造例3
事前に150℃恒温槽で8時間乾燥した撹拌及び温度調節機能の付いた2リットルのステンレス製オートクレーブに、前記のスチレン化フェノール(a−1)100部、45%水酸化カリウム水溶液2.0部を投入し、混合系内を窒素で置換した。このときの酸素濃度は50ppmであった。その後、減圧下(1〜5mmHg)、100℃にて2時間脱水を行った。このときの水分は200ppmであった。次いで、プロピレンオキシド(以下POと省略)900部をゲージ圧が1〜3kgf/cm2となるように導入し、スチレン化フェノール類アルキレンオキサイド付加物(b−5)を得た。(b−5)の分子量は、水酸基価換算で3700であった。
撹拌装置、温度制御措置、湿式粉砕機(反応槽の外側に付属)を設置した反応槽に、(b−5)985部、エピクロルヒドリン50部、トルエン250部を仕込み、反応槽内を窒素雰囲気下(酸素濃度:730ppm)とし、19℃の窒素雰囲気下にある粒状水酸化ナトリウム22部を19〜29℃で4時間かけて断続滴下し、この間反応槽内の水酸化ナトリウムは湿式粉砕機を使用して粉砕させる。その後25〜29℃で5時間反応熟成し、(b−5)をグリシジルエーテル化した。なお、湿式粉砕機は水酸化ナトリウムの滴下開始から反応熟成終了まで連続運転した。槽内を16℃に冷却後、23℃の水200部を20〜28℃の範囲で投入して0.5時間攪拌、17℃で0.5時間分液静置後下層(水層)を取り出し、残った上層(有機層)に「キョーワード600」(協和化学工業社製;アルカリ吸着剤)10部を投入し、減圧下昇温して120℃、−98.0KPaGまでエピクロルヒドリンとトルエン混合物の留出を行い、残存物を「ラヂオライト#700」(協和化学工業社製;ケイソウ土ろ過助剤)を用いて濾過循環を施し、グリシジルエーテル(A’−3)を得た。エポキシ当量は4175であった。
実施例1〜4、比較例1〜3
上記製造例1〜4および比較製造例1〜3で得られたグリシジルエーテル(A−1)〜(A−4)および(A’−1)〜(A’−3)そのものを、それぞれ反応性希釈剤(B−1)〜(B−4)および(B’−1)〜(B’−3)として用いた場合の希釈性能を以下の方法で評価した。その結果を表1にまとめて示した。
<希釈性能の評価方法>
エピコート828(ジャパンエポキシレジン(株)製商品名、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量190)の25℃での希釈粘度を1000Pa・s{B形粘度計(No.3スピンドル、回転数60rpm)}にするために必要な添加部数にて評価した。
希釈性能(%)=(反応性希釈剤の部数)÷{(エピコート828の部数)+(反応性希釈剤の部数)}
なお、この際に用いたエピコート828自体の25℃での粘度は12,000mPa・sであった。粘度はJIS K 7117−1(1999)に準拠してB形粘度計(No.4スピンドル、回転数30rpm)にて測定した。
Figure 2010070708
さらに、実施例1〜4、比較例1〜3として、表1に記載した重量比で配合し、下記条件で硬化させて得られた硬化物の硬度(ショアD)、ガラス転移温度を測定し、可撓性と耐熱性を評価した。
エピコート828で希釈して粘度が1000mPa・sに調製した配合物に、硬化剤としてトリエチレンテトラミンを添加して充分混合し、室温で2日硬化させた後、100℃で2時間硬化させた。
その硬化物特性を硬度(ショアD)、ガラス転移温度で評価し、その結果を表1に示す。
<可撓性の評価方法>
ASTM D−2240に準じて硬度(ショアD)を測定し、可撓性を評価した。
<耐熱性の評価方法>
ガラス転移温度は、示差走査熱量計(SIIナノテクノロジー社製RDC−220)を用いて、30℃〜350℃温度範囲を昇温速度10℃/分にて、測定を行い、ガラス転移領域の中点をガラス転移温度(℃)を測定し、耐熱性を評価した。
硬度(ショアD)とガラス転移温度の測定結果から、実施例1〜4はいずれも可撓性と耐熱性の両立が図られている。
一方、比較例1と比較例3は可撓性が優れるものの耐熱性が不足し、比較例2は耐熱性が優れるものの可撓性が不足している。
本発明のエポキシ樹脂用反応性希釈剤は、希釈性能を保持した上で、可撓性と耐熱性の両方を満足するものであり、その優れた特性により、塗料、接着剤、シーラント、注型剤、積層板、封止剤など土木・建築用、電気・電子部品用、輸送機用の熱硬化性エポキシ樹脂としてとして有用である。

Claims (10)

  1. 下記一般式(1)で表されるエポキシ化合物(A)を必須成分とすることを特徴とするエポキシ樹脂用反応性希釈剤(B)。
    Figure 2010070708
    〔式(1)中、R、Rはそれぞれ独立に水素原子またはメチル基;Rは水素原子、炭素数1〜16のアルキル基、フェニル基または炭素数7〜12のフェニルアルキル基;ROは炭素数2〜4のオキシアルキレン基を表す。mは0〜3、nは1〜50の数である。〕
  2. 該エポキシ化合物(A)がスチレン化フェノールのアルキレンオキサイド付加物のグリシジルエーテルである請求項記載1のエポキシ樹脂用反応性希釈剤。
  3. 式(1)中のnが1〜20である請求項1または2記載のエポキシ樹脂用反応性希釈剤。
  4. 請求項1〜3いずれか記載のエポキシ樹脂用反応性希釈剤(B)、エポキシ樹脂(C)、および硬化剤(D)からなることを特徴とする熱硬化性エポキシ樹脂組成物。
  5. 請求項4に記載の熱硬化性エポキシ樹脂組成物からなる塗膜。
  6. 請求項4に記載の熱硬化性エポキシ樹脂組成物からなる接着剤。
  7. 請求項4に記載の熱硬化性エポキシ樹脂組成物からなるシーラント。
  8. 請求項4に記載の熱硬化性エポキシ樹脂組成物からなる注型剤。
  9. 請求項4に記載の熱硬化性エポキシ樹脂組成物からなる封止剤。
  10. 請求項4に記載の熱硬化性エポキシ樹脂組成物を硬化させてなる注型品または成型品。
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