JP2010070708A - エポキシ樹脂用反応性希釈剤および熱硬化性エポキシ樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
非反応性の希釈剤としては有機溶剤や可塑剤などが一般的に用いられているが、有機溶剤は一般に揮発性を利用する塗料などの分野に限定され、毒性や大気汚染の問題がある。また、可塑剤はエポキシ樹脂の骨格と結合することができず、そのままの形で硬化物中に残るため、エポキシ樹脂本来の性能が発揮できず、物性低下が著しいという問題がある。
一方、反応性の希釈剤は分子内にエポキシ基を持つことにより、硬化剤と反応して硬化物の一部となるため、このような問題はおこらず、物性低下は比較的少ないものが多い。その中で高級アルコールのグリシジルエーテルが、有用な反応性希釈剤として提案されている(例えば特許文献1)。
すなわち、本発明は、下記一般式(1)で表されるエポキシ化合物(A)を必須成分とすることを特徴とするエポキシ樹脂用反応性希釈剤(B);このエポキシ樹脂用反応性希釈剤(B)、エポキシ樹脂および硬化剤からなることを特徴とする熱硬化性エポキシ樹脂組成物である。
具体的には、スチレン、α−メチルスチレン等が挙げられる。
具体的には、石炭酸、クレゾール、キシレノール、エチルフェノール、プロピルフェノール、ブチルフェノール、ヘキシルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、等のアルキルフェノール類、フェニルフェノール、クミルフェノール等の芳香族置換基を有するフェノール類等が挙げられる。
このうちスチレン化フェノール類(a)として好ましいものは、石炭酸、オクチルフェノール、ノニルフェノール、クミルフェノールとスチレンの反応によって得られるものである。
一般式(1)中のR4Oは炭素数2〜4のオキシアルキレン基を表し、nはアルキレンオキサイドの付加モル数である。
このうち好ましくは、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、これらの併用である。
付加形式は、単独重合、2種類以上のランダム共重合又はブロック共重合のいずれでもよい。
付加モル数n は通常1〜50であり、好ましくは1〜20、さらに好ましくは1〜10がよい。nが1未満の場合は、可撓性が付与できず、nが50を超える場合は、可撓性は付与できるものの耐熱性が満足できない。
エピクロルヒドリンの量はアルコールの水酸基1当量に対して好ましくは1.2〜2.5当量であり、より好ましくは1.5〜2.0当量である。1.2当量以上であると反応時間が長くならず、生成したグリシジルエーテルとエピクロルヒドリンとの副反応が起こりにくい。2.5当量以下であると反応バッチ当たりの収率が低下せず、生産効率が良好である。
これらの固形アルカリ金属水酸化物は単独でも、2種類以上の混合物であっても良い。これらの固形アルカリ金属水酸化物の形状は、粒状、フレーク状、粉状の何れでも良い。大きさは、粒状物は好ましくは直径1〜5mm、フレーク状物は好ましくは0.5〜3cm角、粉状物は好ましくは30〜100μmであるが、本発明はこれに限定されない。作業従事者の取り扱い上、粒状が好ましい。
反応時間は好ましくは10〜30時間で、より好ましくは12〜20時間である。反応時間が10時間以上であると反応率が低くならず、30時間以下であると生成したグリシジルエーテルとエピクロルヒドリンとの副反応が起こりにくい。
固形アルカリ金属水酸化物を粉砕する粉砕機器としては、粉砕機、混合機及びホモジナイザー等の装置を使用することが出来る。粉砕機、混合機の例としては、コーンミル、ロールクラッシャー、スクリュー中砕機、エッジランナー、リングロールミル、ロッドミル、ボールミル、衝撃微粉砕機、ジェット粉砕機、塔式摩砕機、コロイドミル、スクリュー混合機等が挙げられる。ホモジナイザーの例としては、ポッターエルビイエムホモジナイザー、アッターワークマンホモジナイザー、ワーリングブレンダー等が挙げられる。
この際の粉砕方法としては反応容器の外に粉砕機器を設置し、反応容器から反応混合物を粉砕機器を通して循環する方法;反応容器中に粉砕機器を設置し、反応混合物を粉砕する方法;複数の粉砕機器を設置し、反応混合物を連続に粉砕する方法等が挙げられるが、好ましくは複数の粉砕機器を設置し、反応混合物を連続に粉砕する方法である。湿式粉砕機の例としては、例えば市販の小松デイスインテグレーター(小松ゼノア社製)が使用できる。
粉砕機器により粉砕された粉砕物の形状は粉状であり、大きさは好ましくは数μm〜20μmである。
相間移動触媒としては好ましくは第4級アンモニウム塩、第4級ホスホニウム塩、第4級アルソニウム塩等が挙げられ、より好ましくは第4級アンモニウム塩である。第4級アンモニウム塩には、例えばテトラメチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリブチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムハイドロサルフェート、トリオクチルアンモニウムクロライド、n−ラウリルピリジニウムクロライド等が含まれる。第4級ホスホニウム塩には、例えばテトラエチルホスホニウムクロライド、ジメチルジシクロヘキシルホスホニウムブロマイド、トリフェニルメチルホスホニウムヨーダイドが含まれる。第4級アルソニウム塩には、例えばテトラメチルアルソニウムクロライド、テトラエチルアルソニウムブロマイド、テトラエチルアルソニウムヒドロオキサイドが含まれる。
これら相間移動触媒を本発明の反応系に添加する場合の添加量は、アルコールに対して、好ましくは0.5重量%以下であり、より好ましくは0.2重量%以下であり、特に好ましくは0.1重量%以下である。0.5重量%以下の使用すると、エピクロルヒドリンの自己縮合物を抑制し、かつ実用的な反応速度が得られる。
混合する方法、時期には特に限定はないが、反応前に添加を行うのが好ましい。
エポキシ化合物(A)のみを反応性希釈剤(B)として使用できるが、悪影響のない範囲で、必要により、有機溶媒などの他の成分を含有させてもよい。
二価フェノールのグリシジルエーテルとしては、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル及びビスフェノールSジグリシジルエーテル等が挙げられる。
多価フェノールのグリシジルエーテルとしては、ジヒドロキシナフチルクレゾールトリグリシジルエーテル、トリス(ヒドロキシフェニル)メタントリグリシジルエーテル及びジナフチルトリオールトリグリシジルエーテル、フェノールノボラックグリシジルエーテル、クレゾールノボラックグリシジルエーテル等が挙げられる。
二価アルコールのグリシジルエーテルとしては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、テトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコール[重量平均分子量(以下、Mw):150〜4,000]ジグリシジルエーテル及びポリプロピレングリコール(Mw:180〜5,000)ジグリシジルエーテル等が挙げられる。
多価アルコールのグリシジルエーテルとしては、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、ソルビトールヘキサグリシジルエーテル及びポリ(重合度2〜5)グリセリンポリグリシジルエーテル等が挙げられる。
カルボン酸のグリシジルエステルとしては、グリシジルメタクリレート、フタル酸ジグリシジルエステル、イソフタル酸ジグリシジルエステル、テレフタル酸ジグリシジルエステル及びトリメリット酸トリグリシジルエステル等が挙げられる。
グリシジル芳香族アミンとしては、N,N−ジグリシジルアニリン、N,N−ジグリシジルトルイジン、N,N,N’,N’−テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、N,N,N’,N’−テトラグリシジルジアミノジフェニルスルホン及びN,N,N’,N’−テトラグリシジルジエチルジフェニルメタン等が挙げられる。
グリシジル脂環式アミンとしては、ビス(N,N−ジグリシジルアミノシクロヘキシル)メタン(N,N,N’,N’−テトラグリシジルジアミノジフェニルメタンの水添化合物)及びN,N,N’,N’−テトラグリシジル ジメチルシクロヘキシレンジアミン(N,N,N’,N’−テトラグリシジルキシリレンジアミンの水添化合物)等が挙げられる。
グリシジル複素環式アミンとしては、トリスグリシジルメラミン及びN−グリシジル−4−グリシジルオキシピロリドン等が挙げられる。
このような硬化剤としては、例えば、多官能フェノール類、アミン類、イミダゾール化合物、酸無水物、有機リン化合物およびこれらのハロゲン化物、ポリアミド、ポリスルフィド、三フッ化ホウ素などが挙げられる。
(i)ガラスビーカー、缶、プラスチックカップ等の適当な容器中にて、攪拌棒、へら等により手で混練する。
(ii)ダブルヘリカルリボン翼、ゲート翼等により混練する。
(iii)プラネタリーミキサーにより混練する。
(iv)ビーズミルにより混練する。
(v)3本ロールにより混練する。
(vi)エクストルーダー型混練押し出し機により混練する。
フェノールを66部、トルエン150部をフラスコに仕込み、これを80℃に保ち、三フッ化ホウ素を3部添加した。次いで、撹拌しつつ80℃でスチレン200部を滴下し2時間反応させた。反応終了後、水を加えて触媒をクエンチした。その後、フラスコにコンデンサーを取付け、常圧で蒸留を開始した。トルエンの留出後、未反応のフェノールを回収し、フラスコに残ったスチレン化フェノール(a−1)263部を得た。この(a−1)の分子量は、水酸基価換算で380であった。
事前に150℃恒温槽で8時間乾燥した撹拌及び温度調節機能の付いた2リットルのステンレス製オートクレーブに、スチレン化フェノール類(a−1)673部、45%水酸化カリウム水溶液2.0部を投入し、混合系内を窒素で置換した。このときの酸素濃度は50ppmであった。その後、減圧下(1〜5mmHg)、100℃にて2時間脱水を行った。このときの水分は200ppmであった。次いで、エチレンオキシド(以下EOと省略)327部をゲージ圧が1〜3kgf/cm2となるように導入し、スチレン化フェノール類アルキレンオキサイド付加物(b−2)を得た。(b−2)の分子量は、水酸基価換算で573であった。
クミルフェノールを233部、トルエン150部をフラスコに仕込み、これを80℃に保ち、三フッ化ホウ素を3部添加した。次いで、撹拌しつつ80℃でスチレン200部を滴下し2時間反応させた。反応終了後、水を加えて触媒をクエンチした。その後、フラスコにコンデンサーを取付け、常圧で蒸留を開始した。トルエンの留出後、未反応のフェノールを回収し、フラスコに残ったスチレン化クミルフェノール(a−2)430部を得た。この(a−2)の分子量は、水酸基価換算で390であった。
フェノールを103部、トルエン150部をフラスコに仕込み、これを80℃に保ち、三フッ化ホウ素を3部添加した。次いで、撹拌しつつ80℃でスチレン200部を滴下し2時間反応させた。反応終了後、水を加えて触媒をクエンチした。その後、フラスコにコンデンサーを取付け、常圧で蒸留を開始した。トルエンの留出後、未反応のフェノールを回収し、フラスコに残ったスチレン化フェノール(a−3)300部を得た。この(a−3)の分子量は、水酸基価換算で274であった。
撹拌装置、温度制御措置、湿式粉砕機(反応槽の外側に付属)を設置した反応槽に、高級アルコール(炭素数12/炭素数13=10/90モル%、側鎖率87%)777部、エピクロルヒドリン724部、トルエン500部を仕込み、反応槽内を窒素雰囲気下(酸素濃度:730ppm)とし、19℃の窒素雰囲気下にある粒状水酸化ナトリウム313部を19〜29℃で30時間かけて断続滴下し、この間反応槽内の水酸化ナトリウムは湿式粉砕機を使用して粉砕させる。その後25〜29℃で5時間反応熟成し、高級アルコールをグリシジルエーテル化した。なお、湿式粉砕機は水酸化ナトリウムの滴下開始から反応熟成終了まで連続運転した。槽内を16℃に冷却後、23℃の水200部を20〜28℃の範囲で投入して0.5時間攪拌、17℃で0.5時間分液静置後下層(水層)を取り出し、残った上層(有機層)に「キョーワード600」(協和化学工業社製;アルカリ吸着剤)10部を投入し、減圧下昇温して120℃、−98.0KPaGまでエピクロルヒドリンとトルエン混合物の留出を行い、残存物を「ラヂオライト#700」(協和化学工業社製;ケイソウ土ろ過助剤)を用いて濾過循環を施し、グリシジルエーテル(A’−1)を得た。エポキシ当量は284であった。
撹拌装置、温度制御措置、湿式粉砕機(反応槽の外側に付属)を設置した反応槽に、前記のスチレン化フェノール(a−1)870部、エピクロルヒドリン423部、トルエン350部を仕込み、反応槽内を窒素雰囲気下(酸素濃度:730ppm)とし、19℃の窒素雰囲気下にある粒状水酸化ナトリウム183部を19〜29℃で15時間かけて断続滴下し、この間反応槽内の水酸化ナトリウムは湿式粉砕機を使用して粉砕させる。その後25〜29℃で5時間反応熟成し、スチレン化フェノール(a−1)をグリシジルエーテル化した。なお、湿式粉砕機は水酸化ナトリウムの滴下開始から反応熟成終了まで連続運転した。槽内を16℃に冷却後、23℃の水200部を20〜28℃の範囲で投入して0.5時間攪拌、17℃で0.5時間分液静置後下層(水層)を取り出し、残った上層(有機層)に「キョーワード600」(協和化学工業社製;アルカリ吸着剤)10部を投入し、減圧下昇温して120℃、−98.0KPaGまでエピクロルヒドリンとトルエン混合物の留出を行い、残存物を「ラヂオライト#700」(協和化学工業社製;ケイソウ土ろ過助剤)を用いて濾過循環を施し、グリシジルエーテル(A’−2)を得た。エポキシ当量は486であった。
事前に150℃恒温槽で8時間乾燥した撹拌及び温度調節機能の付いた2リットルのステンレス製オートクレーブに、前記のスチレン化フェノール(a−1)100部、45%水酸化カリウム水溶液2.0部を投入し、混合系内を窒素で置換した。このときの酸素濃度は50ppmであった。その後、減圧下(1〜5mmHg)、100℃にて2時間脱水を行った。このときの水分は200ppmであった。次いで、プロピレンオキシド(以下POと省略)900部をゲージ圧が1〜3kgf/cm2となるように導入し、スチレン化フェノール類アルキレンオキサイド付加物(b−5)を得た。(b−5)の分子量は、水酸基価換算で3700であった。
上記製造例1〜4および比較製造例1〜3で得られたグリシジルエーテル(A−1)〜(A−4)および(A’−1)〜(A’−3)そのものを、それぞれ反応性希釈剤(B−1)〜(B−4)および(B’−1)〜(B’−3)として用いた場合の希釈性能を以下の方法で評価した。その結果を表1にまとめて示した。
エピコート828(ジャパンエポキシレジン(株)製商品名、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量190)の25℃での希釈粘度を1000Pa・s{B形粘度計(No.3スピンドル、回転数60rpm)}にするために必要な添加部数にて評価した。
希釈性能(%)=(反応性希釈剤の部数)÷{(エピコート828の部数)+(反応性希釈剤の部数)}
なお、この際に用いたエピコート828自体の25℃での粘度は12,000mPa・sであった。粘度はJIS K 7117−1(1999)に準拠してB形粘度計(No.4スピンドル、回転数30rpm)にて測定した。
その硬化物特性を硬度(ショアD)、ガラス転移温度で評価し、その結果を表1に示す。
ASTM D−2240に準じて硬度(ショアD)を測定し、可撓性を評価した。
ガラス転移温度は、示差走査熱量計(SIIナノテクノロジー社製RDC−220)を用いて、30℃〜350℃温度範囲を昇温速度10℃/分にて、測定を行い、ガラス転移領域の中点をガラス転移温度(℃)を測定し、耐熱性を評価した。
一方、比較例1と比較例3は可撓性が優れるものの耐熱性が不足し、比較例2は耐熱性が優れるものの可撓性が不足している。
Claims (10)
- 該エポキシ化合物(A)がスチレン化フェノールのアルキレンオキサイド付加物のグリシジルエーテルである請求項記載1のエポキシ樹脂用反応性希釈剤。
- 式(1)中のnが1〜20である請求項1または2記載のエポキシ樹脂用反応性希釈剤。
- 請求項1〜3いずれか記載のエポキシ樹脂用反応性希釈剤(B)、エポキシ樹脂(C)、および硬化剤(D)からなることを特徴とする熱硬化性エポキシ樹脂組成物。
- 請求項4に記載の熱硬化性エポキシ樹脂組成物からなる塗膜。
- 請求項4に記載の熱硬化性エポキシ樹脂組成物からなる接着剤。
- 請求項4に記載の熱硬化性エポキシ樹脂組成物からなるシーラント。
- 請求項4に記載の熱硬化性エポキシ樹脂組成物からなる注型剤。
- 請求項4に記載の熱硬化性エポキシ樹脂組成物からなる封止剤。
- 請求項4に記載の熱硬化性エポキシ樹脂組成物を硬化させてなる注型品または成型品。
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