JP2010065586A - 容積形圧縮機 - Google Patents

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Abstract

【課題】容積形圧縮機の作動流体の吐出圧力と貯油部圧力との差圧に関わらず、返油手段の小型化を実現する。
【解決手段】本発明の容積形圧縮機の返油手段は、圧縮された作動流体から分離された分離油を溜める返油室95と、返油室に溜まった分離油に浮かせるフロート及びフロートの上下動に連動して貯油部との連通口(下流側返油路開口部80y1)を開閉するフロート弁部からなるフロート弁体70abとを有し、貯油部との連通口は返油室の底部に形成された柱状のフロート弁穴70cの側壁面に形成され、フロート弁部はフロート弁穴の側壁面に沿って移動して連通口を開閉するよう形成される。フロート弁部の下端面に対向するフロート弁下部空間と返油室の分離油貯留空間とが返油室均圧路70dにより連通され、フロートの上昇により返油室の分離油貯留空間と連通口とが上流側返油路80xにより連通される。
【選択図】図10A

Description

本発明は、容積形圧縮機に係り、特に、油を貯留した貯油部から作動流体を圧縮する圧縮室に注入した油を、圧縮後の作動流体から分離して再び貯油部に戻す返油手段を備えた容積形圧縮機に関する。
エアコン、給湯器、冷蔵庫、除湿機等の冷凍サイクルに用いられる容積形圧縮機において、圧縮室のシール性向上及び圧縮室を形成する要素間の潤滑性改善のために、貯油部に貯留された油を圧縮室へ注入するとともに、圧縮された作動流体から油を分離して返油手段により再び貯油部に戻すことが知られている。
返油手段の具体的構成としては、例えば特許文献1(図2,図3等)に記載されているようにフロート弁構造を用いることが知られている。すなわち、フロート弁構造は、作動流体の吐出圧に保たれた返油室に溜めた分離油にフロートを浮かべ、分離油の油面高さの変動に基づくフロートの動きに連動するニードル弁により、作動流体の吐出圧より低い圧力に保たれた貯油部との連通口を開閉するものである。
特開平8−42469号公報
ところで、容積形圧縮機の小型化要求に対応する手段の一つとして返油手段の小型化が望まれているところ、特許文献1の容積形圧縮機には、返油手段を小型化することについて改善の余地が残されている。
すなわち、特許文献1では、ニードル弁の先鋭面が吐出圧力よりも低圧の貯油部に臨み、反対側の平坦面が吐出圧力の返油室に臨んでいるため、ニードル弁には貯油部と返油室間の圧力差に起因する差圧力がかかるが、この差圧力が働く方向と反対側の方向にニードル弁を引き離すことにより連通口を開く構成となっている。
したがって、連通口を開くためには、少なくともこの差圧力よりも大きな力でニードル弁を引き離すためのフロートの浮力が必要となる。作動流体の吐出圧力となる高圧領域において、より大きな浮力を得るためにはフロートの容積を大きくする必要が生じ、これが返油手段の小型化を困難にする要因となっている。
このような問題は、例えば高い吐出圧力を含む運転範囲を要求される場合や、貯油部圧力が吸込圧力となるいわゆる低圧チャンバの場合などのように、作動流体の吐出圧力と貯油部圧力の差が大きくなるほど顕著になる。
そこで、本発明は、容積形圧縮機の作動流体の吐出圧力と貯油部圧力との差圧に関わらず、返油手段の小型化を実現することを課題とする。
本発明の容積形圧縮機は、作動流体を圧縮する圧縮室を構成する圧縮室構成部と、圧縮室へ供給する油を貯留する貯油部と、圧縮室で圧縮されて吐出された作動流体から油を分離する油分離手段と、この油分離手段によって分離された分離油を貯油部へ戻す返油手段と、圧縮室構成部、貯油部、油分離手段、及び返油手段を内蔵するケーシングとを基本構成として備えている。返油手段は、油分離手段から油連通路を介して導かれた分離油を一時的に溜める返油室と、この返油室に溜まった分離油に浮かせるフロートと、このフロートの上下動に連動して返油室の内壁面に形成された貯油部との連通口を開閉するフロート弁部とを有して構成され、貯油部は返油室よりも低い圧力に保持される。
そして、上記課題を解決するため、フロート弁部は、連通口を覆って閉止するとともに、フロートの上下動にともない返油室の連通口が形成された内壁面に沿って移動して連通口を開閉するよう構成され、かつフロート弁部の移動方向の一端面に対向する空間と他端面に対向する空間とが連通されてなることを特徴としている。
すなわち、本発明の容積形圧縮機の返油手段は、作動流体の吐出圧力と貯油部との差圧力が働く方向と反対の方向にフロート弁部を引き離すのではなく、例えば差圧力が働く方向に直交する方向にフロート弁部を移動させることにより、連通口を開くことができる。これに加えて、フロート弁部の移動方向の両端面に対向する空間が連通されていることにより、フロート弁部の移動方向の両端面にかかる圧力は均等になる。したがって、連通口を開く際における作動流体の吐出圧力と貯油部との差圧力の影響が抑制されるので、より容積の小さいフロートを用いることができる。その結果、作動流体の吐出圧力と貯油部との差圧に関わらず返油手段を小型化することができる。
より具体的には、返油室の底部に返油室の一部をなす柱状のフロート弁穴を形成して、返油室と貯油部との連通口をフロート弁穴の側壁面に形成するとともに、フロート弁部をフロート弁穴の側壁面にシール隙間を介して対向する側壁面を有しフロートの上下動にともない柱軸方向に沿って移動可能な柱状に形成することができる。この場合、フロート弁穴の側壁面、フロート弁穴の底壁面、及びフロート弁部の下端面により形成されるフロート弁下部空間と返油室の分離油の貯留空間とを連通する返油室均圧路を形成するとともに、フロートの上昇により返油室の分離油の貯留空間と連通口とを連通する上流側返油路を形成する。
この場合において、返油室均圧路と上流側返油路は互いに独立した別の流路として形成することができる。例えば、上流側返油路を、フロート弁部の内部を貫通する流路で形成し、この流路の一端開口を返油室の分離油の貯留空間に連通し、他端開口をフロートの浮上により返油室と貯油部との連通口と連通するよう形成することができる。
これによれば、上流側返油路と貯油部との連通に伴って、上流側返油路内の圧力が多少変化するが、この影響が返油室均圧路に伝わることがない。よって、常に、フロート弁下部空間の圧力と返油室の分離油の貯留空間の圧力とが一致することになり、フロート弁部に作用する差圧力が抑制される。
本発明によれば、容積形圧縮機の作動流体の吐出圧力と貯油部圧力との差圧に関わらず、返油手段の小型化を実現することができる。
以下、本発明を適用してなる容積形圧縮機の実施形態を説明する。なお、以下の説明では、同一機能部品については同一符号を付して重複説明を省略する。また、本発明は、以下の各実施形態に限定されるものではなく、それぞれの実施形態を必要に応じて適宜に組み合わせて用いることにより、さらに効果的なものとすることを含む。
(第1実施形態)
第1実施形態の容積形圧縮機について図1〜図10を用いて説明する。本実施形態では、容積形圧縮機としてスクロール圧縮機を用いる例を示す。本実施形態のスクロール圧縮機は、ケーシング内に貯油部を設け、ケーシング内が吸込圧力となるものである。このような、ケーシング内が吸込圧力となるいわゆる低圧チャンバタイプを採用する場合としては、可燃性ガスを作動流体とする場合があげられる。例えば、プロパンやブタン等の炭化水素系流体がそれに該当する。
これは、安全性の観点から、圧縮機を含む装置全体に封入される作動流体の総量を少なくするために効果的な手段である。すなわち、この低圧チャンバ化により、圧縮機内の高圧部を少なくできるため、作動流体量を低減できる。さらに、貯油部の圧力低下で、油に溶け込む作動流体も低減し、装置全体の作動流体量を一層低減できる。また、二酸化炭素のような高圧域で用いる作動流体の場合にも、ケーシングの安全性から、低圧チャンバタイプが使われる。
まず、本実施形態のスクロール圧縮機の全体構成と動作を概略説明し、本実施形態の特徴部である返油手段は、その後で詳細に説明する。
本実施形態のスクロール圧縮機1の全体構成と機能及び動作を、図1〜図5を参照しながら説明する。図1は第1実施形態に係わるスクロール圧縮機の縦断面図、図2は給油ポンプ(図1M部)の拡大図、図3は背圧室付近(図1N部)の拡大図、図4は油分離返油室(図1P部)の詳細拡大図、図5は油分離返油室の横断面図(図4のF−F断面図)である。
本実施形態のスクロール圧縮機1は、主要な構成要素として、作動流体を圧縮する圧縮室100を構成する圧縮室構成部10と、圧縮室100へ供給する油を貯留する貯油部125と、圧縮室100で圧縮されて吐出された作動流体から油を分離する油分離室90などを含む油分離手段と、油分離手段によって分離された分離油を貯油部へ戻す返油室95などを含む返油手段と、圧縮室構成部、貯油部、油分離手段、及び返油手段を内蔵するケーシング8とを備えている。
ケーシング8側面には吸込パイプ53が固定配置され、吸込圧力の作動流体をケーシング8内へ導入する。そして、この作動流体を、固定スクロール2の側面に開口した吸込口2eにより、固定スクロール2と旋回スクロール3間に形成される圧縮室100へ導く。この圧縮室100は、旋回スクロール3の旋回運動により、外周部から内周部へ移動しながら容積を縮小するため、作動流体の圧縮動作が起こる。このように、旋回スクロール3と固定スクロール2は圧縮室構成部10となる。
ここで、旋回スクロール3の旋回運動は、旋回スクロール3が繋がるクランクシャフト6をモータ7で回転させ、オルダムリング5で自転を防止することにより実現する。ところで、この固定スクロール2は、上面に過圧縮や液圧縮を回避するバイパス弁22と吐出口2dが設けられ、フレーム4にねじ止めされる。この際、旋回スクロール3の背面とフレーム4の間に、図3で詳細に示す中間圧力(以下、背圧と称する)の背圧室110を形成する。
クランクシャフト6は、その上部を主軸受24、その下部を副軸受25で支持され、上端の偏心するピン部6aを旋回スクロール3の旋回軸受23に挿入する。これらの軸受には、ケーシング8下部の貯油部125から給油ポンプ30で汲上げた油を、クランクシャフト6の給油穴6bを通して供給する。旋回軸受23と主軸受24へ供給された油は、背圧室110へ入り、その後、フレーム4を貫通する背圧室流出路135を通ってフレーム4の側面へ流出し、最終的に貯油部125へ戻る。
ここで、背圧室流出路135の途中には、背圧制御弁26が設けられ、背圧室110の圧力を所望の背圧に保つ。この背圧により、圧縮時に旋回スクロール3を固定スクロール2へ付勢する。一方、圧縮室100のシール性を向上させるために、旋回軸受室115から圧縮室100へ、圧縮室給油路130により油を供給する。この油は、吐出油となって、作動流体とともに吐出口2dやバイパス弁22から固定スクロール2上部へ吐出する。
ところで、給油ポンプ30は、図2で示すように、インナーロータ30a、アウターロータ30b、ポンプシリンダ30c、ベースプレート30dからなる内接歯車型のポンプであり、インナーロータ30aの上サイド面に端板部30a1を設けることを特徴とする。この端板部30a1は、背圧によってクランクシャフト6が受ける下向きの力を活用して、アウターロータ30bの上サイド面に押付けられるため、ポンプ内部の漏れを抑制する効果がある。
また、弾性体からなる弾性シール30kを挟み込んだうえで、インナーロータ30aをクランクシャフト6へ装着するため、クランクシャフト6とベースプレート30dが直交関係からずれても、インナーロータ30a及びアウターロータ30bをベースプレート30dへ良好に押付けることが可能となり、ポンプ内部の漏れを抑制する効果がある。
また、片当たりを緩和できるため、両ロータ30a、30bやベースプレート30dの片磨耗や変形を回避でき、給油ポンプ30の信頼性を向上できるという効果もある。この弾性シール30kとしては、シリコンゴムのシートや、皿ばね等が考えられる。また、形成される隙間がクランクシャフト6に追随して回転し、クランクシャフト6から見て、隙間が時間的に変化しない場合には、銅パッキンのような塑性的な弾性シール30kとしても良い。
固定スクロール2の上部には、吐出油分離返油シリンダ55をねじ固定して吐出室120を形成すると共に、後述するような要素を装着した上で、その上部へさらに突出した吐出パイプ52を有する吐出カバー51をねじ固定し、油分離室90及び返油室95を形成する。
このため、上記した固定スクロール2上部へ吐出された作動流体と吐出油は、吐出室120へ流入する。その後、図4、5で示すように、吐出拡大室90aから吐出連絡穴90bを経て吐出油分離返油シリンダ55の内部空間上部へ流れ、油分離室90の内壁面に沿う方向の吹き出し路90cで油分離室90へ吐出する。この結果、作動流体は、油分離室90内を旋回して作動流体中に混入する吐出油を遠心分離しつつ下方へ流れ、油分離室90の中央に配する分離リング90dの内側に設けた吐出パイプから圧縮機外へ吐出される。
一方、作動流体中に混入する吐出油は、油分離室90の内壁面に付着し、作動流体から受ける粘性力と重力により、壁面伝いに下方へ移動し、油分離室90の底面である円錐底面90eに至る。この底面は、円錐状となっているため、油は底面中央に集り、傾斜する底面溝90fによって、油連通路75へ導かれ、油分離室90よりも低い位置に底面を持つ返油室95の下部へ流入する。
ここで、吹き出し路90cを、同一の幅とすれば、加工が容易となり製造コスト低減の効果がある。また、吹き出し路90cを水平ではなくわずかに下向きに傾斜させてもよい。これにより、油分離室90の内壁面に沿って一周してきた作動流体は、吹き出し路90cから新たに油分離室90へ流入する作動流体の下部へ流れ込むため、新たに油分離室90へ流入する作動流体との合流を抑制できる。
このように、作動流体の流線は螺線を描くため、遠心分離作用で油含有率を低減した作動流体に油含有率の高い作動流体が混ざることがなくなり、油分離効率を向上できるという効果がある。また、合流による流れの乱れを低減し、旋回速度を高く維持できるため、油分離効率を向上できるという効果もある。
以上で、本実施形態の特徴部である返油手段以外の構成と動作の概略説明を終わり、次に、返油手段の説明を、図6乃至図10を用いて詳細に説明する。
まず、図6の返油手段全体(図1Q部)の詳細拡大図と、図7の返油室(図6S部)の拡大断面図と、図8のフロート弁部(図7V部)の詳細拡大図を用いて、返油手段の構成を説明する。
返油室95には、上下方向に可動なフロート70aとその下部に固定配置した円柱形状のフロート弁部70bを一体化したフロート弁体70abが、返油室95に流入した油(返油室に溜まった油を、以下、返油室滞留油95bと称する)に浮かんでいる。ここで、フロート弁部70bは、上部の接続部70b6によって、フロート70aと一体的に固定配置される。これは、ねじ固定であっても良いし、また、接着固定であっても良い。また、フロート70aが樹脂、フロート弁部70bが金属の場合には、インサート成形してもよい。
また、図7に示すように、フロート70aは、フロート弁部70bをその下面に固定配置するフロート下部体70a1とフロート上部体70a2を接着や溶着等により密着固定してフロート70aを構成し、その内部にフロート中空部70a3を形成する。これにより、フロート弁体70abは、返油室滞留油95bに浮くことができるようになる。
また、返油室95底面には、返油室95の一部をなし、フロート弁部70bが挿入される円柱状のフロート弁穴70cが形成されている。また、このフロート弁穴70cの側壁面に、フロート返油路80aによる返油室95と貯油部125との連通口が形成されている。このフロート返油路80aは、固定返油路80bとフレーム返油路80cに繋がり、吸込圧力であるケーシング8の内部空間を出口とする下流固定返油路80abc(図6参照)を形成する。
一方、フロート弁部70bには、横に貫通する横穴が上部と下部に各々設けられ(上部弁部横穴70b1及び下部弁部横穴70b3)、さらに、これらを繋ぐ弁部縦穴70b2が弁部中央に設けられる。そして、下部弁部横穴70b3の両開口部には弁部周囲溝70b4が設けられる。ここで、この弁部縦穴70b2は、下方から開けた縦穴に縦穴栓70b5を詰めて形成する。これらの上部弁部横穴70b1から弁部周囲溝70b4に至るフロート弁部70bに開口する各穴を連ねて、弁部返油路70b1234(図8参照)が形成される。
このような油路を設けたフロート弁部70bを、フロート弁穴70cへ挿入する。この結果、フロート弁部70bの下方にフロート弁穴70cの側壁面、フロート弁穴70cの底壁面、及びフロート弁部70bの下端面により弁部下部空間78が形成される。これは、フロート弁部70bが、フロート弁穴70cの側壁面にシール隙間を介して対向する側壁面を有しフロート70aの上下動にともない柱軸方向に沿って移動可能な柱状に形成されているために形成可能となる。
そして、この弁部下部空間78と返油室95は返油室均圧穴70dで連通されている。また、弁部返油路70b1234と下流固定返油路80abcは、フロート弁体70abの浮上により、一本の返油路80となるため、弁部返油路70b1234は上流側返油路80x、下流固定返油路80abcは下流側返油路80yの役割を担っていることがわかる。このため、後述する動作説明では、両返油路を、上流側返油路80x、下流側返油路80yと呼称する。
以上で、返油手段である返油室95とフロート弁70の構成に関する説明を終わり、次に、返油手段の動作を、図9、図10A、図10Bの返油室(図6S部)の拡大断面図を用いて説明する。
まず、返油室滞留油95bが無いか少量の初期状態を、図9で説明する。この場合、図9で示すように、フロート弁部70bの下端部がフロート弁穴70cの底に着いている。このとき、上流側返油路80xの出口である上流側返油路開口部80x1と、下流側返油路80yの入り口である下流側返油路開口部80y1は、高さが一致せず、連通断面積は0となっている。つまり、返油路80は、フロート弁70により、閉じた状態となっている。なお、下流側返油路開口部80y1は返油室95と貯油部125との連通口となる。
次に、油が返油室95へ流入し始めた場合を、図9で説明する。フロート弁70は閉じているため、返油室95に油が溜まろうとするが、返油室95の底面に返油室均圧穴70dが開口しているため、まず、この穴を通って弁部下部空間78へ返油室滞留油95bが流入し、弁部下部空間78は返油室滞留油95bで満たされる。これより、弁部下部空間78は、圧縮機運転直後から常に返油室95の圧力(吐出圧力)に等しくなる。
その後も同様に、フロート弁70は閉じているため、返油室95へ流入した油の分だけ返油室滞留油95bの油面は上昇していく。この結果、フロート弁体70abが返油室滞留油95bに浸かる体積が増大していく。それによって、フロート上向き力である浮力が増大し、ある油面高さまでフロート弁体70abが浸かったときに、フロート弁体70abは浮上を開始する。この油面高さについて、次に詳細な説明を行う。
まず、この種のフロート弁を用いた返油手段において、一般的にフロート弁体70abにかかる力について、背景技術で挙げた特許文献1のようなニードル弁を用いる場合を例に挙げて説明する。この場合、ニードルの先鋭面が吐出圧力よりも低圧である貯油部に臨み、反対側の平坦面は吐出圧力の返油室に臨んでいるため、ニードルには、貯油部と返油室間の圧力差に伴う、平坦面側から先鋭面側へ向かう力がかかる。この差圧に起因する差圧力は、ニードルが挿入されるニードル穴の面積をSとすると、
差圧力=S×(返油室圧力−貯油部圧力)‥‥‥‥‥‥‥(1)
となる。返油室圧力は吐出圧力であるから、(1)式は、
差圧力=S×(吐出圧力−貯油部圧力)‥‥‥‥‥‥‥‥(2)
となる。
以上より、フロート弁を開くためには、フロート弁浮上部の重量に起因する自重力とともにこの差圧力も加えたフロート弁開動作必要力を上回る浮力に起因する上向き力を発生する必要がある。つまり、
フロート弁開動作必要力(≡自重力+差圧力)<上向き力‥‥‥‥(3)
が成立しないといけない。つまり、
下向き力=自重力+差圧力‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥(4)
上向き力=浮力‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥(5)
となる。よって、フロート弁体70abが浮上開始するためには、(3)式の関係から、
自重力+差圧力<浮力‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥(6)
の関係が成立しなければならない。このうち、差圧力は、フロート弁部70bが吐出圧力である返油室95と吐出圧力よりも低圧である貯油部125とのシール部となるために生じる力である。
さらに詳細に述べると、この差圧力は、フロート弁部の上部と下部で圧力差がある場合に生じるものである。本実施形態では、フロート弁部70bを柱状としたために、その下部の弁部下部空間78を貯油部125と遮断して形成でき、返油室均圧穴70dによって、常時、返油室95と連通させるため、弁部下部空間78の圧力は、常に返油室95の圧力(吐出圧力)と等しくなる。つまり、フロート弁部70bの移動方向(上下方向)の一端面に対向する空間(弁部下部空間78)と他端面に対向する空間(返油室95の内部空間)とが連通されている。この結果、フロート弁体70abには差圧力が働かず、フロート弁体70abにかかる下向き力は、自重力のみとなる。以上より、(6)式から、フロート弁体70abが浮上を開始するのは、
自重力<浮力‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥(6)’
が成立する場合であることがわかる。浮力は、フロート弁体70abが油に浸かる深さで決まるため、(6)’式が成立する最小のフロート弁体の油に浸かる深さが求まる。その時の油面を図9中に二点鎖線で示す。
このように、フロート弁70は自重力をこえるだけの浮力で開動作が可能となり、フロート70aの大幅な小型化が可能となる。この結果、フロート弁70の大幅なコンパクト化を実現するという効果がある。また、自重力は、運転条件によらず、一定であるため、フロート弁70の開動作に要する必要な浮力は、運転条件によらず一定となる。
このため、如何なる運転条件であろうと、吐出する作動流体からの分離油を確実に貯油部125へ戻すことが可能となるため、返油動作を確実に実現できるという効果がある。これより、二酸化炭素のような運転圧力レベルが非常に高い作動流体を扱う圧縮機の場合でも、コンパクトなフロート弁により、返油動作を確実に行うことが可能となる。
ところで、フロート弁のコンパクト化を図るためには、(3)式の右辺が小さくても成立する必要があるため、(3)の左辺を小さくする必要があるため、自重力及び差圧力を小さくする必要が生じる。このうち、自重力は、フロート弁浮上部の軽量化で対応できるが、差圧力の方は、(2)式からわかる通り、S(ニードル穴の断面積)を小さくすることが考えられる。しかし、このSを小さくし過ぎると、返油路の流路抵抗が増大して吐出油が戻りにくくなり、その結果、分離した油が多量の場合に吐出油が返油室からあふれ、圧縮機から外部へ吐出してしまうという問題が生じ得る。
この問題は、(2)式から明らかな通り、本圧縮機の吐出圧力と貯油部圧力の差が大きくなるほど深刻となる。例えば、高い吐出圧力を含む運転範囲を要求される場合や、貯油部圧力が吸込圧力となるいわゆる低圧チャンバの場合があげられる。
そこで、この問題を解決する従来策として、Sを大きくするとともに、フロートに作用する浮力を、梃子の原理で増大させたうえでニードルに働く上向き力として、差圧力の増大に対抗する手段が考えられる。しかし、この場合には、梃子のメカニズムを実現する機構が必要となり、構成部品数が増大するとともに、回転対偶である摺動部が発生し、コスト増大及び信頼性が低下するという問題が生じた。また、梃子のメカニズムを収納するスペースが必要となり、返油手段が大型化するという問題も生じた。さらに、ニードルの上昇量に対するフロートの浮上量を、力の増大率と同等の割合で増大させねばならなくなり、フロートの浮上量を確保するために、返油室が大型化するという問題も生じ得る。
このような問題に対して、本実施形態では、フロート弁70の開動作に必要な浮力が非常に小さくなるため、梃子のような浮力増大機構が不要となり、フロート70aの下面にフロート弁部70bを単純に固定した形態のフロート弁体70abとすることができる。このため、構成部品数を低減でき、コスト低減という効果がある。また、回転対偶等の摺動部を設ける必要が無く、信頼性が向上するという効果もある。また、浮力増大機構を収納するスペースが不要となり、フロート弁70の一層のコンパクト化を実現できるという効果もある。また、フロート70aの小型化も含むコンパクト化に伴って、軽量化という効果もある。さらに、フロート70aの浮上量がフロート弁部70bの上昇量と等しくなるため、フロート70aの浮上量は梃子を使用する場合に比べて小さくてすむ。このため、フロート70aが上下動する返油室95の上下寸法を小さくできるという効果もある。
次に、返油室滞留油95bが図9の二点鎖線まで溜まった後のフロート弁の動作を、図10A、10Bで説明する。上記したように、フロート弁体70abの自重力が浮力と釣り合うため、フロート弁体70abは、油面が上昇するにつれて、油中に浸る深さを一定に保ちつつ浮上する。そして、フロート弁体70abの上流側返油路開口部80x1が、下流側返油路開口部80y1と重なる(連通する)位置まで、フロート弁体70abが浮上したとき、返油室滞留油95bは上流側返油路80xと下流側返油路80yが連通して返油路80を形成する。
これにより、フロート弁70が開き、返油室95から返油室滞留油95bが流出を開始する。フロート弁体70abの浮上量が小さいうちは、両返油路80x、80yの連通断面積が小さいために、返油室95からの流出油量は少なく、返油室滞留油95bの油面は上昇を続ける。しかし、油面が上昇するにつれて、フロート70aが浮上し、それに固定したフロート弁部70bも上昇するため、両返油路80x、80yの連通断面積が増大する。
よって、返油室95からの流出油量が増大し、油面の上昇速度が低下する。最終的には、図10Aのように、返油室95への流入速度と等しい流出速度となる連通断面積を実現する位置でフロート弁体70abの上昇が止まり、定常状態となる。
図10Aの場合よりも油の流入速度が減少した場合は、返油路80の連通断面積が図10Aの場合よりも小さいところで定常状態となるため、フロート弁体70abは図10Aよりも下がる。逆に、図10Aの場合よりも油の流入速度が増大した場合は、返油路80の連通断面積が図10Aの場合よりも大きいところで定常状態となり、フロート弁体70abは図10Aよりも上がる。
このように、本実施形態では、フロート弁部70bが返油室95と貯油部125との連通口(下流側返油路開口部80y1)を覆って連通口を閉止するとともに、フロート70aの上下動にともない返油室95の連通口が形成された内壁面に沿って移動して連通口を開閉するよう構成されている。
図10Bはフロート弁体70abが最も上昇した場合を示しており、このとき、上流側返油路開口部80x1と下流側返油路開口部80y1の中心高さが一致するようになっている。これにより、フロート弁体70abの上昇に連れて返油路80の連通断面積が単調に増大する。仮に、この関係が成立しない場合として、フロート弁体70abが、図10B以上に上昇できる構成を考える。
すなわち、フロート弁体70abが上昇すると返油路80の連通断面積が逆に減少する場合を考える。返油室95へ流入する油量が非常に多く、上流側返油路開口部80x1と下流側返油路開口部80y1の中心高さが一致して返油路80の連通断面積が最大になった場合でも、油面の上昇が止まらない時、フロート弁体70abは上昇できる位置まで上昇する。その結果、返油路80の連通断面積が減少し、返油路80からの油の流出速度が最大流出速度よりも減少し、圧縮機1外へ吐出される油が逆に増大するという問題が生じる。
また、フロート弁体70abが上昇しきった後、本来(図10Bのように、返油路80の連通断面積が最大になった場合)は返油路80で流すことが可能な返油量に戻っても、流せなくなり、吐出油量が増大するという問題も起こる。今回の実施形態は、フロート弁体70abの上昇に連れて返油路80の連通断面積が減少することは無く、常に単調に増大するため、以上のような問題は生じず、吐出油量を低減できるという効果がある。
以上の構成と動作により、返油室95内の油面の異常上昇を回避できるため、油分離室90への油の逆流を回避し、吐出する作動流体への混入を抑制できる効果がある。また、確実に貯油部125へ返油できるため、貯油部125の油切れを回避して、軸受給油及び圧縮室への給油を確実に実行できる。よって、圧縮機1の信頼性及び高性能を確保できるという効果がある。また、返油室95内の油面を常時確保できるため、吐出圧力の作動流体が作動流体導通路85と返油路80を通って吸込圧力のケーシング内空間へ吹き抜けることを阻止できる。これにより、このような作動流体の流れの圧縮機内短絡による圧縮機性能の低下を回避する効果もある。
ところで、フロート弁部70bは、フロート弁穴70cと摺動するため、摺動に耐える材料とする。この一例としては、金属材料が適しており、例えば、アルミ製とすれば、金属の中では比重が小さく、フロート70aの小型化に貢献できる。他の例としては、プラスチックが考えられる。例えば、摺動材として使われるようなナイロンやポリエチレンテレフタレートなどが適しており、これらは、金属よりも大幅に比重が小さく、フロート70aを一層小型化できる。しかし、これらの熱膨張率はフロート弁穴70cの材質である金属に比較して大きい。よって、弁体と弁穴のシール隙間を適正に保つため、極端な温度変化が生じない場所に限定して採用する。
また、図7で示すように、フロート70aには、フロート中空部70a3とその外側領域である返油室作動流体域95aとを連通するフロート均圧路70a5が設けられている。この結果、フロート内外の圧力差が無くなるために、フロート70aの耐圧設計が不要となり、フロート70aを例えば樹脂等の比重の小さい材料で製作可能となる。
これにより、フロート70aの大幅な小型化を実現でき、返油手段のコンパクト化を実現する効果がある。さらに、このフロート均圧路70a5は、その上端部であるフロート外側開口部70a6を、フロート70aの最上部に設けるため、フロート均圧路70a5からフロート中空部70a3へ油が進入する可能性は低く、フロート動作を長期間にわたって確実に実現できる。
一方、フロート均圧路70a5の下端部であるフロート内側開口部70a7は、フロート上部体70a2からフロート中空部70a3内部に延在するフロート均圧パイプ70a4により、フロート中空部70a3の底面であるすり鉢状底面70a8の近くに設けられている。
これにより、例え、油がフロート均圧路70a5からフロート中空部70a3へ浸入し、フロート均圧パイプ70a4の下端を越えて溜まっても、吐出圧力の変動による呼吸動作で、作動流体とともに油が同時に排出され、図7中に示すように、フロート内側開口部70a7の高さまで浸入油が減少する。
このような吐出圧力変動を活用した油排出動作により、フロート70a内の油を、フロート内側開口部70a7高さ以下に保持できるため、フロート70aの上向き力を減少させることが無く、フロート動作を継続できるという効果がある。
また、確実に作動流体域となる油分離室90の上部と返油室95の上部(返油室作動流体域95a)を繋ぐ作動流体連通路85を設けたため(図4参照)、返油室95と油分離室90の圧力が常に等しくなり、返油室95内の返油室滞留油95bと油分離室90の油面に差は生じない。よって、図7で示すように返油室滞留油95bは概略一定の高さに安定して保持されるため、返油室の作動流体域に開口するフロート均圧路70a5から油が浸入する危険性は低くなる。よって、フロート動作を長期間にわたって確実に実現できるという効果がある。
また、本実施形態におけるフロート弁70のシール部は、フロート弁部70bの外側面とフロート弁穴70cの側面である内周面から構成されており、このシール部で両者が圧接することはない。このため、シール部が損傷する危険は極めて低く、信頼性の高いフロート弁70を実現できるという効果がある。また、開閉動作に要する力は、弁部返油路70b1234(上流側返油路80x)の断面積に影響されないため、圧損低減のために弁部返油路70b1234(上流側返油路80x)の断面積はできるだけ拡大することが可能となる。
これにより、分離油が多量の場合でも確実に貯油部125へ返油することが可能となり、弁の開閉動作が確実に行われる。このため、動作信頼性の高い返油手段を実現できるという効果がある。
また、返油室均圧穴70dの流路抵抗がフロート弁動作中の返油路80よりも大きくなるように、返油室均圧穴70d及び返油路80の流路断面積が調整して形成されている。これにより、フロート弁体70abの上下動に対するダンパーの役割を果たす。この結果、フロート弁体70abの急激な上下動を抑制できるため、圧縮機の振動等に伴うフロート弁体70abの共振を抑制し、フロート弁70の破損を回避できるので、返油手段の信頼性を向上できるという効果がある。
また、返油室均圧穴70dは、返油路80と別流路となっている。このため、弁部返油路70b1234(上流側返油路80x)とフロート返油路80a(下流側返油路80y)の間の開度に伴って、弁部返油路70b1234内の圧力が多少変化するが、この影響は、返油室均圧穴70dに伝わることがない。よって、弁部下部空間78の圧力は、常に返油室95の圧力と一致することになり、フロート弁体70abに作用する差圧力は常に0となる。この結果、フロート70aの小型化によるフロート弁70のコンパクト化を実現できる効果がある。
また、フロート弁体70abの上下動で開度が変化する上流側返油路80xと下流側返油路80yの連通部は、返油路80の絞り部となる。このため、上流側返油路80x側の高圧側(吐出圧力にほぼ等しい)から下流側返油路80y側の低圧側(吸込圧力にほぼ等しい)へ油が流れる時、急激な圧力低下によって、油の内部に溶解している作動流体等の成分が瞬間的に高圧ガスとして発生する現象(発泡現象)が生じる。
このため、フロート弁穴70cの内周面で下流側返油路80yの開口側は、周囲に比べて高圧となり、フロート弁部70bは、フロート弁穴70c内周面の下流側返油路80y開口側から反開口側へ向かう水平方向力を受ける。このように、フロート弁部70bの側面に返油路80の絞り部を形成する構成としたため、発泡現象に伴う垂直方向力の発生は無く、フロート弁70の上下動作に乱れを起こさず、フロート弁70の確実な動作を実現するという効果がある。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態のスクロール圧縮機について図11を用いて説明する。図11は本発明の第2実施形態のスクロール圧縮機におけるフロート弁体拡大縦断面図である。この第2実施形態は、次に述べる点で第1実施形態と相違するものであり、その他の点については第1実施形態と同一であるので、重複する説明を省略する。
この第2実施形態は、返油室滞留油95bが少なく、フロート弁体70abが浮上しないとき、フロート70aのフロート下端部70a9がフロート弁穴70cの面取りされた上部角部70c1へ挿入し、そこがシール部となっている。この結果、返油室滞留油95bが無いときや少ないときに、フロート弁の閉動作が確実になるため、返油室95に速やかに油を溜めることが可能となり、吐出圧作動流体の返油路80を通って吸込圧力のケーシング内空間へ吹き抜ける作動流体短絡流れの発生を抑制できる効果がある。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態のスクロール圧縮機について図12を用いて説明する。図12は本発明の第3実施形態のスクロール圧縮機におけるフロート弁体拡大縦断面図である。この第3実施形態は、次に述べる点で第1または第2実施形態と相違するものであり、その他の点については第1または第2実施形態と同一であるので、重複する説明を省略する。
この第3実施形態は、フロート下部体とフロート弁部70bを一体化したフロート下部一体化弁体70ab1を使用するものである。また、ガイドレール機構を形成するフロート最外周面70ab2を上下に延ばしたものである。
自重力を小さくする観点から、できるだけの軽量化が望ましく、硬質で摺動性が高く耐熱性も備えたナイロンやポリエチレンテレフタレートなどのエンジニアリングプラスチックが適している。また、金属材料ではアルミ合金等が適する。耐磨耗性の観点からは、ステンレス等が好ましい。そして、返油室95の側面である返油内周面95cとフロート弁穴70cは、同軸度を出して加工し、返油内周面95cの直径は、フロートの最外直径よりわずかに大きい寸法とする。
一方、フロート弁部70bとフロート下部体を一体化したために、フロート弁部70bとフロート弁体70abの側面であるフロート最外周面70ab2の同軸度を格段に高めることが可能となる。この結果、フロート弁体70abを返油室95へ装着すると、フロート弁体70abは、フロート最外周面70ab2と返油内周面95cの間で、上下方向の移動を許容されつつ、水平方向の移動を規制され、さらに、傾斜角度も規定することが可能となる。ここで、傾斜角度の規定は、径方向の隙間とともに、フロート最外周面70ab2の軸方向長さを長くして実現する。
この結果、フロート最外周面70ab2と返油内周面95cがガイドレール機構の役割を果たすため、シール隙間を形成するフロートフロート弁部70bとフロート弁穴70c間の強い摺接を回避できる。この結果、滑らかな上下動やシール隙間の拡大を生じる弁部の磨耗を回避できるため、返油手段の動作確実性の向上と信頼性の向上を実現できるという効果がある。
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態のスクロール圧縮機について図13を用いて説明する。図13は本発明の第4実施形態のスクロール圧縮機におけるフロート弁体の拡大縦断面図である。この第4実施形態は、次に述べる点で第3実施形態と相違するものであり、その他の点については第3実施形態と同一であるので、重複する説明を省略する。
この第4実施形態は、フロート弁体70abとその上部に配置される吐出カバー51との間に、圧縮したフロートばね70eを設けたものである。何らかの理由で、フロート弁体70abが下方に変位しても、フロート弁体70abは、返油室滞留油95bからの浮力による復元力で極端な下方変位が回避される反面、上方変位の場合には、フロートばね70eがないと、フロート弁体70abには復元力が働かず、吐出カバー51との衝突によるフロート弁体70ab破損の危険性があった。
これに対して、本実施形態では、何らかの理由でフロート弁体70abに上方変位が生じても、圧縮したフロートばね70eが復元力を与えるため、フロート弁体70abの吐出カバー51への衝突を回避できるという効果がある。また、図10で示すような細い返油室均圧穴70dを設けた場合、ダンパー効果によって、良好に振動を減衰できるフロート弁を実現できる。この結果、フロート弁70の破損を回避できるので、返油手段の信頼性を向上できるという効果がある。
また、何らかの理由で、返油室95の油が無くなった場合を考える。この時、フロート弁部70bのシール隙間のシール性も低下するため、このシール隙間を通って分離油が流出し、返油室に油が滞留する正規の状態へ移行できない危険性が生じる。その場合には、油と共に、作動流体も吹き抜けることになり、吐出側から吸込側へ作動流体が短絡して、大幅な性能低下が生じる。本実施形態では、フロートばね70eの圧縮量を、返油室滞留油95bがない場合でも、フロート弁体70abを押し下げる大きさに設定する。これにより、フロート弁部70bのシール性を高めることができるため、返油室に油が滞留する状態へ移行できない危険性を低減し、作動流体の吹き抜けによる性能低下を回避できるという効果がある。
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態のスクロール圧縮機について図14を用いて説明する。図14は本発明の第5実施形態に係るスクロール圧縮機のフロート弁穴(図9〜12のV部)の拡大縦断面図である。この第5実施形態は、次に述べる点で第1乃至第4実施形態と相違するものであり、その他の点については第1乃至第4実施形態と同一であるので、重複する説明を省略する。
この第5実施形態は、返油路80のフロート弁穴70c内周面にフロート返油溝80a1を設け、このフロート返油溝80a1にフロート返油路80aを連通させるものである。つまり、フロート返油路80aを図8等に示すように斜め穴加工する場合、加工精度が少しでも悪いと返油室95と貯油部125との連通口(フロート弁穴の側壁面に形成された下流側返油路開口部80y1)の上下方向の位置が大きくずれるおそれがある。
これに対して、本実施形態によれば、フロート返油溝80a1を先に形成して、このフロート返油溝80a1にフロート返油路80aを連通させるものである。これによれば、フロート返油路80aの斜め穴加工の精度が多少悪くても、フロート返油溝80a1にとにかく連通されていればよいので、フロート弁70が開口する時のフロート弁体70ab浮上高さが明確に規定され、返油室95に滞留する油量のばらつきを小さくできる。この結果、圧縮機に封入する油量を少なくできるという効果がある。
(第6実施形態)
次に、本発明の第6実施形態のスクロール圧縮機について図15を用いて説明する。図15は本発明の第6実施形態に係るスクロール圧縮機のフロート弁穴(図7、図12、図13のV部)の拡大縦断面図である。この第6実施形態は、次に述べる点で第1乃至第4実施形態と相違するものであり、その他の点については第1乃至第4実施形態と同一であるので、重複する説明を省略する。
この第6実施形態は、フロート弁穴70c内周面に開口するフロート返油路を、フロート弁穴70cの軸にほぼ直交する、直交フロート返油路80dとするものである。これにより、フロート弁70が開口する時のフロート弁体70ab浮上高さが明確に規定され、返油室95に滞留する油量のばらつきを小さくできるとともに、第5実施形態のような、内周面への溝加工が不要となるため、加工が容易となる。
また、この場合、フロート弁70とケーシング内空間を繋ぐ下流側返油路80yは、吐出油分離返油シリンダ55に設ける水平フロート返油路(図6の80a’)と固定返油溝80b’となる。この結果、圧縮機に封入する油量を少なくできるとともに、加工コストの低減を図る効果がある。
(第7実施形態)
次に、本発明の第7実施形態のスクロール圧縮機について図16を用いて説明する。図16は本発明の第7実施形態に係るスクロール圧縮機のフロート弁穴(図7、図12、図13のV部)の拡大縦断面図である。この第7実施形態は、次に述べる点で第1乃至第6実施形態と相違するものであり、その他の点については第1乃至第6実施形態と同一であるので、重複する説明を省略する。
この第7実施形態は、油連通路75を延長して返油均圧穴(図8の70d参照)と共に加工する返油均圧通路750とするものである。これにより、返油均圧通路750と弁部下部空間78が上流側返油路80xとなる。加工が困難な2箇所の斜め穴加工を一回で行うことができるため、加工が容易となる。この結果、加工コストの低減を図る効果がある。また、第1実施形態で述べた通り、返油均圧穴70dの流路抵抗を大きくすることで、フロート弁体のダンパーとなるが、本実施例の場合には、返油均圧通路750とフロート弁穴70cの開口部である油オリフィス部750aの断面積を加工時に調整することで、流路抵抗を調整でき、ダンパー効果を実現できる。
(第8実施形態)
次に、本発明の第8実施形態のスクロール圧縮機について図17を用いて説明する。図17は本発明の第8実施形態に係るスクロール圧縮機のフロート弁体及びフロート弁穴(図7、図12、図13のV部)の拡大縦断面図である。この第8実施形態は、次に述べる点で第1乃至第7実施形態と相違するものであり、その他の点については第1乃至第6実施形態と同一であるので、重複する説明を省略する。
この第8実施形態は、吐出油分離返油シリンダ55に設けていた返油均圧穴(図8の70d参照)を廃し、弁部返油路70b1234の弁部縦穴70b2をフロート弁部70bの下面に開口させることで、上部弁部横穴70b1と弁部縦穴70b2を繋ぐ弁体貫通返油均圧穴70b12としたものである。この弁体貫通返油均圧穴70b12は、第1乃至第6実施形態におけるフロート弁部70bにおいて(図8参照)、縦穴栓70b5を廃することで実現できる。
この結果、加工コストが低減するという効果がある。また、弁体貫通返油均圧穴70b12の弁部下部空間78側の開口部は、フロート弁部70bの下面中央に設けられるため、フロート弁体70abが最も下方へ変位した場合、返油室95の底面で塞がる危険がある。このため、フロート弁部70bの下面を、凹状下面70b7とする。これにより、弁部下部空間78の圧力を、常に返油室95と同一にできる。
(第9実施形態)
次に、本発明の第9実施形態のスクロール圧縮機について図18を用いて説明する。図18は本発明の第9実施形態に係るスクロール圧縮機のフロート弁体及びフロート弁穴(図8、図12、図13のV部)の拡大縦断面図である。この第9実施形態は、次に述べる点で第8実施形態と相違するものであり、その他の点については第8実施形態と同一であるので、重複する説明を省略する。
この第9実施形態は、弁体貫通返油均圧穴70b12の下端部に、細いニードル孔を開口する絞り栓70b8を詰めたものである。これにより、返油均圧穴の流路抵抗を大きくできるため、フロート弁体70abの上下動のダンパーとなる。この結果、フロート弁体70abの上下動の減衰作用が働き、不慮の共振を抑制できる。これより、フロート弁の破損を回避する効果がある。
(第10実施形態)
次に、本発明の第10実施形態のスクロール圧縮機について図19を用いて説明する。図19は本発明の第10実施形態に係るスクロール圧縮機のフロート弁体及びフロート弁穴(図8、図12、図13のV部)の拡大縦断面図である。この第10実施形態は、次に述べる点で第8実施形態と相違するものであり、その他の点については第8実施形態と同一であるので、重複する説明を省略する。
この第10実施形態は、下部弁部横穴70b3を廃し、下流側返油路80yのフロート弁穴70cにおける開口部を凹状下面70b7の近くまで下げたものである。これより、上流側返油路80xは、上部弁部横穴70b1と弁部縦穴70b2と弁部下部空間78によって構成される。さらに、弁部下部空間78を返油室95と同一の圧力に保つための均圧路は、第8実施形態と同様に、上部弁部横穴70b1と弁部縦穴70b2で構成される。
以上のように、上部弁部横穴70b1と弁部縦穴70b2が繋がる通路は、均圧路の役割とともに油通路の役割も担う、弁部貫通路70b120となる。この結果、極めて単純な流路構成で油通路と均圧路を形成できるため、加工コストを低減できるという効果がある。
(第11実施形態)
次に、本発明の第11実施形態のスクロール圧縮機について図20を用いて説明する。図20は本発明の第11実施形態に係るスクロール圧縮機のフロート弁体及びフロート弁穴(図7、図12、図13のV部)の拡大縦断面図である。この第11実施形態は、次に述べる点で第10実施形態と相違するものであり、その他の点については第10実施形態と同一であるので、重複する説明を省略する。
この第11実施形態は、油分離室90、返油室95、弁部下部空間78を繋ぐシリンダ貫通路7500により、油連通路と均圧路と上流側返油路の3つの役割を担わせるものである。この結果、フロート弁部70bには穴加工が不要となり、非常に単純な流路構成で油通路と均圧路を形成できるため、加工コストを大幅に低減できるという効果がある。
さらに、吐出油分離返油シリンダ55の底面側から加工可能な形状とするため、バリや切り子の処理が容易となり、一層の加工コスト低減の効果がある。また、前記の如く、フロート弁部70b内に油の流路を形成する必要が無いため、弁部中空部70b10を設けることが可能となり、軽量化を図ることができる。これにより、フロート弁体70abに作用する自重力が低減するため、フロート70aの小型化によるフロート弁の小型化を実現できるという効果がある。
(第12実施形態)
次に、本発明の第12実施形態のスクロール圧縮機について図21を用いて説明する。図21は本発明の第12実施形態に係るスクロール圧縮機のフロート弁体及びフロート弁穴(図8、図12、図13のV部)の拡大縦断面図である。この第12実施形態は、次に述べる点で第11実施形態と相違するものであり、その他の点については第11実施形態と同一であるので、重複する説明を省略する。
この第12実施形態は、返油室95と弁部下部空間78を繋ぎ、均圧路とともに弁部下部空間78も取りこんで上流側返油路の役割を担うシリンダ貫通路7500のうちで、上流側返油路に弁部下部空間78を用いない経路構成とすべく、シリンダ貫通路7500とフロート弁穴70cの内周面を繋ぐシリンダ横穴70b9と、弁部周囲溝70b4を設けたものである。ここで、シリンダ横穴70b9とフロート返油路80aは、フロート弁穴70cの軸と直交する。
フロート弁体70abが上昇して、弁部周囲溝70b4が、シリンダ横穴70b9とフロート返油路80aの高さまで移動することにより、フロート弁70が開動作する。すなわち、シリンダ貫通路7500の上部とシリンダ横穴70b9と弁部周囲溝70b4で上流側返油路80x、フロート返油路80aで下流側返油路80yを構成する。
また、第7実施形態と同様に、シリンダ貫通路7500とフロート弁穴78の貫通量を調整することにより、弁部下部空間78と返油室95との油流路の流路抵抗を大きく設定できるため、フロート弁体70abの上下動のダンパー効果を実現できる。また、シリンダ横穴70b9とフロート返油路80aの軸が一致するため、同時加工が可能となり加工が容易となる。この結果、フロート弁体70abの上下動のダンパー効果を実現しつつ、非常に単純な流路構成で油通路と均圧路を形成できるため、加工コストを大幅に低減できるという効果がある。
(第13実施形態)
次に、本発明の第13実施形態のスクロール圧縮機について図22を用いて説明する。図22は本発明の第13実施形態に係るスクロール圧縮機のフロート弁側面図である。この第13実施形態は、次に述べる点で第1乃至第12実施形態と相違するものであり、その他の点については第1乃至第12実施形態と同一であるので、重複する説明を省略する。
この第13実施形態は、フロート弁体70abの側面の最外周であるフロート最外周面70ab2を、側面上部のフロート上部最外周部70a11に限定し、これ以外の側面部は、油の凝縮力で返油内周面95cと密着しない隙間設定とする。このフロート上部最外周部70a11の幅は、できるだけ小さく設定し(1〜5mm程度)、そこで発生する摩擦力を抑制して、フロート弁体70abの上下動を滑らかにする。
図22では、フロート上部最外周部70a11を明示するために、実際よりも出っ張り量を強調してあり、実際は、0.1mm〜5mm程度にする。これにより、フロート70aと返油内周面95cの吸着が生じず、フロート弁70の開閉動作が確実に行われるという効果がある。また、フロート上部最外周部70a11は、返油室滞留油95bの油面とフロート外側開口部70a6の間にくるため、返油室滞留油95bの油面の波立ちで発生する油ミストがフロート70aへ浸入することを抑制する。この結果、フロート弁70の開閉動作の確実性が向上するという効果がある。
また、このフロート上部最外周部70a11は、フロート70aの本体と別体とし、フロート下部体70a1とフロート上部体70a2の一体化時に、フロート上部最外周部70a11を両者で挟み込んでもよい。これにより、フロート下部体70a1の側面は、単純な円周となり、押し出し成型が容易になる。この結果、製造コストが低減するという効果がある。
また、フロート上部最外周部70a11に等間隔で複数の縦溝70a13を設けても良い。これにより、フロート外側開口部70a6から排出される油を返油室滞留油95bがある返油室95下部へ容易に戻すことができる。これにより、フロート外側開口部70a6から排出された油は速やかに返油室滞留油95bへ戻るため、再びフロート70aへ浸入する危険性は低く、フロート弁70の開動作を確実にするという効果がある。
もちろん、縦溝70a13を設けなくても、フロート上部最外周部70a11の適正な隙間設定により、フロート外側開口部70a6から排出される油を返油室滞留油95bがある返油室95下部へ戻すことができる。また、このフロート最外周面70ab2をフロート上部だけでなくフロート下部にも設けてよい。これにより、フロート弁部70bの片当りが緩和され、損傷が回避できるという効果がある。
(第14実施形態)
次に、本発明の第14実施形態のスクロール圧縮機について図23を用いて説明する。図23は本発明の第14実施形態に係るスクロール圧縮機のフロート側面図である。この第14実施形態は、次に述べる点で第13実施形態と相違するものであり、その他の点については第13実施形態と同一であるので、重複する説明を省略する。
この第14実施形態は、フロート弁体70abのフロート上部最外周部70a11から返油室滞留油95bに至り、フロート70a外周と接触する、フロート外周接触体70a12を設けるものである。そして、このフロート外周接触体70a12の外径は、フロート上部最外周部70a11以下とする。本実施形態は、つるまき状としたが、これに限らず、網目状や簾状としてももちろん良い。毛細管現象により、フロート70a外周とフロート外周接触体70a12との隙間を伝って、わずかな量の返油室滞留油95bが、フロート上部最外周部70a11まで上昇する。このため、周囲の作動流体に油がほとんど無い環境下で返油内周面95cと摺動する、フロート上部最外周部70a11に、適量の油を供給することができるため、フロート弁体70abの上下動がスムースとなり、フロート弁70の動作の確実性が向上するという効果がある。
以上、本発明の容積型圧縮機について各実施形態を用いて説明した。本発明の容積形圧縮機によれば、返油手段であるフロート弁においてその開動作に要する浮力を最小化できるため、フロートをコンパクト化できる。さらに、梃子機構に代表される浮力増大機構が不要となるため、返油手段におけるフロート以外の部分もコンパクト化する上に、その動作も単純となるため、動作の確実さが向上する。
また、弁部においては、従来のニードルタイプと異なり、弁部の強い接触を回避でき、弁部の変形や破損を回避できる。このように、返油動作を確実に実行しつつ、コンパクトで信頼性の高い返油手段を実現できるという効果がある。この結果、本返油手段を容積形圧縮機の吐出パイプに補器として接続し、それに伴って、返油路を当該容積形圧縮機の貯油室へ繋ぐ返油パイプを設ける場合、配管スペースを取らず、容積形圧縮機と補器からなる装置全体のコンパクト化を実現できるという効果がある。
また、本返油手段を容積形圧縮機に内蔵する場合、返油機構のコンパクト化により、容積形圧縮機は大型化を回避でき、さらに、外付けの返油パイプを設ける必要がなくなるため、製作が容易になるという効果がある。また、返油手段の信頼性向上により、当該返油手段を組込んだ圧縮機の信頼性も向上するという効果がある。また、返油に関する補器を必要としないため、使い勝手が向上するという効果もある。
なお、上述の各実施形態では、返油室の底部に返油室の一部をなす柱状のフロート弁穴を形成して、返油室と貯油部との連通口をフロート弁穴の側壁面に形成するとともに、フロート弁部はフロート弁穴の側壁面にシール隙間を介して対向する側壁面を有しておりフロートの上下動にともない柱軸方向に沿って移動するような柱状に形成している。しかし、本発明の容積形圧縮機はこのような構成に限られない。例えば、返油室の底壁面が水平方向に平坦に形成されており、この底壁面に連通口が形成されているとすれば、フロート弁部は、油がないか或いは少ないときは連通口を覆って閉止するとともに、油が増加してフロートが上昇したら、これにともない底壁面に沿って水平方向に移動して連通口を開くように構成することができる。
要は、フロート弁部は、連通口を覆って閉止するとともに、フロートの上下動にともない返油室の連通口が形成された内壁面に沿って移動して連通口を開閉するものであればよい。そして、フロート弁部の移動方向の一端面に対向する空間と他端面に対向する空間とが連通されて、フロート弁部の移動方向の差圧が生じないようにしておけばよい。
本発明の第1〜13実施形態に係るスクロール圧縮機の縦断面図である。 給油ポンプ(図1M部)の詳細拡大図である。 背圧室付近(図1N部)の詳細拡大図である。 油分離返油室(図1P部)の詳細拡大図である。 図4のF−F断面図である。 返油室(図1Q部)の拡大断面図である。 フロート弁体(図6S部)の拡大縦断面図である。 フロート弁部(図7V部)の詳細拡大図である。 返油室滞留油が少なくフロート弁体が浮上せず、フロート弁(図6S部)が閉じた場合の返油室拡大縦断面図である。 フロート弁体が浮上し、フロート弁(図6S部)が開いた場合の返油室拡大縦断面図である。 フロート弁(図6S部)が最大に開いた場合の返油室拡大縦断面図である。 本発明の第2実施形態に係るスクロール圧縮機のフロート弁体(図6S部)の拡大縦断面図である。 本発明の第3実施形態に係るスクロール圧縮機のフロート弁体(図6S部)の拡大縦断面図である。 本発明の第4実施形態に係るスクロール圧縮機のフロート弁体(図6S部)の拡大縦断面図である。 本発明の第5実施形態に係るスクロール圧縮機のフロート弁穴(図7、図12、図13のV部)の拡大縦断面図である。 本発明の第6実施形態に係るスクロール圧縮機のフロート弁穴(図7、図12、図13のV部)の拡大縦断面図である。 本発明の第7実施形態に係るスクロール圧縮機のフロート弁穴(図7、図12、図13のV部)の拡大縦断面図である。 本発明の第8実施形態に係るスクロール圧縮機のフロート弁体及びフロート弁穴(図7、図12、図13のV部)の拡大縦断面図である。 本発明の第9実施形態に係るスクロール圧縮機のフロート弁体及びフロート弁穴(図7、図12、図13のV部)の拡大縦断面図である。 本発明の第10実施形態に係るスクロール圧縮機のフロート弁体及びフロート弁穴(図7、図12、図13のV部)の拡大縦断面図である。 本発明の第11実施形態に係るスクロール圧縮機のフロート弁体及びフロート弁穴(図7、図12、図13のV部)の拡大縦断面図である。 本発明の第12実施形態に係るスクロール圧縮機のフロート弁体及びフロート弁穴(図7、図12、図13のV部)の拡大縦断面図である。 本発明の第13実施形態に係るスクロール圧縮機のフロート弁側面図である。 本発明の第14実施形態に係るスクロール圧縮機のフロート弁側面図である。
符号の説明
1 スクロール圧縮機
7 モータ
8 ケーシング
10 圧縮室構成部
30 給油ポンプ
55 吐出油分離返油シリンダ
70a フロート
70a1 フロート下部体
70a2 フロート上部体
70a3 フロート中空部
70ab フロート弁体
70ab1 フロート下部一体化弁体
70ab2 フロート最外周面
70b フロート弁部
70b1 上部弁部横穴
70b2 弁部縦穴
70b3 下部弁部横穴
70b4 弁部周囲溝
70e フロートばね
75 油連通路
80 返油路
80a フロート返油路
80a1 フロート返油溝
80b 固定返油路
80c フレーム返油路
80x 上流側返油路
80y 下流側返油路
90 油分離室
95 返油室
100 圧縮室
120 吐出室
125 貯油部

Claims (11)

  1. 作動流体を圧縮する圧縮室を構成する圧縮室構成部と、前記圧縮室へ供給する油を貯留する貯油部と、前記圧縮室で圧縮されて吐出された作動流体から油を分離する油分離手段と、該油分離手段によって分離された分離油を前記貯油部へ戻す返油手段と、前記圧縮室構成部、前記貯油部、前記油分離手段、及び前記返油手段を内蔵するケーシングとを備え、
    前記返油手段は、前記油分離手段から油連通路を介して導かれた前記分離油を一時的に溜める返油室と、該返油室に溜まった分離油に浮かせるフロートと、該フロートの上下動に連動して前記返油室の内壁面に形成された前記貯油部との連通口を開閉するフロート弁部とを有して構成され、前記貯油部は前記返油室よりも低い圧力に保持されてなる容積形圧縮機であって、
    前記フロート弁部は、前記連通口を覆って閉止するとともに、前記フロートの上下動にともない前記返油室の前記連通口が形成された内壁面に沿って移動して前記連通口を開閉するよう構成され、かつ前記フロート弁部の移動方向の一端面に対向する空間と他端面に対向する空間とが連通されてなることを特徴とする容積形圧縮機。
  2. 請求項1の容積形圧縮機において、前記返油室の底部に返油室の一部をなす柱状のフロート弁穴が形成され、前記返油室と前記貯油部との連通口は前記フロート弁穴の側壁面に形成されるとともに、前記フロート弁部は前記フロート弁穴の側壁面にシール隙間を介して対向する側壁面を有し前記フロートの上下動にともない柱軸方向に沿って移動可能な柱状に形成されてなり、
    前記フロート弁穴の側壁面、前記フロート弁穴の底壁面、及び前記フロート弁部の下端面により形成されるフロート弁下部空間と前記返油室の前記分離油の貯留空間とを連通する返油室均圧路が形成されるとともに、前記フロートの上昇により前記返油室の前記分離油の貯留空間と前記連通口とを連通する上流側返油路が形成されてなる容積形圧縮機。
  3. 請求項2の容積形圧縮機において、前記返油室均圧路と前記上流側返油路は互いに独立した別の流路として形成されてなる容積形圧縮機。
  4. 請求項2の容積形圧縮機において、前記上流側返油路は、前記フロート弁部の内部を貫通する流路で形成され、該流路の一端開口が前記返油室の前記分離油の貯留空間に連通し、他端開口が前記フロートの浮上により前記返油室と前記貯油部との連通口と連通するよう形成されてなる容積形圧縮機。
  5. 請求項2の容積形圧縮機において、前記フロートと前記フロート弁部は一体に形成されてなる容積形圧縮機。
  6. 請求項4の容積形圧縮機において、前記フロート弁部の内部を貫通する流路の他端開口の中心が前記返油室と前記貯油部との連通口の中心より上昇しないように前記フロートの上昇量が規定されてなることを特徴とする容積形圧縮機。
  7. 請求項2の容積形圧縮機において、前記フロートと前記返油室の天面がばね部材により連結されてなる容積形圧縮機。
  8. 請求項2の容積形圧縮機において、前記返油室均圧路は、該返油室均圧路の流路抵抗が少なくとも前記上流側返油路及び前記連通口と前記貯油部とを連通する下流返油路の流路抵抗よりも大きくなるよう形成されてなる容積形圧縮機。
  9. 請求項2の容積形圧縮機において、前記フロートの水平方向の移動を規制し、かつ上下方向の移動を許容するガイドレール機構が設けられてなる容積形圧縮機。
  10. 請求項9の容積形圧縮機において、前記ガイドレール機構は、前記フロートの側面に対向する前記返油室の側面で構成されてなる容積形圧縮機。
  11. 容積を縮小して作動流体を圧縮する圧縮室を構成する圧縮室構成部と、前記圧縮室の縮小動作を駆動する圧縮室駆動部と、前記圧縮室で圧縮した作動流体である吐出流体を吐出する吐出室と、前記圧縮室構成部、前記圧縮室駆動部、及び前記吐出室を内蔵するとともに、内部空間が前記吐出室の吐出圧力よりも低い圧力に保持されたケーシングとを備え、
    前記ケーシングの前記内部空間には、油を貯留する貯油部と、該貯油部の油を前記圧縮室へ導く圧縮室給油手段が設けられ、
    前記吐出室には、前記圧縮室給油手段で圧縮室へ供給されて前記作動流体とともに前記吐出室に導かれた油を前記作動流体から分離する油分離手段と、該油分離手段によって分離された分離油を前記貯油部へ戻す返油手段が設けられ、
    前記返油手段は、前記油分離手段から油連通路を介して導かれた前記分離油を一時的に溜める返油室と、該返油室底部に溜まった返油室滞留油に浮かせるフロートと、該フロートの上下動に連動して前記返油室の内壁面に形成された前記貯油部との連通口を開閉するフロート弁部とを有して構成される容積形圧縮機であって、
    前記返油室の底部に返油室の一部をなす柱状のフロート弁穴が形成され、前記返油室と前記貯油部との連通口は前記フロート弁穴の側壁面に形成されるとともに、前記フロート弁部は前記フロート弁穴の側壁面にシール隙間を介して対向する側壁面を有し前記フロートの上下動にともない柱軸方向に沿って移動可能な柱状に形成されてなり、
    前記フロート弁穴の側壁面、前記フロート弁穴の底壁面、及び前記フロート弁部の下端面により形成されるフロート弁下部空間と前記返油室の前記分離油の貯留空間とを連通する返油室均圧路が形成されるとともに、前記フロートの上昇により前記返油室の前記分離油の貯留空間と前記連通口とを連通する上流側返油路が形成されてなる容積形圧縮機。
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