JP2010064302A - 筆記具 - Google Patents

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廣治 岡田
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Abstract

【課題】 リフィールに急激な前後方向の衝撃が加わるのを防ぐことができる上、没入状態の筆記部の前方側を窄めることが可能な出没式筆記具を提供する。
【解決手段】 前端に先口部12を有する軸筒10と、筆記部22を先口部12の前方へ突出させた状態で軸筒10内に固定されたリフィール20とを備えた出没式筆記具において、軸筒10の内周面とリフィール20の外周面との間に、前方へスライドすることで筆記部22を覆い、後方へスライドすることで同筆記部22を露出させるスライドキャップ30を具備し、先口部12の内周面の前側にはその後側よりも縮径された縮径部12bが設けられ、スライドキャップ30は、少なくともその前端側に、径方向へ拡縮可能な拡縮部32を有し、前方へスライドする際に拡縮部32を縮径部12bに摺接させて窄ませる。
【選択図】図1

Description

本発明は、リフィール前端の筆記部を出没させるようにした出没式筆記具に関するものである。
従来の出没式筆記具には、例えば、特許文献1に示すもののように、軸筒(10)後端側のノック棒(30)に対するノック操作により、軸筒(10)内のリフィール(50)を進退させて、軸筒(10)の前端からリフィール前端の筆記部(チップ51)を出没させるようにしたものがある。
ところで、前記したような従来の出没式筆記具では、軸筒に対しリフィールを進退させる構造であるため、リフィールに急激な衝撃を与えてしまうおそれがある。例えば、前記リフィールがボールペン用リフィールである場合には、前記リフィールが後方へ急にスライドした際の衝撃(以降、バックショックと呼ぶ)により、リフィール内のインクが後方へ移動し、不書きや筆記掠れの原因となるおそれがある。
また、前記従来技術によれば、リフィールを没入した状態であっても、没入状態のリフィールの前方側が軸筒前端の開口部(軸筒先端口12)によって開放された構造であるため、万が一リフィールからインク洩れが生じた場合に、そのインクを前記開口部から前方へ流出させてしまったり、悪戯等により前記開口部内に異物が挿入されたり等するおそれがある。
また、前記リフィールがシャープペンシル用リフィールである場合には、前記バックショックに起因して、鉛芯折れが生じるおそれがある。
特開2001―105785号公報
本発明は上記従来事情に鑑みてなされたものであり、その課題とする処は、リフィールに急激な前後方向の衝撃が加わるのを防ぐことができる上、没入状態の筆記部の前方側を窄めることが可能な出没式筆記具を提供することにある。
上記課題を解決するための技術的手段は、前端に先口部を有する軸筒と、筆記部を前記先口部の前方へ突出させた状態で前記軸筒内に固定されたリフィールと、前記軸筒の内周面と前記リフィールの外周面との間に位置した状態で、前方へスライドすることで前記筆記部を覆い、後方へスライドすることで同筆記部を露出させるスライドキャップとを具備し、前記先口部の内周面の前側にはその後側よりも縮径された縮径部が設けられ、前記スライドキャップは、少なくともその前端側に、径方向へ拡縮可能な拡縮部を有し、前方へスライドする際に前記拡縮部を前記縮径部に摺接させて窄ませることを特徴とする。
この構成によれば、スライドキャップを軸筒の内周面とリフィールの外周面との間で前方へスライドさせれば、該スライドキャップの前端側の拡縮部が、先口部内周面の縮径部に摺接されて窄む。
なお、前記拡縮部を径方向へ拡縮させる構成は、例えば前記拡縮部を弾性材料から筒状に形成して径方向へ拡縮するようにした態様や、前記拡縮部を前端側が分割されたドリルチャック状(若しくはシャープペンシルのチャック状)に構成した態様等を含む。
また、前記拡縮部が窄むという構成には、前記拡縮部が窄んだ状態でその前端側部分に開口部が残される態様を含むが、好ましくは前記拡縮部が前端側を窄ませて略完全に閉鎖する態様とする。
更なる技術的手段では、前記スライドキャップは、前記リフィールの周囲に位置する筒部と、該筒部の前側に接続された前記拡縮部とからなり、前記拡縮部は、軸筒径方向へ接近離間するように撓む複数の拡縮片部からなることを特徴とする。
この構成によれば、拡縮部の径方向への拡縮動作を良好にすることができる。
更なる技術的手段では、前記各拡縮片部は、その前端側に、軸筒求心方向へ突出して前記筆記部の外周面に摺接可能な内向き突部を有するとともに、該突部よりも後側に、軸筒遠心方向へ突出して前記先口部内の前記縮径部に摺接可能な外向き突部を有することを特徴とする。
この構成によれば、拡縮部の拡縮動作を一層良好にすることができる。
更なる技術的手段では、前記スライドキャップの後端側に接続されるとともに前記軸筒の後端部から後方へ突出するノック操作体と、前記スライドキャップ及び前記ノック操作体を後方へ付勢する付勢部材と、前記スライドキャップによって前記筆記部が覆われるまで前進した際の前記ノック操作体を係脱する係脱機構とを備えたことを特徴とする。
この構成によれば、ノック操作体を前方へ押動する操作によってスライドキャップを前進させることができ、その前進状態のスライドキャップを係脱機構により係止することができる。その後、係脱機構による前記係止状態を解放すれば、付勢部材の付勢力によってスライドキャップ及びノック操作体を後退させることができる。
更なる技術的手段では、前記リフィールが、後端側のノック部に対する押動操作により前端側の筆記部から鉛芯を繰り出すシャープペンシル用リフィールであり、前記スライドキャップの前記拡縮部が窄んだ状態で前記シャープペンシル用リフィールから鉛芯が繰り出された際に、繰り出された鉛芯の前端が前記拡縮部の内面に当接して、鉛芯繰り出し量が規制されるようにしたことを特徴とする。
この構成によれば、スライドキャップを前進させて窄ませた状態で、シャープペンシル用リフィールの後端側のノック部に対する押動操作をすれば、シャープペンシル用リフィールから繰り出される鉛芯の前端がスライドキャップの内面に当接する。したがって、鉛芯繰り出し量を適宜量に規制することができる。
更なる技術的手段によれば、前記リフィールが、後端側のノック部に対する押動操作により前端側の筆記部から鉛芯を繰り出すシャープペンシル用リフィールであり、前記リフィールの周囲において前記スライドキャップの後端に接続されたスライド筒部と、前記軸筒の後端部から後方へ突出して前後方向へ進退可能なノック操作体と、前記軸筒に対し前記スライド筒部を後方へ付勢する第一の付勢部材と、前記スライド筒部に対し前記ノック操作体を後方へ付勢するとともに前記第一の付勢部材よりも付勢力の大きい第二の付勢部材とを具備し、前記第一の付勢部材の付勢力に抗して前記ノック操作体が前進した際に、前記ノック操作体と前記スライド筒部及び前記スライドキャップとが一体的に前進して前記スライドキャップの前記拡縮部が窄み、その後、前記第二の付勢部材の付勢力に抗して前記ノック操作体が更に前進した際に、前記ノック操作体が前記ノック部を押動して、前記シャープペンシル用リフィールから鉛芯が繰り出され、繰り出された鉛芯の前端が前記拡縮部の内面に当接して、鉛芯繰り出し量が規制されるようにしたことを特徴とする。
この構成によれば、先ず最初にノック操作体を第一の付勢部材の付勢力に抗して前進させることで、スライドキャップ前端側の拡縮部が窄む。その後、更にノック操作体を第二の付勢部材の付勢力に抗して前進させれば、該ノック操作体がシャープペンシル用リフィール後端側のノック部を押動し、シャープペンシル用リフィールから鉛芯が繰り出される。この際、鉛芯は、スライドキャップ前端側の拡縮部の内面に当接することで、繰り出し量が規制される。
また、他の技術的手段としては、前記筆記部の前端側を先細状に形成し、前記スライドキャップが前記筆記部を覆った状態から後方へスライドした際に、前記拡縮部が前記筆記部の先端側に摺接されて拡がるようにしてもよい。
この構成によれば、スライドキャップが筆記部を覆った状態から後退させれば、スライドキャップの前端側の拡縮部が、筆記部の先端側に摺接されて拡がる。よって、筆記部の先端側を露出させる際の動作性を向上することができる。
本発明は、以上説明したように構成されているので、以下に記載されるような作用効果を奏する。
固定されたリフィールに対しスライドキャップを進退させる構造であるため、リフィールに急激な前後方向の衝撃が加わるのを防ぐことができる。
その上、スライドキャップを前進させれば、筆記部の前方側を窄んだ拡縮部によって覆うことが可能である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
この出没式筆記具1は、前端に先口部12を有する軸筒10と、筆記部22を前記先口部12の前方へ突出させた状態で前記軸筒10内に固定されたリフィール20と、軸筒軸方向への進退により前記筆記部22を出没させるスライドキャップ30と、該スライドキャップ30の後端に接続されたスライド筒部40と、該スライド筒部40の後端側に接続されるとともに軸筒10の後端部から後方へ突出するノック操作体50と、スライドキャップ30、スライド筒部40、及びノック操作体50を後方へ付勢する付勢部材60と、筆記部22がスライドキャップ30によって覆われるまで前進した際のノック操作体50を係脱する係脱機構70とを具備し、ボールペンを構成している(図1〜5参照)。
軸筒10は、長尺筒状の軸筒本体11と、該軸筒本体11の前端側に接続された先口部12とから構成される。
軸筒本体11は、その外周壁に、リフィール20を軸筒軸方向に不動に固定する止着具13を挿通している。この止着具13は、例えばネジやピン等とすればよく、その外周部を軸筒本体11の周壁に螺合もしくは嵌合して固定し、その先端部をリフィール20を外周面に圧接している。この止着具13は、軸筒周方向に間隔を置いて複数設けられる。
更に、軸筒本体11の外周壁の後部側には、後述する係脱機構70の押ボタン部72b2が挿通されている。
また、軸筒本体11の内周面には、後述する付勢部材60の前端部を係止する係止段部11aが環状に形成されている。
先口部12は、外周部を先細状に形成した略筒状の部材であり、軸筒本体11の前端に、螺合や嵌合等の固定手段によって固定されている。
この先口部12内には、その後部側に、軸筒軸方向へわたって略同径の筒状部12aが形成され、該筒状部12aよりも前部側に、前方へ向かって徐々に縮径される縮径部12bが形成される。
また、リフィール20は、図1〜5に示す一例によればボールペン用リフィールであり、インクを充填した略筒状のインク収容管21と、該インク収容管21の前端に装着されたボールペンチップである筆記部22とから構成される。
筆記部22は、その前端側が徐々に縮径された先細状に形成され、その最前端部のボールハウス内(図示せず)には回動自在に転写ボールを抱持している。
また、スライドキャップ30は、前記リフィール20の周囲に位置する筒部31と、該筒部31の前端部に接続された拡縮部32とからなる。これら筒部31と拡縮部32とは、同一合成樹脂材料によって一体成形すればよいが、各々別体に構成してそれらを接続するようにしてもよい。
筒部31は、リフィール20の外周面と軸筒10の内周面との間で前後方向へスライド可能な筒状に形成され、その後端部には後述するスライド筒部40を接続している。
拡縮部32は、軸筒径方向へ接近離間するように撓む複数の拡縮片部32aからなる(図4及び図5参照)。拡縮片部32aの数は、図示例によれば四つとしているが、二つや三つ、五つ以上とすることが可能である。
拡縮片部32aは、弾性的に撓むことが可能な合成樹脂材料からなり、筒部31の前端面から前方へ延設された部材である。この拡縮片部32aは、図5(a)に示すように、軸筒周方向において所定間隔置きに複数配設されている。
各拡縮片部32aは、本実施の形態に一例によれば、その前端側を軸筒遠心方向へ開いた状態で、筒部31前端に接続されている。すなわち、複数の拡縮片部32aは、その前端側を開いた状態(図1(a)及び図5(a)に示す状態)で成形される。
各拡縮片部32aは、その前端側に、軸筒求心方向へ突出して筆記部22の外周面に近接又は接触する内向き突部32a1を有するとともに、該内向き突部32a1よりも後側に、軸筒遠心方向へ突出して先口部12内の縮径部12bに摺接可能な外向き突部32a2を有する(図4参照)。更に、内向き突部32a1の内面側には、筆記部22の最前端部に当接して嵌り合うように、シール部32a3を有する。
内向き突部32a1は、拡縮片部32aの前端側が軸筒求心方向へ曲がった部分であり、その軸筒求心方向側の突端部は、筆記部22が露出されている際に、筆記部22の外周面に近接又は接触する(図1(a)(b)及び図5(a)参照)。
そして、内向き突部32a1の前記突端部は、筆記部22が覆い隠された状態において、他の拡縮片部32aの内向き突部32a1に当接する(図4及び図5(b)参照)。
外向き突部32a2は、前方斜め軸筒求心方向へ傾斜する傾斜面を有する突起である。前記傾斜面は、図示した好ましい一例によれば、先口部12の縮径部12bと略同角度に形成されている。
シール部32a3は、内向き突部32a1の内面側であって、且つ内向き突部32a1における軸筒求心方向側の端部に設けられる。
このシール部32a3は、他の拡縮片部32aにおけるシール部32a3と接触又は近接した状態(図4及び図5(b)に示す状態)で、筆記部22の最前端部(より具体的には転写ボール、及び筆記部22先端の転写ボールの周囲部分)に嵌り合うよう略凹状に形成されている。換言すれば、複数のシール部32a3が協働して筆記部22の最前端部をシールする。
このシール部32a3は、例えばエラストマー樹脂等の弾性材料からなり、好ましくは二重成形によって拡縮片部32aに一体化される。なお、他例としては、別体に構成されたシール部32a3を拡縮片部32aに嵌合する構成とすることも可能である。
また、スライド筒部40は、スライドキャップ30の後端部に接続されて後方へわたる部材であり、リフィール20の外周面と軸筒10の内周面との間で前後方向へスライド可能な筒状に形成されている。
このスライド筒部40の周壁には、軸筒10周壁に固定された止着具13を挿通させる長孔41が軸筒軸方向へわたって設けられる。この長孔41は、スライド筒部40の進退量に応じた長さに形成され、止着具13に対応して軸筒周方向に複数配設される。
また、ノック操作体50は、軸筒10の後端から後方へ突出する略軸状のノック部51と、該ノック部51の前端から前方へ延設されてスライド筒部40に一体的に接続される連結部52とからなり、スライドキャップ30及びスライド筒部40と共に一体的に進退するようになっている。
また、付勢部材60は、スライド筒部40の周囲に設けられた圧縮コイルバネであり、その前端部を環状スペーサ61を介して、軸筒10内の係止段部11aに係止するとともに、その後端部を後述する係脱機構70を介してスライド筒部40に係止することで、スライドキャップ30、スライド筒部40及びノック操作体50等を後方へ付勢している。
また、係脱機構70は、スライド筒部40の後端に接続固定された被係止部材71と、該被係止部材71に対し係脱する係脱部材72とから構成される。
被係止部材71は、その前端側をスライド筒部40の後端部に嵌合することでスライド筒部40に一体化され、その接続部分の後方側に軸筒求心方向へ突出した係止突部71aを有する。
係脱部材72は、軸筒10に内周面に固定された固定部72aと、該固定部72aから前方へ延設されるとともに軸筒求心方向へ弾性的に撓み可能な弾性部72bとからなる。
固定部72aは、軸筒10の内周面に嵌合された部材であり、ノック操作体50の連結部52を、軸筒軸方向へ進退自在に挿通している。
弾性部72bは、その最前端部を、弾性部72bの軸筒径方向への撓みにより係止突部71aに係脱する係脱部72b1としている。
また、弾性部72bにおける軸筒遠心方向側の部分には、軸筒10の周壁を貫通して軸筒10外へ突出する押ボタン部72b2が設けられる。
前記構成の係脱部材72は、図1(a)に示すように、筆記部22の露出状態で、係脱部72b1が被係止部材71の係止突部71aよりも前方側に位置し、押ボタン部72b2が軸筒10から外部へ突出した状態となるように配設される。
次に、上記構成の出没式筆記具1の動作について詳細に説明する。
先ず、図1(a)に示すように、筆記部22が軸筒10前端から突出して露出された状態では、スライドキャップ30、スライド筒部40、被係止部材71、及びノック操作体50が、付勢部材60によって後方へ付勢された状態で静止し、係脱部材72が、係脱部72b1を係止突部71aよりも前方側に位置した状態で、押ボタン部72b2を軸筒10外へ突出させている。
図1(b)に示すように、付勢部材60の弾発力に抗してノック操作体50が前方へ押圧されると、該ノック操作体50と一体的に、被係止部材71、スライド筒部40、及びスライドキャップ30が前進する。したがって、筆記部22の前端側がスライドキャップ30の拡縮部32によって徐々に覆われてゆく。この際、スライドキャップ30前端の複数の拡縮片部32aは、スライドキャップ30の外向き突部32a2が先口部12内の縮径部12bに摺接されることによって軸筒求心方向へ徐々に窄んでゆく。
そして、図2(c)に示すように、筆記部22の前端側がスライドキャップ30の拡縮部32によって完全に覆われ、拡縮部32を構成する複数の拡縮片部32aが略完全に閉じた状態となる。この状態において、ノック操作体50に対する前方への押圧力が維持されている場合には、係脱機構70を構成する被係止部材71が、係脱部材72前端の係脱部72b1よりも前方に位置する。また、この状態では、図4(a)に示すように、拡縮部32前端の内向き突部32a1内面が、拡縮部32の最前端部から離間した前方側に位置するとともに、各拡縮片部32aにおける前後方向の中途箇所が、前記押圧力により軸筒求心方向へ弾性的に撓んだ状態となる。
次に、図2(d)に示すように、ノック操作体50に対する押圧力が除去された状態では、スライドキャップ30、スライド筒部40、被係止部材71、及びノック操作体50が、付勢部材60の弾発力により若干後退し、係脱部材72前端の係脱部72b1に被係止部材71後端の係止突部71aが当接して、係止状態が維持される。この係止状態では、図4(b)に示すように、拡縮部32前端の内向き突部32a1内面のシール部32a3が、拡縮部32の最前端部に嵌り合う。したがって、筆記部22前端からインク洩れを生じるようなことを防ぐことができる。なお、この係止状態では、各拡縮片部32aにおける前述した撓み(図4(a)参照)は、弾性的に復元した状態(図4(b)参照)となる。
次に図3(e)に示すように、外部から押ボタン部72b2が押圧されると、係脱部材72の弾性部72bが軸筒求心方向へ撓み、係脱部材72前端の係脱部72b1が、被係止部材71後端の係止突部71aから外れる。
したがって、スライドキャップ30、スライド筒部40、被係止部材71、及びノック操作体50は、付勢部材60の弾発力により後方へ移動する。
この際、スライドキャップ30前端側の複数の拡縮片部32aは、図3(f)に示すように、該拡縮片部32a自体の弾性的な復元力によって、徐々に軸筒遠心方向へ拡がってゆく。そして、スライドキャップ30が後退しきると、筆記部22は、その前端側を略完全に露出して、先口部12の前方へ突出した筆記可能状態になる。
上記構成の出没式筆記具1によれば、リフィール20に急激な前後方向の衝撃が加わるのを防ぐことができ、ひいては、前記衝撃に起因した不書きや筆記掠れを防ぐことができる。
しかも、スライドキャップ30によって筆記部22を覆った状態では、筆記部22の前方側が窄んで閉じられるため、万が一インク洩れが生じた場合でも、洩れたインクが外部へ流出するのを阻むことができる。
次に、シャープペンシルを構成した出没式筆記部2について、図6〜8に基づき説明する。なお、この出没式筆記部2について、上記出没式筆記具1と略同様に作用する部分については、上記出没式筆記具1の場合と同一の符号を用いることで重複する詳細説明を省略する。
出没式筆記部2は、前端に先口部12を有する軸筒10’と、筆記部22を前記先口部12の前方へ突出させた状態で前記軸筒10’内に固定されたリフィール20’と、軸筒軸方向への進退により前記筆記部22’を出没させるスライドキャップ30と、該スライドキャップ30の後端に接続されたスライド筒部40’と、該スライド筒部40’の後端側に接続されるとともに軸筒10’の後端部から後方へ突出するノック操作体50’と、軸筒10’に対しスライド筒部40’及びノック操作体50’を後方へ付勢する第一の付勢部材81と、スライド筒部40’に対しノック操作体50’を後方へ付勢するとともに第一の付勢部材81よりも付勢力の大きい第二の付勢部材82と、筆記部22’がスライドキャップ30によって覆われるまで前進した際のノック操作体50を係脱する係脱機構90とを具備する。
そして、この出没式筆記部2は、第一の付勢部材81の付勢力に抗してノック操作体50’が前進した際に、ノック操作体50’とスライド筒部40’及びスライドキャップ30とが一体的に前進してスライドキャップ30の拡縮部32が窄み、その後、第二の付勢部材82の付勢力に抗してノック操作体50’が更に前進した際に、ノック操作体50’がノック部21’を押動して、シャープペンシル用のリフィール20’から鉛芯が繰り出され、繰り出された鉛芯の前端が拡縮部32の内向き突部32a1内面に当接して、鉛芯繰り出し量が規制されるように構成される。
詳細に説明すれば、軸筒10’は、長尺筒状の軸筒本体11’と、該軸筒本体11’の前端側に接続された先口部12とから構成される。
軸筒本体11’は、その外周壁に、リフィール20’を軸筒軸方向に不動に固定する止着具13を挿通している。軸筒本体11’の周壁の後端側には、軸筒径方向へ撓み可能な押ボタン部11a’が構成されている。
この押ボタン部11a’は、軸筒本体11’の外周面に凸部11a1’を設けるとともに、該凸部11a1’の周囲を略U字状に切欠し、更にそのU字状部分の内面に凹部11a2’を形成してなる。この構成によれば、凸部11a1’が軸筒求心方向へ押圧されると、凸部11a1’近傍のU字状部分が同求心方向へ撓むことになる。
なお、図示例では、押ボタン部11a’を軸筒本体11’と一体的な構成としたが、他例としては、軸筒求心方向へ押動可能な押ボタン部を、軸筒本体11’とは別体に設けることも可能である。
また、リフィール20’は、後端側のノック部21’に対する押動操作により、図示しない内部のチャック機構を前進させ、該チャック機構によって筆記部22’から鉛芯を繰り出すようにした周知構造のシャープペンシル用リフィールである。
このリフィール20’は、前記ノック部21’よりも前側の部分が、止着具13によって軸筒本体11’に対し不動に固定されている。
リフィール20’の前記ノック部21’は、その前側部分に対し所定量進退するように設けられるとともに、図示しないバネによって後方へ付勢されている。
リフィール20’の動作を詳細に説明すれば、ノック部21’が前進した際に鉛芯も前進し、ノック部21’が後退した際には鉛芯の前進が停止する。
スライド筒部40’は、スライドキャップ30の後端部に接続されて後方へわたる部材であり、リフィール20’の外周面と軸筒10’の内周面との間で前後方向へスライド可能な筒状に形成されている。
このスライド筒部40’の周壁には、軸筒10’周壁に固定された止着具13を挿通させる長孔41’が軸筒軸方向へわたって設けられる。この長孔41’は、スライド筒部40’の進退量に応じた長さに形成され、止着具13に対応して軸筒周方向に複数配設される。
また、スライド筒部40’外周の後端側には、環状凸部42’が一体的に設けられる。この環状凸部42’は、軸筒10’内周面に摺接する略円筒状に形成され、その前端部に後述する第一の付勢部材81の後端部が当接され、その後端部には後述する第二の付勢部材82の前端部が当接される。
なお、環状凸部42’は、スライド筒部40’と別体部材をスライド筒部40’に対し固定したものであってもよい。
また、ノック操作体50’は、軸筒10’の後端から後方へ突出する略軸状のノック部51’と、該ノック部51’の前端側に設けられた環状凸部52’と、該環状凸部52’の前方側へ突出してスライド筒部40’内に進退可能に挿入された挿入軸部53’とから一体的に構成される。
環状凸部52’は、軸筒10’内周面に摺接する略円柱状に形成され、その外周側の部分には係脱片部52a’が設けられる。
係脱片部52a’は、環状凸部52’から前方へ突出する平板状の部材であり、その突端側に軸筒遠心方向へ突出する突起52a1’を有する。この係脱片部52a’の長さは、ノック操作体50’が前進してノック部21’に近接又は接触した際(図7(c)に示す状態)に、突起52a1’を軸筒10’内周面の凹部11a2’に係止するように設定される。
ノック操作体50’の前側部分(詳細には環状凸部52’、突起52a1’、及び挿入軸部53’)は、筆記部22’が露出された状態(図6(a)参照)において、前記突起52a1’を軸筒10’内周面に当接させ、係脱片部52a’を軸筒求心方向へ撓ませた状態で、軸筒10’内に挿入されている。
また、第一の付勢部材81は、スライド筒部40’前部側の周囲に設けられた圧縮コイルバネであり、その前端部を環状スペーサ61を介して、軸筒10’内の係止段部11aに係止するとともに、その後端部をスライド筒部40における環状凸部42’に当接させることで、スライドキャップ30、スライド筒部40’を後方へ付勢している。
また、第二の付勢部材82は、スライド筒部40’後部側の周囲に設けられた圧縮コイルバネであり、その前端部をスライド筒部40’の環状凸部42’に当接させるとともに、ノック操作体50’の環状凸部52’に当接させて、ノック操作体50’をスライド筒部40’に相対し後方へ付勢している。
この第二の付勢部材82の弾発力は、第一の付勢部材81の弾発力よりも強く設定される。
係脱機構90は、軸筒10’周壁の押ボタン部11a’,凹部11a2’、ノック操作体50’の係脱片部52a’及び突起52a1’等からなる機構であり、係脱片部52a’前端側の突起52a1’を押ボタン部11a’内側の凹部11a2’に係脱する。
次に、上記構成の出没式筆記部2の動作について詳細に説明する。
先ず、図2(a)に示すように、筆記部22’が軸筒10’前端から突出して露出された状態では、スライドキャップ30、及びスライド筒部40’が第一の付勢部材81によって後方へ付勢された状態で静止し、更に、ノック操作体50’が第二の付勢部材82によって後方へ付勢された状態で静止している。
図6(b)に示すように、第一の付勢部材81の弾発力に抗してノック操作体50’が前方へ押圧されると、該ノック操作体50’と一体的に、スライド筒部40’、及びスライドキャップ30が前進する。したがって、筆記部22’の前端側がスライドキャップ30の拡縮部32によって徐々に覆われてゆく。この際、スライドキャップ30前端の複数の拡縮片部32aは、スライドキャップ30の外向き突部32a2が先口部12内の縮径部12bに摺接されることによって軸筒求心方向へ徐々に窄んでゆく。
そして、図6(b)に示すように、スライドキャップ30前端の閉鎖後もノック操作体50’に対する前方への押圧力が維持されると、第一の付勢部材81が全密着状態となり、続いて第二の付勢部材82が圧縮されるため、ノック操作体50’は更に前進を続ける。
次に、図7(c)に示すように、ノック操作体50’の前端部がノック部21’の後端部に対し近接または接触すると、ノック操作体50’の係脱片部52a’前端側の突起52a1’が凹部11a2’に係止され、ノック操作体50’が後退不能な状態になる。
前記状態でノック操作体50’に対し更に押圧力が加わると、図7(d)に示すように、リフィール20’後端のノック部21’が、ノック操作体50’に押されて、該ノック部21’よりも前側の部分(例えば芯タンク等)に当接するまで前進する。この前進中に、リフィール20の筆記部22’前端からは鉛芯が繰り出されることになる。一方、この前進中、突起52a1’は凹部11a2’内で前進する。
前記のようにして繰り出される鉛芯は、図8(b)に示すように、スライドキャップ30前端の内向き突部32a1内面に当接することで、その鉛芯繰り出し量Wが規制されることになる。すなわち、鉛芯繰り出し量Wは、内向き突部32a1内面と筆記部22前端部との間の距離に略一致する。
なお、前記状態(図7(c)(d)に示す状態)では、ノック操作体50’の往復動によりノック部21’の進退が繰り返された場合も、鉛芯繰り出し量Wを略一定にすることができる。
次に、筆記部22’を露出状態に戻す際には、図7(c)に示す状態において押ボタン部11a’を軸筒求心方向へ押圧すればよい。この操作によれば、軸筒求心方向へ移動する押ボタン部11a’によって突起52a1’が押され、該突起52a1’が凹部11a2’から外される。よって、ノック操作体50’は、第一の付勢部材81及び第二の付勢部材82の付勢力によって後退する。そして、該ノック操作体50’の後退に伴って、スライド筒部40’及びスライドキャップ30も後退するため、スライドキャップ30前端の複数の拡縮片部32aが拡がりながら後退し、筆記部22’が露出されて筆記可能状態になる。
なお、上記実施の形態によれば、スライドキャップ30前端側の拡縮片部32aを、それ自体の弾性によって軸筒遠心方向へ拡がる構成としたが、他例としては、逆に、拡縮片部32aをそれ自体の弾力によって軸筒求心方向へ窄む構成や、各拡縮片部32aが筒部31に対し揺動自在な構成とすることも可能である。このような構成においても、拡縮片部32aを、前進の際に先口部12内面の縮径部12bに沿って軸筒求心方向へ撓ませることができ、また、同拡縮片部32aを、後退の際には筆記部22前端の先細状部分に摺接させて軸筒遠心方向へ撓ませることが可能である。
また、係脱機構70は、筆記部22がスライドキャップ30によって覆われるまでノック操作体50が前進した状態(図2(c)の状態)で、この状態のノック操作体50を係脱可能な構成であればよく、図示例以外の構成とすることも可能である。
また、係脱機構90は、筆記部22’がスライドキャップ30によって覆われるまでノック操作体50’が前進した状態(図7(c)の状態)で、この状態のノック操作体50’を係脱可能な構成であればよく、図示例以外の構成とすることも可能である。
本発明に係わる出没式筆記部の一例を示す断面図であり、(a)は筆記部が露出された状態を示し、(b)はスライドキャップが前進している途中の状態を示す。 同出没式筆記部を示す断面図であり、(c)は筆記部がスライドキャップによって覆われた状態を示し、(b)は押圧力が解除されてスライドキャップが若干後退し係止された状態を示す。 同出没式筆記部を示す断面図であり、(e)は押ボタン部に対する押圧操作により係脱機構が解除された状態を示し、(f)はスライドキャップが後退した状態を示す。 同出没式筆記部を示す要部拡大断面図であり、(a)は後方側から押圧力が維持されている状態を示し、(b)は後方側からの押圧力が解除された状態を示す。 同出没式筆記部を前方側から示す図であり、(a)は拡縮部が開放した状態を示し、(b)は拡縮部が閉鎖した状態を示す。 本発明に係わる出没式筆記部の他例を示す断面図であり、(a)は筆記部が露出された状態を示し、(b)は筆記部がスライドキャップによって覆われノック操作体が前進途中の状態を示す。 同出没式筆記具を示す断面図であり、(a)は筆記部がスライドキャップによって覆われノック操作体が係止された状態を示し、(b)は鉛芯繰り出し操作が行われた状態を示す。 同出没式筆記部を示す要部拡大断面図であり、(a)は筆記部がスライドキャップによって覆われた状態を示し、(b)は鉛芯繰り出し操作が行われた状態を示す。
符号の説明
1,2:出没式筆記部 10:軸筒
11,11’:軸筒本体 12:先口部
20,20’:リフィール 21’:ノック部
22:筆記部 30:スライドキャップ
31:筒部 32:拡縮部
32a:拡縮片部 40:スライド筒部
50,50’:ノック操作体 60:付勢部材
70,90:係脱機構 81:第一の付勢部材
82:第二の付勢部材

Claims (6)

  1. 前端に先口部を有する軸筒と、
    筆記部を前記先口部の前方へ突出させた状態で前記軸筒内に固定されたリフィールと、
    前記軸筒の内周面と前記リフィールの外周面との間に位置した状態で、前方へスライドすることで前記筆記部を覆い、後方へスライドすることで同筆記部を露出させるスライドキャップとを具備し、
    前記先口部の内周面の前側にはその後側よりも縮径された縮径部が設けられ、
    前記スライドキャップは、少なくともその前端側に、径方向へ拡縮可能な拡縮部を有し、前方へスライドする際に前記拡縮部を前記縮径部に摺接させて窄ませることを特徴とする出没式筆記具。
  2. 前記スライドキャップは、前記リフィールの周囲に位置する筒部と、該筒部の前側に接続された前記拡縮部とからなり、
    前記拡縮部は、軸筒径方向へ接近離間するように撓む複数の拡縮片部からなることを特徴とする請求項1記載の出没式筆記部。
  3. 前記各拡縮片部は、その前端側に、軸筒求心方向へ突出して前記筆記部の外周面に摺接可能な内向き突部を有するとともに、該突部よりも後側に、軸筒遠心方向へ突出して前記先口部内の前記縮径部に摺接可能な外向き突部を有することを特徴とする請求項2記載の出没式筆記具。
  4. 前記スライドキャップの後端側に接続されるとともに前記軸筒の後端部から後方へ突出するノック操作体と、前記スライドキャップ及び前記ノック操作体を後方へ付勢する付勢部材と、前記スライドキャップによって前記筆記部が覆われるまで前進した際の前記ノック操作体を係脱する係脱機構とを備えたことを特徴とする請求項1乃至3何れか1項記載の出没式筆記具。
  5. 前記リフィールが、後端側のノック部に対する押動操作により前端側の筆記部から鉛芯を繰り出すシャープペンシル用リフィールであり、
    前記スライドキャップの前記拡縮部が窄んだ状態で前記シャープペンシル用リフィールから鉛芯が繰り出された際に、繰り出された鉛芯の前端が前記拡縮部の内面に当接して、鉛芯繰り出し量が規制されるようにしたことを特徴とする請求項1乃至4何れか1項記載の出没式筆記具。
  6. 前記リフィールが、後端側のノック部に対する押動操作により前端側の筆記部から鉛芯を繰り出すシャープペンシル用リフィールであり、
    前記リフィールの周囲において前記スライドキャップの後端に接続されたスライド筒部と、前記軸筒の後端部から後方へ突出して前後方向へ進退可能なノック操作体と、前記軸筒に対し前記スライド筒部を後方へ付勢する第一の付勢部材と、前記スライド筒部に対し前記ノック操作体を後方へ付勢するとともに前記第一の付勢部材よりも付勢力の大きい第二の付勢部材とを具備し、
    前記第一の付勢部材の付勢力に抗して前記ノック操作体が前進した際に、前記ノック操作体と前記スライド筒部及び前記スライドキャップとが一体的に前進して前記スライドキャップの前記拡縮部が窄み、その後、前記第二の付勢部材の付勢力に抗して前記ノック操作体が更に前進した際に、前記ノック操作体が前記ノック部を押動して、前記シャープペンシル用リフィールから鉛芯が繰り出され、繰り出された鉛芯の前端が前記拡縮部の内面に当接して、鉛芯繰り出し量が規制されるようにしたことを特徴とする請求項1乃至4何れか1項記載の出没式筆記具。
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