JP2010062762A - 情報処理装置、復号処理方法、及び信号伝送方法 - Google Patents

情報処理装置、復号処理方法、及び信号伝送方法 Download PDF

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Abstract

【課題】消費電力が少なく、回路規模が小さく、受信側のデータ判定に用いる閾値の設定精度が緩和された情報処理装置を提供すること。
【解決手段】互いに異なる第1及び第2のビット値を含む入力データに対し、前記第1のビット値を複数の第1の振幅値で表現し、前記第2のビット値を前記第1の振幅値とは異なる第2の振幅値で表現し、連続して同じ振幅値をとらず、かつ、一周期毎に振幅値の極性が反転するように符号化された信号を受信する信号受信部と、前記信号受信部により受信された信号の振幅を自乗する振幅自乗部と、前記振幅自乗部から出力された信号の振幅値に基づいて前記第1及び第2のビット値を判定し、前記入力データを復号する入力データ復号部とを備える、情報処理装置が提供される。
【選択図】図15

Description

本発明は、情報処理装置、復号処理方法、及び信号伝送方法に関する。
携帯電話等に代表される携帯端末においては、ユーザが操作する操作部分と、情報が表示される表示部分との接続部分に可動部材が用いられていることが多い。例えば、折り畳み式の携帯電話の開閉構造等が代表的なものである。さらに、最近の携帯電話は、通話機能やメール機能の他にも、映像の視聴機能や撮像機能等が搭載されており、ユーザの用途に応じて上記の接続部分が複雑に可動することが求められる。例えば、映像の視聴機能を利用する場合、ユーザは、表示部分を自身の側に向け、視聴に不要な操作部分を収納したいと考えるであろう。このように、携帯電話を通常の電話として利用する場合や、デジタルカメラとして利用する場合、或いは、テレビジョン受像機として利用する場合、その用途に合わせて表示部分の向きや位置を簡単に変更出来るような構造が求められている。
ところが、操作部分と表示部分との間の接続部分には、多数の信号線や電力線が配線されている。例えば、表示部分には、数十本の配線がパラレルに接続されている(図1を参照)。そのため、上記のように複雑な動きができる可動部材を接続部分に用いると、配線の信頼性等が著しく低下してしまう。こうした理由から、接続部分の信号線を減らすためにパラレル伝送方式からシリアル伝送方式(図2を参照)に技術がシフトしてきている。もちろん、同様の理由による技術的なシフトは、携帯電話の世界に限らず、複雑な配線が求められる様々な電子機器の世界においても生じている。なお、シリアル化する理由としては、上記の他、放射電磁雑音(EMI;Electro Magnetic Interference)を低減したいというものもある。
さて、上記のようなシリアル伝送方式においては、伝送データが所定の方式で符号化されてから伝送される。この符号化方式としては、例えば、NRZ(Non Return to Zero)符号方式やマンチェスター符号方式、或いは、AMI(Alternate Mark Inversion)符号方式等が利用される。例えば、下記の特許文献1には、バイポーラ符号の代表例であるAMI符号を利用してデータ伝送する技術が開示されている。また、同文献には、データクロックを信号レベルの中間値で表現して伝送し、受信側で信号レベルに基づいてデータクロックを再生する技術が開示されている。
特開平3−109843号公報
上記の符号化方式のうち、NRZ符号方式の信号には直流成分が含まれてしまう。そのため、NRZ符号方式の信号は、電源等の直流成分と一緒に伝送することが難しい。一方、マンチェスター符号方式やAMI符号方式の信号には直流成分が含まれない。そのため、電源等の直流成分と一緒に伝送することができる。しかしながら、マンチェスター符号方式やAMI符号方式は、受信側で信号のデータクロックを再生するためにPLL(Phase−Locked Loop)回路が必要になる。そのため、PLL回路が受信側に設けられた分だけ消費電流量が増大してしまう。また、マンチェスター符号方式は、振幅の立ち上がりと立ち下がりを利用してデータレートの2倍のクロックでデータが伝送される。その結果、高クロック動作により消費電流が増加してしまう。
こうした問題点に鑑み、直流成分を含まず、かつ、クロック再生時にPLL回路が不要な符号及びこれを用いた信号伝送技術が開発された。この技術は、互いに異なる第1及び第2のビット値を含む入力データに対し、前記第1のビット値を複数の第1の振幅値で表現し、前記第2のビット値を前記第1の振幅値とは異なる第2の振幅値で表現し、連続して同じ振幅値をとらず、かつ、一周期毎に振幅値の極性が反転するように符号化して伝送するというものである。しかしながら、当該技術により符号化された伝送信号から第1及び第2のビット値を判定するには、何度も閾値判定処理を繰り返す必要がある。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、直流成分を含まず、かつ、クロック再生時にPLL回路が不要な符号からビット値を復号する際に行う閾値判定処理の回数を低減させることが可能な、新規かつ改良された情報処理装置、及び信号判定方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、互いに異なる第1及び第2のビット値を含む入力データに対し、前記第1のビット値を複数の第1の振幅値で表現し、前記第2のビット値を前記第1の振幅値とは異なる第2の振幅値で表現し、連続して同じ振幅値をとらず、かつ、一周期毎に振幅値の極性が反転するように符号化された信号を受信する信号受信部と、前記信号受信部により受信された信号の振幅を自乗する振幅自乗部と、前記振幅自乗部から出力された信号の振幅値に基づいて前記第1及び第2のビット値を判定し、前記入力データを復号する入力データ復号部とを備える、情報処理装置が提供される。
また、上記の情報処理装置は、前記信号受信部により受信された信号の極性反転周期を検出し、当該極性反転周期に基づいて当該信号のクロック成分を検出するクロック成分検出部をさらに備えていてもよい。この場合、前記入力データ復号部は、前記クロック成分検出部により検出されたクロック成分を用いて前記入力データを復号する。
また、上記の情報処理装置は、前記符号化された信号が直流電流に重畳された上で電源線路を介して伝送され、前記信号受信部により前記直流電流から分離されるように構成されていてもよい。
また、上記の情報処理装置は、前記第1のビット値が振幅値0で表現され、かつ、前記第2のビット値が振幅値A及び−A(Aは任意の実数)の繰り返しで表現される伝送速度Fbの符号化信号Xに対し、振幅値n*A(n>1)及び周波数Fb/2を有するクロック信号を加算して符号化信号を生成する符号化信号生成部と、前記符号化信号生成部により生成された符号化信号を所定の伝送線路を介して前記信号受信部に伝送する信号伝送部とをさらに備えていてもよい。
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、互いに異なる第1及び第2のビット値を含む入力データに対し、前記第1のビット値を複数の第1の振幅値で表現し、前記第2のビット値を前記第1の振幅値とは異なる第2の振幅値で表現し、連続して同じ振幅値をとらず、かつ、一周期毎に振幅値の極性が反転するように符号化された信号が受信される信号受信ステップと、前記信号受信ステップで受信された信号の振幅が自乗される振幅自乗ステップと、前記振幅自乗ステップで自乗された信号の振幅値に基づいて前記第1及び第2のビット値が判定されるビット値判定ステップと、前記ビット値判定ステップで判定されたビット値に基づいて前記入力データが復号される入力データ復号ステップとを含む、復号処理方法が提供される。
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、互いに異なる第1及び第2のビット値を含む入力データが符号化されて、前記第1のビット値が振幅値0で表現され、かつ、前記第2のビット値が振幅値A及び−A(Aは任意の実数)の繰り返しで表現される伝送速度Fbの符号化信号Xが生成されるデータ符号化ステップと、前記データ符号化ステップで生成された符号化信号Xに対し、振幅値n*A(n>1)及び周波数Fb/2を有するクロック信号が加算されるクロック加算ステップと、前記クロック加算ステップでクロック信号が加算された符号化信号Yが所定の伝送線路を通じて伝送される信号伝送ステップと、前記所定の伝送線路を通じて前記符号化信号Yが受信される信号受信ステップと、前記信号受信ステップで受信された符号化信号Yの振幅が自乗される自乗ステップと、前記自乗ステップで振幅が自乗された符号化信号Yの振幅値に基づいて前記第1及び第2のビット値が判定されるビット値判定ステップと、前記ビット値判定ステップで判定されたビット値に基づいて前記入力データが復号される入力データ復号ステップとを含む、信号伝送方法が提供される。
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、上記の情報処理装置が有する機能をコンピュータに実現させるためのプログラムが提供されうる。さらに、当該プログラムが記録されたコンピュータにより読み取り可能な記録媒体が提供されうる。
以上説明したように本発明によれば、直流成分を含まず、かつ、クロック再生時にPLL回路が不要な符号からビット値を復号する際に行う閾値判定処理の回数を低減させることが可能になる。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
[説明の流れについて]
ここで、以下に記載する本発明の実施形態に関する説明の流れについて簡単に述べる。まず、図1を参照しながら、パラレル伝送方式を採用した携帯端末等が抱える技術的課題について簡単に説明する。次いで、図2〜図6を参照しながら、シリアル伝送方式を採用した信号伝送技術が抱える課題について説明する。
次いで、図7〜図13を参照しながら、シリアル伝送方式を採用した信号伝送技術が抱える課題を解決するために考案された新規な信号伝送技術について説明する。ここで言う新規な信号伝送技術は、直流成分を含まず、かつ、クロック再生時にPLL回路が不要な符号を用いて信号を伝送する方式に関するものである。後述する本発明の実施形態に係る技術は、このような符号を用いる場合に、信号からビット値を抽出する際の復号処理を効率化する技術に関するものである。
次いで、図14を参照しながら、本発明の一実施形態に係る携帯端末の機能構成について説明する。さらに、図15、図16を参照しながら、当該携帯端末が有する信号処理部の回路構成等について説明する。次いで、図17を参照しながら、同実施形態に係る信号処理方法の全体的な流れについて説明する。そして、図18を参照しながら、当該信号処理方法を適用した場合に得られる効果について説明する。最後に、同実施形態の技術的思想について纏め、当該技術的思想から得られる作用効果について簡単に説明する。
[課題の整理]
まず、本発明の一実施形態に係る技術について詳細な説明をするに先立ち、同実施形態が解決しようとする課題について簡単に纏める。
(パラレル伝送方式について)
まず、図1を参照しながら、パラレル伝送方式を採用した携帯端末100の構成例について簡単に説明する。図1は、パラレル伝送方式を採用した携帯端末100の構成例を示す説明図である。なお、図1には、携帯端末100の一例として携帯電話が模式的に描画されている。しかし、以下で説明される技術の適用範囲は、携帯電話に限定されるものではない。
図1に示すように、携帯端末100は、主に、表示部102と、液晶部104(LCD;Liquid Crystal Display)と、接続部106とを有する。さらに、携帯端末100は、操作部108と、ベースバンドプロセッサ110(BBP)と、パラレル信号線路112とを有する。以下の説明において、表示部102を表示側、操作部108を本体側と呼ぶ場合がある。また、映像信号が本体側から表示側へと伝送される場合について説明する。もちろん、以下で説明される技術は、これに限定されるものではない。
図1に示すように、表示部102には、液晶部104が設けられている。そして、液晶部104には、パラレル信号線路112を介して伝送された映像信号が表示される。また、接続部106は、表示部102と操作部108とを接続する部材である。この接続部106を形成する接続部材は、例えば、表示部102をZ−Y平面内で180度回転できる構造を有する。また、この接続部材は、X−Z平面内で表示部102が回転可能に形成され、携帯端末100を折り畳みできる構造を有する。なお、任意の方向に表示部102が向くように複雑な可動形態を有する接続部材が用いられていてもよい。
さて、ベースバンドプロセッサ110は、携帯端末100の通信制御、及びアプリケーションの実行機能を提供する演算処理部である。ベースバンドプロセッサ110から出力されるパラレル信号は、パラレル信号線路112を通じて表示部102の液晶部104に伝送される。パラレル信号線路112には、多数の信号線が配線されている。例えば、携帯電話の場合、この信号線数nは50本程度である。また、映像信号の伝送速度は、液晶部104の解像度がQVGAの場合、130Mbps程度となる。そして、パラレル信号線路112は、接続部106を通るように配線されている。
つまり、接続部106には、パラレル信号線路112を形成する多数の信号線が配線されている。上記のように、接続部106の可動範囲が広いと、接続部106が動かされた場合にパラレル信号線路112に損傷が発生してしまう。そのため、パラレル信号線路112の信頼性が損なわれてしまう。一方で、パラレル信号線路112の信頼性を維持しようとすると、接続部106の可動範囲が制約されてしまう。こうした理由から、接続部106を形成する可動部材の自由度、及びパラレル信号線路112の信頼性を両立させる目的で、シリアル伝送方式が携帯電話等に採用されることが多くなってきている。また、放射電磁雑音(EMI)を抑制するという観点からも、伝送線路のシリアル化が進められている。
(シリアル伝送方式について)
そこで、図2を参照しながら、シリアル伝送方式を採用した携帯端末130の構成例について簡単に説明する。図2は、シリアル伝送方式を採用した携帯端末130の構成例を示す説明図である。なお、図2には、携帯端末130の一例として携帯電話が模式的に描画されている。しかし、以下で説明される技術の適用範囲は、携帯電話に限定されるものではない。また、図1に示したパラレル伝送方式の携帯端末100と実質的に同一の機能を有する構成要素については、同一の符号を付することにより詳細な説明を省略する。
図2に示すように、携帯端末130は、主に、表示部102と、液晶部104(LCD)と、接続部106と、操作部108とを有する。さらに、携帯端末130は、ベースバンドプロセッサ110(BBP)と、パラレル信号線路132、140と、シリアライザ134と、シリアル信号線路136と、デシリアライザ138とを有する。
携帯端末130は、上記の携帯端末100とは異なり、接続部106に配線されたシリアル信号線路136を通じ、シリアル伝送方式に基づいて映像信号等(シリアル信号)を伝送している。そのため、操作部108には、ベースバンドプロセッサ110から出力されたパラレル信号をシリアル化するためのシリアライザ134が設けられている。一方、表示部102には、シリアル信号線路136を通じて伝送されたシリアル信号をパラレル化するためのデシリアライザ138が設けられている。
シリアライザ134は、ベースバンドプロセッサ110から出力され、かつ、パラレル信号線路132を介して入力されたパラレル信号をシリアル信号に変換する。シリアライザ134から出力されたシリアル信号は、シリアル信号線路136を通じてデシリアライザ138に入力される。そして、デシリアライザ138は、入力されたシリアル信号を元のパラレル信号に復元し、パラレル信号線路140を通じて液晶部104に入力する。
シリアル信号線路136には、例えば、NRZ符号方式で符号化されたデータ信号が単独で伝送されるか、或いは、データ信号とクロック信号とが一緒に伝送される。シリアル信号線路136の配線数kは、図1の携帯端末100が有するパラレル信号線路112の配線数nよりも大幅に少ない(1≦k≪n)。例えば、配線数kは、数本程度まで削減することができる。
そのため、シリアル信号線路136が配線される接続部106の可動範囲に関する自由度は、パラレル信号線路112が配線される接続部106に比べて非常に大きいと言える。このように信号の伝送線路をシリアル化することで、シリアル信号線路136の信頼性を格段に高めることができる。なお、シリアル信号線路136を流れるシリアル信号には、多くの場合、LVDS(Low Voltage Differential Signal)等の差動信号が用いられている。
(機能構成)
ここで、図3を参照しながら、シリアル伝送方式を採用した携帯端末130の機能構成について説明する。図3は、シリアル伝送方式を採用した携帯端末130の機能構成の一例を示す説明図である。但し、図3は、シリアライザ134、及びデシリアライザ138の機能構成を中心に描画した説明図であり、他の構成要素に関する記載を省略している。
(シリアライザ134)
図3に示すように、シリアライザ134は、P/S変換部152と、エンコーダ154と、LVDSドライバ156と、PLL部158と、タイミング制御部160とにより構成される。
まず、シリアライザ134には、ベースバンドプロセッサ110からパラレル信号(P−DATA)、及びパラレル信号用クロック(P−CLK)が入力される。シリアライザ134に入力されたパラレル信号は、P/S変換部152によりシリアル信号に変換される。P/S変換部152により変換されたシリアル信号は、エンコーダ154に入力される。エンコーダ154は、シリアル信号にヘッダ等を付加してLVDSドライバ156に入力する。LVDSドライバ156は、入力されたシリアル信号をLVDSによる差動伝送方式でデシリアライザ138に伝送する。
なお、シリアライザ134に入力されたパラレル信号用クロックは、PLL部158に入力される。PLL部158は、パラレル信号用クロックからシリアル信号用クロックを生成し、P/S変換部152、及びタイミング制御部160に入力する。タイミング制御部160は、入力されるシリアル信号用クロックに基づいてエンコーダ154によるシリアル信号の送信タイミングを制御する。
(デシリアライザ138)
デシリアライザ138は、主に、LVDSレシーバ172と、デコーダ174と、S/P変換部176と、クロック再生部178と、PLL部180と、タイミング制御部182とにより構成される。
デシリアライザ138には、LVDSによる差動伝送方式でシリアライザ134からシリアル信号が伝送される。このシリアル信号は、LVDSレシーバ172により受信される。LVDSレシーバ172により受信されたシリアル信号は、デコーダ174、及びクロック再生部178に入力される。デコーダ174は、入力されたシリアル信号のヘッダを参照してデータの先頭部分を検出し、S/P変換部176に入力する。S/P変換部176は、入力されたシリアル信号をパラレル信号(P−DATA)に変換する。S/P変換部176で変換されたパラレル信号は液晶部104に出力される。
一方、クロック再生部178は、外部から入力されるリファレンスクロックを参照し、内蔵するPLL部180を用いてシリアル信号用クロックからパラレル信号用クロックを再生する。クロック再生部178により再生されたパラレル信号用クロックは、デコーダ174、及びタイミング制御部182に入力される。タイミング制御部182は、クロック再生部178から入力されたパラレル信号用クロックに基づいて受信タイミングを制御する。また、タイミング制御部182に入力されたパラレル信号用クロック(P−CLK)は、液晶部104に出力される。
このように、ベースバンドプロセッサ110からシリアライザ134に入力されたパラレル信号(P−DATA)、及びパラレル信号用クロック(P−CLK)は、シリアル信号に変換されてデシリアライザ138に伝送される。そして、入力されたシリアル信号は、デシリアライザ138により元のパラレル信号、及びパラレル信号用クロックに復元され、液晶部104に出力される。
以上説明した携帯端末130のように、パラレル信号をシリアル信号に変換して伝送することにより、その伝送線路がシリアル化される。その結果、シリアル信号線路が配置される部分の可動範囲が拡大し、表示部102の配置に関する自由度が向上する。そのため、例えば、携帯端末130を利用してテレビジョン放送等を視聴する場合に、表示部102の配置がユーザから見て横長になるように携帯端末130を変形させることができるようになるのである。こうした自由度の向上に伴い、携帯端末130の用途が広がり、通信端末としての各種機能に加えて、映像や音楽の視聴等、様々な利用形態が生まれている。
(応用例:電源線を利用したデータ伝送方式)
ところで、上記の携帯端末130のエンコーダ154は、例えば、直流成分を含まないマンチェスター符号方式等に基づいて入力データを符号化するように構成されていてもよい。この場合、符号化信号は直流成分を含まないため、電源に重畳して伝送することが可能になる。そこで、上記の携帯端末130を電源線伝送方式に適用した携帯端末230の構成について説明する。
(機能構成)
まず、図4を参照しながら、電源線を利用してデータを伝送することが可能な携帯端末230の機能構成について説明する。図4は、電源線を利用してデータ伝送することが可能な携帯端末230の機能構成の一例を示す説明図である。但し、図4は、シリアライザ134、及びデシリアライザ138の機能構成を中心に描画した説明図であり、他の構成要素に関する記載を省略している。また、携帯端末230が有する各構成要素のうち、既に述べた携帯端末130と実質的に同一の機能構成を有する構成要素については同一の符号を付することにより詳細な説明を省略した。
(シリアライザ134)
シリアライザ134は、P/S変換部152と、エンコーダ154と、LVDSドライバ156と、PLL部158と、タイミング制御部160とにより構成される。
シリアライザ134には、ベースバンドプロセッサ110から、パラレル信号(P−DATA)、及びパラレル信号用クロック(P−CLK)が入力される。シリアライザ134に入力されたパラレル信号は、P/S変換部152によりシリアル信号に変換される。P/S変換部152により変換されたシリアル信号は、エンコーダ154に入力される。エンコーダ154は、シリアル信号にヘッダ等を付加し、マンチェスター符号方式等の直流成分の無い(又は少ない)方式で符号化する。エンコーダ154から出力された信号は、LVDSドライバ156に入力される。
LVDSドライバ156は、入力されたシリアル信号をLVDSにして重畳部232に入力する。重畳部232は、LVDSドライバ156から入力された信号を電源ラインに重畳させてデシリアライザ138に伝送する。例えば、重畳部232は、信号をコンデンサで結合させ、電源をチョークコイルで結合させる。そして、重畳部232により電源に重畳された信号は、電源ラインを通じてデシリアライザ138に入力される。電源ラインは、操作部108から表示部102に電力を供給するために設けられた線路である。電源ラインには、例えば、伝送線路として同軸ケーブルが用いられる。
なお、シリアライザ134に入力されたパラレル信号用クロックは、PLL部158に入力される。PLL部158は、パラレル信号用クロックからシリアル信号用クロックを生成し、P/S変換部152、及びタイミング制御部160に入力する。タイミング制御部160は、入力されたシリアル信号用クロックに基づいてエンコーダ154によるシリアル信号の送信タイミングを制御する。
(デシリアライザ138)
デシリアライザ138は、主に、LVDSレシーバ172と、デコーダ174と、S/P変換部176と、クロック再生部178と、PLL部180と、タイミング制御部182と、分離部234とにより構成される。
デシリアライザ138には、電源ライン(同軸ケーブル)を通じて電源にシリアル信号を重畳した信号が入力される。この重畳信号の周波数スペクトラムは、図5のようになる。図5に示すように、マンチェスター符号の周波数スペクトラムは、直流成分を持たない。そのため、図5から、マンチェスター符号方式で符号化されたデータの伝送信号(符号化信号)が電源(DC)と一緒に伝送できることが分かる。
再び図4を参照する。上記の重畳信号は、分離部234によりシリアル信号と電源とに分離される。例えば、分離部234は、コンデンサで直流成分をカットしてシリアル信号を取り出し、チョークコイルで高周波成分をカットして電源を取り出す。分離部234により分離されたシリアル信号は、LVDSレシーバ172により受信される。
LVDSレシーバ172により受信されたシリアル信号は、デコーダ174、及びクロック再生部178に入力される。デコーダ174は、入力されたシリアル信号のヘッダを参照してデータの先頭部分を検出し、マンチェスター符号方式で符号化されたシリアル信号を復号してS/P変換部176に入力する。S/P変換部176は、入力されたシリアル信号をパラレル信号(P−DATA)に変換する。S/P変換部176で変換されたパラレル信号は、液晶部104に出力される。
一方、クロック再生部178は、外部から入力されるリファレンスクロックを参照し、内蔵するPLL部180を用いてシリアル信号用クロックからパラレル信号用クロックを再生する。クロック再生部178により再生されたパラレル信号用クロックは、デコーダ174、及びタイミング制御部182に入力される。タイミング制御部182は、クロック再生部178から入力されたパラレル信号用クロックに基づいて受信タイミングを制御する。また、タイミング制御部182に入力されたパラレル信号用クロック(P−CLK)は、液晶部104に出力される。
このように、上記の携帯端末230は、電源とシリアル信号(映像信号等)とを同軸ケーブル1本で伝送することができる。そのため、操作部108と表示部102との間を繋ぐ配線は1本だけとなり、表示部102の可動性が向上し、複雑な形状に携帯端末230を変形させることが可能になる。その結果、携帯端末230の用途がさらに広がり、ユーザの利便性が向上する。
(課題の整理1)
上記の通り、操作部108と表示部102との相対的な位置関係を自由に変化させるには、上記の携帯端末100のようにパラレル伝送方式には不都合があった。そこで、上記の携帯端末130のように、シリアライザ134、及びデシリアライザ138を設けることで、映像信号等のシリアル伝送を可能にし、表示部102の可動範囲を広げた。さらに、携帯端末130で利用される符号化方式の特性を生かして、電源ラインに信号を重畳させて伝送する方式を用いて表示部102の可動性をさらに向上させた。
ところが、図3、図4に示すように、携帯端末130、230には、受信したシリアル信号のクロックを再生するためにPLL部180(以下、PLL)が設けられていた。このPLLは、マンチェスター符号方式等により符号化された信号からクロックを抽出するために必要なものである。しかしながら、PLL自体の電力消費量が少なくないため、PLLを設けることにより、その分だけ携帯端末130、230の消費電力が大きくなってしまう。こうした電力消費量の増大は、携帯電話等の小さな装置にとって非常に大きな問題となる。
上記のような技術的課題に対し、デシリアライザ138にPLLを設けずに済むような工夫が求められている。こうした要求に対し、最近、「直流成分を含まず、かつ、クロック再生時にPLLが不要な符号」を用いて信号を伝送する新規な信号伝送方式が考案された。後述する本発明の実施形態に係る技術は、この新規な信号伝送方式を基盤とする技術である。そこで、この新規な信号伝送方式について、ここで説明しておくことにする。なお、以下の説明において、この新規な信号伝送方式のことを新方式と呼ぶ場合がある。
<基盤技術:新方式について>
以下、直流成分を含まず、かつ、PLLを利用せずにクロックを再生することが可能な符号を用いて信号を伝送する新規な信号伝送方式(新方式)について説明する。まず、新方式の符号化方法について説明を行う上で基本となるAMI(Alternate Mark Inversion)符号の特性について簡単に説明する。その後、新方式に係る携帯端末300の機能構成、及び新方式に係る符号化/復号方法について説明する。
(AMI符号の信号波形について)
まず、図6を参照しながら、AMI符号の信号波形、及びその特徴について説明する。図6は、AMI符号の信号波形の一例を示す説明図である。但し、以下の説明において、Aは任意の正数であるとする。
AMI符号は、データ0を電位0で表現し、データ1を電位A又は−Aで表現する符号である。但し、電位Aと電位−Aとは交互に繰り返される。つまり、電位Aでデータ1が表現された後、次にデータ1が現れた場合、そのデータ1は電位−Aで表現されるというものである。このように、極性反転を繰り返してデータが表現されるため、AMI符号には直流成分が含まれない。
なお、AMI符号と似た特性を持つ符号としては、例えば、PR(1,−1)、PR(1,0,−1)、PR(1,0,…,−1)等で表現されるパーシャル・レスポンス方式の符号がある。このように極性反転を用いた伝送符号はバイポーラ符号と呼ばれる。新方式に係る信号伝送方法には、このようなバイポーラ符号を用いることもできる。さらに、新方式に係る信号伝送方式には、ダイコード方式の符号等を適用することもできる。ここでは、説明の都合上、デューティ100%のAMI符号を例に挙げて説明する。
図6には、ビット間隔T1、T2、…、T14のAMI符号が模式的に記載されている。図中において、データ1は、ビット間隔T2、T4、T5、T10、T11、T12、T14に現れている。ビット間隔T2において電位Aである場合、ビット間隔T4では電位−Aとなる。また、ビット間隔T5では電位Aとなる。このように、データ1に対応する振幅は、プラスとマイナスとが交互に反転する。これが上記の極性反転である。
一方、データ0に関しては全て電位0で表現される。こうした表現によりAMI符号は直流成分を含まないが、ビット間隔T6、…、T9に見られるように電位0が連続することがある。このように電位0が連続すると、受信側でPLLを用いずに信号波形からクロック成分を取り出すことが難しい。そこで、新方式においては、AMI符号(及びこれと同等の特性を有する符号)にクロック成分を含ませて伝送する技術が用いられる。以下、この技術について説明する。
(機能構成)
次に、図7を参照しながら、新方式に係る携帯端末300の機能構成について説明する。図7は、新方式に係る携帯端末300の機能構成例を示す説明図である。但し、図7は、シリアライザ134、及びデシリアライザ138の機能構成を中心に描画した説明図であり、他の構成要素に関する記載を省略している。また、携帯端末300が有する各構成要素のうち、既に述べた携帯端末130と実質的に同一の機能構成を有する構成要素については同一の符号を付することにより詳細な説明を省略した。
(シリアライザ134)
シリアライザ134は、P/S変換部152と、LVDSドライバ156と、PLL部158と、タイミング制御部160と、エンコーダ312とにより構成される。上記の携帯端末130との主な相違点はエンコーダ312が有する機能にある。
まず、シリアライザ134には、ベースバンドプロセッサ110から、パラレル信号(P−DATA)、及びパラレル信号用クロック(P−CLK)が入力される。シリアライザ134に入力されたパラレル信号は、P/S変換部152によりシリアル信号に変換される。P/S変換部152により変換されたシリアル信号は、エンコーダ312に入力される。エンコーダ312は、シリアル信号にヘッダ等を付加し、所定の符号化方式(新方式)に基づいて符号化することで符号化信号を生成する。
ここで、図8を参照しながら、エンコーダ312による新方式の符号化方法について説明する。図8は、新方式に係る符号化方法の一例を示す説明図である。なお、図8には、AMI符号をベースとする符号の生成方法が記載されている。しかし、新方式に係る技術はこれに限定されず、AMI符号と似た特性を有する符号に対しても同様に適用される。例えば、バイポーラ符号やパーシャル・レスポンス方式の符号等にも適用できる。
(A)に示された信号は、入力データをAMI符号方式に基づいて符号化したものである。一方、(C)に示された信号は、(A)の信号に基づいて新方式の符号化方法で符号化された信号である。この信号では、データ1が複数の電位A1(−1、−3、1、3)で表現され、データ0が電位A1とは異なる複数の電位A2(−2、2)で表現される。また、この信号は、一周期毎に極性反転し、連続して同じ電位とならないように構成されている。
例えば、(A)においては、ビット間隔T6、…、T9でデータ0が続く区間が存在し、電位0の連続区間として表現されている。しかし、(C)においては、同区間において電位が−2、2、−2、2となっている。このように、(C)の信号は、同じデータ値が連続して現れても一周期毎に極性が反転するように構成されている。そのため、(C)の信号をデータ伝送に用いると、受信側で立ち上がり、立ち下がりの両エッジを検出することでクロック成分を再生することが可能になる。以下、新方式に係る(C)の信号を生成する方法について説明する。
エンコーダ312は、上記(C)のような符号を生成するため、加算器ADDを備えている。エンコーダ312は、例えば、入力されたシリアル信号をAMI符号(A)に符号化して加算器ADDに入力する。さらに、エンコーダ312は、伝送速度Fbを有するAMI符号の半分の周波数(Fb/2)を持つクロック(B)を生成して加算器ADDに入力する。但し、クロックの振幅は、AMI符号のN倍(N>1;図8の例ではN=2)とする。そして、エンコーダ312は、加算器ADDによりAMI符号とクロックとを加算して符号(C)を生成する。このとき、AMI符号とクロックとは同期され、エッジを揃えて加算される。
再び図7を参照する。エンコーダ312により符号化されたシリアル信号は、LVDSドライバ156に入力される。LVDSドライバ156は、入力されたシリアル信号をLVDSによる差動伝送方式でデシリアライザ138に伝送する。ところで、シリアライザ134に入力されたパラレル信号用クロックは、PLL部158に入力される。PLL部158は、パラレル信号用クロックからシリアル信号用クロックを生成し、P/S変換部152、及びタイミング制御部160に入力する。タイミング制御部160は、入力されるシリアル信号用クロックに基づいてエンコーダ312によるシリアル信号の送信タイミングを制御する。
(デシリアライザ138)
デシリアライザ138は、主に、LVDSレシーバ172と、S/P変換部176と、タイミング制御部182と、クロック検出部332と、デコーダ334とにより構成される。上記の携帯端末130との主な相違点は、PLLを持たないクロック検出部332の機能にある。
デシリアライザ138には、LVDSによる差動伝送方式でシリアライザ134からシリアル信号が伝送される。このシリアル信号は、LVDSレシーバ172により受信される。LVDSレシーバ172により受信されたシリアル信号は、デコーダ334、及びクロック検出部332に入力される。デコーダ334は、入力されたシリアル信号のヘッダを参照してデータの先頭部分を検出し、エンコーダ312が用いた符号化方式に従って符号化されたシリアル信号を復号する。
ここで、図8を参照しながら、デコーダ334による復号方法について簡単に説明する。デコーダ334の詳細な回路構成については後述する。上記の通り、シリアル信号は、エンコーダ312により、(C)に示す形式に符号化されている。そこで、デコーダ334は、受信した信号の振幅がA1であるか、A2であるかを判定することで、元のシリアル信号を復号することができる。データ1に対応する振幅A1(−1、−3、1、3)と、データ0に対応する振幅A2(−2、2)とを判定するためには、図8に示した4つの閾値(L1、L2、L3、L4)が用いられる。そこで、デコーダ334は、入力された信号の振幅と上記の4つの閾値とを比較して振幅がA1であるか、或いは、A2であるかを判定し、元のシリアル信号を復号する。
再び図7を参照する。デコーダ334により復号されたシリアル信号はS/P変換部176に入力される。S/P変換部176は、入力されたシリアル信号をパラレル信号(P−DATA)に変換する。S/P変換部176で変換されたパラレル信号は、液晶部104に出力される。
一方、クロック検出部332は、LVDSレシーバ172により受信された信号からクロック成分を検出する。このとき、クロック検出部332は、信号の振幅値と閾値L0(電位0)とを比較して極性反転の周期を検出し、その周期に基づいてクロック成分を検出することで元のクロックを再生する。このように、クロック検出部332は、信号からクロック成分を検出する際にPLLを用いない。そのため、デシリアライザ138の側にPLLを設けずに済み、デシリアライザ138の消費電力を低減させることが可能になる。
さて、クロック検出部332により再生されたクロックは、デコーダ334、及びタイミング制御部182に入力される。タイミング制御部182は、クロック検出部332から入力されたクロックに基づいて受信タイミングを制御する。また、タイミング制御部182に入力されたクロック(P−CLK)は液晶部104に出力される。
このように、直流成分を含まず(図9を参照)、極性反転周期からクロック成分を検出することが可能な符号を利用することで、クロックの再生にPLLを用いずに済み、携帯端末の消費電力を大きく低減させることが可能になる。なお、新方式で用いる符号の周波数スペクトラムは、例えば、図9に示すような形状になる。エンコーダ312の加算器ADDで加算されたクロックの周波数Fb/2に線スペクトルが現れ、それに加えてAMI符号のブロードな周波数スペクトラムが現れている。なお、この周波数スペクトラムには、周波数Fb、2Fb、3Fb、…にヌル点が存在する。
(復号処理の詳細について)
次に、図10〜図13を参照しながら、新方式における復号処理の詳細について説明する。図10は、クロック検出部332の回路構成例を示す説明図である。図11は、デコーダ334の回路構成例を示す説明図である。図12は、データ判定用の判定テーブルの構成例を示す説明図である。図13は、新方式を適用した場合の受信信号波形(図中には、アイパターンが示されている。)を示す説明図である。
(クロック検出部332の回路構成例)
まず、図10を参照する。図10に示すように、クロック検出部332の機能は、コンパレータ352により実現される。
コンパレータ352には、新方式で符号化された信号の振幅値が入力データとして入力される。入力データが入力されると、コンパレータ352は、入力された振幅値と所定の閾値とを比較する。例えば、コンパレータ352は、入力データが所定の閾値よりも大きい値であるか否かを判定する。このコンパレータ352は、新方式の符号(図8の(C)を参照)からクロックを抽出するためのものである。そのため、所定の閾値としては閾値L0を用いる。
例えば、入力データが所定の閾値よりも大きい値である場合、コンパレータ352は、入力データが所定の閾値よりも大きい値であることを示す判定値(例えば、1)を出力する。一方、入力データが所定の閾値よりも小さい値である場合、コンパレータ352は、入力データが所定の閾値よりも大きい値でなかったことを示す判定値(例えば、0)を出力する。コンパレータ352の出力結果は、クロックとしてデコーダ334及びタイミング制御部182に入力される。
(デコーダ334の回路構成例)
次に、図11を参照する。図11に示すように、デコーダ334の機能は、複数のコンパレータ354、356、358、360、及びデータ判定部362により実現される。また、データ判定部362には、記憶部364が設けられている。記憶部364には、図12に示すデータ判定用の判定テーブルが格納されている。
複数のコンパレータ354、356、358、360には、互いに異なる閾値が設定されている。例えば、コンパレータ354には閾値L1が、コンパレータ356には閾値L2が、コンパレータ358には閾値L3が、コンパレータ360には閾値L4が設定されている。但し、図8の(C)に示したように、閾値L1、L2、L3、L4は、L1>L2>L3>L4の関係を有するものである。
まず、複数のコンパレータ354、356、358、360には、新方式で符号化された信号の振幅値が入力データとして入力される。このとき、複数のコンパレータ354、356、358、360には、同じ入力データが並行して入力される。
入力データが入力されると、コンパレータ354は、入力データと閾値L1とを比較し、入力データが閾値L1よりも大きい値であるか否かを判定する。入力データが閾値L1よりも大きい値である場合、コンパレータ354は、入力データが閾値L1よりも大きい値であることを示す判定値(例えば、1)を出力する。一方、入力データが閾値L1よりも大きい値でない場合、コンパレータ354は、入力データが閾値L1よりも大きい値でないことを示す判定値(例えば、0)を出力する。
同様に、コンパレータ356は、入力データと閾値L2とを比較し、入力データが閾値L2よりも大きい値であるか否かを判定する。また、コンパレータ358は、入力データと閾値L3とを比較し、入力データが閾値L3よりも大きい値であるか否かを判定する。さらに、コンパレータ360は、入力データと閾値L4とを比較し、入力データが閾値L4よりも大きい値であるか否かを判定する。複数のコンパレータ354、356、358、360から出力された判定値は、データ判定部362に入力される。
データ判定部362は、複数のコンパレータ354、356、358、360から出力された判定値に基づいて入力データが示すビット値を判定する。このとき、データ判定部362は、記憶部364に格納されたデータ判定用の判定テーブル(図12を参照)に基づいて入力データが示すビット値を判定する。データ判定用の判定テーブルとしては、例えば、図12に示すようなものが用いられる。図12に例示した判定テーブルには、複数のコンパレータ354、356、358、360から出力された値の各組み合わせとビット値(0又は1)との対応関係が示されている。
例えば、コンパレータ354の出力値が1の場合について考えてみる。この場合、入力データが閾値L1よりも大きい値である。上記の通り、閾値は、L1>L2>L3>L4の関係を有している。そのため、この関係から、コンパレータ356、358、360の出力値も1になるはずである。また、閾値L1よりも大きい値をもつ振幅に対応するビット値は1である。そのため、判定テーブルには、コンパレータ354、356、358、360の出力値が全て1の組み合わせとビット値1との対応関係が示されている。
他の条件についても考えてみる。ここでは、説明の都合上、コンパレータ354、356、358、360の出力値をそれぞれd1、d2、d3、d4と表現し、その組み合わせを(d1,d2,d3,d4)と表記する。例えば、(d1,d2,d3,d4)=(0,1,1,1)の組み合わせは、入力データdがL1>d>L2であることを意味している。入力データdがL1>d>L2の場合、ビット値は0である。
同様に、(d1、d2、d3、d4)=(0,0,1,1)の組み合わせは、入力データdがL2>d>L3であることを意味している。入力データdがL2>d>L3の場合、ビット値は1である。また、(d1、d2、d3、d4)=(0,0,0,1)の組み合わせは、入力データdがL3>d>L4であることを意味している。入力データdがL3>d>L4の場合、ビット値は0である。さらに、(d1、d2、d3、d4)=(0,0,0,0)の組み合わせは、入力データdがL4>dであることを意味している。入力データdがL4>dの場合、ビット値は1である。
上記の通り、コンパレータ354、356、358、360から各々出力された出力値の組み合わせとビット値とを対応付けるために、そのような組み合わせとビット値との対応関係をテーブル形式に纏めたものが図12に例示した判定テーブルである。つまり、この判定テーブルは、データ判定部362によるビット値判定の判定アルゴリズムを示している。データ判定部362は、この判定テーブルに基づき、複数のコンパレータ354、356、358、360から出力された出力値の組み合わせからビット値を判定する。データ判定部362により判定されたビット値は、S/P変換部176に入力される。
(課題の整理2)
このように、新方式の符号を復号するには、クロック検出部332を構成する1つのコンパレータ352と、デコーダ334を構成する4つのコンパレータ354、356、358、360とが必要になる。上記の通り、新方式の符号は、直流成分を含まず、PLL回路を用いずにクロックを再生することが可能である点で非常に優れている。しかしながら、2つのビット値を判定するのに、合計で5つものコンパレータが必要になってしまう。その結果、回路規模が大きくなったり、消費電力が大きくなったりしてしまう。
さらに、振幅方向に5つもの閾値を設けてデータの判定処理を行うことになるため、信号振幅の最大幅(振幅レンジ)が決まっているような場合において、図13に示すように、個々の閾値の間隔が狭くなってしまう。その結果、閾値の設定精度、及びビット値の判定精度に高いレベルが要求されることになる。近年、半導体プロセスの微細化が進み、動作電圧が低くなってきている。それに伴い、信号の振幅レンジが小さくなってきている。また、振幅方向に複数のビット値を持たせた符号を利用するには、信号振幅の最大値及び最小値が上記のような動作電圧の範囲に収まっている必要がある。こうした状況下にあって、振幅方向に5つもの閾値を設けてデータの判定処理を行うには、非常に高い設定精度で閾値を設定する必要があり、あまり現実的ではない。
こうした技術的課題に鑑み、後述する実施形態の目的は、新方式に係る符号を復号する際に用いるコンパレータの数(閾値の数)を低減させ、回路規模を低減させると共に、閾値の設定精度の緩和を実現することにある。また、以下で説明する実施形態は、当然に、上記の(課題の整理1)において述べた課題についても解決するものである。以下、このような目的を達成することが可能な実施形態について説明する。
<実施形態>
本発明の一実施形態について説明する。本実施形態は、直流成分を含まず、かつ、クロック再生時にPLL回路が不要な符号からビット値を復号する際に行う閾値判定処理の回数を低減させることを目的とするものである。特に、本実施形態は、上記の新方式に係る技術を基盤とし、受信側においてクロック信号を効率的に除去する技術に関する。
[携帯端末400の機能構成]
まず、図14を参照しながら、本実施形態に係る携帯端末400の機能構成について説明する。図14は、本実施形態に係る携帯端末400の機能構成例を示す説明図である。但し、図14は、シリアライザ134、及びデシリアライザ138の機能構成を中心に描画した説明図であり、他の構成要素に関する記載を省略している。また、携帯端末400が有する各構成要素のうち、既に述べた携帯端末300と実質的に同一の機能構成を有する構成要素については同一の符号を付することにより詳細な説明を省略した。
(シリアライザ134)
シリアライザ134は、P/S変換部152と、ドライバ156と、PLL部158と、タイミング制御部160と、重畳部232と、エンコーダ312とにより構成される。このように、携帯端末400のシリアライザ134は、重畳部232が設けられている点を除いて上記の携帯端末300と実質的に同一である。また、重畳部232の機能構成は、携帯端末230に設けられた重畳部232と実質的に同一である。
まず、シリアライザ134には、ベースバンドプロセッサ110から、パラレル信号(P−DATA)、及びパラレル信号用クロック(P−CLK)が入力される。シリアライザ134に入力されたパラレル信号は、P/S変換部152によりシリアル信号に変換される。P/S変換部152により変換されたシリアル信号は、エンコーダ312に入力される。エンコーダ312は、シリアル信号にヘッダ等を付加し、所定の符号化方式(新方式)に基づいて符号化することで符号化信号を生成する。
エンコーダ312により生成された符号化信号は、ドライバ156に入力される。ドライバ156は、入力されたシリアル信号をLVDSにして重畳部232に入力する。重畳部232は、ドライバ156から入力された信号を電源ラインに重畳させてデシリアライザ138に伝送する。例えば、重畳部232は、信号をコンデンサで結合させ、電源をチョークコイルで結合させる。そして、重畳部232により電源に重畳された信号は、電源ラインを通じてデシリアライザ138に入力される。
一方、シリアライザ134に入力されたパラレル信号用クロックは、PLL部158に入力される。PLL部158は、パラレル信号用クロックからシリアル信号用クロックを生成し、P/S変換部152、及びタイミング制御部160に入力する。タイミング制御部160は、入力されるシリアル信号用クロックに基づいてエンコーダ312によるシリアル信号の送信タイミングを制御する。
(デシリアライザ138)
デシリアライザ138は、主に、分離部234と、レシーバ172と、S/P変換部176と、タイミング制御部182と、復号処理部402とにより構成される。また、復号処理部402には、デコーダ404と、クロック検出部406とが含まれている。上記の携帯端末300と同様に、クロック検出部406にはPLLが設けられていない。また、上記の携帯端末300との間の主な相違点は、復号処理部402の機能にある。
まず、デシリアライザ138には、電源ライン(同軸ケーブル)を通じて電源にシリアル信号を重畳した信号が入力される。この重畳信号は、分離部234によりシリアル信号と電源とに分離される。例えば、分離部234は、コンデンサで直流成分をカットしてシリアル信号を取り出し、チョークコイルで高周波成分をカットして電源を取り出す。分離部234により分離されたシリアル信号は、レシーバ172により受信される。
レシーバ172により受信されたシリアル信号は、復号処理部402に含まれるデコーダ404、及びクロック検出部406に入力される。デコーダ404は、入力されたシリアル信号のヘッダを参照してデータの先頭部分を検出し、エンコーダ312が用いた符号化方式に従って符号化されたシリアル信号を復号する。デコーダ404により復号されたシリアル信号はS/P変換部176に入力される。S/P変換部176は、入力されたシリアル信号をパラレル信号(P−DATA)に変換する。S/P変換部176で変換されたパラレル信号は、液晶部104に出力される。
一方、クロック検出部406は、レシーバ172により受信された信号からクロック成分を検出する。このとき、クロック検出部406は、信号の振幅値と閾値L0(電位0)とを比較して極性反転の周期を検出し、その周期に基づいてクロック成分を検出することで元のクロックを再生する。そして、クロック検出部406により再生されたクロックは、デコーダ404、及びタイミング制御部182に入力される。タイミング制御部182は、クロック検出部406から入力されたクロックに基づいて受信タイミングを制御する。また、タイミング制御部182に入力されたクロック(P−CLK)は液晶部104に出力される。
[復号処理部402の回路構成例]
ここで、図15、図16を参照しながら、復号処理部402の回路構成について説明する。図15は、復号処理部402の回路構成例を示す説明図である。図16は、データ判定アルゴリズムを示す説明図である。
図15に示すように、復号処理部402は、コンパレータ412(クロック再生)と、乗算器416と、コンパレータ418、420(データ抽出)と、タイミング発生回路424と、データ判定部426とにより構成される。コンパレータ412(クロック再生)は、クロック検出部406に対応する。また、クロック検出部406を除く他の構成要素は、デコーダ404に対応する。
まず、復号処理部402にシリアル信号が入力されると、その入力信号は、コンパレータ412、及び乗算器416に入力される。コンパレータ412には図8に示した閾値L0が設定されており、入力信号の振幅値と閾値L0とが比較される。例えば、入力信号の振幅値が閾値L0を上回っている場合にコンパレータ412から判定値1が出力され、下回っている場合に判定値0が出力される。コンパレータ412から出力される判定値の変化周期を検出することにより、入力信号の極性反転周期が検出される。つまり、コンパレータ412の出力値に基づいて入力信号のクロック成分が抽出される。このクロック成分は、タイミング発生回路424等に入力される。
一方、乗算器416に設けられた2つの入力ポートには同じ入力信号が同時に入力される。乗算器416に入力された2つの入力信号は乗算される。そして、乗算器416の出力ポートから出力される乗算信号は、コンパレータ418、420に入力される。このように、入力信号の振幅が乗算器416により自乗されることで、入力信号の振幅が全て正値に変換される。上記の通り、各ビット値は、入力信号が有する複数の振幅値に割り当てられている。特に、絶対値が同じで極性が異なる振幅値には同じビット値が割り当てられている。
そのため、乗算器416から出力された乗算信号をビット値の判定に用いることで、入力信号を用いる場合に比べて判定すべき振幅値の数が半減する。当該乗算信号は、コンパレータ418、420に入力されて振幅値が判定される。コンパレータ418には図18に示されたデータ判定用閾値L1’が設定され、コンパレータ420には同図に示されたデータ判定用閾値L2’が設定されている。そして、コンパレータ418に入力された乗算信号の振幅値はデータ判定用閾値L1’と比較される。また、コンパレータ420に入力された乗算信号の振幅値はデータ判定用閾値L2’と比較される。
例えば、乗算信号の振幅値が閾値L1’よりも大きい場合、コンパレータ418は、乗算信号の振幅値が閾値L1’よりも大きい値であることを示す判定値(例えば、1)を出力する。一方、乗算信号の振幅値が閾値L1’よりも大きい値でない場合、コンパレータ418は、乗算信号の振幅値が閾値L1’よりも大きい値でないことを示す判定値(例えば、0)を出力する。同様に、コンパレータ420は、乗算信号の振幅値と閾値L2’とを比較し、乗算信号の振幅値が閾値L2’よりも大きい値であるか否かを判定する。コンパレータ418、420から出力された判定値は、データ判定部426に入力される。
上記の通り、データ判定部426には、コンパレータ418、420の判定値が入力される。また、データ判定部426には、コンパレータ412により検出されたクロック成分がタイミング発生回路424を介して入力される。そこで、データ判定部426は、コンパレータ418、420の判定値から元のデータを復元する。
例えば、図16に示すように、コンパレータ418、420から共に判定値1が入力されると、データ判定部426は、データ1を出力する。また、コンパレータ418から判定値0が入力され、コンパレータ420から判定値1が入力されると、データ判定部426は、データ0を出力する。さらに、コンパレータ418、420から共に判定値0が入力されると、データ判定部426は、データ1を出力する。このようにしてデータ判定部426により復元されたデータは、S/P変換部176に入力される。
以上、復号処理部402の回路構成例について説明した。上記の通り、本実施形態においては、受信した信号の振幅を自乗することによりデータ判定に用いる振幅値の数が低減され、振幅が自乗された信号の振幅値に基づいてデータが判定される。その結果、データ判定に用いる閾値の数が削減され、データ判定に用いるコンパレータの数を低減させることができる。さらに、上記の自乗処理により、閾値間の間隔が広くとれるようになり、閾値の設定精度が緩和される。
[信号処理の全体的な流れ]
次に、図17を参照しながら、本実施形態に係る信号処理の全体的な流れについて説明する。図17は、本実施形態に係る信号処理の全体的な流れを示す説明図である。
まず、シリアライザ134に入力データ(A)が入力される。この入力データ(A)は、エンコーダ312により符号化処理(S102)が施され、符号(B)が生成される。さらに、エンコーダ312には、PLL部158により生成されたクロック(C)が入力され、符号(B)とクロック(C)との加算処理(S104)が実行される。この加算処理(S104)により、符号(D)が生成される。既に述べた通り、携帯端末400においては、符号(D)が電源線に重畳させてデシリアライザ138に伝送される。
デシリアライザ138に符号(D)が入力されると、符号(D)は、乗算器416により振幅が自乗され(S106)、乗算信号(E)が生成される。乗算信号(E)は、図18に示すようなアイパターンを示す。上記の自乗処理(S106)によりクロック成分が取り除かれ、3つのレベルを有する信号波形に変換される。また、各レベルの間隔が広くなり、閾値の設定精度が緩和される。但し、ステップS106の自乗演算処理により生成された乗算信号(E)は、元の符号(B)を復元したものではない。
しかしながら、データ1が振幅1又は9により表現され、データ0が振幅4により表現されているため、これらの振幅を判定することで元のデータを復元することができる。そこで、乗算器316から乗算信号が出力されると、データ判定部426により、2つのデータ判定用閾値(L1’、L2’)を用いて乗算信号(E)の振幅値が判定され、その判定結果に基づいてデータ(F)が復号される(S108)。
(効果)
上記の自乗演算処理(S106)が実行されることで、受信された信号の波形が図18に示すような信号波形に変換される。既に述べた通り、ステップS106の処理が実行されたことで信号からクロック成分が除去される。そのため、判定すべき振幅の数が半減し、2つのデータ判定用閾値(例えば、閾値L1’、L2’)を用いてデータを判定することができる。このように、クロック成分を除去することで、データ判定用閾値の数を低減させることができる。その結果、データ判定処理に用いるコンパレータの数を低減させることが可能になり、携帯端末400の回路規模を低減させることができる。さらに、図13に示した新方式の信号波形に比べ、閾値の間隔を広く設定することが可能になり、データ判定用閾値の設定精度を緩和することができる。
[まとめ]
最後に、本実施形態の携帯端末が有する機能構成と、当該機能構成により得られる作用効果について簡単に纏める。当該携帯端末は、操作部108に相当する第1の情報処理モジュールと、表示部102に相当する第2の情報処理モジュールとを有する。
第1の情報処理モジュールは、互いに異なる第1及び第2のビット値を含む入力データに対し、前記第1のビット値を複数の第1の振幅値で表現し、前記第2のビット値を前記第1の振幅値とは異なる第2の振幅値で表現し、連続して同じ振幅値をとらず、かつ、一周期毎に振幅値の極性が反転するように符号化された信号を送信する機能を有する。
第2の情報処理モジュールは、次のような信号受信部と、振幅自乗部と、入力データ復号部とを有する。上記の信号受信部は、第1の情報処理モジュールから送信された信号を受信するものである。上記の通り、この信号は、一周期毎に振幅値の極性が反転するように構成されている。そのため、信号の極性反転周期を検出することにより、PLL等を用いずともクロックを再生することができる。また、上記の振幅自乗部は、前記信号受信部により受信された信号の振幅を自乗するものである。
上記の自乗演算処理により、受信した信号に含まれているクロック成分を除去することができる。さらに、上記の入力データ復号部は、前記振幅自乗部から出力された信号の振幅値に基づいて前記第1及び第2のビット値を判定し、前記入力データを復号するものである。上記の自乗演算処理が施された段階で信号からクロック成分が除去されており、データ判定に用いる信号の振幅値の数が低減されている。その結果、データ判定処理に用いる閾値の数が低減される。また、閾値間の間隔が広くなり、データ判定に用いる閾値の設定精度が緩和される。
また、第2の情報処理モジュールは、前記信号受信部により受信された信号の極性反転周期を検出し、当該極性反転周期に基づいて当該信号のクロック成分を検出するクロック成分検出部をさらに有していてもよい。このような構成にすることで、クロック成分検出部によりPLLを用いずにクロックが再生できる。この場合、前記入力データ復号部は、前記クロック成分検出部により検出されたクロック成分を用いて前記入力データを復号することができる。
また、前記符号化された信号は、直流電流に重畳された上で電源線路を介して伝送され、前記信号受信部により前記直流電流から分離されるように構成されていてもよい。第1の情報処理モジュールから第2の情報処理モジュールに伝送される上記の符号化信号には、直流成分が含まれていない。そのため、直流電流が導通する電源線を通じて伝送することができる。その結果、第1及び第2の情報処理モジュールを接続する部分に電源線1本を設けるだけで電力と信号とが伝送できるようになり、接続部分の変形自由度を向上させることが可能になる。
さて、第1の情報処理モジュールは、次のような符号化信号生成部、及び信号伝送部を含むように構成されていてもよい。上記の符号化信号生成部は、前記第1のビット値が振幅値0で表現され、かつ、前記第2のビット値が振幅値A及び−A(Aは任意の実数)の繰り返しで表現される伝送速度Fbの符号化信号Xに対し、振幅値n*A(n>1)及び周波数Fb/2を有するクロック信号を加算して符号化信号を生成するものである。また、上記の信号伝送部は、前記符号化信号生成部により生成された符号化信号を所定の伝送線路を介して前記信号受信部に伝送するものである。このように、第1の情報処理モジュールから伝送される信号は、所定の符号化方式に従って符号化された信号にクロックを加算して生成されうる。
(備考)
上記のレシーバ172、分離部234は、信号受信部の一例である。上記の復号処理部402、デコーダ404、乗算器416は、振幅自乗部の一例である。上記の復号処理部402、デコーダ404、コンパレータ418、420、データ判定部426は、入力データ復号部の一例である。上記のクロック検出部406、コンパレータ412は、クロック成分検出部の一例である。上記のエンコーダ312は、符号化信号生成部の一例である。上記のドライバ156、重畳部232は、信号伝送部の一例である。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、上記の実施形態においては、加算器ADDに入力される符号として、AMI符号を例に挙げて説明したが、本発明の技術はこれに限定されない。既に述べたように、各種のバイポーラ符号やパーシャル・レスポンス方式の符号PR(1,−1)、PR(1,0,−1)、PR(1,0,…,0,−1)等が利用される。このように、極性反転を利用した符号形式が好適に用いられる。こうした符号はビットシフト等により生成することもできる。このように、符号の生成方法に関して、いくつかの変形例が想定されうる。
さて、上記の説明においては、携帯端末400を形成するシリアライザ134とデシリアライザ138との間の信号伝送に本実施形態の技術を適用するケースが例示され、この例に基づいて説明を行った。しかしながら、本実施形態に係る技術は、任意の形態を有する2つの情報処理モジュールの間で信号を伝送する際に用いることができる。例えば、2つの情報処理装置の間を電源線で接続するケース等に用いることができる。この場合、2つの情報処理装置は別体で形成される。また、このような情報処理装置の形態は任意であり、例えば、携帯電話、PHS(Personal Handy−phone System)、PDA(Personal Digital Assistant)等の携帯情報端末が含まれる。さらに、家庭用ゲーム機、テレビジョン受像機、録画再生装置等も上記の情報処理装置に含まれる。
携帯端末の一構成例を示す説明図である。 携帯端末の一構成例を示す説明図である。 シリアル伝送に係る携帯端末の機能構成例を示す説明図である。 シリアル伝送に係る携帯端末の機能構成例を示す説明図である。 マンチェスター符号の周波数スペクトラムの一例を示す説明図である。 AMI符号の信号波形の一例を示す説明図である。 新方式に係る携帯端末の機能構成例を示す説明図である。 新方式に係る信号生成方法を示す説明図である。 新方式に係る信号の周波数スペクトラムの一例を示す説明図である。 クロック検出部の回路構成例を示す説明図である。 デコーダの回路構成例を示す説明図である。 データ判定用判定テーブルの構成例を示す説明図である。 受信信号波形とデータ判定用閾値との関係を示す説明図である。 本発明の一実施形態に係る携帯端末の機能構成例を示す説明図である。 同実施形態に係る信号処理部の回路構成例を示す説明図である。 同実施形態に係るデータ判定アルゴリズムを示す説明図である。 同実施形態に係る信号処理方法の一例を示す説明図である。 同実施形態の信号処理方法を適用して得られる効果を示す説明図である。
符号の説明
100、130、230、300 携帯端末
102 表示部
104 液晶部
106 接続部
108 操作部
110 ベースバンドプロセッサ
112、132、140 パラレル信号線路
134 シリアライザ
136 シリアル信号線路
138 デシリアライザ
152 P/S変換部
154、312 エンコーダ
156 ドライバ
158、180 PLL部
160 タイミング制御部
172 レシーバ
174、334 デコーダ
176 S/P変換部
178 クロック再生部
182 タイミング制御部
232 重畳部
234 分離部
332 クロック検出部
352、354、356、358、360 コンパレータ
362 データ判定部
364 記憶部
400 携帯端末
402 復号処理部
404 デコーダ
406 クロック検出部
412、418、420 コンパレータ
416 乗算器
424 タイミング発生回路
426 データ判定部

Claims (6)

  1. 互いに異なる第1及び第2のビット値を含む入力データに対し、前記第1のビット値を複数の第1の振幅値で表現し、前記第2のビット値を前記第1の振幅値とは異なる第2の振幅値で表現し、連続して同じ振幅値をとらず、かつ、一周期毎に振幅値の極性が反転するように符号化された信号を受信する信号受信部と、
    前記信号受信部により受信された信号の振幅を自乗する振幅自乗部と、
    前記振幅自乗部から出力された信号の振幅値に基づいて前記第1及び第2のビット値を判定し、前記入力データを復号する入力データ復号部と、
    を備える、情報処理装置。
  2. 前記信号受信部により受信された信号の極性反転周期を検出し、当該極性反転周期に基づいて当該信号のクロック成分を検出するクロック成分検出部をさらに備え、
    前記入力データ復号部は、前記クロック成分検出部により検出されたクロック成分を用いて前記入力データを復号する、請求項1に記載の情報処理装置。
  3. 前記符号化された信号は、直流電流に重畳された上で電源線路を介して伝送され、前記信号受信部により前記直流電流から分離される、請求項1に記載の情報処理装置。
  4. 前記第1のビット値が振幅値0で表現され、かつ、前記第2のビット値が振幅値A及び−A(Aは任意の実数)の繰り返しで表現される伝送速度Fbの符号化信号Xに対し、振幅値n*A(n>1)及び周波数Fb/2を有するクロック信号を加算して符号化信号を生成する符号化信号生成部と、
    前記符号化信号生成部により生成された符号化信号を所定の伝送線路を介して前記信号受信部に伝送する信号伝送部と、
    をさらに備える、請求項1に記載の情報処理装置。
  5. 互いに異なる第1及び第2のビット値を含む入力データに対し、前記第1のビット値を複数の第1の振幅値で表現し、前記第2のビット値を前記第1の振幅値とは異なる第2の振幅値で表現し、連続して同じ振幅値をとらず、かつ、一周期毎に振幅値の極性が反転するように符号化された信号が受信される信号受信ステップと、
    前記信号受信ステップで受信された信号の振幅が自乗される振幅自乗ステップと、
    前記振幅自乗ステップで自乗された信号の振幅値に基づいて前記第1及び第2のビット値が判定されるビット値判定ステップと、
    前記ビット値判定ステップで判定されたビット値に基づいて前記入力データが復号される入力データ復号ステップと、
    を含む、復号処理方法。
  6. 互いに異なる第1及び第2のビット値を含む入力データが符号化されて、前記第1のビット値が振幅値0で表現され、かつ、前記第2のビット値が振幅値A及び−A(Aは任意の実数)の繰り返しで表現される伝送速度Fbの符号化信号Xが生成されるデータ符号化ステップと、
    前記データ符号化ステップで生成された符号化信号Xに対し、振幅値n*A(n>1)及び周波数Fb/2を有するクロック信号が加算されるクロック加算ステップと、
    前記クロック加算ステップでクロック信号が加算された符号化信号Yが所定の伝送線路を通じて伝送される信号伝送ステップと、
    前記所定の伝送線路を通じて前記符号化信号Yが受信される信号受信ステップと、
    前記信号受信ステップで受信された符号化信号Yの振幅が自乗される自乗ステップと、
    前記自乗ステップで振幅が自乗された符号化信号Yの振幅値に基づいて前記第1及び第2のビット値が判定されるビット値判定ステップと、
    前記ビット値判定ステップで判定されたビット値に基づいて前記入力データが復号される入力データ復号ステップと、
    を含む、信号伝送方法。
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