JP2010062190A - 半導体装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 はんだ接合部の劣化の進行度合いに相関する指標が得られる半導体装置を提供する。
【解決手段】 半導体装置に加わったヒートサイクルの温度変動幅とサイクル数に追従して特性が変化するモニタ部6を実装基板2に形成する。純度99.99%以上のモニタ用アルミニウム膜6を実装基板2に密着させておくと、接合部に加わったヒートサイクルの温度変動幅とサイクル数に追従して、モニタ用アルミニウム膜6が波打つように変形し、接合不良面積比率、抵抗値、凹凸の高さ等が変化する。これらの値は、接合部の劣化の進行度合いによく相関する。モニタ用アルミニウム膜6の接合不良面積比率、抵抗値、凹凸の高さ等を測定することによって、接合部の劣化の進行度合いを精度よく知ることができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、半導体素子を実装基板に接合した半導体装置に関する。特に、動作すると発熱するために冷却装置と組み合わせて用いられる半導体装置であり、ヒートサイクルに晒される半導体装置に関する。
電力制御に利用される半導体素子、例えばサイリスタ,MOSFET,IGBT,ダイオード等は、動作すると発熱するので、空冷または水冷の冷却装置と組み合わせて用いられる。また上記の電力制御に利用される半導体素子は、実装基板に接合して用いられることが多い。その結果、半導体素子をはんだ等によって実装基板に接合し、その実装基板をはんだ等によって冷却装置に接合する構造が多用される。
半導体素子をはんだ等によって実装基板に接合した半導体装置がヒートサイクルに晒されると、はんだに応力が繰返し作用し、接合部が劣化していく。あるいは、はんだに接合している金属膜に応力が繰返し作用し、金属膜が劣化していく。当然のことに、接合部には寿命が存在する。
接合部の寿命を十分に高め、接合部で劣化するよりも、他の部位で劣化するほうが早い関係を実現すれば、実質的には接合部での寿命が問題となることはない。しかしながら、現実的には、他の部位よりも接合部のほうが先に劣化することが多い。接合部での寿命を長寿命化するのは困難であり、それができたとしてもコストアップが避けられない。特許文献1は、接合部での寿命を長寿命化する技術を開示しているが、実際に実施するためには高いコストが必要とされる。
そこで接合部での寿命に近づいたことを報知する技術が必要とされる。報知することができれば、寿命に至る前に交換等の処理をすることができ、長寿命化にかけるコストを低減することができる。
ヒートサイクルに晒される部材の寿命については、サイクル数で定義することが多い。経験的に、ヒートサイクルの温度変動幅の対数を横軸にとり、寿命に至るまでのサイクル数の対数を縦軸にとると、直線上に乗ることが知られている。具体的には、実際に使用する温度変動幅よりも大きな温度変動幅のヒートサイクルに晒しながら部材の特性を測定し、部材が正常に利用できなくなるまでのサイクル数を測定する。実際に使用する温度変動幅よりも大きな温度変動幅のヒートサイクルに晒すと、寿命に至るまでのサイクル数が低下することから、実用的な時間の中で寿命に至るまでのサイクル数を測定することができる。ヒートサイクルの温度変動幅を変えながら複数回測定することで、温度変動幅とサイクル数の関係を得る。例えば図4の場合、温度変動幅がΔTのヒートサイクルに晒すと寿命までのサイクル数がCであると測定され、温度変動幅がΔTのヒートサイクルに晒すと寿命までのサイクル数がCであると測定され、温度変動幅がΔTのヒートサイクルに晒すと寿命までのサイクル数がCであると測定された場合を例示している。経験的に、ヒートサイクルの温度変動幅の対数を横軸にとり、寿命に至るまでのサイクル数の対数を縦軸にとると、直線上に乗ることが知られている。直線70は、そうして得られた直線を示し、その直線70が得られれば、部材を実際に使用する際の温度変動幅のヒートサイクルに晒された場合の寿命に至るまでのサイクル数を知ることができる。なお実際には、寿命の推定精度を向上するために、実際の利用時の温度変動幅よりも大きな温度変動幅を数種類以上設定して寿命に至るまでのサイクル数を測定する。
前記した手法で寿命に至るまでのサイクル数が判明すれば、半導体装置に加えられたヒートサイクル数を累積することで、寿命が近づいたことを知ることができるはずである。
しかしながら、実際にはそれも難しい。電力制御に用いる半導体装置の場合、半導体装置に加えられるヒートサイクルの温度変動幅は使い方によって変化するからである。大きな温度変動幅のヒートサイクルに晒される利用方法がされる半導体装置は、予め推定しておいた寿命に至るまでのサイクル数以下で寿命となってしまう。温度変動幅が小さいヒートサイクルに晒される半導体装置の場合は、予め推定しておいたサイクル数に達しても劣化が進行をしておらず、交換作業が必要とされないことが起こる。
特開平9-134983号公報
本発明では、半導体装置の接合部の劣化の進行度合いに直接的に相関する指標が得られる半導体装置を提供する。
本発明は、半導体素子を実装基板に接合した半導体装置に関する。本発明の半導体装置は、半導体装置に加わったヒートサイクルの温度変動幅とサイクル数に追従して特性が変化するモニタ部が実装基板に形成されていることを特徴とする。
半導体素子を実装基板に接合している接合部は、接合部に加わったヒートサイクルの温度変動幅とサイクル数に追従して劣化する。本発明者らは、その劣化の進行度合いに追従して特性が変化していく物質が存在することを見出し、その物質を実装基板に形成しておけば、その特性を測定することによって、接合部の劣化の進行度合いに直接的に相関する指標を測定できることを見出した。
本発明の半導体装置によると、モニタ部の特性を測定することによって寿命に近づいた時点を正確に特定することができる。大きな温度変化が繰りかえされる使用方法がされていれば、少ないサイクル数で寿命に近づくのに対応して、少ないサイクル数であるにも関わらずに寿命に近づいたことを認識することができる。小さな温度変化が多用される使用方法がされていれば、通常であれば寿命に近づくサイクル数であるのにもかかわらず、劣化の進行が遅く、寿命に近づいていないことを認識することができる。
前記したモニタ部は、例えば実装基板の表面に密着している金属膜で形成することができる。実装基板の表面に密着している金属膜は、ヒートサイクルに晒されると、金属膜と実装基板との密着面積が減少していくことが見出された。その関係を解析してみたところ、半導体装置に加わったヒートサイクルの温度変動幅とサイクル数に追従して、金属膜と実装基板の密着面積が減少することが見出された。
密着面積の減少を直接的に測定することも可能である。あるいは密着面積の減少に追従して変化する特性を測定することも可能である。例えば、密着面積の減少と、金属膜の表面に生じる凹凸の高さはよく相関する。また密着面積の減少と、金属膜の抵抗値の上昇がよく相関する。実装基板の表裏両面に金属膜を形成してキャパシターを形成すると、密着面積の減少と、キャパシター容量の減少がよく相関する。
上記の金属膜が実装基板に形成されていれば、その特性を計測することによって、接合部の劣化の進行度合いによく相関する指標を得ることができる。
実装基板に密着する金属膜が、純度99.99%以上のアルミニウムであることが好ましい。
この場合、ヒートサイクルの温度変動幅とサイクル数に追従して、アルミニウム膜と実装基板の密着面積が確実に減少する。純度99.99%以上のアルミニウム膜を使用すると、信頼性の高い指標を得ることができる。
実装基板の表面に密着している金属膜でモニタ部を構成する場合、その金属膜の抵抗値が半導体装置に加わったヒートサイクルの温度変動幅とサイクル数に追従して増大していくことが見出された。
実装基板の表面に密着している金属膜の抵抗値を測定すれば、その抵抗値は、接合部の劣化の進行度合いによく相関する。
実装基板に密着している金属膜の抵抗値の変化を示す値を出力する回路が実装されていることが好ましい。
その場合、その回路の出力から、接合部の劣化の進行度合いを認識することができる。
実装基板の表面と裏面に金属膜を密着させることによって、キャパシターを構成することができる。そのキャパシターの容量は、半導体装置に加わったヒートサイクルの温度変動幅とサイクル数に追従して減少していくことが見出された。
実装基板の表裏面に密着している一対の金属膜間の容量を測定すれば、その容量は接合部の劣化の進行度合いによく相関する。
実装基板に表裏面に密着している一対の金属膜間の容量の変化を示す値を出力する回路が実装されていることが好ましい。
その場合、その回路の出力から、接合部の劣化の進行度合いを認識することができる。
本発明の半導体装置によると、モニタ部の特性を測定することによって接合部の劣化の進行度合いに正確に相関する指標を得ることができる。それによって、寿命に近づいた時点を正確に特定することができる。
大きな温度変化が繰り返される使用方法がされていれば、少ないサイクル数で寿命に近づくのに対応して、少ないサイクル数であるにも関わらずに寿命に近づいたことを認識することができる。小さな温度変化が多用される使用方法がされていれば、通常であれば寿命に近づくサイクル数であるのにもかかわらず、劣化の進行が遅く、寿命に近づいていないことを認識することができる。
サイクル数で管理すると、予め定めておいた基準サイクル数に達しても、実際には劣化が進行をしておらず、寿命までに余裕のある場合が生じる。逆に、予め定めておいた基準サイクル数に達する以前に、寿命に至ってしまうことがある。
本発明の半導体装置によると、使用環境によらないで、寿命に近づいた時点を正確に特定することが可能となる。必要な措置を適切なタイミングで施すことが可能となる。
本発明を具現化するに当たっては、下記の特徴を備えていることが好ましい。
(特徴1)接合部の劣化を促進する厳しいヒートサイクルに晒される実装基板に、純度99.99%以上のアルミニウム膜を密着させる。接合部の劣化を促進するほどの厳しいヒートサイクルに晒されない別の実装基板にも、金属膜を密着させる。ヒートサイクルに晒されるアルミニウム膜とヒートサイクルに晒されない金属膜でブリッジ回路を構成し、ヒートサイクルに晒されるアルミニウム膜の特性の変化を示す値を出力する回路を構成する。
(特徴2)別の実装基板に3枚の金属膜を密着させ、ヒートサイクルに晒されるアルミニウム膜とヒートサイクルに晒されない3枚の金属膜でホイートストーンブリッジ回路を構成し、ヒートサイクルに晒されるアルミニウム膜の抵抗値の変化を示す値を出力する回路を構成する。
(特徴3)ヒートサイクルに晒される実装基板の表裏両面の向かい合う位置に、純度99.99%以上のアルミニウム膜を密着させる。接合部の劣化を促進するほどの厳しいヒートサイクルに晒されない別の実装基板の表裏両面の向かい合う位置にも、金属膜を密着させる。金属膜の対を3対設ける。ヒートサイクルに晒される1対のアルミニウム膜で構成される1つのキャパシターと、ヒートサイクルに晒されない3対の金属膜で構成される3個のキャパシターによって、交流ブリッジ回路を構成し、ヒートサイクルに晒される1対のアルミニウム膜で構成されるキャパシターの容量の変化を示す値を出力する回路を構成する。
(特徴4)ヒートサイクルに晒される実装基板の表裏両面の向かい合う位置に、純度99.99%以上のアルミニウム膜を密着させてキャパシターを構成する。そのキャパシターを容量成分とするLCR共振回路を構成する。
(特徴5)前記LCR共進回路の共振周波数を測定する回路を構成する。
(特徴6)前記LCR共進回路に特定周波数の交流電圧を印加したときに流れる特定周波数の電流成分の大きさを測定する回路を構成する。
(特徴7)ヒートサイクルに晒される実装基板に、純度99.99%以上のアルミニウム膜を密着させる。そのアルミニウム膜の表面に発達する凹凸の高さを測定する。
(第1実施例)
図1は、第1実施例の半導体装置1の分解斜視図を示している。実装基板2の表面にアルミニウム膜4が密着しており、そのアルミニウム膜4の表面に半導体素子10の裏面がはんだ層8によって接合されている。半導体素子10は、駆動電力をスイッチングするパワー半導体素子であり、動作すると発熱する。半導体装置1には図示しない冷却装置が用意されている。半導体装置1は、ヒートサイクルに晒される。
メーカが提供する同一種類の半導体装置が、ユーザによって様々に利用される。大電力を長時間通電することによってはんだ層8とアルミニウム膜4が高温になる利用方法がされることもあれば、大電力を通電する時間が短く、はんだ層8とアルミニウム膜4がそれほどの高温にならない利用方法がされることもある。
はんだ層8とアルミニウム膜4は、ヒートサイクルに晒されたときに、他の部材に比して劣化しやすい。劣化の進行度合いを知り、寿命に近づいた時点で半導体装置1を交換するといった処置を施すことが予定されている。
はんだ層8とアルミニウム膜4に加えられるヒートサイクルの厳しさは、利用方法によって様々であり、加えられたヒートサイクルの回数によって寿命に近づいたとする手法は使えない。回数で管理する方法を採用すると、厳しい利用方法をする場合には、予め定めておいた基準サイクル数に達する以前に寿命に至ってしまうことがあう。逆に、穏やかな利用方法をする場合には、予め定めておいた基準サイクル数に達しても寿命までに余裕のある場合が生じる。
半導体素子10を実装基板2にはんだ層8で接合する目的は、半導体素子10を実装基板2に電気的に接続するためとは限られない。専ら機械的に接合するのが目的であり、実装基板2は絶縁体であることもある。この場合、半導体素子10の表面側に形成されているパッドにワイヤボンディングして電気的に接続する。もちろん、実装基板2の表面に配線を形成しておき、はんだ層8で、機械的にも電気的に接合する場合もある。本実施例はいずれの実装基板に対しても適用することができる。
本実施例では、実装基板2にアルミナ(Al)製のセラミック基板を利用した。その厚みは0.3mmである。アルミニウム膜4の厚みも、0.3mmである。半導体素子10は、ハイブリッド自動車のモータに通電する電流を制御するインバータ回路を構成するIGBTであり、モータに通電する際に発熱する。半導体装置1は、ヒートサイクルに晒される。半導体素子10が、サイリスタ、MOSFET、ダイオード等の場合も、本実施例の技術が有用である。
本実施例の半導体装置1では、はんだ層8とアルミニウム膜4の劣化の進行度合いによく相関して抵抗値が増大するモニタ用アルミニウム膜6が実装基板2の表面に形成されている。モニタ用アルミニウム膜6は、半導体素子10を実装基板2に接合する機能とは無関係であり、アルミニウム膜4に形成されている開口4a内に形成されている。モニタ用アルミニウム膜6は、はんだ層8とアルミニウム膜4を同じヒートサイクルに晒される。
本実施例では、純度99.99%のアルミニウムを用いてモニタ用アルミニウム膜6を形成した。その厚みは0.01mmであり、ろう付けの手法で実装基板2の表面に密着させた。モニタ用アルミニウム膜6は、細線部6cと、その両端に形成されているパッド6a,6bを備えている。実際には、0.01mmよりも厚いアルミニウム箔を実装基板2の表面にろう付けし、その後にエッチングすることでパターンニングするとともに厚みを減じて0.01mmとした。ろう付けに代えて、スパッタ法によって実装基板2の表面に厚み0.01mmのアルミ膜を成膜してもよい。
図2は、ヒートサイクルに晒した後のモニタ用アルミニウム膜6と実装基板2の断面を示す。ヒートサイクルに晒すと、モニタ用アルミニウム6が波打つように変形し、断続的な位置で実装基板2から剥離する。
図3の右縦軸は、ヒートサイクルに晒した後の剥離面積を、モニタ用アルミニウム6の表面積で除した接合不良面積割合を示す。モニタ用アルミニウム6が実装基板2に密着しているのか剥離しているのかは、超音波探傷法で計測した。
図3の中間縦軸は、パッド6a,6b間の抵抗の測定値の変化度合いを示す。rは、ヒートサイクルを加える前のモニタ用アルミニウム6の測定値(初期値)を示す。図3の中間縦軸は、正確にいうと、パッド6a,6b間の抵抗の測定値を初期値で除した変化比率である。
図3の左側の縦軸は、モニタ用アルミニウム6の表面に発達した凹凸の高さLの測定値を示す。
実測したところ、接合不良面積割合と、抵抗値の変化比率と、凹凸の高さは、よく比例することが確認された。そこで、図3では、ともに縦軸にとっている。
図3の横軸は半導体装置1に加えたヒートサイクルのサイクル数を示す。
直線A1は、基準温度変動幅ΔTのヒートサイクルを加えたときのサイクル数と、そのサイクル数における接合不良面積割合(抵抗値の変化比率と凹凸の高さに比例する)の測定値をプロットしたもの(丸印)に対する1次近似直線を示す。
直線A2は、基準温度変動幅ΔTよりも25℃だけ大きな温度変動幅のヒートサイクルを加えたときのサイクル数と、そのサイクル数における接合不良面積割合の測定値をプロットしたもの(正方形)に対する1次近似直線を示す。大きな温度変動幅を加えることから、直線A1の場合よりも急速に接合不良面積割合が増加する。
直線A3は、基準温度変動幅ΔTよりも50℃だけ大きな温度変動幅のヒートサイクルを加えたときのサイクル数と、そのサイクル数における接合不良面積割合の測定値をプロットしたもの(三角印)に対する1次近似直線を示す。大きな温度変動幅を加えることから、直線A2の場合よりもさらに急速に接合不良面積割合が増加する。いずれの場合も、ほぼ直線近似が成立ことが確認されている。
サイクル数Cは、接合不良面積割合が5%にまで増加するまでのサイクル数を示す。経験的に、接合不良面積割合が5%にまで増加すると、はんだ層8にクラックが入ったり、アルミニウム膜4と実装基板2間の熱抵抗が増加して半導体素子10が異常に過熱されることが分っている。接合不良面積が5%未満の条件では、実用的に問題ないのに対し、5%以上となると不具合の発生確率が急激に増大する。接合不良面積割合が5%にまで増加したときに寿命がきたと評価してもよいことが判っている。
接合不良面積割合が5%にまで増加すると、モニタ用アルミニウム膜6の抵抗値は初期値の1.01倍に増加することが分っている。またモニタ用アルミニウム膜6の表面に発達する凹凸の高さが35μmに達することが判っている。
サイクル数C〜Cは、接合不良面積割合が5%にまで増加するまでのサイクル数を示している。イクル数Cは、ヒートサイクルの温度変動幅が基準温度変動幅ΔTである場合のサイクル数を示し、サイクル数Cは、ヒートサイクルの温度変動幅が基準温度変動幅ΔT+25℃である場合のサイクル数を示し、サイクル数Cは、ヒートサイクルの温度変動幅が基準温度変動幅ΔT+50℃である場合のサイクル数を示している。
図4は、ヒートサイクルの温度変動幅の対数を横軸にとり、接合不良面積割合が5%にまで増加するまでのサイクル数の対数を縦軸にとったグラフを示す。測定結果をプロットしてみると、ほぼ直線70に沿っていることが分る。経験的に分っている温度変動幅と寿命の間に成立する関係を満たしていることが分る。
図3と図4から、抵抗値の変化比率と、表面の凹凸の高さと、接合不良面積割合がよく比例し、モニタ用アルミニウム膜6の抵抗値がrから1.01×rに増加すると、接合部が寿命を迎えることが分る。抵抗値が1.01×rに増加する直前に対策を施せば、寿命を向かえる直前に対策を施せることが分る。抵抗値が1.01×rに増加する直前に対策を施せば、必要な時に必要な対策を施せることが分る。
第1実施例では、適宜なタイミングでモニタ用アルミニウム膜6の特性を測定する。例えば超音波探傷法で接合不良面積比率を測定する。あるいはパッド6a,6b間の抵抗を想定する。あるいは、表面に発達している凹凸の高さを測定する。測定結果から、はんだ層8あるいはアルミニウム膜4の劣化の進行度合いを知ることができる。寿命に至る直前時点を知ることができ、必要な対策を適切な時期に施すことを可能とする。
(第2実施例)
図5は、第2実施例の半導体装置30を示している。第2実施例の半導体装置30は、第1実施例の半導体装置1を1部に含んでいる。すなわち、実装基板2の裏面がはんだ層14によって放熱板16に接合されている。放熱板16は、図示しない水冷装置に組み込まれている。放熱板16にはんだ接合するために、実装基板2の裏面にもアルミニウム膜12が形成されている。
半導体装置30は、実装基板2と別の実装基板18を備えている。実装基板18には、3個の抵抗20,22,24が実装されている。
実装基板2と実装基板18によって、図6に示すホイートストーンブリッジ回路が形成されている。そのホイートストーンブリッジ回路には、電圧Eの直流電源が接続されており、出力端子26,28が接続されている。出力端子26,28は実装基板18に形成されている。
抵抗20,22,24の抵抗は、モニタ用アルミニウム膜6の初期抵抗rに等しい。基板18と抵抗20,22,24にはヒートサイクルが加わらない。抵抗20,22,24の抵抗は、モニタ用アルミニウム膜6の初期抵抗rを維持する。
モニタ用アルミニウム膜6の抵抗が、初期抵抗rからxだけ増加すると、出力端子26,28の電圧は、(1)式に示す値となる。出力端子26,28間の電圧からモニタ用アルミニウム膜6の抵抗の増加分xが分り、それによって抵抗の初期値rに対する変化比率が分る。変化比率が前記した1.01の値に近づいた時に、実装基板2の接続部が寿命を迎える直前時期になったことが分る。
(第3実施例)
第3実施例の半導体装置は、第2実施例のモニタ用アルミニウム膜6を、モニタ用キャパシター6fに置き換え、ブリッジを形成する抵抗20,22、24をキャパシター40,42,44に置き換え、ホイートストーンブリッジ回路を交流ブリッジ回路に置き換えたものである。
図7は、モニタ用キャパシター6fの拡大断面図を示し、実装基板2の表裏両面の相互に向かい合う位置に、モニタ用アルミニウム膜6d,6eの対が形成されている。
モニタ用アルミニウム膜6d,6eはヒートサイクルに晒されると、実装基板2から剥離し、剥離するとモニタ用キャパシター6fの容量が低下する。接合不良面積割合が増加するほど、モニタ用キャパシター6fの容量が低下する。初期容量に対する変化比率と、接合不良面積割合はよく比例することがわかっている。
交流ブリッジ回路を構成するキャパシター40,42,44の容量は、モニタ用キャパシター6fの初期容量Cに等しい。実装基板18とキャパシター40,42,44にはヒートサイクルが加わらない。キャパシター40,42,44の容量は、モニタ用キャパシター6fの初期容量Cを維持する。
モニタ用キャパシター6fの容量が、初期容量Cからxだけ減少すると、出力端子46,48の電圧は、(2)式に示す値となる。出力端子46,48間の電圧から、モニタ用キャパシター6fの容量の低下分xが分り、容量の変化比率が分る。モニタ用キャパシター6fの容量の変化比率が、接合不良面積割合が5%に増加したときの変化比率よりもわずかに小さな値となったときに、実装基板2の接続部が寿命を迎える直前時期になったことが分る。
(第4実施例)
第4実施例の半導体装置50は、モニタ用キャパシター6fを図9に示すLCR共振回路に組み込んでいる。
第4実施例の半導体装置では、LCR共振回路の共振周波数を測定する。LCR共振回路のL成分とR成分は、ヒートサイクルに晒されない環境におかれており、変化しない。従って、共振周波数の変化はモニタ用キャパシター6fの容量変化に起因している。共振周波数の変化からモニタ用キャパシター6fの容量低下量xを知ることができ、容量の変化比率が分る。モニタ用キャパシター6fの容量の変化比率が、接合不良面積割合が5%に増加したときの変化比率よりもわずかに小さな値となったときに、実装基板2の接続部が寿命を迎える直前時期になったことが分る。
(第5実施例)
第5実施例の半導体装置60は、モニタ用キャパシター6fを組み込んだLCR共振回路に流れる周波数ωの電流成分を測定する。ここで、周波数ωはモニタ用キャパシター6fの容量が初期値にあるときの共振周波数である。モニタ用キャパシター6fの容量が初期値から変化すれば、共振周波数が変化し、図10に示すように、周波数ωの電流成分が低下する。周波数ωの電流成分の低下量から、モニタ用キャパシター6fの容量低下量xを知ることができ、容量の変化比率が分る。モニタ用キャパシター6fの容量の変化比率が、接合不良面積割合が5%に増加したときの変化比率よりもわずかに小さな値となったときに、実装基板2の接続部が寿命を迎える直前時期になったことが分る。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項に記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
第1実施例の半導体装置の斜視図を示す。 モニタ用アルミニウム膜と基板の断面図を示す。 サイクル数と、接合不良面積割合、抵抗の変化比率ならびに凹凸の高さの関係を示す。 ヒートサイクルの温度変化幅と、寿命サイクル数の関係を示す。 第2実施例の半導体装置の断面図を示す。 第2実施例の半導体装置に組み込まれているホイートストーンブリッジ回路を示す。 第3実施例の半導体装置のモニタ用キャパシターの断面を示す。 第3実施例の半導体装置に組み込まれている交流ブリッジ回路を示す。 第4実施例の半導体装置に組み込まれているLCR共振回路を示す。 周波数と電流の関係を示す。
符号の説明
1:半導体装置
2:実装基板
4:アルミニウム膜
6:モニタ用アルミニウム膜
8:はんだ層
10:半導体素子

Claims (7)

  1. 半導体素子を実装基板に接合した半導体装置であり、
    その半導体装置に加わったヒートサイクルの温度変動幅とサイクル数に追従して特性が変化するモニタ部が前記実装基板に形成されていることを特徴とする半導体装置。
  2. 前記モニタ部は前記実装基板の表面に密着している金属膜であり、その金属膜と前記実装基板との密着面積が、前記半導体装置に加わったヒートサイクルの温度変動幅とサイクル数に追従して減少することを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
  3. 前記金属膜が、純度99.99%以上のアルミニウムであることを特徴とする請求項2に記載の半導体装置。
  4. 前記モニタ部は前記実装基板の表面に密着している金属膜であり、その金属膜の抵抗値が前記半導体装置に加わったヒートサイクルの温度変動幅とサイクル数に追従して増大することを特徴とする請求項2または3に記載の半導体装置。
  5. 前記金属膜の抵抗値の変化を示す値を出力する回路が実装されていることを特徴とする請求項4に記載の半導体装置。
  6. 前記モニタ部は前記実装基板の表面と裏面に密着している一対の金属膜で構成されるキャパシターであり、そのキャパシターの容量が前記半導体装置に加わったヒートサイクルの温度変動幅とサイクル数に追従して減少することを特徴とする請求項2または3に記載の半導体装置。
  7. 前記キャパシターの容量の変化を示す値を出力する回路が実装されていることを特徴とする請求項6に記載の半導体装置。
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