JP2010062190A - 半導体装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 半導体装置に加わったヒートサイクルの温度変動幅とサイクル数に追従して特性が変化するモニタ部6を実装基板2に形成する。純度99.99%以上のモニタ用アルミニウム膜6を実装基板2に密着させておくと、接合部に加わったヒートサイクルの温度変動幅とサイクル数に追従して、モニタ用アルミニウム膜6が波打つように変形し、接合不良面積比率、抵抗値、凹凸の高さ等が変化する。これらの値は、接合部の劣化の進行度合いによく相関する。モニタ用アルミニウム膜6の接合不良面積比率、抵抗値、凹凸の高さ等を測定することによって、接合部の劣化の進行度合いを精度よく知ることができる。
【選択図】図1
Description
そこで接合部での寿命に近づいたことを報知する技術が必要とされる。報知することができれば、寿命に至る前に交換等の処理をすることができ、長寿命化にかけるコストを低減することができる。
しかしながら、実際にはそれも難しい。電力制御に用いる半導体装置の場合、半導体装置に加えられるヒートサイクルの温度変動幅は使い方によって変化するからである。大きな温度変動幅のヒートサイクルに晒される利用方法がされる半導体装置は、予め推定しておいた寿命に至るまでのサイクル数以下で寿命となってしまう。温度変動幅が小さいヒートサイクルに晒される半導体装置の場合は、予め推定しておいたサイクル数に達しても劣化が進行をしておらず、交換作業が必要とされないことが起こる。
半導体素子を実装基板に接合している接合部は、接合部に加わったヒートサイクルの温度変動幅とサイクル数に追従して劣化する。本発明者らは、その劣化の進行度合いに追従して特性が変化していく物質が存在することを見出し、その物質を実装基板に形成しておけば、その特性を測定することによって、接合部の劣化の進行度合いに直接的に相関する指標を測定できることを見出した。
本発明の半導体装置によると、モニタ部の特性を測定することによって寿命に近づいた時点を正確に特定することができる。大きな温度変化が繰りかえされる使用方法がされていれば、少ないサイクル数で寿命に近づくのに対応して、少ないサイクル数であるにも関わらずに寿命に近づいたことを認識することができる。小さな温度変化が多用される使用方法がされていれば、通常であれば寿命に近づくサイクル数であるのにもかかわらず、劣化の進行が遅く、寿命に近づいていないことを認識することができる。
密着面積の減少を直接的に測定することも可能である。あるいは密着面積の減少に追従して変化する特性を測定することも可能である。例えば、密着面積の減少と、金属膜の表面に生じる凹凸の高さはよく相関する。また密着面積の減少と、金属膜の抵抗値の上昇がよく相関する。実装基板の表裏両面に金属膜を形成してキャパシターを形成すると、密着面積の減少と、キャパシター容量の減少がよく相関する。
上記の金属膜が実装基板に形成されていれば、その特性を計測することによって、接合部の劣化の進行度合いによく相関する指標を得ることができる。
この場合、ヒートサイクルの温度変動幅とサイクル数に追従して、アルミニウム膜と実装基板の密着面積が確実に減少する。純度99.99%以上のアルミニウム膜を使用すると、信頼性の高い指標を得ることができる。
実装基板の表面に密着している金属膜の抵抗値を測定すれば、その抵抗値は、接合部の劣化の進行度合いによく相関する。
その場合、その回路の出力から、接合部の劣化の進行度合いを認識することができる。
実装基板の表裏面に密着している一対の金属膜間の容量を測定すれば、その容量は接合部の劣化の進行度合いによく相関する。
その場合、その回路の出力から、接合部の劣化の進行度合いを認識することができる。
大きな温度変化が繰り返される使用方法がされていれば、少ないサイクル数で寿命に近づくのに対応して、少ないサイクル数であるにも関わらずに寿命に近づいたことを認識することができる。小さな温度変化が多用される使用方法がされていれば、通常であれば寿命に近づくサイクル数であるのにもかかわらず、劣化の進行が遅く、寿命に近づいていないことを認識することができる。
サイクル数で管理すると、予め定めておいた基準サイクル数に達しても、実際には劣化が進行をしておらず、寿命までに余裕のある場合が生じる。逆に、予め定めておいた基準サイクル数に達する以前に、寿命に至ってしまうことがある。
本発明の半導体装置によると、使用環境によらないで、寿命に近づいた時点を正確に特定することが可能となる。必要な措置を適切なタイミングで施すことが可能となる。
(特徴1)接合部の劣化を促進する厳しいヒートサイクルに晒される実装基板に、純度99.99%以上のアルミニウム膜を密着させる。接合部の劣化を促進するほどの厳しいヒートサイクルに晒されない別の実装基板にも、金属膜を密着させる。ヒートサイクルに晒されるアルミニウム膜とヒートサイクルに晒されない金属膜でブリッジ回路を構成し、ヒートサイクルに晒されるアルミニウム膜の特性の変化を示す値を出力する回路を構成する。
(特徴2)別の実装基板に3枚の金属膜を密着させ、ヒートサイクルに晒されるアルミニウム膜とヒートサイクルに晒されない3枚の金属膜でホイートストーンブリッジ回路を構成し、ヒートサイクルに晒されるアルミニウム膜の抵抗値の変化を示す値を出力する回路を構成する。
(特徴3)ヒートサイクルに晒される実装基板の表裏両面の向かい合う位置に、純度99.99%以上のアルミニウム膜を密着させる。接合部の劣化を促進するほどの厳しいヒートサイクルに晒されない別の実装基板の表裏両面の向かい合う位置にも、金属膜を密着させる。金属膜の対を3対設ける。ヒートサイクルに晒される1対のアルミニウム膜で構成される1つのキャパシターと、ヒートサイクルに晒されない3対の金属膜で構成される3個のキャパシターによって、交流ブリッジ回路を構成し、ヒートサイクルに晒される1対のアルミニウム膜で構成されるキャパシターの容量の変化を示す値を出力する回路を構成する。
(特徴4)ヒートサイクルに晒される実装基板の表裏両面の向かい合う位置に、純度99.99%以上のアルミニウム膜を密着させてキャパシターを構成する。そのキャパシターを容量成分とするLCR共振回路を構成する。
(特徴5)前記LCR共進回路の共振周波数を測定する回路を構成する。
(特徴6)前記LCR共進回路に特定周波数の交流電圧を印加したときに流れる特定周波数の電流成分の大きさを測定する回路を構成する。
(特徴7)ヒートサイクルに晒される実装基板に、純度99.99%以上のアルミニウム膜を密着させる。そのアルミニウム膜の表面に発達する凹凸の高さを測定する。
図1は、第1実施例の半導体装置1の分解斜視図を示している。実装基板2の表面にアルミニウム膜4が密着しており、そのアルミニウム膜4の表面に半導体素子10の裏面がはんだ層8によって接合されている。半導体素子10は、駆動電力をスイッチングするパワー半導体素子であり、動作すると発熱する。半導体装置1には図示しない冷却装置が用意されている。半導体装置1は、ヒートサイクルに晒される。
メーカが提供する同一種類の半導体装置が、ユーザによって様々に利用される。大電力を長時間通電することによってはんだ層8とアルミニウム膜4が高温になる利用方法がされることもあれば、大電力を通電する時間が短く、はんだ層8とアルミニウム膜4がそれほどの高温にならない利用方法がされることもある。
はんだ層8とアルミニウム膜4に加えられるヒートサイクルの厳しさは、利用方法によって様々であり、加えられたヒートサイクルの回数によって寿命に近づいたとする手法は使えない。回数で管理する方法を採用すると、厳しい利用方法をする場合には、予め定めておいた基準サイクル数に達する以前に寿命に至ってしまうことがあう。逆に、穏やかな利用方法をする場合には、予め定めておいた基準サイクル数に達しても寿命までに余裕のある場合が生じる。
本実施例では、純度99.99%のアルミニウムを用いてモニタ用アルミニウム膜6を形成した。その厚みは0.01mmであり、ろう付けの手法で実装基板2の表面に密着させた。モニタ用アルミニウム膜6は、細線部6cと、その両端に形成されているパッド6a,6bを備えている。実際には、0.01mmよりも厚いアルミニウム箔を実装基板2の表面にろう付けし、その後にエッチングすることでパターンニングするとともに厚みを減じて0.01mmとした。ろう付けに代えて、スパッタ法によって実装基板2の表面に厚み0.01mmのアルミ膜を成膜してもよい。
図3の右縦軸は、ヒートサイクルに晒した後の剥離面積を、モニタ用アルミニウム6の表面積で除した接合不良面積割合を示す。モニタ用アルミニウム6が実装基板2に密着しているのか剥離しているのかは、超音波探傷法で計測した。
図3の中間縦軸は、パッド6a,6b間の抵抗の測定値の変化度合いを示す。r0は、ヒートサイクルを加える前のモニタ用アルミニウム6の測定値(初期値)を示す。図3の中間縦軸は、正確にいうと、パッド6a,6b間の抵抗の測定値を初期値で除した変化比率である。
図3の左側の縦軸は、モニタ用アルミニウム6の表面に発達した凹凸の高さLの測定値を示す。
実測したところ、接合不良面積割合と、抵抗値の変化比率と、凹凸の高さは、よく比例することが確認された。そこで、図3では、ともに縦軸にとっている。
直線A1は、基準温度変動幅ΔT1のヒートサイクルを加えたときのサイクル数と、そのサイクル数における接合不良面積割合(抵抗値の変化比率と凹凸の高さに比例する)の測定値をプロットしたもの(丸印)に対する1次近似直線を示す。
直線A2は、基準温度変動幅ΔT1よりも25℃だけ大きな温度変動幅のヒートサイクルを加えたときのサイクル数と、そのサイクル数における接合不良面積割合の測定値をプロットしたもの(正方形)に対する1次近似直線を示す。大きな温度変動幅を加えることから、直線A1の場合よりも急速に接合不良面積割合が増加する。
直線A3は、基準温度変動幅ΔT1よりも50℃だけ大きな温度変動幅のヒートサイクルを加えたときのサイクル数と、そのサイクル数における接合不良面積割合の測定値をプロットしたもの(三角印)に対する1次近似直線を示す。大きな温度変動幅を加えることから、直線A2の場合よりもさらに急速に接合不良面積割合が増加する。いずれの場合も、ほぼ直線近似が成立ことが確認されている。
接合不良面積割合が5%にまで増加すると、モニタ用アルミニウム膜6の抵抗値は初期値の1.01倍に増加することが分っている。またモニタ用アルミニウム膜6の表面に発達する凹凸の高さが35μmに達することが判っている。
図5は、第2実施例の半導体装置30を示している。第2実施例の半導体装置30は、第1実施例の半導体装置1を1部に含んでいる。すなわち、実装基板2の裏面がはんだ層14によって放熱板16に接合されている。放熱板16は、図示しない水冷装置に組み込まれている。放熱板16にはんだ接合するために、実装基板2の裏面にもアルミニウム膜12が形成されている。
半導体装置30は、実装基板2と別の実装基板18を備えている。実装基板18には、3個の抵抗20,22,24が実装されている。
実装基板2と実装基板18によって、図6に示すホイートストーンブリッジ回路が形成されている。そのホイートストーンブリッジ回路には、電圧Eの直流電源が接続されており、出力端子26,28が接続されている。出力端子26,28は実装基板18に形成されている。
抵抗20,22,24の抵抗は、モニタ用アルミニウム膜6の初期抵抗r0に等しい。基板18と抵抗20,22,24にはヒートサイクルが加わらない。抵抗20,22,24の抵抗は、モニタ用アルミニウム膜6の初期抵抗r0を維持する。
第3実施例の半導体装置は、第2実施例のモニタ用アルミニウム膜6を、モニタ用キャパシター6fに置き換え、ブリッジを形成する抵抗20,22、24をキャパシター40,42,44に置き換え、ホイートストーンブリッジ回路を交流ブリッジ回路に置き換えたものである。
図7は、モニタ用キャパシター6fの拡大断面図を示し、実装基板2の表裏両面の相互に向かい合う位置に、モニタ用アルミニウム膜6d,6eの対が形成されている。
モニタ用アルミニウム膜6d,6eはヒートサイクルに晒されると、実装基板2から剥離し、剥離するとモニタ用キャパシター6fの容量が低下する。接合不良面積割合が増加するほど、モニタ用キャパシター6fの容量が低下する。初期容量に対する変化比率と、接合不良面積割合はよく比例することがわかっている。
モニタ用キャパシター6fの容量が、初期容量C0からxだけ減少すると、出力端子46,48の電圧は、(2)式に示す値となる。出力端子46,48間の電圧から、モニタ用キャパシター6fの容量の低下分xが分り、容量の変化比率が分る。モニタ用キャパシター6fの容量の変化比率が、接合不良面積割合が5%に増加したときの変化比率よりもわずかに小さな値となったときに、実装基板2の接続部が寿命を迎える直前時期になったことが分る。
第4実施例の半導体装置50は、モニタ用キャパシター6fを図9に示すLCR共振回路に組み込んでいる。
第4実施例の半導体装置では、LCR共振回路の共振周波数を測定する。LCR共振回路のL成分とR成分は、ヒートサイクルに晒されない環境におかれており、変化しない。従って、共振周波数の変化はモニタ用キャパシター6fの容量変化に起因している。共振周波数の変化からモニタ用キャパシター6fの容量低下量xを知ることができ、容量の変化比率が分る。モニタ用キャパシター6fの容量の変化比率が、接合不良面積割合が5%に増加したときの変化比率よりもわずかに小さな値となったときに、実装基板2の接続部が寿命を迎える直前時期になったことが分る。
第5実施例の半導体装置60は、モニタ用キャパシター6fを組み込んだLCR共振回路に流れる周波数ω1の電流成分を測定する。ここで、周波数ω1はモニタ用キャパシター6fの容量が初期値にあるときの共振周波数である。モニタ用キャパシター6fの容量が初期値から変化すれば、共振周波数が変化し、図10に示すように、周波数ω1の電流成分が低下する。周波数ω1の電流成分の低下量から、モニタ用キャパシター6fの容量低下量xを知ることができ、容量の変化比率が分る。モニタ用キャパシター6fの容量の変化比率が、接合不良面積割合が5%に増加したときの変化比率よりもわずかに小さな値となったときに、実装基板2の接続部が寿命を迎える直前時期になったことが分る。
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項に記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
2:実装基板
4:アルミニウム膜
6:モニタ用アルミニウム膜
8:はんだ層
10:半導体素子
Claims (7)
- 半導体素子を実装基板に接合した半導体装置であり、
その半導体装置に加わったヒートサイクルの温度変動幅とサイクル数に追従して特性が変化するモニタ部が前記実装基板に形成されていることを特徴とする半導体装置。 - 前記モニタ部は前記実装基板の表面に密着している金属膜であり、その金属膜と前記実装基板との密着面積が、前記半導体装置に加わったヒートサイクルの温度変動幅とサイクル数に追従して減少することを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
- 前記金属膜が、純度99.99%以上のアルミニウムであることを特徴とする請求項2に記載の半導体装置。
- 前記モニタ部は前記実装基板の表面に密着している金属膜であり、その金属膜の抵抗値が前記半導体装置に加わったヒートサイクルの温度変動幅とサイクル数に追従して増大することを特徴とする請求項2または3に記載の半導体装置。
- 前記金属膜の抵抗値の変化を示す値を出力する回路が実装されていることを特徴とする請求項4に記載の半導体装置。
- 前記モニタ部は前記実装基板の表面と裏面に密着している一対の金属膜で構成されるキャパシターであり、そのキャパシターの容量が前記半導体装置に加わったヒートサイクルの温度変動幅とサイクル数に追従して減少することを特徴とする請求項2または3に記載の半導体装置。
- 前記キャパシターの容量の変化を示す値を出力する回路が実装されていることを特徴とする請求項6に記載の半導体装置。
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