JP2010062103A - 接続部材、その形成方法,接続構造およびその形成方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】PCB20の上に、異方導電性シート1を挟んで、FPC30を重ねる。異方導電性シート1の基膜2は、多孔質熱可塑性高分子からなる。その一部に、水酸基,アミド基,カルボキシル基,イソシアネート基等の官能基が付与されて、接着性が生じている。FPC30を上方から押圧しながら、全体を基膜2の融点以上の温度に加熱する。これにより、基膜2が、リジッド基板21およびフレキシブル基板31に接着される。その後、押圧を解除する。使用時には、押圧しなくても、FPC30の配線32と、PCB20の配線22とが、貫通導電部材6を介して,互いに導通する。押圧機構が不要で、使用中の応力も緩和して、安定した接続状態が維持される。
【選択図】図6
Description
特許文献2の技術では、高強度樹脂等の弾性高分子からなる基膜を用いている。そして、基膜の孔を導電性磁性体粒子を充填した貫通導電部材で埋めている。
特許文献3の技術では、基膜として多孔質PTFEを用い、各孔の内壁部に、無電解めっきにより貫通導電部材を形成する技術が開示されている。
また、接着剤の厚みだけ異方導電性シートとFPCとの間に隙間が生じ、異方導電性シートの貫通導電部材とFPCの配線との導通性が悪化するおそれがある。したがって、接着剤を薄くするとともに、異方導電性シートの貫通導電部材の基膜面から十分高く突出させる必要がある。
また、接触を保持するために、ZIF等と同等の押圧機構を備える必要があるので、低背化には限度がある。
また、2つの被接続部材に、直接接続部材を貼り付けるので、接続部材の貫通導電部材と被接続部材の導体とが、確実に接触した状態で導通する。すなわち、従来のZIF等に必須であった押圧機構は不要であるので、低背化と、製造コストの削減とを実現することができる。
これらの樹脂は、柔軟であるので、接続部材に用いた場合、繰り返し応力に対する耐性が大きくなる。たとえば、携帯電話等の電子機器内で、接続部材が曲げや押圧力などを繰り返し受けるが、その場合にも、電気的接続機能を長く維持することができる。
さらに、接続部材の基膜が架橋処理された熱可塑性高分子によって構成されていれば、高い弾力性が得られ、応力を吸収する機能が高くなる。
これにより、着脱が容易で、安定した接続状態を維持しうる接続構造が得られる。
この方法により、上述の作用効果を有する接続部材を形成することができる。
この方法により、簡単に,上記接続構造を形成することができる。
−接続部材の構造−
図1は、実施の形態1に係る接続部材である異方導電性シート1の構造を示す斜視図である。図2は、図1に示すII-II線における異方導電性シート1の断面図である。
異方導電性シート1は、多数の微細孔を有する多孔質樹脂からなる矩形平板状の基膜2(厚さがたとえば約120μm)を備えている。基膜2の第一面3と第二面4との間には、板厚方向に貫通する多数の貫通孔5が形成されている。貫通孔5の内壁部には、導通部となる貫通導電部材6が形成されている。これにより、板厚方向に導電性を有し板面方向には導通性がないという、異方導電性機能が付与される。
これらの基は、極性基であり、上記置換処理により、熱可塑性高分子の極性が高くなり、接着性が生じる。置換される水素原子が結合している炭素原子は、これらの樹脂の主鎖にあってもよいし、側鎖にあってもよい。
次に、図3を参照しながら、本実施の形態の異方導電性シート1の製造方法について説明する。図3に示す工程において、まず、多孔質熱可塑性高分子フィルム2xを準備する。熱可塑性高分子樹脂として、ポリオレフィン樹脂,ポリ酢酸ビニル樹脂,エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂,エチレン−エチルアクリレート共重合樹脂,ポリビニルアルコール樹脂,エチレン−アクリル酸共重合樹脂,アイオノマー樹脂等を用いるのがよい。これらのうち2種類以上の樹脂の混合物であってもよい。他の樹脂を含んでいてもよいが、上記樹脂を、少なくとも50重量%以上含む熱可塑性高分子樹脂であることが好ましい。
多孔質熱可塑性高分子フィルム2xは、抽出法によるものでも、延伸法によるものでもよい。抽出法は、熱可塑性高分子樹脂と核剤とを混合して、押し出してフィルム状にした後に、核剤を溶媒中に抽出して核剤が占めていた箇所を空孔として多孔質フィルムを製造する製造方法である。また、延伸法は、熱可塑性高分子樹脂粉末とパラフィンオイル等の低融点材料とを混合して、フィルム状に押し出し、延伸した後に加熱してパラフィンオイル等の低融点材料を排出して空孔とする多孔質フィルムの製造方法である。
次いで、多孔質熱可塑性高分子フィルム2xに対して、電子線照射による架橋処理を行って、架橋された多孔質熱可塑性高分子フィルムからなる基膜2を形成する。電子線の吸収線量は、50kGy〜1000kGyとするのがよい。架橋処理としては、電子線照射方法が属する放射線照射架橋(イオン照射、X線照射など)を用いてもよい。また、シランカップリングや過酸化物(ハイパーオキサイド)を用いた化学架橋を行ってもよい。化学架橋を行う場合には、多孔質熱可塑性高分子フィルム2xに予め化学架橋用の薬品を混合しておく必要がある。また、架橋効率を改善するためにトリアリルイソシアヌレートなどの架橋助剤を熱可塑性高分子に配合したり、ノルボルネンなどの二重結合を有する官能基を共重合させたり、側鎖として結合させてもよい。なお、図3では、架橋処理の電子線照射は、マスク層融着の前に行われているが、電子線照射は、図3に示すどの処理の前または後で、行ってもよい。
めっき触媒を貫通孔の壁にのみ付着して、導電金属膜を貫通孔に効率よく形成するために、基膜2の両面にマスク層7を被覆する。マスク層7aは、基膜2と同じ材料である必要はないが、このあと説明するように、固形物を基膜2に充填して貫通孔を設ける必要があるので、多孔質膜とするのがよい。基膜2にマスク層7を被覆して固定するためには、各層間を融着できるものであること望ましい。また、マスク層7の被覆→貫通孔の形成→めっき触媒付着の後にマスク層7を除去するときも、容易にマスク層7を剥離することができる。
(1)準備処理−固形物の充填−
図4を参照しながら、貫通孔を形成する手順を説明する。貫通孔の形成に先立って、多孔質構造に液体または溶液を含浸させ、これを固形化する。したがって、液体または溶液は、固形物を形成することができるものを用いる。また、この固形物は、容易に除去できるものとするため、融解または溶解できるものとする。上記の液体または溶液は、含浸時の状態で表現しており、その中には常温で固体状態のものも含まれる。たとえば凝固点または融点が高く、常温(15℃〜30℃)で固体である材料は、加熱して液体(融液)にしてから、多孔質材料に含浸させ、含浸後に、凝固点または融点以下に冷却して固化させる。
穿孔は、ドリルなどによる機械加工、電磁波アブレーション加工、金型によるモールド加工、超音波加工などを用いることができる。上記の固形物を充填させた多孔質材料の穿孔は、とくに機械加工の際に、無孔質材料に対する穿孔と同様に行うことができ、精度よく貫通孔5を形成することができる。本発明の実施の形態では、基膜2に架橋された多孔質熱可塑性高分子膜を用いるため、上記の機械加工において、バリを生じにくいため、機械加工の後で、バリ取りエッチングをしなくて済む利点を得ることができる。
バリがないことにより、異方導電性シート1を配線板等に接着させる際に、貫通導電部材6を配線板等の配線(あるいは電極)に,確実に接触させることができる。
穿孔の後、多孔質構造に充填された固形物を除去する。固形物がパラフィンの場合には加熱によりまたは溶剤により、それぞれ多孔質構造から除去する。また、上述のようにポリエチレングリコールの場合は、水によって溶解除去する。
図4を参照して、めっき処理の手順を説明する。絶縁体である基膜2の貫通孔5の壁面5aにめっき処理により導電金属膜を形成するに際し、金属イオンの還元反応を促進するめっき触媒8を付着する。めっき処理には無電解めっき法を用いるのがよい。無電解めっき法では、一般に、金属を析出させたい箇所に、還元反応を促進する触媒を予め付着させておく。マスク層7の使用は、基膜2において、貫通孔5の内壁部5aを除く領域には、できるだけ導電膜が形成されないようにするためである。ただし、基膜2の外側面には導電膜が形成されるが、この導電膜は、後に容易に除去できる。この目的を実現するためには、マスク層7に限定されず、後で説明するように他の手段を用いることができる。
上述のように、貫通導電部材6は、貫通孔5の内壁部5aにのみ形成されればよく、基膜2の表裏面に形成されることは、この部分の絶縁性確保のために避けなければならない。このために、表裏面を被覆した状態で、めっき触媒8が付着したマスク層7を除去する。マスク層7の除去によって、めっき触媒8は貫通孔5の内壁部5aに限定される。
無電解めっきを行う前に、上記の方法により残留しためっき触媒8を活性化する。具体的には、めっき触媒活性化用として市販されている有機酸塩等に浸漬することで、スズを溶解し、触媒を活性化する(めっき触媒の語は、上記のように活性化前にも活性化後にも区別しないで用いる)。この後、無電解めっき液に基膜2を浸漬することにより、貫通孔5の内壁部5aにのみ導電金属膜を析出させ、筒状の導通路が形成される。無電解めっき時間が短すぎると、基膜2の厚み方向の導電性を確保することが困難になり、また長すぎると筒状の金属膜にならず塊状になる。塊状になると、検査装置に用いる場合には、通常の圧縮荷重では所定の圧縮ストロークが得られない。
図5は、異方導電性シート1の製造方法の変形例を示す図である。まず、架橋した多孔質熱可塑性高分子からなる基膜2を準備する。架橋は、放射線照射架橋によっても化学架橋によってもよい。この基膜2に対して、多孔質構造を固形物で充填し、かつ基膜2の表裏面を被覆層9で被覆する。被覆層9は、充填固形物と同じ材料で形成するのが、工程上、有利である。たとえば、可溶性ポリマーとくにパラフィンまたはポリエチレングリコールによって、充填固形物および被覆層9を形成するのがよい。
図6は、実施の形態2に係る接続構造体の組立方法を説明するための斜視図である。図7は、実施の形態2に係る接続構造体の組立状態を示す断面図である。
本実施の形態では、異方導電性シート1は、PCB20と、FPC30とを接続する接続部材として用いられる。
また、フレキシブル基板31の下面側には、配線32が形成されている。配線32の形状は、PCB20の配線22の構造と同様であるので、図示を省略している。
図10(a),(b)は、順に、異方導電性シート1の変形例1,2の構造を示す縦断面図である。
図10(a)に示す変形例1に係る異方導電性シート1は、基膜2に形成された貫通孔にワイヤを埋め込んだ構造を有している。
図10(b)に示す変形例1に係る異方導電性シート1は、基膜2に形成された貫通孔に多数の導電粒子を埋め込んだ構造を有している。
熱可塑性高分子樹脂は、ポリオレフィン樹脂,ポリ酢酸ビニル樹脂,エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂,エチレン−エチルアクリレート共重合樹脂,ポリビニルアルコール樹脂,エチレン−アクリル酸共重合樹脂,アイオノマー樹脂等である。
2 基膜
3 第一面
4 第二面
5 貫通孔
5a 内壁部
6 貫通導電部材
7 マスク層
8 めっき触媒
9 被覆層
20 PCB(第1部材)
21 リジッド基板
22 配線(第1導体)
25 枠部材
30 FPC(第2部材)
31 フレキシブル基板
32 配線(第2導体)
35 ガイド部材
Claims (10)
- フィルム状の基膜と、
前記基膜に形成された貫通孔と、
前記貫通孔内に形成され、前記基膜を貫通する貫通導電部材とを備え、
前記基膜は、ホットメルト接着性を有する熱可塑性高分子樹脂からなる、接続部材。 - 請求項1記載の接続部材において、
前記貫通導電部材は、前記貫通孔の内壁部に、無電解めっきを用いて形成されている、接続部材。 - 請求項1または2記載の接続部材において、
前記基膜を構成する高分子樹脂は、ポリオレフィン樹脂,ポリ酢酸ビニル樹脂,エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂,エチレン−エチルアクリレート共重合樹脂,ポリビニルアルコール樹脂,エチレン−アクリル酸共重合樹脂,およびアイオノマー樹脂のうちから選ばれる1または2以上の樹脂を、少なくとも50重量%以上含む熱可塑性高分子樹脂である、接続部材。 - 請求項1〜3のうちいずれか1つに記載の接続部材において、
前記基膜を構成する高分子樹脂は、水酸基,アミド基,アミノ基,カルボキシル基,およびイソシアネート基から選ばれる少なくとも1つの官能基を有する側鎖をグラフト重合させたものである、接続部材。 - 請求項1〜4のうちいずれか1つに記載の接続部材において、
前記基膜は、多孔質高分子樹脂である、接続部材。 - 請求項1〜5のうちいずれか1つに記載の接続部材において、
前記基膜は、放射線照射または化学反応により架橋されている、接続部材。 - 請求項1〜6のうちいずれか1つに記載の接続部材と、
第1導体を有する第1部材と、
第2導体を有する第2部材と、
を備え、
前記第1導体と第2導体とは、前記接続部材の貫通導電部材を介して、互いに導通している、接続構造。 - 熱可塑性高分子と核剤とを混合して、フィルム状の基膜を形成する工程(a)と、
前記工程(a)の後または前に、熱可塑性高分子を化学変性し、接着性が生じる官能基を付与する工程(b)と、
前記工程(a)及び(b)の後に、前記基膜を貫通する貫通孔を形成する工程(c)と、
前記工程(c)の後に、前記貫通孔の内壁部に貫通導電部材を設ける工程(d)と、
を含む接続部材の形成方法。 - 請求項8記載の接続部材の形成方法において、
前記工程(b)では、水酸基,アミド基,アミノ基,カルボキシル基,およびイソシアネート基から選ばれる少なくとも1つの官能基を有する側鎖をグラフト重合させる、接続部材の形成方法。 - 請求項1〜5のうちいずれか1つに記載の接続部材と、第1導体を有する第1部材と、第2導体を有する第2部材とを用いて、接続構造を形成する方法であって、
前記第1部材の第1導体と、前記第2部材の第2導体との間に、前記接続部材を介在させるステップ(a)と、
前記接続部材の前記基膜を加熱溶融した後、冷却することにより、前記第1,第2部材と、接続部材とを接着させるステップ(b)と、
を含む接続構造の形成方法。
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