JP2010062011A - 面発光素子及び発光パネル - Google Patents

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Abstract

【課題】視認性が高く、面内輝度ムラを低減した、複数の面発光素子を接合して形成した大サイズの発光パネル及びこの発光パネルに用いられる面発光素子を提供する。
【解決手段】少なくとも第1電極2と第2電極4との間に発光層を有する面発光素子11,12であって、該第1電極2が光透過性電極であり、該第2電極4が該面発光素子の光出射面垂直方向から見た発光領域において、光不透過性の中心部5と光透過性の周辺部6とで構成された電極であることを特徴とする面発光素子。
【選択図】図13

Description

本発明は、面発光素子及び複数の面発光素子を接合して形成した大サイズの発光パネルに関する。
照明用あるいはディスプレイ用として、近年大サイズの発光パネルの要請が高まってきている。大サイズの発光素子の開発は、特にその製造や装置コストの増大や、大面積における面内の輝度ムラ抑制が難しい等、困難な課題を抱えていた。
一方で、小サイズ発光パネルを継ぎ合わせて大サイズの発光パネルを構成する検討が進められてきた。しかし、小サイズの発光パネル同士の継ぎ目が非発光部分として存在するため、視認性に劣るとして、その繋ぎ目を目立たなくする技術検討が従来行われてきた。
接合する個々の発光素子の封止ヘリ部分で、発光層の端部に外側に向けた丸みを持たせ、封止のヘリ部分から接合部へ向けて斜め方向にも発光させるようにする素子構造が報告されている(例えば特許文献1参照)。また、複数の発光素子の側面同士を貼り合わせた光出射面側に色変換フィルタを設置する構成が報告されている(例えば特許文献2参照)。さらに側面の封止に薄膜の接合板を用いた発光パネルを複数接合し、個々の発光パネル間の距離を狭めた構成が報告されている(例えば特許文献3参照)。接合部近傍のパネルを小サイズかつ高輝度発光として複数接続したディスプレイ構成も報告されている(例えば特許文献4参照)。
しかし、これらの従来技術は、いずれも継ぎ目が非発光部分として存在したままであり、特に近年、開発が進んでいる有機エレクトロルミネッセンス素子を用いる場合には、個々の素子に封止を十分に施すことが必要で、隣接する素子同士の発光面間に封止のための十分な間隔を確保する必要があり、素子を面内方向に配列させる方法では依然として視認性の改良には限界があった。
特開2001−57288号公報 特開2006−164618号公報 特開2007−200627号公報 特開2007−304584号公報
本発明の目的は、前記事情に鑑みてなされたものであり、視認性が高く、面内輝度ムラを低減した、複数の面発光素子を接合して形成した大サイズの発光パネル及びこの発光パネルに用いられる面発光素子を提供することにある。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成することができる。
1.少なくとも第1電極と第2電極との間に発光層を有する面発光素子であって、該第1電極が光透過性電極であり、該第2電極が該面発光素子の光出射面垂直方向から見た発光領域において、光不透過性の中心部と光透過性の周辺部とで構成された電極であることを特徴とする面発光素子。
2.前記面発光素子が有機エレクトロルミネッセンス素子であることを特徴とする前記1に記載の面発光素子。
3.前記1または2に記載の面発光素子を、光出射面垂直方向から見た前記面発光素子の発光領域の一部が互いに重なりを持つように複数配置されていることを特徴とする発光パネル。
4.一つの面発光素子の発光領域の一部と、他の面発光素子の第2電極の周辺部とが、互いに重なって配置されていることを特徴とする前記3に記載の発光パネル。
本発明により、視認性が高く、面内輝度ムラを低減した、複数の面発光素子を接合して形成した大サイズの発光パネル及びこの発光パネルに用いられる面発光素子を提供することができた。
本発明の面発光素子は、少なくとも第1電極と第2電極との間に発光層を有する面発光素子であって、前記第1電極が光透過性電極であり、前記第2電極が面発光素子の光出射面垂直方向から見た発光領域において、光不透過性の中心部と光透過性の周辺部とで構成された電極であることを特徴とする。
また、本発明の発光パネルは、複数の前記面発光素子を接合して形成した大サイズの発光パネルである。光出射面垂直方向から見た面発光素子の発光領域の一部が互いに重なりを持つように複数配置されている。面発光素子が、一つの面発光素子の第1電極側と、他の面発光素子の第2電極側とが、互いに対向するように重なって配置され、一つの面発光素子の発光領域の一部と、他の面発光素子の第2電極の周辺部とが、互いに重なって配置され、この重なり領域に光透過性を持たせることで、面発光素子同士の接合部分自体を発光させることができる。この光透過性領域にはITO、酸化亜鉛、酸化スズ、他、各種の透明導電性物質薄膜を用いることができる。抵抗を下げるために、銀やアルカリ金属、アルカリ土類金属及びこれらの化合物等の薄膜との積層にすることができる。スパッタリング、蒸着法、湿式法等任意の方法で形成ができる。
このパネル構造により、発光パネル接続部の非発光領域が減少し、あるいは、接続部の非発光領域が存在しなくなるため、面発光素子同士の接合部分が視覚的に認識されにくい発光パネルを提供することができる。また、発光パネルの面内輝度ムラを低減することができる。
さらに、面発光素子を同一面内に配列させる場合のように、発光領域間の間隔を無理に狭くして接続部の非発光領域を低減させる必要がないため、面発光素子の封止厚を十分に確保することができ、素子外部からの酸素、水分の浸入防止が特に重要な有機エレクトロルミネッセンス素子を用いる場合に好ましく適用できる。
以下、本発明の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、本発明の実施形態はこれらに限定されない。
図1は本発明の面発光素子の断面図である。
基板1上に、第1電極2、発光層を含む機能層3、第2電極4が順次積層されている。さらに、図では省略しているが、必要に応じて封止、保護膜、補助電極等を設けてもよく、第1電極2及び第2電極4以外の電極が積層されていてもよい。また、第1電極2と第2電極4の配置は逆であってもよい。
発光層を含む機能層3には、発光層以外に、電荷注入層、電荷輸送層、絶縁層、キャリアブロック層、中間層、光調整層、保護膜、バリア層、及びこれらの混合層等を任意に設けることができる。
本発明においては、第1電極2が光透過性電極であり、かつ光出射面垂直方向から見た発光領域において、第2電極4が、光不透過性の中心部と光透過性の周辺部とで構成された電極である。
図2は、本発明の面発光素子の発光領域における第2電極4を光出射面垂直方向から見た図である。第2電極4は、光不透過性の中心部5と、光透過性の周辺部6とで構成されており、本発明において、中心部とは、光出射面垂直方向から見た発光領域の面内においてその重心を含む領域である。
本発明において光不透過性とは、可視光透過率が10%未満であることをいい、7%未満であることが好ましく、5%未満であることがより好ましい。本発明において、光透過性とは可視光透過率が10%以上100%以下であることをいい、30%以上100%以下であることが好ましく、50%以上100%以下であることがより好ましい。
本発明において、第2電極の光不透過性領域の面積は、発光領域の面積の25%以上95%未満であることが好ましく、50%以上90%未満であることがより好ましい。また、光透過性領域の面積は、発光領域の面積の5%以上75%未満であることが好ましく、10%以上50%未満であることがより好ましい。
本発明に係る上記第2電極の他の形状の例を図3〜図6に示すが、図2または図3に例示したように、周辺部全体が光透過性となるよう構成されていることが好ましい。
本発明の面発光素子の形状の例を図7(a)〜(g)に示す。本発明の面発光素子は、各種の多角形、長方形、円状、あるいは、入り組んだ様々な形状をとることができる。
本発明の面発光素子を光出射面垂直方向から見た面発光素子の発光領域の一部が互いに重なりを持つように複数配置することで構成された発光パネルの例を図8〜10に示す。図8(a)、図9(a)、図10(a)は各々の発光パネルの側面図であり、図8(b)、図9(b)、図10(b)は各々の発光パネルを光出射面垂直方向から見た図である。
本発明においては、一つの面発光素子の第1電極側と、他の面発光素子の第2電極側とが、互いに対向するように重なって配置されていることが好ましく、一つの面発光素子の発光領域の一部と、他の面発光素子の第2電極の周辺部とが互いに重なって配置されていることが好ましい。互いに重なった部分の面積は、第2電極における光透過性の周辺部の面積の30%以上100%以下であることが好ましく、50%以上100%以下であることがより好ましい。
光出射面垂直方向から見た面発光素子の発光領域の一部が互いに重なりを持つように複数配置することで構成された発光パネルの他の例を図11、図12に示す。いずれも発光パネルを光出射面垂直方向から見た図である。
また、本発明の発光パネルは、形状、大きさの異なる複数の面発光素子を用いて構成することもでき、発光領域の一部が互いに重なりを持つ部分においては、3つ以上の面発光素子が重なっていてもよい。
光出射面垂直方向から見た面発光素子の発光領域の一部が互いに重なりを持つように複数配置することで構成された発光パネルにおいて、一つの面発光素子の第1電極側と、他の面発光素子の第2電極側とが、互いに対向するように重なって配置され、かつ一つの面発光素子の発光領域の一部と、他の面発光素子の第2電極の周辺部とが、互いに重なって配置されている発光パネルを光出射面垂直方向に対する側面方向から見た拡大図の例を図13に示す。
面発光素子11及び面発光素子12はそれぞれ、基板1上に第1電極2、発光層10を内部に含む機能層3、第2電極4を順次積層して構成されている。第1電極2は光透過性電極であり、第2電極4は光不透過性の中心部5と光透過性の周辺部6とで構成されている。これら基板上に形成された積層は封止カバー7で被覆され、封止カバー7内には捕水剤8が設けられ、窒素ガス9が充填されている。発光領域は、第1電極2、及び第2電極4に挟まれた発光層10である。
面発光素子11と面発光素子12は、光出射面垂直方向から見て発光領域の一部が互いに重なりを持っており、面発光素子11の第1電極2側と、面発光素子12の第2電極4側とが、互いに対向するように重なって配置されている。さらに、面発光素子11の発光領域の一部と、面発光素子12の第2電極4における光透過性の周辺部6とが、互いに重なって配置されている。
本発明に関わる面発光素子は、エレクトロルミネッセンス素子であることが好ましく、有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子ともいう)であることがより好ましい。
以下、本発明に関わる面発光素子を有機EL素子で構成する場合の好ましい態様を説明するが、本発明はこれに限定されない。
有機EL素子の層構成の好ましい具体例を以下に示す。
(i)陽極/発光層/電子輸送層/陰極
(ii)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
(iii)陽極/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極
(iv)陽極/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極バッファー層/陰極
(v)陽極/陽極バッファー層/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極バッファー層/陰極
ここで、発光層は、少なくとも発光色の異なる2種以上の発光材料を含有していることが好ましく、単層でも複数の発光層からなる発光層ユニットを形成していてもよい。また、正孔輸送層には正孔注入層、電子阻止層も含まれる。
《発光層》
本発明に係る発光層は、電極または電子輸送層、正孔輸送層から注入されてくる電子及び正孔が再結合して発光する層であり、発光する部分は発光層の層内であっても発光層と隣接層との界面であってもよい。
本発明に係る発光層は、含まれる発光材料が前記要件を満たしていれば、その構成には特に制限はない。
また、同一の発光スペクトルや発光極大波長を有する層が複数層あってもよい。
各発光層間には非発光性の中間層を有していることが好ましい。
本発明における発光層の膜厚の総和は1nm以上100nm以下の範囲にあることが好ましく、さらに好ましくは、より低い駆動電圧を得ることができることから30nm以下である。なお、本発明でいうところの発光層の膜厚の総和とは、発光層間に非発光性の中間層が存在する場合には、該中間層も含む膜厚である。
個々の発光層の膜厚としては1nm以上50nm以下の範囲に調整することが好ましく、さらに好ましくは1nm以上20nm以下の範囲に調整することである。青、緑、赤の各発光層の膜厚の関係については、特に制限はない。
発光層の作製には、後述する発光材料やホスト化合物を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法、インクジェット法等の公知の薄膜化法により製膜して形成することができる。
本発明においては、各発光層には複数の発光材料を混合してもよく、また燐光発光材料と蛍光発光材料を同一発光層中に混合して用いてもよい。
本発明においては、発光層の構成として、ホスト化合物、発光材料(発光ドーパント化合物ともいう)を含有し、発光材料より発光させることが好ましい。
本発明においては、有機EL素子の発光層に含有されるホスト化合物としては、室温(25℃)における燐光発光の燐光量子収率が0.1未満の化合物が好ましい。さらに好ましくは燐光量子収率が0.01未満である。また、発光層に含有される化合物の中で、その層中での体積比が50%以上であることが好ましい。
ホスト化合物としては、公知のホスト化合物を単独で用いてもよく、または複数種併用して用いてもよい。ホスト化合物を複数種用いることで、電荷の移動を調整することが可能であり、有機EL素子を高効率化することができる。また、後述する発光材料を複数種用いることで異なる発光を混ぜることが可能となり、これにより任意の発光色を得ることができる。
本発明に用いられるホスト化合物としては、従来公知の低分子化合物でも、繰り返し単位をもつ高分子化合物でもよく、ビニル基やエポキシ基のような重合性基を有する低分子化合物(蒸着重合性発光ホスト)でもいい。
公知のホスト化合物としては、正孔輸送能、電子輸送能を有しつつ、且つ発光の長波長化を防ぎ、なお且つ高Tg(ガラス転移温度)である化合物が好ましい。ここで、ガラス転移点(Tg)とは、DSC(Differential Scanning Colorimetry:示差走査熱量法)を用いて、JIS−K−7121に準拠した方法により求められる値である。
公知のホスト化合物の具体例としては、以下の文献に記載されている化合物が挙げられる。例えば、特開2001−257076号公報、同2002−308855号公報、同2001−313179号公報、同2002−319491号公報、同2001−357977号公報、同2002−334786号公報、同2002−8860号公報、同2002−334787号公報、同2002−15871号公報、同2002−334788号公報、同2002−43056号公報、同2002−334789号公報、同2002−75645号公報、同2002−338579号公報、同2002−105445号公報、同2002−343568号公報、同2002−141173号公報、同2002−352957号公報、同2002−203683号公報、同2002−363227号公報、同2002−231453号公報、同2003−3165号公報、同2002−234888号公報、同2003−27048号公報、同2002−255934号公報、同2002−260861号公報、同2002−280183号公報、同2002−299060号公報、同2002−302516号公報、同2002−305083号公報、同2002−305084号公報、同2002−308837号公報等が挙げられる。
次に、発光材料について説明する。
本発明に係る発光材料としては、蛍光性化合物、燐光発光材料(燐光性化合物、燐光発光性化合物等ともいう)を用いる。
本発明において、燐光発光材料とは励起三重項からの発光が観測される化合物であり、具体的には室温(25℃)にて燐光発光する化合物であり、燐光量子収率が25℃において0.01以上の化合物であると定義されるが、好ましい燐光量子収率は0.1以上である。
上記燐光量子収率は第4版実験化学講座7の分光IIの398頁(1992年版、丸善)に記載の方法により測定できる。溶液中での燐光量子収率は種々の溶媒を用いて測定できるが、本発明において燐光発光材料を用いる場合、任意の溶媒のいずれかにおいて上記燐光量子収率(0.01以上)が達成されればよい。
燐光発光材料の発光は原理としては2種挙げられ、一つはキャリアが輸送されるホスト化合物上でキャリアの再結合が起こってホスト化合物の励起状態が生成し、このエネルギーを燐光発光材料に移動させることで燐光発光材料からの発光を得るというエネルギー移動型、もう一つは燐光発光材料がキャリアトラップとなり、燐光発光材料上でキャリアの再結合が起こり燐光発光材料からの発光が得られるというキャリアトラップ型であるが、いずれの場合においても、燐光発光材料の励起状態のエネルギーはホスト化合物の励起状態のエネルギーよりも低いことが条件である。
燐光発光材料は、有機EL素子の発光層に使用される公知のものの中から適宜選択して用いることができるが、好ましくは元素の周期表で8〜10族の金属を含有する錯体系化合物であり、さらに好ましくはイリジウム化合物、オスミウム化合物、または白金化合物(白金錯体系化合物)、希土類錯体であり、中でも最も好ましいのはイリジウム化合物である。
以下に燐光発光材料として用いられる化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。これらの化合物は、例えば、Inorg.Chem.,40巻、1704〜1711に記載の方法等により合成できる。
Figure 2010062011
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本発明に係る有機EL素子には、蛍光発光体を用いることもできる。蛍光発光体(蛍光性ドーパント)の代表例としては、クマリン系色素、ピラン系色素、シアニン系色素、クロコニウム系色素、スクアリウム系色素、オキソベンツアントラセン系色素、フルオレセイン系色素、ローダミン系色素、ピリリウム系色素、ペリレン系色素、スチルベン系色素、ポリチオフェン系色素、または希土類錯体系蛍光体等が挙げられる。
また、従来公知のドーパントも本発明に用いることができ、例えば、国際公開第00/70655号パンフレット、特開2002−280178号公報、同2001−181616号公報、同2002−280179号公報、同2001−181617号公報、同2002−280180号公報、同2001−247859号公報、同2002−299060号公報、同2001−313178号公報、同2002−302671号公報、同2001−345183号公報、同2002−324679号公報、国際公開第02/15645号パンフレット、特開2002−332291号公報、同2002−50484号公報、同2002−332292号公報、同2002−83684号公報、特表2002−540572号公報、特開2002−117978号公報、同2002−338588号公報、同2002−170684号公報、同2002−352960号公報、国際公開第01/93642号パンフレット、特開2002−50483号公報、同2002−100476号公報、同2002−173674号公報、同2002−359082号公報、同2002−175884号公報、同2002−363552号公報、同2002−184582号公報、同2003−7469号公報、特表2002−525808号公報、特開2003−7471号公報、特表2002−525833号公報、特開2003−31366号公報、同2002−226495号公報、同2002−234894号公報、同2002−235076号公報、同2002−241751号公報、同2001−319779号公報、同2001−319780号公報、同2002−62824号公報、同2002−100474号公報、同2002−203679号公報、同2002−343572号公報、同2002−203678号公報等が挙げられる。
本発明においては、少なくとも一つの発光層に2種以上の発光材料を含有していてもよく、発光層における発光材料の濃度比が発光層の厚さ方向で変化していてもよい。
《中間層》
本発明において、各発光層間に非発光性の中間層(非ドープ領域等ともいう)を設ける場合について説明する。
非発光性の中間層とは、複数の発光層を有する場合、その発光層間に設けられる層である。
非発光性の中間層の膜厚としては1nm以上20nm以下の範囲にあるのが好ましく、さらには3nm以上10nm以下の範囲にあることが隣接発光層間のエネルギー移動等相互作用を抑制し、かつ素子の電流電圧特性に大きな負荷を与えないということから好ましい。
この非発光性の中間層に用いられる材料としては、発光層のホスト化合物と同一でも異なっていてもよいが、隣接する2つの発光層の少なくとも一方の発光層のホスト材料と同一であることが好ましい。
非発光性の中間層は非発光層、各発光層と共通の化合物(例えば、ホスト化合物等)を含有していてもよく、各々共通ホスト材料(ここで、共通ホスト材料が用いられるとは、燐光発光エネルギー、ガラス転移点等の物理化学的特性が同一である場合やホスト化合物の分子構造が同一である場合等を示す。)を含有することにより、発光層−非発光層間の層間の注入障壁が低減され、電圧(電流)を変化させても正孔と電子の注入バランスが保ちやすいという効果を得ることができる。さらに、非ドープ発光層に各発光層に含まれるホスト化合物と同一の物理的特性または同一の分子構造を有するホスト材料を用いることにより、従来の有機EL素子作製の大きな問題点である素子作製の煩雑さをも併せて解消することができる。
本発明で有機EL素子を用いる場合、ホスト材料はキャリアの輸送を担うため、キャリア輸送能を有する材料が好ましい。キャリア輸送能を表す物性としてキャリア移動度が用いられるが、有機材料のキャリア移動度は一般的に電界強度に依存性が見られる。電界強度依存性の高い材料は正孔と電子注入・輸送バランスを崩しやすいため、中間層材料、ホスト材料は移動度の電界強度依存性の少ない材料を用いることが好ましい。
また、一方では正孔や電子の注入バランスを最適に調整するためには、非発光性の中間層は後述する阻止層、即ち正孔阻止層、電子阻止層として機能することも好ましい態様として挙げられる。
《注入層:電子注入層、正孔注入層》
注入層は必要に応じて設け、電子注入層と正孔注入層があり、上記の如く陽極と発光層または正孔輸送層の間、及び陰極と発光層または電子輸送層との間に存在させてもよい。
注入層とは、駆動電圧低下や発光輝度向上のために電極と有機層間に設けられる層のことで、「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の第2編第2章「電極材料」(123〜166頁)に詳細に記載されており、正孔注入層(陽極バッファー層)と電子注入層(陰極バッファー層)とがある。
陽極バッファー層(正孔注入層)は、特開平9−45479号公報、同9−260062号公報、同8−288069号公報等にもその詳細が記載されており、具体例として、銅フタロシアニンに代表されるフタロシアニンバッファー層、酸化バナジウムに代表される酸化物バッファー層、アモルファスカーボンバッファー層、ポリアニリン(エメラルディン)やポリチオフェン等の導電性高分子を用いた高分子バッファー層等が挙げられる。
陰極バッファー層(電子注入層)は、特開平6−325871号公報、同9−17574号公報、同10−74586号公報等にもその詳細が記載されており、具体的にはストロンチウムやアルミニウム等に代表される金属バッファー層、フッ化リチウムに代表されるアルカリ金属化合物バッファー層、フッ化マグネシウムに代表されるアルカリ土類金属化合物バッファー層、酸化アルミニウムに代表される酸化物バッファー層等が挙げられる。上記バッファー層(注入層)はごく薄い膜であることが望ましく、素材にもよるがその膜厚は0.1nm以上5μm以下の範囲が好ましい。
《阻止層:正孔阻止層、電子阻止層》
阻止層は、上記の如く有機化合物薄膜の基本構成層の他に必要に応じて設けられるものである。例えば、特開平11−204258号公報、同11−204359号公報、及び「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の237頁等に記載されている正孔阻止(ホールブロック)層がある。
正孔阻止層とは広い意味では電子輸送層の機能を有し、電子を輸送する機能を有しつつ正孔を輸送する能力が著しく小さい正孔阻止材料からなり、電子を輸送しつつ正孔を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。また、後述する電子輸送層の構成を必要に応じて、本発明に係る正孔阻止層として用いることができる。正孔阻止層は、発光層に隣接して設けられていることが好ましい。
一方、電子阻止層とは広い意味では正孔輸送層の機能を有し、正孔を輸送する機能を有しつつ電子を輸送する能力が著しく小さい材料からなり、正孔を輸送しつつ電子を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。また、後述する正孔輸送層の構成を必要に応じて電子阻止層として用いることができる。本発明に係る正孔阻止層、電子輸送層の膜厚としては好ましくは3nm以上100nm以下であり、さらに好ましくは5nm以上30nm以下である。
《正孔輸送層》
正孔輸送層とは正孔を輸送する機能を有する正孔輸送材料からなり、広い意味で正孔注入層、電子阻止層も正孔輸送層に含まれる。正孔輸送層は単層または複数層設けることができる。
正孔輸送材料としては、正孔の注入または輸送、電子の障壁性のいずれかを有するものであり、有機物、無機物のいずれであってもよい。例えば、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、アニリン系共重合体、また導電性高分子オリゴマー、特にチオフェンオリゴマー等が挙げられる。
正孔輸送材料としては上記のものを使用することができるが、ポルフィリン化合物、芳香族第3級アミン化合物及びスチリルアミン化合物、特に芳香族第3級アミン化合物を用いることが好ましい。
芳香族第3級アミン化合物及びスチリルアミン化合物の代表例としては、N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノフェニル;N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(3−メチルフェニル)−〔1,1′−ビフェニル〕−4,4′−ジアミン(TPD);2,2−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)プロパン;1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン;N,N,N′,N′−テトラ−p−トリル−4,4′−ジアミノビフェニル;1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)−4−フェニルシクロヘキサン;ビス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)フェニルメタン;ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)フェニルメタン;N,N′−ジフェニル−N,N′−ジ(4−メトキシフェニル)−4,4′−ジアミノビフェニル;N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノジフェニルエーテル;4,4′−ビス(ジフェニルアミノ)クオードリフェニル;N,N,N−トリ(p−トリル)アミン;4−(ジ−p−トリルアミノ)−4′−〔4−(ジ−p−トリルアミノ)スチリル〕スチルベン;4−N,N−ジフェニルアミノ−(2−ジフェニルビニル)ベンゼン;3−メトキシ−4′−N,N−ジフェニルアミノスチルベンゼン;N−フェニルカルバゾール、さらには米国特許第5,061,569号明細書に記載されている2個の縮合芳香族環を分子内に有するもの、例えば、4,4′−ビス〔N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ〕ビフェニル(NPD)、特開平4−308688号公報に記載されているトリフェニルアミンユニットが3つスターバースト型に連結された4,4′,4″−トリス〔N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ〕トリフェニルアミン(MTDATA)等が挙げられる。
さらにこれらの材料を高分子鎖に導入した、またはこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。また、p型−Si、p型−SiC等の無機化合物も正孔注入材料、正孔輸送材料として使用することができる。
また、特開平11−251067号公報、J.Huang et.al.著文献(Applied Physics Letters,80(2002),p.139)に記載されているような所謂、p型正孔輸送材料を用いることもできる。本発明においては、より高効率の発光素子が得られることから、これらの材料を用いることが好ましい。
正孔輸送層は上記正孔輸送材料を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法を含む印刷法、LB法等の公知の方法により、薄膜化することにより形成することができる。正孔輸送層の膜厚については特に制限はないが、通常は5nm以上5μm以下程度、好ましくは5nm以上200nm以下である。この正孔輸送層は上記材料の1種または2種以上からなる一層構造であってもよい。
また、不純物をドープしたp性の高い正孔輸送層を用いることもできる。その例としては、特開平4−297076号公報、特開2000−196140号公報、同2001−102175号公報、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)等に記載されたものが挙げられる。
本発明においては、このようなp性の高い正孔輸送層を用いることが、より低消費電力の素子を作製することができるため好ましい。
《電子輸送層》
電子輸送層とは電子を輸送する機能を有する材料からなり、広い意味で電子注入層、正孔阻止層も電子輸送層に含まれる。電子輸送層は単層または複数層設けることができる。
従来、単層の電子輸送層、及び複数層とする場合は発光層に対して陰極側に隣接する電子輸送層に用いられる電子輸送材料(正孔阻止材料を兼ねる)としては、陰極より注入された電子を発光層に伝達する機能を有していればよく、その材料としては従来公知の化合物の中から任意のものを選択して用いることができ、例えば、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタン及びアントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体等が挙げられる。さらに、上記オキサジアゾール誘導体において、オキサジアゾール環の酸素原子を硫黄原子に置換したチアジアゾール誘導体、電子吸引基として知られているキノキサリン環を有するキノキサリン誘導体も、電子輸送材料として用いることができる。さらにこれらの材料を高分子鎖に導入した、またはこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。
また、8−キノリノール誘導体の金属錯体、例えば、トリス(8−キノリノール)アルミニウム(Alq)、トリス(5,7−ジクロロ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5,7−ジブロモ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(2−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、ビス(8−キノリノール)亜鉛(Znq)等、及びこれらの金属錯体の中心金属がIn、Mg、Cu、Ca、Sn、GaまたはPbに置き替わった金属錯体も、電子輸送材料として用いることができる。その他、メタルフリーもしくはメタルフタロシアニン、またはそれらの末端がアルキル基やスルホン酸基等で置換されているものも、電子輸送材料として好ましく用いることができる。また、発光層の材料として例示したジスチリルピラジン誘導体も電子輸送材料として用いることができるし、正孔注入層、正孔輸送層と同様にn型−Si、n型−SiC等の無機半導体も電子輸送材料として用いることができる。
電子輸送層は上記電子輸送材料を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法を含む印刷法、LB法等の公知の方法により、薄膜化することにより形成することができる。電子輸送層の膜厚については特に制限はないが、通常は5nm以上5μm以下程度、好ましくは5nm以上200nm以下である。電子輸送層は上記材料の1種または2種以上からなる一層構造であってもよい。
また、不純物をドープしたn性の高い電子輸送層を用いることもできる。その例としては、特開平4−297076号公報、同10−270172号公報、特開2000−196140号公報、同2001−102175号公報、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)等に記載されたものが挙げられる。
本発明においては、このようなn性の高い電子輸送層を用いることがより低消費電力の素子を作製することができるため好ましい。
《支持基板》
有機EL素子に係る支持基板(以下、基体、基盤、基材、支持体等ともいう)としては、ガラス、プラスチック等の種類には特に限定はなく、また、透明であっても不透明であってもよい。支持基板側から光を取り出す場合には、支持基板は透明であることが好ましい。好ましく用いられる透明な支持基板としては、ガラス、石英、透明樹脂フィルムを挙げることができる。特に好ましい支持基板は、有機EL素子にフレキシブル性を与えることが可能な樹脂フィルムである。
樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロファン、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートフタレート、セルロースナイトレート等のセルロースエステル類またはそれらの誘導体、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンビニルアルコール、シンジオタクティックポリスチレン、ポリカーボネート、ノルボルネン樹脂、ポリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン類、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトンイミド、ポリアミド、フッ素樹脂、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、アクリルあるいはポリアリレート類、アートン(商品名JSR社製)あるいはアペル(商品名三井化学社製)といったシクロオレフィン系樹脂等を挙げられる。
樹脂フィルムの表面には、無機物、有機物の被膜またはその両者のハイブリッド皮膜が形成されていてもよく、JIS−K−7129−1992に準拠した方法で測定された水蒸気透過度(40℃、90%RH)が0.01g/(m・day・atm)以下のバリア性フィルムであることが好ましく、さらにはJIS−K−7126−1992に準拠した方法で測定された酸素透過度(20℃、100%RH)が10−3g/(m・day)以下、水蒸気透過度が10−3g/(m・day)以下の高バリア性フィルムであることが好ましく、前記の水蒸気透過度、酸素透過度がいずれも10−5g/(m・day)以下であることがさらに好ましい。
バリア膜を形成する材料としては、水分や酸素等素子の劣化をもたらすものの浸入を抑制する機能を有する材料であればよく、例えば、酸化珪素、二酸化珪素、窒化珪素等を用いることができる。さらに該膜の脆弱性を改良するためにこれら無機層と有機材料からなる層の積層構造を持たせることがより好ましい。無機層と有機層の積層順については特に制限はないが、両者を交互に複数回積層させることが好ましい。
《バリア膜の形成方法》
バリア膜の形成方法については特に限定はなく、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスタ−イオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、コーティング法等を用いることができるが、特開2004−68143号公報に記載されているような大気圧プラズマ重合法によるものが特に好ましい。
不透明な支持基板としては、例えば、アルミ、ステンレス等の金属板・フィルムや不透明樹脂基板、セラミック製の基板等が挙げられる。
《封止》
有機EL素子の封止に用いられる封止手段としては、例えば、封止部材と電極、支持基板とを接着剤で接着する方法を挙げることができる。
封止部材としては有機EL素子の表示領域を覆うように配置されておればよく、凹板状でも、平板状でもよい。また透明性、電気絶縁性は特に限定されない。
具体的には、ガラス板、ポリマー板、フィルム、金属板、フィルム等が挙げられる。ガラス板としては、特にソーダ石灰ガラス、バリウム・ストロンチウム含有ガラス、鉛ガラス、アルミノケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラス、石英等を挙げることができる。また、ポリマー板としては、ポリカーボネート、アクリル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルファイド、ポリサルフォン等を挙げることができる。金属板としては、ステンレス、鉄、銅、アルミニウム、マグネシウム、ニッケル、亜鉛、クロム、チタン、モリブテン、シリコン、ゲルマニウム及びタンタルからなる群から選ばれる一種以上の金属または合金からなるものが挙げられる。
本発明においては、素子を薄膜化できるということからポリマーフィルム、金属フィルムを好ましく使用することができる。さらにはポリマーフィルムは酸素透過度10−3g/(m・day)以下、水蒸気透過度10−3g/(m・day)以下のものであることが好ましい。また、前記の水蒸気透過度、酸素透過度がいずれも10−5g/(m・day)以下であることがさらに好ましい。
封止部材を凹状に加工するのは、サンドブラスト加工、化学エッチング加工等が使われる。接着剤として具体的には、アクリル酸系オリゴマー、メタクリル酸系オリゴマーの反応性ビニル基を有する光硬化及び熱硬化型接着剤、2−シアノアクリル酸エステル等の湿気硬化型等の接着剤を挙げることができる。また、エポキシ系等の熱及び化学硬化型(二液混合)を挙げることができる。また、ホットメルト型のポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィンを挙げることができる。また、カチオン硬化タイプの紫外線硬化型エポキシ樹脂接着剤を挙げることができる。
なお、有機EL素子が熱処理により劣化する場合があるので、室温から80℃までに接着硬化できるものが好ましい。また、前記接着剤中に乾燥剤を分散させておいてもよい。封止部分への接着剤の塗布は、市販のディスペンサーを使ってもよいし、スクリーン印刷のように印刷してもよい。
また、有機層を挟み支持基板と対向する側の電極の外側に、該電極と有機層を被覆し、支持基板と接する形で無機物、有機物の層を形成し封止膜とすることも好適にできる。この場合、該膜を形成する材料としては、水分や酸素等素子の劣化をもたらすものの浸入を抑制する機能を有する材料であればよく、例えば、酸化珪素、二酸化珪素、窒化珪素等を用いることができる。さらに該膜の脆弱性を改良するためにこれら無機層と有機材料からなる層の積層構造をもたせることが好ましい。これらの膜の形成方法については、特に限定はなく、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスタ−イオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、コーティング法等を用いることができる。
封止部材と有機EL素子の表示領域との間隙には、気相及び液相では窒素、アルゴン等の不活性気体やフッ化炭化水素、シリコンオイルのような不活性液体を注入することが好ましい。また、真空とすることも可能である。また、内部に吸湿性化合物を封入することもできる。
吸湿性化合物としては、例えば、金属酸化物(例えば、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム等)、硫酸塩(例えば、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸コバルト等)、金属ハロゲン化物(例えば、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、フッ化セシウム、フッ化タンタル、臭化セリウム、臭化マグネシウム、沃化バリウム、沃化マグネシウム等)、過塩素酸類(例えば、過塩素酸バリウム、過塩素酸マグネシウム等)等が挙げられ、硫酸塩、金属ハロゲン化物及び過塩素酸類においては無水塩が好適に用いられる。
《保護膜、保護板》
有機層を挟み支持基板と対向する側の前記封止膜、あるいは前記封止用フィルムの外側に、素子の機械的強度を高めるために保護膜、あるいは保護板を設けてもよい。特に封止が前記封止膜により行われている場合には、その機械的強度は必ずしも高くないため、このような保護膜、保護板を設けることが好ましい。これに使用することができる材料としては、前記封止に用いたのと同様なガラス板、ポリマー板・フィルム、金属板・フィルム等を用いることができるが、軽量かつ薄膜化ということからポリマーフィルムを用いることが好ましい。
《電極》
本発明に関わる面発光素子においては、少なくとも第1電極と第2電極とを有する。有機EL素子を用いる場合、通常は一方が陽極、他方が陰極で構成される。以下に好ましい陽極、及び陰極の構成について述べる。
《陽極》
有機EL素子における陽極としては、仕事関数の大きい(4eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが好ましく用いられる。このような電極物質の具体例としてはAu等の金属、CuI、インジウムチンオキシド(ITO)、SnO、ZnO等の導電性光透過性材料が挙げられる。また、IDIXO(In−ZnO)等非晶質で光透過性の導電膜を作製可能な材料を用いてもよい。陽極はこれらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により、薄膜を形成させ、フォトリソグラフィー法で所望の形状のパターンを形成してもよく、あるいはパターン精度をあまり必要としない場合は(100μm以上程度)、上記電極物質の蒸着やスパッタリング時に所望の形状のマスクを介してパターンを形成してもよい。あるいは、有機導電性化合物のように塗布可能な物質を用いる場合には、印刷方式、コーティング方式等湿式製膜法を用いることもできる。陽極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましい。さらに膜厚は材料にもよるが、通常10nm以上1000nm以下、好ましくは10nm以上200nm以下の範囲で選ばれる。
《陰極》
一方、陰極としては、仕事関数の小さい(4eV以下)金属(電子注入性金属と称する)、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが用いられる。このような電極物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属等が挙げられる。
これらの中で、電子注入性及び酸化等に対する耐久性の点から、電子注入性金属とこれより仕事関数の値が大きく安定な金属である第二金属との混合物、例えば、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、リチウム/アルミニウム混合物、アルミニウム等が好適である。陰極はこれらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させることにより、作製することができる。また、陰極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましく、膜厚は通常10nm以上5μm以下、好ましくは50nm以上200nm以下の範囲で選ばれる。
なお、発光した光を透過させるため、有機EL素子の陽極または陰極のいずれか一方は、光透過性となるよう構成される。
本発明の面発光素子において、有機EL素子を用いる場合、発光層を挟んで任意に、第1電極及び第2電極を配置することができる。
本発明において、前記光不透過性領域は、光吸収性であってもよく、光反射性であってもよいが、光反射性であることが好ましい。光吸収性とする場合には好ましくは、黒鉛等を用いることができ、光反射性とする場合には好ましくはアルミニウム及びアルミニウム化合物、銀及び銀化合物等を用いることができる。
本発明においては、例えば、陰極に上記導電性材料を薄く1nm以上20nm以下の膜厚で作製した後に、陽極の説明で挙げた導電性光透過性材料をその上に作製することで、電子注入製と光透過性を併せもつ陰極を作製することができる。
本発明に関わる第2電極は、光透過性膜上に発光領域における中心部にあたる個所に光不透過性膜を積層してもよく、発光領域における中心部に光不透過性膜を形成し、その周囲に光透過性膜を設けた構造でもよい。また導電性の光透過性膜を用いる場合、絶縁性の光不透過性膜を積層して用いることもできる。
《有機EL素子の作製方法》
有機EL素子の作製方法の一例として、陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極からなる有機EL素子の作製法について説明する。
まず適当な支持基板上に所望の電極物質、例えば、陽極用物質からなる薄膜を1μm以下、好ましくは10nm以上200nm以下の膜厚になるように蒸着やスパッタリング等の方法により形成させ、陽極を作製する。次に、この上に有機EL素子材料である正孔注入層、正孔輸送層、発光層、正孔阻止層、電子輸送層の有機化合物薄膜を形成させる。
この有機化合物薄膜の薄膜化の方法としては、前記の如く蒸着法、ウェットプロセス(スピンコート法、キャスト法、インクジェット法、印刷法)等があるが、均質な膜が得られやすく、かつピンホールが生成しにくい等の点から、真空蒸着法、スピンコート法、インクジェット法、印刷法が特に好ましい。さらに層毎に異なる製膜法を適用してもよい。製膜に蒸着法を採用する場合、その蒸着条件は使用する化合物の種類等により異なるが、一般にボート加熱温度50以上450℃以下、真空度10−6以上10−2Pa以下、蒸着速度0.01nm/秒以上50nm/秒以下、基板温度−50℃以上300℃以下、膜厚0.1nm以上5μm以下、好ましくは5nm以上200nm以下の範囲で適宜選ぶことが望ましい。
これらの層を形成後、その上に陰極用物質からなる薄膜を1μm以下、好ましくは50nm以上200nm以下の範囲の膜厚になるように、例えば、蒸着やスパッタリング等の方法により形成させ、陰極を設けることにより所望の有機EL素子が得られる。この有機EL素子の作製は、一回の真空引きで一貫して正孔注入層から陰極まで作製するのが好ましいが、途中で取り出して異なる製膜法を施しても構わない。その際、作業を乾燥不活性ガス雰囲気下で行う等の配慮が必要となる。
また作製順序を逆にして、陰極、電子注入層、電子輸送層、発光層、正孔輸送層、正孔注入層、陽極の順に作製することも可能である。このようにして得られた多色の液晶表示装置に直流電圧を印加する場合には、陽極を+、陰極を−の極性として電圧2V以上40V以下程度を印加すると発光が観測できる。また交流電圧を印加してもよい。なお、印加する交流の波形は任意でよい。
有機EL素子は空気よりも屈折率の高い(屈折率1.6以上2.1以下程度)層の内部で発光し、発光層で発生した光のうち15%以上20%以下程度の光しか取り出せないと一般的に言われている。これは、臨界角以上の角度θで界面(透明基板と空気との界面)に入射する光は全反射を起こし、素子外部に取り出すことができないことや、透明電極ないし発光層と透明基板との間で光が全反射を起こし、光が透明電極ないし発光層を導波し、結果として光が素子側面方向に逃げるためである。
この光の取り出しの効率を向上させる手法としては、例えば、透明基板表面に凹凸を形成し、透明基板と空気界面での全反射を防ぐ方法(例えば、米国特許第4,774,435号明細書)、基板に集光性を持たせることにより効率を向上させる方法(例えば、特開昭63−314795号公報)、素子の側面等に反射面を形成する方法(例えば、特開平1−220394号公報)、基板と発光体の間に中間の屈折率を持つ平坦層を導入し、反射防止膜を形成する方法(例えば、特開昭62−172691号公報)、基板と発光体の間に基板よりも低屈折率を持つ平坦層を導入する方法(例えば、特開2001−202827号公報)、基板、透明電極層や発光層のいずれかの層間(含む、基板と外界間)に回折格子を形成する方法(特開平11−283751号公報)等がある。
本発明においては、これらの方法を組み合わせて用いることができるが、基板と発光体の間に基板よりも低屈折率を持つ平坦層を導入する方法、あるいは基板、透明電極層や発光層のいずれかの層間(含む、基板と外界間)に回折格子を形成する方法を好適に用いることができる。本発明はこれらの手段を組み合わせることにより、さらに高輝度あるいは耐久性に優れた素子を得ることができる。
透明電極と透明基板の間に低屈折率の媒質を光の波長よりも長い厚みで形成すると、透明電極から出てきた光は、媒質の屈折率が低いほど外部への取り出し効率が高くなる。
低屈折率層としては、例えば、エアロゲル、多孔質シリカ、フッ化マグネシウム、フッ素系ポリマー等が挙げられる。透明基板の屈折率は一般に1.5以上1.7以下程度であるので、低屈折率層は屈折率がおよそ1.5以下であることが好ましい。またさらに1.35以下であることが好ましい。
また、低屈折率媒質の厚みは媒質中の波長の2倍以上となるのが望ましい。これは、低屈折率媒質の厚みが光の波長程度になってエバネッセントで染み出した電磁波が基板内に入り込む膜厚になると、低屈折率層の効果が薄れるからである。
全反射を起こす界面またはいずれかの媒質中に回折格子を導入する方法は、光取り出し効率の向上効果が高いという特徴がある。この方法は回折格子が1次の回折や2次の回折といった、所謂ブラッグ回折により光の向きを屈折とは異なる特定の向きに変えることができる性質を利用して、発光層から発生した光のうち、層間での全反射等により外に出ることができない光をいずれかの層間もしくは媒質中(透明基板内や透明電極内)に回折格子を導入することで光を回折させ、光を外に取り出そうとするものである。
導入する回折格子は二次元的な周期屈折率を持っていることが望ましい。これは、発光層で発光する光はあらゆる方向にランダムに発生するので、ある方向にのみ周期的な屈折率分布を持っている一般的な1次元回折格子では、特定の方向に進む光しか回折されず、光の取り出し効率がさほど上がらない。しかしながら、屈折率分布を二次元的な分布にすることにより、あらゆる方向に進む光が回折され、光の取り出し効率が上がる。
回折格子を導入する位置としては、前述のとおりいずれかの層間もしくは媒質中(透明基板内や透明電極内)でもよいが、光が発生する場所である有機発光層の近傍が望ましい。
このとき、回折格子の周期は媒質中の光の波長の約1/2以上3以下倍程度が好ましい。回折格子の配列は正方形のラチス状、三角形のラチス状、ハニカムラチス状等、二次元的に配列が繰り返されることが好ましい。
本発明の面発光素子は支持基板の光取出し側に、例えば、マイクロレンズアレイ上の構造を設けるように加工したり、あるいは所謂集光シートと組み合わせたりすることにより特定方向、例えば、素子発光面に対し正面方向に集光することにより、特定方向上の輝度を高めることができる。
マイクロレンズアレイの例としては、基板の光取り出し側に一辺が30μmでその頂角が90度となるような四角錐を2次元に配列する。一辺は10以上100μm以下が好ましい。これより小さくなると回折の効果が発生して色付く、大きすぎると厚みが厚くなり好ましくない。
集光シートとしては、例えば、液晶表示装置のLEDバックライトで実用化されているものを用いることが可能である。このようなシートとして、例えば、住友スリーエム社製輝度上昇フィルム(BEF)等を用いることができる。プリズムシートの形状としては、例えば、基材に頂角90度、ピッチ50μmの△状のストライプが形成されたものであってもよいし、頂角が丸みを帯びた形状、ピッチをランダムに変化させた形状、その他の形状であってもよい。
また、発光素子からの光放射角を制御するために光拡散板・フィルムを集光シートと併用してもよい。例えば、(株)きもと製拡散フィルム(ライトアップ)等を用いることができる。
本発明の面発光素子を、光出射面垂直方向から見た面発光素子の発光領域の一部が互いに重なる素子積層部をもつように複数配置して発光パネルを構成する際、素子積層部に粘着剤及び接着剤を用いることができる。
本発明における粘着剤とは、広く工業分野において、粘着剤、接着剤、あるいは粘着材、接着材等の呼称で用いられる剤あるいは材のうち、加圧により接着しその際に接着部分の硬化を伴わないものを意味する。
粘着剤及び接着剤の種類は特に限定されないが、光透過性に優れた粘着剤及び接着剤を用いることが好ましい。接着剤においては塗布し、貼り合わせた後に、種々の化学反応により高分子量体または架橋構造を形成する硬化型接着剤が好適に用いられる。本発明で用いることのできる粘着剤及び接着剤の具体例としては、例えば、ウレタン系、エポキシ系、水性高分子−イソシアネート系、アクリル系等の硬化型接着剤及び粘着剤、湿気硬化ウレタン接着剤、ポリエーテルメタクリレート型、エステル系メタクリレート型、酸化型ポリエーテルメタクリレート等の嫌気性粘着剤、シアノアクリレート系の瞬間接着剤、アクリレートとペルオキシド系の2液型瞬間接着剤等が挙げられる。
上記素子積層部への粘着剤層及び接着剤層の形成方法としては特に限定されず、一般的方法、例えば、グラビアコーター、マイクログラビアコーター、コンマコーター、バーコーター、スプレー塗布、インクジェット法等の方法が挙げられる。
また本発明の発光パネルにおいて、複数配置した面発光素子の間隙部には、ガラス、シリカ等の無機材料、樹脂、粘着剤、接着剤等を充填してもよい。PET(ポリエチレンテレフタレート)やTAC(トリアセチルセルロース)やPC(ポリカーボネート)あるいはPMMA(ポリメチルメタクリレート)等のような透明樹脂や、ウレタン系、エポキシ系、水性高分子−イソシアネート系、アクリル系等の粘着剤、ポリエーテルメタクリレート型、エステル系メタクリレート型、酸化型ポリエーテルメタクリレート等の嫌気性粘着剤等、さらにウレタン系、エポキシ系、水性高分子−イソシアネート系、アクリル系等の硬化型接着剤等が挙げられ、さらに各種のUV硬化樹脂、熱硬化樹脂等を用いることができる。さらに、光散乱性、光反射性の材料を充填することもできる。また発光パネルを別の支持基板上に構成してもよい。
《用途》
本発明の面発光素子及び発光パネルは、表示デバイス、ディスプレイ、各種発光光源として用いることができる。発光光源として、例えば、家庭用照明、車内照明、時計や液晶用のバックライト、看板広告、信号機、光記憶媒体の光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、光センサーの光源等が挙げられる。これに限定するものではないが、特にカラーフィルターと組み合わせた液晶表示装置のバックライト、照明用光源としての用途に有効に用いることができる。
カラーフィルターと組み合わせてディスプレイのバックライトとして用いる場合には、輝度をさらに高めるため、集光シートと組み合わせて用いるのが好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
《面発光素子の作製》
〔面発光素子101の作製:比較例〕
第1電極(陽極)として30mm×30mm、厚さ0.7mmのガラス基板上に、ITO(インジウムチンオキシド)を120nmの厚さで成膜した支持基板にパターニングを行った後、このITO透明電極を付けた透明支持基板をイソプロピルアルコールで超音波洗浄し、乾燥窒素ガスで乾燥し、UVオゾン洗浄を5分間行った後、この透明支持基板を市販の真空蒸着装置に接続するプラズマ処理用チャンバー内の基板ホルダーに固定した。また、真空蒸着装置内の蒸着用るつぼの各々に、各層の構成材料を各々素子作製に最適の量を充填した。蒸着用るつぼはモリブデン製またはタングステン製の抵抗加熱用材料で作製されたものを用いた。
酸素圧力1Pa、電力100W(電極面積約450cm)で2分間、プラズマ処理を行った後、基板を大気に曝露することなく、有機層蒸着チャンバーに移送し、有機層の成膜を行った。
まず、真空度1×10−4Paまで減圧した後、m−MTDATAの入った前記蒸着用るつぼに通電して加熱し、蒸着速度0.1nm/秒で透明支持基板に蒸着し、10nmの正孔注入層を設けた。次いで、α−NPDを同様にして蒸着し、30nmの正孔輸送層を設けた。
次いで、以下の手順で順次、各発光層を設けた。
化合物D−3、及びH−1を、D−3が9質量%の濃度になるように蒸着速度0.1nm/秒で共蒸着し、発光極大波長が470nm、厚さ20nmの青色リン光発光層を形成した。次いで、化合物D−1及びCBPを、D−1が5質量%の濃度になるように蒸着速度0.1nm/秒で共蒸着し、発光極大波長が518nm、厚さ5nmの緑色リン光発光層を形成した。次いで、化合物D−2及びCBPを、D−2が8質量%の濃度になるように蒸着速度0.1nm/秒で共蒸着し、発光極大波長が622nm、厚さ5nmの赤色リン光発光層を形成した。その後、化合物M−1を膜厚10nmに蒸着して正孔阻止層を形成し、さらにCsFを膜厚比で10%になるように化合物M−1と共蒸着し、厚さ45nmの電子輸送層を形成した。さらに、アルミニウム110nmを蒸着して第2電極(陰極)を形成し白色の有機EL素子を作製した。
次いで、有機EL素子の非発光面をガラスケースで覆い、面発光素子101とした。
図14は面発光素子101の断面図を示し、有機EL素子は、ガラスカバー103で覆われている。なお、ガラスカバーでの封止作業は、有機EL素子を大気に接触させることなく窒素雰囲気下のグローブボックス(純度99.999%以上の高純度窒素ガスの雰囲気下)で行った。図14において、104はガラス基板、105は第2電極、106は有機EL発光層を含む機能層、107は第1電極を示す。なお、ガラスカバー103内には窒素ガス108が充填され、捕水剤109が設けられている。ガラスカバー103は、UV硬化樹脂110を用いてガラス基板104に接着している。なお、図示していないが、複数の面発光素子を接続するための第1電極(陽極)、及び第2電極(陰極)の配線接続部をUV硬化樹脂110部分に設けている。なお、面発光素子101において、第1電極107は光透過性であり、第2電極105は光反射性である。
Figure 2010062011
〔面発光素子102の作製:本発明〕
前記面発光素子101の作製において、電子輸送層を形成した後、銀ペーストを10nm蒸着し、次いで、ITOを100nm蒸着し、さらに、マスクを交換し、発光領域形状(正方形)と相似形でかつ発光領域面積の85%に相当する領域に、発光領域の中心と光反射性領域の中心とが重なるようにアルミニウム100nmを蒸着することで、発光領域中心部が光反射性で、かつ発光領域周辺部が光透過性である第2電極(陰極)を形成して、有機EL素子を作製した。
次いで、面発光素子101と同様に、この有機EL素子の非発光面をガラスケースで覆い、面発光素子102とした。
〔面発光素子103の作製:本発明〕
前記面発光素子101の作製において、電子輸送層を形成した後、銀ペーストを10nm蒸着し、次いで、ITOを100nm蒸着し、さらに、マスクを交換し、円形でかつ正方形の発光領域の面積の78.5%に相当する領域に、発光領域の中心と光反射性領域の中心とが重なるようにアルミニウム100nmを蒸着することで、発光領域中心部が光反射性で、かつ発光領域周辺部が光透過性である第2電極(陰極)を形成して、有機EL素子を作製した。
次いで、面発光素子101と同様に、この有機EL素子の非発光面をガラスケースで覆い、面発光素子103とした。
図15に面発光素子102、及び103の断面図を示す。有機EL素子は、ガラスカバー103で覆われている。なお、ガラスカバーでの封止作業は、有機EL素子を大気に接触させることなく窒素雰囲気下のグローブボックス(純度99.999%以上の高純度窒素ガスの雰囲気下)で行った。図15において、104はガラス基板、105は第2電極、106は有機EL発光層を含む機能層、107は第1電極を示す。第2電極105は、光反射性の中心部111と、光透過性の周辺部112とで構成されている。なお、ガラスカバー103内には窒素ガス108が充填され、捕水剤109が設けられている。ガラスカバー103は、UV硬化樹脂110を用いてガラス基板104に接着している。なお、図示していないが、複数の面発光素子を接続するための第1電極(陽極)、及び第2電極(陰極)の配線接続部をUV硬化樹脂110部分に設けている。図16(a)は面発光素子102の第2電極105を、図16(b)は面発光素子103の第2電極105を、それぞれ光出射面垂直方向から見た図であり、光反射性の中心部111と光透過性の周辺部112の形状をそれぞれ示している。
〔発光パネル1の作製:比較例〕
面発光素子101を5個作製し、これらを図18(a)、及び図18(b)に示すように共通のガラス基板113上に光透過性UV硬化樹脂で貼付し、発光パネル1を作製した。なお、図17は発光パネルを構成する個々の面発光素子101の簡易側面図であり、基板104上に面発光素子が形成されている。なお、図17は、ガラスカバー103、第2電極105、有機EL発光層を含む機能層106、第1電極107のみ図示した。
なお、図18(a)は、光出射面垂直方向から見た発光パネル1を示した図であり、図18(b)は発光パネル1の側面図である。なお、各面発光素子は、図示していないが、電気的に直列接続されており、面発光素子間の配線確保のため、各面発光素子の間隔は5mmを必要とした。
〔発光パネル2の作製:本発明〕
面発光素子102を5個作製し、これらを図20(a)、及び図20(b)に示すように共通のガラス基板113上に光透過性UV硬化樹脂で貼付し、発光パネル2を作製した。なお、図19は発光パネルを構成する個々の面発光素子101の簡易側面図であり、基板104上に面発光素子が形成されている。なお、図19には、ガラスカバー103、第2電極105、有機EL発光層を含む機能層106、第1電極107のみ図示した。第2電極105は、光反射性の中心部111と、光透過性の周辺部112から構成されている。なお、図20(a)は、光出射面垂直方向から見た発光パネル2を示した図であり、図20(b)は発光パネル2の側面図である。各面発光素子の接続部分は、一つの面発光素子の発光領域の一部である第2電極の光透過性の周辺部112と、他の面発光素子の発光領域の一部である第2電極の光透過性の周辺部112とが、互いに重なって配置されている。なお、面発光素子と共通のガラス基板113との間隙には、光透過性UV硬化樹脂を充填し、各面発光素子は電気的に直列接続されている。
〔発光パネル3の作製:本発明〕
面発光素子103を5個作製し、これらを図21(a)〜図21(c)に示すように共通のガラス基板113上に光透過性UV硬化樹脂で貼付し、発光パネル3を作製した。なお、図21(a)は、光出射面垂直方向から見た発光パネル3を示した図であり、図21(b)は発光パネル3を図21(a)のA−A′部分の断面図である。A−A′部分においては、各面発光素子の接続部分は、一つの面発光素子の第2電極の光反射性の中心部111の一部と、他の面発光素子の第2電極の光反射性の中心部111の一部とが、互いに重なって配置されている。図21(c)は発光パネル3を図21(a)のB−B′部分の断面図である。B−B′部分においては、各面発光素子の接続部分は、一つの面発光素子の発光領域の一部である第2電極の光透過性の周辺部112の一部と、他の面発光素子の一つの面発光素子の発光領域の一部である第2電極の光透過性の周辺部112の一部とが、互いに重なって配置されている。なお、面発光素子と共通のガラス基板113との間隙には、光透過性UV硬化樹脂を充填し、各面発光素子は電気的に直列接続されている。
〔発光パネル1〜3の評価〕
発光パネル1〜3を並べて発光させ、目視比較した。
発光パネル1は、隣接する発光領域の間に非発光領域が巾を持った領域として存在するため、明らかに、視認性が大きく劣っていた。これに対して発光パネル3は、素子接続部分における輝度低下がかなり改善されていた。発光パネル2は、素子接続部分における輝度低下がほとんど観察されず、最も視認性に優れていた。
〔発光パネル4の作製:比較例〕
面発光素子101を15個用いて、図22に示すように、面内における縦列方向に3個、横列方向に5個の3×5のマトリクス状に、共通のガラス基板113上に光透過性UV硬化樹脂で貼付し、発光パネル4を作製した。各面発光素子は、横列方向に各5個ずつが電気的に直列接続されており、次いで、これらを縦列方向に順次接続することで、面発光素子15個を直列に接続した。面発光素子間の配線確保のため、各面発光素子の間隔は5mmを必要とした。
〔発光パネル5の作製:本発明〕
面発光素子102を15個用いて、図23(a)〜23(c)に示すように、面内における縦列方向に3個、横列方向に5個の3×5のマトリクス状に、共通のガラス基板113上に光透過性UV硬化樹脂で貼付し、発光パネル5を作製した。図23(a)は、出射面垂直方向から見た発光パネル5を示した図であり、図23(b)は発光パネル5のX−X′方向におけるA−A′部分、及びC−C′部分の断面図であり、図23(c)は発光パネル5のX−X′方向におけるB−B′部分の断面図である。また、図23(d)は発光パネル5のY−Y′方向におけるD−D′部分、F−F′部分、及びH−H′部分の断面図であり、図23(e)は発光パネル5のY−Y′方向におけるE−E′部分、及びG−G′部分の断面図である。各面発光素子の接続部分は一つの面発光素子の発光領域の一部である第2電極の光透過性周辺部と、他の面発光素子の発光領域の一部である第2電極の光透過性周辺部とが、互いに重なるよう配置されている。なお、面発光素子と共通のガラス基板113との間隙には、光透過性UV硬化樹脂を充填し、各面発光素子は発光パネル4と同様に電気的に直列接続されている。
〔発光パネル4、5の評価〕
発光パネル4及び5を並べて発光させ、目視比較した。
発光パネル4が、隣接する発光領域の間に非発光領域のため、明らかに視認性が大きく劣っているのに対し、発光パネル5は、素子接続部における輝度低下がほとんど観察されず、視認性に優れていた。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上述した例は本発明を限定するものではない。当業界においては、本発明の技術範囲及び技術思想の範囲で、様々の変形、他の実施形態が可能である。
本発明の面発光素子の断面図である。 本発明の面発光素子の発光領域における第2電極を光出射面垂直方向から見た図である。 本発明に係る第2電極の他の形状の例を示す図である。 本発明に係る第2電極の他の形状の例を示す図である。 本発明に係る第2電極の他の形状の例を示す図である。 本発明に係る第2電極の他の形状の例を示す図である。 本発明の面発光素子の形状の例を示す図である。 本発明の面発光素子を光出射面垂直方向から見た面発光素子の発光領域の一部が互いに重なりを持つように複数配置することで構成された発光パネルの例を示す図である。 本発明の面発光素子を光出射面垂直方向から見た面発光素子の発光領域の一部が互いに重なりを持つように複数配置することで構成された発光パネルの例を示す図である。 本発明の面発光素子を光出射面垂直方向から見た面発光素子の発光領域の一部が互いに重なりを持つように複数配置することで構成された発光パネルの例を示す図である。 本発明の面発光素子を光出射面垂直方向から見た面発光素子の発光領域の一部が互いに重なりを持つように複数配置することで構成された発光パネルの他の例を示す図である。 本発明の面発光素子を光出射面垂直方向から見た面発光素子の発光領域の一部が互いに重なりを持つように複数配置することで構成された発光パネルの他の例を示す図である。 一つの面発光素子の第1電極側と、他の面発光素子の第2電極側とが、互いに対向するように重なって配置され、かつ一つの面発光素子の発光領域の一部と、他の面発光素子の第2電極の周辺部とが、互いに重なって配置されている発光パネルを光出射面垂直方向に対する側面方向から見た拡大図の例を示す図である。 本発明の面発光素子の断面図である。 発光パネルを構成する個々の面発光素子の断面図である。 光出射面垂直方向から見た発光パネルの第2電極である。 発光パネルを構成する個々の面発光素子の側面図である。 光出射面垂直方向から見た発光パネル及び側面図である。 発光パネルを構成する個々の面発光素子の側面図である。 光出射面垂直方向から見た発光パネル及び側面図である。 光出射面垂直方向から見た発光パネル及び断面図である。 光出射面垂直方向から見た発光パネルである。 光出射面垂直方向から見た発光パネル及び断面図である。
符号の説明
1 基板
2、107 第1電極
3 発光層を含む機能層
4、105 第2電極
5 光不透過性の中心部
6、112 光透過性の周辺部
7 封止カバー
8、109 捕水剤
9、108 窒素ガス
10 発光層
11、12、101、102 面発光素子
103 ガラスカバー
104、113 ガラス基板
106 有機EL発光層を含む機能層
110 UV硬化樹脂
111 光反射性の中心部

Claims (4)

  1. 少なくとも第1電極と第2電極との間に発光層を有する面発光素子であって、該第1電極が光透過性電極であり、該第2電極が該面発光素子の光出射面垂直方向から見た発光領域において、光不透過性の中心部と光透過性の周辺部とで構成された電極であることを特徴とする面発光素子。
  2. 前記面発光素子が有機エレクトロルミネッセンス素子であることを特徴とする請求項1に記載の面発光素子。
  3. 請求項1または2に記載の面発光素子を、光出射面垂直方向から見た前記面発光素子の発光領域の一部が互いに重なりを持つように複数配置されていることを特徴とする発光パネル。
  4. 一つの面発光素子の発光領域の一部と、他の面発光素子の第2電極の周辺部とが、互いに重なって配置されていることを特徴とする請求項3に記載の発光パネル。
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