JP2010061519A - 作業分析装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】各ミシン10からオペレータID、工程ID及びピッチタイムのデータを含む作業記録データDを取得するデータ取得手段36と、各作業記録データの全体又は一部の範囲で、各作業工程について各オペレータごとのピッチタイムを求める作業所要時間算出手段105と、各オペレータごとに各作業工程のピッチタイムを合計して実作業時間を算出する実作業時間算出手段105と、を備え、実作業時間算出手段は、各作業記録データ中に一つの作業工程を複数のオペレータで分業した場合の作業所要時間特定情報がある場合に、これらオペレータの作業工程の作業所要時間を調和平均により平均化し、当該各作業所要時間に基づいて実作業時間を算出する。
【選択図】図2
Description
図16は、製品の一例であるソファーの縫製作業をそのパーツごとに複数の作業工程に分け、五人のオペレータがそれぞれ分担された作業工程の縫製作業を実施する場合の例を示した説明図である。なお、実際のオペレータ人数やパーツ数、作業工程数などはもっと多くなる場合もあるが、ここでは説明のために簡略化している。
一つ製品に係わる縫製作業を複数の作業工程に分けて分担する場合、一部のオペレータが担当する作業工程のみが遅れたりしないように、全ての作業工程が同時に進行することが望ましく、各オペレータの作業所要時間のバラツキを少なくすることが作業の高効率化のためには必須となる。
このため、従来の作業分析装置は、オペレータを特定する作業者特定情報、作業工程を特定する工程特定情報と、一作業工程ごとの作業所要時間とから、各オペレータがいずれの作業工程を実施し、一作業工程にどのくらいの時間を要するかを逐一記録したデータを収集し、作業分析装置により、それらを集計して分析、分析結果を表示していた(例えば、特許文献1参照)。
ここで、「実作業時間」とは、ある一つの製品に属する作業工程を複数オペレータで分担する場合において、各工程のピッチタイムをオペレータごとに合計した値である。この実作業時間は、一つの製品に要する縫製作業全体に対してそれぞれのオペレータが従事する時間を示す値であり、これがばらつかないように各オペレータに対して各工程を割り当てることで、一部の工程の遅れによる製品完成の遅れを解消し、ラインバランスのとれた高効率の共同作業を実現することができる。
折れ線L1を見ると分かるように、全オペレータの中で、オペレータ(1113)は実作業時間が長く、オペレータ(1106)は実作業時間が短くなっており、ラインバランスは良好ではない。このような場合、オペレータ(1113)に割り当てられていた一部の作業工程(ここでは工程71)をオペレータ(1106)に振り分けて調整を行う。これにより、データD2及び折れ線L2に示すように、各オペレータにおける実作業時間格差が大幅に軽減され、ラインバランスは良好となる。
かかる作業記録データを作業分析装置が集計した集計データD3の一例を表形式で図19に示す。かかる集計データD3は上記データD1を工程基準、つまり、集計された作業記録データの内容を各工程ごとにまとめたものである。
かかる集計データD3のエリアA1は、工程(45)をオペレータ(1106),(1067),(1105)で分業した例を示している。なお、集計データD3において、「平均ピッチタイム(1)」は各オペレータが行った個々の工程ごとの平均ピッチタイム(オペレータ基準の平均ピッチタイムとも言う)であり、「平均ピッチタイム(2)」は工程ごとの平均ピッチタイム(工程基準の平均ピッチタイムとも言う)であり、両平均ピッチタイム(1)と(2)とは、各工程が単一のオペレータにより作業される場合に同一の値となるが、工程(45)のように一つの工程を複数のオペレータが分業して行う場合は、異なる値となる。
そして、従来の作業分析装置では、一つの工程を複数のオペレータが分業して行った場合の工程基準の平均ピッチタイム(2)の算出は、相加平均処理により算出していた。具体的には、集計データD3のエリアA1に示すように、三人のオペレータの平均ピッチタイム(1)がそれぞれ85[s],103[s],69[s]である場合、工程基準の平均ピッチタイム(2)=(85+103+69)/3=86[s]として、分業を担当したオペレータそれぞれの「平均ピッタイム(1)」を加算して人数で除算することにより算出していた。
かかる集計データD4のエリアA2はオペレータ(1106),(1067),(1105)の三人で分業した工程(45)の平均ピッチタイム(2)を示すが、ここでも三人のオペレータの平均ピッチタイム(1)を相加平均で求めた平均ピッチタイム(2)(=86[s])が採用されていた。
そして、集計データD4に示すように、従来の作業分析装置においては、オペレータごとの実作業時間の算出の際にも、複数のオペレータが分業した工程(45)については、上述の相加平均で求めた平均ピッチタイム(2)=86[s]が分業を担当した各オペレータの共通の平均ピッチタイムとして用いられていた。
前述のオペレータ(1106),(1067),(1105)のピッチタイムを例に説明する。集計データD3に示す平均ピッチタイム(1)の単位を秒([s])とすると、各人の工程(45)の処理速度[枚/s]はそれぞれ、(1/85)[枚/s],(1/103)[枚/s],(1/69)[枚/s]なので、共同して工程(45)を行うと、その所要時間は((1/85)+(1/103)+(1/69))-1=27.8[s]となる。従って、平均的な能力のオペレータは、一人で工程(45)を行うと、その3倍の時間で行うこととなるので、正しい平均ピッチタイム(2)は27.8×3≒83[s]となるはずであるが、上記相加平均値86[s]となっており、正しい所要時間83[s]と一致しない。
このため、一つの工程を分業した場合に、ラインバランスを評価するための実作業時間が正しく算出できず、当該実作業時間に基づいて作業者の工程配分を調整しても生産効率が上がらないという問題があった。
このような要因からも、実作業時間が正しく算出されず、作業者の工程配分の調整による生産効率の向上が図れなかった。
また、上述の「作業工程特定情報」とは、例えば、ミシンによる縫製作業工程等の分類全般の識別情報(識別情報とはID、その他、データ処理を行う装置で識別可能な情報であれば何でも良い)を示し、例えば、各種の縫いの識別、ロット単位で作業を管理する場合にはロットを識別可能な情報を含むものであっても良い。
そして、実作業時間算出手段は、各作業者ごとに、当該各作業者が作業を行った作業工程の作業所要時間を合計して実作業時間の算出を行う。
そして、集計される複数の作業記録データの中に、複数の作業者により分業で行われた作業工程が存在した場合には、当該作業工程について各作業者の作業所要時間を調和平均に基づいて平均化する。
例えば、作業者A,B,Cが同じ作業工程をそれぞれ作業所要時間t1,t2,t3で行った場合には、調和平均の概念に従ってその平均値は、ta=3/((1/t1)+(1/t2)+(1/t3))で算出される。この値は、作業者A,B,Cが共同で前記作業工程を行った場合の所要時間の丁度3倍に相当するので、作業者A,B,Cの平均的能力を有する者が当該作業工程を行うのに要する作業所要時間ということができる。
このように、全作業工程を複数の作業者により分担し、その一部の作業工程に共同作業が含まれた場合であっても、各作業者の作業能力を反映した手法により作業所要時間を平均化しているため、各作業者の実作業時間を作業能力に応じてなるべく均等となるように調整する場合において、より合目的的に実作業時間を算出することが可能となり、本願発明である作業分析装置を用いることで、作業者の工程配分を正しく調整し、生産効率の向上を図ることが可能となる。
実作業時間は、全作業工程からなる作業全体に要する全所要時間のうち作業者各人が負担した時間比率を数値化した概念である。
一方、共同で作業を行った作業工程については、単独の作業者が一つの工程全体を行ったわけではないので、他の工程と同じ数量分の作業を行っておらず、実作業時間の算出において、他の工程と同じように加算することはできない。従って、上記実作業時間算出手段のように、全体数量に対して単独の作業者が作業を行った生産数量の占める比率を作業所要時間に乗じることで、作業全体の全所要時間のうち作業者各人が負担した時間比率をより適切に反映することができるようになる。
従って、本願発明である作業分析装置を用いることで、より適切な実作業時間を求めることができ、作業者の工程配分を正しく調整し、生産効率の向上を図ることが可能となる。
以下、図面を参照して、本発明に係る作業分析装置101を含んだミシンの作業分析システム100について図1乃至図15に基づいて説明する。図1は作業分析システム100の概略構成を示すブロック図である。
図1に示すように、この作業分析システム100は、複数台の生産管理ミシン10と、当該各生産管理ミシン10と情報記録媒体の人為的な送受により作業記録データの送受を可能とした作業分析装置101とを備えている。
上記作業分析装置101としては、パーソナルコンピュータかあるいはワークステーションが使用される。また、作業分析装置101と各生産管理ミシン10との間での作業記録データの送受は、無線LANや有線LANなどの無線若しくは有線通信手段を利用しても良い。
図2は生産管理ミシン10を含む作業分析システム100の概略構成を示すブロック図である。
各生産管理ミシン10は、縫い針を保持する針棒の上下動駆動源であるミシンモータ11と、ミシンモータ11の回転駆動力を上下動駆動源に変換して針棒に伝える図示しない上下動機構と、図示しない布送り機構と、図示しない糸調子装置と、縫いの完了後に縫い糸の切断を行う糸切りメスを駆動させるメス駆動ソレノイド12と、前踏みでミシンモータ11の起動指令を入力し、後踏みでメス駆動ソレノイド12の駆動指令を入力する操作ペダル13と、後述する各種の入力を行う操作キー21と所定の画面表示が行われる表示部22とを備える操作パネル20と、一つの作業工程の縫製が完了したときに押下されるカウントスイッチ23と、後述する各種の処理を実行するための各種のプログラム及び初期データが記憶されたROM32と、各種のプログラムを実行するCPU31と、CPU31の処理に関する各種データをワークエリアに格納するRAM33と、生産管理ミシン10において記録される作業記録データを格納するEEPROM35と、EEPROM35内の作業記録データを当該生産管理ミシン10と作業分析装置101との間で移送するための記録媒体であるフラッシュメモリカード36と、その読み取り書き込み装置37とを備えている。
上記生産管理ミシン10は、縫製の過程において図3に示す作業記録データとしての縫製作業時刻データDを生成し、EEPROM35に記録する。なお、この縫製作業時刻データDはEEPROM35からフラッシュメモリ36にコピーされて作業分析装置101に移送される。
縫製作業時刻データDは、CPU31が一縫製作業単位である作業工程の縫いを行うごとにその縫製作業時刻(年月日も含むが図では省略)を逐次記録することで生成され、その記録途中でオペレータIDと工程IDのいずれかでも入力されると、入力時点に応じて各縫製作業時刻のデータの途中に介挿される。上記縫製作業時刻の記録は縫い終了時に押下されるカウントスイッチ23の押下の際に行われる。また、生産管理ミシン10の主電源投入時には、縫製作業時刻データDにミシンIDが記録される。
また、オペレータIDとは、複数のオペレータ(作業者)が各生産管理ミシン10を用いてそれぞれ分担された作業工程の縫製作業を行う際に、各オペレータを区別するために各オペレータに対して個別に割り振られた符号である。
また、工程IDとは、各種の被縫製物に対する各作業工程を区別するために各作業工程ごとに個別に割り振られた符号である。
ここで、作業工程については、被縫製物の種類ごとに作業工程は別のものとして識別されるが、同種の被縫製物について、サイズ、色、仕様、材料種等が異なる場合には、これらの作業工程を別のものとして識別可能となるように別のIDを割り振っても良い。
なお、被縫製物の量産に対応すべく、被縫製物の生産をロット単位で管理している場合には、ロットが異なる場合も作業工程を別のものとして識別しても良い。
また、「生産数量情報」としては、間接的に生産数量を求めることを可能とする「縫製作業時刻データ」がこれに相当する。つまり、定められた期間内の縫製作業時刻データの個数をカウントすることで間接的に生産数量を特定することを可能とする。
これによれば、まず、主電源がオンされると、ミシン回転数を周期的に検出するための周期を計時する回転数記録タイマ(図示略)が計時を開始する(ステップS1)。そして、縫製作業時刻データDにミシンIDを記録する(ステップS2)。
次いで、CPU31は、表示部22に対してオペレータIDと工程IDの入力を要求する指示を表示させ、操作キー群21からこれらの入力を受けると縫製作業時刻データDにオペレータID及び工程IDを記録する(ステップS3)。
なお、各ID、縫製作業時刻はそれぞれが記録を実行した順番通りに記録され、縫製作業時刻データDの中身となる各データ群を順番に参照すれば記録された順番が分かるようになっている。
次いで、ステップS7では、工程の変更により新たな工程IDの入力が行われたかの判定を行い、入力がない場合にはステップS9に処理を進め、入力があった場合には縫製作業時刻データDに工程IDを記録する(ステップS8)。
ステップS9では、カウントスイッチ23の入力があったか否かの判定を行い、入力がない場合にはステップS5に処理を戻す。また、入力があった場合には、縫製作業時刻データDに縫製作業時刻を記録してから(ステップS10)、ステップS5に処理を戻す。
上記処理は、生産管理ミシン10の主電源のオフまで継続して行われ、これにより、生産管理ミシン10のEEPROM35には縫製作業時刻データDが記録される。
作業分析装置101は、複数のミシンのオペレータが、それぞれ上述した生産管理ミシン10を用いてそれぞれ分担された作業工程の縫製作業を同時に実施して生産する製品の生産に関わる作業記録データを集計の上、分析し、その分析結果として「作業所要時間」や「実作業時間」をモニタ103に表示する。この作業分析装置101は、後述する各種の入力を行うキーボード102と、所定の画面表示が行われる表示手段としてのモニタ103と、基本プログラム及び初期データが記憶されたROM104と、各種のプログラムを実行するCPU105と、CPU105の処理に関する各種データをワークエリアに格納するRAM106と、CPU105と、後述する各処理を行うためのプログラムと各生産管理ミシン10から受信した縫製作業時刻データDを格納する記憶手段としてのHD(ハードディスク)装置108と、縫製作業時刻データDを生産管理ミシン10から取得するためのデータ取得手段としてのフラッシュメモリカード36及びその読み取り書き込み装置109と、モニタ103に表示されるポインタの移動操作及び決定の入力を行うマウス110とを備えている。なお、以下に説明する表示画面に対するマウス110による選択や決定の入力操作は周知であるため、その原理や詳細説明は省略する。
作業分析装置101では、各生産管理ミシン10から縫製作業時刻データDを取得すると、所定の処理プログラムによりモニタ103にメイン画面M1を表示する。図5はメイン画面M1の表示例である。
メイン画面M1は、各生産管理ミシン10から取得された縫製作業時刻データDの中に、いずれの識別情報(オペレータID及び工程ID)に属し、いずれの期間(日時)についてのデータが存在するかを示す一覧表形式の表示である。かかるメイン画面M1では、縦軸にオペレータID又は工程IDの識別情報の一覧が表示されると共にこれらがIDの選択スイッチとなり、横軸に期間が時系列で並んで表示されると共にこれらが期間の選択スイッチとなっている。そして、任意のIDから横一列に並んだマス目と任意の期間から縦一列に並んだマス目との交差する位置にあるマス目の表示色が、任意のIDにおける任意の期間についてデータが存在するかを示すようになっている。
また、縦軸にオペレータIDと工程IDのいずれをとるかは切り替えスイッチM11へのマウス操作により選択可能となっており、期間の表示範囲の選択は表示期間指定スイッチM12へのマウス操作により行われるようになっている。
さらに、メイン画面M1は、記録内容の表示又はグラフ表示を行う対象となるデータを選択するために、識別情報とデータ記録期間中のいずれかの期間(日時)を選択する「選択手段」として機能する。即ち、前述したように、縦軸はID、横軸は日時を示す格子模様が表示され、格子のそれぞれのマス目が選択スイッチとなっていることから、これらをそれぞれマウス操作で選択することで、選択IDについて選択日時に取得されたデータが特定され、抽出される。
まず、メイン画面M1の表示の際に各ID及び各期間におけるデータの有無を色分けで示す場合の処理を説明する。
この処理は、まず、縫製作業時刻データDをデータの並びの先頭から読み込み(ステップS21)、一つ目のオペレータIDの記録が存在するかを判定し(ステップS22)、オペレータIDの記録が発見された場合には、当該オペレータIDよりも後方にある直近の縫製作業時刻情報を探索し(ステップS23)、当該縫製作業時刻情報からデータ記録の日時を読み出す(ステップS24)。これを各縫製作業時刻データDの全範囲に対して実行することで(ステップS25)、一つ目のオペレータIDの記録日時を全て得ることができる。同様の処理をそれ以降のオペレータIDについて実行することで、各オペレータIDについて各日時についての作業記録データの存在の有無が確認でき、これに従って、各マス目の色分け表示制御を実行する。
なお、切り替えスイッチM11により縦軸に工程IDが選択されている場合には、上記ステップS22の処理において工程IDが存在するか判定が行われる。
メイン画面M1の表示状態において、CPU105は、縦軸のいずれかのオペレータIDが選択されたか否かを判定し(ステップS31)、次に横軸のいずれかの期間が選択されたかを判定する(ステップS32)。そして、オペレータIDと期間の双方が選択されたか判定する(ステップS33)。
その結果、両方とも選択されている場合には、CPU105は、縫製作業時刻データDに対して選択オペレータIDに属するデータの抽出を行う(ステップS34)。抽出の方法は、縫製作業時刻データDの先頭からデータの読み込みを行い、オペレータIDの検索を行う。オペレータIDを検出すると、そのオペレータIDが選択されたオペレータIDであるかを判定し、それが選択オペレータIDである場合にのみ次のオペレータIDまでのデータを抽出して記録する。オペレータIDの検出、判定、データ抽出を回転数データD1の全範囲について行い、抽出された全データを一時抽出データとしてRAM106に記憶する。
次に、一時抽出データの抽出を行うと、これに対して、CPU105は、選択期間に属する抽出データの抽出を行う(ステップS35)。
抽出の方法は、その一時抽出データの先頭から各縫製作業時刻のデータを読み出し、各データの示す時刻が選択された期間内であるかを判定し、期間内である場合のみ抽出してRAM106に記録し、一時抽出データの全範囲に対して実行する。これにより、縫製作業時刻データDについて選択されたオペレータIDと選択期間に該当する抽出データが抽出される。
なお、切り替えスイッチM11により縦軸に工程IDが選択されている場合には、CPU105は、上記ステップS31の処理において工程IDの選択があるか判定を行い、ステップS34の処理において選択工程IDに属する一時抽出データの抽出を行う。
また、オペレータID又は工程IDと期間の選択は複数であっても良いことは言うまでもない。そして、その場合には、一時抽出データ及び抽出データの抽出は、各選択ID及び各期間ごとに行うことになる。
各表示画面には、表示カテゴリーの切り替えを行うタブスイッチM13〜M16があり、これら対するマウス操作により、表示カテゴリーを切り替えることを可能としている。なお、ここでは、発明と関連のあるM14の示す稼働状況モニタについて以下に説明することとする。上記タブスイッチM14により表示カテゴリーを稼働状況モニタに切り替えると、モニタ103に図8に示す工程一覧表画面M2を表示することができる。
かかる工程一覧表画面M2では、工程IDを基準とする画面であり、最左列に工程ID、その右隣の列にオペレータID、その右隣の列に作業所要時間としての平均ピッチタイム(1)、その右隣の列に作業所要時間としての平均ピッチタイム(2)が表示される。そして、この工程一覧表画面M2では、各工程IDの右隣には、当該工程IDが示す作業工程を行ったオペレータのIDが表示され、その右側には当該作業工程を当該オペレータが行った時の平均ピッチタイム(1)が表示され、その右側には平均ピッチタイム(1)に基づく平均ピッチタイム(2)が表示されるといったように、各項目が横一列に沿って関連付けられて並べられて表示されるようになっている。
即ち、作業分析装置101のCPU105は、上記手法により平均ピッチタイム(1)の算出を行うことにより「作業所要時間算出手段」として機能する。
そして、同じオペレータにより同じ作業工程が複数枚について行われた場合のように、抽出データ中にオペレータ及び作業工程が同じである縫製作業時刻が複数存在する場合には、それら全ての縫製作業時刻の合計を縫製回数で除して相加平均により平均化して平均ピッチタイム(1)の算出を行う。
かかる平均ピッチタイム(2)は、抽出データの範囲内において、CPU105による分業判定処理により一つの作業工程について複数のオペレータが作業を行っていたか否かが判定され、否定判定、すなわち、一つの作業工程について一人のオペレータしか作業を行っていないと判定された場合には、平均ピッチタイム(1)=平均ピッチタイム(2)と算出され、工程判定、すなわち、一つの作業工程を複数のオペレータにより分業したと判定された場合には、各オペレータの平均ピッチタイム(1)をさらに調和平均により平均化して算出され、これも秒[s]単位で表示される。
具体的には、工程一覧表画面M2における工程(45)はオペレータ(1067),(1105),(1106)により分業されており、この場合、各人の平均ピッチタイム(1)である85[s],103[s],69[s]を調和平均の概念に従って平均化すると、その平均値は、3/((1/85)+(1/103)+(1/69))≒83[s]が算出される。
この値は、オペレータ(1067),(1105),(1106)が共同で前記作業工程を行った場合の所要時間である1/((1/85)+(1/103)+(1/69))[s]の丁度3倍に相当するので、オペレータ(1067),(1105),(1106)の平均的能力を有する者が当該作業工程を行うのに要する作業所要時間ということができる。
即ち、作業分析装置101のCPU105は、上記手法により平均ピッチタイム(2)の算出を行うことにより当該作業分析装置101の「作業所要時間算出手段」として機能する。
そして、抽出データの先頭からの読み込みの過程において、工程ID及びオペレータIDの検出を行い、さらに、それに連なる縫製作業時間データの前後の時間差から縫製所要時間であるピッチタイムを順番に算出する(ステップS42)。
ここで、上記外れ値を除いて平均値を算出する処理について、CPU105が行う一例を詳述する。
まず、抽出データの範囲でオペレータID及び工程IDが同一の複数のピッチタイムの集まりごとに標準偏差Sを算出する。標準偏差Sは下式(1)〜(3)に基づいて算出される。即ち、上記範囲ごとにピッチタイムの平均値を算出する。ここで、符号xは対象となる範囲の個々のピッチタイムを示し、上線付きのxはその平均値を示す。また、符号nは対象となる範囲のピッチタイムのサンプル数である
そして、求められた平均値から下式(2)に基づいて平方偏差s2を算出し、その平方
根から下式(3)に基づいて標準偏差sを算出する。
即ち、+3σ=(xの平均値)+(s×3)と−3σ=(xの平均値)−(s×3)とを求め、±3σの範囲(−3σ以上であって+3σ以下の範囲)内のピッチタイムのみを抽出し、外れ値の除外が行われる。
次いで、外れ値を除外した各範囲ごとの各ピッチタイムを相加平均により再度平均化する処理を行い、各範囲ごとに平均ピッチタイム(1)を算出する(ステップS44)。
かかる平均化処理は、図10のフローチャートに示すように、まず、いずれかの作業工程について複数オペレータによる分業が行われたか否かの判定(分業判定処理)が行われる(ステップS451)。
即ち、抽出データを、各工程ごとに分類し、各工程に属するオペレータが複数存在するか否かにより判定を行う。一つの工程に対して一人のオペレータしか存在しない場合には、当該工程に属する平均ピッチタイム(1)の値をそのまま平均ピッチタイム(2)とする(ステップS452)。
また、一つの工程に対して複数のオペレータが存在する場合には、当該工程に属する各オペレータの平均ピッチタイム(1)の値を調和平均により平均化して平均ピッチタイム(2)を算出する(ステップS453)。
そして、前述した工程一覧表画面M2の表示を行うか、或いはグラフ表示画面M3の表示を行う(ステップS47)。グラフ表示画面M3の表示を行う場合には、図11に示すように、各工程ごとの平均ピッチタイム(2)の値をプロットして折れ線グラフ表示を行うと共に、そのグラフ表示領域内に総合的な平均値の平均値ラインM31と上限値の上限値ラインM32、下限値の下限値ラインM33を表示する。このように、平均ピッチタイム(2)のグラフ表示の際に、上限値及び下限値の各ラインM31とM32を同時に表示することで、縫製作業の管理者は、この上限値及び下限値の各ラインM31とM32を目安に、工程ごとの平均ピッチタイム(2)のバラツキの程度を容易に判断することができる。
表とグラフの切り替えは画面内のグラフ表示ボタンM22へのマウス操作によって行われる。
工程一覧表画面M2は、前述したように工程ID基準の画面であり、これをオペレータID基準に表示切り替えを行う切り替えスイッチM21が設けられている。即ち、当該切り換えスイッチM21をマウス操作すると、図12に示す、オペレータID基準の工程一覧表画面M4に表示切り替えが行われる。
かかる工程一覧表画面M4では、最左列にオペレータID、その右隣の列に工程ID、その右隣の列に平均ピッチタイム(2)、その右隣の列に生産数量、その右隣の列に実作業時間が表示される。そして、工程一覧表画面M4では各オペレータIDの右隣には、当該オペレータが作業を行った作業工程の工程IDが表示され、その右側には当該オペレータが当該作業工程を行った生産数量が表示され、その右側には当該オペレータが当該作業工程を行った時の平均ピッチタイム(2)が表示され、その右側には平均ピッチタイム(2)に基づく実作業時間が表示されるというように各項目は、横一列に沿って関連付けられて並べられて表示される。
但し、複数のオペレータにより分業した作業工程が存在する場合には、領域Bに示すように、分業を行ったオペレータについては、平均ピッチタイム(2)の値に対して、当該作業工程の全生産枚数に対する当該オペレータの生産枚数分の比率を乗じた上で、他の各作業工程の平均ピッチタイム(2)と合計し、実作業時間を算出する。
従って、オペレータ(1105)の実作業時間は、上記値と他の作業工程の平均ピッチタイム(2)との合計により、88+194+72+14=368[s]と算出される。
即ち、作業分析装置101のCPU105は、上記手法により実作業時間の算出を行うことにより「実作業時間算出手段」として機能する。
そして、抽出データの先頭からの読み込みの過程において、工程ID及びオペレータIDの検出を行い、さらに、それに連なる縫製作業時間データの前後の時間差から縫製所要時間であるピッチタイムを順番に算出する。また、工程とオペレータが一致する縫製作業時間データの個体数をカウントし、生産数量を算出する(ステップS52)。
次いで、外れ値を除外した上で、オペレータ及び工程が一致する範囲ごとの各ピッチタイムを相加平均により再度平均化する処理を行い、各範囲ごとに平均ピッチタイム(1)を算出する(ステップS54)。
かかる処理は、図14のフローチャートに示すように、ステップS451と同じように、いずれかの作業工程について複数オペレータによる分業が行われたか否かの判定(分業判定処理)が行われる(ステップS551)。
そして、分業が行われていない場合には、当該工程に属する平均ピッチタイム(1)の値をそのまま平均ピッチタイム(2)とする(ステップS552)。
また、分業が行われている場合には、当該工程に属する各オペレータの平均ピッチタイム(1)の値を調和平均により平均化して平均ピッチタイム(2)を算出する(ステップS553)。
さらに、分業を行ったオペレータごとに、算出された平均ピッチタイム(2)の値に各オペレータの生産数量比率(オペレータ個人による生産数量/工程全体の生産数量)を乗じる(ステップS554)。
そして、オペレータごとに、各オペレータが作業を行った工程の平均ピッチタイム(2)を合算する。このとき、分業が行われた工程についての平均ピッチタイム(2)は前述したように生産数量比率を乗じた値が合算される(ステップS555)。かかる処理により、各オペレータごとの実作業時間が算出される。
そして、前述した工程一覧表画面M4の表示を行うか、或いはグラフ表示画面M5の表示を行う(ステップS57)。グラフ表示画面M5の表示を行う場合には、図15に示すように、各オペレータごとの実作業時間の値をプロットして折れ線グラフ表示を行うと共に、そのグラフ表示領域内に総合的な平均値の平均値ラインM51と上限値の上限値ラインM52、下限値の下限値ラインM53を表示する。このように、実作業時間のグラフ表示の際に、上限値及び下限値の各ラインM51と52を同時に表示することで、縫製作業の管理者は、この上限値及び下限値の各ラインM51とM52を目安に、実作業時間のバラツキの程度を容易に判断することができる。
この場合も、表とグラフの切り替えは画面内のグラフ表示ボタンM22へのマウス操作によって行われる。
ミシンの作業分析システム100では、複数の生産管理ミシン10から取得された複数の縫製作業時刻データDに基づいて、作業分析装置101が、縫製作業時刻データDに含まれるオペレータID、工程ID及び縫製作業時刻情報とにより、いずれのオペレータがいずれの作業工程を行い、当該作業工程にどのくらいのピッチタイムを要したかを集計する。そして、集計される複数の縫製作業時刻データDから抽出された抽出データの中に、複数のオペレータにより分業して行われた作業工程が存在した場合には、分業したオペレータごとに相加平均で求められた平均ピッチタイム(1)の値をさらに調和平均により平均化して平均ピッチタイム(2)を算出する。これにより、分業したオペレータの平均的能力を有する者が当該作業工程を行うのに要するピッチタイムを求めることができ、各オペレータの作業能力を反映した手法により実作業時間を求めることができる。
従って、各オペレータの実作業時間を作業能力に応じてなるべく均等となるように調整する場合において、より合目的的に実作業時間を算出することが可能となり、作業分析装置101を用いることで、オペレータの工程配分を正しく調整し、生産効率の向上を図ることが可能となる。
また、上述の実施の形態では、本発明の作業分析装置は、縫製作業時刻データDを集計、分析した分析結果である「作業所要時間」や「実作業時間」作業分析装置本体のモニタに表示しているのみであるが、作業分析装置に外部のプリンタやメモリ素子等と通信可能な不図示のインターフェースを設け、その分析結果を外部のプリンタやメモリ素子等に出力するようにても良い。
また、上述の実施の形態では、本発明の作業分析装置を、ミシンによる縫製作業を分析する場合を例に説明したが、本発明の作業分析装置は、上記実施の形態に限定されるものでなく、複数の作業者がそれぞれ分担された作業工程の作業を同時に実施して生産する製品であれば、種々の製品の生産に適用し得ることは、勿論である。
36 フラッシュメモリカード(データ取得手段)
37 読み取り書き込み装置(データ取得手段)
101 作業分析装置
103 モニタ(表示手段)
105 CPU(作業所要時間算出手段、実作業時間算出手段)
D 縫製作業時刻データ(作業記録データ)
Claims (2)
- 複数の作業者がそれぞれ分担された作業工程の作業を同時に実施して生産する製品の生産に関わる作業記録データを集計の上、分析してその分析結果を表示または外部に出力する作業分析装置において、
前記各作業工程を担当した作業者特定情報、作業工程特定情報及び各作業工程ごとの作業所要時間特定情報を含む作業記録データを取得するデータ取得手段と、
前記各作業記録データの全体又は一部の範囲で、各作業工程について各作業者ごとの作業所要時間を求める作業所要時間算出手段と、
前記各作業者ごとに、当該各作業者が行った作業工程の作業所要時間を合計して実作業時間を算出する実作業時間算出手段と、
を備え、 前記実作業時間算出手段は、前記各作業記録データ中に一つの作業工程を複数の作業者で分業した場合の作業所要時間特定情報がある場合に、これら作業者の前記作業工程の作業所要時間を調和平均により平均化し、当該平均化により求められた作業所要時間に基づいて前記各作業者ごとの実作業時間を算出することを特徴とする作業分析装置。 - 前記各作業記録データには、各作業者による各作業工程ごとの生産数量情報が含まれると共に、
前記実作業時間算出手段は、前記各作業記録データ中に一つの作業工程を複数の作業者で分業した場合の作業所要時間特定情報がある場合に、
前記各作業者の実作業時間を、前記調和平均により平均化して算出された作業所要時間に前記分業した作業工程全体の生産数量に対する個々の作業者の生産数量が占める比率を乗じた上で、他の作業工程の作業所要時間と合計して算出することを特徴とする請求項1記載の作業分析装置。
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