JP2010060757A - 画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】現像位置に達する静電像の電位分布の状態を正確に把握して、静電像の境界領域に対する露光出力を適正に設定できる画像形成装置を提供する。
【解決手段】電位センサ30は、感光ドラム1に電極を対向させて配置され、移動する感光ドラム1上の静電像が電極に誘起する信号を検出する。非画像形成時にVL露光量とVL未満露光量とを組み合わせた4画素幅の主走査方向ラインの試験静電像1sを感光ドラム1に書き込んで電位センサ30により電位分布を測定する。測定される電位分布が所定の立ち上がり/立ち下がりの電位分布に収束するまで、VL未満露光量を少しずつ変化させて同様の測定を繰り返す。これにより、感光ドラム1の個体差等と無関係に静電像の電位分布を一定に再現して同一の現像結果が得られる。
【選択図】図1
【解決手段】電位センサ30は、感光ドラム1に電極を対向させて配置され、移動する感光ドラム1上の静電像が電極に誘起する信号を検出する。非画像形成時にVL露光量とVL未満露光量とを組み合わせた4画素幅の主走査方向ラインの試験静電像1sを感光ドラム1に書き込んで電位センサ30により電位分布を測定する。測定される電位分布が所定の立ち上がり/立ち下がりの電位分布に収束するまで、VL未満露光量を少しずつ変化させて同様の測定を繰り返す。これにより、感光ドラム1の個体差等と無関係に静電像の電位分布を一定に再現して同一の現像結果が得られる。
【選択図】図1
Description
本発明は、帯電させた感光体表面を露光して静電像を形成し、静電像を現像してトナー像を形成する画像形成装置、詳しくは、静電像の境界領域に対する露光強度の設定に関する。
帯電させた感光体(感光ドラム等)を露光位置で露光して静電像を形成し、静電像を現像位置で現像してトナー像を形成して中間転写体や記録材に転写する電子写真方式の画像形成装置が広く用いられている。電子写真方式の画像形成装置では、静電像の境界領域におけるトナー付着の不具合を解消することを目的として、静電像の境界領域に対しては、静電像の他の部分とは異なる露光出力が適用されることがある。
特許文献1には、静電像の境界領域に対しては、過剰なトナーの付着を避けるために静電像の中心領域よりも露光出力を低下させる制御が示される。ここでは、露光する画像データを処理して静電像の境界領域を抽出しており、静電像の境界領域に対する露光出力を低下させて、明部電位から暗部電位に至る電位分布の傾きを緩和している。これにより、静電像を現像した際に現れる境界領域へのトナー付着の集中(図6参照)を緩和して、転写・定着におけるトナーの飛び散りを軽減している。
特許文献2には、感光体に電極を対向させて配置され、移動する感光体上の静電像が電極に誘起する信号を検出する検出手段の一例が示される。
特許文献3には、ワイヤ電極の円筒面の周囲を覆った絶縁性のフィルムの外側面を感光体に当接させた状態で、感光体の帯電電位(表面欠陥)をドットサイズの解像度で検出する検出手段の一例が示される。
特許文献1に示されるように、静電像の境界領域に対する露光量を低下させる場合、露光量の低下量が少な過ぎると画像の飛び散りを十分に防止できず、低下量が多すぎると画像の線幅や文字の太さに異常が現れてしまう。例えば、反転現像の場合、境界領域に対する露光量を減らし過ぎると、現像した際にトナーが付着する面積が減って線や文字が痩せてしまう。
すなわち、トナー像の線幅や濃度は、感光体に形成される静電像の電位分布に応じて変化し、静電像の電位分布は、温度、湿度、感光体の個体差、累積使用時間等、数多くの要因に応じて変化する。このため、露光位置で形成されて露光位置に達した静電像の電位分布の状態を正確に把握できないと、実際に現像されるトナー像の状態を正確に再現できない。従って、静電像の電位分布の状態を正確に把握できないと、静電像の境界領域に設定すべき露光量を適正には設定できない。
本発明は、現像位置に達する静電像の電位分布の状態を正確に把握して、静電像の境界領域に対する露光出力を適正に設定できる画像形成装置を提供することを目的としている。
本発明の画像形成装置は、感光体と、前記感光体を一様な電位に帯電させる帯電手段と、帯電させた前記感光体を露光位置で露光して静電像を形成する露光手段と、前記露光位置で形成された静電像を現像位置でトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、画像に応じて露光出力を変化させるように前記露光手段を制御する制御手段とを備えるものである。そして、前記感光体に電極を対向させて配置され、移動する前記感光体上の静電像が前記電極に誘起する信号を検出する検出手段と、非画像形成時に所定の静電像を形成して前記検出手段により検出させ、前記現像位置に達した前記所定の静電像に所定の電位分布を持たせるように、画像形成時に用いる画像に応じた露光出力を設定する設定モードとを備える。
本発明の画像形成装置では、所定の静電像を検出手段で検出するという「測定条件を揃えた実測定」を行うことにより、静電像の電位分布の状態を直接的に把握する。このため、温度、湿度、画像形成の累積枚数等のパラメータを用いて間接的に静電像の境界領域の電位分布の状態を推定する場合に比較して、静電像の電位分布の状態を誤差少なく正確に把握できる。
従って、現像位置に達する静電像の電位分布の状態を正確に把握して、画像に応じた露光出力を適正に設定できる。画像の境界領域に対して他の領域とは異なる露光出力を設定する場合には、境界領域に対する露光量を適正に設定できる。
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。本発明は、電位センサを用いた所定の静電像の検出結果に応じて画像の境界領域の露光強度が調整される限りにおいて、実施形態の構成の一部又は全部を、その代替的な構成で置き換えた別の実施形態でも実施できる。
本実施形態では、感光ドラムから記録材へ枚葉式に直接トナー像を転写する画像形成装置を説明するが、本発明は、中間転写ベルトを用いた画像形成装置や記録材搬送ベルトを用いた画像形成装置でも実施できる。
なお、特許文献1〜3に示される画像形成装置及び電位センサに関する一般的な事項については、図示を省略して重複する説明を省略する。また、請求項で用いた構成名に括弧を付して示した参照記号は、発明の理解を助けるための例示であって、実施形態中の該当する部材等に構成を限定する趣旨のものではない。
<画像形成装置>
図1は電位センサを取り付けた画像形成装置の構成の説明図である。
図1は電位センサを取り付けた画像形成装置の構成の説明図である。
図1に示すように、画像形成装置100は、感光ドラム1にトナー像を形成して転写部T1で記録材Pに転写する。トナー像を転写された記録材Pは、搬送装置12によって定着装置8へ送り込まれてトナー像を定着される。
回転する感光体ドラム1の周囲に、コロナ帯電器2、露光装置3、現像装置4、転写帯電器5、分離帯電器6、クリーニング装置7、前露光装置10、電位センサ11、及び電位センサ30が配置される。
帯電手段の一例であるコロナ帯電器2は、一次電流発生装置106によって定電流制御された正極性の高電圧が印加される。コロナ帯電器2は、ワイヤ電極2aの周囲でコロナ放電を発生して荷電粒子を感光ドラム1の表面に照射して、感光ドラム1の表面を一様な正極性の暗部電位VDに帯電させる。
露光手段の一例である露光装置3は、レーザー駆動回路107に制御されて、赤外線レーザービーム(波長λ=780nm)を感光ドラム1に走査する。画像処理装置103は、画像読取装置102で読み取った画像情報に応じて二値変調された露光画像データを生成して、レーザー駆動回路107に出力する。露光装置3は、暗部電位VDに帯電した感光ドラム1の露光部分の電位を明部電位VLに低下させて、画像の静電像を形成する。
現像手段の一例である現像装置4は、現像バイアス発生装置109から後述する振動電圧を印加されることにより、感光ドラム1に形成された静電像をトナーで現像してトナー像を形成する。
転写帯電器5は、転写電流発生装置110から負極性の高電圧が印加されたワイヤ電極5aの周囲でコロナ放電を発生させて荷電粒子を記録材Pの下面に照射する。負極性に記録材Pを帯電させることにより、正極性に帯電して感光ドラム1に担持されたトナー像が感光ドラム1から記録材Pへ転写される。
記録材Pは、カセット20から取り出されて分離ローラ21で1枚ずつに分離され、搬送ローラ22からレジストローラ23へ搬送されて待機する。レジストローラ23は、感光ドラム1に担持されたトナー像にタイミングを合わせて転写部T1に記録材Pを送り出す。
分離帯電器6は、正負交互の荷電粒子を記録材Pの下面に照射して、記録材Pの過剰な帯電電荷を中和して、感光ドラム1に対する記録材Pの吸着を緩和して、記録材Pを感光ドラム1から曲率分離させる。
クリーニング装置7は、感光ドラム1にクリーニングブレード7bを摺擦させて、転写部T1を通過した感光ドラム1の表面に付着した転写残トナーを除去する。
帯電前露光装置10は、感光ドラム1の表面を一様に露光して暗部電位VDを放電させて前回の静電像を消去する。
電位センサ11は、感光ドラム1の表面に電極を対向させて非接触に配置される。電位制御装置108は、電位センサ11を制御して、感光ドラム1の暗部電位VD及び明部電位VLを測定する。暗部電位VDの測定結果は、電位制御装置108、本体制御装置101、一次電流発生装置106を通じてコロナ帯電器2の制御にフィードバックされる。明部電位VLの測定結果は、露光装置3の露光出力にフィードバックされる。
電位センサ30は、露光装置3による露光位置と現像装置4による現像位置との間の感光ドラム1の表面に当接させて配置される。静電像測定装置111は、電位センサ30を用いて静電像の電位分布の状態を測定する。測定された電位分布の状態は、後述するように、画像処理装置103で抽出された静電像の境界領域に対する露光出力にフィードバックされる。
<現像手段>
図2は現像装置の構成の説明図、図3は現像スリーブに印加される振動電圧の説明図、図4は静電像がトナーで現像されるプロセスの説明図である。図5は静電像に作用する電気力線の説明図、図6は静電像の境界領域に形成されるトナーの盛り上がりの説明図である。
図2は現像装置の構成の説明図、図3は現像スリーブに印加される振動電圧の説明図、図4は静電像がトナーで現像されるプロセスの説明図である。図5は静電像に作用する電気力線の説明図、図6は静電像の境界領域に形成されるトナーの盛り上がりの説明図である。
現像装置4は、固定磁極4mの周りで回転する現像スリーブ4sに、正極性に帯電したトナーを担持させて、感光ドラム1の露光された明部電位VLの部分へトナーを選択的に付着させて静電像を反転現像する。
現像装置4の現像容器4aには、トナーを含む現像材が充填されており、トナーは、現像容器4a内で正極性の電荷を付与されながら、現像容器4a内部の攪拌部材4b、4cの回転により現像スリーブ4sの表面に送られる。
感光ドラム1と現像スリーブ4sとの間には微小な間隔があいており、現像スリーブ4sに担持されたトナーがこの間隔を飛翔して、感光ドラム1の静電像に付着することにより現像が行われる。
図3に示すように、現像スリーブ4sには、現像効率を向上させ、濃度が高く、鮮明なトナー像を形成するために、直流電圧Vdcに交流成分を重畳した振動電圧が印加される。
図1を参照して図4に示すように、画像形成装置100では、正極性に帯電する感光ドラム1と正極性に帯電するトナーとを用いて、公知の反転現像方式を用いる。感光ドラム1に形成された静電像の明部電位VLと現像スリーブ4sに印加される直流電圧Vdcとの間の電荷量を相殺できるだけのトナーが感光ドラム1の静電像に付着する。
静電像は、コロナ帯電器2で帯電されて露光装置3で露光されていない感光ドラム1上の暗部電位VDの部分と、コロナ帯電器2で帯電された後に露光装置3で露光された明部電位VLの部分とで形成される。
そして、現像スリーブ4sに印加される振動電圧の直流電圧Vdcは、暗部電位VDと明部電位VLとの間に設定される。トナーの帯電電位と感光ドラム1の暗部電位VD、明部電位VL、さらに現像スリーブ4sに印加される直流電圧Vdcは同極性である。静電像をトナー像で現像すると、感光ドラム1の明部電位VL部分にトナーが付着して静電像が可視化される。
このとき、感光ドラム1上のトナーが付着しない暗部電位VDは、500V程度、トナーが付着する明部電位VLは50V程度、そして、現像スリーブ4sに印加される直流電圧Vdcは250V程度である。
図5に示すように、静電像をトナー像で現像するとき、感光ドラム1と現像スリーブ4sとの間に電気力線が発生し、電気力線に沿ってトナー粒子が飛翔する。静電像のエッジ部のように表面電位が急峻に切り替わるものにおいては、感光ドラム1と現像スリーブ4sとの間の電気力線が電磁気学的にその変化部分に集中する傾向がある。
図6の(a)に示すように静電像を書き込んでトナー像を現像した時、トナー像は、図5の電気力線の集中により、図6の(b)に示すように、静電像のエッジ部においてトナーが非エッジ部に対して盛り上がって現像される。このようなトナー像は、画像形成装置100内の転写帯電器5で記録材Pにトナー像が転写されるときや記録材Pに転写されたトナー像が定着装置8で定着するときにトナーの飛び散りを発生させる。
静電像のエッジ部においてトナーが盛り上がって現像されることによるトナーの飛び散りは、画像形成装置100の構成にもよるが、一般に、600dpiの4dotから16dot程度の線画像において顕著に現れる傾向がある。
そこで、画像形成装置100では、画像データからトナー像の境界領域を検出し、トナー像の境界領域に対しては、過剰なトナーの付着を避けるためにトナー像の中央領域よりも露光出力を低下させている(実施例1)。これにより、現像時の静電像のエッジ部における電気力線の集中を緩和して、静電像のエッジ部においてトナーが盛り上がって現像されないようにしている(図15参照)。
ところで、細い線画像や細かい点画像では、大面積の画像部分に比較して、明部電位と周囲の暗部電位との間の電荷移動によって静電像の電荷が損なわれ易い。そして、静電像の電荷が損なわれただけ、現像した際のトナー付着量が減って画像濃度が低下する。このため、露光する画像データを処理して、細い線画像や細かい点画像を抽出し、画像の線幅や面積に応じて露光出力の割り増し量を設定して、画像を露光することが望ましい。
そこで、画像形成装置100では、画像データから文字画像や線画像の線幅を検出し、線幅・面積が狭い画像領域に対しては、トナーの付着量の減少を避けるために、線幅・面積が広い領域よりも露光出力を高めている(実施例2)。これにより、明部電位と周囲の暗部電位との間の電荷移動によって損なわれた静電像の電荷を補って、画像の線幅の減少や画像濃度の低下を軽減している。
そして、二段階の露光出力の設定を適正に行うために、いずれの実施例においても、非画像形成時に所定の静電像を形成して検出手段により検出させる。実施例1では、電位センサ30の電極に誘起される信号が低いほど境界領域に対する露光出力を高めるように、所定の静電像の検出結果に基づいて露光手段を制御する。これにより、静電像の電位分布の状態を直接的に把握して、境界領域に対する露光出力を正確に設定できる。
一方、実施例2では、電位センサ30の電極に誘起される信号が低いほど静電像の境界領域を多く含む画像領域に対する露光出力が高まるように、所定の静電像の検出結果に基づいて露光手段を制御する。これにより、静電像の電位分布の状態を直接的に把握して、境界領域を多く含む静電像に対する露光出力の割り増し量を正確に設定できる。
<検出手段>
図7は電位センサの配置状態の説明図、図8は電位センサの構成の説明図、図9は電位センサの製造方法の説明図、図10は電位センサの別の例の構成の説明図である。
図7は電位センサの配置状態の説明図、図8は電位センサの構成の説明図、図9は電位センサの製造方法の説明図、図10は電位センサの別の例の構成の説明図である。
図7に示すように、電位センサ30は、感光ドラム1の法線に対して角度α=15度傾けて加圧力0.1g/mmとなるように取り付けてある。電位センサ30が出力するアナログ電圧信号は、静電像測定装置111の増幅回路121で増幅された後にAD変換回路122によってデジタル信号に変化される。演算部123は、電位センサ30の出力を積分演算して静電像の電位分布を求め、静電像の電位分布がほぼ一定に再現されてほぼ同一の現像結果が得られるように、画像の境界領域に適用される露光装置3の露光出力を決定する。
図8に示すように、画像形成装置100は、感光体(1)に電極(32a)を対向させて配置され、移動する感光体上の静電像(1s)が電極(32a)に誘起する信号を検出する検出手段(30)を備えている。そして、非画像形成時に露光装置3を制御して所定の静電像(1s)を形成して検出手段(30)により検出させる。
電位センサ30は、樹脂フィルムを積層した厚さL1=100μm、幅L2=2.5mm、長さL3=20mmの薄板状の外観に形成され、電極部材が埋め込まれた先端の湾曲面を感光ドラム1に当接させている。電位センサ30は、先端部を感光ドラム1に対して斜めに当接しており、薄板部分の曲げ反力によって、感光ドラム1に対する接触圧が設定されている。電位センサ30は、電極面の表面を覆った厚さ25μmの絶縁性のフィルム層の外側の湾曲部を感光ドラム1に当接させることで、フィルム層の内側に密着した電極面の湾曲部と感光ドラム1との対向間隔を25μmに設定している。
薄膜電極層32は、基板フィルム層31の折り返し領域の反対側で配線可能となるように、検出電極部32aに連続させて基板フィルム層31の内側面に密着して固定された接続配線部32bを含む。
電位センサ30は、先端が感光ドラム1に当接しているので、検出電極部32aと感光ドラム1との対向間隔を一定に保つための機構や制御が不要である。感光ドラム1の偏心回転に追従して対向間隔を基板フィルム層31の厚みで一定に維持できる。
電位センサ30は、感光ドラム1の幅方向に垂直な面内で回転方向に向かって先端を突き出すように、感光ドラム1の表面に対して斜めに当接する。このように当接させることで、感光ドラム1に対する摩擦力が電位センサ30を浮き上げて当接圧を減らすので、感光ドラム1が偏心回転しても電位センサ30は、安定した小さな当接圧を維持して精密に表面を追従できる。
図9に示すように、以下の条件で電位センサ30を製作した。
基板フィルム層31、フィルム層35:東レ製のルミラー(商標):PETフィルム、厚み25μm、幅2.5mm、長さ45mm、ヤング率2.7GPa、抵抗率1×1015Ω・cm
薄膜電極層32:シントーケミトロン製の銀ペースト:K−3424、抵抗1.59×10−6Ωcm
検出電極部32a:幅212μm、長さ2mm、厚さ10μm
接続配線部32b:幅0.5mm
第1接着層34、第2接着層36:東洋インキ製造製のオリバイン(商標)、アクリル系粘着剤、厚さ20μm
基板フィルム層31、フィルム層35:東レ製のルミラー(商標):PETフィルム、厚み25μm、幅2.5mm、長さ45mm、ヤング率2.7GPa、抵抗率1×1015Ω・cm
薄膜電極層32:シントーケミトロン製の銀ペースト:K−3424、抵抗1.59×10−6Ωcm
検出電極部32a:幅212μm、長さ2mm、厚さ10μm
接続配線部32b:幅0.5mm
第1接着層34、第2接着層36:東洋インキ製造製のオリバイン(商標)、アクリル系粘着剤、厚さ20μm
図9の(a)に示すように、PETフィルムの基板フィルム層31に上記銀ペーストをスクリーン印刷して密着させ、L字パターンの検出電極部32a及び接続配線部32bを薄膜形成した。薄膜電極層32の絶縁性を確保するために、薄膜電極層32の電極パターンは、基板フィルム層31の縁よりも内側に寄せて形成される。検出電極部32aは、基板フィルム層31を折り返す内側面に面状に形成される。接続配線部32bは、図9の(e)に示す折り返し部分の反対側で配線可能となるように、検出電極部32aに連続させて配置される。
図9の(b)に示すように、その上から第1接着層34の接着剤として、アクリル系粘着剤を厚み20μmとなるようにバーコーターで塗布、乾燥した。
図9の(c)に示すように、その上からフィルム層35として上記PETフィルムを貼り付けた。
図9の(d)に示すように、さらにその上から、第2接着層36として上記接着剤を厚み20μmとなるようにバーコーターで塗布、乾燥した。
図9の(e)に示すように、それを長さ方向の一端側から20mmのところで折り曲げて完全に貼り付けた。
電位センサ30は、基本構成として、絶縁材料の内部に導電性材料が埋め込まれていて、導電性材料が増幅回路につながっていればよい。従って、特許文献3に示されるように、図10に示す電位センサを用いてもよい。
図10の(a)に示すように、保護層41は、電気抵抗が1×1012〜1×1018Ω・cm程度の絶縁性材料で構成される。保護層41の内部に検出電極42a及び接続配線部42bがある。検出電極42aは、静電像により発生する誘導電流を検知するため導電性のものが好ましく、1×10−6〜2×10−4Ω・cm程度である。
電位センサ40の大きさとしては、長さL3は1〜50mmが好ましく、幅L2は2〜10mm、厚みL1cは100μm〜200μmが好ましい。電位センサ40は、図7に示す電位センサ30を置き換えて配置され、入出力部42cは、図7に示す静電像測定装置111の増幅回路121に接続される。
電位センサ40の先端が感光ドラム1の回転に追従できるように、感光ドラム1との接点における法線方向からの電位センサ40の傾き角度α(図7参照)は、10〜40度が望ましい。保護層41が検出電極42aと感光ドラム1の対向間隔を保証し、これにより安定した信号が導きだせる。さらに電位センサ40の先端の当接圧力は、0.2〜0.8g/mm程度である。当接圧力は、感光ドラム1に安定して電位センサ40を接触させるために重要であり、高過ぎると感光ドラム1の傷の原因となる。
<露光手段>
図11は暗部電位を設定する制御のフローチャート、図12は明部電位を設定する制御のフローチャート、図13は露光装置の露光出力の説明図、図14は露光出力と明部電位の関係の説明図である。
図11は暗部電位を設定する制御のフローチャート、図12は明部電位を設定する制御のフローチャート、図13は露光装置の露光出力の説明図、図14は露光出力と明部電位の関係の説明図である。
図1に示すように、電位センサ11は、公知の非接触タイプの表面電位計で、センサ表面の電位を変更して対向面とのインピーダンスを測定することで対向面の電位を検知する。このタイプの電位センサの利点として、比較的広範囲の表面電位を短時間で測定可能であるとともに、非接触タイプのため感光ドラム1の表面を傷付けにくい。
しかし、不利な点としては、非接触タイプのため分解能が低く、表面電位の測定分解能は良くても600dpiで450画素程度である。このため、電位センサ11を用いて感光ドラム1に形成した所定の静電像の電位分布の形を測定することは不可能である。
図1を参照して図11に示すように、基準となる感光ドラム1の暗部電位VDは、感光ドラム1をコロナ帯電器2で帯電して露光装置3で露光しない場合の感光ドラム1の表面電位を電位センサ11で測定して決定される。電位センサ11で測定される暗部電位VDが所望の値(例えば520±2V)になるように、コロナ帯電器2の帯電電流量が決定される。このときの帯電電流量を基準帯電電流量と呼ぶ。
始めに一次電流発生装置106によりコロナ帯電器2に所定の帯電電流をかけて感光ドラム1を帯電して(S11)、電位センサ11により感光ドラム1の表面電位を測定する(S12)。
電位センサ11の測定値が周方向の平均で520±2Vになる(S13のYES)ように、電位制御装置108、本体制御装置101を介して、一次電流発生装置106の出力が決定される(S14)。
次に、明部電位VLが所定値(例えば65V)となるように露光装置のVL露光量が設定される。VL露光量は、感光ドラム1を一周分、コロナ帯電器2で帯電しつつ露光装置3で露光した時の電位を電位センサ11で測定したマクロな電位から決定される。このとき、ターゲットとなる明部電位VLは、現像装置4の現像特性を考慮した上であらかじめ決定されている。なお、これらのターゲットは画像形成装置100の使用環境や使用履歴によって変更可能である。
図1を参照して図12に示すように、基準帯電電流で感光ドラム1を帯電しつつ、露光装置3が、所定の露光出力で、感光ドラム1の1周に渡って全面露光を行う(S21)。このとき、電位センサ11を用いて感光ドラム1の表面電位を測定して(S22)、測定された電位が65V±2Vになるように(S23のYES)、露光出力を調整する(S25、S26、S27)。
図13に示すように、露光装置3の駆動電流を増大させると、レーザービームの露光強度が増大する。露光装置3の入力信号が小さい場合は、使用するレーザー素子の特性上発光しにくい領域aがある。そして、露光装置3の入力信号が大きくなっていくに従って、入力と出力の線形性が保たれる領域bがある。
さらに、露光装置3の入力信号を大きくするとレーザー素子の特性上、消灯遅延が発生して理想の露光量よりも露光量がおおきくなる領域cになる。そして、ついには、消灯遅延によって隣接する画素の露光とオーバラップしてしまう。
このような露光装置3の出力特性は、半導体レーザー素子を使用する場合に一般的に見られるものである。そして、露光装置3の入出力関係において露光装置3のもつ最大のダイナミックレンジa+b+cにおいて、リニアリティが確保されるダイナミックレンジcの割合としては、b/(a+b+c)=60〜70%となる。以下の実施例ではダイナミックレンジcの範囲で、上記のVL露光量の他に1段階の露光量を設定する。
そして、このような特性には、個々の露光装置3の固体差がある。
図13に示すように、暗部電位VD=520Vから露光量を変化させて全面露光を行い、電位センサ11で明部電位VLを測定した。感光ドラム1の明部電位VLは、露光量の増加に伴って低下するが、その特性は線形ではない。
そして、このような特性は、感光ドラム1の半導体特性に起因し、感光ドラム1の使用履歴や個体差においても変化する。
<設定モード>
図15は所定の静電像を検知する制御の説明図である。
図15は所定の静電像を検知する制御の説明図である。
図15の(a)に示すように、感光ドラム1が矢印R1方向に回転すると、暗部電位VDに帯電された感光ドラム1の表面に形成された明部電位VLの試験静電像1sが電位センサ30を通過する。基板フィルム層31を介して検出電極部32aを感光ドラム1に対向させることで、感光ドラム1の表面電位の変化に応じた電圧信号が検出電極部32aから取り出される。電位センサ30は、試験静電像1sの電位が変化する部分(点線で囲んだ部分)において、検出電極部32aに発生する誘導電流を図15の(b)に示すように検出する。
図15の(b)に示すように、試験静電像1sが電位センサ30に近付いて差し掛かる過程では、検出電極部32aに誘導電流が流れ込んで負極性の電圧信号が出力される。その後、試験静電像1sが電位センサ30を通過して遠ざかる過程では、検出電極部32aから誘導電流が流れ出して正極性の電圧信号が出力される。このようにして、電位センサ30からは、試験静電像1sの電位分布の微分波形に相当する出力が取り出される。誘導電流は、正負を持った値で検出され、静電像の電位の微分値で検出される。すなわち、静電像の電位変化の傾きを検出し、電位が落ちる場合はマイナスに、電位が上がる場合はプラスに検出される。
図15の(c)に示すように、暗部電位VDを初期値として電位センサ30の出力を積分演算することによって試験静電像1sの電位分布が演算される。設定モードでは、電位センサ30で検出された誘導電流量の信号を、前述した暗部電位VDを基準にして時間積分することにより、試験静電像1sの電位分布の形が測定される。
従って、設定モードでは、電位センサ30を用いて一定の試験静電像1sの微分値を検出することで、600dpiの1画素以上の分解能で、感光ドラム1に形成された静電像の境界領域の電位分布の状態を判別可能となる。
<実施例1>
図16は実施例1における画像処理の説明図、図17は静電像のエッジ部におけるトナーの盛り上がりが解消される効果の説明図、図18は試験静電像の説明図である。図19は電位分布を一定に再現する制御の説明図、図20は電位分布の変曲点の説明図、図21は実施例1の制御のフローチャートである。
図16は実施例1における画像処理の説明図、図17は静電像のエッジ部におけるトナーの盛り上がりが解消される効果の説明図、図18は試験静電像の説明図である。図19は電位分布を一定に再現する制御の説明図、図20は電位分布の変曲点の説明図、図21は実施例1の制御のフローチャートである。
実施例1の露光出力制御では、静電像を形成するときの露光量が画像データから判定される画像パターンに応じて、画像の境界領域に対しては内側領域よりも低くなるように、変更される。
図1を参照して図16の(a)に示すように、露光される画像データがあるとき、斜線部画素A〜Fが今回の説明用の注目画素である。この画像データを処理して画像の境界領域を抽出し、図16の(b)に示すように露光装置3の主走査方向における露光出力を設定し、図16の(c)に示すように、露光装置3の副走査方向における露光出力を設定する。
画像読取り装置102で取り込まれた画像データは、画像処理装置103で画像処理されて画像パターンが判定される。画像パターン判定処理は、600dpiの9×9画素フィルターを用いて公知のパターンマッチングを行うことにより実現される。具体的には、画像データ上の対象となる画素を9×9画素フィルターの中心に捕らえた際に、その周辺画素の形態から対象となる画素の状況を判断する。
画素Aのような孤立点や画像のエッジ部でない内側領域と判定される画素B、Fに対しては、上述したVL露光量がそのまま適用される。画素Bのように、連続する画像のエッジ部であっても対象画素から画像が連続する方向に対して端に存在しない場合は、画素A、Fと同等の露光量が適用される。
画素C、D、Eのように、連続する画像のエッジ部(境界領域)であって、かつ対象画素から画像が連続する方向に対して端に存在する画素に対しては、画素A、B、Fに設定されるVL露光量よりも小さいVL未満露光量が設定される。
このように、画像データに対応して、画像のエッジ部でかつ対象画素から画像が連続する方向に対して端に存在する画素C、D、Eに適用される境界領域の露光量を、画像の端に位置しない画素A、B、Fに適用される内側領域の露光量より小さく設定する。これにより、図15に示すように、連続する画像のエッジ部においてトナーが非エッジ部に対して盛り上がって現像される現象を抑制することが可能となる。
図17の(a)に示すように、実施例1では、静電像のエッジ部においてトナーが非エッジ部に対して盛り上がって現像されることを抑制するために、静電像の電位分布を変更する。画像のエッジ部で、かつ対象画素から画像が連続する方向に対して端に存在する画素に対する露光量をVL露光量よりも小さいVL未満露光量に設定する。これにより、図17の(b)に示すように、静電像の電位分布の傾斜領域の傾きが緩やかになり、画像エッジ部の露光後の電位を明部電位VLに対して高く設定できる。そのため、静電像のエッジ部においてトナーが非エッジ部に対して盛り上がって現像されることを抑制できる。
図7に示すように、実施例1では、露光装置3や感光ドラム1の線形でなく個体差がある特性に適合したVL未満露光量を設定するために、静電像キャリブレーションを行う。
図7を参照して図18に示すように、静電像キャリブレーションでは、基準値のVL未満露光量と上述のVL露光量とを組み合わせた4画素幅の主走査方向ラインの試験静電像1sを5画素間隔で3本形成する。試験静電像1sの副走査方向のエッジ部はVL未満露光量で露光され、エッジ部以外の領域はVL露光量で露光される。
図7を参照して図19に示すように、静電像キャリブレーションでは、感光ドラム1に形成した40本の試験静電像1sを電位センサ30を用いて測定する。静電像測定装置111では、画像の境界領域に適用されるVL未満露光量が、電位センサ30を用いて試験静電像1sを直接に測定して決定される。
上述したように、ターゲットとなる暗部電位VD及びVL露光量は、現像装置5の現像特性を考慮した上で予め決定されている。暗部電位VD=520±2V、明部電位VL=65±2Vである。これらのターゲットは、画像形成装置100の使用環境や使用履歴によって変更可能であり、ターゲット変更時には、静電像キャリブレーションを行ってVL未満露光量を適正化する。
図19の(b)に示すように、4画素画像の境界領域の左右1画素ずつをVL未満露光量で露光し、内側の2画素をVL露光量で露光した場合を考える。このとき、図19の(a)に示すように静電像の電位分布が形成され、静電像の境界領域における電位分布の傾きは、感光ドラム1の個体差(感光特性、表面抵抗のばらつき)によって変化する。
このため、実施例1では、静電像キャリブレーションを行って、感光ドラム1の個体差にかかわらず、静電像の境界領域の電位分布の傾きが一定に再現されるようにVL未満露光量を設定する。
具体的には、図19の(b)に示すVL未満露光量を少しずつ変化させて、VL露光量とVL未満露光量とによって形成される図19の(a)に示す変曲点A、Bの電位を電位センサ30を用いて実際に測定する。そして、変曲点A、Bの電位が120±2Vとなるように、VL未満露光量を設定する。
理想的には、ターゲットとなる静電像の電位分布と、電位センサ30を用いて測定された静電像の電位分布とでパターンマッチングを行い、相関関数を演算して両者の差異を判定することが望ましい。しかし、実施例1では、露光量の切り替えが2段階と決まっているため、暗部電位VD、明部電位VLに加えて、境界領域の変曲点の電位を管理することで、静電像の電位分布の傾きを十分に特定できる。
図20の(a)に示すように、3本の試験静電像1sの測定結果を平均して試験静電像1sの電位分布の微分波形が求められる。この微分波形を、初期値VDで積分演算することにより、図20の(b)に示すように、試験静電像1sの電位分布が演算される。
図20の(a)に示す微分波形の変曲点a、bの副走査方向の位置(時間)における図20の(b)に示す積分波形の高さが、VL露光量とVL未満露光量とによって形成される変曲点A、Bの電位となる。VL未満露光量を少しずつ変化させて図20の(a)に示す微分波形を測定し、図20の(b)に示す積分波形から変曲点A、Bの電位を読み取る処理を繰り返す。これにより、変曲点A、Bの電位を120±2Vに収束させ、そのときのVL未満露光量を画像形成時の境界領域の露光量に設定する。
図7を参照して図21に示すように、VL露光量が決定された後、基準値のVL未満露光量を組み合わせて試験静電像1sが形成され(S31)、電位センサ30が試験静電像1sを測定する(S32)。
静電像測定装置111は、電位センサ30で検出した微分波形から静電像の変極点a、bを検出する(S37)。このとき、静電像のエッジ部から600dpiの1.5画素以内に変極点が存在しない場合は、該当する試験静電像1sは、VL未満露光量決定の対象から除外される。
図20に示すように、静電像測定装置111は、微分波形を積分して静電像の電位分布を再現し、変曲点a、bに対応する変曲点A、Bの電位を測定する。変曲点a、bは微分波形の傾きから検知され、変曲点電位は、再現された電位分布から確定される。この後、3本の試験静電像1sについて、変曲点A、Bの電位が平均化処理を施される。その後、変曲点A、Bの電位の平均値が120±2Vの範囲に入っているかを判定し(S34)、範囲に入っている場合(S34のYES)は、そのときのVL未満露光量が画像形成時のVL未満露光量として決定される(S35)。
一方、変曲点A、Bの電位の平均値が120±2Vの範囲に入ってない場合(S34のNO)、VL未満露光量を変化させて試験静電像1sの再書き込み及び再測定を行う。変曲点A、Bの電位の平均値が122Vより大きい場合(S36の高い)はVL未満露光量を大きくし(S37)、118Vより小さい場合(S36の低い)はVL未満露光量を小さくする(S38)。
このような感光ドラム1の表面電位及び試験静電潜像の測定、帯電装置2の基準帯電電流量、露光装置3のVL露光量、及びVL未満露光量の設定は一連の動作として行なわれる。具体的には、基準帯電電流量が決定された直後にVL露光量が決定され、基準帯電電流量とVL露光量が決定された後に、試験静電像1sを用いたVL未満露光量の決定が行なわれる。この一連の動作で決定された基準帯電電流量、VL露光量、及びVL未満露光量は、画像処理装置103内のメモリに記憶され、その後の画像形成に反映される。
また、このような一連のキャリブレーションは、一定時間(例えば2時間)経過後に再度行なわれて、画像処理装置103内のメモリの基準帯電電流量、VL露光量、及びVL未満露光量のデータが更新される。
このように、実際に電位分布が調整される画像に近い試験静電像1sを形成して、実際に電位センサ30を用いて電位分布を測定することで、現像されるトナー像の状態を正確に予測できる。露光装置3が持つ入出力特性の個体差や経時変化による変動、及び感光ドラム1の露光量に対する明部電位の変動量の個体差や使用環境、経時変化による変動に関係なく、現像されるトナー像の状態を安定して予測できる。
これにより、静電像のエッジ部においてトナーが非エッジ部に対して盛り上がって現像される現象を抑制するために適した静電像を感光ドラム1上に形成可能となる。露光装置3の入力信号と露光強度の関係おいて線形性が保たれていない領域に対しても露光量を設定可能となり、幅広いダイナミックレンジでの露光が可能となる。
<実施例2>
図22は露光出力を一定で露光した場合に静電像の深さが変化する現象の説明図、図23は露光出力を変化させて静電像の深さを一定にする制御の説明図である。図24は実施例2における画像処理の説明図、図25は実施例2における試験静電像の説明図、図26は実施例2の制御のフローチャートである。
図22は露光出力を一定で露光した場合に静電像の深さが変化する現象の説明図、図23は露光出力を変化させて静電像の深さを一定にする制御の説明図である。図24は実施例2における画像処理の説明図、図25は実施例2における試験静電像の説明図、図26は実施例2の制御のフローチャートである。
実施例2は、画像パターンに対する露光量の変更方法が異なる以外は実施例1と同様に構成されて同様に制御される。従って、実施例1と重複する説明は省略する。
図1を参照して図22の(a)に示すように、画像パターンに応じて露光装置3の露光量を変更しない場合、図22の(c)に示すように、感光ドラム1に形成される静電像の深さが画像幅に応じて違ってくる。
静電像は、露光装置3対向位置から現像装置4の対向位置に感光ドラム1の回転で搬送されるまでの時間で減衰する。具体的には、暗部電位VDは、電荷が感光ドラム1の電気的な体積抵抗により保持されることで保たれているが、時間の経過によって電位は一律に下がる。また、ある程度連続した画素中の明部電位VLも同様にして電位が下がる。従って、ある程度の画素数(実施例2の場合4画素)が各走査方向で連続するパターンでは、トナー現像時の暗部電位VDと明部電位VLとを所望の値にするには、露光直後の暗部電位VDと明部電位VLとを高めに設定しておけば足りる。
一方、静電像のエッジ部においてはその電位の変化する部分のシャープさは、電荷が感光ドラム1の電気的な表面抵抗により保持されることで保たれている。しかし、時間の経過によって電位の変化する部分のシャープさは一律に下がる。従って、連続する画素数が各走査方向で少ない画像では、露光直後の暗部電位VDと明部電位VLとを高めに設定すると、現像時の暗部電位VDは所望の値になるが、明部電位VLは所望の電位より大きくなる。
図1を参照して図23の(a)に示すように、画像パターンに応じて露光装置3の露光量を変更した場合、露光直後の静電像の深さは、図23の(b)に示すようにそれぞれ違っている。しかし、露光位置から現像位置へ感光ドラム1が回転する間に、連続する画素数が各走査方向で少ない画像ほど明部電位VLが大きく低下するため、現像位置での明部電位VLの深さは一定に揃う。画像パターンに応じて露光量を変えるため、露光直後の静電像の電位の下がり方は各画像パターンに応じて異なるが、静電像の減衰によりトナー現像時の明部電位VLは各画像パターンでほぼ一定に保たれる。
このようにすることで、画像パターンによってトナーが現像される高さ方向の量をほぼ一定に保つことができるため、細線や孤立点の濃度と比較的画素が集まったパッチ部の濃度をほぼ一定に保つことが可能となる。
図24に示すように、実施例2では、静電像を形成するときの露光量は画像データから判定される画像パターンに応じて変更される。図24の(a)に示すように画像データがあるとき、斜線部の画素A〜Hが今回の説明用の注目画素である。
図24の(b)に示すように、露光装置3の主走査方向における露光量の分布が設定され、図24の(c)に示すように露光装置3の副走査方向に露光量の分布が設定される。
図1を参照して図24の(a)に示すように、画像読取装置102で取り込まれた画像データは、画像処理装置103でパターンを判定する。パターン判定は、600dpiの9×9画素フィルターを用いて公知のパターンマッチングを行う。具体的には、対象となる画素を9×9画素フィルターの中心に捕らえた際に、周辺画素の形態から対象となる画素の状況を判断する。注目画素A〜Fにおいて、主走査方向又は副走査方向の画素の連続数の最低数(最低画素連続数)が今回のパターン判定の判断の基準になる。最低画素連続数が1の場合は、VL露光量よりも2段階割り増した1画素露光量となり、最低画素連続数が2の場合は、VL露光量よりも1段階割り増した2画素露光量となる。最低画素連続数が3以上の場合は通常のVL露光量となる。
しかし、静電像の境界領域における電位分布の傾きは、感光ドラム1の個体差(感光特性、表面抵抗のばらつき)によって変化する。このため、VL露光量、1画素露光量、及び2画素露光量を一定に設定した場合、現像位置で明部電位VLの深さを揃えることができない。
このため、実施例2では、静電像キャリブレーションを行って、感光ドラム1の個体差にかかわらず、静電像の明部電位VLの深さが一定に再現されるように、VL露光量、1画素露光量、及び2画素露光量を設定する。
具体的には、上述したように、暗部電位VD=520±2Vとなるように基準帯電電流量が設定され、続いて、明部電位VL=65±2VとなるようにVL露光量が設定される。その後、2画素露光量を少しずつ変化させて試験静電像1sを形成し、電位センサ30で測定される明部電位VLの深さが55±2Vとなるように、2画素露光量を設定する。その後、1画素露光量を少しずつ変化させて試験静電像1sを形成し、電位センサ30で測定される明部電位VLの深さが45±2Vとなるように、1画素露光量を設定する。
図25に示すように、2画素露光量の決定の際の試験静電像1sは、600dpiの2画素幅ラインが3本である。試験静電像1sは、基準帯電電流量で帯電した感光ドラム1に、基準値の2画素露光量で副走査方向に2画素露光して7画素露光しない走査露光を繰り返して形成される。
図7を参照して図26に示すように、基準帯電電流量及びVL露光量が設定された後、2画素幅の試験静電像1sが感光ドラム1に書き込まれ(S41)、電位センサ30を用いて電位分布が測定される(S42)。電位センサ30から出力された微分波形は、静電像測定装置111で暗部電位VDを初期値として積分処理されて、図23の(c)に示すように、実際の電位分布が再現される。
2画素露光量の決定時における静電潜像の最下点電位は55±2Vとなる。静電像測定装置111は、静電像の最下点電位を測定する(S43)。このとき、最下点電位が55±2Vであれば(S44のYES)、そのときの露光量で2画素露光量は決定される(S45)。
このとき、最下点電位が53V未満の場合(S46の未満)は、2画素露光量を大きくして(S47)、試験静電像1sを形成し直して測定が行なわれる。最下点電位が57V以上の場合(S46の以上)は、2画素露光量を小さくして(S48)、試験静電像1sを形成し直して測定が行なわれる。
2画素露光量決定の後、図26と同様な手順を用いて1画素露光量の決定が行なわれる。1画素露光量の決定では、ターゲットとなる静電像の最下点電位が45Vとされる。また、試験静電像1sを形成するパターンが1画素露光量で露光した副走査方向の1画素と露光されていない9画素のパターンになる。これ以外は2画素露光量の決定のときと同等なのでこれ以上の説明は省略する。
このような感光ドラム1の表面電位及び試験静電潜像の測定、帯電装置2の基準帯電電流量、露光装置3のVL露光量、2画素露光量、及び1画素露光量の設定は一連の動作として行なわれる。具体的には、基準帯電電流量が決定された直後にVL露光量が決定され、基準帯電電流量とVL露光量が決定された後に、試験静電像1sを用いた2画素露光量及び1画素露光量の決定が行なわれる。この一連の動作で決定された基準帯電電流量、VL露光量、2画素露光量、及び1画素露光量は、画像処理装置103内のメモリに記憶され、その後の画像形成に反映される。
また、このような一連のキャリブレーションは、一定時間(例えば2時間)経過後に再度行なわれて、画像処理装置103内のメモリの基準帯電電流量、VL露光量、2画素露光量、及び1画素露光量が更新される。
このように、2画素露光量及び1画素露光量を感光ドラム1に試験静電像1sを形成して実際に電位分布を測定することにより決定する。このため、現像位置に達した静電像の電位分布から、露光装置3が持つ入出力特性の個体差や経時変化による変動、及び感光ドラム1の露光量に対する電位の変動量の個体差や使用環境、経時変化による影響を排除できる。現像位置に達した静電像の最下点電位を画像パターンによらずほぼ一定にした静電像を感光ドラム1上に形成して、現像位置で現像されたトナー像の状態を一定に再現できる。露光装置3の入力信号と露光強度の関係において線形性が保たれていない領域に対しても露光量を設定可能となり、幅広いダイナミックレンジでの露光が可能となる。
1 感光体(感光ドラム)
2 帯電手段(コロナ帯電器)
3 露光手段(露光装置)
4 現像手段(現像装置)
5 転写手段(転写帯電器)
6 分離帯電器
7 クリーニング装置
8 定着装置
11 電位センサ
30 検出手段(電位センサ)
31 基板フィルム層
32 薄膜電極層
32a 検出電極部
32b 接続配線部
34 第1接着層
35 フィルム層
36 第2接着層
100 画像形成装置
101 本体制御装置
103 制御手段(画像処理装置)
111 制御手段(静電像測定装置)
2 帯電手段(コロナ帯電器)
3 露光手段(露光装置)
4 現像手段(現像装置)
5 転写手段(転写帯電器)
6 分離帯電器
7 クリーニング装置
8 定着装置
11 電位センサ
30 検出手段(電位センサ)
31 基板フィルム層
32 薄膜電極層
32a 検出電極部
32b 接続配線部
34 第1接着層
35 フィルム層
36 第2接着層
100 画像形成装置
101 本体制御装置
103 制御手段(画像処理装置)
111 制御手段(静電像測定装置)
Claims (4)
- 感光体と、
前記感光体を一様な電位に帯電させる帯電手段と、
帯電させた前記感光体を露光位置で露光して静電像を形成する露光手段と、
前記露光位置で形成された静電像を現像位置でトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、
画像に応じて露光出力を変化させるように前記露光手段を制御する制御手段と、を備える画像形成装置において、
前記感光体に電極を対向させて配置され、移動する前記感光体上の静電像が前記電極に誘起する信号を検出する検出手段と、
非画像形成時に所定の静電像を形成して前記検出手段により検出させ、前記現像位置に達した前記所定の静電像に所定の電位分布を持たせるように、画像形成時に用いる画像に応じた露光出力を設定する設定モードと、を備えたことを特徴とする画像形成装置。 - 前記制御手段は、画像の境界領域に対しては、過剰なトナーの付着を避けるために内側領域よりも低い露光出力となるように前記露光手段を制御し、
前記設定モードは、前記所定の静電像の検出結果に基づいて、前記境界領域に適用される露光出力を設定することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。 - 前記制御手段は、画像の境界領域を多く含む画像に対しては、トナーの付着量の減少を避けるために前記境界領域を含まない画像よりも高い露光出力となるように前記露光手段を制御し、
前記設定モードは、前記所定の静電像の検出結果に基づいて、静電像の境界領域を多く含む画像に適用される露光出力を設定することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。 - 前記検出手段は、絶縁性のフィルムと、前記フィルムに密着して形成された薄膜電極層と、前記薄膜電極層が内側となるように前記フィルムを折り返して形成された湾曲部とを有し、前記湾曲部を前記感光体に接触させて前記感光体の表面電位を検出することを特徴とする請求項1乃至3いずれか1項記載の画像形成装置。
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- 2008-09-03 JP JP2008225398A patent/JP2010060757A/ja active Pending
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