JP2010060143A - 扉のシール構造及びこれを備えた冷蔵庫 - Google Patents

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Abstract

【課題】観音開き式の扉を確実にシールしつつ、扉を開く際の共引きを防止することのできる扉のシール構造及びこれを備えた冷蔵庫の提供。
【解決手段】冷蔵庫の開口部1aを観音開き式の扉2、3で開閉自在に覆う。扉2、3の先端面にパッキン82、83を設ける。パッキン82、83の接触面86を互いに接触させてシールする。自由状態における接触面86の横断面形状を凹状かつ傾斜状に設定する。接触面86を変形させながら必要十分な接触圧で互いに密着させる。扉2、3を開く際、接触面86の前後の突出部分が他方の接触面86の突出部分から外れる。一気に接触圧が低下して扉2、3の共引きを防止する。
【選択図】図3

Description

本発明は、観音開き式の扉をその閉状態でシールするためのシール構造及びこれを備えた冷蔵庫に関するものである。
一般に、冷蔵庫の貯蔵室を開閉する観音開き式の扉には、貯蔵室を密閉して冷蔵庫の冷却効率の低下を防止するよう、その閉状態でシールするためのシール構造が設けられている。このシール構造としては、両扉の互いに対向する先端面に、磁石を内装したパッキンを設け、扉を閉じた際に両側の磁石を引き付け合わせてパッキン同士を密着させるようにした構造を例示できる(例えば特許文献1)。
特開平11−63799号公報
ところが、特許文献1のようなシール構造は、磁力によって両扉のパッキン同士が十分な面積かつ接触圧で密着しているので、貯蔵室を確実に密閉することができるものの、一方の扉を開いたときに他方の扉も開くという共引きを生じやすい。また、パッキン同士のクリアランスを広げて共引きを防止することも考えられるが、この場合、扉のシールが不十分になりやすく、貯蔵室の密閉不良を生じるおそれがある。
本発明は、観音開き式の扉を確実にシールしつつ、扉を開く際の共引きを防止することのできる扉のシール構造及びこれを備えた冷蔵庫の提供を目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係る扉のシール構造は、開口部を開閉する観音開き式の一対の扉をその閉状態でシールするためのものであり、閉状態で互いに対向する両扉の先端面の少なくとも一方に、他方の扉側に接触してシールするパッキンを設け、このパッキンのうち、他方の扉側に接触する接触面を、自由状態において前方が後方よりも扉の基端側に後退するよう、扉の前後方向に対して傾斜させて設定したものである。
上記構成によれば、パッキンの接触面が、自由状態において前方が後方よりも扉の基端側に後退するように傾斜しているので、扉の開放時にパッキンの接触面では、前方の突出する部分から外れるので、その分、接触圧を低下させることができ、扉を開く際の共引きを防止することができる。これにより、パッキンの接触面を全体として必要十分な面積かつ接触圧で密着させてシールしつつ、扉を開く際の共引きを防止することができる。なお、パッキンは、いずれか一方の扉にのみ設けることもできるが、両方の扉に設ければ、より好適である。
さらに、パッキンの接触面の自由状態における横断面形状を凹状に設定することができる。
上記構成によると、パッキンの接触面の自由状態における横断面形状を凹状に設定する場合、パッキンの接触面の前後の突出する部分における接触圧を十分に高めて確実に密着させ、その分、面積の広い中央の凹んだ部分における接触圧を抑えることができる。また、前後の突出する部分から徐々に中央の凹んだ部分に至るように接触させるので、その接触圧を必要十分な大きさに設定しやすく、接触面を平面状に形成する場合のように、接触面を確実に密着させてシールするために接触圧を過度に大きくする必要がない。しかも、凹状の接触面は、扉をわずかに開放移動させるだけで、前側の突出部分が他方の接触面から外れるので、一気に接触圧を低下させることができる。これにより、扉を開く際の共引きをより確実に防止することができる。
また、パッキンの接触面よりも前方に、扉の閉状態で他方の扉との隙間を覆って空気の流れを遮断する空気遮断ヒレを突設することができる。
上記構成によると、遮断ヒレで外気を遮断することによって扉の断熱効果などを高めることができ、しかも、遮断ヒレによって扉間の隙間を覆い隠すことができる。
また、パッキンの接触面の内側に着磁体を設けることができる。
上記構成によると、扉を閉じた際にその着磁体の磁力によって、接触面同士を引き付け合わせて密着させることができる。
また、扉の前後方向におけるパッキンの全幅に渡って断熱空気層を形成すれば、その分、断熱効果を高めることができる。
また、扉の閉止密閉状態を保持する保持機構を設け、この保持機構として、一対の扉のうちの一方を開く際に、他方から離れる方向にスライド移動しながら回動させるカム機構を有する構成を採用することができる。
上記構成によると、扉を開く際の共引きをより確実に防止することができ、その分、パッキンのシール性を高く設定することができる。
具体的には、カム機構に、扉の枢支軸となるヒンジピンと、ヒンジピンを相対的にスライド案内する長孔と、ヒンジピンと同心の円弧上に配されたリブと、リブに摺接する摺接面を有するカム部材とを備え、扉を閉じている際には、ヒンジピンが長孔の第1係止位置に配されるとともにリブは摺接面に摺接しない位置に配され、扉の一方を開く際には、ヒンジピンが相対的に長孔にスライド案内されて扉の一方がスライド移動し、ヒンジピンが長孔の第2係止位置に配されるようにする。また、このカム機構は扉のヒンジ部の少なくとも一方に設ければよい。
また、本発明は、貯蔵室の開口部を開閉する観音開き式の扉を備え、この扉に上記のシール構造を設けた冷蔵庫を提供する。これにより、冷蔵庫の観音開き式の扉を確実にシールして冷却効率の低下を防止しつつ、その扉を開く際の共引きを防止することができる。
以上のとおり、本発明によると、パッキンの接触面を扉の前後方向に対して傾斜させるので、扉を開放移動させることによって接触圧を低下させることができ、扉を開く際の共引きを防止することができる。これにより、パッキンの接触面を全体として必要十分な面積かつ接触圧で密着させてシールしつつ、扉を開く際の共引きを防止することができる。
また、パッキンの接触面を凹状に設定することによっても、必要十分な面積かつ接触圧で接触面を密着させてシールしつつ、扉を開く際の共引きを防止することができる。さらに、パッキンの接触面よりも前方に空気遮断ヒレを突設することにより、外気を遮断して扉の断熱効果などを高めると共に、扉間の隙間を覆い隠すことができる。
これにより、観音開き式の扉を開く際の共引きを防止しつつ確実にシールすることができ、例えば冷蔵庫の貯蔵室を密閉して、その冷却効率の低下を防止することができる。
以下、本発明に係る扉のシール構造及びこれを備えた冷蔵庫を実施するための最良の形態について、図面を用いて説明する。図1は本発明に係る扉のシール構造を備えた冷蔵庫の要部を示す上面断面図、図2は図1における両扉の境界部分を示す拡大断面図、図3はパッキン及び取付具の断面図、図4はパッキンの断面図である。
図1に示すように、本実施形態の冷蔵庫は、その筐体1に形成された貯蔵室の開口部1aを開閉する観音開き式の一対の扉2、3をその閉状態でシールするためのシール構造81を備えている。開口部1aは、図1に示すように、扉2,3の合わせ面に仕切壁のない形態となっている。したがって、この開口部1aを開閉する観音開き式の扉2,3の接合面には、気密性を担保するシール構造が必要となる。そこで、本実施形態では、図1及び図2に示すように、閉状態で互いに対向する両扉2、3の先端面に、他方に接触してシールする一対の対向パッキン82、83を設けたシール構造81が採用される。
各対向パッキン82、83は、図4に示すように、例えば押出し成型により、扉2、3の前後方向における全幅に渡って断熱空気層84を有するよう断面中空状に形成される。また、パッキン82,83の断面形状は、後端部が前端部よりもパッキン82,83の対向する方向で幅広の台形形状ないし三角形状に形成される。
断熱空気層84は、2つの仕切壁84a、84bにより前後方向で3つの断熱空気室84,84,84に区分けされ、そのうちの後方の断熱空気層84の先端側位置にL字形の仕切壁84cとパッキンの外周壁とにより囲まれた断面長方形の着磁保持部89が形成される。着磁保持部89の構成については後述する。
対向パッキン82、83の外周壁は、その裏側がほぼフラットな状態に形成され、その前端付近及び後端付近からパッキン82,83の対向する方向で扉側に突出する傘状の取付足85が形成される。この取付足85は、図3に示すように、扉2,3の取付具90、91の被係合部92に係合することにより、この取付具90、91を介して、扉2、3の先端面を構成する側板51、52の後部付近に取り付けられる。
取付具90、91は、例えば硬質及び軟質の塩化ビニルを同時押出し成型してなり、その係止爪93、93aを係止することによって側板51、52に取り付けられると共に、後端に形成されたヒレ94と中央及び前端に形成されたヒレ94a、94bにより、扉2、3との間をシールするようになっている。ヒレ94及びヒレ94a、94bの部分が軟質とされ、他の部分が硬質とされる。
また、対向パッキン82、83の表側では、パッキン82,83が対向する方向で、後端部が幅広く形成され、前端部側に向かうに従って幅狭く形成される。さらに、対向パッキン82,83の表側の後端部には、着磁保持部89の表側で、対向パッキン82,83が互いに接触してシールする接触面86が形成される。また、この接触面86よりも前方の表側には、扉2、3の閉状態で他方のパッキン82、83との隙間を覆って空気の流れを遮断する空気遮断ヒレ87が突設されている。
前記接触面86は、その自由状態における横断面形状が前後方向で中央部が最も凹んだ凹状に設定されている。これによって、扉開放時に扉2、3の一方をわずかに開くことにより、他方の接触面86から外れやすいようにしている。しかも、接触面86は、その自由状態において前方が後方よりも扉2、3の基端側に後退するよう、扉2、3の前後方向に対して傾斜して設定され、扉開放時に扉2、3の一方をわずかに開くことにより、他方の接触面86からいっそう外れやすいようにしている。
接触面86の内側は、磁石などの着磁体88を収容する着磁保持部89となっている。着磁保持部89には、例えば、可撓性の磁石などの着磁体88を収容される。可撓性の磁石は、例えば、軟質ゴムに粒状の強磁性体を練りこんだ後、着磁して形成することができる。その断面形状は、着磁保持部89の断面形状に合わせて断面長方形に形成される。着磁体88は、自由状態における凹状の接触面86の断面形状を変形させない程度で、パッキン82,83の外周壁の裏面に接触するか、あるいはわずかに離れた状態で収容される。
対向パッキン82,83のうち、一方には着磁体88を収容し、他方の着磁保持部89には、同じく着磁体88を収容するか、あるいは着磁されていない磁性体を収容することができる。これにより、一対のパッキン82、83の接触面86が磁力で互いに引き合うようになり、シールすることができる。この場合、凹状かつ傾斜状の接触面86は、変形して必要十分な接触圧で互いに密着し、左扉2と右扉3との境界の密閉状態を確実に保持することができる。
凹状又は傾斜状の接触面86は、扉2、3の一方をわずかに開くことにより、前後の突出部分が他方の接触面86の突出部分から外れ、一気に接触圧が低下する。これにより、扉2、3の閉状態では、パッキン82、83の接触面86が全体として必要十分な面積かつ接触圧で密着して確実にシールし、扉2、3を開く際には、その共引きを防止して他方の扉2、3が同時に開くのを阻止する。
空気遮断ヒレ87の付け根は他の部位よりも薄く形成され、わずかな力で揺動することにより、扉2、3を開閉する際の引っ掛かりが防止される。
図1に示すように、扉2、3は、そのうちの左扉2が開口部1aの中程を境に左側を覆うと共に、右扉3が開口部1aの中程を境に右側を覆っている。この左扉2及び右扉3は、前面を覆うドアプレート49、50と背面側に設けられるドアバック47、48とを、上下に配されるドアキャップ55、56(図5参照)及び側面に配される側板51、52(図2参照)により連結して周囲を塞がれる。
そして、ドアプレート49(50)と側板51(52)と上下のドアキャップ55(56)とを組み立てて、これを発泡金型に入れ、ウレタン注入後、ドアバック47(48)をドアプレート49(50)、側板51(52)及び上下のドアキャップ55(56)の組品に被せて、発泡金型で蓋をし、金型内で加熱発泡させ、その発泡ウレタン樹脂2a、3aが硬化した後、発泡金型から扉2、3を取り出すことにより、内側に発泡ウレタン樹脂2a、3aが充填される。これにより、本体部の内部を断熱隔離する。
発泡ウレタン樹脂等の断熱材の周囲をドアプレート49、50、ドアバック47、48、ドアキャップ55、56及び側板51、52により覆って左扉2及び右扉3を形成してもよい。また、左扉2及び右扉3は回動軸により枢支され、側板51、52に係合させることによって先端部の前面側に設けられた把手4、5を把持して両側に開くようになっている。
図5は扉の上部を示す背面図で、90度左回転させて図示しており、図の左側が上方を表わす。図5において、ドアバック47の一方の側方、上方、下方及び他方の側方には、それぞれパッキン41、42、42、82が取り付けられる。側方パッキン41および上下パッキン42は、その端部が斜めに切断され、互いに熱溶着されて一体化される。さらに、上下パッキン42の端面には対向パッキン82の端部が熱溶着されている。また、図示しないが、ドアバック47の下方にもパッキンが取り付けられ、パッキン41、42、82を上下方向に反転した状態になっている。
同様に、ドアバック48の周囲にも側方パッキン44、上下パッキン45、対向パッキン83及び下方のパッキン(不図示)が一体化して取り付けられる。また、側方パッキン41、44には、磁石及びヒレが設けられ、筐体1に確実に密着すると共にシールするようになっている。
左扉2及び右扉3を閉じると、ドアバック47、48が開口部1a(図1参照)の内部に侵入して、パッキン41、42、44、45及びパッキン82、83の上下の一部が筐体1(図1参照)の開口部1aの周縁の前端面と当接する。これにより、左扉2及び右扉3と本体側の筐体1との密閉状態が保持されるようになっている。
扉2、3は、その少なくとも一方の扉に、その開放動作で互いの扉が外側に離れるように移動してから回動する機構が設けられている。この回動機構は、扉の回動中心軸(ヒンジピン23)を長孔状の軸受け孔(ヒンジ溝9)にスライド自在でかつ回動自在に軸受するカム機構を備えている。以下、主として、そのカム機構について説明する。
図6は左扉の下部に配されるカム機構を示す正面断面図である。このカム機構は、左扉2に取付けられるスライドカム部材8と、筐体1に取付けられるロックカム組品32とから成っている。なお、左扉2の上部には同様の構造のカム機構が設けられる。
スライドカム部材8は樹脂成形品から成っており、上面にボス8a、8bが突設され、貫通するネジ孔8c、8dが形成されている。ボス8a、8bを左扉2の下面に設けられたボス孔(不図示)に嵌合し、ネジ孔8c、8dに図中、下方からタッピングネジ(不図示)を挿通してスライドカム部材8が左扉2の下面に取付けられている。また、スライドカム部材8には、後述するロック部材16を位置決めするボス孔8fが形成されている。
ロックカム組品32はロックカム部材18とアングル22とがネジ31により一体化され、スライドカム部材8と係合してカム機構を構成する。ロックカム部材18は樹脂成形品から成り、アングル22は左扉2の重量を支えるため金属部材から成っている。
アングル22には3箇所にネジ孔22aが形成されている。ネジ孔22aにタッピングネジを挿通してアングル22、即ちロックカム組品32が筐体1に取付けられている。また、例えばステンレス鋼等の金属から成るヒンジピン23、ロックピン24及びガイドピン25がそれぞれかしめてアングル22に一体化されている。ヒンジピン23、ロックピン24、ガイドピン25はロックカム部材18をそれぞれ貫通し、図中、上方に突出している。
カム機構の平面図を図7(a)に示す。同図において、左扉2を閉じた状態を示しており、ロックカム組品32は破線で示し、スライドカム部材8を実線で示している。また、図7(b)は図7(a)のA−A断面図である。スライドカム部材8には、ロック部材16が取付けられている。ロック部材16は樹脂成形品から成り、上面に突設されたボス(不図示)をスライドカム部材8の下面に設けられたボス孔8f(図6参照)に嵌合し、タッピングネジ(不図示)等により取付けられている。
ロック部材16の一端にはアーム部16aが延設されている。アーム部16aは、延びた方向に略垂直な方向の荷重に対して弾性変形するようになっている。アーム部16aの端部にはロックピン24と係合する係合部16bが設けられている。ロック部材16の他端には、ロックカム部材18に形成されたストッパ18eに当接して左扉2の回動を規制する規制部16cが設けられている。
スライドカム部材8の一端の下面には、長孔状のヒンジ溝9が凹設されている。ヒンジ溝9の周囲には、後述する第2係止位置の時のヒンジピン23を中心とした円筒面10dを有するボス10が突設されている。
ヒンジピン23の底部には台座部23aが同心に形成されている。ボス10には、底面10bに対して下方に突出する段差部10a(図7(a)の斜線部)が形成されている。段差部10aの内周側は台座部23aに沿って形成され、台座部23aの周部に接して面取りされている。
そして、ボス10の底面10bが台座部23a上に乗っている。台座部23aの周囲のロックカム部材18には、段差部10aとの干渉を回避する凹部18fが凹設されている。尚、面取りにより段差部10aが台座部23aに容易に乗り上げ可能になっており、面取りを台座部23aの上面に形成してもよい。また、図7(a)において、面取りの内周縁は台座部23aの外形線と重なるため省いている。
ヒンジピン23の周囲のロックカム部材18には、ヒンジピン23と同心の円筒状の凹面19aを有するリブ19が突設されている。ヒンジ溝9よりも開口部1a(図1参照)の中央側にはL字型に屈曲したガイド溝11が凹設されている。ガイド溝11は後述する第1係止位置から第2係止位置までガイドピン25を相対的に案内する案内部11aと、第2係止位置でガイドピン25を相対的に逃がす逃げ部11bとを有している。
次に、左扉2の下部のカム機構の動作について図7〜図9を参照して説明する。他のカム機構についても同様の動作が行われる。尚、図8、図9において(a)は平面図を示し、(b)は図7(b)と同様にヒンジ溝9の長手方向の断面図を示している。また、図8(a)、図9(a)において、段差部10aの面取りの内周縁は図が複雑になるため省いている。
前述のように図7(a)、(b)は、左扉2が閉じた状態を示している。左扉2の閉止状態ではヒンジ溝9の一端にヒンジピン23が係止され、カム機構は第1係止位置をとる。第1係止位置では、ボス10の底面10bがヒンジピン23の台座部23a上に乗っており、段差部10aは台座部23aよりも下方に配される。ガイドピン25はガイド溝11の案内部11aの端部に配置されている。
また、左扉2の閉止状態の時、ヒンジ溝9とヒンジピン23との間またはガイド溝11の案内部11aとガイドピン25との間に移動方向の隙間を設けると、ヒンジピン23やガイドピン25等の寸法ばらつきを吸収することができ、第1係止位置で確実に閉止することができる。
ロックピン24はロック部材16の係合部16bと係合し、アーム部16aの弾性力により左扉2が右扉3(図1参照)の方向に付勢されている。これにより、左扉2と右扉3との間の所定量の隙間を確実に保持するとともに、ヒンジピン25とヒンジ溝9との隙間による左扉2の遊動を防止する。従って、カム機構が第1係止位置の状態を保持するとともに左扉2の閉止密閉状態をより確実にしている。
把手4(図1参照)を把持して左扉2が開き始めると、図8(a)、(b)に示すように、ボス10の段差部10aの内周側の面取り部分が台座部23aに乗り上げ始め左扉2が上昇を開始する。ロック部材16のアーム部16aは弾性変形して、ロックピン24と係合部16bとの係合解除が開始される。この状態で把手4を離すと、アーム部16aの弾性力により左扉2は図7の状態に戻る。従って、ロック部材16とロックピン24により自閉機能を有し、左扉2を確実に閉じることができるようになっている。
左扉2は開成に伴い回動するが、ガイド溝11の案内部11aがガイドピン25と係合するため、第1係止位置のままではヒンジピン23を軸として回動することができない。このため、相対的にヒンジピン23がヒンジ溝9に案内されるとともにガイドピン25が案内部11aに案内されて、左扉2は回動しながら図8(a)において左下方向の右扉3から離れる方向にスライド移動する。
更に左扉2を開くと、図9(a)、(b)に示すようにヒンジピン23がヒンジ溝9の他端に係止され、カム機構は第2係止位置をとる。この時、ボス10の段差部10aは台座部23aに完全に乗り上げる。また、ボス10の円筒面10dがリブ19の凹面19aに沿って摺動を開始する。これにより、カム機構は第2係止位置の状態を保持し、左扉2がヒンジピン23を軸として回動するようになっている。
また、ガイド溝11の逃げ部11bは第2係止位置でのヒンジピン23を中心とする円弧状に形成され、ガイドピン25を相対的に逃がすとともに左扉2の回動を案内し、第2係止位置を確実に保持するようになっている。
更に左扉2を開くと、ボス10の円筒面10dがリブ19の凹面19aに沿って摺動を継続し、ロックピン24とロック部材16との係合が解除されてガイドピン25がガイド溝11から離れる。これにより左扉2がさらに開放される。尚、リブ19の凹面19aはボス10を案内できればよいので、リブ19に替えて例えばヒンジピン23と同心の円弧上に配列された複数のピン等によって形成してもよい。左扉2の開放を続けると、ロック部材16の規制部16cがロックカム部材18のストッパ18eと当接し、左扉2の開成の範囲が規制される。
また、以上に説明した図7〜図9に示す動作と逆の動作により左扉2を閉じることができる。この時、カム機構が第1係止位置になると、ボス10の段差部10aがヒンジピン23の台座部23aから降下して、左扉2の閉止状態が保持される。
扉2の開放動作によって対向パッキン82は、対向パッキン83から外側に離れるように移動するため、扉2の開放による対向パッキン82、83同士の擦れの可能性が少なくなり、パッキン82、83の摩耗による破損や他の扉の共引きの可能性も少なくなり、扉3が同時に開くことを防止することができる。
さらに、上記構成によれば、パッキン82、83の接触面86を自由状態において凹状に設定していることにより、また、傾斜状に設定していることにより、この接触面86を着磁体88の磁力によって変形させながら必要十分な接触圧で互いに密着させることができ、扉2、3の間をシールして冷蔵庫の冷却効率を高めることができる。しかも、扉2、3を開く際には、接触面86の前後の突出部分が他方の接触面86の突出部分から外れることにより、一気に接触圧が低下するので、扉2、3の共引きを防止して、他方の扉2、3が同時に開くのを阻止することができる。
また、対向パッキン82、83の空気遮断ヒレ87が他方の対向パッキン82、83との隙間を覆って空気の流れを遮断するので、扉2、3間の断熱性を高めると共に、対向パッキン82、83の接触面86を覆い隠すことができる。
なお、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内において、適宜変更を加えることができる。例えば、図10に示すように、対向パッキン82、83は、着磁保持部89と前方の取付足85とを直線状に結ぶように、断熱空気層84内に傾斜壁95を設けることもできる。
これにより、一方の扉2、3を開放する際に、着磁保持部89が傾斜壁95によって斜め方向に引っ張られるので、着磁体88の前方側が先に離れることになり、一気に着磁力を減少させて共引きを防止することができる。
また、パッキン82、83を設けることにより、カム機構を設けることなく、扉2、3を単に回転自在に支持した構造を採用することができ、この場合にも、扉2、3の共引きを防止することができる。
本発明に係る扉のシール構造を備えた冷蔵庫の要部を示す上面断面図 図1における両扉の境界部分を示す拡大断面図 パッキン及び取付具の断面図 パッキンの断面図 扉の上部を示す背面図 左扉の下部に配されるカム機構を示す正面断面図 カム機構の動作を示す図 カム機構の動作を示す図 カム機構の動作を示す図 パッキンの別の形態を示す断面図
符号の説明
1 筐体
1a 開口部
2 左扉
3 右扉
4、5 把手
8 スライドカム部材
9 ヒンジ溝
10 ボス
11 ガイド溝
16 ロック部材
18 ロックカム部材
19 リブ
23 ヒンジピン
24 ロックピン
25 ガイドピン
32 ロックカム組品
47、48 ドアバック
49、50 ドアプレート
51、52 側面板
55、56 ドアキャップ
81 シール構造
82、83 パッキン
84 断熱空気層
86 接触面
87 空気遮断ヒレ
88 着磁体

Claims (8)

  1. 開口部を開閉する観音開き式の一対の扉をその閉状態でシールするためのシール構造であって、
    閉状態で互いに対向する両扉の先端面の少なくとも一方に、他方の扉側に接触してシールするパッキンが設けられ、該パッキンのうちの他方の扉側に接触する接触面は、自由状態において前方が後方よりも扉の基端側に後退するよう、扉の前後方向に対して傾斜して設定されたことを特徴とする扉のシール構造。
  2. 前記パッキンの前記接触面の自由状態における横断面形状が凹状に設定されたことを特徴とする請求項1に記載の扉のシール構造。
  3. 前記パッキンの前記接触面よりも前方に、扉の閉状態で他方の扉との隙間を覆って空気の流れを遮断する空気遮断ヒレが突設されたことを特徴とする請求項1又は2に記載の扉のシール構造。
  4. 前記パッキンは、前記接触面の内側に着磁体が設けられたことを特徴とする請求項1、2又は3に記載の扉のシール構造。
  5. 前記パッキンは、扉の前後方向における全幅に渡って断熱空気層が形成されたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の扉のシール構造。
  6. 前記扉の閉止密閉状態を保持する保持機構が設けられ、該保持機構は、一対の扉のうちの一方を開く際に、他方から離れる方向にスライド移動しながら回動させるカム機構を有し、
    前記カム機構は、前記扉の枢支軸となるヒンジピンと、該ヒンジピンを相対的にスライド案内する長孔と、前記ヒンジピンと同心の円弧上に配されたリブと、該リブに摺接する摺接面を有するカム部材とを備え、
    前記扉を閉じている際には、前記ヒンジピンが前記長孔の第1係止位置に配されるとともに前記リブは前記摺接面に摺接しない位置に配され、
    前記扉の一方を開く際には、前記ヒンジピンが相対的に前記長孔にスライド案内されて前記扉の一方がスライド移動し、前記ヒンジピンが前記長孔の第2係止位置に配されることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の扉のシール構造。
  7. 前記カム機構は前記扉のヒンジ部の少なくとも一方に設けられたことを特徴とする請求項6に記載の扉のシール構造。
  8. 貯蔵室の開口部を開閉する観音開き式の扉を備え、該扉に請求項1〜7のいずれかに記載の扉のシール構造が設けられたことを特徴とする冷蔵庫。
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