JP2010059652A - 洗い場床 - Google Patents

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Abstract

【課題】コーキング剤が表面材の溝部内に入り込まないようにマスキングテープを表面材の端部に隙間なく貼着することが可能な洗い場床を提供する。
【解決手段】基材と、基材より浴室内側に積層された表面材と、表面材の端部と基材との間に設けられコーキング剤が充填されたコーキング部と、を備えた浴室用の洗い場床であって、表面材の浴室内側の表面には、滑り止め用の凸部と、凸部の間に形成された溝部とが全体にわたって形成されており、表面材の端部には、コーキング部にコーキング剤を注入する際に、コーキング部と隣接する表面材の溝部内にコーキング剤が入り込むことを防止するマスキングテープを貼着する傾斜部が形成されている。
【選択図】図4

Description

本発明は、浴室の洗い場床に関し、特に基材と表面材とを積層した構造を有する洗い場床に関する。
一般に、ユニットバスの洗い場床は、FRP(Fiber Reinforced Plastic)からなる1層の構造体で構成されていた。また、特許文献1には、基材に対して表面材を積層した複層構造の洗い場床が開示されている。このような複数の部材を積層した構造では、積層構造部分の端部から層間内部への湯水の浸入を防ぐため、もしくは継ぎ目の隙間を隠すため、積層部分の端部にコーキング処理(コーキング剤の充填)を行う必要がある。
また、一般に、洗い場床表面には、滑り止めや排水のための細かい凹凸が全体にわたって形成されている(例えば、特許文献2)。
特開2002−17598号公報 特許第3508761号公報
積層構造の洗い場床においては表面材の表面に滑り止めや排水のための細かい凹凸が形成されることになるが、表面材表面の全体にわたって凹凸が形成されていると、表面材の端部に、コーキング処理の際にマスキングテープを貼着するするのに十分な平面部が存在しないことになる。したがって、コーキング用のマスキングテープを表面材の端部に隙間なく貼着させることができず、表面材表面の凹部(溝部)内にコーキング剤が入り込んでしまい、見た目(意匠性)を損ねてしまうことが懸念される。
本発明は上述の問題に鑑みてなされ、コーキング剤が表面材の溝部内に入り込まないようにマスキングテープを表面材の端部に隙間なく貼着することが可能な洗い場床を提供することを目的とする。
本発明の一態様によれば、基材と、前記基材より浴室内側に積層された表面材と、前記表面材の端部と前記基材との間に設けられ、コーキング剤が充填されたコーキング部と、を備えた浴室用の洗い場床であって、前記表面材の浴室内側の表面には、滑り止め用の凸部と、前記凸部の間に形成された溝部とが全体にわたって形成されており、前記表面材の端部には、前記コーキング部に前記コーキング剤を注入する際に、前記コーキング部と隣接する前記表面材の前記溝部内に前記コーキング剤が入り込むことを防止するマスキングテープを貼着する傾斜部が形成されていることを特徴とする洗い場床が提供される。
本発明によれば、コーキング剤が表面材の溝部内に入り込まないようにマスキングテープを表面材の端部に隙間なく貼着することが可能な洗い場床が提供される。
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る洗い場床は基材1と表面材2とを備え、表面材2は基材1よりも浴室内側に積層される。
基材1は、浴室外に湯水を漏出させない防水性、および浴室壁パネル、天井パネル、風呂椅子、洗面器などの静荷重や、使用者の動荷重を受けても撓んだり破損しない十分な強度を有し、例えば、FRP(Fiber Reinforced Plastic)等の熱硬化性樹脂から形成されている。あるいは、基材1は、ポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂に補強を施したものから形成されていてもよい。
基材1は、全体としては浅底のパン形状に形成されている。基材1は、排水口部5と、排水口部5の上端に向かって下り傾斜面となっている表面部4と、表面部4の最外縁部で上方に立ち上がり形成された水返し壁部3とを有する。
排水口部5は、底部に形成され図示しない排水トラップに通じる開口6と、この開口6の外周に筒状に立ち上がり形成された立ち面7とを有する凹状に形成されている。
表面材2の表面は浴室内に露出し、使用者が触れたり、湯水にさらされる面となる。したがって、表面材2は、耐水性、耐薬品性、耐摩耗性、耐衝撃性など、浴室の一般的な使用に際し洗い場床表面に要求される基本性能を満足する材料から形成されている。そのような表面材2の材料としては、基材1に用いるFRPよりも薄く且つ軟質なFRP、PVC(塩化ビニル)、ポリプロピレン、ポリエチレン、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン・ポリエステル・オレフィン・アクリル系の各種エラストマー、EVA、EPDM、シリコンゴムなどのゴム(硬質)系、あるいはこれらを十分な耐久性が期待できる程度の硬さに調整したもの、あるいはこれらをベースに充填材や強化材を加えた複合材料などが、一例として挙げられる。
表面材2は、基材1における表面部4上に積層される。表面材2が基材1の表面部4上に積層された状態で排水口部5が表面材2から露出するように、表面材2には切り欠き13が形成されている。
基材1の表面部4には排水口部5が最も低くなるように排水勾配がつけられ、この表面部4上に表面材2が積層されると、表面部4の排水勾配に沿った排水勾配が表面材2にも形成される。表面材2上の水(湯も含む)はその排水勾配に沿って流れ、排水口部5に集水される。さらに、本実施形態では、排水勾配と合わせて排水を促進するための排水溝を表面材2の表面に設けている。
図2に示すように、表面材2の表面には、複数の凸部11と複数の溝部12とが形成されている。なお、図2には表面材2の表面の一部分のみを示すが、凸部11及び溝部12は表面材2の表面全体にわたって形成されている。
凸部11は滑り止めの機能を担い、例えば図2に示す例では凸部11の表面を波形に形成することで、さらに滑り止め効果を高めている。
溝部12は、凸部11の周囲を囲むように例えば格子状に複数形成され、それぞれの溝部12は途切れることなく連続している。これら溝部12を介して、凸部11の間に流れ込んだ水を排水口部5まで途切れることなくゆっくりと排水することが可能となっている。なお、溝部12の平面レイアウトは格子状に限らず、凸部11の間に流れ込んだ水を排水口部5まで途切れることなくゆっくりと排水することが可能なレイアウトであればよい。
以上説明した基材1と表面材2との積層構造を得るにあたっては、それらを一体に熱間成型することにより相互に溶着固定させてもよいし(インサート及びラミネート成形)、基材1の成型加工後に、その表面部4に対して表面材2を例えば両面テープ等の接着剤を用いて貼り付けてもよい。
次に、図3は、本発明の実施形態に係る洗い場床における排水口部5が設けられた部分の拡大斜視図を示す。
図4は図3におけるA−A断面図を示し、図5は図3におけるB−B断面図(溝部12に沿って断面した図)を示す。
図4、5に示すように、表面材2が積層された基材1の表面部4から排水口部5の立ち面7の上端7aへと続くコーナー部分には段差が形成され、ここにはコーキング剤32が充填されたコーキング部31が設けられる。
表面材2において排水口部5を囲むようにして排水口部5側に形成された端部には、排水口部5に向かって下り勾配の傾斜部14が設けられている。この傾斜部14には、後述するように、コーキング部31にコーキング剤32を注入する際に、コーキング部31と隣接する表面材2端部の溝部12内にコーキング剤32が入り込むことを防止するマスキングテープが貼着される。
図3に示すように、傾斜部14は、溝部12の下方部分だけでなく、凸部11にまでわたって形成されている。傾斜部14の傾斜方向長さは、表面材2の厚みよりも長い。また、傾斜部14の表面は凹凸のない平面状に形成されているため、隙間なくマスキングテープを傾斜部14に貼着することができる。
表面材2において傾斜部14が形成された排水口部5側の端部は、基材1の表面部4上からコーキング部31にまではみ出し、コーキング部31を上から覆っている。コーキング部31には、防水性を有する例えばシリコン等のコーキング剤32が充填される。これにより、表面材2における排水口部5側の端部と、その下の基材1との間の隙間が水密に封止され、表面材2と基材1との層間に湯水が浸入することを防げる。
また、基材1の表面部4におけるコーキング部31近傍には、両面テープ33が貼着され、この両面テープ33によって表面材2の端部近傍と基材1とが接着固定されている。この両面テープ33で接着された部分よりもさらに排水口部5から離れた部分の表面部4には接着剤充填用の溝が形成され、その溝内に接着剤34が充填され表面材2と基材1とを接着固定している。
なお、通常、使用時には排水口部5は着脱自在な蓋41で覆われる。
図6は、表面材2端部の傾斜部14に、マスキングテープ(クロスハッチングで示す)50が貼着された状態を示す模式図である。
マスキングテープ50は、コーキング部31にコーキング剤32が注入される前に、傾斜部14に貼着される。本実施形態では、表面材2の端部に傾斜部14を形成することで、溝部12を表面材2の端部近傍まで形成した場合であっても、コーキング部31との境界付近に凹凸のない平面を形成することができ、その部分にマスキングテープ50を隙間なく貼着することが可能となる。
これにより、コーキング部31にコーキング剤32を注入する際に、コーキング剤32がマスキングテープ貼着面の隙間を介して溝部12側に流動して溝部12内に入り込むことを回避でき、見た目(意匠性)を損ねない。
傾斜部14は、少なくとも溝部12の底部よりも下方の排水口部5周り(図7において斜線で示す部分14a)に形成されればマスキングテープ50を隙間なく貼着可能な面は確保できるが、本実施形態のように、傾斜部14を凸部11の上面側にまでわたって形成することで、マスキングテープ50の貼着面を広く確保でき、貼ったり、剥がすといった作業性が向上する。
なお、表面材2表面の端部に、凹凸(凸部11及び溝部12)のない平面部を予め設けておけば、その平面部にマスキングテープを隙間なく貼着させることは可能である。この場合、表面材2に凹凸(凸部11及び溝部12)を形成するための金型に、表面材端部に形成する平面部に対応した型パターン(平面部)も形成しておく必要がある。
しかし、生産性を考えると、表面材としては、比較的大きなサイズで用意したものに対して一括して金型で凹凸(凸部11及び溝部12)を形成してから、必要に応じて所望のサイズに切り分けるのが一般的である。したがって、商品仕様によって、またどこで切り分けるかによって、表面材の端部となるべき部分が変わってくる。これに対応するため、多数種の金型を用意するのはコスト高をまねく。
また、表面材2表面において排水口部5周りの端部に、溝部12のない(途切れた)平面部が形成されていると、溝部12から排水口部5への水の流下(排水性)を損ねることも懸念される。
これに対して、本実施形態では、比較的サイズの大きな状態で表面材2を一括して金型成型により凹凸(凸部11及び溝部12)を表面全体にわたって形成した後、所望のサイズに切り分け、その切り分けられた表面材2についてその端部を斜めに削る等の加工を施すことで上記傾斜部14を形成する。これにより、金型としては単に凹凸(凸部11及び溝部12)に対応した型パターンが形成されたもの1種類だけを用意すればよく、また、溝部12の下流端から排水口部5の立ち面7にかけては下り傾斜となるため、溝部12を流れてきた水を排水口部5へと流下させやすく排水性も損ねない。
傾斜部14の、基材1表面に対する傾斜角度θ(図4)が小さすぎると傾斜面が長くなり、見栄えが悪くなったり、端部を斜めに加工する作業量が増える。逆に、傾斜角度θが大きすぎると、傾斜面が狭くなりマスキングテープを安定して貼れない、もしくは貼りづらくなる。そこで、本発明者等が検討したところ、傾斜部14の基材1表面に対する傾斜角度θは、10〜30度が望ましいとの知見を得るに至った。
なお、コーキング部31にコーキング剤32を注入し、マスキングテープ50を傾斜部14から剥がした後、図3に示すように、表面材2に形成された溝部12と連続する切り欠き溝21をコーキング部31に形成してもよい。これにより、溝部12から排水口部5への水の流下を促進させることができ、排水口部5周りの排水性を高めることができる。もちろん、切り欠き溝21は、排水口部5の立ち面7にまで連続して形成してもよい。
洗い場床表面上に排水方向の異なる複数の勾配面を形成した場合、洗い場床表面上の水は、各勾配面の境界で谷状に形成された稜線に集まりやすく、大部分の水はその稜線またはその近傍を流れて排水口部5に至る。したがって、排水口部5へと延びる複数の溝部12のすべてについてその下流端部に上記切り欠き溝21を形成しなくても、稜線の下流端部だけに上記切り欠き溝21を形成しただけでも、排水口部5周辺の残水(水溜まり)抑制には十分効果が得られる。
また、複数の溝部12は互いに連続した排水路網として形成されているため、下流端が上記切り欠き溝21に直接連続していなくても、その切り欠き溝21の近くに形成された溝部12下流部の水は上記排水路網を通じて切り欠き溝21に流れ込むことができる。これにより、切り欠き溝21に直接連続していない溝部12下流側に残る水を極少量にすることができ、この残水が少量であれば自然乾燥で翌日までには十分乾く。
なお、コーキング部31は、表面材2において排水口部5側の端部と基材1との間だけでなく、表面材2において壁パネルやバスエプロンが設けられる側の端部15(図1)と基材1との間にも、それら層間への湯水の浸入を防ぐために設けられる。
したがって、表面材2における排水口部5側の端部以外の端部15についても同様に傾斜部14を形成することで、コーキング部31との境界付近に凹凸のない平面を形成することができ、その部分にマスキングテープを隙間なく貼着させて、コーキング剤32がマスキングテープ貼着面の隙間を介して溝部12内に入り込むことを回避できる。
また、前述した実施形態では、基材1と表面材2との2層の積層構造を説明したが、例えばウレタン等の発泡体からなり弾性変形可能なクッション層を基材1と表面材2との間に介在させて、洗い場床にクッション性を付与するような構造としてもよい。
本発明の実施形態に係る洗い場床の模式斜視図。 同洗い場床における表面材の表面の一部分の拡大斜視図。 同洗い場床における排水口部が形成された部分の拡大斜視図。 図3におけるA−A断面図。 図3におけるB−B断面図。 表面材における排水口部側の端部に形成された傾斜部に、コーキング用のマスキングテープが貼着された状態を示す模式図。 図3と同様な排水口部が形成された部分の拡大斜視図。
符号の説明
1…基材、2…表面材、5…排水口部、7…立ち面、11…凸部、12…溝部、14…傾斜部、31…コーキング部、32…コーキング剤、50…マスキングテープ

Claims (5)

  1. 基材と、
    前記基材より浴室内側に積層された表面材と、
    前記表面材の端部と前記基材との間に設けられ、コーキング剤が充填されたコーキング部と、
    を備えた浴室用の洗い場床であって、
    前記表面材の浴室内側の表面には、滑り止め用の凸部と、前記凸部の間に形成された溝部とが全体にわたって形成されており、
    前記表面材の端部には、前記コーキング部に前記コーキング剤を注入する際に、前記コーキング部と隣接する前記表面材の前記溝部内に前記コーキング剤が入り込むことを防止するマスキングテープを貼着する傾斜部が形成されていることを特徴とする洗い場床。
  2. 前記傾斜部は、前記凸部までわたって形成されていることを特徴とする請求項1記載の洗い場床。
  3. 前記傾斜部の傾斜長さは、前記表面材の厚みよりも長く形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の洗い場床。
  4. 前記傾斜部の表面は、平面状に形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の洗い場床。
  5. 前記傾斜部は、前記基材に対して10〜30度の傾斜角度で形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の洗い場床。
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