JP2010058341A - プリント基板用基材の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】加圧しつつ加熱することにより一括形成される多層構造のプリント基板に好適なプリント基板用基材の製造方法を提供する。
【解決手段】熱可塑性樹脂からなる樹脂基材10,11,12と、熱可塑性樹脂よりも融点の高い材料からなる繊維基材20とを一体化してなり、加圧しつつ加熱することにより一括形成される多層構造のプリント基板に用いられるプリント基板用基材40の製造方法であって、樹脂基材と繊維基材とを対をなすロール60,61に対して供給し、加熱により熱可塑性樹脂を軟化させつつ、樹脂基材と繊維基材を含む積層体をその積層方向においてロールにより挟み、熱可塑性樹脂を繊維基材に含浸させて、樹脂基材及び繊維基材が一体化したプリント基板用基材とする一体化工程を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、プリント基板用基材、特に加圧しつつ加熱することにより一括形成される多層構造のプリント基板に用いられるプリント基板用基材に関するものである。
従来、例えば特許文献1に示されるように、加圧しつつ加熱することにより一括形成される多層構造のプリント基板が知られている。
特許文献1では、プリント基板(多層回路基板)の絶縁基材を構成する樹脂フィルムとして、ガラス繊維織布を間に挟んだ熱可塑性樹脂からなる2枚の樹脂シートとを積層し、この積層体を加熱しつつ加圧することにより相互に貼り合わせてなる樹脂フィルムを採用している。そして、これにより、樹脂フィルム(プリント基板用基材)と導体パターンとの熱膨張差を小さくし、これによる導体パターンの剥がれを抑制するようにしている。また、プリント基板用基材(絶縁基材)、ひいてはプリント基板の耐熱強度を向上するようにしている。また、絶縁基材中に繊維部材を含むこととなるので、繊維部材が補強部材としての役割を果たし、絶縁基材、ひいてはプリント基板の機械的強度を高めることができる。
特開2008−141008号公報
ところで、特許文献1に示される方法では、裁断未実施状態のガラス繊維織布(繊維基材)とフィルム状の熱可塑性樹脂(樹脂基材)とを所定寸法に裁断し、積層後、加熱・加圧することでプリント基板用基材を形成する。このように裁断された繊維基材では、端部からのほつれや変形が生じるため、例えば樹脂基材と繊維基材を略同一寸法に裁断しても、積層状態で、樹脂基材に対して繊維基材の偏在が生じることとなる。したがって、貼り合わせ後、プリント基板用基材の表面に設けた金属箔をエッチングしてランド等の導体パターンを形成し、導体パターンの周囲に存在していた金属箔の周囲部位による導体パターンの拘束力がなくなると、繊維基材の偏在による応力が開放されて、導体パターン同士の相対的な位置にずれが生じる恐れがある。
また、熱硬化性樹脂を含むプリント基板用基材の製造方法として周知の、樹脂ワニスに繊維基材を浸漬させる方法を用いることで、繊維基材に熱可塑性樹脂を含浸させたプリント基板用基材を得ることも考えられる。しかしながら、この方法では、繊維基材上への熱可塑性樹脂ののり量が少ない(熱可塑性樹脂層の厚さが薄い)。したがって、裁断した複数枚の基材を積層し、加圧・加熱により多層構造のプリント基板を一括形成する際に、基板表面における導体パターン(ランド)の熱可塑性樹脂への埋設量が少なく、導体パターンが剥がれやすいという問題がある。また、積層方向において、隣接する繊維基材間の間隔が狭いため、絶縁基材内にマイコンなどの電子部品を内蔵させることが困難である。
本発明は上記問題点に鑑み、加圧しつつ加熱することにより一括形成される多層構造のプリント基板に好適なプリント基板用基材の製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成する為に、請求項1に記載の発明は、熱可塑性樹脂からなる樹脂基材と、熱可塑性樹脂よりも融点の高い材料からなる繊維基材とを一体化してなり、加圧しつつ加熱することにより一括形成される多層構造のプリント基板に用いられるプリント基板用基材の製造方法であって、樹脂基材と繊維基材とを対をなすロールに対して供給し、加熱により熱可塑性樹脂を軟化させつつ、樹脂基材と繊維基材を含む積層体をその積層方向においてロールにより挟み、熱可塑性樹脂を繊維基材に含浸させて、樹脂基材及び繊維基材が一体化したプリント基板用基材とする一体化工程を備えることを特徴とする。
本発明によれば、加熱により熱可塑性樹脂を軟化させることで、繊維基材の内部に熱可塑性樹脂(樹脂基材)を含浸させ、樹脂基材と繊維基材を含む積層体をその積層方向においてロールにより挟んで上記含浸を促進させて、樹脂基材と繊維基材とを一体化する。また、軟化させた熱可塑性樹脂をロールにより挟むことで所定厚さとする。したがって、未裁断状態の繊維基材を用いて、所定厚さのプリント基板用基材を得ることができる。これにより、プリント基板を形成する際に、上記プリント基板用基材を所定寸法に裁断しても、繊維基材が樹脂基材によって保持されるため、裁断された繊維基材で生じるような端部からのほつれや変形を抑制することができ、ひいては導体パターンの位置ずれを抑制することができる。
また、樹脂基材を軟化させて繊維基材の内部に含浸させるので、溶融した樹脂ワニスに浸漬させる方法よりも、繊維基材上への熱可塑性樹脂ののり量を厚くすることができる。これにより、加圧・加熱により一括形成されるプリント基板において、基板表面における導体パターンの剥がれを抑制することができる。さらには、プリント基板の絶縁基材内にマイコンなどの電子部品を内蔵させるための領域を確保しやすくなる。
また、プリント基板用基材に繊維部材を含むので、樹脂基材のみの構成に比べて、プリント基板用基材と導体パターンとの熱膨張差を小さくし、これによる導体パターンの剥がれを抑制することができる。また、プリント基板用基材、ひいてはプリント基板の耐熱強度を向上することができる。さらには、繊維部材が補強部材としての役割を果たすので、プリント基板用基材、ひいてはプリント基板の機械的強度を高めることができる。
このように本発明によれば、加圧しつつ加熱することにより一括形成される多層構造のプリント基板に好適なプリント基板用基材を形成することができる。なお、樹脂基材(熱可塑性樹脂)への加熱は、ロール(ロールからの熱伝達)により行ってもよいし、ロールの手前に配置したヒータなどの加熱手段により行ってもよい。
繊維基材としては、樹脂基材を構成する熱可塑性樹脂よりも融点の高い材料からなる繊維(例えばアラミド繊維)の織布、不織布などを採用することができるが、電気絶縁性の点などで、請求項2に記載のように、ガラスクロスを用いることが特に好ましい。
請求項3に記載のように、一体化工程において、複数対のロールにより、積層体を挟むようにしても良い。これによれば、一対のロールに比べて、軟化させた熱可塑性樹脂を繊維基材内部へ含浸させやすいので、生産性を向上することができる。また、プリント基板用基材の寸法(厚み)精度を向上することができる。
請求項4に記載のように、一体化工程において、繊維基材の両表面上に樹脂基材をそれぞれ配置して、積層体としても良い。これによれば、一方の表面上のみに樹脂基材を配置する構成に比べて、樹脂基材による繊維基材の保持効果を高めることができる。また、電子部品を内蔵させるための領域をより確保しやすくなる。さらには、繊維部材の内部全体に樹脂基材を含浸させやすくなる。
請求項5に記載のように、一体化工程において、樹脂基材における繊維基材との対向面の裏面上に金属箔を配置して積層体とし、樹脂基材及び繊維基材とともに金属箔が一体化したプリント基板用基材としてもよい。これによれば、樹脂基材と繊維基材を一体化してプリント基板用基材を得る際に金属箔も一体化させて、一括で金属箔を備えたプリント基板用基材を得ることができる。したがって、製造工程を簡素化することができる。また、樹脂基材とロールとの間に金属箔を介在させるので、金属箔が離型フィルムの役割を果たし、ロールへの樹脂基材の付着を防止することができる。すなわち、離型フィルムを不要とすることもできる。
また、請求項6に記載のように、一体化工程後、一体化したプリント基板用基材を裁断し、熱プレスにより、裁断されたプリント基板用基材における樹脂基材の表面に金属箔を密着させても良い。このように、樹脂基材と繊維基材との一体化工程後に、金属箔の密着工程を実施するようにすると、金属箔を密着させる前(熱プレス前)に、UV処理やプラズマ処理などの表面活性化・クリーニング処理を、プリント基板用基材における樹脂基材の表面に施すことができるので、金属箔の密着性を向上することができる。また、金属箔を密着させる際の熱プレスにより、樹脂基材を軟化させて、繊維基材の内部にさらに含浸させることもできる。
請求項7に記載のように、一体化工程において、繊維基材の一部のみに熱可塑性樹脂を含浸させるようにしても良い。
ここで、熱可塑性樹脂を含むプリント基板用基材を所定寸法に裁断してなる樹脂フィルムを複数枚積層し、加圧・加熱して一括形成されるプリント基板の製造工程では、加圧・加熱工程に数時間(例えば2〜5時間程度)を要するため、この加圧・加熱工程に掛かる時間を短縮することで、大幅なコストダウンが可能である。しかしながら、昇温及び降温時の温度勾配をきつくし、加圧・加熱工程に掛かる時間を短縮すると、熱可塑性樹脂が加水分解されるという問題が生じる。このことは本発明者によって確認されている。これは、自身の吸湿性により、プリント基板用基材に含まれた水分や、加圧・加熱により焼結された状態で異なる層の導体パターン間を電気的に接続する層間接続部となる導電性ペースト中の溶剤に含まれる水分などが、加水分解が生じるまでに基材の外部に抜けきらず、水分の少なくとも一部が、加水分解が生じる温度で残存することによって生じるものと考えられる。このように熱可塑性樹脂が加水分解されたプリント基板用基材は、加水分解されないプリント基板用基材と比べて耐熱性の低下や脆弱化(機械的強度の低下)など見られ、プリント基板の基材として所望の特性を満たさないものとなる。
これに対し、本発明によれば、上記したように、加熱により樹脂基材(熱可塑性樹脂)を軟化させ、ロールによって軟化した樹脂基材を加圧するので、加熱温度、加圧力、搬送速度などを調整し、繊維基材の一部のみに樹脂基材を含浸させたプリント基板用基材を形成することができる。したがって、加圧・加熱工程時において、熱可塑性樹脂の加水分解が生じる(温度に達する)までの間に、水蒸気などを、繊維部材における樹脂基材が含浸されていない部位(すなわち空隙)を介して、積層方向に垂直な方向における基材端面から、プリント基板用基材の外部へ逃がすことができる。これにより、プリント基板用基材を構成する熱可塑性樹脂の加水分解を抑制しつつ、プリント基板の製造時間を短縮することができる。
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係るプリント基板用基材の製造方法を説明するための製造装置の概略構成を示す図である。図2は、図1に示す製造装置により形成されるプリント基板用基材の概略構成を示す断面図である。なお、プリント基板用基材を構成する各基材(による積層体)の積層方向を、以下単に積層方向とし、積層方向における紙面上側を上方、積層方向における紙面下側を下方とする。
図1に示すように、本実施形態では、積層方向において、熱可塑性樹脂からなる樹脂基材10、熱可塑性樹脂よりも融点の高い材料からなる繊維基材20、及び金属箔30を、加熱・加圧により一体化させて、金属箔30付きのプリント基板用基材40を形成する。
樹脂基材10としては、後述する加熱ロール60,61にて軟化されて繊維基材20の内部に含浸される樹脂、例えば液晶ポリマー(LCP)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)とポリエーテルイミド(PEI)を所定の比率で混合してなる混合物など、熱プレス(加圧しつつ加熱)により一括形成される多層構造のプリント基板に適した周知の熱可塑性樹脂を採用することができる。本実施形態では、樹脂基材10として、繊維基材20の両表面とそれぞれ隣接する2つの樹脂基材11,12を有している。このような樹脂基材11,12としては、同一の熱可塑性樹脂を採用しても良いし、異なる熱可塑性樹脂を採用しても良い。本実施形態では、樹脂基材11,12として、PEEK65〜35重量%とPEI35〜65重量%とからなる厚さ50μm程度の、同一構成の樹脂基材を採用している。
繊維基材20としては、樹脂基材10を構成する熱可塑性樹脂よりも融点の高い材料からなる繊維、例えばガラスクロス、アラミド繊維(芳香族ポリアミド繊維)、炭素繊維などの織布や不織布を採用することができる。本実施形態では、繊維基材20として、安価で電気絶縁性に優れたガラスクロスの織布(厚さ100μm程度)を採用している。
金属箔30としては、電子部品が実装されるランドを含む導体パターンに好適な金属材料からなる箔を採用することができる。本実施形態では、金属箔30として、安価で導電率の大きい銅箔を採用しており、プリント基板の表面に露出する導体パターン(ランド)用の銅箔の厚さを35μm程度、内部に配置される導体パターン用の銅箔の厚さを12μm程度としている。
次に、金属箔30付きのプリント基板用基材40の製造方法について説明する。図1に示す符号11a,12aは樹脂基材11,12が巻回されたロール(ドラム)、符号20aは繊維基材20としてのガラスクロスが巻回されたロール(ドラム)、符号30aは金属箔30としての銅箔が巻回されたロール(ドラム)、符号50aは、離型フィルム50が巻回されたロール(ドラム)を示している。また、符号60,61は、製造装置における積層方向上下に対をなして配置され、プリント基板用基材40を構成する、樹脂基材10(11,12)、繊維基材20、金属箔30からなる積層体を挟む加熱ロールを示している。さらに、符号40aは、形成したプリント基板用基材40を巻き取る巻取ロール、符号50bは、離型フィルム50を巻き取る巻取ロールを示している。なお、樹脂基材11,12、繊維基材20、金属箔30、離型フィルム50は、対応するロール11a,12a,20a,30a,50a,40a,50aによって、張力が付与されている。
図1に示すように、加熱ロール60,61に対して同一側に配置した上記各ロール11a,12a,20a,30a,50aから、未裁断状態(フィルム状態)の樹脂基材11,12、繊維基材20、金属箔30、及び離型フィルム50を、加熱ロール60,61に対して供給する。このとき、積層方向上側から、金属箔30、樹脂基材11、繊維基材20、樹脂基材12の順で積層されてなる積層体が、離型フィルム50を介して、加熱ロール60,61により加熱・加圧されるように、積層方向上側から、金属箔30のロール30a、樹脂基材11のロール11a、繊維基材20のロール20a、樹脂基材12のロール12a、離型フィルム50のロール50aの順で配置されている。
加熱ロール60,61は、樹脂基材10(11,12)を構成する熱可塑性樹脂の軟化温度以上融点未満の温度を樹脂基材11,12に対して印加し、熱化塑性樹脂を軟化させる役割、換言すれば繊維基材20の内部に熱可塑性樹脂を含浸させる役割を果たす。また、積層体をその積層方向において挟んで(積層体を積層方向上下から加圧して)上記含浸を促進させるとともに、含浸により一体化されてなるプリント基板用基材40の積層方向における厚さを所定厚さとする役割を果たす。
この加熱ロール60,61による加熱・加圧では、積層体が加熱ロール60,61を通過する際に、加熱ロール60から直接、加熱ロール61から離型フィルム50を介して熱を受ける。これにより、樹脂基材11,12を構成する熱可塑性樹脂が軟化し、特に加熱ロール60側であって積層方向上側に位置する樹脂基材11が、繊維基材20の内部の一部に含浸される。また、加熱ロール60,61による加圧力により、軟化した樹脂基材11,12(熱可塑性樹脂)が繊維基材20内部へ押し込まれ、含浸が促進される。この含浸により、加熱・加圧後の冷却を経て、樹脂基材11,12と繊維基材20とが一体化されたプリント基板用基材40となる。また、樹脂基材11と加熱ロール60と間に介在させた金属箔30も、加熱ロール60,61による加圧力により、軟化した樹脂基材11の熱可塑性樹脂に密着する。したがって、加熱・加圧後の冷却を経て、金属箔30付きのプリント基板用基材40となる。
このように、樹脂基材11と加熱ロール60との間に金属箔30を介在させると、金属箔30が離型フィルム50と同様の役割を果たし、加熱ロール60への樹脂基材11の付着を防止することができる。なお、樹脂基材12と加熱ロール61との間には、熱硬化性ポリイミドなどの離型フィルム50を介在させるため、これにより、加熱ロール61への樹脂基材12の付着を防止することができる。
また、本実施形態では、樹脂基材10(11,12)を溶融させずに軟化させることで、図2に示すように、プリント基板用基材40における絶縁基材20上の樹脂基材10(熱可塑性樹脂)ののり量tを確保するようにしている。さらに、図2に示すように、2つの樹脂基材11,12を積層方向上下から繊維基材20の内部に押し込み、繊維基材20の内部で密着させて、繊維基材20の内部全体に樹脂基材10(11,12)の熱可塑性樹脂を含浸させるようにしている。具体的には、金属箔30を除くプリント基板用基材40の厚みが150μm程度となるようにする。
なお、繊維基材20への樹脂基材10(11,12)を構成する熱可塑性樹脂の繊維基材20の内部への含浸深さは、加熱ロール60,61による加圧力(加熱ロール60,61間の間隙)、加熱ロール60,61による加熱温度、積層体の搬送速度によって決定される。本実施形態では、内部に加熱手段としてのヒータが内蔵された複数対(図1では3対を例示)の加熱ロール60,61を採用することで、樹脂基材10(11,12)を軟化させる条件でありながら、加熱ロール60,61の回転速度(すなわち、プリント基板用基材40の搬送速度、生産速度)の低下を抑制しつつ、繊維基材20の内部全体に、樹脂基材10(11,12)の熱可塑性樹脂を含浸させるようにしている。
そして、形成した金属箔30付きのプリント基板用基材40を、冷却後、加熱ロール60,61に対して上記各ロール11a,12a,20a,30a,50aと反対側に配置した巻き取りロール40aにより巻き取ることで、例えばロール状の金属箔30付きのプリント基板用基材40を得ることができる。なお、図1に示すように、離型フィルム50についても巻取ロール50bにて巻き取ることで、再利用するようにしている。
なお、プリント基板を形成する際には、金属箔30付きのプリント基板用基材40を、図2に示す破線位置で所定寸法(シート状)に裁断した後、エッチング及びフォトリソグラフィにより金属箔30をパターニングして、樹脂基材10の片面10aに導体パターン(ランドを含む)が形成された絶縁基材シート41を得る。そして、ビアホール71や該ビアホール71内への接続材料72(金属ペースト)の充填を適宜実施した後、絶縁基材シート41を少なくとも含み、絶縁基材として熱可塑性樹脂を含む複数枚の絶縁基材シートを積層し、熱プレス(加圧しつつ加熱)する。一例として、図3においては、上記した絶縁基材シート41を6枚準備し、積層方向において積層中心線(図示略)で折り返し構造となるように、積層中心線よりも上側の3枚、積層中心線よりも下側の3枚が、それぞれ導体パターン配置面の裏面が積層中心線を向くように積層配置する。これにより、片面のみに導体パターン31,32が配置された絶縁基材シート41によって、両表面に導体パターン31(ランド)を有するプリント基板70を形成することができる。そして、この積層体を、積層方向の上下両面から真空加熱プレス機により加圧しつつ加熱する。本実施形態では、250〜350℃の温度に加熱し1〜10MPaの圧力で加圧する。これにより、各絶縁基材シート41における樹脂基材10の熱可塑性樹脂が軟化され、隣接する樹脂基材10同士が相互に接着されて一体化される。また、この加圧・加熱により、ビアホール71内の接続材料72が焼結されて、導体パターン31,32同士を電気的に接続する層間接続部となる。このようにして、図3に示すプリント基板70が形成される。なお、図3に示す符号31は導体パターンとしてのランドを、符号32は導体パターンとしての内部導体パターンを示している。また、符号71はビアホールを、符号72はビアホール71内に充填され、異なる層の導体パターン31,32間を電気的に接続する接続材料を示している。
以上説明したように、本実施形態に係るプリント基板用基材40の製造方法では、加熱ロール60,61からの熱により、樹脂基材10(11,12)を構成する熱可塑性樹脂を軟化させて繊維基材20の内部に熱可塑性樹脂を含浸させる。また、加熱ロール60,61からの加圧力により、繊維基材20に対する熱可塑性樹脂の含浸を促進させて、樹脂基材10と繊維基材20とを一体化する。さらに、軟化させた熱可塑性樹脂を加熱ロール60,61により挟むことで所定厚さとする。したがって、未裁断状態の繊維基材20を用いて、所定厚さのプリント基板用基材40を得ることができる。このように、プリント基板用基材40では、繊維基材20が樹脂基材10によって保持されているので、プリント基板70を形成する際、形成したプリント基板用基材40をシート状に裁断しても、裁断された繊維基材20で生じるような端部からのほつれや変形を抑制することができ、ひいては導体パターン31,32の位置ずれを抑制することができる。
また、樹脂基材10(11,12)を軟化させて繊維基材20の内部に含浸させるので、樹脂ワニス等への浸漬のように溶融した熱可塑性樹脂を繊維基材20に含浸させる方法よりも、繊維基材20上への樹脂基材10(熱可塑性樹脂)ののり量tを厚くすることができる。これにより、図3に示すように、熱プレスにより一括形成されるプリント基板70において、基板表面における導体パターン31(ランド)の、樹脂基材10(熱可塑性樹脂)への埋め込み量を深く(樹脂基材10との接触面積を増や)し、導体パターン31の剥がれを抑制することができる。また、プリント基板70の内部において、積層方向にて隣接する導体パターン31,32間(樹脂基材10と繊維基材20による絶縁基材の部位)に、マイコンなどの電子部品を内蔵させるための領域を確保しやすくなる。さらには、繊維基材20の両表面上に樹脂基材11,12を配置することで、繊維基材20の両表面上における樹脂基材10ののり量tを、ともに厚くすることができる。
また、プリント基板用基材40に繊維基材20を含むので、樹脂基材10のみの構成に比べて、プリント基板用基材40と導体パターン31,32との熱膨張差を小さくし、これによる導体パターン31,32の剥がれを抑制することができる。また、プリント基板用基材40、ひいてはプリント基板70の耐熱強度を向上することができる。さらには、繊維基材20が補強部材としての役割を果たすので、プリント基板用基材40、ひいてはプリント基板70の機械的強度を高めることができる。
また、本実施形態では、複数対の加熱ロール60,61により積層体を挟むので、一対の加熱ロール60,61に比べて、軟化させた樹脂基材10(熱可塑性樹脂)を繊維基材20の内部へ効率よく含浸させることができる。したがって、生産性の低下を抑制しつつ、絶縁基材20の内部全体に、軟化させた樹脂基材10を含浸させることもできる。また、プリント基板用基材40の寸法(厚み)精度を向上することもできる。しかしながら、加熱ロール60,61の数は上記例に限定されるものではない。例えば一対の加熱ロール60,61のみにより、積層体を加熱・加圧するようにしても良い。
また、本実施形態では、樹脂基材10(11)における繊維基材20との対向面の裏面10a上に金属箔30を配置して積層体とし、樹脂基材10(11,12)及び繊維基材20とともに金属箔30が一体化したプリント基板用基材40を一括形成する。したがって、製造工程を簡素化することができる。また、樹脂基材11と加熱ロール60との間に金属箔30を介在させるので、金属箔30が離型フィルム50の役割を果たし、加熱ロール60への樹脂基材11の付着を防止することができる。なお、本実施形態では、2つの樹脂基材11,12のうち、一方の樹脂基材11と対向する加熱ロール60との間のみに、金属箔30を介在させて、片面10aに金属箔30の貼着されたプリント基板用基材40を形成する例を示した。しかしながら、樹脂基材11,12と対向する加熱ロール60,61のそれぞれに金属箔30を介在させることで、図4に示すように、両面10a,10bに金属箔30の貼着されたプリント基板用基材40を形成しても良い。この場合、各金属箔30がそれぞれ離型フィルム50の役割を果たすので、プリント基板用基材40の形成に際し、離型フィルム50を不要とすることもできる。図4は、本実施形態に示す製造方法により形成されるプリント基板用基材の変形例の概略構成を示す断面図である。
また、本実施形態では、加熱ロール60,61により、樹脂基材10(11,12)及び繊維基材20とともに金属箔30を一体化させる。金属箔30は離型フィルム50よりも熱伝達性に優れるので、繊維基材20内部への樹脂基材10(熱可塑性樹脂)の含浸を促進させることができる。なお、本実施形態では、樹脂基材11,12の厚さを同じとしたが、上記したように片面10aのみに金属箔30が貼着されたプリント基板用基材40を形成する場合には、金属箔30が配置される側の樹脂基材10(本実施形態では樹脂基材11)の厚さを、他方の樹脂基材12の厚さよりも厚くすることで、繊維基材20の両表面上における樹脂基材10ののり量tが略等しくなるようにしても良い。
なお、本実施形態では、繊維基材20の上下両表面上に樹脂基材10(11,12)をそれぞれ配置する例を示した。しかしながら、例えば図5に示すように、絶縁基材20の一方の表面上のみに樹脂基材10を配置(図5に示す例では、樹脂基材11のみを配置)しても良い。しかしながら、この場合、一方の表面上のみに配置した樹脂基材10(熱可塑性樹脂)を繊維基材20の内部に含浸させるため、繊維基材20の内部全体に熱可塑性樹脂を含浸させるには、上下両表面上に樹脂基材10を配置する場合よりも長い時間を必要とするか、若しくは、加熱ロール60,61の数を増やす必要がある。したがって、本実施形態に示したように、上下両表面上に樹脂基材10を配置するほうが好ましい。図5は、本実施形態に示す製造方法により形成されるプリント基板用基材の変形例の概略構成を示す断面図である。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態を、図6〜図8に基づいて説明する。図6は、第2実施形態に係るプリント基板用基材の製造方法を説明するための製造装置の概略構成を示す図である。図7は、図6に示す製造装置により形成されるプリント基板用基材の概略構成を示す断面図である。図8は、図7に示すプリント基板用基材を用いて形成した金属箔付きのプリント基板用基材(絶縁基材シート)の概略構成を示す断面図である。
第2実施形態に係るプリント基板用基材の製造方法は、第1実施形態に示したプリント基板用基材の製造方法と共通するところが多いので、以下、共通部分については詳しい説明は省略し、異なる部分を重点的に説明する。なお、第1実施形態に示した要素と同一の要素には、同一の符号を付与するものとする。
第1実施形態においては、加熱ロール60,61により、樹脂基材10(11,12)及び繊維基材20とともに金属箔30を一体化して、金属箔30付きのプリント基板用基材40を一括形成する例を示した。これに対し、本実施形態では、図6に示すように、加熱ロール60,61により、樹脂基材10(11,12)及び繊維基材20を一体化して金属箔30無しのプリント基板用基材40を形成する。そして、形成したプリント基板用基材40を図7に示す破線で所定寸法に裁断して絶縁基材シート41とし、熱プレス(加圧しつつ加熱)により、該シート41における樹脂基材10(熱可塑性樹脂)の表面(図8では一方の表面10aのみ)に金属箔30を密着させて、例えば図8に示す金属箔30付きの絶縁基材シート41(プリント基板用基材)を形成する点を特徴とする。
なお、上記製造方法では、図6に示すように、樹脂基材11と加熱ロール60との間、樹脂基材12と加熱ロール61との間に、離型フィルム50をそれぞれ配置することで、加熱ロール60,61への樹脂基材10(11、12)の付着を防止するようにしている。
このように、本実施形態に係る金属箔30付きの絶縁基材シート41(プリント基板用基材)の製造方法では、加熱ロール60,61による樹脂基材10(11,12)と繊維基材20との一体化後に、熱プレスによる金属箔30の貼着を実施する。したがって、金属箔30の貼着前(熱プレス前)に、UV処理やプラズマ処理などの表面活性化・クリーニング処理を、プリント基板用基材40(又は絶縁基材シート41)における樹脂基材10の表面10aに施すことができる。これにより、樹脂基材10に対する金属箔30の密着性を、第1実施形態に示す製造方法よりも向上することができる。
また、金属箔30を密着させる際の熱プレスにより、樹脂基材10(11,12)を軟化させるとともに加圧する。したがって、加熱ロール60,61後の熱プレスにおいて、軟化させた樹脂基材10(11,12)を繊維基材20の内部にさらに含浸させることもできる。すなわち、第1実施形態に示す製造方法に比べて、金属箔30が貼着された状態で、繊維基材20の内部全体に樹脂基材10を含浸させやすい。
なお、本実施形態では、片面10aのみに金属箔30が貼着された絶縁基材シート41(プリント基板用基材40)の例を示した。しかしながら、1回の熱プレスにより、両表面に金属箔30が貼着された絶縁基材シート41(プリント基板用基材40)を形成することもできる。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態を、図9及び図10に基づいて説明する。図9は、第3実施形態に係るプリント基板用基材の概略構成を示す断面図である。図10は、図9に示すプリント基板用基材を用いてプリント基板を一括形成する際の、熱プレス工程を説明する断面図である。
第3実施形態に係るプリント基板用基材及びその製造方法は、上記各実施形態に示したプリント基板用基材及びその製造方法と共通するところが多いので、以下、共通部分については詳しい説明は省略し、異なる部分を重点的に説明する。なお、上記各実施形態に示した要素と同一の要素には、同一の符号を付与するものとする。
上記実施形態においては、加熱ロール60,61により、樹脂基材10(11,12)を軟化させるとともに、繊維基材20の内部全体に含浸させる例を示した。すなわち、繊維基材20の内部全体に樹脂基材10を含浸させたプリント基板用基材40を形成する例を示した。これに対し、本実施形態では、加熱ロール60,61により、例えば図9に示すように、繊維基材20の一部のみに樹脂基材10を含浸させたプリント基板用基材40を形成する点を特徴とする。なお、図9に示す例では、片面10aのみに金属箔30が貼着された金属箔30付きのプリント基板用基材40となっている。
上記したように、樹脂基材10(11,12)を構成する熱可塑性樹脂は、加熱ロール60,61からの熱により軟化されるとともに、加熱ロール60,61からの加圧力により、繊維基材20の内部に押し込まれる。したがって、第1実施形態に示した製造装置において、第1実施形態よりも加熱ロール60,61による加圧力を弱める、加熱ロール60,61による加熱温度を下げる、及び積層体の搬送速度を速める、の少なくとも1つの処置により、繊維基材20の一部のみに樹脂基材10を含浸させたプリント基板用基材40を形成することができる。
なお、図9に示すプリント基板用基材40においては、繊維基材20の内部に残された空隙21が、積層方向に略垂直な方向において、プリント基板用基材40の一端側から他端側まで伸び、両端で開口され、空隙21が2つの樹脂基材11,12を分離する層状となっている。このような構造も、上記した軟化させた樹脂基材10(11,12)を加圧する方法により実現することができる。
次に、上記プリント基板用基材40によるプリント基板70の形成について説明する。本実施形態でも、第1実施形態同様、金属箔30付きのプリント基板用基材40を、図9に示す破線位置で所定寸法(シート状)に裁断し、エッチング及びフォトリソグラフィにより金属箔30をパターニングして、樹脂基材10の片面10aに導体パターン(ランドを含む)が形成された絶縁基材シート41とする。そして、ビアホール71や該ビアホール71内への接続材料72(金属ペースト)の充填を適宜実施した後、6枚の絶縁基材シート41を積層し、熱プレスにより、図3に示したプリント基板70を一括形成するものとする。
ここで、上記した熱プレスでは、熱可塑性樹脂を含む絶縁基材シートを積層してなる積層体において、熱可塑性樹脂の厚さが厚いほど、熱可塑性樹脂に吸湿されていた水分や、接続材料72(金属ペースト)中の溶剤に含まれる水分などの水分からなる水蒸気、気化した溶剤などが、熱可塑性樹脂を通り抜けて外部に逃げにくくなる。特に、絶縁基材シートを複数枚積層する場合には、積層方向における熱可塑性樹脂の厚さが絶縁基材シートの枚数に比例して厚くなるので、積層方向へ水蒸気などが逃げにくくなっている。したがって、絶縁基材シートが熱可塑性樹脂のみからなる構成では、例えば図11に破線で示すように、昇温及び降温時の温度勾配をあまりきつくできず、特に一点鎖線で囲んだ温度域の勾配を緩やかにして時間を稼ぐことで、加水分解が生じる前に水蒸気や気化した溶剤などを、熱可塑性樹脂を通して外部へ抜くようにしている。このため、加圧・加熱工程に数時間(例えば2〜5時間程度)を必要とする。
これに対し、本実施形態では、絶縁基材シート41(プリント基板用基材40)が樹脂基材10と繊維基材20を含み、繊維基材20の内部に空隙21を有している。したがって、複数枚の絶縁基材シートとして上記絶縁基材シート41を含む積層体は、空隙21の分、積層方向に略垂直な方向において、空隙21が存在する部分の樹脂基材10(熱可塑性樹脂)の厚さが薄い構成、若しくは、熱可塑性樹脂が存在しない構成となっている。そして、この空隙21は、加熱によって軟化した樹脂基材10の熱可塑性樹脂が、加圧されて空隙21に入り込み、空隙21を埋めるまでは存在し、水分や溶剤が気化する温度と、加水分解が生じる温度及び熱可塑性樹脂が軟化する温度との間には差がある。したがって、加圧・加熱工程の温度勾配を、上記した絶縁基材シートが熱可塑性樹脂のみからなる構成よりきつくしても、図10に示すように、空隙21の周囲に存在する水分や溶剤が気化してなる水蒸気などを、熱プレスの初期段階(熱可塑性樹脂が加水分解されるまで)に、破線矢印で示すように、空隙21を介して垂直方向における積層体の端面から積層体の外部へ逃がすことができる。そして、水蒸気などを逃がした後、さらに温度を上昇させることで熱可塑性樹脂を軟化させて、樹脂基材10同士を相互に接着するとともに、空隙21を少なからず埋めることができる。なお、本実施形態では、軟化した熱可塑性樹脂により、空隙21を完全に埋めて、空隙21が残らないようにする。そして、冷却を経ることで、図3に示したプリント基板70を形成することができる。
このように本実施形態に係るプリント基板用基材40(絶縁基材シート41)を用いれば、プリント基板70(プリント基板用基材40)を構成する熱可塑性樹脂の加水分解を抑制しつつ、プリント基板70の製造時間を短縮することができる。特に本実施形態では、空隙21が層状となっているので、水蒸気などを効率よく外部へ逃がすことができる。また、複数枚の絶縁基材シートとして上記した絶縁基材シート41のみを用いているので、水蒸気などを垂直方向に逃がす経路が多く存在し、これにより水蒸気などをより効率よく外部へ逃がすことができる。
このような、熱可塑性樹脂の加水分解を抑制しつつ、プリント基板70の製造時間を短縮できる効果は、本発明者によって実際に確認されている。本発明者は、図11に実線で示すように、加圧・加熱工程の温度勾配(例えば100℃/min)を従来(例えば数℃〜十数℃/min程度)よりもきつくし、加圧・加熱工程に掛かる時間を1/20程度に短縮して、上記した構成のプリント基板70を形成した。そして得られたプリント基板70について精査したところ、加水分解された熱可塑性樹脂に特有の耐熱性の低下や脆弱化(機械的強度の低下)は見られず、熱可塑性樹脂の加水分解が抑制されている点を確認した。なお、図11は、絶縁基材シート(プリント基板用基材)の効果を示す図であり、実線が本実施形態に示した構成、破線が参考例として、繊維基材を有さない点以外は本実施形態と同一構成としたものの、加圧・加熱工程の温度プロファイルの模式図である。
なお、熱プレスを経て形成されるプリント基板70に空隙21が残ると、この空隙21を介して絶縁基材(樹脂基材10及び繊維基材20)内に水分などが浸入しやすくなり、導体パターン32の保護や樹脂基材10の吸湿などの観点から好ましいものではない。すなわち、絶縁基材内に残る空隙21は少ないほど良く、少なくとも基材端面側は開口していない状態が好ましい。これに対し、本実施形態では、温度が上昇する過程で、空隙21を介して水蒸気などを外部へ逃がした後、温度上昇に伴い軟化した熱可塑性樹脂によって空隙21を埋めることで、空隙21のない絶縁基材を得るようにしている。
また、本実施形態では、層状の空隙21を有するプリント基板用基材40の例を示した。しかしながら、空隙21は層状に限定されるものではない。例えば図12に示すように、空隙21が点在する構成としても良い。図12は、プリント基板用基材の変形例の概略構成を示す断面図である。
なお、上記したプリント基板用基材40(絶縁基材シート41)は、第2実施形態に示した製造方法によっても形成することができる。具体的には、第2実施形態よりも、加熱ロール60,61による加圧力を弱める、加熱ロール60,61による加熱温度を下げる、積層体の搬送速度を速める、金属箔30貼着時の熱プレスによる加圧力を弱める、熱プレスによる加熱温度を下げる、熱プレスによる加圧・加熱時間を短縮する、の少なくとも1つの処置により、繊維基材20の一部のみに樹脂基材10を含浸させたプリント基板用基材40を形成することができる。
また、例えば図13に示すように、繊維基材20の片面上のみに樹脂基材10(図13では樹脂基材11)を配置し、片面側のみから軟化した樹脂基材10を繊維基材20の内部に押し込むことで、繊維基材20の一部のみに樹脂基材10を含浸させたプリント基板用基材40を形成することもできる。プリント基板70を形成する際に、プリント基板用基材40を所定寸法に裁断しても、繊維基材20が樹脂基材10によって保持されているため、裁断された繊維基材20で生じるような端部からのほつれや変形を抑制することができ、ひいては導体パターン31,32の位置ずれを抑制することができる。なお、このように、積層方向における繊維基材20の一部のみに樹脂基材10を含浸させ、片面10aに金属箔30が貼着されたプリント基板用基材40を裁断してなる絶縁基材シート41は、露出された繊維基材20に対し、別シートの熱可塑性樹脂が接するように、絶縁基材シート41を含む複数枚の絶縁基材シートを積層し、熱プレスによりプリント基板70を一括形成すればよい。図12は、プリント基板用基材の変形例の概略構成を示す断面図である。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態になんら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々変形して実施することが可能である。
本実施形態では、樹脂基材10(熱可塑性樹脂)への加熱を、ヒータを内蔵させた加熱ロール60,61により行う例を示した。しかしながら、ロールとは別途配置されたヒータなどの加熱手段によりロールを加熱し、ロールを介して、樹脂基材10を加熱しても良い。また、ロールの手前に配置したヒータなどの加熱手段により、ロールを介さずに、樹脂基材10を加熱しても良い。加熱により樹脂基材10を軟化させ、軟化した樹脂基材10をロールにより加圧して繊維基材20の内部に押し込む(含浸させる)構成であれば良い。
プリント基板70の構成は上記例に限定されるものではない。すなわち、導体パターン31,32の層数や配置は、上記例に限定されるものではない。また、絶縁基材シートの枚数も上記例(6枚)に限定されるものではない。
本実施形態では、複数枚の絶縁基材シートとして、樹脂基材10と繊維基材20からなる絶縁基材シート41のみを用いる例を示した。しかしながら、絶縁基材シート41の枚数は特に限定されるものではない。例えば、絶縁基材シート41と熱可塑性樹脂のみからなる基材フィルムとを用いても良い。
第1実施形態に係るプリント基板用基材の製造方法を説明するための製造装置の概略構成を示す図である。 図1に示す製造装置により形成されるプリント基板用基材の概略構成を示す断面図である。 図2に示すプリント基板用基材を用いて形成した多層構造のプリント基板の概略構成を示す断面図である。 第1実施形態に示す製造方法により形成されるプリント基板用基材の変形例の概略構成を示す断面図である。 第1実施形態に示す製造方法により形成されるプリント基板用基材の変形例の概略構成を示す断面図である。 第2実施形態に係るプリント基板用基材の製造方法を説明するための製造装置の概略構成を示す図である。 図6に示す製造装置により形成されるプリント基板用基材の概略構成を示す断面図である。 図7に示すプリント基板用基材を用いて形成した金属箔付きのプリント基板用基材(絶縁基材シート)の概略構成を示す断面図である。 第3実施形態に係るプリント基板用基材の概略構成を示す断面図である。 図9に示すプリント基板用基材を用いてプリント基板を一括形成する際の、熱プレス工程を説明する断面図である。 絶縁基材シート(プリント基板用基材)の効果を示す図であり、実線が本実施形態に示した構成、破線が参考例として、繊維基材を有さない点以外は本実施形態と同一構成としたものの、加圧・加熱工程の温度プロファイルの模式図である。 プリント基板用基材の変形例の概略構成を示す断面図である。 プリント基板用基材の変形例の概略構成を示す断面図である。
符号の説明
10,11,12・・・樹脂基材
20・・・繊維基材
30・・・金属箔
40・・・プリント基板用基材
50・・・離型フィルム
60,61・・・加熱ロール
70・・・プリント基板

Claims (7)

  1. 熱可塑性樹脂からなる樹脂基材と、前記熱可塑性樹脂よりも融点の高い材料からなる繊維基材とを一体化してなり、加圧しつつ加熱することにより一括形成される多層構造のプリント基板に用いられるプリント基板用基材の製造方法であって、
    前記樹脂基材と前記繊維基材とを対をなすロールに対して供給し、加熱により前記熱可塑性樹脂を軟化させつつ、前記樹脂基材と前記繊維基材を含む積層体をその積層方向において前記ロールにより挟み、前記熱可塑性樹脂を前記繊維基材に含浸させて、前記樹脂基材及び前記繊維基材が一体化したプリント基板用基材とする一体化工程を備えることを特徴とするプリント基板用基材の製造方法。
  2. 前記繊維基材としてガラスクロスを用いることを特徴とする請求項1に記載のプリント基板用基材の製造方法。
  3. 前記一体化工程において、複数対の前記ロールにより、前記積層体を挟むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のプリント基板用基材の製造方法。
  4. 前記一体化工程において、前記繊維基材の両表面上に前記樹脂基材をそれぞれ配置して、前記積層体とすることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項に記載のプリント基板用基材の製造方法。
  5. 前記一体化工程において、前記樹脂基材における前記繊維基材との対向面の裏面上に、金属箔を配置して前記積層体とし、前記樹脂基材及び前記繊維基材とともに前記金属箔が一体化した前記プリント基板用基材とすることを特徴とする請求項1〜4いずれか1項に記載のプリント基板用基材の製造方法。
  6. 前記一体化工程後、一体化した前記プリント基板用基材を裁断し、熱プレスにより、裁断された前記プリント基板用基材における前記樹脂基材の表面に金属箔を密着させることを特徴とする請求項1〜4いずれか1項に記載のプリント基板用基材の製造方法。
  7. 前記一体化工程において、前記繊維基材の一部のみに前記熱可塑性樹脂を含浸させることを特徴とする請求項1〜6いずれか1項に記載のプリント基板用基材の製造方法。
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