JP2010057219A - 交流δi形故障検出方法及び故障検出装置 - Google Patents

交流δi形故障検出方法及び故障検出装置 Download PDF

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Abstract

【課題】故障時の電流変化により発生する過渡高調波成分の影響を受けず電車線路で発生した故障を高感度に検出する。
【解決手段】交流き電回路の電気車の負荷電流のベクトルを〔I〕とし、前記交流き電回路の電車線路に故障が発生した場合の故障電流のベクトルを〔I〕とし、両ベクトル〔I〕及び〔I〕に含まれる高調波成分の含有率により故障前後電流を抑制する抑制係数Kf及びKfを求めるステップと、電流差ベクトル〔ΔI〕を〔ΔI〕=〔I〕×Kf−〔I〕×Kfにより演算するステップと、演算した電流差ベクトル〔ΔI〕の大きさが設定値を超えた場合に故障と判断するステップとを備え、故障前後の電流を抑制する抑制係数Kfを求める際に、故障時の電流変化で発生する過渡高調波成分が存在する期間を越える一定時間の高調波含有率の最小値に基づいて抑制係数Kfを求める。
【選択図】 図2

Description

本発明は、変電所から電車線路を通じて電気車に交流電力を供給する交流き電回路の故障を検出する交流ΔI形故障検出方法及び故障検出装置に関する。
この種の交流き電回路の故障検出方法としては、例えば、変電所から電車線路を通して電気車に交流電力を供給する交流電気鉄道において、電気車の負荷電流ベクトルを〔I〕とし、電車線路に故障が発生した場合の故障電流ベクトルを〔I〕としたとき、
〔ΔI〕=〔I〕−〔I
により演算される差ベクトル〔ΔI〕の大きさが所定値を越えた場合に故障と選択するようにした交流ΔI形故障選択方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開平9−93791号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載された従来例にあっては、PWM制御車両の場合でも容易に故障検出を行うことができるものであるが、電車線路に電気車負荷電流が流れている場合の電流ベクトル図は、図4(a)に示すようになる。この図4(a)に示すように、電気車負荷電流Iが流れている場合に故障電流Iが同時に重畳されると、下記式で求められる故障時に立ち上がる電流差ベクトル〔ΔI11〕は小さい値となる。
〔ΔI11〕=〔I〕−〔I
一方、図5(a)の時点t0〜t1の間で、正常な電気車負荷電流Iが流れている場合に、図5(b)に示すように特性曲線L1で示すき電電流に、特性曲線L2で示す20%程度以下の第3高調波成分等が含まれ、図5(a)の時点t1以降の故障中は、き電電圧が低下し、高調波成分を含む電気車負荷電流Iが増加し、図5(b)の特性曲線L2で示すように、き電電流の高調波成分(第3高調波等)が減少する。これらを利用し、故障前電流を抑制する抑制係数Kfを電流ベクトル〔I〕に乗じ、さらに、故障後電流を抑制する抑制係数Kfを電流ベクトル〔I〕に乗じることで、故障時に立ち上がるΔI12は図4(b)に示すように見かけ上大きくなり、故障検出を容易にすることができる。なお、抑制係数Kfは、き電電流の高調波成分(第3高調波等)がほぼ0となることから、Kf≒1となる。
〔ΔI12〕=〔I〕×Kf−〔I〕×Kf
しかしながら、故障時の電流変化により、過渡高調波成分(第3高調波等)が発生し、高調波含有率が100%を越す場合がある。この影響を受けると、正確な高調波抑制による交流ΔI形故障検出は困難となるという未解決の課題がある。
そこで、本発明は、上記従来例の未解決の課題に着目してなされたものであり、故障時の電流変化により発生する過渡高調波成分の影響を受けず、故障前後の高調波含有率を正確に求めることで、電車線路で発生した故障を高感度に検出することができる交流ΔI形故障検出方法及び故障検出装置を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、請求項1に係る交流ΔI形故障検出方法は、変電所から電車線路を通じて電気車に交流電力を供給する交流き電回路の故障を電流差ベクトルΔIを演算することにより検出する交流ΔI形故障検出方法であって、前記電車線路に供給される電流を検出し、前記検出した電流の基本波成分及び高調波成分に基づいて高調波含有率を演算し、現在から故障時に過渡高調波成分が発生する所定時間分を遡った期間内の高周波含有率から最小値である最小高調波含有率を検出し、前記最小高調波含有率に基づいて抑制係数を演算し、前記抑制係数と前記検出した電流の基本波成分とを乗算して高調波抑制電流を演算し、現在の高調波抑制電流と、現在から故障時に発生する過渡高調波成分が減衰する所定時間を越えて遡った時点での高調波抑制電流と、に基づいて電流差ベクトルΔIを演算し、当該電流差ベクトルΔIを設定値と比較して故障検出を行うことを特徴としている。
また、請求項2に係る交流ΔI形故障検出装置は、変電所から電車線路を通じて電気車に交流電力を供給する交流き電回路の故障を、電流差ベクトルΔIを演算することにより検出する交流ΔI形故障検出装置であって、
前記電車線路に供給される電流を検出する電流検出部と、検出した電流の基本波成分及び高調波成分を抽出するフィルタ部と、抽出した基本波成分及び高調波成分に基づいて高調波含有率を演算する高調波含有率演算部と、演算した高周波含有率を順次記憶する高周波含有率記憶部と、前記高調波含有率演算部で演算された現在高周波含有率と前記高周波含有率記憶部に記憶された現在から故障時に過渡高調波成分が発生する所定時間分を遡った期間内の高周波含有率と、から最小値である最小高調波含有率を検出する最小高調波含有率検出部と、検出した最小高調波含有率に基づいて抑制係数を演算し、演算した抑制係数と前記フィルタ部で抽出した電流の基本波成分とを乗算して高調波抑制電流を演算する高調波抑制電流演算部と、該高調波抑制電流演算部で演算した高調波抑制電流を順次記憶する高調波抑制電流記憶部と、前記高調波抑制電流演算部で演算した現在の高調波抑制電流と、前記高調波抑制電流記憶部に記憶された現在から故障時に発生する過渡高調波成分が減衰する所定時間を越えて遡った時点での高調波抑制電流と、に基づいて電流差ベクトルΔIを演算する電流差ベクトル演算部と、演算した電流差ベクトルΔIを設定値と比較して故障検出を行う故障検出部とを備えたことを特徴としている。
本発明によれば、故障前後の高調波抑制電流を演算するための抑制係数を求める際に、故障時の電流変化で発生する過渡高調波成分が存在する期間を越える一定時間の高調波含有率の最小値に基づいて抑制係数Kfを求めるようにしたので、交流き電回路の電車線路に故障が発生したときに、確実且つ高速に故障を検出することができ、この故障検出時に交流き電線遮断器を開放することが可能となり、故障点及び各種設備機器らの破損事故を未然に防止して、故障の拡大を最小限に抑えることができるという効果が得られる。
また、電気車負荷電流に含まれる高調波電流(第3高調波等)は電気車がダイオード整流器車両やサイリスタ位相制御車両である場合に多く、本発明の故障検出方法及び装置が有効的であり、PWM制御車の電気車負荷電流に含まれる高調波電流は減少方向であるが、故障時の電流変化で発生する過渡高調波成分の影響を受けないよう電流差ベクトルΔIの演算を実施する必要性は同じであり、本発明により、電車制御方式に係わらず正確な交流ΔI形故障検出を行うことができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明に係る交流ΔI形故障検出装置を適用した交流き電システムを示す基本構成図である。
この図1において、1は交流き電システムであって、この交流き電システム1は、変電所2から出力される交流電力が電車線路3に供給され、この電車線路3に供給される交流電力がレール4上を走行する電気車5にパンタグラフ6を介して供給される。
電車線路3に印加される交流電圧は計器用変圧器7で降圧されて交流ΔI形故障検出装置8に入力電圧として入力され、この交流ΔI形故障検出装置8には電車線路3に配設された計器用変流器9で検出された入力電流Iiが入力されている。
交流ΔI形故障検出装置8は、例えばマイクロコンピュータで構成され、機能ブロック図で表すと図2に示すようになる。
すなわち、先ず、計器用変流器9で検出された入力電流Iiがフィルタ部11に供給され、このフィルタ部11で、電気車負荷電流の基本波成分If1と第3高調波成分If3とを抽出する。そして、抽出された基本波成分If1及び第3高調波成分If3が高調波含有率演算部12に供給される。この高調波含有率演算部12では、基本波成分If1が略零であるときに高調波含有率nf(t)を最大値である“1”に設定し、基本波成分If1が略零ではないときには、下記(1)式に従って高調波含有率nf(t)を演算する。
nf(t)=|If3|÷|If1| ・・・(1)
そして、高調波含有率演算部12で演算された高調波含有率nf(t)が順次所定段数に設定されたシフトレジスタで構成された高調波含有率記憶部13に記憶される。
そして、高調波含有率演算部12で演算された高調波含有率nf(t)のうち故障時の電流変化で発生する過渡高調波成分が存在する期間を越える所定時間内の高調波含有率記憶部13に記憶されている高調波含有率nf(t)が最小高調波含有率演算部14に供給される。例えば、故障時の電流変化で発生する過渡高調波成分が存在する期間を越える所定時間が2サイクルとすれば、最新時刻tの高調波含有率nf(t)、1サイクル前の時刻t−1の高調波含有率nf(t-1)及び2サイクル前の時刻t−2の高調波含有率nf(t-2)が最小高調波含有率演算部14に供給される。
この最小高調波含有率演算部14では、下記(2)式の演算を行って最小高調波含有率nfminを演算する。
nfmin=min{nf(t),nf(t-1),・・・,nf(t-P)} ・・・(2)
ここで、min{ }は{ }内の最小値を求める関数であり、Pは故障時の電流変化で発生する過渡高調波成分が存在する期間を越える所定時間のサイクル数である。
故障発生時における過渡高調波が発生した場合の高調波含有率nf(t)は、故障発生前および過渡高調波が減衰した故障発生中の高調波含有率nf(t)よりも大きいため、上記のように最小高調波含有率nfminを演算することで、故障発生時における過渡高調波が発生した場合の高調波含有率nf(t)が除かれることとなる。
そして、最小高調波含有率演算部14で演算された最小高調波含有率nfminが抑制係数演算部15に供給される。この抑制係数演算部15では、まず下記(3)式の演算を行って抑制係数Kfを演算する。
Kf=1−nfmin×K ・・・(3)
ここで、Kは補正係数であって、電気車負荷電流が流れている場合に、き電電流に含まれる第3高調波は20%程度以下であることから、最大の電流抑制効果を確保し、また抑制係数Kfが負の値にならないように例えばK=3.33に設定される。しかし、Kfが負の値となる場合もあるため、係る場合にはKf=0を再設定する。例えば、本波成分If1が略零であるときにはnfmin=1となり、係る場合に該当する。そして、抑制係数演算部15で演算される抑制係数Kf及び前述したフィルタ部11で抽出された基本波成分If1が高調波抑制電流演算部16に供給される。この高調波抑制電流演算部16では、下記(4)式の演算を行って高調波抑制電流Ifs(t)を演算する。
Ifs(t)=If1×Kf ・・・(4)
そして、高調波抑制電流演算部16で演算された高調波抑制電流Ifs(t)が順次例えばシフトレジスタで構成される高調波抑制電流記憶部17に記憶される。
そして、故障発生時における過渡高調波成分が存在する期間を越え、かつ、過渡高調波が減衰するサイクルをQとすれば、高調波抑制電流演算部16で演算された高調波抑制電流Ifs(t)及び高調波抑制電流記憶部17に記憶されているQサイクル前の高調波抑制電流If(t−Q)が電流差ベクトル演算部18に供給される。例えば3サイクルから5サイクルで故障発生時における過渡高調波成分が存在する期間を越え、かつ、過渡高調波が減衰するとき、高調波抑制電流If(t-3)、If(t-4)及びIf(t-5)のうちの1つ例えばIf(t-4)が電流差ベクトル演算部18に供給される。
この電流差ベクトル演算部18では、下記(5)式の演算を行って電流差ベクトルΔIfを演算する。
ΔIf=|Ifs(t)−Ifs(t-Q)| ・・・(5)
この(5)式の演算を行うことにより、Ifs(t)が故障後の高調波抑制電流を表し、Ifs(t-Q)が故障前の高調波抑制電流を表すことから、下記(6)式及び(7)式で表すことができる。
〔I〕×Kf=Ifs(t) ・・・(6)
〔I〕×Kf=Ifs(t-Q) ・・・(7)
したがって、前記(5)式は故障時の電流変化で発生する過渡高調波成分の影響を受けない電流差ベクトル〔ΔI〕を演算していることになる。
〔ΔI〕=〔I〕×Kf−〔I〕×Kf ・・・(8)
この電流差ベクトル演算部18で演算した電流差ベクトルΔIが故障検出部19に供給される。この故障検出部19では、入力された電流差ベクトルΔIが所定値ΔIs以上であるか否かを判定し、ΔI<ΔIsであるときには故障が発生していないものと判断し、ΔI≧ΔIsであるときには故障が発生しているものと判断して交流き電線遮断器20を開放する故障検出信号BSを出力する。
また、交流ΔI形故障検出装置8は図3に示す故障検出処理を実行する。
この故障検出処理は、図3に示すように、所定時間毎のタイマ割込処理として実行され、先ず、ステップS1で、計器用変流器9で検出した電車線路電流Iiを読込み、次いで、ステップS2に移行して、フィルタ処理を行って電車線路電流Iiの基本波成分If1及び第3高調波成分If3を抽出する。
次いでステップS3に移行して、抽出した基本波成分If1の絶対値が所定値δI以下で略“0”であるか否かを判定し(|If1|<δI)、基本波成分If1が略“0”であるときにはステップS4に移行して、高調波含有率nf(t)を“1”に設定してからステップS6に移行し、基本波成分If1が略“0”ではないときにはステップS5に移行して、前記(1)式の演算を行って高調波含有率nf(t)を算出する。
次いで、ステップS6に移行して、算出した高調波含有率nf(t)をRAM等に形成したシフトレジスタ構成の高調波含有率記憶領域に格納し、次いでステップS7に移行する。ここで、故障時の電流変化で発生する過渡高調波成分が存在する時間を越える所定時間のサイクル数をPとすると、ステップS4又はS5で算出した高調波含有率nf(t)と、高調波含有記憶領域に格納されている1サイクル前の高調波含有率nf(t-1)からPサイクル前の高調波含有率nf(t-P)までを読込み、前記(2)式の演算を行って最小高調波含有率nfminを算出する。
次いで、ステップS8に移行して、ステップS7で算出した最小高調波含有率nfminに基づいて前記(3)式の演算を行って抑制係数Kfを算出し、次いでステップS9に移行して算出した抑制係数Kfが負値であるか否かを判定し、Kf<0であるときにはステップS10に移行して、算出した抑制係数Kfを“0”に変更してからステップS11に移行し、Kf≧0であるときにはそのままステップS11に移行する。
ステップS11では、ステップS8又はS10で算出した抑制係数Kfに前記ステップS2で抽出した基本波成分If1を乗算する前記(4)式の演算を行って高調波抑制電流Ifs(t)を算出してからステップS12に移行する。
このステップS12では、ステップS11で算出した高調波抑制電流Ifs(t)をRAM等に形成したシフトレジスタ構成の高調波抑制電流記憶領域に記憶し、次いでステップS13に移行して、ステップS12で算出した高調波抑制電流Ifs(t)と高調波抑制電流記憶領域に記憶されている、故障発生時における過渡高調波成分が存在する期間を越え、かつ、過渡高調波が減衰するサイクルQだけ前の高調波抑制電流Ifs(t-Q)とを読込み、これらに基づいて前記(5)式の演算を行って、電流差ベクトルΔIを算出してからステップS14に移行する。
このステップS14では、ステップS13で算出した電流差ベクトルΔIが予め設定した設定値ΔIs以上であるか否かを判定し、ΔI<ΔIsであるときには電車線路3に故障が発生していないものと判断して、そのままタイマ割込処理を終了して所定のメインプログラムに復帰し、ΔI≧ΔIsであるときには電車線路3に故障が発生しているものと判断してステップS15に移行し、交流き電線遮断器20に故障信号BSを出力してから故障検出処理を終了する。
この図3の処理において、ステップS2の処理がフィルタ部11に対応し、ステップS3〜S5の処理が高調波含有率演算部12に対応し、ステップS6の処理が高調波含有率記憶部13に対応し、ステップS7の処理が最小高調波含有率演算部14に対応し、ステップS8〜S9の処理が抑制係数演算部15に対応し、ステップS11の処理が高調波抑制電流演算部16に対応し、ステップS12の処理が抑制電流記憶部17に対応し、ステップS13の処理が電流差ベクトル演算部18に対応し、ステップS14及びS15の処理が故障検出部19に対応している。
次に、上記実施形態の動作を具体例をもって説明する。
今、電車線路3に流れる電車負荷電流が略零の状態を継続しているものとすると、交流ΔI形故障検出装置8に入力される入力電流Iiも略零となるので、ステップS2で抽出した基本波成分If1も略零となって、設定値δI以下の値となる。このため、ステップS3からステップS4に移行して算出される高調波含有率nf(t)は“1”を継続することになる。なお、故障時の電流変化で発生する過渡高調波成分が存在する時間を越える所定時間のサイクル数Pを2サイクルとし、故障発生時における過渡高調波成分が存在する期間を越え、かつ、過渡高調波が減衰するサイクル数Qを4サイクルとする。
このため、最小高調波含有率演算部14で演算される最小高調波含有率nfminは“1”となるが、前記(3)式で算出される抑制係数Kfが負値となるので、ステップS9からステップS10に移行して抑制係数Kfは“0”に設定される。このため、前記(4)式で算出される抑制電流Ifs(t)はIfs(t)=If1×Kf=If1×0=0となり、入力電流Iiと略同じ零となる。そして、4サイクル前の抑制電流Ifs(t-4)も“0”となるので、ステップS14で算出される電流差ベクトルΔIも“0”となり、所定値ΔIs未満となるので、き電システムが正常であると判断してタイマ割込を終了して所定のメインプログラムに復帰する。
この電車負荷電流が略零である状態から電車負荷電流が流れると、高調波含有率nf(t)は電車負荷電流が略零であるときのnf(t)=1から電車負荷電流が流れ始めたときには過渡高調波によって高周波含有率nf(t-1)は正常時の20%を超えて、前記(3)式で算出される抑制係数Kfが負値となると、ステップS10に移行して抑制係数Kfが“0”に変更されるので、過渡高調波による高周波含有率nf(t)が増加した場合でも前記(4)式で算出される抑制電流Ifs(t)は“0”となり、前記(5)式で算出される電流差ベクトルΔIは“0”を維持する。
その後、電車負荷電流が安定して、過渡高調波が収まったときには、第3高調波成分If3が基本波成分If1の20%以下の値となり、高調波含有量nf(t)が0.2以下となる。
このため、nf(t)<nf(t-1),nf(t-2)となり、最小高調波含有率nfmin=nf(t)となり、この最小高調波含有率nfminに基づいて前記(3)式によって抑制係数Kfが算出される。
したがって、抑制係数Kfは過渡高調波の影響を受けることなく算出されることになり、この抑制係数Kfを基本波成分If1に乗算して高調波含有率nf(t)に対応した比較的小さい値の抑制電流Ifs(t)を算出し、この抑制電流Ifs(t)から4サイクル前の抑制電流Ifs(t-4)を減算して電流差ベクトルΔIを算出するので、算出される電流差ベクトルΔIは設定値ΔIsを超えることはなく、過渡高調波により故障と誤判断されることを確実に防止することができる。
この電車負荷電流が流れている状態から、交流き電システムが故障したときには、図5(b)に示すように、き電電圧が低下し、高調波成分を含む電気車負荷電流が増加し、過渡高調波が収まった後に、き電電流の第3高調波成分If3が零近傍に減少することから、このときの故障後電流を抑制する抑制係数KfsはKfs≒1.0となり、故障前電流の高調波成分含有率nf(t-4)を正常時の最大値0.2としたときの抑制係数Kf=0.33に比較して大きくなると共に、基本波成分If1も増加するので、前述した(5)式で算出される電流差ベクトルΔIが大きな値となり、設定値ΔIsを超えることになって、故障と判断されて故障信号BSが交流き電線路遮断器20に供給され、この交流き電線路遮断器20が開放制御される。この結果、故障点及び各種設備機器らの破損事故を未然に防止して、故障の拡大を最小限に抑えることができる。
また、電気車負荷電流に含まれる高調波電流(第3高調波等)は電気車がダイオード整流器車両やサイリスタ位相制御車両である場合に多く、本発明の故障検出方法及び装置が有効的であり、PWM制御車の電気車負荷電流に含まれる高調波電流は減少方向であるが、故障時の電流変化で発生する過渡高調波成分の影響を受けないよう電流差ベクトルΔIの演算を実施する必要性は同じであり、本発明により、電車制御方式に係わらず正確な交流ΔI形故障検出を行うことができる。
なお、上記実施形態においては、過渡高調波成分が存在する時間を越える所定時間(例えば2サイクル間の3点)の最小値を求め、故障前電流の算出時点を3サイクル前〜5サイクル前の間のサイクルとした場合について説明したが、これに限定されるものではなく、上記所定時間に合わせて2サイクル前の値とするようにしてもよい。
本発明を交流き電システムに適用した場合の一実施形態を示す概略構成図である。 交流ΔI形故障検出装置の機能ブロック図である。 交流ΔI形故障検出装置で実行する故障検出処理手順の一例を示すフローチャートである。 従来例の負荷電流と故障電流が重なった場合の故障検出原理を説明するベクトル図である。 負荷電流と故障電流との関係及び電流変化時の過渡高調波を説明する特性線図である。
符号の説明
1…交流き電システム
2…変電所
3…電車線路
4…レール
5…電気車
7…計器用変圧器
8…交流ΔI形故障検出装置
9…計器用変流器
11…フィルタ部
12…高調波含有率演算部
13…高調波含有率記憶部
14…最小高調波含有率演算部
15…抑制係数演算部
16…高調波抑制電流演算部
17…高調波抑制電流記憶部
18…電流差ベクトル演算部
19…故障検出部
20…交流き電線路遮断器

Claims (2)

  1. 変電所から電車線路を通じて電気車に交流電力を供給する交流き電回路の故障を電流差ベクトルΔIを演算することにより検出する交流ΔI形故障検出方法であって、
    前記電車線路に供給される電流を検出し、
    前記検出した電流の基本波成分及び高調波成分に基づいて高調波含有率を演算し、
    現在から故障時に過渡高調波成分が発生する所定時間分を遡った期間内の高周波含有率から最小値である最小高調波含有率を検出し、
    前記最小高調波含有率に基づいて抑制係数を演算し、
    前記抑制係数と前記検出した電流の基本波成分とを乗算して高調波抑制電流を演算し、
    現在の高調波抑制電流と、現在から故障時に発生する過渡高調波成分が減衰する所定時間を越えて遡った時点での高調波抑制電流と、に基づいて電流差ベクトルΔIを演算し、
    当該電流差ベクトルΔIを設定値と比較して故障検出を行うことを特徴とする交流ΔI形故障検出方法。
  2. 変電所から電車線路を通じて電気車に交流電力を供給する交流き電回路の故障を、電流差ベクトルΔIを演算することにより検出する交流ΔI形故障検出装置であって、
    前記電車線路に供給される電流を検出する電流検出部と、検出した電流の基本波成分及び高調波成分を抽出するフィルタ部と、
    抽出した基本波成分及び高調波成分に基づいて高調波含有率を演算する高調波含有率演算部と、
    演算した高周波含有率を順次記憶する高周波含有率記憶部と、
    前記高調波含有率演算部で演算された現在の高周波含有率と、前記高周波含有率記憶部に記憶された現在から故障時に過渡高調波成分が発生する所定時間を越えて遡った期間内の高周波含有率と、から最小値である最小高調波含有率を検出する最小高調波含有率検出部と、
    検出した最小高調波含有率に基づいて抑制係数を演算し、演算した抑制係数と前記フィルタ部で抽出した電流の基本波成分とを乗算して高調波抑制電流を演算する高調波抑制電流演算部と、
    該高調波抑制電流演算部で演算した高調波抑制電流を順次記憶する高調波抑制電流記憶部と、
    前記高調波抑制電流演算部で演算した現在の高調波抑制電流と、前記高調波抑制電流記憶部に記憶された現在から故障時に発生する過渡高調波成分が減衰する所定時間を越えて遡った時点での高調波抑制電流と、に基づいて電流差ベクトルΔIを演算する電流差ベクトル演算部と、
    演算した電流差ベクトルΔIを設定値と比較して故障検出を行う故障検出部と、
    を備えたことを特徴とする交流ΔI形故障検出装置。
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