JP2012029501A - 配電線路の事故区間弁別手段 - Google Patents

配電線路の事故区間弁別手段 Download PDF

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Abstract

【課題】負荷線路に設置する計器用変成器や、需要家側の特別な追加設備を必要とすることなく、しかも負荷電流の影響を受けることのない、経済性および信頼性に優れた配電線路の事故区間弁別手段を提供する。
【解決手段】計器用変成器3a、3bは、各負荷線7ではなく、配電線1両端の区分開閉器2に設置されている。計器用変成器3a、3bには変換器4が接続され、さらに収集器5を介して演算装置6が接続されている。演算装置6には、ベクトル加算値演算部6aと、インピーダンス値演算部6bと、インピーダンス値が特性線の内側に入った場合に配電線区間内の事故と判定する事故判定部6cが組み込まれている。
【選択図】図1

Description

本発明の実施形態は、配電線路に適した事故区間の弁別手段に関する。
電力系統には、発電所と配電変電所あるいは配電変電所間を結ぶ送電線路と、配電変電所と需要家を結ぶ配電線路が含まれている。このうち、基幹系の送電線路において、事故区間を弁別する場合、電流差動方式の事故区間弁別手段が広く使われている。
電流差動方式とは、線路の健全時には保護区間に流入する電流のベクトル和(差動電流)がゼロになるというキルヒホッフの第1法則を利用したものである。この方式を用いた事故区間弁別手段では、他の方式と比較して、事故区間の弁別に優れ、保護区間に発生した事故を高感度かつ高速度に検出することが可能である。
一方、配電線路では、次のような方式により事故区間を弁別している。配電線は、区分開閉器あるいは遮断器等により複数区間に分割可能となるように構成する。なお、配電線1を区切る装置としては、区分開閉器または遮断器の他、断路器等のスイッチ等がある。そして、配電線に事故が発生すると、事故に伴う過電流等を、配電変電所に設置した保護継電器で検出する。このとき、配電線を全区間にわたり一旦停電させ、区分開閉器または遮断器を順次投入して線路を充電させながら、事故区間を弁別していく。
配電線路にて採用した上記の方式では、事故区間を弁別する際、事故の発生していない健全区間も一旦停電させなくてはならないという欠点がある。また、配電線に分散電源が接続された場合には、配電線末端に発生した事故を、配電変電所の保護継電器で検出することが困難になる。
そこで従来から、区分開閉器または遮断器で区分された配電線路において、事故区間弁別時に健全区間を停電させることなく、配電線路に分散電源が接続されていても配電線末端の事故を正確に検出することが望まれている。具体的な対策としては、配電線路でも送電線路と同じく、電流差動方式の事故区間弁別手段を適用することが考えられている。
ところで、電流差動方式の事故区間弁別手段において、必要とされる機器には、以下のようなものがある。まず、保護区間に出入りする全ての電流を用いて差動電流を計算するために、保護区間の全ての境界に、電流計測用の機器として計器用変成器を設置する必要がある。
また、保護区間の離れた場所で同時に計測した電流値を、遅滞無く且つ正確に伝送して集め、集めたデータに基づいて差動電流を計算する仕組みも不可欠である。このような仕組みとしては、ディジタルリレーを例に取ると、ディジタルリレーには、アナログの計測値をディジタル変換するアナログ/ディジタル変換器や、ディジタルデータの高速伝送路となる収集器、さらにはディジタル演算処理を行う演算装置が設けられている(非特許文献1参照)。
大浦好文監修「保護リレーシステム工学」、134頁〜161頁、電気学会(2002)
上述したように、事故区間を弁別する際、電流差動方式を採用すると、必要な機器が多く、その機器数は線路の分岐数に比例する。このため、電流差動方式は、線路の分岐数が少ない送電線路では広く普及しているものの、線路の分岐数が多数の配電線路では、電流差動方式は普及していなかった。
すなわち、配電線路では、多数の需要家負荷を並列に接続しているため、電流差動方式を採用しようとすると、必要とされる機器が負荷線数に応じて非常に多くなった。しかも、各負荷線路の計器用変成器にて同時計測した電流量を、ディジタル量に変換した上で、高速伝送路にて遅滞無く且つ正確に収集する仕組みも不可欠である。
したがって、需要家は特別な設備を追加して設けなくてはならない。その結果、コスト高を招き、経済的な負担が大きくなる。さらに、配電線路に電流差動方式を採用する場合、保護区間に負荷線路を含めることになるので、配電線充電時に負荷線に流れる励磁突入電流を、事故発生と誤認するおそれがあった。以上述べたように、配電線路に電流差動方式を採用しようとすると、経済的および技術的な課題が存在した。したがって、このような課題を解消し、負荷線路に設置する計器用変成器や、需要家側の特別な追加設備を必要とすることなく、しかも負荷電流の影響を受けることのない、経済性および信頼性に優れた配電線路の事故区間弁別手段を提供することが要請されていた。
実施形態の配電線路の事故区間弁別手段は、区分開閉器または遮断器等で区切られた配電線区間の事故を弁別する手段において、少なくとも、区分開閉器または遮断器等それぞれに併設または近傍に設置された計器用変成器(CT)と必要により設置された計器用変成器(VT)と、計器用変成器の出力をディジタル量に変換する変換器と、変換器の出力されたディジタル量を伝送し収集する収集器と、収集器にて収集された前記ディジタル量に所定の演算を行なって、配電線区間の事故を弁別する演算装置からなる。演算装置は、少なくとも、1)複数の計器用変成器の出力電流のベクトル和電流を計算する第1の演算、2)計器用変成器の出力電圧と前記のベクトル和電流を用いて、インピーダンス値の演算を行う第2の演算、3)演算の結果得られたインピーダンス値が所定の位相と大きさの関係を満たす時に、当該配電線区分内の事故と判定する第3の演算、を行うことを特徴とする。
本発明に係る第1の実施形態の構成図。 第1の実施形態の動作特性図。 第1の実施形態における演算装置の演算処理フロー図。 第1の実施形態のインピーダンス値の典型例を示す説明図。 本発明に係る第2の実施形態の構成図。 第2の実施形態の演算装置の演算処理フロー図。 本発明に係る第3の実施形態の演算装置の演算処理フロー図。 本発明に係る第4の実施形態の構成図。 第4の実施形態の動作特性図。 第4の実施形態の演算装置の演算処理フロー図。 第4の実施形態のベクトル加算値の典型例を示す説明図。
(1)第1の実施形態
(1A)構成
以下、第1の実施形態の構成について、図1〜図4を参照して具体的に説明する。第1の実施形態は、配電線路を保護区間とした事故区間弁別手段である。図1は第1の実施形態の概要を示す構成図、図2は第1の実施形態の動作特性図、図3は第1の実施形態における演算装置の演算処理フロー図、図4は第1の実施形態のインピーダンス値の典型例を示す図である。
図1に示すように、配電線1には負荷線7が複数接続されている。ここでは説明の都合上、配電線1の図1中の左端をA端子、図1中の右端をB端子と呼ぶ。また、配電線1は一般的に三相交流回路であるが、説明を簡単にするために単線図で表現している。
さらに、配電線1は区分開閉器または遮断器等によって複数区間に分割構成されている。図1に示した配電線1では、その両端に接続された区分開閉器2により分割されている。なお、配電線1には通常、配電用変圧器、開閉器、断路器、避雷器等を含むが、図1ではこれらの記載を省略している。
(1A−1)全体構成
第1の実施形態では、電流差動方式が採用されており、差動電流を計算するための計器用変成器3a、3bが設けられている。計器用変成器3a、3bは、各負荷線7ではなく、配電線1両端の区分開閉器2に設置されている。このうち、計器用変成器3aは区分開閉器2に併設または近傍に設置される変流器(CT)、計器用変成器3bは必要に応じて区分開閉器2に設置される計器用変圧器(VT)である。
これら計器用変成器3a、3bには変換器4が接続されている。変換器4は、計器用変成器3a、3bの出力(出力電流または出力電圧)を取り込んで、ディジタル量に変換する部分であり、非特許文献1に記載のディジタルリレーにおけるアナログ/ディジタル変換部と同等のものである。
計器用変成器3aの出力電流については、A端子側をIA、B端子側をIBと表現し、計器用変成器3bの出力電圧については、A端子側をVA、B端子側をVBと表現する。この時の計器用変成器3aの極性は、慣例に従って当該配電線区間に流れ込む方向が正となるように表現する。これらの出力電流および出力電圧が、変換器4にてディジタル変換されたものを、それぞれ、[IA]、[IB]、[VA]、[VB]と表記する。
変換器4には収集器5を介して演算装置6が接続されている。収集器5は、複数の変換器4から、そのディジタル出力をディジタル伝送によって収集するディジタルデータの高速伝送路であって、非特許文献1に記載のディジタルリレーの伝送部と同等のものである。
(1A−2)演算装置の構成
演算装置6は、収集器5にて収集されたディジタルデータに基づいて所定の演算を行い、配電線1の区間内に事故が発生したか否かを判定する装置である。演算装置6は、非特許文献1に記載のディジタルリレーの演算処理部と同等のもので、少なくとも、ベクトル加算値演算部6a、インピーダンス値演算部6bおよび事故判定部6cが組み込まれている。これらは、内蔵されたソフトウエアに従って所定の演算処理を行うことで実現される。
ベクトル加算値演算部6aでは、複数の計器用変成器3aの出力電流のベクトル加算値([IA]+[IB])を演算する。ここで、+はベクトル和を意味する。また、インピーダンス値演算部6bでは、計器用変成器3bの出力電圧とベクトル加算値([IA]+[IB])を用いて、インピーダンス値の演算を行う。
インピーダンス値演算部6bにおいて、A端子の電圧を用いたときは、B端子の電圧を計測する計器用変圧器3bは必ずしも必要ではなく、インピーダンス値は([VA]/([IA]+[IB]))となる。また、B端子の電圧を用いたときは、A端子の電圧を計測する計器用変圧器3bは必ずしも必要ではなく、インピーダンス値は([VB]/([IA]+[IB]))となる。
さらに、両端子A、Bの電圧の加重平均を用いたときには、((m[VA]+n[VB])/([IA]+[IB]))と表記される。例えば、m +n=1とし、m=n=0.5の場合は、両端子電圧の平均電圧となる。なお、両端子の電圧のうち大きい方を用いたときは((max([VA]、[VB]))/([IA]+[IB]))と表記され、また、両端子の電圧のうち小さい方を用いたときは((min([VA]、[VB]))/([IA]+[IB]))と表記される。
また、演算装置6の事故判定部6cでは、インピーダンス値演算部6bで得られたインピーダンス値が、所定の大きさと位相の関係を満たす場合に当該配電線区間内の事故であると判定する。この判定を判定Zと表記する。
ところで、インピーダンス値が所定の大きさと位相の関係を満たすか否かを判定する代表的な保護継電器として、距離継電器が知られている。距離継電器は通常、インピーダンス平面(複素平面)に動作特性を図示する。そこで、第1の実施形態においても、距離継電器に倣い、インピーダンス平面(複素平面)に事故判定部6cの動作特性を図示する。
図2は、演算装置6の事故判定部6cにおける動作特性の一例であり、インピーダンス値演算部6bの求めたインピーダンス値が、特性線の内側に入った場合に、当該配電線区間内の事故と判定するものである。なお、配電線1の区間内の事故判定Zを出すタイミングは、インピーダンス値が特性線の内側に入った直後であってもよいし、または予定時間(例えば、後述する励磁突入電流の減衰など一過性の現象がなくなるまでの時間)が経過した後であってもよい。
また、事故判定部6cは、距離継電器で既に広く知られているように、モー特性やリアクタンス特性など、円や線分を組み合わせて、合目的の特性や形状を自在に作ることが容易に可能である。このとき、動作特性のうちリアクタンス特性に関しては、負荷線の需要家設備の事故を区間内事故と判定しないように整定する。なお、このような整定が困難な場合には、需要家設備の事故が保護継電器で除去される時まで予定時間を待ってから判定するように整定する。
(1A−3)演算装置の演算処理
演算装置6の演算処理フローについて、図3を用いて説明する。図3は短絡事故判定用の演算処理フローであり、これに適するように、デルタ電流Ib−Ic、Ic−Ia、Ia−Ibと、線間電圧Vbc、 Vca、 Vab(ここでのa、b、cは相名)を用いて具体的に記述している。
国内の高圧配電系統は非接地系統が多く、三相の内2相だけに計器用変成器3aが設けられていることが多い。これは、零相電流Ia+Ib+Icがほぼゼロであることから、b相に計器用変成器3aが無くとも、Ib=−(Ia+Ic)、Ia−Ib=2Ia+Ic、Ib−Ic=−Ia−2Icとすることで、三相全ての演算が可能だからである。
図3に示すように、演算装置6では、ab相、bc相、 ca相に関して、事故判定処理を行う。図3に示した処理フローでは、bc相の事故判定処理を示す。まずステップS100では、収集器5を介して変換器4のディジタル出力を収集して、[IA]=[IAb−IAc]、[IB]=[IBb−IBc]、[VA]=[VAb−VAc]、[VB]=[VBb−VBc]といったデータを準備する。
次に、ベクトル加算値演算部6aにてベクトル加算値を演算し、[IA]+[IB]を導く(ステップS101)。さらに、インピーダンス値演算部6bにてインピーダンス値の演算を行う。ここでは、両端子の電圧の加重平均を用いて、(m[VA]+n[VB])/([IA]+[IB])を求める(ステップS102)。
続くステップS103では、事故判定部6cにてインピーダンス値が所定条件を満たすかどうかを判定し、所定条件を満たせば(ステップS103のYes)、事故判定部6cが短絡事故であるという判定Zを下し、必要な出力処理を行う(ステップS104)。
なお、事故判定部6cにてインピーダンス値が所定条件を満たしていないと判定すれば(ステップS103のNo)、必要な出力処理を行うことなく、次の処理に移行する。演算装置6の事故判定部6cの出力は、配電自動化システムや配電制御子局などに送られる。
事故判定部6cの出力は、実施形態の利用目的に応じて、種々使用される。例えば、事故判定部6cの出力によって、区分開閉器2を開放して、事故電流遮断後または事故中に、当該配電線区間を電力系統から速やかに切り離す。あるいは、配電用変電所の保護装置の動作により停電した状態で、事故判定部6cの出力により、区分開閉器2が無電圧開放した後の復電(再閉路、すなわち区分開閉器2の閉成)を阻止する。
(1B)作用
(1B−1)ベクトル加算値の計算
続いて、第1の実施形態の作用について説明する。配電線1の少なくとも片端には図示しない電源が接続され、配電線1が運転されている。例えば、A端子側外部に電源がある状態で、配電線1が運転されている。このとき、事故がない場合、あるいは、配電線の区間外または区間内にて事故が発生した場合、以下のような事象が発生する。
(1B−1−1)事故がない時のベクトル加算値
事故がなく、A端子側外部の電源が自区間の負荷線7とB端子の外部の負荷に電力を送っている場合には、負荷線7に向かって流れる電流を[Iγ]、B端子外部の負荷を[Iβ]とすると、[IA]=[Iγ]−[IB]、[IB]=[Iβ]である。したがって、事故がない時、ベクトル加算値演算部6aの求めるベクトル加算値は、([IA]+[IB])=([Iγ])となる。
(1B−1−2)配電線の区間外事故時のベクトル加算値
A端子側外部に電源があり、B端子側の外部で事故が発生した場合、事故電流がA端子からB端子へと配電線1を通過して流れる。このとき、負荷線7に起電力があると、負荷線7の電流がB端子に向かって流れる。負荷線7からB端子に向かって流れる電流を[Iα]とすると、[IA]+[Iα]=−[IB]となる。したがって、配電線1の区間外事故時、ベクトル加算値演算部6aの求めるベクトル加算値は、([IA]+[IB])=(−[Iα])となる。
(1B−1−3)配電線の区間内事故時のベクトル加算値
A端子側外部に電源がある状態で、配電線1の区間内で事故が発生すると、事故電流はA端子から配電線区間内の事故点に向かって流れる。このとき、負荷線7に起電力があると、負荷線7の電流が事故点に向かって流れるが、この電流はA端子、B端子の計器用変成器3aには流れない。
配電線1区間内の事故点電流を[IF]と表すと、ベクトル加算値演算部6aの求めるベクトル加算値は、([IA]+[IB])=([IF])となる。なお、区間内事故時のベクトル加算値([IF])の大きさは、事故がない時のベクトル加算値である([Iγ])や、区間外事故時のベクトル加算値である(−[Iα])の大きさよりも通常は十分に大きい。
また、区間内事故時のベクトル加算値である([IF])は、区間内への流入電流である。これに対して、区間外事故時のベクトル加算値である(−[Iα])は、マイナスの係数から分かるように、区間外への流出電流であって、電流位相も異なっている。さらに、([IF])は事故電流であり、誘導性の電流であるが、事故がない時のベクトル加算値([Iγ])は負荷電流であり、力率が高い抵抗性の電流である。
(1B−2)インピーダンス値の計算
さて、第1の実施形態では、インピーダンス値演算部6bの求めたインピーダンス値に基づいて、事故判定部6cが当該配電線内区間の事故を弁別している。そこで、インピーダンス値演算部6bの求めるインピーダンス値が健全時や事故時にどのような値になるかを具体的に述べる。
健全時や事故時に距離継電器がみるインピーダンス(測距インピーダンス)については、広く知られている。距離継電器では、設置された端子の電流そのものをインピーダンス値の演算に使用している。これに対して、第1の実施形態では、上述したように、複数の計器用変成器3aの出力電流のベクトル加算値をインピーダンス値の演算に使用している。つまり、通常の距離継電器と、演算装置6のインピーダンス値演算部6bとの相違点は、インピーダンス計算時に使用する電流量にある。
以下、第1の実施形態におけるインピーダンス値の様相に関して、健全時つまり事故がない時と、事故の発生時(配電線の区間外または区間内)に分けて、図4を参照して説明する。図4は、第1の実施形態のインピーダンス値の健全時や事故時の様相について、ベクトル表現で纏めて表現したものである。ここでは、A端子外部に電源がある場合で、bc相の電流・電圧を用いた短絡事故の事故区間弁別を行う際のインピーダンス演算値について述べる。
(1B−2−1)事故がない時のインピーダンス値
前述したように、事故がない時のベクトル加算値演算部6aの求めたベクトル加算値は([Iγ])である。この時のインピーダンス値は、両端子A、Bの電圧の加重平均を用いて((m[VA]+n[VB])/([IA]+[IB]))=((m[VA]+n[VB])/([Iγ]))と表記される。
ここで、[VA]と[VB]とは、ほぼ等しいので、m +n=1とすると、インピーダンス値演算部6bの求めるインピーダンス値は([VA]/[Iγ])となる。このインピーダンス値は負荷電流が流れる送電線に設置された距離継電器が測距したインピーダンスと同じものである。すなわち、事故がない時のインピーダンス値は図4の負荷電流と示した範囲にある。
(1B−2−2)配電線の区間外事故時のインピーダンス値
配電線1の区間外事故時のベクトル加算値が(−[Iα])である時、インピーダンス値は、両端子A、Bの電圧の加重平均を用いて((m[VA]+n[VB])/([IA]+[IB]))=((m[VA]+n[VB])/(−[Iα]))と表記される(ただし、m +n=1とする)。
このインピーダンス値は、送電線に設置された距離継電器の背後(後方)で事故が起きたときに距離継電器が測距するインピーダンスと概ね同じものである。すなわち、区間外事故時のインピーダンス値は図4の外部事故と示したベクトルで示される。
(1B−2−3)配電線の区間内事故時のインピーダンス値
前述のように、配電線1の区間内事故時のベクトル加算値は([IF])である。この時のインピーダンス値は、両端子A、Bの電圧の加重平均を用いて((m[VA]+n[VB])/([IA]+[IB]))=((m[VA]+n[VB])/(−[IF]))と表記される(m +n=1とする)。
このインピーダンス値は送電線に設置された距離継電器の前方で事故が起きたときに距離継電器が測距するインピーダンスと概ね同じものである。すなわち、区間内事故時のインピーダンス値は図4の内部事故と示したベクトルで示される。
なお、ここでは、インピーダンス演算値の算出に際して、両端子A、Bの電圧の加重平均((m[VA]+n[VB])を用いたが、これに限らず既述のもの、例えば、両端子の電圧のうち大きい方あるいは小さい方を用いるなど、適宜選択可能である。
また、図4では、外部事故もしくは内部事故を示したベクトルZca、Zbc、Zabは、それぞれ3本描かれており、同一線上で且つ反対向きである。これらのベクトルは、bc相間短絡時のca相、bc相、ab相のインピーダンス値を示している。また、abc相間短絡(三相短絡)時のインピーダンス値は、bc相間短絡時のインピーダンス値と同じである。
上記図2は第1の実施形態の動作特性の一例であって、既に述べたように、インピーダンス値が特性線の内側に入った場合に、直ちに、または予定時間経過後に、当該配電線区間内の事故と弁別する。そこで、図2の動作特性を適切に整定すると(図4にて破線で示す)、図4に示したベクトルのうち、内部事故であるZbcのみを、特性範囲内にすることが容易に可能である。
このとき、内部事故のZbcは、三相短絡時のインピーダンス値またはbc相間短絡時のインピーダンス値(両者は等しい)であって、演算装置6は、区分配電線内の三相または二相(この場合はbc相)短絡事故を正確に弁別することができる。
(1C)効果
上述のように、第1の実施形態によれば、多数の負荷線7が接続された配電線1について電流差動方式を採用しても、負荷線7に計器用変成器を設置する必要が無く、需要家側に特別な追加設備を設けることも不要である。したがって、電流差動方式の採用によるメリット、すなわち健全区間の停電回避や配電線末端での正確な事故検出を獲得することができ、その上、低コストで事故区間弁別手段を実現することが可能である。また、負荷電流の影響を受けることもなく、配電線区間内事故と外部事故を正確に弁別することが可能である。これにより、経済性および信頼性の向上に寄与することができる。
(2)第2の実施形態
(2A)構成
第2の実施形態は、励磁突入電流(インラッシュ電流)の大きい配電線1や、計器用変成器3a、3bの特性不揃いがある配電線1に適用することを考慮したものである。この第2の実施形態の特徴は、演算装置6の演算内容にあり、基本的な構成は上記第1の実施形態と同じである。このため、第1の実施形態と同じ部分については同一符号を付して説明は省略する。
(2A−1)演算装置の構成
図5の構成図に示すように、第2の実施形態における演算装置6には、ベクトル加算値演算部6aやインピーダンス値演算部6bに加えて、スカラー和演算部6dと、動作条件判定部6eが設けられている。これらスカラー和演算部6dと、動作条件判定部6eも、ベクトル加算値演算部6aなどと同じく、内蔵されたソフトウエアに従って演算処理を行うことで実現される。
スカラー和演算部6dは、部分比率差動演算を行う際の抑制量として、複数の計器用変成器の出力電流のスカラー和を演算する部分である。スカラー和はΣI=(|[IA]|+|[IB]|)と表記される(ここで、||はスカラーを意味する)。なお、部分比率差動演算時の抑制量としては、複数の計器用変成器の出力電流の最大値(max([IA]、[IB]))など、電流差動継電器に適用されるものでもよい。
動作条件判定部6eは、部分比率差動演算を行い、所定の動作条件が成立するかどうかを判定する部分である。すなわち、動作条件判定部6eでは、抑制量をΣIとするとき、部分比率差動演算式|([IA]+[IB])|−K×ΣI≧Koが成立するかどうかを判定する。ここで、抑制係数Kの値には0.1〜0.3程度が選択され、Koは検出感度に応じて決定される。
また、動作条件判定部6eでは、ベクトル加算値に第2高調波などの特定高調波成分(Id−2f)が予定の割合以上含まれていないかどうかを判定する。特定高調波成分(Id−2f)は通常、励磁突入電流に予定の割合以上含まれるものなので、特定高調波成分(Id−2f)の割合を判定することは、励磁突入電流が発生しているか否かを判定することに他ならない。
動作条件判定部6eによる判定を動作条件判定Dと表記する。第2の実施形態では、事故判定部6cの判定Zと、動作条件判定部6eの動作条件判定Dとが共に成立した時にのみ、当該配電線区間内の事故と判定して、その結果を外部に出力するようになっている。
(2A−2)演算装置の演算処理
上述の演算装置6の演算処理フローについて、図6を参照して説明する。ここでも上記図3と同様に、相名を示して具体的に記述する。図6に示すように、まず動作条件判定Dを求めるためのデータ準備を行い、[IA]=[IAb]、[IB]=[IBb]とする(ステップS200)。次に、ステップS201では、ベクトル加算値演算部6aにてベクトル加算値[IA]+[IB]を演算すると同時に、スカラー和演算部6dにてΣI=(|[IA]|+|[IB]|)を導く。
続いて、ステップS202において、動作条件判定部6eが部分比率差動演算を行い、所定の動作条件が成立するかどうか、つまり、抑制量をΣIとするとき、|([IA]+[IB])|−K×ΣI≧Koが成立するかどうかを判定する。
そして、所定の動作条件が成立した場合(ステップS202のYes)、動作条件判定部6eは続いて、ベクトル加算値に第2高調波などの特定高調波成分(Id−2f)が予定の割合以上含まれていないかどうかを判定する(ステップS203)。このとき、動作条件判定部6eがベクトル加算値に特定高調波成分(Id−2f)が予定の割合以上含まれていないと判定すれば(ステップS203のYes)、ステップS204、つまり判定Zのためのデータ準備に進む。図6に示したステップS204〜ステップS208は、図3にて示した第1の実施形態の演算処理のステップS100〜ステップS104と同様なので、ここでは説明は省略する。
なお、動作条件判定部6eにおいて、所定の動作条件が不成立である場合(ステップS202のNo)、あるいはベクトル加算値に特定高調波成分(Id−2f)が予定の割合以上含まれていると判定した場合(ステップS203のNo)、必要な出力処理を行うことなく、次の処理に移行する。
(2B)作用
続いて、第2の実施形態における事故区間弁別の作用について説明する。既に述べたように第2の実施形態では、事故判定部6cの判定Zと、動作条件判定部6eの動作条件判定Dとが共に成立した時に、当該配電線区間内の事故と判定するが、事故判定部6cによる判定Zの作用に関しては上記第1の実施形態と同じである。そのため以下では、動作条件判定Dの作用についてのみ説明する。
ここでは、A端子側外部に電源があり、配電線1が運転されている状態を例に取り、事故がない場合、配電線の区間外または区間内にて事故が発生した場合、さらには励磁突入電流が発生した場合と、計器用変成器の特性が不揃いの場合の現象について、順次説明する。
(2B−1)事故がない時
A端子側外部に電源があって、自区間の負荷線7とB端子の外部の負荷に電力を送っている場合、負荷線7に向かって流れる電流を[Iγ]、B端子外部の負荷を[Iβ]とすると、[IA]=[Iγ]−[IB]、[IB]=[Iβ]である。したがって、事故がない時、ベクトル加算値演算部6aの求めるベクトル加算値は、([IA]+[IB])=([Iγ])となる。
このとき、スカラー和演算部6dが求めるスカラー和は、ΣI=(|[IA]|+|[IB]|)={[Iγ]〜2×[Iβ]}となる。ここで、{○〜○}で範囲を示し、左○は[Iβ]がゼロの場合、右○は[Iγ]がゼロの場合を示している。
部分比率差動演算は、[Iγ]がゼロの場合には通過電流となるので、(区間内事故とは判定しない)不動作傾向になる。一方、[Iβ]がゼロの場合には1端流入電流となるので、(区間内事故と判定する)誤動作傾向となる。そこで、負荷電流[Iγ]で動作判定に至らぬように抑制係数K、Koを決めることで、誤動作を防ぐようにしている。
(2B−2)配電線の区間外事故時
続いて、A端子側外部に電源があり、B端子側外部で事故が発生した場合について説明する。このとき、事故電流がA端子からB端子に配電線1を通過して流れるが、起電力がある負荷線7からB端子に向かって流れる電流を[Iα]とすると、[IA]+[Iα]=−[IB]となる。したがって、配電線1の区間外事故時、ベクトル加算値演算部6aの求めるベクトル加算値は、([IA]+[IB])=(−[Iα])となる。
ここで、スカラー和演算部6dが求めるスカラー和ΣI=(|[IA]|+|[IB]|)は、{[Iα]〜2×[IB]}とほぼ等しい。なお、{○〜○}で範囲を示し、左○は[IB]がゼロの場合、右○は[Iα]がゼロの場合を示している。
部分比率差動演算は、[Iα]がゼロの場合には通過電流となるので、(区間内事故とは判定しない)不動作傾向になる。一方、[IB]がゼロの場合には、負荷線7からB端子に向かって流れる電流[Iα]で、1端流出電流となるので、誤動作傾向となり得る。そこで、負荷電流[Iα]で動作判定に至らぬように抑制係数K、Koを決めることで、誤動作を防ぐようにしている。
(2B−3)配電線の区間内事故時
A端子側外部に電源がある状態で、配電線区間内で事故が発生すると、事故電流はA端子から配電線区間内の事故点に向かって流れ、負荷線7に起電力があれば、負荷線7の電流が事故点に向かって流れる。この電流はA端子、B端子の計器用変成器3aには流れない。
ここで、事故点電流を[IF]と表すと、ベクトル加算値演算部6aの求めるベクトル加算値は、([IA]+[IB])=([IF])となる。また、スカラー和演算部6dの求めるスカラー和ΣI=(|[IA]|+|[IB]|)は、2×|[IF]|とほぼ等しくなる。
続いて、動作条件判定部6eでは、抑制量をΣIとするとき、部分比率差動演算式|([IA]+[IB])|−K×ΣI≧Koが成立するかどうかを判定する。この部分比率差動演算式は、K=0.3の場合、|[IF]|−0.3×2×|[IF]|=0.4×|[IF]|≧Koとなる。
すなわち、([IF])の大きさは、検出感度を決めるKoよりも十分に大きいということになる。したがって、部分比率差動は動作傾向となる。つまり、動作条件判定Dは成立し、その上で、事故判定部6cの判定Zも成立した場合、第2の実施形態では、配電線区間内の事故と判定して、その結果を外部に出力する。
(2B−4)励磁突入電流発生時
次に、大きい励磁突入電流が発生した場合について説明する。励磁突入電流とは、配電線1を充電したときに負荷線7に流れる電流であり、これが顕著になるのは配電線1や負荷線7を充電した直後であって、時間の経過とともに減衰する現象であることは良く知られている。
A端子側外部に電源があり、配電線区間内の負荷線7に向かって励磁突入電流が流れる場合には、この励磁突入電流を[Ie]と表すと、この時、ベクトル加算値演算部6aの求めるベクトル加算値は、([IA]+[IB])=([Ie])となる。
励磁突入電流[Ie]には、第2高調波などの特定高調波成分(Id−2f)が予定の割合以上含まれるので、動作条件判定Dは成立しない。その結果、第2の実施形態では、配電線区間内の負荷線7に向かって励磁突入電流[Ie]が流れても、これを事故区間と誤って判定することはない。
また、A端子側外部に電源があり、B端子外部の他の配電線区間内の負荷線7に向かって、励磁突入電流が流れる場合には、このような励磁突入電流を[Ie]と表すと、配電線1の区間外事故の発生時と同じく、ベクトル加算値は、([IA]+[IB])=(−[Iαe])となる。
このとき、スカラー和演算部6dが求めるスカラー和ΣI=(|[IA]|+|[IB]|)は、{[IIαe]〜2×[Ie]}の近似値となる。ここで、{○〜○}で範囲を示し、左○は[Ie]がゼロの場合、右○は[Iαe]がゼロの場合を示している。[Iαe]は負荷線7からB端子外部に向かって流れる励磁突入電流である。部分比率差動演算は、[Iαe]がゼロの場合には通過電流となるので、不動作傾向になる。
一方、[Ie]がゼロの場合には、負荷線7からB端子に向かって流れる電流[Iαe]で、1端流出電流となるが、この励磁突入電流[Iαe]には第2高調波などの特定高調波成分(Id−2f)が予定の割合以上含まれるので、動作条件判定Dは成立しない。その結果、第2の実施形態では、B端子外部の他の配電線区間内の負荷線7に向かって励磁突入電流[Iαe]が流れても、これを事故区間と誤って判定することはない。
(2B−5)計器用変成器の特性が不揃いの場合
次に、A端子、B端子の計器用変成器3aの特性に不揃いがある場合について説明する。計器用変成器3aの特性不揃いの影響は、ベクトル加算値に現れる。その影響の大きさは、事故が無い場合には電流が小さく問題にならないが、事故電流が配電線区間を通過する場合に顕著となる。
抑制係数Kの値は、このような誤差を考慮して選定されるので、部分比率差動演算式|([IA]+[IB])|−K×ΣI≧Koは不動作となり、動作条件判定Dは成立しない。配電線1の区間内事故時にはベクトル加算値は、([IA]+[IB])=([IF])と大きく、計器用変成器の特性不揃いの影響は軽微であり、動作条件判定Dを誤らせることはない。その結果、計器用変成器の特性不揃いがあっても、事故区間と誤って判定することはない。
(2C)効果
上述のように、第2の実施形態によれば、上記第1の実施形態の持つ効果に加えて、励磁突入電流が大きい配電線1や、計器用変成器の特性不揃いがある配電線1であっても、動作条件判定Dを行うことで、負荷電流の影響を回避可能であり、配電線1の区間内事故と外部事故とを正確に弁別することが可能である。
(3)第3の実施形態
(3A−1)演算装置の構成
第3の実施形態の構成上の特徴は動作条件判定部6eにあり、前記第2の実施形態との相違点は、動作条件判定部6eにて動作条件判定Dを出すタイミングにある。このため、第3の実施形態の構成要素は、基本的に第2の実施形態のそれと同様である。
前記第2の実施形態では、まず部分比率差動演算が成立するかどうかを確認し、その後で、ベクトル加算値に特定高調波成分(Id−2f)が予定の割合以上含まれていないことを判定していた。つまり、第2の実施形態では部分比率差動演算の成立後に、特定高調波成分(Id−2f)の割合を確認し、動作条件判定Dを出している。
これに対して、第3の実施形態の動作条件判定部6eでは、ベクトル加算値に特定高調波成分(Id−2f)が予定の割合以上含まれていないことを、予め三相の全てについて判定するように構成している。つまり、動作条件判定部6eにより三相について特定高調波成分(Id−2f)の割合を確認することを先に行っている。
そして、一つの相にでも特定高調波成分(Id−2f)が予定の割合以上含まれていれば、励磁突入電流の発生を、即座に判定するようになっている。なお、上記の点以外の構成に関して、第3の実施形態は前記第2の実施形態と同様であるため、説明は省略する。
(3A−2)演算装置の演算処理
上述の演算装置6の演算処理について、図7のフロー図例を用いて具体的に説明する。第3の実施形態では、図6に示した第2の実施形態における特定高調波成分(Id−2f)の割合確認ステップS203を、ステップS300として最初に行う点に特徴がある。
なお、第3の実施形態において、これに続くステップS301〜ステップS308の8つのステップは、第2の実施形態におけるステップS200〜S202並びにS204〜S208の8つのステップと同様なので、以下では説明は省略する。
ステップS300では、ベクトル加算値演算部6aにてベクトル加算値([IAi]+[IBi])を演算する(以下、i=a、b、cである)。そして、動作条件判定部6eは、これらベクトル加算値の特定高調波成分(Id−2f(i))を演算で抽出し、(Id−2f(i))÷([IAi]+[IBi])として成分割合を計算する。
さらに、動作条件判定部6eは、計算した成分割合が予定の割合以上含まれていないかどうかを三相それぞれで判定する。三相のうち、一つ以上の相で、成分割合が予定以上の時に、「特定高調波成分が予定割合以上である」と判定する(ステップS300のYes)。
この場合には、事故判定処理に移行することなく、処理を終了する。 また、三相全ての相で、成分割合が予定未満であれば、「特定高調波成分が予定割合以上にならない」と判定する(ステップS300のNo)。この場合には、ab相、bc相およびca相の事故判定処理に順次、移行する。
(3B)作用
続いて、第3の実施形態における事故区間弁別の作用について説明する。第3の実施形態では、第2の実施形態と同じく、事故判定部6cの判定Zと、動作条件判定部6eの動作条件判定Dとが共に成立した時に、当該配電線区間内の事故と判定しており、事故判定部6cによる判定Zの作用に関しては上記第1の実施形態と同じである。
第3の実施形態では、動作条件判定Dについて、特定高調波成分が予定の割合以上含まれるかという判定を、第2の実施形態のように相ごとに実施するのではなく、予め三相分まとめて実施している。このため、動作条件判定Dの作用についても、「事故がない時」、「配電線の区間外事故時」、「配電線の区間内事故時」については、上記第2の実施形態と同じであって、「励磁突入電流発生時」ついてのみ異なる。そこで、以下、励磁突入電流発生時の作用について説明する。
(3B−1)励磁突入電流発生時
例えば、A端子側外部に電源があり、配電線区間内の負荷線7に向かって励磁突入電流が流れる場合には、この電流を[Ie]と表すと、この時、ベクトル加算値演算部6aの求めるベクトル加算値は、([IA]+[IB])=([Ie])となる。
励磁突入電流[Ie]には、第2高調波などの特定高調波成分(Id−2f)が予定の割合以上含まれるが、三相全てで成立するとは限らない。このような場合、上記第2の実施形態では、励磁突入電流があるにもかかわらず、特定高調波成分(Id−2f)が予定の割合以上含まれないと判定され、動作条件判定Dが成立することがあり得る。
これに対して、第3の実施形態では、特定高調波成分(Id−2f)が予定の割合以上含まれるか判定を、予め三相分まとめて実施することにより、励磁突入電流の発生を、より確実に検出することが可能である。また、A端子側外部に電源があり、配電線区間内の負荷線7に向かってではなく、B端子外部の他の配電線区間内の負荷線7に向かって励磁突入電流が流れる場合であっても、同様の作用がある。
(3C)効果
上述のように、第3の実施形態によれば、第2の実施形態の持つ効果に加えて、次のような独自の効果がある。すなわち、励磁突入電流を確実に検出することで、励磁突入電流の発生を区間内事故として誤判定することはない。これにより、事故区間の弁別精度をより高めることができる。
(4)第4の実施形態
(4A)構成
第4の実施形態は、非接地や高抵抗接地の配電線1の一線地絡事故の弁別に適用することを考慮したものである。この第4の実施形態と上記第1の実施形態との相違は、演算装置6の演算内容であり、その他の部分に関しては同一の構成を有している。このため、第1の実施形態と同じ部分については同一符号を付して説明は省略する。
(4A−1)演算装置の構成
図8の構成図に示すように、第4の実施形態における演算装置6には、ベクトル加算値演算部6aが設けられており、それに加えて、位相・大きさ演算部6fと、地絡事故判定部6gとが設けられた点に特徴がある。
位相・大きさ演算部6fでは、計器用変成器3bの出力電圧とベクトル加算値を用いて、出力電圧または出力電圧から合成された電圧(ベクトル量)とベクトル加算値(ベクトル量)の位相と大きさの関係の演算を行う部分である。また、地絡事故判定部6gは位相・大きさ演算部6fの演算結果から一線地絡事故の発生を判定する部分である。これら位相・大きさ演算部6f、地絡事故判定部6gは、内蔵されたソフトウエアに従って演算処理を行うことで実現される。
ここで、二つのベクトル量U、Vの位相と大きさの関係を、U^Vと表記することにすると、A端子の電圧を用いたとき(この場合にB端子の電圧を計測する計器用変成器3bは必ずしも必要ない)は、([VA]^([IA]+[IB]))と表記される。また、B端子の電圧を用いたとき(この場合にA端子の電圧を計測する計器用変成器3bは必ずしも必要ない)は、(([VB]^([IA]+[IB]))と表記される。
さらに、両端子A、Bの電圧の加重平均を用いたときは((m[VA]+n[VB])^([IA]+[IB]))と表記される。例えば、m + n=1とし、m = n=0.5の場合は、両端子電圧の平均電圧となる。また、両端子A、Bの電圧のうち大きい方を用いたときは、((max([VA]、[VB]))^([IA]+[IB]))と表記される。また、両端子A、Bの電圧のうち小さい方を用いたときは、((min([VA]、[VB]))^([IA]+[IB]))と表記される。
地絡事故判定部6gでは、位相・大きさ演算部6fによる演算で得られた位相と大きさの関係、例えば((m[VA]+n[VB])^([IA]+[IB]))が、予定の関係を満たすか否かを、直ちに、または予定時間をかけて判定して、満たす場合には当該配電線区間内の地絡事故と判定して、その結果を外部に出力する。
つまり、地絡事故判定部6gでは、両端子A、Bの電圧を基準にして、ベクトル加算値(ベクトル量)が所定の位相と大きさの関係を満たすかどうかが、判定材料となる。このように、電圧を基準にして電流が所定の位相と大きさの関係を満たすか否かを判定する代表的な保護継電器としては、方向継電器が知られている。方向継電器は、電圧を基準にした複素平面に動作特性を図示するのが一般的である。このため、第4の実施形態においても、方向継電器に倣い、複素平面に動作特性を図9に示す。
図9は演算装置6の地絡事故判定部6gにおける動作特性の一例であり、電流ベクトルが特性線の右上の領域内に入った場合に、直ちに、または予定時間(例えば、事故の自然消滅などが期待できる時間経過)後に、当該配電線区間内の事故と弁別するものである。なお、方向継電器で既に広く知られているように、動作特性はこれに限らず、円や線分を組み合わせて、合目的の特性や形状を自在に作ることが容易に可能である。なお、電圧基準は慣例に従い、−Voとして描いている。
(4A−2)演算装置の演算処理
上述の演算装置6の演算処理フロー図を図10に示す。図10は地絡事故判定用の演算処理フローであり、これに適するように、零相電流3Io=Ia+Ib+Icと零相電圧3Vo=Va+Vb+Vc(ここでのa、b、cは相名、oは零相)を用いて具体的に記述している。
国内の高圧配電系統に多い非接地系統では、計器用変成器3aには零相電流を直接検出する零相計器用変成器ZCTが設けられ、計器用変成器3bには零相電圧を直接検出する零相計器用変成器GPTが設けられている。これらZCTおよびGPTを利用することにより、直接に零相電流3Ioと零相電圧3Voを得ることができる。
図10に示すように、演算装置6では、まずデータの準備として、両端子A、Bの零相電流3Ioと零相電圧3Voを準備する(ステップS400)。図10のステップS400では、[IA]=[3IAo]、[IB]=[3IBo]、[VA]=[3VAo]、[VB]=[3VBo]とする。
次に、ベクトル加算値演算部6aにてベクトル加算値を演算し、[IA]+[IB]を導く(ステップS401)。さらに、位相・大きさ演算部6fでは、計器用変成器3bの出力電圧とベクトル加算値を用いて、出力電圧または出力電圧から合成された電圧(ベクトル量)とベクトル加算値(ベクトル量)の位相と大きさの関係の演算を行う。ここでは、両端子A、Bの電圧の加重平均を用いて、((m[VA]+n[VB])^([IA]+[IB]))を求める(ステップS402)。
続くステップS403では、位相・大きさ演算部6fにて得られた位相と大きさの関係、ここでは((m[VA]+n[VB])^([IA]+[IB]))が、予定の関係を満たすか否かについて、直ちに、または予定時間をかけて、地絡事故判定部6gが判定する。そして、所定条件を満たせば(ステップS403のYes)、ステップS404に移行する。ステップS404では地絡事故判定部6fが地絡事故であるという判定を下して、必要な出力処理を行う。
また、地絡事故判定部6gが位相と大きさの関係が所定条件を満たしていないと判定すれば(ステップS403のNo)、必要な出力処理を行うことなく、次の処理に移行する。なお、演算装置6の地絡事故判定部6gの出力は、第1の実施形態の事故判定部6cの出力と同じく、実施形態の利用目的に応じて、種々使用される。
(4B)作用
(4B−1)零相電流および零相電圧とベクトル加算値の計算
続いて、第4の実施形態の作用について説明する。例えば、配電線1のA端子側外部に図示しない電源が接続されて、配電線1が運転されている状態で、一線地絡事故が発生すると、以下のような事象が発生する。ここでは、第4の実施形態の事故弁別で使用する、零相電流[3IAo]、 [3IBo]、零相電圧[3VAo]、[3VBo]について説明する。
(4B−1−1)事故がない時のベクトル加算値
事故がなく、A端子側外部に電源があり、自区間の負荷線7とB端子の外部の負荷に電力を送っている場合、負荷線7に向かって流れる零相電流を[Iγ]、B端子外部の負荷に流れる零相電流[Iβ]とすると、[IA]=[Iγ]−[IB]、[IB]=[Iβ]である。したがって、事故がない時、ベクトル加算値演算部6aの求めるベクトル加算値は、([IA]+[IB])=([3IAo]+[3IBo])=([Iγ])となる。
配電線1と負荷線7の間には電力用変圧器があり、ここで零相回路が切られるので、配電線1から負荷線7には零相電流は供給されない。したがって、([Iγ])は無視することができ、ベクトル加算値は([IA]+[IB])はほぼゼロとなる。ただし、配電線区間内の対地静電容量に流れる零相電流があるので、ベクトル加算値は完全にはゼロにはならない。
(4B−1−2)配電線の区間外事故時のベクトル加算値
A端子側外部に電源があり、B端子側の外部で事故が発生すると、事故電流がA端子からB端子へと配電線1を通過して流れる。このとき、負荷線7に起電力があると、負荷線7の電流がB端子に向かって流れる。
負荷線7からB端子に向かって流れる電流を[Iα]とすると、[IA]+[Iα]=−[IB]となる。したがって、配電線1の区間外事故時、ベクトル加算値演算部6aの求めるベクトル加算値は、([IA]+[IB])=(−[Iα])となる。
配電線1は配電用変電所のみで接地されており(非接地配電線においても、GPT3次回路の抵抗によって、等価的に数十キロオームで接地されている)、他では接地されない。このため、1線地絡時には負荷線から配電線に零相電流は流れない。したがって、(−[Iα])は無視することができ、ベクトル加算値は([IA]+[IB])はほぼゼロとなる。ただし、配電線区間内の対地静電容量からB端子に流れ出す零相電流があるので、ベクトル加算値は完全にはゼロにはならない。
(4B−1−3)配電線の区間内事故時のベクトル加算値
A端子側外部に電源があり、配電線1の区間内で事故が発生すると、事故電流はA端子から配電線区間内の事故点に向かって流れる。このとき、負荷線7に起電力があると、負荷線7の電流が事故点に向かって流れるが、この電流はA端子、B端子の計器用変成器3aには流れない。事故点電流を[IF]と表すと、ベクトル加算値演算部6aの求めるベクトル加算値は、([IA]+[IB])=([3IAo]+[3IBo])=([IF])となる。
(4B−2)電圧と電流の大きさと位相の関係
さて、第4の実施形態では、位相・大きさ演算部6fの求める電圧と電流の大きさと位相の関係、例えば((m[VA]+n[VB])^([IA]+[IB]))によって、当該配電線内区間の事故を弁別している。そこで、電圧と電流の大きさと位相の関係がどのようになるかを具体的に述べる。
健全時や事故時における方向継電器の応動については広く知られている。零相電圧と零相電流を用いるものに地絡方向継電器がある。地絡方向継電器とは、零相電圧を基準にした、零相電流の方向によって、事故方向を判別するものである。
一般的な地絡方向継電器と、第4の実施形態の違いは、使用する電流量にある。すなわち、地絡方向継電器が設置された端子の電流そのものを使用しているのに対して、第4の実施形態では、上述したように、複数の計器用変成器3aの出力電流の零相電流のベクトル加算値を使用している。
以下、第4の実施形態における零相電流の方向の様相について、健全時と事故時(配電線の区間外または区間内)に分けて、図11を参照して説明する。図11は、第4の実施形態における零相電流方向の健全時や事故時の様相をベクトル表現で纏めて表現したものであって、ここでは、A端子外部に電源がある場合について、零相電流・零相電圧を用いた地絡事故の事故区間弁別に関して説明する。
(4B−2−1)事故がない時
前述したように、事故がない時、零相電流のベクトル加算値は、ほぼゼロであり、配電線区間の静電容量に流れる零相電流程度である。また、零相電圧についても、わずかな残留電圧しかない。すなわち、事故がない時のベクトル([IA]+[IB])は、図11に示した範囲にある。
(4B−2−2)配電線の区間外事故時
配電線1の区間外に事故が発生した時、ベクトル加算値はほぼゼロで、配電線区間の静電容量から流れ出る零相電流程度である。すなわち、区間外事故時のベクトル([IA]+[IB])は図11に外部事故と示した範囲にある。
(4B−2−3)配電線の区間内事故時
前述のように、配電線1の区間内に事故が発生した時、ベクトル加算値は([IA]+[IB])=([IF])である。事故点零相電流は、接地抵抗器から供給される抵抗分電流と、配電線全体の対地静電容量から供給される容量性電流の和である。すなわち、ベクトル([IA]+[IB])は図11に内部事故と示した範囲にある。
上記図9は第4の実施形態の動作特性の一例であって、ベクトル加算値が特性線の右上の領域に入った場合に直ちに、または予定時間後に、当該配電線区間内の事故と弁別するものであることは既に述べた。そこで、図9の動作特性を適切に整定すると(図11にて破線で示す)、図11のうち、内部事故のベクトルのみを、特性範囲内にすることが容易に可能である。このとき、演算装置6は区分配電線内の一線地絡事故を弁別することができる。
(4C)効果
上述のように、第4の実施形態によれば、多数の負荷線7が接続された配電線1について、負荷線7に計器用変成器3a、3bを設置する必要が無く、需要家側に特別な追加設備を設けることを必要とせず、しかも負荷電流の影響を排除した上で、配電線区間内事故と外部事故を弁別することができる。さらに、第4の実施形態では、非接地や高抵抗接地の配電線1に関して、一線地絡事故を的確に弁別することが可能である。
(5)他の実施形態
なお、上記の実施形態の構成要素は、動作特性などを含めて適宜変更可能である。例えば、図1は説明を簡略にするために、配電線1の構成を、A端子、B端子の2つの区分開閉器2に接続される配電線1としているが、これに限らず、3つ以上の区分開閉器または遮断器などに接続される配電線1であっても構わない。
具体的には、区分開閉器2が3つ以上の場合には、区分開閉器2の増設に応じて、計器用変成器3a、3b、変換器4の台数を増やし、収集器5はすべての変換器3のディジタルデータを収集するように構成する。このとき、ベクトル加算値は([IA]+[IB]+・・・)、インピーダンス値は、例えば、全端子の電圧を用いたときは、((m[VA]+n[VB]+・・・)/([IA]+[IB]+・・・))となり、例えば、m +n+・・・ =1とする。また、本発明に係る配電線路の事故弁別手段は、配電制御システム(配電子局)、保護リレーシステム(保護リレー)などに手段として組み込まれる等、さまざまなシステムに適用可能である。
1…配電線
2…区分開閉器
3a、3b…計器用変成器
4…変換器
5…収集器
6…演算装置
6a…ベクトル加算値演算部
6b…インピーダンス値演算部
6c…事故判定部
6d…スカラー和演算部
6e…動作条件判定部
6f…位相・大きさ演算部
6g…地絡事故判定部
7…負荷線

Claims (4)

  1. 区分開閉器または遮断器等で区切られた配電線区間の事故を弁別する手段において、少なくとも、区分開閉器または遮断器等それぞれに併設または近傍に設置された計器用変成器(CT)と必要により設置された計器用変成器(VT)と、計器用変成器の出力をディジタル量に変換する変換器と、変換器の出力されたディジタル量を伝送し収集する収集器と、収集器にて収集された前記ディジタル量に所定の演算を行なって、配電線区間の事故を弁別する演算装置からなり、演算装置は、少なくとも、1)複数の計器用変成器の出力電流のベクトル和電流を計算する第1の演算、2)計器用変成器の出力電圧と前記のベクトル和電流を用いて、インピーダンス値の演算を行う第2の演算、3)演算の結果得られたインピーダンス値が所定の位相と大きさの関係を満たす時に、当該配電線区分内の事故と判定する第3の演算、を行うことを特徴とする配電線路の事故区間弁別手段。
  2. 区分開閉器または遮断器等で区切られた配電線区間の事故を弁別する手段において、少なくとも、区分開閉器または遮断器等それぞれに併設または近傍に設置された計器用変成器(CT)と必要により設置された計器用変成器(VT)と、計器用変成器の出力をディジタル量に変換する変換器と、変換器の出力されたディジタル量を伝送し収集する収集器と、収集器にて収集された前記ディジタル量に所定の演算を行なって、配電線区間の事故を弁別する演算装置からなり、演算装置は、少なくとも、1)複数の計器用変成器の出力電流のベクトル和電流と抑制量を計算する第1の演算、2)計器用変成器の出力電圧と前記のベクトル和電流を用いて、インピーダンス値の演算を行う第2の演算、3)演算の結果得られたインピーダンス値が所定の位相と大きさの関係を満たし、ベクトル和電流と抑制量の大きさが所定の関係を満たし、ベクトル和電流の特定の高調波成分とベクトル和電流が所定の関係を満たす時に、当該配電線区分内の事故と判定する第3の演算、を行うことを特徴とする配電線路の事故区間弁別手段。
  3. 区分開閉器または遮断器等で区切られた配電線区間の事故を弁別する手段において、少なくとも、区分開閉器または遮断器等それぞれに併設または近傍に設置された計器用変成器(CT)と必要により設置された計器用変成器(VT)と、計器用変成器の出力をディジタル量に変換する変換器と、変換器の出力されたディジタル量を伝送し収集する収集器と、収集器にて収集された前記ディジタル量に所定の演算を行なって、配電線区間の事故を弁別する演算装置からなり、演算装置は、少なくとも、三相の全てにおいて、ベクトル和電流の特定の高調波成分とベクトル和電流が所定の関係を満たす時に、1)複数の計器用変成器の出力電流のベクトル和電流と抑制量を計算する第1の演算、2)計器用変成器の出力電圧と前記のベクトル和電流を用いて、インピーダンス値の演算を行う第2の演算、3)演算の結果得られたインピーダンス値が所定の位相と大きさの関係を満たし、ベクトル和電流と抑制量の大きさが所定の関係を満たす時に、当該配電線区分内の事故と判定する第3の演算、を行うことを特徴とする配電線路の事故区間弁別手段。
  4. 区分開閉器または遮断器等で区切られた配電線区間の事故を弁別する手段において、少なくとも、区分開閉器または遮断器等それぞれに併設または近傍に設置された計器用変成器(CT)と必要により設置された計器用変成器(VT)と、計器用変成器の出力をディジタル量に変換する変換器と、変換器の出力されたディジタル量を伝送し収集する収集器と、収集器にて収集された前記ディジタル量に所定の演算を行なって、配電線区間の事故を弁別する演算装置からなり、演算装置は、少なくとも、1)複数の計器用変成器の出力電流のベクトル和電流を計算する第1の演算、2)計器用変成器の出力電圧と前記のベクトル和電流を用いて、出力電圧または出力電圧から合成された電圧とベクトル和電流の位相と大きさの関係の演算を行う第2の演算、3)演算の結果得られた位相と大きさの関係が予定の関係を満たす時に、当該配電線区分内の事故と判定する第3の演算、を行うことを特徴とする配電線路の事故区間弁別手段。
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