JP2010055855A - 非水電解質二次電池用電極材、非水電解質二次電池用電極及びそれを用いた非水電解質二次電池 - Google Patents

非水電解質二次電池用電極材、非水電解質二次電池用電極及びそれを用いた非水電解質二次電池 Download PDF

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Abstract

【課題】放電容量が高く、レート特性、サイクルに優れた非水電解質二次電池を提供し得る非水二次電池用電極材及び非水電解質二次電池用電極と、これらを用いた非水電解質二次電池を提供すること。
【解決手段】TiO(B)及び/又はその元素置換体を含む電極材であって、該電極材を用いて作製された電極が、要件(イ)及び/又は(ロ)を満たす非水電解質二次電池用電極材。
(イ)該電極材を用いた電極の、式(1)で規定されるX線積分強度比Xab値が2.3以下である。
ab値=IA/IB・・・(1)
A:(003)面起因のピークAの積分強度
B:(−601)面起因のピークBの積分強度
(ロ)該電極材を用いた電極の、式(2)で規定されるX線積分強度比Xac値が33以下である。
ac値=IA/IC・・・(2)
A:(003)面起因のピークAの積分強度
C:(110)面起因のピークCの積分強度
【選択図】図3

Description

本発明は、非水電解質二次電池用電極材、非水電解質二次電池用電極及びそれを用いた非水電解質二次電池に関する。
近年、電気自動車やロードレーベリング用等の電源として大型の二次電池が要望されており、特に、ニッケル・カドミウム、ニッケル・水素電池に比べ、よりエネルギー密度の高い非水溶媒系リチウム二次電池が注目されてきている。
リチウム二次電池の負極材料としては、これまで黒鉛等が検討されている。黒鉛はサイクル特性に優れ、電極膨張が小さく、かつ安価であるために使用されてきた。しかしながら、黒鉛からなる負極材料は、大型二次電池の特性として重要な項目の一つである高入出力特性が低いという課題がある。そこで、近年は黒鉛負極の代わりに、入出力特性に優れるスピネル型構造を有するチタン酸リチウム(以下適宜、「LiTi12」と略す場合がある)等の検討がなされている。特に、チタン酸リチウムは、レート特性(入出力特性)に優れ、かつサイクル特性にも優れているので、負極としての研究が数多く試みられている。しかしながら、チタン酸リチウムの理論容量は、175mAh/gと、現行の黒鉛系負極の理論容量372mAh/gに比べて小さく、より高容量、高入出力なチタン酸化物系負極材の開発が望まれている。
こうした中で非特許文献1には、アナターゼ型酸化チタン粒子に水酸化ナトリウム水溶液中で水熱処理を施した後、イオン交換することで層状構造のチタン酸化物であるTiO(B)負極材粉末とし、レート特性に優れた負極材を得ることが記載されている。
また、特許文献1には、非特許文献1と同様に、アナターゼ型酸化チタン粒子に水酸化ナトリウム水熱処理を施した後にイオン交換すること、又はTiO粒子を炭酸セシウム若しくは硝酸カリウムと、混合、焼成することで、TiO(B)構造を持つ負極材粉末とし、レート特性に優れた負極材を得ることが記載されている。
また、特許文献2には、TiO粒子を炭酸セシウム又は硝酸カリウムと、混合、焼成することで、ミクロンサイズの等方的な形状を有するTiO(B)負極材粉末とし、優れた初期効率を持つ負極材を得ることが記載されている。
WO2006/033069号公報 特開2008−117625号公報 G.Armstrong and P.G.Bruce, Electrochem.Solid-State Lett. 9,A139-A143(2006)
前述の通り、近年の電池に対する更なる高入出力化の必要性の増大に伴い、容量が高く、高入出力であるチタン酸化物系負極材の活用が望まれているが、例えば、高容量化の可能な層状構造を有するチタン酸化物系負極材ではサイクル特性が低下し易いといった問題がある。従って、例えば、リチウム二次電池の更なる高容量化や高出力化、サイクル特性の向上等において、チタン酸化物極板のリチウムイオンの移動を速くする工夫が強く求められている。
非特許文献1に開示されるチタン酸化物の負極材粉末の場合、ナノチューブ、ナノワイヤー状の形状を有することで、リチウム二次電池としたときに高容量を示すTiO(B)が得られるとしている。
また、特許文献1に開示されるチタン酸化物の負極材粉末の場合、高容量を示すTiO(B)を開示している。
また、特許文献2に開示されるチタン酸化物の負極材粉末の場合、主成分が等方的な粒子形状を有するTiO(B)活物質を製造し、リチウム二次電池としたときに高容量で、高い信頼性の電池を作製できるとしている。
しかしながら、上記の公知文献では、TiO(B)を用いた電極に、特定の電極配向性を持たせることにより、電池の特性、特にサイクル特性を向上させることについては、検討されていなかった。例えば、非特許文献1に記載のTiO(B)では、ナノワイヤー、ナノチューブとすることで、X線回折測定(XRD)チャートからも結晶性の低下が見られ、本願発明のような特定の配向性を確認することはできない。
また、特許文献1に記載のTiO(B)において、サイクル特性は不十分であるという問題がある(特許文献1と同様の方法で合成したTiO(B)についての後記比較例1参照)。このTiO(B)を用いた電極では、電極配向性が必ずしも十分ではないからと考えられる。
更に、特許文献2に記載のTiO(B)では、主成分の粒子形状が等法的な形状であるため、このTiO(B)を用いた電極は、十分な選択的な配向性を持つことはない。
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、放電容量が高く、レート特性、サイクルに優れた非水電解質二次電池を提供し得る非水二次電池用電極材及び非水電解質二次電池用電極と、これらを用いた非水電解質二次電池を提供することを目的とする。
本発明者は、特定のチタン酸化物を活物質とする電極について鋭意検討した結果、電極にした際に一定の配向性をもつ活物質を使用して電極を形成し、Liの拡散方向を電極表面に向けることで、レート特性、サイクル特性を向上させた、チタン酸化物を活物質とする電極を見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、TiO(B)及び/又はその元素置換体を含む電極材であって、該電極材を用いて作製された電極が以下の要件(イ)及び/又は(ロ)を満たすことを特徴とする非水電解質二次電池用電極材を提供するものである。
(イ)TiO(B)及び/又はその元素置換体を含む電極材を用いた電極の、下記式(1)で規定されるX線積分強度比Xab値が2.3以下である。
ab値=IA/IB・・・(1)
A:電極のX線回折測定において、(003)面起因のピークAの積分強度
B:電極のX線回折測定において、(−601)面起因のピークBの積分強度
(ロ)TiO(B)及び/又はその元素置換体を含む電極材を用いた電極の、下記式(2)で規定されるX線積分強度比Xac値が33以下である。
ac値=IA/IC・・・(2)
A:電極のX線回折測定において、(003)面起因のピークAの積分強度
C:電極のX線回折測定において、(110)面起因のピークCの積分強度
また、本発明は、TiO(B)及び/又はその元素置換体を含む電極材であって、以下の要件(ハ)を満たすことを特徴とする非水電解質二次電池用電極材を提供するものである。
(ハ)TiO(B)及び/又はその元素置換体を含む電極材の、下記式(3)で規定されるX線積分強度比Xab値が0.85以下である。
ab値=IA/IB・・・(3)
A:電極材のX線回折測定において、(003)面起因のピークAの積分強度
B:電極材のX線回折測定において、(−601)面起因のピークBの積分強度
また、本発明は、電極活物質として上記の電極材を含むことを特徴とする非水電解質二次電池用電極を提供するものである。
また、本発明は、TiO(B)及び/又はその元素置換体を含む電極材を用いた電極であって、以下の要件(イ)及び/又は(ロ)を満たすことを特徴とする非水電解質二次電池用電極を提供するものである。
(イ)TiO(B)及び/又はその元素置換体を含む電極材を用いた電極の、下記式(1)で規定されるX線積分強度比Xab値が2.3以下である。
ab値=IA/IB・・・(1)
A:電極のX線回折測定において、(003)面起因のピークAの積分強度
B:電極のX線回折測定において、(−601)面起因のピークBの積分強度
(ロ)TiO(B)及び/又はその元素置換体を含む電極材を用いた電極の、下記式(2)で規定されるX線積分強度比Xac値が33以下である。
ac値=IA/IC・・・(2)
A:電極のX線回折測定において、(003)面起因のピークAの積分強度
C:電極のX線回折測定において、(110)面起因のピークCの積分強度
また、本発明は、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な正極及び負極並びに電解質を備える非水電解質二次電池において、該電極(該正極及び/又は該負極)が、上記の非水電解質二次電池用電極であることを特徴とする非水電解質二次電池を提供するものである。
本発明によれば、放電容量が高く、サイクル特性、レート特性に優れた高性能の非水二次電池を安定して効率的に実現することができる。
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の説明に制限されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変形して実施することができる。
[1]非水電解質二次電池用電極材
本発明の非水電解質二次電池用電極材は、以下の要件(1)又は(2)を満たすものである。
(1)TiO(B)及び/又はその元素置換体を含む電極材であって、該電極材を用いて作製された電極が以下の要件(イ)及び/又は(ロ)を満たすことを特徴とする非水電解質二次電池用電極材。
(イ)TiO(B)及び/又はその元素置換体を含む電極材を用いた電極の、下記式(1)で規定されるX線積分強度比Xab値が2.3以下である。
ab値=IA/IB・・・(1)
A:電極のX線回折測定において、(003)面起因のピークAの積分強度
B:電極のX線回折測定において、(−601)面起因のピークBの積分強度
(ロ)TiO(B)及び/又はその元素置換体を含む電極材を用いた電極の、下記式(2)で規定されるX線積分強度比Xac値が33以下である。
ac値=IA/IC・・・(2)
A:電極のX線回折測定において、(003)面起因のピークAの積分強度
C:電極のX線回折測定において、(110)面起因のピークCの積分強度
(2)TiO(B)及び/又はその元素置換体を含む電極材であって、以下の要件(ハ)を満たすことを特徴とする非水電解質二次電池用電極材。
(ハ)TiO(B)及び/又はその元素置換体を含む電極材の、下記式(3)で規定されるX線積分強度比Xab値が0.85以下である。
Xpab値=IpA/IpB・・・(3)
IpA:電極材のX線回折測定において、(003)面起因のピークAの積分強度
IpB:電極材のX線回折測定において、(−601)面起因のピークBの積分強度
本発明におけるX線強度比、Xab値、Xac値、Xab値について説明する。X線積分強度比、Xab値、Xac値、Xab値は、以下のX線回折測定を用いて求めて、上記式(1)、(2)、(3)のように定義される。
<X線回折測定>
X線回折測定は、試料が電極の場合は図1のように電極をセットし、試料が電極材の場合は、粉末である電極材を専用の試料ホルダにセットし、粉末X線回折装置を用いて測定する。測定方法と測定条件については、後述の実施例において示す通りである。
なお、以下に記載する「電極の調製方法」は、電極材を特定するためだけのものであって、本発明の電極材は、下記1点の電極にのみ用いられるものではない。すなわち、下記した測定用のモデル電極は、電極材の特性を規定するためのものであって、本発明の電極材は、下記のモデル電極にのみ用いられるものではないことは勿論、下記のモデル電極のような2032コインタイプの(電池の)電極にのみ用いられるものでもなく、如何なる電極、電池にも用いられるものである。
本発明の「TiO(B)及び/又はその元素置換体を含む電極材」を、電極のX線回折によって特定するための電極は、電極材の粉末70質量部、カーボンブラック20質量部、及び、ポリテトラフルオロエチレン10質量部を乳鉢中で混合し、得られた混合物を引き伸ばした後、φ9mmの径に打ち抜き、電極の充填密度が1.5〜3.8g/ccになるようにプレスすることによって得る。このようにして得た電極を、X線回折測定に供したときに、要件(イ)及び/又は(ロ)を満たすような電極を与える電極材が本発明の電極材である。電極の調製方法の詳細は実施例に記載した通りである。
ここで、IA又はIAは(003)面に由来するピークA(2θ=43.2度)の強度であり、IB又はIBは(−601)面に由来するピークB(2θ=44.5度)の強度であり、ICは(110)面に由来するピークB(2θ=24.9度)の強度であり、X線積分強度比Xab値、Xac値とは電極の厚み方向に対するB相構造のLiイオン拡散面である(001)面の配向をあらわす指標である。例えば、電極の厚み方向に対して垂直に存在している(001)面が多いほどXab値、Xac値は大きな値となり、電極の厚み方向に対して平行に存在している(001)面が多く、電極の厚み方向に対して平行に存在している(−601)面が多い場合にXab値は小さな値となり、また電極の厚み方向に対して平行に存在している(001)面が多く、電極の厚み方向に対して平行に存在している(110)面が多い場合にXac値は小さな値となる。
本発明の電極は、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な正極及び負極、並びに電解質を備えたリチウム二次電池等の非水電解質二次電池における電極活物質として極めて有用である。例えば、負極として本発明の電極を使用し、通常使用されるリチウム二次電池用の金属カルコゲナイド系正極及びカーボネート系溶媒を主体とする有機電解液を組み合わせて構成した非水電解質二次電池は、容量が大きく、レート特性に優れ、サイクル後の電極膨張が抑制され、大型電池や車載用の電池として極めて優れたものである。
<TiO(B)>
本発明における「TiO(B)」とは、空間群C2/mに属する結晶構造を持つTiOのことを意味し、TiO(B)は、層状構造を有するTiOの一種である。また、β−TiOと呼ばれることもある。TiO(B)は、CuKαのX線回折パターンにおいて、14.2°、15.2°、24.9°、28.6°付近に回折ピークを有する。
<TiO(B)の元素置換体>
本発明における「TiO(B)の元素置換体」とは、Tiを他の元素で一部置換した化合物のことをいい、少なくとも、Ti、O、元素Mから構成され、かつB相構造を有するものである。ここで「B相構造」とは、TiO(B)と同様の原子配置からなる類似の結晶構造を指し、その空間群がC2/m以外に変化したものも含む。
以下の方法で規定される「Ti元素と元素Mの原子比率M/Ti」は、通常0.01以上、好ましくは0.03以上、更に好ましくは0.05以上、特に好ましくは0.08以上で、また、通常0.5以下、好ましくは0.45以下、更に好ましくは0.40以下、特に好ましくは0.35以下である。
本発明の電極材の原子比率M/Tiは、以下のエネルギー分散型X線分析(EDX)や誘導プラズマ型発光分光分析(ICP−AES)や原子吸光分析等から求められ、次のように定義される。何れか1種で測定した値が上記範囲に入っていれば好ましい。
[EDX測定から求める方法]
エネルギー分散型X線分析装置(例えば、サーモフィッシャーサイエンティフィック社製「NORAN VANTAGE」)を用い、本発明の電極材を試料台に載せ、加速電圧20KeVで検出された元素Mに相当するピーク(例えば、Na−Kα、K−Kα、Cs−Lα、Rb−Lα)とTi元素に相当するピーク(Ti−Kα)から、元素Mの割合とTi元素の割合を算出し原子比率M/Tiを求める。この時、元素Mが複数検出される場合は、各元素の割合を算出、合算し元素Mの割合とし原子比率M/Tiを求める。
[ICP−AES測定と原子吸光分析から求める方法]
(誘導プラズマ型発光分光測定)
誘導プラズマ型発光分光測定としては、誘導結合プラズマ発光分光分析装置(例えば、JOBIN YVON社製「Ultima 2C」)を用い、ICP−AES測定を実施する。ここで、測定前処理として硫酸中に負極材粉末を加え分解を行い、その後、硝酸を加え加熱分解を行い、更に過酸化水素を加え加熱分解を行い、濃度調整後、測定溶液として用いる。
(原子吸光分光測定)
原子吸光分光測定としては、原子吸光分光光度計(バリアン テクノロジーズ ジャパン リミテッド社製「SpectraAA 220」)にて、ICP測定と同様の前処理を施した測定溶液を用い原子吸光分光測定を行なう。
前述のICP−AES測定、又は原子吸光分光測定を用いて検出したピークから、検量線を用いて元素MやTi元素の濃度を算出し、原子比率M/Tiを求める。この時、元素Mが複数検出される場合は、各元素の割合を算出、合算し元素Mの割合とし原子比率M/Tiを求める。
<元素M>
元素Mは特に限定はないが、H、P、B、Zr、Hf、V、Nb又はTaが好ましい。ここで、本発明における「元素M」は、チタン酸化物中に存在している元素のことであり、例えば、チタン酸化物表面に付着している塩(NaCl、KCl等)等の元素は含まれない。チタン酸化物表面に付着している塩は、例えば水溶液中で洗浄することで簡単に除去できる。
<TiO(B)又はその元素置換体を含む電極材のX線積分強度比Xab値>
本発明のチタン酸化物電極材の粉末について、X線回折測定法により測定したX線積分強度比Xab値は、通常0.85以下、好ましくは0.8以下、特に好ましくは0.7以下である。Xab値がこの範囲を上回ると、電極の厚み方向に対して平行に存在している(001)面が少なくなり、優れたレート特性、サイクル特性が得難くなる。Xab値の下限値は通常0以上である。
<TiO(B)又はその元素置換体を含む電極材を活物質とする電極のX線積分強度比Xab値、Xac値>
本発明のTiO(B)又はその元素置換体を含む電極材を活物質とする電極について、X線回折測定法により測定したX線強度比Xab値は、通常2.3以下、好ましくは2.1以下、更に好ましくは1.9以下、特に好ましくは1.7以下である。またX線回折測定法により測定したX線積分強度比Xac値は、通常33以下、好ましくは30以下、特に好ましくは27以下である。Xab値、Xac値がこの範囲を上回ると、電極の厚み方向に対して平行に存在している(001)面が少なくなり、優れたレート特性、サイクル特性が得難くなる。Xab値、Xac値の下限値は通常0以上である。
X線積分強度比Xab値、Xac値は、前述のX線回折測定法等により求めることができる。
要件(イ)は、「TiO(B)及び/又はその元素置換体を含む電極材を用いた電極の、上記式(1)で規定されるX線積分強度比Xab値が2.3以下」であるが、本発明の前記効果をより奏するために、Xab値は、好ましくは2.1以下、更に好ましくは1.9以下、特に好ましくは1.7以下である。
要件(ロ)は、「TiO(B)及び/又はその元素置換体を含む電極材を用いた電極の、上記式(2)で規定されるX線積分強度比Xac値が33以下」であるが、本発明の前記効果をより奏するために、Xab値は、好ましくは30以下、特に好ましくは27以下である。
要件(ハ)は、「TiO(B)及び/又はその元素置換体を含む電極材の、下記式(3)で規定されるX線積分強度比Xab値が0.85以下」であるが、本発明の前記効果をより奏するために、Xab値は、好ましくは0.8以下、特に好ましくは0.7以下である。
本発明の非水電解質二次電池用電極材は、上記要件(1)又は(2)を満たすものであるが、好ましくは、上記要件(1)及び(2)を満たすものである。すなわち、TiO(B)及び/又はその元素置換体を含む電極材であって、該電極材を用いて作製された電極が、要件(イ)及び/又は(ロ)を満たし、かつ要件(ハ)を満たす電極材が、本発明の前記効果をより奏するために特に好ましい。
TiO(B)又はその元素置換体は、異方的な粒子形状を有することが、電極の厚み方向に対する配向性が強いために、本発明の前記効果をより奏することになるために好ましい。ここで、「異方的な粒子形状」とは、走査型電子顕微鏡(以下、「SEM」と略記する)で観察して、球状ではなく細長い形状をいい、細長い形状の長い方の長さを短い方の長さで割った値Qが、1.8以上のものをいう。Qは、配向性の点から、好ましくは2.5以上、特に好ましくは4以上である。
<作用・原理>
本発明の電極材を用いた電極又は本願発明の電極を用いたリチウム二次電池が、サイクル特性が良好となる理由は、明らかでないが、下記のように推察される。すなわち、本願発明の電極材を用いた電極又は本願発明の電極が上記のような特定のX線回折のピークを有する場合、Liイオン拡散面である(001)面が電極の厚み方向に対して平行に多く存在しているため、Liイオンの拡散が容易となり、リチウム二次電池とした際のサイクル特性を向上させると推察される。また、特に異方的な形状を有する電極材において、本発明のような配向性を有し易い。
なお、以下において、本発明の電極材を活物質として用い、集電体上に活物質を含む層を設けたものが「電極」である。本発明の電極材は負極にも正極にも用いることができるが、負極に用いることが好ましい。本発明の電極材を負極活物質として用い、集電体上に負極活物質を含む層を設けたものが「負極」である。
[その他の物性]
<BET比表面積>
本発明の電極材のBET比表面積は、特に制限されないが、通常は0.5m/g以上、好ましくは1m/g以上、更に好ましくは2m/g以上、また、通常は300m/g以下、好ましくは280m/g以下、更に好ましくは260m/g以下の範囲である。BET比表面積の値がこの範囲であれば、電池の高速充放電においてリチウムの出し入れが速く、レート特性に優れるので好ましい。
BET比表面積は、表面積計(例えば、大倉理研製全自動表面積測定装置)を用い、電極材に対して窒素流通下300℃で15分間、予備乾燥を行なった後、大気圧に対する窒素の相対圧の値が0.3となるように正確に調整した窒素ヘリウム混合ガスを用い、ガス流動法による窒素吸着BET1点法によって測定した値を用いる。
<体積基準平均粒径>
本発明の電極材の体積基準平均粒径は、特に制限されないが、通常0.1μm以上、好ましくは1μm以上、更に好ましくは3μm以上、また通常50μm以下、好ましくは40μm以下、更に好ましくは30μm以下である。電極材の体積基準平均粒径がこの範囲を下回ると、粒径が小さすぎるため、電極材粉末間の導電パスや、電極材粉末と後述の導電剤等との間の導電パスが取り難くなり、サイクル特性が悪化する場合もある。一方、この範囲を上回ると、後述の如く塗布により集電体上に電極活物質層を製造する時にむらが生じ易い場合もある。
体積基準平均粒径は、測定対象に界面活性剤であるポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレートの2体積%水溶液(約1mL)を混合し、イオン交換水を分散媒としてレーザー回折式粒度分布計(例えば、堀場製作所社製「LA−920」)にて、体積基準の平均粒径(メジアン径)を測定した値を用いる。後述の実施例では、この方法により体積基準平均粒径を求めた。
<一次粒子の平均粒径>
本発明の電極材の一次粒子の平均粒径は、特に制限されないが、通常は5nm以上、好ましくは10nm以上、更に好ましくは20nm以上、また、通常は20μm以下、好ましくは15μm以下、更に好ましくは10μm以下の範囲である。一次粒子の平均粒径の値がこの範囲であれば、電池の高速充放電においてリチウムの出し入れが早く、レート特性に優れるので好ましい。
一次粒子の平均粒径は、電極材をSEMにて異なる3視野以上を観察し、その平均値から一次粒子の平均粒径を求める。なお、一次粒子が繊維状の場合は繊維径方向を、楕円形の場合は短軸方向を平均粒径として用いた。後述の実施例では、この方法により一次粒子の平均粒径を求めた。
<タップ密度>
本発明の電極材のタップ密度は、特に制限されないが、通常0.1g/cm以上、好ましくは0.4g/cm以上、更に好ましくは0.7g/cm以上、また、通常4.0g/cm以下、好ましくは3.0g/cm以下の範囲である。タップ密度がこの範囲であれば、電極活物質層の充填密度を上げ易く、レート特性に優れた高容量の電池を得易い。
タップ密度は、目開き300μmの篩を使用し、20cmのタッピングセルに電極材を落下させてセルを満杯に充填した後、粉体密度測定器(例えば、セイシン企業社製タップデンサー)を用いて、ストローク長10mmのタッピングを1000回行ない、その時のタッピング密度を測定した値を用いる。
[製造方法]
本発明の電極に用いる電極材の製造方法には特に制限はないが、例えば、以下に挙げる製造法等によって製造することができる。
<原料>
電極材の原料(以下適宜、「原料」と記す場合がある)のうち、Ti原料としては、例えば金属チタン、酸化チタン(アナターゼ型、ルチル型等)、チタン錯体(グリコール酸チタン錯体等)、チタンアルコキシド(チタンイソプロポキシド等)、チタン塩(硫酸チタン等)、チタン塩化物(四塩化チタン等)等を用いることができる。
元素M原料としては、H、P、B、Zr、Hf、V、Nb、Taを用いることができる。例えば、燐酸、硼酸、金属ジルコニウム、酸化ジルコニウムゾル、酸化ジルコニウム、四臭化ジルコニウム、四塩化ジルコニウム、ホウ化ジルコニウム、オキシ塩化ジルコニウム、ヒドロオキシ塩化ジルコニウム、四塩化ジシュウ酸ジルコニウムナトリウム、クエン酸ジルコニウムアンモニウム等のジルコニウム錯塩の水酸化ジルコニウム、炭酸ジルコニウム、金属ハフニウム、酸化ハフニウム、四塩化ハフニウム、ホウ化ハフニウム、金属バナジウム、五酸化バナジウム、ホウ化バナジウム、メタバナジン酸アンモニウム、シュウ酸バナジル。酸化バナジウムゾル、金属ニオブ、酸化ニオブゾル、五酸化ニオブ、五塩化ニオブ、ホウ化ニオブ、シュウ酸ニオブアンモニウム、金属タンタル、五酸化タンタル、五塩化タンタル、ホウ化タンタル、シュウ酸タンタルゾルが挙げられる。
酸素原料としては、酸素を含有するガス(空気、酸素等)、前記Tiや元素M原料としての酸化物中の酸素、炭酸塩中の酸素等を用いることができる。
Ti、元素M、酸素の原料としては、Ti、元素M、酸素を組み合わせた単一の化合物(若しくは元素)を用いてもよく、複数の化合物として用いてもよい。
また、これらTi、元素M、酸素原料の形態は、例えば、粉末状、顆粒状、ペレット状、塊状、板状等として用いることができる。
<方法>
電極材の製造方法としては、
(1)水熱合成処理を用いる方法
(2)固相反応処理を用いる方法
(3)錯体重合反応処理を用いる方法
(4)錯体を水熱合成処理する方法
等が挙げられる。
以下に、(1)、(2)、(3)、(4)の製造方法について説明する。
(1)水熱合成処理を用いる方法
本発明における水熱合成処理を用いる方法とは、水熱合成処理と、イオン交換処理と、焼成処理の工程からなる。
(水熱合成処理)
水熱合成とは、一般的に高温の水、特に高温高圧の水の存在下で行なわれる物質の合成及び結晶成長の方法のことをいうが、本発明における水熱合成処理とは、前述のTi原料とアルカリの水溶液、又はアルカリの水溶液とアルコールの混合溶液とを、オートクレーブ等の圧力容器内で100℃以上の温度にて反応させる工程のことである。
前記アルカリ水溶液のアルカリ原料としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム等のアルカリ金属の水酸化物を用いることができる。また、アルカリ水溶液の濃度は、特に限定はされないが、通常7〜13M程度であり、好ましくは10M程度である。
水熱合成処理の温度としては、合成する電極材に合わせて適宜設定することができるが、通常100℃〜250℃、好ましくは150℃〜200℃である。また、水熱合成処理の圧力としては、例えば0.1MPa〜1.6MPa程度であり、水熱合成処理の時間としては、例えば1時間〜10日間程度である。また、水熱合成処理中は撹拌を行なっても、静置状態のままでも構わない。
(イオン交換処理)
イオン交換処理とは、前述のアルカリ水溶液を中和しイオン交換する工程のことである。具体的には、例えば、前記水熱合成処理で得られたスラリーを、濾過や遠心分離等の方法を用い固体(粉末)とアルカリ水溶液に分離し、得られた粉末を酸の水溶液中に投入、保持することにより部分的にイオン交換処理を行ない、更に濾過や遠心分離とこのイオン交換処理の操作を繰り返し、濾液や上澄み液のpHが5〜6程度になるまで行い、更に水洗を施し、イオン交換した粉末を得る。
前記イオン交換用の水溶液としては、例えば、塩酸、硝酸等の水溶液を用いることができる。
(焼成処理)
焼成処理とは、前記イオン交換処理で得られた粉末を乾燥、焼成する工程のことである。具体的には、例えば、乾燥は60〜120℃程度の温度で1〜24時間程度保持することで電極材を得る。乾燥時の雰囲気としては、真空下であっても不活性雰囲気や大気雰囲気等であっても構わない。乾燥に用いる装置としては、特に制限はないが、熱風式の箱型乾燥器・トンネル乾燥器・回転乾燥器・噴霧乾燥器や、伝導式のドラム乾燥器や、赤外線乾燥器等が挙げられる。また、例えば、焼成は250℃〜600℃程度の温度で0.5時間〜10日程度保持する。焼成時の雰囲気としては、真空下であっても不活性雰囲気や大気雰囲気等であっても構わないが、チタン酸化物を安定に製造するために酸化性の雰囲気が好ましい。焼成に用いる装置としては、特に制限はないが、シャトル炉、トンネル炉、電気炉、リードハンマー炉、ロータリーキルン等が挙げられる。
(その他の処理)
前記焼成処理の後に、必要に応じて更に粉砕、分級処理を施しても構わない。粉砕に用いる装置については、特に制限はないが、例えば、粗粉砕機としてはジョークラッシャー、衝撃式クラッシャー、コーンクラッシャー等が挙げられ、中間粉砕機としてはロールクラッシャー、ハンマーミル等が挙げられ、微粉砕機としてはボールミル、振動ミル、ピンミル、攪拌ミル、ジェットミル等が挙げられる。
分級処理に用いる装置としては、特に制限はないが、例えば、乾式篩い分けの場合:回転式篩い、動揺式篩い、旋動式篩い、振動式篩い等を用いることができ、乾式気流式分級の場合:重力式分級機、慣性力式分級機、遠心力式分級機(クラシファイア、サイクロン等)等を用いることができ、湿式篩い分けの場合:機械的湿式分級機、水力分級機、沈降分級機、遠心式湿式分級機等を用いることができる。
(2)固相反応処理を用いる方法
本発明における固相反応処理を用いる方法とは、固相反応処理と、イオン交換処理と、焼成処理の工程からなる。
(固相反応処理)
固相反応とは、一般的に、固体内又は固体間で起こる化学反応のことをいうが、本発明における固相反応処理とは、前述のTi原料と炭酸塩や硝酸塩等を混合、熱処理し反応させる工程のことである。
前記炭酸塩としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム等のアルカリ金属の炭酸塩を用いることができ、硝酸塩としては、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸セシウム等のアルカリ金属の硝酸塩を用いることができる。
固相反応処理の熱処理温度は、700〜1100℃程度の温度で1〜48時間程度保持することで固相反応させた粉末を得る。熱処理時の雰囲気としては、真空下であっても不活性雰囲気や大気雰囲気等であっても構わない。
(イオン交換処理)
前述のイオン交換処理と同様な方法を用いることができる。
(焼成処理)
前述の焼成処理と同様な方法を用いることができる。
(その他の処理)
前述のその他の処理と同様な方法を用いることができる。
(3)錯体重合反応処理を用いる方法
本発明における固相反応処理を用いる方法とは、錯体重合反応処理と、イオン交換処理と、焼成処理の工程からなる。
(錯体重合反応処理)
錯体重合反応とは、第一に構成金属元素を金属錯体として安定化し、第2にこの金属錯体の分解や沈殿析出を防ぐために有機高分子の網の中に固定する化学反応のことをいうが、本発明における錯体重合反応処理とは、前述のTi原料であるTi錯体と炭酸塩や硝酸塩Ti錯体を形成する酸やグリコール溶液に融解、混合させ、水分を蒸発させることによりゲル化、更に熱処理を加えることで炭化させる。更に熱処理することで脱炭酸させ、また更に熱処理を加えることで結晶化させる工程のことである。
前記炭酸塩としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム等のアルカリ金属の炭酸塩を用いることができ、硝酸塩としては、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸セシウム等のアルカリ金属の硝酸塩を用いることができる。
錯体重合反応処理の熱処理温度は、500〜1100℃程度の温度で1〜48時間程度保持することで錯体重合反応させた粉末を得る。熱処理時の雰囲気としては、真空下であっても不活性雰囲気や大気雰囲気等であっても構わない。
(イオン交換処理)
前述のイオン交換処理と同様な方法を用いることができる。
(焼成処理)
前述の焼成処理と同様な方法を用いることができる。
(その他の処理)
前述のその他の処理と同様な方法を用いることができる。
(4)錯体を水熱合成処理する方法
本発明における錯体を水熱合成処理する方法とは、錯体原料の水熱合成処理と、乾燥処理工程からなる。
(錯体原料の水熱合成処理)
本発明における錯体原料の水熱合成処理とは、前述のチタン錯体と酸の水溶液、又は酸の水溶液とアルコールの混合溶液と、元素M原料とを混合し、酸若しくはアルカリにてpH調整をした後、オートクレーブ等の圧力容器内で100℃以上の温度にて反応させる工程のことである。
前記酸の水溶液の酸原料としては、硫酸、塩酸、硝酸等を用いることができる。
また、前記pH調整後のpHとしては、通常pH=0.1〜7程度であり、好ましくはpH=0.25〜5程度であり、更に好ましくはpH=0.5〜3程度である。
水熱合成処理の温度としては、合成する電極材に合わせて適宜設定することができるが、通常100℃〜250℃、好ましくは150℃〜200℃である。また、水熱合成処理の圧力としては、例えば0.1MPa〜1.6MPa程度であり、水熱合成処理の時間としては、例えば1時間〜10日間程度である。また、水熱合成処理中は撹拌を行なっても、静置状態のままでも構わない。
(乾燥処理)
乾燥処理とは、前述の酸水溶液を中和、濾過後、乾燥する工程のことである。具体的には、例えば、前記水熱合成処理で得られたスラリーを、濾過や遠心分離等の方法を用い固体(粉末)と酸水溶液に分離し、得られた粉末をアルカリ若しくは水溶液中に投入、保持することに中和処理を行ない、更に濾過や遠心分離を繰り返し行なう。得られた粉末を50〜200℃程度の温度で1〜48時間乾燥する。
(その他の処理)
前述のその他の処理と同様な方法を用いることができる。
[2]非水電解質二次電池用電極
本発明の非水電解質二次電池用電極は、電極活物質として本発明の電極材を用いたものであり、一般的には、集電体上に本発明の電極材を含む電極活物質層を導電性が確保されるように設けてなるものである。
本発明の非水電解質二次電池用電極は、TiO(B)及び/又はその元素置換体を含む電極材を用いた電極であって、以下の要件(イ)及び/又は(ロ)を満たすことを特徴とする。
(イ)TiO(B)及び/又はその元素置換体を含む電極材を用いた電極の、下記式(1)で規定されるX線積分強度比Xab値が2.3以下である。
ab値=IA/IB・・・(1)
A:電極のX線回折測定において、(003)面起因のピークAの積分強度
B:電極のX線回折測定において、(−601)面起因のピークBの積分強度
(ロ)TiO(B)及び/又はその元素置換体を含む電極材を用いた電極の、下記式(2)で規定されるX線積分強度比Xac値が33以下である。
ac値=IA/IC・・・(2)
A:電極のX線回折測定において、(003)面起因のピークAの積分強度
C:電極のX線回折測定において、(110)面起因のピークCの積分強度
要件(イ)は、Xab値が2.3以下であるが、本発明の前記効果をより奏するために、Xab値は、好ましくは2.1以下、特に好ましくは1.9以下である。
また、要件(ロ)は、Xac値が33以下であるが、本発明の前記効果をより奏するために、Xab値は、好ましくは30以下、特に好ましくは27以下である。
このような本発明の電極は、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な正極及び負極、並びに電解質を備えたリチウム二次電池等の非水電解質二次電池における電極(正極と負極を含む)として極めて有用である。特に、本発明の電極を負極として使用し、通常使用されるリチウム二次電池用の金属カルコゲナイド系正極及びカーボネート系溶媒を主体とする有機電解液を組み合わせて構成した非水電解質二次電池は、放電容量が大きく、レート特性に優れ、またサイクル特性に優れ、サイクル後の電極膨張が抑制された極めて優れたものである。
[電極活物質]
本発明の電極活物質には、本発明の電極材を用いるが、本発明の効果を妨げない限り、電極材に本発明の電極材以外の電極材(以下「電極材A」と称す。)を混合して用いてもよい。電極材Aを用いる場合、電極材Aは、リチウムイオンを充放電可能であれば何でもよい。例えば、電極材を負極として用いる場合、電極材Aとしては天然黒鉛(鱗片状黒鉛、球形化黒鉛等)、人造黒鉛(メソカーボンマイクロビーズ等)のグラファイト類、ピッチや樹脂等を焼成した非晶質炭素類、黒鉛と非晶質炭素を複合化した多相構造材料類、アルミニウム、錫等の金属類、SiO等の酸化物類が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
電極材Aの添加量は、特に限定されないが、本発明の電極材に対して、通常1質量%以上、好ましくは5質量%以上、更に好ましくは20質量%以上、また、通常80質量%以下、好ましくは70質量%以下、更に好ましくは60質量%以下である。
[集電体]
集電体としては、例えば、金属円柱、金属コイル、金属板、金属箔膜、炭素板、炭素薄膜、炭素円柱等が用いられる。この中でも特に金属箔膜が、現在工業化製品に使用されているために好ましい。なお、金属薄膜は適宣メッシュ状にして用いてもよい。
金属箔膜の厚さは、特に限定はされないが、通常1μm以上、好ましくは5μm以上、更に好ましくは10μm以上、また、通常100μm以下、好ましくは50μm以下、更に好ましくは20μm以下である。上記範囲よりも薄い金属箔膜の場合、集電体として必要な強度が不足する場合がある。
また、集電体に用いられる金属としては、具体的には、銅、ニッケル、ステンレス鋼、鉄、チタン、アルミニウム、アルミニウム合金等が挙げられる。
[物性]
<充填密度>
電極の充填密度は、特に制限されないが、通常0.1g/cm以上、好ましくは0.5g/cm以上、また通常5.0g/cm以下、好ましくは4.0g/cm以下である。電極の充填密度がこの範囲を下回ると、高容量の電池を得難い場合もある。一方、この範囲を上回ると電極中の気孔量が少なくなる場合があり、好ましい電池特性を得難い場合もある。電極の充填密度は、集電体を除く電極重量を、電極面積と電極厚みで除して求めた値を用いる。
<空隙率>
電極の空隙率は、特に制限されないが、通常10%以上、好ましくは20%以上、また通常50%以下、好ましくは40%以下である。電極の空隙率がこの範囲を下回ると、電極中の気孔が少なく電解液が浸透し難くなり、好ましい電池特性を得難い場合もある。一方、この範囲を上回ると、電極中の気孔が多く電極強度が弱くなりすぎて、好ましい電池特性を得難い場合もある。電極の空隙率は、電極の水銀ポロシメータによる細孔分布測定によって得られる全細孔容積を、集電体を除いた電極材活物質層の見掛け体積で割った値の百分率を用いる。
<導電剤>
電極活物質層には、導電剤を含んでもよい。導電剤は、用いる電極活物質の充放電電位において、化学変化を起こさない電子伝導性材料であれば何でもよい。例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック等のカ−ボンブラック類、炭素繊維、気相成長炭素繊維(VGCF)、金属繊維等の導電性繊維類、フッ化カーボン、銅等の金属粉末類等を単独又はこれらの混合物として含ませることができる。これらの導電剤のなかで、アセチレンブラック、VGCFが特に好ましい。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。導電剤の添加量は、特に限定されないが、電極活物質に対して、1〜30質量%が好ましく、特に1〜15質量%が好ましい。
<結着剤>
結着剤としては、後述する液体溶媒に対して安定な高分子が好ましい。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、芳香族ポリアミド、セルロース等の樹脂系高分子、スチレン・ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム又はエチレン・プロピレンゴム等のゴム状高分子、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体、その水素添加物、スチレン・エチレン・ブタジエン・スチレン共重合体、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体及びその水素添加物等の熱可塑性エラストマー状高分子、シンジオタクチック1,2−ポリブタジエン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、又はプロピレン・α−オレフィン(炭素数2〜12)共重合体等の軟質樹脂状高分子、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、又はポリテトラフルオロエチレン・エチレン共重合体等のフッ素系高分子、アルカリ金属イオン(特にリチウムイオン)のイオン伝導性を有する高分子組成物等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記のイオン伝導性を有する高分子組成物としては、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等のポリエーテル系高分子化合物や、ポリエーテル化合物の架橋体高分子や、ポリエピクロルヒドリン、ポリフォスファゼン、ポリシロキサン、ポリビニルピロリドン、ポリビニリデンカーボネート、又はポリアクリロニトリル等の高分子化合物に、リチウム塩又はリチウムを主体とするアルカリ金属塩かを複合させた高分子、又はこれにプロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン等の高い誘電率又はイオン−双極子相互作用力かを有する有機化合物を配合した高分子を用いることができる。
具体的には、通常、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、芳香族ポリアミド、又はセルロース及びその誘導体(例えばカルボキシメチルセルロース)等の樹脂系高分子、スチレン・ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、又はエチレン・プロピレンゴム等のゴム状高分子、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、又はポリテトラフルオロエチレン・エチレン共重合体等のフッ素系高分子、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等のポリエーテル系高分子化合物、ポリエーテル化合物の架橋体高分子が挙げられ、好ましくは、ポリエチレン、ポリプロピレン、スチレン・ブタジエンゴム、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、又はポリエチレンオキシドが挙げられ、更に好ましくは、ポリエチレン、スチレン・ブタジエンゴム、ポリフッ化ビニリデン、又はポリテトラフルオロエチレンが挙げられる。これらは、現在工業的に一般に使用されており、扱い易いため好適である。
この電極の構造は、本発明の電極材と、電極材A及び/又は導電剤と、結着剤を分散液中に分散させたスラリー状のものを、集電体基板上に薄く塗布・乾燥する工程、続いて所定の厚み・密度まで圧密するプレス工程により製造される。
電極活物質、必要に応じて用いられる導電剤と結着剤を混合して集電体上に塗布する際の電極活物質スラリーの調製には、水系溶媒又は有機溶媒が分散媒として用いられる。水系溶媒としては、通常、水が用いられるが、これにエタノール等のアルコール類、N−メチルピロリドン等の環状アミド類等の添加剤を水に対して、30質量%以下程度まで添加することもできる。
また、有機溶媒としては、通常、N−メチルピロリドン等の環状アミド類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等の直鎖状アミド類、アニソール、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ブタノール、シクロヘキサノール等のアルコール類が挙げられ、中でも、N−メチルピロリドン等の環状アミド類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等の直鎖状アミド類等が好ましい。
負極活物質、結着剤及び必要に応じて配合される導電剤をこれらの溶媒に混合して負極活物質スラリーを調製し、これを負極用集電体基板に所定の厚みとなるように塗布することにより負極活物質層が形成されるが、この負極活物質スラリー中の負極活物質の濃度の上限は通常70質量%以下、好ましくは55質量%以下であり、下限は通常30質量%以上、好ましくは40質量%以上である。負極活物質の濃度がこの上限を超えると負極活物質スラリー中の負極活物質が凝集し易くなり、下限を下回ると負極活物質スラリーの保存中に負極活物質が沈降し易くなる。
また、負極活物質スラリー中の結着剤の濃度の上限は通常30質量%以下、好ましくは10質量%以下であり、下限は通常0.1質量%以上、好ましくは0.5重量以上である。結着剤の濃度がこの上限を超えると得られる負極の内部抵抗が大きくなり、下限を下回ると負極活物質層の結着性に劣るものとなる。
[3]非水電解質二次電池
本発明の非水電解質二次電池は、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な正極及び負極、並びに電解質を備える非水電解質二次電池において、電極として本発明の電極を用いたものである。
本発明の非水電解質二次電池を構成する正極、電解質等の電池構成上必要な、電極以外の部材の選択については特に制限されない。以下において、本発明の電極を負極として用いた場合の非水電解質二次電池を構成する負極以外の部材の材料等を例示するが、使用し得る材料はこれらの具体例に限定されるものではない。
[正極]
正極は、集電体基板上に、正極活物質と、結着及び増粘効果を有する有機物(結着剤)を含有する活物質層を形成してなり、通常、正極活物質と結着剤を、水又は有機溶媒中に分散させたスラリー状のものを、集電体基板上に薄く塗布・乾燥する工程、続いて所定の厚み・密度まで圧密するプレス工程により形成される。
<正極活物質>
正極活物質には、リチウムを吸蔵・放出できる機能を有している限り特に制限はないが、例えば、リチウムコバルト酸化物、リチウムニッケル酸化物、リチウムマンガン酸化物等のリチウム遷移金属複合酸化物材料;二酸化マンガン等の遷移金属酸化物材料;フッ化黒鉛等の炭素質材料等を使用することができる。具体的には、LiFeO、LiCo
、LiNiO、LiMn及びこれらの非定比化合物、MnO、TiS、FeS、Nb、Mo、CoS、V、P、CrO、V、TeO、GeO等を用いることができる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
<導電剤>
正極活物質層には、正極用導電剤を用いることができる。正極用導電剤は、用いる正極活物質の充放電電位において、化学変化を起こさない電子伝導性材料であれば何でもよい。例えば、天然黒鉛(鱗片状黒鉛等)、人造黒鉛等のグラファイト類;アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック等のカ−ボンブラック類;炭素繊維、金属繊維等の導電性繊維類;フッ化カーボン類;アルミニウム等の金属粉末類;酸化亜鉛、チタン酸カリウム等の導電性ウィスカー類;酸化チタン等の導電性金属酸化物;ポリフェニレン誘導体等の有機導電性材料;等を単独又はこれらの混合物として含ませることができる。これらの導電剤のなかで、人造黒鉛、アセチレンブラック等が特に好ましい。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
導電剤の添加量は、特に限定されないが、正極活物質に対して、1〜50質量%が好ましく、特に1〜30質量%が好ましい。カーボンやグラファイトでは、2〜15質量%が特に好ましい。
<結着剤>
正極活物質層の形成に用いられる結着剤としては、特に制限はなく、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂の何れであってもよい。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、スチレンブタジエンゴム、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−クロロトリフルオロエチレン共重合体、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE樹脂)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、フッ化ビニリデン−ペンタフルオロプロピレン共重合体、プロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−パーフルオロメチルビニルエーテル−テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体又は前記材料の(Na)イオン架橋体、エチレン−メタクリル酸共重合体又は前記材料の(Na)イオン架橋体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体又は前記材料の(Na)イオン架橋体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体又は前記材料の(Na)イオン架橋体を挙げることができ、これらの材料を単独又は混合物として用いることができる。これらの材料の中でより好ましい材料はポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)である。
<その他の添加剤>
正極活物質層には、前述の導電剤の他、更にフィラー、分散剤、イオン伝導体、圧力増強剤及びその他の各種添加剤を配合することができる。フィラーは、構成された電池において、化学変化を起こさない繊維状材料であれば何でも用いることができる。通常、ポリプロピレン、ポリエチレン等のオレフィン系ポリマー、ガラス、炭素等の繊維が用いられる。フィラーの添加量は特に限定されないが、活物質層中の含有量として0〜30質量%が好ましい。
<溶媒>
正極活物質スラリーの調製には、水系溶媒又は有機溶媒が分散媒として用いられる。水系溶媒としては、通常、水が用いられるが、これにエタノール等のアルコール類、N−メチルピロリドン等の環状アミド類等の添加剤を水に対して、30質量%以下程度まで添加することもできる。また、有機溶媒としては、通常、N−メチルピロリドン等の環状アミド類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等の直鎖状アミド類、アニソール、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ブタノール、シクロヘキサノール等のアルコール類が挙げられ、中でも、N−メチルピロリドン等の環状アミド類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等の直鎖状アミド類等が好ましい。
正極活物質、結着剤である結着及び増粘効果を有する有機物及び必要に応じて配合される正極用導電剤、その他フィラー等をこれらの溶媒に混合して正極活物質スラリーを調製し、これを正極用集電体基板に所定の厚みとなるように塗布することにより正極活物質層が形成される。
なお、この正極活物質スラリー中の正極活物質の濃度の上限は通常70質量%以下、好ましくは55質量%以下であり、下限は通常30質量%以上、好ましくは40質量%以上である。正極活物質の濃度がこの上限を超えると正極活物質スラリー中の正極活物質が凝集し易くなり、下限を下回ると正極活物質スラリーの保存中に正極活物質が沈降し易くなる。
また、正極活物質スラリー中の結着剤の濃度の上限は通常30質量%以下、好ましくは10質量%以下であり、下限は通常0.1質量%以上、好ましくは0.5重量以上である。結着剤の濃度がこの上限を超えると得られる正極の内部抵抗が大きくなり、下限を下回ると正極活物質層の結着性に劣るものとなる場合もある。
<集電体>
正極用集電体としては、例えば、電解液中での陽極酸化によって表面に不動態皮膜を形成する弁金属又はその合金を用いるのが好ましい。弁金属としては、周期表4族、5族、13族に属する金属及びこれらの合金を例示することができる。具体的には、Al、Ti、Zr、Hf、Nb、Ta及びこれらの金属を含む合金等を例示することができ、Al、Ti、Ta及びこれらの金属を含む合金を好ましく使用することができる。特にAl及びその合金は軽量であるためエネルギー密度が高くて望ましい。正極用集電体の厚みは特に限定されないが通常1〜50μm程度である。
[電解質]
電解質としては、電解液や固体電解質等、任意の電解質を用いることができる。なおここで電解質とはイオン導電体すべてのことをいい、電解液及び固体電解質は共に電解質に含まれるものとする。
電解液としては、例えば、非水系溶媒に溶質を溶解したものを用いることができる。溶質としては、アルカリ金属塩や4級アンモニウム塩等を用いることができる。具体的には、LiClO、LiPF、LiBF、LiCFSO、LiN(CFSO、LiN(CFCFSO、LiN(CFSO)(CSO)、LiC(CFSO等が好ましく用いられる。これらの溶質は、1種類を選択して使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。電解液中のこれらの溶質の含有量は、0.2mol/L以上、特に0.5mol/L以上で、2mol/L以下、特に1.5mol/L以下であることが好ましい。
非水系溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネート等の環状カーボネート、γ−ブチロラクトン等の環状エステル化合物;1,2−ジメトキシエタン等の鎖状エーテル;クラウンエーテル、2−メチルテトラヒドロフラン、1,2−ジメチルテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン等の環状エーテル;ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジメチルカーボネート等の鎖状カーボネート等を用いることができる。これらの中でも、環状カーボネートと鎖状カーボネートを含有する非水溶媒が好ましい。
これらの溶媒は1種類を選択して使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
本発明に係る非水系電解液は、分子内に不飽和結合を有する環状炭酸エステルや従来公知の過充電防止剤、脱酸剤、脱水剤等の種々の助剤を含有していてもよい。
分子内に不飽和結合を有する環状炭酸エステルとしては、例えば、ビニレンカーボネート系化合物、ビニルエチレンカーボネート系化合物、メチレンエチレンカーボネート系化合物等が挙げられる。
ビニレンカーボネート系化合物としては、例えば、ビニレンカーボネート、メチルビニレンカーボネート、エチルビニレンカーボネート、4,5−ジメチルビニレンカーボネート、4,5−ジエチルビニレンカーボネート、フルオロビニレンカーボネート、トリフルオロメチルビニレンカーボネート等が挙げられる。
ビニルエチレンカーボネート系化合物としては、例えば、ビニルエチレンカーボネート、4−メチル−4−ビニルエチレンカーボネート、4−エチル−4−ビニルエチレンカーボネート、4−n−プロピル−4−ビニルエチレンカーボネート、5−メチル−4−ビニルエチレンカーボネート、4,4−ジビニルエチレンカーボネート、4,5−ジビニルエチレンカーボネート等が挙げられる。
メチレンエチレンカーボネート系化合物としては、例えば、メチレンエチレンカーボネート、4,4−ジメチル−5−メチレンエチレンカーボネート、4,4−ジエチル−5−メチレンエチレンカーボネート等が挙げられる。
これらのうち、ビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネートが好ましく、特にビニレンカーボネートが好ましい。
これらは1種を単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。
非水系電解液が分子内に不飽和結合を有する環状炭酸エステル化合物を含有する場合、非水系電解液中におけるその割合は、通常0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、特に好ましくは0.3質量%以上、最も好ましくは0.5質量%以上であり、通常8質量%以下、好ましくは4質量%以下、特に好ましくは3質量%以下である。
分子内に不飽和結合を有する環状炭酸エステルを電解液に含有させることにより、電池のサイクル特性を向上させることができる。その理由は明かではないが、負極の表面に安定な保護被膜を形成することができるためと推測される。ただし、その含有量が少ないとこの特性が十分に向上しない。しかし、含有量が多すぎると高温保存時にガス発生量が増大する傾向にあるので、電解液中の含有量は上記の範囲にするのが好ましい。
過充電防止剤としては、例えば、ビフェニル、アルキルビフェニル、ターフェニル、ターフェニルの部分水素化体、シクロヘキシルベンゼン、t−ブチルベンゼン、t−アミルベンゼン、ジフェニルエーテル、ジベンゾフラン等の芳香族化合物;2−フルオロビフェニル、o−シクロヘキシルフルオロベンゼン、p−シクロヘキシルフルオロベンゼン等の前記芳香族化合物の部分フッ素化物;2,4−ジフルオロアニソール、2,5−ジフルオロアニソール;2,6−ジフルオロアニソ−ル等の含フッ素アニソール化合物等が挙げられる。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種類以上併用してもよい。
非水系電解液中における過充電防止剤の割合は、通常0.1〜5質量%である。過充電防止剤を含有させることにより、過充電等のときに電池の破裂・発火を抑制することができる。
他の助剤としては、例えば、フルオロエチレンカーボネート、トリフルオロプロピレンカーボネート、フェニルエチレンカーボネート、エリスリタンカーボネート、スピロ−ビス−ジメチレンカーボネート、メトキシエチル−メチルカーボネート等のカーボネート化合物;無水コハク酸、無水グルタル酸、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水グルタコン酸、無水イタコン酸、無水ジグリコール酸、シクロヘキサンジカルボン酸無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、フェニルコハク酸無水物等のカルボン酸無水物;エチレンサルファイト、1,3−プロパンスルトン、1,4−ブタンスルトン、メタンスルホン酸メチル、ブスルファン、スルホラン、スルホレン、ジメチルスルホン、テトラメチルチウラムモノスルフィド、N,N−ジメチルメタンスルホンアミド、N,N−ジエチルメタンスルホンアミド等の含硫黄化合物;1−メチル−2−ピロリジノン、1−メチル−2−ピペリドン、3−メチル−2−オキサゾリジノン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−メチルスクシイミド等の含窒素化合物;ヘプタン、オクタン、シクロヘプタン等の炭化水素化合物、フルオロベンゼン、ジフルオロベンゼン、ヘキサフルオロベンゼン、ベンゾトリフルオライド等の含フッ素芳香族化合物等が挙げられる。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種類以上併用して用いてもよい。
非水系電解液中におけるこれらの助剤の割合は、通常0.1〜5質量%である。これらの助剤を含有することにより、高温保存後の容量維持特性やサイクル特性を向上させることができる。
また、非水系電解液は、電解液中に有機高分子化合物を含ませ、ゲル状、ゴム状、固体シート状等の固体電解質としてもよい。この場合、有機高分子化合物の具体例としては、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等のポリエーテル系高分子化合物;ポリエーテル系高分子化合物の架橋体高分子;ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等のビニルアルコール系高分子化合物;ビニルアルコール系高分子化合物の不溶化物;ポリエピクロルヒドリン;ポリフォスファゼン;ポリシロキサン;ポリビニルピロリドン、ポリビニリデンカーボネート、ポリアクリロニトリル等のビニル系高分子化合物;ポリ(ω−メトキシオリゴオキシエチレンメタクリレート)、ポリ(ω−メトキシオリゴオキシエチレンメタクリレート−co−メチルメタクリレート)等のポリマー共重合体等が挙げられる。
[その他の構成部材]
非水電解質二次電池には、電解質、負極、及び正極の他に、更に必要に応じて、外缶、セパレータ、ガスケット、封口板、セルケース等を用いることもできる。
セパレータの材質や形状は特に制限されない。セパレータは正極と負極が物理的に接触しないように分離するものであり、イオン透過性が高く、電気抵抗が低いものであるのが好ましい。セパレータは電解液に対して安定で保液性が優れた材料の中から選択するのが好ましい。具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンを原料とする多孔性シート又は不織布が挙げられる。
[非水電解質二次電池の形状]
本発明の非水電解質二次電池の形状は特に制限されず、例えば、シート電極及びセパレータをスパイラル状にしたシリンダータイプ、ペレット電極及びセパレータを組み合わせたインサイドアウト構造のシリンダータイプ、ペレット電極及びセパレータを積層したコインタイプ等にすることができる。
[非水電解質二次電池の製造方法]
電解質、負極及び正極を少なくとも有する本発明の非水電解質二次電池を製造する方法は特に限定されず、通常採用されている方法の中から適宜選択することができる。本発明の非水電解質二次電池の製造方法の一例を挙げると、外缶上に負極を乗せ、その上に電解液とセパレータを設け、更に負極と対向するように正極を乗せて、ガスケット、封口板と共にかしめて電池を組み立てる方法が挙げられる。
以下に、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、これらの実施例によって何ら限定されるものではない。また、「%」は特に断りのない限り、「質量%」を示す。
実施例1
(チタン錯体水溶液の調製)
金属チタン粉末を、モル比でTi:NH:H:HO=0.03:0.44:1.1:5.8となるよう調整した氷冷したアンモニア、H混合水溶液中に投入し、溶解後、クエン酸を、モル比でTi:クエン酸=1:1となるように添加した。その混合水溶液を80℃で蒸発乾固後、水中に再溶解することでチタン錯体水溶液を得た。
(前駆体NaTiの合成)
上記で得られたチタン錯体水溶液に、前記で添加したクエン酸量の10倍量のクエン酸と、モル比でNa:Ti=2:3になるように炭酸ナトリウムを投入し溶解させ、ホットプレート上で加熱処理を行うことで水分を蒸発させ、ゲル化させ、更に加熱することで炭化させ、黒色粉末を得た。
得られた黒色粉末を陶器製るつぼに入れ、電気炉を用いて大気雰囲気下、500℃で焼成した。更に自然放冷した後、再度、乳鉢中で粉砕・混合を行い、電気炉を用いて大気雰囲気下、800℃で焼成を行い、前駆体であるNaTiを得た。
(イオン交換処理)
上記で合成されたNaTiの粉砕物を塩酸水溶液に浸漬し、イオン交換処理を行った。その後、水洗し、得られたスラリーを、保留粒子0.2μmのろ紙を用いて吸引ろ過し、白色の粉末を得た。
(焼成処理)
得られたイオン交換した白色の粉末を、乾燥機を用いて100℃で一晩乾燥後、電気炉を用いて大気雰囲気下、300℃で焼成し電極材の粉末を得た。
上記で得られた電極材のSEM写真を図1に示した。SEM写真から、電極材を無作為に10個選択し、差し渡し長さを定規で測定し、相加平均をとることによって求めた「電極材の一次粒子径」は、5μmであった。
前述の方法に従って、電極材の体積基準平均粒径とBET比表面積を求めたところ、体積基準平均粒径は7μmで、BET比表面積は3m/gであった。
下記の方法に従ってX線回折測定にて電極材のX線積分強度比Xab値を求めたところ0.7であり、その時に用いたX線回折パターンを図2に示した。更にX線回折測定にて下記の方法に従って作製した電極のX線積分強度比Xab値、Xac値を求めたところ、それぞれ0.3、5.3であり、その時に用いたX線回折パターンを図3に示した。
また、X線回折パターンから、得られた電極材は層状構造を有するTiO(B)を含むチタン酸化物と同定された。
<電極材のX線回折の測定方法>
上記で得られた、TiO(B)又はその元素置換体を含む電極材の粉末を、試料ホルダに詰め照射面にセットし、下記の粉末X線回折装置を用い、下記の測定条件で測定した。
<電極材を活物質とする電極のX線回折の測定方法>
後述する「リチウム二次電池用負極の作製方法」で作製された電極を図1のようにセットして測定した。
<X線回折の測定装置と測定条件>
X線回折の測定は、パナリティカル製、X線回折装置「X‘Pert Pro MPD」を用い、以下の条件で行った。
[入射側]
封入式X線管球(CuKα、45kV−40mA)
ソーラースリット(0.04rad)
発散スリット(1/2°)
入射側散乱防止スリット
[受光側]
半導体検出器(PIXcel)
グラファイトモノクロメータ
ソーラースリット(0.04rad)
ゴニオ半径:240mm
走査軸:θ−2θ
走査範囲:2θ=5−60°
単斜晶系C2/m(No.12)由来の(003)、(−601)、(110)回折ピークについてプロファイルフィッティングを実施し、CuKα1由来の積分強度IA、IB、IC、IA、IBを算出した。International Centre for Diffraction Dataの粉末回折データベース(PDF)番号46−1238によれば、(003)、(−601)、(110)回折ピークは、それぞれ43.5°、44.5°、24.9°近辺に現れる。
X線積分強度比、Xab値、Xac値、Xab値は、X線回折測定法を用いて求めることができ、前記の式(1)〜(3)のように定義される。
<Xab値、Xac値測定用の電極の作製方法>
上記方法で作製した電極材70mgに対し、導電助剤としてカーボンブラック(電気化学工業株式会社製「デンカブラック粉状品」)20mgを入れ、めのう乳鉢中で混合した。この混合物に、更にバインダーとしPTFE(三井・デュポンフルオロケミカル株式会社製「6−J」)を10mg入れ、めのう乳鉢中で更に混合した。得られたバインダーを含む混合物を引き伸ばした後、φ9mmの径に打ち抜き、電極の充填密度が1.5〜3.8g/ccになるようにプレスすることによって電極とした。ここで、電極の重量はφ9mmに打ち抜いた時に、重量が6.5〜7.5mgの範囲になるように調整し評価用の電極とした。
<リチウム二次電池の作製方法>
得られた負極をアルゴン雰囲気下のグローブボックスへ移し、電解液としてエチレンカーボネート(EC)/ジエチルカーボネート(EMC)=3/7(重量比)の混合液を溶媒とした1mol/L−LiPF電解液と、セパレータとしてポリエチレンセパレータと、対極としてリチウム金属対極とを用い、コイン電池(リチウム二次電池)を作製した。
<放電容量評価>
0.15mA/cmの電流密度でリチウム対極に対して1.0Vまで充電し、更に、10mVの一定電圧で電流値が0.02mAになるまで充電し、負極中にリチウムをドープした後、0.15mA/cmの電流密度でリチウム対極に対して2.5Vまで放電を行なう充放電サイクルを5サイクル繰り返し、3〜5サイクル目の放電の平均値を放電容量とした。また、重量当りの放電容量とする場合は、活物質重量は負極重量から導電助剤とバインダーとステンレスメッシュの重量を差し引くことで求め、以下に従って計算した。
放電容量(mAh/g)
=3〜5サイクル目の平均放電容量(mAh)/活物質重量(g)
活物質重量(g)
=負極重量(g)
−(バインダー重量(g)+導電助剤重量(g)+ステンレスメッシュ重量(g))
<充放電効率評価>
放電容量の測定時に、以下に従って計算した。
充放電効率(%)
={初回放電容量(mAh)/初回充電容量(mAh)}×100
<レート特性評価>
上記放電容量の測定後、6サイクル目として、0.15mA/cmの電流密度でリチウム対極に対して1.0Vまで充電し、更に、10mVの一定電圧で電流値が0.02mAになるまで充電し、負極中にリチウムをドープした後、8.0mA/cmの電流密度でリチウム対極に対して2.5Vまで放電を行ない、以下に従って計算した。
レート特性(mAh/g)
=6サイクル目の放電容量(mAh)/活物質重量(g)
<サイクル特性評価>
上述の放電容量の測定方法に従い、この充放電サイクルを50回繰り返し、以下に従ってサイクル維持率を計算した。
サイクル維持率(%)
={50サイクル後の放電容量(mAh)
/3〜5サイクルの平均放電容量(mAh)}×100
この電極材の電池評価結果を表3に示す。
実施例2
(チタン錯体合成処理)
金属チタン粉末を、モル比でTi:NH:H:HO=0.03:0.44:1.06:5.75となるよう調整した氷冷したアンモニア、H混合水溶液中に投入し、溶解後、グリコール酸をモル比でTi:グリコール酸=3:8となるように添加した。その混合水溶液を80℃で蒸発乾固後、水中に再溶解することでチタン錯体水溶液とした。
(水熱合成処理)
得られたチタン錯体水溶液を、硫酸(純正化学株式会社製)でpHを調整した後、テフロン(登録商標)容器に入れた。このpHを調整したチタン錯体水溶液の入ったテフロン(登録商標)容器を、容器ごとステンレス製の耐圧容器に入れ、200℃で水熱合成処理を行なった。得られた水熱合成処理したスラリーを遠心分離、洗浄を繰り返した。得られた洗浄後の粉末を、乾燥機を用いて80℃で一晩乾燥した。
(再水熱処理)
得られた乾燥後の粉末をテフロン(登録商標)容器に入れた塩酸水溶液中に投入、混合しスラリーとした。この混合スラリーが入っているテフロン(登録商標)容器を、容器ごとステンレス製の耐圧容器に入れ、180℃で、水熱合成処理を行なった。得られた再水熱処理後のスラリーを水洗し、保留粒子0.2μmのろ紙を用いて吸引濾過し、白色の粉末を得た。得られた粉末を、乾燥機を用いて80℃で一晩乾燥し電極材とした。
得られた電極材のSEM写真から、電極材の一次粒子径は約20nmであった。実施例1と同様に電極材の体積基準平均粒径を測定したところ20μmであった。また、実施例1と同様にして電極材の比表面積値を求めたところ231m/gであった。
更に、X線回折測定にて電極材のX線積分強度比Xab値を求めたところ0.9であり、その時に用いたX線回折パターンを図4に示した。更に、X線回折測定にて上記の方法に従って作製した電極のX線積分強度比Xab値を求めたところ1.1であり、その時に用いたX線回折パターンを図5に示した。
また、X線回折パターンから、得られた電極材は層状構造を有するTiO(B)を含むチタン酸化物と同定された。
この電極材を用いて実施例1と同様にして、負極及びコイン電池の作製、並びに評価を行い、結果を表3に示した。
比較例1
(前駆体NaTiの合成処理)
チタン原料としてアナターゼ型の酸化チタン粉末(和光純薬工業(株)社製「酸化チタン(IV)、アナターゼ型」)と炭酸ナトリウム(和光純薬工業(株)社製「炭酸ナトリウム[炭酸ナトリウム(無水)]」)をモル比でNa:Ti=2:3となるように秤量した。これらを乳鉢中で混合した後、ペレット成形して、陶器製のるつぼにいれ、電気炉をもちいて大気雰囲気下、800℃焼成した。更に自然放冷した後、再度乳鉢中で粉砕・混合を行い、ペレット成形して、電気炉をもちいて大気雰囲気下、800℃で焼成を行い、前駆体であるNaTiを得た。
(イオン交換処理)
実施例1と同様にイオン交換処理を行なった。
(焼成処理)
実施例1と同様に焼成処理を行ない電極材とした。
得られた電極材のSEM写真から、電極材の一次粒子径は約1μmであった。実施例1と同様に電極材の体積基準平均粒径を測定したところ2μmであった。また、実施例1と同様にして電極材の比表面積値を求めたところ5m/gであった。
また、実施例1と同様にX線回折測定にて電極材のX線強度比Xab値を求めたところ1.2であり、その時に用いたX線回折パターンを図6に示した。更にX線回折測定にて上記の方法に従って作製した電極のX線積分強度比Xab値、Xac値を求めたところ、それぞれ2.4、34であった。その時に用いたX線回折パターンを図7に示した。
また、X線回折パターンから、得られた電極材は層状構造を有するTiO(B)を含むチタン酸化物と同定された。
この電極材を用いて実施例1と同様にして、負極及びコイン電池の作製、並びに評価を行い、結果を表3に示した。
表1.電極材の粉体物性
表2.X線強度比
表3.電池特性
表3の結果から分かるように、本発明の電極材を用いた非水電解質二次電池は、放電容量が高く、レート特性、サイクル特性に優れていた。
本発明の電極材を用いた非水電解質二次電池は、放電容量が高く、レート特性、サイクル特性に優れているため、電気自動車やロードレーベリング用等の電源をはじめ、二次電池が用いられる全ての分野に広く利用されるものである。
X線回折測定において試料が電極の場合のセットの配置を示す図である。 実施例1で得られた電極材の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。 実施例1で得られた電極材のX線回折パターンである。 実施例1で得られた電極材を用いて作製した電極のX線回折パターンである。 実施例2で得られた電極材の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。 実施例2で得られた電極材のX線回折パターンである。 実施例2で得られた電極材を用いて作製した電極のX線回折パターンである。 比較例1で得られた電極材の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。 比較例1で得られた電極材のX線回折パターンである。 比較例1で得られた電極材を用いて作製した電極のX線回折パターンである。

Claims (7)

  1. TiO(B)及び/又はその元素置換体を含む電極材であって、該電極材を用いて作製された電極が以下の要件(イ)及び/又は(ロ)を満たすことを特徴とする非水電解質二次電池用電極材。
    (イ)TiO(B)及び/又はその元素置換体を含む電極材を用いた電極の、下記式(1)で規定されるX線積分強度比Xab値が2.3以下である。
    ab値=IA/IB・・・(1)
    A:電極のX線回折測定において、(003)面起因のピークAの積分強度
    B:電極のX線回折測定において、(−601)面起因のピークBの積分強度
    (ロ)TiO(B)及び/又はその元素置換体を含む電極材を用いた電極の、下記式(2)で規定されるX線積分強度比Xac値が33以下である。
    ac値=IA/IC・・・(2)
    A:電極のX線回折測定において、(003)面起因のピークAの積分強度
    C:電極のX線回折測定において、(110)面起因のピークCの積分強度
  2. TiO(B)及び/又はその元素置換体を含む電極材であって、以下の要件(ハ)を満たすことを特徴とする非水電解質二次電池用電極材。
    (ハ)TiO(B)及び/又はその元素置換体を含む電極材の、下記式(3)で規定されるX線積分強度比Xab値が0.85以下である。
    ab値=IA/IB・・・(3)
    A:電極材のX線回折測定において、(003)面起因のピークAの積分強度
    B:電極材のX線回折測定において、(−601)面起因のピークBの積分強度
  3. TiO(B)及び/又はその元素置換体が、異方的な粒子形状を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の電極材。
  4. 電極活物質として請求項1ないし3の何れか1項に記載の電極材を含むことを特徴とする非水電解質二次電池用電極。
  5. TiO(B)及び/又はその元素置換体を含む電極材を用いた電極であって、以下の要件(イ)及び/又は(ロ)を満たすことを特徴とする非水電解質二次電池用電極。
    (イ)TiO(B)及び/又はその元素置換体を含む電極材を用いた電極の、下記式(1)で規定されるX線積分強度比Xab値が2.3以下である。
    ab値=IA/IB・・・(1)
    A:電極のX線回折測定において、(003)面起因のピークAの積分強度
    B:電極のX線回折測定において、(−601)面起因のピークBの積分強度
    (ロ)TiO(B)及び/又はその元素置換体を含む電極材を用いた電極の、下記式(2)で規定されるX線積分強度比Xac値が33以下である。
    ac値=IA/IC・・・(2)
    A:電極のX線回折測定において、(003)面起因のピークAの積分強度
    C:電極のX線回折測定において、(110)面起因のピークCの積分強度
  6. TiO(B)及び/又はその元素置換体が、異方的な粒子形状を有することを特徴とする請求項5に記載の電極。
  7. リチウムイオンを吸蔵・放出可能な正極及び負極並びに電解質を備える非水電解質二次電池において、該電極が請求項4ないし6の何れか1項に記載の非水電解質二次電池用電極であることを特徴とする非水電解質二次電池。
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