JP2010053126A - フタル酸ジクロリド化合物の製造方法及びこの製造方法に用いられる触媒 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ジルコニウム化合物および/またはハフニウム化合物の存在下、無水フタル酸化合物とトリクロロメチルベンゼン化合物とを反応させて、フタル酸ジクロリド化合物を生成させるフタル酸ジクロリド化合物の製造方法。
【選択図】なし
Description
また、無水フタル酸化合物をホスゲンないし塩化チオニルと反応させる方法がある(特許文献2〜5参照)。これらの方法では、毒性を有し危険を伴うホスゲンを扱うため、特殊な製造設備を必要とするか、あるいは塩化チオニルを用いる場合にはこれを高圧で反応させる設備を必要とする。
そのほか、無水フタル酸を塩化亜鉛の存在下トリクロロメチルベンゼンと反応させる方法が挙げられる(非特許文献2、特許文献6、7参照)。これは通常の反応釜で実施できる簡便な方法であるが、反応温度に依存して塩化亜鉛を多量に使用する必要がある。例えば、非特許文献2によると、塩化亜鉛を無水フタル酸に対して10モル%用いるとき、110〜120℃で反応が進行すると報告されているが、このような多量の触媒使用量は実際的ではない。これに対し、塩化亜鉛を1モル%に減量すると、それでも多量であるが、実用的な反応速度を得るために200℃という高温を必要とする。このような高い反応温度を実現するための熱媒として通常の水媒体では対応できず、特別な熱媒が必要となり、またそれに対応するための特殊な設備を用意しなければならない。
目的化合物の純度が上がらず、無水フタル酸とフタル酸ジクロリドとが生成物中に混在するばあい、これらを蒸留または再結晶で分離することが必要となる。実際、非特許文献1ではそのようにして両者を分離しているが、この分離は両者の沸点及び融点が近いため極めて困難である。そして通常、反応後蒸留精製を行ったとしても無水フタル酸が相当量残留してしまう。この点、上記の無水フタル酸化合物からフタル酸ジクロリド化合物を生成させる反応は平衡反応であり、触媒を用いて反応速度を高めても通常その平衡状態は変化せず、目的とするフタル酸ジクロリドの純度を高めることは容易ではない。
(1)ジルコニウム化合物および/またはハフニウム化合物の存在下、下記一般式(1)で表される化合物と一般式(2)で表される化合物とを反応させて、下記一般式(3)で表される化合物を生成させることを特徴とするフタル酸ジクロリド化合物の製造方法。
(2)前記ジルコニウム化合物またはハフニウム化合物が塩化ジルコニウムまたは塩化ハフニウムである(1)に「記載のフタル酸ジクロリド化合物の製造方法。
(3)一般式(1)で表される化合物が無水フタル酸である(1)または(2)に記載のフタル酸ジクロリド化合物の製造方法。
(4)一般式(1)で表される化合物が3−クロロ無水フタル酸又は4−クロロ無水フタル酸である(1)または(2)に記載のフタル酸ジクロリド化合物の製造方法。
(5)一般式(2)で表される化合物が4−クロロトリクロロメチルベンゼンである(1)〜(4)のいずれか1項に記載のフタル酸ジクロリド化合物の製造方法。
(6)ジルコニウム化合物および/またはハフニウム化合物からなる触媒であって、下記一般式(1)で表される化合物と一般式(2)で表される化合物とを反応させて、下記一般式(3)で表される化合物を生成させる反応に用いられることを特徴とするフタル酸ジクロリド化合物製造用触媒。
本発明のフタル酸ジクロリド化合物の製造方法においては、上記一般式(1)で表される無水フタル酸化合物と上記一般式(2)で表されるトリクロロメチルベンゼン化合物とを、触媒となるジルコニウム化合物および/またはハフニウム化合物の存在下で反応させる。
上記置換基Rを例示すると、塩素、臭素等のハロゲン原子、クロロカルボニル基、メチル基、エチル基等の低級アルキル基、トリクロロメチル基、ジクロロメチル基、クロロメチル基等のハロゲン置換低級アルキル基が挙げられる。この低級アルキル基は、炭素原子数1〜3のアルキル基であることが好ましい。
本実施態様のフタル酸ジクロリド化合物の製造方法においては、ジルコニウム化合物および/またはハフニウム化合物からなる触媒を用いる。ジルコニウム化合物からなる触媒の例としては、四塩化ジルコニウム、酸化ジルコニウム、二塩化オキシジルコニウム(オキシ塩化ジルコニウム)、水酸化ジルコニウム、テトラブトキシジルコニウム、テトライソプロポキシジルコニウム、炭酸ジルコニウム、ジルコニウムカーバイド、金属ジルコニウム等が挙げられる。ハフニウム化合物からなる触媒の例としては、四塩化ハフニウム、酸化ハフニウム、ハフニウムカーバイド、オキシ塩化ハフニウム、水酸化ハフニウム、金属ハフニウム等が挙げられる。なかでも四塩化ジルコニウムおよび/または四塩化ハフニウムが好ましい。なお、本発明においてジルコニウム化合物ないしはハフニウム化合物はその少なくともいずれか一方を含めばよく、不可避的に分離困難な場合など両者が混在していてもよく、また本発明の効果を妨げない範囲でそれ以外のものが更に含まれていてもよい。
無水フタル酸化合物とトリクロロメチルベンゼン化合物とを反応させてフタル酸ジクロリド化合物を生成させる反応は平衡反応であり、その平衡状態に達すると、反応時間を延ばしても未反応の原料はそれ以上減少せず、結果として反応収率ないし目的生成物の純度が上がらない。これに対して、本発明のフタル酸ジクロリド化合物の製造方法においては、上記の触媒を用いることにより、その作用機序は明らかではないが、上記のとおり対象反応が平衡反応であるにもかかわらず目的化合物の純度を高めることができる。
2L容の4つ口フラスコに、無水フタル酸 444g(3.0モル)、4−クロロトリクロロメチルベンゼン 690g(3.0モル)、無水塩化ジルコニウム 0.9g(3.8ミリモル、無水フタル酸に対して0.13%)を入れ、160℃に加熱した。この温度を保ちながら反応混合物に4−クロロトリクロロメチルベンゼン 345g(1.5モル)を3時間かけて滴下したのち、さらに3時間攪拌を続けた。
1L容のフラスコを用い実施例1の塩化ジルコニウムの量を0.13%から0.065%に減量する以外、実施例1と同様にして反応を行った。すなわち、無水フタル酸 111g(0.75モル)、4−クロロトリクロロメチルベンゼン 258g(1.13モル)、無水塩化ジルコニウム 0.11g(無水フタル酸に対して0.065%)の混合物を160℃にて22時間攪拌した。この反応後の液体試料2aを実施例1と同様にして蒸留して試料2を得た。この試料2のガスクロマトグラフィーによる分析で無水フタル酸が0.90%残っており、純度98.9%のフタル酸ジクロリドが生成していることを確認した。
無水塩化ジルコニウムの量を0.22g(無水フタル酸に対して0.13%)とし、混合物の加熱温度(反応温度)を140℃にて27時間攪拌した以外、実施例2と同様にして反応を行った。反応後の液体試料3aを実施例1と同様にして蒸留して試料3を得た。この試料3のガスクロマトグラフィーによる分析で無水フタル酸が0.86%残っており、純度99.0%のフタル酸ジクロリドが生成していることを確認した。
無水フタル酸 253g(1.71モル)、トリクロロメチルベンゼン 503g(2.57モル)、無水塩化ジルコニウム 0.50g(無水フタル酸に対して0.13%)の混合物を160℃にて19時間攪拌した。反応後の液体試料4aのガスクロマトグラフィーによる分析の結果、1.95%の無水フタル酸が残存し、95.5%(収率)のフタル酸ジクロリドが生成していることを確認した。副生成物として、トリクロロメチルベンゼンの2量体が1.9%生成していた。このものを精留し、純度98.0%のフタル酸ジクロリドを208g(無水フタル酸基準60%収率)得た。
無水フタル酸 111g(0.75モル)、4−クロロトリクロロメチルベンゼン 258g(1.13モル)、無水塩化ハフニウム 0.22g(無水フタル酸に対して0.09%)の混合物を160℃にて13時間攪拌した。反応後の試料5aを実施例1と同様にして蒸留して試料5を得た。この試料5のガスクロマトグラフィーによる分析で無水フタル酸が0.43%残っており、純度99.5%のフタル酸ジクロリドが生成していることを確認した。
2L容の4つ口フラスコに、3−クロロ無水フタル酸 365g(2.0モル)、4−クロロトリクロロメチルベンゼン 460g(2.0モル)、無水塩化ジルコニウム 1.83g(3−クロロ無水フタル酸に対して0.39%)を入れ、160℃に加熱した。この温度を保ちながら反応混合物に4−クロロトリクロロメチルベンゼン 230g(1.0モル)を3時間かけて滴下したのち、さらに13時間攪拌を続けた。反応後の液体試料6aのガスクロマトグラフィーによる分析で0.65%の3−クロロ無水フタル酸が残っていることがわかった。
この反応後の液体試料6aを減圧下で留出させ、992g(収率:94.6%)の無色液体6bを得た。この無色液体6bの沸点(bp)は153〜155℃/9torrであった。この無色液体6bを23段の蒸留塔にて精留し、290g(3−クロロ無水フタル酸基準で収率61%)の3−クロロフタル酸ジクロリドを含む試料6を得た。試料6の沸点(bp)は134〜138℃/4〜5torrであった(文献値 bp 140℃/8mbar:特許文献5)。ガスクロマトグラフィーによる分析の結果、試料6における3−クロロフタル酸ジクロリドの純度は99.0%であった。また、蒸留により純度99.7%の4-クロロ安息香酸クロリド332g(消費した4−クロロトリクロロメチルベンゼン基準95%収率)を同時に得た。
200mLの4つ口フラスコに、無水フタル酸 59.3g(0.40モル)、4−クロロトリクロロメチルベンゼン 138.0g(0.60モル)、金属ジルコニウム(関東化学株式会社製 スポンジ状)0.052g(0.57ミリモル、無水フタル酸に対して0.14モル%)を入れ、155〜156℃にて18時間攪拌を続けた。反応液のGC分析で0.97%の無水フタル酸が残っており、98.4%のフタル酸ジクロリドが生成していることを確認した。
300mLの4つ口フラスコに、無水フタル酸 187.5g(1.27モル)、4−クロロトリクロロメチルベンゼン 378.4g(1.65モル)を入れ、100℃まで加温した後、オキシ塩化ジルコニウム8水和物 1.30g(4.0ミリモル、無水フタル酸に対して0.32%)を入れ、155℃まで加温した。更に155−156℃に温度を保ちながら、9時間攪拌を続けた。反応液のGC分析で0.74%の無水フタル酸が残っており、98.4%のフタル酸ジクロリドが生成していることを確認した。
300mLの4つ口フラスコに、無水フタル酸 93.8g(0.63モル)、4−クロロトリクロロメチルベンゼン 218.3g(0.95モル)を入れ、100℃まで加温した後、水酸化ジルコニウム 0.32g(2.0ミリモル、無水フタル酸に対して0.32%)を入れ、160℃まで加温した。同温度にて2時間攪拌を続けた後、更に167−168℃に温度を保ちながら、3時間攪拌を続けた。反応液のGC分析で0.82%の無水フタル酸が残っており、98.6%のフタル酸ジクロリドが生成していることを確認した。
300mLの4つ口フラスコに、無水フタル酸 93.8g(0.63モル)、4−クロロトリクロロメチルベンゼン 218.3g(0.95モル)、フタル酸ジクロリド 1.3g(6.4ミリモル、無水フタル酸に対して1モル%)入れ、110℃まで加温した後、水酸化ジルコニウム 0.32g(2.0ミリモル、無水フタル酸に対して0.32%)を入れ、160℃まで加温した。同温度にて4時間攪拌を続けた。反応液のGC分析で0.96%の無水フタル酸が残っており、98.8%のフタル酸ジクロリド(添加したフタル酸ジクロリド量は除く)が生成していることを確認した。
非特許文献1に準じて、無水フタル酸14.8g(0.10モル)と五塩化リン22g(0.106モル)を150℃で16時間反応した。この反応後の試料11aをガスクロマトグラフィーにより分析した結果、フタル酸ジクロリドが88.8%(収率)生成し、無水フタル酸6.8%が残存していた。そのまま実施例1と同様にして試料11aを蒸留し、18.2g(収率89.7%)の純度92.0%のフタル酸ジクロリドの留分を得た。その中には7.6%の無水フタル酸が混入していた。
無水フタル酸 222g(1.50モル)、4−クロロトリクロロメチルベンゼン 517g(2.25モル)、塩化亜鉛 0.44g(無水フタル酸に対して0.22%)の混合物を160℃にて33時間攪拌した。反応後の混合物試料22aを実施例1と同様にして蒸留して試料22を得た。この試料22をガスクロマトグラフィーにより分析した結果、無水フタル酸が4.3%残り、純度95.5%のフタル酸ジクロリドが生成していた。
Claims (6)
- 前記ジルコニウム化合物またはハフニウム化合物が塩化ジルコニウムまたは塩化ハフニウムである請求項1に記載のフタル酸ジクロリド化合物の製造方法。
- 一般式(1)で表される化合物が無水フタル酸である請求項1または2に記載のフタル酸ジクロリド化合物の製造方法。
- 一般式(1)で表される化合物が3−クロロ無水フタル酸又は4−クロロ無水フタル酸である請求項1または2に記載のフタル酸ジクロリド化合物の製造方法。
- 一般式(2)で表される化合物が4−クロロトリクロロメチルベンゼンである請求項1〜4のいずれか1項に記載のフタル酸ジクロリド化合物の製造方法。
- ジルコニウム化合物および/またはハフニウム化合物からなる触媒であって、下記一般式(1)で表される化合物と一般式(2)で表される化合物とを反応させて、下記一般式(3)で表される化合物を生成させる反応に用いられることを特徴とするフタル酸ジクロリド化合物製造用触媒。
(式中、Xは、ハロゲン原子、ニトロ基、メチル基、またはメトキシ基を表す。該Xが複数あるとき、これらは互いに同じであっても異なっていてもよい。nは0〜2の整数を表す。Rは、ハロゲン原子、クロロカルボニル基、低級アルキル基、またはハロゲン置換低級アルキル基を表す。該Rが複数あるとき、これらは互いに同じであっても異なっていてもよい。mは0〜2の整数を表す。)
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