JP2010053003A - 高純度水素製造方法 - Google Patents

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Abstract


【課題】プロセス全体のエネルギー効率を改善しつつ、製造装置のさらなるコンパクト化を実現しうる、より低コストの高純度水素の製造方法を提供する。
【解決手段】液体状炭化水素燃料Aと水Bとを液体状のままで加圧した後、改質器1と変成器2にて改質し変成してCOを含有する高圧の水素リッチガスDを生成し、この高圧の水素リッチガスDを、減圧することなくそのままCO除去器5に充填した、ハロゲン化銅を担持させたCO吸着剤と接触させてCOを吸着除去したのち、高圧状態のまま水素分離回収装置6の水素吸蔵材料にて水素を吸蔵させ、この吸蔵された水素を吸蔵材料から放出させて、高純度水素Fを得る。
【選択図】図1

Description

本発明は、リン酸形や固体高分子形等のプロトン伝導形燃料電池等に用いられる高純度水素の製造方法に関し、詳しくは、燃料電池のエネルギー(燃料)である水素を製造する際に副生する一酸化炭素や二酸化炭素、水や、未反応のメタンなどを除去し、高純度の水素を効率良く製造する方法に関する。
近年、地球環境の改善につながる燃料電池用の燃料として、水素への期待が高まっている。水素は、天然ガス、ナフサ、灯油、メタノールなどの炭化水素含有燃料と水蒸気を金属触媒の存在下で改質・変成した後、精製して得るのが一般的である。変成後のガス(変成ガス)には、水素以外に一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO)、メタン(CH)、水(HO)などが含まれており、とくにCOは固体高分子形燃料電池等の低温型燃料電池の電極に吸着して電圧出力を低下させるため、ppmレベルまで除去する必要がある。
高純度水素を得る代表的な方法としては、水素PSA法が挙げられる。水素PSA法は吸着剤への各ガス成分の吸脱着挙動の違いを利用して分離する方法であり、高圧下で不純物であるCO、CO、CH、HOなどを吸着させ、これらのガスより吸着親和性の低いHのみを回収する方法である。吸着した不純物ガス成分は減圧により脱着させて系外に放出される。本方法による水素PSA装置は複数の吸着塔から構成され、それぞれの吸着塔では吸着工程、均圧工程、減圧工程、パージ工程および昇圧工程を組み合わせた操作が繰り返され、装置全体では連続水素精製装置として機能する(例えば、非特許文献1参照)。上記吸着塔には、吸着剤として活性炭、ゼオライトおよび活性アルミナを単独または積層して充填しており、99.999容積%以上の高純度水素を製造することができる。しかしながら、これらの吸着剤でCOをppmレベルまで除去するためには大量の吸着剤が必要であり、そのために吸着塔が大型化し、さらにHの収率が低下するという問題がある。
また、燃料電池に適合した水素に富む燃料ガスを製造することを目的として、改質・変成後のガスをハロゲン化銅吸着剤に流通させてCOを除去する方法が開示されている(特許文献1参照)。しかしながら、本方法ではCOは除去できるものの、CO等その他のガスを除去することができないため、燃料電池に燃料ガスを供給した場合に発電効率が低下する問題がある。また、長期に燃料ガスを供給した場合、HおよびCO以外のガスが燃料電池の電極に与える影響は現時点で不明であるという課題も残っている。
また、COをCO選択酸化触媒にて除去した後に水素PSAを用いてCOやCH、HOを除去する方法も検討されている(非特許文献2参照)。本方法は、水素PSA法における吸着塔が大型化する主原因であるCOをあらかじめ除去するため、吸着塔の小型化につながるが、COを酸化させるために空気を導入する際、CO酸化の等量以上に酸素を供給する必要があるため、COと反応しない酸素はHと反応してHを消費してHの回収効率を低下させるとともに、副次反応としてメタネーションが起こり、PSAで除去しにくいCHが生成することや、同じくPSAで除去しにくい窒素(N)が系内に混入するという問題がある。
また、廃シリコン、バイオマス、廃アルミから発生する各種水素含有ガスから水素吸蔵合金を用いて高純度水素を製造する方法も検討されている(非特許文献3参照)。本方法は、水素吸蔵合金に水素含有ガス中の水素のみを選択的に吸蔵させることによって高純度水素を製造することができるものであるが、不純物ガス、特にCOに対する問題が十分に解決されていない。
そこで、本発明者らは、炭化水素含有燃料を改質・変成して得た水素リッチガスから、吸着特性が特異的に優れたハロゲン化銅を担持させてなるCO吸着剤にてCOを除去したのち、水素吸蔵材料に水素を選択的に吸蔵させることによって、高純度水素を得る方法を提案した(特許文献2参照)。本方法により、COに対する問題が解決され、高純度の水素を高効率で得ることができるようになり、その結果、製造装置を大幅にコンパクト化でき、低コストで高純度水素が得られるようになった。
しかしながら、本方法において、製造装置のさらなるコンパクト化を図るためには、水素リッチガスを加圧することにより、CO吸着剤によるCO吸着容量および水素吸蔵材料による水素吸蔵容量を増大させることが好ましい(特許文献2の段落[0038]、図3参照)ものの、水素リッチガスの加圧に要するエネルギーによって、プロセス全体のエネルギー効率が低下する問題があり、この点で改良の余地が残されていた。
竹内雍監修、「最新吸着技術便覧」、株式会社エヌ・ティー・エス、1999年1月、p.86 NEDO平成13年度報告書、新PSA方式による水素製造技術開発、2002年 勝田 正文、ケミカル・エンジニアリング、2005年10月、p.737−744 特開2002−201005号公報 特開2006−342014号公報
そこで本発明の目的は、プロセス全体のエネルギー効率を改善しつつ、製造装置のさらなるコンパクト化を実現しうる、より低コストの高純度水素の製造方法を提供することにある。
請求項1に記載の発明は、液体状炭化水素燃料と水からなる液体状改質用原料を液体状のままで加圧する液体状改質用原料加圧工程と、該加圧された液体状改質用原料を改質し、または改質し変成してCOを含有する水素リッチガスを得る水素リッチガス製造工程と、該COを含有する水素リッチガスを減圧することなくCO吸着剤と接触させてCOを吸着除去しCO除去ガスを得るCO吸着除去工程と、該CO除去ガスを減圧することなく該CO除去ガスに含まれる水素を水素吸蔵材料に吸蔵させる水素吸蔵ステップとこの吸蔵された水素を前記吸蔵材料から放出させる水素放出ステップとを有する水素分離回収工程と、を備えた高純度水素の製造方法であって、前記CO吸着剤が、シリカ、アルミナ、活性炭、グラファイトおよびポリスチレン系樹脂よりなる群から選択される1種以上の担体に、ハロゲン化銅(I)および/またはハロゲン化銅(II)を担持させた材料であることを特徴とする高純度水素製造方法である。
請求項2に記載の発明は、前記水素吸蔵材料として、水素吸蔵合金、表面処理した水素吸蔵合金、ケミカルハイドライド、カーボンナノチューブ、またはこれらのいずれか2種以上を用いる請求項1に記載の高純度水素製造方法である。
請求項3に記載の発明は、前記水素吸蔵ステップにおける、反応温度は80℃以下、雰囲気圧力はゲージ圧で0.2〜35MPaとする請求項1または2に記載の高純度水素製造方法である。
請求項4に記載の発明は、前記水素放出ステップにおける、反応温度は250℃以下、雰囲気圧力は前記水素吸蔵ステップにおける雰囲気圧力より低くする請求項1〜3のいずれか1項に記載の高純度水素製造方法である。
請求項5に記載の発明は、前記CO吸着除去工程が、COを吸着除去するCO吸着ステップと、前記CO吸着剤を再生するCO吸着剤再生ステップとを有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の高純度水素製造方法である。
請求項6に記載の発明は、前記水素吸蔵ステップにおいて前記水素吸蔵材料が水素を吸蔵する際に発生する熱を、前記CO吸着剤再生ステップにおける前記CO吸着剤の昇温および/または前記水素放出ステップにおける前記水素吸蔵材料の昇温に用いる請求項5に記載の高純度水素製造方法である。
請求項7に記載の発明は、前記CO吸着ステップにおける反応温度を得るために、前記COを含有する水素リッチガスに含まれる水蒸気の潜熱、この水素リッチガスの顕熱、前記改質を行う工程からの燃焼排ガスの顕熱、前記改質用原料に用いたものとは別の液体状炭化水素燃料の燃焼熱、またはこれらのいずれか2種以上を用いて前記水素吸蔵材料を加熱する請求項5または6に記載の高純度水素製造方法である。
請求項8に記載の発明は、前記液体状炭化水素燃料が、灯油、メタノール、ガソリンおよびジメチルエーテルよりなる群から選択される1種以上の燃料である請求項1〜7のいずれか1項に記載の高純度水素製造方法である。
本発明によれば、液体状炭化水素燃料と水からなる液体状改質原料を液体状のままで加圧してから改質することで、従来のようにガス状で加圧する場合に比べて大幅に加圧に要するエネルギーが低減し、その結果、プロセス全体のエネルギー効率を改善しつつ、製造装置をさらにコンパクト化でき、より低コストで高純度水素が得られるようになった。
以下、本発明の実施の形態について図1、2のフロー図を参照しつつ詳細に説明する。
〔実施形態1〕
実施形態の一例を図1のフロー図に示す。本実施形態では、CO吸着剤の吸着/再生および水素吸蔵材料の水素吸蔵/水素放出の切り替え操作を主として反応圧力の昇降(すなわち、圧力スイング)により行う例を示す。
(液体状改質用原料加圧工程)
本発明は、常温で液体状の改質用原料を液体状のままで加圧してから改質を行うことを特徴とする。すなわち、炭化水素燃料としては、灯油、メタノール、ガソリン、メチルエーテル等、またはこれらの2種以上を混合した液体状炭化水素燃料Aを用いる。また、改質剤であるHOとしては、水蒸気でなく水を用いる。
そして、このような液体状炭化水素燃料Aと水Bからなる液体状改質用原料Cを、ダイヤフラムポンプ、ピストンポンプ、プランジャーポンプ等の昇圧機1を用いて加圧し、所定圧力まで昇圧する。該所定圧力は、後段の水素リッチガス製造工程とCO除去工程を経て水素分離回収工程の水素吸蔵ステップにおける雰囲気圧力がゲージ圧(以下、圧力の単位はすべてゲージ圧である。)で0.2〜35MPaの圧力となるように、水素リッチガス製造工程とCO除去工程における雰囲気ガスの圧力損失分を考慮して、上記水素分離回収工程の水素吸蔵ステップにおける雰囲気圧力より少し高めに設定すればよい。
ここで、上記水素分離回収工程の水素吸蔵ステップにおける雰囲気圧力を0.2〜35MPaとしたのは以下の理由による。すなわち、0.2MPa以下では水素分離回収工程において水素貯蔵材料から水素を放出させるために必要な熱量が増加し、エネルギー効率が低下する一方、35MPaを超えると液体状炭化水素燃料を加圧するために必要なエネルギーが過大になり、やはりエネルギー効率が低下するためである。より好ましくは0.5〜5.0MPaである。
(水素リッチガス製造工程)
COを含有する水素リッチガスとしての変成ガスDを製造するための水素リッチガス製造工程には、例えば通常用いられる水蒸気改質器2と変成器3との組合せを用いればよい。改質器2に加圧状態にある液体状改質用原料Cを供給し、改質触媒にて改質反応を促進してHおよびCOを主成分とする改質ガスとした後、変成器3においてこの改質ガスにさらに水蒸気を添加して変成しHを主成分とする(水素リッチな)高圧の変成ガスDを生成する。この高圧の変成ガスD中には、Hの他、約15容量%(以下、単に「%」と表示する。)のCO、少量のCH、HOなどとともに、0.5%程度のCOが残留している。
(CO吸着除去工程)
本実施形態のCO吸着除去工程には、CO吸着剤を充填したCO吸着塔2基(5a,5b)からなるCO除去器5を用いる。以下、CO吸着除去ステップとCO吸着剤再生ステップに分けて説明し、さらにそれらのステップの切り替え操作について説明を行う。
[CO吸着除去ステップ]:上記水素リッチガス製造工程で得られた高圧の変成ガスDを、減圧操作することなく、そのままCO吸着剤を充填したCO除去器5を通過させ、変成ガスD中のCOを選択的に除去する。減圧操作を行わないのは、CO吸着剤によるCO吸着反応は圧力が高いほど促進されるためである。
CO吸着剤としては、シリカ、アルミナ、活性炭、グラファイトおよびポリスチレン系樹脂よりなる群から選択される1種以上の担体に、ハロゲン化銅(I)またはハロゲン化銅(II)を担持させた材料を用いる。このようなハロゲン化銅を担持させたCO吸着剤は、ゼオライトモレキュラーシーブス、カーボンモレキュラーシーブス、活性炭、または活性アルミナといった従来の吸着剤に比べ数倍〜十数倍の吸着性能を発揮するため、CO除去器5が大幅に小型化できる。
また、CO吸着剤によるCO吸着反応は温度が低いほど促進されるため、高温の変成ガスDを冷却するためにCO除去器5の上流側に熱交換器4を設け、冷却後の変成ガスDの温度を80℃以下、さらには60℃以に低下させ、本ステップにおける反応温度をこれらの温度範囲とするのが好ましい。
CO吸着除去後のCO除去ガスEのCO濃度は、次工程の水素吸蔵材料の被毒を抑制するため、100ppm以下、さらには10ppm以下とするのが好ましい。
[CO吸着剤再生ステップ]:CO吸着剤の吸着性能を維持するために、CO吸着除去ステップにおいて所定の時間経過後に、ないしはCO除去器5の出口側のCO濃度が所定の濃度まで上昇(破過)したときにCO吸着剤を再生する必要がある。CO吸着剤の再生は、吸着サイトに吸着したCOを脱離させるため、上記CO吸着除去ステップにおける雰囲気圧力より低い圧力、好ましくは常圧以下に減圧することにより行う。
この脱離したCOを再吸着させないで効率良く除去するために、キャリアガスとしてCOを実質的に含まないガスを流通させつつ、上記減圧操作を行ってもよい。
また、COの脱離反応は吸着反応とは逆に温度が高いほど促進されるため、CO吸着剤再生ステップにおける反応温度は、上記CO吸着除去ステップにおける反応温度より高くしてもよい。
このような条件を満足させるため、上記キャリアガスとして用いるCOを実質的に含まないガスとしては、例えば、後述の水素分離回収装置6で吸蔵されなかったオフガスGの一部G’を利用し、これを上述の熱交換器4で変成ガス(水素リッチガス)Dと熱交換し加熱して使用すればよい。ただし、250℃を超えて加熱すると、吸着剤に担持した活性種が不可逆的なダメージを受け、CO吸着剤の性能が低下するため250℃以下とする。とくに推奨される温度範囲は80〜150℃である。
そして、このCO吸着剤を再生した後のガスG’’は、COを高濃度に含むため、例えば改質器2の加熱用燃料Hの一部と代替して有効利用するとよい。
[CO吸着除去ステップとCO吸着剤再生ステップとの切り替え操作]:それぞれのCO吸着塔5a,5bにつき、上記CO吸着除去ステップとCO吸着剤再生ステップとを交互に切り替える必要があるが、連続的に高純度水素を製造するためには(すなわち、連続的にCO除去ガスEを得るためには)、2塔のうち常にいずれか1塔(本例では5a)をCO吸着除去ステップとしておき、他の1塔(本例では5b)をCO吸着剤再生ステップとするのがよい。
(水素分離回収工程)
本発明の水素分離回収工程には、水素吸蔵材料を充填した水素吸蔵材料容器2個(6a,6b)からなる水素分離回収装置6を用いる。以下、水素吸蔵ステップと水素放出ステップに分けて説明し、それらのステップの切り替え操作について説明する。
[水素吸蔵ステップ]:上記CO吸着除去工程で得られた高圧のCO除去ガスEを、減圧操作することなく、そのまま水素吸蔵材料を充填した水素分離回収装置3を通過させ、CO除去ガスE中のHを選択的に吸蔵する。減圧操作を行わないのは、上記CO吸着剤によるCO吸着反応と同様、水素吸蔵材料による水素吸収反応は圧力が高いほど促進されるためである。上記液体状改質用原料加圧工程の説明中で述べたように、本ステップにおける雰囲気圧力は、0.2〜35MPa、さらには0.5〜5.0MPaとするのが好ましい。
水素吸蔵材料としては、水素吸蔵合金が適しており、さらに水素吸蔵合金に表面処理を施したものは、COによる被毒を十分に抑制しうるためより好ましい。水素吸蔵合金の表面処理としては、COやHO、COに対して耐久性を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えばフッ化処理、無電解メッキ処理、樹脂コーティング処理等が挙げられる。
また、水素吸蔵材料による水素吸収反応は温度が低いほど促進されるため、前工程から排出されたCO除去ガスEを必要により水冷ジャケット等で冷却して導入してもよい。本ステップにおける反応温度は、80℃以下、さらには60℃以下とするのが好ましい。
そして、水素吸蔵材料に吸収されなかったH以外のガス(CO、CH、HOなど)はオフガスFとして必要により洗浄したのち系外に排出すればよい。
[水素放出ステップ]:水素を吸蔵した水素吸蔵材料から水素を放出させる反応は、水素吸収反応とは逆に圧力が低いほど促進されるため、水素放出ステップにおける雰囲気圧力は、上記水素吸蔵ステップにおける雰囲気圧力より低くする。
また、水素吸収反応とは逆に温度が高いほど促進されるため、水素放出ステップにおける反応温度は、上記水素吸蔵ステップにおける反応温度より高くしてもよい。このような条件を満足させるため、例えば改質器の燃焼排ガスGの顕熱を利用し、熱交換器5を用いて間接的に水素吸蔵材料を昇温するようにすればよい。なお、改質器2の燃焼排ガスJの顕熱のみでは水素吸蔵材料を十分に昇温できない場合は、不足分を燃料電池の排熱(水素吸蔵材料が水素を吸蔵する際に発生する熱)や改質用燃料を活用することもできる。ただし、250℃を超えて加熱すると、吸蔵時との温度差が大きくなるため、サイクル熱応力によって水素吸蔵材料が微粉化する。また、加熱温度を高くすると熱損失が増大するなどの理由により水素吸蔵材料の性能が低下するため250℃以下とするのがよい。とくに推奨される温度範囲は常温〜200℃である。
[水素吸蔵ステップと水素放出ステップとの切り替え操作]:それぞれの水素吸蔵材料容器6a,6bにつき、上記水素吸蔵ステップと水素放出ステップとを交互に切り替える必要があるが、常に1個の水素吸蔵材料容器(本例では6a)は水素吸蔵ステップとし、他の水素吸蔵材料容器(本例では6b)は水素放出ステップとするのがよい。これにより、高純度水素Fを後段の燃料電池等に連続して供給することが可能となるため、高純度水素をいったん貯蔵しておくためのバッファタンクを省略ないし小型化できる。
〔実施形態2〕
別の実施形態を図2のフロー図に示す。上記実施形態1では、水素リッチガス製造工程として改質器1と変成器2を組み合わせたものを例示したが、本実施形態2では、変成器2を省略し、改質器1のみを使用してCO濃度が約15%の改質ガスを水素リッチガスDとして用い、これをCO吸着除去器5に流通させる。水素リッチガスD中のCO濃度が高くなるのでCO除去器5の負荷は高くなるものの、CO吸着剤は特性上CO分圧が高いほど高容量にCOを吸着できるため、CO吸着塔はさほど拡大する必要がない。したがって、変成器2の省略による水素リッチガス製造工程の大幅なコンパクト化の効果の方が大きいため、より高効率のプロセスを構築することが可能となる。
(変形例)
上記実施形態1,2では、CO吸着除去工程として2塔のCO吸着塔5a,5bを交互に切り替えて用いる例を示したが、3塔以上のCO吸着塔を順次切り替えて用いてもよい。
また、上記実施形態1、2では、水素分離回収工程として2個の水素吸蔵材料容器6a,6bを交互に切り替えて用いる例を示したが、3個以上の水素吸蔵材料容器を順次切り替えて用いてもよい。また、単一の水素吸蔵材料容器とバッファタンクを組み合わせて、バッファタンクから後段の燃料電池等に連続的に高純度水素を供給しつつ、単一の水素吸蔵材料容器中の水素吸蔵材料により水素の吸蔵と放出とを繰り返しながら、放出時のみバッファタンクに水素を溜めるようにしてもよい。
また、上記実施形態1、2では、水素吸蔵材料として、水素吸蔵合金、表面処理した水素吸蔵合金を例示したが、ケミカルハイドライド、カーボンナノチューブ、またはこれらのいずれか2種以上を用いてもよい。
また、上記実施形態1、2では、CO吸着剤の再生に用いるCOを実質的に含まないガスとして水素分離回収装置6からのオフガスGを例示したが、水素分離回収装置6からの高純度水素F、改質器2の加熱用燃料H、またはこれらのいずれか2種以上を混合して用いてもよい。
また、上記実施形態1,2では、上記CO吸着ステップにおける反応温度を得るために、変成ガス(水素リッチガス)Dの顕熱を用いる例を示したが、変成ガス(水素リッチガス)Dに含まれる水蒸気の潜熱、改質器2(改質を行う工程から)の燃焼排ガスの顕熱、またはこれらのいずれか2種以上を用いてもよい。
また、上記実施形態1、2では、液体状炭化水素燃料Aと水Bを混合して一緒に昇圧する例を示したが、混合せずに別個に昇圧するようにしてもよい。
本発明の効果を確認するため、定常プロセスシミュレーション計算によって検討を行った。
(発明例)
上記実施形態2で説明した、水素リッチガス製造工程として変成器を省略し改質器のみを用いるプロセスを検討対象とした。プロセスフローを図3に示す。
(比較例1)
上記発明例と異なり、昇圧機を改質器の前段でなく後段に設置し、改質器で得られた改質ガスを該昇圧機によって昇圧するプロセスを検討対象とした。プロセスフローを図4に示す。
(比較例2)
上記発明例および比較例1と異なり、昇圧機を用いない常圧プロセスを検討対象とした。プロセスフローを図5に示す。
〔シミュレーション計算の前提条件〕
・液体状炭化水素燃料:メタノール
・燃料流量:10.008g−mol/h
・改質温度:250℃
・改質器スチーム/カーボン比(S/C):2.0
・改質器バーナー燃焼熱の利用効率:90%
・水素貯蔵材料による水素精製効率:90%
・CO吸着剤:塩化銅(I)担持アルミナ
・CO吸着剤の吸着温度:40℃
・CO吸着剤の再生温度:90℃
・昇圧機の動力効率:50%(発明例、比較例1)
・CO除去・水素分離操作圧力:0.9MPa(発明例、比較例1)、0.12MPa(比較例2)
〔計算結果〕
計算結果を下記表1に示す。なお、プロセス全体のエネルギー効率は下記式(1)で定義する。熱量は高位発熱量(HHV)基準とした。
[プロセス全体のエネルギー効率(%)]=[精製した高純度水素の熱量]/([改質原料用メタノールの熱量]+[バーナー燃料用メタノールの熱量]+[昇圧機の動力])×100 …式(1)
下記表1に示すように、発明例は、比較例1と比べると、昇圧機の動力が大幅に低減しており、プロセス全体の熱エネルギー効率は82.1%から88.5%へと6.4ポイントもの向上効果が認められる。
また、発明例は、比較例2と比べても、昇圧機の動力を余分に必要とするものの、その昇圧に要するエネルギーはわずかであり、むしろプロセス高圧化による必要CO吸着剤量の低減に伴ってCO吸着剤を再生するための加熱に要する燃料が削減される効果の方が大きく、その結果として、プロセス全体の熱エネルギー効率は85.4%から88.5%へと3.1ポイントの向上効果が認められる。
以上の結果から、本発明により、プロセス全体のエネルギー効率を改善しつつ、製造装置のさらなるコンパクト化を実現しうることが確認できた。
Figure 2010053003
実施形態1に係る高純度水素製造プロセスを示すフロー図である。 実施形態2に係る高純度水素製造プロセスを示すフロー図である。 発明例の高純度水素製造プロセスを示すフロー図である。 比較例1の高純度水素製造プロセスを示すフロー図である。 比較例2の高純度水素製造プロセスを示すフロー図である。
符号の説明
1…改質器
2…変成器
3…昇圧機
4…熱交換器
5…CO除去器
5a,5b…CO吸着塔
6…水素分離回収装置
6a,6b…水素吸蔵材料容器
A…液体状炭化水素燃料
B…水
C…液体状改質原料
D…COを含有する水素リッチガス
E…CO除去ガス
F…高純度水素
G…オフガス
H…改質器加熱用燃料
J…改質器の燃焼排ガス

Claims (8)

  1. 液体状炭化水素燃料と水からなる液体状改質用原料を液体状のままで加圧する液体状改質用原料加圧工程と、
    該加圧された液体状改質用原料を改質し、または改質し変成してCOを含有する水素リッチガスを得る水素リッチガス製造工程と、
    該COを含有する水素リッチガスを減圧することなくCO吸着剤と接触させてCOを吸着除去しCO除去ガスを得るCO吸着除去工程と、
    該CO除去ガスを減圧することなく該CO除去ガスに含まれる水素を水素吸蔵材料に吸蔵させる水素吸蔵ステップとこの吸蔵された水素を前記吸蔵材料から放出させる水素放出ステップとを有する水素分離回収工程と、
    を備えた高純度水素の製造方法であって、
    前記CO吸着剤が、シリカ、アルミナ、活性炭、グラファイトおよびポリスチレン系樹脂よりなる群から選択される1種以上の担体に、ハロゲン化銅(I)および/またはハロゲン化銅(II)を担持させた材料であることを特徴とする高純度水素製造方法。
  2. 前記水素吸蔵材料として、水素吸蔵合金、表面処理した水素吸蔵合金、ケミカルハイドライド、カーボンナノチューブ、またはこれらのいずれか2種以上を用いる請求項1に記載の高純度水素製造方法。
  3. 前記水素吸蔵ステップにおける、反応温度は80℃以下、雰囲気圧力はゲージ圧で0.2〜35MPaとする請求項1または2に記載の高純度水素製造方法。
  4. 前記水素放出ステップにおける、反応温度は250℃以下、雰囲気圧力は前記水素吸蔵ステップにおける雰囲気圧力より低くする請求項1〜3のいずれか1項に記載の高純度水素製造方法。
  5. 前記CO吸着除去工程が、COを吸着除去するCO吸着ステップと、前記CO吸着剤を再生するCO吸着剤再生ステップとを有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の高純度水素製造方法。
  6. 前記水素吸蔵ステップにおいて前記水素吸蔵材料が水素を吸蔵する際に発生する熱を、前記CO吸着剤再生ステップにおける前記CO吸着剤の昇温および/または前記水素放出ステップにおける前記水素吸蔵材料の昇温に用いる請求項5に記載の高純度水素製造方法。
  7. 前記CO吸着ステップにおける反応温度を得るために、前記COを含有する水素リッチガスに含まれる水蒸気の潜熱、この水素リッチガスの顕熱、前記改質を行う工程からの燃焼排ガスの顕熱、前記改質用原料に用いたものとは別の液体状炭化水素燃料の燃焼熱、またはこれらのいずれか2種以上を用いて前記水素吸蔵材料を加熱する請求項5または6に記載の高純度水素製造方法。
  8. 前記液体状炭化水素燃料が、灯油、メタノール、ガソリンおよびジメチルエーテルよりなる群から選択される1種以上の燃料である請求項1〜7のいずれか1項に記載の高純度水素製造方法。
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