JP2010051923A - 揮発性有機物分解用触媒体および揮発性有機物分解方法 - Google Patents

揮発性有機物分解用触媒体および揮発性有機物分解方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 暗所で、空気中の揮発性有機物を分解することができる触媒体を提供することである。
【解決手段】 少なくともコバルト酸化物を担持した酸化チタンを含む触媒体であって、(1)X線回折測定で少なくともCo34の回折パターンを示し、かつ(2)前記酸化チタンは酸化チタンのみで可視光線の照射下で光触媒活性を示す揮発性有機物分解用触媒体である。この触媒体を用いて、暗所で、空気中のアルデヒド類などの揮発性有機物を分解する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、揮発性有機物分解用触媒体およびそれを用いる揮発性有機物分解方法に関する。
屋内環境において、建材から放出されるホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、トルエン等の揮発性有機化合物は、シックハウス症候群の原因物質として危惧されている。このような揮発性有機化合物を除去する方法として、吸着剤で吸着する方法や、光触媒で分解する方法などが提案されている。
しかしながら、吸着剤を用いた場合、揮発性有機物の吸着量が飽和吸着量を超えると、吸着剤として機能しなくなる。また、光触媒体を用いる方法では、夜間や暗所では揮発性有機物を分解することができない為、十分な効果が期待できない。
室温以下で揮発性有機物を分解する触媒体も提案されている。たとえば特許文献1では、鉄の酸化物とCo34などの酸化物との混合酸化物および/または化合物の形態を有し、鉄の原子価数が3価で存在する触媒が提案されているが、活性が低く、十分な効果が得られなかった。
特開平5−84441号公報
本発明は、前記従来技術の問題点に鑑みて、暗所でも、空気中の揮発性有機物を分解することができる触媒体を提供することを課題とする。
本発明者は、前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、コバルト酸化物を担持する酸化チタンを含む触媒体が、例えば暗所でかつ室温以下(例えば気温20〜30℃)の環境下でも、空気中の揮発性有機物を効率よく分解することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、少なくともコバルト酸化物を担持した酸化チタンを含む触媒体であって、(1)X線回折測定で少なくともCo34の回折パターンを示し、(2)前記酸化チタンは酸化チタンのみで可視光線の照射下で光触媒活性を示す、ことを特徴とする揮発性有機物を分解する触媒体に関する。
さらに本発明は、前記触媒体を用いて、暗所で、空気中の揮発性有機物を分解することを特徴とする揮発性有機物の分解方法に関する。
本発明の触媒体によれば、空気中、たとえ暗所でも、揮発性有機物を効率よく分解することができるという効果がある。
本発明の触媒体は、酸化チタン表面上に、少なくともコバルト酸化物を担持するものである。ここでコバルト酸化物とは、コバルト水酸化物をも含む概念である。
コバルト酸化物としては、Co34、CoO、Co23、Co(OH)2、Co(OH)3等の1種または2種以上が挙げられる。特に、少なくともCo34を含むものが好ましい。
本発明の触媒体は、コバルト酸化物をCoとして酸化チタンに対して2〜10モル%担持するものが好ましい。コバルト酸化物の担持量がCoとして2モル%未満では、室温では揮発性有機物を分解しない傾向がある。また、コバルト酸化物の担持量がCoとして10モル%を超えると、Coの担持量に対する揮発性有機物の分解活性は飽和し、Co使用量の増加によるコストに見合うだけの活性が得られない傾向がある。
本発明の触媒体は、X線回折装置にて測定して、少なくともCo34の回折パターンを示すことが必要である。コバルト酸化物を酸化チタンに対してCoとして2〜10モル%担持していても、X線回折測定で少なくともCo34の回折ピークが観測されない場合、室温では揮発性有機物を十分に分解しない。
本発明の触媒体で用いる酸化チタンは、酸化チタンのみで可視光線の照射下で光触媒活性を示すものである。具体的には、実施例に記載の波長430nm以上の可視光線の照射下でのアセトアルデヒドの分解反応に対し、反応初期20分の一次反応速度定数が0.005min-1以上のものが好ましい。このような酸化チタンは、次に述べる通り、チタン化合物と塩基から得られる生成物に、過剰量アンモニアを添加後熟成し、固液分離後、焼成して得ることができ、過剰量のアンモニアの添加により、得られる酸化チタンの表面付近の状態が、コバルト酸化物を担持したときに、揮発性有機物の分解に対してもっとも適するものになる。
本発明で用いる酸化チタンは、チタン化合物と塩基を反応させ、生成物にアンモニアを添加し、熟成した後、固液分離し、ついで固形分を焼成する方法などで製造することができる。
この方法では、チタン化合物として、例えば三塩化チタン〔TiCl3〕、四塩化チタン〔TiCl4〕、硫酸チタン〔Ti(SO42・mH2O、0≦m≦20〕、オキシ硫酸チタン〔TiOSO4・nH2O、0≦n≦20〕、オキシ塩化チタン〔TiOCl2〕を用いることができる。チタン化合物と反応させる塩基としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、アンモニア、ヒドラジン、ヒドロキシルアミン、モノエタノールアミン、非環式アミン化合物、環式脂肪族アミン化合物を用いることができる。チタン化合物と塩基の反応は、pH2以上、好ましくはpH3以上、かつpH7以下、好ましくはpH5以下で行われ、そのときの温度は、通常90℃以下、好ましくは70℃以下、さらに好ましくは55℃以下である。さらに製造された酸化チタンの粉砕性を向上させるために、チタン化合物と塩基の反応を過酸化水素存在下で行ってもよい。
熟成は、例えばアンモニアが添加された生成物を、攪拌しながら、0℃以上、好ましくは10℃以上、かつ110℃以下、好ましくは80℃以下、より好ましくは55℃以下の温度範囲に、1分以上、好ましくは10分以上、かつ10時間以下、好ましくは2時間以下の条件で保持する方法で行うことができる。
反応と熟成に用いられるアンモニアの総量は、水の存在下でチタン化合物を水酸化チタンに変えるのに必要な塩基の化学量論量を超える量であることが好ましく、例えば1.1モル倍以上であることが好ましい。塩基の量が多いほど、可視光照射によって高い光触媒活性を示す膜を形成できるコーティング液が得られやすいので好ましく、例えば1.5モル倍以上がさらに好ましい。一方、塩基の量があまり多くなっても、量に見合った効果が得られないので、20モル倍以下、さらには10モル倍以下が適当である。
熟成された生成物の固液分離は、加圧濾過、減圧濾過、遠心分離、デカンテーションなどで行うことができる。また固液分離では、得られる固形分を洗浄する操作をあわせて行うことが好ましい。
固液分離された固形分または任意の洗浄を行った固形分の焼成は、気流焼成炉、トンネル炉、回転炉などを用いて、通常250℃以上、好ましくは270℃以上、かつ600℃以下、好ましくは500℃以下、より好ましくは400℃以下の温度条件で行うことができる。このときの時間は、焼成温度や焼成装置の種類により異なり一義的ではないが、通常10分以上、好ましくは30分以上、かつ30時間以内、好ましくは5時間以内である。
本発明の触媒体は、ラマン分光分析で700cm-1にメインピークをもつ黒色粒子を含有するものが好ましい。このメインピークは、一般にCoOまたはCo34に帰属される。この黒色粒子はマイクロスコープで観察することができ、粒径2〜120μm、好ましくは2〜10μmの黒色粒子である。粒径が2μm未満の場合、コバルト酸化物の結晶性が不十分な為、十分な触媒活性を発現しない傾向がある。また粒径が120μmを超える場合、コバルト酸化物の触媒活性点が減少し、十分な触媒活性を発現しない傾向がある。
また、本発明の触媒体は、上記黒色粒子以外にも、700cm-1にメインピークをもつ粒子を含有するものが好ましい。黒色以外の粒子の色としては例えば、茶色や薄黄色を呈しているものが挙げられる。この黒色以外の700cm-1にメインピークをもつ粒子が存在しない場合、十分な触媒活性を発現しない傾向がある。
本発明の触媒体は、空気中、暗所でかつ気温20〜30℃の環境下で揮発性有機物を分解するのに好適である。しかし、本発明の触媒体は、可視光照射下での光触媒活性を有するので、暗所での使用のみに限定されるものではなく、明所での揮発性有機物の分解に使用することもできる。また適用温度も20〜30℃に限定されるものではなく、その範囲を外れた温度条件下でも揮発性有機物の分解に使用することもできるが、一般には室温またはそれ以下の温度で使用するのが好ましい。
本発明の触媒体によって分解される揮発性有機物としては、特に限定されるものではないが、例えばホルムアルデヒド、アセトアルデヒド等のアルデヒド類、トルエン、キシレン、ベンゼン等の芳香族化合物類などがあげられる。本発明の触媒体はそれらの中でもアルデヒド類の分解に用いるのが好ましい。
本発明の触媒体は、適当な溶媒に分散させて用いることができる。分散処理は、例えば、媒体撹拌式分散機を用いる通常の方法により行うことができ、必要に応じて分散剤を添加してもよい。
この分散液は、生活雑貨、建築材料、家電製品、自動車材料等に本発明の触媒体を塗布すること、または生活雑貨、建築材料、家電製品、自動車材料等を本発明の触媒体で被覆することを容易にし、かつ生活雑貨、建築材料、家電製品、自動車材料等に高い揮発性有機物分解性能を付与することを可能とする。溶媒としては、塗布後または被覆後に蒸発して酸化チタンに残存しない溶媒が好ましく、例えば、アルコール類(メタノール、エタノール、2−プロパノール、ブタノールなど)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトンなど)があげられる。
本発明の触媒体は、使用に際し触媒活性を実質的に損なわない範囲で、添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては、例えば触媒性能を向上させる目的で添加されるものが挙げられ、具体的には非晶質シリカ、シリカゾル、水ガラス、オルガノポリシロキサンなどの珪素化合物、非晶質アルミナ、アルミナゾル、水酸化アルミニウムなどのアルミニウム化合物、ゼオライト、カオリナイトのようなアルミノ珪酸塩、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウムなどのアルカリ土類金属酸化物またはアルカリ度類金属水酸化物、リン酸カルシウム、モレキュラーシーブ、活性炭、有機ポリシロキサン化合物の重縮合物、リン酸塩、フッ素系ポリマー、シリコン系ポリマー、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、アルキド樹脂などが挙げられる。これらの添加剤はそれぞれ単独で、または2種以上を組合せて用いられる。
また、添加剤には、本発明の触媒体の分散液を基材表面に塗布した場合、触媒粒子をより強固に基材の表面に保持するためのバインダーなども挙げられる〔例えば特開平8−67835号公報、特開平9−25437号公報、特開平10−183061号公報、特開平10−183062号公報、特開平10−168349号公報、特開平10−225658号公報、特開平11−1620号公報、特開平11−1661号公報、特開2004−059686号公報、特開2004−107381号公報、特開2004−256590号公報、特開2004−359902号公報、特開2005−113028号公報、特開2005−230661号公報、特開2007−161824号公報等を参照〕
本発明の触媒体の分散液を基材の表面に塗布し、溶媒を揮発させることにより、基材表面に触媒体層を形成することができる。この触媒体は、プラスチック、金属、セラミックス、木材、コンクリート、紙のような材料からなる製品の内表面および外表面で、かつ揮発性有機物が発生する箇所と連続または断続して空間的につながる面に保持されていることが好ましい。
本発明の触媒体を適応した製品は、少なくとも室温で揮発性有機物の分解に高い触媒作用を示すものであり、この触媒体を塗布した商品を屋内環境に設置すれば、環境中のアルデヒド類、芳香族化合物類等の揮発性有機物を簡易に分解、除去することができる。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
触媒体についての測定は次のようにして行った。
1.デジタルマイクロスコープ測定
デジタルマイクロスコープ(KH−7700、レンズ:OL−350、HILOX社製)を用いて測定した。
2.X線回折測定
X線回折装置(RINT2100V、(株)リガク製)を用いて、ターゲット:Cu、X線出力:電圧40kV、電流40mA、スリット:DS1°、SS1°、RS0.3mm、スキャンスピード:1°/min、測定範囲:2θ=5.0〜16.0°で測定した。
3.ラマン分光分析
レーザーラマン測定装置(NRS−3300、日本分光(株)製)を用いて、レーザー:グリーンレーザー(波長532nm)、対物レンズ:100倍(最小分解能1μm)、スリット:0.2×6mm、中心波数:1010cm−1、露光時間:3秒、積算回数:3回の条件で測定した。
4.触媒活性測定用試料の作製
内径6cmのシャーレ容器内に触媒体0.1gを置き、水を少量入れてペースト状にしてシャーレ全体に均一となるように展開した。これを110℃の乾燥機で1時間乾燥させ、光触媒評価用試料を作製した。その後ブラックライト(紫外線強度2mW/cm2)を16時間照射して、触媒に含まれる酸化チタンの光触媒作用により、この試料表面に付着している有機物を分解して初期化を行った。
5.触媒活性:アセトアルデヒド分解能
直径8cm、高さ10cm、容量約0.5Lの密閉式ガラス製容器内に、上記のように作成した触媒活性測定用試料をガラス製シャーレごと設置した。この反応容器内を酸素20容量%、窒素80容量%からなる相対湿度が50%の混合ガスで満たし、さらに1%アセトアルデヒド(アセトアルデヒド以外は、窒素100容量%からなるガスである。)を300ml封入した。これにより反応容器内のアセトアルデヒドの濃度は600ppmとなった。アセトアルデヒドを注入した時間を反応開始時間とし、その後暗黒下・気温25℃の環境下で150分間放置して、アセトアルデヒドの濃度を光音響マルチガスモニタ(型番“1312型”、INNOVA社製)で定量した。アセトアルデヒドの濃度が低い程、アセトアルデヒドの分解能は大きい。
6.光触媒活性:アセトアルデヒド分解能
酸化チタンのみを用いて、「4.触媒活性測定用試料の作製」と同様の方法で、光触媒活性測定用試料を作製した。この試料を直径8cm、高さ10cm、容量約0.5Lの密閉式のガラス製反応容器内に設置し、反応容器内を酸素20容量%、窒素80容量%からなる相対湿度が50%の混合ガスで満たし、さらに1%アセトアルデヒド(アセトアルデヒド以外は、窒素100容量%からなるガスである。)を300ml封入した。これにより反応容器内のアセトアルデヒドの濃度は600ppmとなった。封入後暗所で1時間安定化させた後、気温25℃の環境下で光照射を行いアセトアルデヒドの分解反応を行った。光源には、500Wキセノンランプ(商品名“ランプUXL−500SX”、ウシオ電機(株)製)を取り付けた光源装置(商品名“オプティカルモジュレックスSX−UI500XQ”、ウシオ電機(株)製)に、波長約430nm以下の紫外線をカットするフィルター(商品名“Y−45”、AGCテクノグラス(株)製)と波長約830nm以上の赤外線をカットするフィルター(商品名“スーパーコールドフィルター”、ウシオ電機(株)製)とを装着したものを用いた。試料表面付近の光の照度は50,000ルクス(コニカミノルタ(株)製照度計T−10で測定)であった。またスペクトロラディオメーターUSR−40D(ウシオ電機(株)製)にて、試料表面付近の光のスペクトルを測定したところ、波長430nm以下の紫外線をカットし、可視光線のみを照射できていることがわかった。光照射しながら反応容器のアセトアルデヒドガスの濃度を2分間隔で光音響マルチガスモニタ(1312型、INNOVA社製)で経時的に測定し、照射時間に対するアセトアルデヒドの濃度減少を対数軸にプロットし、得られた直線の傾きから反応開始初期20分での一次反応速度定数を算出し、これをアセトアルデヒド分解能とした。一次反応速度定数が大きいほど、アセトアルデヒドの分解能は大きい。
[実施例1]
オキシ硫酸チタン75kgをイオン交換水50kgに溶解させ、オキシ硫酸チタン水溶液を調製した。冷却下、このオキシ硫酸チタン水溶液に35重量%過酸化水素水30kgを添加した。pH電極と、このpH電極に接続され、25重量%アンモニア水を供給してpHを一定に調整する機構を有するpHコントローラーとを備えた反応容器にイオン交換水30kgを入れた。pHコントローラーのpH設定を4とした。この反応容器では、容器内の液のpHが設定値より低くなると、アンモニア水が供給されはじめ、pHが設定値になるまで前記速度にて連続供給される。この反応容器に、42rpmで攪拌しながら、上記で得られた混合溶液を530ml/分で添加し、pHコントローラーにより反応容器に供給されるアンモニア水と反応させて、生成物を得た。このときの反応温度は、20℃〜30℃の範囲であった。
得られた生成物を25℃で攪拌しながら1時間保持し、ついで25重量%アンモニア水を供給して、スラリーを得た。
反応容器に供給されたアンモニア水の合計量は90kgであり、オキシ硫酸チタンを水酸化チタンに変えるために必要な量の2倍であった。上記スラリーを濾過し、そのまま引き続いてリンス洗浄し、固形物(ケーキ)を得た。
上記で得られたケーキ2.3kgを30cm×40cmのステンレス製バットに入れた。このバット12枚を箱型乾燥機(内容積:216リットル、商品名"スーパーテンプオーブンHP−60"、旭科学(株)製)に入れ、40m3/hの乾燥空気流通下、115℃で5時間保持した後、続けて250℃で5時間乾燥を行なった。
上記で得られた乾燥粉末を350℃の空気雰囲気下で2時間焼成を行った後、室温まで冷却して、酸化チタン粉末を得た。この酸化チタン粉末の結晶型はアナタ-ゼであった。
この酸化チタン3gを、硝酸コバルト六水和物(和光純薬工業(株)製)0.37gを溶解した水溶液30gに分散した後、エバポレーターで水分を除去して粉末を得た。この粉末を空気中で300℃で2時間焼成して、触媒体を得た。触媒体中のCoの担持量は、酸化チタンに対して3.4 モル%であった。
この触媒体のBET比表面積は85m2/gであった。またこれのX線回折測定を行ったところ、Co34の回折パターンが測定された。さらに、マイクロスコープで観察したところ、粒径3μmの黒色粒子がみられ、この黒色粒子をラマン分光分析すると700cm-1にメインピークをもつスペクトルを示した。茶色や黄色等、黒色以外の粒子からも700cm-1にメインピークをもつスペクトルが観測された。このメインピークは、前述のようにCoOまたはCo34に帰属されるものである。
この触媒体を用いて、暗黒下、室温(25℃)でアセトアルデヒドの分解反応を行ったところ、反応開始150分後のアセトアルデヒドの濃度は、反応前の600ppmに対して7.1ppmであった。
[比較例1]
市販の酸化チタン(商品名P−25,結晶型:アナターゼおよびルチル、紫外光応答型、日本アエロジル(株)製)を用いた以外は実施例1と同様の方法で触媒体を調製した。触媒体中のCoの担持量は、酸化チタンに対して3.4 モル%であった。
この触媒体のBET比表面積は42m2/gであった。またこれのX線回折測定を行ったところ、Co34の回折パターンが測定された。さらに、マイクロスコープで観察したところ、粒径20〜100μmの黒色粒子がみられ、この黒色粒子をラマン分光分析すると700cm-1にメインピークをもつスペクトルを示した。茶色や黄色等、黒色以外の粒子からも700cm-1にメインピークをもつスペクトルが観測された。
この触媒体を用いて、暗黒下、室温(25℃)でアセトアルデヒドの分解反応を行ったところ、反応開始150分後のアセトアルデヒドの濃度は、反応前の600ppmに対して26ppmであった。
[比較例2]
市販の光触媒である酸化チタン(商品名ST−01,結晶型:アナターゼ、紫外光応答型、石原産業(株)製)を用いた以外は実施例1と同様の方法で触媒体を調製した。Coの担持量は、酸化チタンに対して3.4 モル%であった。
この触媒体のBET比表面積は163m2/gであった。またこれのX線回折測定を行ったところ、Co34の回折パターンが測定されなかった。さらに、マイクロスコープで観察したところ、粒径5〜10μmの黒色粒子がみられ、この黒色粒子をラマン分光分析すると700cm-1にメインピークをもつスペクトルを示した。黒色以外の粒子からはこの700cm-1にメインピークをもつスペクトルが観測されなかった。
この触媒体を用いて、暗黒下、室温(25℃)でアセトアルデヒドの分解反応を行ったところ、反応開始150分後のアセトアルデヒドの濃度は、反応前の600ppmに対して372ppmであった。
[比較例3]
酸化チタンに対するCoの担持量を1.1モル%にした以外は、実施例1と同様の方法で触媒体を調製した。
この触媒体のBET比表面積は81m2/gであった。またこれのX線回折測定を行ったところ、Co34の回折パターンが測定されなかった。さらに、マイクロスコープで観察したところ、粒径3μmの黒色粒子がみられ、この黒色粒子をラマン分光分析すると700cm−1にメインピークをもつスペクトルを示した。黒色以外の粒子からはこの700cm−1にメインピークをもつスペクトルが観測されなかった。
この触媒体を用いて、暗黒下、室温(25℃)でアセトアルデヒドの分解反応を行ったところ、反応開始150分後のアセトアルデヒドの濃度は、反応前の600ppmに対して304ppmであった。
[参考例1]
実施例1および比較例3で使用した酸化チタンのみを用いて可視光照射下での光触媒分解反応を行ったところ、一次反応速度定数は0.0086min-1であった。
[参考例2]
比較例1で使用した酸化チタンのみを用いて、可視光照射下での光触媒分解反応を行ったところ、一次反応速度定数は0.0015min-1であった。
[参考例3]
比較例2で使用した酸化チタンのみを用いて、可視光照射下での光触媒分解反応を行ったところ、一次反応速度定数は0.0014min-1であった。
前記実施例1および比較例1〜3の結果をまとめて表1に示す。実施例1、比較例1と比較例2、3を比較すると、X線回折測定でCo34の回折パターンを示すものが高い触媒活性を示すことがわかる。また実施例1と比較例1を比較すると、可視光照射下で高い光触媒活性を示す酸化チタンを用いた方が、高い触媒活性を示すことがわかる。
Figure 2010051923

Claims (4)

  1. 少なくともコバルト酸化物を担持した酸化チタンを含む触媒体であって、
    (1)X線回折測定で少なくともCo34の回折パターンを示し、
    (2)前記酸化チタンは酸化チタンのみで可視光線の照射下で光触媒活性を示す、
    ことを特徴とする揮発性有機物分解用触媒体。
  2. 揮発性有機物がアルデヒド類である請求項1に記載の触媒体。
  3. 請求項1に記載の触媒体を用いて、暗所で空気中の揮発性有機物を分解することを特徴とする揮発性有機物の分解方法。
  4. 揮発性有機物がアルデヒド類である請求項3に記載の揮発性有機物の分解方法。
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