一般的に、交流モータの制御はパルス幅変調に基づいて行なわれるが、この制御では目標電圧によって正弦波制御モード,過変調制御モード,矩形波制御モードといった複数のモードから一つのモードが選択されて電圧制御が行なわれる。こうした複数のモードにおいて過変調制御モードや矩形波制御モードでは電圧指令に高調波成分が含まれるため、上述の装置のように、交流モータに印加される相電流に基づくフィードバック制御を行なう場合は相電流に対してローパスフィルタを施すことも考えられるが、交流モータの回転数が急変するときには実際の印加電流の変化に対し遅れが生じて制御が困難となる場合が生じる。
本発明の電動機制御装置および車両は、三相交流電動機をより適正に制御することを主目的とする。
本発明の電動機制御装置および車両は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
本発明の第1の電動機制御装置は、
蓄電装置の電力を用いて三相交流電動機を制御する電動機制御装置であって、
前記三相交流電動機に印加される相電流を検出する相電流検出手段と、
前記三相交流電動機の回転数を検出する回転数検出手段と、
前記検出された回転数が急変する回転数急変時ではないときには前記検出された相電流に第1の時定数を用いたなまし処理を施した処理後電流に基づいて前記三相交流電動機から出力されているトルクである出力トルクを演算すると共に前記三相交流電動機の駆動指令に対して該演算した出力トルクに基づくフィードバック制御を施して電圧位相指令を演算し、前記回転数急変時には前記検出された相電流に前記第1の時定数より小さい第2の時定数を用いたなまし処理を施した処理後電流に基づいて前記出力トルクを演算すると共に前記三相交流電動機の駆動指令に対して該演算した出力トルクに基づくフィードバック制御を施して電圧位相指令を演算する電圧位相指令演算手段と、
前記演算された電圧位相指令に基づく矩形波電圧を前記三相交流電動機に印加する電圧印加手段と、
を備えることを要旨とする。
この本発明の第1の電動機制御装置では、三相交流電動機に印加される相電流を検出し、三相交流電動機の回転数が急変する回転数急変時ではないときには検出した相電流に第1の時定数を用いたなまし処理を施した処理後電流に基づいて三相交流電動機から出力されているトルクである出力トルクを演算すると共に三相交流電動機の駆動指令に対して演算した出力トルクに基づくフィードバック制御を施して電圧位相指令を演算し、回転数急変時には検出した相電流に第1の時定数より小さい第2の時定数を用いたなまし処理を施した処理後電流に基づいて出力トルクを演算すると共に三相交流電動機の駆動指令に対して演算した出力トルクに基づくフィードバック制御を施して電圧位相指令を演算し、演算した電圧位相指令に基づく矩形波電圧を三相交流電動機に印加する。これにより、検出した相電流に含まれる高調波成分による影響を低減させてフィードバック制御を行なうことができると共に三相交流電動機の回転数が急変するときにも応答性を確保することができる。この結果、三相交流電動機をより適正に制御することができる。
本発明の第2の電動機制御装置は、
蓄電装置の電力を用いて三相交流電動機を制御する電動機制御装置であって、
前記三相交流電動機に印加される相電流を検出する相電流検出手段と、
前記三相交流電動機の回転数を検出する回転数検出手段と、
前記検出された回転数が急変する回転数急変時ではないときには前記検出された相電流に第1の時定数を用いたなまし処理を施して処理後電流を演算すると共に前記三相交流電動機の駆動指令に対して該演算した処理後電流に基づくフィードバック制御を施して電圧指令を演算し、前記回転数急変時には前記検出された相電流に前記第1の時定数より小さい第2の時定数を用いたなまし処理を施して処理後電流を演算すると共に前記三相交流電動機の駆動指令に対して該演算した処理後電流に基づくフィードバック制御を施して電圧指令を演算する電圧指令演算手段と、
前記演算された電圧指令に基づいてパルス幅変調を設定すると共に該設定したパルス幅変調を用いて得られる三相交流を前記三相交流電動機に印加する三相交流印加手段と、
を備えることを要旨とする。
この本発明の第2の電動機制御装置では、三相交流電動機に印加される相電流を検出し、三相交流電動機の回転数が急変する回転数急変時ではないときには検出した相電流に第1の時定数を用いたなまし処理を施して処理後電流を演算すると共に三相交流電動機の駆動指令に対して演算した処理後電流に基づくフィードバック制御を施して電圧指令を演算し、回転数急変時には検出した相電流に第1の時定数より小さい第2の時定数を用いたなまし処理を施して処理後電流を演算すると共に三相交流電動機の駆動指令に対して演算した処理後電流に基づくフィードバック制御を施して電圧指令を演算し、演算した電圧指令に基づいてパルス幅変調を設定すると共に設定したパルス幅変調を用いて得られる三相交流を三相交流電動機に印加する。これにより、検出した相電流に含まれる高調波成分による影響を低減させてフィードバック制御を行なうことができると共に三相交流電動機の回転数が急変するときにも応答性を確保することができる。この結果、三相交流電動機をより適正に制御することができる。
こうした本発明の第2の電動機制御装置において、前記三相交流印加手段は、前記三相交流電動機の駆動指令に基づいて正弦波制御モードまたは過変調制御モードの制御モードを選択してパルス幅変調を設定する手段であり、前記電圧指令演算手段は、前記正弦波制御モードが選択されているときには、前記検出された相電流になまし処理を施さずに前記三相交流電動機の駆動指令に対して前記検出された相電流に基づくフィードバック制御を施して電圧指令を演算する手段である、ものとすることもできる。これは、正弦波制御モードでは、過変調制御モードに比して検出される相電流に高調波成分があまり含まれないことに基づく。
また、本発明の第1または第2の電動機制御装置において、前記処理後電流は、前記検出された相電流を3相−2相変換したd軸およびq軸の電流に前記第1の時定数および第2の時定数を用いたなまし処理を施して演算される電流であるものとすることもできる。この場合、前記なまし処理は、時定数をτ、d軸の電流をId、q軸の電流をIq、d軸の前記処理後電流をfId、q軸の前記処理後電流をfIq、前回演算されたd軸の前記処理後電流をfId(前回)、前回演算されたq軸の前記処理後電流をfIq(前回)としたときに、fId=(1−τ)・Id+τ・fId(前回),fIq=(1−τ)・Iq+τ・fIq(前回)により計算される処理であるものとすることもできる。
本発明の車両は、
車軸に動力を出力可能な三相交流電動機と、
前記三相交流電動機と電力をやりとりする蓄電装置と、
上述のいずれかの態様の本発明の第1または第2の電動機制御装置、即ち、基本的には、蓄電装置の電力を用いて三相交流電動機を制御する電動機制御装置であって、前記三相交流電動機に印加される相電流を検出する相電流検出手段と、前記三相交流電動機の回転数を検出する回転数検出手段と、前記検出された回転数が急変する回転数急変時ではないときには前記検出された相電流に第1の時定数を用いたなまし処理を施した処理後電流に基づいて前記三相交流電動機から出力されているトルクである出力トルクを演算すると共に前記三相交流電動機の駆動指令に対して該演算した出力トルクに基づくフィードバック制御を施して電圧位相指令を演算し、前記回転数急変時には前記検出された相電流に前記第1の時定数より小さい第2の時定数を用いたなまし処理を施した処理後電流に基づいて前記出力トルクを演算すると共に前記三相交流電動機の駆動指令に対して該演算した出力トルクに基づくフィードバック制御を施して電圧位相指令を演算する電圧位相指令演算手段と、前記演算された電圧位相指令に基づく矩形波電圧を前記三相交流電動機に印加する電圧印加手段と、を備える本発明の第1の電動機制御装置や、蓄電装置の電力を用いて三相交流電動機を制御する電動機制御装置であって、前記三相交流電動機に印加される相電流を検出する相電流検出手段と、前記三相交流電動機の回転数を検出する回転数検出手段と、前記検出された回転数が急変する回転数急変時ではないときには前記検出された相電流に第1の時定数を用いたなまし処理を施して処理後電流を演算すると共に前記三相交流電動機の駆動指令に対して該演算した処理後電流に基づくフィードバック制御を施して電圧指令を演算し、前記回転数急変時には前記検出された相電流に前記第1の時定数より小さい第2の時定数を用いたなまし処理を施して処理後電流を演算すると共に前記三相交流電動機の駆動指令に対して該演算した処理後電流に基づくフィードバック制御を施して電圧指令を演算する電圧指令演算手段と、前記演算された電圧指令に基づいてパルス幅変調を設定すると共に該設定したパルス幅変調を用いて得られる三相交流を前記三相交流電動機に印加する三相交流印加手段と、を備える本発明の第2の電動機制御装置と、
を備えることを要旨とする。
この本発明の車両では、上述のいずれかの態様の本発明の第1または第2の電動機制御装置を備えるから、本発明の電動機制御装置が奏する効果、例えば、検出した相電流に含まれる高調波成分の影響を低減させてフィードバック制御を行なうことができると共に三相交流電動機の回転数が急変するときにも応答性を確保することができ、三相交流電動機をより適正に制御することができる効果などと同様の効果を奏する。
図1は、本発明の一実施例としての電動機制御装置を搭載した電気自動車20の構成の概略を示す構成図であり、図2は、モータ22を中心とした電気駆動系の構成の概略を示す構成図である。実施例の電気自動車20は、図1に示すように、駆動輪28a,28bに連結された駆動軸26に動力を入出力可能なモータ22と、モータ22を駆動するインバータ24を介してモータ22と電力をやりとりするバッテリ30と、車両全体をコントロールする電子制御ユニット40と、を備える。ここで、電動機制御装置としては、主として、電子制御ユニット40や後述する回転位置検出センサ23,電流センサ22U,22Vが該当する。
モータ22は、図1および図2に示すように、永久磁石が埋め込まれたロータ22aと三相コイルが巻回されたステータ22bとを備え、発電機として駆動できると共に電動機として駆動できる周知の同期発電電動機として構成されている。インバータ24は、6個のトランジスタT1〜T6と、トランジスタT1〜T6に逆方向に並列接続された6個のダイオードD1〜D6と、により構成されている。各6個のトランジスタT1〜T6は、バッテリ30の正極が接続された正極母線とバッテリ30の負極が接続された負極母線とに対してソース側とシンク側になるよう2個ずつペアで配置されており、対となるトランジスタ同士の接続点の各々にモータ22の三相コイル(U相,V相,W相)の各々が接続されている。したがって、対をなすトランジスタT1〜T6のオン時間の割合を制御することにより三相コイルに回転磁界を形成でき、モータ22を駆動することができる。
電子制御ユニット40は、CPU42を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU42の他に処理プログラムを記憶するROM44と、データを一時的に記憶するRAM46と、図示しない入出力ポートと通信ポートとを備える。電子制御ユニット40には、モータ22のロータ22aの回転位置を検出する回転位置検出センサ23からのロータ22aの回転位置θm,モータ22の三相コイルのU相,V相に流れる相電流を検出する電流センサ22U,22Vからの相電流Iu,Iv,イグニッションスイッチ50からのイグニッション信号,シフトレバー51の操作位置を検出するシフトポジションセンサ52からのシフトポジションSP,アクセルペダル53の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ54からのアクセル開度Acc,ブレーキペダル55の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ56からのブレーキペダルポジションBP,車速センサ58からの車速Vなどが入力ポートを介して入力されている。電子制御ユニット40からは、モータ22を駆動制御するためのインバータ24のスイッチング制御信号などが出力ポートを介して出力されている。なお、電子制御ユニット40は、回転位置検出センサ23からの信号に基づいてロータ22aの電気角θeやモータ22の回転数Nmも演算している。
次に、こうして構成された実施例の電気自動車20の駆動制御について説明する。図3は、電子制御ユニット40により実行される駆動制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、所定時間毎(例えば、数msec毎)に繰り返し実行される。
駆動制御ルーチンが実行されると、電子制御ユニット40のCPU42は、まず、アクセルペダルポジションセンサ54からのアクセル開度Accや車速センサ58からの車速V,モータ22の回転数Nm,電気角θe,電流センサ22U,22Vからの相電流Iu,Iv,モータ回転数急変フラグFなど制御に必要なデータを入力する処理を実行する(ステップS100)。ここで、モータ22の回転数Nmと電気角θeとは、回転位置検出センサ23により検出されたモータ22のロータ22aの回転位置θmに基づいて演算されてRAM46の所定のアドレスに書き込まれたものを読み込むことによりそれぞれ入力するものとした。モータ回転数急変フラグFは、図示しないモータ回転数急変判定ルーチンにより、モータ22の回転数Nmに基づいて計算された角加速度αの絶対値が閾値αref以上のときに回転数Nmが急変しているとして値1が設定され、角加速度αの絶対値が閾値αref未満のときに回転数Nmは急変していないとして値0が設定されてRAM46の所定のアドレスに書き込まれたものを読み込むことにより入力するものとした。なお、閾値αrefとしては、駆動輪28a,28bの空転によるスリップ状態が生じたり駆動輪28a,28bの空転が解消してスリップ状態からグリップ状態になるときに想定される角加速度αの絶対値より若干小さい値として予め実験などにより定めた値を用いることができる。
こうしてデータを入力すると、入力したアクセル開度Accと車速Vとに基づいて車両に要求されるトルクとして駆動軸26に出力すべき要求トルクTd*を設定し(ステップS110)、設定した要求トルクTd*とモータ22の回転数Nmとに基づいてモータ22を制御する制御モードCmを設定する(ステップS120)。要求トルクTd*は、実施例では、アクセル開度Accと車速Vと要求トルクTd*との関係を予め定めて要求トルク設定用マップとしてROM44に記憶しておき、アクセル開度Accと車速Vとが与えられると記憶したマップから対応する要求トルクTd*を導出して設定するものとした。図4に要求トルク設定用マップの一例を示す。なお、実施例の電気自動車20では、要求トルクTd*はモータ22のトルク指令にも相当する。制御モードCmは、実施例では、要求トルクTd*とモータ22の回転数Nmと制御モードCmとの関係を予め定めて制御モード設定用マップとしてROM44に記憶しておき、要求トルクTd*とモータ22の回転数Nmとが与えられると記憶したマップから対応する制御モードCmを導出して設定するものとした。図5に制御モード設定用マップの一例を示す。制御モードCmは、図示するように、モータ22の電圧指令と三角波電圧との比較によりトランジスタT1〜T6のオン時間の割合を設定するパルス幅変調制御(以下、PWM制御という)における三角波電圧の振幅以下の振幅で正弦波状の出力電圧指令値を生成する正弦波制御モードと、PWM制御における三角波電圧の振幅を越えた振幅で正弦波状の出力電圧指令値を生成する過変調制御モードと、矩形波状の出力電圧指令値を生成する矩形波制御モードとがあり、要求トルクTd*やモータ22の回転数Nmが大きいほど正弦波モード,過変調モード,矩形波モードの順に対応する制御モードが設定される。
次に、モータ22の三相コイルのU相,V相,W相に流れる相電流Iu,Iv,Iwの総和を値0として電気角θeを用いて相電流Iu,Ivをd軸,q軸の電流Id,Iqに次式(1)により座標変換(3相−2相変換)し(ステップS130)、制御モードCmを調べ(ステップS140)、制御モードCmが正弦波制御モードのときには、座標変換したd軸,q軸の電流Id,Iqを制御用電流fId,fIqに設定し(ステップS150)、再度制御モードCmを調べる(ステップS200)。いま、制御モードCmが正弦波制御モードのときを考えているから、続いて、正弦波制御モードによる制御を行なうために要求トルクTd*に基づいてd軸,q軸の目標電流Id*,Iq*を設定する(ステップS210)。ここで、d軸はモータ22のロータ22aに埋め込まれた永久磁石により形成される磁束の方向であり、q軸はd軸に対してモータ22を正回転させる方向に電気角をπ/2だけ進角させた方向である。d軸,q軸の目標電流Id*,Iq*は、実施例では、要求トルクTd*とd軸,q軸の目標電流Id*,Iq*との関係(例えば、目標電流Id*の二乗と目標電流Iq*の二乗との和の平方根(以下、目標電流大きさIreという)を比較的小さくして要求トルクTd*に対応するトルクをモータ22から出力できる関係)を予め定めて目標電流設定用マップとしてROM44に記憶しておき、要求トルクTd*が与えられると記憶したマップから対応するd軸,q軸の目標電流Id*,Iq*を導出して設定するものとした。目標電流設定用マップの一例を図6に示す。図6の例では、要求トルクTd*がトルクT3のときにこの要求トルクTd*に対応するd軸,q軸の目標電流Id*,Iq*を設定する際の様子を示している。なお、図6には、要求トルクTd*や目標電流Id*,Iq*の他に、目標電流大きさIreと、三相コイルに通電される電流によってステータ22bに形成される磁界の方向(ステータ磁界の方向)のq軸に対する角度としての目標電流角度θreと、についても図示した。実施例では、永久磁石がロータ22aに埋め込まれたモータ22を用いるものとしたから、永久磁石によるトルクの他にリラクタンストルクが発生することを考慮して、図示するように、目標電流角度θreは値0〜πとなるが、永久磁石がロータ22aの外表面に貼り付けられたモータ22を用いる場合には、リラクタンストルクが発生しないため、目標電流角度θreは値0またはπとなる。
そして、目標電流Id*,Iq*に対して設定した制御用電流fId,fIqを用いたフィードバック制御を施してd軸,q軸の電圧指令Vd*,Vq*を次式(2)および式(3)により計算すると共に(ステップS220)、計算したd軸,q軸の電圧指令Vd*,Vq*でモータ22が駆動されるようにd軸,q軸の電圧指令Vd*,Vq*に基づくPWM信号をインバータ24に出力して(ステップS230)、駆動制御ルーチンを終了する。ここで、式(2)および式(3)中、「Kp1」および「Kp2」は比例係数であり、「Ki1」および「Ki2」は積分係数である。なお、d軸,q軸の電圧指令Vd*,Vq*に基づくPWM信号は、実施例では、電気角θeを用いてd軸およびq軸の電圧指令Vd*,Vq*をモータ22の三相コイルのU相,V相,W相に印加すべき電圧指令Vu*,Vv*,Vw*に次式(4)および式(5)により座標変換(2相−3相変換)し、座標変換した電圧指令Vu*,Vv*,Vw*をインバータ24のトランジスタT1〜T6をスイッチングするためのPWM信号に変換して設定するものとした。このように、フィーバック制御を施してd軸およびq軸の電圧指令Vd*,Vq*を設定することにより、経年変化や外乱などの影響を抑制して電圧指令Vd*,Vq*を設定することができる。また、こうして設定された電圧指令Vd*,Vq*に基づくPWM信号によってモータ22を駆動制御することにより、モータ22をより適正に駆動制御することができる。
ステップS140で制御モードCmが過変調制御モードや矩形波制御モードのときには、モータ回転数急変フラグFの値を調べる(ステップS160)。モータ回転数急変フラグFが値0のとき、即ちモータ22の回転数Nmが急変していないときには、時定数Tに値T1を設定すると共に(ステップS170)、d軸,q軸の電流Id,Iqに時定数Tを用いたなまし処理を施して制御用電流fId,fIqを次式(6)および式(7)により演算する(ステップS190)。そして、ステップS200で制御モードCmが過変調制御モードのときには、要求トルクTd*に基づく目標電流Id*,Iq*に対して制御用電流fId,fIqを用いたフィードバック制御を施してd軸,q軸の電圧指令Vd*,Vq*を上述した式(2)および式(3)により計算すると共に(ステップS210,220)、計算した電圧指令Vd*,Vq*に基づくPWM信号をインバータ24に出力して(ステップS230)、駆動制御ルーチンを終了する。一方、ステップS200で制御モードCmが矩形波制御モードのときには、演算した制御用電流fId,fIqに基づいてモータ22から出力されていると推定されるトルクである出力推定トルクTesを次式(8)により演算し(ステップS240)、要求トルクTd*に対して出力推定トルクTesを用いたフィードバック制御を施して電圧位相指令θ*を次式(9)により計算すると共に(ステップS250)、計算した電圧位相指令θ*に基づく矩形波電圧がモータ22に印加されるよう矩形波信号をインバータ24に出力して(ステップS260)、駆動制御ルーチンを終了する。ここで、値T1は、d軸,q軸の電流Id,Iqに含まれる高調波成分を十分に除去することができると共にモータ22の通常の回転変動に追従して制御用電流fId,fIqを設定することができる時定数としてモータ22の回転数Nmや駆動制御ルーチンの実行間隔などに基づいて予め実験などにより定められた値を用いることができる。また、式(6)および式(7)中、「fId(前回)」および「fIq(前回)」はそれぞれ前回このルーチンが実行されたときに設定された制御用電流fIdおよび制御用電流fIqであり、式(8)中、「p」は極対数,「Φ」は磁束鎖交数,「Ld」,「Lq」はd軸,q軸のインダクタンスであり、式(9)中、「Kp3」および「Ki3」はそれぞれ比例係数および積分係数である。このように、制御モードCmが過変調制御モードや矩形波制御モードのときにはd軸,q軸の電流Id,Iqになまし処理を施して制御用電流fId,fIqを演算することにより、電流センサ22U,22Vにより検出された相電流Iu,Ivやこの相電流Iu,Ivを座標変換したd軸,q軸の電流Id,Iqに含まれる高調波成分を減衰させた電流として制御用電流fId,fIqを演算することができる。また、過変調制御モードのときにはこうして演算された制御用電流fId,fIqを用いたフィードバック制御によりd軸,q軸の電圧指令Vd*,Vq*を設定し、矩形波制御モードのときには制御用電流fId,fIqに基づく出力推定トルクTesを用いたフィードバック制御により電圧位相指令θ*を設定するから、相電流Iu,Ivに含まれる高調波成分がフィードバック制御に影響するのを抑制することができ、d軸,q軸の電圧指令Vd*,Vq*や電圧位相指令θ*をより適正に計算することができる。この結果、モータ22をより適正に駆動することができる。なお、上述したようにステップS150で制御モードCmが正弦波制御モードのときにd軸,q軸の電流Id,Iqをそのまま制御用電流fId,fIqに設定するのは、一般的に、正弦波制御モードのときには、過変調制御モードや矩形波制御モードのときに比して電流センサ22U,22Vにより検出される相電流Iu,Ivに高調波成分があまり含まれないことに基づく。
fId=(1-T)・Id+T・fId(前回) (6)
fIq=(1-T)・Iq+T・fIq(前回) (7)
Tes=p・[Φ・fIq+(Ld-Lq)・fId・fIq] (8)
θ*=Kp3・(Td*-Tes)+Ki3・Σ(Td*-Tes) (9)
ステップS140で制御モードCmが過変調制御モードまたは矩形波制御モードであり、ステップS160でモータ回転数急変フラグFが値1のとき即ちモータ22の回転数Nmが急変しているときには、時定数Tに値T1より小さい値T2を設定すると共に(ステップS180)、d軸,q軸の電流Id,Iqに時定数Tを用いたなまし処理を施して制御用電流fId,fIqを上述した式(6)および式(7)により演算し(ステップS190)、上述したステップS200以降の処理を実行して駆動制御ルーチンを終了する。ここで、値T2としては、モータ22の回転数Nmが急変するときに制御用電流fId,fIqがd軸,q軸の電流Id,Iqの変化に対してある程度の追従性をもって追従することができる時定数としてモータ22の回転数Nmや駆動制御ルーチンの実行間隔などに基づいて予め実験などにより定められた値T1より小さい値を用いることができる。上述したように、実施例では、過変調制御モードや矩形波制御モードが設定されているときには、フィードバック制御に高調波が影響するのを抑制するため、d軸,q軸の電流Id,Iqになまし処理を施して制御用電流fId,fIqを演算する。しかしながら、d軸,q軸の電流Id,Iqになまし処理を施して制御用電流fId,fIqを演算すると、制御用電流fId,fIqがd軸,q軸の電流Id,Iqの変化に対して遅れを生じ、モータ22の回転数Nmが急変しているときには制御用電流fId,fIqと電流Id,Iqとのズレが大きくなって制御が困難となる場合が生じる。このため、実施例では、モータ22の回転数Nmが急変しているときには、d軸,q軸の電流Id,Iqに時定数Tを値T1より小さい値T2とするなまし処理を施して制御用電流fId,fIqを設定するものとした。即ち、モータ22の回転数Nmが急変しているときには、モータ22の回転数Nmが急変していないときに比して高調波成分の減衰程度は小さくなるもののd軸,q軸の電流Id,Iqの変化に対して追従性が向上する時定数を用いたなまし処理を施して制御用電流fId,fIqを設定するのである。これにより、モータ22の回転数Nmが急変しているときにも応答性を確保してモータ22を駆動制御することができる。この結果、モータ22をより適正に駆動制御することができる。
以上説明した実施例の電気自動車20が搭載する電動機制御装置によれば、制御モードCmが過変調制御モードまたは矩形波制御モードのときに、モータ22の回転数Nmが急変していないときにはd軸,q軸の電流Id,Iqに時定数Tを値T1とするなまし処理を施して制御用電流fId,fIqを演算し、モータ22の回転数Nmが急変しているときにはd軸,q軸の電流Id,Iqに時定数Tを値T1より小さい値T2とするなまし処理を施して制御用電流fId,fIqを演算し、演算した制御用電流fId,fIqに基づくフィードバック制御を施してモータ22を駆動制御するから、電流センサ22U,22Vにより検出される相電流Iu,Ivやこの相電流Iu,Ivを座標変換したd軸,q軸の電流Id,Iqに含まれる高調波成分の影響を低減させてフィードバック制御を行なうことができると共にモータ22の回転数Nmが急変しているときにも応答性を確保してモータ22を駆動制御することができる。この結果、モータ22をより適正に駆動制御することができる。
実施例の電気自動車20が搭載する電動機制御装置では、制御モードCmが正弦波制御モードのときにはd軸,q軸の電流Id,Iqを制御用電流fId,fIqに設定し、制御モードCmが過変調制御モードや矩形波制御モードのときにはd軸,q軸の電流Id,Iqになまし処理を施して制御用電流fId,fIqを設定するものとしたが、制御モードCmに拘わらずd軸,q軸の電流Id,Iqになまし処理を施して制御用電流fId,fIqを設定するものとしてもよい。また、制御モードCmが過変調制御モードまたは矩形波制御モードのうちいずれか一方の制御モードのときにだけd軸,q軸の電流Id,Iqになまし処理を施して制御用電流fId,fIqを設定するものとしてもよい。
実施例の電気自動車20が搭載する電動機制御装置では、制御モードCmが矩形波制御モードのときには、d軸,q軸の電流Id,Iqになまし処理を施して制御用電流fId,fIqを演算すると共に設定した制御用電流fId,fIqに基づいてモータ22から出力されていると推定されるトルクである出力推定トルクTesを演算するものとしたが、d軸,q軸の電流Id,Iqに基づいて制御用トルクTcを演算すると共に演算した制御用トルクTcになまし処理を施して出力推定トルクTesを設定するものとしてもよい。即ち、電流センサ22U,22Vからの相電流Iu,Ivに基づいてモータ22から出力されているトルクを演算すると共に演算したトルクになまし処理を施して出力推定トルクTesを演算するものとしても構わない。なお、制御用トルクTcは、上述した式(8)中、出力推定トルクTesおよび制御用電流fId,fIqを制御用トルクTcおよびd軸,q軸の電流Id,Iqにそれぞれ置き換えた式によって演算することができる。
実施例の電気自動車20が搭載する電動機制御装置では、相電流Iu,Ivを座標変換したd軸,q軸の電流Id,Iqになまし処理を施して制御用電流fId,fIqを演算すると共にこの制御用電流fId,fIqを用いたフィードバック制御によりモータ22を駆動制御するものとしたが、相電流Iu,Ivになまし処理を施した処理後電流を座標変換(3相−2相変換)して制御用電流fId,fIqを演算すると共にこの制御用電流fId,fIqを用いたフィードバック制御によりモータ22を駆動制御するものとしてもよい。また、相電流Iu,Ivになまし処理を施して処理後電流を演算し、座標変換することなく、処理後電流を用いたフィードバック制御によりモータ22を駆動制御するものとしても構わない。
実施例の電気自動車20が搭載する電動機制御装置では、駆動軸26に動力を出力するモータ22を備える電気自動車20におけるモータ22を制御するものについて説明したが、蓄電装置の電力を用いて三相交流電動機を制御するものであればよいから、図7の変形例の電気自動車120に例示するように、駆動軸26に遊星歯車機構126を介してエンジン122とモータ124とを接続したハイブリッド自動車120に適用するものとしてもよい。この場合、モータ22,124の制御は、モータ22,124のトルク指令Tm1*,Tm2*に基づいてそれぞれのモータについて実施例の制御と同様に行なうことができる。また、列車など自動車以外の車両の形態としても構わない。さらに、モータ22やバッテリ50と共に車両に搭載される駆動装置に適用するものとしてもよい。
ここで、実施例や変形例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例と本発明の第1の電動機制御装置とでは、バッテリ50が「蓄電装置」に相当し、モータ22が「三相交流電動機」に相当し、電流センサ22U,22Vが「相電流検出手段」に相当し、モータ22のロータ22aの回転位置を検出する回転位置検出センサ23と検出された回転位置に基づいてモータ22の回転数Nmを演算する電子制御ユニット40とが「回転数検出手段」に相当し、制御モードCmが矩形波制御モードのときに、モータ22の回転数Nmが急変していないときには相電流Iu,Ivを座標変換したd軸,q軸の電流Id,Iqに時定数Tを値T1とするなまし処理を施した制御用電流fId,fIqに基づいて出力推定トルクTesを設定すると共に要求トルクTd*に対して出力推定トルクTesに基づくフィードバック制御を施して電圧位相指令θ*を計算し、モータ22の回転数Nmが急変しているときには相電流Iu,Ivを座標変換したd軸,q軸の電流Id,Iqに時定数Tを値T1より小さい値T2とするなまし処理を施した制御用電流fId,fIqに基づいて出力推定トルクTesを設定すると共に要求トルクTd*に対して出力推定トルクTesに基づくフィードバック制御を施して電圧位相指令θ*を計算する図3の駆動制御ルーチンのステップS170〜190,S240〜250の処理を実行する電子制御ユニット40が「電圧位相指令演算手段」に相当し、電圧位相指令θ*に基づく矩形波電圧がモータ22に印加されるよう矩形波信号をインバータ24に出力する図3の駆動制御ルーチンのステップS260の処理を実行する電子制御ユニット40が「電圧印加手段」に相当する。実施例と本発明の第2の電動機制御装置とでは、バッテリ50が「蓄電装置」に相当し、モータ22が「三相交流電動機」に相当し、電流センサ22U,22Vが「相電流検出手段」に相当し、モータ22のロータ22aの回転位置を検出する回転位置検出センサ23と検出された回転位置に基づいてモータ22の回転数Nmを演算する電子制御ユニット40とが「回転数検出手段」に相当し、制御モードCmが過変調制御モードのときに、モータ22の回転数Nmが急変していないときには相電流Iu,Ivを座標変換したd軸,q軸の電流Id,Iqに時定数Tを値T1とするなまし処理を施して制御用電流fId,fIqを演算すると共に要求トルクTd*に基づく目標電流Id*,Iq*に対して制御用電流fId,fIqに基づくフィードバック制御を施してd軸,q軸の電圧指令Vd*,Vq*を計算し、モータ22の回転数Nmが急変しているときには相電流Iu,Ivを座標変換したd軸,q軸の電流Id,Iqに時定数Tを値T1より小さい値T2とするなまし処理を施して制御用電流fId,fIqを演算すると共に要求トルクTd*に基づく目標電流Id*,Iq*に対して制御用電流fId,fIqに基づくフィードバック制御を施してd軸,q軸の電圧指令Vd*,Vq*を計算する図3の駆動制御ルーチンのステップS160〜230の処理を実行する電子制御ユニット40が「電圧指令演算手段」に相当し、電気角θeを用いてd軸およびq軸の電圧指令Vd*,Vq*をモータ22の三相コイルのU相,V相,W相に印加すべき電圧指令Vu*,Vv*,Vw*に座標変換し、座標変換した電圧指令Vu*,Vv*,Vw*をインバータ24のトランジスタT1〜T6をスイッチングするためのPWM信号に変換してインバータ24に出力する図3の駆動制御ルーチンのステップS230の処理を実行する電子制御ユニット40が「三相交流印加手段」に相当する。
ここで、「蓄電装置」としては、バッテリ50に限定されるものではなく、キャパシタなど、三相交流電動機と電力をやりとりするものであれば如何なるものとしても構わない。「三相交流電動機」としては、同期発電電動機として構成されたモータ22に限定されるものではなく、三相交流電力により駆動する誘導発電電動機など他のタイプの電動機としたり、電動機ではなく発電機とするなど、三相交流電力により駆動するものであれば如何なるものとしても構わない。「相電流検出手段」としては、電流センサ22U,22Vに限定されるものではなく、三相交流電動機に印加される相電流を検出するものであれば如何なるものとしても構わない。「回転数検出手段」としては、モータ22のロータ22aの回転位置を検出すると共に検出された回転位置に基づいてモータ22の回転数Nmを演算するものに限定されるものではなく、三相交流電動機の回転数を検出するものであれば如何なるものとしても構わない。「電圧位相指令演算手段」としては、制御モードCmが矩形波制御モードのときに、モータ22の回転数Nmが急変していないときには相電流Iu,Ivを座標変換したd軸,q軸の電流Id,Iqに時定数Tを値T1とするなまし処理を施した制御用電流fId,fIqに基づいて出力推定トルクTesを設定すると共に要求トルクTd*に対して出力推定トルクTesに基づくフィードバック制御を施して電圧位相指令θ*を計算し、モータ22の回転数Nmが急変しているときには相電流Iu,Ivを座標変換したd軸,q軸の電流Id,Iqに時定数Tを値T1より小さい値T2とするなまし処理を施した制御用電流fId,fIqに基づいて出力推定トルクTesを設定すると共に要求トルクTd*に対して出力推定トルクTesに基づくフィードバック制御を施して電圧位相指令θ*を計算するものに限定されるものではなく、三相交流電動機の回転数が急変する回転数急変時ではないときには検出した相電流に第1の時定数を用いたなまし処理を施した処理後電流に基づいて三相交流電動機から出力されているトルクである出力トルクを演算すると共に三相交流電動機の駆動指令に対して演算した出力トルクに基づくフィードバック制御を施して電圧位相指令を演算し、回転数急変時には検出した相電流に第1の時定数より小さい第2の時定数を用いたなまし処理を施した処理後電流に基づいて出力トルクを演算すると共に三相交流電動機の駆動指令に対して演算した出力トルクに基づくフィードバック制御を施して電圧位相指令を演算するものであれば如何なるものとしても構わない。「電圧印加手段」としては、電圧位相指令θ*に基づく矩形波電圧がモータ22に印加されるよう矩形波信号をインバータ24に出力するものに限定されるものではなく、演算された電圧位相指令に基づく矩形波電圧を前記三相交流電動機に印加するものであれば如何なるものとしても構わない。「電圧指令演算手段」としては、制御モードCmが過変調制御モードのときに、モータ22の回転数Nmが急変していないときには相電流Iu,Ivを座標変換したd軸,q軸の電流Id,Iqに時定数Tを値T1とするなまし処理を施して制御用電流fId,fIqを演算すると共に要求トルクTd*に基づく目標電流Id*,Iq*に対して制御用電流fId,fIqに基づくフィードバック制御を施してd軸,q軸の電圧指令Vd*,Vq*を計算し、モータ22の回転数Nmが急変しているときには相電流Iu,Ivを座標変換したd軸,q軸の電流Id,Iqに時定数Tを値T1より小さい値T2とするなまし処理を施して制御用電流fId,fIqを演算すると共に要求トルクTd*に基づく目標電流Id*,Iq*に対して制御用電流fId,fIqに基づくフィードバック制御を施してd軸,q軸の電圧指令Vd*,Vq*を計算するものに限定されるものではなく、三相交流電動機の回転数が急変する回転数急変時ではないときには検出した相電流に第1の時定数を用いたなまし処理を施して処理後電流を演算すると共に三相交流電動機の駆動指令に対して演算した処理後電流に基づくフィードバック制御を施して電圧指令を演算し、回転数急変時には検出した相電流に第1の時定数より小さい第2の時定数を用いたなまし処理を施して処理後電流を演算すると共に三相交流電動機の駆動指令に対して演算した処理後電流に基づくフィードバック制御を施して電圧指令を演算するものであれば如何なるものとしても構わない。「三相交流印加手段」としては、電気角θeを用いてd軸およびq軸の電圧指令Vd*,Vq*をモータ22の三相コイルのU相,V相,W相に印加すべき電圧指令Vu*,Vv*,Vw*に座標変換し、座標変換した電圧指令Vu*,Vv*,Vw*をインバータ24のトランジスタT1〜T6をスイッチングするためのPWM信号に変換してインバータ24に出力するものに限定されるものではなく、演算した電圧指令に基づいてパルス幅変調を設定すると共に設定したパルス幅変調を用いて得られる三相交流を三相交流電動機に印加するものであれば如何なるものとしても構わない。
なお、実施例や変形例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための最良の形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
以上、本発明を実施するための最良の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
20 電気自動車、22 モータ、22a ロータ、22b ステータ、22U,22V 電流センサ、23 回転位置検出センサ、24 インバータ、26 駆動軸、28a,28b 駆動輪、30 バッテリ、40 電子制御ユニット、42 CPU、44 ROM、46 RAM、50 イグニッションスイッチ、51 シフトレバー、52 シフトポジションセンサ、53 アクセルペダル、54 アクセルペダルポジションセンサ、55 ブレーキペダル、56 ブレーキペダルポジションセンサ、58 車速センサ、D1〜D6 ダイオード、T1〜T6 トランジスタ。