JP2010050619A - 光受信増幅器 - Google Patents

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Abstract

【課題】大容量の直流成分排除用コンデンサを不要にして受信器全体の小型化を図り、トランスインピーダンスアンプとリミッタアンプを1チップ集積化にすることを可能にするとともに、差動リミッタアンプの出力波形を高精度に対称にできる光受信増幅器を提供することを目的とする。
【解決手段】フォトダイオードと、このフォトダイオードの出力信号を増幅するトランスインピーダンスアンプと、このトランスインピーダンスアンプと並列に接続され、トランスインピーダンスアンプの出力電流の直流電流成分を補償する直流電流補償回路、とを含むことを特徴とするもの。
【選択図】 図1

Description

本発明は、光受信増幅器に関し、詳しくは、特性改善と小型化に関するものである。
図6は、従来のトランスインピーダンスアンプを用いた光受信増幅器の一例を示すブロック図である。この光受信増幅器は、光信号が入力される1個のフォトダイオード1と、このフォトダイオード1で受光され変換された電気信号を線形に増幅するトランスインピーダンスアンプ2と、トランスインピーダンスアンプ2の出力信号を次段に交流結合するコンデンサ3と、2個のバイアス発生回路4a,4bから適切な動作をするように所定の直流バイアス電圧が与えられ、トランスインピーダンスアンプ2で増幅されコンデンサ3を介して入力される小信号出力を一定の出力振幅に制限されるまで増幅する差動のリミッタアンプ5で構成されている。
図7は、フォトダイオード1の出力信号波形例図であって、光入力信号が電気信号に変換されたものであり、この波形には交流電流成分Iin(pp)と直流電流成分Iin_dcが含まれている。
図8は、図6のトランスインピーダンスアンプ2の出力波形例図である。光入力レベルつまり電流値が増加すると、出力波形信号のレベルが基準電圧を中心とせずに非対称で増加することが確認できる。
図9は、図6のリミッタアンプ5のシミュレーション出力波形例図である。入力電圧に対するリミッタアンプ5の出力電圧Vout、VoutBの波形が、非対称になっていることが確認できる。
特許文献1は、光受信増幅器において、オフセット補償や位相補償を行う場合に、回路の実装面積の縮小および実装の簡略化を図る構成に関するものである。
特開平5−218772号公報
しかし、図6のような従来の光受信増幅器では、トランスインピーダンスアンプ2の出力信号を差動のリミッタアンプ5に入力するのにあたり、前述のように光入力レベルが変化するとトランスインピーダンスアンプ2の出力信号電圧レベルも大きく変化することから、大容量のコンデンサ3を用いてトランスインピーダンスアンプ2の出力信号を次段に交流結合してトランスインピーダンスアンプ2の出力信号に含まれる直流成分を排除した後、リミッタ回路などの差動入力回路へ入力しなければならず、光受信増幅器の小型化が図れないという問題がある。
また、コンデンサ3を用いてトランスインピーダンスアンプ2の出力信号を次段に交流結合してトランスインピーダンスアンプ2の出力信号に含まれる直流成分を排除しても、バイアス発生回路74を高精度に最適化または調整しないとリミッタアンプ5の出力波形に非対称性が発生してしまうという問題もある。
本発明は、これらの問題点を解決するものであり、大容量の交流結合用コンデンサを不要にして受信器全体の小型化を図り、トランスインピーダンスアンプとリミッタアンプを1チップ集積化にすることを可能にするとともに、差動リミッタアンプの出力波形を高精度に対称にできる光受信増幅器を提供することを目的とする。
上記のような目的を達成するために、本発明の請求項1は、
フォトダイオードと、
このフォトダイオードの出力信号を増幅するトランスインピーダンスアンプと、
このトランスインピーダンスアンプと並列に接続され、トランスインピーダンスアンプの出力電流の直流電流成分を補償する直流電流補償回路、
とを含むことを特徴とする光受信増幅器である。
請求項2は、請求項1記載の光受信増幅器において、
前記直流電流補償回路は、
前記トランスインピーダンスアンプの出力信号が一方の入力端子に入力される差動アンプと、
この差動アンプの他方の入力端子に設定された電圧を入力するバイアス発生回路と、
前記差動アンプの出力端子とグラウンド間に接続されたコンデンサと、
前記差動アンプの出力信号が入力され、前記フォトダイオードに流れる直流電流を補償する電流源
とで構成されることを特徴とする。
請求項3は、請求項1または2記載の光受信増幅器において、
前記トランスインピーダンスアンプの出力端子に接続され、電位差調整を行うことにより前記トランスインピーダンスアンプの出力信号のDuty比を調整する出力クロスポイント補償回路を有する差動リミッタアンプ部を設けたことを特徴とする。
請求項4では、請求項1〜3いずれかに記載の光受信増幅器において、
1チップ集積回路として構成されることを特徴とする。
請求項5では、請求項4に記載の光受信増幅器において、
前記集積回路は、電流制御型バイポーラトランジスタで構成されていることを特徴とする。
このように構成することにより、交流結合用大容量コンデンサを不要としたため、小型でトランスインピーダンスアンプとリミッタアンプとを1チップ集積化にすることを可能にし、高速で特性の優れた光受信増幅器が実現できる。
以下、図面を用いて、本発明の光受信増幅器を説明する。図1は、本発明の一実施例を示すブロック図である。光受信増幅器は、受光素子であるフォトダイオード1と、トランスインピーダンスアンプ2と、このトランスインピーダンスアンプ2と並列に接続され、トランスインピーダンスアンプ2の出力電流の直流電流成分を補償する直流電流補償回路6と、トランスインピーダンスアンプ2の出力端子に接続された差動リミッタアンプ部7とから構成されている。
直流電流補償回路6は、差動アンプ61と、この差動アンプ61に所定のバイアス電圧を供給するバイアス発生回路62と、差動アンプ61の出力端子とグラウンド間に接続されて差動アンプ61の出力信号から交流電流成分をグラウンドに流して平均値電圧値を抽出する積分器として働くコンデンサ63と、差動アンプ61の出力直流電圧成分を入力とする電流源64とから構成されている。
差動リミッタアンプ部7は、リミッタアンプ71と、リミッタアンプ71のリミット動作範囲を制御するスレッシュホールド制御器72と、電位差調整を行うことにより出力信号のDuty比を制御する出力クロスポイント補償回路73と、リミッタアンプ71の差動ペア入力の一方に所定のバイアス電圧を供給するバイアス発生回路74とから構成されている。なお、スレッシュホールド制御器72には制御信号Scが入力され、外付けコンデンサC2が接続されている。
図1の動作について説明する。
フォトダイオード1のカソードには電源電圧が印加され、アノードにはトランスインピーダンスアンプ2の入力端子が接続されている。トランスインピーダンスアンプ2の入力端子および出力端子間にトランスインピーダンスアンプ2からの出力電流をフィードバック制御するための直流電流補償回路6が接続されている。この直流電流補償回路6によりフィードバック制御された直流電流は、フォトダイオード1に入力される。
フォトダイオード1は電流源として機能し、直流および交流の電流を出力する。この直流電流は直流電流補償回路6に入力され、交流電流はトランスインピーダンスアンプ2に入力される。トランスインピーダンスアンプ2に交流電流が入力されることにより、フォトダイオード1で受光する光の大きさの変化に拘らず、トランスインピーダンスアンプ2から一定の出力電圧レベルを得ることができる。そして、トランスインピーダンスアンプ2の出力信号が差動リミッタアンプ部7に入力することが可能になる。
フォトダイオード1は、受光した光入力データDinを電気信号(電流)に変換し、トランスインピーダンスアンプ2の入力端子に入力する。トランスインピーダンスアンプ2は変換出力された電気信号を線形に増幅し、直流電流補償回路6の差動アンプ61の一方の入力端子に入力する。この差動アンプ61の他方の入力端子にはバイアス発生回路62から所定値のバイアス電圧が供給され、差動アンプ61の出力端子から交流電圧および直流電圧が出力される。
コンデンサ63は、差動アンプ61の出力端子とグラウンド間に接続されていて、差動アンプ61の出力信号の交流電流成分をグラウンドに流して排除することにより平均値電圧値を抽出し、差動アンプ61の出力を安定化させる。差動アンプ61の出力信号の直流電圧は電圧制御型電流源(FET)64に入力される。また、電流源64は、フォトダイオード1に流れる直流電流だけを供給し、フォトダイオードの直流電流のみを補償している。フォトダイオード1は、入力される光信号を電気信号に変換して出力する電流源でもあるため、電源電圧が印加されて光信号が入力されると、交流電流および直流電流を出力し始める。この出力のうち、交流電流のみがトランスインピーダンスアンプ2に入力されて線形に増幅され、差動リミッタアンプ部7に入力される。差動リミッタアンプ部7は、スレッシュホールド制御器72とフィードバックアンプ73によってリミッタアンプ71からの出力電圧OutおよびOutBのDutyが50%へ制御される。また、リミッタアンプ71からの出力電圧OutおよびOutBの出力振幅は、一定の振幅になるようリミット動作する。
なお、外付けコンデンサC1は、集積回路の外から接続される。これは、光信号のように広帯域な周波数成分、たとえば10kHz〜40GHz程度を有する信号から直流成分(平均電圧値)だけを抽出しようとした場合、0.1μF程度の大きな容量値のコンデンサが積分器として必要であり、集積回路上に作ることができないためである。
ここで、直流電流補償回路6内の差動アンプ61の最適値を求める。
フォトダイオード1を流れる直流電流を△lin_dc、トランスインピーダンスアンプ2からの出力電圧をVout、アンプのトランスインピーダンスをZt、トランスインピーダンスアンプ2の出力基準電圧をV0とする場合、以下の式が成り立つ。
Vout=△lin_dc×Zt+V0
次に、直流電流補償回路6内の差動アンプ61の増幅率をA2、この差動アンプ61の差動入力の電圧差を△Vin、差動アンプ61からの出力電圧を△Vc、差動アンプ61の入力電圧をトランスインピーダンスアンプ2からの出力電圧Voutとバイアス発生回路からの出力電圧Vrefとする場合、以下の式が成り立つ。
△Vc=A2×△Vin=A2×|Vout−Vref|
ここで、Vref=V0とバイアス発生回路へ設定した場合、
△Vc=A2×△lin_dc×Zt ・・・(1)
次に、電流源64に流れる直流電流を△ldcとする場合、以下の式が成り立つ。
△ldc=△Vc×gm ・・・(2)
ここで、gmは、電流源64のトランスコンダクタンスを示す。
(2)式に(1)式を代入すると、
△ldc=A2×△lin_dc×Zt×gm ・・・(3)
となり、また、△ldc=△lin_dcとなる。
さらに、たとえばZtを500Ω、gmを1msというパラメータを(3)式に代入すると、
A2=2 ・・・(4)
(4)式より、差動アンプ61の増幅率の最適値は2、つまり、直流利得が2倍になることが確認できる。
このように、本発明のトランスインピーダンスアンプ2には、フォトダイオード1からの入力信号とは別に、フィードバック制御された直流電流信号を生成するために、直流電流補償回路6を設けている。この直流電流補償回路6を設けることにより、トランスインピーダンスアンプ2の出力信号の電圧レベルを一定に保ちながら、増幅させることができる。
これにより、従来の光受信増幅器ではトランスインピーダンスアンプ2の出力端子に直流成分を排除する交流結合用のコンデンサ3を接続していたのに対して、このコンデンサ3が不要になり、小型化および集積化が図れ、かつ高速化できる。
すなわち、従来使用していた交流結合用のコンデンサ3の容量は0.1μF程度の大容量であったため、受信器全体を小型化にすることは困難であり、1チップに集積化できなかった。それに対して、本発明ではせいぜい10pF程度の容量が小さいコンデンサ63を使用するにとどまっているため小型化に適し、集積化も可能で、集積回路内に搭載した容量値が小さいため高速化および、外付けコンデンサと組み合わせることで広帯域な周波数成分を有する光伝送信号にも対応できる。
また、直流電流補償回路6を設けることにより、この直流電流補償回路6に主信号の直流成分を供給して、トランスインピーダンスアンプ2の入力端子に接続されたフォトダイオードへフィードバック制御された直流電流を供給することができ、フォトダイオード1で受光する光の大きさの変化に拘らず、トランスインピーダンスアンプ2から一定の出力電圧レベルを得ることができる。
図2は、電流源64として用いるFETの静特性の一例を示す図である。これは、ゲート制御電圧Vgを変えた場合のソース・ドレイン間電圧Vdsに対するソース・ドレイン間電流Idsの静特性をグラフにしたものである。グラフの平坦部分は飽和領域であり、ΔVds/ΔIdsが大きくてソース・ドレイン間の動作抵抗が非常に高いことから、定電流源として直流電流補償回路6で使用される。
図3は、トランスインピーダンスアンプ2の出力に対するシミュレーション結果の一例を示す図である。基準電圧−2.4Vを中心にして、−2.4Vよりもプラスマイナス方向に同程度増幅し、出力波形の中心である直流レベルが、一定の出力電圧レベルを維持した状態にて増幅動作していることが確認できる。図3(a)、(b)より、光入力電力Pinを電気変換した電流が4倍になると電圧の振幅が約4倍に、図3(b)、(c)より、電流が3倍になると電圧の振幅が約3倍になることが確認できる。つまり、電流量が増大した倍率分、電圧が同倍率で増幅されていることが確認できる。
また、図4は、フォトダイオード1が受光した光入力電力Pinに対するフィードバック制御の電流補償シミュレーション結果の一例を示す図である。図3と同様に、一定の光入力電力Pin(=0dBm、−5dBm及び−11dBm)に対し、直流電流補償回路6にて補償する直流電流値(Iin)を示している。つまり、各光入力電力Pin(=0dBm、−5dBm及び−11dBm)に対応したフォトダイオード直流電流を補償していることが分かる。
差動リミッタアンプ部7は、電位差調整を行うことにより、出力信号のDuty比(クロスポイント)を50%にすることができる。
また、差動リミッタアンプ部7のリミッタアンプ71の差動増幅部に、出力クロスポイント補償回路73、つまり帰還制御手段を追加することにより、リミッタアンプ71の差動増幅部の差動間出力を高精度に自動調整できる。
図5は、出力クロスポイントに対するフィードバック制御を用いたシミュレーション出力波形例図である。従来と比べて、本発明は、フィードバック制御を用いることにより、差動のリミッタアンプ71の差動出力をシミュレーション波形で表示すると、高精度に対称に表示されていることが確認できる。
なお、本発明は、FET(電界効果トランジスタ)に限らず、バイポーラ(Bipolar,接合型)トランジスタを用いた集積回路にも適用できる。
以上説明したように、本発明によれば、従来の大容量の交流結合用コンデンサを不要にして受信器全体の小型化を図ることができ、トランスインピーダンスアンプとリミッタアンプを1チップ集積化にすることを可能にするとともに、差動リミッタアンプの出力波形を高精度に対称にできる特性の優れた光受信増幅器を実現できる。
本発明の光受信増幅器の一実施例を示すブロック図である。 本発明の電流源64の静特性の一例を示す図である。 本発明のトランスインピーダンスアンプ2の出力に対するシミュレーション結果の一例を示す図である。 本発明のフォトダイオード1が受光した量に対するフィードバック制御の電流補償シミュレーション結果の一例を示す図である。 本発明の出力クロスポイントに対するフィードバック制御を用いたシミュレーション出力波形例図である。 従来のトランスインピーダンスアンプを用いた光受信増幅器の一例を示すブロック図である。 フォトダイオード1の出力信号波形例図である。 図6のトランスインピーダンスアンプ2の出力波形例図である。 従来のリミッタアンプ回路のシミュレーション出力波形例図である。
符号の説明
1 フォトダイオード
2 トランスインピーダンスアンプ
6 直流電流補償回路
61 差動アンプ
62 バイアス発生回路
63 コンデンサ
64 電流源
7 差動リミッタアンプ部
71 リミッタアンプ
72 スレッシュホールド制御器
73 出力クロスポイント補償回路
74 バイアス発生回路

Claims (5)

  1. フォトダイオードと、
    このフォトダイオードの出力信号を増幅するトランスインピーダンスアンプと、
    このトランスインピーダンスアンプと並列に接続され、トランスインピーダンスアンプの出力電流の直流電流成分を補償する直流電流補償回路、
    とを含むことを特徴とする光受信増幅器。
  2. 前記直流電流補償回路は、
    前記トランスインピーダンスアンプの出力信号が一方の入力端子に入力される差動アンプと、
    この差動アンプの他方の入力端子に設定された電圧を入力するバイアス発生回路と、
    前記差動アンプの出力端子とグラウンド間に接続されたコンデンサと、
    前記差動アンプの出力信号が入力され、前記フォトダイオードに流れる直流電流を補償する電流源
    とで構成されることを特徴とする請求項1記載の光受信増幅器。
  3. 前記トランスインピーダンスアンプの出力端子に接続され、電位差調整を行うことにより前記トランスインピーダンスアンプの出力信号のDuty比を調整する出力クロスポイント補償回路を有する差動リミッタアンプ部を設けたことを特徴とする請求項1または2記載の光受信増幅器。
  4. 1チップ集積回路として構成されることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の光受信増幅器。
  5. 前記集積回路は、電流制御型バイポーラトランジスタで構成されていることを特徴とする請求項4に記載の光受信増幅器。
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