JP2010048437A - 熱間等方圧加圧装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】被処理物Wが収容されると共に酸化性ガスを注入可能とされた高圧容器2と、高圧容器2内に配備されると共に内部に被処理物Wの処理室4を包含する断熱構造体3と、被処理物Wを取り囲むように配設される処理室4を構成すると共に使用温度領域に予熱されることで発熱が可能になる発熱体5と、発熱体5を使用温度領域まで加熱する予熱発熱体6と、を備えており、高圧容器2内には、予熱発熱体6で加熱された酸化性ガスを処理室下部領域17を経由して予熱発熱体6に戻す循環路15と、循環路15に沿って酸化性ガスを強制循環させる強制循環手段16と、が設けられている。
【選択図】図1
Description
予熱発熱体を小型化することは製造コストを下げる有効な手段ではあるが、酸化性ガスの自然対流で発熱体を加熱する機構では予熱発熱体を小さくし過ぎると、予熱発熱体の発熱量が小さくなって効率的な予熱が行えなくなる虞がある。また、Pt−Rh合金製に代えて安価なFe−Cr−Al合金製やPt製のヒータを用いるコストダウン手段についても、Pt−Rh合金より耐熱性に劣るFe−Cr−Al合金では1400℃以上の温度に耐えることができず、またPtでは寿命が短い。
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、予熱発熱体のコンパクト化や寿命向上、Fe−Cr−Al合金製のヒータ等の使用が可能となり、装置の小型化や安定操業、低価格化が可能となる熱間等方圧加圧装置を提供することを目的とする。
即ち、本発明の熱間等方圧加圧装置は、被処理物が収容されると共に酸化性ガスを注入可能とされた高圧容器と、該高圧容器内に配備されると共に内部に前記被処理物の処理室を包含する断熱構造体と、前記被処理物を取り囲むように配設されて前記処理室を構成すると共に使用温度領域に予熱されることで発熱が可能になる発熱体と、前記発熱体を使用温度領域まで加熱する予熱発熱体と、を備えた熱間等方圧加圧装置において、
前記高圧容器内には、前記予熱発熱体で加熱された酸化性ガスを前記処理室の下方に形成される領域である処理室下部領域を経由して予熱発熱体に戻す循環路と、該循環路に沿って酸化性ガスを強制循環させる強制循環手段と、が設けられていることを特徴とするものである。
さらに、前記発熱体はZrO2系セラミックスを用いて前記被処理物を取り囲むように形成されると共に、前記処理室下部領域で耐酸化性金属からなるリード部材と電気的に接続され、この発熱体とリード部材との接続部近傍の温度を前記予熱発熱体にて制御可能に構成されているのが好ましい。
図1は、第1実施形態のHIP装置1を示している。HIP装置1は内部が空洞の高圧容器2を備えており、この高圧容器2の内部には被処理物Wが収容されると共に酸化性ガスが注入可能となっている。また、高圧容器2の内部には断熱構造体3が収容されており、この断熱構造体3の内部には被処理物Wを取り囲むように発熱体5が配設されており、処理室4を形成している。そして、発熱体5の下方には発熱体5を使用温度領域まで加熱する予熱発熱体6が設けられている。
断熱構造体3は、高圧容器2の下蓋9に設けられた支持架台10の上に支持されており、下側に向かって開口した蓋付き円筒状に形成される上断熱体11と、この上断熱体11の下側の開口を塞ぐように設けられる下断熱体12とを有している。
処理室4は、発熱体5によって周囲を囲まれた空間であり、収容された被処理物Wに熱間等方圧加圧処理が行えるようになっている。載置台13は、高圧容器2の下蓋9に対して下断熱体12及び後述する整流手段14を介して固定されており、その上面に被処理物Wを載置できるようになっている。また、載置台13は処理ガス(酸化性ガス)の流れを考慮して、多孔体とすることもできる。発熱体5は、載置台13の周りに被処理物Wを取り囲むように設けられており、被処理物Wをムラなく加熱できるようになっている。処理室4の下側には、発熱体5を使用温度領域まで加熱してその通電と発熱とを可能にする予熱発熱体6が、発熱体5から下方に離れて設けられている。
予熱発熱体は、例えば3つの円筒ヒータを同心状に重ね合わせたものである。予熱発熱体6は、発熱体5の下方に発熱体5とオーバーラップすることなく発熱体5と離れて設けられており、処理室4の酸化性ガスを加熱して発熱体5を使用温度領域(1200℃以上)に加熱可能となっている。予熱発熱体6には、例えば耐酸化性を備えた金属であるFe−Cr−Al合金やPt−Rh合金等のヒータを用いることができる。また、これらの合金の中でも特に好ましくは原材料価格が安価なFe−Cr−Al合金やPtを用いるのが好ましい。
しかし、ZrO2系セラミックスの発熱体5を自然対流だけで短時間に使用温度領域まで加熱するためには、予熱発熱体6を発熱体5の使用下限温度よりも大幅に高い例えば1400℃以上になるまで加熱しなければならない。ところが、予熱発熱体6がFe−Cr−Al合金製であると、1400℃以上の温度に耐えることができない。また、予熱発熱体6がPt−Rh合金製の場合は、貴金属を原料とするのでヒータが高価になり、装置が大型になるとHIP装置1の製造コストも非常に高くなるという問題が生じる。特に、Rhの原料価格は、Ptの数倍の価格にまで上昇しており、価格面での大きな問題となっている。
以下、循環路15と強制循環手段16とについて、詳しく説明する。
整流手段14は、高圧容器2の下蓋9に固定された支持架台10に下断熱体12を通して支持されており、この下断熱体12の上方に断熱構造体3の内周面から距離をあけて設けられ、断熱構造体3の下側の内周面に合わせて有底円筒状に形成されている。整流手段14の側壁は、その外径が発熱体5の外径と略等しくなるように形成されており、発熱体5から下方に離れて発熱体5と上下に並ぶように配備されている。整流手段14の底側には、整流手段14の上下を結ぶ貫通孔19が形成されており、整流手段14の外側の導出路28を通って下方に集められた酸化性ガスを整流手段14の内側に導けるようになっている。
ファン20は、耐熱性の材料で形成されており、駆動軸を回転させることで酸化性ガスに上昇方向の流れを生起できるように構成されている。駆動モータ21は、下断熱体12の下方に設けられており、下断熱体12を上下に貫通する駆動軸に回転駆動力を付与している。
まず、駆動モータ21を用いて強制循環手段16のファン20を回転駆動させると、ファン20の回転により酸化性ガスが貫通孔19の下側から上側に向けて強制的に送られ、整流手段14の内側に入る。整流手段14の内側に入った酸化性ガスは、予熱発熱体6で1200℃以上に加熱される。加熱された酸化性ガスは、予熱発熱体6の上方に導かれ、処理室下部領域17に達する。そして、加熱され強制的に循環された酸化性ガスにより処理室外周領域18の酸化性ガスが1200℃以上に加熱され、発熱体5がヒータとして使用可能となる。
また、予熱発熱体6の上方に導かれた酸化性ガスの一部は、処理室下部領域17から直接処理室外周領域18に導かれ、発熱体5の速やかな温度上昇に寄与する。さらに、載置台13を多孔体としている場合には、酸化性ガスの一部が載置台13の孔部を通過して処理室4に流れ込むため、より効果的に発熱体5の加熱がなされる。
このように酸化性ガスを強制循環手段16を用いて循環路15の酸化性ガスを強制循環させることで、予熱発熱体6で加熱された酸化性ガスにより発熱体5を効率的に加熱することができ、発熱体5を予熱発熱体6を用いて短時間で加熱することが可能となる。それゆえ、予熱発熱体6をコンパクト化してその発熱面積を小さくしても、発熱体5を十分に加熱することができ、HIP装置1の小型化が可能となる。
さらに、本発明のHIP装置1では、発熱体5と予熱発熱体6は高さ方向の重なり代を設けることなく、上下に離れて設置されている。発熱体5は処理室下部領域17で耐酸化性金属からなるリード部材と接続され、この発熱体5とリード部材との接続部は通電中1200〜1400℃程度の温度域に保つことが好ましい。そこで、本発明では、予熱発熱体6で加熱された酸化性ガスを強制循環手段16により処理室下部領域17へ導くことで、発熱体5と予熱発熱体6に高さ方向の重なり代を設けることなく接続部の温度を適度な値に保っている。このように発熱体5と予熱発熱体6との高さ方向の重なり代をなくすことができれば、重なり代を設けた場合に発生する発熱体5による予熱発熱体6の局所的な加熱をなくすことができ、予熱発熱体6の長寿命化が達成される。また、予熱発熱体6をより安価な材料であるFe−Cr−Al合金やPtとすることにより低コスト化も可能となる。
[第2実施形態]
図2に示すように、第2実施形態のHIP装置1が第1実施形態と異なっている点は、予熱発熱体6が第1実施形態より小さく形成されており、この予熱発熱体6に合わせて整流手段14の外形も小さくなっている点が挙げられる。そして、第2実施形態では、整流手段14の外側に略円筒状の内側断熱層22を設けており、予熱発熱体6の断熱性を向上させている。
このようにすれば、予熱発熱体6を第1実施形態より小型化できるので、例えば予熱発熱体6にPt−Rh合金のような高価な金属を用いた場合には、装置の製造コストを第1実施形態よりさらに低減できる。
[第3実施形態]
図3に示すように、第3実施形態のHIP装置1が第1実施形態と異なっている点は、予熱発熱体6が略円板状に配置されており、その設置方向が水平方向に沿っている点である。そして、循環ガス(酸化性ガス)をこの予熱発熱体6の空隙23を通過させて自由に流すことができる。
[第4実施形態]
図4に示すように、第4実施形態のHIP装置1が第1実施形態と異なっている点は、強制循環手段16が駆動モータ21により回転駆動されるファン20に代えて、音響流発生手段24とされている点である。
すなわち、第4実施形態のHIP装置1には、整流手段14の貫通孔19の下方に上方に向けて音響流を発生させるホーン状の音響流発生部25と、音響流発生部25を振動させる超音波振動子26とが、設けられている。そして、高圧容器2の外側には超音波振動子26を所定の出力及び周波数で振動させる制御部27が設けられている。
なお、第4実施形態における上記以外の構成は第1実施形態と同様である。よって、上記以外の構成については説明を省略する。
本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、発明の本質を変更しない範囲で各部材の形状、構造、材質、組み合わせなどを適宜変更可能である。
2 高圧容器
3 断熱構造体
4 処理室
5 発熱体
6 予熱発熱体
7 容器本体
8 上蓋
9 下蓋
10 支持架台
11 上断熱体
12 下断熱体
13 載置台
14 整流手段
15 循環路
16 強制循環手段
17 処理室下部領域
18 処理室外周領域
19 貫通孔
20 ファン
21 駆動モータ
22 内側断熱層
23 挿通孔
24 音響流発生手段
25 音響流発生部
26 超音波振動子
27 制御部
28 導出路
Claims (4)
- 被処理物が収容されると共に酸化性ガスを注入可能とされた高圧容器と、該高圧容器内に配備されると共に内部に前記被処理物の処理室を包含する断熱構造体と、前記被処理物を取り囲むように配設されて前記処理室を構成すると共に使用温度領域に予熱されることで発熱が可能になる発熱体と、前記発熱体を使用温度領域まで加熱する予熱発熱体と、を備えた熱間等方圧加圧装置において、
前記高圧容器内には、前記予熱発熱体で加熱された酸化性ガスを前記処理室の下方に形成される領域である処理室下部領域を経由して予熱発熱体に戻す循環路と、該循環路に沿って酸化性ガスを強制循環させる強制循環手段と、が設けられていることを特徴とする熱間等方圧加圧装置。 - 前記発熱体と予熱発熱体とは上下方向に離間して配置されてなり、
前記循環路は、前記発熱体と予熱発熱体とが離間している部分を通るように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の熱間等方圧加圧装置。 - 前記発熱体は、ZrO2系セラミックスを用いて前記被処理物を取り囲むように形成されると共に、前記処理室下部領域で耐酸化性金属からなるリード部材と電気的に接続され、この発熱体とリード部材との接続部近傍の温度を前記予熱発熱体にて制御可能に構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱間等方圧加圧装置。
- 前記発熱体は、ZrO2系セラミックスを用いて前記被処理物を取り囲むように形成されており、
前記予熱発熱体は、前記発熱体を1200℃以上の使用温度領域まで加熱可能なFe−Cr−Al合金またはPtで形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の熱間等方圧加圧装置。
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