JP5877920B1 - 急速昇降温熱処理炉 - Google Patents

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【課題】熱処理工程に於いて省エネルギー、短TAT、小型小フットプリント、低ランニングコストそして少量多品種生産に対応する低価格を可能とする誘導加熱を用いた急速昇降温熱処理炉を提供する。【解決手段】本発明の熱処理炉は、筒状の第1の発熱体1と、第1の発熱体よりも電気抵抗率が小さい筒状の第2の発熱体2,2aと、誘導加熱コイル3とを備え、外側から、誘導加熱コイル、第1の発熱体、および第2の発熱体の順に同心状に配置されており、誘導加熱コイルに高周波電流を流すことにより、第1の発熱体及び第2の発熱体の両方を誘導加熱によって発熱させる。【選択図】図1

Description

本発明は、加熱手段として急速加熱に適していると云われる誘導加熱を用いて急速昇降温させ微小な電子部品や半導体の熱処理に使用可能な省エネルギー,短TAT(Turn Around Time),小型小フットプリント,低ランニングコストそして少量多品種生産に対応する低価格の急速昇降温熱処理炉に関する。
近年、産業は軽薄短小な製品を指向する傾向が強くなり、高温熱処理工程を経て製作される微小な電子部品や半導体の製作に於いて省エネルギー、短TAT、小型小フットプリント、低ランニングコストそして少量多品種生産に対応する低価格の製造装置が求められている。熱処理装置に於いても、前記の要求は日を追って強まっている。
従来の熱処理炉は、抵抗発熱体に電流を流すことにより発生するジュール熱を、放射、対流、伝導によって間接的に被熱処理物(以降ワークピースと云う、但し図示していない)に伝え加熱する間接抵抗加熱方式が、多く用いられてきた。このような加熱方式はワークピースの材質に制限がなく、制御も簡単なことから、多方面に採用されている。
特開平8−26835号公報 特開2004−71596号公報 特開2003−151737号公報
しかしながら、従来の間接抵抗加熱方式に使用される抵抗線又は抵抗体の表面負荷は、室温で実用上3〜4W/cm程度であり、1000℃を越えると1W/cm程度が限界である。そのため急速加熱に対応し難く、またワークピースに対しての熱処理温度以上に抵抗線又は抵抗体の表面温度を上げる必要がある。そして熱処理温度を効率的に保つためには、多くの断熱材を用いて外部に放熱されるエネルギーを減少させる必要があった。
このため、従来の熱処理炉は、必然的に大型化して昇温レート及び降温レートの低下を助長する熱容量の増加とエネルギー効率の低下を招いた。従って急速昇降温を可能とする経済的な熱処理炉を製作するためには従来の間接抵抗加熱方式は不向きであった。
前記のような従来の問題点に鑑み、本発明は熱処理工程に於いて省エネルギー、短TAT、小型小フットプリント、低ランニングコストそして少量多品種生産に対応する低価格を可能とする誘導加熱を用いた急速昇降温熱処理炉を提供することを目的とする。
本発明における熱処理炉は、筒状の第1の発熱体と、前記第1の発熱体よりも電気抵抗率が小さい筒状の第2の発熱体と、誘導加熱コイルとを備え、外側から、前記誘導加熱コイル、前記第1の発熱体、および前記第2の発熱体の順に同心状に配置されており、前記誘導加熱コイルに高周波電流を流すことにより、前記第1の発熱体及び前記第2の発熱体の両方を誘導加熱によって発熱させる構成を有している。このような構成により、被熱処理物は第1の発熱体と第2の発熱体の両方により加熱されることになる。
前記第1の発熱体はSiCを主成分とするセラミックからなっており、前記第2の発熱体は金属又は表面にSiCコーティングが施されたグラファイトからなっており、前記誘導加熱コイルは中空の部材を捲回して構成されていることが好ましい。
熱処理をされる被熱処理物を収納する筒状の収納容器をさらに備え、前記収納容器は、前記第1の発熱体の筒の内側に配置され、少なくとも前記第1の発熱体に相対している部分は石英ガラスからなっているとともに、密閉可能な構成を有していることが好ましい。このような構成により、被熱処理物が密閉状態の収納容器中で加熱される。
前記収納容器には不活性ガスを導入するガス導入ポートと、前記不活性ガスを排気する排気ポートとが設けられていることが好ましい。このような構成により、被熱処理物が不活性ガス中で加熱される。従って酸化されることが防止される。
さらに複数の熱電対を備え、前記複数の熱電対は、発生する起電力により前記高周波電流を制御する制御用熱電対を含んでいることが好ましい。前記熱電対は、線径0.5mm以下,測温接点直径0.9mm以下であることが好ましい。
前記第1の発熱体は、室温における電気抵抗率が0.03Ω・cm以上0.2Ω・cm以下であることが好ましい。ここで室温とは20℃から25℃の間の温度である。
前記第1の発熱体は、多孔質のSiCにシリコンが含浸されたセラミックからなることが好ましい。このような第1の焼結体は、例えば高純度反応焼結SiCと呼ばれるものからなっていてもよい。
前記第2の発熱体の室温での電気抵抗率は、5×10−6Ω・cm以上1×10−3Ω・cm以下であることが好ましい。
前記第2の発熱体は、Ni−Cr系、Ni−Cr−Fe系、あるいはFe−Cr−Al系の抵抗発熱体、又はSiCコーティングが施されたグラファイトからなることが好ましい。
前記第2の発熱体は、融点が1360℃以上であってニッケルを含む合金又はニッケルからなることが好ましい。
前記第2の発熱体は、板、パンチングメタル又は網の形状を有していることが好ましい。
前記誘導加熱コイルを構成する前記中空の部材は、無酸素銅又は脱酸銅からなる断面が円形又は矩形の中空パイプであることが好ましい。このような構成により、誘導加熱コイルの中に水等の冷媒を流すことができる。
前記誘導加熱コイルは、全長に亘って等しいピッチで巻かれている又はピッチを変えて巻かれている部分があることが好ましい。
本発明の熱処理炉は、2つの筒状の第1の発熱体及び第2の発熱体が同心状に配置されて、その外側の誘導加熱コイルが両方の発熱体を発熱させるので、第2の発熱体からは直接炉の外部に放熱されないため、放熱量を従来の熱処理炉の外部への放熱量より少なくすることができる構成が可能となり、急速昇温が可能となる。
実施形態に係る熱処理炉の模式的な断面図である。 実施例1に係る熱処理炉の模式的な断面図である。 実施例2に係る熱処理炉の模式的な断面図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。以下の図面においては、見やすさを優先するため断面部分のハッチングを省略している。また、説明の簡潔化のため、実質的に同一の機能を有する構成要素を同一の参照符号で示す。
(実施形態1)
従来の熱処理炉では達成できない急速昇温を実現するために、本願発明者は種々検討を重ねた結果、誘導加熱を利用した熱処理炉を開発するに至った。そしてこの熱処理炉は、従来にない急速降温も同時に達成できるものである。具体的には、加熱手段として急速加熱に適していると云われる誘導加熱を用いて筒状に形成され同心状に内外に配置される電気抵抗率の異なる二つの発熱体を同時に加熱し急速昇温を可能とする構成を核として前記急速昇降温熱処理炉に対する市場要求を実現する。
電気抵抗率については、他に抵抗率,比抵抗,又は体積抵抗率などの表現があるが、本説明では電気抵抗率を統一して使用する。
以下に解決手段に関わる急速昇降温熱処理炉について図1(a),(b),(c)を用いて説明する。
筒状に形成された低電気抵抗率の高純度炭化ケイ素セラミックス(以降、炭化ケイ素セラミックスをSiCと云う)製の第1の発熱体1と第1の発熱体1の内側に第1の発熱体1と相似形に筒状に形成された金属製の第2の発熱体2(又は2a)を同心状に配置する。
第1の発熱体1は、導体で且つ電気抵抗率が第2の発熱体2(又は2a)の電気抵抗率より充分大きい発熱体である。第2の発熱体2(又は2a)の材質及び形態は被熱処理物(以下、ワークピース)の熱処理条件及びコスト等により選択される。
第1の発熱体1の外側には、銅製の中空パイプの捲回物であってパイプ中に冷却水を流すことが可能となるように製作された誘導加熱コイル3が配置される。
前記のように電気抵抗率の大きい第1の発熱体1を外側に,電気抵抗率の小さい第2の発熱体2(又は2a)を内側に配置して誘導加熱コイル3に高周波電流を流すと、第1の発熱体1と第2の発熱体2(又は2a)は同時に誘導加熱される。すなわち、導体ではあるが電気抵抗率が第2の発熱体2(又は2a)よりも大きい第1の発熱体1は電流浸透深さが大きいため、誘導加熱コイル3に流れる高周波電流による磁束変動は第1の発熱体1を貫通して第2の発熱体2(又は2a)を誘導加熱することが充分可能になる。
この時、第1の発熱体1及び第2の発熱体2(又は2a)の各々の電気抵抗率、厚さ及び高周波電流の周波数の選択により、第1の発熱体1の温度<第2の発熱体2(又は2a)の温度とすることが可能である。
このことは、第1の発熱体1と第2の発熱体2(又は2a)を同時に誘導加熱した場合と、第2の発熱体2(又は2a)のみが存する熱処理炉を誘導加熱した場合の両者に於いて、第2の発熱体2(又は2a)の温度を同一とすると、第1の発熱体1と第2の発熱体2(又は2a)を同時に誘導加熱する方が、外部への放熱量を少なくできる。つまり、消費電力を少なくできることを意味する。 従って、従来の誘導加熱又は抵抗加熱等に較べ、効率的な加熱が可能となる。
具体的には、第1の発熱体1は、室温での電気抵抗率が0.03Ω・cm〜0.2Ω・cmの高純度低電気抵抗率SiCで筒状に形成された発熱体である。また、第2の発熱体2(又は2a)の電気抵抗率は、室温において5×10−6Ω・cm以上1×10−3Ω・cm以下である。
一般的に誘導加熱に適していると云われる鉄(室温での電気抵抗率は1x10-5Ω・cm〜2x10-5Ω・cm)に較べると第1の発熱体1の電気抵抗率は非常に大きい値であるが十分誘導加熱が可能である。第1の発熱体1の電気抵抗率が室温において0.03Ω・cm〜0.2Ω・cmと云う特性が、本実施形態に於いては有効に機能する。
誘導加熱コイル3に高周波電流を流すと、第1の発熱体1は、誘導加熱により容易に発熱する。 一方で電気抵抗率に依存する第1の発熱体1の電流浸透深さは深いため、誘導加熱コイル3に高周波電流を流すことにより発生する磁束変動(磁界又は磁場変動ともいうが、統一して磁束変動とする)は、第1の発熱体1を貫通して第2の発熱体2(又は2a)も容易に誘導加熱することができる。
このように第1の発熱体1と第2の発熱体2(又は2a)の間の電気抵抗率が異なることにより誘導加熱コイル3に高周波電流を流すと 第1の発熱体1及び第2の発熱体2(又は2a)は同時に誘導加熱される。
第1の発熱体1と第2の発熱体2(又は2a)が同時に誘導加熱されている本実施形態の第1の発熱体1の外表面温度をT1℃とし、第2の発熱体2(又は2a)の外表面温度をT2℃とするとT1<T2となる。本実施形態の熱処理炉の場合、外側に存する第1の発熱体1から外部へ熱が放出され、内側に存する第2の発熱体2(又は2a)から放出される熱は、第1の発熱体1に阻まれて直接外部へは放出されない。従って、本実施形態では室温に於ける外部への放射熱量は、ほぼ(T1+ 273)に比例するのに対し、第1の発熱体1が存在せず第2の発熱体2(又は2a)が単独で誘導加熱されることを想定する場合(これを比較形態1の熱処理炉とする)の外部への放射熱量はほぼ(T2+ 273)に比例するので、本実施形態の方が少ない放射熱量となる。
さらに、抵抗発熱線で形成されたコイル状の発熱体の内側にワークピースが置かれ熱処理されることを想定する時(これを比較形態2の熱処理炉とする)、ワークピースの熱処理温度をTw ℃とし、前記抵抗発熱線で形成されたコイル状の発熱体の温度をTh℃とすると Th>Twとすることが必要であり、前記抵抗発熱線で形成されたコイル状の発熱体から外部への放射熱量は、室温中に於いては、概ね(Th+273)に比例する。
ここで本実施形態と比較形態2においてワークピースの温度が同一とすると、概ねT1<T2≦Thとなる。従って本実施形態の熱処理炉における外部への放射熱量の方が、比較形態2の熱処理炉における外部への放射熱量よりも少ないことは明らかである。外部への放射熱量は、本実施形態<比較形態1≦比較形態2である。
誘導加熱コイル3は、電気抵抗率の低い無酸素銅,脱酸銅等の銅製の中空パイプで製作され、誘導加熱効率を上げるため第1の発熱体1との隙間がより小さくなるように形成される。
誘導加熱コイル3には、コイルに流れる高周波電流によりジュール熱が発生する。また第1の発熱体1からの放射加熱により誘導加熱コイル3は加熱され温度が上昇する。誘導加熱コイル3に前記温度上昇が起きると電気抵抗率が大きくなり、ジュール熱による発熱量がさらに増加する結果、誘導加熱コイル3は、さらに加熱され温度上昇を招く。 銅の融点は1084〜1085℃と比較的低いため前記温度上昇は、誘導加熱コイル3に損傷を生じさせる可能性がある。
そこで、誘導加熱コイル3に生ずる前記温度上昇を防ぐため、中空パイプで製作されている誘導加熱コイル3内に冷却水を流し、誘導加熱コイル3の冷却を行う。
上述の誘導加熱コイル3の冷却方法は誘導加熱コイルに用いられる一般的冷却手法であって、誘導加熱コイル3の冷却を目的とするが、降温時は誘導加熱コイル3に流される高周波電流は0か時折降温レートを制御するための僅かな高周波電流が負荷されるだけであるため誘導加熱コイル3の冷却手法をそのまま熱処理炉の冷却に使用することができる。
ワークピースの熱処理の雰囲気制御のために、第1の発熱体1と相似形に高純度耐熱石英ガラスで筒状に製作されワークピースの熱処理条件により選択される収納容器4(図1(a),(b))又は収納容器5(図1(c))を第1の発熱体1と第2の発熱体2の間に又は第2の発熱体2aの内側に設けることができる。
さらに、降温時にガス導入ポート4aから収納容器4、5に導入する不活性ガス11(不活性ガス;代表的には窒素ガス)の流量を増加させることを併用することにより収納容器4、5とその内部の冷却を行うことができる。従って熱処理炉は内外から冷却されて急速降温が可能となる。
第1の発熱体1は 低電気抵抗率の高純度SiCで製作されるが、粉末冶金により原料粉末を型成型し、高温度で焼結して製作されるためポーラスな構造を持つ。前記ポーラスな構造は、コンタミネーション,パーティクル,アウトガス等の原因となり、又、表面積が大きいため高温時、表面酸化の進行が早く電気抵抗率の増加を招く、さらにポーラスな構造故に気密性に欠ける懸念がある。そこで、本実施形態による第1の発熱体1に使用される低電気抵抗率の高純度SiCは、極低酸素濃度雰囲気の高温度熱処理によりシリコンを含浸させて、ポーラスな構造を除去した前記低電気抵抗率高純度SiCである。
このため、図1(a)、(c)の構成において、前記低電気抵抗率の高純度SiCで収納容器4、5を製作すると第1の発熱体1を使用することなく熱処理炉を構成することもできる。
ワークピース及び金属で製作される第2の発熱体2又は2a、ワークピースを載置するセッター8は、酸化されると実用にならない場合が多くあるという理由からも、本実施形態による急速昇降温熱処理炉は、酸素濃度の制御を容易に可能とする密閉可能な収納容器4、5を備えている。
収納容器4、5は、電気炉又は酸水素炎で溶融され製造され半導体の製造にも使用することが可能である高純度石英で製作される。およそ1000℃以上の高温に対しては、収納容器4、5は、耐熱性に優れる電気炉溶融で製造される高純度耐熱石英ガラスで製作される。
収納容器4,5は第1の発熱体1と第2の発熱体2の間の空間に又は第2の発熱体2aとセッター8又はワークピースの間の空間に設けられている。第2の発熱体2aは収納容器4,5の外側の大気中にある。これにより、熱処理を可能とするワークピースの範囲を拡大することができる。
第2の発熱体2はワークピースと同じ空間に配置されるため、ワークピースの熱処理条件により使用が許容される金属材料を用いて製作され、加工が容易で比較的低価格の材料で安価に製作できる可能性がある。第2の発熱体2を使用する環境は、酸化されることを防ぐため酸素濃度が1ppm未満の収納容器4、5内の極低酸素濃度の環境に限定される。従って大気中では、使用できない。
第2の発熱体2aは、大気中での使用を可能とするため、Ni-Cr、Ni-Cr-Fe、あるいはFe-Cr-Al系の抵抗発熱体、又はSiCコーティングが施されたグラファイトで製作される。Ni-Cr,Ni-Cr-Fe系の抵抗発熱体は、高温時にCrが酸化されて表面に緻密な酸化クロム被膜が形成されるため表面から酸素が拡散することを防ぎ酸化を抑制できる。
Fe−Cr−Al系の抵抗発熱体は、高温時にAlが酸化されて表面に緻密な酸化アルミニュウム(アルミナ)被膜が形成されるため表面から酸素が拡散することを防ぎ酸化を抑制できる。
Fe-Cr-Al系の抵抗発熱体は、Ni-Cr,Ni-Cr-Fe系の抵抗発熱体より高温度で使用できる。
第2の発熱体2及び2aは材料の形状により3つの形態がある。
第1の形態は、シームレスの管材から製作される継ぎ目のない発熱体である。第2の形態は、板材を筒状に形成して繋ぎ目をオーバーラップさせる又は突き合わせて溶接して製作する発熱体である。第3の形態は、パンチングメタル板又は金網等を筒状に形成して繋ぎ目をオーバーラップさせるか又は突き合わせて溶接により製作する発熱体である。これらは、熱処理条件,耐久性,コスト等を考慮して選択される。
上記の第2の発熱体2及び2aの材料の形状による第1と2の形態に於いては、概ね電流浸透深さが浅く誘導加熱コイル3に高周波電流を流すことにより発生する磁束変動は、第2の発熱体2及び2aを貫通できないため第2の発熱体2及び2aが誘導加熱され第2の発熱体2及び2aからの放射加熱でセッター8及びワークピースは加熱される。前記の場合は、セッター8及びワークピースの均一な加熱を行うためにはセッター8、及びワークピースの間隔を大きくする必要がある。
上記の第2の発熱体2及び2aの材料の形状による第3の形態に於いては、第2の発熱体2及び2aの熱容量を小さくし放射面積を大きくすることにより放射加熱を有利にすることができる。さらにセッター8を金属等の導電体で形成すると、誘導加熱コイル3に高周波電流を流すことにより発生する磁束変動が第2の発熱体2及び2aを誘導加熱する一方で第2の発熱体2及び2aを貫通してセッター8を直接誘導加熱することが可能になる。これにより、セッター8は、第2の発熱体2(又は2a)による放射加熱に加えて直接誘導加熱され、より急速な昇温が可能になるとともにセッター8を狭い間隔で配置することが可能となり、少スペースでより多くのワークピースの熱処理が可能となる。
第2の発熱体2及び2aを製作する材料の形状による各々の形態は、ワークピースの熱処理要求や製作コストを考慮して選択される。
第1の発熱体1に対して本実施形態に示すとおり第2の発熱体2(又は2a)を組み合わせることは、第2の発熱体2(又は2a)が単独で誘導加熱される場合に比較して、エレクトロマイグレーションにより第2の発熱体2,2a又はセッター等が破断されることを抑制でき、その分昇温レートを大きくすることができる。また外部への放熱量を減少できる。
収納容器5は、収納容器4と取付け方法,マニホールド17の有無及び下端フランジ部の形状を除き収納容器4と同様な形状である。
収納容器4、5の上端には収納容器4、5内部の雰囲気制御を行うために不活性ガス11を導入するガス導入ポート4aが設けられている。
収納容器4は、下端部にフランジが形成され前記フランジの下面に対して駆動方向を示す矢印16の方向に駆動(駆動機構は図示していない)されるキャップ7により開閉され密封可能となる。
収納容器5は下端に連接して設けられるSuS304等の材料で製作されるマニホールド17の下端部に形成されるフランジ下面に対し駆動方向を示す矢印16の方向に駆動(駆動機構は図示していない)されるキャップ7により開閉され密封可能となる。
微小な電子部品の熱処理に於いては、ワークピースを収納容器4、5へ搬入出するためにワークピースを搭載するセッター8が使用される。セッター8は浅いトレー状に金属又は非金属の材料でキャップ7上の支持部材(図示していない)上に多段に積層可能なように製作され、ワークピースを搭載してキャプ7の開閉に併せて収納容器4、5に搬入出される。但し、セッター8は、半導体ウェハの熱処理には使用されない。
不活性ガス11はガス導入ポート4aから導入され、収納容器下端部に設けられる排気ポート4b(図1 (a),(b))又は、収納容器5に連接するマニホールド17に設けられた排気ポート17a(図1 (c))より排気ガス12として排気される。
収納容器4、5内部の温度制御及び温度モニタリングを行うため、熱電対(以降TCと云う)ユニット9が収納容器4、5内部に挿入される。TCユニット9は温度の制御を行うための制御用TC9a及び温度のモニタリングを行うためのモニタTC9b等で構成され、各々のTCは必要に応じて位置と数が決められる。
誘導加熱コイル3には、チラー等(図示していない)から又は誘導加熱用の誘導加熱高周波電源(図示していない)を経由して送水される冷却水インフロー13が循環し、誘導加熱コイル3を冷却し冷却水アウトフロー14により排熱される。
降温時、前記誘導加熱高周波電源(図示していない)は、ほとんど出力しないか又は降温レートを制御する僅かな出力を行うのみであるため誘導加熱により発生する熱量は僅かである。従って誘導加熱コイル内を流れる冷却水インフロー13は、誘導加熱コイルの冷却よりも熱処理炉の冷却を行うことになり、降温レートを大きくとることができる。
降温時、収納容器4、5の内部に導入される不活性ガス11(不活性ガス;代表的には窒素ガス)の流量を増加することにより冷却を行うことができるため誘導加熱コイル3に流される冷却水による冷却と併せて急速降温が可能となる。
TCユニット9は、キャップ7又は収納容器4,5又はマニホールド17を貫通して収納容器4,5の内部に挿入されるが、貫通部はOリングシール等(図示していない)でシールされて収納容器4,5への外気のリークを防いでいる。
収納容器4とキャップ7の接合面はOリングシール10等でシールされ収納容器4内への外気の侵入を防ぐ。また、収納容器5とマニホールド17の接合面はOリングシール18でシールされ収納容器5内への外気の侵入を防ぐ。さらに、マニホールド17とキャップ7の接合面はOリングシール10でシールされ収納容器5内への外気の侵入を防ぐ。
収納容器4は、SUS304等の板材で製作される取付け部材(図示していない)にリテーナ6により下側から上方に向けて取付けされる。
収納容器5は、マニホールド17にリテーナ6aにより取付けされる。マニホールド17は、SUS304等の板材で製作される取付け部材(図示していない)に下側から上方に向けて取付けされる。
このような下側から上方に向けて取付ける方法により、収納容器4及びマニホールド17はキャップ7上に搭載されキャップ7の昇降機構(図示していない)で昇降されることにより容易に着脱可能となりメインテナンス時の便宜を図ることができる。
本実施形態の急速昇降温熱処理炉には、1個又は複数個の温度を制御するために使用される制御用TC9a及び温度をモニタリングするために使用されるモニタTC9bがセッター8又はワークピースの近傍に設置される。
制御用TC9a及びモニタTC9bは、TCユニット9としてユニット化されるか又は取付け上の都合,測温場所等の相異等により個別にユニット化される。
制御用TC9aは温度コントローラー(図示していない)に結線される。さらに、前記温度コントローラーから温度制御を行うための出力信号を誘導加熱高周波電源(図示していない)に出力するための配線が前記温度コントローラーから前記誘導加熱高周波電源に結線される。温度に応じて制御用TC9aに発生する起電力(電流又は電圧)は、あらかじめワークピースの熱処理に必要な温度プロファイルが設定されている前記温度コントローラーに入力される。前記温度コントローラーは、温度制御用TC9aに発生する起電力に対応して温度を制御するための制御信号を前記誘導加熱高周波電源に対して出力する。前記誘導加熱高周波電源は、前記制御信号に従って電源出力を誘導加熱コイル3に対して出力する。これにより本実施形態による急速昇降温熱処理炉の温度制御が行われる。
しかしながら制御用TC9a及びモニタTC9bは金属であるが故に、誘導加熱により自らが発熱する。このためセッター8又はワークピースの温度に対応する正しい起電力を発生できない場合がある。このような制御用TC9a及びモニタTC9bの発熱は概ねTCの線径及び測温接点直径に依存し、線径の太いTCでは影響が大きく、線径の細いTCでは影響が見られないか実用上問題のないレベルになる。
正常に誘導加熱が行われる場合、本発明において実用上問題のないレベルとなるTCは、急速昇降温への追従性を考慮すると、線径0.5mm以下,測温接点直径0.9mm以下のTCである。測温接点とは、熱電対の先端部であって温度により熱起電力が発生する部分のことである。ほぼ誘導加熱の影響が見られないのは、線径0.3mm以下,測温接点直径0.6mm以下のTCである。線径0.3mmのTCの使用が望まれるが、1000℃以上の温度まで急速昇降温を繰り返す熱処理炉に於いては、耐久性に疑問があるため、本実施形態による急速昇降温熱処理炉に於いては、使用するTCを線径0.5mm以下、測温接点直径0.9mm以下のTCとし状況に応じてTCの線径と測温接点直径を選択する。1000℃以下の温度であれば、KタイプのTCを、1000℃以上の温度であればRタイプのTCを使用する。
複数のTCを使用する場合は、前記温度制御用と温度モニタ用として使い分ける。前記温度モニタTCは、主に前記温度制御用TCに対しての温度差や温度の相関を確認するために使用される。
本実施形態による急速昇降温熱処理炉では、筒状で電気抵抗率が大きい第1の発熱体を外側に置き、第1の発熱体と相似である筒状であって第1の発熱体よりも電気抵抗率の小さい第2の発熱体を内側に同心状に配列し、第1の発熱体の外側に銅製パイプでパイプ中に冷却水を流すことが可能となるように製作された第1の発熱体とほぼ同じ長さの誘導加熱コイルを配置して前記誘導加熱コイルに高周波電流を流し加熱手段として急速昇温加熱に適した誘導加熱により2つの発熱体を同時に加熱することにより、
(1)簡単でコンパクトな構造の熱処理炉を製作できる。
(2)外部に放熱する放熱量を低減できるため消費電力を低減できる。
(3)前記誘導加熱コイルに冷却水を流すことにより熱処理炉の冷却ができるため急速降温が可能となる。
(4)一般的に誘導加熱では良好な均熱性を得られないことが云われているが、面で発熱し同心状に配置される第1の発熱体1と第2の発熱体2(又は2a)により均熱性の改善が得られる。
(5)外側に配列される第1の発熱体と内側に配列される第2の発熱体の間、又は、内側の第2の発熱体の内側に、密閉可能な収納容器を配置することにより、収納容器内の酸素濃度を下げるため導入する不活性ガス(主には 窒素ガス)の使用量を低減できランニングコストを大幅に低減できる。
(6)ワークピースを搭載して前記収納容器内に装填するために使用するセッターを金属で製作し、更に第2の発熱体をパンチングメタル板、又は金網等で製作して前記誘導加熱コイルに流れる高周波電流が発生する磁束変動が前記内側の第2の発熱体を貫通して前記セッターまで到達可能とすると、セッターも誘導加熱されるためさらなる急速加熱が可能となり、且つ誘導加熱のための消費電力も低減できる。
(7)降温時、前記収納容器内に導入する不活性ガスの量を増加させると収納容器内の冷却もできる。
(8)バッチ処理により短TATへの対応が容易である。
(9)本実施形態による急速昇降温熱処理炉では、温度制御用TC、及び温度モニタ用のTCを備えており正確な温度制御、及び 温度の確認ができる。
(1)〜(9)のように本実施形態では、省エネルギー,短TAT,小型小フットプリント,低ランニングコストそして少量多品種生産に対応する低価格を可能とする誘導加熱を用いた急速昇降温熱処理炉を提供することができる。
さらに、主な構成部材である低電気抵抗率の高純度SiC製の第1の発熱体1,金属製の第2の発熱体2及び2a,高純度耐熱石英ガラス製の収納容器4、5は、各々の材料の比熱に密度を乗じて得られる単位体積当たりを1℃昇温させるために必要な熱量が、例えば鉄等と較べると相当に小さいため、本実施形態による熱処理炉は熱しやすく冷めやすい構成とすることができる。
さらなる急速昇温を行う場合は、セッター8を金属で製作してセッター8を直接誘導加熱可能となるように第2の発熱体2(又は2a)を構成すると、さらなる急速昇温が可能となる。
放射加熱の場合は、面内均熱性の良い熱処理を行おうとする時、セッター8の配列ピッチを大きくする必要があるが、前記の構成による誘導加熱の場合は、セッター8が自ら発熱するためセッター8の配列ピッチを小さくすることが可能となり、少ないスペースでより多くのワークピースの熱処理が可能となる。
収納容器4、5は、密閉可能で外気の内部へのリークがないため少量の不活性ガス(主には窒素ガス)の導入により収納容器4、5内部の酸素濃度を容易に下げることができて、第2の発熱体2,セッター8、そして、ワークピースの酸化を防止できるため、ランニングコストを低減できる。
さらに収納容器4,5は密閉可能であるため内部を減圧にして真空にすることが可能で、真空における熱処理も可能となる。
低電気抵抗率の高純度SiCで製作される第1の発熱体1は、製造方法に由来してポーラスな構造であるため、高温でシリコン(以降Siという)を含浸させて封孔処理されていることが好ましい。このようにSi含浸されていると第1の発熱体1の表面積が減少し、酸化の進行による電気特性の変化を防ぐことができる。 又、第1の発熱体1を密封可能な収納容器として共用することもできる。
金属製のセッター8を直接誘導加熱可能とするためには、第2の発熱体2(及び2a)を金網又はパンチングメタル板等で製作する。こうする事により、誘導加熱コイル3に高周波電流を流すことにより発生する磁束変動は、第2の発熱体2(又は2a)を貫通してセッター8に到達しセッター8を誘導加熱することが可能となる。
第2の発熱体2aは、大気中での使用を可能とするもので、Ni−Cr,Ni−Cr−Fe,あるいはFe−Cr−Al系の抵抗発熱体、又はSiCコーティングが施されたグラファイトで製作される。高温時、前記Fe−Cr−Al系の発熱体の場合は表面に緻密な酸化アルミニュウム(アルミナ)の被膜が形成され、一方、Ni−Cr,Ni−Cr−Fe,Fe−Cr系の発熱体の場合は表面に緻密な酸化クロムの被膜が形成されるため、第2の発熱体内部への酸素の拡散を押さえ酸化の進行を防ぐことができる。
急速昇降温を行う場合、熱容量を可能な限り小さくすることが有利であることから、第2の発熱体2及び2aは、厚さを薄くすることが望ましい。 しかしながら、誘導加熱で急速昇温を行うと大きな誘導電流によるエレクトロ マイグレーションが第2の発熱体2(又は2a)に発生し破断する可能性がある。これに対して第1の発熱体1が、第2の発熱体2(又は2a)と共に誘導加熱されることにより、第2の発熱体2(又は2a)は放熱量を減少できるため発熱量を低減でき前記エレクトロ マイグレーションの発生を遅らせることができる。従って、より急速昇温が可能になる。
以上により、第1の発熱体1と第2の発熱体2(又は2a)と高純度耐熱石英ガラス製の収納容器4、5、そして微小な電子部品等に対しては金属製セッター8を組み合わせることにより、誘導加熱を用いた急速昇降温熱処理炉の構成が可能となり、従来の誘導加熱、又は、抵抗加熱等と比較してより効率的な急速昇降温熱処理炉の製作が可能となる。
(実施例1)
実施例1に係る急速昇降温熱処理炉について図2を用いて説明する。
本実施例の急速昇降温熱処理炉は、積層セラミックコンデンサ(以降MLCCという)の熱処理炉であり、1608以下のサイズのMLCCの熱処理を対象としている。一方、サーミスタやバリスタの焼成炉としても使用可能である。
本実施例の熱処理炉は、円筒状に形成された低電気抵抗率高純度SiC製の第1の発熱体21と、円筒状に形成されたニッケル製の金網又はパンチングメタル板で製作された第2の発熱体22を第1の発熱体21の内側に備えている。そして第1の発熱体21の外側に、無酸素銅又は脱酸銅の中空パイプを捲回して製作された誘導加熱コイル23を配置している。中空パイプ中には冷却水を流すことが可能となっている。
第1の発熱体21と第2の発熱体22の間の空間には、電気炉溶融で製作された高純度石英ガラスで円筒状に形成された収納容器25が設置されている。
第2の発熱体22の内側には、ワークピース(MLCC)を搭載し収納容器25に搬入出するため、浅いトレー状に形成され中心を合わせて垂直に整列し積層可能なようにニッケルの金網及び一部薄いニッケルの板金で製作される複数のセッター26が配置されている。
第1の発熱体21,第2の発熱体22,誘導加熱コイル23,収納容器25、及び セッター26は、同心状に配置される。
誘導加熱コイル23は、誘導加熱コイル23に流される高周波の大電流に対して安全確保,第1の発熱体21から外部に放射される熱量の減少及び誘導加熱コイル23に対する放射加熱を低減するために耐熱ファインセラミックスファイバーで編まれた織布で製作される白色のスリーブ24が被されている。図2では、冷却水インフロー45及び冷却水アウトフロー46が示されているスリーブ24が途切れているように示されているが、これらは、隠れたところで捲回されている部分と接続されている。
誘導加熱コイル23の巻き線ピッチは、収納容器25の内部に垂直方向に配列される複数のセッター26の配列方向の温度分布が均一になるように決められ、概ね誘導加熱コイル23の両端部の巻き線ピッチが小さくなる不等ピッチである。
収納容器25の上端には、ガス導入ポート25aが設けられ、耐熱樹脂製のL型継手32がガス導入ポート25aにシール可能に取付けされて不活性ガス39が収納容器25に対して導入可能となっている。
収納容器25内部の温度をモニタリングするため測温接点直径が0.9mm以下で線径0.5mmのRタイプのモニタTC34aを用いたモニタTCユニット34がL型継手32を貫通して取付けられている。モニタTCユニット34が、L型継手32を貫通する部分は、リテーナ37aで固定されるOリングシール37でシールされ、外気が収納容器25の内部にリークすることを防いでいる。モニタTC34aに発生する起電力は、温度モニタTC出力導線50により温度モニタ44に入力され温度モニタ44により温度が表示される。
金網又はパンチングメタル板で製作されている第2の発熱体22を、誘導加熱コイル23に高周波電流を流すことにより発生する磁束変動が容易に貫通することができるため、この貫通した磁束変動によりセッター26の直接誘導加熱が可能となる。従って、セッター26は、放射による加熱と誘導加熱による発熱の両方により温度が上昇し、放射加熱のみの加熱とは異なり、より急速な温度上昇と狭ピッチでの配列が可能になる。
垂直に整列して積層されたセッター26の上部にはニッケル又はSuS310s等の金網又は薄いパンチングメタル板で製作される円盤状の複数の上部熱反射板27が多段に整列して垂直方向に配列されている。上部熱反射板27は、加熱される一方で熱放射を行うため、受熱した一部の熱を反射(熱放射)することになり外部に放熱される熱量を減少させ、複数枚配列することにより外部へ放射する熱量を順次減少させる断熱機能を有している。
また、通常は収納容器25外部で予熱され導入される、不活性ガス39は、複数の上部熱反射板27を通過する過程で加熱され膨張して流れと温度分布の均一化が計られながら所定の温度まで昇温する。従って放熱されてしまう熱量が熱処理領域へ環流するため、誘導加熱に必要な電力を削減できる。
垂直に整列して積層された複数のセッター26の下部には、ニッケル又はSuS310s等の金網又は薄いパンチングメタル板で製作される円盤状の複数の下部熱反射板28が多段に整列して垂直方向に配列されている。下部熱反射板28は、上部熱反射板27と同様に受熱した一部の熱を反射(熱放射)するのみならず加熱された不活性ガス39により加熱されるため、熱処理領域に対して保温効果を高めることができる。
セッター26及び下部熱反射板28は、高純度耐熱石英ガラス,ニッケル板又はSuS310S板等で製作されるセッタースタンド29上に垂直に支持される。
収納容器25の下部は、リテーナ35aによりSuS304等の材料で製作されるマニホールド30に取り付けられ、取付け面はOリングシール35等によりシールされる。
マニホールド30の内面には、熱排気(加熱されて高温になっている不活性ガス39)を冷却するため環状に形成されている熱排気環状冷却路30dにつながる等間隔で設けられた複数の熱排気孔30cが設けられ偏りのない排気を形成できる。前記熱排気は、熱排気孔30cから熱排気環状冷却路30dを通り冷却されて排気管(排気ポート)30bより排気ガス39aとして排気される。
マニホールド30を冷却するため環状に形成されている冷却水循環路30eは冷却水インフロー30fを流すことにより前記熱排気と熱損を防止するためOリングシール35及び36の冷却を行う。
冷却水インフロー30fは、配管継手30aに接続されている外部配管(図示しない)からマニホールド30に供給され冷却水循環路30eを循環した後、配管継手30hに接続される外部配管(図示しない)を通して冷却水アウトフロー30gとして排水される。
マニホールド30は、上部に設けられているフランジをSUS304等の板材から製作されるマニホールド取付け部材に下側から上向きに取付けることにより取付けされる。マニホールド30の下面は 駆動方向を示す矢印51の方向に開閉可能なSuS304等で製作されるキャップ31(駆動機構は図示していない)により密閉が可能となっている。
セッタースタンド29,下部熱反射板28,及びセッター26が、キャップ31上に順次搭載されキャップ31の開閉に伴い収納容器25に搬入出される。
キャップ31には、キャップ31の過加熱,Oリングシール36及び38の熱損を防ぐためにキャップ31の内部に設けられている連絡水路(図示しない)で互いに連絡されている複数の環状に形成された冷却水循環路31aが設けられて冷却水インフロー31bが配管継手31cに接続されている外部配管(図示しない)から供給され、複数の冷却水循環路31aを循環した後、配管継手31eに接続される外部配管(図示しない)を通して冷却水アウトフロー31dとして排水される。
収納容器25内部の温度制御を行うために測温接点直径が0.9mm以下で線径0.5mmのRタイプの制御用TC33aを用いた温度制御用の制御用TCユニット33が、キャップ31の中心を貫通して収納容器25の内部に挿入される。TC33aの測温接点は、垂直に積層されたセッター26の上下方向のほぼ中央部付近に位置する。制御用TCユニット33が、キャップ31を貫通する部分は、リテーナ38aにより固定されるOリングシール38でシールされ、外気が収納容器25の内部にリークすることを防いでいる。
制御用TC33aに発生する熱起電力は、制御用TC出力導線48により温度コントローラー42に入力され、温度コントローラー42で、あらかじめ設定されている温度プロファイルと比較して制御信号が温度コントローラー出力導線49を通して誘導加熱高周波電源41に出力される。
誘導加熱コイル23は、高周波変流器43を介して高周波電源出力ケーブル47により誘導加熱高周波電源41に結線されている。誘導加熱高周波電源41では温度コントローラー42から出力される前記制御信号に従って高周波電流を、高周波電源出力ケーブル47を通し、高周波変流器43を介して誘導加熱コイル23に出力する。
誘導加熱コイル23を冷却するための冷却水インフロー45は、チラー等(図示しない)から誘導加熱高周波電源41に供給され、次いで冷却水インフロー配管45aを通り高周波変流器43を経由してそれぞれの内部を冷却した後に高周波変流器43に接続されている誘導加熱コイル23に供給される。
誘導加熱コイル23に供給された冷却水インフロー45は、誘導加熱コイル23及び周囲の冷却を行った後、冷却水アウトフロー46として高周波変流器43、冷却水アウトフロー配管46a及び誘導加熱高周波電源41を経由して前記チラー等へ循環させ排熱させる。
以上により、本実施例によるMLCCの焼成炉は、急速昇降温の熱処理を可能としている。
複数のセッター26を狭ピッチで配列可能で断熱材をほとんど使用することがないため直径が小さく長さの短い小型の熱処理炉とできる。
バッチ処理と急速昇降温が可能であることは、短TAT化が容易で、少量多品種の熱処理を有利にする。
第1の発熱体21の温度<第2の発熱体22の温度≦セッター26の温度となるため、第2の発熱体22の温度を余計に昇温させる必要がなく、外部への放熱量を低減できるため省エネルギーでランニングコストを低減できる。
また、収納容器25は密閉できるため酸素濃度の制御が容易で不活性ガス39の使用量を低減できる。
不活性ガス39は、酸素を全く含まない純粋の窒素ガスを使用することが理想であるが、前記純粋の窒素ガスは非常に高価なため、低純度で安価な窒素ガスと微少量の水素ガスを混合して不活性ガスとして使用する。
前記水素ガスは、MLCCを構成するニッケル電極の酸化を防止するために使用されるが、水素ガス過多になると誘電体であるチタン酸バリウムが還元されてMLCCの性能低下を招くため、前記水素ガスの混合比率は体積比率で0.3%以下である。不活性ガス39の使用量低減と安価な不活性ガスの使用によりランニングコストを削減できる。
以上述べたように本実施例による急速昇降温熱処理炉は、加熱手段として急速昇温に適していると云われる誘導加熱を用いて、省エネルギー,短TAT,小型小フットプリント,低ランニングコストそして少量多品種生産に対応する低価格を可能とするMLCC製造用の急速昇降温熱処理炉を提供することができる。
(実施例 2)
実施例2に関わる急速昇降温熱処理炉について図3を用いて説明する。
本実施例の急速昇降温熱処理炉は、ワークピースの熱処理領域に対して高純度石英ガラス及び高純度SiC以外の材料で製作された部品や面が露出することを許容しない半導体ウェハのバッチ処理を行う縦型RTP(Rapid Thermal Process)炉である。
本実施例の熱処理炉は、円筒状に形成された低電気抵抗率高純度SiC製の第1の発熱体61と、抵抗発熱体であるFe-Cr-Al系合金の円筒シームレス管で製作されるか又は前記合金板を円筒状に形成しオーバーラップさせるか又は突き合わせとなる端面を溶接して製作した円筒状の第2の発熱体62を第1の発熱体61の内側に備え、第1の発熱体61の外側に無酸素銅又は脱酸銅の中空パイプを捲回して製作された誘導加熱コイル63を配置している。中空パイプ中には冷却水を流すことが可能となっている。
図3では中空パイプを丸パイプで説明しているが、矩形パイプで製作する事もでき、両者は製作コストと誘導加熱による発熱特性により使い分ける。
本実施例では、第2の発熱体62は、誘導加熱コイル63に高周波電流を流した時に発生する磁束変動が貫通することの無いように厚さを決める。
第2の発熱体62の内側に、電気炉溶融で製作された耐熱高純度石英ガラスで円筒状に形成された収納容器65が配置されている。 第1の発熱体61,第2の発熱体62,誘導加熱コイル63及び収納容器65は、同心状に配置される。
収納容器65の上部にはガス導入ポート65aが一体で形成され、下端部にはフランジが設けられその下面は高精度の平面に加工されリークガス排気グルーブ65bが形成されている。
収納容器65は、下端部に設けられるフランジ下面に対し駆動方向を示す矢印75の方向に駆動(駆動機構は図示していない)されるSuS304等で製作されたキャップ71により開閉される。
キャップ71が閉状態に於いて収納容器65の前記下端部に設けられるフランジ下面が耐熱高純度石英ガラスで製作されるキャップカバー73に面接触することでリークガス排気グルーブ65bは閉空間となり、リークガス排気グルーブ65b内を弱負圧となるように排気することで収納容器65内への大気のリークを防いでいる。
また、収納容器65の下部には、排気ポート65cが形成されている。
不活性ガス74は、ガス導入ポート65aから収納容器65に供給され排気ガス74aとして排気ポート65cから排気される。
さらに、収納容器65の下部には、収納容器65の内部温度制御及び温度モニタリングを行うため温度測定用のTCユニット72を収納容器内に挿入するためのTCユニット取付けポート65dが収納容器65と一体で形成されている。
収納容器65は、下端部に設けられているフランジをジャケット70の下端フランジに下側から上方に向けてリテーナ65eにより取付けされる。
ジャケット70は、胴部の内面に沿って銅パイプでコイル状に形成されその中に冷却水を流すことを可能に製作されたジャケット冷却用コイル70aを持ちジャケット冷却用コイル70aに冷却水を流して収納容器65の下部,導入後加熱されて高温になった不活性ガス74,ジャケット70及び隣接する構造を冷却して高温になることによる危険性を防ぐ。
ジャケット冷却用コイル70aに供給される冷却水インフロー70dは配管継手70bに接続される外部配管(図示しない)を通して供給されジャケット冷却用コイル70aの他端の配管継手70cに接続される外部配管(図示しない)に冷却水アウトフロー70eとして排水される。
ジャケット70は、上端部に設けられているフランジによりSUS304等の板材で製作されるジャケット取付け部材に下側から上方に向けてボルト(図示していない)等で取付けされる。従って、前記取付けボルトを外すと収納容器65の上部,ジャケット70等を含むキャップ71に搭載されることになる構成品全てをキャップ71と共に駆動機構(図示しない)を用いてメインテナンスエリアに降ろすことが可能で、メインテナンス性を向上できる。
誘導加熱コイル63は、誘導加熱コイル63に流れる高周波の大電流に対して安全確保,第1の発熱体61から外部に放射される熱量を減少させるため及び誘導加熱コイル63に対する放射加熱を低減するために耐熱ファインセラミックスファイバーで編まれた織布で製作された白色のスリーブ64が被されている。図3では、冷却水インフロー45及び冷却水アウトフロー46が示されているスリーブ64が途切れているように示されているが、これらは、隠れたところで捲回されている部分と接続されている。
誘導加熱コイル63のコイルピッチは、収納容器65の内部に配列される半導体ウェハ66の配列方向の温度分布が均一になるように決められ、概ね誘導加熱コイル63の両端部のコイルピッチが小さくなる。
半導体ウェハ66は、高純度石英ガラスで製作されたプロセス治具である石英ボート66aに水平に等間隔で搭載され熱処理される。
石英ボート66aは、高純度耐熱石英ガラスで製作された石英ボートスタンド68aにより垂直に支持される。
石英ボートスタンド68aは、キャップ71の中心部に内蔵されている軸受71dで回転可能に垂直に保持される回転軸69aの上端に取付けられた高耐熱合金等で製作されるターンテーブル69に搭載される。
これにより、石英ボート66aは、回転軸69aの中心を軸として回転可能となっている。回転軸69aは、SuS304等の耐食鋼で製作される。
回転軸69aがキャップ71を貫通する部分に設けられる軸孔と回転軸69aとの間の隙間は回転軸69aが回転可能な最小値に保たれ、さらに軸受け71dの上部にはリークガスを排気するためのグルーブ71eが設けられて前記グルーブ内を弱負圧にするように排気することにより大気が収納容器65内にリークすることを防いでいる。
回転速度及び位置決め制御が可能なパルスモーター(図示していない)により回転軸69aを駆動し、石英ボート66aを回転させることにより、半導体ウェハ66の面内温度の均一性を向上できる。
キャップ71の金属面を収納容器65の内部に露出させないように高純度石英ガラスで製作されたキャップカバー73がキャップ71の上面に設置される。
石英ボート66aの上方及び下方には、薄いCVD-SiC板又は高純度石英板で製作され、直径8mm以下の孔が開孔率30%程度で均一に分布している上部熱反射板67,下部熱反射板68が、各々多段に複数配列されて、それぞれが高純度石英で製作される上部熱反射板スタンド67a,石英ボートスタンド68aにより水平に等間隔で保持される。
上部熱反射板67,下部熱反射板68は、加熱され昇温するに伴い熱放射を行うため、受熱した一部の熱を反射(熱放射)することになり外部に放熱される熱量を減少させ、複数枚配列することにより、順次外部への放射熱量を減少させる断熱機能を有している。
また、不活性ガス74は、複数段の上部熱反射板67とその周辺を通過しつつ加熱され、流れと温度分布が均一化され所定の温度まで昇温する。
半導体ウェハ66,石英ボート66a,下部熱反射板68,石英ボートスタンド68aは、ターンテーブル69上に順次搭載されキャップ71の上下駆動(駆動機構は図示しない)により収納容器65に搬入出される。
キャップ71には、キャップ71の過加熱,回転軸69aを支持する軸受け71dの熱損を防ぐためにキャップ71の内部に設けられている連絡水路(図示しない)で互いに連絡されている複数の環状に形成された冷却水循環路71aが設けられ、冷却水インフロー71fが配管継手71bに接続されている外部配管(図示しない)から供給され複数の冷却水循環路71aを循環して配管継手71cに接続される外部配管(図示しない)を通して冷却水アウトフロー71gとして排水される。
TCユニット72は、一端をドーム型に閉じ他端は開放されてL字形に曲げられた細い高純度石英ガラス管と、前記ガラス管の中に設置される温度制御のための1個の制御用TC72a及び温度をモニタするための1個又は複数のモニタTC72bとから構成される。
TCユニット72は、TCユニット取付けポート65dから収納容器65の内部への大気のリークを防ぐためにOリングシールを内蔵するシールキャップ72cを用い、前記L字型に曲げられた細い高純度石英ガラス管の開放端近傍をシールしTCユニット取付けポート65dに取付けされる。
制御用TC72a及びモニタTC72bは、測温接点直径が0.9mm以下で線径0.5mmのRタイプのTCである。
TCユニット72は、制御用TC72aの測温接点が石英ボート66a上に搭載されている半導体ウェハ66の垂直方向のほぼ中央部付近に位置するように設置される。
制御用TC72aに発生する熱起電力は、制御用TC出力導線48により温度コントローラー42に入力され、温度コントローラー42によってあらかじめ設定されている温度プロファイルと比較して制御信号が温度コントローラー出力導線49を通して誘導加熱高周波電源41に出力される。
モニタTC72bの測温接点は、制御用TC72aを挟み上下に複数個配列され、発生する起電力は、温度モニタTC出力導線50により温度モニタ44に入力され温度モニタ44により温度が表示される。
誘導加熱コイル63は、高周波変流器43を介して高周波電源出力ケーブル47により誘導加熱高周波電源41に結線されている。
誘導加熱高周波電源41では、高周波電流を温度コントローラー42から出力される前記制御信号に従って高周波電源出力ケーブル47を通し、高周波変流器43を介して誘導加熱コイル63に出力する。
誘導加熱コイル63を冷却するための冷却水インフロー45は、チラー等(図示しない)から誘導加熱高周波電源41に供給され、次いで冷却水インフロー配管45aを通り高周波変流器43を経由して各々の内部を冷却した後、高周波変流器43に接続されている誘導加熱コイル63に供給される。
誘導加熱コイル63に供給された冷却水インフロー45は、誘導加熱コイル63及び周囲の冷却を行った後、冷却水アウトフロー46として高周波変流器43,冷却水アウトフロー配管46aを通り誘導加熱高周波電源41を経由して前記チラー等へ循環させ排熱させる。
以上のようにして、本実施例である半導体ウェハのRTP(Rapid Thermal Process)熱処理炉における急速昇降温熱処理を可能にしている。
加熱手段が、急速昇温を可能とする誘導加熱であること,発熱部の構成が簡単であること,断熱材をほとんど使用する必要がないこと,及び急速降温のために別途冷却機能を追加する必要がないことで簡便な小型熱処理炉とできる。
第1の発熱体61の温度は、第2の発熱体62の温度より低くなるため外部への放熱量を低減できる。
収納容器65は、大気を内部にリークさせないと云う意味に於いて密閉可能のため、雰囲気制御が容易で酸素濃度の制御に必要な不活性ガス(主には窒素,ヘリウム,アルゴンガス等)の使用量を低減できる。
第1の発熱体61及び第2の発熱体62は、面発熱体であり抵抗線発熱体等に較べ発熱面積が圧倒的に大きいため急速昇温に適しており、石英ボート66aを回転可能とすることと併せて半導体ウェハ66に対する均熱性を向上することができる。
以上により、本実施例による急速昇降温熱処理炉は、省エネルギー,短TAT,小型小フットプリント,低ランニングコストそして少量多品種生産に対応する低価格を可能とする誘導加熱を用いた半導体ウェハ用の急速昇降温熱処理炉を提供することができる。
(その他の実施形態)
上述の実施形態は本願発明の例示であって、本願発明はこれらの例に限定されず、これらの例に周知技術や慣用技術、公知技術を組み合わせたり、一部置き換えたりしてもよい。また当業者であれば容易に思いつく改変発明も本願発明に含まれる。
第1の発熱体及び第2の発熱体の原材料は、実施例のものに限定されず、電気抵抗率が第1の発熱体よりも第2の発熱体の方が小さくて、誘導加熱コイルに高周波電流を流すことにより両方が誘導加熱されて発熱するものであればよい。
第2の発熱体を省略して、その代わりにワークピースを載置するセッターを金属製として第2の発熱体代わりに使用しても構わない。
制御用の熱電対は少なくとも1つあればよく、複数あっても構わない。
1,21,61 第1の発熱体
2,2a,22,62 第2の発熱体
3,23,63 誘導加熱コイル
4,5,25,65 収納容器
4a,25a,65a ガス導入ポート
4b,17a,30b,65c 排気ポート
9a,33a,72a 制御用熱電対
9b,34a,72b モニタ熱電対

Claims (11)

  1. 筒状の第1の発熱体と、前記第1の発熱体よりも電気抵抗率が小さい筒状の第2の発熱体と、誘導加熱コイルとを備え、
    外側から、前記誘導加熱コイル、前記第1の発熱体、および前記第2の発熱体の順に同心状に配置されており、
    前記誘導加熱コイルに高周波電流を流すことにより、前記第1の発熱体及び前記第2の発熱体の両方を誘導加熱によって発熱させ
    熱処理をされる被熱処理物を収納する筒状の収納容器をさらに備え、
    前記収納容器は、前記第1の発熱体の筒の内側に配置され、少なくとも前記第1の発熱体に相対している部分は石英ガラスからなっているとともに、密閉可能な構成を有しており、
    前記第1の発熱体は、多孔質のSiCにシリコンが含浸されたセラミックからなる、熱処理炉。
  2. 前記第1の発熱体はSiCを主成分とするセラミックからなっており、
    前記第2の発熱体は金属又は表面にSiCコーティングが施されたグラファイトからなっており、
    前記誘導加熱コイルは中空の部材を捲回して構成されている、請求項1に記載されている熱処理炉。
  3. 前記収納容器には不活性ガスを導入するガス導入ポートと、前記不活性ガスを排気する排気ポートとが設けられている、請求項1又は2に記載されている熱処理炉。
  4. さらに複数の熱電対を備え、
    前記複数の熱電対は、発生する起電力により前記高周波電流を制御する制御用熱電対を含んでいる、請求項1からのいずれか一つに記載されている熱処理炉。
  5. 前記第1の発熱体は、室温における電気抵抗率が0.03Ω・cm以上0.2Ω・cm以下である、請求項1からのいずれか一つ記載されている熱処理炉。
  6. 前記第2の発熱体の室温での電気抵抗率は、5×10−6Ω・cm以上1×10−3Ω・cm以下である請求項1からのいずれか一つ記載されている熱処理炉。
  7. 前記第2の発熱体は、Ni−Cr系、Ni−Cr−Fe系、あるいはFe−Cr−Al系の抵抗発熱体、又はSiCコーティングが施されたグラファイトからなる請求項1からのいずれか一つに記載されている熱処理炉。
  8. 前記第2の発熱体は、融点が1360℃以上であってニッケルを含む合金又はニッケルからなる請求項1からのいずれか一つに記載されている熱処理炉。
  9. 前記第2の発熱体は、板、パンチングメタル又は網の形状を有している、請求項1からのいずれか一つに記載されている熱処理炉。
  10. 前記熱電対は、線径0.5mm以下、測温接点直径0.9mm以下である、請求項に記載されている熱処理炉。
  11. 前記誘導加熱コイルを構成する前記中空の部材は、無酸素銅又は脱酸銅からなる断面が円形又は矩形の中空パイプである、請求項2から10のいずれか一つに記載されている熱処理炉。
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