JP2010048364A - ベルト式無段変速機 - Google Patents

ベルト式無段変速機 Download PDF

Info

Publication number
JP2010048364A
JP2010048364A JP2008214130A JP2008214130A JP2010048364A JP 2010048364 A JP2010048364 A JP 2010048364A JP 2008214130 A JP2008214130 A JP 2008214130A JP 2008214130 A JP2008214130 A JP 2008214130A JP 2010048364 A JP2010048364 A JP 2010048364A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sleeve member
movable sheave
belt
ball screw
sheave
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2008214130A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiroaki Kimura
浩章 木村
Takehito Hattori
勇仁 服部
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
Priority to JP2008214130A priority Critical patent/JP2010048364A/ja
Publication of JP2010048364A publication Critical patent/JP2010048364A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Transmissions By Endless Flexible Members (AREA)

Abstract

【課題】小型化を図ることができるベルト式無段変速機を提供する。
【解決手段】可動シーブ63に対して軸方向に移動可能で可動シーブ63と一体回転可能に設けられる第1スリーブ部材71の外周面に螺旋溝状に形成される第1ボールネジ部71aと、可動シーブ63に対して相対的に回転可能な出力側部材81と一体回転可能に設けられる第2スリーブ部材72の内周面に螺旋溝状に形成される第1ボールネジナット部72aと、ボール73とを有し、可動シーブ63と出力側部材81との相対的な回転に伴って第1スリーブ部材71と第2スリーブ部材72とが相対的に回転することで第1スリーブ部材71が可動シーブ63に対して接近しベルト100に対する挟圧力を発生させる挟圧力発生手段70を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、ベルト式無段変速機に関するものである。
一般に、車両には、駆動源である内燃機関や電動機からの駆動力、すなわち出力トルクを車両の走行状態に応じた最適の条件で路面に伝達するために、駆動源の出力側に変速機が設けられている。この変速機には、変速比を無段階(連続的)に制御する無段変速機と、変速比を段階的(不連続)に制御する有段変速機とがある。ここで、このような無段変速機、いわゆるCVT(CVT:Continuously Variable Transmission)には、プライマリプーリとセカンダリプーリに巻き掛けられたベルトを介して、プライマリプーリからセカンダリプーリに駆動力を伝達する、いわゆる、ベルト式無段変速機がある。
プライマリプーリおよびセカンダリプーリは、プーリ軸と、プーリ軸に固定される固定シーブと、プーリ軸に対して軸方向に移動自在に支持された可動シーブとにより構成されている。つまり、ベルト式無段変速機の2つのプーリは、2つのベルト式無段変速機用シーブをそれぞれ備えることとなる。ベルトは、固定シーブと可動シーブとの間で形成されるV字形状の溝に巻き掛けられている。ここで、ベルト式無段変速機は、例えば、可動シーブを固定シーブ側に押圧することで、ベルトに対してベルト挟圧力を発生させ、ベルトと固定シーブおよび可動シーブとの間に発生する滑りを抑制して駆動力をプライマリプーリからセカンダリプーリに伝達するものである。
このような従来のベルト式無段変速機として、例えば、特許文献1に記載されている無段変速機に適用される無段変速機用アクチュエータは、ボールねじ機構の移動ねじ体が電動モータ側から伝達された回転動力を受けて軸方向に送られ、この移動ねじ体の軸方向推進力を受けて可動シーブが軸方向に移動することで、可動シーブを固定シーブ側に押圧しベルトに対してベルト挟圧力を発生させている。
特開2007−263268号公報
しかしながら、上述のような特許文献1に記載されている無段変速機用アクチュエータでは、例えば、ボールねじ機構の移動ねじ体に回転動力を与えるための電動モータやこの電動モータからボールねじ機構に回転動力を伝達するための機構などが設けられていることからベルト式無段変速機の大型化を招くおそれがあった。
そこで本発明は、小型化を図ることができるベルト式無段変速機を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明によるベルト式無段変速機は、プーリ軸と、前記プーリ軸と一体回転する固定シーブと、前記プーリ軸に対して軸方向に移動可能で当該プーリ軸と一体回転可能に支持されている可動シーブとからなる2つのプーリと、前記2つのプーリの前記固定シーブと前記可動シーブとの間に巻き掛けられ、駆動源からの動力を入力側の前記プーリから出力側の前記プーリに伝達するベルトと、前記プーリ軸の周りに円筒状に形成され前記可動シーブに対して前記軸方向に移動可能で、かつ、当該可動シーブと一体回転可能に設けられる第1スリーブ部材の外周面に螺旋溝状に形成される第1ボールネジ部と、前記第1スリーブ部材の外周面側に円筒状に形成され前記可動シーブに対して相対的に回転可能な出力側部材と一体回転可能に設けられる第2スリーブ部材の内周面に螺旋溝状に形成される第1ボールネジナット部と、前記第1ボールネジ部と前記第1ボールネジナット部との間に設けられるボールとを有し、前記可動シーブと前記出力側部材との相対的な回転に伴って前記第1スリーブ部材と前記第2スリーブ部材とが相対的に回転することで前記第1スリーブ部材が前記可動シーブに対して接近又は離間し前記ベルトに対する挟圧力を発生させる挟圧力発生手段とを備えることを特徴とする。
請求項2に係る発明によるベルト式無段変速機では、内部に供給される作動油の油圧により前記可動シーブを押圧することで前記ベルトに対する挟圧力を発生すると共に内部に少なくとも前記挟圧力発生手段の一部が設けられる油圧室を備えることを特徴とする。
請求項3に係る発明によるベルト式無段変速機では、前記挟圧力発生手段は、前記第2スリーブ部材の外周面に前記第1ボールネジ部とは逆方向の螺旋溝状に形成される第2ボールネジ部と、前記第2スリーブ部材の外周面側に円筒状に形成され前記可動シーブに対して前記軸方向に移動可能で、かつ、当該可動シーブと一体回転可能に設けられる第3スリーブ部材の内周面に前記第1ボールネジナット部とは逆方向の螺旋溝状に形成される第2ボールネジナット部と、前記第2ボールネジ部と前記第2ボールネジナット部との間に設けられるボールとを有し、前記可動シーブと前記出力側部材との相対的な回転に伴って前記第2スリーブ部材と前記第3スリーブ部材とが相対的に回転することで前記第3スリーブ部材が前記第1スリーブ部材とは逆方向に前記可動シーブに対して接近又は離間することを特徴とする。
本発明に係るベルト式無段変速機によれば、プーリ軸の周りに円筒状に形成され可動シーブに対して軸方向に移動可能で、かつ、当該可動シーブと一体回転可能に設けられる第1スリーブ部材の外周面に螺旋溝状に形成される第1ボールネジ部と、第1スリーブ部材の外周面側に円筒状に形成され可動シーブに対して相対的に回転可能な出力側部材と一体回転可能に設けられる第2スリーブ部材の内周面に螺旋溝状に形成される第1ボールネジナット部と、第1ボールネジ部と第1ボールネジナット部との間に設けられるボールとを有し、可動シーブと出力側部材との相対的な回転に伴って第1スリーブ部材と第2スリーブ部材とが相対的に回転することで第1スリーブ部材が可動シーブに対して接近又は離間しベルトに対する挟圧力を発生させる挟圧力発生手段を備えるので、小型化を図ることができる。
以下に、本発明に係るベルト式無段変速機の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係るベルト式無段変速機を搭載した車両の概略構成図、図2は、本発明の実施形態1に係るベルト式無段変速機のセカンダリプーリを示す部分断面図である。
なお、以下で説明する実施形態では、本発明のベルト式無段変速機に伝達される駆動力を発生する駆動源としてエンジントルクを発生する内燃機関(ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、LPGエンジンなど)を用いるが、これに限定されるものではなく、モータトルクを発生するモータなどの電動機を駆動源として用いてもよい。また、駆動源として内燃機関及び電動機を併用してもよい。
本実施形態に係るベルト式無段変速機1は、車両に搭載される駆動源である内燃機関10からの駆動力、すなわち出力トルクを車両の走行状態に応じた最適の条件で車輪120に伝達するために内燃機関10の出力側に設けられるものである。本実施形態に係るベルト式無段変速機1は、入力側のプーリと出力側のプーリとの回転数比である変速比を無段階(連続的)に制御することができる、いわゆるCVT(CVT:Continuously Variable Transmission)である。
図1に示すように、内燃機関10と車輪120,120との間には、トランスアクスル20が配置されている。トランスアクスル20は、トランスアクスルハウジング21と、このトランスアクスルハウジング21に取り付けられたトランスアクスルケース22と、トランスアクスルケース22に取り付けられたトランスアクスルリヤカバー23とにより構成されている。
トランスアクスルハウジング21の内部には、トルクコンバータ30が収納されている。一方、トランスアクスルケース22とトランスアクスルリヤカバー23とにより構成されるケース内部には、本発明にかかるベルト式無段変速機1を構成する2つのプーリであるプライマリプーリ50およびセカンダリプーリ60と、挟圧力発生手段としてのボールネジ機構70と、動力伝達機構80と、最終減速機90と、ベルト100とが収納されている。なお、40は前後進切換機構であり、図2に示す130はベルト式無段変速機1に作動流体である作動油を供給する作動油供給制御装置であり、140はベルト式無段変速機1の運転を制御するトランスミッションECUである。
トルクコンバータ30は、発進機構であり、駆動源である内燃機関10からのエンジントルクをベルト式無段変速機1に伝達するものである。トルクコンバータ30は、エンジントルクをベルト式無段変速機1に作動油を介して、あるいはロックアップ機構により作動油を介さずに直接伝達する。なお、トルクコンバータ30と前後進切換機構40との間には、作動油供給制御装置130のオイルポンプ132が設けられている。オイルポンプ132は、内燃機関10からのエンジントルクによりトルクコンバータ30が回転することで、駆動するものである。
前後進切換機構40は、トルクコンバータ30を介して伝達された内燃機関10からのエンジントルクをベルト式無段変速機1のプライマリプーリ50に伝達するものである。前後進切換機構40は、例えば遊星歯車機構であり、内燃機関10のエンジントルクを直接(正回転)あるいは反転(逆回転)してプライマリプーリ50に伝達するものである。つまり、プライマリプーリ50には、入力側である内燃機関10からのエンジントルクが正回転の駆動力として、あるいは逆回転の逆駆動力として伝達される。
ベルト式無段変速機1のプライマリプーリ50は、一方のプーリであり、前後進切換機構40を介して伝達された内燃機関10からのエンジントルク、すなわち入力側から駆動力および逆駆動力をベルト100により、他方のプーリであるセカンダリプーリ60に伝達するものである。プライマリプーリ50は、プライマリプーリ軸51と、プライマリ固定シーブ52と、プライマリ可動シーブ53と、プライマリプーリ50にベルト挟圧力を発生させることでベルト式無段変速機1の変速比を変更するプライマリ油圧室54と、プライマリピストン55とにより構成されている。
プライマリプーリ軸51は、軸受111,112によりインプットシャフト31の回転軸と同軸上に回転可能に支持されている。なお、このインプットシャフト31は、トルクコンバータ30と前後進切換機構40とを連結すると共に内燃機関10のクランクシャフトと同一の軸線を中心に回転可能なものである。また、プライマリプーリ軸51は、内部に図示しない作動油通路を有しており、作動油通路には、作動油供給制御装置130からプライマリ油圧室54に供給される作動油が流入する。
プライマリ固定シーブ52は、プライマリ可動シーブ53と軸方向において対向し、プライマリプーリ軸51と一体回転するように設けられている。本実施形態では、プライマリ固定シーブ52は、プライマリプーリ軸51の外周に一体的に設けられている。
プライマリ可動シーブ53は、プライマリプーリ軸51にプライマリプーリ軸51上を軸方向に移動可能にスプライン嵌合されている。つまり、プライマリ可動シーブ53は、プライマリプーリ軸51に対して軸方向に移動可能で、プライマリプーリ軸51と一体回転可能に支持されている。プライマリ固定シーブ52とプライマリ可動シーブ53との間には、V字形状のプライマリ溝100aが形成されている。
プライマリ油圧室54は、プライマリ可動シーブ53とプライマリプーリ軸51に固定された円板形状のプライマリピストン55との間に形成される空間部である。プライマリ可動シーブ53には、軸方向の一方向に突出、すなわちトランスアクスルリヤカバー23側に突出する環状の突出部53aが形成されている。突出部53aとプライマリピストン55の径方向外側の端部との間には、例えばシールリングなどの図示しないプライマリ油圧室用シール部材が設けられている。つまり、プライマリ油圧室54を構成するプライマリ可動シーブ53とプライマリピストン55との間に形成される空間部は、シール部材によりシールされている。
プライマリ油圧室54には、図示しない作動油供給孔を介して、プライマリプーリ軸51の図示しない作動油通路に流入した作動油が供給される。つまり、作動油供給制御装置130(図2参照)は、プライマリ油圧室54に作動油を供給し、プライマリ油圧室54の油圧により、プライマリ可動シーブ53を軸方向に摺動させ、プライマリ可動シーブ53をプライマリ固定シーブ52に対して接近あるいは離隔させるものである。従って、プライマリ油圧室54は、プライマリ油圧室54に供給される作動油により、プライマリ可動シーブ53を軸方向に押圧する可動シーブ押圧力をこのプライマリ可動シーブ53に作用させることで、プライマリ固定シーブ52とプライマリ可動シーブ53との間に巻き掛けられたベルト100に対する挟圧力を発生させる。つまり、プライマリ油圧室54は、プライマリ可動シーブ53のプライマリ固定シーブ52に対する軸方向位置を変更し、ベルト100のプライマリプーリ50に対する接触半径を変更するものである。これにより、プライマリ油圧室54は、ベルト式無段変速機1の変速比を変更させる変速比変更手段としての機能を有するものである。
ベルト式無段変速機1のセカンダリプーリ60は、他方のプーリであり、プライマリプーリ50に伝達されベルト100により伝達された内燃機関10からのエンジントルク、すなわち入力側からベルト100により伝達された駆動力および逆駆動力を動力伝達機構80、最終減速機90を介して車輪120,120に伝達するものである。
セカンダリプーリ60は、図1、図2に示すように、セカンダリプーリ軸61と、セカンダリ固定シーブ62と、セカンダリ可動シーブ63と、このセカンダリプーリ60にベルト挟圧力を発生させることでベルト100の張力を制御するセカンダリ油圧室64とを有する。さらに、セカンダリプーリ60は、セカンダリピストン65と、フランジ66と、シーブ押圧弾性部材67と、パーキングギヤ68と、ロックナット69とを有している。なお、シーブ押圧弾性部材67は、セカンダリ可動シーブ63を軸方向のうちセカンダリ固定シーブ62側に押圧するものである。ロックナット69は、セカンダリピストン65および後述する出力側部材としてのリダクションドライブギヤ81のセカンダリプーリ軸61に対する軸方向の移動を規制するものである。
セカンダリプーリ軸61は、軸受113,114により回転軸線Xを回転中心として回転可能に支持されている。また、セカンダリプーリ軸61は、内部に第1作動油通路61aと第2作動油通路61bとが形成されている。第1作動油通路61aには、作動油供給制御装置130からセカンダリ油圧室64に供給される作動流体である作動油が流入する。また、第2作動油通路61bには、作動油供給制御装置130からセカンダリプーリ60の各潤滑部分に供給される作動油が流入する。
セカンダリ固定シーブ62は、セカンダリ可動シーブ63と軸方向において対向し、セカンダリプーリ軸61と一体回転するように設けられている。実施の形態では、セカンダリ固定シーブ62は、セカンダリプーリ軸61の外周に一体的に設けられているがこれに限らず、セカンダリプーリ軸61とは別体に形成し、セカンダリプーリ軸61に固定するようにしてもよい。
セカンダリ可動シーブ63は、ボス部63aと、環状部63bとにより構成されている。ボス部63aは、セカンダリプーリ軸61の回転軸線Xと同軸上に軸方向に延在して形成されている。環状部63bは、ボス部63aの軸方向における両端部のうちセカンダリ固定シーブ62側の端部から径方向外側に突出して形成されている。セカンダリ可動シーブ63は、ボス部63aの内周面において軸方向に形成されたスプライン63cと、セカンダリプーリ軸61において外周面に軸方向に形成されたスプライン61cとが嵌合することで、セカンダリプーリ軸61に軸方向に移動可能に支持されている。つまり、セカンダリ可動シーブ63は、セカンダリプーリ軸61に対して軸方向に移動可能で、セカンダリプーリ軸61と一体回転可能に支持されている。セカンダリ固定シーブ62とセカンダリ可動シーブ63との間には、V字形状のセカンダリ溝100bが形成されている。また、セカンダリ可動シーブ63には、フランジ66が固定されている。
フランジ66は、セカンダリプーリ軸61の回転軸線Xと同軸上の円筒形状に形成され、セカンダリ可動シーブ63の環状部63bの軸方向のうち出力側(後述するリダクションドライブギヤ81側)の側面にこの環状部63bと一体に形成されている。つまり、フランジ66は、環状部63bの一部が軸方向のうち出力側に突出したような形状で設けられている。
セカンダリ油圧室64は、油圧によりセカンダリ可動シーブ63とセカンダリ固定シーブ62との間に挟圧力を発生するものである。ここでは、セカンダリ油圧室64は、基本的には、後述するボールネジ機構70によりベルト100に対して作用させるベルト挟圧力(挟圧力)を補助するものである。
セカンダリ油圧室64は、セカンダリ可動シーブ63とセカンダリピストン65との間に形成される空間部である。本実施形態では、セカンダリ油圧室64は、セカンダリプーリ軸61と、セカンダリ可動シーブ63と、セカンダリピストン65と、フランジ66と、後述するボールネジ機構70を構成する第2スリーブ部材72と、軸受151のインナレース151bとにより形成される空間部である。
ここで、セカンダリピストン65は、油圧室構成部材であり、円筒部65aと、可動シーブ側円環部65b及び出力側環状部65cとを有する。円筒部65aは、セカンダリプーリ軸61の回転軸線Xと同軸上の円筒形状に形成される。円筒部65aは、軸方向に形成される両端部のうち、セカンダリ可動シーブ63側に位置する一方の端部の外径側に円環板状に形成される可動シーブ側円環部65bが設けられる一方、出力側(後述するリダクションドライブギヤ81側)に位置する他方の端部の内径側に円環板状に形成される出力側環状部65cが設けられている。上述のセカンダリ可動シーブ63は、円筒部65aの可動シーブ側円環部65b側の一方の端部側に配置され、ボス部63aが円筒部65aの内部に位置するように設けられる。
セカンダリピストン65は、可動シーブ側円環部65bの径方向外側の先端部とフランジ66の内周面との間に、例えばシールリングなどのセカンダリ油圧室用シール部材S1が設けられている。また、セカンダリピストン65は、出力側環状部65cの出力側(後述するリダクションドライブギヤ81側)の面と後述する第2スリーブ部材72の外周面から径方向外方に突出するように円環板状に形成される環状突出部72bのセカンダリ可動シーブ63側の面とが密着している。さらに、第2スリーブ部材72の内周面とインナレース151bとの間には、例えばシールリングなどのセカンダリ油圧室用シール部材S2が設けられている。つまり、セカンダリ油圧室64を構成するセカンダリ可動シーブ63とセカンダリピストン65と間に形成される空間部は、セカンダリ油圧室用シール部材S1,S2及び出力側環状部65cの出力側の面と環状突出部72bのセカンダリ可動シーブ63側の面との接触面によりシールされている。
ここで、セカンダリ油圧室64には、作動油供給孔61dを介して、作動油供給制御装置130から第1作動油通路61aに流入した作動油が供給される。つまり、作動油供給制御装置130は、セカンダリ油圧室64に作動油を供給し、供給された作動油の油圧、すなわちセカンダリ油圧室64の油圧により、セカンダリ可動シーブ63を軸方向に摺動させ、セカンダリ可動シーブ63をセカンダリ固定シーブ62に対して接近あるいは離隔させるものである。従って、セカンダリ油圧室64は、セカンダリ油圧室64に供給される作動油により、セカンダリ可動シーブ63を軸方向に押圧する可動シーブ押圧力をセカンダリ可動シーブ63に作用させることで、セカンダリ固定シーブ62とセカンダリ可動シーブ63との間に巻き掛けられたベルト100に対する挟圧力を発生させる。つまり、本実施形態のベルト式無段変速機1では、後述するボールネジ機構70およびセカンダリ油圧室64によりベルト100に対する挟圧力を発生することができる。したがって、セカンダリ油圧室64のみによりベルト100に対する挟圧力を発生する場合と比較して、ボールネジ機構70によりベルト100に対する挟圧力を発生することができるので、セカンダリ油圧室64により挟圧力を発生するための油圧を低減することができる。
セカンダリ油圧室64は、セカンダリ可動シーブ63のセカンダリ固定シーブ62に対する軸方向位置を変更し、ベルト100のセカンダリプーリ60に対する接触半径を変更するものである。これにより、セカンダリ油圧室64は、ベルト100の張力を制御することで、ベルト100のプライマリプーリ50およびセカンダリプーリ60に対する接触半径を一定に維持する機能の一部を担うものである。
ボールネジ機構70は、ベルト100に対する挟圧力を発生するものである。ボールネジ機構70は、セカンダリ可動シーブ63と動力伝達機構80の後述するリダクションドライブギヤ81との間に配置されている。ボールネジ機構70は、図1、図2に示すように、第1スリーブ部材71と、第2スリーブ部材72と、複数のボール73と、中間部材74と、円筒部材75とにより構成されている。
第1スリーブ部材71は、セカンダリプーリ軸61の回転軸線Xと同軸上の円筒形状に形成され、セカンダリ可動シーブ63のボス部63aの径方向外側に設けられる。第1スリーブ部材71は、第1ボールネジ部71aと、スプライン71bとを有する。第1スリーブ部材71は、外周面に螺旋溝状の第1ボールネジ部71aが形成されている。また、第1スリーブ部材71は、内周面において軸方向に形成されたスプライン71bと、セカンダリ可動シーブ63のボス部63aの外周面において軸方向に形成されたスプライン63dとが嵌合することで、セカンダリ可動シーブ63のボス部63aに軸方向に移動可能に支持されている。つまり、第1スリーブ部材71は、セカンダリ可動シーブ63に対して軸方向に移動可能で、セカンダリ可動シーブ63と一体回転可能に支持されている。
第2スリーブ部材72は、セカンダリプーリ軸61の回転軸線Xと同軸上の円筒形状に形成され、第1スリーブ部材71の径方向外側に設けられる。つまり、上述の第1スリーブ部材71は、径方向に対してセカンダリ可動シーブ63のボス部63aと第2スリーブ部材72との間に設けられている。さらに言えば、このセカンダリプーリ60は、径方向内側から順に、セカンダリプーリ軸61、セカンダリ可動シーブ63のボス部63a、第1スリーブ部材71、第2スリーブ部材72、セカンダリピストン65、フランジ66が配置されている。
第2スリーブ部材72は、第1ボールネジナット部72aと、上述の環状突出部72bと、環状突出部72cと、スプライン72dとを有する。
第2スリーブ部材72は、軸方向に対する端部のうち、セカンダリ可動シーブ63側に位置する一方の端部の内周面に螺旋溝状の第1ボールネジナット部72aが形成されている。第1ボールネジナット部72aは、径方向に対して第1スリーブ部材71の第1ボールネジ部71aと対向する位置に形成されている。
そして、ボールネジ機構70は、第1スリーブ部材71の外周面に螺旋溝状に形成された第1ボールネジ部71aと、第2スリーブ部材72の内周面に螺旋溝状に形成された第1ボールネジナット部72aとの間に複数のボール73が配設される。
第2スリーブ部材72は、外周面の軸方向ほぼ中央部(軸方向に対して第1ボールネジナット部72aよりも出力側(後述するリダクションドライブギヤ81側))に環状突出部72bが形成されている。第2スリーブ部材72は、上述したように、この環状突出部72bが外周面から径方向外側に突出するように円環板状に形成され、セカンダリピストン65の出力側環状部65cの出力側の面と密着し、これにより、第2スリーブ部材72とセカンダリピストン65とは一体的に構成され、一体回転可能な構成となる。
ここで、セカンダリ可動シーブ63とセカンダリピストン65の出力側環状部65cとの間には、シーブ押圧弾性部材67が配置されている。シーブ押圧弾性部材67は、付勢部材であり、例えばスプリングである。シーブ押圧弾性部材67は、セカンダリ可動シーブ63と、出力側環状部65cとの間に付勢された状態で配置されている。したがって、シーブ押圧弾性部材67は、セカンダリ可動シーブ63および出力側環状部65cに、セカンダリ可動シーブ63と出力側環状部65cとを互いに離す方向の付勢力を作用させることとなる。つまり、セカンダリ可動シーブ63には、シーブ押圧弾性部材67が発生する付勢力により、セカンダリ固定シーブ62側に向かう補助押圧力が作用している。ここで、補助押圧力は、セカンダリ油圧室64の油圧が低下しても、セカンダリ溝100bに巻き掛けられるベルト100に対して最低限の挟圧力を作用させ、最低限の張力を維持させることができる押圧力である。
そして、第2スリーブ部材72は、軸方向に対する端部のうち、出力側(後述するリダクションドライブギヤ81側)に位置する他方の端部の内周面に径方向内側に突出した環状突出部72cが形成されている。また、第2スリーブ部材72は、この環状突出部72cにおいて外周面が径方向内側に環状に陥没しており、この陥没部分において軸方向にスプライン72dが形成されている。第2スリーブ部材72は、このスプライン72dにて中間部材74を介して、リダクションドライブギヤ81と連結されている。
第2スリーブ部材72は、環状突出部72cの外周面において軸方向に形成された上述のスプライン72dと、中間部材74の内周面において軸方向に形成されたスプライン74aとが嵌合することで、中間部材74に軸方向に移動可能に支持されている。つまり、第2スリーブ部材72は、中間部材74に対して軸方向に移動可能で、中間部材74と一体回転可能に支持されている。なお、この第2スリーブ部材72には、第1ボールネジナット部72aの近傍にて外周面と内周面とを連通する油路が設けられている。
中間部材74は、第2スリーブ部材72とリダクションドライブギヤ81とを連結するものである。中間部材74は、円筒部材75の突出部75aと、ロックナット69との間に配置されている。中間部材74は、軸方向のうちセカンダリ可動シーブ63側の端部における内周面に上述のスプライン74aが形成されている。
また、中間部材74は、軸方向のうち出力側(リダクションドライブギヤ81側)の端面に形成されたスプライン74bと、リダクションドライブギヤ81の軸方向のうちセカンダリ可動シーブ63側の端面に形成されたスプライン81aとがスプライン嵌合することで、リダクションドライブギヤ81に対して一体回転可能に支持されている。
したがって、第2スリーブ部材72とリダクションドライブギヤ81とは、中間部材74により一体回転可能となる。すなわち、第2スリーブ部材72は、中間部材74を介して出力側部材であるリダクションドライブギヤ81と一体回転可能に連結される。
また、第2スリーブ部材72は、軸受151により、セカンダリプーリ軸61に対して回転自在に支持されている。さらに言えば、第2スリーブ部材72は、セカンダリプーリ軸61、セカンダリ可動シーブ63及び第1スリーブ部材71に対してリダクションドライブギヤ81と共に相対的に回転可能に設けられている。軸受151は、複数の回転体151aと、回転体151aの径方向内側で対向するインナレース151bとにより構成されており、第2スリーブ部材72の環状突出部72cにおいて軸受151と径方向に対向する部分がアウタレースとしての機能を有する。
ここで、インナレース151bの軸方向のうち出力側(リダクションドライブギヤ81側)の端部には、内周面と外周面とを連通する連通孔151cが形成されている。連通孔151cは、セカンダリプーリ軸61の作動油供給孔61eと連通しており、作動油供給制御装置130から第2作動油通路61bに流入した作動油が連通孔151cを介して、軸受151,152等に潤滑油として供給される。
また、第2スリーブ部材72は、軸受152により、円筒部材75の軸方向のうちセカンダリ可動シーブ63側の端部から径方向外側に突出する突出部75aに対して回転自在に支持されている。したがって、第2スリーブ部材72に作用する軸方向のスラスト力は、軸受152を介して円筒部材75に伝達される。
また、中間部材74は、軸受153により、円筒部材75の突出部75aに対して回転自在に支持されている。したがって、リダクションドライブギヤ81と動力伝達機構80のリダクションドライブギヤ81と噛み合う図示しないリダクションドリブンギヤとにより発生する軸方向のうち、セカンダリ固定シーブ62側へのスラスト力は、中間部材74および軸受153を介して円筒部材75に伝達される。つまり、中間部材74に作用するスラスト力は、円筒部材75に伝達される。なお、中間部材74の外周面には、パーキングギヤ68が形成されている。
円筒部材75は、円筒部材75に伝達されたスラスト力をセカンダリプーリ軸61に伝達するものである。円筒部材75は、円筒形状であり、セカンダリプーリ軸61に挿入されている。円筒部材75は、軸受151のインナレース151bとともに、セカンダリプーリ軸61に形成された段差部と、セカンダリプーリ軸61に固定されるロックナット69との間に配置され、軸方向への移動が規制される。ここで、円筒部材75には、内周面と外周面とを連通する連通孔75bが形成されている。連通孔75bは、セカンダリプーリ軸61の作動油供給孔61fと連通しており、作動油供給制御装置130から第2作動油通路61bに流入した作動油が連通孔75bを介して、軸受153,154等に潤滑油として供給される。
動力伝達機構80は、セカンダリプーリ60と最終減速機90との間で、駆動力、逆駆動力あるいは被駆動力の伝達を行うものである。動力伝達機構80は、セカンダリプーリ60と最終減速機90との間に配置されている。この動力伝達機構80は、リダクションドライブギヤ81が備えられている。
リダクションドライブギヤ81は、出力側部材であり、セカンダリプーリ60と動力伝達機構80との間で力の伝達を行うものである。リダクションドライブギヤ81は、セカンダリプーリ軸61と同軸上に配置されている。また、リダクションドライブギヤ81は、軸受154により、円筒部材75に対して回転自在に支持されている。つまり、リダクションドライブギヤ81は、リダクションドライブギヤ81と一体回転する第2スリーブ部材72、中間部材74とともに、円筒部材75を介してセカンダリプーリ軸61に対して回転自在、すなわち、セカンダリプーリ軸61やセカンダリ可動シーブ63に対して相対的に回転可能に支持されている。
また、リダクションドライブギヤ81は、軸受155により、ロックナット69に対して回転自在に支持されている。
最終減速機90は、動力伝達機構80と車輪120,120との間で、駆動力、逆駆動力あるいは被駆動力の伝達を行うものである。最終減速機90は、動力伝達機構80と車輪120,120との間に配置されている。最終減速機90には、ドライブシャフト121,122が連結されている。ドライブシャフト121,122には、車輪120,120が取り付けられている。
ベルト100は、プライマリプーリ50を介して伝達された内燃機関10からのエンジントルク、すなわち入力側からの駆動力あるいは逆駆動力をセカンダリプーリ60に伝達するものである。また、ベルト100は、セカンダリプーリ60を介してリダクションドライブギヤ81側から伝達された被駆動力をプライマリプーリ50に伝達し、内燃機関10に伝達するものでもある。ベルト100は、図1に示すように、プライマリプーリ50のプライマリ溝100aとセカンダリプーリ60のセカンダリ溝100bとの間に巻き掛けられている。また、ベルト100は、多数の金属製の駒と複数本のスチールリングで構成された無端ベルトである。
作動油供給制御装置130は、少なくともベルト式無段変速機1の各構成部品の潤滑部分や、各油圧室(プライマリ油圧室54やセカンダリ油圧室64が含まれる)に作動油を供給するものである。作動油供給制御装置130は、オイルタンク131と、オイルポンプ132と、プレッシャーレギュレータ133と、油圧回路134とにより構成されている。
オイルポンプ132は、上述のように、内燃機関10の運転、例えばクランクシャフトの回転に連動して作動するものであり、オイルタンク131に貯留されている作動油を吸引、加圧し、吐出するものである。この加圧されて吐出された作動油は、プレッシャーレギュレータ133を介して、油圧回路134に供給される。ここで、プレッシャーレギュレータ133は、このプレッシャーレギュレータ133よりも下流側における油圧が所定油圧以上となった際に、この下流側にある作動油の一部をオイルタンク131に戻すものである。
油圧回路134は、プライマリ油圧室54およびセカンダリ油圧室64に供給される作動油の圧力を調圧するものである。つまり、油圧回路134は、プライマリ油圧室54およびセカンダリ油圧室64の油圧を調圧して、プライマリ油圧室54およびセカンダリ油圧室64によるベルト100に対する挟圧力の発生を制御するものである。油圧回路134は、セカンダリプーリ60に対しては、セカンダリプーリ軸61の第1作動油通路61aに接続されており、油圧回路134より調圧された作動油がセカンダリ油圧室64に供給される。
また、油圧回路134は、ベルト式無段変速機1の潤滑を行う潤滑剤として、軸受151〜155などの各潤滑部分への作動油の供給を制御するものである。油圧回路134は、セカンダリプーリ60に対しては、セカンダリプーリ軸61の第2作動油通路61bに接続されており、油圧回路134より調圧された作動油が各潤滑部分へ供給される。
なお、作動油供給制御装置130は、トランスミッションECU140と接続されている。作動油供給制御装置130は、トランスミッションECU140からの変速比の制御信号に基づいて、プライマリ油圧室54の油圧およびセカンダリ油圧室64の油圧を調圧する油圧回路134を制御することで、少なくともベルト式無段変速機1のベルト挟圧力を制御するものである。なお、トランスミッションECU140は、内燃機関10の運転制御を行う図示しないECUと接続されている。
ここで、ボールネジ機構70をなす第1スリーブ部材71の第1ボールネジ部71aと第2スリーブ部材72の第1ボールネジナット部72aの螺旋溝形状は、ベルト100によりプライマリプーリ50からセカンダリプーリ60に正回転の駆動力が伝達され、セカンダリプーリ60に伝達された正回転の駆動力がボールネジ機構70を介してリダクションドライブギヤ81に伝達される際に、セカンダリ可動シーブ63とリダクションドライブギヤ81との相対的な回転に伴って第1スリーブ部材71と第2スリーブ部材72とが周方向に相対的に回転することで、第1スリーブ部材71に対してセカンダリ可動シーブ63に接近する側への軸方向推力が作用するような方向で形成されている。
ここで、トランスミッションECU140は、車両の速度や運転者のアクセル開度などの諸条件とトランスミッションECU140の記憶部に記憶されているマップ(例えば、機関回転数とスロットル開度に基づく最適燃費曲線など)とに基づいた図示しないエンジンECUからの信号に基づいて、内燃機関10の運転状態が最適となるようにベルト式無段変速機1の変速比を制御する。例えば、車両の高速走行時などで大きなトルクを必要としない場合は、プライマリ固定シーブ52に対してプライマリ可動シーブ53が最も近づく、すなわちプライマリ溝100aの幅が最小となるように調整する。これにより、プライマリプーリ50におけるベルト100の接触半径が最大となり、図2に示すように、セカンダリプーリ60におけるベルト100の接触半径が最小となり、変速比は最小となる。また、車両の発進時などで大きなトルクを必要とする場合は、プライマリ固定シーブ52に対してプライマリ可動シーブ53が最も離れる、すなわちプライマリ溝100aの幅が最大となるように調整する。これにより、プライマリプーリ50におけるベルト100の接触半径が最小となり、セカンダリプーリ60におけるベルト100の接触半径が最大となり、変速比は最大となる。
一方、セカンダリプーリ60においては、セカンダリ油圧室64に作動油供給制御装置130から供給される作動油の油圧をトランスミッションECU140が制御することで、セカンダリ油圧室64の油圧およびボールネジ機構70によりセカンダリ可動シーブ63に発生する軸方向のうち一方向のスラスト力によってセカンダリ固定シーブ62とこのセカンダリ可動シーブ63との間で発生するベルト100を挟み付けるベルト挟圧力の調整が行われる。これにより、ベルト100を介して、プライマリプーリ50とセカンダリプーリ60との間でトルク(実施の形態では、エンジントルク)を伝達することができる。
具体的には、車両に設けられた図示しないシフトポジション装置により、運転者が前進ポジションを選択した場合は、トランスミッションECU140が作動油供給制御装置130から供給された作動油により前後進切換機構40を制御し、トルクコンバータ30とプライマリプーリ軸51とが直結状態となる。そして、内燃機関10からのエンジントルクが正回転の駆動力としてプライマリプーリ50に伝達され、プライマリプーリ50を正回転させ、ベルト100を介してセカンダリプーリ60に伝達され、セカンダリプーリ60のセカンダリプーリ軸61を正回転させる。
セカンダリプーリ60に伝達された正回転の駆動力は、セカンダリ可動シーブ63のボス部63aからボールネジ機構70の第1スリーブ部材71に伝達され、この第1スリーブ部材71からボール73、第2スリーブ部材72及び中間部材74を介してリダクションドライブギヤ81に伝達される。リダクションドライブギヤ81に伝達された駆動力は、最終減速機90に伝達され、ドライブシャフト121,122に伝達され、車輪120,120に伝達され、車輪120,120を正回転させ、車両は前進する。
このとき、ボールネジ機構70は、セカンダリプーリ60に伝達された正回転の駆動力に応じたセカンダリ可動シーブ63とリダクションドライブギヤ81との相対的な回転に伴って第1スリーブ部材71と第2スリーブ部材72とが周方向に相対的に回転することで、第1スリーブ部材71に対してセカンダリ可動シーブ63に接近する側への軸方向推力が作用する。つまり、ボールネジ機構70は、セカンダリ可動シーブ63とリダクションドライブギヤ81との相対的な回転に伴って第1スリーブ部材71と第2スリーブ部材72とが周方向に相対的に回転することで、ベルト100により伝達される回転動力を軸方向に沿った軸方向推力に変換し、第1スリーブ部材71がこの軸方向推力に応じてセカンダリ可動シーブ63に接近移動しこのセカンダリ可動シーブ63を押圧することでベルト100に対する挟圧力を発生させることができる。
したがって、このベルト式無段変速機1は、ボールネジ機構70の第1スリーブ部材71に対してセカンダリ可動シーブ63に接近する側への軸方向推力を作用させるための機構として、例えば、電動モータやこの電動モータから第1スリーブ部材71に回転動力を伝達するための機構を別個に設ける必要が無いことから、このベルト式無段変速機1の小型化を図ることができ、また、ベルト式無段変速機1を構成する部品点数を削減することができ、製造コストを低下させることができる。また、第1スリーブ部材71に回転動力を与えるための電動モータを備えず、この結果、第1スリーブ部材71に回転動力を与えるために電力を消費することもないので、燃費の低下を防止することができる。
また、セカンダリ油圧室64は、上述したようにボールネジ機構70によりベルト100に対して作用させる挟圧力を補助するものである。つまり、ここでは、ボールネジ機構70およびセカンダリ油圧室64によりベルト100に対する挟圧力を発生することができる。したがって、セカンダリ油圧室64のみによりベルト100に対する挟圧力を発生する場合と比較して、ボールネジ機構70によりベルト100に対する挟圧力を発生することができるので、セカンダリ油圧室64により挟圧力を発生するための油圧を低減することができる。この結果、セカンダリ油圧室64に供給する油圧を低減することができ、オイルポンプ132の負荷を低減することができることから、オイルポンプ132の駆動による動力損失の増加を抑制することができ、燃費を向上させることができる。一方、ボールネジ機構70が適正に動作しなかった場合であっても、セカンダリ油圧室64のみによりベルト100に対する挟圧力を発生させることもできるので、ベルト式無段変速機1の信頼性を向上するもできる。また、セカンダリ油圧室64の内部に少なくともボールネジ機構70の一部、本実施形態では、第1スリーブ部材71及び前記第2スリーブ部材72の第1ボールネジナット部72aが形成された部分が設けられることから、セカンダリ油圧室64とボールネジ機構70とをともに設けた上で、ベルト式無段変速機1を小型化することができる。
一方、車両に設けられた図示しないシフトポジション装置により、運転者が後進ポジションを選択した場合には、トランスミッションECU140が作動油供給制御装置130から供給された作動油により前後進切換機構40を制御し、トルクコンバータ30とプライマリプーリ軸51とが反転状態となる。内燃機関10からのエンジントルクが逆回転の逆駆動力としてプライマリプーリ50に伝達され、プライマリプーリ50を逆回転させ、ベルト100を介してセカンダリプーリ60に伝達され、セカンダリプーリ60のセカンダリプーリ軸61を逆回転させる。
セカンダリプーリ60に伝達された逆回転の逆駆動力は、セカンダリ可動シーブ63のボス部63aからボールネジ機構70の第1スリーブ部材71に伝達され、この第1スリーブ部材71からボール73、第2スリーブ部材72及び中間部材74を介してリダクションドライブギヤ81に伝達される。リダクションドライブギヤ81に伝達された逆駆動力は、最終減速機90に伝達され、ドライブシャフト121,122に伝達され、車輪120,120に伝達され、車輪120,120を逆回転させ、車両は後進する。
また、ベルト式無段変速機1は、駆動状態において、例えば運転者の図示しないアクセルペダルの操作がON状態からOFF状態になった場合など、車輪120側から内燃機関10が駆動されると、被駆動状態に切り替わる。つまり、ボールネジ機構70は、内燃機関10からのエンジントルクである駆動力をリダクションドライブギヤ81に伝達している状態から、最終減速機90および動力伝達機構80を介してリダクションドライブギヤ81に伝達された車輪120,120からの被駆動力をセカンダリプーリ60に伝達する状態に切り替わる。車輪120からリダクションドライブギヤ81を介してボールネジ機構70の中間部材74に伝達された被駆動力は、この中間部材74から第2スリーブ部材72、ボール73及び第1スリーブ部材71を介してセカンダリ可動シーブ63のボス部63aに伝達される。セカンダリ可動シーブ63のボス部63aに伝達された被駆動力は、ベルト100を介してプライマリプーリ50に伝達され、前後進切換機構40を介してトルクコンバータ30に伝達され、内燃機関10に伝達される。
そして、このボールネジ機構70は、上記のようにセカンダリプーリ60に伝達された逆回転の逆駆動力、あるいは、リダクションドライブギヤ81に伝達された被駆動力に応じたセカンダリ可動シーブ63とリダクションドライブギヤ81との相対的な回転、ここでは、上述の駆動状態における回転方向とは逆方向の相対回転に伴って第1スリーブ部材71と第2スリーブ部材72とが周方向に相対的に回転することで、第1スリーブ部材71に対してセカンダリ可動シーブ63から離間する側への軸方向推力が作用する。このとき、第1スリーブ部材71は、セカンダリ可動シーブ63を押圧することでベルト100に対して挟圧力を発生させる方向とは反対方向に移動、つまり、セカンダリ可動シーブ63から離間移動するが、このボールネジ機構70の第1スリーブ部材71がセカンダリ可動シーブ63とは別個に軸方向に移動可能な構成であることから、セカンダリ油圧室64によりベルト100に対する挟圧力を発生させるために必要な作動油の油圧が増大することを防止することができる。
以上で説明した本発明の実施形態に係るベルト式無段変速機1によれば、プライマリプーリ軸51、セカンダリプーリ軸61と、プライマリプーリ軸51、セカンダリプーリ軸61と一体回転するプライマリ固定シーブ52、セカンダリ固定シーブ62と、プライマリプーリ軸51、セカンダリプーリ軸61に対して軸方向に移動可能でプライマリプーリ軸51、セカンダリプーリ軸61と一体回転可能に支持されているプライマリ可動シーブ53、セカンダリ可動シーブ63とからなるプライマリプーリ50、セカンダリプーリ60と、プライマリプーリ50、セカンダリプーリ60のプライマリ固定シーブ52、セカンダリ固定シーブ62とプライマリ可動シーブ53、セカンダリ可動シーブ63との間に巻き掛けられ、内燃機関10からの動力を入力側のプライマリプーリ50から出力側のセカンダリプーリ60に伝達するベルト100と、セカンダリプーリ軸61の周りに円筒状に形成されセカンダリ可動シーブ63に対して軸方向に移動可能で、かつ、このセカンダリ可動シーブ63と一体回転可能に設けられる第1スリーブ部材71の外周面に螺旋溝状に形成される第1ボールネジ部71aと、第1スリーブ部材71の外周面側に円筒状に形成されセカンダリ可動シーブ63に対して相対的に回転可能なリダクションドライブギヤ81と一体回転可能に設けられる第2スリーブ部材72の内周面に螺旋溝状に形成される第1ボールネジナット部72aと、第1ボールネジ部71aと第1ボールネジナット部72aとの間に設けられるボール73とを有し、セカンダリ可動シーブ63とリダクションドライブギヤ81との相対的な回転に伴って第1スリーブ部材71と第2スリーブ部材72とが相対的に回転することで第1スリーブ部材71がセカンダリ可動シーブ63に対して接近又は離間しベルト100に対する挟圧力を発生させるボールネジ機構70とを備える。
したがって、ボールネジ機構70は、セカンダリ可動シーブ63とリダクションドライブギヤ81との相対的な回転に伴って第1スリーブ部材71と第2スリーブ部材72とが周方向に相対的に回転することで、ベルト100により伝達される正回転の回転動力を軸方向に沿った軸方向推力に変換し、第1スリーブ部材71がこの軸方向推力に応じてセカンダリ可動シーブ63に接近移動しこのセカンダリ可動シーブ63を押圧することでベルト100に対する挟圧力を発生させることができる。この結果、例えば、電動モータやこの電動モータから第1スリーブ部材71に回転動力を伝達するための機構を別個に設ける必要が無いことから、このベルト式無段変速機1の小型化を図ることができる。
さらに、以上で説明した本発明の実施形態に係るベルト式無段変速機1によれば、内部に供給される作動油の油圧によりセカンダリ可動シーブ63を押圧することでベルト100に対する挟圧力を発生すると共に内部に少なくともボールネジ機構70の一部が設けられるセカンダリ油圧室64を備える。したがって、セカンダリ油圧室64のみによりベルト100に対する挟圧力を発生する場合と比較して、ボールネジ機構70によりベルト100に対する挟圧力を発生することができるので、セカンダリ油圧室64により挟圧力を発生するための油圧を低減することができ燃費を向上させることができると共に、ボールネジ機構70が適正に動作しなかった場合には、セカンダリ油圧室64のみによりベルト100に対する挟圧力を発生させることもできるので、ベルト式無段変速機1の信頼性を向上することもできる。また、セカンダリ油圧室64の内部に少なくともボールネジ機構70の一部が設けられることから、セカンダリ油圧室64とボールネジ機構70とをともに設けた上で、ベルト式無段変速機1を小型化することができる。
(実施形態2)
図3は、本発明の実施形態2に係るベルト式無段変速機のセカンダリプーリを示す部分断面図である。実施形態2に係るベルト式無段変速機は、実施形態1に係るベルト式無段変速機と略同様の構成であるが、第3スリーブ部材を備えている点で実施形態1に係るベルト式無段変速機とは異なる。その他、上述した実施形態と共通する構成、作用、効果については、重複した説明はできるだけ省略するとともに、同一の符号を付す。また、主要部分の構成については図1を参照する。
実施形態2に係るベルト式無段変速機201のセカンダリプーリ260では、挟圧力発生手段としてのボールネジ機構270は、第3スリーブ部材276を有している。
ここで、本実施形態のセカンダリ可動シーブ63は、フランジ263eを有している。フランジ263eは、セカンダリプーリ軸61の回転軸線Xと同軸上の円筒形状に形成され、セカンダリ可動シーブ63の環状部63bの軸方向のうち出力側(リダクションドライブギヤ81側)の側面にこの環状部63bと一体に形成されている。つまり、フランジ263eは、環状部63bの一部が軸方向のうち出力側に突出したような形状で設けられている。そして、このフランジ263eは、セカンダリ可動シーブ63の環状部63bの径方向に対してフランジ66とボス部63aとの間に設けられる。シーブ押圧弾性部材67は、このフランジ263eの径方向外側に配置される一方、ボールネジ機構270の第1スリーブ部材71、第2スリーブ部材72及び第3スリーブ部材276は、このフランジ263eの径方向内側に配置される。
第3スリーブ部材276は、セカンダリプーリ軸61の回転軸線Xと同軸上の円筒形状に形成され、第2スリーブ部材72の径方向外側に設けられる。つまり、このセカンダリプーリ260は、径方向内側から順に、セカンダリプーリ軸61、セカンダリ可動シーブ63のボス部63a、第1スリーブ部材71、第2スリーブ部材72、第3スリーブ部材276、フランジ263e、シーブ押圧弾性部材67、セカンダリピストン65、フランジ66が配置されている。
第3スリーブ部材276は、第2ボールネジナット部276aと、スプライン276bとを有する。第3スリーブ部材276は、内周面に第1ボールネジナット部72aとは逆方向の螺旋溝状の第2ボールネジナット部276aが形成されている。また、第3スリーブ部材276は、外周面において軸方向に形成されたスプライン276bと、セカンダリ可動シーブ63のフランジ263eの内周面において軸方向に形成されたスプライン263fとが嵌合することで、セカンダリ可動シーブ63のフランジ263eに軸方向に移動可能に支持されている。つまり、第3スリーブ部材276は、セカンダリ可動シーブ63に対して軸方向に移動可能で、セカンダリ可動シーブ63と一体回転可能に支持されている。
本実施形態の第2スリーブ部材72は、第1ボールネジナット部72aの背面側に第2ボールネジ部272eを有する。すなわち、第2スリーブ部材72は、軸方向に対する端部のうち、セカンダリ可動シーブ63側に位置する一方の端部の外周面に第1ボールネジ部71aとは逆方向の螺旋溝状の第2ボールネジ部272eが形成されている。第2ボールネジ部272eは、径方向に対して第3スリーブ部材276の第2ボールネジナット部276aと対向する位置に形成されている。
そして、ボールネジ機構270は、第2スリーブ部材72の外周面に螺旋溝状に形成された第2ボールネジ部272eと、第3スリーブ部材276の内周面に螺旋溝状に形成された第2ボールネジナット部276aとの間に複数のボール277が配設される。
ここで、ボールネジ機構270をなす第2スリーブ部材72の第2ボールネジ部272eと第3スリーブ部材276の第2ボールネジナット部276aの螺旋溝形状は、上述したように、第1スリーブ部材71の第1ボールネジ部71aと第2スリーブ部材72の第1ボールネジナット部72aの螺旋溝形状とは逆方向となるように形成されている。つまり、第2スリーブ部材72の第2ボールネジ部272eと第3スリーブ部材276の第2ボールネジナット部276aの螺旋溝形状は、ベルト100によりプライマリプーリ50からセカンダリプーリ260に逆回転の逆駆動力が伝達され、セカンダリプーリ260に伝達された逆回転の逆駆動力がボールネジ機構270を介してリダクションドライブギヤ81に伝達される際、あるいは、車輪120からリダクションドライブギヤ81に被駆動力が伝達され、リダクションドライブギヤ81に伝達された被駆動力がボールネジ機構270を介してセカンダリプーリ260に伝達される際に、セカンダリ可動シーブ63とリダクションドライブギヤ81との相対的な回転に伴って第2スリーブ部材72と第3スリーブ部材276とが周方向に相対的に回転することで、第3スリーブ部材276に対してセカンダリ可動シーブ63に接近する側への軸方向推力が作用するような方向で形成されている。
本実施形態のベルト式無段変速機201の駆動状態では、内燃機関10からのエンジントルクが正回転の駆動力としてプライマリプーリ50に伝達され、プライマリプーリ50を正回転させ、ベルト100を介してセカンダリプーリ260に伝達され、セカンダリプーリ260のセカンダリプーリ軸61を正回転させる。セカンダリプーリ260に伝達された正回転の駆動力は、セカンダリ可動シーブ63からボールネジ機構270の第1スリーブ部材71、第3スリーブ部材276に伝達され、この第1スリーブ部材71、第3スリーブ部材276からボール73、ボール277、第2スリーブ部材72及び中間部材74を介してリダクションドライブギヤ81に伝達される。
このとき、ボールネジ機構270は、セカンダリプーリ260に伝達された正回転の駆動力に応じたセカンダリ可動シーブ63とリダクションドライブギヤ81との相対的な回転に伴って第1スリーブ部材71と第2スリーブ部材72とが周方向に相対的に回転することで、第1スリーブ部材71に対してセカンダリ可動シーブ63に接近する側への軸方向推力が作用する一方、第3スリーブ部材276と第2スリーブ部材72とが周方向に相対的に回転することで、第3スリーブ部材276に対してセカンダリ可動シーブ63から離間する側への軸方向推力が作用する。つまり、ボールネジ機構270は、駆動状態では、第1スリーブ部材71がセカンダリ可動シーブ63に接近移動しこのセカンダリ可動シーブ63を押圧することでベルト100に対する挟圧力を発生させることができる一方、第3スリーブ部材276は、第1スリーブ部材71とは逆方向にセカンダリ可動シーブ63から離間移動する。
一方、ベルト式無段変速機201の逆駆動状態では、内燃機関10からのエンジントルクが逆回転の逆駆動力としてプライマリプーリ50に伝達され、プライマリプーリ50を逆回転させ、ベルト100を介してセカンダリプーリ260に伝達され、セカンダリプーリ260のセカンダリプーリ軸61を逆回転させる。セカンダリプーリ260に伝達された逆回転の逆駆動力は、セカンダリ可動シーブ63からボールネジ機構270の第1スリーブ部材71、第3スリーブ部材276に伝達され、この第1スリーブ部材71、第3スリーブ部材276からボール73、ボール277、第2スリーブ部材72及び中間部材74を介してリダクションドライブギヤ81に伝達される。
また、ベルト式無段変速機201の被駆動状態では、車輪120からリダクションドライブギヤ81を介してボールネジ機構270の中間部材74に伝達された被駆動力は、この中間部材74から第2スリーブ部材72、ボール73、ボール277及び第1スリーブ部材71、第3スリーブ部材276を介してセカンダリ可動シーブ63に伝達される。
そして、このボールネジ機構270は、上記のようにセカンダリプーリ260に伝達された逆回転の逆駆動力、あるいは、リダクションドライブギヤ81に伝達された被駆動力に応じたセカンダリ可動シーブ63とリダクションドライブギヤ81との相対的な回転、ここでは、上述の駆動状態における回転方向とは逆方向の回転に伴って第3スリーブ部材276と第2スリーブ部材72とが周方向に相対的に回転することで、第3スリーブ部材276に対してセカンダリ可動シーブ63に接近する側への軸方向推力が作用する一方、第1スリーブ部材71と第2スリーブ部材72とが周方向に相対的に回転することで、第1スリーブ部材71に対してセカンダリ可動シーブ63から離間する側への軸方向推力が作用する。つまり、ボールネジ機構270は、逆駆動状態、被駆動状態では、第3スリーブ部材276がセカンダリ可動シーブ63に接近移動しこのセカンダリ可動シーブ63を押圧することでベルト100に対する挟圧力を発生させることができる一方、第1スリーブ部材71は、第3スリーブ部材276とは逆方向にセカンダリ可動シーブ63から離間移動する。
以上で説明した本発明の実施形態に係るベルト式無段変速機201によれば、ボールネジ機構270は、セカンダリ可動シーブ63とリダクションドライブギヤ81との相対的な回転に伴って第1スリーブ部材71と第2スリーブ部材72とが周方向に相対的に回転することで、ベルト100により伝達される正回転の回転動力を軸方向に沿った軸方向推力に変換し、第1スリーブ部材71がこの軸方向推力に応じてセカンダリ可動シーブ63に接近移動しこのセカンダリ可動シーブ63を押圧することでベルト100に対する挟圧力を発生させることができる。この結果、例えば、電動モータやこの電動モータから第1スリーブ部材71に回転動力を伝達するための機構を別個に設ける必要が無いことから、このベルト式無段変速機201の小型化を図ることができる。
さらに、以上で説明した本発明の実施形態に係るベルト式無段変速機201によれば、ボールネジ機構270は、第2スリーブ部材72の外周面に第1ボールネジ部71aとは逆方向の螺旋溝状に形成される第2ボールネジ部272eと、第2スリーブ部材72の外周面側に円筒状に形成されセカンダリ可動シーブ63に対して軸方向に移動可能で、かつ、このセカンダリ可動シーブ63と一体回転可能に設けられる第3スリーブ部材276の内周面に第1ボールネジナット部72aとは逆方向の螺旋溝状に形成される第2ボールネジナット部276aと、第2ボールネジ部272eと第2ボールネジナット部276aとの間に設けられるボール277とを有し、セカンダリ可動シーブ63とリダクションドライブギヤ81との相対的な回転に伴って第2スリーブ部材72と第3スリーブ部材276とが相対的に回転することで第3スリーブ部材276が第1スリーブ部材71とは逆方向にセカンダリ可動シーブ63に対して接近又は離間する。
したがって、ボールネジ機構270は、逆駆動状態、被駆動状態において、セカンダリ可動シーブ63とリダクションドライブギヤ81との相対的な回転に伴って第3スリーブ部材276と第2スリーブ部材72とが周方向に相対的に回転することで、ベルト100からセカンダリ可動シーブ63に伝達される回転動力、または、リダクションドライブギヤ81からセカンダリ可動シーブ63に伝達される回転動力を軸方向に沿った軸方向推力に変換し、第3スリーブ部材276がこの軸方向推力に応じてセカンダリ可動シーブ63に接近移動しこのセカンダリ可動シーブ63を押圧することでベルト100に対する挟圧力を発生させることができる。この結果、ボールネジ機構270は、駆動状態、逆駆動状態、被駆動状態などいかなる伝達状態においても、セカンダリ可動シーブ63を押圧することでベルト100に対する挟圧力を発生させることができる。また、例えば、駆動状態から被駆動状態に切り替わる際の第1スリーブ部材71、第3スリーブ部材276の移動量を極めて小さくすることができ、この結果、ショックを軽減することができ耐久性及びドライバビリティを向上することができる。
なお、上述した本発明の実施形態に係るベルト式無段変速機は、上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。
以上のように、本発明に係るベルト式無段変速機は、小型化を図ることができるものであり、種々のベルト式無段変速機に適用して好適である。
本発明の実施形態1に係るベルト式無段変速機を搭載した車両の概略構成図である。 本発明の実施形態1に係るベルト式無段変速機のセカンダリプーリを示す部分断面図である。 本発明の実施形態2に係るベルト式無段変速機のセカンダリプーリを示す部分断面図である。
符号の説明
1、201 ベルト式無段変速機
10 内燃機関(駆動源)
50 プライマリプーリ(プーリ)
51 プライマリプーリ軸(プーリ軸)
52 プライマリ固定シーブ(固定シーブ)
53 プライマリ可動シーブ(可動シーブ)
54 プライマリ油圧室
60、260 セカンダリプーリ(プーリ)
61 セカンダリプーリ軸(プーリ軸)
62 セカンダリ固定シーブ(固定シーブ)
63 セカンダリ可動シーブ(可動シーブ)
64 セカンダリ油圧室(油圧室)
70、270 ボールネジ機構(挟圧力発生手段)
71 第1スリーブ部材
71a 第1ボールネジ部
72 第2スリーブ部材
72a 第1ボールネジナット部
73 ボール
74 中間部材
75 円筒部材
81 リダクションドライブギヤ(出力側部材)
100 ベルト
120 車輪
272e 第2ボールネジ部
276 第3スリーブ部材
276a 第2ボールネジナット部
277 ボール

Claims (3)

  1. プーリ軸と、前記プーリ軸と一体回転する固定シーブと、前記プーリ軸に対して軸方向に移動可能で当該プーリ軸と一体回転可能に支持されている可動シーブとからなる2つのプーリと、
    前記2つのプーリの前記固定シーブと前記可動シーブとの間に巻き掛けられ、駆動源からの動力を入力側の前記プーリから出力側の前記プーリに伝達するベルトと、
    前記プーリ軸の周りに円筒状に形成され前記可動シーブに対して前記軸方向に移動可能で、かつ、当該可動シーブと一体回転可能に設けられる第1スリーブ部材の外周面に螺旋溝状に形成される第1ボールネジ部と、前記第1スリーブ部材の外周面側に円筒状に形成され前記可動シーブに対して相対的に回転可能な出力側部材と一体回転可能に設けられる第2スリーブ部材の内周面に螺旋溝状に形成される第1ボールネジナット部と、前記第1ボールネジ部と前記第1ボールネジナット部との間に設けられるボールとを有し、前記可動シーブと前記出力側部材との相対的な回転に伴って前記第1スリーブ部材と前記第2スリーブ部材とが相対的に回転することで前記第1スリーブ部材が前記可動シーブに対して接近又は離間し前記ベルトに対する挟圧力を発生させる挟圧力発生手段とを備えることを特徴とする、
    ベルト式無段変速機。
  2. 内部に供給される作動油の油圧により前記可動シーブを押圧することで前記ベルトに対する挟圧力を発生すると共に内部に少なくとも前記挟圧力発生手段の一部が設けられる油圧室を備えることを特徴とする、
    請求項1に記載のベルト式無段変速機。
  3. 前記挟圧力発生手段は、前記第2スリーブ部材の外周面に前記第1ボールネジ部とは逆方向の螺旋溝状に形成される第2ボールネジ部と、前記第2スリーブ部材の外周面側に円筒状に形成され前記可動シーブに対して前記軸方向に移動可能で、かつ、当該可動シーブと一体回転可能に設けられる第3スリーブ部材の内周面に前記第1ボールネジナット部とは逆方向の螺旋溝状に形成される第2ボールネジナット部と、前記第2ボールネジ部と前記第2ボールネジナット部との間に設けられるボールとを有し、前記可動シーブと前記出力側部材との相対的な回転に伴って前記第2スリーブ部材と前記第3スリーブ部材とが相対的に回転することで前記第3スリーブ部材が前記第1スリーブ部材とは逆方向に前記可動シーブに対して接近又は離間することを特徴とする、
    請求項1又は請求項2に記載のベルト式無段変速機。
JP2008214130A 2008-08-22 2008-08-22 ベルト式無段変速機 Pending JP2010048364A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008214130A JP2010048364A (ja) 2008-08-22 2008-08-22 ベルト式無段変速機

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008214130A JP2010048364A (ja) 2008-08-22 2008-08-22 ベルト式無段変速機

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2010048364A true JP2010048364A (ja) 2010-03-04

Family

ID=42065609

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008214130A Pending JP2010048364A (ja) 2008-08-22 2008-08-22 ベルト式無段変速機

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2010048364A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4151607B2 (ja) ベルト式無段変速機
JP4379377B2 (ja) ベルト式無段変速機
JP4670904B2 (ja) 無段変速機
US8413546B2 (en) Power transmitting apparatuses
JP2021148272A (ja) 従動プーリ装置
JP2008064125A (ja) ベルト式無段変速機
US20010044349A1 (en) Wound-and-hung transmission device and belt-type continuously variable transmission
JP2009002414A (ja) トルクカム装置およびベルト式無段変速機
JP4840260B2 (ja) ベルト式無段変速機
JP2010048364A (ja) ベルト式無段変速機
JP4618048B2 (ja) ベルト式無段変速機
JP7036944B2 (ja) 車両用の無段変速機
JP4792791B2 (ja) トルクカム装置およびベルト式無段変速機
JP2010071453A (ja) ベルト式無段変速機のプーリ及びベルト式無段変速機
JP4999770B2 (ja) ベルト式無段変速機
JP2009133343A (ja) ベルト式無段変速機
JP2010216613A (ja) 車両用駆動装置
JP2009068653A (ja) ベルトエレメントおよびベルト式無段変速機
JP2006291999A (ja) トルクカム装置およびベルト式無段変速機
JP2009115245A (ja) トロイダル式無段変速機
JP2007298139A (ja) ベルト式無段変速機
JP2010060102A (ja) ベルト式無段変速機のプーリ及びベルト式無段変速機
JP2010007737A (ja) ベルト式無段変速機のプーリ及びベルト式無段変速機
JP2021127808A (ja) クラッチ機構
JP2009191991A (ja) ベルト式無段変速機及びその組付方法