JP2010048087A - 3気筒エンジン - Google Patents
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Abstract
【課題】バランスウエイトや一次バランサシャフト等のバランサ機構を用いることなくエンジン振動をより効果的に抑制できる3気筒エンジンを提供する。
【解決手段】 3気筒エンジン10は、第1ピストン18および第1コンロッド30を含む第1往復部50と第3ピストン22および第3コンロッド34を含む第3往復部54とは重量が互いに等しく、第2ピストン20および第2コンロッド32を含む第2往復部52の重量は第1往復部50および第3往復部54の往復運動によって生じる不釣合い偶力を打ち消すように第2ピストン20を第1ピストン18よりも大径にして第1往復部50の重量よりも大きく設定されていて、第1気筒12および第3気筒16では4サイクル燃焼運転を行い、第2気筒14では2サイクル燃焼運転を行う。
【選択図】図1
【解決手段】 3気筒エンジン10は、第1ピストン18および第1コンロッド30を含む第1往復部50と第3ピストン22および第3コンロッド34を含む第3往復部54とは重量が互いに等しく、第2ピストン20および第2コンロッド32を含む第2往復部52の重量は第1往復部50および第3往復部54の往復運動によって生じる不釣合い偶力を打ち消すように第2ピストン20を第1ピストン18よりも大径にして第1往復部50の重量よりも大きく設定されていて、第1気筒12および第3気筒16では4サイクル燃焼運転を行い、第2気筒14では2サイクル燃焼運転を行う。
【選択図】図1
Description
本発明は、3気筒エンジンに係り、特に、バランスウエイトや一次バランサシャフト等のバランサ機構を設けることなくエンジン振動を抑制できる3気筒エンジンに関する。
従来、直列3気筒エンジンでは、バランスウエイトや一次バランサシャフト等のバランサ機構を用いてエンジン振動を低減することが行われることが多い。
これに対し、特許文献1には、3気筒エンジンにおいて、第2気筒のピストンを第1気筒および第3気筒のピストンに対して180度の位相差をもってクランクシャフトのクランクアーム部に連結すると共に、第2気筒のピストン径を大きくして第2気筒のピストンおよびコンロッドの各重量を、第1気筒および第3気筒のピストンおよびコンロッドの各重量の2倍とすることで、バランサ機構を設けることなくエンジン振動を低減することが提案されている。
しかしながら、上記特許文献1に開示される3気筒エンジンでは、バランサ機構を用いずに低重量化および低コスト化を図りながら4気筒エンジンと同等のバランス状態としているが、3気筒エンジンでは気筒間の爆発間隔が4気筒エンジンのように等間隔ではなく、且つ、第2気筒のピストン径を大きくすることによって気筒間で爆発力にばらつきが生じるため、場合によっては、特にエンジン回転数が低回転域にあるときには、エンジン振動が大きく生じる可能性がある。
本発明の目的は、バランスウエイトや一次バランサシャフト等のバランサ機構を用いることなくエンジン振動をより効果的に抑制できる3気筒エンジンを提供することにある。
本発明の第1態様の3気筒エンジンは、直列に配置された第1、第2および第3気筒を有し、前記気筒内には往復運動する第1、第2および第3ピストンがそれぞれ配置され、前記各ピストンは第1、第2および第3コンロッドを介してクランクシャフトのクランクアーム部にそれぞれ連結され、前記第1ピストンおよび第3ピストンに対応する第1および第3コンロッドの各クランクシャフト側端部は第2ピストンに対応する第2コンロッドのクランクシャフト側端部に対してクランクシャフトの軸方向周りに180度の位相差をもってクランクシャフトに連結されており、第1ピストンおよび第1コンロッドを含む第1往復部と第3ピストンおよび第3コンロッドを含む第3往復部とは重量が互いに等しく、第2ピストンおよび第2コンロッドを含む第2往復部の重量は第1往復部および第3往復部の往復運動によって生じる不釣合い偶力を打ち消すように第2ピストンを第1ピストンよりも大径にして第1往復部の重量よりも大きく設定されている3気筒エンジンであって、第1気筒および第3気筒では4サイクル燃焼運転を行い、第2気筒では2サイクル燃焼運転を行うことを特徴とする。
本発明の第1態様の3気筒エンジンにおいて、第2気筒における爆発力が第1気筒および第3気筒の各爆発力に相当するように、第2気筒の燃焼圧を制御してもよい。ここで、「相当する」とは、完全同一の場合に加えて、略同一または略等しい場合を含むことを意図している(以下に同じ)。
また、本発明の第1態様の3気筒エンジンにおいて、第2気筒における爆発力が第1気筒および第3気筒の各爆発力に相当するように、第2気筒のピストン面積を設定してもよい。
本発明の第2態様の3気筒エンジンは、直列に配置された第1、第2および第3気筒を有し、前記気筒内には往復運動する第1、第2および第3ピストンがそれぞれ配置され、前記各ピストンは第1、第2および第3コンロッドを介してクランクシャフトのクランクアーム部にそれぞれ連結され、前記第1ピストンおよび第3ピストンに対応する第1および第3コンロッドの各クランクシャフト側端部は第2ピストンに対応する第2コンロッドのクランクシャフト側端部に対してクランクシャフトの軸方向周りに180度の位相差をもってクランクシャフトに連結されており、第1ピストンおよび第1コンロッドを含む第1往復部と第3ピストンおよび第3コンロッドを含む第3往復部とは重量が互いに等しく、第2ピストンおよび第2コンロッドを含む第2往復部の重量は第1往復部および第3往復部の往復運動によって生じる不釣合い偶力を打ち消すように第2ピストンを第1ピストンよりも大径にして第1往復部の重量よりも大きく設定されている3気筒エンジンであって、各気筒において2サイクル燃焼運転を行うと共に、第2気筒における爆発力が第1気筒および第3気筒の各爆発力の総和に相当するよう設定されることを特徴とする。
本発明の第2態様の3気筒エンジンにおいて、第2気筒における爆発力が第1気筒および第3気筒の各爆発力の総和に相当するように、第1気筒および第3気筒の各燃焼圧を制御してもよい。
また、本発明の第2態様の3気筒エンジンにおいて、第2気筒における爆発力が第1気筒および第3気筒の各爆発力の総和に相当するように、第1気筒および第3気筒の各ピストン面積を設定してもよい。
さらに、本発明の第1態様および第2態様の3気筒エンジンにおいて、クランクシャフトに回転電機の回転軸を連結し、気筒間の爆発力の相違に基づくクランクシャフトのトルクのばらつきがある場合、爆発力が大きい気筒の爆発時に回転電機で余剰トルクを回収し、爆発力が小さい気筒の爆発時に回転電機で不足トルクを補填してもよい。
本発明に係る3気筒エンジンによれば、第1気筒および第3気筒では4サイクル燃焼運転を行う一方で第2気筒では2サイクル燃焼運転を行うか、または、各気筒において2サイクル燃焼運転を行うことで、爆発間隔を均一にすることができ、エンジン振動の増大を効果的に抑制することができる。
また、所定の気筒について燃焼圧を制御する、または、ピストン面積を適宜に設定することで、クランクシャフトのトルクとして出力される爆発力のばらつきを小さくすることができ、エンジン振動の増大をより効果的に抑制することができる。
以下に、本発明に係る実施の形態について添付図面を参照しながら詳細に説明する。この説明において、具体的な形状、材料、数値、方向等は、本発明の理解を容易にするための例示であって、用途、目的、仕様等にあわせて適宜変更することができる。
図1は、本発明の第1実施形態である3気筒エンジン10の概略構成図である。3気筒エンジン10は、横並びで直列に配置された第1気筒12、第2気筒14、および第3気筒16を有する。各気筒内12,14,16内には、円筒状をなす各気筒の軸方向に摺動しつつ往復運動する第1ピストン18、第2ピストン20、および第3ピストン22が配置されている。
各ピストン18,20,22の下部には、横方向に延伸するピストンピン24,26,28がその両端において固定されている。各ピストンピン24,26,28の中央部には、第1、第2および第3コンロッド30,32,34の一端部が図示しない軸受けを介して回動可能に連結されている。
3気筒エンジン10は、クランクシャフト36をさらに有する。クランクシャフト36は、その両端部において図示しない軸受けによって回転可能に支持されている。また、クランクシャフト36には、各気筒12,14,16に対応して各一対のクランクアーム板38,40,42が固定されている。各一対のクランクアーム板38,40,42は、例えば円盤状の金属板で構成され、その間にはクランクピン44,46,48が横方向に延伸してそれぞれ架設されている。各クランクピン44,46,48には、第1、第2および第3コンロッド30,32,34の他方の端部(クランクシャフト側端部)が図示しない軸受けを介して回転可能に連結されている。
なお、本実施形態では、各々対をなすクランクアーム板38,40,42およびクランクピン44,46,48によって、クランクシャフト36の一部をなすクランクアーム部が構成される。
第1ピストン18および第3ピストン22にそれぞれ対応する第1および第2コンロッド30,34の各クランクシャフト側端部は、第2ピストン20に対応する第2コンロッド32のクランクシャフト側端部に対して、クランクシャフト36の軸方向周りに180度の位相差をもってクランクシャフト36に連結されている。これにより、図1に示すように、第1および第3ピストン18,22が下死点にあるとき第2ピストン20は上死点に位置し、逆に、第1および第3ピストン18,22が上死点にあるとき第2ピストン20は下死点に位置するように構成されている。
また、第1ピストン18、ピストンピン24および第1コンロッド30を含む第1往復部50と第3ピストン22、ピストンピン28および第3コンロッド34を含む第3往復部54とは重量が互いに等しく、第1往復部50と第3往復部54とは同一の形状および大きさの部材にて構成されている。これに対し、第2ピストン20、ピストンピン26および第2コンロッド32を含む第2往復部52の重量は、第1往復部50および第3往復部54の往復運動によって生じる不釣合い偶力を打ち消すように、第2ピストン20を第1ピストン18よりも大径にして第1往復部50の重量よりも大きく、具体的には2倍になるよう設定されている。クランクシャフト36の回転により生じる慣性偶力が釣り合うように、第2気筒14に対応するクランクピン46の重量は、第1気筒および第3気筒12,16に対応するクランクピン44,48の各重量の2倍に設定されている。
ここで、第2ピストン20の重量が第1および第3ピストン18,22の各重量の2倍としたとき、一般的に第2ピストン20は第1および第3ピストン18,22の約1.6倍(≒22/3)のピストン面積を有するので、混合気圧縮時の気筒内圧同一ならば、第2気筒14の爆発力は第1および第3気筒12,16の各爆発力の約1.6倍となる。このような爆発力の相違又はばらつきは、特にエンジン回転数が低回転域にあるときにエンジン振動を増大させる原因となり易いので、気筒間の爆発力を略等しくするには、第2気筒14における燃焼圧を第1気筒12および第3気筒16の燃焼圧に対して約1/1.6倍となるよう圧縮時の気筒内圧や混合気の空燃比等を制御するのが好ましい。逆に、気筒間の爆発力を略等しくするために、気筒内圧や空燃比等を同一にする一方、重量比を2倍としたままで第2ピストン20のピストン面積が第1および第3ピストン18,22の各ピストン面積の約1/1.6倍となるよう設定してもよい。
第1気筒12および第3気筒16の各上部には、上下動制御されることにより吸気ポート56を開閉する吸気バルブ58、および、上下動制御されることにより排気ポート60を開閉する排気バルブ62が設けられている。また、各気筒12−16の上部には、点火プラグ64がそれぞれ設けられている。
第2気筒14の下部は、クランクケース部材66で覆われており、第2気筒14に対応するクランクアーム部を内部に収容した気密状態のクランク室68となっている。また、クランクケース部材66の壁面には、燃料と空気の混合気をクランク室68内に供給するための混合気供給ポート70が開口形成されている。さらに、第2気筒14を構成するシリンダ側壁には、図示しないバイパス流路を介してクランク室68に連通する吸気ポート72と、該吸気ポート72に略対向する位置であって吸気ポート72よりも大きい開口からなる排気ポート74が形成されている。
このように構成される第2気筒14において、混合気供給ポート70からクランク室68内に供給されて第2ピストン20の下降動作時に圧縮される混合気は、上記バイパス流路を介して、第2ピストン20の下降で閉鎖状態から解放された吸気ポート72から第2気筒14内に吸入される。また、排気ポート74は吸気ポート72よりも大きく形成されていることで第2ピストン20の下降時に吸気ポート72によりも若干早いタイミングで閉鎖状態から解放されることで、先の燃焼(爆発)で発生した燃焼ガスを排気ポート74から排気することができる。これにより、第2気筒14では、クランクシャフト36の1回転中に、すなわち第2ピストン20の1回の往復動作で、掃気・吸入、圧縮、爆発、排気の各工程が実行される2サイクル燃焼運転が可能になっている。
これに対し、第1気筒12および第3気筒16では、クランクシャフト36の2回転中に、すなわち第1ピストン18および第3ピストン22の各々2回の往復動作で、吸気バルブ58によっての吸気ポート56の開放による混合気の吸入、ピストン18,22の上昇による気筒内の混合気の圧縮、点火プラグ64の作動による爆発、および排気バルブ62によって排気ポート56が開放された状態でピストン18,22が再度上昇することによる燃焼ガスの排気、の各工程が実行される4サイクル燃焼運転が可能になっている。
続いて、上記構成からなる3気筒エンジン10の動作について図2を参照して説明する。図2(図3,5,6,8においても同じ)は、クランクアングルすなわちクランクシャフト36の回転角度と各気筒の爆発力との関係を示し、第1気筒12が♯1、第2気筒14が♯2、第3気筒が♯3としてそれぞれ示されている。
上記特許文献1の3気筒エンジンの各気筒において通常に4サイクル燃料運転を行うと、図2(a)に示すように、第1気筒、第2気筒、第3気筒の順で180度間隔で爆発が発生し、720度(すなわちクランクシャフト2回転)で1サイクルの燃焼動作が行われる。この場合、次のサイクルにおける第1気筒の爆発は、先のサイクルにおける第3気筒の爆発から360度後になることから、上記特許文献1の3気筒エンジンでは爆発間隔が均一でないためにエンジン振動が大きく生じる可能性がある。また、第2ピストンが第1および第3ピストンよりも大きく形成されていることで、第2気筒の爆発力が第1気筒および第3気筒の各爆発力よりも大きくなる。このような気筒間における爆発力の相違もまた、エンジン振動を大きくする原因になり得る。
これに対し、本実施形態における3気筒エンジン10によれば、図2(b)に示すように、第1気筒12および第3気筒16では4サイクル燃焼運転を行い、第2気筒14で2サイクル燃焼運転を行う。これにより、各サイクルの最初または最後で第2気筒14での爆発を生じさせることで、爆発間隔を90度で均一にすることができ、3気筒エンジンの振動増大を効果的に抑制することができる。
また、図2(c)に示すように、第2気筒14における燃焼圧を第1気筒12および第3気筒16の燃焼圧に対して約1/1.6倍となるよう吸気時または圧縮時の気筒内圧や混合気の空燃比等を制御して、各気筒12−16間の爆発力を略等しくすれば、爆発力のばらつきも解消されることによってエンジン振動の増大をより効果的に抑制することができる。このような各気筒間における爆発力の均一化は、エンジン回転数が低回転域にあるときのエンジン振動抑制に特に有効である。
なお、上記においては、第2気筒14の燃焼圧を比較的小さく制御することで各気筒間における爆発力を均一にするものとしたが、これに代えて、図3に示すように、重量比を2倍としたままで第2ピストン20のピストン面積を減少(例えば約1/1.6倍)させて、爆発力の均一化を実現してもよい。この場合、第2ピストン20の面積減少分に応じて第1ピストン18および第2ピストン22の各ピストン面積を若干増大させることによって、同じエンジン寸法でより大きなトルク出力が可能になる。
次に、本発明の第2実施形態の3気筒エンジン11について図4を参照して説明するが、ここでは上記第1実施形態の3気筒エンジン10と異なる構成について説明することとし、同一構成には同一符号を付して重複することなる再度の説明を省略する。
本実施形態の3気筒エンジン11では、第2気筒14だけでなく第1気筒12および第3気筒16を含む全ての気筒12−16において2サイクル燃焼運転が行われるように構成されている。具体的には、各気筒12−16の下部は、クランクケース部材76によって覆われている。クランクケース部材76の内部は、各気筒に対応する第1クランク室67、第2クランク室68および第3クランク室69に気密状態でそれぞれ区画されており、各クランク室67,68,69内に各気筒に対応するクランクアーム部が収容されている。
第2気筒14については、上記3気筒エンジン10と全く同様である。第1クランク室67および第3クランク室69の壁面には、燃料と空気の混合気をクランク室内に供給するための混合気供給ポート78,80がそれぞれ開口形成されている。また、第1気筒12および第3気筒16の各シリンダ側壁には、図示しないバイパス流路を介して第1クランク室67および第3クランク室69にそれぞれ連通する吸気ポート82,84と、該吸気ポート82,84に略対向する位置であって吸気ポート82,84よりも大きい開口からなる排気ポート86,88がそれぞれ形成されている。なお、第1気筒12は第2気筒14に比べて気筒内容積が小さいことから、第1気筒12の吸気ポート82および排気ポート86は、第2気筒14の吸気ポート72および排気ポート74との比較においてそれぞれ小さな開口として形成されており、この点については第3気筒16の吸気ポート84および排気ポート88についても同様である。
上記のように第1気筒12および第3気筒16が構成されることで、上記3気筒エンジン10の第2気筒14について説明したのと同様に、クランクシャフト36の1回転中に、すなわち第1ピストン18および第3ピストン22の1回の往復動作で、掃気・吸入、圧縮、爆発、排気の各工程が実行される2サイクル燃焼運転がそれぞれ可能になっている。
なお、本実施形態では、第1気筒12および第3気筒16も2サイクル燃焼運転仕様としているため、図1に示される気筒上部の吸気・排気ポート56,60や吸気・排気バルブ58,62を省略している。ただし、これら吸気・排気ポート56,60および吸気・排気バルブ58,62も併設して、第1気筒12および第3気筒16においては4サイクル燃焼運転と2サイクル燃焼運転とを選択的に実行できるようにすれば、上記第1実施形態の3気筒エンジン10としても使用可能になる。
続いて、本実施形態の3気筒エンジン11の動作について図5を参照して説明する。図5は、クランクアングルすなわちクランクシャフト36の回転角度と各気筒の爆発力との関係を示し、同図(a)は図2と同様に上記特許文献1の3気筒エンジンに関するものであり、同図(b)、(c)は本実施形態の3気筒エンジン11に関するものである。
上述したように上記特許文献1の3気筒エンジンでは、図5(a)に示すように、爆発間隔および爆発力について気筒間で均一ではない。
これに対し、本実施形態の3気筒エンジン11では、図5(b)に示すように、すべての気筒12,14,16において2サイクル燃焼運転を行うと共に、第1気筒12と第3気筒16とで同時爆発させることにより、爆発間隔を90度で均一にすることができ、エンジン振動の増大を効果的に抑制することができる。
また、図5(c)に示すように、同時爆発させる第1気筒12および第3気筒16の各燃焼圧を第2気筒14の燃焼圧に対して約1.6/2倍となるよう吸気時または圧縮時の気筒内圧や混合気の空燃比等を制御して、第2気筒14における爆発力が第1気筒12および第3気筒16の各爆発力の総和に略等しくすることで、爆発力のばらつきも解消されることによってエンジン振動の増大をより効果的に抑制することができる。このような爆発力の均一化は、エンジン回転数が低回転域にあるときのエンジン振動抑制に特に有効である。
なお、上記においては、第1気筒12および第3気筒16の燃焼圧を比較的小さく制御することで爆発力を均一にするものとしたが、これに代えて、図6に示すように、重量比2倍の関係を満たしつつ第1ピストン18および第3ピストン22の各ピストン面積を減少させて、爆発力の均一化を実現してもよい。この場合、第1ピストン18および第3ピストン22の面積減少分に応じて第2ピストン20のピストン面積を若干増大させることにより、同じエンジン寸法でより大きなトルク出力が可能になる。
次に、図7を参照して第3実施形態の3気筒エンジン90について説明する。本実施形態の3気筒エンジン90には、上記3気筒エンジン10、11のいずれかを用いてもよいが、ここでは上記3気筒エンジン10を用いた場合を例に説明する。3気筒エンジン90の各気筒12,14,16には、各気筒12−16における燃焼圧を検出するための燃焼圧力センサ92がそれぞれ設けられている。
3気筒エンジン90の作動は、エンジンECU(Electronic Control Unit)94によって制御される。エンジンECU94には、3気筒エンジン90から運転状態に関する回転数、トルク、燃焼圧等の情報が入力されるようになっている。
また、3気筒エンジン90から外部に延伸するクランクシャフト36は、動力分配統合機構96に連結されている。動力分配統合機構96には、モータ(回転電機)98の回転軸100もまた連結されている。
動力分配統合機構96は、例えば遊星歯車機構で構成されることができ、3気筒エンジン90のクランクシャフト36により入力されるエンジン出力と、モータ98の回転軸100により入力されるモータ出力とを統合して、出力軸102から例えば車輪等の駆動対象物に伝達することができる。また、動力分配統合機構96は、クランクシャフト36により入力されるエンジン出力の一部をモータ回転軸100へ分配して、モータ98を回生作動させることもできる。
モータ98は、バッテリ104から供給される直流電圧を電圧変換器106で交流変換した交流電圧が印加されることで駆動される交流モータである。電圧変換器106は、モータECUから入力されるスイッチング信号を受けて、内部に含む複数のスイッチング素子がオン・オフ制御されることによって、直流電圧および交流電圧の相互間での変換機能を有する。
上記のようにモータ98が発電機として機能する回生作動状態のとき、モータ98から出力される交流電圧を電圧変換器106で直流電圧に変換した後、バッテリ104に充電されるようになっている。
エンジンECU94およびモータECU108は、メインECU110に電気的に接続されている。メインECU110は、各ECU94,108を介して3気筒エンジン90およびモータ98の各作動を統括制御する機能を有する。
続いて、本実施形態における3気筒エンジン90の動作および制御について図8を参照して説明する。3気筒エンジン90は、図8(a)(図3(b)と同じ)に示すように、第1気筒12および第3気筒16では4サイクル燃焼運転する一方で、第2気筒14では2サイクル燃焼運転することにより爆発間隔を90度で均一にするとともに、第2ピストン20のピストン面積を比較的小さく設定することで爆発力の均一化も図っている。
しかし、第2気筒14は気筒内容量が他の気筒12,16と異なること、及び、2サイクル燃焼運転であることから、3気筒エンジン90の回転数やトルク等の運転状態を変化させたときに、図8(b)に示すように第2気筒14での爆発力が大きくなって爆発力が気筒間で不均一になる可能性がある。
このような状態になったとき、爆発力の差に応じてクランクシャフト36から出力されるエンジントルクにもばらつきまたは変動が生じることになる。そこで、メインECU110は、気筒間の爆発力の相違に基づくクランクシャフト36のトルクにばらつきがある場合、爆発力が比較的大きい第2気筒14の爆発時にエンジントルクの一部を余剰トルクとしてモータ98で回収し、爆発力が比較的小さい第1および第3気筒の各爆発時にモータ98でエンジントルクについて不足トルクを補填するよう制御する。
メインECU110は、燃焼圧力センサ92による検出結果から算出される各気筒12−16の爆発力の差に基づいて、上記余剰トルクおよび不足トルクをテーブルやマップ等を参照して求める。そして、メインECU110は、余剰トルクの回収時にはモータ98を回生作動させて発電した電力をバッテリ104に充電し、一方、不足トルクの補填時にはバッテリ104からの電力供給を受けてモータ98を力行作動させ、モータトルクを回転軸100に出力するように、モータECU108を介してモータ98を制御する。このとき、メインECU110は、バッテリ104の電力収支が均衡するようにモータ98を制御するのが好ましい。
なお、上記においては、各気筒12−16におけるピストン面積を適切に設定することで各気筒間で爆発力を均一にした状態の下で発生するエンジントルク変動を補償するものとして説明したが、ピストン面積を理想的な状態にすることが不可能な場合に各気筒間で生じる爆発力の相違に基づくエンジントルク変動を上記と同様の方法によって補償するようにしてもよい。
10,11,90 3気筒エンジン、12 第1気筒、14 第2気筒、16 第3気筒、18 第1ピストン、20 第2ピストン、22 第3ピストン、30 第1コンロッド、32 第2コンロッド、34 第3コンロッド、36 クランクシャフト、38,40,42 クランクアーム板、44,46,48 クランクピン、50 第1往復部、52 第2往復部、54 第3往復部、56 吸気ポート、58 吸気バルブ、60 排気ポート、62 排気バルブ、64 点火プラグ、66 クランクケース部材、67 第1クランク室、68 第2クランク室(クランク室)、69 第3クランク室、70 混合気供給ポート、72 吸気ポート、74 排気ポート、76 クランクケース部材、78,80 混合気供給ポート、82,84 吸気ポート、86,88 排気ポート、92 燃焼圧力センサ、94 エンジンECU、96 動力分配統合機構、98 モータ(回転電機)、100 回転軸、102 出力軸、104 バッテリ、106 電圧変換器、108 モータECU、110 メインECU。
Claims (7)
- 直列に配置された第1、第2および第3気筒を有し、前記気筒内には往復運動する第1、第2および第3ピストンがそれぞれ配置され、前記各ピストンは第1、第2および第3コンロッドを介してクランクシャフトのクランクアーム部にそれぞれ連結され、前記第1ピストンおよび第3ピストンに対応する第1および第3コンロッドの各クランクシャフト側端部は第2ピストンに対応する第2コンロッドのクランクシャフト側端部に対してクランクシャフトの軸方向周りに180度の位相差をもってクランクシャフトに連結されており、第1ピストンおよび第1コンロッドを含む第1往復部と第3ピストンおよび第3コンロッドを含む第3往復部とは重量が互いに等しく、第2ピストンおよび第2コンロッドを含む第2往復部の重量は第1往復部および第3往復部の往復運動によって生じる不釣合い偶力を打ち消すように第2ピストンを第1ピストンよりも大径にして第1往復部の重量よりも大きく設定されている3気筒エンジンであって、
第1気筒および第3気筒では4サイクル燃焼運転を行い、第2気筒では2サイクル燃焼運転を行うことを特徴とする3気筒エンジン。 - 請求項1に記載の3気筒エンジンにおいて、
第2気筒における爆発力が第1気筒および第3気筒の各爆発力に相当するように、第2気筒の燃焼圧を制御することを特徴とする3気筒エンジン。 - 請求項1に記載の3気筒エンジンにおいて、
第2気筒における爆発力が第1気筒および第3気筒の各爆発力に相当するように、第2気筒のピストン面積を設定することを特徴とする3気筒エンジン。 - 直列に配置された第1、第2および第3気筒を有し、前記気筒内には往復運動する第1、第2および第3ピストンがそれぞれ配置され、前記各ピストンは第1、第2および第3コンロッドを介してクランクシャフトのクランクアーム部にそれぞれ連結され、前記第1ピストンおよび第3ピストンに対応する第1および第3コンロッドの各クランクシャフト側端部は第2ピストンに対応する第2コンロッドのクランクシャフト側端部に対してクランクシャフトの軸方向周りに180度の位相差をもってクランクシャフトに連結されており、第1ピストンおよび第1コンロッドを含む第1往復部と第3ピストンおよび第3コンロッドを含む第3往復部とは重量が互いに等しく、第2ピストンおよび第2コンロッドを含む第2往復部の重量は第1往復部および第3往復部の往復運動によって生じる不釣合い偶力を打ち消すように第2ピストンを第1ピストンよりも大径にして第1往復部の重量よりも大きく設定されている3気筒エンジンであって、
各気筒において2サイクル燃焼運転を行うと共に、第2気筒における爆発力が第1気筒および第3気筒の各爆発力の総和に相当するよう設定されることを特徴とする3気筒エンジン。 - 請求項4に記載の3気筒エンジンにおいて、
第2気筒における爆発力が第1気筒および第3気筒の各爆発力の総和に相当するように、第1気筒および第3気筒の各燃焼圧を制御することを特徴とする3気筒エンジン。 - 請求項4に記載の3気筒エンジンにおいて、
第2気筒における爆発力が第1気筒および第3気筒の各爆発力の総和に相当するように、第1気筒および第3気筒の各ピストン面積を設定することを特徴とする3気筒エンジン。 - 請求項1ないし6のいずれか1項に記載の3気筒エンジンにおいて、
クランクシャフトに回転電機の回転軸を連結し、気筒間の爆発力の相違に基づくクランクシャフトのトルクのばらつきがある場合、爆発力が大きい気筒の爆発時に回転電機で余剰トルクを回収し、爆発力が小さい気筒の爆発時に回転電機で不足トルクを補填することを特徴とする3気筒エンジン。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008210308A JP2010048087A (ja) | 2008-08-19 | 2008-08-19 | 3気筒エンジン |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2008210308A JP2010048087A (ja) | 2008-08-19 | 2008-08-19 | 3気筒エンジン |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2010048087A true JP2010048087A (ja) | 2010-03-04 |
Family
ID=42065370
Family Applications (1)
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---|---|---|---|
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JP (1) | JP2010048087A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2016037881A (ja) * | 2014-08-06 | 2016-03-22 | 本田技研工業株式会社 | 3気筒エンジン |
US10267221B2 (en) | 2015-09-11 | 2019-04-23 | Hyundai Motor Company | Combined-cycle combustion control type three-cylinder engine and method for controlling the same |
-
2008
- 2008-08-19 JP JP2008210308A patent/JP2010048087A/ja active Pending
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JP2016037881A (ja) * | 2014-08-06 | 2016-03-22 | 本田技研工業株式会社 | 3気筒エンジン |
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