JP2010047269A - 揮発性液体容器の密封シール材および密封シール方法 - Google Patents

揮発性液体容器の密封シール材および密封シール方法 Download PDF

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Abstract

【課題】揮発液体容器の密封を、密封性を犠牲にすることなく、従来に比べてより少ないスペースで、簡易、かつ安価に実現することのできる揮発性液体容器の密封シール材および密封シール方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る揮発性液体容器の密封シール材は、揮発性液体容器の供給口を覆う形状および寸法に形成された弾性板部材と、該弾性板部材をその片面に固着状態で支持する帯状フィルムとを有してなり、前記帯状フィルムが自分自身または前記揮発性液体容器に接着可能であることを特徴とする。
【選択図】 図15

Description

本発明は、揮発性液体が貯蔵された容器を密封シールするために好適な密封シール材および該密封シール材を用いた揮発性液体容器の密封シール方法に関するものである。
プリンタの交換用インク容器などの揮発性の液体を収容する容器には、使用時に外部に収容液体を供給するための供給口が設けられており、使用に供するまでは、上記供給口を密封しておく必要がある。
上記揮発性液体容器の供給口は、使用時に供給先の装置の液体流路に連結される関係から、供給口に複雑な閉栓構造を具備することができず、幾分外部に突出した突口構造に形成されている。このような供給口を持つ揮発性液体容器の密封には、従来、密封用のキャップが用いられている。
上記密封用キャップは、例えば、プリンタの交換用インク容器の密封に使用されるものでは、通常、揮発性液体容器の供給口に直接当接される弾性部材と、この弾性部材を保持するキャップ本体とから構成されている。キャップ本体は、熱可塑性樹脂を用いた成型品などの剛体から構成されており、揮発性容器の供給口へ嵌合するための係合手段を有している(特許文献1)。
前記密封用キャップを用いた供給口の密封は、次のようにして実現されている。すなわち、前記弾性部材を供給口に当接させ、キャップ本体の係合手段を供給口の係合手段に係合させることにより、前記弾性部材を前記供給口に圧接させ、続いて前記キャップ本体の一部を容器に溶着させることにより、前記弾性部材の圧接状態を維持している。
通常、上記キャップ本体は、取っ手形状に形成されており、その取っ手部分を揮発性容器に対して回動させることにより、上記溶着部を剪断するとともに、キャップの供給口に対する係合を解除し、その結果、密封用キャップの取り外し、すなわち、揮発性液体容器の開封が行われるようになっている。
特開平10−291326号公報
上記従来技術によると、まず、弾性部材は開口部全面を覆う必要があることから、キャップ本体の内側のほぼ全面に弾性部材を取り付ける必要があること、次に、キャップ本体の取り外しのために、キャップの形状を細長い取っ手形状にすることが必要なことがあり、これらから、弾性部材およびキャップ本体の形成に必要な樹脂の使用量が多くならざるを得ない。また、密封用キャップは、成形した弾性部材を別途成形したキャップ本体にはめ込んで得る場合と、弾性部材用の樹脂材料と、キャップ本体用の樹脂材料の2種類の材料を、2色成形による特殊な設備を用いて、同時に成形することにより得る場合とが可能であるが、どちらの場合であっても、製造工程が複雑にならざるを得ない。
上述のように、揮発性液体容器の密封シールに関する従来の技術では、密封用キャップが用いられており、この密封用キャップの成形に必要な樹脂材料が比較的多く必要であり、また、その形成工程も比較的複雑であるという問題点がある。密封用キャップは、密封解除後には廃棄処分されるので、省資源化の観点から好ましくない。また、使用樹脂量が多いということは、密封用キャップの占有容積も比較的大きいということであり、揮発性容器のストック容積、搬送時の占有容積が増大することにもつながり、好ましくない。さらに、製造工程の簡略化ができにくく、コスト低減のネックともなり、好ましくない。
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであって、その課題は、揮発液体容器の密封を、密封性を犠牲にすることなく、従来に比べてより少ないスペースで、簡易、かつ安価に実現することのできる揮発性液体容器の密封シール材および密封シール方法を提供することにある。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る揮発性液体容器の密封シール材は、揮発性液体容器の供給口を覆う形状および寸法に形成された弾性板部材と、該弾性板部材をその片面に固着状態で支持する帯状フィルムとを有してなり、前記帯状フィルムが自分自身または前記揮発性液体容器に接着可能であることを特徴とする。
前記構成において、前記帯状フィルムは、所定の張力負荷条件下の応力緩和が1%以下である単層または多層フィルムから構成されていてもよい。さらに、該帯状フィルムは、ガスバリヤー性を有していてもよい。
なお、ここでいう所定の張力負荷条件下とは、前記弾性板部材が前記供給口に確実に密着させるために必要な帯状フィルムの張力負荷であり、0.05〜1.0MPaの範囲が望ましい範囲である。
また、前記構成において、前記弾性板部材は、エラストマーからなり、該弾性材の前記帯状フィルムの片面への固着が該弾性板部材の射出成型と同時に行われたものであってもよい。
本発明の揮発性液体容器の密封シール材は、前記揮発性液体容器が、プラスチック、金属、およびセラミックから選ばれる一種から構成されているいずれの場合にも適用することができる。
前記構成において、前記弾性板部材が円板状に形成され、その径寸法が前記供給口の外径寸法より大きく設定されていてもよい。
前記構成において、前記弾性板部材がリング状に形成され、その内径寸法が前記供給口の外径寸法と同寸法以下に設定されるとともに、その外径寸法が前記供給口の外径寸法より大きく設定されていてもよい。
前記構成において、前記弾性板部材が、リング状の外壁部と、この外壁部の内側底部に前記外壁部に連続して形成されている底部とからなる断面凹状に形成され、前記外壁部の内径寸法が前記供給口の外径寸法と同寸法以下に設定されるとともに、該外壁部の外径寸法が前記供給口の外径寸法より大きく設定されていてもよい。
前記構成において、前記弾性板部材が、円板状の中央部と、該中央部の外縁に一体に形成され、該中央部の厚みより厚みの薄い外縁部とからなる断面凸状に形成され、前記中央部の外径寸法が前記供給口の内径寸法と同寸法以上に設定されるとともに、前記外縁部の外径寸法が前記供給口の外径寸法より大きく設定されていてもよい。
本発明の揮発性液体容器の密封シール方法は、前記いずれかの揮発性液体容器の密封シール材を用いた、揮発性液体容器の密封シール方法であって、
前記弾性板部材を揮発性液体容器の供給口に該供給口を覆うように当接させた後、前記帯状フィルムを前記揮発性液体容器の全側面に沿って掛け回し、該帯状フィルムに所定の張力を負荷させた状態で、前記帯状フィルムの両端同士を接着することを特徴とする。
本発明の揮発性液体容器の密封シール方法の他の構成は、前記いずれかの揮発性液体容器の密封シール材を用いた、揮発性液体容器の密封シール方法であって、
前記弾性板部材を揮発性液体容器の供給口に該供給口を覆うように当接させた後、前記帯状フィルムに所定の張力を負荷させた状態で、前記帯状フィルムの両端を前記揮発性液体容器の外壁面に接着することを特徴とする。
なお、ここでいう所定の張力とは、前記弾性板部材が前記供給口に確実に密着させるために必要な帯状フィルムの張力であり、0.05〜1.0MPaの範囲が望ましい範囲である。
本発明に係る揮発性液体容器の密封シール材は、揮発性液体容器の供給口を覆う形状および寸法に形成された弾性板部材と、該弾性板部材をその片面に固着状態で支持する帯状フィルムとを有してなる簡易な構成であり、製造に使用する資材量が少なくて済み、しかも製造容易であり、大量生産が可能である。そして、本発明に係る揮発性液体容器の密封シール材は、弾性板部材を揮発性液体容器の供給口に該供給口を覆うように当接させた後、帯状フィルムに所定の張力をかけた状態で、帯状フィルムの両端同士を接着させるか、帯状フィルムの両端を揮発性液体容器の外壁面に接着させるという簡易な方法により、揮発性液体容器を高い密封性を持って密封シールすることができる。
したがって、本発明によれば、各種揮発性液体容器の密封シールを、密封性を犠牲にすることなく、安価に行うことができる。
以下に、本発明にかかる揮発性液体容器の密封シール材および密封シール方法を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に示す実施の形態は、本発明を説明するための好適な例示であって、なんら本発明を限定するものではない。
まず、本発明の密封シール材および密封シール方法を適用する揮発性液体容器について説明する。
対象とする揮発性液体容器は、従来慣用の揮発性液体容器のいずれでもよい。従来慣用の揮発性液体容器としては、例えば、インクジェットプリンタ用のインクタンクなどを挙げることができる。従来慣用の揮発性液体容器は、剛性を有する容器であり、熱可塑性プラスチックなどのプラスチック;ステンレス、アルミニウムなどの金属;セラミックなどが用いられている。
なお、本発明の密封シール材の帯状フィルムを揮発性液体容器の外壁部に溶着などにより接着する場合では、揮発性液体容器の外壁部分を表面処理することも考えられる。例えば、揮発性液体容器の外壁部分を粗面加工して、外壁部分の表面に0.1〜数百μmぐらいの凹凸を形成することにより、接着に対するアンカー効果を高めることができる。
(帯状フィルム)
本発明の密封シール材を構成する帯状フィルムに用いることのできるフィルムとしては、PP(ポリプロピレン)フィルム、PE(ポリエチレン)フィルム、ナイロンフィルム、PVA(ポリビニルアルコール)フィルム、PET(ポリエステル)フィルム、(エチレン・ビニルアルコール共重合体)フィルムの各単独フィルム、およびこれらの組み合わせ積層フィルムを挙げることができる。
フィルムの厚さとしては、省資源化、省スペース化を考慮した場合、可能な限り薄い方がよいが、弾性板部材による密封性を確保するために、室温下で、所定の張力範囲を所定時間維持した状態での応力緩和が1%未満となる範囲内で、設定することが好ましい。
上記所定の張力範囲とは、具体的には、0.05〜1.0 MPaの範囲である。また、上記所定時間の範囲とは168〜336時間の範囲である。これらの条件を満足させることができれば、本発明に係る密封シール材による揮発性液体容器の密封を、経時的に低減を来すことなく、確実とすることができる。
(弾性板部材)
本発明の密封シール材を構成する弾性板部材の材料としては、射出成型、トランスファー成形による成形が可能で、ゴム状弾性特性の有する材料であることが好ましい。例えば、オレフィン系、スチレン系、ポリウレタン系、ポリアミド系、ポリエステル系の各熱可塑性エラストマーを挙げることができる。
その他として、2液硬化型シリコンゴムを使用することができる。この2液硬化型シリコンゴムを用いた成型方法としては、射出成型方法を用いることができる。
以下、弾性板部材の形状および寸法が異なる実施形態について、図1〜8を参照して説明する。
(第1の実施形態)
第1の実施形態の密封シール材は、図1および図2に示すように、弾性板部材1が円板状に形成され、帯状フィルム2の片面に固着されている。弾性板部材1は、上述の材料を用いて円板状に成形することにより得られる。成型方法としては、射出成型方法が好ましく用いることができる。特にトランスファー成型法を用いることにより、成形と同時に帯状フィルム2の片面に固着させることができる。
弾性板部材1の厚みとしては、0.05〜0.50cmが好ましい範囲である。0.05cm以下であると、密封に必要な弾性応力を得ることができず、0.5cm以上となると、取り扱いにくくなり、揮発性液体容器の供給口への固定も不安定になりやすくなる。
(第2の実施形態)
第2の実施形態の密封シール材は、図3および図4に示すように、弾性板部材3がリング状に形成され、帯状フィルム2の片面に固着されている。弾性板部材3は、上記弾性板部材1と同様の材料を用いてリング状に成形することにより得られる。成型方法としては、同様に、射出成型方法が好ましく用いることができる。特にトランスファー成型法を用いることにより、成形と同時に帯状フィルム2の片面に固着させることができる。
後に詳しく説明するように、第2の実施形態の密封シール材は、弾性板部材3を揮発性液体容器の供給口に外嵌させるように、供給口に取り付ける。したがって、リング状弾性板部材3の内径は、揮発性液体容器の供給口の外径寸法と同じか、幾分小さく設定することが望ましい。また、弾性板部材3の帯状フィルムの片面に対して垂直方向の厚みとしては、上記弾性板部材1と同様に、0.05〜0.5cmが好ましい範囲である。また、リング状弾性板部材3の壁部の厚みとしては、0.05〜0.5cmが好ましい範囲である。壁部の厚みが、0.05cm以下であると、密封に必要な弾性応力を得ることができず、0.5cm以上となると、取り扱いにくくなり、占有スペースも大きくなる。
(第3の実施形態)
第3の実施形態の密封シール材は、図5および図6に示すように、弾性板部材4が、リング状の外壁部4aと、この外壁部4aの内側底部に前記外壁部4aに連続して形成されている底部4bとからなる断面凹状に形成され、帯状フィルム2の片面に固着されている。弾性板部材4は、上記弾性板部材1と同様の材料を用いて上記断面凹状に成形することにより得られる。成型方法としては、同様に、射出成型方法が好ましく用いることができる。特にトランスファー成型法を用いることにより、成形と同時に帯状フィルム2の片面に固着させることができる。
後に詳しく説明するように、第3の実施形態の密封シール材は、弾性板部材4の外壁部4aを揮発性液体容器の供給口に外嵌させるように、供給口に取り付ける。したがって、リング状弾性板部材4の外壁部4aの内径は、揮発性液体容器の供給口の外径寸法と同じか、幾分小さく設定することが望ましい。また、弾性板部材4の外壁部4aの帯状フィルムの片面に対して垂直方向の厚みとしては、上記弾性板部材1と同様に、0.05〜0.5cmが好ましい範囲である。また、リング状弾性板部材4の外壁部4aの壁部の厚みとしては、0.05〜0.5cmが好ましい範囲である。壁部の厚みが、0.05cm以下であると、密封に必要な弾性応力を得ることができず、0.5cm以上となると、取り扱いにくくなり、占有スペースも大きくなる。また、底部4bの厚みとしては、0.05cm以上が好ましく、上限値は、上記外壁部4aの帯状フィルムの片面に対して垂直方向の厚み未満の値である。
(第4の実施形態)
第4の実施形態の密封シール材は、図7および図8に示すように、弾性板部材5が、円板状の中央部5bと、該中央部5bの外縁に一体に形成され、該中央部5bの厚みより厚みの薄い外縁部5aとからなる断面凸状に形成され、帯状フィルム2の片面に固着されている。弾性板部材5は、上記弾性板部材1と同様の材料を用いて上記断面凸状に成形することにより得られる。成型方法としては、同様に、射出成型方法が好ましく用いることができる。特にトランスファー成型法を用いることにより、成形と同時に帯状フィルム2の片面に固着させることができる。
後に詳しく説明するように、第4の実施形態の密封シール材は、弾性板部材5の中央部5bを揮発性液体容器の供給口の内側に嵌め込むように、供給口に取り付ける。したがって、弾性板部材5の中央部5bの外径は、揮発性液体容器の供給口の内径寸法と同じか、幾分大きく設定することが望ましい。また、弾性板部材5の外縁部5aの帯状フィルムの片面に対して垂直方向の厚みとしては、0.05〜0.5cmが好ましい範囲である。また、リング状弾性板部材5の中央部5bの厚みは、揮発性液体容器の供給口の深さ寸法に応じて変動するが、上記外縁部5aの厚みよりも少なくとも0.05cm厚くすることが最も厚くした場合でも、揮発性液体容器の供給口の深さ寸法未満であることが好ましい。
(密封シール方法)
次に、本発明に係る密封シール材による揮発性液体容器の密封シール方法を図を参照して説明する。
図9に示す典型的な揮発性液体容器10を密封シール対象として説明する。揮発性液体容器10の一側面にインクを外部に供給するための供給口11が形成されており、内部には、例えば、インクなどの揮発性液体が満たされた含浸材12が収納されている。
上記供給口11は、図10に示すように、通常、外方に幾分突出されており、突口部11aを有している。
図11は、前記第1の実施形態の密封シール材を用いた供給口11の密封状態を示している。円板状の弾性板部材1は、外径寸法が前記突口部11aの外径寸法より大きく形成されているので、突口部11aを覆うように当接させることができる。この状態で、帯状フィルム2に所定の張力を掛けることにより、弾性板部材1を突口部11aに完全に密着させることができる。この状態で、帯状フィルム2を揮発性液体容器10の外側壁に沿って掛け回し、帯状フィルム2の両端を重ね合わせ、張力を維持した状態で、超音波溶着法による溶着によって互いに接着するか、あるいは揮発性液体容器10が樹脂材料から構成されている場合は、帯状フィルム2の両端を揮発性液体容器10の側壁に溶着する。帯状フィルム2は、張力が0.05〜1.0MPaの範囲内で、長期に渡って応力緩和が1%以下となる特性を有するので、上記弾性板部材1による密着性は長期に渡って適正な値に維持される。
なお、この場合、突口部11aの開口部分は耐薬品性及び耐ガス透過性の高い弾性材料からなる円板状の弾性板部材1により完全に覆われるので、帯状フィルム2は、特にガスバリア性が高いフィルムから構成する必要はなく、長期に渡る張力負荷状態での応力緩和が1%以下となる特性を有すればよい。
図12は、前記第2の実施形態の密封シール材を用いた供給口11の密封状態を示している。リング状の弾性板部材3は、内径寸法が前記突口部11aの外径寸法と同じか幾分小さく形成されているので、突口部11aの外側に嵌め込むことができる。この状態で、帯状フィルム2に所定の張力を掛けることにより、弾性板部材3を突口部11aの外周部分に完全に密着させることができる。この状態で、帯状フィルム2を揮発性液体容器10の外側壁に沿って掛け回し、帯状フィルム2の両端を重ね合わせ、張力を維持した状態で、超音波溶着法による溶着によって互いに接着するか、あるいは揮発性液体容器10が樹脂材料から構成されている場合は、帯状フィルム2の両端を揮発性液体容器10の側壁に溶着する。帯状フィルム2は、張力が0.05〜1.0MPaの範囲内で、長期に渡って応力緩和が1%以下となる特性を有するので、上記弾性板部材3による密着性は長期に渡って適正な値に維持される。なお、この場合、突口部11aの開口部分は帯状フィルム2のみによってふさがれているだけであるが、帯状フィルム2をガスバリア性が高いフィルムから構成することにより、供給口11の密封性を適正に維持することができる。
図13は、前記第3の実施形態の密封シール材を用いた供給口11の密封状態を示している。断面凹状の弾性板部材4は、その外壁部4aの内径寸法が前記突口部11aの外径寸法と同じか幾分小さく形成されているので、突口部11aの外側に嵌め込むことができる。この状態で、帯状フィルム2に所定の張力を掛けることにより、弾性板部材4を突口部11aの外周部分に完全に密着させることができる。この時、突口部11aの開口部は、弾性材料から構成される底部4dにより完全に塞がれる。この状態で、帯状フィルム2を揮発性液体容器10の外側壁に沿って掛け回し、帯状フィルム2の両端を重ね合わせ、張力を維持した状態で、超音波溶着法による溶着によって互いに接着するか、あるいは揮発性液体容器10が樹脂材料から構成されている場合は、帯状フィルム2の両端を揮発性液体容器10の側壁に溶着する。帯状フィルム2は、張力が0.05〜1.0MPaの範囲内で、長期に渡って応力緩和が1%以下となる特性を有するので、上記弾性板部材4による密着性は長期に渡って適正な値に維持される。
なお、この場合、突口部11aの開口部分は耐薬品性及び耐ガス透過性の高い弾性材料からなる底部4bにより完全に覆われるので、帯状フィルム2は、特にガスバリア性が高いフィルムから構成する必要はなく、長期に渡る張力負荷状態での応力緩和が1%以下となる特性を有すればよい。
図14は、前記第4の実施形態の密封シール材を用いた供給口11の密封状態を示している。断面凸状の弾性板部材5は、その中央部5bの外径寸法が前記突口部11aの内径寸法と同じか幾分大きく形成されているので、突口部11aの内側に嵌め込むことができる。この状態で、帯状フィルム2に所定の張力を掛けることにより、弾性板部材5を突口部11aの内周部分に完全に密着させることができる。この時、突口部11aの先端部分には、弾性材料から構成される外縁部5aが密着する。この状態で、帯状フィルム2を揮発性液体容器10の外側壁に沿って掛け回し、帯状フィルム2の両端を重ね合わせ、張力を維持した状態で、超音波溶着法による溶着によって互いに接着するか、あるいは揮発性液体容器10が樹脂材料から構成されている場合は、帯状フィルム2の両端を揮発性液体容器10の側壁に溶着する。帯状フィルム2は、張力が0.05〜1.0MPaの範囲内で、長期に渡って応力緩和が1%以下となる特性を有するので、上記弾性板部材5による密着性は長期に渡って適正な値に維持される。
なお、この場合、突口部11aの開口部分および先端部分は耐薬品性及び耐ガス透過性の高い弾性材料からなる中央部5bおよび外縁部5aとにより完全に覆われるので、帯状フィルム2は、特にガスバリア性が高いフィルムから構成する必要はなく、長期に渡る張力負荷状態での応力緩和が1%以下となる特性を有すればよい。
(帯状フィルムの接着方法)
図15および図16は、第1の形態の密封シール材を用いた密封シール状態を示しており、その時の帯状フィルム2の接着方法の一例を示している。
上述したように、円板状の弾性板部材1を突口部11aを覆うように当接させた状態で、帯状フィルム2に所定の張力を掛けることにより、弾性板部材1を突口部11aに完全に密着させる。次に、帯状フィルム2に所定の張力を掛けた状態で、帯状フィルム2を揮発性液体容器10の外側壁に沿って揮発性液体容器10の供給口が設けられている側面10aから反対側の側面10bにかけて掛け回し、帯状フィルム2の両端を重ね合わせ、この重ね合わせ部分2aを、フィルムへの張力を維持した状態で、超音波溶着法によって溶着する。帯状フィルム2は、張力が0.05〜1.0MPaの範囲内で、長期に渡って応力緩和が1%以下となる特性を有するので、上記弾性板部材1による密着性は長期に渡って適正な値に維持される。
図15および図16に示した接着方法以外に、揮発性液体容器10が樹脂材料から構成されている場合は、帯状フィルム2の両端を揮発性液体容器10の側壁に溶着する方法も可能である。
なお、本発明において、帯状フィルムの接着は、溶着であることが好ましいが、溶着に限定されるものではなく、接着剤による接着でもよい。溶着による接着では、接着面積の制御も可能であり、それによって密封シール材の開封作業において、帯状フィルムの剥離作業が容易になるという利点がある。
(密封シール材の製造方法)
密封シール材は、オレフィン系、スチレン系、ポリウレタン系、ポリアミド系、ポリエステル系の各熱可塑性エラストマーを、射出成型法を用いて、PP(ポリプロピレン)フィルム、PE(ポリエチレン)フィルム、ナイロンフィルム、PVA(ポリビニルアルコール)フィルム、PET(ポリエステル)フィルム、(エチレン・ビニルアルコール共重合体)フィルムの各単独フィルム、およびこれらの組み合わせ積層フィルムから選択した帯状フィルムの上に、成形すると同時に固着することにより得ることができる。
図17に、射出成型法を用いた一具体例を示す。図17に示した射出成型装置101は、連続射出成型装置であり、係る連続射出成型装置101を用いることにより前記帯状フィルムへの弾性板部材の成型及び固着を連続的に行うことができる。
連続射出成型装置101による成型では、まず、帯状フィルムの原反であるロール巻きのフィルム20から繰り出されたフィルムを金型内に導き、この金型内でフィルム21上に例えば弾性板部材として弾性板部材1を射出成型すると同時に、フィルム21に固着させる。この射出成型動作を順次繰り返しつつ、フィルム21をロール22に巻き取る。この巻き取り前において、通常、フィルム21に各帯状フィルム2を得るための切断用のミシン目を入れておく。
上記連続成型法によれば、本発明に係る密封シール材を大量に生産することが可能になり、安価な密封シール材を容易に得ることができる。
以下に本発明の実施例1〜3を示す。各例に用いた揮発性液体容器の材質、帯状フィルムの材質、弾性板部材(円板状)の材質は、下記(表1)に示した。すなわち、実施例1では、揮発性液体容器の材質としてPP(ポリプロピレン)を、帯状フィルムの材質としてPP(ポリプロピレン)を、弾性板部材(円板状)の材質としてTPO(熱可塑性オレフィン樹脂)を用いた。実施例2では、揮発性液体容器の材質としてPP(ポリプロピン)を、帯状フィルムとして(ナイロン/PE(ポリエチレン)/ナイロン三層積層フィルム)を、弾性板部材(円板状)の材質としてSEBS(スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体)を用いた。実施例3では、揮発性液体容器の材質としてAl(アルミニウム)を、帯状フィルムの材質としてポリエチレンビニルアルコールを、(円板状)弾性板部材の材質としてSIS(スチレン−イソプレン−スチレン共重合体)を用いた。
そして、実施例1では、帯状フィルムの固定は、帯状フィルムの両端を重ね合わせて溶着することにより行い、実施例2では、帯状フィルムの固定は、帯状フィルムの両端をそれぞれ揮発性液体容器の外壁に溶着することにより行い、実施例3では、帯状フィルムの固定は、帯状フィルムの両端をそれぞれ揮発性液体容器の外壁に溶着することにより行っている。
上記仕様および固定方法により揮発性液体容器を密封シールした後、室温環境下に24時間放置し、その後、各例の帯状フィルムの張力低下率(%)を測定するとともに、密封シール性の劣化の有無(容器に供給口からの液体の漏れの有無)を目視により確認した。その結果を下記(表1)に併記した。なお、帯状フィルムを固定した当初の張力は、0.75MPaに設定した。
Figure 2010047269
以上のように、本発明に係る揮発性液体容器用の密封シール材を用いることにより、各種揮発性液体容器の密封シールを、密封性を犠牲にすることなく、安価に行うことができる。本発明に係る揮発性液体容器用密封シール材は、各種揮発性液体容器の密封シールに有用であり、特に、インクジェットプリンタの交換用インクタンクの密封シール材に適している。
本発明に係る密封シール材の第1の実施形態を示す平面図である。 図1のII−II線に沿う断面図である。 本発明に係る密封シール材の第2の実施形態を示す平面図である。 図3のIV−IV線に沿う断面図である。 本発明に係る密封シール材の第3の実施形態を示す平面図である。 図5のVI−VI線に沿う断面図である。 本発明に係る密封シール材の第4の実施形態を示す平面図である。 図7のVIII−VIII線に沿う断面図である。 揮発性液体容器の一例を示す断面構成図である。 図9の要部の断面図である。 本発明の第1の実施形態の密封シール材を用いた、揮発性液体容器の供給口の密封シール状態を示す断面図である。 本発明の第2の実施形態の密封シール材を用いた、揮発性液体容器の供給口の密封シール状態を示す断面図である。 本発明の第3の実施形態の密封シール材を用いた、揮発性液体容器の供給口の密封シール状態を示す断面図である。 本発明の第4の実施形態の密封シール材を用いた、揮発性液体容器の供給口の密封シール状態を示す断面図である。 本発明の密封シール材を用いた、揮発性液体容器の密封シール方法の一例を示す斜視図である。 図15に示した揮発性液体容器を別の角度から見た斜視図である。 本発明の密封シール材を連続生産することのできる連続射出成型装置の一例を示す斜視図である。
符号の説明
1,2,3,4,5 弾性板部材
2 帯状フィルム
2a 重ね合わせ部(溶着部)
4a 外壁部
4b 底部
5a 外縁部
5b 中央部
10 揮発性液体容器
11 供給口
11a 突口部
12 含浸体
20 帯状フィルムの原反ロール
21 繰り出したフィルム
22 ロール
101 連続射出成型装置

Claims (11)

  1. 揮発性液体容器の供給口を覆う形状および寸法に形成された弾性板部材と、該弾性板部材をその片面に固着状態で支持する帯状フィルムとを有してなり、前記帯状フィルムが自分自身または前記揮発性液体容器に接着可能であることを特徴とする揮発性液体容器用密封シール材。
  2. 前記帯状フィルムが、所定の張力負荷条件下の応力緩和が1%以下である単層または多層フィルムから構成されていることを特徴とする請求項1に記載の揮発性液体容器用密封シール材。
  3. 前記帯状フィルムが、ガスバリヤー性を有することを特徴とする請求項2に記載の揮発性液体容器用密封シール材。
  4. 前記弾性板部材がエラストマーからなり、該弾性材の前記帯状フィルムの片面への固着が該弾性板部材の射出成型と同時に行われたものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の揮発性液体容器の密封シール材。
  5. 前記揮発性液体容器が、プラスチック、金属、およびセラミックから選ばれる一種から構成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の揮発性液体容器の密封シール材。
  6. 前記弾性板部材が円板状に形成され、その径寸法が前記供給口の外径寸法より大きいことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の揮発性液体容器の密封シール材。
  7. 前記弾性板部材がリング状に形成され、その内径寸法が前記供給口の外径寸法と同寸法以下に設定されるとともに、その外径寸法が前記供給口の外径寸法より大きく設定されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の揮発性液体容器の密封シール材。
  8. 前記弾性板部材が、リング状の外壁部と、この外壁部の内側底部に前記外壁部に連続して形成されている底部とからなる断面凹状に形成され、前記外壁部の内径寸法が前記供給口の外径寸法と同寸法以下に設定されるとともに、該外壁部の外径寸法が前記供給口の外径寸法より大きく設定されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の揮発性液体容器の密封シール材。
  9. 前記弾性板部材が、円板状の中央部と、該中央部の外縁に一体に形成され、該中央部の厚みより厚みの薄い外縁部とからなる断面凸状に形成され、前記中央部の外径寸法が前記供給口の内径寸法と同寸法以上に設定されるとともに、前記外縁部の外径寸法が前記供給口の外径寸法より大きく設定されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の揮発性液体容器の密封シール材。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の揮発性液体容器用密封シール材を用いた、揮発性液体容器の密封シール方法であって、
    前記弾性板部材を揮発性液体容器の供給口に該供給口を覆うように当接させた後、前記帯状フィルムを前記揮発性液体容器の全側面に沿って掛け回し、該帯状フィルムに所定の張力を負荷させた状態で、前記帯状フィルムの両端同士を接着することを特徴とする揮発性液体容器の密封シール方法。
  11. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の揮発性液体容器の密封シール材を用いた、揮発性液体容器の密封シール方法であって、
    前記弾性板部材を揮発性液体容器の供給口に該供給口を覆うように当接させた後、前記帯状フィルムに所定の張力を負荷させた状態で、前記帯状フィルムの両端を前記揮発性液体容器の外壁面に接着することを特徴とする揮発性液体容器の密封シール方法。
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