JP2010046035A - 植物育成材及び植物育成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 垂直状又は傾斜状に配置した場合にも優れた保水性を発揮し得る植物育成材及びその植物育成材を用いた植物育成方法の提供。
【解決手段】 植物育成材Dは、植物Gが根Grを張るための含水可能な根生育層Tと、植物Gの根Grが貫通し得る基布Sの一方の側に繊維製の多数のパイルPを満遍なく設けてなるパイル布Eの基布Sと、合成樹脂製支持基盤Bが積層接合されてなり、全体としてブロック状をなす。育成植物Gにおける根Gr以外の主要器官は、パイルPからみて根生育層Tと逆側に位置し、根生育層Tに根Grを張る。支持基盤Bは、根生育層Tの方向が垂直状又は傾斜状をなす状態で全体を支持し得る。支持基盤Bの一辺に潅水管路部Wを形成する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、垂直状又は傾斜状での使用に適する植物育成材及び植物育成方法に関する。
建築物の屋上等を緑化するために、繊維が集合してなるマット体のような保水性植物生育マットが従来より用いられている。この種の保水性植物生育マットによる緑化は、建築物の屋上等に保水性植物生育マットを敷設し、給水、施肥等を行いつつ、その保水性植物生育マットにおいて植物を栽培することにより行われる。保水性植物生育マットを対象面に敷設して行うこのような緑化方法は、水平面や傾斜が小さい面に沿って平面的に植物栽培を行って緑化するのに適する。
例えば特開平10−98913号公報(特許文献1)には、ビルの屋上など、土の上でなくても、その上に敷き詰めてから水をやるだけで、種から芽が出るようになるために、場所を選ばずに非常に簡単に植物を育成できる園芸用マットとして、植物性の繊維の不織布等からなり、発芽可能に種子を内装した保水性の育苗マットと、育苗マットを受けてそれに毛細管現象により水を供給する保水マットとからなる園芸用マットが開示されている。
しかしながら、このような緑化方法は、立体的な構造体や傾斜角度が比較的大きな対象面の緑化には必ずしも適するものではない。立体的な構造体やその他のものにおける傾斜角度が比較的大きな対象面に沿って保水性植物生育マットを配設した場合や、保水性植物生育マットの高さを高くしたり保水性植物生育マットを高さ方向に積層した場合、給水された水系液体が、傾斜角度が比較的大きな保水性植物生育マット又は高さの高い保水性植物生育マットにおける下方部、或いは、高さ方向に積層した保水性植物生育マットにおける下方の保水性植物生育マットに集まりがちとなり、上方部に保持される水分量が不十分になるおそれがある。
特開平10−98913号公報
本発明は、従来技術に存した上記のような課題に鑑み行われたものであって、その目的とするところは、垂直状又は傾斜状に配置した場合にも優れた保水性を発揮し得る植物育成材及びその植物育成材を用いた植物育成方法を提供することにある。
(1) 上記目的を達成する本発明の植物育成材は、
植物が根を張るための含水可能な根生育層を有する植物育成材であって、
前記根生育層に根を張る植物における根以外の主要器官と根生育層の間に、根生育層の側に基部が位置し、前記の根以外の主要器官の側に端部が位置し、根生育層に配された水分を吸収して保水し得る分岐保水部を備えることを特徴とする。
この植物育成材は、根生育層に根を張る植物における根以外の主要器官と根生育層の間に、根生育層の側に基部が位置し、前記の根以外の主要器官の側に端部が位置し、根生育層に配された水分を吸収して保水し得る分岐保水部を備えている。
分岐保水部は、吸収した水分を個別的に保水し得るため、根生育層と分岐保水部を併せた保水性能は、根生育層のみの場合や分岐保水部が位置する部分を含めた全体を根生育層とした場合に比し高くなる。
特に、例えば、根生育層の方向(根生育層の層厚方向に直交する方向)が垂直状又は傾斜状(湾曲状を含む)をなす状態で植物育成材が設置され、根生育層に配された水分が経時的に下方へ偏るか又は根生育層に配された水分の相当部分が流下離脱し、根生育層の上方部に又は下部以外の部分に十分な水分が保持されないことになる場合においても、分岐保水部は、吸収した水分を個別的に保持し得るため、根生育層の方向にあまり影響されずに保水し得、全体として所要保水量を維持する効果が高い。
なお、この植物育成材は、育成植物を備えるものとすることもできる。
本発明の植物育成材は、根生育層のうち植物を育成する部分に対応して分岐保水部が位置するものであることが望ましい。
この場合、根生育層のうち植物を育成する部分に対応して分岐保水部が位置するので、根生育層と分岐保水部を併せて、植物の育成に要する水分保持が適切に行われ得る。
また本発明の植物育成材は、根生育層が、不規則に集合した繊維からなるマット状をなすものであることが望ましい。
また本発明の植物育成材は、根生育層の方向が垂直状又は傾斜状をなす状態で全体を支持し得るように剛性支持体により支持されたものであることが望ましい。
この場合、根生育層の方向が垂直状又は傾斜状をなす状態で全体を支持し得るように剛性支持体により支持されたものとすることにより、植物栽培体を必要に応じた様々な姿勢で配置することができる。
(2) また、本発明の植物育成材は、上記分岐保水部が、上記植物の根が貫通し得る基布に多数設けられた繊維製のパイルであり、
それらのパイルは前記植物における根以外の主要器官が位置する側に位置し、前記基布は根生育層の側に位置し、
前記パイルは、根生育層に配された水分を吸収して保水し得るものであることが望ましい。
この場合、分岐保水部である多数のパイルは、それぞれ、根生育層に配された水分を直接吸収して保水するか、又は、基布若しくはその他の物を介して吸収し保水する。
パイルの基部は、基布の裏側で根生育層に接し、根生育層に配された水分を吸収して保水し得るものでもよく、基布若しくはその他の物を介して根生育層に配された水分を吸収して保水し得るものであってもよい。
なお、パイルの長さは、例えば5乃至100mmとすることができる。好ましくは10乃至50mm、又は15乃至30mmである。またパイルの縫い目が基布の根生育層側に位置するものであってもよい。
(3) また本発明の植物育成材は、上記分岐保水部が、根生育層に基部が直接結合した多数の吸水性の房状物であり、それらの房状物が根生育層に配された水分を吸収して保水し得るものとすることができる。
根生育層に基部が直接結合した多数の吸水性の房状物としては、根生育層と房状物は、両者を連結するか又は両者を一体に形成することもできる。房状物は、繊維製のほか、合成樹脂スポンジ、ゴムスポンジ等を採用することも可能である。房状部の長さは、例えば5乃至100mmとすることができる。好ましくは10乃至50mm、又は15乃至30mmである。
(4) また本発明の植物育成材は、上記分岐保水部が多数のパイルであり、そのパイルを形成するパイル形成体は、略円柱形状をなし、繊維製の線条体がパイル形成体の軸線を中心としてほぼ径方向に放射状をなすように密設され且つ軸線方向に密設されてなり、その略円柱形状外周面は、前記各線条体の先端部により形成されているものとすることができる。線条体としては、例えば各種合成繊維フィラメント等のフィラメント、合成繊維若しくは天然繊維ステープル糸等を挙げることができ、例えば0.05乃至18デニール(好ましくは0.05乃至10デニール、より好ましくは0.05乃至3デニール、特に好ましくは0.05乃至0.8デニール)のものを用いることができる。分岐保水部の保水性が良好なものとする上で、線条体として好ましいのは、非吸水性又は吸水性の合成繊維フィラメント(好ましくは0.05乃至3デニールのフィラメント、特に好ましくは0.05乃至0.8デニールのフィラメント)である。
(5) また本発明の植物育成材は、上記分岐保水部が、根生育層に基部が直接結合した吸水性の複数のシート状物および/または帯状物であり、それらが根生育層に配された水分を吸収して保水し得るものとすることができる。
吸水性の複数のシート状物および/または帯状物としては、例えば繊維製のもの(布状物、編物状物又は紙状物等)のほか、合成樹脂スポンジ、ゴムスポンジ等を採用することも可能である。この場合の植物育成材は、基部が水平状をなすように植物育成材が配置されて使用されることが、シート状物における水分保持部分が偏らないようにする上で好ましい。シート状物及び帯状物の長さは、それぞれ、例えば5乃至100mmとすることができる。好ましくは10乃至50mm、又は15乃至30mmである。
(6) 本発明の植物育成材は、上記分岐保水部の端部がその基部よりも下方に位置する状態で用いるためのものであることが望ましい。
また本発明の植物育成方法は、前記植物育成材を、上記分岐保水部の端部がその基部よりも下方に位置する状態で用いて植物を育成するものである。
この場合、根生育層に配された水分を吸収した分岐保水部は、根生育層側に位置する基部よりも端部の方が下方に位置するので、吸収した水分を個別的に保持し易い。そのため、根生育層と分岐保水部を併せた保水性能を高めることができる。
(7) また本発明の植物育成材は、根生育層の方向が垂直状又は傾斜状をなす状態で用いるためのものであることが望ましい。
更に本発明の植物育成方法は、前記植物育成材を、根生育層の方向が垂直状又は傾斜状をなす状態で用いて植物を育成するものである。
根生育層の方向(根生育層の層厚方向に直交する方向)が垂直状又は傾斜状(湾曲状を含む)をなす状態で植物育成材が設置された場合、根生育層に配された水分が、その根生育層の性質に応じ、経時的に下方へ偏るか又は根生育層に配された水分の相当部分が流下離脱し、根生育層の上方部に又は下部以外の部分に十分な水分が保持されないことになることがある。
その場合においても、分岐保水部は、吸収した水分を個別的に保持し得るため、根生育層の方向にあまり影響されずに保水し得、全体として所要保水量を維持する効果が高い。
水平面に対する傾斜角度としては、10度以上、20度以上、30度以上、40度以上、50度以上、60度以上、又は70度以上とすることができる。
本発明の植物育成材は、根生育層と分岐保水部を併せた保水性能が、根生育層のみの場合や分岐保水部が位置する部分を含めた全体を根生育層とした場合に比し高くなる。特に、例えば、根生育層の方向が垂直状又は傾斜状をなす状態であっても、分岐保水部は、吸収した水分を個別的に保持し得るため、根生育層の方向にあまり影響されずに保水し得、全体として所要保水量を維持する効果が高いので、立体的な植物栽培に好適である。
また本発明の植物育成方法によれば、本発明の植物育成材を用いることにより、根生育層の方向が垂直状又は傾斜状をなす状態であっても、分岐保水部は、吸収した水分を個別的に保持し得るため、根生育層の方向にあまり影響されずに保水し得、全体として所要保水量を維持する効果が高いので、立体的な植物栽培に好適である。
本発明の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。
(1) 図1乃至図5は、何れも本発明の実施の形態の一例を示す植物育成材に関するものであって、図1は垂直配列の植物育成材の模式的側面図、図2は植物育成材の模式的分解斜視図、図3は水平状態のパイル布の模式的拡大側面図、図4はパイルの模式的拡大横断面図、図5はモール糸によりパイルを形成する工程の一部を示す模式図である。
植物育成材Dは、植物Gが根Grを張るための含水可能な根生育層Tと、植物Gの根Grが貫通し得る基布Sの一方の側に繊維製の多数のパイルP(分岐保水部)を満遍なく設けてなるパイル布Eの基布Sと、合成樹脂製(これに限らない)の格子状をなす支持基盤B(剛性支持体)が積層接合されてなり、全体としてブロック状(これに限らない)をなす。接合は、例えば接着、縫着、その他の機械的接合等の手段を適宜採用し得る。なお、例えば、根生育層TとパイルP(房状物)を同じ素材からなる一体的なものとすることもできる。
育成植物Gにおける根Gr以外の主要器官(例えば、茎、葉、花の全部又は主要部)は、パイルPからみて根生育層Tと逆側に位置し、根生育層Tに根Grを張る。この例では、根生育層Tのうち植物Gを育成する側(図1及び図2における根生育層Tの右側面)の全てに満遍なくパイルP(分岐保水部)が位置する。なお、パイルP(分岐保水部)と根生育層Tの間に基布S以外の根Grが挿通可能な層や物が存在するものとすることも可能である。
支持基盤Bは、根生育層Tの方向が垂直状又は傾斜状をなす状態で全体を支持し得るものである。支持基盤Bの一辺(垂直又は傾斜状に設置する場合の上側に位置させる辺)には、潅水管路部Wが形成されている。潅水管路部Wは、一端に連結突部Waを有し、その連結突部Waが別の潅水管路部Wの一方の端部に嵌合して両潅水管路部Wが連結される。各潅水管路部Wの下側には多数の小潅水孔(図示せず)を有し、潅水管路部Wに供給された水又は液肥等を含有する水系液体が小潅水孔を通じて、その下側に位置させる根生育層Tに供給される。なお、支持基盤Bは潅水管路部Wを必ずしも備えることを要しない。潅水管路部Wを備える支持基盤Bと備えない支持基盤Bを混合使用することもできる。
図1において植物育成材Dは、建築物の外壁面等の垂直面に沿って、取付用のフレーム(図示せず)を構築し、そのフレームにより、ブロック状の各植物育成材Dを、望ましくは植物Gを予め育成した状態で、根生育層Tの方向が垂直状をなすように配列設置されている。その際、各植物育成材Dの支持基盤Bにおける潅水管路部W同士が連結され、更に、潅水管路部Wに潅水源が接続されて必要な潅水が可能とされる。屋外に設置される場合は降雨によっても各植物育成材Dに水が供給され得る。各パイルPは、端部がその基部よりも下方に位置する状態をなす。なお、植物育成材Dの配列は、傾斜面若しくは湾曲面に沿って行うこともできる。また、壁面等に直接植物育成材Dを取り付けることや、その他の取付手段を採用することも可能である。
根生育層Tは、ポリエステル系合成繊維を約80%含む繊維で編み組みされた織布の廃棄屑を開繊して繊維状に加工したものを主材料とし、これに、低融点のポリエステル繊維(例えば全体の約20重量%)をバインダー繊維として混合分散させたものを所定の厚さに方向性なく立体的に集合させた繊維の集合体を、バインダー繊維が溶融する温度まで加熱した後プレス(繊維等が集合した状態の厚さに対して約25%の厚さとなるようプレス)し、バインダー繊維を冷却・硬化させて繊維同士を結合させ繊維の間に無数の空隙を形成した状態で得られた方形マット状(この形態に限らない)をなす。
パイル布EにおけるパイルPは、0.3デニールの非吸水性のポリエステルフィラメントFを飾り糸とするモール糸Mにより形成されている。すなわち、図5に示すように、基布Sに対し、モール糸Mによるループ部Rを形成した後、ループ部Rを構成するモール糸Mのうち、ループ部Rの一方の基部から端部を構成する部分と他方の基部から端部を構成する部分が、両部分の芯糸Cを中心として撚り合わさることにより、略円柱形状をなすパイル形成体(パイル形成糸)によるパイルPを形成したものである。例えば、強撚モール糸Mを用い、基布Sに対しモール糸Mによるループ部Rを形成した後、熱処理(染色工程における熱処理が好ましい)を行うことにより各ループ部Rがそのモール糸Mの芯糸Cを中心として撚り合わさるものとすることができる。
このようにして形成された各パイルPは、略円柱形状をなし、0.3デニールの非吸水性のフィラメントFが、パイルPの軸線を中心としてほぼ径方向に放射状をなすように密設され且つ軸線方向に密設されてなり、パイルPの略円柱形状外周面は、各フィラメントFの先端部により形成される。パイルPの先端部Paは、パイルPを構成する放射状に配されたフィラメントFの先端部により形成された略凸曲面状をなす。
パイルPを形成するパイル形成体におけるフィラメントの密度はパイル形成体の表面部から内方部に向かうほど高くなり、毛管現象により、パイル形成体の内方部に向かって強い吸液力が作用するので、パイルPは迅速に比較的多量の水(他の成分を含有する水又はその他の液体でもよい)を吸収し得る。
植物育成材Dは、根生育層Tに根Grを張る植物Gにおける根Gr以外の主要器官と根生育層Tの間に、根生育層Tの側に基部が位置し、前記の根Gr以外の主要器官の側に端部が位置し、根生育層Tに配された水分を、基部から端部に向かって(例えば毛管現象により)吸収して保水し得るパイルP(分岐保水部)を備えている。
パイルPは、吸収した水分を個別的に保水し得るため、根生育層TとパイルPを併せた保水性能は、根生育層Tのみの場合やパイル布Eが位置する部分を含めた全体を根生育層とした場合に比し高くなる。
特に、根生育層Tの方向(根生育層Tの層厚方向に直交する方向)が垂直状又は傾斜状(湾曲状を含む)をなす状態で植物育成材Dが設置され、根生育層Tに配された水分が経時的に下方へ偏るか又は根生育層Tに配された水分の相当部分が流下離脱し、根生育層Tの上方部に又は下部以外の部分に十分な水分が保持されないことになる場合においても、パイルPは、吸収した水分を個別的に保持し得るため、根生育層Tの方向にあまり影響されずに保水し得、全体として所要保水量を維持する効果が高いので、立体的な植物栽培に好適である。
なお、根生育層としては、例えば、不規則に集合した繊維(繊維の種類は特に問わない。椰子殻繊維、ジュート、ケナフ、木綿等の各種天然繊維、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリアクリル系等の各種合成繊維、或いはその他の繊維を用い得る。)からなるもの、特に、不規則に集合した繊維を、圧縮成形したもの、圧縮成形すると共にニードルパンチやバインダー繊維の含有及び溶融により繊維成形物の保形性を高めたもの、不織布、不織布を重積したもの、その他の各種植物生育材料を用いることができる。保水性植物生育層の厚さは、例えば1乃至20cmとすることができる。好ましくは2乃至15cm、より好ましくは3乃至10cmであるが、これに限られるものではない。
また、根生育層は、これに限らず、植物が根を張ることができ、含水可能なものであれば、その他の繊維製のもの、合成樹脂又はゴムスポンジ等のスポンジ状のもの等を採用することも可能である。
植物育成材の対象植物の例としては、芝類、セダム類、こけ類、つた類等を挙げることができるがこれに限らない。二酸化炭素削減の観点からは、セダム類やこけ類よりも芝類が好ましい。
パイルを形成するパイル形成体は、略円柱形状をなし、0.05乃至0.8デニールのフィラメント(例えば非吸水性のフィラメント)が、パイル形成体の軸線を中心としてほぼ径方向に放射状をなすように密設され且つ軸線方向に密設されてなり、その略円柱形状外周面は、前記各フィラメントの先端部により形成されてなるものとすることができる。
このようなパイル形成体は、0.05乃至0.8デニールの非吸水性のフィラメントを飾り糸とする2本又は3本以上のモール糸が、そのモール糸の芯糸を中心として撚り合わさることにより略円柱形状を形成したものとすることができる。
非吸水性のフィラメントとしては、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリプロピレン系又はポリエチレン系のフィラメントを挙げることができる。非吸水性のフィラメントの吸水率は、20℃相対湿度65%において5%以下であるものとすることができる。
分岐保水部は、例えば前記のような繊維製のパイルや繊維製のシート状体又は帯状体のように、表面部から植物の根が水分を吸収し得るものであることが望ましい。
なお、分岐保水部は、根生育層に根を張る植物おける根以外の主要器官と根生育層の間に限らず、根生育層における育成植物の根以外の主要器官が位置する側とは逆の側に配設することもできる。
また、分岐保水部は根生育層の前後・上下・左右等の全外周面の何れの箇所に設けることも可能であり、根生育層の全外周側において、育成植物における根以外の主要器官が、分岐保水部からみて根生育層と逆側に位置し、根生育層に根を張るものとすることが可能である。
更に、分岐保水部は、根生育層のうち植物を育成する部分に対応して位置することが望ましいが、根生育層のうち植物を育成する部分の全てに対応して位置するものの他、例えば、植物育成材を設置した状態において根生育層のうち水分が比較的保持され易い部分(例えば下方部)以外の部分にのみ対応して位置するようにすることもでき、必ずしも全てに対応することを要するものではない。
(2) 図6は、別の植物育成材の模式的側面図である。
図6に示す植物育成材Dは、図1乃至図5に示す前記植物育成材Dと同じ植物育成材Dを、根生育層Tの方向が傾斜状となるように配したものである。傾斜角度は約30度である。
根生育層Tの方向が水平方向から30度の傾斜状をなす状態で植物育成材Dが設置されているので、潅水パイルPを介して根生育層Tに配された水分が経時的に下方へ偏るか又は根生育層Tに配された水分の相当部分が流下離脱し、根生育層Tの上方部に又は下部以外の部分に十分な水分が保持されないことになる。
その場合においても、多数のパイルPが、吸収した水分を個別的に保持し得るため、根生育層Tの方向にあまり影響されずに保水し得、全体として所要保水量を維持する効果が高いので、立体的な植物栽培に好適である。
なお、以上の実施の形態についての記述における構成部品の寸法、個数、材質、形状、その相対配置などは、特にそれらに限定される旨の記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではなく、単なる説明例に過ぎない。
垂直配列の植物育成材の模式的側面図である。 植物育成材の模式的分解斜視図である。 水平状態のパイル布の模式的拡大側面図である。 パイルの模式的拡大横断面図である。 モール糸によりパイルを形成する工程の一部を示す模式図である。 別の植物育成材の模式的側面図である。
符号の説明
B 支持基盤
C 芯糸
D 植物育成材
E パイル布
F フィラメント
G 植物
Gr 根
M モール糸
P パイル
Pa パイル先端部
R ループ部
S 基布
T 根生育層
W 潅水管路部
Wa 連結突部

Claims (12)

  1. 植物が根を張るための含水可能な根生育層を有する植物育成材であって、
    前記根生育層に根を張る植物における根以外の主要器官と根生育層の間に、根生育層の側に基部が位置し、前記の根以外の主要器官の側に端部が位置し、根生育層に配された水分を吸収して保水し得る分岐保水部を備えることを特徴とする植物育成材。
  2. 根生育層のうち植物を育成する部分に対応して分岐保水部が位置する請求項1記載の植物育成材。
  3. 根生育層が、不規則に集合した繊維からなるマット状をなす請求項1又は2記載の植物栽培体。
  4. 根生育層の方向が垂直状又は傾斜状をなす状態で全体を支持し得るように剛性支持体により支持された請求項1、2又は3記載の植物栽培体。
  5. 上記分岐保水部が、上記植物の根が貫通し得る基布に多数設けられた繊維製のパイルであり、
    それらのパイルは前記植物における根以外の主要器官が位置する側に位置し、前記基布は根生育層の側に位置し、
    前記パイルは、根生育層に配された水分を吸収して保水し得るものである請求項1乃至4の何れか1項に記載の植物育成材。
  6. 上記分岐保水部が、根生育層に基部が直接結合した多数の吸水性の房状物であり、それらの房状物が根生育層に配された水分を吸収して保水し得るものである請求項1乃至4の何れか1項に記載の植物育成材。
  7. 上記分岐保水部が多数のパイルであり、そのパイルを形成するパイル形成体は、略円柱形状をなし、繊維製の線条体がパイル形成体の軸線を中心としてほぼ径方向に放射状をなすように密設され且つ軸線方向に密設されてなり、その略円柱形状外周面は、前記各線条体の先端部により形成されているものである請求項1乃至4の何れか1項に記載の植物育成材。
  8. 上記分岐保水部が、根生育層に基部が直接結合した吸水性の複数のシート状物および/または帯状物であり、それらが根生育層に配された水分を吸収して保水し得るものである請求項1乃至4の何れか1項に記載の植物育成材。
  9. 上記分岐保水部の端部がその基部よりも下方に位置する状態で用いるための請求項1乃至8の何れか1項に記載の植物育成材。
  10. 根生育層の方向が垂直状又は傾斜状をなす状態で用いるための請求項1乃至9の何れか1項に記載の植物育成材。
  11. 請求項1乃至8の何れか1項に記載の植物育成材を、上記分岐保水部の端部がその基部よりも下方に位置する状態で用いて植物を育成する植物育成方法。
  12. 請求項1乃至8の何れか1項に記載の植物育成材を、根生育層の方向が垂直状又は傾斜状をなす状態で用いて植物を育成する植物育成方法。
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