JP2010046017A - 乳化・増粘組成物の製法およびそれにより得られた乳化・増粘組成物、並びにそれを用いた食品 - Google Patents

乳化・増粘組成物の製法およびそれにより得られた乳化・増粘組成物、並びにそれを用いた食品 Download PDF

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Abstract

【課題】低カロリーで、風味等に特有のクセがなく、乳化安定性や増粘性に優れ、食品等の分野への適用に良好な乳化・増粘組成物の製法およびそれにより得られた乳化・増粘組成物、並びにそれを用いた食品を提供する。
【解決手段】水煮または蒸煮されたルーピン豆を、無塩条件下で、アスペルギルス(Aspergillus) 属またはリゾプス(Rhizopus)属の菌により15〜40時間発酵させる工程と、その発酵物を、物理的加工処理によりペースト状または粉末状にする工程とを備えている乳化・増粘組成物の製法とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、乳化・増粘組成物の製法およびそれにより得られた乳化・増粘組成物、並びにそれを用いた食品に関するものである。
マヨネーズは、主に卵黄と食酢と油脂とから構成され、食酢(水相)と油脂(油相)とが卵黄に含まれるレシチンによって乳化されてなる乳化食品であり、今日、調味用食品として広く用いられている。その一方で、マヨネーズに含まれる卵黄のために、カロリーやコレステロールを気にする消費者や卵アレルギーの消費者は、マヨネーズを安心して食することができないという問題がある。
そこで、これまでに、卵黄の代替として、大豆を原料とする豆乳や豆腐を用い、これに食酢や油脂等を加え、その大豆レシチンによって食酢と油脂とを乳化して得られるマヨネーズ風調味料やドレッシング等の乳化食品の開発が行われている(例えば、特許文献1〜4参照)。
特公平4−5421号公報 特開昭63−32461号公報 特開2002−243公報 特開2006−55016公報
しかしながら、かかるマヨネーズ風調味料等の乳化食品は、大豆由来の青臭さを有し、しかも乳化状態が不安定であり、保存中に油分離を生じてしまうため、保存期間が短く、商品価値の低いものである。
また、上記マヨネーズ風調味料等の乳化食品は、マヨネーズの代替として用いるには粘度が低過ぎる。そのため、例えば上記特許文献3に開示されているように、澱粉や増粘剤を添加して粘度を改善する等の対処が必要である。しかしながら、かかる乳化食品で用いられる澱粉や増粘剤は、一般的に入手が困難であったり、あるいは化学的加工を施す必要があるため、調製に手間が掛かり、乳化食品の生産コストを上げる懸念がある。
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、低カロリーで、風味等に特有のクセがなく、乳化安定性や増粘性に優れ、食品等の分野への適用に良好な乳化・増粘組成物の製法およびそれにより得られた乳化・増粘組成物、並びにそれを用いた食品の提供をその目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明は、水煮または蒸煮されたルーピン豆を、無塩条件下で、糸状菌類であるアスペルギルス(Aspergillus) 属またはリゾプス(Rhizopus)属の菌により15〜40時間発酵させる工程と、その発酵物を、物理的加工処理によりペースト状または粉末状にする工程とを備えている乳化・増粘組成物の製法を第1の要旨とする。
また、本発明は、上記第1の要旨の製法により得られる乳化・増粘組成物を第2の要旨とする。
また、本発明は、上記第2の要旨の乳化・増粘組成物を含有する食品を第3の要旨とする。
すなわち、本発明者らは、前記課題を解決するため鋭意研究を重ね、その研究の過程で乳化剤や増粘剤として使用することが可能で、かつ、食品に用いても安全で低カロリーな乳化・増粘組成物の原料として、ルーピン豆を用いることを想起した。ルーピン豆は、大豆や落花生と同様、タンパクを多く含む豆類であるが、大豆と比較すると、低脂質で多糖類(ガラクタン等)を多く含むことが特徴である。本発明者らは、このルーピン豆を水煮または蒸煮し、その後、無塩条件下で、糸状菌類であるアスペルギルス(Aspergillus) 属またはリゾプス(Rhizopus)属の菌により発酵させる実験を行ったところ、その菌が産生する各種酵素により、発酵基質である豆中の多糖類が可溶化して分離し、独特の粘性を呈するようになることを見いだした。そこで、本発明らは、その発酵物を物理的加工処理によりペースト状または粉末状にし、乳化・増粘組成物として使用することを想起し、さらに、実験を更に重ねることにより発酵条件を検討した結果、上記発酵を特定時間内で行うと、製造された組成物に、高い乳化安定効果や増粘効果が得られるようになることを突き止めた。さらに、このようにして得られる乳化・増粘組成物は、原料であるルーピン豆が低脂質であることから、大豆を原料とする各種発酵食品に比べ、発酵時の脂肪酸の生成量が少なく、風味等に特有のクセ(大豆由来の青臭さ、みそ臭さ等のクセ)が少ないため、食品への適用範囲が広いものとなることも突き止め、本発明に到達した。
このように、本発明では、特定条件下で特定菌によりルーピン豆を発酵させ、その発酵物をペースト状や粉末状に加工することにより、乳化・増粘組成物を製造している。そのため、上記乳化・増粘組成物には、高い乳化安定効果や増粘効果が得られるようになる。また、本発明の製法では、化学物質の使用や、高エネルギーを要する加熱処理を必要としないため、安全かつ省力的に、目的とする乳化・増粘組成物を生産することができる。
そして、このようにして得られた乳化・増粘組成物は、高い乳化安定効果や増粘効果を発揮することができる。
また、上記乳化・増粘組成物は、植物由来であり、さらに脂質を殆ど含まないことから、卵黄や油脂類の代替として用いた場合に、コレステロールやカロリーの過度な摂取を低減する、健康食品用素材として応用可能である。しかも、発酵時の脂肪酸の生成量が少なく、風味等に特有のクセ(大豆由来の青臭さ、みそ臭さ等のクセ)が少ないため、食品への適用範囲がより広いものとなる。また、上記乳化・増粘組成物には、ルーピン豆に高含有する食物繊維の大部分が可溶化した状態で存在するため、水溶性食物繊維を強化した食品用の添加剤としても有用である。さらに、アミノ酸やペプチド等の水溶化タンパクも豊富に含まれているため、消化吸収性に優れたタンパク補給用食品への応用も可能である。そして、その発酵により得られた遊離アミノ酸も豊富に含まれているため、食品に添加することにより呈味性を向上させる効果もある。
なお、本発明の乳化・増粘組成物は、安全性に優れていることから、上記のように食品に添加することはもとより、家畜用飼料や化粧品の分野への応用も可能である。
つぎに、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
本発明の乳化・増粘組成物の製法は、先に述べたように、水煮または蒸煮されたルーピン豆を、無塩条件下で、糸状菌類であるアスペルギルス(Aspergillus) 属またはリゾプス(Rhizopus)属の菌により15〜40時間発酵させる工程と、その発酵物を、物理的加工処理によりペースト状または粉末状にする工程とを備えていることを特徴としている。
上記製法に用いられるルーピン豆としては、例えば、アオバナルーピン(Lupinus angustifolius) 、キバナルーピン(Lupinus luteus)、シロバナルーピン(Lupinus albus) 、ルピナス・ムタビリス(Lupinus mutabilis) 等が用いられる。ルーピンとは、マメ科のハウチワマメ属(ルピナス属植物)の総称であり、その種子であるルーピン豆は、ピーナッツや大豆などの豆類の仲間で、ヨーロッパでは穀物代替食品成分として古くから使われている。また、オーストラリアでは、主に家畜飼料用に栽培されている。
上記ルーピン豆(乾燥豆)は、水煮や蒸煮による加熱処理を行う前に、通常、水に浸漬する処理が行われる。この処理は、5〜25℃の水温下で8〜24時間行うと、栄養分の流出や腐敗を生ずることなく、組成物の高品質化を達成することができるため、好ましい。なお、この浸漬処理は、通常、乾燥豆に対して3〜5倍量相当の水を使用し、行われる。また、上記浸漬処理の前に、適宜、ルーピン豆の洗浄を行ってもよい。また、石豆を除去するため、適宜、このルーピン豆を選別機に通し、選別を行ってもよい。さらに、上記各処理に使用する水には、雑菌の混入を防ぐため、必要に応じ、乳酸等を加えてpHを4.5程度まで下げた水を使用することができる。上記ルーピン豆は、外皮を除去したものを原料とすることが望ましい。
そして、上記ルーピン豆を、水煮によって加熱処理する場合、例えば、ルーピン豆の等量から5倍量相当の浄水を使用してルーピン豆が充分に浸かるようにし、80〜100℃で5〜30分間(好ましくは、10〜20分間)水煮する。
また、上記ルーピン豆を、蒸煮によって加熱処理する場合、例えば、0.1〜0.6kg/cm2 で5〜30分間脱気し、その後、5〜30分間かけて0.6〜2.5kg/cm2 まで昇圧し、そのままの圧力で15〜60分間維持した後、脱気により5〜15分間かけて常圧まで下げることにより処理が行われる。
上記加熱処理後、40℃程度になるまでルーピン豆を冷却し、そこに、糸状菌類であるアスペルギルス(Aspergillus) 属またはリゾプス(Rhizopus)属の菌を植菌する。その後、上記菌による発酵が阻害されないよう、無塩条件下でルーピン豆を発酵させる。上記発酵は、15〜40時間行われ、好ましくは、20〜30時間行われる。すなわち、この時間内で発酵を行うことにより、高い乳化安定効果や増粘効果が得られるようになるからである。なお、発酵時間が15時間未満では、発酵が不充分なため、豆中の多糖類の可溶化による独特の粘性が充分得られず、逆に、発酵時間が40時間を超え、発酵が進み過ぎても粘性が低下するようになるため、所望の乳化安定効果や増粘効果が得られなくなる。また、上記のように発酵が進み過ぎると、胞子の着生により見栄えが悪化し、さらにアンモニアの生成により風味も悪化するため、好ましくない。
また、上記発酵を良好に行う観点から、上記発酵は25〜35℃の温度環境下で行うことが好ましい。
上記アスペルギルス(Aspergillus) 属の菌としては、例えば、アスペルギルス・オリゼ(Aspergillus.oryzae)、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus.niger) 、アスペルギルス・ソーエ(Aspergillus.sojae) 、アスペルギルス・アワモリ(Aspergillus.awamori) 、アスペルギルス・サイトイ(Aspergillus.saitoi)、アスペルギルス・カワチ(Aspergillus.kawachii)、アスペルギルス・ウサミ(Aspergillus.usami) 等があげられる。
また、上記リゾプス(Rhizopus)属の菌としては、例えば、リゾプス・オリゴスポラス(Rhizopus.oligosporus)、リゾプス・オリゼ(Rhizopus.oryzae) 等があげられる。
なお、本発明では、上記以外の糸状菌類も、適宜用いることができる。
そして、先に述べたように、上記ルーピン豆の発酵物を、物理的加工処理でペースト状または粉末状にする。なお、上記物理的加工処理としては、例えば、グラインダーによる磨り潰し処理、ミル粉砕処理、凍結粉砕処理、凍結乾燥粉砕処理等があげられる。
このようにして、本発明の製法では、化学物質の使用や、高エネルギーを要する加熱処理を必要とせず、安全かつ省力的に、目的とする乳化・増粘組成物を生産することができる。
そして、上記のようにして得られた乳化・増粘組成物は、所望の乳化安定効果や増粘効果を発揮することができる。
ここで、上記乳化・増粘組成物の乳化安定効果は、例えば、その組成物に、それと等量の油を加えて攪拌し、25℃で24時間程静置した際に、その乳化指数(乳化層の割合)が80%以上に保たれることにより、確認することができる。なお、上記乳化指数は、例えば、上記の攪拌物を遠沈チューブに移し、24時間程静置した後、その乳化層の高さが、遠沈チューブの液面の高さ(チューブ内の総量)に対して何%であるかを測定することにより行われる。
また、上記乳化・増粘組成物の増粘効果は、例えば、その組成物(粉末状のもの)3.5gに水50mlを加えてペースト状にしたとき、その粘度が、60〜120mPa・s(60〜120cP)を示すことにより、確認することができる。なお、上記粘度は、例えば、B型粘度計等により測定することができる。
また、上記乳化・増粘組成物は、植物由来であり、さらに脂質を殆ど含まないことから、卵黄や油脂類の代替として用いた場合に、コレステロールやカロリーの過度な摂取を低減する、健康食品用素材として応用可能である。しかも、発酵時の脂肪酸の生成量が少なく、風味等に特有のクセ(大豆由来の青臭さ、みそ臭さ等のクセ)が少ないため、食品への適用範囲がより広いものとなる。また、上記乳化・増粘組成物には、ルーピン豆に高含有する食物繊維の大部分が可溶化した状態で存在するため、水溶性食物繊維を強化した食品用の添加剤としても有用である。さらに、アミノ酸やペプチド等の水溶化タンパクも豊富に含まれているため、消化吸収性に優れたタンパク補給用食品への応用も可能である。そして、発酵により得られた遊離アミノ酸も豊富に含まれているため、食品に添加することにより呈味性を向上させる効果もある。
ここで、本発明の乳化・増粘組成物を含有する食品の具体例としては、例えば、マヨネーズ風調味料、ポタージュ等のスープ、スプレッド、流動食等のペースト状食品等があげられる。
上記マヨネーズ風調味料は、マヨネーズの材料である卵黄に代替して本発明の組成物を用いることにより、低コレステロール化や低カロリー化を達成することができる。また、マヨネーズ風調味料材料中のサラダ油の1/3を水にし低脂肪マヨネーズとした場合も、充分な粘性および乳化安定性が得られるようになるため、さらなる低カロリー化を達成することができる。
上記スープは、本発明の組成物を用いることにより、良好なとろみと風味が得られるようになる。
上記ペースト状食品は、例えばスプレッドの場合、その粘度により、パン・クラッカー等に塗りやすくなり、しかも、良好な風味も得られるようになる。なお、上記スプレッドとしては、例えば、バター、マーガリン、クリーム、チーズ、ピーナッツバター、メープルバター、ミートパテ等があげられる。
ところで、本発明の乳化・増粘組成物は、安全性に優れていることから、食品はもとより、家畜用飼料や化粧品の分野への応用も可能である。
すなわち、従来からある家畜用飼料に本発明の組成物を添加すると、ペレットの結合性が高まるうえ、タンパクの吸収性も高まるようになる。なお、ルーピン豆は、従来から家畜飼料用に用いられているが、ルーピン原穀をそのまま(あるいは粉砕したものを)添加した場合、上記のように増粘性、高吸収タンパクの付加がなされない。そのため、本発明の組成物を含有する家畜用飼料は、格段に優れた飼料となる。
また、上記化粧品としては、例えば、ローション、乳液、整髪料、洗顔料等といった、乳化安定効果や増粘効果が要求される各種製品があげられる。本発明の組成物は、天然素材からなり、食品に添加しても安全であることから、上記化粧品も同様に、安全性に優れるものとなる。
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
乾燥状態のルーピン豆(Lupinus angustifolius) の外皮を取り除いたうえで、流水で洗浄し、ついで、15℃の水に18時間浸漬した。続いて、上記ルーピン豆を、その5倍量の浄水で15分間水煮し、その後40℃まで冷却した。そして、上記ルーピン豆の水をよく切った後、これに、麹菌(AOK139、入手先:秋田今野商店)を、ルーピン豆1kg当たり麹菌0.35gとなるよう植菌した。なお、上記植菌を均一に行うため、上記麹菌は、米粉で20倍に増量したうえで、上記ルーピン豆に混合した。このように植菌したルーピン豆25gをプラスチックシャーレーに容れ、30℃で培養した。
麹菌として、山吹2号菌(入手先:秋田今野商店)を用いた。それ以外は、実施例1と同様にして、培養した。
麹菌として、豆味噌用の麹菌(入手先:秋田今野商店)を用いた。それ以外は、実施例1と同様にして、培養した。
〔比較例1〕
ルーピン豆に代えて、一般的な大豆(ユキホマレ)を用いた。それ以外は、実施例1と同様にして、培養した。
〔比較例2〕
麹菌の植菌による発酵を行わず、実施例1と同様にして水煮したルーピン豆を、そのまま用いた。
つぎに、上記実施例および比較例に記載の条件で培養を続け、そこから、所定の発酵時間(0時間、13時間、19時間、22時間、37時間、47時間)毎に試料(豆)を取りだし、この試料を凍結乾燥機FD−81(東京理化器械社製)によって凍結乾燥粉砕処理し、粉末状の組成物(乳化・増粘組成物)を得た。
そして、上記組成物に関し、下記の基準に従って、その発酵時間毎の各特性の測定・評価を行った。これらの結果を、後記の表1に併せて示した。
〔粘度〕
上記の粉末状組成物3.5gに、25℃の水50mlを加え、ミキサーで撹拌し(5000rpm、10分)、ペースト状にした。そして、その粘度(mPa・s)を、B型粘度計(ブルックフィールド社製)で測定した。
〔乳化指数〕
上記の粉末状組成物3.5gに、25℃の水50mlを加え、ミキサーで撹拌し(5000rpm、10分)、ペースト状にした。ついで、そのペーストに、キャノーラ油50mlを加えて、さらに撹拌した(5000rpm、1分)。そして、この攪拌物を遠沈チューブに移し、22時間静置した後、遠沈チューブの液面の高さ、および上記静置により形成された乳化層(沈降層)の高さを測定した。これらの値から、遠沈チューブの液面の高さ(チューブ内の総量)に対し、その乳化層の高さが何%であるかを算出し、その値(%)を乳化指数とした。
Figure 2010046017
上記表1のそれぞれの結果をグラフに示すと、図1および図2のグラフ図に示す通りとなった。
上記図1および図2の結果から、実施例1〜3の組成物は、その発酵時間が15〜40時間のときに、その粘度および乳化指数が著しく高くなることがわかる。したがって、実施例1〜3の組成物は、発酵時間が15〜40時間となるよう調整して製造することにより、その増粘効果、乳化安定効果が著しく向上するようになる。
これに対し、比較例1のように大豆を発酵させたものには、ルーピン豆を使用したときのような増粘効果・乳化安定効果は得られなかった。また、比較例2のようにルーピン豆を発酵させなかったものも、増粘効果・乳化安定効果は得られなかった。
〔マヨネーズ風調味料の調製〕
実施例3に従い、ルーピン豆を22時間発酵させ、それを粉砕処理して、粉末状の組成物(乳化・増粘組成物)を得た。つぎに、この粉末状組成物15gに、25℃の水15mlを加え、ミキサーで撹拌し(5000rpm、10分)、ペースト状にした。続いて、このペーストに、穀物酢30mlと、並塩4gと、練りからし1gと、胡椒1gと、上白糖3gとを加え、ホモジナイザーで軽く攪拌した。その後、これに、サラダ油180mlを少しづつ加えながら攪拌し、上記サラダ油をすべて加えた後、再度、ホモジナイザーで撹拌した(5000rpm、10分)。このようにして、マヨネーズ風調味料を作製した。
〔比較例3〕
ルーピン豆の発酵時間を48時間とし、それ以外は、実施例4と同様にして、マヨネーズ風調味料を作製した。
〔比較例4〕
ルーピン豆に代えて、大豆(ユキホマレ)を用いた。それ以外は、実施例4と同様にして、マヨネーズ風調味料を作製した。
〔比較例5〕
実施例1と同様に水煮したルーピン豆を、発酵させずにそのまま粉砕処理して、粉末状の組成物を調製した。そして、実施例4の粉末状の組成物(乳化・増粘組成物)に代えて、上記組成物を用いる以外は、実施例4と同様にして、マヨネーズ風調味料を作製した。
〔比較例6〕
大豆(ユキホマレ)を水煮し、これをそのまま粉砕処理して、粉末状の組成物を調製した。そして、実施例4の粉末状の組成物(乳化・増粘組成物)に代えて、上記組成物を用いる以外は、実施例4と同様にして、マヨネーズ風調味料を作製した。
このようにして得られた実施例4および比較例3〜6のマヨネーズ風調味料に関し、その物性評価および官能評価を、専門のパネラー10名により行い、これをもとに評価をまとめた。その結果、実施例4品は、乳化状態がよく、粘性が高いものであり、しかも、良好な発酵風味を有するものであるとの評価が得られた。これに対し、比較例3品は、乳化はしているが、発酵を過剰に行っているため、油の分離がややみられ、しかも、多数の胞子が混じり見栄えが悪く、アンモニア臭も感じられるとの評価であった。比較例4品は、実施例4のルーピン豆に代えて、大豆を用いたものであるが、乳化物形成がなされておらず、油っぽく、さらに、多数の胞子が混じり見栄えが悪く、アンモニア臭も感じられると評価された。比較例5,6品は、発酵が行われてないため、乳化物形成がなされておらず、油っぽいとの評価が得られた。
なお、比較例4,6品のように大豆を使用したものは、風味等に特有のクセ(大豆由来の青臭さ、みそ臭さ等のクセ)があるとの評価が得られた。また、比較例5品のようにルーピン豆を発酵させなかったものも、大豆ほどではないが、風味等に特有のクセがあるとの評価が得られた。
ところで、上記実施例では、麹菌(アスペルギルス・オリゼ)を使用したもののみを示したが、他のアスペルギルス(Aspergillus) 属の菌や、またリゾプス(Rhizopus)属の菌を使用した場合も、上記実施例に準じる結果が得られることが、実験により確認されている。また、上記実施例で使用のルーピン豆を、他の種類のルーピン豆に代えた場合も、上記実施例に準じる結果が得られることが、実験により確認されている。すなわち、菌の種類やルーピン豆の種類を変えても、発酵時間や熱水可溶性多糖類の含有量を、上記実施例と同様に規定することにより、所望の増粘効果・乳化安定効果が得られるようになる。
なお、実施例の組成物は、低カロリーで、風味等に特有のクセがなく、しかも、ルーピン豆に高含有する食物繊維の大部分が可溶化した状態で存在するため、水溶性食物繊維を強化した食品用の添加剤としても有用であることが確認されている。また、アミノ酸やペプチド等の水溶化タンパクも豊富に含まれているため、消化吸収性に優れたタンパク補給用食品への応用も可能であることが確認されている。さらに、その発酵により得られた遊離アミノ酸も豊富に含まれているため、食品に添加することにより呈味性を向上させる効果もあることが確認されている。
本発明の製法により得られる乳化・増粘組成物は、安全性に優れており、乳化安定効果や増粘効果が要求される各種食品に使用することができる。さらに、乳化安定効果や増粘効果が要求される他の技術分野(家畜用飼料、化粧品等)への応用も可能である。
実施例および比較例の組成物に対する、その粘度と、発酵時間との関係を示すグラフ図である。 実施例および比較例の組成物に対する、その乳化指数と、発酵時間との関係を示すグラフ図である。

Claims (7)

  1. 水煮または蒸煮されたルーピン豆を、無塩条件下で、糸状菌類であるアスペルギルス(Aspergillus) 属またはリゾプス(Rhizopus)属の菌により15〜40時間発酵させる工程と、その発酵物を、物理的加工処理によりペースト状または粉末状にする工程とを備えていることを特徴とする乳化・増粘組成物の製法。
  2. 上記アスペルギルス(Aspergillus) 属の菌が、アスペルギルス・オリゼ(Aspergillus.oryzae)、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus.niger) 、アスペルギルス・ソーエ(Aspergillus.sojae) 、アスペルギルス・アワモリ(Aspergillus.awamori) 、アスペルギルス・サイトイ(Aspergillus.saitoi)、アスペルギルス・カワチ(Aspergillus.kawachii)およびアスペルギルス・ウサミ(Aspergillus.usami) からなる群から選ばれた少なくとも一つである請求項1記載の乳化・増粘組成物の製法。
  3. 上記リゾプス(Rhizopus)属の菌が、リゾプス・オリゴスポラス(Rhizopus.oligosporus)およびリゾプス・オリゼ(Rhizopus.oryzae) の少なくとも一つである請求項1記載の乳化・増粘組成物の製法。
  4. 上記発酵を、25〜35℃の温度環境下で行う請求項1〜3のいずれか一項に記載の乳化・増粘組成物の製法。
  5. 上記物理的加工処理が、グラインダーによる磨り潰し処理、ミル粉砕処理、凍結粉砕処理、凍結乾燥粉砕処理のいずれかである請求項1〜4のいずれか一項に記載の乳化・増粘組成物の製法。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の製法により得られることを特徴とする乳化・増粘組成物。
  7. 請求項6記載の乳化・増粘組成物を含有することを特徴とする食品。
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JP2014118554A (ja) * 2012-12-19 2014-06-30 Gekkeikan Sake Co Ltd 水中油型乳化物の品質保持剤、及び油脂含有組成物
JP2016063774A (ja) * 2014-09-24 2016-04-28 不二製油株式会社 納豆菌発酵物およびその製造方法
WO2022232880A1 (en) * 2021-05-05 2022-11-10 Eighth Day Foods Holdings Pty Ltd Fermented food products

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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