JP2010043296A - めっき密着性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板 - Google Patents

めっき密着性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板 Download PDF

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Abstract

【課題】めっき層の構造を特別に制御しなくても、強加工時のめっき密着性を確保することが可能な、合金化溶融亜鉛めっき鋼板を提供する。
【解決手段】質量%で、C:0.001〜0.3%、Si:0.001〜3.0%、Mn:0.1〜3.0%、Al:0.001〜2.0%、P:0.0001〜0.3%、S:0.0001〜0.1%、N:0.0001〜0.007%、を含有し、残部がFe及び不可避不純物である鋼板母材の表面に、質量%で、Fe:5.0〜20.0%、Al:0.01〜0.5%を含有する亜鉛めっき層を有する合金化溶融亜鉛めっき鋼板であって、鋼板母材の表層10μm以内の領域に、質量%で、Cu:0.01〜1.0%、Sn:0.01〜1.0%の1種又は2種を含有することを特徴とする、めっき密着性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板である。
【選択図】図2

Description

本発明は、自動車の車体用途に適する、めっき密着性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板に関する。
合金化溶融亜鉛めっきは、鋼板の防食を目的として施され、広範囲に使用されている。その製造方法は、連続式溶融亜鉛めっきライン(以下、CGLと称する)において、脱脂洗浄後、H2及びN2を含む還元雰囲気にて、ラジアントチューブによる間接加熱により焼鈍し、めっき浴温度近傍まで冷却した後に、溶融亜鉛めっき浴に浸漬し、めっき浴を出た後に再加熱して合金化すると言う全還元炉方式が一般的である。
合金化溶融亜鉛めっき鋼板の使用用途は、自動車の外板や構造部材等、自動車用鋼板としての用途が多いが、自動車用鋼板においては、複雑化している自動車のボディ形状に対応するため、複雑な形状にプレス成形しても、めっき密着性を確保することができることが求められている。
合金化溶融亜鉛めっき鋼板のめっき層の構造は、図1に示すように、めっき層と鋼板母材5の界面からΓ相(Zn10Fe3)4、Γ1相(Zn21Fe5)3、δ1相(Zn7Fe)2、ζ相(Zn13Fe)1という、FeとZnの金属間化合物の積層構造になっている。このうち、界面に存在するΓ相は、非常に硬くて脆く、加工時に容易に破壊されるので、複雑な形状にプレス加工した後、界面のΓ相を起点としてめっき層が剥離する、所謂、パウダリングが起こることがある。
パウダリングが起こり難くするためには、Γ相の厚さを薄くすることが有効である。Γ相の厚さを薄くするには、加熱合金化過程において、合金化度を弱める、即ち、合金化時間を短くするか、低温で合金化すればよい。
一方、Γ相を薄くするために合金化度を低くすると、めっき層表面に、ζ相が多く残存する。ζ相は、軟質であるために、めっき層表面にζ相が多いと、プレス加工時に、金型がめっき層に食い込み、鱗片状にめっき層が剥離する、所謂、フレーキングが起こる。
耐パウダリング性及び耐フレーキング性を両立させるには、めっき層中のΓ相、ζ相の両方を、できる限り少なくして、δ1相を多くすることが有効である。しかし、両者を適正範囲に制御するのは容易ではなく、これまで様々な方法が取られてきた。
例えば、特許文献1には、合金化時に、急速加熱と急速冷却を組み合わせることによりΓ相の成長を抑制して、パウダリング性を改善する技術が開示されている。
また、特許文献2には、IF(Interstitial Free)鋼を原板として、鋼中に、Si、Pを微量添加することにより、母材結晶粒界へのZnの拡散を促進させ、めっき密着性を向上させた鋼板が開示されている。
特開平1−279738号公報 特開平10−46305号公報
しかし、特許文献1に開示の技術では、Γ相を薄くすれば、パウダリング性は向上するものの、Γ相の本質は変わっていないため、さらに強加工した場合には、めっき密着性を確保できない恐れがある。特許文献2に開示の技術は、IF鋼を原板とした場合に限られる技術であり、最初から、SiやPを多量に含有している高強度鋼板には適用することができない。
本発明は、前述のような従来技術の問題点を解決し、めっき密着性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板を提供することを目的とする。
上記問題を解決するため、本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、合金化溶融亜鉛めっき鋼板の鋼板母材の表層に、Cu、及び、Snの1種又は2種を含有させることにより、めっき密着性、特に、耐パウダリング性が向上し、Γ相の厚さを特に制御しなくても、強加工時にも、パウダリングが起こり難くなり、これまでよりも、めっき密着性を確保することができることを見出した。
さらに、鋼板母材の表層に加えて、めっき層にも、Cu、及び、Snの1種又は2種を含有させることで、めっき密着性が向上する、特に、耐フレーキング性がより高まることを見出した。
上記の耐パウダリング性の向上効果と相俟って、めっき層中のFe濃度、Γ相、ζ相の厚さや量を、従来のように厳しく制御することなく、強加工時にも、めっき密着性を確保することが可能であることを見出した。
鋼板母材の表層、及び、めっき層中に、Cu、及び、Snの1種又は2種を含有させることによって、めっき密着性が向上する理由の詳細については不明であるが、鋼板母材及びめっき層を、上記の構造とすることで、強加工時においても、めっき密着性を確保することができることを見出したのである。
本発明は、上記知見に基づいて完成されたもので、その要旨とするところは、以下の通りである。
(1)質量%で、
C:0.001〜0.3%、
Si:0.001〜3.0%、
Mn:0.1〜3.0%、
Al:0.001〜2.0%、
P:0.0001〜0.3%、
S:0.0001〜0.1%、
N:0.0001〜0.007%
を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる鋼板母材の表面に、質量%で、
Fe:5.0〜20.0%、
Al:0.01〜0.5%
残部がZn及び不可避的不純物からなる亜鉛めっき層を有する合金化溶融亜鉛めっき鋼板であって、鋼板母材の表層10μm以内の領域に、質量%で、
Cu:0.01〜1.0%、及び、
Sn:0.01〜1.0%、
の1種又は2種を含有する
ことを特徴とするめっき密着性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板。
(2)前記鋼板母材のCu、及び、Snの1種又は2種を含有する領域の深さが、鋼板母材の表層1μm以内であることを特徴とする上記(1)に記載のめっき密着性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板。
(3)前記鋼板母材の表層が含有するCu、及び、Snの含有量が、質量%で、それぞれCu:0.01〜0.2%、及び、Sn:0.01〜0.2%であることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載のめっき密着性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板。
(4)前記亜鉛めっき層中に、質量%で、Cu:0.01〜1.0%、及び、Sn:0.01〜1.0%、の1種又は2種を含有することを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載のめっき密着性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板。
(5)前記亜鉛めっき層中のCu、及び、Snの含有量が、質量%で、それぞれ、Cu:0.01〜0.2%、及び、Sn:0.01〜0.2%であることを特徴とする上記(4)に記載のめっき密着性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板。
本発明の合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、鋼板母材の表層近傍、及び、めっき層中に、Cu、及び、Suの1種又は2種を含有することにより、強加工時にも、めっき密着性を確保することが可能なものであり、自動車の外板や構造部材等の用途に、極めて有効なものである。
以下、本発明を詳細に説明する。
まず、上記(1)において、鋼中成分を限定している理由を説明する。
鋼板母材中のC含有量を0.001〜0.3質量%の範囲に規定しているのは、0.001質量%未満とすることは、経済的に不利となる恐れがあり、一方、溶接性を保持することが可能な上限として、0.3質量%が好ましいからである。
鋼板母材中のSi含有量を0.001〜3.0質量%の範囲に限定しているのは、0.001質量%未満とすることは、経済的に不利となる恐れがあり、一方、溶接性を保持することが可能な上限として、3.0質量%が好ましいからである。
鋼板母材中のMn含有量を0.1〜3.0質量%の範囲に限定しているのは、0.1質量%未満とすることは、経済的に不利となる恐れがあり、一方、上限を3.0質量%としたのは、これを上回る添加は、鋼板の延性に悪影響を及ぼす恐れがあるためである。
鋼板母材中のAl含有量を0.001〜2.0質量%の範囲に限定しているのは、0.001質量%未満とすることは、経済的に不利となる恐れがあり、一方、2.0質量%を超えると、溶接性を悪化させる恐れがあるためである。
鋼板母材中のP含有量を0.0001〜0.3質量%の範囲に限定しているのは、0.0001質量%未満とするのは、コスト的に不利となる恐れがあり、一方、0.3質量%を超えると、溶接性を悪化させる恐れがあるためである。
鋼板母材中のS含有量を0.0001〜0.1質量%の範囲に限定しているのは、0.0001質量%未満とするのは、コスト的に不利となる恐れがあり、一方、0.1質量%を超えると、溶接性を悪化させる恐れがあるためである。
鋼板母在中のN含有量を0.0001〜0.007質量%の範囲に限定しているのは、0.0001質量%未満とするのは、コスト的に不利となる恐れがあり、一方、0.007質量%を超えると、加工性が低下する恐れがあるからである。
上記(1)において、亜鉛めっき層中のFe含有量を5.0〜20.0質量%の範囲に限定しているのは、5.0質量%未満では、スポット溶接性が劣るからであり、一方、20.0質量%を超えると、Γ相の厚さが厚くなりすぎて、本発明で規定しているような鋼板母材及びめっき層の構造としても、めっき密着性の確保が困難となるからである。
めっき層中のAl含有量を0.01〜0.5質量%の範囲に限定しているのは、めっき層中にAlを0.01質量%以上含有させることにより、過剰なζ相とΓ相の生成を抑制することができるからである。一方、0.5質量%を超えてAlを添加すると、Alがめっき層表面に濃化して、スポット溶接性を悪化させる。そのため、上限を0.5質量%とした。
めっき層中のFe及びAlの濃度を測定するには、めっき層を酸で溶解し、溶解液を化学分析する方法を用いればよい。例えば、30mm×40mmに切断した合金化溶融亜鉛めっき鋼板について、インヒビタを添加した5%HCl水溶液で、鋼板母材の溶出を抑制しながら、めっき層のみを溶解し、溶解液をICP発光して得られた信号強度と、濃度既知溶液から作成した検量線から、Fe及びAlの含有量を定量する方法を用いればよい。
めっき付着量については、特に制約はないが、耐食性の観点から、片面付着量で、5g/m2以上が望ましい。また、めっき密着性を確保するとの観点からは、片面付着量で、100g/m2を超えないことが望ましい。
本発明の溶融亜鉛めっき鋼板上に、塗装性や、溶接性を改善する目的で、上層めっきを施すことや、各種の処理、例えば、クロメート処理、非クロメート処理、りん酸塩処理、潤滑性向上処理、溶接性向上処理等を施すことは、本発明を逸脱するものではない。
本発明の合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、鋼板母材の表層に、Cu、及び、Snの1種又は2種を含有させることにより、めっき密着性を向上させている。本発明の合金化溶融亜鉛めっき鋼板の断面構造の一例を、模式的に、図2に示す。
鋼板母材の表層に、Cu、及び、Snの1種又は2種を含有させることにより、めっき密着性が向上するのは、CuやSnが、鋼板母材の粒界に偏析し、加工時に、鋼板母材表層の粒界が脆化して割れることにより、Γ相内に集中した応力を緩和して、Γ相を起点とする割れが生じ難くなるからであると考えられる。
即ち、鋼板母材の表層に、Cu、及び、Snの1種又は2種を含有させることにより、特に、耐パウダリング性を向上させることができる。
鋼板母材表層のCu、及び、Snの含有量を、質量%で、それぞれ、Cu:0.01〜1.0%、及び、Sn:0.01〜1.0%としたのは、Cu及び/又はSnを0.01%以上含有させることにより、めっき密着性を向上させる効果が現れるからであり、一方、1.0%を超えて含有させると、逆に、鋼板母材表層の粒界同士の密着力が弱くなり、加工時に、母材ごと、めっき層が剥離する恐れがあるからである。また、鋼板母材の割れの程度がひどくなり、プレス割れ等の恐れがあるからである。
鋼板母材の表層がCu及び/又はSnを含有している領域を、10μm以内と規定したのは、10μm超の領域にCu及び/又はSnを含んでいても、めっき密着性を向上させる効果が飽和するばかりか、鋼板母材の材質、特に、延性に悪影響を及ぼすからである。延性の低下が著しい場合には、プレス割れを起こすこともある。
本発明の合金化溶融亜鉛めっき鋼板の鋼板母材は、表層以外は、Cu及びSnを、意図的には含有させていない。しかし、スクラップ等から不可避的に混入するトランプエレメントとしてのCu及び/又はSnは、鋼板母材の材質に悪影響を及ぼさない程度、即ち、Cu:0.01質量%未満、Sn:0.01質量%未満であれば、含有していても構わない。
鋼板母材の表層の、Cu及びSnの含有量、及び、含有している領域を確認するには、めっき鋼板の断面から組織観察を行い、鋼板母材の表層を断面から組成分析すればよい。
例えば、めっき鋼板を樹脂に埋め込んで、断面を鏡面研磨した後、電解放出型走査型電子顕微鏡(FE−SEM)により観察する方法と、エネルギー分散型X線検出器(EDX)により組成分析を行う方法が挙げられる。
EDXで分析すれば、鋼板母材の表層におけるCu及びSnの濃度、また、その存在している深さを確認することができる。
CuやSnを鋼板母材の表層に含有させるには、CuやSnを、鋼板母材以外から供給する必要がある。
冷間圧延後の鋼板を、連続焼鈍ライン(CAPL)にて700〜900℃で焼鈍した後、酸洗した後に、鋼板表面に、Cu及び/又はSnを付着させ、その後、CGLに通板して、焼鈍炉で600〜700℃で焼鈍して、Cu及び/又はSnを、鋼板母材表層に加熱拡散させ、その後、通常のめっき、合金化処理を行うことにより、鋼板母材の表層に、Cu及びSnの1種又は2種を含有させた合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造することができる。
CGL通板前に、鋼板表面にCu及び/又はSnを付着させる方法としては、電気めっき、無電解めっき、気相めっき、などが考えられるが、その方法は、特に限定されるものではない。
鋼板母材の表層にCu及び/又はSnを含有している領域を、10μm以内に制御するには、鋼板表面にCu及び/又はSnを付着させた後、CGLで、600〜700℃で焼鈍する際の焼鈍時間を、120秒以内とすればよい。
鋼板母材の表層のCu、及び、Snの含有量を、質量%で、それぞれ、Cu:0.01〜1.0%、及び、Sn:0.01〜1.0%とするには、CGL通板前に、鋼板表面に付着させるCu、及び、Snの付着量を、それぞれ、Cu:0.01〜1.0g/m2、及び、Sn:0.01〜1.0g/m2とすればよい。
上記(2)において、鋼板母材がCu及び/又はSnを含有している領域が、鋼板母材表面から1μm以内であると限定したのは、1μm以内とすることで、めっき密着性の向上効果が、特に高まるからである。
上記(3)において、鋼板母材が表層近傍に含有しているCu、及び、Snの含有量を、質量%で、それぞれ、Cu:0.01〜0.2%、及び、Sn:0.01〜0.2%に限定したのは、Cu及びSnの含有量を、0.01〜0.2%の範囲とすることで、めっき密着性を向上させる効果が、特に高くなるからである。
上記(4)において、亜鉛めっき層中に、Cu及びSnの1種又は2種を含有するとしたのは、鋼板母材に加え、亜鉛めっき層中にも、Cu及びSnの1種又は2種を含有させることにより、めっき密着性の向上効果、特に、耐フレーキング性がさらに高まるからである。
その理由としては、めっき層の表層に存在しているζ相に、CuやSnが固溶することにより、ζ相の硬度が上昇し、プレス成形時に、金型との滑り性がよくなるからであると考えられる。
Cu及び/又はSnは、ζ相のみに濃化しているのではなく、δ相、Γ1相、及び/又は、Γ相中にも固溶し、めっき層全体に均一に分布しているものと考えられる。
亜鉛めっき層中のCu、及び、Snの含有量を、質量%で、それぞれ、Cu:0.01〜1.0%、及び、Sn:0.01〜1.0%と規定したのは、Cu及び/又はSnを0.01%以上含有させることにより、めっき密着性を向上させる効果が現れるからであり、一方、1.0%超含有させても、その効果が飽和するばかりか、めっき層の硬度が上昇しすぎて、密着性が低下する恐れがあるからである。
めっき層中のCu及びSnの含有量を確認するには、前述した、めっき層中のFe及びAlの濃度を測定する方法と同様の方法、即ち、めっき層を酸で溶解し、溶解液を化学分析する方法を用いればよい。
鋼板母材に加えて、めっき層中にもCu及び/又はSnを含有させるには、鋼板母材の表層近傍にCu及び/又はSnを含有させるのと同様に、CAPLで焼鈍後、CGLの通板前に、Cu及び/又はSnを鋼板母材表面に付着させればよいが、CGLでの焼鈍温度を低くする必要がある。即ち、焼鈍温度が高いと、Cu及び/又はSnが、全て、鋼板母材中に拡散しまうからである。
CGLにおいて、400〜500℃にて120秒以内で焼鈍することによって、鋼板表面に、未拡散のCu及び/又はSnを残存させ、その状態で、めっき、合金化を行うことにより、鋼板母材に加えて、めっき層中にも、Cu及びSnの1種又は2種を含有させた合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造することができる。
上記(5)において、亜鉛めっき層が含有しているCu、及び、Snの含有量を、質量%で、それぞれ、Cu:0.01〜0.2%、及び、Sn:0.01〜0.2%に限定したのは、Cu及びSnの含有量を、0.01〜0.2質量%の範囲とすることで、めっき密着性を向上させる効果が、特に高くなるからである。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は本実施例に限定されるものではない。
表1に示す組成からなるスラブを1150〜1200℃に加熱し、仕上げ温度900〜930℃で熱間圧延をして、厚さ4mmの熱間圧延鋼帯とし、580〜680℃で巻き取った。酸洗後、冷間圧延を施して、厚さ1.0mmの冷間圧延鋼帯とした後、CAPLに通板して700〜900℃で焼鈍した。
その後、酸洗を施し、表2及び表3に示す付着量で、Cu、Snを電気めっきによって付着させ、CGLの焼鈍工程において、N2―5vol%H2の雰囲気中で、表2及び表3に示すような条件で、焼鈍後、浴中Al濃度0.1〜0.2質量%、浴温450〜465℃のめっき浴に3〜10秒浸漬し、その後、460〜580℃で10〜200秒間、合金化した。
Figure 2010043296
Figure 2010043296
Figure 2010043296
めっき層中のFe濃度、Al濃度、Cu濃度、及び、Sn濃度は、前述のように、インヒビタを添加した5%HCl水溶液でめっき層のみを溶解し、溶解液をICP発光分析することにより測定した。
鋼板母材表層のCu濃度、Sn濃度、及び、存在深さは、前述のように、めっき鋼板を樹脂に埋め込んで、断面を鏡面研磨した後、FE−SEMによる観察と、EDXによる組成分析により、測定した。
耐パウダリング性の評価は、45°V曲げ試験により、行った。評価面が、曲げの内側に来るように、先端の曲率半径が1mmである金型を用いて、60°に曲げ加工し、曲げ部内側にテープを貼り、テープを引き剥がした。テープと共に剥離しためっき層の剥離状況から、5点満点で耐パウダリング性を評価した。
評点付けは、5点:剥離幅2mm未満、4点:剥離幅2mm以上3mm未満、3点:剥離幅3mm以上5mm未満、2点:剥離幅5mm以上7mm未満、1点:剥離幅7mm以上とし、2点以上を合格とした。
耐フレーキング性の評価は、ドロービード試験により、行った。ドロービード試験には、凸部先端の曲率半径が1mmの凸金型と、凹部肩の曲率半径が1mm、凹部深さが3mmである凹金型を組み合わせて用い、サンプルサイズ30×300mmの鋼板に対して、押し付け加重500kgf、引き抜き速度200mm/min、引き抜き距離50mmでドロービード試験した。その後、ビード通過面にテープを張り、テープを引き剥がした。
剥離前後の重量差から、テープと共に剥離しためっき層の重量を求め、その剥離量によって、5点満点で耐フレーキング性を評価した。
評点付けは、5点:剥離量2g/m2未満、4点:2以上4未満、3点:4以上8未満、2点:8以上12未満、1点:剥離量12g/m2以上とし、2点以上を合格とした。
鋼板母材の加工後の割れの有無は、45°V曲げ試験後、及び、ドロービード試験後のサンプルを目視で確認することにより行った。鋼板母材が破断したもの、又は、目視で確認できるほど割れが生じたものを×、目視では鋼板割れが確認できなかったものを○とし、○を合格とした。
評価結果を、表4及び表5に示す。表4及び表5より、本発明例は、全て、めっき密着性の評価が合格レベルを満たしている。本発明の範囲を満たさない比較例は、いずれも、めっき密着性の評価が低い。
Figure 2010043296
Figure 2010043296
一般的な合金化溶融亜鉛めっき鋼板の断面構造を模式的に示す図である。 本発明の合金化溶融亜鉛めっき鋼板の断面を模式的に示す図である。
符号の説明
1 ζ相(Zn13Fe)
2 δ1相(Zn7Fe)
3 Γ1相(Zn21Fe5
4 Γ相(Zn10Fe3
5 鋼板母材
6 合金化溶融亜鉛めっき層
7 鋼板母材の表層に、Cu、Snの1種又は2種を含有している領域
8 鋼板母材

Claims (5)

  1. 質量%で、
    C:0.001〜0.3%、
    Si:0.001〜3.0%、
    Mn:0.1〜3.0%、
    Al:0.001〜2.0%、
    P:0.0001〜0.3%、
    S:0.0001〜0.1%、及び、
    N:0.0001〜0.007%
    を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる鋼板母材の表面に、質量%で、
    Fe:5.0〜20.0%、
    Al:0.01〜0.5%
    残部がZn及び不可避的不純物からなる亜鉛めっき層を有する合金化溶融亜鉛めっき鋼板であって、鋼板母材の表層10μm以内の領域に、質量%で、
    Cu:0.01〜1.0%、及び、
    Sn:0.01〜1.0%、
    の1種又は2種を含有する
    ことを特徴とするめっき密着性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板。
  2. 前記鋼板母材のCu、及び、Snの1種又は2種を含有する領域の深さが、鋼板母材の表層1μm以内であることを特徴とする請求項1に記載のめっき密着性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板。
  3. 前記鋼板母材の表層が含有するCu、及び、Snの含有量が、質量%で、それぞれ、
    Cu:0.01〜0.2%、及び、Sn:0.01〜0.2%であることを特徴とする請求項1又は2に記載のめっき密着性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板。
  4. 前記亜鉛めっき層中に、質量%で、
    Cu:0.01〜1.0%、及び、
    Sn:0.01〜1.0%
    の1種又は2種を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のめっき密着性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板。
  5. 前記亜鉛めっき層中のCu、及び、Snの含有量が、質量%で、それぞれ、
    Cu:0.01〜0.2%、及び、Sn:0.01〜0.2%であることを特徴とする請求項4に記載のめっき密着性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板。
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