JP2010043216A - 装飾用粘着シート - Google Patents
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Abstract
【課題】 本発明は、充分な金属光沢を有し且つ曲面への追従性、耐候性及び耐薬品性に優れた装飾用粘着シートを提供する。
【解決手段】 本発明の装飾用粘着シートは、基材シート1の一面にウレタン系接着剤層2を介して金属薄膜層3が積層一体化されていると共に、上記金属薄膜層3上にはコーティング層4及びアクリル系樹脂シート5が積層一体化され、上記コーティング層4は、ヒンダードアミン骨格及びベンゾトリアゾール骨格を有するアクリル系樹脂を含有し、上記アクリル樹脂シート5の引張伸度が100%以上であり、上記基材シート1の他面には粘着剤層6が積層一体化されていることを特徴とする。
【選択図】 図1
【解決手段】 本発明の装飾用粘着シートは、基材シート1の一面にウレタン系接着剤層2を介して金属薄膜層3が積層一体化されていると共に、上記金属薄膜層3上にはコーティング層4及びアクリル系樹脂シート5が積層一体化され、上記コーティング層4は、ヒンダードアミン骨格及びベンゾトリアゾール骨格を有するアクリル系樹脂を含有し、上記アクリル樹脂シート5の引張伸度が100%以上であり、上記基材シート1の他面には粘着剤層6が積層一体化されていることを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
本発明は、自動車、オートバイ、家電製品などの外面に貼着して使用される装飾用粘着シートに関する。
装飾用粘着シートとしては、塩化ビニル樹脂、アクリル系樹脂、フッ素系樹脂などからなる樹脂フィルムの一面に、粘着剤層が形成されてなるものが知られている。上記装飾用粘着シートは、その粘着剤層を装飾を施したい材料に貼着させて、上記樹脂フィルムの色や模様により装飾効果を発揮させるものであり、近年塗装に代わり、自動車、オートバイ、家電製品などの装飾分野、広告、看板、ラベル・ステッカー類などのディスプレイ分野、ラッピングバスなどのフリートマーキング分野などに使用されるようになっている。
このような装飾用粘着シートとしては、特許文献1に、保護フィルム層が、粘着剤層(1)を介してマーキングフィルム層に積層されてなることを特徴とするマーキングフィルム積層シートが提案されている。そして、このマーキングフィルム積層シートにおける、上記保護フィルム層がポリオレフィン系樹脂フィルムからなり、上記粘着剤層(1)がエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体及びエチレン−メチルアクリレート共重合体から選ばれた少なくとも一種の樹脂からなることが好ましいことが開示されている。
しかしながら、上記マーキングフィルム積層シートは、外観を変化させることなく曲率の大きな面に追従させた状態で貼着するのが困難であるため、自動車やオートバイの車体などの曲率の大きな曲面を有する被着体への貼着に適していなかった。
又、曲面への追従性に優れた装飾用粘着シートとしては、特許文献2に、ウレタン樹脂フィルム層を二層構成とし、その上層の架橋型ウレタン樹脂よりなるフィルム層表面に金属蒸着膜を形成した金属蒸着ウレタンフィルムであって、上記架橋型フィルム層の100%モジュラスが、5〜30MPaであることを特徴とする金属蒸着ウレタンフィルムが提案されている。
しかしながら、上記金属蒸着ウレタンフィルムは、表面に傷がつきやすいため、装飾性が損なわれたり、汚れが落ちにくくなりやすいという問題点があった。又、上記金属蒸着ウレタンフィルムは、長期間ガソリン蒸気に曝されると、変色・変質したり、層間剥離が発生するため、自動車やオートバイ用の装飾用粘着シートには不適であった。
そして、ガソリン蒸気の存在下での使用が可能で且つ曲面への追従性にも優れた装飾用粘着シートとしては、特許文献3に、塩化ビニル樹脂を含んでなる光透過性被覆フィルム、飽和ポリエステル又はアミノエチル化樹脂を含んでなる層と、シロキサン結合を分子内に有するポリエステル又はシロキサン結合を分子内に有するポリエステル単位を含むポリウレタン樹脂を含んでなる層とを含んでなる光透過性結合層及び金属層がこの順に積層一体化されてなる装飾性シートが提案されている。
しかしながら、上記装飾性シートは、充分な金属光沢が得られず、装飾性に劣ることがあった。
本発明は、充分な金属光沢を有し且つ曲面への追従性、耐候性及び耐薬品性に優れた装飾用粘着シートを提供する。
本発明の装飾用粘着シートは、基材シートの一面にウレタン系接着剤層を介して金属薄膜層が積層一体化されていると共に、上記金属薄膜層上にはコーティング層及びアクリル系樹脂シートが積層一体化され、上記コーティング層は、ヒンダードアミン骨格及びベンゾトリアゾール骨格を有するアクリル系樹脂を含有し、上記アクリル樹脂シートの引張伸度が100%以上であり、上記基材シートの他面には粘着剤層が積層一体化されていることを特徴とする。
そして、上記装飾用粘着シートにおいて、アクリル系樹脂シートの厚みが0.1〜10μmであると共に、基材シートの厚みが20〜110μmであることを特徴とする。
又、上記装飾用粘着シートにおいて、基材シートは、塩化ビニル系樹脂を主成分とすることを特徴とする。
更に、上記装飾用粘着シートにおいて、基材シートと金属薄膜層とがドライラミネート法によってウレタン系接着剤層を介して一体化されてなることを特徴とする。
そして、上記装飾用粘着シートにおいて、アクリル系樹脂シートが硬化剤を含有していることを特徴とする。
更に、上記装飾用粘着シートにおいて、アクリル系樹脂シートが、アクリル系樹脂100重量部に対して硬化剤0.1〜3重量部を含有していることを特徴とする。
本発明の装飾用粘着シートは、アクリル系樹脂シートを有しており、このアクリル系樹脂シートは、透明性及び耐候性に優れていることから、アクリル系樹脂シートを透して金属薄膜層を良好に視認することができ優れた金属光沢を発揮し、装飾性に優れた装飾用粘着シートとして自動車、オートバイ、家電製品など様々な用途に好適に使用される。
又、上記装飾用粘着シートは、柔軟性にも優れていることから、曲面への追従性に優れており、曲率の大きな面を有する被着体にも好適に使用することができる。
更に、上記装飾用粘着シートは、耐候性に優れたアクリル系樹脂シートを有しており、変色したり光沢感が損なわれたりすることは殆どなく、又、ウレタン系接着剤層も耐薬品性に優れているため、ガソリン蒸気などの薬品に曝されてもウレタン系接着剤層は劣化されにくく、金属薄膜層と基材層とが層間剥離するようなことはなく長期間に亘って使用することができる。
本発明の装飾用粘着シートの一例を図面を参照しながら説明する。装飾用粘着シートAは、基材シート1の一面にウレタン系接着剤層2を介して金属薄膜層3が積層一体化されていると共に、上記金属薄膜層3上にはコーティング層4及びアクリル系樹脂シート5がこの順序で積層一体化され、上記基材シート1の他面には粘着剤層6が積層一体化されている。
本発明の装飾用粘着シートAには、装飾用粘着シートの機械的強度を担保し、被着体に貼着させる際の作業性を向上させる目的で基材シート1を有している。この基材シート1としては、特に限定されず、例えば、塩化ビニル系樹脂シート、アクリル系樹脂シート、プロピレン系樹脂シートなどの合成樹脂シートが挙げられ、自動車やオートバイの車体などの曲率の大きな曲面を有する被着体への貼着が良好であることから、塩化ビニル系樹脂シートが好ましい。
そして、上記塩化ビニル系樹脂シートを構成する塩化ビニル系樹脂としては、特に限定されず、例えば、塩化ビニルモノマーの単独重合体、塩化ビニルモノマーとこれと共重合可能な他のモノマーとの共重合体などが挙げられる。
なお、上記塩化ビニルモノマーと共重合可能な他のモノマーとしては、特に限定されず、例えば、酢酸ビニルモノマー、ウレタンモノマー、エチレンモノマーなどが挙げられる。
又、上記塩化ビニル系樹脂シートには、その柔軟性を向上させる目的で、アジピン酸ポリエステル系可塑剤が含有されるのが好ましい。
そして、上記塩化ビニル系樹脂シートに含有されるアジピン酸ポリエステル系可塑剤としては、特に限定されず、アジピン酸エステルモノマーを単独重合又は共重合してなるアジピン酸ポリエステル樹脂、アジピン酸エステルモノマーとこれと共重合可能な他のモノマーとの共重合体が挙げられる。
又、上記アジピン酸エステルモノマーは、アジピン酸をアルコール類でエステル化してなるものである。上記エステル化に用いられるアルコール類としては、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコールなどが挙げられる。
そして、上記アジピン酸ポリエステル系可塑剤の市販品としては、例えば、旭電化社から市販されている、商品名「アデカサイザーPN−250」、「アデカサイザーPN−260」、「アデカサイザーPN−280」、「アデカサイザーPN−310」、「アデカサイザーPN−350」、「アデカサイザーPN−400」、「アデカサイザーPN−446」、「アデカサイザーPN−606」、「アデカサイザーPN−650」、「アデカサイザーPN−1030」、「アデカサイザーPN−1430」、「アデカサイザーPN−3030」、「アデカサイザーPN−3130」などが挙げられる。これらのアジピン酸ポリエステル系可塑剤は、単独で用いられても、二種以上が併用されてもよい。
なお、可塑剤としては、上記アジピン酸ポリエステル系可塑剤以外に、アゼライン酸、セバチン酸、フタル酸などの二塩基酸をエステル化してなる二塩基酸エステルモノマーを重合してなる可塑剤や、一塩基酸をエステル化してなる一塩基酸エステルモノマーを重合してなる可塑剤なども市販されているが、塩化ビニル系樹脂シートには、これらの可塑剤の中でも、後述する粘着剤層への移行が発生しにくいアジピン酸ポリエステル系可塑剤を用いるのが好ましい。
即ち、上記アジピン酸ポリエステル系可塑剤は、塩化ビニル系樹脂シートから粘着剤層6へ移行しにくく、(1)塩化ビニル系樹脂シートの柔軟性が失われて、装飾用粘着シートの曲面への追従性が低下する、(2)粘着剤層が軟化されることにより、装飾用粘着シートの被着体に対する適度な粘着力が損なわれる、(3)粘着剤層が軟化されて凝集力が低下し、装飾用粘着シートを被着体から剥離させた際に被着体の表面に糊残りが生じるなどの問題を生じさせにくいため、塩化ビニル系樹脂シート中にアジピン酸ポリエステル系可塑剤が含有されてなる装飾用粘着シートは、被着体への適度な粘着力を有し、被着体から剥離させた際に被着体の表面に糊残りを生じにくいと共に、曲面への追従性に優れたものとなる。
そして、上記アジピン酸ポリエステル系可塑剤の重量平均分子量は1700〜2500が好ましく、1800〜2400がより好ましい。これは、アジピン酸ポリエステル系可塑剤の重量平均分子量が小さいと、アジピン酸ポリエステル系可塑剤が粘着剤層へ移行し、(1)塩化ビニル系樹脂シートの柔軟性が失われて、装飾用粘着シートの曲面への追従性が低下する、(2)粘着剤層が軟化されることにより、装飾用粘着シートの被着体に対する適度な粘着力が損なわれる、(3)粘着剤層が軟化されて凝集力が低下し、装飾用粘着シートを被着体から剥離させた際に被着体の表面に糊残りが生じるなどの問題が生じることがあるからである。一方、アジピン酸ポリエステル系可塑剤の重量平均分子量が大きいと、アジピン酸ポリエステル系可塑剤の粘度が高くなり、塩化ビニル系樹脂シートの製膜時において、塩化ビニル系樹脂シートを構成する樹脂組成物が均一に混練しにくくなって、塩化ビニル系樹脂シートの製膜が困難になることがあるからである。
ここで、上記アジピン酸ポリエステル系可塑剤の重量平均分子量は、光散乱法により測定された値をいう。なお、光散乱法とは、溶液中の分子に光が衝突した際に発生する光の散乱の強度が、その分子の質量に比例することを利用した重量平均分子量の分析方法である。上記光散乱法による重量平均分子量の測定には、光散乱光度計などが用いられる。
そして、上記塩化ビニル系樹脂シート中におけるアジピン酸ポリエステル系可塑剤の含有量は、塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、5〜100重量部が好ましく、10〜90重量部がより好ましく、15〜70重量部が特に好ましい。これは、上記塩化ビニル系樹脂シート中におけるアジピン酸ポリエステル系可塑剤の含有量が少ないと、塩化ビニル系樹脂シートの柔軟性が低下し、特に冬場などの低温条件下では、装飾用粘着シートに縮みが生じて装飾性が低下し、或いは、装飾用粘着シートの曲面への追従性が低下して装飾用粘着シートを被着体に貼着させる際の作業性が低下することがあるからである。一方、アジピン酸ポリエステル系可塑剤の含有量が多いと、塩化ビニル系樹脂シートが柔らかくなり過ぎて、特に夏場などの高温条件下では装飾用粘着シートに延びが生じて装飾性が低下し、或いは、被着体に対する位置決めが困難となって装飾用粘着シートを被着体に貼着させる際の作業性が低下することがあるからである。
更に、上記塩化ビニル系樹脂シートには、その製膜時における変色を防止する目的で、下記式(1)で示されるアルキル錫メルカプト化合物が含有されるのが好ましい。
(R1)n−Sn−(SCH2CH2COOR2)4-n ・・・式(1)
(式中、nは1又は2、R1は炭素数1〜8のアルキル基、R2は炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数1〜8のアルキル基の誘導体)
(式中、nは1又は2、R1は炭素数1〜8のアルキル基、R2は炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数1〜8のアルキル基の誘導体)
上記式(1)において、R1は炭素数1〜8のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、ノルマルオクチル基、2−エチルヘキシル基、イソオクチル基などが挙げられる。なお、上記式(1)において、nの値が2である場合、2つのR1は互いに同一でなくてもよい。
又、上記式(1)において、R2は炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数1〜8のアルキル基の誘導体である。炭素数1〜8のアルキル基としては、上記R1と同様のものが挙げられ、その誘導体としては、ヒドロキシアルキル基、ヒドロキシアルキルオキシ基などが挙げられる。なお、上記式(1)において複数個存在するR2は、互いに同一でなくてもよい。
更に、上記塩化ビニル系樹脂シートには、その製膜時における変色を防止する目的で、有機亜リン酸エステルが含有されるのが好ましい。
上記塩化ビニル系樹脂シートの製膜方法としては、特に限定されず、例えば、溶液キャスティング法、カレンダー成形法などが挙げられ、溶液キャスティング法が好ましい。
そして、上記基材シート1の厚みは、薄いと、装飾用粘着シートの機械的強度が低下して、耐候性が低下することがある一方、厚いと、装飾用粘着シートの柔軟性が低下して、装飾用粘着シートの曲面への追従性が低下し、或いは、金属薄膜層にひび割れが生じることがあるので、20〜110μmが好ましく、30〜70μmがより好ましい。
更に、上記基材シート1の一面には、装飾用粘着シートAに金属光沢を付与し、その装飾性を高める目的で、ウレタン系接着剤層2を介して金属薄膜層3が積層一体化されている。ここで、基材シート1の一面に金属薄膜層3を積層一体化させるにあたってウレタン系接着剤を用いているのは、ウレタン系接着剤以外の接着剤を用いた場合、耐薬品性が不充分となり、ガソリン蒸気などの薬品により劣化されて、基材シート1と金属薄膜層3との間で層間剥離が発生しやすくなるからである。
上記ウレタン系接着剤としては、特に限定されず、例えば、ウレタンプレポリマーからなる主剤とポリイソシアネートからなる硬化剤とを混合させることにより、ウレタンプレポリマー中の水酸基とポリイソシアネート中のイソシアネート基がウレタン結合を形成して硬化する2液型ウレタン系接着剤などが挙げられる。
なお、上記2液型ウレタン系接着剤の市販品としては、三井化学ポリウレタン社から市販されている、商品名「タケラックA−626」、「タケラックA−543」などが挙げられる。
そして、金属薄膜層3を構成する金属としては、特に限定されず、例えば、アルミニウム、銀、クロム、金などが挙げられ、安価であることから、アルミニウムが好ましい。
又、金属薄膜層3の厚みは、薄いと、装飾用粘着シートの金属光沢が不充分になって装飾性が低下することがある一方、厚いと、金属薄膜層にひび割れが生じることがあるので、200〜1000Åが好ましく、400〜800Åがより好ましい。
そして、金属薄膜層3上にはコーティング層4が積層一体化されている。このコーティング層4は、ヒンダードアミン骨格及びベンゾトリアゾール骨格を有するアクリル系樹脂を含有しており、ヒンダードアミン骨格及びベンゾトリアゾール骨格を有するアクリル系樹脂を50〜100重量%含有していることが好ましい。
コーティング層4が上述のアクリル系樹脂を含有していることから、コーティング層4は、透明性及び曲面追従性に優れており、後述するアクリル系樹脂シート5と強固に一体化させることができ、コーティング層4とアクリル系樹脂シート5との間の層間剥離を確実に防止することができる。
コーティング層4を構成するアクリル系樹脂はヒンダードアミン骨格を有しており、このヒンダードアミン骨格は、紫外線に曝露された際に生成するラジカル種を捕捉するため、紫外線の照射によってもコーティング層4は変色などの変質をしない。
更に、コーティング層4を構成するアクリル系樹脂はベンゾトリアゾール骨格も有しており、このベンゾトリアゾール骨格は、紫外線を吸収して光エネルギーを熱エネルギーに変換してラジカル種や低分子成分などの生成を抑制し、コーティング層5が変色などの変質をするのを防止する。
このように、コーティング層4は、ヒンダードアミン骨格及びベンゾトリアゾール骨格を有するアクリル系樹脂を含有しており、コーティング層に別途、紫外線安定剤や紫外線吸収剤を添加する場合と比較して、コーティング層4中にヒンダードアミン骨格及びベンゾトリアゾール骨格を均一に分散させることができる。
従って、コーティング層4は優れた透明性を有しており、この優れた透明性によって装飾用粘着シートは優れた外観を有していると共に、コーティング層4は、均一に分散されたヒンダードアミン骨格及びベンゾトリアゾール骨格によって優れた耐候性をも有している。
ヒンダードアミン骨格及びベンゾトリアゾール骨格を有するアクリル系樹脂としては、ヒンダードアミン骨格を有するモノマーと、ベンゾトリアゾール骨格を有するモノマーと、(メタ)アクリル系モノマーとの共重合体が好ましい。なお、モノマーの重合は、従来公知の重合方法を用いればよく、例えば、塊状重合、溶液重合、乳化重合、懸濁重合、分散重合などが挙げられ、溶液重合が好ましい。
ヒンダードアミン骨格を有するモノマーとしては、ヒンダードアミン骨格とラジカル重合性二重結合とを有するモノマーが好ましい。このようなモノマーとしては、例えば、4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルアミノ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−クロトノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−クロトノイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(メタ)アクリロイル−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(メタ)アクリロイル−4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−クロトノイル−4−クロトノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンなどが挙げられ、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
ベンゾトリアゾール骨格を有するモノマーとしては、ベンゾトリアゾール骨格とラジカル重合性二重結合とを有するモノマーが好ましい。このようなモノマーとしては、例えば、2−[2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシメチル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシプロピル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシヘキシル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−5’−t−ブチル−3’−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]−5−メトキシ−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]−5−シアノ−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]−5−t−ブチル−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]−5−ニトロ−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−5’−(β−メタクリロイルオキシエトキシ)−3’−t−ブチルフェニル]−4−t−ブチル−2H−ベンゾトリアゾールが挙げられ、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
(メタ)アクリル系モノマーとしては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーが挙げられ、(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーが好ましく、アルキル基の炭素数が1〜12である(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーがより好ましい。具体的には、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチルなどが挙げられ、(メタ)アクリル酸オクチルがより好ましい。なお、上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーは、単独で用いられても、二種以上が併用されてもよい。本発明において、(メタ)アクリルは、「アクリル又はメタクリル」を意味する。
更に、上記モノマー以外にも、本発明の趣旨を損なわない範囲で、例えば、スチレン、ブタジエン、イソプレン、α−メチルスチレン、(メタ)アクリロニトリル、無水マレイン酸、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミドなどを共重合してもよい。これらモノマーは単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
なお、ヒンダードアミン骨格及びベンゾトリアゾール骨格を有するアクリル系樹脂は、日本触媒社から商品名「ハルスハイブリッドUV−G」にて市販されている。
ヒンダードアミン骨格及びベンゾトリアゾール骨格を有するアクリル系樹脂は架橋されていてもよい。このアクリル系樹脂を架橋する架橋剤としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、p−ジビニルベンゼン、m−ジビニルベンゼン、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなどの多官能ビニル化合物、イソシアネート化合物(ブロックイソシアネートを含む)、エポキシ化合物、アジリジン化合物、オキサゾリン化合物、多官能酸無水物などを用いてもよく、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
コーティング層4の厚みは、薄いと、装飾用粘着シートの耐候性が低下することがあり、厚いと、装飾用粘着シートの曲面追従性が低下し、装飾用粘着シートを曲げた際にコーティング層にひび割れが生じることがあるので、0.5〜10μmが好ましく、1〜5μmがより好ましい。
そして、コーティング層4上にはアクリル系樹脂シート5が積層一体化さている。このアクリル系樹脂シート5を構成するアクリル系樹脂としては、特に限定されず、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーを単独重合又は共重合してなる(メタ)アクリル酸アルキルエステル樹脂や、(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーとこれと共重合可能な他のビニルモノマーとの共重合体などが挙げられ、(メタ)アクリル酸アルキルエステル樹脂が好ましい。
又、上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーとしては、特に限定されないが、アルキル基の炭素数が1〜12の一級又は二級のアルキルアルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化反応により得られるものが好ましく、具体的には、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチルなどが挙げられ、(メタ)アクリル酸オクチルがより好ましい。なお、上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーは、単独で用いられても、二種以上が併用されてもよい。
このように、装飾用粘着シートAの最外層に透明性、柔軟性及び耐候性に優れたアクリル系樹脂シート5を用いることにより、装飾用粘着シートAは、アクリル系樹脂シート5及びコーティング層4を透して金属薄膜層3を充分に視認することができ優れた金属光沢を有していると共に、曲面への追従性に優れ、耐候性にも優れている。
なお、コーティング層4の代わりに他の合成樹脂シートを使用した場合、例えば、塩化ビニル系樹脂シートを使用した場合は、塩化ビニル系樹脂シートに直接、金属を蒸着させることができないという問題が生じ、ポリエステル系樹脂シートを使用した場合は、装飾用粘着シートが耐候性に劣ったものとなるという問題が生じ、ポリエチレン系樹脂を使用した場合は、装飾用粘着シートの金属光沢が不充分となり装飾用粘着シートの装飾性が劣ったものとなるという問題が生じる。
上記アクリル系樹脂シート5には、アクリル系樹脂シートを架橋させて装飾用粘着シートAの耐熱性を向上させる目的で、光硬化剤、熱硬化剤などの硬化剤が含有されるのが好ましい。
そして、上記光硬化剤としては、特に限定されず、例えば、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、2,4−ジエチルチオキサントンとp−ジメチルアミノ安息香酸エチルとの混合物、イソプロピルチオキサントンとp−ジメチルアミノ安息香酸エチルとの混合物などが挙げられる。なお、光硬化剤は、単独で用いられても、二種以上が併用されてもよい。
又、上記熱硬化剤としては、特に限定されないが、アミン及び/又はチオール基を含有する熱硬化剤が好ましい。上記アミン及び/又はチオール基を含有する熱硬化剤としては、例えば、1,3−ビス[ヒドラジノカルボノエチル−5−イソプロピルヒダントイン]やアジピン酸ジヒドラジドなどの有機酸ジヒドラジド化合物;ジシアンジアミド、グアニジン誘導体、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、N−[2−(2−メチル−1−イミダゾリル)エチル]尿素、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、N,N’−ビス(2−メチル−1−イミダゾリルエチル)尿素、N,N’−(2−メチル−1−イミダゾリルエチル)−アジポアミド、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−イミダゾリン−2−チオール、2−2’−チオジエタンチオールなどのイミダゾール化合物;酸無水物と各種アミンとエポキシ樹脂との付加生成物などが挙げられる。なお、熱硬化剤は、単独で用いられても、二種以上が併用されてもよい。
そして、上記アクリル系樹脂シート5中における硬化剤の含有量は、少ないと、アクリル系樹脂シートの硬さが不充分となって、装飾用粘着シートの耐熱性が低下することがあり、多いと、アクリル系樹脂シートの引張伸度が100%未満となり硬くなり過ぎて、装飾用粘着シートの曲面への追従性が低下及びクラックが発生することがあるので、アクリル系樹脂100重量部に対して、0.1〜3重量部が好ましく、0.5〜2重量部がより好ましい。
なお、上記硬化剤として、光硬化剤と熱硬化剤とが併用されてもよい。そして、光硬化剤と熱硬化剤とが併用された場合におけるアクリル系樹脂シート中の硬化剤の含有量は、光硬化剤と熱硬化剤の合計量とする。
更に、上記アクリル系樹脂シート5の厚みは、薄いと、装飾用粘着シートの耐候性が低下することがあり、厚いと、装飾用粘着シートの金属光沢が不充分となり、装飾用粘着シートの装飾性が低下することがあるので、0.1〜10μmが好ましく、1〜5μmがより好ましい。
又、アクリル系樹脂シート5の引張伸度は、低いと、装飾用粘着シートが硬くなり過ぎて、装飾用粘着シートの曲面への追従性が低下し、装飾用粘着シートにひび割れが発生するので、100%以上に限定され、高すぎると、耐摩耗性が低下するので、100〜130%が好ましい。なお、アクリル系樹脂シートの引張伸度は、JIS K6781に準拠して測定されたものをいう。
アクリル系樹脂シート5の引張伸度は、例えば、アクリル系樹脂シート5中における上記硬化剤の含有量によって調整することができ、硬化剤量を少なくすることによってアクリル系樹脂シート5の引張伸度を高くすることができる一方、硬化剤量を多くすることによってアクリル系樹脂シート5の引張伸度を低くすることができる。
そして、アクリル系樹脂シート5の製膜方法としては、特に限定されず、例えば、アクリル系樹脂と硬化剤とを含有してなる組成物を離型フィルムの離型処理面に塗布し、硬化剤として、光硬化剤を用いた場合には光照射を、熱硬化剤を用いた場合には加熱を、光硬化剤及び熱硬化剤の双方を用いた場合には光照射と加熱を行なって離型フィルムの離型処理面上にアクリル系樹脂シートを形成した後、離型フィルムを剥離、除去することによって製膜する方法が挙げられる。
又、基材シート1の他面には、装飾用粘着シートAを被着体に貼着させるための粘着剤層6が積層一体化されている。上記粘着剤層6を構成する粘着剤としては、特に限定されず、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤などが挙げられ、光や酸素に対して安定であることから、アクリル系粘着剤が好ましい。
次に、本発明の装飾用粘着シートAの製造方法について説明する。上記装飾用粘着シートAの製造方法としては、特に限定されず、例えば、アクリル系樹脂シートを上述のような要領で製膜し、このアクリル系樹脂シート5にコーティング層4を形成し、その一面に金属を蒸着させて金属薄膜層3を形成させる。
続いて、上記金属薄膜層3上にウレタン系接着剤を塗布した後、乾燥させることにより、金属薄膜層3上にウレタン系接着剤層2を形成させる。
ここで、上記金属薄膜層3上に塗布するウレタン系接着剤の量は、少ないと、金属薄膜層と基材シートとが層間剥離してしまうことがあり、多いと、金属薄膜層にひび割れが生じることがあるので、乾燥後のウレタン系接着剤の重量にして0.5〜5.0g/m2が好ましい。
そして、アクリル系樹脂シート5、コーティング層4、金属薄膜層3及びウレタン系接着剤層2がこの順に積層一体化されてなる重合シートと、予め製膜しておいた基材シート1とを、重合シートのウレタン系接着剤層2が基材シート1に対向した状態となるように重ね合わせて第一積層シートを作製し、この第一積層シートを一対のローラ間に供給して、上記第一積層シートをその厚み方向に加圧する、所謂ドライラミネート法により、アクリル系樹脂シート5、コーティング層4、金属薄膜層3、ウレタン系接着剤層2及び基材シート1がこの順に積層一体化されてなる第二積層シートを作製する。
そして、第二積層シートの基材シート1の他面にリバースコータ法やホットメルトコート法などの汎用の方法により粘着剤を塗布、乾燥させて粘着剤層6を形成して装飾用粘着シートAを製造することができる。
又、上記のように、基材シート1の他面に直接、粘着剤層6を形成させる方法の他に、離型フィルムの離型処理面上に、上述のような方法で粘着剤を塗布、乾燥させて粘着剤層6を形成させた粘着シートを作製し、この粘着シートと上記第二積層シートとを、粘着シートの粘着剤層6と第二積層シートの基材シート1とが対向した状態となるように重ね合わせて第三積層シートを作製し、この第三積層シートを一対のローラ間に供給して、第三積層シートをその厚み方向に加圧して積層一体化させることにより、粘着剤層6上に離型フィルムが剥離可能に積層一体化されてなる装飾用粘着シートAを得ることができる。
そして、上記粘着剤層6の厚みは、薄いと、装飾用粘着シートの被着体への粘着力が不充分になることがあり、厚いと、装飾用粘着シートを被着体から剥離させた際に、粘着剤層が凝集破壊を起こして、被着体の表面に糊残りが生じることがあるので、10〜50μmが好ましい。
なお、上記装飾用粘着シートAを巻回状態にして保存する場合、アクリル系樹脂シート5と粘着剤層6とがくっついて、装飾用粘着シートAを繰出すのが困難になることがあるので、粘着剤層6上に離型フィルムを剥離可能に積層一体化させ、或いは、アクリル系樹脂シート5の他面に離型処理を施しておくのが好ましい。
(実施例1)
塩化ビニル樹脂(鐘淵化学社製 商品名「PSH10」)100重量部、アジピン酸ポリエステル系可塑剤(旭電化社製 商品名「アデカサイザーPN−446」、重量平均分子量:1800)30重量部、アルキル錫メルカプト化合物(勝田化工社製 商品名「TM−181FSJ」、モノメチル錫トリス(ノルマルオクチル−3−メルカプトプロピオネート){(CH3)−Sn−(SCH 2CH 2COOC8H17)3}と、ジメチル錫ビス(ノルマルオクチル−3−メルカプトプロピオネート){(CH3)2−Sn−(SCH 2CH 2COOC8H17)2}との混合物)5重量部、有機亜リン酸エステル(勝田化工社製)2重量部、及び、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤(旭電化社製 商品名「Mark1413」)4重量部を均一に混練して組成物を作製し、この組成物を溶剤に溶解させてなる組成物溶液を、離型フィルムの離型処理面上に塗布し、乾燥させて溶剤を除去する、所謂溶液キャスティング法により、離型フィルムの離型処理面上に厚み50μmの塩化ビニル樹脂シートが形成されてなる塩化ビニル樹脂積層シートを得た。
塩化ビニル樹脂(鐘淵化学社製 商品名「PSH10」)100重量部、アジピン酸ポリエステル系可塑剤(旭電化社製 商品名「アデカサイザーPN−446」、重量平均分子量:1800)30重量部、アルキル錫メルカプト化合物(勝田化工社製 商品名「TM−181FSJ」、モノメチル錫トリス(ノルマルオクチル−3−メルカプトプロピオネート){(CH3)−Sn−(SCH 2CH 2COOC8H17)3}と、ジメチル錫ビス(ノルマルオクチル−3−メルカプトプロピオネート){(CH3)2−Sn−(SCH 2CH 2COOC8H17)2}との混合物)5重量部、有機亜リン酸エステル(勝田化工社製)2重量部、及び、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤(旭電化社製 商品名「Mark1413」)4重量部を均一に混練して組成物を作製し、この組成物を溶剤に溶解させてなる組成物溶液を、離型フィルムの離型処理面上に塗布し、乾燥させて溶剤を除去する、所謂溶液キャスティング法により、離型フィルムの離型処理面上に厚み50μmの塩化ビニル樹脂シートが形成されてなる塩化ビニル樹脂積層シートを得た。
次に、ウレタン系樹脂接着主剤(三井化学ポリウレタン社製 商品名「タケラックA−626」)と脂肪族硬化剤(三井化学ポリウレタン社製 商品名「タケネートA−50」)とを混合して、ウレタン系接着剤溶液を作製した。
又、アクリル系樹脂(亜細亜工業社製 商品名「エクセロール910」)100重量部及び熱硬化剤(亜細亜工業社製 商品名「エクセルハードナーD」)1重量部を均一に混練してなる組成物を溶剤に溶解させて組成物溶液を作製した。次に、この組成物溶液を離型フィルムの離型処理面上に塗布し、乾燥させて溶剤を除去し、離型フィルムの離型処理面上に厚み2μmのアクリル系樹脂シートを形成させた。そして、上記アクリル系樹脂シートを離型フィルムから剥離させることによって厚み2μmのアクリル系樹脂シート(引張伸度:150%)を得た。
次に、ヒンダードアミン骨格及びベンゾトリアゾール骨格を有するアクリル系樹脂(日本触媒社製 商品名「UV−G301」)を上記アクリル系樹脂シート上にマイクログラビアを用いて塗布し乾燥させて、アクリル系樹脂シート上にコーティング層を積層一体化させた後、アルミニウムを蒸着させることにより、厚み500Åのアルミニウム薄膜層を形成させた。続いて、上記アルミニウム薄膜層上に、上記ウレタン系接着剤溶液を塗布し、乾燥させて溶剤を除去することによりウレタン系接着剤層を形成させた。なお、上記ウレタン系接着剤の塗布量は、乾燥後のウレタン系接着剤の重量にして4g/m2であった。
更に、上記ウレタン系接着剤層上に、上述のようにして得られた塩化ビニル樹脂積層シートを、塩化ビニル樹脂シートがウレタン系接着剤層に対向した状態となるように重ね合わせた後、塩化ビニル樹脂積層シートから離型フィルムを剥離させることによって、アクリル系樹脂シート、コーティング層、アルミニウム薄膜層、ウレタン系接着剤層及び塩化ビニル樹脂シートがこの順に積層されてなる第一積層シートを作製した。
そして、上記第一積層シートを一対のローラ間に供給して、上記第一積層シートをその厚み方向に加圧すると共にウレタン系接着剤層を硬化させることにより、アクリル系樹脂シート、コーティング層、アルミニウム薄膜層、ウレタン系接着剤層及び塩化ビニル樹脂シートがこの順に積層一体化されてなる第二積層シートを得た。
一方、アクリル系粘着剤(積水化学工業社製 商品名「NM2」)100重量部を溶剤に溶解させた後、イソシアネート系架橋剤(日本ポリウレタン社製 商品名「コロネートL−28E」)2重量部を添加し、均一になるように攪拌してアクリル系粘着剤溶液を作製した。
続いて、一面にシリコーン系樹脂離型剤によって離型処理が施されてなる離型フィルムを用意して、この離型フィルムの離型処理面にコンマコーターを用いてアクリル系粘着剤溶液を塗布し、乾燥させて溶剤を除去することにより、離型フィルムの離型処理面上に厚み30μmのアクリル系粘着剤層が形成されてなる粘着シートを作製した。
次に、上記のようにして得られた粘着シートと第二積層シートとを、上記粘着シートのアクリル系粘着剤層が第二積層シートの塩化ビニル樹脂シートと対向した状態となるように重ね合わせて第三積層シートを作製した。
そして、上記第三積層シートを一対のローラ間に供給し、上記第三積層シートをその厚み方向に加圧することにより、アクリル系樹脂シート、コーティング層、アルミニウム薄膜層、ウレタン系接着剤層、塩化ビニル樹脂シート及びアクリル系粘着剤層がこの順に積層一体化されてなる装飾用粘着シートを得た。なお、上記装飾用粘着シートのアクリル系粘着剤層上には離型フィルムが剥離可能に積層一体化されていた。
(実施例2)
アクリル系樹脂シートの厚みが2μmの代わりに8μmとなるように調整したこと以外は実施例1と同様の要領で装飾用粘着シートを得た。なお、アクリル系樹脂シートの引張伸度は185%であった。
アクリル系樹脂シートの厚みが2μmの代わりに8μmとなるように調整したこと以外は実施例1と同様の要領で装飾用粘着シートを得た。なお、アクリル系樹脂シートの引張伸度は185%であった。
(実施例3)
塩化ビニル樹脂シートの厚みが50μmの代わりに150μmとなるように調整したこと以外は実施例1と同様の要領で装飾用粘着シートを得た。
塩化ビニル樹脂シートの厚みが50μmの代わりに150μmとなるように調整したこと以外は実施例1と同様の要領で装飾用粘着シートを得た。
(実施例4)
アクリル系樹脂シートの厚みを2μmの代わりに0.5μmとなるように調整したこと以外は実施例1と同様の要領で装飾用粘着シートを得た。なお、アクリル系樹脂シートの引張伸度は110%であった。
アクリル系樹脂シートの厚みを2μmの代わりに0.5μmとなるように調整したこと以外は実施例1と同様の要領で装飾用粘着シートを得た。なお、アクリル系樹脂シートの引張伸度は110%であった。
(比較例1)
実施例1と同様の要領で塩化ビニル樹脂積層シートを作製した。又、離型フィルムの離型処理面にアルミニウムを蒸着させて、アルミニウム薄膜層を離型フィルム上に剥離可能に積層させてなる転写用アルミニウム蒸着フィルム(麗光社製 商品名「PX198」)を用意した。
実施例1と同様の要領で塩化ビニル樹脂積層シートを作製した。又、離型フィルムの離型処理面にアルミニウムを蒸着させて、アルミニウム薄膜層を離型フィルム上に剥離可能に積層させてなる転写用アルミニウム蒸着フィルム(麗光社製 商品名「PX198」)を用意した。
そして、転写用アルミニウム蒸着フィルムのアルミニウム薄膜層上に、実施例1と同様の要領で作製したウレタン系接着剤溶液を塗布し、乾燥させて溶剤を除去することによってウレタン系接着剤層を形成した。
しかる後、転写用アルミニウム蒸着フィルムのウレタン系接着剤層上に、塩化ビニル樹脂積層シートを、塩化ビニル樹脂シートがウレタン系接着剤層に対向した状態となるように重ね合わせた後に、塩化ビニル樹脂積層シートから離型フィルムを剥離、除去して第一難燃性樹脂層積層シートを作製した後、この第一積層シートを一対のローラ間に供給して、第一積層シートをその厚み方向に加圧すると共にウレタン系接着剤層を硬化させることにより、塩化ビニル樹脂シート、ウレタン系接着剤層及びアルミニウム薄膜層がこの順に積層一体化してなる第二積層シートを得た。
次に、第二積層シートの塩化ビニル樹脂シートと、実施例1で作製した粘着シートとを、粘着シートのアクリル系粘着剤層が第二積層シートの塩化ビニル樹脂シートと対向した状態となるように重ね合わせて第三積層シートを作製した。
そして、上記第三積層シートを一対のローラ間に供給し、上記第三積層シートをその厚み方向に加圧することにより、アルミニウム薄膜層、ウレタン系接着剤層、塩化ビニル樹脂シート及びアクリル系粘着剤層がこの順に積層一体化されてなる装飾用粘着シートを得た。なお、上記装飾用粘着シートのアクリル系粘着剤層上には離型フィルムが剥離可能に積層一体化されていた。
(比較例2)
ウレタン系接着剤の代わりにエチレン−酢酸ビニル系ホットメルト接着剤(セメダイン社製 商品名「HM−622」)を用い、第一積層シートを180℃に加熱した状態で一対のローラ間に供給して上記第一積層シートをその厚み方向に加圧したこと以外は実施例1と同様の要領で、アクリル系樹脂シート、コーティング層、アルミニウム薄膜層、エチレン−酢酸ビニル系ホットメルト接着剤層、塩化ビニル樹脂シート及びアクリル系粘着剤層がこの順に積層一体化されてなる装飾用粘着シートを得た。
ウレタン系接着剤の代わりにエチレン−酢酸ビニル系ホットメルト接着剤(セメダイン社製 商品名「HM−622」)を用い、第一積層シートを180℃に加熱した状態で一対のローラ間に供給して上記第一積層シートをその厚み方向に加圧したこと以外は実施例1と同様の要領で、アクリル系樹脂シート、コーティング層、アルミニウム薄膜層、エチレン−酢酸ビニル系ホットメルト接着剤層、塩化ビニル樹脂シート及びアクリル系粘着剤層がこの順に積層一体化されてなる装飾用粘着シートを得た。
(比較例3)
アクリル系樹脂シートの原料として、アクリル系樹脂(亜細亜工業社製 商品名「エクセロール170」)100重量部及び熱硬化剤(亜細亜工業社製 商品名「エクセルハードナーD」)10重量部を用いたこと以外は実施例1と同様にして装飾用粘着シートを得た。なお、アクリル系樹脂シートの引張伸度は50%であった。
アクリル系樹脂シートの原料として、アクリル系樹脂(亜細亜工業社製 商品名「エクセロール170」)100重量部及び熱硬化剤(亜細亜工業社製 商品名「エクセルハードナーD」)10重量部を用いたこと以外は実施例1と同様にして装飾用粘着シートを得た。なお、アクリル系樹脂シートの引張伸度は50%であった。
次に、上記実施例1〜4及び比較例1〜3で得られた装飾用粘着シートについて、初期装飾性、アルミニウム薄膜層のひび割れ、促進耐候性及び耐ガソリン性を下記の要領で評価し、その結果を表1に示した。
(初期装飾性)
得られた装飾用粘着シートに光を照射し、装飾用粘着シートの色の鮮明さ及び光沢感を目視観察し、下記基準により、装飾用粘着シートの初期装飾性を評価した。
◎:装飾用粘着シートは、色が非常に鮮明であり且つ優れた光沢感を有していた。
○:装飾用粘着シートは、色が鮮明で且つ光沢感を有していた。
×:装飾用粘着シートは、色が鮮明でないか或いは光沢感を有していなかった。
得られた装飾用粘着シートに光を照射し、装飾用粘着シートの色の鮮明さ及び光沢感を目視観察し、下記基準により、装飾用粘着シートの初期装飾性を評価した。
◎:装飾用粘着シートは、色が非常に鮮明であり且つ優れた光沢感を有していた。
○:装飾用粘着シートは、色が鮮明で且つ光沢感を有していた。
×:装飾用粘着シートは、色が鮮明でないか或いは光沢感を有していなかった。
(アルミニウム薄膜層のひび割れ)
得られた装飾用粘着シートから離型フィルムを25mm/secの速度で剥離させた後、この装飾用粘着シートのアルミニウム薄膜層を目視観察し、下記基準により評価を行った。
◎:ひび割れは全くなかった。
○:ひび割れが若干認められるが、使用上問題ない程度であった。
×:ひび割れが多数認められ、装飾用粘着シートの装飾性が損なわれていた。
得られた装飾用粘着シートから離型フィルムを25mm/secの速度で剥離させた後、この装飾用粘着シートのアルミニウム薄膜層を目視観察し、下記基準により評価を行った。
◎:ひび割れは全くなかった。
○:ひび割れが若干認められるが、使用上問題ない程度であった。
×:ひび割れが多数認められ、装飾用粘着シートの装飾性が損なわれていた。
(促進耐候性)
サンシャインウェザオメーター(スガ試験機社製)を使用し、JIS D0205(自動車部品の耐候性試験)に準拠して、装飾用粘着シートの耐候性について試験を行い、試験開始から400時間及び1000時間における装飾用粘着シートの外観の色の鮮明さ及び光沢感を目視観察して、下記基準により装飾用粘着シートの促進耐候性を評価した。但し、試験開始から400時間経過時において外観の色の鮮明さ又は光沢感の一方或いは双方が低下していた装飾用粘着シートについては、1000時間経過時の促進耐候性についての評価を行わなかった。
◎:400時間経過時及び1000時間経過時の何れにおいても、装飾用粘着シートに
おける外観の色の鮮明さ及び光沢感に変化は認められなかった。
○:400時間経過時において、装飾用粘着シートにおける外観の色の鮮明さ及び光沢
感に変化は認められず、1000時間経過時においても、装飾用粘着シートにおけ
る外観の色の鮮明さ及び光沢感は殆ど低下していなかった。
△:400時間経過時において、装飾用粘着シートにおける外観の色の鮮明さ及び光沢
感が極僅か低下していた。
×:400時間経過時において、装飾用粘着シートにおける外観の色の鮮明さ及び光沢
感が低下していた。
サンシャインウェザオメーター(スガ試験機社製)を使用し、JIS D0205(自動車部品の耐候性試験)に準拠して、装飾用粘着シートの耐候性について試験を行い、試験開始から400時間及び1000時間における装飾用粘着シートの外観の色の鮮明さ及び光沢感を目視観察して、下記基準により装飾用粘着シートの促進耐候性を評価した。但し、試験開始から400時間経過時において外観の色の鮮明さ又は光沢感の一方或いは双方が低下していた装飾用粘着シートについては、1000時間経過時の促進耐候性についての評価を行わなかった。
◎:400時間経過時及び1000時間経過時の何れにおいても、装飾用粘着シートに
おける外観の色の鮮明さ及び光沢感に変化は認められなかった。
○:400時間経過時において、装飾用粘着シートにおける外観の色の鮮明さ及び光沢
感に変化は認められず、1000時間経過時においても、装飾用粘着シートにおけ
る外観の色の鮮明さ及び光沢感は殆ど低下していなかった。
△:400時間経過時において、装飾用粘着シートにおける外観の色の鮮明さ及び光沢
感が極僅か低下していた。
×:400時間経過時において、装飾用粘着シートにおける外観の色の鮮明さ及び光沢
感が低下していた。
(耐ガソリン性)
得られた装飾用粘着シートを、20℃の市販のハイオクガソリンに60分間浸漬し、装飾用粘着シートをハイオクガソリンから取り出して、23℃の温度下で3分間静置した。次に、この装飾用粘着シートに付着しているハイオクガソリンを未使用のガーゼで拭き取った後、装飾用粘着シートの外観を目視観察して、下記基準により装飾用粘着シートの耐ガソリン性を評価した。
○:装飾用粘着シートに変色及び層間剥離が認められなかった。
×:装飾用粘着シートに変色或いは層間剥離が認められた。
得られた装飾用粘着シートを、20℃の市販のハイオクガソリンに60分間浸漬し、装飾用粘着シートをハイオクガソリンから取り出して、23℃の温度下で3分間静置した。次に、この装飾用粘着シートに付着しているハイオクガソリンを未使用のガーゼで拭き取った後、装飾用粘着シートの外観を目視観察して、下記基準により装飾用粘着シートの耐ガソリン性を評価した。
○:装飾用粘着シートに変色及び層間剥離が認められなかった。
×:装飾用粘着シートに変色或いは層間剥離が認められた。
1 基材シート
2 ウレタン系接着剤層
3 金属薄膜層
4 コーティング層
5 アクリル系樹脂シート
6 粘着剤層
2 ウレタン系接着剤層
3 金属薄膜層
4 コーティング層
5 アクリル系樹脂シート
6 粘着剤層
Claims (6)
- 基材シートの一面にウレタン系接着剤層を介して金属薄膜層が積層一体化されていると共に、上記金属薄膜層上にはコーティング層及びアクリル系樹脂シートが積層一体化され、上記コーティング層は、ヒンダードアミン骨格及びベンゾトリアゾール骨格を有するアクリル系樹脂を含有し、上記アクリル系樹脂シートの引張伸度が100%以上であり、上記基材シートの他面には粘着剤層が積層一体化されていることを特徴とする装飾用粘着シート。
- アクリル系樹脂シートの厚みが0.1〜10μmであると共に、基材シートの厚みが20〜110μmであることを特徴とする請求項1に記載の装飾用粘着シート。
- 基材シートは、塩化ビニル系樹脂を主成分とすることを特徴とする請求項1に記載の装飾用粘着シート。
- 基材シートと金属薄膜層とがドライラミネート法によってウレタン系接着剤層を介して一体化されてなることを特徴とする請求項1に記載の装飾用粘着シート。
- アクリル系樹脂シートが硬化剤を含有していることを特徴とする請求項1に記載の装飾用粘着シート。
- アクリル系樹脂シートが、アクリル系樹脂100重量部に対して硬化剤0.1〜3重量部を含有していることを特徴とする請求項5に記載の装飾用粘着シート。
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JP2020121542A (ja) * | 2019-01-31 | 2020-08-13 | ダイヤプラスフィルム株式会社 | ポリ塩化ビニル系樹脂積層フィルム |
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2008
- 2008-08-18 JP JP2008209543A patent/JP2010043216A/ja active Pending
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