JP2010042766A - バッテリ劣化判定装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】車両に搭載されたバッテリの劣化状態を判定する技術に関し、経年変化によりバッテリが劣化すると許容充電容量が低下するので、特にアイドルストップ車のように始動を頻繁に行う車両においては、エンジンの始動が困難になる虞がある。その為に、バッテリの内部抵抗の演算精度を向上させ、バッテリの劣化状態を正確に判定する。
【解決手段】クランキング時にバッテリの電流Iが0より大きい所定範囲内である場合に、該所定範囲内の電流Iと該電流に対応する電圧Vとに基づいて内部抵抗Rを演算する。
【選択図】図2

Description

本発明は、バッテリ劣化判定装置に関し、特に車両に搭載されたバッテリの劣化状態を判定する技術に関する。
車両には、一般的に、エンジンを始動させるスタータモータへの電力供給源としてバッテリが搭載されているとともに、エンジンにより駆動されてバッテリを充電するオルタネータ(発電機)が搭載されている。オルタネータは、バッテリの残存容量が許容範囲内になるように発電電圧が制御される。
ところで、例えば経年変化によりバッテリが劣化すると許容充電容量が低下するので、特にアイドルストップ車のように始動を頻繁に行う車両においては、エンジンの始動が困難になる虞がある。したがって、バッテリの劣化状態を精度良く推定する方法が必要とされている。
バッテリの劣化状態を把握する方法としては、バッテリの内部抵抗から推定する方法が知られている。バッテリの内部抵抗は、例えばクランキング時にバッテリの電圧及びバッテリからの放電電流を検出し、これらの電圧及び電流から演算して求められる(特許文献1)。
特許第3687628号公報
上記のようにスタータモータ、バッテリ及びオルタネータを備えた車両において、クランキング開始直後、即ちスタータモータ作動開始直後には、バッテリからの放電電流が一時的に著しく大きくなる。これに対し、電流を検出する電流センサの検出可能範囲、所謂最大レンジは限られているので、クランキング開始直後には電流を検出せず、例えば電流が0〜最大レンジでの電流及び電圧のデータを内部抵抗の演算に採用することが一般的である。
上記のような電流センサの設定で内部抵抗を演算すると、クランキング時間が十分に長くクランキング中にオルタネータによる発電が開始された場合には、クランキング中においてオルタネータの発電電流によりバッテリからの放電電流値が徐々に低下していくので、電流センサの検出可能範囲内でのデータを多く取得でき、内部抵抗の演算精度を十分に確保することができる。
しかしながら、クランキング時間が比較的短く、オルタネータによる発電開始前にクランキングが終了した場合には、電流が比較的高い値からクランキング終了とともに0に急激に減少するので、電流センサの検出可能範囲内でのデータを十分に取得できず、内部抵抗の演算精度が低下する虞がある。
本発明はこのような問題に鑑み発明されたものであって、クランキング時においてバッテリの電流及び電圧のデータを多数取得可能として、内部抵抗の演算精度を向上させ、バッテリの劣化状態を正確に判定可能なバッテリ劣化判定装置を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、エンジンのバッテリの電圧及び電流を検出する検出手段と、検出手段により検出された電圧及び電流に基づいてバッテリの内部抵抗を演算する演算手段と、を備え、演算手段により演算された内部抵抗に基づいてバッテリの劣化状態を判定するバッテリ劣化判定装置において、演算手段は、エンジンのクランキング時に検出手段により検出された電流が0より大きい所定範囲内である場合にのみ、該所定範囲内の電流と該電流に対応する電圧とに基づいて内部抵抗を演算することを特徴とする。
また、請求項2の発明は、請求項1において、バッテリに対する電気負荷の変動を検出する負荷変動検出手段を更に備え、演算手段は、負荷変動検出手段により電気負荷の変動が検出された場合に、電気負荷の変動時でのバッテリの電流及び電圧に基づく内部抵抗の演算を規制することを特徴とする。
また、請求項3の発明は、請求項1または2において、演算手段は、エンジンのクランキング時に検出手段によってバッテリの電圧及び電流を複数回検出し、該検出された複数個の電圧及び電流に基づいて内部抵抗を演算することを特徴とすることを特徴とする。
本発明の請求項1のバッテリ劣化判定装置によれば、クランキング時に0より大きい所定範囲内にあるバッテリの電流と該電流に対応する電圧とに基づいてバッテリの内部抵抗を演算するので、クランキング終了時にエンジンの始動用モータの作動が停止してバッテリの電流が大幅に低下する場合でも低下する前の電流値の検出が可能となるように所定範囲を設定することができ、バッテリの電流及び電圧のデータを多数取得することが可能となる。したがって、内部抵抗の演算精度を向上させ、バッテリの劣化状態を正確に判定することができる。
また、本発明の請求項2のバッテリ劣化判定装置によれば、電気負荷変動時における内部抵抗の演算を規制するので、電気負荷変動によるバッテリの電流の変動を原因とする演算誤差を排除し、内部抵抗の演算精度を向上させることができる。
また、本発明の請求項3のバッテリ劣化判定装置によれば、複数の電圧及び電流について内部抵抗が演算されるので、検出値の変動による影響を抑制して内部抵抗の演算精度を更に向上させることができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
図1は、本発明に係る車両のバッテリ充電部の概略構成図である。
図1に示すように、本実施形態のバッテリ劣化判定装置を採用する車両には、エンジン1、オルタネータ2、スタータモータ3及びバッテリ4が備えられている。オルタネータ2は、エンジン1により駆動され、エンジンの回転速度Neが所定回転速度Ne1より大きい条件下で発電し、図示しないヘッドランプ等の電気機器に対して電力を供給するとともに、バッテリ4に電力を供給して充電する。スタータモータ3は、バッテリ4から電力を供給されて駆動し、エンジン1を始動させる。
バッテリ4の端子間には、バッテリ4の電圧を測定する電圧センサ10(検出手段)が設けられている。オルタネータ2とバッテリ4の端子とを繋ぐ線路には、バッテリ4の入出力電流を検出する電流センサ11(検出手段)が設けられている。なお、本実施形態の電流センサ11の検出可能な範囲(最大レンジ)は100Aである。また、バッテリ4には、バッテリ4の温度を検出する温度センサ12が設けられている。
車両には、バッテリ4の劣化状態を判定するバッテリ管理ユニット20が設けられている。バッテリ管理ユニット20は、入出力装置、記憶装置(ROM、RAM、不揮発性RAM等)、中央処理装置(CPU)及びカウンタを含んで構成され、電圧センサ10、電流センサ11及び温度センサ12からの検出情報を入力する。
また、バッテリ管理ユニット20は、エンジン全般の制御を行う車両制御ユニット21とCAN通信により情報伝達可能に接続されており、車両のキースイッチ信号等の情報を入力し、バッテリ4の劣化判定を行う。そして、バッテリ4が劣化状態にあると判定した場合には、例えば警告灯を表示したり、車両がアイドルストップ車であればアイドルストップを規制したりする。
図2は、バッテリ管理ユニット20におけるバッテリ4の劣化判定要領を示すフローチャートである。本ルーチンは、キースイッチオン時に繰り返し実行される。
先ず、図2に示すように、ステップS10では、クランキング中であるか否か、即ちスタータモータ3が作動中であるか否かを判定する。クランキング中である場合は、ステップS20に進む。
ステップS20では、オルタネータ2により発電をしているか否かを判別する(負荷変動検出手段)。具体的には、エンジン回転速度Neが所定回転速度Ne1以上であるか否かを判別する。発電している場合には、ステップS30に進む。
ステップS30では、電流センサ11から入力した電流Iが所定範囲、詳しくは下限値a≦I≦上限値bを満たすか否かを判別する。下限値a及び上限値bに関しては、例えばa=100A、b=200Aというように、aは0より大きく、かつオルタネータ2の発電開始後のピーク値を除き、電流Iが略安定する範囲を含むように設定すればよい。a≦I≦bを満たす場合は、ステップS40に進む。
ステップS40では、ステップS30においてa≦I≦bであると判定された電流Iと、電流Iの検出時に電圧センサ10により検出した電圧Vを内部抵抗Rの演算用としてサンプリングする。そして、ステップS50に進む。
ステップS50では、ステップS40においてサンプリングした電流I及び電圧Vのデータ数Nが、所定個数N1以上であるか否かを判別する。所定個数N1は、内部抵抗Rを十分な精度で演算可能な個数に適宜設定すればよい。N≧N1である場合は、ステップS60に進む。
ステップS60では、サンプリングした電流I及び電圧Vのデータに基づいて、内部抵抗Rを演算する。詳しくは、サンプリングした全ての電流I及び電圧Vについて、最小2乗法により近似直線を求め、その勾配から内部抵抗Rを求める(演算手段)。更に、温度センサ12により検出したバッテリ2の温度に基づいて内部抵抗Rの演算値を補正する。そして、ステップS70に進む。
ステップS70では、内部抵抗Rが閾値C以下であるか否かを判別する。閾値Cは、バッテリ4が劣化状態であるか否かを判別する閾値であって、バッテリ4に応じて適宜設定すればよい。閾値C以下である場合は、ステップS80に進む。閾値Cより大きい場合は、ステップS90に進む。
ステップS80では、バッテリ4が正常である、即ち劣化していないと判定する。そしてステップS100に進む。
ステップS90では、バッテリが劣化状態であると判定する。そして、ステップS100に進む。
ステップS100では、電流I及び電圧Vのサンプリングデータをクリアする。そして、本ルーチンを終了する。
ステップS50において、N<N1であると判定した場合は、ステップS10に戻る。
ステップS10においてクランキング中でないと判定した場合、ステップS20において、オルタネータが発電状態であると判定した場合、またはステップS30においてa≦I≦bを満たしていないと判定した場合はステップS100に進む。
以上の制御により、本実施形態のバッテリ管理ユニット20では、エンジン1の始動時、詳しくはクランキング時において、電圧センサ10からバッテリ4の電圧Vと、電流センサ11から電流Iとを入力してバッテリ4の内部抵抗Rを求める。電圧V及び電流Iの計測は複数回行われ、これら複数のサンプリングデータから最小2乗法により内部抵抗Rが決定される。
本実施形態では、特に、クランキング時にバッテリ4の電流Iが下限値aと上限値bとの間である場合に、電圧V及び電流Iのデータがサンプリングされる。このように、下限値aを0より大きくして、サンプリングする電流Iの範囲を限定することで、電流の検出可能な範囲(最大レンジ)が限られている電流センサ11を有効活用して、電圧V及び電流Iのデータをサンプリング数を多く確保できるように設定することができる。
図3は、エンジン始動時のバッテリ電圧V及び電流Iと、オルタネータ2の発電電流、エンジン回転速度Neの推移を示すグラフであり、発電開始前にクランキングが終了するようなクランキングが短時間の場合(図中A)、発電開始後にクランキングが終了するようなクランキングが長時間の場合(図中B)、クランキングが長時間であって発電を禁止させている場合(図中C)を示す。
図3に示すように、クランキング開始と同時に、電流Iが一時的に著しく大きくなり、その後徐々に減少する。図3中Aに示すように、クランキングが停止すると放電電流が急激に低下し0となる。したがって、従来技術のようにサンプリングする電流の範囲を0からaまでの範囲に設定している場合には、クランキング中においてその範囲内となるデータが殆ど得られない。一方、図3中Bに示すようにクランキングを長時間にすると、オルタネータ2による発電が開始して発電電流が上昇することで、バッテリ4から放電する電流Iが漸減する。したがって、このようにクランキング時間が比較的長時間である場合には、従来技術のようにサンプリングする電流の範囲を0からaまでの範囲に設定していても、データを十分に得ることができる。また、図中Cに示すように、クランキング中に発電が行われない場合には、電流Iはクランキング中において、略一定に保たれる。したがって、電流Iのサンプリング可能な範囲が限られてしまう。
図4は、電流センサ11の検出範囲を0〜a(100A)に設定した従来技術での電流I及びバッテリ電圧降下量のデータのばらつきの一例を示すグラフである。図5は本実施形態における電流I及びバッテリ電圧降下量のデータのばらつきの一例を示すグラフである。バッテリ電圧降下量は、キーオン時のバッテリの電圧を0とし、クランキング時の電圧Vの降下量を示す。
電流センサの検出範囲を0〜a(100A)に設定した従来技術では、図4に示すように、クランキングが短時間(図3中A)の場合にはデータ数が少なく、クランキングが長時間であっても発電を禁止した(図3中C)の場合にはデータのばらつきが大きく相関係数が低下してしまうことが裏付けられる。
これに対して、電流センサ11の検出範囲をa〜b(100〜200)Aに設定した本実施形態では、図5に示すように、クランキングが短時間の場合(図3中A)であってもデータ数を多く確保でき、クランキング中に発電を禁止した場合(図3中C)でもデータのばらつきが抑えられ相関係数の低下が抑えられることが裏付けられる。したがって、本実施形態では、クランキング時間やオルタネータ2による発電の有無に拘わらず、バッテリ4の電圧V及び電流Iのデータ数を確保でき相関係数の高いデータが得られるので、この電圧V及び電流Iから演算する内部抵抗Rの演算精度を向上させることができる。
図6は、電流センサ11の検出範囲の設定毎に、内部抵抗Rの演算値を比較したグラフである。図6に示すように、検出範囲が0〜a(100A)である場合には、クランキング時間及び発電の有無によって内部抵抗Rの差が比較的大きい。これに対し、検出範囲がa〜b(100〜200A)、b(200)〜300A、300〜400Aの場合には、クランキング時間及び発電の有無による内部抵抗Rの演算値の差が比較的小さく、またこれらの各検出範囲間での差も少ない。
以上のように、本実施形態では電流センサ11の検出範囲を0より大きく設定することで、電流センサ11における検出可能な範囲が限られていても、クランキング停止前の略安定した電流値を検出するように設定することが可能となる。したがって、クランキング時間やオルタネータ2による発電の有無に拘わらず、クランキング時の電圧V及び電流Iのサンプリング数を確保することができるので、内部抵抗Rの演算精度が向上し、バッテリ4の劣化状態を正確に判定することができる。
また、オルタネータ2による発電がされている場合、即ちバッテリ4に対する電気負荷が変化した場合にはサンプリングされないので、電気負荷の変動によるバッテリ4の内部抵抗Rの演算への影響を排除することができ、内部抵抗Rを精度良く安定して演算することができる。
本発明に係る車両のバッテリ充電部の概略構成図である。 バッテリ管理ユニットにおけるバッテリの劣化判定要領を示すフローチャートである。 エンジン始動時のバッテリ電圧及び電流と、オルタネータの発電電流、エンジン回転速度の推移を示すグラフである。 従来技術の内部抵抗演算時における電流及びバッテリ電圧降下量のデータのばらつきの一例を示すグラフである。 本実施形態の内部抵抗演算時における電流及びバッテリ電圧降下量のデータのばらつきの一例を示すグラフである。 電流センサの検出範囲の設定毎に、内部抵抗の演算値を比較したグラフである。
符号の説明
1 エンジン
2 オルタネータ
3 スタータモータ
4 バッテリ
10 電圧センサ
11 電流センサ
20 バッテリ管理ユニット

Claims (3)

  1. エンジンのバッテリの電圧及び電流を検出する検出手段と、
    前記検出手段により検出された電圧及び電流に基づいて前記バッテリの内部抵抗を演算する演算手段と、を備え、
    前記演算手段により演算された内部抵抗に基づいて前記バッテリの劣化状態を判定するバッテリ劣化判定装置において、
    前記演算手段は、前記エンジンのクランキング時に前記検出手段により検出された電流が0より大きい所定範囲内である場合にのみ、該所定範囲内の電流と該電流に対応する電圧とに基づいて前記内部抵抗を演算することを特徴とするバッテリ劣化判定装置。
  2. 前記バッテリに対する電気負荷の変動を検出する負荷変動検出手段を更に備え、
    前記演算手段は、前記負荷変動検出手段により電気負荷の変動が検出された場合に、前記電気負荷の変動時での前記バッテリの電流及び電圧に基づく前記内部抵抗の演算を規制することを特徴とする請求項1に記載のバッテリ劣化判定装置。
  3. 前記演算手段は、前記エンジンのクランキング時に前記検出手段によってバッテリの電圧及び電流を複数回検出し、該検出された複数個の電圧及び電流に基づいて前記内部抵抗を演算することを特徴とする請求項1または2に記載のバッテリ劣化判定装置。
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