JP2013142561A - 車両用蓄電池の劣化推定装置及び劣化推定方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 蓄電池の内部抵抗値が電流値に応じて変化する場合であっても、高精度に蓄電池の劣化度を推定できる劣化推定装置を提供する。
【解決手段】 劣化推定装置1は、車両に搭載された蓄電池2から出力された電圧値VBを検知する電圧値検知手段3と、蓄電池2から出力された電流値IBを検知する電流値検知手段4と、電圧値VB及び電流値IBに基づいて蓄電池2の劣化度DRを推定する制御装置5とを備える。制御装置5は、状態電流値CIに対する内部抵抗値Ri(CI)を
Ri(CI)=R+CA・ln{(CI+CB)/(IB2+CB)}
によって求める。このようにして求められた内部抵抗値Ri(CI)と状態電流値CIに対する基準内部抵抗値Rbとを比較することで、蓄電池2の劣化度DRを推定する。
【選択図】 図1
【解決手段】 劣化推定装置1は、車両に搭載された蓄電池2から出力された電圧値VBを検知する電圧値検知手段3と、蓄電池2から出力された電流値IBを検知する電流値検知手段4と、電圧値VB及び電流値IBに基づいて蓄電池2の劣化度DRを推定する制御装置5とを備える。制御装置5は、状態電流値CIに対する内部抵抗値Ri(CI)を
Ri(CI)=R+CA・ln{(CI+CB)/(IB2+CB)}
によって求める。このようにして求められた内部抵抗値Ri(CI)と状態電流値CIに対する基準内部抵抗値Rbとを比較することで、蓄電池2の劣化度DRを推定する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、車両用蓄電池の劣化推定装置及びその劣化推定方法に関する。
従来、車両に搭載される蓄電池の劣化状態を推定する装置が知られている(特許文献1)。この装置では、蓄電池を交換した時の当該蓄電池の内部抵抗値を、当該蓄電池から出力される電圧値及び電流値から推定して保存している。そして、車両の駆動源であるエンジンが始動される度に、蓄電池から出力される電圧値及び電流値を検知して、当該エンジン始動時の蓄電池の内部抵抗値を推定する。そして、該推定された内部抵抗値と、交換時に保存した内部抵抗値とを比較することで蓄電池の劣化度を推定している。
しかしながら、特許文献1に記載の装置では、蓄電池の内部抵抗値が当該蓄電池の出力する電流値に応じて(依存して)変化する場合を考慮していない。通常、蓄電池から出力される電流値は、車載された電気機器の作動状態の変化、エンジン始動時の負荷の変化等、蓄電池にかかる負荷の変化によって変化する。また、この電流値は、そのときの環境に応じて変化するものであり意図的に値を設定することは難しい。
従って、内部抵抗を推定したときの電流値が、交換時に内部抵抗値を推定したときの電流値と一致する保障はない。このため、蓄電池の内部抵抗値が電流値に応じて変化する場合には、異なる2つの電流値のそれぞれに基づいた2つの内部抵抗値を互いに比較することで得られた劣化度は、高精度なものとは言い難い。
本発明は、蓄電池の内部抵抗値が電流値に応じて変化する場合であっても、高精度に蓄電池の劣化度を推定できる劣化推定装置及び劣化推定方法を提供することを目的とする。
本発明は、車両に搭載された蓄電池から出力された電圧値を検知する電圧値検知手段と、前記蓄電池から出力された電流値を検知する電流値検知手段と、前記電圧値検知手段によって検知された電圧値及び前記電流値検知手段によって検知された電流値に基づいて前記蓄電池の劣化度を推定する推定手段とを備える車両用蓄電池の劣化推定装置であって、前記蓄電池は、当該蓄電池から出力される電流値に応じて値が変化する内部抵抗を有し、前記内部抵抗の値は、前記電流値を変数とする関数の値と、前記蓄電池の劣化度に対応した劣化度数とにより演算することで規定されるものであり、前記推定手段は、前記電流値と前記電圧値とから前記蓄電池の内部抵抗の値を推定し、前記劣化度数を、前記推定された内部抵抗の値と、該内部抵抗の値を推定したときの電流値を前記変数の値としたときの前記関数とにより表すことで、所定の電流値に対する前記内部抵抗の値を前記関数によって演算し、前記演算された前記所定の電流値に対する前記内部抵抗の値と、前記所定の電流値に対する基準となる内部抵抗の値とに応じて前記蓄電池の劣化度を推定することを特徴とする。
本発明の装置によれば、蓄電池の内部抵抗の値は、電流値を変数とする関数の値と、劣化度数とにより演算するように規定される。例えば、内部抵抗の値(以下、「内部抵抗値」という)をR、電流値をI、関数をf(I)、劣化度数をR0とし、演算を加算とした場合、次式(i)のように表される。
R=f(I)+R0 …(i)
推定手段によって内部抵抗値Rxを推定したときの電流値をIxとすると、上式(i)は次のようになる。
推定手段によって内部抵抗値Rxを推定したときの電流値をIxとすると、上式(i)は次のようになる。
Rx=f(Ix)+R0
これを劣化度数R0について表すと、
R0=Rx−f(Ix) …(ii)
となる。式(ii)は、劣化度数を、推定された内部抵抗値と、該内部抵抗値を推定したときの電流値を変数の値としたときの関数とにより表している。
これを劣化度数R0について表すと、
R0=Rx−f(Ix) …(ii)
となる。式(ii)は、劣化度数を、推定された内部抵抗値と、該内部抵抗値を推定したときの電流値を変数の値としたときの関数とにより表している。
そして、この式(ii)で表される劣化度数R0を上述した式(i)に代入することで、次のようになる。
R=f(I)+Rx−f(Ix) …(iii)
式(iii)は、Rx、Ixが既知であるので、所定の電流値Iを変数として、該所定の電流値Iに対する内部抵抗値Rを得ることができる。式(iii)は、「劣化度数を、推定された内部抵抗の値と、該内部抵抗の値を推定したときの電流値を変数の値としたときの関数とにより表すことで、所定の電流値に対する内部抵抗の値を関数によって演算」することに相当している。
式(iii)は、Rx、Ixが既知であるので、所定の電流値Iを変数として、該所定の電流値Iに対する内部抵抗値Rを得ることができる。式(iii)は、「劣化度数を、推定された内部抵抗の値と、該内部抵抗の値を推定したときの電流値を変数の値としたときの関数とにより表すことで、所定の電流値に対する内部抵抗の値を関数によって演算」することに相当している。
以上により、蓄電池にかかる負荷が変化して蓄電池から出力される電流値が変化しても、現時点での内部抵抗値と基準となる内部抵抗値との2つの内部抵抗値を、同一の所定の電流値に対する内部抵抗値にできるので、蓄電池の劣化度を高精度に推定できる。
更に、特許文献1に記載の装置においては、蓄電池を交換したときの内部抵抗値を記憶しているが、本発明においては、蓄電池を交換したときの内部抵抗値を記憶することなく蓄電池の劣化度を推定できる。このため、新品ではなく中古の蓄電池を交換したとき等であっても、高精度に蓄電池の劣化度を推定できる。
本発明において、前記車両が始動するときの電流値は、前記車両に搭載された機器が始動するときの電流値より大きく、当該2つの電流値の間の所定の値を閾値としたとき、前記関数は、前記電流値が前記閾値より大きいときと前記閾値以下のときとで、当該関数の特性を規定する要素が変化するものであり、前記推定手段は、前記電流値検知手段によって検知された電流値が、前記閾値より大きいか否かに応じて前記要素を変更することが好ましい。これにより、電流値に応じて関数の特性が変化するような場合であっても、電流値に応じて要素を変更することで高精度に蓄電池の劣化度を推定できる。
本発明は、車両に搭載された蓄電池から出力された電圧値を検知する電圧値検知手段と、前記蓄電池から出力された電流値を検知する電流値検知手段とを備える車両用蓄電池の劣化推定方法であって、前記蓄電池は、当該蓄電池から出力される電流値に応じて値が変化する内部抵抗を有し、前記内部抵抗の値は、前記電流値を変数とする関数の値と、前記蓄電池の劣化度に対応した劣化度数とにより演算することで規定されるものであり、前記電流値と前記電圧値とから前記蓄電池の内部抵抗の値を推定する第1内部抵抗値演算工程と、前記劣化度数を、前記第1内部抵抗値演算工程で推定された内部抵抗の値と、該内部抵抗の値を推定したときの電流値を前記変数の値としたときの前記関数とにより表すことで、所定の電流値に対する前記内部抵抗の値を前記関数によって演算する第2内部抵抗値演算工程と、前記第2内部抵抗値演算工程で演算された前記所定の電流値に対する前記内部抵抗の値と、前記所定の電流値に対する基準となる内部抵抗の値とに応じて前記蓄電池の劣化度を推定する劣化度推定工程とを備えることを特徴とする。
本発明の方法によれば、蓄電池の内部抵抗値が上式(i)によって表される。第2内部抵抗値演算工程では、上式(iii)によって所定の電流値に対する内部抵抗値を演算する。そして、劣化度推定工程で、現時点での内部抵抗値と基準となる内部抵抗値との2つの内部抵抗値に応じて劣化度を推定する。このとき、式(iii)によって、現時点での内部抵抗値を、基準となる内部抵抗値に対する所定の電流値と同じ値にしたときの内部抵抗値にできるので、蓄電池の劣化度を高精度に推定できる。
本発明の実施形態の劣化推定装置の構成について説明する。図1に示されるように、本実施形態の劣化推定装置1は、車両の二次電池として構成された鉛蓄電池である蓄電池2の両端子間の電位差(電圧値)を検知する電圧センサである電圧値検知手段3と、蓄電池2から出力された電流値を検知する電流センサである電流値検知手段4と、蓄電池2の劣化度DRを推定する推定手段としての制御装置5とを備える。
車両は、当該車両に搭載された電気機器6が作動し、エンジン7が作動しないアクセサリオン状態、電気機器6及び当該車両の駆動源であるエンジン7が作動するエンジンオン状態、及び電気機器6及びエンジン7の作動を停止するオフ状態を当該車両の運転席付近に設けられたスタートスイッチ(図示省略)により切り替え可能となっている。
車両は、アクセサリオン状態においては、第1スイッチSW1内の両端子間を接続することで蓄電池2と電気機器6とが電気的に接続され、電気機器6が作動を開始する。ここで、電気機器6とは、例えば、ETC(電子料金収受システム)車載機、カーナビゲーションシステム又はカーステレオ等の蓄電池2から電力が供給されることで作動する車載機器である。車両は、電気機器6として、これらの車載機器を複数備えている。
車両は、エンジンオン状態においては、第1スイッチSW1内の両端子間を接続することで蓄電池2と電気機器6とが電気的に接続されると共に、第2スイッチSW2内の両端子間を接続することで蓄電池2とセルモータ8とが電気的に接続され、セルモータ8が作動を開始する。このときのセルモータ8の回転出力によって、エンジン7のクランクシャフト(図示省略)が回転し、ガソリン等の燃料を噴射することでエンジン7の作動が開始される。エンジン7が始動された後は、第2スイッチSW2内の両端子間の接続を断つことにより蓄電池2とセルモータ8との電気的な接続を断つ。
また、車両は、エンジンオン状態において、エンジン7の駆動力によって車両が走行するときに、当該エンジン7の回転出力が発電機9に伝達されることで発電機9が発電を開始する(電力が生成される)。車両は、発電機9が発電しているときには、発電機9から出力される電力を、蓄電池2から出力される電力よりも優先的に使用するように構成されている。
車両は、オフ状態において、第1スイッチSW1内の両端子間の接続を断つことにより、蓄電池2と電気機器6との電気的接続を断つことで電気機器6の作動を停止すると共に、エンジン7への燃料噴射を停止することで、エンジン7の作動を停止する。なお、このとき、第2スイッチSW2内の両端子間が接続されている場合には、当該第2スイッチSW2内の両端子間の接続を断つ。
制御装置5は、各種演算処理を実行する中央演算処理装置である演算回路と、この演算回路で実行される各種演算プログラム、各種テーブル、演算結果等を記憶するROM及びRAMからなる記憶装置である記憶部55とを備える。制御装置5は、演算回路によって実行される演算プログラムとして、モード判定部51と、第1内部抵抗値演算部52と、第2内部抵抗値演算部53と、劣化度演算部54とを備える。
図2は、エンジンオン状態及びアクセサリオン状態の各状態において、蓄電池2から出力される電流の時間変化(電流波形)を示す。図2(a)及び(b)のいずれにおいても、横軸は時間を示し、縦軸は蓄電池2から出力されている電流値を示す。図2(a)は、エンジンオン状態を示しており、時刻ta0はオフ状態からエンジンオン状態になった時刻を示し、時刻ta1はエンジンオン状態において発電機9が発電を開始して、蓄電池2から電力が出力されなくなった時刻を示す。
図2(a)に示されるように、オフ状態である時刻ta0以前において、蓄電池2から出力される電流の値は、車両に搭載された電気機器6の待機電力を賄うために暗電流値IDとなっている。時刻ta0において、オフ状態からエンジンオン状態になることで、エンジン7を始動するセルモータ8に電力を供給するために、蓄電池2からは始動電流値IEが瞬時に出力される。そして、蓄電池2から出力される電流値は、時刻ta0から時刻ta1にかけて徐々に小さくなる。時刻ta1以降は、エンジン7の回転出力により発電機9が発電を開始し、蓄電池2から出力される電流値が小さくなる。このとき、蓄電池2から出力される電流は、車両が要求する電力(電気機器6の電力)から発電機9が賄えなかった分の電力に相当するものとなる。
図2(b)は、アクセサリオン状態を示しており、時刻tb0はオフ状態からアクセサリオン状態になった時刻を示し、時刻tb1は車両に搭載された全ての電気機器6が作動を開始した時刻を示す。図2(b)に示されるように、オフ状態である時刻tb0以前においては、図2(a)の時刻ta0以前のときと同様に、蓄電池2から出力される電流の値は暗電流値IDとなっている。時刻tb0において、電気機器6の作動が開始され、全ての電気機器6の作動が開始する時刻tb1まで徐々に電流が増加する。時刻tb1において、蓄電池2から出力される電流値は機器電流値ISになる。
なお、機器電流値ISは、搭載される電気機器6の作動状態に応じて変化するものである。更に、機器電流値ISは、作動していない電気機器6が多いほど小さくなり、作動している電気機器6が多いほど大きくなる。図2(b)では、蓄電池2の電流波形を模式的に例示したものであるので、時刻tb1以降において蓄電池2から出力される電流の値が一定(IS)であるように示されているが、随時変化している場合もある。
以上のように、各状態において蓄電池2から出力される電流が変化する。制御装置5は、オフ状態からオフ状態ではなくなったとき(エンジンオン状態又はアクセサリオン状態)を、次に示すように検知している。制御装置5は、暗電流値IDより大きな値としてオン電流値I1を設定すると共に、当該オン電流値I1を機器電流値ISよりも充分に小さい値に設定する。このとき、オン電流値I1は、蓄電池2から出力される電流値にノイズが生じたときであっても、すなわち、暗電流値IDにノイズ分の値が加わったときでもオン電流値I1を超えない程度に設定される。そして、制御装置5は、蓄電池2から出力された電流値IBがオン電流値I1を超えたとき、オフ状態からオフ状態ではなくなったと判定している。
また、制御装置5は、オフ状態からオフ状態ではなくなったときに、エンジンオン状態及びアクセサリオン状態のいずれの状態に遷移したかを、次に示すように検知している。エンジンオン状態においては、セルモータ8によってエンジン7のクランクシャフトを回転させるので、始動電流値IE(図2(a))は機器電流値IS(図2(b))に比べて非常に大きい値となる。このため、制御装置5は、機器電流値ISよりも(ノイズの影響を受けない程度に)大きく且つ始動電流値IEよりも(ノイズの影響を受けない程度に)小さい値として、状態閾値I2を設定する。
そして、蓄電池2から出力された電流値IBが、オン電流値I1を超え、更に状態閾値I2を超えたとき(I1<I2<IB)にエンジンオン状態であると検知し、蓄電池2から出力された電流値IBが、オン電流値I1を超えたが、状態閾値I2以下のとき(I1<IB≦I2)にアクセサリオン状態であると検知する。ここで、状態閾値I2が、本発明における「閾値」に相当する。
以上のように、各値の大きさの関係が「ID<I1<IS<I2<IE」として設定されることで、蓄電池2から出力された電流値IBがこれらのいずれの範囲であるかに応じて、制御装置5は、「オフ状態からオフ状態ではなくなったとき」及び「エンジンオン状態及びアクセサリオン状態のいずれの状態か」を検知することができる。
以下、これらの制御装置5によって実行される処理について図3を参照して説明する。
まず、最初のステップST1では、電圧値検知手段3及び電流値検知手段4によって、蓄電池2から出力される電流値IB及び電圧値VBを検知する。
次にステップST2に進み、ステップST1で検知した電流値IBがオン電流値I1より大きいか否かを判定する。ステップST2で、電流値IBがオン電流値I1以下と判定された場合(ステップST2の判定結果がNOの場合)、ステップST3に進み、ステップST1で検知した電流値IBを第1電流値IB1として記憶し、ステップST1で検知した電圧値VBを第1電圧値VB1として記憶する。
次に、ステップST4に進み、タイマー値tmにサンプリング時間T1の値を加算する。ここで、タイマー値tmとは、図3のフローチャートの処理が開始された時点からの経過時間を表す値である。図3のフローチャートの処理が開始された時点では、タイマー値tmは0になっている。次に、ステップST5に進み、サンプリング時間T1の時間分待機(遅延)した後、ステップST1に戻る。
ステップST2で、電流値IBがオン電流値I1より大きいと判定された場合(ステップST2の判定結果がYESの場合)、ステップST6に進み、タイマー値tmが安定判断時間T0より大きいか否かを判定する。ここで、安定判断時間T0とは、蓄電池2の状態が安定していると判断できる時間を表す。蓄電池2は、充放電が行われた直後には、その状態が不安定、すなわち、出力された電圧値及び電流値が短期間で様々な値に変化する。
このため、不安定な状態の電圧値及び電流値に基づいて蓄電池2の内部抵抗値を演算したとしても、その演算結果は精度が低いものとなる。従って、蓄電池2の状態が安定している状態で蓄電池2の内部抵抗値を演算することが望ましい。安定判断時間T0は、蓄電池2の充放電が行われなくなってから蓄電池2が安定するまでに必要と思われる時間に設定されている。このような時間は、蓄電池の構成に応じて変化するので、蓄電池に応じて適宜設定される。
ステップST2で第1電流値IB1がオン電流値I1よりも大きい(IB>I1)と判定され、且つステップST6でタイマー値tmが安定判断時間T0以下(tm≦T0)と判定される場合とは、次のいずれかであると考えられる。
・オフ状態になった後に、蓄電池2を安定させるために充分な時間が経過せずに、アクセサリオン状態又はエンジンオン状態のいずれかが選択された。
・蓄電池2が不安定な状態のため、オフ状態中に大きなノイズが偶然生じて「IB>I1」となった。
・オフ状態になった後に、蓄電池2を安定させるために充分な時間が経過せずに、アクセサリオン状態又はエンジンオン状態のいずれかが選択された。
・蓄電池2が不安定な状態のため、オフ状態中に大きなノイズが偶然生じて「IB>I1」となった。
上記のいずれの場合であっても、演算された蓄電池2の内部抵抗値の精度が低くなり、ひいては、蓄電池2の劣化度DRの推定の精度も低下する。このため、蓄電池2の内部抵抗値の演算を行わずに終了する方がよい。従って、ステップST6で、タイマー値tmが安定判断時間T0以下であると判定された場合(ステップST6の判定結果がNOの場合)には、蓄電池2の劣化度推定処理を終了するために、ステップST7に進み、タイマー値tmを0に設定して本制御処理を終了する。
以上のようなステップST1〜ST5の処理によって、電流値IBがオン電流値I1以下である間、サンプリング時間T1毎に第1電流値IB1及び第1電圧値VB1が更新されると共に、タイマー値tmが増加する。
ステップST6で、タイマー値tmが安定判断時間T0より大きいと判定された場合(ステップST6の判定結果がYESの場合)には、蓄電池2が安定した状態であるとしてステップST8に進む。ステップST8では、ステップST1で検知した電流値IBが、状態閾値I2より大きいか否かを判定する。ステップST8で、電流値IBが状態閾値I2より大きいと判定された場合(ステップST8の判定結果がYESの場合)には、エンジンオン状態であると判定してステップST9に進む。
ステップST9では、状態係数CAにエンジンオン状態係数CAeを設定し、状態バイアス値CBにエンジンオン状態バイアス値CBeを設定し、状態電流値CIにエンジンオン状態電流値CIeを設定し、基準内部抵抗値CRにエンジンオン状態基準内部抵抗値CReを設定する。状態係数CA,状態バイアス値CB,状態電流値CI,基準内部抵抗値CR,エンジンオン状態係数CAe,エンジンオン状態バイアス値CBe,エンジンオン状態電流値CIe及びエンジンオン状態基準内部抵抗値CReに関しては後述する。
ステップST8で、電流値IBが状態閾値I2以下であると判定された場合(ステップST8の判定結果がNOの場合)には、アクセサリオン状態であると判定してステップST10に進む。ステップST10では、状態係数CAにアクセサリオン状態係数CAaを設定し、状態バイアス値CBにアクセサリオン状態バイアス値CBaを設定し、状態電流値CIにアクセサリオン状態電流値CIaを設定し、基準内部抵抗値CRにアクセサリオン状態基準内部抵抗値CRaを設定する。アクセサリオン状態係数CAa,アクセサリオン状態バイアス値CBa,アクセサリオン状態電流値CIa及びアクセサリオン状態基準内部抵抗値CRaに関しては後述する。
ステップST9又はステップST10の処理が終了するとステップST11に進む。ステップST11では待機時間T2の時間分待機(遅延)して、ステップST12に進む。
ステップST12では、電圧値検知手段3及び電流値検知手段4によって、蓄電池2から出力される電流値IB及び電圧値VBを検知する。そして、第2電流値IB2に電流値IBを設定し、第2電圧値VB2に電圧値VBを設定する。ステップST3で設定された第1電流値IB1及び第1電圧値VB1は、オフ状態且つ蓄電池2が安定した状態において蓄電池2から出力された電流値IB及び電圧値VBを意味しており、本ステップST12で設定された第2電流値IB2及び第2電圧値VB2は、エンジンオン状態又はアクセサリオン状態になった時点から待機時間T2後に、蓄電池2から出力された電流値IB及び電圧値VBを意味する。
ステップST12の処理が終了すると、ステップST13に進み、次式(1)により、内部抵抗値Rを演算する。
ここで、式(1)により内部抵抗値Rを演算することが、本発明における「前記電流値と前記電圧値とから前記蓄電池の内部抵抗の値を推定」することに相当する。
本出願人は、様々な実験結果に基づいて、蓄電池2の内部抵抗値Rを精度良く推定するために、蓄電池2から出力される電流値IBと蓄電池2の内部抵抗値Rとの間に、図4に示されるような関係があることに着目した。図4の横軸は蓄電池2から出力された電流値IBに対数(本実施形態ではネイピア数eを底とする自然対数)をとった値であり、縦軸は蓄電池2の内部抵抗値Rを示す値である。
図4に示されるように、内部抵抗値Rは、電流値IBの値が増加するに従って減少する傾向があり、「内部抵抗値R」と「電流値IBの対数をとった値」とは略比例の関係にある(このとき、比例係数は負の値となる)。以下、電流値IBに対数をとった値と内部抵抗値Rとの関係を表す線を「関係線」という。
そこで、内部抵抗値Rと電流値IBとについて、次式(2)で表される関係式を定義した。
ここで、IBは蓄電池2から出力される電流値、Ri(IB)は電流値IBに対する(依存する)蓄電池2の内部抵抗値R、CA及びCBはそれぞれ状態係数及び状態バイアス値であり蓄電池2の種類に応じて予め決定される定数、R0は蓄電池2の劣化度DRに依存する定数(以下、「劣化度数」という)を示す。
劣化度数R0は、電流値IBの対数をとった値に比例する内部抵抗値Rに含まれたバイアス(関係線の切片)を示す。蓄電池2は、劣化度DRが高いほど(すなわち、劣化しているほど)同一の電流値IBに対する内部抵抗値Rが上昇する。すなわち、関係線は、劣化度合が低い場合に比べて劣化度合が高い方が図4の上方向に位置する。式(2)の第1項R0は、この内部抵抗値Rの上昇分を補正する項である。
なお、状態係数CAは、図4において関係線の傾きを示す。また、状態バイアス値CBは、主に電流値IBが0であるときに、マイナス無限大に発散することを防止するためのバイアス値(オフセット値)を示す。
ここで、本実施形態における式(2)が、本発明における「前記内部抵抗値は、前記電流値を変数とする関数の値と、前記蓄電池の劣化度に応じた劣化度数とにより演算することで規定される」ことに相当する。すなわち、本実施形態における電流値IBに関する式(2)の第2項「CA・ln(IB+CB)」が本発明の「関数」に相当する。
上述したように、内部抵抗値Rと電流値IBの対数をとった値とは略比例の関係にあるが、図4に示されるように、例えば、電流値80[A]付近において関係線の傾きが変化している。すなわち、関係線の傾きを表す状態係数CAは、電流値IBが電流値80[A]以下か否かで異なっている必要がある。
上述したように、始動電流値IEは、機器電流値ISに比べて大電流である。また、本実施形態における蓄電池2では、始動電流値IEが80[A]より充分高い電流値であった。更に、本実施形態における蓄電池2では、機器電流値ISが80[A]より充分低い電流値であった。
従って、本実施形態においては、状態閾値I2を、関係線の傾きが変化する80[A]とし、ステップST8〜ST10の処理により、エンジンオン状態とアクセサリオン状態との各状態において状態係数CAを変更している。これによって、各状態のそれぞれに対して、蓄電池2の劣化度を高精度に求めることができる。
エンジンオン状態係数CAe及びアクセサリオン状態係数CAaは、予め実験等によって、蓄電池2の電流値IBと内部抵抗値Rとの特性を調査し、当該特性を適切に表す値となるように設定され、記憶部55に記憶保持されている。また、エンジンオン状態バイアス値CBe及びアクセサリオン状態バイアス値CBaについても、予め実験等によって適切な値が設定され、記憶部55に記憶保持されている。
ここで、本実施形態の状態係数CAが本発明における「要素」に相当する。また、状態係数CAが、エンジンオン状態及びアクセサリオン状態の各状態において異なる値となる(図4の80[A]近辺で関係線の傾きが変化する)。このことが、本発明における「前記電流値が前記閾値より大きいときと前記閾値以下のときとで、当該関数の特性を規定する要素が変化する」ことに相当する。更に、ステップST8の判定結果に応じて、ステップST9又はステップST10で状態係数CAが、各状態(エンジンオン状態又はアクセサリオン状態)に応じた値に設定されている。このことが、本発明における「前記推定手段は、前記電流値検知手段によって検知された電流値が、前記閾値より大きいか否かに応じて前記要素を変更する」ことに相当する。
上記式(2)に、ステップST13で演算して得られた内部抵抗値Rを代入すると次式(3)となる。
ここで、式(3)をR0に関する式に変形して、式(2)のR0に代入することで次式(4)が得られる。
式(4)により、所定の電流値IBに対する蓄電池2の内部抵抗値Ri(IB)を推定することができる。このとき推定された内部抵抗値Ri(IB)は、現時点での蓄電池2の劣化度DRに応じたものとなる。
ステップST14では、この式(4)を用いて所定の電流値IBに対する内部抵抗値Ri(IB)を演算する。このとき、式(4)の第1項の「R」はステップST13で演算された値を用い、第2項の「CA」及び「CB」はステップST9又はST10で設定された値を用い、第2項の「IB2」はステップST12で設定された値を用いる。また、第2項の「IB」はステップST9又はST10で設定された状態電流値CIを用いる。
本実施形態においては、上述したように、始動電流値IEと機器電流値ISとが大きく異なっている。また、状態閾値I2より大きいか否かによって、蓄電池2の内部抵抗値Rと電流値IBとの関係を表す関数、詳細には関係線の傾きを示す状態係数CAが異なっている。
このため、現時点での車両の状態のときの、関数の特性を規定する要素が同じとなる電流値を用いて式(4)による計算をする方がよい。これは、例えば、所定の電流値IBを、車両がエンジンオン状態のとき(始動電流値IEは80[A]より大きい)には式(4)のIBを100[A]とし、車両がアクセサリオン状態のとき(機器電流値ISは80[A]以下)には式(4)のIBを50[A]とする。
これにより、エンジンオン状態のときには、所定の電流値IB(詳細には、エンジンオン状態電流値CIe)と始動電流値IEとが、いずれも同じ関係線の傾き(いずれの電流値であっても関係線の傾きをエンジンオン状態係数CAeで表せる)となり、アクセサリオン状態のときには、所定の電流値IB(詳細には、アクセサリオン状態電流値CIa)と機器電流値ISとが、いずれも同じ関係線の傾き(いずれの電流値であっても関係線の傾きをアクセサリオン状態係数CAaで表せる)となる。
従って、本実施形態の蓄電池2の関係線において、その傾きを、所定の電流値IBと第2電流値IB2(内部抵抗値Rを推定したときの電流値IB)とのいずれであっても同一の値(状態係数CA)で表せることとなり、この2つの値を使用する式(4)を用いて得られる結果が、傾きが異なる場合(例えば、第2電流値IB2が80[A]より大きい場合に、所定の電流値IBを80[A]以下とする場合。)に比べて高精度となる。
また、エンジンオン状態電流値CIe及びアクセサリオン状態電流値CIaは、各状態において実際の電流値IBに近い値に設定されている。これにより、電流値IBに依存する内部抵抗値Rを高精度に算出することができる。
以上のように、ステップST14において、電流値IBとして上記のように設定されたCIを用いることで、得られた内部抵抗値Ri(CI)は、各状態において適切な電流値IBに対する内部抵抗値Rを表す。ここで、式(4)を用いて、電流値IBを状態電流値CI(すなわち、本発明における所定の電流値)として、当該状態電流値CIに対する内部抵抗値Rを演算することが、本発明における「前記劣化度数を、前記推定された内部抵抗の値と、該内部抵抗の値を推定したときの電流値を前記変数の値としたときの前記関数とにより表すことで、所定の電流値に対する前記内部抵抗の値を前記関数によって演算」することに相当する。
ステップST14で内部抵抗値Ri(IB)を演算した後、ステップST15に進み、蓄電池2の劣化度DRの推定を行う。制御装置5は、記憶部55内に、各状態における状態電流値CIe,CIaのそれぞれについて、基準となる内部抵抗値(以下、「基準内部抵抗値」という)CRを記憶保持している。詳細には、制御装置5は、エンジンオン状態において基準内部抵抗値CRとして用いるために、エンジンオン状態電流値CIeに対する内部抵抗値Rとしてエンジンオン状態基準内部抵抗値CReが記憶保持し、アクセサリオン状態において基準内部抵抗値CRとして用いるために、アクセサリオン状態電流値CIaに対する内部抵抗値Rとしてアクセサリオン状態基準内部抵抗値CRaが記憶保持している。そして、基準内部抵抗値CRは、上述したステップST8〜ST10の処理によって、各状態に応じた値に設定されている。
このように、各状態において、基準内部抵抗値CRに対応する状態電流値CIをそれぞれ設定し、当該状態電流値CIを式(4)に適用して内部抵抗を算出することにより、「基準内部抵抗値CR」と「ステップST14で得られた内部抵抗値Ri(CI)」とにより得られる劣化度DRが電流値IBに依存することを低減できる。
蓄電池2は、劣化するほど同じ電流値IBに対する内部抵抗値Rの値が増加する。このため、次式(5)によって表される「ステップST14で得られた内部抵抗値Ri(CI)」と「基準内部抵抗値CR」との比を、蓄電池2の劣化度DRとして推定する。
本実施形態では、基準内部抵抗値CRを、蓄電池2が未使用状態での状態電流値(CIe又はCIa)に対する内部抵抗値とし、劣化度DRを「Ri(CI)/CR」として得られた値で表し、当該劣化度DRが2以上になったときを、蓄電池2の交換をする適切なときとしている。
なお、劣化度DRを他の方法によって推定してもよい。例えば、基準内部抵抗値CRを、蓄電池2が交換を推奨される程度に劣化したときの状態電流値(CIe又はCIa)に対する内部抵抗値とした場合においては、劣化度DRを「Ri(CI)/CR」として得られた値で表し、当該劣化度DRが1以上になったときを蓄電池2の交換をする適切な時期としてもよい。また、劣化度DRを式(5)によって推定する必要はなく他の式によって推定してもよい。
このように、少なくとも蓄電池2の交換をするために適切な時期を提示できるものであれば、基準内部抵抗値CRの決定方法及び劣化度DRを得るための方法は、どのようなものであってもよい。このとき、劣化度DRによって、蓄電池2を交換までどの程度使用可能かを表すことができると使用者の利便性が向上する。例えば、本実施形態においては、蓄電池2が未使用状態(所謂、新品の状態)における劣化度DRを1とし、蓄電池2の交換を推奨するときの劣化度DRを2とすることで、劣化度DRが1から2の間である場合には、その値に応じて蓄電池2を交換するまでどの程度使用可能かを把握できる。
ここで、上述したように、基準内部抵抗値CRを所定の内部抵抗値とし、「Ri(CI)/CR」として劣化度DRを得ることが、本発明における「前記演算された前記所定の電流値に対する前記内部抵抗の値と、前記所定の電流値に対する基準となる内部抵抗の値とに応じて前記蓄電池の劣化度を推定する」に相当する。
ステップST15の処理が終了すると、ステップST16に進み、タイマー値tmを0に設定して本制御処理を終了する。
ここで、制御装置5のモード判定部51は、ステップST8の処理に相当する。制御装置5の第1内部抵抗値演算部52は、ステップST13の処理に相当し、当該処理は本発明における「第1内部抵抗値演算工程」に相当する。制御装置5の第2内部抵抗値演算部53は、ステップST14の処理に相当し、当該処理は本発明における「第2内部抵抗値演算工程」に相当する。制御装置5の劣化度演算部54は、ST15の処理に相当し、当該処理は本発明における「劣化度推定工程」に相当する。
図5は、蓄電池2から出力される電流の時間変化(電流波形)の一例を示す。横軸は時間を示し、縦軸は蓄電池2から出力されている電流値を示す。詳細には、図5は、時刻t0において車両の走行を停止した後にオフ状態となり、時刻t0から時間T3(但し、T3>T0)だけ経過した時刻t1において、エンジンオン状態に遷移したときの電流波形である。
制御装置5は、図5の電流波形に対して、図3のフローチャートに従って次のように処理をする。制御装置5は、図5の時刻t0でオフ状態になってから図3のフローチャートの実行を開始する。制御装置5は、時刻t0〜t1の間で、図5のステップST1〜ST5の処理が繰り返され、時刻t1において、ステップST2の判定結果がYESとなり、ステップST6に進む。このとき、制御装置5は、時間T3が安定判断時間T0より大きいと判定してステップST8に進む。制御装置5は、時刻t1における電流値IBが状態閾値I2より大きいのでエンジンオン状態であると判定する。そして、各種値CA,CB,CIにエンジンオン状態用の値CAe,CBe,CIeを設定し(ステップST9)、待機時間T2分だけ遅延する(ステップST11)。そして、時刻t1から待機時間T2だけ経過した時刻t2において電流値IB及び電圧値VBを検知する(ステップST12)。その後、上述したステップST13〜15の処理により、蓄電池2の劣化度DRを判定する。
以上のように、本実施形態の劣化推定装置1は、式(4)によって任意の電流値IBに対する内部抵抗値Ri(IB)を得ることができる。これにより、蓄電池2の内部抵抗値Rが、当該蓄電池2から出力される電流値IBに依存する(応じて変化する)場合であっても、同一の電流値(状態電流値CI)に対する「基準内部抵抗値CR」と「式(4)によって得られる内部抵抗値R」とにより劣化度DRが推定される。従って、蓄電池2から出力される電流値IBからの影響を著しく低減でき、高精度に蓄電池2の劣化度DRを推定できる。
本実施形態では、電流値を変数とする関数は、式(2)の第2項「CA・ln(IB+CB)」であるがこれに限られない。例えば、対数の底は本実施形態のようにネイピア数e以外に、10(自然対数)又は2、その他任意の値であってもよい。また、関数を対数とせずに、他の関係式で表されるようなものであってもよい。すなわち、蓄電池2の内部抵抗値Rを、電流値を変数とする関数の値と前記蓄電池の劣化度に応じた劣化度数とにより演算することで規定すればよく、これは、例えば、次式(6)によって表されるようなものであればよい。
式(6)は、第1項「f(I)」が本発明における「関数」に相当する。 本実施形態においては、式(6)の第1項「f(I)」が「CA・ln(I+CB)」である。
そして、式(6)に基づいて得られる本実施形態の式(4)に対応した式は、次式(7)となる。
このように規定された式(6)、ひいては式(7)によって、所定の電流値IBに対する内部抵抗値Ri(IB)を推定できるので、蓄電池2から出力される電流値IBからの影響を著しく低減でき、高精度に蓄電池2の劣化度DRを推定できるという効果が得られる。また、式(6)において、関数f(I)は不連続関数であってもよい。
また、本実施形態では、内部抵抗値Rを式(1)によって求めているが、これに限らず、他の方法によって内部抵抗値Rを推定してもよい。
1…劣化推定装置、DR…劣化度、2…蓄電池、3…電圧値検知手段、4…電流値検知手段、5…制御装置(推定手段)、CA…状態係数(要素)、I2…状態閾値(閾値)。
Claims (3)
- 車両に搭載された蓄電池から出力された電圧値を検知する電圧値検知手段と、前記蓄電池から出力された電流値を検知する電流値検知手段と、前記電圧値検知手段によって検知された電圧値及び前記電流値検知手段によって検知された電流値に基づいて前記蓄電池の劣化度を推定する推定手段とを備える車両用蓄電池の劣化推定装置であって、
前記蓄電池は、当該蓄電池から出力される電流値に応じて値が変化する内部抵抗を有し、
前記内部抵抗の値は、前記電流値を変数とする関数の値と、前記蓄電池の劣化度に対応した劣化度数とにより演算することで規定されるものであり、
前記推定手段は、
前記電流値と前記電圧値とから前記蓄電池の内部抵抗の値を推定し、
前記劣化度数を、前記推定された内部抵抗の値と、該内部抵抗の値を推定したときの電流値を前記変数の値としたときの前記関数とにより表すことで、所定の電流値に対する前記内部抵抗の値を前記関数によって演算し、
前記演算された前記所定の電流値に対する前記内部抵抗の値と、前記所定の電流値に対する基準となる内部抵抗の値とに応じて前記蓄電池の劣化度を推定することを特徴とする劣化推定装置。 - 請求項1に記載の劣化推定装置において、
前記車両が始動するときの電流値は、前記車両に搭載された機器が始動するときの電流値より大きく、当該2つの電流値の間の所定の値を閾値としたとき、
前記関数は、前記電流値が前記閾値より大きいときと前記閾値以下のときとで、当該関数の特性を規定する要素が変化するものであり、
前記推定手段は、前記電流値検知手段によって検知された電流値が、前記閾値より大きいか否かに応じて前記要素を変更することを特徴とする劣化推定装置。 - 車両に搭載された蓄電池から出力された電圧値を検知する電圧値検知手段と、前記蓄電池から出力された電流値を検知する電流値検知手段とを備える車両用蓄電池の劣化推定方法であって、
前記蓄電池は、当該蓄電池から出力される電流値に応じて値が変化する内部抵抗を有し、
前記内部抵抗の値は、前記電流値を変数とする関数の値と、前記蓄電池の劣化度に対応した劣化度数とにより演算することで規定されるものであり、
前記電流値と前記電圧値とから前記蓄電池の内部抵抗の値を推定する第1内部抵抗値演算工程と、
前記劣化度数を、前記第1内部抵抗値演算工程で推定された内部抵抗の値と、該内部抵抗の値を推定したときの電流値を前記変数の値としたときの前記関数とにより表すことで、所定の電流値に対する前記内部抵抗の値を前記関数によって演算する第2内部抵抗値演算工程と、
前記第2内部抵抗値演算工程で演算された前記所定の電流値に対する前記内部抵抗の値と、前記所定の電流値に対する基準となる内部抵抗の値とに応じて前記蓄電池の劣化度を推定する劣化度推定工程とを備えることを特徴とする劣化推定方法。
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