JP2010040923A - 半導体発光素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】タイプII発光を抑制することにより発光効率を向上させることの可能な半導体発光素子を提供する。
【解決手段】n型クラッド層12(n型グレーデッド層13)と活性層16(ガイド層15)との間に、スペーサ層14が設けられている。スペーサ層14は、伝導帯下端がn型クラッド層12、n型グレーデッド層13、ガイド層15および活性層16の伝導帯下端よりも高い準位となるようなバンド構造を有しており、n型クラッド層12と活性層16とのタイプII発光を抑制するような材料および厚さにより構成されている。
【選択図】図2
【解決手段】n型クラッド層12(n型グレーデッド層13)と活性層16(ガイド層15)との間に、スペーサ層14が設けられている。スペーサ層14は、伝導帯下端がn型クラッド層12、n型グレーデッド層13、ガイド層15および活性層16の伝導帯下端よりも高い準位となるようなバンド構造を有しており、n型クラッド層12と活性層16とのタイプII発光を抑制するような材料および厚さにより構成されている。
【選択図】図2
Description
本発明は、発光効率の改善がなされた半導体発光素子に関する。
半導体レーザ(Laser Diode ;LD)は、固体レーザやガスレーザに比べて小型かつ堅牢で高効率であり、通信、記録、加工、医療などのさまざまな産業分野で応用されている。また、RGB3原色の可視光レーザを光源として用いることによりディスプレイを実現することが可能であることから、ディスプレイは半導体レーザの将来の応用分野として期待されている。RGB3原色の可視光レーザとしては、AlGaInP系材料を用いた高出力の赤色半導体レーザがすでに実現されている。また、青色レーザには、GaInNなどの窒化物系材料を用いることで高出力な半導体レーザが実現している。しかし、緑色の半導体レーザは、未だ実現されていない。
半導体レーザでは、活性層の材料のバンドギャップにおいて電子と正孔が再結合するときに放出される光を半導体内で共振させてレーザ光として取り出す。そのため、半導体レーザの波長は、活性層の材料で一意的に決定される。緑色帯(波長500nm〜600nm)の発光が得られる材料としては、InGaNなどの窒化物系III−V族化合物半導体とZnSeなどのII−VI族化合物半導体がある。
前者では、緑色の発光ダイオード(Light Emitting Diode; LED)がすでに実用化されているが、緑色の半導体レーザは実用化されていない。InGaNではIn混晶比20%程度で緑色の発光が得られるが、このとき結晶内には歪が発生し、これに起因して結晶性の低下や内部電界による発光効率の低下が生じる。近年、非極性面基板を用いて内部電界の発生を防ぐことによって緑色の半導体レーザを実現する試みが盛んであるが、緑色の半導体レーザは未だ実現されていない。
後者では、レーザ発振の報告があるが、実用レベルの緑色の半導体レーザは実現されていない。例えば、E.Katoらによって、GaAs基板上にII−VI族化合物半導体を積層することにより形成された500nm付近の青緑色LDにおいて、1mWで約400時間の室温連続発振を達成したことが報告されている(非特許文献1)が、この材料系では400時間以上の寿命を得ることができていない。その理由は、結晶欠陥が発生し移動しやすいという、材料の物理的な性質に起因していると考えられている。
ところで、上記の波長領域の発光素子の材料として、Beを含むII−VI族化合物半導体を用いることが検討されている。たとえば、非特許文献2では、BeZnSeTeを活性層に使ったLEDで、5,000時間を超える素子寿命を達成したことが報告されている。Beを含むことによって結晶の共有結合性が高くなるので、II−VI族化合物半導体ではあるが、結晶が硬くなり欠陥生成も抑制されると考えられる。
さらに、特許文献1では、Beを含むII−VI族化合物半導体を用いた上で、活性層とガイド層をタイプI接合する方策について提案されている。図5は、特許文献1に記載の半導体レーザの断面構成の一例を表したものである。図6は、図5の半導体レーザのバンドラインナップを模式的に示したものである。この半導体レーザでは、InP基板110上に、バッファ層111、n型クラッド層112、n型グレーデッド層113、ガイド層114、活性層115、ガイド層116、p型クラッド層117およびコンタクト層118が積層されている。コンタクト層118上にはストライプ状の開口を有する絶縁層121が形成されており、その絶縁層121上には、絶縁層121の開口を介してコンタクト層118と接するp側電極122が形成されている。また、InP基板110の裏面には、n側電極123が形成されている。
この半導体レーザでは、活性層115として、緑色で発光し、かつInPに格子整合するBe0.13Zn0.87Se0.40Te0.60が用いられている。また、ガイド層114,116として、MgSe層114B,116BおよびBe0.13Zn0.87Se0.40Te0.60層114A,116Aからなる超格子が用いられている。また、n型クラッド層112およびn型グレーデッド層113として、MgSe層112B,113BおよびZn0.48Cd0.52Se層112A,113Aからなる超格子が用いられている。また、p型クラッド層117として、MgSe層117BおよびBe0.48Zn0.52Te層117Aからなる超格子が用いられている。これにより、活性層115とガイド層114,116をタイプI接合させることができる。
E.Kato et al. "Significant progress in II-VI blue-green laser diode lifetime" Electronics Letters 5th February 1998 Vol.34 No.3 p.282-284
I.Nomura et al. "Long life operations over 5000 hours of BeZnSeTe/MgZnCdSe visible light emitting diodes on InP substrates" phys.stat.sol(b) 243, No.4(2006) p.924-928
特開2007−251092号公報
しかし、XPS(X-ray Photoelectron Spectroscopy)測定による価電子帯バンド不連続量評価と、PL(Photoluminescence)測定によるバンドギャップエネルギー評価とを行った結果、n型グレーデッド層113の伝導帯下端が、活性層115の伝導帯下端よりも低く、n型グレーデッド層113と活性層115とがタイプII接合していることが最近の研究から明らかになった。
タイプII接合界面での発光(タイプII発光)は空間的に分離した電子と正孔との再結合発光であり、タイプII発光の発光効率はタイプI発光の発光効率と比べて著しく低い。また、光が生成される位置が活性層115の中心位置ではないので、活性層115への光閉じ込めが不十分となり、レーザ発振を得ることができない。
そこで、活性層115へ電流を注入するために、さらに大きな電圧を印加することが考えられる。しかし、そのようにしたとしても、電子はタイプII発光に消費され、n型グレーデッド層113の伝導体レベルが上昇せず、結局、電流を活性層115へ注入することができない。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、タイプII発光を抑制することにより発光効率を向上させることの可能な半導体発光素子を提供することにある。
本発明の第1の半導体発光素子は、n型クラッド層、活性層およびp型クラッド層をこの順に含むと共に、n型クラッド層と活性層との間および活性層とp型クラッド層との間の少なくとも一方にスペーサ層を含む積層構造を備えたものである。スペーサ層は、当該スペーサ層がn型クラッド層と活性層との間に設けられている場合には、当該スペーサ層の伝導帯下端がn型クラッド層および活性層の双方の伝導帯下端よりも高い準位となるようなバンド構造を有している。また、スペーサ層は、当該スペーサ層が活性層とp型クラッド層との間に設けられている場合には、当該スペーサ層の価電子帯上端が活性層およびp型クラッド層の双方の価電子帯上端よりも低い準位となるようなバンド構造を有している。
本発明の第1の半導体発光素子では、スペーサ層がn型クラッド層と活性層との間に設けられている場合には、スペーサ層の伝導帯下端がn型クラッド層および活性層の双方の伝導帯下端よりも高い準位となっている。また、スペーサ層が活性層とp型クラッド層との間に設けられている場合には、スペーサ層の価電子帯上端が活性層およびp型クラッド層の双方の価電子帯上端よりも低い準位となっている。これにより、空間的に分離した電子と正孔とがn型クラッド層と活性層との間、または活性層とp型クラッド層との間で再結合発光(タイプII発光)するのが抑制される。
本発明の第2の半導体発光素子は、n型クラッド層、活性層およびp型クラッド層をこの順に含むと共に、n型クラッド層と活性層との間および活性層とp型クラッド層との間の少なくとも一方にスペーサ層を含む積層構造を備えたものである。スペーサ層は、当該スペーサ層がn型クラッド層と活性層との間に設けられている場合には、n型クラッド層と活性層とのタイプII発光を抑制するような材料および厚さにより構成されている。また、スペーサ層は、当該スペーサ層が活性層とp型クラッド層との間に設けられている場合には、活性層とp型クラッド層とのタイプII発光を抑制するような材料および厚さにより構成されている。
本発明の第2の半導体発光素子では、スペーサ層がn型クラッド層と活性層との間に設けられている場合には、n型クラッド層と活性層とのタイプII発光を抑制するような材料および厚さにより構成されている。また、スペーサ層が活性層とp型クラッド層との間に設けられている場合には、活性層とp型クラッド層とのタイプII発光を抑制するような材料および厚さにより構成されている。これにより、空間的に分離した電子と正孔とがn型クラッド層と活性層との間、または活性層とp型クラッド層との間でタイプII発光するのが抑制される。
本発明の第1および第2の半導体発光素子によれば、スペーサ層によって、空間的に分離した電子と正孔とがn型クラッド層と活性層との間、または活性層とp型クラッド層との間でタイプII発光するのを抑制するようにしたので、活性層でのタイプI発光を実現することができる。これにより発光効率が向上する。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る半導体レーザ1の断面構成を表したものである。図2は、図1の半導体レーザ1のバンドラインナップ一例を表したものである。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る半導体レーザ1の断面構成を表したものである。図2は、図1の半導体レーザ1のバンドラインナップ一例を表したものである。
この半導体レーザ1は、基板10の一面側に、バッファ層11、n型クラッド層12、n型グレーデット層13、スペーサ層14、ガイド層15(第1光ガイド層)、活性層16、ガイド層17(第2光ガイド層)、p型クラッド層18およびコンタクト層19をこの順に積層して構成された積層構造20を備えている。
基板10は、例えばn型InP基板である。バッファ層11は、n型クラッド層12からコンタクト層19までの各半導体層の結晶成長性を良くするために基板10の表面に形成されたものである。バッファ層11は、例えば、基板10がInP基板である場合には、Siドープのn型InGaAs層およびClドープのn型ZnCdSe層を基板10側から順に積層して構成されている。
n型クラッド層12は、バンドギャップがガイド層15および活性層16のバンドギャップよりも大きく、かつ屈折率がガイド層15および活性層16の屈折率よりも小さいII−VI族化合物半導体を主に含んで構成されている。このn型クラッド層12では、伝導帯下端または伝導帯第一サブバンド下端がガイド層15および活性層16の伝導帯下端または伝導帯第一サブバンド下端よりも低くなっているか、または、スペーサ層14がn型クラッド層12と活性層16との間に設けられていないとした場合にn型クラッド層12と活性層16とのタイプII発光が生じる程度に、n型クラッド層12および活性層16の伝導帯下端の不連続量が小さくなっている。従って、前者の場合にはn型クラッド層12が活性層16とタイプII接合している場合だけが該当するが、後者の場合にはn型クラッド層12が活性層16とタイプII接合している場合だけでなく、タイプI接合している場合も該当する。
このn型クラッド層12は、例えば、第1半導体層(図示せず)と第2半導体層(図示せず)とを交互に積層してなる超格子構造となっている。ここで、井戸層は、例えば、主としてZnCdSeを含んでおり、障壁層は、例えば、主としてMgSeを含んでいる。また、井戸層および障壁層のそれぞれの層厚は、例えば、1ML以上10ML以下となっている。従って、井戸層および障壁層のそれぞれの材料(組成比)および各層厚の比によってn型クラッド層12の実効的なバンドギャップを変える(制御する)ことが可能となっている。井戸層および障壁層の厚さの比(障壁層の厚さ/井戸層の厚さ)は、バンドギャップがガイド層15および活性層16のバンドギャップよりも大きくなる範囲内の値となっている。例えば、井戸層がZn0.48Cd0.52Seからなり、障壁層がMgSeからなる場合には、2ML/4ML(ML:モノレイヤー、1ML≒0.3nm)となっている。
なお、n型クラッド層12は、上記した井戸層および障壁層の他に、更に何らかの層を含んでいてもよい。また、下部クラッド層12は、単層構造であってもよく、例えば、ZnCdSe混晶、BeZnCdSe混晶またはBeCdSe混晶を主として含む単層構造となっていてもよい。
また、n型クラッド層12が上記したような積層構造となっている場合には、その積層構造に含まれる所定の層(例えば、井戸層、障壁層、またはその他の何らかの層)にn型不純物が少なくとも1種類ドープされているか、または積層構造に含まれる所定の層以外の層よりも多くドープされていてもよい。また、n型クラッド層12が上記したような単層構造となっている場合には、n型不純物が少なくとも1種類、層全体に均一にドープされていてよいし、層内で濃度分布が生じるように不均一にドープされていてもよい。n型不純物としては、例えば、Cl、Ga、Alなどが挙げられる。
n型グレーデッド層13は、n型クラッド層12と活性層16とがタイプII接合となっている場合に、電子を十分に活性層16に注入させることができるようにするためのものである。このn型グレーデッド層13は、バンドギャップがガイド層15および活性層16のバンドギャップよりも大きく、かつ屈折率がガイド層15および活性層16の屈折率よりも小さいII−VI族化合物半導体を主に含んで構成されている。
このn型グレーデッド層13では、伝導帯下端または伝導帯第一サブバンド下端がガイド層15および活性層16の伝導帯下端または伝導帯第一サブバンド下端よりも低く、n型クラッド層12の伝導帯下端または伝導帯第一サブバンド下端よりも高くなっている。また、n型グレーデッド層13の価電子帯上端または価電子帯第一サブバンド上端は、少なくともガイド層15および活性層16の価電子帯上端または価電子帯第一サブバンド上端よりも低い準位となっている。なお、図2には、n型グレーデッド層13の価電子帯上端または価電子帯第一サブバンド上端がn型クラッド層12の価電子帯上端または価電子帯第一サブバンド上端よりも低い準位となっている場合が例示されている。
このn型グレーデッド層13は、例えば、井戸層(図示せず)と障壁層(図示せず)とを交互に積層してなる超格子構造となっている。ここで、井戸層は、例えば、主としてZnCdSeを含んでおり、障壁層は、例えば、主としてMgSeを含んでいる。また、井戸層および障壁層のそれぞれの層厚は、例えば、1ML以上10ML以下となっている。従って、井戸層および障壁層のそれぞれの材料(組成比)および各層厚の比によってn型グレーデッド層13の実効的なバンドギャップを変える(制御する)ことが可能となっている。n型グレーデッド層13に含まれる複数の井戸層の厚さは、例えばn型クラッド層12側からガイド層15側に向かうにつれて薄くなっており、n型グレーデッド層13に含まれる複数の障壁層の厚さは、例えばn型グレーデッド層13内の位置に依らず一定となっている。また、井戸層および障壁層の厚さの比(障壁層の厚さ/井戸層の厚さ)は、例えば、井戸層がZn0.48Cd0.52Seからなり、障壁層がMgSeからなる場合には、n型クラッド層12側において2ML/3MLとなっており、スペーサ層14側において2ML/1MLとなっている。
なお、n型グレーデッド層13は、上記した井戸層および障壁層の他に、更に何らかの層を含んでいてもよい。また、n型グレーデッド層13が上記したような積層構造となっている場合には、その積層構造に含まれる所定の層(例えば、井戸層、障壁層、またはその他の何らかの層)にn型不純物が少なくとも1種類ドープされているか、または積層構造に含まれる所定の層以外の層よりも多くドープされていてもよい。
スペーサ層14は、バンドギャップが活性層16およびガイド層15のバンドギャップよりも大きく、かつ屈折率が活性層16およびガイド層15の屈折率よりも小さなII−VI族化合物半導体を主に含んで構成されている。
このスペーサ層14では、伝導帯下端または伝導帯第一サブバンド下端がn型クラッド層12、n型グレーデッド層13、ガイド層15および活性層16の伝導帯下端または伝導帯第一サブバンド下端よりも高い準位となっている。また、スペーサ層14の価電子帯上端または価電子帯第一サブバンド上端は、少なくともガイド層15および活性層16の価電子帯上端または価電子帯第一サブバンド上端よりも低い準位となっている。なお、図2には、スペーサ層14の価電子帯上端または価電子帯第一サブバンド上端がn型クラッド層12、n型グレーデッド層13、ガイド層15および活性層16の価電子帯上端または価電子帯第一サブバンド上端よりも低い準位となっている場合が例示されている。
このスペーサ層14は、例えば、MgSe混晶、またはMgZeSeTe混晶を主に含んで構成されている。スペーサ層14の厚さは、n型クラッド層12から供給される電子がスペーサ層14の電子障壁によって活性層16へ透過しない範囲内の値となっている。つまり、スペーサ層14は、n型クラッド層12と活性層16とのタイプII発光を抑制するような材料および厚さにより構成されている。
図3(A)〜(C)は、電子がスペーサ層14を透過する確率(透過率T2)を検討するにあたって用いたモデルを表したものである。図中のVoは、スペーサ層14の活性層16からの障壁高さである。Δは、スペーサ層14のn型クラッド層12からの障壁高さである。Eは、本モデルに電圧を印加したときの、n型クラッド層12の伝導帯下端または伝導帯第一サブバンド下端の上昇量である。なお、図3(A)は活性層16の伝導帯下端または伝導帯第一サブバンド下端が、n型クラッド層12の伝導帯下端または伝導帯第一サブバンド下端よりも高いときのバンドラインナップの一例を模式的に表したものである。図3(B)は活性層16の伝導帯下端または伝導帯第一サブバンド下端と、n型クラッド層12の伝導帯下端または伝導帯第一サブバンド下端とが互いに等しいときのバンドラインナップの一例を模式的に表したものである。また、図3(C)はスペーサ層14の伝導帯下端または伝導帯第一サブバンド下端と、n型クラッド層12の伝導帯下端または伝導帯第一サブバンド下端とが互いに等しくなる程度の電圧を本モデルに印加したときのバンドラインナップの一例を模式的に表したものである。
図4は、本モデルにおいて、スペーサ層14をMgSe混晶により構成し、かつその厚さを0MLから14MLまで1MLずつ変化させたときの透過率T2を表したものである。図4では、障壁高さΔが0.00eV、0.05eV、0.29eV、0.6eV、0.92eVとなっているときの透過率がそれぞれ示されている。図4の透過率T2は、以下の式によって算出されている。
ここで、aはMgSe混晶層の厚さである。meは電子の静止質量である。mbはスペーサ層14の有効質量である。図4では、mbとしてMgSe混晶の有効質量である0.23を用いた。hbはプランク定数である。ΔはMgSe混晶層の障壁高さである。
図4から、スペーサ層14をMgSe混晶により構成し、n型クラッド層12を図3(A),(B)に示したように障壁高さΔがVo以上となるような材料により構成した場合には、活性層16を障壁高さVoが0.29eV以上となるような材料により構成すると共に、スペーサ層14の厚さを8ML以上とすることにより、透過率T2をほぼゼロにすることができることがわかる。また、本モデルへ外部から電圧を印加した場合には、n型クラッド層12の伝導帯下端は上昇し、Δが小さくなる(図3(C)参照)。従って、電圧印加によりΔをゼロにした場合には、図4に示したように、スペーサ層14の厚さに拘わらず透過率T2が1となることがわかる。
従って、スペーサ層14をMgSe混晶により構成すると共に、n型クラッド層12を、図3(A),(B)に示したように外部から本モデルへ電圧を印加していない時に障壁高さΔがVo以上となるような材料(例えば、MgSe(2ML)/Zn0.48Cd0.52Se(4ML)超格子)により構成し、かつスペーサ層14の厚さを、8ML以上、トンネル効果により電子が透過することの可能な厚さ(電子のドブロイ波長である10nm程度)以上とした場合には、積層構造20に電圧を印加していないときには活性層16へ電子が透過せず、積層構造20に電圧を印加したときには活性層16へ電子が透過する。
ガイド層15は、バンドギャップが活性層16のバンドギャップよりも大きく、かつ屈折率が活性層16の屈折率よりも小さいII−VI族化合物半導体層となっている。このガイド層15では、伝導帯下端または伝導帯第一サブバンド下端が活性層16の伝導帯下端または伝導帯第一サブバンド下端よりも高い準位となっており、価電子帯上端または価電子帯第一サブバンド上端が活性層16の価電子帯上端または価電子帯第一サブバンド上端よりも低い準位となっている。
このガイド層15は、例えば、井戸層(図示せず)と障壁層(図示せず)とを交互に積層してなる超格子層となっている。ここで、井戸層は、例えば、活性層16と同一組成の半導体層となっており、例えば、主としてZnSeTe混晶またはBeZnSeTe混晶を含んでいる。なお、井戸層は、活性層16とは異なる半導体材料によって構成されていてもよく、例えば、BeZnTe混晶を含んでいる。このように、井戸層を活性層16とは異なる半導体材料によって構成した場合には活性層16とガイド層15との障壁差(伝導帯下端のエネルギー差ΔEc、価電子帯上端のエネルギー差ΔEv)を、井戸層を活性層16と同一材料によって構成した場合と比べて大きくすることができ、活性層16への強いキャリア閉じ込めを得ることもできる。一方、障壁層は、例えば、主としてMgSeを含んでいる。また、井戸層および障壁層のそれぞれの層厚は、例えば、1ML以上10ML以下となっている。従って、井戸層および障壁層のそれぞれの材料(組成比)および各層厚の比によってガイド層15の実効的なバンドギャップを変える(制御する)ことが可能となっている。なお、また、井戸層および障壁層の厚さの比(障壁層の厚さ/井戸層の厚さ)は、バンドギャップが活性層16のバンドギャップよりも大きくなる範囲内の値となっており、例えば、井戸層がBe0.13Zn0.87Se0.40Te0.60混晶からなり、障壁層がMgSe混晶からなる場合には、2ML/8MLとなっている。
なお、ガイド層15は、上記した井戸層および障壁層の他に、更に何らかの層を含んでいてもよい。また、ガイド層15は、単層構造であってもよく、例えば、主としてMgZnSeTe混晶またはMgBeZnSeTe混晶を含む単層構造となっていてもよい。
また、ガイド層15が上記したような積層構造となっている場合には、その積層構造に含まれる全ての層(例えば、井戸層、障壁層、またはその他の何らかの層)がアンドープとなっていることが好ましい。なお、本明細書において「アンドープ」とは、対象となる半導体層を製造する際に不純物の原料を供給していないことを意味するものであり、対象となる半導体層に不純物が全く含まれていない場合や、他の半導体層などから拡散してきた不純物がわずかに含まれている場合も含まれる概念である。また、ガイド層13が上記したような単層構造となっている場合には、層全体がアンドープとなっていることが好ましい。
活性層16は、所望の発光波長(例えば緑色帯)に対応したバンドギャップを有するII−VI族化合物半導体層となっている。この活性層16は、例えば、ZnSeTe混晶またはBeZnSeTe混晶を含んで構成されており、例えば、緑色帯の波長で発光し、かつInPと格子整合するBe0.13Zn0.87Se0.40Te0.60混晶により構成されている。なお、活性層16がZnSeTe混晶またはBeZnSeTe混晶を含む量子井戸構造となっていてもよく、例えば、MgSe/BeZnSeTe超格子構造となっていてもよい。また、活性層16の層全体がアンドープとなっていることが好ましい。
ガイド層17は、バンドギャップが活性層16のバンドギャップよりも大きく、かつ屈折率が活性層16の屈折率よりも小さいII−VI族化合物半導体層となっている。このガイド層17では、伝導帯下端または伝導帯第一サブバンド下端が活性層16の伝導帯下端または伝導帯第一サブバンド下端よりも高い準位となっており、価電子帯上端または価電子帯第一サブバンド上端が活性層16の価電子帯上端または価電子帯第一サブバンド上端よりも低い準位となっている。
このガイド層17は、例えば、井戸層(図示せず)と障壁層(図示せず)とを交互に積層してなる超格子層となっている。ここで、井戸層は、例えば、活性層16と同一組成の半導体層となっており、例えば、主としてZnSeTe混晶またはBeZnSeTe混晶を含んでいる。なお、井戸層は、活性層16とは異なる半導体材料によって構成されていてもよく、例えば、BeZnTe混晶を含んでいる。このように、井戸層を活性層16とは異なる半導体材料によって構成した場合には活性層16とガイド層17との障壁差(伝導帯下端のエネルギー差ΔEc、価電子帯上端のエネルギー差ΔEv)を、井戸層を活性層16と同一材料によって構成した場合と比べて大きくすることができ、活性層16への強いキャリア閉じ込めを得ることもできる。一方、障壁層は、例えば、主としてMgSeを含んでいる。また、井戸層および障壁層のそれぞれの層厚は、例えば、1ML以上10ML以下となっている。従って、井戸層および障壁層のそれぞれの材料(組成比)および各層厚の比によってガイド層17の実効的なバンドギャップを変える(制御する)ことが可能となっている。井戸層および障壁層の厚さの比(障壁層の厚さ/井戸層の厚さ)は、バンドギャップが活性層16のバンドギャップよりも大きくなる範囲内の値となっており、例えば、井戸層がBe0.13Zn0.87Se0.40Te0.60混晶からなり、障壁層がMgSe混晶からなる場合には、2ML/8MLとなっている。
なお、ガイド層17は、上記した井戸層および障壁層の他に、更に何らかの層を含んでいてもよい。また、ガイド層17は、単層構造であってもよく、例えば、主としてMgZnSeTe混晶またはMgBeZnSeTe混晶を含む単層構造となっていてもよい。
また、ガイド層17が上記したような積層構造となっている場合には、その積層構造に含まれる全ての層(例えば、井戸層、障壁層、またはその他の何らかの層)がアンドープとなっていることが好ましい。
p型クラッド層18は、バンドギャップが活性層16およびガイド層15のバンドギャップよりも大きく、かつ屈折率が活性層16およびガイド層15の屈折率よりも小さいII−VI族化合物半導体を主に含んで構成されている。
このp型クラッド層18は、例えば、井戸層(図示せず)と障壁層(図示せず)とを交互に積層してなる超格子構造となっている。ここで、井戸層は、例えば、主としてBeZnTe混晶を含んでおり、障壁層は、例えば、主としてMgSe混晶を含んでいる。また、井戸層および障壁層のそれぞれの層厚は、例えば、1ML以上10ML以下となっている。従って、井戸層および障壁層のそれぞれの材料(組成比)および各層厚の比によってp型クラッド層18の実効的なバンドギャップを変える(制御する)ことが可能となっている。井戸層および障壁層の厚さの比(障壁層の厚さ/井戸層の厚さ)は、バンドギャップが活性層16およびガイド層17のバンドギャップよりも大きくなる範囲内の値となっており、例えば、井戸層がBe0.48Zn0.52Te混晶からなり、障壁層がMgSe混晶からなる場合には、4ML/6MLとなっている。
なお、p型クラッド層18は、上記した井戸層および障壁層の他に、更に何らかの層を含んでいてもよい。また、p型クラッド層18は、単層構造であってもよく、例えば、主としてMgBeZnSeTe混晶を含む単層構造となっていてもよい。
また、p型クラッド層18が上記したような積層構造となっている場合には、その積層構造に含まれる所定の層(例えば、井戸層、障壁層、またはその他の何らかの層)にp型不純物が少なくとも1種類ドープされているか、または積層構造に含まれる所定の層以外の層よりも多くドープされていてもよい。また、p型クラッド層18が上記したような単層構造となっている場合には、p型不純物が少なくとも1種類、層全体に均一にドープされていてよいし、層内で濃度分布が生じるように不均一にドープされていてもよい。p型不純物としては、例えば、N、P、O、As、Sb、Li、NaまたはKなどが挙げられる。
コンタクト層19は、例えば、p型ZnTeにより構成されている。
また、この半導体レーザ1には、積層構造20の上面にストライプ状の開口を有する絶縁層21が形成されており、さらに、その開口を含む絶縁層21の表面全体にp側電極22が形成されている。また、基板10の裏面には、n側電極23が形成されている。p側電極22は、例えば、パラジウム(Pd),白金(Pt)および金(Au)をコンタクト層17上にこの順に積層したものであり、コンタクト層17と電気的に接続されている。また、n側電極23は、例えば、例えば金(Au)とゲルマニウム(Ge)との合金,ニッケル(Ni)および金(Au)とをこの順に積層した構造を有しており、基板10と電気的に接続されている。このn側電極23は、半導体レーザ1を支持するためのサブマウント(図示せず)の表面に固定されており、さらに、サブマウントを介してヒートシンク(図示せず)の表面に固定されている。
ところで、上記したn型クラッド層12、ガイド層13、活性層14、ガイド層15およびp型クラッド層16は、基板10と格子整合していることが好ましい。ここで、基板10がInP基板となっている場合には、他の層はInPと格子整合する組成比の材料により構成されていることが好ましい。II−VI族化合物半導体のうちInPと格子整合するものとしては、例えば、以下に示した表1の材料が挙げられる。
なお、表1に示した4元混晶(BeZnSeTe)のBe組成比をInPと格子整合条件下で0〜0.3まで変えることができるので、表1に示した4元混晶(BeZnSeTe)のバンドギャップを、2.07eV〜2.65eVの範囲内の値とすることが可能である。例えば、BeZnSeTeのBe組成比を0.13とし、Se組成比を0.40とすることにより、BeZnSeTeのバンドギャップを、緑色帯の波長に対応するバンドギャップ(2.33eV)とすることができる。
本実施の形態の半導体レーザ1では、上部電極22と下部電極23との間に所定の電圧が印加されると、活性層16に電流が注入され、電子−正孔再結合によって発光が生じ、端面(図示せず)から例えば青紫色から橙色(480nm〜600nm)の範囲内の波長のレーザ光が積層面内方向に向けて射出される。
次に、本実施の形態の半導体レーザ1の効果について、比較例と対比しつつ説明する。
図5は、比較例に係る半導体レーザの断面構成を表すものである。図6は、図5の半導体レーザのバンドラインナップの一例を模式的に表すものである。この半導体レーザでは、InP基板110上に、バッファ層111、n型クラッド層112、n型グレーデッド層113、ガイド層114、活性層115、ガイド層116、p型クラッド層117およびコンタクト層118が積層されている。コンタクト層118上にはストライプ状の開口を有する絶縁層121が形成されており、その絶縁層121上には、絶縁層121の開口を介してコンタクト層118と接するp側電極122が形成されている。また、InP基板110の裏面には、n側電極123が形成されている。
比較例に係る半導体レーザでは、活性層115として、緑で発光し、かつInPに格子整合するBe0.13Zn0.87Se0.40Te0.60が用いられている。また、ガイド層114,116として、MgSe/Be0.13Zn0.87Se0.40Te0.60超格子が用いられている。また、n型クラッド層112およびn型グレーデッド層113として、MgSe/Zn0.48Cd0.52Se超格子が用いられている。また、p型クラッド層117として、MgSe/Be0.48Zn0.52Te超格子が用いられている。これにより、比較例1に係る半導体レーザでは、ガイド層114,116および活性層115がタイプI接合となっている。
しかし、XPS測定による価電子帯バンド不連続量評価と、PL測定によるバンドギャップエネルギー評価とを行った結果、n型クラッド層112の伝導帯下端が、活性層115の伝導帯下端よりも低く、n型クラッド層112と活性層115とがタイプII接合していることがわかった。従って、比較例に係る半導体レーザでは、タイプII発光が生じてしまい、発光効率が著しく低い。また、光が生成される位置が活性層115の中心位置ではないので、活性層115への光閉じ込めが不十分となり、レーザ発振を得ることができない。
一方、本実施の形態では、n型クラッド層12(n型グレーデッド層13)と活性層16(ガイド層15)との間に、スペーサ層14が設けられている。このスペーサ層14は、伝導帯下端がn型クラッド層12、n型グレーデッド層13、ガイド層15および活性層16の伝導帯下端よりも高い準位となるようなバンド構造を有しており、n型クラッド層12と活性層16とのタイプII発光を抑制するような材料および厚さにより構成されている。これにより、空間的に分離した電子と正孔とがn型クラッド層12と活性層16との間でタイプII発光するのが抑制される。これにより、活性層16でのタイプI発光を実現することができるので、比較例と比べて発光効率が向上する。
[第2の実施の形態]
図7は、本発明の第2の実施の形態に係る半導体レーザ2の断面構成を表したものである。図8は、図7の半導体レーザ2のバンドラインナップ一例を表したものである。
図7は、本発明の第2の実施の形態に係る半導体レーザ2の断面構成を表したものである。図8は、図7の半導体レーザ2のバンドラインナップ一例を表したものである。
この半導体レーザ2は、基板10の一面側に、バッファ層11、n型クラッド層12、ガイド層15、活性層16、ガイド層17、スペーサ層24、p型クラッド層18およびコンタクト層19をこの順に積層して構成された積層構造30を備えている。つまり、本実施の形態の半導体レーザ2は、p側にスペーサ層を備えている点で、n側にスペーサ層を備えていた上記実施の形態の半導体レーザ1の構成と相違する。そこで、以下、上記実施の形態との相違点について主に説明し、上記実施の形態との共通点についての説明を適宜省略するものとする。
p型クラッド層28は、バンドギャップが活性層16およびガイド層17のバンドギャップよりも大きく、かつ屈折率が活性層16およびガイド層17の屈折率よりも小さいII−VI族化合物半導体を主に含んで構成されている。このp型クラッド層28では、価電子帯上端または価電子帯第一サブバンド上端が活性層16およびガイド層17の価電子帯上端または価電子帯第一サブバンド上端よりも高くなっているか、または、スペーサ層24がp型クラッド層18と活性層16との間に設けられていないとした場合にp型クラッド層18と活性層16とのタイプII発光が生じる程度に、p型クラッド層18および活性層16の価電子帯上端の不連続量が小さくなっている。従って、前者の場合にはp型クラッド層18が活性層16とタイプII接合している場合だけが該当するが、後者の場合にはp型クラッド層18が活性層16とタイプII接合している場合だけでなく、タイプI接合している場合も該当する。
スペーサ層24は、バンドギャップが活性層16およびガイド層17のバンドギャップよりも大きく、かつ屈折率が活性層16およびガイド層17の屈折率よりも小さなII−VI族化合物半導体を主に含んで構成されている。
このスペーサ層24では、価電子帯上端または価電子帯第一サブバンド上端が活性層16、ガイド層17およびp型クラッド層18の価電子帯上端または価電子帯一サブバンド上端よりも低い準位となっている。また、スペーサ層24の伝導帯下端または伝導帯第一サブバンド下端は、少なくとも活性層16およびガイド層17の伝導帯下端または伝導帯第一サブバンド下端よりも高い準位となっている。なお、図8には、スペーサ層24の伝導帯下端または伝導帯第一サブバンド下端が活性層16、ガイド層17およびp型クラッド層18の伝導帯下端または伝導帯第一サブバンド下端よりも高い準位となっている場合が例示されている。
このスペーサ層24は、例えば、MgSe混晶、またはMgZeSeTe混晶を主に含んで構成されている。スペーサ層24の厚さは、p型クラッド層18から供給される正孔がスペーサ層24の正孔障壁によって活性層16へ透過しない範囲内の値となっている。つまり、スペーサ層24は、p型クラッド層18と活性層16とのタイプII発光を抑制するような材料および厚さにより構成されている。
また、スペーサ層24およびp型クラッド層18を、図9(A),(B)に示したように外部から本モデルへ電圧を印加していない時に障壁高さΔがV1以上となるような材料により構成し、かつスペーサ層24の厚さを、トンネル効果により正孔が透過することの可能な厚さ以上とした場合には、積層構造30に電圧を印加していないときには活性層16へ正孔が透過せず、積層構造30に電圧を印加したときには活性層16へ正が透過する。
本実施の形態では、p型クラッド層18と活性層16(ガイド層17)との間に、スペーサ層24が設けられている。このスペーサ層24は、価電子帯上端がガイド層15、活性層16およびp型クラッド層18の価電子帯上端よりも低い準位となるようなバンド構造を有しており、p型クラッド層18と活性層16とのタイプII発光を抑制するような材料および厚さにより構成されている。これにより、空間的に分離した電子と正孔とがp型クラッド層18と活性層16との間でタイプII発光するのが抑制される。これにより、活性層16でのタイプI発光を実現することができるので、発光効率が向上する。
[変形例]
本実施の形態では、スペーサ層24をp型クラッド層18と活性層16(ガイド層17)との間にだけ設けていたが、バンドラインナップの状態によっては、例えば、図10、図11に示したように、さらに、n型クラッド層12と活性層16(ガイド層15)との間に、上記実施の形態のスペーサ層14を設けてもよい。
本実施の形態では、スペーサ層24をp型クラッド層18と活性層16(ガイド層17)との間にだけ設けていたが、バンドラインナップの状態によっては、例えば、図10、図11に示したように、さらに、n型クラッド層12と活性層16(ガイド層15)との間に、上記実施の形態のスペーサ層14を設けてもよい。
以上、実施の形態および変形例を挙げて本発明を説明したが、本発明は実施の形態等に限定されるものではなく、種々変形可能である。
例えば、上記実施の形態では、本発明をII−VI族の化合物半導体レーザに適用した場合について説明したが、他の化合物半導体レーザに対しても適用可能である。また、本発明を半導体レーザに適用した場合について説明したが、発光ダイオードに対しても適用可能である。
また、上記実施の形態等では、積層構造30内にガイド層15,17を設けていたが、必要に応じてこれらガイド層15,17をなくしてもよい。
また、上記実施の形態等では、p型クラッド層18と活性層16(ガイド層17)との間にスペーサ層24を設けたり、n型クラッド層12(n型グレーデッド層13)と活性層16(ガイド層15)との間にスペーサ層14を設けたりしていたが、バンドラインナップの状態によっては、例えば、図12に示したように、活性層16とガイド層17との間に電子障壁層25を設けてもよい。
電子障壁層25は、バンドギャップが活性層16のバンドギャップよりも大きく、かつ屈折率が活性層16の屈折率よりも小さく、さらに、伝導帯下端または伝導帯第一サブバンド下端が活性層16の伝導帯下端または伝導帯第一サブバンド下端よりも高いII−VI族化合物半導体を主に含んで構成されている。また、この電子障壁層25は、ガイド層17を活性層16とタイプI接合するような材料や層構造とした場合に、ガイド層17の伝導体下端または伝導帯第一サブバンド下端が活性層16の伝導体下端または伝導帯第一サブバンド下端よりもわずかに高い準位にしかならないときには、バンドギャップが活性層16およびガイド層17のバンドギャップよりも大きく、かつ屈折率が活性層16およびガイド層17の屈折率よりも小さく、さらに、伝導帯下端または伝導帯第一サブバンド下端が活性層16およびガイド層17の伝導帯下端または伝導帯第一サブバンド下端よりも高いII−VI族化合物半導体層となっている。
この電子障壁層25は、例えば、井戸層(図示せず)と障壁層(図示せず)とを交互に積層してなる超格子構造となっている。ここで、井戸層は、例えば、p型クラッド層18の井戸層と同一組成の半導体層であり、例えば、主としてBeZnTeを含んでいる。一方、障壁層は、例えば、主としてMgSeを含んでいる。また、井戸層および障壁層のそれぞれの層厚は、例えば、1ML以上10ML以下となっている。従って、井戸層および障壁層のそれぞれの材料(組成比)および各層厚の比によって電子障壁層25の実効的なバンドギャップを変える(制御する)ことが可能となっている。井戸層および障壁層の厚さの比(障壁層の厚さ/井戸層の厚さ)は、バンドギャップが少なくとも活性層16のバンドギャップよりも大きくなる範囲内の値となっており、好ましくは活性層16およびガイド層17のバンドギャップよりも大きくなる範囲内の値となっている。障壁層の厚さ/井戸層の厚さは、例えば、井戸層がBe0.48Zn0.52Teからなり、障壁層がMgSeからなる場合には、4ML/6MLとなっている。
なお、電子障壁層25は、上記した井戸層および障壁層の他に、更に何らかの層を含んでいてもよい。また、電子障壁層25は、単層構造であってもよく、例えば、主としてMgBeZnSeTeを含む単層構造となっていてもよい。
電子障壁層25の厚さは、5nm以上50nm以下であることが好ましく、10nm以上20nm以下であることがより好ましい。電子は波動的性質を有することから、障壁の厚さが薄くなると、トンネル効果により電子は障壁を透過する。電子の透過確率が十分に小さくなる障壁の厚さ、すなわち障壁として好ましい厚さは、電子のドブロイ波長である10nm程度以上であると考えられる。ただし、障壁が50nmより厚くなると、レーザダイオードとして素子を作成する際に、光を導波路に閉じ込める上で都合が悪くなる。
本変形例では、ガイド層17を活性層16とタイプI接合するような材料や層構造とした場合に、ガイド層17の伝導体下端が活性層16の伝導帯下端よりもわずかに高い準位にしかならないときであっても、活性層16とガイド層17との間に電子障壁層25を設けることにより、n型クラッド12層側から注入された電子を電子障壁層25によって活性層16内に閉じ込めることができる。これにより、電子のオーバーフローの発生を低減することができるので、閾電流値が上昇したり、信頼性が低下したりするなどの悪影響が生じる虞がない。従って、内部量子効率の高い、信頼性に優れた半導体レーザを実現することができる。
また、バンドラインナップの状態によっては、例えば、図13に示したように、活性層16とガイド層15との間に正孔障壁層26を設けてもよい。これにより、正孔のオーバーフローの発生を低減することができるので、閾電流値が上昇したり、信頼性が低下したりするなどの悪影響が生じる虞がない。従って、内部量子効率の高い、信頼性に優れた半導体レーザを実現することができる。
正孔障壁層26は、バンドギャップが活性層16のバンドギャップよりも大きく、かつ屈折率が活性層16の屈折率よりも小さく、さらに、価電子帯上端または価電子帯第一サブバンド上端が活性層16の価電子帯上端または価電子帯第一サブバンド上端よりも低いII−VI族化合物半導体を主に含んで構成されている。また、この正孔障壁層26は、ガイド層15を活性層16とタイプI接合するような材料や層構造とした場合に、ガイド層15の価電子帯上端または価電子帯第一サブバンド上端が活性層17の価電子帯上端または価電子帯第一サブバンド上端よりもわずかに高い準位にしかならないときには、バンドギャップが活性層16およびガイド層17のバンドギャップよりも大きく、かつ屈折率が活性層16およびガイド層17の屈折率よりも小さく、さらに、価電子帯上端または価電子帯第一サブバンド上端が活性層16およびガイド層17の価電子帯上端または価電子帯第一サブバンド上端よりも低いII−VI族化合物半導体層となっている。
この正孔障壁層26は、例えば、MgSe、Mg0.91Zn0.09Se、Mg0.60Zn0.40Se0.85Te0.15などからなる単層構造となっている。ここで、MgSeとBe0.13Zn0.87Se0.38Te0.62とのVBMの差は1.14eVであり、Mg0.91Zn0.09SeとBe0.13Zn0.87Se0.38Te0.62とのVBMの差は1.14eVであり、Mg0.60Zn0.40Se0.85Te0.15とBe0.13Zn0.87Se0.38Te0.62とのVBMの差は0.35eVである。従って、活性層16がBe0.13Zn0.87Se0.38Te0.62の単層構造となっている場合に、正孔障壁層26に対してMgSe、Mg0.91Zn0.09Se、Mg0.60Zn0.40Se0.85Te0.15の単層構造を適用したときには、正孔障壁層26が正孔に対して十分な電位障壁を与えることができる。
なお、正孔障壁層26は、上記した単層の他に、更に何らかの層を含んでいてもよい。また、正孔障壁層26は、井戸層および障壁層を交互に積層してなる超格子構造となっていてもよい。ここで、井戸層は、例えば、主としてMg0.91Zn0.09SeまたはMg0.60Zn0.40Se0.85Te0.15を含んでいる。一方、障壁層は、例えば、主としてMgSeを含んでいる。井戸層および障壁層のそれぞれの層厚は、例えば、1ML以上10ML以下となっており、井戸層および障壁層のそれぞれの材料(組成比)および各層厚の比によって正孔障壁層26の実効的なバンドギャップを変える(制御する)ことが可能となっている。井戸層および障壁層の厚さの比(障壁層の厚さ/井戸層の厚さ)は、バンドギャップが少なくとも活性層16のバンドギャップよりも大きくなる範囲内の値となっており、好ましくは活性層16およびガイド層15のバンドギャップよりも大きくなる範囲内の値となっている。
正孔障壁層26の厚さは、正孔の透過確率(以下の式によって算出される透過率T2)が十分に小さくなる厚さとなっていることが好ましい。例えば、正孔障壁層26がMgSe単層またはMg0.91Zn0.09Se単層からなる場合には、正孔障壁層26の厚さは10ML以上であることが好ましい。また、例えば、正孔障壁層26がMg0.60Zn0.40Se0.85Te0.15単層からなる場合には、正孔障壁層26の厚さは15ML以上であることが好ましい。なお、数2中において、bは正孔障壁層26の厚さであり、mcは正孔障壁層26の有効質量であり、Δは正孔障壁層26の障壁高さである。
本変形例では、ガイド層15を活性層16とタイプI接合するような材料や層構造とした場合に、ガイド層15の価電子帯上端が活性層16の価電子帯上端よりもわずかに低い準位にしかならないときであっても、活性層16とガイド層15との間に正孔障壁層26を設けることにより、p型クラッド18層側から注入された正孔を正孔障壁層26によって活性層16内に閉じ込めることができる。これにより、正孔のオーバーフローの発生を低減することができるので、閾電流値が上昇したり、信頼性が低下したりするなどの悪影響が生じる虞がない。従って、内部量子効率の高い、信頼性に優れた半導体レーザを実現することができる。
また、上記実施の形態等では、基板10としてInP基板を用いていたが、他の基板、例えば、ZnxMg1−xO基板(0≦x≦1)を用いてもよい。ZnxMg1−xO基板は、積層構造20に用いられている材料と同様、II−VI族化合物半導体に属するものであり、ZnxMg1−xO基板上に積層構造20を積層した際に、ZnxMg1−xO基板と積層構造20との界面にヘテロバレンスが生じない。そのため、ヘテロバレンスに起因する界面構造の乱れや、結晶欠陥や転位の発生をなくすることができる。また、基板10としてZnxMg1−xO基板を用いた場合には、基板上にIII−V族からII−VI族に移行させるバッファ層11を設ける必要がない。そのため、III−V族専用のチャンバ内にて、下地となるIII−V族半導体を基板10上に堆積させたのち、結晶成長を中断し、基板10をII−VI族専用のチャンバに移動し、II−VI族半導体を堆積させるという工程を経る必要がないので、基板10がチャンバ間を移動することがなくなる。その結果、基板上に活性層16などを積層する際に、最表面にコンタミネーションが付着する虞をなくすることができる。また、チャンバ間を移動させる際に、基板10を落としたり、移動後のチャンバ内に基板10を精確にセットすることを失敗したりする虞もなくすることができる。従って、素子の特性や信頼性が向上する。
次に、ZnxMg1−xO基板としてZnO基板を用いる場合について説明する。上記実施の形態で例示したように、例えば、活性層16や、活性層16を挟むクラッド層などに、BeZnSeTeや、MgSe/ZnCdSe超格子などの、閃亜鉛鉱型(立方晶系)の結晶構造を有するII−VI族半導体を用いた場合には、活性層16等の原子配列が、ウルツ鉱型(六方晶系)の結晶構造を有するZnO基板の原子配列と合わない。そのため、一般的には良質の結晶を成長させることは難しいと考えられる。しかし、閃亜鉛鉱型構造の(111)面はウルツ鉱型構造の(0001)面と等価な構造となっているので、ZnO基板の(0001)面上に、BeZnSeTeや、MgSe/ZnCdSe超格子などの、閃亜鉛鉱型II−VI族半導体の(111)面を成長させることが可能である。従って、そのようにした場合には、基板と活性層16等との間にヘテロバレンス界面を生じさせずに、基板上に活性層16等を結晶成長させることができる。
以下に、ZnO基板を用いて活性層16等を形成する具体的な方法について説明する。まず、ZnO基板の(0001)面を洗浄したのち、MBEチャンバにセットし、チャンバを真空にする。チャンバ内が十分な真空度に達したら、ZnO基板を約800℃に加熱し、Seソースの照射を開始する。この状態で約10分程度、Seソースの照射を続ける。この操作により、基板最表面のZn−O結合がZn−Se結合に置き換わるので、最表面がZnOの(0001)面から、ZnSeの(111)面によく似た構成になる。
次に、Seを照射したまま基板温度を下げ、約200℃で安定したらZnソース、TeソースおよびClソースの照射も開始する。Clはn型のドーパントとして用いる。このとき、基板上にはClドープZnSeTeが堆積されるが、堆積開始前の基板最表面がZnSeの(111)面に似た構成であるので、その情報を引き継ぎ、このClドープZnSeTeも(111)面成長していく。
また、ZnOの格子定数はa=0.3249nm、c=0.5207nmであるから、(0001)面における最近接Zn間隔(あるいはO間隔)はaの値0.3249nmである。一方、発光素子を構成しているII−VI族材料については、InPに格子整合させる条件を流用して作製するとした場合、その格子定数はInPの値0.5869nmになるが、(111)面における最近接II族間隔(あるいはVI族間隔)はそれを√2で割った値0.4150nmとなる。
この0.3249nm(ZnO基板)と0.4150nm(その上に堆積する層)との違いが、いわゆる格子不整合度に相当するものであり、この場合には28%近くの不整合度がある。しかし、ClドープZnSeTeを成長したときの温度(200℃)は、その後の各層の成長温度(約300℃)と比べると極端に低い。そのため、この層はアモルファス的なバッファ層として作用し、(111)面成長を保ちながら上記の格子不整合を緩和する作用を持つ。このバッファ層を成長する際のSeソースおよびTeソースの量を適宜調節することにより、格子定数がInPに近くなるようなSeの組成比(たとえば0.5)に設定することが可能である。結果として、このバッファ層成長後の最表面はInPの(111)面にほぼ近しい原子配列、すなわち最近接II族間隔(あるいはVI族間隔)が0.4150nmに近い状態になる。
この状態から基板温度を上げて約300℃にした後、このバッファ層上にさらに結晶性の高い下地層として、ClドープZnCdSeを100nmから300nmほどの厚さになるまで成長する。あとは、非特許文献2に記されているデバイス構造と同様に、順次、n型クラッド層12、n型グレーデット層13、スペーサ層14、ガイド層15、活性層16、ガイド層17、p型クラッド層18およびコンタクト層19を例えば上記実施の形態で例示した材料などにより成長していく。その結果、これらの層がいずれも(111)面成長していき、図1のような積層構造が得られる。
なお、ZnO基板はアンドープでもn型の導電性を持つものが多いので、アンドープ基板を使った場合でも、図1のような構造については最上層にp電極を、基板(裏面)にn電極をそれぞれ付けることによって、(図中の)上から下に向かって電流を流すことが可能である。もちろん、導電性向上のためにドーパントとしてAlなどが添加されたZnO基板を使用すれば、より好ましい電気特性が得られる。
上では、ZnO基板の(0001)面に結晶成長させた場合について説明したが、ZnO基板の(11−22)面に結晶成長させることも可能である。ZnO基板の(11−22)面では、最表面は長方形の格子で構成されている。単位格子とでも呼ぶべき最小の長方形は、ウルツ鉱型結晶の格子定数aとcに対して、1辺がaの30.5倍、もう1辺が(a2+c2)0.5である。ZnOの値(a=0.3249nm、c=0.5207nm)を代入すると、1辺が0.5627nm、もう1辺が0.6137nmとなる。
したがって、この場合に、InPに近い格子定数(0.5869nm)を持ったBeZnSeTeなどのII−VI族化合物半導体をエピタキシャル成長させると、上記長方形の規則性に従って、[100]軸方向にわずかに圧縮され、[010]軸方向にはわずかに引っ張られた状態で、成長自体は[001]軸方向に進行していく。その結果、ZnO基板の(11−22)面上に、(001)面成長し、積層構造ができあがる。このよう、基板の方位を適宜選択することで、(001)面成長をさせることも可能である。
1,2…半導体レーザ、10…基板、11…バッファ層、12…n型クラッド層、13…n型グレーデッド層、14,24…スペーサ層、15,17…ガイド層、16…活性層、18…p型クラッド層、19…コンタクト層、20,30…積層構造、21…絶縁層、22…p側電極、23…n側電極、25…電子障壁層、26…正孔障壁層。
Claims (12)
- n型クラッド層、活性層およびp型クラッド層をこの順に含むと共に、前記n型クラッド層と前記活性層との間および前記活性層と前記p型クラッド層との間の少なくとも一方にスペーサ層を含む積層構造を備え、
前記スペーサ層は、当該スペーサ層が前記n型クラッド層と前記活性層との間に設けられている場合には当該スペーサ層の伝導帯下端が前記n型クラッド層および前記活性層の双方の伝導帯下端よりも高い準位となるようなバンド構造を有し、当該スペーサ層が前記活性層と前記p型クラッド層との間に設けられている場合には当該スペーサ層の価電子帯上端が前記活性層および前記p型クラッド層の双方の価電子帯上端よりも低い準位となるようなバンド構造を有する半導体発光素子。 - 前記スペーサ層が前記n型クラッド層と前記活性層との間に設けられ、
前記n型クラッド層は当該n型クラッド層の伝導帯下端が前記活性層の伝導帯下端よりも低い準位となるようなバンド構造を有する請求項1に記載の半導体発光素子。 - 前記スペーサ層が前記活性層と前記p型クラッド層との間に設けられ、
前記p型クラッド層は、当該p型クラッド層の価電子帯上端が前記活性層の価電子帯上端よりも高い準位となるようなバンド構造を有する請求項1に記載の半導体発光素子。 - 前記スペーサ層が前記n型クラッド層と前記活性層との間に設けられ、
前記n型クラッド層は、前記スペーサ層が当該n型クラッド層と前記活性層との間に設けられていないとした場合に当該n型クラッド層と前記活性層とのタイプII発光が生じる程度に、当該n型クラッド層および前記活性層の伝導帯下端の不連続量が小さなバンド構造を有する請求項1に記載の半導体発光素子。 - 前記スペーサ層が前記活性層と前記p型クラッド層との間に設けられ、
前記p型クラッド層は、前記スペーサ層が前記活性層と当該p型クラッド層との間に設けられていないとした場合に前記活性層と当該p型クラッド層とのタイプII発光が生じる程度に、前記活性層および当該p型クラッド層の価電子帯上端の不連続量が小さなバンド構造を有する請求項1に記載の半導体発光素子。 - 前記積層構造は、前記n型クラッド層と前記活性層との間に第1光ガイド層を有すると共に前記活性層と前記p型クラッド層との間に第2光ガイド層を有し、
前記スペーサ層は、前記第1光ガイド層と前記n型クラッド層との間および前記p型クラッド層と前記第2光ガイド層との間の少なくとも一方に設けられている請求項1に記載の半導体発光素子。 - 前記スペーサ層は、前記第1光ガイド層と前記n型クラッド層との間に設けられている場合には当該スペーサ層の伝導帯下端が前記n型クラッド層、前記第1光ガイド層および前記活性層の伝導帯下端よりも高い準位となるようなバンド構造を有し、前記p型クラッド層と前記第2光ガイド層との間に設けられている場合には当該スペーサ層の価電子帯上端が前記活性層、前記第2光ガイド層および前記p型クラッド層の価電子帯上端よりも低い準位となるようなバンド構造を有する請求項6に記載の半導体発光素子。
- 前記スペーサ層は、前記積層構造に外部から電圧が印加されていない状態においてキャリアが当該スペーサ層を透過する確率がゼロとなるような厚さとなっている請求項1に記載の半導体発光素子。
- 前記積層構造は、II−VI族化合物半導体を主に含む請求項1に記載の半導体発光素子。
- 前記スペーサ層は、MgSe混晶、またはMgZnSeTe混晶を主に含む請求項1に記載の半導体発光素子。
- 前記スペーサ層が前記n型クラッド層と前記活性層との間に設けられ、
前記活性層は、BeZnSeTe混晶、またはMgSe/BeZnSeTe超格子を主に含み、
前記n型クラッド層は、MgSe/ZnCdSe超格子、ZnCdSe混晶、BeZnCdSe混晶、BeCdSe混晶を主に含む請求項10に記載の半導体発光素子。 - n型クラッド層、活性層およびp型クラッド層をこの順に含むと共に、前記n型クラッド層と前記活性層との間および前記活性層と前記p型クラッド層との間の少なくとも一方にスペーサ層を含む積層構造を備え、
前記スペーサ層は、当該スペーサ層が前記n型クラッド層と前記活性層との間に設けられている場合には前記n型クラッド層と前記活性層とのタイプII発光を抑制するような材料および厚さにより構成され、当該スペーサ層が前記活性層と前記p型クラッド層との間に設けられている場合には前記活性層と前記p型クラッド層とのタイプII発光を抑制するような材料および厚さにより構成されている半導体発光素子。
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JP2008204400A JP2010040923A (ja) | 2008-08-07 | 2008-08-07 | 半導体発光素子 |
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