JP2010039117A - 表示装置及びその駆動方法と電子機器 - Google Patents
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Abstract
【課題】サンプリング用トランジスタのカップリングの影響を排除可能なアクティブマトリクス型の表示装置を提供する。
【解決手段】サンプリング用トランジスタT1とスイッチングトランジスタT6は、第1制御パルス及び第2制御パルスに応じ所定のシーケンスでオンオフ動作し、信号線SLから映像信号をサンプリングして駆動用トランジスタT2の制御端に書込む。駆動用トランジスタT2は、書込まれた映像信号に応じて駆動電流を発光素子ELに供給して発光させる。サンプリング用トランジスタT1及びスイッチングトランジスタT6は、一方がオンし更に他方がオンした時点で映像信号の書込みを開始し、スイッチングトランジスタT6がオフした時点で書込みを終了する。スイッチングトランジスタT6は、サンプリング用トランジスタT1がオフした後、再びオンする。
【選択図】図2−1
【解決手段】サンプリング用トランジスタT1とスイッチングトランジスタT6は、第1制御パルス及び第2制御パルスに応じ所定のシーケンスでオンオフ動作し、信号線SLから映像信号をサンプリングして駆動用トランジスタT2の制御端に書込む。駆動用トランジスタT2は、書込まれた映像信号に応じて駆動電流を発光素子ELに供給して発光させる。サンプリング用トランジスタT1及びスイッチングトランジスタT6は、一方がオンし更に他方がオンした時点で映像信号の書込みを開始し、スイッチングトランジスタT6がオフした時点で書込みを終了する。スイッチングトランジスタT6は、サンプリング用トランジスタT1がオフした後、再びオンする。
【選択図】図2−1
Description
本発明は発光素子を画素に用いたアクティブマトリクス型の表示装置及びその駆動方法に関する。またこの様な表示装置を備えた電子機器に関する。
発光素子として有機ELデバイスを用いた平面自発光型の表示装置の開発が近年盛んになっている。有機ELデバイスは有機薄膜に電界をかけると発光する現象を利用したデバイスである。有機ELデバイスは印加電圧が10V以下で駆動するため低消費電力である。また有機ELデバイスは自ら光を発する自発光素子であるため、照明部材を必要とせず軽量化及び薄型化が容易である。さらに有機ELデバイスの応答速度は数μs程度と非常に高速であるので、動画表示時の残像が発生しない。
有機ELデバイスを画素に用いた平面自発光型の表示装置の中でも、とりわけ駆動素子として薄膜トランジスタを各画素に集積形成したアクティブマトリクス型の表示装置の開発が盛んである。アクティブマトリクス型平面自発光表示装置は、例えば以下の特許文献1ないし7に記載されている。
特開2003−255856
特開2003−271095
特開2004−133240
特開2004−029791
特開2004−093682
特開2005−258415
特開2005−316385
図31は従来のアクティブマトリクス型表示装置の一例を示す模式的な回路図である。表示装置は画素アレイ部1と周辺の回路部とで構成されている。回路部は水平セレクタ3とライトスキャナ4を備えている。画素アレイ部1は列状の信号線SLと行状の走査線WSを備えている。各信号線SLと走査線WSの交差する部分に画素2が配されている。図では理解を容易にするため、1個の画素2のみを表してある。ライトスキャナ4はシフトレジスタを備えており、外部から供給されるクロック信号ckに応じて動作し同じく外部から供給されるスタートパルスspを順次転送することで、走査線WSに順次パルス状の制御信号(制御パルス)を出力する。水平セレクタ3はライトスキャナ4側の線順次走査に合わせて映像信号を信号線SLに供給する。
画素2はサンプリング用トランジスタT1と駆動用トランジスタT2と保持容量C1と発光素子ELとで構成されている。駆動用トランジスタT2はPチャネル型であり、そのソースは電源ラインに接続し、そのドレインは発光素子ELに接続している。駆動用トランジスタT2のゲートはサンプリング用トランジスタT1を介して信号線SLに接続している。サンプリング用トランジスタT1はライトスキャナ4から供給される制御信号に応じて導通し、信号線SLから供給される映像信号をサンプリングして保持容量C1に書き込む。駆動用トランジスタT2は保持容量C1に書き込まれた映像信号をゲート電圧Vgsとしてそのゲートに受け、ドレイン電流Idsを発光素子ELに流す。これにより発光素子ELは映像信号に応じた輝度で発光する。ゲート電圧Vgsは、ソースを基準にしたゲートの電位を表している。
駆動用トランジスタT2は飽和領域で動作し、ゲート電圧Vgsとドレイン電流Idsの関係は以下の式1で表される。
Ids=(1/2)μ(W/L)Cox(Vgs−Vth)2・・・(1)
ここでμは駆動用トランジスタの移動度、Wは駆動用トランジスタのチャネル幅、Lは同じくチャネル長、Coxは同じくゲート絶縁容量、Vthは同じく閾電圧である。この特性式から明らかなように駆動用トランジスタT2は飽和領域で動作するとき、ゲート電圧Vgsに応じてドレイン電流Idsを供給する定電流源として機能する。
Ids=(1/2)μ(W/L)Cox(Vgs−Vth)2・・・(1)
ここでμは駆動用トランジスタの移動度、Wは駆動用トランジスタのチャネル幅、Lは同じくチャネル長、Coxは同じくゲート絶縁容量、Vthは同じく閾電圧である。この特性式から明らかなように駆動用トランジスタT2は飽和領域で動作するとき、ゲート電圧Vgsに応じてドレイン電流Idsを供給する定電流源として機能する。
図32は、発光素子ELの電圧/電流特性を示すグラフである。横軸にアノード電圧Vを示し、縦軸に駆動電流Idsをとってある。なお発光素子ELのアノード電圧は駆動用トランジスタT2のドレイン電圧となっている。発光素子ELは電流/電圧特性が経時変化し、特性カーブが時間の経過と共に寝ていく傾向にある。このため駆動電流Idsが一定であってもアノード電圧(ドレイン電圧)Vが変化してくる。その点、図31に示した画素回路2は駆動用トランジスタT2が飽和領域で動作し、ドレイン電圧の変動に関わらずゲート電圧Vgsに応じた駆動電流Idsを流すことができるので、発光素子ELの特性経時変化に関わらず発光輝度を一定に保つことが可能である。
図33は、従来の画素回路の他の例を示す回路図である。先に示した図31の画素回路と異なる点は、駆動用トランジスタT2がPチャネル型からNチャネル型に変わっていることである。回路の製造プロセス上は、画素を構成する全てのトランジスタをNチャネル型にすることが有利である場合が多い。
従来の表示装置は、サンプリング用トランジスタが信号線から映像信号をサンプリングし、駆動用トランジスタT2のゲートGに書き込む。駆動用トランジスタT2はゲートに書き込まれた映像信号に応じて駆動電流Idsを発光素子ELに供給する。ここでサンプリング用トランジスタT1はライトスキャナ4から走査線WSを介して供給された制御パルスに応答して動作し、映像信号を信号線SLからサンプリングする。具体的には、制御パルスの立上りに応じてサンプリング用トランジスタT1はオンし、制御パルスの立下りに応じてサンプリング用トランジスタT1はオフする。サンプリング用トランジスタT1はオンしてからオフするまでの間に映像信号をサンプリングして駆動用トランジスタT2のゲートに書き込む。
しかしながら、サンプリング用トランジスタT1はオフするときに、そのゲートからドレイン側にカップリングが入り電位が変動する。このカップリングにより、サンプリング用トランジスタT1のドレインに接続している駆動用トランジスタT2のゲート電位が変動し、書き込まれた映像信号に誤差が生じる。個々の画素のサンプリング用トランジスタT1でこのカップリング量にばらつきがあるため、駆動用トランジスタT2のゲートに書き込まれたゲート電圧Vgsがばらつく。これにより、画素間で駆動電流Idsがばらつくため、結果的に画素の発光輝度がばらつき画面のユニフォーミティを損なうという課題がある。
上述した従来の技術の課題に鑑み、本発明はサンプリング用トランジスタのカップリングの影響を排除可能なアクティブマトリクス型の表示装置を提供することを目的とする。かかる目的を達成するために以下の手段を講じた。即ち本発明にかかる表示装置は、画素アレイ部とこれを駆動する回路部とを有する。前記画素アレイ部は、列状に配された信号線と、行状に配された第1走査線と、各信号線と各第1走査線との交差部に配された行列状の画素と、第1走査線と平行に配された第2走査線とを有する。前記回路部は、各第1走査線に順次第1制御パルスを供給する第1スキャナと、各第2走査線に順次第2制御パルスを供給する第2スキャナと、各信号線に映像信号を供給する信号セレクタとを有する。前記画素は、制御端が第1走査線に接続し、一方の電流端が信号線に接続したサンプリング用トランジスタと、制御端が第2走査線に接続し、一方の電流端が該サンプリング用トランジスタの他方の電流端に接続したスイッチングトランジスタと、制御端が該スイッチングトランジスタの他方の電流端に接続した駆動用トランジスタと、該駆動用トランジスタの電流端に接続した発光素子とを含む。前記サンプリング用トランジスタと前記スイッチングトランジスタは、第1制御パルス及び第2制御パルスに応じ所定のシーケンスでオンオフ動作し、該信号線から映像信号をサンプリングして該駆動用トランジスタの制御端に書込む。前記駆動用トランジスタは、該書込まれた映像信号に応じて駆動電流を発光素子に供給して発光させる。
好ましくは前記サンプリング用トランジスタ及びスイッチングトランジスタは、一方がオンし更に他方がオンした時点で該映像信号の書込みを開始し、前記スイッチングトランジスタがオフした時点で書込みを終了する。又前記スイッチングトランジスタは、該サンプリング用トランジスタがオフした後、再びオンする。
本発明によれば、サンプリング用トランジスタの電流端(ドレイン)と駆動用トランジスタの制御端(ゲート)との間にスイッチングトランジスタを挿入している。換言すると、信号線と駆動用トランジスタのゲートの間に、サンプリング用トランジスタとスイッチングトランジスタを直列接続している。このサンプリング用トランジスタとスイッチングトランジスタを所定のシーケンスでオンオフ動作することにより、ノイズ原因となるカップリングが駆動用トランジスタのゲートに入らないようにしている。これにより、カップリングに起因する発光輝度のばらつきを抑制することが可能となり、ムラのない均一な画質の表示装置を得ることができる。
以下図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は本発明にかかる表示装置の第1実施形態を示す全体的なブロック図である。図示するように、本表示装置は、基本的に画素アレイ部1とこれを駆動する回路部とを有する。画素アレイ部1は、列状に配された信号線SLと、行状に配された第1走査線WSと、各信号線SLと各第1走査線WSとの交差部に配された行列状の画素2と、第1走査線WSと平行に配された第2走査線SSとを有する。回路部は、各第1走査線WSに順次第1制御パルスを供給する第1スキャナ(ライトスキャナ)4と、各第2走査線SSに順次第2制御パルスを供給する第2スキャナ(補助スキャナ)6と、各信号線SLに映像信号を供給する信号セレクタ(水平セレクタ)3とを有する。
本実施形態では、回路部は上述したライトスキャナ4、補助スキャナ6、水平セレクタ3の他に、第1補正用スキャナ71、第2補正用スキャナ72、ドライブスキャナ5を含んでいる。第1補正用スキャナ71は走査線WSと平行に配された走査線AZ1を介して各画素2に接続している。第2補正用スキャナ72は走査線WSと平行に配されたさらに別の走査線AZ2を介して各画素2に接続している。ドライブスキャナ5はやはり第1の走査線WSと平行に配されたさらに別の走査線DSを介して各画素2に接続している。
ライトスキャナ4はシフトレジスタからなり、外部から供給されるクロック信号WSckに応じて動作し、同じく外部から供給されるスタートパルスWSspを順次転送することで、対応する走査線WSに所定の制御信号を線順次で出力している。同様にドライブスキャナ5もシフトレジスタからなり、クロック信号DSck及びスタートパルスDSspに従って動作し、所定の制御信号を対応する走査線DSに出力している。補助スキャナ6も同じくシフトレジスタからなり、外部から供給されるクロック信号SSckに応じて動作し、同じく外部から供給されるスタートパルスSSspを順次転送することで、対応する走査線SSにパルス状の制御信号(制御パルス)を線順次で出力している。同様に第一補正用スキャナ71もクロック信号AZ1ckとスタートパルスAZ1spの入力を受けて動作する。第二補正用スキャナ72もクロック信号AZ2ckとAZ2spの供給を外部から受けて、所定の制御信号を対応する走査線AZ2に出力する。
図2−1は、図1に示した表示装置に組み込まれる画素回路の構成を示す回路図である。まず最初に、本発明の要部となる構成を抽出して説明する。即ち画素2は、少なくともサンプリング用トランジスタT1と、スイッチングトランジスタT6と、駆動用トランジスタT2と、発光素子ELとを含む。サンプリング用トランジスタT1はその制御端(ゲート)が第1走査線WSに接続し、一方の電流端(ソース)が信号線SLに接続している。スイッチングトランジスタT6は、その制御端(ゲート)が第2走査線SSに接続し、一方の電流端がサンプリング用トランジスタT1の他方の電流端(ドレイン)に接続している。駆動用トランジスタT2は、その制御端(ゲートG)がスイッチングトランジスタT6の他方の電流端に接続している。発光素子ELはこの駆動用トランジスタT2の電流端に接続している。より具体的には、発光素子ELは2端子型であり、そのアノードが駆動用トランジスタT2のソースSに接続し、そのカソードが所定のカソード電位Vcatに接続している。
かかる構成において、サンプリング用トランジスタT1とスイッチングトランジスタT6は、第1走査線WSから供給される第1制御パルス及び第2走査線SSから供給される第2制御パルスにそれぞれ応答して、所定のシーケンスでオンオフ動作し、信号線SLから映像信号Vsigをサンプリングして駆動用トランジスタT2のゲートGに書き込む。駆動用トランジスタT2は、書き込まれた映像信号Vsigに応じて駆動電流を発光素子ELに供給して発光させる。
具体的には、サンプリング用トランジスタT1及びスイッチングトランジスタT6は、一方がオンしさらに他方がオンした時点で映像信号Vsigの書き込みを開始し、スイッチングトランジスタT6がオフした時点で書き込みを終了する。続いてサンプリング用トランジスタT1がオフした後、スイッチングトランジスタT6が再びオン状態に復帰する。かかる構成により、サンプリング用トランジスタT1のゲートから駆動用トランジスタT2のゲートGに飛び込むカップリングを抑制することができる。
図2−1に示した画素2は、上述した基本的な構成要素に加え、さらに追加のスイッチングトランジスタT3,T4,T5と保持容量C1を備えている。スイッチングトランジスタT3はそのゲートが走査線DSに接続し、一方の電流端が電源Vccに接続している。他方の電流端は駆動用トランジスタT2のドレインに接続している。スイッチングトランジスタT4は、そのゲートが走査線AZ2に接続し、一方の電流端が駆動用トランジスタT2のソースSに接続し、他方の電流端が所定の電位Vssに接続している。スイッチングトランジスタT5は、そのゲートが走査線AZ1に接続し、一方の電流端が所定の電位Vofsに接続し、他方の電流端が駆動用トランジスタT2のゲートGに接続している。保持容量C1は一端が駆動用トランジスタT2のゲートGに接続し、他方が駆動用トランジスタT2のソースSに接続している。
図2−2はサンプリング用トランジスタT1の構造を示す模式的な平面図及び断面図である。図示するように、このサンプリング用トランジスタはボトムゲート構造を有し、基板の上にMoからなるゲート電極Gが形成されている。その上にはゲート絶縁膜を介してチャネル領域CHとなる半導体薄膜が形成されている。本例では、この半導体薄膜はアモルファスシリコン(a−Si)である。チャネル領域CHの上はストッパ(STO)で被覆されており、その上にソース電極S及びドレイン電極Dが金属アルミニウム(Al)で形成されている。ソース電極Sは信号線側に接続し、ドレイン電極Dは駆動用トランジスタT2のゲート側に接続している。
従来の表示装置のように、サンプリング用トランジスタT1のドレインDを駆動用トランジスタT2のゲートGに直結した構成とした場合、発光素子ELの発光は、映像信号の書き込みを行った後、サンプリング用トランジスタT1をオフすることで行う。しかしながらこの場合には、サンプリング用トランジスタT1がオフするとき駆動用トランジスタT2のゲートGに飛び込むカップリングのばらつきによって、駆動用トランジスタT2のゲート電圧Vgsにばらつきが生じてしまい、発光輝度のムラの原因となる。
このサンプリング用トランジスタT1がオフ時のカップリングは、駆動用トランジスタT2のゲートに接続するドレイン電極Dとサンプリング用トランジスタT1のゲート電極Gとの間の寄生容量に起因するところが大である。図2−2に示したアモルファスシリコンTFTの場合、サンプリング用トランジスタT1のゲート金属(Mo)と駆動用トランジスタT2のゲート金属に接続するドレイン(Al)とは、Mo/ゲート絶縁膜/アモルファスシリコン/Alと、Mo/ゲート絶縁膜/アモルファスシリコン/STO絶縁膜/Alという2つの領域でオーバーラップしており、それぞれのレイヤーの線幅バラツキ、膜厚バラツキ、合わせズレ等によってその寄生容量は変化する。
この寄生容量をCwsとし、そのバラツキをΔCws、駆動用トランジスタT2のゲートから見える全ての容量の合成容量をCgとすると、サンプリング用トランジスタT1がオフする時のカップリングΔVは式2で示す値となる。ここでVwsはサンプリング用トランジスタT1がオフ時のサンプリング用トランジスタT1のオン電圧とオフ電圧の差分(電圧変化量)である。このΔCwsによって前述のように駆動用トランジスタT2のゲートソース間電圧にバラツキが生じてしまい、発光輝度のバラツキの原因となる。
この現象の対策としてサンプリング用トランジスタT1の振幅Vwsを減らしてカップリング量を減らすという方法がある。しかし、サンプリング用トランジスタT1の振幅を減らすということはオン電圧を下げるかオフ電圧を上げるかのどちらかであり、オン電圧を下げると白の信号書込みが行えなくなる恐れがある。またオフ電圧を上げるとオフ時のリーク電流が大きくなり、ザラというような画質不良が現れてしまう。また、本例ではアモルファスシリコンについて説明したが、低温ポリシリコンにおいてもサンプリング用トランジスタT1の寄生容量による輝度バラツキの問題は存在する。
上述した問題点に対処するため、本発明では図2−1に示した通りの画素回路構成を採用している。即ち、サンプリング用トランジスタT1のドレインと駆動用トランジスタT2のゲート間に、新たにスイッチングトランジスタT6を接続している。このスイッチングトランジスタT6のゲートは、第1走査線WSとは別に設けた第2走査線SSに接続されている。ここでスイッチング用トランジスタT6は,サンプリング用トランジスタT1がオンして信号書き込みを開始した後、一定時間経過後にオフして信号書き込みを終了し、その後サンプリング用トランジスタT1をオフし、さらにスイッチングトランジスタT6をオン状態に復帰させている。これにより、サンプリング用トランジスタT1で発生するカップリングをスイッチングトランジスタT6で遮断しつつ、駆動用トランジスタT2のゲートGに必要な映像信号を書き込むことができる。
図3は、図2−1に示した画素2の動作説明に供するタイミングチャートである。時間軸に沿って、各走査線WS、SS、AZ1、AZ2及びDSに印加されるパルス状の制御信号(制御パルス)の波形を表してある。全てのトランジスタT1,T6,T5,T4,T3はNチャネル型なので、走査線WS,SS,AZ1,AZ2,DSがそれぞれハイレベルのときオンし、ローベルのときオフする。従ってこのタイミングチャートは、各トランジスタT1,T6,T5,T4,T3のオンオフ状態も表してある。なおこのタイミングチャートは各制御信号WS,SS,AZ1,AZ2,DSの波形と共に、駆動用トランジスタT2のゲートG及びソースSの電位変化も表してある。ゲートGとソースSとの間に生じる電圧がゲート電圧Vgsであり、駆動用トランジスタT2のゲートGに書き込まれる入力電圧になる。
図示するように、タイミングチャートは便宜的に期間(1)〜(8)に区切ってある。最初の発光期間(1)は前のフィールドに属する。発光期間(1)が終わって次のフィールドに入る。まず閾電圧補正のための準備期間(2)及び(3)があり、続いて閾電圧補正期間(4)があり、調整期間(5)の後、書き込み期間(6)及び(7)に進む。なおこの書き込み期間(6)及び(7)は、移動度補正期間(7)を含む。この後本フィールドの発光期間(8)となる。ここで発光期間(1)及び(8)では、駆動用トランジスタT2のソースS(接続ノード)は比較的高い電位にあり、発光素子ELはオン状態となって発光している。これに対し期間(2)〜(7)は非発光期間であり、駆動用トランジスタT2のソースSは比較的低い電位にあり、発光素子ELは非発光状態にある。
図3のタイミングチャートで、特に本発明の要部となる書き込み期間(6,7)の動作を説明する。前述したように、この書き込み期間(6,7)は所定の補正期間(7)を含んでおり、その補正が終了する時点が丁度信号書き込みを終了する時点と一致している。
サンプリング用トランジスタT1とスイッチングトランジスタT6は直列に接続されているために信号を書き込むにはその両方のトランジスタがオン状態となる必要がある。また、オフ状態とするにはどちらかのトランジスタがオフとなればよい。まず、信号書込みにおいてスイッチングトランジスタT6はオン状態であるため、信号の書込みはサンプリング用トランジスタT1のオンによって決定される。サンプリング用トランジスタT1をオンして信号電圧を駆動用トランジスタのゲートに入力した後、T3をオンして移動度補正動作を開始する。
一定時間経過後、移動度補正動作終了時においてスイッチングトランジスタT6をオフする。この時スイッチングトランジスタT6の寄生容量によるカップリングが駆動用トランジスタT2のゲートに入力され、発光素子ELは発光を開始する。スイッチングトランジスタT6をオフした後サンプリング用トランジスタT1をオフする。この時、スイッチングトランジスタT6がオフしているため、サンプリング用トランジスタT1のオフは駆動用トランジスタT2のゲートソース間電圧Vgsには影響を与えない。
最後にスイッチングトランジスタT6を再びオンする。この時サンプリング用トランジスタT1はオフしているので信号線の電圧が駆動用トランジスタのゲートに入力されることはない。スイッチングトランジスタT6をオンすることでスイッチングトランジスタT6の寄生容量によるカップリングが駆動用トランジスタT2のゲートに入力される。スイッチングトランジスタT6がオン時の振幅がスイッチングトランジスタT6がオフ時の振幅と同じであれば、このカップリング量はスイッチングトランジスタT6がオフ時のカップリングと同じ値であるため、スイッチングトランジスタT6がオフ時のカップリングは殆どキャンセルされることとなる。
これにより、スイッチングトランジスタT6がオフ時のカップリングバラツキをスイッチングトランジスタT6のオンによってキャンセルできるため、駆動用トランジスタT2のゲートソース間電圧のバラツキを軽減することができ、発光輝度のバラツキも軽減される。この結果、ムラのない均一な画質を得ることができる。
続いて図4〜図11を参照して、図2−1に示した画素回路の動作を詳細に説明する。まず図4に示すように発光期間(1)では、トランジスタT3及びT6がオンした状態である。この時駆動用トランジスタT2は飽和領域で動作するように設定されているため、発光素子ELに流れる駆動電流Idsは、駆動用トランジスタT2のゲートG/ソースS間に印加される入力電圧Vgsに応じて、前述のトランジスタ特性式1に示された値を取る。
続いて図5に示すように準備期間(2)を経て準備期間(3)に入ると、トランジスタT3がオフになって発光が停止する一方、トランジスタT4とT5がオンする。これにより、駆動用トランジスタT2のゲートGは所定の電位Vofsに充電され、ソースSは所定の電位Vssに充電される。よって駆動用トランジスタT2のゲート電圧VgsはVofs−Vssという値をとる。ここで発光素子ELをオフ状態とするため、発光素子ELにかかるアノード電圧Velを、発光素子ELの閾電圧Vthelとカソード電圧Vcatの和よりも小さくなるように、VofsとVssの電圧を設定する。ここではソースSの電位はVssに充電されている。このソースSの電位が発光素子ELのアノード電位Velとなっている。したがってこの準備期間(3)ではVssが、カソード電位Vcatを基準とした閾電圧Vthelよりも大幅に低く設定されているため、発光素子ELは逆バイアス状態となりオフしている。なおこの準備期間(3)では、トランジスタT5及びT4を同時にオンしているが、どちらか先にオンさせても良い。
図6に示すように閾電圧補正期間(4)に進むと、トランジスタT4をオフする一方、トランジスタT3をオン状態とする。これにより、接続ノード(ソースS)はVssから切り離される一方、電源Vcc側に接続される。
図7は、図6に示した発光素子ELをダイオード接続されたトランジスタTelと容量Celで表した等価回路図である。ここでVel<Vcat+Vthelに設定されているため、発光素子ELはオフ状態にあり、オフしている発光素子ELを流れるリーク電流は、駆動用トランジスタT2が供給する出力電流よりもかなり小さい。したがって駆動用トランジスタT2が供給する電流はその大部分が保持容量C1と等価容量Celを充電するために使われる。
図8は、この充電過程を示すグラフである。横軸に時間をとり、縦軸に駆動用トランジスタT2のソース電圧(発光素子ELのアノード電圧Vel)を示す。グラフから明らかなように、発光素子のアノード電圧Velは時間と共にVssからVofs−Vthに向かって上昇していく。閾電圧補正期間(4)が終わった時点で、駆動用トランジスタT2のゲートG/ソースS間電圧VgsはVth相当の値になる。この時Vel=Vofs−Vth<Vcat+Vthelの条件が保たれており、発光素子ELは引き続きオフ状態に置かれている。
閾電圧補正期間(4)の後調整期間(5)に入り、スイッチングトランジスタT3及びスイッチングトランジスタT5をオフする。このスイッチングトランジスタT3をスイッチングトランジスタT5よりも先にオフすることで、駆動用トランジスタT2のゲート電圧Vgsの変動を抑えることが可能である。
続いて図9−1に示すように信号書き込み期間(6)に進むと、サンプリング用トランジスタT1がオンし、信号線SLと駆動用トランジスタT2のゲートGが電気的に接続状態となる。これにより信号線SLから映像信号Vsigが駆動用トランジスタT2のゲートGに書き込まれる。この時駆動用トランジスタT2のゲートG/ソースS間電圧Vgsは、以下の式のように表される。
Vgs=(Vsig−Vofs)×Cel/(Cel+C1+C2)+Vth
ここでCelは発光素子の等価容量、C1は保持容量、C2は駆動用トランジスタT2の寄生容量である。CelはC1及びC2に比べて大きいため、ゲート電圧VgsはほぼVsig+Vthとなる。但しVofsは計算の都合上0Vに設定している。
Vgs=(Vsig−Vofs)×Cel/(Cel+C1+C2)+Vth
ここでCelは発光素子の等価容量、C1は保持容量、C2は駆動用トランジスタT2の寄生容量である。CelはC1及びC2に比べて大きいため、ゲート電圧VgsはほぼVsig+Vthとなる。但しVofsは計算の都合上0Vに設定している。
続いて図9−2に示すように移動度補正期間(7)に進むと、サンプリング用トランジスタT1を引き続きオンした状態で、スイッチグトランジスタT3をオンする。この時駆動用トランジスタT2のソースSの電位は依然として発光素子ELの閾電圧Vthelとカソード電圧Vcatの和を超えておらず、発光素子ELはオフ状態に置かれている。よって発光素子ELを流れるリーク電流は駆動用トランジスタT2が供給する電流よりもかなり少なく、駆動用トランジスタT2の出力電流はほとんど保持容量C1と等価容量Celを充電するために使われる。この時駆動用トランジスタT2に対する閾電圧補正動作は完了しているため、駆動用トランジスタT2が流す電流はもっぱら移動度μを反映したものとなる。具体的に言うと移動度μが大きい場合駆動用トランジスタT2の電流量が大きく、ソースSの電位上昇も早い。逆に移動度μが小さい場合駆動用トランジスタT2の電流量が小さく、ソースSの電位上昇は遅くなる。
図10は、この移動度補正期間(7)におけるソースSの電位上昇を示すグラフである。横軸に時間をとり、縦軸に駆動用トランジスタT2のソース電圧をとってある。グラフから明らかなように移動度μが大きいと保持容量C1に対する負帰還が大きくかかり、駆動用トランジスタT2のソースSの電位上昇分が大きくなる。その分Vgsが圧縮されるため、駆動用トランジスタT2の電流供給能力が抑えられる。即ち移動度が大きいとその影響を抑制するように移動度補正機能が働く。逆に移動度μが小さい場合、ソース電位の上昇分が少なく、Vgsはそれほど圧縮されない。よって駆動用トランジスタT2の電流供給能力を確保することができる。この様に移動度補正期間(7)では駆動用トランジスタT2のVgsが移動度μを反映して小さくなり、一定時間経過後完全に移動度μに対する補正がかかったVgsとなる。
図11に示すように発光期間(8)に進むと、スイッチングトランジスタT6をオフして、駆動用トランジスタT2のゲートGを信号線SLから切り離す。駆動用トランジスタT2のゲートG/ソースS間電圧Vgsは一定であるので、駆動用トランジスタT2は一定電流Ids´を発光素子ELに流そうとする。アノード電圧Velは発光素子ELに駆動電流Ids´が流れる電圧Vxまで上昇し、発光素子ELは実際に発光を開始する。ここで発光素子ELは発光時間が長くなるとその電流/電圧特性は変化してしまう。そのため時間の経過と共にアノード電位(ソース電位)が変動する。しかしながら駆動用トランジスタT2のゲート/ソース間電圧Vgsは一定値に保たれているので、発光素子ELに流れる電流Ids´は変化しない。よって発光素子ELの電流/電圧特性が劣化しても、常に一定の電流Ids´が流れ続け、発光素子ELの輝度が変化することはない。
この後サンプリング用トランジスタT1をオフし、その直後にスイッチングトランジスタT6をオン状態に復帰させる。これによりスイッチングトランジスタT6をオフしたときのカップリングばらつきは、同じスイッチングトランジスタT6をオン状態に復帰したときに生じるカップリングでキャンセルできるため、駆動用トランジスタT2のゲート電圧のばらつきを軽減することが可能となり、発光輝度のばらつきが軽減され、ムラのない均一な画質を得ることができる。
図12は、図2−1に示した第1実施形態にかかる表示装置の動作シーケンスの別の例を示すタイミングチャートである。理解を容易にするため、図3に示したタイミングチャートと同様の表記を採用している。異なる点は、信号書き込みの開始タイミングを、サンプリング用トランジスタT1のオンではなく、スイッチングトランジスタT6のオンで規定していることである。換言すると、本例では信号書き込みをスイッチングトランジスタT6のオン/オフで決定している。本例においても、スイッチングトランジスタT6をオフして信号書き込みを終了した後、サンプリング用トランジスタT1をオフしさらにその後スイッチングトランジスタT6をオン状態に復帰している。これにより、駆動用トランジスタT2のゲートに加わるカップリングを実質的になくすことができる。
図13は、本発明にかかる表示装置の第2実施形態の全体構成を示すブロック図である。理解を容易にするため、図1に示した第1実施形態と対応する部分には対応する参照番号を付してある。異なる点は、第1補正用スキャナ71及び第2補正用スキャナ72を除いて、周辺回路部の構成を簡略化したことである。
図14は、図13に示した第2実施形態の画素構成を示す回路図である。理解を容易にするため、図2−1に示した第1実施形態の画素回路と対応する部分には対応する参照番号を付してある。周辺回路部の構成を簡略化したことと対応して、画素2の構成も単純になっている。第1実施形態と比較して、3個のスイッチングトランジスタT3,T4,T5が除かれている。本画素回路2はサンプリング用トランジスタT1,駆動用トランジスタT2及びスイッチングトランジスタT6のみで構成している。
図15は、図14に示した第2実施形態にかかる画素の動作説明に供するタイミングチャートである。このタイミングチャートは画素の動作の遷移に合わせて期間を(1)〜(7)のように便宜的に区切ってある。当該フィールドに入る直前の期間(1)では発光素子ELが発光状態にある。その後線順次走査の新しいフィールドに入ってまず最初の期間(2)で給電線DSを第1電位Vccから第2電位Vssに切り換える。次の期間(3)に進み入力信号をVsigからVofsに切り換える。さらに次の期間(4)でサンプリングトランジスタT1をオンする。この期間(2)〜(4)で駆動用トランジスタT2のゲート電圧及び発光時におけるソース電圧を初期化する。その期間(2)〜(4)は閾電圧補正のための準備期間であり、駆動用トランジスタT2のゲートGがVofsに初期化される一方、ソースSがVssに初期化される。続いて閾値補正期間(5)で実際に閾電圧補正動作が行われ、駆動用トランジスタT2のゲートGとソースSとの間に閾電圧Vthに相当する電圧が保持される。実際にはVthに相当する電圧が、駆動用トランジスタT2のゲートGとソースSとの間に接続された保持容量C1に書き込まれることになる。この後書き込み期間/移動度補正期間(6)に進む。ここで映像信号の信号電位VsigがVthに足し込まれる形で保持容量C1に書き込まれると共に、移動度補正用の電圧ΔVが保持容量C1に保持された電圧から差し引かれる。この書き込み期間/移動度補正期間(6)では、信号線SLが信号電位Vsigにある時間帯にサンプリング用トランジスタT1を導通状態にする必要がある。この後発光期間(7)に進み、信号電位Vsigに応じた輝度で発光素子が発光する。その際信号電位Vsigは閾電圧Vthに相当する電圧と移動度補正用の電圧ΔVとによって調整されているため、発光素子ELの発光輝度は駆動用トランジスタT2の閾電圧Vthや移動度μのばらつきの影響を受けることはない。なお発光期間(7)の最初でブートストラップ動作が行われ、駆動用トランジスタT2のゲートG/ソースS間電圧Vgsを一定に維持したまま、駆動用トランジスタT2のゲート電位及びソース電位が上昇する。
本実施形態においては信号書込みと移動度補正を同時に行っているが、その動作はサンプリング用トランジスタT1のオンとスイッチングトランジスタT6のオフで決定しており、その後サンプリング用トランジスタT1をオフ、スイッチングトランジスタT6をオンする。本実施形態においてもスイッチングトランジスタT6がオフ時のカップリングバラツキをスイッチングトランジスタT6のオンによってキャンセルできるため、駆動用トランジスタT2のゲートソース間電圧のバラツキを軽減することができ、発光輝度のバラツキも軽減される。この結果、ムラのない均一な画質を得ることができることとなる。
引き続き図16〜図23を参照して、図14に示した画素回路の動作を詳細に説明する。まず図16に示したように発光期間(1)では、電源電位がVccにセットされ、サンプリング用トランジスタT1はオフしている。スイッチングトランジスタはオンしている。このとき駆動用トランジスタT2は飽和領域で動作するようにセットされているため、発光素子ELに流れる駆動電流Idsは駆動用トランジスタT2のゲートG/ソースS間に印加される電圧Vgsに応じて、前述したトランジスタ特性式1で示される値を取る。
続いて図17に示すように準備期間(2),(3)に入ると給電線(電源ライン)の電位をVssにする。このときVssは発光素子ELの閾電圧Vthelとカソード電圧Vcatの和よりも小さくなるように設定している。即ちVss<Vthel+Vcatであるので、発光素子ELは消灯し、電源ライン側が駆動用トランジスタT2のソースとなる。このとき発光素子ELのアノードはVssに充電される。
さらに図18に示すように次の準備期間(4)に入ると、信号線SLの電位がVofsになる一方サンプリング用トランジスタT1がオンして、駆動用トランジスタT2のゲート電位をVofsとする。この様にして発光時における駆動用トランジスタT2のソースS及びゲートGが初期化され、このときのゲートソース間電圧VgsはVofs−Vssの値となる。Vgs=Vofs−Vssは駆動用トランジスタT2の閾電圧Vthよりも大きな値となるように設定されている。この様にVgs>Vthになるように駆動用トランジスタT2を初期化することで、次に来る閾電圧補正動作の準備が完了する。
続いて図19に示すように閾電圧補正期間(5)に進むと、給電線DS(電源ライン)の電位がVccに戻る。電源電圧をVccとすることで発光素子ELのアノードが駆動用トランジスタT2のソースSとなり、図示のように電流が流れる。このとき発光素子ELの等価回路は図示のようにダイオードTelと容量Celの並列接続で表される。アノード電位(即ちソース電位Vss)がVcat+Vthelよりも低いので、ダイオードTelはオフ状態にあり、そこに流れるリーク電流は駆動用トランジスタT2に流れる電流よりもかなり小さい。よって駆動用トランジスタT2に流れる電流はほとんどが保持容量C1と等価容量Celを充電するために使われる。充電が終わった後、サンプリング用トランジスタT1は一旦オフする。
図20は図19に示した閾電圧補正期間(5)における駆動用トランジスタT2のソース電圧の時間変化を表している。図示するように、駆動用トランジスタT2のソース電圧(即ち発光素子ELのアノード電圧)は時間と共にVssから上昇する。閾電圧補正期間(5)が経過すると駆動用トランジスタT2はカットオフし、そのソースSとゲートGとの間の電圧VgsはVthとなる。このときソース電位はVofs−Vthで与えられる。この値Vofs−Vthは依然としてVcat+Vthelよりも低くなっていれば、発光素子ELは遮断状態にある。
次に図21に示すように書き込み期間/移動度補正期間(6)に入ると、信号線SLの電位をVofsからVsigに切り換えた後、サンプリング用トランジスタT1を再びオンする。このとき信号電位Vsigは階調に応じた電圧となっている。駆動用トランジスタT2のゲート電位はサンプリング用トランジスタT1をオンしているためVsigとなる。一方ソース電位は電源Vccから電流が流れるため時間と共に上昇していく。この時点でも駆動用トランジスタT2のソース電位が発光素子ELの閾電圧Vthelとカソード電圧Vcatの和を超えていなければ、駆動用トランジスタT2から流れる電流はもっぱら等価容量Celと保持容量C1の充電に使われる。このとき既に駆動用トランジスタT2の閾電圧補正動作は完了しているため、駆動用トランジスタT2が流す電流は移動度μを反映したものとなる。具体的に言うと移動度μが大きい駆動用トランジスタT2はこのときの電流量が大きく、ソースの電位上昇分ΔVも大きい。逆に移動度μが小さい場合駆動用トランジスタT2の電流量が小さく、ソースの上昇分ΔVは小さくなる。かかる動作により駆動用トランジスタT2のゲート電圧Vgsは移動度μを反映してΔVだけ圧縮され、スイッチングトランジスタT6をオフして移動度補正期間(6)が完了した時点で完全に移動度μを補正したVgsが得られる。
図22は、上述した移動度補正期間(6)における駆動用トランジスタT2のソース電圧の時間的な変化を示すグラフである。図示するように駆動用トランジスタT2の移動度が大きいとソース電圧は速く上昇し、それだけVgsが圧縮される。即ち移動度μが大きいとその影響を打ち消すようにVgsが圧縮され、駆動電流が抑制できる。一方移動度μが小さい場合駆動用トランジスタT2のソース電圧はそれほど速く上昇しないので、Vgsも強く圧縮を受けることはない。したがって移動度μが小さい場合、駆動用トランジスタのVgsは小さい駆動能力を補うように大きな圧縮がかからない。
図23は発光期間(7)の動作状態を表している。この発光期間(7)ではスイッチングトランジスタT6をオフして発光素子ELを発光させる。駆動用トランジスタT2のゲート電圧Vgsは一定に保たれており、駆動用トランジスタT2は前述した特性式に従って一定の電流Ids´を発光素子ELに流す。発光素子ELのアノード電圧(即ち駆動用トランジスタT2のソース電圧)は発光素子ELにIds´という電流が流れるため、Vxまで上昇しこれがVcat+Vthelを超えた時点で発光素子ELが発光する。発光素子ELは発光時間が長くなるとその電流/電圧特性は変化してしまう。そのためソースSの電位が変化する。しかしながら駆動用トランジスタT2のゲート電圧Vgsはブートストラップ動作により一定値に保たれているので、発光素子ELに流れる電流Ids´は変化しない。よって発光素子ELの電流/電圧特性が劣化しても、一定の駆動電流Ids´が常に流れていて、発光素子ELの輝度が変化することはない。その後、サンプリングトランジスタT1をオフし、スイッチングトランジスタT6をオンする。
本発明にかかる表示装置は、図24に示すような薄膜デバイス構成を有する。本図は、絶縁性の基板に形成された画素の模式的な断面構造を表している。図示するように、画素は、複数の薄膜トランジタを含むトランジスタ部(図では1個のTFTを例示)、保持容量などの容量部及び有機EL素子などの発光部とを含む。基板の上にTFTプロセスでトランジスタ部や容量部が形成され、その上に有機EL素子などの発光部が積層されている。その上に接着剤を介して透明な対向基板を貼り付けてフラットパネルとしている。
本発明にかかる表示装置は、図25に示すようにフラット型のモジュール形状のものを含む。例えば絶縁性の基板上に、有機EL素子、薄膜トランジスタ、薄膜容量等からなる画素をマトリックス状に集積形成した画素アレイ部を設ける、この画素アレイ部(画素マトリックス部)を囲むように接着剤を配し、ガラス等の対向基板を貼り付けて表示モジュールとする。この透明な対向基板には必要に応じて、カラーフィルタ、保護膜、遮光膜等を設けてももよい。表示モジュールには、外部から画素アレイ部への信号等を入出力するためのコネクタとして例えばFPC(フレキシブルプリントサーキット)を設けてもよい。
以上説明した本発明における表示装置は、フラットパネル形状を有し、様々な電子機器、例えば、デジタルカメラ、ノート型パーソナルコンピューター、携帯電話、ビデオカメラなど、電子機器の本体部に入力された、若しくは、電子機器の本体部内で生成した情報を画像若しくは映像として表示するあらゆる分野の電子機器のディスプレイ(表示部)に適用することが可能である。以下この様な表示装置が適用された電子機器の例を示す。
図26は本発明が適用されたテレビであり、フロントパネル12、フィルターガラス13等から構成される映像表示画面11を含み、本発明の表示装置をその映像表示画面11に用いることにより作製される。
図27は本発明が適用されたデジタルカメラであり、上が正面図で下が背面図である。このデジタルカメラは、撮像レンズ、フラッシュ用の発光部15、表示部16、コントロールスイッチ、メニュースイッチ、シャッター19等を含み、本発明の表示装置をその表示部16に用いることにより作製される。
図28は本発明が適用されたノート型パーソナルコンピュータであり、本体20には文字等を入力するとき操作されるキーボード21を含み、本体カバーには画像を表示する表示部22を含み、本発明の表示装置をその表示部22に用いることにより作製される。
図29は本発明が適用された携帯端末装置であり、左が開いた状態を表し、右が閉じた状態を表している。この携帯端末装置は、上側筐体23、下側筐体24、連結部(ここではヒンジ部)25、ディスプレイ26、サブディスプレイ27、ピクチャーライト28、カメラ29等を含み、本発明の表示装置をそのディスプレイ26やサブディスプレイ27に用いることにより作製される。
図30は本発明が適用されたビデオカメラであり、本体部30、前方を向いた側面に被写体撮影用のレンズ34、撮影時のスタート/ストップスイッチ35、モニター36等を含み、本発明の表示装置をそのモニター36に用いることにより作製される。
1・・・画素アレイ部、2・・・画素、3・・・水平セレクタ、4・・・ライトスキャナ、5・・・ドライブスキャナ、6・・・補助スキャナ、T1・・・サンプリング用トランジスタ、T2・・・駆動用トランジスタ、T6・・・スイッチングトランジスタ、C1・・・保持容量、EL・・・発光素子、SS・・・走査線
Claims (5)
- 画素アレイ部とこれを駆動する回路部とを有し、
前記画素アレイ部は、列状に配された信号線と、行状に配された第1走査線と、各信号線と各第1走査線との交差部に配された行列状の画素と、第1走査線と平行に配された第2走査線とを有し、
前記回路部は、各第1走査線に順次第1制御パルスを供給する第1スキャナと、各第2走査線に順次第2制御パルスを供給する第2スキャナと、各信号線に映像信号を供給する信号セレクタとを有し、
前記画素は、制御端が第1走査線に接続し、一方の電流端が信号線に接続したサンプリング用トランジスタと、制御端が第2走査線に接続し、一方の電流端が該サンプリング用トランジスタの他方の電流端に接続したスイッチングトランジスタと、制御端が該スイッチングトランジスタの他方の電流端に接続した駆動用トランジスタと、該駆動用トランジスタの電流端に接続した発光素子とを含み、
前記サンプリング用トランジスタと前記スイッチングトランジスタは、第1制御パルス及び第2制御パルスに応じ所定のシーケンスでオンオフ動作し、該信号線から映像信号をサンプリングして該駆動用トランジスタの制御端に書込み、
前記駆動用トランジスタは、該書込まれた映像信号に応じて駆動電流を発光素子に供給して発光させる表示装置。 - 前記サンプリング用トランジスタ及びスイッチングトランジスタは、一方がオンし更に他方がオンした時点で該映像信号の書込みを開始し、
前記スイッチングトランジスタがオフした時点で書込みを終了する請求項1記載の表示装置。 - 前記スイッチングトランジスタは、該サンプリング用トランジスタがオフした後、再びオンする請求項2記載の表示装置。
- 本体部と、該本体部から出力された情報を表示する表示部とを有し、
前記表示部は、画素アレイ部とこれを駆動する回路部とを有し、
前記画素アレイ部は、列状に配された信号線と、行状に配された第1走査線と、各信号線と各第1走査線との交差部に配された行列状の画素と、第1走査線と平行に配された第2走査線とを有し、
前記回路部は、各第1走査線に順次第1制御パルスを供給する第1スキャナと、各第2走査線に順次第2制御パルスを供給する第2スキャナと、各信号線に映像信号を供給する信号セレクタとを有し、
前記画素は、制御端が第1走査線に接続し、一方の電流端が信号線に接続したサンプリング用トランジスタと、制御端が第2走査線に接続し、一方の電流端が該サンプリング用トランジスタの他方の電流端に接続したスイッチングトランジスタと、制御端が該スイッチングトランジスタの他方の電流端に接続した駆動用トランジスタと、該駆動用トランジスタの電流端に接続した発光素子とを含み、
前記サンプリング用トランジスタと前記スイッチングトランジスタは、第1制御パルス及び第2制御パルスに応じ所定のシーケンスでオンオフ動作し、該信号線から映像信号をサンプリングして該駆動用トランジスタの制御端に書込み、
前記駆動用トランジスタは、該書込まれた映像信号に応じて駆動電流を発光素子に供給して発光させる電子機器。 - 画素アレイ部とこれを駆動する回路部とを有し、前記画素アレイ部は、列状に配された信号線と、行状に配された第1走査線と、各信号線と各第1走査線との交差部に配された行列状の画素と、第1走査線と平行に配された第2走査線とを有し、前記回路部は、各第1走査線に順次第1制御パルスを供給する第1スキャナと、各第2走査線に順次第2制御パルスを供給する第2スキャナと、各信号線に映像信号を供給する信号セレクタとを有し、前記画素は、制御端が第1走査線に接続し、一方の電流端が信号線に接続したサンプリング用トランジスタと、制御端が第2走査線に接続し、一方の電流端が該サンプリング用トランジスタの他方の電流端に接続したスイッチングトランジスタと、制御端が該スイッチングトランジスタの他方の電流端に接続した駆動用トランジスタと、該駆動用トランジスタの電流端に接続した発光素子とを含む表示装置を駆動するため、
前記サンプリング用トランジスタと前記スイッチングトランジスタは、第1制御パルス及び第2制御パルスに応じ所定のシーケンスでオンオフ動作し、該信号線から映像信号をサンプリングして該駆動用トランジスタの制御端に書込み、
前記駆動用トランジスタは、該書込まれた映像信号に応じて駆動電流を発光素子に供給して発光させる表示装置の駆動方法。
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