JP2008197607A - 画素回路、画像表示装置及びその駆動方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】画素の閾電圧補正動作を適正化して、輝度の低下が生じないようにする。
【解決手段】スイッチングトランジスタTr3は、サンプリング期間に先立ち走査線AZ1から供給される制御信号AZ1に応じオンして駆動トランジスタTrdのソースSを電位Viniに充電する。スイッチングトランジスタTr2は、走査線AZ2から供給される制御信号AZ2に応じオンして駆動トランジスタTrdのゲートGを電位Vofsに設定する。スイッチングトランジスタTr4は、走査線DSから供給される制御信号DSに応じオンして駆動トランジスタTrdを電位Vccに接続し、駆動トランジスタTrdの閾電圧Vthに相当する電圧を保持容量Csに保持させて閾電圧Vthの影響を補正する。ここでオフ状態にあるべき入力トランジスタTr1を通ってリーク電流が流れないように、そのゲートに接続する走査線WSの基準電位を調整する。
【選択図】図2
【解決手段】スイッチングトランジスタTr3は、サンプリング期間に先立ち走査線AZ1から供給される制御信号AZ1に応じオンして駆動トランジスタTrdのソースSを電位Viniに充電する。スイッチングトランジスタTr2は、走査線AZ2から供給される制御信号AZ2に応じオンして駆動トランジスタTrdのゲートGを電位Vofsに設定する。スイッチングトランジスタTr4は、走査線DSから供給される制御信号DSに応じオンして駆動トランジスタTrdを電位Vccに接続し、駆動トランジスタTrdの閾電圧Vthに相当する電圧を保持容量Csに保持させて閾電圧Vthの影響を補正する。ここでオフ状態にあるべき入力トランジスタTr1を通ってリーク電流が流れないように、そのゲートに接続する走査線WSの基準電位を調整する。
【選択図】図2
Description
本発明は、画素毎に配した電気光学素子を電流駆動して輝度を制御する画素回路、この画素回路をマトリクス状に配した画像表示装置、及びその駆動方法に関する。詳しくは、各画素回路内に設けた絶縁ゲート型電界効果トランジスタによって有機EL発光素子等の電気光学素子に通電する電流量を制御する、いわゆるアクティブマトリクス型の画像表示装置及びその駆動方法に関する。
画像表示装置、例えば液晶ディスプレイなどでは、多数の液晶画素をマトリクス状に並べ、表示すべき画像情報に応じて画素毎に入射光の透過強度又は反射強度を制御することによって画像を表示する。これは、有機EL素子を画素に用いた有機ELディスプレイなどにおいても同様であるが、液晶画素と異なり有機EL素子は自発光素子である。その為、有機ELディスプレイは液晶ディスプレイに比べて画像の視認性が高く、バックライトが不要であり、応答速度が高いなどの利点を有する。又、各電気光学素子の輝度レベル(階調)はそれに流れる電流値によって制御可能であり、いわゆる電流制御型であるという点で液晶ディスプレイなどの電圧制御型とは大きく異なる。
有機ELディスプレイにおいては、液晶ディスプレイと同様、その駆動方式として単純マトリクス方式とアクティブマトリクス方式とがある。前者は構造が単純であるものの、大型且つ高精細のディスプレイの実現が難しいなどの問題がある為、現在はアクティブマトリクス方式の開発が盛んに行なわれている。この方式は、各画素回路内部の電気光学素子に流れる電流を、画素回路内部に設けた能動素子(一般には薄膜トランジスタ、TFT)によって制御するものであり、以下の特許文献に記載がある。
特開2003−255856
特開2003−271095
特開2004−133240
特開2004−029791
特開2004−093682
従来の画素回路は、制御信号を供給する行状の走査線と映像信号を供給する列状の信号線とが交差する部分に配され、少なくとも入力トランジスタと保持容量と駆動トランジスタと発光素子などの電気光学素子を含む。入力トランジスタは、走査線から供給される制御信号に応じ導通して信号線から供給された映像信号をサンプリングする。保持容量は、サンプリングされた映像信号に応じた入力電圧を保持する。駆動トランジスタは、保持容量に保持された入力電圧に応じて所定の発光期間に出力電流を供給する。尚一般に、出力電流は駆動トランジスタのチャネル領域のキャリア移動度及び閾電圧に対して依存性を有する。発光素子は、駆動トランジスタから供給された出力電流により映像信号に応じた輝度で発光する。
駆動トランジスタは、保持容量に保持された入力電圧をゲートに受けてソース/ドレイン間に出力電流を流し、発光素子に通電する。一般に発光素子の発光輝度は通電量に比例している。更に駆動トランジスタの出力電流供給量はゲート電圧すなわち保持容量に書き込まれた入力電圧によって制御される。従来の画素回路は、駆動トランジスタのゲートに印加される入力電圧を入力映像信号に応じて変化させることで、発光素子に供給する電流量を制御している。
ここで駆動トランジスタの動作特性は以下の式1で表わされる。
Ids=(1/2)μ(W/L)Cox(Vgs−Vth)2・・・式1
このトランジスタ特性式1において、Idsはソース/ドレイン間に流れるドレイン電流を表わしており、画素回路では発光素子に供給される出力電流である。Vgsはソースを基準としてゲートに印加されるゲート電圧を表わしており、画素回路では上述した入力電圧である。Vthはトランジスタの閾電圧である。又μはトランジスタのチャネルを構成する半導体薄膜の移動度を表わしている。その他Wはチャネル幅を表わし、Lはチャネル長を表わし、Coxはゲート容量を表わしている。このトランジスタ特性式1から明らかな様に、薄膜トランジスタは飽和領域で動作する時、ゲート電圧Vgsが閾電圧Vthを超えて大きくなると、オン状態となってドレイン電流Idsが流れる。原理的に見ると上記のトランジスタ特性式1が示す様に、ゲート電圧Vgsが一定であれば常に同じ量のドレイン電流Idsが発光素子に供給される。従って、画面を構成する各画素に全て同一のレベルの映像信号を供給すれば、全画素が同一輝度で発光し、画面の一様性(ユニフォーミティ)が得られるはずである。
Ids=(1/2)μ(W/L)Cox(Vgs−Vth)2・・・式1
このトランジスタ特性式1において、Idsはソース/ドレイン間に流れるドレイン電流を表わしており、画素回路では発光素子に供給される出力電流である。Vgsはソースを基準としてゲートに印加されるゲート電圧を表わしており、画素回路では上述した入力電圧である。Vthはトランジスタの閾電圧である。又μはトランジスタのチャネルを構成する半導体薄膜の移動度を表わしている。その他Wはチャネル幅を表わし、Lはチャネル長を表わし、Coxはゲート容量を表わしている。このトランジスタ特性式1から明らかな様に、薄膜トランジスタは飽和領域で動作する時、ゲート電圧Vgsが閾電圧Vthを超えて大きくなると、オン状態となってドレイン電流Idsが流れる。原理的に見ると上記のトランジスタ特性式1が示す様に、ゲート電圧Vgsが一定であれば常に同じ量のドレイン電流Idsが発光素子に供給される。従って、画面を構成する各画素に全て同一のレベルの映像信号を供給すれば、全画素が同一輝度で発光し、画面の一様性(ユニフォーミティ)が得られるはずである。
しかしながら実際には、ポリシリコンなどの半導体薄膜で構成された薄膜トランジスタ(TFT)は、個々のデバイス特性にばらつきがある。特に、閾電圧Vthは一定ではなく、各画素毎にばらつきがある。前述のトランジスタ特性式1から明らかな様に、各駆動トランジスタの閾電圧Vthがばらつくと、ゲート電圧Vgsが一定であっても、ドレイン電流Idsにばらつきが生じ、画素毎に輝度がばらついてしまう為、画面のユニフォーミティを損なう。従来から駆動トランジスタの閾電圧のばらつきをキャンセルする機能を組み込んだ画素回路が開発されており、例えば前記の特許文献3に開示がある。
しかしながら、閾電圧のばらつきをキャンセルする機能(閾電圧補正機能)を組み込んだ画像表示装置は、閾電圧補正動作の副作用があり、画面輝度が低下するという問題がある。画素回路内部の電位設定によっては、入力トランジスタが信号線側から画素回路側に向かって順バイアス状態になる可能性がある。信号電位のサンプリング前に行われる閾電圧補正動作では、入力トランジスタは本来オフ状態であるにもかかわらず、閾電圧補正動作の副作用として入力トランジスタが信号線側から画素回路側に向かって順方向にバイアスがかかると、リーク電流が流れ信号線側の信号電位が低下する。この低下した信号電位が丁度サンプリング期間中の他の行の画素に書き込まれると、当該画素の輝度低下をもたらす。この輝度低下は線順次走査によって連鎖的に生じるので、結果的に画面輝度が低下してしまうという課題がある。
上述した従来の技術の課題に鑑み、本発明は閾電圧補正機能を備えた画像表示装置で、画素回路内の電位設定を改善することにより、電流リークを抑制することを目的とする。かかる目的を達成するために以下の手段を講じた。即ち本発明は、少なくとも駆動トランジスタと、入力トランジスタと、保持容量と、電気光学素子とを備え、前記保持容量は、その両端が該駆動トランジスタのゲートノード及びソースノードに接続し、前記電気光学素子は整流性をもつとともに、その陽極が該駆動トランジスタのソースノードに接続し、該駆動トランジスタから出力される駆動電流の電流値によって電気光学素子の輝度が決定し、前記入力トランジスタは、その電流端の一つが該駆動トランジスタのゲートノードに接続し、その制御端が走査線に接続している画素回路であって、該駆動トランジスタのソースノード、すなわち該電気光学素子の陽極を、電気光学素子の閾電圧以下に充電する充電手段をもち、前記充電手段による充電が行われる充電期間に、オフ状態にあるべき該入力トランジスタを通ってリーク電流が流れないように、該走査線を介して前記入力トランジスタの制御端に印加される電圧が調整されていることを特徴とする。
一態様では、該駆動トランジスタのゲートノードを所定の基準電圧に接続するためのスイッチングトランジスタを備えており、前記スイッチングトランジスタの制御端に別の走査線が接続され、前記充電手段による充電が行われる充電期間に、オフ状態にあるべき該入力トランジスタを通ってリーク電流が流れないように、該別の走査線を介して前記スイッチングトランジスタの制御端に印加される電圧が調整されている。
また本発明にかかる画像表示装置は、基本的に画素アレイ部とスキャナ部と信号部とを含む。前記画素アレイ部は、行状に配された第1走査線、第2走査線、第3走査線及び第4走査線と、列状に配された信号線と、これらの走査線及び信号線に接続した行列状の画素回路と、各画素回路の動作に必要な第1電位、第2電位及び第3電位を供給する複数の電源線とからなる。前記信号部は、該信号線に映像信号を供給する。前記スキャナ部は、第1走査線、第2走査線、第3走査線及び第4走査線に制御信号を供給して順次行ごとに画素回路を走査する。各画素回路は、入力トランジスタと、駆動トランジスタと、第1スイッチングトランジスタと、第2スイッチングトランジスタと、第3スイッチングトランジスタと、保持容量と、発光素子とを含む。前記入力トランジスタは、所定のサンプリング期間に第1走査線から供給される制御信号に応じオンして信号線から供給された映像信号の信号電位を該保持容量にサンプリングする。前記保持容量は、該サンプリングされた映像信号の信号電位に応じて該駆動トランジスタのゲートに入力電圧を印加する。前記駆動トランジスタは、該入力電圧に応じた出力電流を該発光素子に供給する。前記発光素子は、所定の発光期間中該駆動トランジスタから供給される出力電流により該映像信号の信号電位に応じた輝度で発光する。前記第1スイッチングトランジスタは、該サンプリング期間に先立ち第1タイミングで第2走査線から供給される制御信号に応じオンして該駆動トランジスタのソースを第1電位に設定する。前記第2スイッチングトランジスタは、該サンプリング期間に先立ち第2タイミングで第3走査線から供給される制御信号に応じオンして該駆動トランジスタのゲートを第2電位に設定する。前記第3スイッチングトランジスタは、該サンプリング期間に先立ち第3タイミングで第4走査線から供給される制御信号に応じオンして該駆動トランジスタを第3電位に接続し、以って該駆動トランジスタの閾電圧に相当する電圧を該保持容量に保持させて閾電圧の影響を補正するとともに、該発光期間に再び第4走査線から供給される制御信号に応じオンして該駆動トランジスタを第3電位に接続して該出力電流を該発光素子に流す。ここで、第1タイミング時オフ状態にあるべき入力トランジスタを通ってリーク電流が流れないように、前記スキャナ部は、該入力トランジスタのゲートに接続する第1走査線の基準電位を調整することを特徴とする。
又本発明にかかる画像表示装置は、該第2スイッチングトランジスタのゲートに接続している第3走査線の電位を、該入力トランジスタのゲートに接続する第1走査線の電位よりも大きく設定し、以って第1タイミング時生じる電位変動に起因するリーク電流をオフ状態にある第2スイッチングトランジスタを通って画素回路の外に逃がす様にして、リーク電流がオフ状態にあるサンプリング用トランジスタを通って信号線側に流れないようにする。その際該第2スイッチングトランジスタのゲートに接続している第3走査線の電位は、該第2電位から該第2スイッチングトランジスタの閾電圧を差し引いた電位よりも小さく設定されている。
本発明の一面によれば、始めに第1スイッチングトランジスタがオンして駆動トランジスタのソース電位を初期化する。この第1スイッチングトランジスタは駆動トランジスタのソースノード、すなわち発光素子の陽極(アノード)をその閾電圧以下に充電する充電手段を構成している。続いて第2スイッチングトランジスタがオンし駆動トランジスタのゲート電位を初期化する。かかる初期化動作により、閾電圧補正動作の準備が整う。この準備期間では最初にソース電位を初期化しその後でゲート電位を初期化するシーケンスを採用するが、ソース電位の初期化タイミングでゲート電位はフローティングにあるため、ソース電位の初期化に伴いフローティングにあるゲート電位が急激に低下し、入力トランジスタのゲートに印加されている制御信号の基準電位を下回る場合がる。この様になると入力トランジスタは本来オフ状態であるにもかかわらず、順バイアス状態となり電流リークが生じる。この電流リークにより信号線の電位が画素回路内部の駆動トランジスタのゲート電位に近づこうとして低下する。本発明では、この信号電位の低下を抑制するため、駆動トランジスタのゲート電位が入力トランジスタのゲート電位を下回って順バイアス状態とならないように、入力トランジスタのゲート(制御端)に接続している走査線の基準電位を調整する。これにより入力トランジスタは閾電圧補正動作の準備期間でも順バイアスがかからないため電流リークが生じない。よって信号線上の信号電位の低下は無く、画面輝度の低下を抑えることが出来る。
又本発明の他面によれば、第2スイッチングトランジスタのゲート(制御端)に接続している別の走査線の基準電位を、入力トランジスタのゲートに接続している走査線の基準電位よりも大きく設定している。これにより駆動トランジスタのゲート電位が低下した場合に、第2スイッチングトランジスタの方が入力トランジスタよりも容易に順バイアス状態になる。したがって駆動トランジスタのゲート電位変動に起因するリーク電流は流れやすい方の第2スイッチングトランジスタを通って画素回路の外に逃がすようにしている。これにより信号線の電位変動を避けることが出来、以って画面輝度の低下を抑制できる。
以下図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は本発明にかかる画像表示装置の全体構成を示すブロック図である。図示する様に、本画像表示装置は基本的に画素アレイ部1とスキャナ部と信号部とで構成されている。画素アレイ部1は、行状に配された第1走査線WS、第2走査線AZ1、第3走査線AZ2及び第4走査線DSと、列状に配された信号線SLと、これらの走査線WS,AZ1,AZ2,DS及び信号線SLに接続した行列状の画素回路2と、各画素回路2の動作に必要な第1電位Vini,第2電位Vofs及び第3電位Vccを供給する複数の電源線とからなる。信号部は水平セレクタ3からなり、信号線SLに映像信号を供給する。スキャナ部は、ライトスキャナ4、ドライブスキャナ5、第一補正用スキャナ71及び第二補正用スキャナ72からなり、それぞれ第1走査線WS、第4走査線DS、第2走査線AZ1及び第3走査線AZ2に制御信号を供給して順次行毎に画素回路を走査する。
図2は、図1に示した画像表示装置に組み込まれる画素回路の構成を示す回路図である。図示する様に画素回路2は、入力トランジスタTr1と、駆動トランジスタTrdと、第1スイッチングトランジスタTr3と、第2スイッチングトランジスタTr2と、第3スイッチングトランジスタTr4と、保持容量Csと、発光素子ELとを含む。入力トランジスタTr1は、その電流端の一つ(ソース又はドレインの一方)が駆動トランジスタTrdのゲートノードGに接続し、その制御端(ゲート)が走査線WSに接続している。入力トランジスタTr1は、所定のサンプリング期間に第1走査線WSから供給される制御信号に応じ導通して信号線SLから供給された映像信号の信号電位を保持容量Csにサンプリングする。保持容量Csは、サンプリングされた映像信号の信号電位に応じて駆動トランジスタTrdのゲートGに入力電圧Vgsを印加する。駆動トランジスタTrdは、入力電圧Vgsに応じた出力電流Idsを発光素子ELに供給する。発光素子ELは、所定の発光期間中駆動トランジスタTrdから供給される出力電流Idsにより映像信号の信号電位に応じた輝度で発光する。
第1スイッチングトランジスタTr3は、サンプリング期間に先立ち第2走査線AZ1から供給される制御信号に応じ導通して駆動トランジスタTrdのソースSを第1電位Viniに設定する。この第1スイッチングトランジスタTr3は充電手段を構成しており、駆動トランジスタTrdのソースノードS、すなわち発光素子ELの陽極(アノード)をその閾電圧VthEL以下の電圧Viniに充電する。第2スイッチングトランジスタTr2は、サンプリング期間に先立ち第3走査線AZ2から供給される制御信号に応じ導通して駆動トランジスタTrdのゲートGを第2電位Vofsに設定する。第3スイッチングトランジスタTr4は、サンプリング期間に先立ち第4走査線DSから供給される制御信号に応じ導通して駆動トランジスタTrdを第3電位Vccに接続し、以って駆動トランジスタTrdの閾電圧Vthに相当する電圧を保持容量Csに保持させて閾電圧Vthの影響を補正する。さらにこの第3スイッチングトランジスタTr4は、発光期間に再び第4走査線DSから供給される制御信号に応じ導通して駆動トランジスタTrdを第3電位Vccに接続して出力電流Idsを発光素子ELに流す。
以上の説明から明らかな様に、本画素回路2は、5個のトランジスタTr1ないしTr4及びTrdと1個の保持容量Csと1個の発光素子ELとで構成されている。トランジスタTr1〜Tr3とTrdはNチャネル型のポリシリコンTFTである。トランジスタTr4のみPチャネル型のポリシリコンTFTである。但し本発明はこれに限られるものではなく、Nチャネル型とPチャネル型のTFTを適宜混在させることが出来る。発光素子ELは例えばアノード及びカソードを備えたダイオード型の有機ELデバイスである。但し本発明はこれに限られるものではなく、発光素子は一般的に電流駆動で発光する全ての電気光学素子を含む。この電気光学素子は整流性をもつとともに、その陽極(アノード)が駆動トランジスタTrdのソースノードに接続し、駆動トランジスタTrdから出力される駆動電流Idsの電流値によって電気光学素子の輝度が決定する。
図3は、図2に示した画像表示装置から画素回路2の部分のみを取り出した模式図である。理解を容易にするため、入力トランジスタTr1によってサンプリングされる映像信号Vsigや、駆動トランジスタTrdの入力電圧Vgs及び出力電流Ids、さらには発光素子ELが有する容量成分Coledなどを書き加えてある。以下図3に基づいて、本発明にかかる画素回路2の動作を説明する。
駆動トランジスタTrdのゲートノードGは、スイッチングトランジスタTr2を介して電源電位Vofsに接続される。駆動トランジスタTrdのソースノードSは、スイッチングトランジスタTr3を介して電源電位Viniに接続される。駆動トランジスタTrdのドレインは、スイッチングトランジスタTr4を介して電源電位Vccに接続される。また発光素子ELのカソードは、接地電位(カソード電位Vcath)に接続している。信号線SLには、映像信号の信号電位Vsigが供給される。入力トランジスタTr1のゲートに印加される制御信号WSは信号電位Vddと基準電位Vssの間で切り換る。またスイッチングトランジスタTr2のゲートに印加される制御信号AZ2も信号電位Vddと基準電位Vssの間で切り換る。スイッチングトランジスタTr3のゲートに印加される制御信号AZ1も信号電位Vddと基準電位Vssの間で切り換る。スイッチングトランジスタTr4のゲートに印加される制御信号DSも信号電位Vddと基準電位Vssの間で切り換る。なお、各制御信号WS,AZ1,AZ2,DSの信号電位Vdd及び基準電位Vssは異なるように設定できる。各制御信号のVdd及びVssを区別する場合には、VddまたはVssの記号の後に制御信号の記号を付加する。例えば制御信号WSの信号電位はVddWSで表し、基準電位はVssWSで表す。
一般的には、入力トランジスタTr1の基準電位VssWSを例えば0Vに設定する。これは信号電位Vsigの振幅よりも低い値である。またスイッチングトランジスタTr2の基準電位VssAZ2も0Vに設定する。なお、スイッチングトランジスタTr2の閾電圧をVth_Tr2とすると、Vofs−Vth_Tr2>VssAZ2を満たすように、Vofs及びVssAZ2を設定しておく必要がある。この条件は図3に示した画素回路2が正常に動作するために必要である。
図4は、図3に示した画素回路のタイミングチャートである。図4は、時間軸Tに沿って各走査線WS,AZ1,AZ2及びDSに印加される制御信号の波形を表してある。表記を簡略化する為、制御信号も対応する走査線の符号と同じ符号で表してある。トランジスタTr1,Tr2,Tr3はNチャネル型なので、走査線WS,AZ2,AZ1がそれぞれハイレベルの時オンし、ローレベルの時オフする。一方トランジスタTr4はPチャネル型なので、走査線DSがハイレベルの時オフし、ローレベルの時オンする。なおこのタイミングチャートは、各制御信号WS,AZ1,AZ2,DSの波形と共に、駆動トランジスタTrdのゲートGの電位変化及びソースSの電位変化も表してある。
図4のタイミングチャートは、1フィールドの間に現れる各制御信号の状態変化を、タイミングT1〜T7で表してある。1フィールドの間に画素アレイの各行が1回順次走査される。タイミングチャートは、1行分の画素に印加される各制御信号WS,AZ1,AZ2,DSの波形を表している。なお、入力トランジスタTr1のゲートに印加される制御信号WSの基準電位をVssWSで表している。
当該フィールドが始まる前のタイミングT0で、制御信号WS,AZ2,AZ1がローレベルにある。したがってNチャネル型のトランジスタTr1,Tr2,Tr3はオフ状態にある。また制御信号DSがハイレベルにある。したがってPチャネル型のトランジスタTr4もオフ状態である。したがって、タイミングT0では全てのトランジスタTr1〜Tr4はオフ状態にある。このとき駆動トランジスタTrdのゲートG(以下ノードGと表す場合がある)とソースS(以下ノードSと表す場合がある)は、図示のようにある電位を保持しているが、全てのトランジスタがオフのため回路的には浮遊状態である。
当該フィールドが始まるタイミングT1で、制御信号AZ1がハイレベルになるので、スイッチングトランジスタTr3がオンする。この結果、駆動トランジスタTrdのソースSが基準電位Viniに接続される。即ちノードSの電位がViniまで急激に低下する。このときノードGは浮遊電位なので、ノードSの急激な電位低下の影響を受けて、ノードGの電位がVFまで低下する。ノードGの電位VFは場合によっては制御信号WSの基準電位VssWSを下回ることもある。
タイミングT1から期間Fを経過したタイミングT2で、制御信号AZ2が立ち上がり、スイッチングトランジスタTr2がオンする。この結果駆動トランジスタTrdのゲートGが基準電位Vofsに接続する。この段階では既にノードSは基準電位Viniに接続されている。ここでVofs−Vini>Vthを満たしており、Vofs−Vini=Vgs>Vthとすることで、その後タイミングT3で行われるVth補正の準備を行う。換言すると期間T1‐T3は、駆動トランジスタTrdのリセット期間に相当する。また、発光素子ELの閾電圧をVthELとすると、VthEL>Viniに設定されている。これにより、発光素子ELにはマイナスバイアスが印加され、いわゆる逆バイアス状態となる。この逆バイアス状態は、後で行うVth補正動作及び移動度補正動作を正常に行うために必要である。
タイミングT3では制御信号AZ1をローレベルにし且つ直後制御信号DSもローレベルにしている。これによりトランジスタTr3がオフする一方トランジスタTr4がオンする。この結果ドレイン電流Idsが保持容量Csに流れ込み、Vth補正動作を開始する。この時駆動トランジスタTrdのゲートGはVofsに保持されており、駆動トランジスタTrdがカットオフするまで電流Idsが流れる。カットオフすると駆動トランジスタTrdのソース電位(S)はVofs−Vthとなる。ドレイン電流がカットオフした後のタイミングT4で制御信号DSを再びハイレベルに戻し、スイッチングトランジスタTr4をオフする。さらに制御信号AZ2もローレベルに戻し、スイッチングトランジスタTr2もオフする。この結果、保持容量CsにVthが保持固定される。この様にタイミングT3‐T4は駆動トランジスタTrdの閾電圧Vthを検出する期間である。ここでは、この検出期間T3‐T4をVth補正期間と呼んでいる。
この様にVth補正を行った後タイミングT5で制御信号WSをハイレベルに切り替え、入力トランジスタTr1をオンして映像信号Vsigを保持容量Csに書き込む。発光素子ELの等価容量Coledに比べて保持容量Csは充分に小さい。この結果、映像信号Vsigのほとんど大部分が保持容量Csに書き込まれる。正確には、Vofsに対する。Vsigの差分Vsig−Vofsが保持容量Csに書き込まれる。したがって駆動トランジスタTrdのゲートGとソースS間の電圧Vgsは、先に検出保持されたVthと今回サンプリングされたVsig−Vofsを加えたレベル(Vsig−Vofs+Vth)となる。説明簡易化の為Vofs=0Vとすると、ゲート/ソース間電圧Vgsは図4のタイミングチャートに示すようにVsig+Vthとなる。かかる映像信号Vsigのサンプリングは制御信号WSがローレベルに戻るタイミングT7まで行われる。すなわちタイミングT5‐T7がサンプリング期間に相当する。
サンプリング期間の終了するタイミングT7より前のタイミングT6で制御信号DSがローレベルとなりスイッチングトランジスタTr4がオンする。これにより駆動トランジスタTrdが電源Vccに接続されるので、画素回路は非発光期間から発光期間に進む。この様に入力トランジスタTr1がまだオン状態で且つスイッチングトランジスタTr4がオン状態に入った期間T6‐T7で、駆動トランジスタTrdの移動度補正を行う。即ち本例では、サンプリング期間の後部分と発光期間の先頭部分とが重なる期間T6‐T7で移動度補正を行っている。なお、この移動度補正を行う発光期間の先頭では、発光素子ELは実際には逆バイアス状態にあるので発光する事はない。この移動度補正期間T6‐T7では、駆動トランジスタTrdのゲートGが映像信号Vsigのレベルに固定された状態で、駆動トランジスタTrdにドレイン電流Idsが流れる。ここでVofs−Vth<VthELと設定しておく事で、発光素子ELは逆バイアス状態におかれる為、ダイオード特性ではなく単純な容量特性を示すようになる。よって駆動トランジスタTrdに流れる電流Idsは保持容量Csと発光素子ELの等価容量Coledの両者を結合した容量C=Cs+Coledに書き込まれていく。これにより駆動トランジスタTrdのソース電位(S)は上昇していく。図4のタイミングチャートではこの上昇分をΔVで表してある。この上昇分ΔVは結局保持容量Csに保持されたゲート/ソース間電圧Vgsから差し引かれる事になるので、負帰還をかけた事になる。この様に駆動トランジスタTrdの出力電流Idsを同じく駆動トランジスタTrdの入力電圧Vgsに負帰還する事で、移動度μを補正する事が可能である。なお負帰還量ΔVは移動度補正期間T6‐T7の時間幅tを調整する事で最適化可能である。
タイミングT7では制御信号WSがローレベルとなり入力トランジスタTr1がオフする。この結果駆動トランジスタTrdのゲートGは信号線SLから切り離される。映像信号Vsigの印加が解除されるので、駆動トランジスタTrdのゲート電位(G)は上昇可能となり、ソース電位(S)と共に上昇していく。その間保持容量Csに保持されたゲート/ソース間電圧Vgsは(Vsig−ΔV+Vth)の値を維持する。ソース電位(S)の上昇に伴い、発光素子ELの逆バイアス状態は解消されるので、出力電流Idsの流入により発光素子ELは実際に発光を開始する。この時のドレイン電流Ids対ゲート電圧Vgsの関係は、先のトランジスタ特性式1のVgsにVsig−ΔV+Vthを代入する事で、以下の式2のように与えられる。
Ids=kμ(Vgs−Vth)2=kμ(Vsig−ΔV)2・・・式2
上記式2において、k=(1/2)(W/L)Coxである。この特性式2からVthの項がキャンセルされており、発光素子ELに供給される出力電流Idsは駆動トランジスタTrdの閾電圧Vthに依存しない事が分かる。基本的にドレイン電流Idsは映像信号の信号電圧Vsigによって決まる。換言すると、発光素子ELは映像信号Vsigに応じた輝度で発光する事になる。その際Vsigは負帰還量ΔVで補正されている。この補正量ΔVは丁度特性式2の係数部に位置する移動度μの効果を打ち消すように働く。したがって、ドレイン電流Idsは実質的に映像信号Vsigのみに依存する事になる。この後所定のタイミングに至ると制御信号DSがハイレベルとなってスイッチングトランジスタTr4がオフし、発光が終了すると共に当該フィールドが終わる。換言すると、図4のシーケンスはタイミングT0に戻ることになる。この後次のフィールドに移って再びVth補正動作、移動度補正動作及び発光動作が繰り返されることになる。
Ids=kμ(Vgs−Vth)2=kμ(Vsig−ΔV)2・・・式2
上記式2において、k=(1/2)(W/L)Coxである。この特性式2からVthの項がキャンセルされており、発光素子ELに供給される出力電流Idsは駆動トランジスタTrdの閾電圧Vthに依存しない事が分かる。基本的にドレイン電流Idsは映像信号の信号電圧Vsigによって決まる。換言すると、発光素子ELは映像信号Vsigに応じた輝度で発光する事になる。その際Vsigは負帰還量ΔVで補正されている。この補正量ΔVは丁度特性式2の係数部に位置する移動度μの効果を打ち消すように働く。したがって、ドレイン電流Idsは実質的に映像信号Vsigのみに依存する事になる。この後所定のタイミングに至ると制御信号DSがハイレベルとなってスイッチングトランジスタTr4がオフし、発光が終了すると共に当該フィールドが終わる。換言すると、図4のシーケンスはタイミングT0に戻ることになる。この後次のフィールドに移って再びVth補正動作、移動度補正動作及び発光動作が繰り返されることになる。
図5は、図4に示した期間Fにおける画素回路2の電位状態を示す模式図である。特に画素回路2から入力トランジスタTr1を取り出して、その電位状態を模式的に表している。前述したように、期間Fでは入力トランジスタTr1はオフ状態にある。したがって入力トランジスタTr1のゲートは制御信号WSの基準電位VssWSに固定されている。図では理解を容易にするため、VssWS=0Vに設定してある。一方ノードGの電位は期間FでVFまで急激に低下する。場合によってはこの電位VFはVssWSを下回ることがある。図示の例では、VF=−1Vとなっている。したがってこの状態では、入力トランジスタTr1のノードGに接続する側がソースとなり、その電位が−1Vである。一方入力トランジスタTr1の信号線に接続する側はドレインとなり、例えば信号電位Vsig=3Vが印加されている。この電位状態では、入力トランジスタTr1はソース/ゲート間に順バイアスがかかり、オン状態になる。この為入力トランジスタTr1に電流リークが生じ、信号線の電位VsigがVFに近づこうとする。このようにして信号線上の電圧低下が生じ、画面輝度の低下をもたらす。即ち当該行の画素の電流リークによって低下した信号電位は、当該行より前にある行の画素によってサンプリングされるため、発光素子の輝度低下を招く。前の行の画素は先に閾電圧補正動作を完了しており、サンプリング動作に入ったとき次の行の画素の閾電圧補正動作より生じた信号電位の低下の影響を受けてしまう。この様な影響が線順次走査に従って連鎖的に生じるため、全体として画面の輝度が暗くなるという問題がある。
図6は、実際にノードGで観測される電位変化を測定した結果を表している。グラフの縦軸は電圧で横軸は時間である。横軸の時間については、トランジスタTr1〜Tr4のタイミングチャートを参照して読み取るようになっている。タイミングT1でスイッチングトランジスタTr3がオンした後タイミングT2でスイッチングトランジスタTr2がオンし、さらに図4に示したタイミングチャートに従ってTr4及びTr1がオンするようになっている。ここでスイッチングトランジスタTr3のオン時間は10水平周期(10H)と十分に取ってある。前述したように、ノードGはフローティング期間F(T1〜T2)でスイッチングトランジスタTr3の動作に伴い電源電位Viniに引き込まれて、大幅にVFまで低下する。
図7は、ノードGの電位低下に伴う入力トランジスタのリークによる電圧変動を観察した結果である。図7の左側に内部波形(ノードGの電位変化)を表し、右側にリークによる電圧変動を表している。リークによる電圧変動は、VssWSをパラメータにとって測定してある。VssWS=0Vを基準としてVssWS=−2Vの時の電圧変動を測定している。図7から明らかなように、VssWSを−2Vと下げることにより、入力トランジスタの順バイアス状態を避けることが可能となり、電流リークを抑制することが出来る。
図8は、リークによる電圧変動量(mV)と入力トランジスタのゲートに印加される制御信号WSの基準電位VssWS(V)との関係を示すグラフである。グラフから明らかなように、VssWSを0Vより大きく取ると、ノードGの低下により容易に入力トランジスタの順バイアス状態が出現し、リーク現象が生じることがわかる。これにより信号線の信号電圧が大きく変動し、輝度の低下をもたらす。このリークを避けるため、制御信号WSの基準電位(即ち入力トランジスタTr1のオフ電圧)VssWSは−1Vより下に設定することが好ましい。なお、図8は具体例に則した測定結果であり、数値自体はこれに限られるものではない。本発明の本質は、第1タイミングT1時オフ状態にあるべき入力トランジスタTr1を通ってリーク電流が流れないように、ライトスキャナ4は入力トランジスタTr1のゲートに接続する第1走査線WSの基準電位VssWSを調整することにある。
図9は、図7と同じくノードGの電位変化を表す実測データである。左側がノードGの電位変化波形の全体を表しており、右側のグラフが丁度ノードGが急激に低下する部分の波形を拡大して表したものである。このグラフはスイッチングトランジスタTr2のゲートに印加される制御信号AZ2の基準電位をパラメータにして、ノードGの電位変化を測定している。VssAZ2をVssWSと同じく0Vに設定した場合を基準に、VssAZ2を2Vに設定した時の変化を比較してある。このときVssWSは0Vである。この様に設定すると、ノードGの電位低下により、入力トランジスタTr1よりも入力トランジスタTr2の方が容易に順バイアス状態となる。したがって入力トランジスタTr1からのリークよりもスイッチングトランジスタTr2からのリークが支配的となり、リーク期間Fにおける信号線の電圧変動がほとんど無くなる。これにより輝度低下を劇的に防ぐことが出来た。
以上の説明から明らかなように、本発明にかかる画像表示装置は、第2スイッチングトランジスタTr2のゲートに接続している第3走査線AZ2の基準電位VssAZ2を、入力トランジスタTr1のゲートに接続する第1走査線WSの基準電位VssWSよりも大きく設定している。かかる電位設定により、第1タイミングT1時生じるノードGの電位変動に起因するリーク電流をオフ状態にある第2スイッチングトランジスタTr2を通って画素回路2の外に逃がすようにして、リーク電流がオフ状態にあるべきサンプリング用トランジスタTr1を通って信号線SL側に流れないようにしている。なおこの場合、第2スイッチングトランジスタTr2のゲートに接続している第3走査線AZ2の基準電位VssAZ2は、第2電位Vofsから第2スイッチングトランジスタTr2の閾電圧Vth_Tr2を差し引いた電位よりも小さく設定されており、画素回路2の正常な動作を保証している。
このように、逆バイアス印加時(第1タイミング時)に、VssAZ2>VssWSに設定することにより、リーク電流を第2スイッチングトランジスタTr2から逃すようにしてリーク電流がサンプリング用トランジスタTr1を通じて信号線SLに流れないようにする。なおこの時VssWSを、必ずしも逆バイアス印加時にゲートノードGが下がる電圧より低く設定する必要はない。実際にはサンプリング用トランジスタTr1がリークする電圧設定であっても、第2スイッチングトランジスタTr2からのリークが支配的であれば良い。
このように、逆バイアス印加時(第1タイミング時)に、VssAZ2>VssWSに設定することにより、リーク電流を第2スイッチングトランジスタTr2から逃すようにしてリーク電流がサンプリング用トランジスタTr1を通じて信号線SLに流れないようにする。なおこの時VssWSを、必ずしも逆バイアス印加時にゲートノードGが下がる電圧より低く設定する必要はない。実際にはサンプリング用トランジスタTr1がリークする電圧設定であっても、第2スイッチングトランジスタTr2からのリークが支配的であれば良い。
以上の説明から明らかなように、本発明にかかるが素回路2は、少なくとも駆動トランジスタTrdと、入力トランジスタTr1と、保持容量Csと、電気光学素子ELとを備えている。保持容量Csは、その両端が駆動トランジスタTrdのゲートノードG及びソースノードSに接続している。電気光学素子ELは整流性をもつとともに、その陽極が駆動トランジスタTrdのソースノードSに接続し、駆動トランジスタTrdから出力される駆動電流Idsの電流値によって電気光学素子ELの輝度が決定する。入力トランジスタTr1は、その電流端(ソース及びドレイン)の一つが駆動トランジスタTrdのゲートノードGに接続し、その制御端(ゲート)が走査線WSに接続している。駆動トランジスタTrdのソースノードS、すなわち電気光学素子ELの陽極を、電気光学素子ELの閾値電圧VthEL以下の電圧Viniに充電する充電手段として、スイッチングトランジスタTr3を備えている。この充電手段による充電が行われる充電期間に、オフ状態にあるべき入力トランジスタTr1を通ってリーク電流が流れないように、走査線WSを介して入力トランジスタTr1の制御端(ゲート)に印加される電圧が調整されている。一態様では、駆動トランジスタTrdのゲートノードGを所定の基準電圧Vofsに接続するためのスイッチングトランジスタTr2を備えている。スイッチングトランジスタTr2の制御端(ゲート)に別の走査線AZ2が接続されている。充電手段Tr3による充電が行われる充電期間に、オフ状態にあるべき入力トランジスタTr1を通ってリーク電流が流れないように、走査線AZ2を介してスイッチングトランジスタTr2の制御端に印加される電圧が調整されている。
最後に図10は、移動度補正期間T6‐T7における画素回路2の状態を示す回路図である。図示するように、移動度補正期間T6‐T7では、入力トランジスタTr1及びスイッチングトランジスタTr4がオンしている一方、残りのスイッチングトランジスタTr2,Tr3がオフしている。この状態で駆動トランジスタTr4のソース電位(S)はVofs−Vthである。このソース電位Sは発光素子ELのアノード電位でもある。前述したようにVofs−Vth<VthELと設定しておく事で、発光素子ELは逆バイアス状態におかれ、ダイオード特性ではなく単純な容量特性を示す事になる。よって駆動トランジスタTrdに流れる電流Idsは保持容量Csと発光素子ELの等価容量Coledとの合成容量C=Cs+Coledに流れ込む事になる。換言すると、ドレイン電流Idsの一部が保持容量Csに負帰還され、移動度の補正が行われる。
図11は上述したトランジスタ特性式2をグラフ化したものであり、縦軸にIdsを取り横軸にVsigを取ってある。このグラフの下方に特性式2も合わせて示してある。図11のグラフは、画素1と画素2を比較した状態で特性カーブを描いてある。画素1の駆動トランジスタの移動度μは相対的に大きい。逆に画素2に含まれる駆動トランジスタの移動度μは相対的に小さい。この様に駆動トランジスタをポリシリコン薄膜トランジスタなどで構成した場合、画素間で移動度μがばらつく事は避けられない。例えば両画素1,2に同レベルの映像信号Vsigを書き込んだ場合、何ら移動度の補正を行わないと、移動度μの大きい画素1に流れる出力電流Ids1´は、移動度μの小さい画素2に流れる出力電流Ids2´に比べて大きな差が生じてしまう。この様に移動度μのばらつきに起因して出力電流Idsの間に大きな差が生じるので、画面のユニフォーミティを損なう事になる。
そこで本発明では出力電流を入力電圧側に負帰還させる事で移動度のばらつきをキャンセルしている。トランジスタ特性式から明らかなように、移動度が大きいとドレイン電流Idsが大きくなる。したがって負帰還量ΔVは移動度が大きいほど大きくなる。図11のグラフに示すように、移動度μの大きな画素1の負帰還量ΔV1は移動度の小さな画素2の負帰還量ΔV2に比べて大きい。したがって、移動度μが大きいほど負帰還が大きくかかる事となって、ばらつきを抑制する事が可能である。図示するように、移動度μの大きな画素1でΔV1の補正をかけると、出力電流はIds1´からIds1まで大きく下降する。一方移動度μの小さな画素2の補正量ΔV2は小さいので、出力電流Ids2´はIds2までそれ程大きく下降しない。結果的に、Ids1とIds2は略等しくなり、移動度のばらつきがキャンセルされる。この移動度のばらつきのキャンセルは黒レベルから白レベルまでVsigの全範囲で行われるので、画面のユニフォーミティは極めて高くなる。以上をまとめると、移動度の異なる画素1と2があった場合、移動度の大きい画素1の補正量ΔV1は移動度の小さい画素2の補正量ΔV2に対して小さくなる。つまり移動度が大きいほどΔVが大きくIdsの減少値は大きくなる。これにより移動度の異なる画素電流値は均一化され、移動度のばらつきを補正する事ができる。
本発明にかかる表示装置は、図12に示すような薄膜デバイス構成を有する。本図は、絶縁性の基板に形成された画素の模式的な断面構造を表している。図示するように、画素は、複数の薄膜トランジタを含むトランジスター部(図では1個のTFTを例示)、保持容量などの容量部及び有機EL素子などの発光部とを含む。基板の上にTFTプロセスでトランジスター部や容量部が形成され、その上に有機EL素子などの発光部が積層されている。その上に接着剤を介して透明な対向基板を貼り付けてフラットパネルとしている。
本発明にかかる表示装置は、図13に示すようにフラット型のモジュール形状のものを含む。例えば絶縁性の基板上に、有機EL素子、薄膜トランジスタ、薄膜容量等からなる画素をマトリックス状に集積形成した画素アレイ部を設ける、この画素アレイ部(画素マトリックス部)を囲むように接着剤を配し、ガラス等の対向基板を貼り付けて表示モジュールとする。この透明な対向基板には必要に応じて、カラーフィルタ、保護膜、遮光膜等を設けてももよい。表示モジュールには、外部から画素アレイ部への信号等を入出力するためのコネクタとして例えばFPC(フレキシブルプリントサーキット)を設けてもよい。
以上説明した本発明における表示装置は、フラットパネル形状を有し、様々な電子機器、例えば、デジタルカメラ、ノート型パーソナルコンピューター、携帯電話、ビデオカメラなど、電子機器に入力された、若しくは、電子機器内で生成した映像信号を画像若しくは映像として表示するあらゆる分野の電子機器のディスプレイに適用することが可能である。以下この様な表示装置が適用された電子機器の例を示す。
図14は本発明が適用されたテレビであり、フロントパネル12、フィルターガラス13等から構成される映像表示画面11を含み、本発明の表示装置をその映像表示画面11に用いることにより作製される。
図15は本発明が適用されたデジタルカメラであり、上が正面図で下が背面図である。このデジタルカメラは、撮像レンズ、フラッシュ用の発光部15、表示部16、コントロールスイッチ、メニュースイッチ、シャッター19等を含み、本発明の表示装置をその表示部16に用いることにより作製される。
図16は本発明が適用されたノート型パーソナルコンピュータであり、本体20には文字等を入力するとき操作されるキーボード21を含み、本体カバーには画像を表示する表示部22を含み、本発明の表示装置をその表示部22に用いることにより作製される。
図17は本発明が適用された携帯端末装置であり、左が開いた状態を表し、右が閉じた状態を表している。この携帯端末装置は、上側筐体23、下側筐体24、連結部(ここではヒンジ部)25、ディスプレイ26、サブディスプレイ27、ピクチャーライト28、カメラ29等を含み、本発明の表示装置をそのディスプレイ26やサブディスプレイ27に用いることにより作製される。
図18は本発明が適用されたビデオカメラであり、本体部30、前方を向いた側面に被写体撮影用のレンズ34、撮影時のスタート/ストップスイッチ35、モニター36等を含み、本発明の表示装置をそのモニター36に用いることにより作製される。
1・・・画素アレイ部、2・・・画素回路、3・・・水平セレクタ、4・・・ライトスキャナ、5・・・ドライブスキャナ、71・・・第一補正用スキャナ、72・・・第二補正用スキャナ、Tr1・・・入力トランジスタ、Tr2・・・第2スイッチングトランジスタ、Tr3・・・第1スイッチングトランジスタ、Tr4・・・第3スイッチングトランジスタ、Trd・・・駆動トランジスタ、Cs・・・保持容量、EL・・・発光素子、Vini・・・第1電源電位、Vofs・・・第2電源電位、Vcc・・・第3電源電位、WS・・・第1走査線、AZ1・・・第2走査線、AZ2・・・第3走査線、DS・・・第4走査線
Claims (6)
- 少なくとも、駆動トランジスタと、入力トランジスタと、保持容量と、電気光学素子とを備え、
前記保持容量は、その両端が該駆動トランジスタのゲートノード及びソースノードに接続し、
前記電気光学素子は、整流性をもつとともに、その陽極が該駆動トランジスタのソースノードに接続し、該駆動トランジスタから出力される駆動電流の電流値によって電気光学素子の輝度が決定し、
前記入力トランジスタは、その電流端の一つが該駆動トランジスタのゲートノードに接続し、その制御端が走査線に接続している画素回路であって、
該駆動トランジスタのソースノード、すなわち該電気光学素子の陽極を、電気光学素子の閾電圧以下に充電する充電手段をもち、
前記充電手段による充電が行われる充電期間に、オフ状態にあるべき該入力トランジスタを通ってリーク電流が流れないように、該走査線を介して前記入力トランジスタの制御端に印加される電圧が調整されていることを特徴とする画素回路。 - 該駆動トランジスタのゲートノードを所定の基準電圧に接続するためのスイッチングトランジスタを備えており、
前記スイッチングトランジスタの制御端に別の走査線が接続され、
前記充電手段による充電が行われる充電期間に、オフ状態にあるべき該入力トランジスタを通ってリーク電流が流れないように、該別の走査線を介して前記スイッチングトランジスタの制御端に印加される電圧が調整されていることを特徴とする請求項1記載の画素回路。 - 画素アレイ部とスキャナ部と信号部とを含み、
前記画素アレイ部は、行状に配された第1走査線、第2走査線、第3走査線及び第4走査線と、列状に配された信号線と、これらの走査線及び信号線に接続した行列状の画素回路と、各画素回路の動作に必要な第1電位、第2電位及び第3電位を供給する複数の電源線とからなり、
前記信号部は、該信号線に映像信号を供給し、
前記スキャナ部は、第1走査線、第2走査線、第3走査線及び第4走査線に制御信号を供給して順次行ごとに画素回路を走査し、
各画素回路は、入力トランジスタと、駆動トランジスタと、第1スイッチングトランジスタと、第2スイッチングトランジスタと、第3スイッチングトランジスタと、保持容量と、発光素子とを含み、
前記入力トランジスタは、所定のサンプリング期間に第1走査線から供給される制御信号に応じオンして信号線から供給された映像信号の信号電位を該保持容量にサンプリングし、
前記保持容量は、該サンプリングされた映像信号の信号電位に応じて該駆動トランジスタのゲートに入力電圧を印加し、
前記駆動トランジスタは、該入力電圧に応じた出力電流を該発光素子に供給し、
前記発光素子は、所定の発光期間中該駆動トランジスタから供給される出力電流により該映像信号の信号電位に応じた輝度で発光し、
前記第1スイッチングトランジスタは、該サンプリング期間に先立ち第1タイミングで第2走査線から供給される制御信号に応じオンして該駆動トランジスタのソースを第1電位に設定し、
前記第2スイッチングトランジスタは、該サンプリング期間に先立ち第2タイミングで第3走査線から供給される制御信号に応じオンして該駆動トランジスタのゲートを第2電位に設定し、
前記第3スイッチングトランジスタは、該サンプリング期間に先立ち第3タイミングで第4走査線から供給される制御信号に応じオンして該駆動トランジスタを第3電位に接続し、以って該駆動トランジスタの閾電圧に相当する電圧を該保持容量に保持させて閾電圧の影響を補正するとともに、該発光期間に再び第4走査線から供給される制御信号に応じオンして該駆動トランジスタを第3電位に接続して該出力電流を該発光素子に流す画像表示装置において、
第1タイミング時オフ状態にあるべき入力トランジスタを通ってリーク電流が流れないように、前記スキャナ部は、該入力トランジスタのゲートに接続する第1走査線の基準電位を調整することを特徴とする画像表示装置。 - 画素アレイ部とスキャナ部と信号部とを含み、
前記画素アレイ部は、行状に配された第1走査線、第2走査線、第3走査線及び第4走査線と、列状に配された信号線と、これらの走査線及び信号線に接続した行列状の画素回路と、各画素回路の動作に必要な第1電位、第2電位及び第3電位を供給する複数の電源線とからなり、
前記信号部は、該信号線に映像信号を供給し、
前記スキャナ部は、第1走査線、第2走査線、第3走査線及び第4走査線に制御信号を供給して順次行ごとに画素回路を走査し、
各画素回路は、入力トランジスタと、駆動トランジスタと、第1スイッチングトランジスタと、第2スイッチングトランジスタと、第3スイッチングトランジスタと、保持容量と、発光素子とを含み、
前記入力トランジスタは、所定のサンプリング期間に第1走査線から供給される制御信号に応じオンして信号線から供給された映像信号の信号電位を該保持容量にサンプリングし、
前記保持容量は、該サンプリングされた映像信号の信号電位に応じて該駆動トランジスタのゲートに入力電圧を印加し、
前記駆動トランジスタは、該入力電圧に応じた出力電流を該発光素子に供給し、
前記発光素子は、所定の発光期間中該駆動トランジスタから供給される出力電流により該映像信号の信号電位に応じた輝度で発光し、
前記第1スイッチングトランジスタは、該サンプリング期間に先立ち第1タイミングで第2走査線から供給される制御信号に応じオンして該駆動トランジスタのソースを第1電位に設定し、
前記第2スイッチングトランジスタは、該サンプリング期間に先立ち第2タイミングで第3走査線から供給される制御信号に応じオンして該駆動トランジスタのゲートを第2電位に設定し、
前記第3スイッチングトランジスタは、該サンプリング期間に先立ち第3タイミングで第4走査線から供給される制御信号に応じオンして該駆動トランジスタを第3電位に接続し、以って該駆動トランジスタの閾電圧に相当する電圧を該保持容量に保持させて閾電圧の影響を補正するとともに、該発光期間に再び第4走査線から供給される制御信号に応じオンして該駆動トランジスタを第3電位に接続して該出力電流を該発光素子に流す画像表示装置において、
該第2スイッチングトランジスタのゲートに接続している第3走査線の電位を、該入力トランジスタのゲートに接続する第1走査線の電位よりも大きく設定し、
以って第1タイミング時生じる電位変動に起因するリーク電流をオフ状態にある第2スイッチングトランジスタを通って画素回路の外に逃がす様にして、リーク電流がオフ状態にあるサンプリング用トランジスタを通って信号線側に流れないようにすることを特徴とする画像表示装置。 - 該第2スイッチングトランジスタのゲートに接続している第3走査線の電位は、該第2電位から該第2スイッチングトランジスタの閾電圧を差し引いた電位よりも小さく設定されていることを特徴とする請求項4記載の画像表示装置。
- 画素アレイ部とスキャナ部と信号部とを含み、前記画素アレイ部は、行状に配された第1走査線、第2走査線、第3走査線及び第4走査線と、列状に配された信号線と、これらの走査線及び信号線に接続した行列状の画素回路と、各画素回路の動作に必要な第1電位、第2電位及び第3電位を供給する複数の電源線とからなり、前記信号部は、該信号線に映像信号を供給し、前記スキャナ部は、第1走査線、第2走査線、第3走査線及び第4走査線に制御信号を供給して順次行ごとに画素回路を走査し、各画素回路は、入力トランジスタと、駆動トランジスタと、第1スイッチングトランジスタと、第2スイッチングトランジスタと、第3スイッチングトランジスタと、保持容量と、発光素子とを含む画像表示装置の駆動方法であって、
前記入力トランジスタが、所定のサンプリング期間に第1走査線から供給される制御信号に応じオンして信号線から供給された映像信号の信号電位を該保持容量にサンプリングし、
前記保持容量が、該サンプリングされた映像信号の信号電位に応じて該駆動トランジスタのゲートに入力電圧を印加し、
前記駆動トランジスタが、該入力電圧に応じた出力電流を該発光素子に供給し、
前記発光素子が、所定の発光期間中該駆動トランジスタから供給される出力電流により該映像信号の信号電位に応じた輝度で発光し、
前記第1スイッチングトランジスタが、該サンプリング期間に先立ち第1タイミングで第2走査線から供給される制御信号に応じオンして該駆動トランジスタのソースを第1電位に設定し、
前記第2スイッチングトランジスタが、該サンプリング期間に先立ち第2タイミングで第3走査線から供給される制御信号に応じオンして該駆動トランジスタのゲートを第2電位に設定し、
前記第3スイッチングトランジスタが、該サンプリング期間に先立ち第3タイミングで第4走査線から供給される制御信号に応じオンして該駆動トランジスタを第3電位に接続し、以って該駆動トランジスタの閾電圧に相当する電圧を該保持容量に保持させて閾電圧の影響を補正するとともに、該発光期間に再び第4走査線から供給される制御信号に応じオンして該駆動トランジスタを第3電位に接続して該出力電流を該発光素子に流し、
第1タイミング時オフ状態にあるべき入力トランジスタを通ってリーク電流が流れないように、該入力トランジスタのゲートに接続する第1走査線の基準電位を調整することを特徴とする画像表示装置の駆動方法。
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