JP2010037459A - 水性インク、インクジェット記録方法、インクカートリッジ、記録ユニット、及びインクジェット記録装置 - Google Patents

水性インク、インクジェット記録方法、インクカートリッジ、記録ユニット、及びインクジェット記録装置 Download PDF

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Abstract

【課題】高い画像濃度を与え、かつ正確なインク残量検知が可能であり、保存安定性に優れた水性インクを提供すること。
【解決手段】インクを収容するインク収容部、及びインクカートリッジに収容されたインクの状態を光学的に検知する残量検知部を具備し、前記残量検知部が光透過性部材で構成され、前記残量検知部のインクと接する部分がポリオレフィンで形成されたインクカートリッジのインク収容部に収容されて用いられる水性インクであって、前記水性インクが少なくとも、水、水不溶性色材、塩、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル系界面活性剤を含有し、前記インク中における前記界面活性剤の含有量が、インク中での前記界面活性剤の臨界ミセル濃度以上であることを特徴とする水性インク。
【選択図】なし

Description

本発明は水性インク、かかる水性インクを用いたインクジェット記録方法、インクカートリッジ、記録ユニット、及びインクジェット記録装置に関する。
近年、インクジェット記録方法に使用されるインクには、高画質を達成するため、高い画像濃度を有する画像を記録することが可能なインクとすることが求められている。このようなインクとするため、水不溶性色材を用いたインクに関する種々の提案がなされている。例えば、発色性に優れる色材を用いることや、該インクが記録媒体に付与された後の色材の会合性や凝集性を高め、記録媒体表面により多くの色材を残すことが可能なインク組成とすることなどが挙げられる。このようなインクとして、自己分散型カーボンブラックと特定の塩とを含有するインクを用いることで、より一層の画像濃度の向上を達成することに関する提案がある(特許文献1参照)。この技術では、インク中に分散状態で存在している顔料を記録媒体の表面で強制的に凝集させることによって、記録媒体への顔料の浸透を抑制し、従来の顔料を含有するインクにより得られる画像に対して、より一層高い画像濃度を得られるとしている。
また、従来から、インクカートリッジに収容されたインクについて、その残量や有無などのインクの状態を光学的に検知する方法(以下、「インク残量検知」と呼ぶことがある)が知られている。例えば、光透過性の材料で構成されるインクカートリッジ壁面の一部を通して光を透過させ、その壁面と負圧発生部材との境界部の光反射率の変化を検知することによりインク残量検知を行うインクジェット記録装置に関する提案がある(特許文献2参照)。また、インクカートリッジを構成する材料と同じ光透過性材料で構成され、インクとの界面が光路に対して所定の角度を有するように形成された光学的インク検知部を備えたインクカートリッジに関する提案がある(特許文献3参照)。さらに、発光素子と受光素子とを共通化したひとつのフォトセンサによって、インクの有無とインクカートリッジの有無とを検知するインクジェット記録装置に関する提案がある(特許文献4参照)。この他にも、液体供給口と大気連通部とを備える負圧発生部材収容室と、該収容室と連通する連通部を備えかつ実質的な密閉空間を形成する液体収容室とを有する液体収容容器に収容された液体の有無を検知する装置に関する提案がある(特許文献5参照)。これらのように、インクの有無を検知する機構は、低コストでインクカートリッジ内のインクのレベルないしはインクの有無を検知する方法としては合理的な方法である。
一方、上記で挙げた特許文献に記載された技術のように、インク残量検知を光学的に行う場合、光路に存在する部材へのインクの付着が、インク残量検知の誤動作を生じさせることがある。このため、光路に存在する部材に撥水処理を施すことで、インクの付着によるインク残量検知の誤動作を回避する方法に関する検討が行われている。例えば、撥水処理剤としてシリコンやテフロン(登録商標)樹脂を用いて撥水処理を行い、インクの付着を防ぐことに関する提案がある(特許文献6参照)。また、インクカートリッジの内壁面を研磨することでその面粗度を小さくし、インクとの接触角を大きくする代わりに、その内壁面に撥水や撥油処理などの表面処理を施すことに関する提案がある(特許文献7参照)。
また、水不溶性色材を含有するインクを収容するインクカートリッジにおいて、水不溶性色材がインクカートリッジを構成する部材に吸着するという課題に対して、該課題を解決できるとする提案がある(特許文献8参照)。具体的には、インク収容部の一部にアルキルポリシロキサンを含有する低表面エネルギー処理剤を塗布し、表面エネルギーの低い部分と高い部分とを設けることが開示されている。そして、表面エネルギーの高い部分へ色材を優先的に吸着させることで、水不溶性色材を用いた場合にも表面エネルギーの低い処理部分へのインクの付着を抑制している。
特開2000−198955号公報 特開平8−112907号公報 特開平7−218321号公報 特開平9−29989号公報 特開平7−89090号公報 特開平7−237300号公報 特開平8−187873号公報 特開2000−198222号公報
本発明者らは、高い画像濃度の達成を目的として、水不溶性色材と塩とを含有する種々のインクを調製し、得られたインクについての記録特性及び保存安定性などの検討を行った。そして、このようなインクを上記特許文献2〜5に記載されたインクカートリッジに充填し、高温の環境で長期間保存するという状況を経た後に記録特性を行ったところ、インク残量検知が正しく行えない場合があることがわかった。この現象について本発明者らがさらに検討を行った結果、以下のことがわかった。すなわち、残量検知が正しく行えない原因は、残量検知部を有するインクカートリッジの内壁に水不溶性色材が吸着することによって、インクカートリッジの残量検知部に入射された検知光が残量検知部で吸収されることにより生じることがわかった。さらに、上記特許文献6〜8に記載されたインクカートリッジのように、残量検知部に撥水作用が施されていても、インクカートリッジをより過酷な高温の状況で保管した際には、やはり、残量検知部への水不溶性色材の吸着が生じることがわかった。
したがって、本発明の目的は、高い画像濃度を与え、かつ正確なインク残量検知が可能であり、保存安定性に優れた水性インクを提供することである。また、本発明の別の目的は、かかる水性インクを用いた水性インクを用いたインクジェット記録方法、インクカートリッジ、記録ユニット、及びインクジェット記録装置を提供することにある。
上記の目的は以下の本発明によって達成される。すなわち、本発明にかかる水性インクは、インクを収容するインク収容部、及びインクカートリッジに収容されたインクの状態を光学的に検知する残量検知部を具備し、前記残量検知部が光透過性部材で構成され、前記残量検知部のインクと接する部分がポリオレフィンで形成されたインクカートリッジのインク収容部に収容されて用いられる水性インクであって、前記水性インクが少なくとも、水、水不溶性色材、塩、下記一般式(I)で表される界面活性剤を含有し、前記インク中における前記界面活性剤の含有量が、インク中での前記界面活性剤の臨界ミセル濃度以上であることを特徴とする。
Figure 2010037459
(一般式(I)中、Rは炭素数12乃至22の直鎖アルキル基であり、nは7乃至40の整数である)。
また、本発明の別の実施態様にかかるインクジェット記録方法は、インクをインクジェット方式で吐出して記録媒体に記録を行うインクジェット記録方法であって、前記インクとして、上記構成の水性インクを用いることを特徴とする。
また、本発明の別の実施態様にかかるインクカートリッジは、インクを収容するインク収容部、及びインクカートリッジに収容されたインクの状態を光学的に検知する残量検知部を具備し、前記残量検知部が光透過性部材で構成され、前記残量検知部のインクと接する部分がポリオレフィンで形成されたインクカートリッジであって、前記インク収容部に収容された水性インクが少なくとも、水、水不溶性色材、塩、下記一般式(I)で表される界面活性剤を含有し、前記インク中における前記界面活性剤の含有量が、インク中での前記界面活性剤の臨界ミセル濃度以上であることを特徴とする。
Figure 2010037459
(一般式(I)中、Rは炭素数12乃至22の直鎖アルキル基であり、nは7乃至40の整数である)。
また、本発明の別の実施態様にかかる記録ユニットは、インクを収容するためのインク収容部と、インクを吐出するための記録ヘッドとを備上記構成の水性インクを用いることを特徴とする。
また、本発明の別の実施態様にかかるインクジェット記録装置は、上記構成の水性インクを用いて記録媒体に画像を記録するインクジェット記録装置であって、前記水性インクを吐出して記録を行う記録ヘッド、インクカートリッジのインク収容部の残量検知部に光を照射して前記残量検知部からの反射光を受光する光学手段、前記光学手段を用いて前記インクカートリッジに収容されたインクの残量を検知する残量検知手段、前記残量検知手段によって得られたインク残量情報に基づいて前記記録ヘッドにより画像を記録する動作の制御を行う制御手段、を有することを特徴とする。
本発明によれば、高い画像濃度を与え、かつ正確なインク残量検知が可能であり、保存安定性に優れた水性インクを提供することができる。また、本発明の別の実施態様によれば、かかる水性インクを用いたインクジェット記録方法、インクカートリッジ、記録ユニット、及びインクジェット記録装置を提供することができる。
以下に、発明を実施するための最良の形態を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。なお、以下の記載において、水性インクのことを「インク」と呼ぶことがある。また、インク中では塩の少なくとも一部はイオンに解離して存在しているが、本発明においてはこのような状態も含めて、便宜上、「塩を含む」と記載する。
本発明者らが上記に挙げたような従来のインクカートリッジにおける課題について詳細な検討を行ったところ、以下のことがわかった。具体的には、イオン性基により分散安定化されている水不溶性色材は、インク中に存在する塩の影響でその分散状態が不安定化する。さらに、インクを収容したインクカートリッジが高温の状況に置かれると、インク中の水不溶性色材の熱運動が激しくなる。このため、インクカートリッジを構成する部材への水不溶性色材の衝突頻度が増加し、水不溶性色材が残量検知部に吸着するようになることがわかった。一方、インク中に塩が存在しない場合には、上記の現象は極端に軽微になることもわかった。このように、従来の技術では、高い画像濃度を達成しながら、インク残量の検知を正しく行うことはできていなかった。
本発明者らは、上記課題を解決するために、インクカートリッジを構成する材料とインクを構成する材料との両方の観点から検討を行った。その結果、特定の構成を有するインクカートリッジに収容されるインクの組成を、下記一般式(I)で表される界面活性剤を含有してなるものとすることで、高い画像濃度を与え、かつ正確なインク残量検知を行うことができるインクが得られることを見出した。
Figure 2010037459
(一般式(I)中、Rは炭素数12乃至22の直鎖アルキル基であり、nは7乃至40の整数である)。
本発明の技術思想は、高い画像濃度を達成するために水不溶性色材と塩とを含有するインクを用いた際に、高温の環境で生じる水不溶性色材の熱運動による残量検知部との衝突を特定の界面活性剤を用いることで緩和することにある。本発明の構成により、上記のような顕著な効果が得られるメカニズムについて、本発明者らは以下のように推測している。
先ず、インクが一般式(I)で表される界面活性剤を含有することによって、高温の環境において塩の影響により分散状態が不安定化した水不溶性色材の表面に界面活性剤が吸着し、水不溶性色材の粒子の表面を包み込むことで分散性を補助する。これと同時に一般式(I)で表される界面活性剤は、インクと接する、ポリオレフィンで形成される残量検知部への親和性が高く、吸着した界面活性剤がインク−残量検知部の界面で安定かつ強固な分子膜を形成するようになる。これらの作用により、高温の環境で水不溶性色材の熱運動が激しくなった場合にも、水不溶性色材が残量検知部に直接接触する頻度が減少するため、残量検知部への色材の吸着を抑制することが可能になる。これらの要素が相乗的に作用することで、残量検知部への水不溶性色材の吸着が顕著に抑制され、これまでの技術では達成が困難であった、高い画像濃度を達成しながら、インク残量の検知を正しく行うということを両立できるのである。
これに対し、特許文献6及び7に記載された発明の技術思想は、インクカートリッジ中のインク残量が減少した際の、インク滴の壁面への付着残りを防ぐというものであり、高温の環境での色材の吸着に対しては何ら効果を有するものではない。また、特許文献8に記載された発明を含めて、撥水処理を施したインクカートリッジを用いた場合、一般式(I)で表される界面活性剤を含有するインクを使用することである程度の温度までは水不溶性色材の付着抑制効果が見られる。しかし、より過酷な高温の条件では水不溶性色材の吸着が起こる。これは、撥水処理を行うことでかえって残量検知部への界面活性剤の有効な吸着が阻害され、水不溶性色材の残量検知部への衝突が抑制しきれないためであると考えられる。
<インク>
本発明のインクは、水、水不溶性色材(以下、色材と呼ぶことがある)、塩、一般式(I)で表される界面活性剤を含有し、前記界面活性剤の含有量がインク中での該界面活性剤の臨界ミセル濃度以上であることを主たる特徴とする。以下に、本発明のインクを構成する各成分について説明する。
(界面活性剤)
本発明のインクは、下記一般式(I)で表される界面活性剤を含有し、かつインク中における界面活性剤の含有量が、インク中での前記界面活性剤の臨界ミセル濃度以上であることが必要である。
Figure 2010037459
(一般式(I)中、Rは炭素数12乃至22の直鎖アルキル基であり、nは7乃至40の整数である)。
一般式(I)で表される界面活性剤は、ノニオン性界面活性剤に分類されるポリオキシエチレンアルキルエーテルであり、このような界面活性剤は、Rで表されるアルキル基が直鎖であるため、分子全体が直線状の構造となっている。そして、このような構造的な特徴を有するため、界面活性剤が物質の界面などに吸着した際には、分子が密に配列され、分子の膜が形成されたような状態となる(以下、「分子膜が形成される」という)。さらに、このように形成された分子膜は、複数の界面活性剤分子が密に配向した状態となっており、隣接する複数の界面活性剤分子間においては界面活性剤分子の疎水基同士、及び親水基同士の分子間引力により、分子膜の状態は安定性が高いものとなる。さらに、残量検知部のインクと接する部分がポリオレフィンで形成されているため、一般式(I)で表される界面活性剤のアルキル基の炭素鎖との親和性が高く、形成された分子膜の安定性が特に高くなる。加えて、一般式(I)で表される界面活性剤のアルキル基の炭素鎖は、塩の存在により分散が不安定となっている色材の粒子表面への親和性も高いため、該粒子表面へ界面活性剤が効率的に吸着しやすく、分散性をより向上することができる。これらが相乗的に作用することにより、残量検知部のインクと接する部分への色材の粒子の吸着が効果的に抑制され、正確なインク残量検知が可能となるのである。
一般式(I)中、Rは炭素数12乃至22の直鎖アルキル基である。Rの炭素数が12未満である場合、残量検知部への色材の吸着を抑制する効果が得られない。これは、Rの炭素数が12未満である界面活性剤は疎水性が小さく、残量検知部への吸着が弱いことから安定な分子膜が形成されず、また、塩の存在により分散状態が不安定な色材への吸着も弱いため、両者の衝突を有効に抑制できないからであると考えられる。一方、Rの炭素数が22を越える場合、インクを構成する水性媒体に対する溶解性が低いため、常温では溶解していても、インクが高温で保存された際などに界面活性剤が溶解性を保てずに分離するため、インクの保存安定性が得られない。
一般式(I)中、nは7乃至40の整数である。nが7未満である、すなわちエチレンオキサイドユニットの数が7未満である場合も上記の炭素数が12未満である場合と同様に、残量検知部への色材の吸着を抑制する効果が得られない。これは、親水基であるエチレンオキサイド鎖が短いため、残量検知部に界面活性剤が吸着して形成された分子膜、及び、塩の存在により分散状態が不安定な色材へ吸着した際の分子膜の安定性が低くなる。この結果、残量検知部への色材の衝突を抑制しきれないためであると考えられる。また、nが40より大きいと、残量検知部への色材の吸着を抑制する効果は得られるものの、インクの浸透速度が大きい記録媒体、すなわち目が粗く空隙が多いような記録媒体に記録した画像における画像濃度が十分に得られない。本発明者らはこの理由を以下のように推測している。塩を含有するインクが記録媒体に付与された後、水などの蒸発に伴って、塩、すなわち電解質の濃度が相対的に増加することになり、記録媒体の表面近傍における色材の凝集が促進される。このようなメカニズムによって、記録媒体の表面近傍に多くの色材を存在させることができるため、記録した画像の画像濃度を向上することができる。しかし、nが40より大きいと親水性基であるエチレンオキサイド鎖が長いため、記録媒体上で色材が凝集する過程で界面活性剤が吸着した色材やその凝集物に親水性を持たせるようになり、その凝集を若干ながらも阻害し、遅くさせる作用が生じる。このような界面活性剤を含有するインクを、インクの浸透速度が大きい記録媒体、すなわち目が粗く空隙が多いような記録媒体に付与した場合、色材の凝集が遅くなり、記録媒体へのインクの浸透とともに色材も記録媒体の内部へと入り込むようになる。このようなメカニズムにより、一般式(I)におけるnが40より大きい界面活性剤を用いると、記録した画像における画像濃度が十分に得られないものと推測している。
本発明のインクはさらに、インク中における一般式(I)で表される界面活性剤の含有量が、インク中での前記界面活性剤の臨界ミセル濃度以上であることが必須である。一般式(I)で表される界面活性剤の含有量が、インク中での前記界面活性剤の臨界ミセル濃度以上であることで、色材や残量検知部に有効に吸着できる界面活性剤の量が確保されるため、上記で説明した作用により生じる本発明の効果を得ることができる。一方、界面活性剤の含有量がインク中の臨界ミセル濃度未満であると、色材や残量検知部に吸着できる界面活性剤の量が少なく、上記で説明した作用が生じないため、残量検知部への色材の吸着を抑制する効果が得られない。なお、本発明においては、臨界ミセル濃度とは、インク中の界面活性剤の含有量を高めていったときに、表面張力が低下しなくなる時点での界面活性剤の含有量のこととする。本発明においてはさらに、インク中における一般式(I)で表される界面活性剤の含有量が、インク全質量を基準として、0.1質量%以上であることが特に好ましい。
また、インク中の一般式(I)で表される界面活性剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、1.0質量%以下であることが好ましい。界面活性剤の含有量が1.0質量%を越えると、画像濃度が十分に得られない場合がある。これは、過剰に存在する界面活性剤が色材に吸着し、顔料の凝集を抑制するようになるため、目が特に粗く空隙が特に多いような記録媒体にインクが付与された場合に、色材が記録媒体の厚さ(深さ)の方向に浸透しやすくなるためである。
〔界面活性剤〕
本発明においては上記で説明した界面活性剤をインク中での臨界ミセル濃度以上含有することが必須であるが、それ以外の界面活性剤と併用してもよい。界面活性剤としては、以下のようなものを用いることができる。勿論、本発明はこれに限られるものではない。
ノニオン性界面活性剤としては、以下のようなものが挙げられる。ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、脂肪酸ジエタノールアミド、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロック共重合体、アセチレングリコール系界面活性剤など。アニオン性界面活性剤としては、以下のようなものが挙げられる。ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルスルホン酸塩など。アルファスルホ脂肪酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルフェノールスルホン酸塩、アルキルナフタリンスルホン酸塩、アルキルテトラリンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩など。カチオン性界面活性剤としては、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウムクロリドなどが挙げられる。両性界面活性剤としては、アルキルカルボキシベタインなどが挙げられる。
〔塩〕
本発明のインクは塩を含有することが必要である。塩としては、インク中で電解質として作用するものであれば、いずれのものも用いることができる。本発明においては、色材の凝集促進剤として塩を用い、インク中(蒸発の伴わない状態)の塩の含有量を、色材が安定に分散することができるように設定する。そして、記録媒体にインクが付与された後、蒸発する過程において、塩、すなわち電解質の濃度は相対的に増加する。インク中の塩の含有量は、この際に色材が凝集を開始することができる程度とすることが好ましい。
インク中における塩の形態は、その一部が解離した状態、又は完全に解離した状態のいずれの形態であってもよい。本発明においては、これらの状態のことを何れも、インクが「塩」を含有する、と表現する。本発明のインクに用いることができる塩は、下記の陽イオンと、陽イオンに結合する陰イオンとで構成される塩のことであり、塩の少なくとも一部が水に可溶であることが好ましい。塩を形成するための陽イオンとしては、1〜3価の金属イオン、アンモニウムイオン、及び有機アンモニウムイオンなどが挙げられる。金属イオンとしては、Li、Na、Kなどの1価の金属イオン、Ca2+、Sr2+、Ba2+、Cu2+、Ni2+、Mg2+、Zn2+などの2価の金属イオン、Al3+、Fe3+、Cr3+、Y3+などの3価の金属イオンが挙げられる。また、有機アンモニウムイオンとしては、例えば、アセトアミド、ベンズアミド、メチルアミノ、エチルアミノ、ブチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジブチルアミノ、トリエタノールアミノ、及びフェニルアミノなどが挙げられる。勿論、本発明はこれらに限定されるものではない。
また、前記陽イオンに結合する陰イオンとしては、具体的には、例えば、以下のようなものが挙げられる。Cl、Br、I、ClO、ClO 、ClO 、ClO 、NO 、NO 、SO 2−、CO 2−、HCOO、CHCOO、C(COO、CCOO、C(COOなど。勿論、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明のインクにおいては、記録した画像の耐水性を向上することができるため、陽イオンとしてアンモニウムイオンを発生し得る塩を用いることが特に好ましい。特に、NHNO、C(COONH、C(COONH、(NHSOなどは画像を記録した後の比較的短い時間で優れた耐水性が発現するため、特に好ましい。
なお、本発明においては、色材の分散状態を不安定化することができる水溶性染料やイオン性基を有するポリマーなども塩として用いることができる。
インク中の塩の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として0.01質量%以上10.0質量%以下、さらには0.1質量%以上5.0質量%以下であることが好ましい。含有量が0.01質量%を下回る場合、本発明の効果である高い画像濃度が得られない場合がある。また、10.0質量%を上回る場合、インクの保存安定性などが得られない場合がある。なお、前記インクの保存安定性とは、一般に水の蒸発の伴わない状態での保存安定性のことである。
(水性媒体)
本発明のインクは、水、又は水及び水溶性有機溶剤を含む水性媒体を含有することが好ましい。水としては、脱イオン水(イオン交換水)を用いることが好ましい。インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、30.0質量%以上90.0質量%以下であることが好ましい。また、インク中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、3.0質量%以上50.0質量%未満であることが好ましい。これらの含有量が上記範囲であることで、安定な吐出を行うのに適した粘度を有するインクとなり、かつ、記録ヘッドの吐出口における目詰まりの発生を容易に抑制することができる。
水溶性有機溶剤としては、具体的には、以下に挙げるようなものを用いることができる。エタノール、イソプロパノール、2−プロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノールなどの炭素原子数1乃至6のアルコール類。N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのカルボン酸アミド類。アセトン、メチルエチルケトン、2−メチル−2−ヒドロキシペンタン−4−オンなどのケトン類。ケトアルコール、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどの環状エーテル類。グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−又は1,3−プロピレングリコール、1,2−又は1,4−ブチレングリコール、ポリエチレングリコールなどの多価アルコール類。1,3−ブタンジオール、1,2−又は1,5−ペンタンジオール、1,2−又は1,6−ヘキサンジオール、ジチオグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2,6−ヘキサントリオールなどの多価アルコール類。エチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノエチル(又はブチル)エーテルなどの多価アルコールのアルキルエーテル類。2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−メチルモルホリンなどの複素環類。ジメチルスルホキシドなどの含硫黄化合物類。
(水不溶性色材)
本発明のインクに用いる色材は、カーボンブラックや有機顔料などの水不溶性色材である。インク中の水不溶性色材の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上15.0質量%以下、さらには1.0質量%以上10.0質量%以下であることが好ましい。
〔カーボンブラック〕
ブラックインクの色材に用いる顔料としては、カーボンブラックが挙げられる。カーボンブラックとしては、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラックなどのカーボンブラックや、マグネタイトやフェライトなどの磁性体微粒子やチタンブラックなどを用いることができる。具体的には、以下に挙げるような市販品などを用いることができる。
レイヴァン:1170、1190ULTRA−II、1200、1255、1250、1500、2000、3500、5000、5250、5750、7000など(コロンビア製)。ブラックパールズL、リーガル:330R、400R、660R、モウグルL、モナク:700、800、880、900、1000、1100、1300、1400、ヴァルカンXC−72Rなど(キャボット製)。カラーブラック:FW1、FW2、FW2V、FW18、FW200、S150、S160、S170、プリンテックス:35、U、V、140U、140V、スペシャルブラック:4、4A、5、6など(デグッサ製)。No.25、No.33、No.40、No.47、No.52、No.900、No.2300、MCF−88、MA7、MA8、MA100、MA600など(三菱化学製)。
〔有機顔料〕
カラーインクの色材に用いる顔料としては、有機顔料が挙げられる。有機顔料としては、具体的には、以下に挙げるようなものを用いることができる。
トルイジンレッド、トルイジンマルーン、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、ピラゾロンレッドなどの水不溶性アゾ顔料。リトールレッド、ヘリオボルドー、ピグメントスカーレット、パーマネントレッド2Bなどの水溶性アゾ顔料。アリザリン、インダントロン、チオインジゴマルーンなどの建染染料からの誘導体。フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーンなどのフタロシアニン系顔料。キナクリドンレッド、キナクリドンマゼンタなどのキナクリドン系顔料。ペリレンレッド、ペリレンスカーレットなどのペリレン系顔料。イソインドリノンイエロー、イソインドリノンオレンジなどのイソインドリノン系顔料。ベンズイミダゾロンイエロー、ベンズイミダゾロンオレンジ、ベンズイミダゾロンレッドなどのイミダゾロン系顔料。ピランスロンレッド、ピランスロンオレンジなどのピランスロン系顔料。インジゴ系顔料。縮合アゾ系顔料。チオインジゴ系顔料。フラバンスロンイエロー、アシルアミドイエロー、キノフタロンイエロー、ニッケルアゾイエロー、銅アゾメチンイエロー、ペリノンオレンジ、アンスロンオレンジ、ジアンスラキノニルレッド、ジオキサジンバイオレットなど。
また、有機顔料をカラーインデックス(C.I.)ナンバーにて示すと、具体的には、以下に挙げるようなものを用いることができる。
C.I.ピグメントイエロー:12、13、14、17、20、24、74、83、86、93、109、110、117、120、125、128、137、138、147、148、151、153、154、166、168など。C.I.ピグメントオレンジ:16、36、43、51、55、59、61など。C.I.ピグメントレッド:9、48、49、52、53、57、97、122、123、149、168、175、176、177、180、192、215、216、217、220、223、224、226、227、228、238、240など。C.I.ピグメントバイオレット:19、23、29、30、37、40、50など。C.I.ピグメントブルー:15、15:3、15:1、15:4、15:6、22、60、64など。C.I.ピグメントグリーン:7、36など。C.I.ピグメントブラウン:23、25、26など。
(水不溶性色材の分散方式)
上記で挙げたような水不溶性色材を水性媒体中に分散させる分散方式はどのような方式であってもよい。例えば、樹脂分散剤を用いて色材を分散する樹脂分散型顔料や、界面活性剤を用いて色材を分散するタイプの顔料を用いることができる。また、顔料そのものの分散性を高めることで、分散剤などを用いることなく水性媒体中に分散可能とした顔料を用いることができる。例えば、マイクロカプセル型顔料、顔料粒子の表面に親水性基を導入した自己分散型顔料、顔料粒子の表面に高分子を含む有機基を化学的に結合させたポリマー結合型自己分散型顔料などを用いることができる。勿論、これらの分散方式の異なる顔料を組み合わせて用いることもできる。本発明のインクには、以下の理由から、顔料粒子の表面に少なくともひとつの親水性基が直接又は他の原子団を介して結合している顔料(以下、自己分散型顔料と呼ぶことがある)を用いることが特に好ましい。インクが記録媒体に付与された後、水などの蒸発に伴って顔料の凝集が始まる。この際、樹脂分散型顔料を含有するインクでは、樹脂の立体的な反発作用により顔料が十分に凝集する以前に記録媒体の表面近傍から内部へ浸透するため、十分な画像濃度が得られない場合がある。一方で、自己分散型顔料を含有するインクではこのような影響が少なく、凝集が速やかに進行するため、記録媒体の表面近傍に凝集物が効果的に存在しやすいためである。
〔自己分散型顔料〕
自己分散型顔料としては、顔料粒子の表面に少なくともひとつの親水性基が直接又は他の原子団(−R−)を介して化学的に結合しているものを用いることができる。このような自己分散型顔料を用いることにより、顔料をインク中に分散するための分散剤の添加が不要となる、又は分散剤の添加量を少量とすることができる。
顔料粒子の表面に結合している親水性基としては、具体的には、例えば、−COOM、−SOM、−POHM、−PO、及び−(COOM)などが挙げられる。なお、式中、Mは、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムであり、nは2以上の整数である。また、前記他の原子団(−R−)としては、炭素原子数1乃至12のアルキレン基、置換若しくは未置換のフェニレン基、又は置換若しくは未置換のナフチレン基などが挙げられる。なお、インク中における親水性基の形態は、その一部が解離した状態、又は完全に解離した状態のいずれの形態であってもよい。本発明においてはとりわけ、ジアゾカップリング法により得られる、上記の−R−(COOM基という構造を一部分に有する化合物を表面に結合している自己分散型顔料を特に好適に用いることができる。
その他にも、次亜塩素酸ソーダで酸化処理する方法、水中オゾン処理で酸化する方法、オゾン処理を施した後に酸化剤により湿式酸化して顔料粒子の表面を改質する方法などによって得られる、表面酸化処理タイプの自己分散型顔料を用いることもできる。
〔ポリマー結合型自己分散型顔料〕
本発明においては、顔料そのものの分散性を高め、分散剤などを用いることなく水性媒体中に分散可能とした、ポリマー結合型自己分散型顔料を用いることができる。このポリマー結合型自己分散型顔料は、顔料粒子の表面に直接又は他の原子団を介して化学的に結合している官能基と、イオン性モノマーと疎水性モノマーとが共重合された共重合体との反応物を含むものであることが好ましい。このような構造を有する顔料は、顔料粒子の表面を改質する際に用いる共重合体を構成するイオン性ユニット及び疎水性ユニットの共重合比を適宜に変更することができるため、顔料の親水性を任意に調整することができる。さらには、共重合体を構成するイオン性ユニット及び疎水性ユニットの種類や、これらのユニットの組み合わせも任意に選択することができるため、顔料粒子の表面に様々な特性を付与することもできる。
〔樹脂分散型顔料〕
樹脂分散型顔料としては、アニオン性基などのイオン性基の作用によって顔料を分散することができる樹脂分散剤を用いて顔料が分散されたものを用いることができる。分散剤として用いる樹脂の重量平均分子量は、1,000以上30,000以下、さらには3,000以上15,000以下であることが好ましい。分散剤としては、以下のようなものが挙げられる。
スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体など。スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体など。スチレン−マレイン酸ハーフエステル共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸−マレイン酸ハーフエステル共重合体など。ベンジルメタクリレート−メタクリル酸共重合体など。又はこれらの共重合体の塩など。
(その他の成分)
本発明のインクには、上記成分以外にも必要に応じて、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタンなどの多価アルコール類や、尿素及びエチレン尿素などの尿素誘導体などの、常温で固体の水溶性有機化合物を含有してもよい。さらに、本発明のインクには必要に応じて、また、本発明の効果が損なわれない限り、種々の添加剤を含有してもよい。このような添加剤としては、一般式(I)で表される界面活性剤以外の界面活性剤(ノニオン性、アニオン性、カチオン性)、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、蒸発促進剤、キレート化剤、及び水溶性ポリマーなどが挙げられる。
<インクジェット記録方法>
本発明のインクは、インクをインクジェット方式で吐出して記録媒体に記録を行う工程を有する本発明のインクジェット記録方法に用いる。インクジェット記録方法は、インクに力学的エネルギーを作用することによりインクを吐出する方式や、インクに熱エネルギーを作用することによりインクを吐出する方式などがある。特に、本発明においては、熱エネルギーを利用するインクジェット記録方法を好ましく用いることができる。
<インクカートリッジ>
本発明のインクは、特定の構成を有するインクカートリッジに収容されて用いられるものである。インクカートリッジとしては、インク収容部、及び収容されたインクの状態を光学的に検知する残量検知部を具備し、前記残量検知部が光透過性部材で構成され、前記残量検知部のインクと接する部分がポリオレフィンで形成されてなるものである必要がある。
(残量検知部の構成)
残量検知部は、インクカートリッジのインク収容部を構成する内壁面の一部に設けられ、インクカートリッジに収容されたインクの状態、例えばインクの残量や有無を検知する。材料検知部は光透過性部材で形成され、インクカートリッジの外壁面の一部を構成する面と、その面とは異なりかつインクカートリッジに収容されたインクとの界面が光路に対して所定の角度をなす複数の反射面と、を有する。そして、そのインクカートリッジに収容されたインクの状態によって反射面からの反射光量が異なるように構成される。このため、複数の反射面はインクカートリッジの内側方向に凸となるように設けられる。以下、このような残量検知部の構成をプリズムと呼ぶことがある。なお、複数の反射面に代えて曲面の構成としてもよい。本発明のインクを収容するインクカートリッジにおいては、残量検知部が光透過性部材で構成され、さらに、残量検知部のインクと接する部分がポリオレフィンで形成されたものである。
つまり、残量検知部は光透過性の材料で構成され、さらにそのインクと接する部分はポリオレフィンで形成されてなることが必要であるため、残量検知部が全てポリオレフィンで構成されてなることが好ましい。本発明においては、ポリオレフィンとしては、インクに使用する界面活性剤との親和性の観点、さらには残量検知部の成形性の観点から、ポリエチレンやポリプロピレン、又はこれらを併用した構成とすることが特に好ましい。
(インクカートリッジの構成)
次に、本発明のインクを収容するインクカートリッジの構成の一例について、図5を参照して説明する。図5はインクカートリッジ7と記録ヘッド1とを備えたヘッドホルダ200の外観斜視図である。図5において、(A)はインクカートリッジ7がヘッドホルダ200から分離された状態を、(B)はインクカートリッジ7がヘッドホルダ200に取り付けられた状態をそれぞれ示す。
インクカートリッジ7は略直方体状をなし、その上壁7Uにはインクカートリッジ7の内部と大気とを連通させる穴である大気連通口120が設けられている。また、インクカートリッジ7の下壁7Bには、筒状に突出した形態でインク供給口140A(図6参照)を有するインク供給筒140が形成される。インクカートリッジ7の外側には、弾性変形自在に一体に成形されたレバー160が設けられ、レバー160の中間部には係止用突起160Aが形成されている。
200はインクカートリッジ7が装着される記録ヘッド一体型のヘッドホルダ(記録ユニット)であり、例えば、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロ(Y)の各色のインクカートリッジ7(7C、7M、7Y)をそれぞれ搭載する。ヘッドホルダ200の下部には各色のカラーインクを吐出する記録ヘッド1が一体的に設けられる。記録ヘッド1には、複数の吐出口(不図示)が重力方向の下向きに形成されている。以下、この吐出口が形成されている記録ヘッドの面を吐出口面と呼ぶことがある。なお、ブラック(Bk)インクを収容したインクカートリッジのみを搭載するヘッドホルダとして、モノクロ記録に使用する構成してもよい。ヘッドホルダ200の底部には、後述するインク残量検知部25が、光学ユニット14とインク残量検知部25と協働して、インクカートリッジ7に収容されたインクの有無を検知できるように窓(不図示)が設けられている。
インクカートリッジ7は、図5(A)の状態から、インク供給筒140が記録ヘッド1のインク供給筒受け部(不図示)に係合し、かつ記録ヘッド1のインク通路筒(不図示)がインク供給筒140の内部に進入するようにして、ヘッドホルダ200に装着される。すると、レバー160の係止用突起160Aがヘッドホルダ200の所定箇所に設けられた不図示の突起に係合し、図5(B)に示す装着状態が得られる。図5(B)に示す、インクカートリッジ7が装着された状態のヘッドホルダ200は、例えば、図2に示すようなインクジェット記録装置のキャリッジ2にさらに搭載され、記録可能な状態となる。
次に、インクカートリッジ7の内部構造について、図6を参照して説明する。図6はインクカートリッジ7の内部構造の一例を示す側断面図である。インクカートリッジ7は、上部で大気連通口120を介して大気に連通し、下部でインク供給口140Aに連通する。また、インクカートリッジ7の内部は隔壁380により、負圧発生部材であるインク吸収体320を収容する負圧発生部材収容室340と、インクを収容する実質的に密閉されたインク収容室360と、に仕切られ、これらによりインクを収容する。負圧発生部材収容室340とインク収容室360とは、インクカートリッジ7の底部付近で隔壁380により形成された連通口400を介してのみ連通される。
負圧発生部材収容室340を構成するインクカートリッジ7の上壁7Uには、インクカートリッジ7の内部に突出する形態で複数個のリブ420が一体に成形され、負圧発生部材収容室340に圧縮状態で収容されるインク吸収体320と当接する。このようにして、上壁7Uとインク吸収体320の上面との間にはエアバッファ室440が形成される。インク吸収体320は、例えばポリオレフィン繊維を積層して形成され、インクを収容するための毛管力を発生すべく、圧縮された状態で負圧発生部材収容室340に収容される。
インク供給口140Aを形成するインク供給筒140内には、ディスク状ないしは円柱状の圧接体460が配置される。圧接体460は、例えばポリプロピレンなどのポリオレフィンのフェルトにより形成され、それ自体は外力により容易に変形しないものである。圧接体460は、上述のヘッドホルダ200に装着されていない図5(A)に示す状態において、インク吸収体320を局所的に圧縮するようインク吸収体320に押し込まれた状態に保持されている。このために、インク供給筒140の端部には、圧接体460の周辺に当接するフランジが形成されている。
上記構成のインクカートリッジでは、記録ヘッド1からインクが吐出されてインク吸収体320に収容されたインクが消費されると、インクは、インク収容室360から連通口400を通じて負圧発生部材収容室340のインク吸収体320に供給される。この際、インク収容室360は減圧されるが、大気連通口120から負圧発生部材収容室340を経由してインクカートリッジ7の内部に導入された空気が隔壁380の連通口400を通じてインク収容室360に入り、インク収容室360の減圧が緩和される。このようにして、インクが消費されても、その消費量に応じてインクがインク収容室360からインク吸収体320に供給される。このようにして、インク吸収体320は一定量のインクを保持し、記録ヘッド1に対する負圧がほぼ一定に保たれるので、記録ヘッド1ヘのインクの供給が安定に行われる。さらにインクが消費されて、インク収容室360のインクが消費されてなくなると、インク吸収体320のインクが消費されるようになる。このようなインクカートリッジ7のインク収容室360内部の底面にインク残量検知機構を構成する、残量検知部としてのプリズム180を設ける。詳細は後述するが、プリズム180により検知されたインク残量情報に基づいて、インク収容室360のインクが消費されたことを表示部1710(図3参照)などに表示する。なお、インクが消費されたことを表示する手段はこれに限られるものではなく、例えば、インクカートリッジ7に表示手段を設けて、これに表示するような構成としてもよい。このインク残量情報に基づいて、インクカートリッジ7を交換することができる。
<記録ユニット>
本発明のインクを収容することができる記録ユニットとしては、かかるインクを収容するインク収容部と、インクを吐出するための記録ヘッドとを備えた本発明の記録ユニットが挙げられる。このような記録ユニットとしては、先に述べたような、インクカートリッジが搭載されたヘッドホルダの構成であっても、また、インクカートリッジと記録ヘッドとを一体的に形成した構成としてもよい。特に、前記記録ヘッドが、記録信号に対応した熱エネルギーをインクに作用することによりインクを吐出する記録ユニットを好ましく用いることができる。特に、本発明においては、金属や金属酸化物を含有する発熱部接液面を有する記録ヘッドを用いることが好ましい。前記発熱部接液面を構成する金属や金属酸化物としては、例えば、Ta、Zr、Ti、Ni、若しくはAlなどの金属、又はこれらの金属の酸化物などが挙げられる。
<インクジェット記録装置>
以下、図面を参照してインクジェット記録方法及びインクジェット記録装置について説明する。図2はインクジェット方式により記録を行う記録ヘッドを備えてなるインクジェット記録装置の構成の一例を示す斜視図である。図2に示す実施形態では、インクカートリッジ7と記録ヘッド1とが一体的に形成された構成のインクカートリッジ20を搭載している。また、インクカートリッジ7のインク収容室内部の底面にはインク残量検知を行うためのプリズム(図6参照)が設けられている。
本実施形態においては、記録ヘッド1は、インクジェット記録方法の中でも、インクを吐出するためのエネルギーとして熱エネルギーを発生する手段(例えば電気熱変換体やレーザ光など)を利用する方式であることが好ましい。この熱エネルギーを発生する手段により生じた熱エネルギーによりインクの状態変化を生起させて、インクを吐出させることで、記録の高密度化、高精細化を達成することができる。勿論、インクを吐出するためのエネルギーとして、力学的エネルギーを発生する手段を利用する方式を利用してもよい。
図2において、記録ヘッド1は図の下向き(重力方向)にインクを吐出する姿勢でキャリッジ2に搭載され、ガイド軸3に沿ってキャリッジ2を移動させながら記録ヘッド1からインクを吐出して記録媒体(不図示)に記録を行う。なお、記録ヘッド1を搭載したキャリッジ2の主走査方向における往復移動(左右移動)は、キャリッジモータ4の回転によりタイミングベルト5を介して行われる。キャリッジ2には係合爪6が設けられ、インクカートリッジ7の係合穴7aと係合することでキャリッジ2にインクカートリッジ7が固定される。
記録ヘッド1の主走査方向における1走査分の記録が終了すると、記録動作を中断し、フィードモータ9の駆動によりプラテン8上に位置する記録媒体(不図示)を所定量だけ搬送する。次いで再びキャリッジ2をガイド軸3に沿って移動させながら次の1走査分の記録を行う。また、記録媒体を搬送するためのフィードモータ9の駆動力は、本来の記録媒体の搬送機構に伝達されるほかに、給紙装置13へも伝達される。
インクジェット記録装置本体の右側には、記録ヘッド1からのインクの吐出状態を良好に保つための回復動作を行う回復ユニット10が設けられている。回復ユニット10には、記録ヘッド1をキャッピングするキャップ11、記録ヘッド1の吐出口面をワイピングするワイパー12、及び記録ヘッド1のノズルからインクを吸引する吸引ポンプ(不図示)などが設けられている。
回復ユニット10の横には、赤外LEDなどの発光素子15及びフォトトランジスタなどの受光素子16で構成され、インク残量検知とインクカートリッジ有無検知を行う光学ユニット14が設けられている。発光素子15と受光素子16とは、記録媒体の搬送方向(矢印Fの方向)に沿って並ぶように取り付けられている。光学ユニット14はインクジェット記録装置本体のシャーシ17に取り付けられている。キャリッジ2に搭載されたインクカートリッジ20が、図2に示された位置より右方向へと移動すると、インクカートリッジ20は光学ユニット14上に位置するようになる。そして、インクカートリッジ7の底面より該インクカートリッジに収容されたインクの状態を光学ユニット14によって検知することが可能となる(その詳細は後述する)。
(インクジェット記録装置の制御構成)
インクジェット記録装置の記録制御を実行するための制御構成について説明する。図3はインクジェット記録装置の制御回路の構成の一例を示すブロック図である。1700は記録信号を入力するインタフェース、1701はMPU、1702はMPU1701が実行する制御プログラムを格納するROM、1703は各種データ(記録信号や記録ヘッド1に供給される記録データなど)を保存するDRAMである。1704は記録ヘッド1に対する記録データの供給制御を行うゲートアレイであり、ゲートアレイ1704はインタフェース1700、MPU1701、及びRAM1703間のデータ転送制御も行う。1705は記録ヘッド1を駆動するヘッドドライバ、1706フィードモータ9を駆動するためのモータドライバ、1707はキャリッジモータ4を駆動するためのモータドライバである。
制御構成の動作を説明する。インタフェース1700に記録信号が入力されると、ゲートアレイ1704とMPU1701との間で記録信号が記録用の記録データに変換される。そして、モータドライバ1706及び1707が駆動されると共に、ヘッドドライバ1705に送られた記録データにしたがって記録ヘッド1が駆動され、記録ヘッド1(図2参照)により記録が行われる。
表示部1710は、記録動作やインクジェット記録装置の状態に関する種々の情報を表示するLCD1711や、記録動作やインクジェット記録装置の状態を知らせる種々の色のLEDランプ1712を備えてなる。
また、記録ヘッド1と一体となったインクカートリッジ7のインクの状態、例えばインクの残量や有無を検知するインク残量検知部25の動作はMPU1701により制御される。インク残量検知部25の詳細は後述する。
図4はインク残量検知部25の構成の一例を示すブロック図である。図4(A)において、コントローラ32はMPU1701からの制御信号に基づいて、所定のデューティ比(%)のパルス信号をLED駆動回路30に出力する。そして、コントローラ32は、このデューティ比にしたがって光学ユニット14を構成する発光素子15)を駆動して、赤外光をインクカートリッジ7の底部に照射する。図4(B)に示すように、このようにして照射された赤外光は、インクカートリッジ7の底部のプリズム180で反射され、光学ユニット14を構成する受光素子16に戻ってくる。フォトトランジスタである受光素子16は受光した光を電気信号に変換し、この電気信号をローパスフィルタ31に出力する。ローパスフィルタ31は、受光素子16から入力した電気信号のうち高周波雑音をカットして周波数の低い信号のみをコントローラ32に送る。コントローラ32はローパスフィルタ31の信号をA/D変換してデジタル信号に変換する。そして、変換されたデジタル信号はMPU1701に転送される。
なお、図4(B)に示しているように、発光素子15は赤外光28を発光するLEDであり、受光素子16は赤外光29を受光して、その受光強度に応じて電気信号を出力するフォトトランジスタである。これらのLED(発光素子15)とフォトトランジスタ(受光素子16)とは、図2に示すように、記録媒体の搬送方向(図2の矢印Fの方向)に沿って並ぶように配置される。
次に、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、下記実施例によって限定されるものではない。なお、以下の記載で「部」や「%」とあるものは、特に断りのない限り質量基準である。
<顔料分散液の調製>
下記の手順で顔料分散液A〜Dをそれぞれ調製した。
(顔料分散液Aの調製)
5.5gの水に2.5gの濃塩酸を溶かした溶液に、5℃に冷却した状態でp−アミノ安息香酸0.8gを加えた。次に、この溶液が入った容器をアイスバスに入れて液を撹拌することにより溶液を常に10℃以下に保った状態とし、これに5℃の水9gに亜硝酸ナトリウム0.9gを溶かした溶液を加えた。この溶液をさらに15分間撹拌した後、比表面積が220m/gでDBP吸油量が105mL/100gであるカーボンブラック9gを撹拌下で加えた。その後、さらに15分間撹拌した。得られたスラリーをろ紙(商品名:標準用濾紙No.2;アドバンテック製)でろ過した後、粒子を十分に水洗し、110℃のオーブンで乾燥させて、自己分散型カーボンブラックAを調製した。得られた自己分散型カーボンブラックAに水を加えて顔料の含有量が10.0%となるように分散させて、分散液を調製した。上記の方法により、カーボンブラック粒子の表面に−C−COONa基が導入されてなる自己分散型カーボンブラックA(顔料A)が水中に分散された状態の顔料分散液Aを得た。
上記で調製した自己分散型カーボンブラックAのイオン性基密度は1.0μmol/mであった。イオン性基密度は、上記で調製した顔料分散液Aのナトリウムイオン濃度をイオンメーター(東亜DKK製)を用いて測定し、その値から自己分散型カーボンブラックのイオン性基密度に換算して求めた。
(顔料分散液Bの調製)
5.5gの水に5gの濃塩酸を溶かした溶液に、5℃に冷却した状態でp−アミノ安息香酸1.55gを加えた。次に、この溶液が入った容器をアイスバスに入れて液を撹拌することにより溶液を常に10℃以下に保った状態とし、これに5℃の水9gに亜硝酸ナトリウム1.8gを溶かした溶液を加えた。この溶液をさらに15分間撹拌した後、比表面積が220m/gでDBP吸油量が105mL/100gであるカーボンブラック6gを撹拌下で加えた。その後、さらに15分間撹拌した。得られたスラリーをろ紙(商品名:標準用濾紙No.2;アドバンテック製)でろ過した後、粒子を十分に水洗し、110℃のオーブンで乾燥させて、自己分散型カーボンブラックBを調製した。得られた自己分散型カーボンブラックBに水を加えて顔料の含有量が10.0%となるように分散させて、分散液を調製した。上記の方法により、カーボンブラック粒子の表面に−C−COONa基が導入されてなる自己分散型カーボンブラックB(顔料B)が水中に分散された状態の顔料分散液Bを得た。上記で調製した自己分散型カーボンブラックBのイオン性基密度を、自己分散型カーボンブラックAと同様の方法で求めたところ、2.6μmol/mであった。
(顔料分散液Cの調製)
比表面積が220m/gでDBP吸油量が112mL/100gであるカーボンブラック500g、アミノフェニル(2−スルホエチル)スルホン45g、及び蒸留水900gを反応器に入れ、温度55℃、回転数300RPMで20分間撹拌した。その後、この反応液に、25%亜硝酸ナトリウム水溶液40gを15分間かけて滴下し、さらに蒸留水50gを加えた。その後、温度60℃で2時間反応させた。得られた反応物を蒸留水で希釈しながら取り出し、固形分濃度が15%となるように調整した。さらに、遠心分離処理及び精製処理を行って不純物を除去して分散液1を得た。分散液1中のカーボンブラックは、アミノフェニル(2−スルホエチル)スルホンの官能基がカーボンブラック粒子の表面に結合した状態であった。
ここで、この分散液1中のカーボンブラックに結合した官能基のモル数を求めた。プローブ式ナトリウム電極を備えたイオンメーター(Orion製)を用いて、分散液1中のナトリウムイオン濃度を測定し、得られた値をカーボンブラック粉末当りに換算して、カーボンブラックに結合した官能基のモル数を求めた。
次いで、強力に撹拌しながら室温に保ったペンタエチレンヘキサミン溶液中に、上記で得られた分散液1を1時間掛けて滴下した。このとき、ペンタエチレンヘキサミンの濃度は、先に測定したナトリウムイオンのモル数の1〜10倍とし、溶液の量は分散液1と同量とした。さらに、この混合物を18〜48時間撹拌した後、精製処理を行って不純物を除去して、固形分濃度が10%の分散液2を得た。分散液2中のカーボンブラックは、ペンタエチレンヘキサミンがカーボンブラック粒子の表面に結合した状態であった。
ここで、スチレン−アクリル酸樹脂を調製した。先ず、重量平均分子量が8,000、酸価が140mgKOH/g、多分散度Mw/Mn(重量平均分子量Mw、数平均分子量Mn)が1.5であるスチレン−アクリル酸樹脂を190g秤量した。この樹脂に1,800gの蒸留水を加え、樹脂を中和するのに必要な水酸化ナトリウムを加えて、撹拌して樹脂を溶解することで、スチレン−アクリル酸樹脂水溶液を調製した。次に、上記で得られた500gの分散液2を、このスチレン−アクリル酸樹脂水溶液中に撹拌下で滴下した。この混合物を蒸発皿に移し、温度150℃で15時間加熱して、蒸発させた後、乾燥物を室温に冷却した。
次いで、水酸化ナトリウムを用いてpHを9.0に調整した蒸留水中に上記で得られた乾燥物を加えて、この混合物を分散機により分散し、さらに、撹拌下で1.0規定の水酸化ナトリウム水溶液を添加して、液体のpHを10〜11に調整した。その後、脱塩処理及び精製処理を行って不純物や粗大粒子を除去した。上記の方法により、ポリマー結合型自己分散型カーボンブラックCが水中に分散された状態の顔料分散液Cを得た。上記で調製した顔料分散液Cの顔料の含有量は10.0%、pHは10.1であり、顔料の平均粒子径は130nmであった。
(顔料分散液Dの調製)
比表面積が210m/gでDBP吸油量が74mL/100gであるカーボンブラック10部、樹脂20部、水70部を混合した。前記樹脂(分散剤)としては、酸価が90mgKOH/gで重量平均分子量が10,000のスチレン−アクリル酸共重合体を10%水酸化ナトリウム水溶液で中和したものを用いた。サンドグラインダーを用いてこの混合物を1時間分散した後、遠心分離処理を行って粗大粒子を除去し、さらに、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧ろ過を行った。上記の方法により、樹脂分散型カーボンブラックDが水中に分散された状態の顔料分散液Dを得た。上記で調製した顔料分散液Dの顔料の含有量は10.0%、pHは10.0であり、顔料の平均粒子径は125nmであった。
<界面活性剤の構造>
インクの調製に使用した各界面活性剤の構造を下記表1にまとめた。界面活性剤A〜Kは常法により合成したものを用いた。
Figure 2010037459
<インクの調製>
下記表2及び表3に示す各成分を混合して十分に撹拌した後、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧ろ過を行い、各インクを調製した。
Figure 2010037459
Figure 2010037459
(インク中の界面活性剤の含有量が臨界ミセル濃度以上であることの判定)
上記で得られた各インクについて、インク中の界面活性剤の含有量が臨界ミセル濃度以上であるか否かを判定した。ここでは、実施例1のインクを例に挙げて説明する。先ず、下記表4に示す組成を有するインクを調製した。このインクは、実施例1のインク組成における界面活性剤Cを水に代えた組成を有する。
Figure 2010037459
このようにして得られたインクに、界面活性剤Cを一定量ずつ添加し、随時インクの表面張力を測定して、インク中の界面活性剤の含有量と、インクの表面張力との関係をプロットしたものが図1のグラフである。図1からわかるように、インク中の界面活性剤Cの含有量が0.1%となったところで、それ以上含有量を増加してもインクの表面張力の値が低下しなくなった。本発明においては、臨界ミセル濃度とは、インク中の界面活性剤の含有量を高めていったときに、表面張力が低下しなくなる時点での界面活性剤の含有量のこととしているため、このインク中における界面活性剤Cの臨界ミセル濃度は0.1%ということになる。
また、より簡便に、インク中の界面活性剤の含有量が臨界ミセル濃度以上であるかを、以下に示す方法を用いて判定した。インクに用いられている界面活性剤と同じ界面活性剤を準備し、これをインクに0.01%添加した。そして、添加前と比較して添加後のインクの表面張力が低下しない場合、又は添加後のインクの表面張力が低下した場合でもその低下量が0.1mN/m以下である場合に、判定対象のインクは界面活性剤を臨界ミセル濃度以上で含有していると判定した。逆に、界面活性剤を0.01%添加した後のインクの表面張力が添加前と比較して0.1mN/mを超えて低下した場合には、判定対象のインクは界面活性剤を臨界ミセル濃度未満で含有していると判定した。
上記で得られた実施例1〜12及び比較例1〜9の各インクについて、上記の方法でインク中の界面活性剤の含有量が臨界ミセル濃度以上であるかを判定した結果を表5に示す。なお、インク中の界面活性剤の含有量が臨界ミセル濃度以上である場合を○、臨界ミセル濃度未満である場合を×で示した。
なお、上記の表面張力は、表面張力計CBVP−A3(協和界面科学製)を用い、測定温度25℃で10mm×24mmの白金プレートを用いて測定した。
<評価>
(高温保存後のインク残量検知)
上記で得られた実施例1〜12及び比較例1〜9の各インクをそれぞれ、図6に示す構成を有するインクカートリッジのインク収容部に充填した。前記インクカートリッジは、残量検知部が光透過性部材で構成され、前記残量検知部のインクと接する部分がポリプロピレンで形成された構成を有する。このインクカートリッジを1種のインクにつき5つずつ作成した。得られた各インクカートリッジを温度70℃の条件で1ヶ月間保存した。その後、インクを常温に戻した後、インクカートリッジからインクを抜き取って、インクカートリッジを空にした。このインクカートリッジを、インクジェット記録装置PIXUS iP4200(キヤノン製)を改造したものに搭載してインク残量検知を行った。インク残量検知評価の評価基準は以下の通りである。評価結果を表5に示す。この評価では、空のインクカートリッジを使用しているため、インク残量検知が正しく作動するとインクがないと判断されるが、残量検知部に水不溶性色材が吸着していると、空のインクカートリッジであるのにもかかわらずインクがあると判断される。
A:5個全てのインクカートリッジにおいてインク残量検知が正しく作動した
B:1個又は2個のインクカートリッジにおいてインク残量検知が正しく作動しなかった
C:3個又は4個のインクカートリッジにおいてインク残量検知が正しく作動しなかった
D:5個全てのインクカートリッジにおいてインク残量検知が正しく作動しなかった。
(画像濃度)
上記で得られた実施例1〜12及び比較例1〜9の各インクをそれぞれインクカートリッジに充填し、このインクカートリッジをインクジェット記録装置PIXUS iP4200(キヤノン製)を改造したものに搭載した。そして、下記の記録媒体に1cm×1cmで記録デューティが100%であるベタ画像を記録した。前記記録媒体としては、PPC用紙オフィスプランナー(キヤノン製)、PPC用紙4200(ゼロックス製)、SW−101(キヤノン製)、及びクラシックホワイト(シュタインバイス製)の4種の普通紙を用いた。インク1ドットあたりの吐出量は、24ng±10%以内であった。記録の際のプリンタドライバはデフォルトモードを選択した。デフォルトモードの記録条件は、用紙の種類:普通紙、印刷品質:標準、色調整:自動、である。記録から1日後に、ベタ画像における画像濃度を、反射濃度計(商品名:マクベスRD−918;マクベス製)を用いて測定した。画像濃度の評価基準は以下の通りである。評価結果を表5に示す。
AA:4種の記録媒体における画像濃度の平均が1.40以上であり、さらに2種以上の記録媒体における画像濃度が1.50以上であり、かつ4種の記録媒体における画像濃度の最低値が1.40以上であった
A:4種の記録媒体における画像濃度の平均が1.40以上であり、さらに2種以上の記録媒体における画像濃度が1.50以上であり、かつ4種の記録媒体における画像濃度の最低値が1.35以上1.40未満であった
B:4種の記録媒体における画像濃度の平均が1.40以上であり、さらに1種の記録媒体における画像濃度が1.50以上であり、かつ4種の記録媒体における画像濃度の最低値が1.35以上1.40未満であった
C:4種の画像濃度の記録媒体における平均が1.40以上であり、さらに1種の記録媒体における画像濃度が1.50以上であり、かつ4種の記録媒体における画像濃度の最低値が1.30以上1.35未満であった。
(保存安定性)
上記で得られた、実施例1〜12及び比較例1〜9の各インクをそれぞれインクカートリッジに充填し、得られたインクカートリッジを温度70℃の条件で1ヶ月間保存した。その後、インクを常温に戻した後、インクカートリッジからインクを抜き取り、得られたインクについて界面活性剤が分離しているかどうかを目視で確認して保存安定性の評価を行った。保存安定性の評価基準は以下のとおりである。評価結果を表5に示す。
A:界面活性剤は分離していなかった
B:界面活性剤が分離し、インクの表面に界面活性剤が浮いていた。
Figure 2010037459
なお、画像濃度の評価において、実施例11の4種の記録媒体における画像濃度の最低値は、実施例1〜10及び12の4種の記録媒体における画像濃度の最低値よりもやや低かった。
インクに界面活性剤Cを添加していった際の表面張力の変化の状態を示すグラフである。 インクジェット方式により記録を行う記録ヘッドを備えたインクジェット記録装置の構成の一例を示す斜視図である。 インクジェット記録装置の制御回路の構成の一例を示すブロック図である。 インク残量検知部の構成の一例を示すブロック図である。 インクカートリッジと記録ヘッドとを備えたヘッドホルダの外観斜視図である。 インクカートリッジの内部構造の一例を示す側断面図である。
符号の説明
1 記録ヘッド
2 キャリッジ
3 ガイド軸
4 キャリッジモータ
5 タイミングベルト
6 係合爪
7 インクカートリッジ
7a 係合穴
7C シアンインクのインクカートリッジ
7M マゼンタインクのインクカートリッジ
7Y イエローインクのインクカートリッジ
7U 上壁
7B 下壁
8 プラテン
9 フィードモータ
10 回復ユニット
11 キャップ
12 ワイパー
13 給紙装置
14 光学ユニット
15 発光素子
16 受光素子
17 シャーシ
20 インクカートリッジ
25 インク残量検知部
29 赤外光
28 赤外光
30 LED駆動回路
31 ローパスフィルタ
32 コントローラ
F 記録媒体の搬送方向
1700 インタフェース
1701 MPU
1702 ROM
1704 ゲートアレイ
1705 ヘッドドライバ
1706 モータドライバ
1707 モータドライバ
1708 DRAM
1710 表示部
1711 LCD
1712 LEDランプ
120 大気連通口
140 インク供給筒
140A インク供給口
160 レバー
160A 係止用突起
180 プリズム
200 ヘッドホルダ
320 インク吸収体
340 負圧発生部材収容室
360 インク収容室
380 隔壁
400 連通口
420 リブ
440 エアバッファ室
460 圧接体

Claims (6)

  1. インクを収容するインク収容部、及びインクカートリッジに収容されたインクの状態を光学的に検知する残量検知部を具備し、前記残量検知部が光透過性部材で構成され、前記残量検知部のインクと接する部分がポリオレフィンで形成されたインクカートリッジのインク収容部に収容されて用いられる水性インクであって、
    前記水性インクが少なくとも、水、水不溶性色材、塩、下記一般式(I)で表される界面活性剤を含有し、前記インク中における前記界面活性剤の含有量が、インク中での前記界面活性剤の臨界ミセル濃度以上であることを特徴とする水性インク。
    Figure 2010037459
    (一般式(I)中、Rは炭素数12乃至22の直鎖アルキル基であり、nは7乃至40の整数である。)
  2. 前記水不溶性色材が、顔料粒子の表面に少なくともひとつの親水性基が直接又は他の原子団を介して結合している顔料である請求項1に記載の水性インク。
  3. インクをインクジェット方式で吐出して記録媒体に記録を行うインクジェット記録方法であって、前記インクとして、請求項1又は2に記載の水性インクを用いることを特徴とするインクジェット記録方法。
  4. インクを収容するインク収容部、及びインクカートリッジに収容されたインクの状態を光学的に検知する残量検知部を具備し、前記残量検知部が光透過性部材で構成され、前記残量検知部のインクと接する部分がポリオレフィンで形成されたインクカートリッジであって、
    前記インク収容部に収容された水性インクが少なくとも、水、水不溶性色材、塩、下記一般式(I)で表される界面活性剤を含有し、前記インク中における前記界面活性剤の含有量が、インク中での前記界面活性剤の臨界ミセル濃度以上であることを特徴とするインクカートリッジ。
    Figure 2010037459
    (一般式(I)中、Rは炭素数12乃至22の直鎖アルキル基であり、nは7乃至40の整数である。)
  5. インクを収容するためのインク収容部と、インクを吐出するための記録ヘッドとを備えた記録ユニットであって、前記インクとして、請求項1又は2に記載の水性インクを用いることを特徴とする記録ユニット。
  6. 請求項1又は2に記載の水性インクを用いて記録媒体に画像を記録するインクジェット記録装置であって、
    前記水性インクを吐出して記録を行う記録ヘッド、インクカートリッジのインク収容部の残量検知部に光を照射して前記残量検知部からの反射光を受光する光学手段、前記光学手段を用いて前記インクカートリッジに収容されたインクの残量を検知する残量検知手段、前記残量検知手段によって得られたインク残量情報に基づいて前記記録ヘッドにより画像を記録する動作の制御を行う制御手段、を有することを特徴とするインクジェット記録装置。
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JP2011235441A (ja) * 2010-04-30 2011-11-24 Brother Industries Ltd インクカートリッジおよびインクジェット記録装置
JP2012052097A (ja) * 2010-08-03 2012-03-15 Canon Inc インク、インクカートリッジ、インクジェット記録方法、及びインクジェット記録装置
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