テレビ技術が進歩し、近年では、地上デジタル放送が開始されるようになった。このデジタル放送用の有力な変調方式、特には建物等によるゴースト妨害(フェージング、マルチパス)の克服に好適な変調方式として、マルチキャリアのOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing;直交周波数分割多重)変復調方式が利用されている。
上記OFDM変復調方式とは、1チャンネル帯域内に多数(256〜1024程度)のサブキャリアを設けて、映像信号や音声信号を効率よく伝送することが可能なデジタル変調・復調方式である。このOFDM変復調方式では、全キャリアを高速フーリエ逆変換(IFFT: Inverse Fast Fourier Transform)によりOFDM変調したベースバンド(BB:BaseBand)信号を生成する。なお、このIFFT変換の処理窓の期間が、有効シンボル期間長tsとなり、この期間長はFsクロックN周期に相当する。そして、有効シンボル期間長tsを基本単位としてデジタル変調された全キャリアを加え合わせたものをOFDM伝送シンボルという。
実際のOFDM伝送シンボルは、通常、図7に示すように有効シンボル期間長tsに、ガードインターバル(GI)と呼ばれる期間長(GI期間長tg)を付加して構成される。そして、このGI期間長tgの波形は、有効シンボル期間長tsの後部区間200の信号波形を繰り返したものになっている。したがって、OFDM伝送シンボルのシンボル期間長は、有効シンボル期間長tsとGI期間長tgとの和となる。なお、図7は、従来技術を示すものであり、OFDM伝送シンボルの構成を示す図である。
また、上記有効シンボル期間長tsは、地上デジタル放送の規格を示す非特許文献1によると、モード(MODE)と呼ばれる基本パラメータによって図8の様に定義されている。さらに、GI期間長tg(μs)は、各有効シンボル期間長tsに対する比であるGI比と呼ばれるパラメータによって、図9の様に定義されている。なお、図8は、従来技術を示すものであり、モードの種類と各モードにおける有効シンボル期間長tsとの対応関係を示す図である。また、図9は、従来技術を示すものであり、GI比と各モードごとのGI期間長tgとの対応関係を示す図である。
また、上記伝送シンボルを幾つか集めたもの、より具体的には、該伝送シンボルを100個程度集めたものに、フレーム同期用シンボルおよびサービス識別用シンボルを付加したものを伝送フレームと称する。例えば、非特許文献1によると基本パラメータでは、1フレームを204シンボルと定義している。
また、上記基本パラメータでは、QPSK(Quadrature Phase Shift Keying:4相位相変調)、16QAM((Quadrature Amplitude Modulation:直交振幅変調)、または64QAM変調された1伝送シンボルにおいて、1セグメント当たり図10に示すキャリアが配置されている。すなわち、キャリアの種類としてデータ信号、SP(Scattered Pilot)信号、TMCC(Transmission and Multiplexing Configuration Control)信号、AC1(Auxiliary Channel)信号が設定されており、各キャリアの種類ごとに信号強度、モード(MODE)1〜モード(MODE)3それぞれに応じたキャリア本数が割り当てられている。このキャリア本数の総数は、図10に示すように、モード(MODE)1で108、モード(MODE)2で216、モード(MODE)3で432となる。この図10は、従来技術を示すものであり、キャリアの種類と各キャリアの種類ごとの信号強度と、各モードにおけるキャリア本数との対応関係を示す図である。
なお、上記SP信号とは、キャリア方向において12キャリアに1回、シンボル方向において4シンボルに1回と周期的に挿入されるパイロット信号である。また、TMCC信号は、フレーム同期信号、および伝送パラメータ等を含む信号である。上記AC1信号は付加情報を含む信号である。なお、上記TMCC信号とAC1信号とは、SP信号とは異なり非周期的にキャリア配置される。
次に、従来のOFDM受信装置200について、図11に基づいて説明する。図11は、非特許文献1に記載の望ましい仕様に基づいて構成された、従来のOFDM受信装置200の構成を示すブロック図である。
図11に示すように、OFDM受信装置200は、アンテナ202、チューナ203、およびOFDM復調装置201を備えてなる構成である。
アンテナ202により受信されたRF(高周波)信号は、チューナ203によりIF(中間周波数)信号に周波数変換され、OFDM復調装置201によって復調される。また、上記したようにOFDM変復調方式では復調信号に同期信号を含んでいる。そこで、OFDM復調装置201により復調する際、この同期信号を用いて同期処理部217がフレーム先頭位置を検出してフレーム同期を行う。
上記チューナ203は、ミキサ204、局部発振器205、パラメータ記録部206、ゲインA207、およびゲインB208を備えている。
パラメータ記録部206は、チューナ203において設定されている設定パラメータを記録するものである。パラメータ記録部206は、例えばレジスタ等によって実現できる。また、パラメータ記録部206が記録するパラメータとしては、チューナ203により受信する周波数帯域を示す値が挙げられる。
局部発振器205は、パラメータ記録部206に記録されている周波数帯域を示す値により決定された周波数の正弦波をミキサ204に出力するものである。ミキサ204は、局部発振器205から入力された正弦波とアンテナ202より受信されたRF信号とを乗算する事で周波数変換を行うものである。ミキサ204は、RF信号を周波数変換して得られたIF信号をOFDM復調装置201へ出力する。
また、チューナ203は、上記したようにゲインA207およびゲインB208をさらに備えている。これらゲインA207およびゲインB208は、OFDM復調装置201から入力されたゲイン制御信号に応じて、チューナの出力の、平均電力の大きさを調整するために、周波数変換前後においてゲイン値を調整する。
OFDM復調装置201は、図11に示すように、アナログデジタル変換器(ADC)210、復調処理部209、同期処理部217、および自動利得制御回路(AGC)213を備えてなる構成である。
そして、OFDM復調装置201は、直交復調回路211、キャリア周波数誤差補正回路212、FFT演算回路214、波形等化回路215、TMCC復号回路216、および誤り訂正処理部223を備える。
また、同期処理部217は、シンボル同期回路218、狭帯域キャリア周波数誤差検出回路219、広帯域キャリア周波数誤差検出回路220、NCO(数値制御発振回路)221、およびフレーム同期回路222を備える構成である。
ここで、まず復調処理部209が備える各部について説明する。
本実施の形態に係るOFDM受信装置200では、上記したようにチューナ203から、周波数変換されたIF信号が、OFDM復調装置201に設けられたADC210に供給されるようになっている。そして、ADC210は、チューナ203から出力されたIF信号をデジタル化し、デジタル化したIF信号を直交復調回路211に供給する。
直交復調回路211は、所定の周波数(キャリア周波数)のキャリア信号を用いて、デジタル化されたIF信号を直交復調し、ベースバンドのOFDM信号を出力するものである。ベースバンドのOFDM信号は、直交復調回路211により直交復調された結果、実軸成分(Iチャネル信号)と、虚軸成分(Qチャネル信号)とから構成される複素信号となる。直交復調回路211は、このベースバンドのOFDM信号を、キャリア周波数誤差補正回路212に供給する。そして、ベースバンドのOFDM信号は、このキャリア周波数誤差補正回路212を介して、FFT演算回路214、同期処理部217、およびAGC213それぞれに出力される。
キャリア周波数誤差補正回路212は、直交復調回路211から出力されたベースバンドのOFDM信号に対して、同期処理部217が備えるNCO221から出力された周波数補正信号(複素信号)を複素乗算するものである。このように、キャリア周波数誤差補正回路212は、ベースバンドOFDM信号に対して複素信号を複素乗算することによって、OFDM信号の中心周波数のズレを補正する。
FFT演算回路214は、キャリア周波数誤差補正回路212を介して直交復調回路211から入力されたベースバンドのOFDM信号に対してFFT演算を行い、各サブキャリアに直交変調されている信号を抽出して出力するものである。FFT演算回路214は、1つのOFDMシンボルから有効シンボル長分の信号を抜き出し、抜き出した信号に対してFFT演算を行う。すなわち、FFT演算回路214は、1つのOFDMシンボルからGI期間長分の信号を除き、残った信号に対してFFT演算を行う。
FFT演算を行うために抜き出される信号の範囲は、該抜き出された信号点が連続する場合、1つのOFDM伝送シンボル中の任意の位置でよい。つまり、その抜き出される信号の範囲の開始位置は、GI期間中のいずれかの位置となっている。
FFT演算回路214により抽出される各サブキャリアに変調された信号は、実軸成分(Iチャネル信号)と虚軸成分(Qチャネル信号)とから構成される複素信号である。FFT演算回路214は、抽出した信号を、TMCC復号回路216、広帯域キャリア周波数誤差検出回路220、および波形等化回路215に供給する。
波形等化回路215には、FFT演算回路214から出力された各サブキャリアから復調された後の信号が供給される。波形等化回路215は、図示しないが、特許文献1に記載の波形等化回路のように、FFT復調信号からSPキャリアを抽出するSP抽出回路と、SP基準キャリアを発生するSP発生回路と、前記抽出したSPキャリアを前記基準キャリアで除算する複素除算回路と、SP補間LPFと、データ抽出回路と、データ抽出回路によって抽出されたデータキャリアをSP補間LPFから取得したデータキャリア伝達関数で除算する複素除算回路とを備え、これらにより、FFT復調信号に対してキャリア復調を行う。ISDB−T規格のOFDM信号を復調する場合であれば、波形等化回路215は、たとえば、DQPSKの差動復調、または、QPSK、16QAM、及び64QAMなどの同期復調を行う。
TMCC復号回路216は、OFDM伝送フレームにおける所定の位置に変調されている、TMCCなどの伝送制御情報を復号するものである。非特許文献1によれば、制御情報にはフレーム同期の為の同期信号が含まれている。そこで、同期処理部217に設けられたフレーム同期回路222は、この同期信号を検出してフレーム同期を確立する。
誤り訂正処理部223は、波形等化回路215により波形等化されたOFDM信号において生じている伝送路誤りに対する誤り訂正を行うものである。
次に、本実施の形態に係るOFDM復調装置201が備える同期処理部217の各部について説明する。
シンボル同期回路218は、キャリア周波数誤差補正回路212で周波数補正された信号より、OFDMシンボルの先頭を検出するものである。なお、上記したFFT演算回路214で演算されるデータの開始点は、ここで検出したシンボル先頭位置となる。
NCO221は、上記したように、キャリア周波数誤差補正回路212に周波数補正信号(複素信号)を出力するものである。
ところで、OFDM復調装置201においてOFDM信号の復調を行う場合、2種類のキャリア周波数誤差を独立して検出している。そして、これら2種類のキャリア周波数誤差を加算して、NCO221に与える制御信号としている。なお、これらキャリア周波数誤差のうちの一つが、サブキャリアの周波数間隔の精度の周波数誤差である、広帯域キャリア周波数誤差である。もう一つは、サブキャリアの周波数間隔に対して±1/2以下の精度の周波数誤差である、狭帯域キャリア周波数誤差である。前者は、同期処理部217が備える広帯域キャリア周波数誤差検出回路220によって、後者は、狭帯域キャリア周波数誤差検出回路219によって検出される。
広帯域キャリア周波数誤差検出回路220は、後述するFFT演算回路214によってFFT演算された後の各サブキャリアからパイロット信号を抽出し、抽出したパイロット信号に基づいて広帯域キャリア周波数誤差を検出する。広帯域キャリア周波数誤差検出回路220は、検出した広帯域キャリア周波数誤差を、NCO221に入力する。
一方、狭帯域キャリア周波数誤差検出回路219は、OFDM信号におけるキャリア周波数以下の中心周波数のずれ量に対応する位相回転量を検出する。狭帯域キャリア周波数誤差検出回路219は、検出した位相回転量を狭帯域キャリア周波数誤差として、NCO221に入力する。
また、OFDM復調装置201が備えるAGC213は、直交復調回路211から出力されたベースバンドのOFDM信号に基づき、チューナ203の出力の、平均電力の大きさが一定値になるように、該チューナ203が有するゲインA、ゲインBを制御するものである。
以上のように、従来のOFDM受信装置200は、上記した各部を備えてなる構成である。ところで、このOFDM受信装置200は、外部雑音や物理的、磁気的、電気的、電磁波的な衝撃等により、パラメータ記録部206に記録されたチューナ203の設定パラメータを消失、またはリセットしてしまう場合がある。特に、自動車でこのOFDM受信装置200を利用した場合、あるいは使用中の電子レンジ付近でこのOFDM受信装置200を利用した場合などにおいて、この様な状況が発生することがある。
上述のようチューナ203の設定パラメータを消失した場合、チューナ203では周波数変換すべき周波数帯域等が分からず、所望の値が出力されなくなる。また、OFDM復調装置201でも所望の値が入力されず、正しく復調を行えないという問題が生じる。また、シンボル同期回路218ではシンボル先頭位置が検出できなくなり、シンボル同期が維持できなくなる。さらに、フレーム同期回路222でもTMCCの同期信号が検出できなくなる為、フレーム先頭が分からずフレーム同期が維持できなくなる。
このように、フレーム同期が維持できなくなると、OFDM受信装置200では、再同期処理を行うように構成されている。つまり、同期処理部217が実行する処理を始めからやり直すのである。
この再同期処理には多くの時間が必要となり、同期が再び確立されるまでは所望の出力が得られない。特に同期処理の中で最も時間を要するのが、フレーム同期であり、最低でも2フレームは必要となる。非特許文献1を参照すると、伝送信号パラメータが例えばMode3、GI長=1/8の場合、1フレームは、231.336msとなる。2フレームでは462.672msとなり、他の同期処理期間を考慮しても最低0.5s程度は同期処理に必要となる。このように同期処理、特にはフレーム同期を行って正しい出力を得るためには多くの時間を要する。
このため、同期信号が検出できなかった場合にすぐフレーム同期を行う構成とすると、受信信号への瞬時的な雑音による影響で同期信号にエラーが生じた場合でもフレーム同期を行ってしまうこととなり、安定したシステムを構築することができない。
そこで、通常、OFDM受信装置200は、複数フレームで連続して同期信号が検出できなかった場合に再同期処理を行うように構成されている。しかしながら、複数フレームで連続して同期信号が検出できないか監視する構成の場合、再同期処理を行う必要があるか否か判断するまで時間がかかる。例えば10フレーム間同期信号を監視する構成の場合、再同期処理の必要性を判断し、再同期処理を実行するまで2秒以上もかかる。
そこで、特許文献2では、同期信号とともに、TMCC信号の誤り訂正復号を実行して得られた誤り訂正判定信号に基づきフレーム同期確立信号を生成し、再同期処理を実行するデジタル放送受信装置が開示されている。この特許文献2に示すデジタル放送受信装置では、フレーム全体の情報を用いてフレーム同期を確立するため、同期信号のみを用いてフレーム同期の必要性を判断する構成と比較して正確かつすばやくフレーム同期を確立することができる。
特開2004−214960号公報(2004年7月29日公開)
特開2005−278111号公報(2005年10月6日公開)
「地上デジタルテレビジョン放送の伝送方式ARIB STD−B31 1.5版」、社団法人電波産業界、2001年5月31日初版策定、2003年7月29日1.5版改定
しかしながら、上記従来の構成では、正しい復調結果を得るように復旧させるために大きな時間がかかるという問題が生じる。
具体的には、特許文献2に示すように同期信号とともに、TMCC信号の誤り訂正復号を実行して得られた誤り訂正判定信号に基づきフレーム同期確立信号を生成し、再同期処理を実行する構成であっても、所望する出力を得るまで数フレームが必要となる。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、正しい復調結果を得るように復旧させるために要する時間を短縮することができる受信装置、受信装置の制御方法、受信装置の制御プログラム、および受信装置の制御プログラムを記録した記録媒体を実現することにある。
本発明に係る受信装置は、上記した課題を解決するために、アンテナを通じて入力された入力信号の周波数を変換して出力信号として出力するチューナと、上記出力信号を復調する復調装置とを備えた受信装置であって、上記出力信号に対する上記復調装置の復調結果から、該出力信号が正しく復調されたか否かを判定する第1判定手段と、上記第1判定手段が、上記出力信号が正しく復調されていないと判定した場合、上記入力信号から上記出力信号を得るために、上記チューナにおいて予め設定されているパラメータの再設定を行うパラメータ再設定手段と、上記パラメータ再設定手段によるパラメータの再設定後の出力信号である再設定後出力信号に対する上記復調装置による復調結果から、この再設定後出力信号が正しく復調されたか否かを判定する第2判定手段と、上記第2判定手段が、上記再設定後出力信号が正しく上記復調装置により復調されていないと判定した場合、この再設定後出力信号に対する再同期を実行する再同期手段とを備えることを特徴とする。
上記構成によると第1判定手段、第2判定手段、パラメータ再設定手段、および再同期手段を備えているため、パラメータの再設定前後の復調結果それぞれにおいて、正しく復調されているか否か判定することができる。
また、上記出力信号に対して正しい復調結果が得られないと判定した場合であっても、再同期をすぐに行うのではなく、まずはチューナにおいて予め設定されているパラメータをパラメータ再設定手段が再設定する。そして、このようにパラメータの再設定を行った上で、上記再設定後出力信号が復調装置によって正しく復調されたか否か第2判定手段が確認することができる。そして、第2判定手段が、再設定後出力信号から正しい復調結果を得られなかったと判定した場合に限り、再同期手段がこの再設定後出力信号に対する再同期を実行することができる。
このため、チューナにおいて予め設定されているパラメータの喪失等に起因して正しく復調されなかった場合は、このパラメータの再設定により正常な復調結果を得ることできることとなる。つまり、処理に時間がかかる再同期を実行することなく、パラメータの再設定という処理時間が短い簡易な処理だけで正しく復調することができることとなる。
したがって、正しい復調結果を得られなかった場合、常に再同期を実行する構成と比較して、正しい復調結果を得るために要する時間を短縮することができる。
よって、本発明に係る受信装置は、正しい復調結果を得るように復旧させるために要する時間を短縮することができるという効果を奏する。
本発明に係る受信装置は、上記した構成において、上記第1判定手段は、上記出力信号に対する上記復調装置による復調結果において、所定数のフレームで連続して同期信号を検出できなかった場合、上記出力信号が正しく復調されなかったと判定するように構成されていてもよい。
上記した構成によると、上記第1判定手段は、上記出力信号に対する復調結果において、所定数のフレームで連続して同期信号を検出できなかった場合、上記出力信号が正しく復調されなかったと判定するため、上記入力信号または上記出力信号への瞬時的な雑音による影響で同期信号にエラーが生じた場合を除くことができる。
このため、上記した瞬時的な雑音による影響で正しく復調できなかった場合は、パラメータ再設定処理を行わないようにすることができるため、アンテナを介して入力された入力信号を受信し復調する受信処理を中断させることがない。したがって、本発明に係る受信装置は、入力信号に対する受信処理の安定性を向上させることができる。
本発明に係る受信装置は、上記した構成において、上記第2判定手段が、上記再設定後出力信号に対する上記復調装置による復調結果において、所定数のフレームで連続して同期信号を検出できなかった場合、該再設定後出力信号が正しく復調されなかったと判定するように構成されていてもよい。
上記した構成によると、上記第2判定手段は、上記再設定後出力信号に対する復調結果において、所定数のフレームで連続して同期信号を検出できなかった場合、該再設定後出力信号が正しく復調されなかったと判定するため、上記入力信号または上記再設定後出力信号への瞬時的な雑音による影響で同期信号にエラーが生じた場合を除くことができる。
このため、上記した瞬時的な雑音による影響で正しく復調できなかった場合は、再同期を行わないようにすることができるため、アンテナを介して入力された入力信号を受信し、復調する受信処理を、上記再同期の実行のため中断させることがない。したがって、本発明に係る受信装置は、入力信号に対する受信処理の安定性を向上させることができる。
本発明に係る受信装置は、上記した構成において、上記復調装置による復調結果から伝送路誤りに対する誤り訂正を行う、誤り訂正手段をさらに備え、上記誤り訂正手段によって訂正されたビット数が所定のビット数を超えた場合、上記第1判定手段は、上記出力信号が上記復調装置により正しく復調されなかったと判定するように構成されていてもよい。
本発明に係る受信装置は、上記した構成において、上記再設定後出力信号に対する上記復調装置による復調結果において、上記誤り訂正手段によって訂正されたビット数が所定のビット数を超えた場合、上記第2判定手段は、上記再設定後出力信号が正しく復調されなかったと判定するように構成されていてもよい。
本発明に係る受信装置は、上記した構成において、上記チューナから上記復調装置に対して出力される出力信号の信号強度が、所定の閾値以上か否かを判定する出力判定部をさらに備え、上記出力判定部が、上記出力信号の信号強度が所定の閾値よりも小さいと判定した場合、パラメータ再設定手段は、上記チューナにおいて予め設定されているパラメータのうち出力信号の出力レベルを規定するパラメータの再設定を行ように構成されていてもよい。
上記した構成によると、上記出力判定部をさらに備えるため、上記チューナから出力される出力信号の出力レベルが所定の閾値以上か否か判定することができる。そして、上記パラメータ再設定手段は、出力信号の出力レベルが所定の閾値に満たない場合、出力信号の出力レベルを規定するパラメータについて再設定を行うことができる。
ところで、上記出力信号の出力レベルが所定の閾値に満たない場合とは、出力信号の出力レベルを規定するためのパラメータを喪失した場合が考えられる。そこで、出力信号の出力レベルが所定の閾値に満たない場合、出力信号の出力レベルを規定するパラメータを再設定することで、出力レベルが所定の閾値以上となるように状態を維持することができる。
したがって、出力信号の出力レベルを規定するためのパラメータの喪失に起因して、正しい復調結果が得られなくなるケースを防ぐことができる。
このように、正しい復調結果を得ることができなくなる要因の中から、出力信号の出力レベルを規定するためのパラメータの喪失を除外できるため、正しい復調結果を得ることができない状態が発生する頻度が低減される。このため、本発明に係る受信装置において再同期を実行すべきか否か判定する機会を低減することができ、アンテナを介して入力された入力信号に対する受信処理を中断させる頻度を低減することができる。したがって、本発明に係る受信装置は、入力信号に対する受信処理の安定性を向上させることができる。
また、本発明に係る受信装置は、上記した構成において、上記復調装置は、有効シンボルと該有効シンボルの一部の信号波形が複写されたガードインターバルとを含む伝送シンボルを伝送単位とするOFDM信号を、上記チューナからの出力信号として受信し、復調するように構成されていてもよい。
また、本発明に係る受信装置の制御方法は、上記した課題を解決するために、アンテナを通じて入力された入力信号の周波数を変換して出力信号として出力するチューナと、上記出力信号を復調する復調装置とを備えた受信装置の制御方法であって、上記出力信号に対する上記復調装置による復調結果から、該出力信号が正しく復調されたか否かを判定する第1判定ステップと、上記第1判定ステップにおいて、上記復調装置により上記出力信号が正しく復調されていないと判定した場合、上記入力信号から上記出力信号を得るために、上記チューナにおいて予め設定されているパラメータの再設定を行うパラメータ再設定ステップと、上記パラメータ再設定ステップによるパラメータの再設定後の出力信号である再設定後出力信号に対する上記復調装置による復調結果から、この再設定後出力信号が正しく復調されたか否かを判定する第2判定ステップと、上記第2判定ステップにおいて、上記再設定後出力信号が正しく復調されていないと判定した場合、上記復調装置にこの再設定後出力信号に対する再同期を実行させる再同期ステップとを含むことを特徴とする。
上記した方法では、第1判定ステップ、第2判定ステップ、パラメータ再設定ステップ、および再同期ステップを含むため、パラメータの再設定前後における復調装置の復調結果それぞれにおいて、正しく復調されているか否か判定することができる。
また、上記出力信号に対して正しい復調結果が得られないと判定した場合であっても、再同期ステップにより再同期をすぐに行うのではなく、まずはパラメータ再設定ステップにより、チューナにおいて予め設定されているパラメータを再設定する。そして、このようにパラメータの再設定を行った上で、上記再設定後出力信号が復調装置により正しく復調されたか否か第2判定ステップが確認することができる。そして、第2判定ステップが、再設定後出力信号から正しい復調結果を得られなかったと判定した場合に限り、再同期ステップにより、この再設定後出力信号に対する再同期を実行することができる。
このため、チューナにおいて予め設定されているパラメータの喪失等に起因して正しく復調されなかった場合は、このパラメータの再設定により正常な復調結果を得ることできることとなる。つまり、処理に時間がかかる再同期を実行することなく、パラメータの再設定という処理時間が短い簡易な処理だけで正しく復調することができることとなる。
したがって、正しい復調結果を得られなかった場合、常に再同期を実行する方法と比較して、正しい復調結果を得るために要する時間を短縮することができる。
よって、本発明に係る受信装置の制御方法は、正しい復調結果を得るように復旧させるために要する時間を短縮することができるという効果を奏する。
なお、上記受信装置は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを上記各手段として動作させることにより上記受信装置をコンピュータにて実現させる受信装置の制御プログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
本発明に係る受信装置は、以上のように、アンテナを通じて入力された入力信号の周波数を変換して出力信号として出力するチューナと、上記出力信号を復調する復調装置とを備えた受信装置であって、上記出力信号に対する上記復調装置の復調結果から、該出力信号が正しく復調されたか否かを判定する第1判定手段と、上記第1判定手段が、上記出力信号が正しく復調されていないと判定した場合、上記入力信号から上記出力信号を得るために、上記チューナにおいて予め設定されているパラメータの再設定を行うパラメータ再設定手段と、上記パラメータ再設定手段によるパラメータの再設定後の出力信号である再設定後出力信号に対する上記復調装置による復調結果から、この再設定後出力信号が正しく復調されたか否かを判定する第2判定手段と、上記第2判定手段が、上記再設定後出力信号が正しく上記復調装置により復調されていないと判定した場合、この再設定後出力信号に対する再同期を実行する再同期手段とを備えることを特徴とする。
よって、本発明に係る受信装置は、正しい復調結果を得るように復旧させるために要する時間を短縮することができるという効果を奏する。
本発明に係る受信装置の制御方法は、以上のように、アンテナを通じて入力された入力信号の周波数を変換して出力信号として出力するチューナと、上記出力信号を復調する復調装置とを備えた受信装置の制御方法であって、上記出力信号に対する上記復調装置による復調結果から、該出力信号が正しく復調されたか否かを判定する第1判定ステップと、上記第1判定ステップにおいて、上記復調装置により上記出力信号が正しく復調されていないと判定した場合、上記入力信号から上記出力信号を得るために、上記チューナにおいて予め設定されているパラメータの再設定を行うパラメータ再設定ステップと、上記パラメータ再設定ステップによるパラメータの再設定後の出力信号である再設定後出力信号に対する上記復調装置による復調結果から、この再設定後出力信号が正しく復調されたか否かを判定する第2判定ステップと、上記第2判定ステップにおいて、上記再設定後出力信号が正しく復調されていないと判定した場合、上記復調装置にこの再設定後出力信号に対する再同期を実行させる再同期ステップとを含むことを特徴とする。
よって、本発明に係る受信装置の制御方法は、正しい復調結果を得るように復旧させるために要する時間を短縮することができるという効果を奏する。
本発明の一実施形態について図1ないし図6に基づいて説明すると以下の通りである。すなわち、本実施の形態に係る放送波受信システム100は、受信した放送波を復調し、音声および映像として出力するものである。上記放送波受信システム100は、図2に示すようにOFDM復調装置1、映像音声再生処理部2、出力装置3、アンテナ4、およびチューナ5を備えてなる構成である。なお、図2は、本発明の実施形態を示すものであり、放送波受信システム100の要部構成を示すブロック図である。
また、放送波受信システム100において、チューナ5が放送波(RF信号(入力信号))を受信し、IF信号(出力信号、再設定後出力信号)に変換し、このIF信号をOFDM復調装置1が復調する処理を、受信処理と称する。
上記OFDM復調装置1は、OFDM変復調方式により変調された放送信号を受信し、復調するものである。上記OFDM復調装置1は、図2に示すように、復調した放送信号を映像音声再生処理部2に送信し、該映像音声再生処理部2を通じて出力装置3に出力する。なお、OFDM復調装置1の詳細については後述する。
上記映像音声再生処理部2は、OFDM復調装置1により復調された放送信号を受信すると、該放送信号を、出力装置3において出力処理可能な形式に変換し、出力するものである。
上記出力装置3は、放送信号として受信した映像または音声等を出力するものであり、例えば、LCD、CRT等の表示装置や、スピーカ等の音声出力装置等によって実現することができる。
上記アンテナ4は、放送局から送信された放送波を受信するものであり、放送波を受信すると、RF信号としてチューナ5に出力する。
上記チューナ5は、放送局から送信された放送波のRF信号を、アンテナ4を介して受信し、周波数変換してIF信号としてOFDM復調装置1に供給するものである。なお、本実施の形態に係るチューナ5は、後述するが、チューナ5において設定されている設定パラメータ56の再設定を、OFDM復調装置1からの制御信号に応じて実行することができるように構成されている。
以下において、本実施の形態に係るOFDM復調装置1およびチューナ5の構成について、図1を参照して説明する。なお、この図1は、本発明の実施形態を示すものであり、受信処理に関するOFDM復調装置1およびチューナ5の要部構成を示すブロック図である。
チューナ5は、図1に示すように、ミキサ51、局部発振器52、パラメータ記録部53、ゲインA54、およびゲインB55を備えている。チューナ5は、パラメータ記録部53に記録されている設定パラメータ56が、OFDM復調装置1から入力された制御信号に応じて再設定できるようになっている点を除き、図11に示したチューナ203と同様である。このため、チューナ5が備える各部の説明は省略する。
また、チューナ5が備えるパラメータ記録部53に記録される設定パラメータ56としては、例えば、チューナ5の受信周波数帯域を示す値、ゲインA54およびゲインB55のゲイン値、不要な周波数帯域を除去するために設定するフィルタ係数が含まれる。すなわち、パラメータ記録部53には、チューナ5に入力されたRF(高周波)信号をOFDM復調装置1にて復調可能なIF(中間周波数)信号に変換して出力するために必要なチューナ5における各種設定値が記録される。
つまり、チューナ5は、アンテナ4を介して受信した信号を、ゲインA54およびゲインB55により増幅または減衰させたり、不要な周波数帯域を除去する不図示のフィルタリング機能を動作させたりすることができる。このように受信信号の増幅またはフィルタリング機能を実行するための設定パラメータ56がパラメータ記録部53に記録されている。
本実施の形態に係るOFDM復調装置1は、図1に示すように、ADC11、復調処理部12、同期処理部13、状態判定部14、パラメータ設定部15、およびAGC16、およびパラメータ記憶装置17を備えてなる構成である。
図1に示すように、OFDM復調装置1は、図11に示したOFDM復調装置201と比較して、さらに状態判定部14、パラメータ設定部15、およびパラメータ記憶装置17を備える点で異なる。そこで、状態判定部14、パラメータ設定部15およびパラメータ記憶装置17について説明する。
なお、ADC11、復調処理部12、および同期処理部13の構成については、同期処理部13が状態判定部14からの同期実行指示を示す同期開始信号に応じて、同期処理を実行する点を除き、図11に示したOFDM復調装置201が備えるADC210、復調処理部209、同期処理部217、およびAGC213と同様であるため、これら各部の説明は省略する。
状態判定部14は、復調されたIF(中間周波数)信号が復調処理部12から出力された際に、同期処理部13による同期が完了しているか否か、すなわち同期済みであるか否かを判定するものである。そして、状態判定部14は、同期処理部13による同期が完了していないと判定した場合、同期処理部13に同期開始信号を出力する。または、同期に失敗し、完了しなかった場合、同期処理部13から出力された同期失敗信号に応じて、同期開始信号を同期処理部13に出力する。
一方、同期が完了し、同期が維持されている間では、状態判定部14は、復調処理部12から入力された復調結果より設定パラメータ56の再設定の必要性について判定するものでもある。
なお、状態判定部14に関する詳細な説明については後述する。
パラメータ設定部15は、状態判定部14から入力された設定開始信号に応じて、パラメータ記憶装置17から設定パラメータ56を読み出す。そして、パラメータ設定部15は、読み出した設定パラメータ56をパラメータ記録部53(レジスタ)に送信するものである。なお、パラメータ設定部15の詳細について後述する。
次に、本実施の形態に係る放送波受信システム100による同期処理の実行に関する処理を図3および図4を参照して説明する。図3は、本発明の実施形態を示すものであり、放送波受信システム100における同期実行処理を示すフローチャートである。また、図4は、本発明の実施形態を示すものであり、放送波受信システム100における同期再実行処理を示すフローチャートである。なお、同期処理部13は、受信信号との同期をとり、例えば、上述したようなOFDM復調装置1の場合、同期処理としてフレーム同期およびシンボル同期を実行する。
まず、放送波受信システム100における同期実行処理について説明する。
OFDMにより変調されたRF(高周波)信号をアンテナ4が受信する(ステップS11、これ以降S11のように称する)。アンテナ4により受信されたRF(高周波)信号をチューナ5が周波数変換してIF(中間周波数)信号とする(S12)。そして、チューナ5は、このIF(中間周波数)信号をOFDM復調装置1に出力する。OFDM復調装置1では、ADC11が、チューナ5から出力されたIF(中間周波数)信号をデジタル化し、デジタル化したIF(中間周波数)信号を復調処理部12に出力する。復調処理部12は、ADC11から出力されたIF(中間周波数)信号を復調し、復調結果を同期処理部13と状態判定部14と映像音声再生処理部2とにそれぞれ出力する(S13)。
なお、ここで、復調処理部12から同期処理部13に出力される復調結果としては、例えば、復調処理部12が備えるTMCC復号回路によって復号された同期信号を含む伝送制御情報、キャリア周波数誤差補正回路で周波数補正された信号、FFT演算回路により抽出される各サブキャリアに変調された複素信号等が挙げられる。
上記伝送制御情報は、復調処理部12のTMCC復号回路から同期処理部のフレーム同期回路に出力される。また、周波数補正された信号は、キャリア周波数誤差補正回路からシンボル同期回路に、複素信号は、FFT演算回路から広帯域キャリア周波数誤差検出回路にそれぞれ出力される。
一方、復調処理部12から状態判定部14に入力される復調結果としては、MER(変調誤差比)が挙げられる。MERは、復調処理部が備える波形等化回路から状態判定部12に出力される。
このように、復調されたIF(中間周波数)信号が復調処理部12から出力されると、状態判定部14は、同期処理部13から出力される同期失敗信号より、同期が完了しているか否か、すなわち同期済みであるか否かを判定する(S14)。
ステップS14において、同期処理部13による同期が完了していると判定した場合(S14において「YES」)、ステップS17に進み同期を維持する。
一方、ステップS14において、同期処理部13による同期が完了していないと判定した場合(S14において「NO」)、状態判定部14は同期処理部13に同期開始信号を出力する。
同期処理部13は、状態判定部14から出力された同期開始信号に応じて、復調処理部12から入力された復調結果をもとに同期を行う(S15)。
同期処理部13は、同期を行った結果、同期が成功したか否か、すなわち同期が完了したか否か判定する(S16)。同期が完了した場合(S16において「YES」)、同期処理部13はタイミング信号を復調処理部12に出力する。そして、同期処理部13は、状態判定部14から再度、同期開始信号が入力されてこない限り、そのまま同期を維持し、所定の間隔でタイミング信号を生成し復調処理部12に出力する(S17)。
一方、同期が成功しなかった場合、すなわち同期が完了しなかった場合、同期処理部13は、再度、同期を行わなければならない。そこで、同期処理部13は、状態判定部14に同期失敗信号を出力する。同期処理部13から同期失敗信号が出力されると、この同期失敗信号に応じて、状態判定部14は、再度、同期開始信号を同期処理部13に出力する。そして、ステップS15から処理を繰返す。
以上のようにして、本実施の形態に係る放送波受信システム100では、RF(高周波)信号を受信すると同期処理を実行する。
次に、図4を参照して、放送波受信システム100における同期再実行処理について説明する。
まず、前提として、放送波受信システム100は、上記した同期実行処理により同期が完了し、同期が維持されている状態にあるものとする(S21)。このように、同期が維持されている間は、状態判定部14が、復調処理部12から入力された復調結果より設定パラメータ56の再設定の必要性があるか否か判定する(S22)。具体的には、復調処理部12は以下のようにして設定パラメータ56の再設定の必要性を判定する。すなわち、本実施の形態に係るOFDM復調装置1では、復調処理部12による上記復調結果に、同期信号が含まれている。そこで、同期処理部13は、復調処理部12から入力された復調処理結果からこの同期信号の検出を行う。同期信号が検出できない場合は同期失敗信号を状態判定部14へ出力する。そして、状態判定部14は、同期処理部13から入力されてくる同期失敗信号が所定回数以上、連続して入力された場合、設定パラメータ56の再設定を行う必要があると決定する(S22において「YES」)。すなわち、状態判定部14は、所定数のフレームで連続して同期異常を検出したと判定した場合、まずはチューナ5において設定される設定パラメータ56の再設定が必要であると決定する。または、復調処理部12から状態判定部14に入力されるMERが所定の閾値以下となった場合、設定パラメータ56の再設定を行う必要があると決定してもよい。
一方、所定回数以上、同期異常が連続しなかった場合は、状態判定部14は、同期を維持するものと判断する。
なお、所定回数以上、同期異常が連続しなかった場合とは、例えば、瞬時的な雑音等の影響で同期信号にエラーが生じた場合が想定できる。このように所定回数以上、同期異常が連続しなかった場合に同期を維持する構成である。このため、本実施の形態に係る放送波受信システム100は、瞬時的な雑音等の影響で同期信号にエラーが生じた場合には再同期を行わないようにすることができ、システムの安定性を高めることができる。
また、状態判定部14が設定パラメータ56の再設定が必要であると判定した場合(S22において「YES」)、パラメータ設定部15に対して設定開始信号を出力する。
パラメータ設定部15は、状態判定部14から入力された設定開始信号に応じて、パラメータ記憶装置17から設定パラメータ56を読み出す。そして、パラメータ設定部15は、読み出した設定パラメータ56をパラメータ記録部53(レジスタ)に送信する(S23)。
パラメータ記録部53は、設定パラメータ56がOFDM復調装置1から入力されると、該設定パラメータ56を記録する。ここで、設定パラメータ56が例えば、チューナ5が受信する周波数帯域を規定するパラメータである場合、チューナ5では以下のようにしてこの設定パラメータ56の再設定を行う。
すなわち、局部発振器52は、パラメータ記録部53に記録された設定パラメータ56により規定された周波数帯域に基づき決定された周波数の正弦波をミキサ51に出力する。そして、ミキサ51は入力された正弦波とアンテナ4より受信したRF信号を乗算することで周波数変換を行い、OFDM復調装置1に対してIF信号を出力する。
このように、チューナ5において設定パラメータ56が再設定されると、この再設定後のチューナ5から出力されたIF信号を復調処理部12が復調する。そして、状態判定部14がこの復調結果から同期異常の有無を検出し、再同期の必要性を判定する(S25)。具体的には、設定パラメータ56の再設定後にチューナ5から出力されたIF信号に対する復調処理部12の復調結果から同期処理を行う同期処理部13より出力される同期失敗信号が所定回数以上、連続して入力された場合、同期異常が検出されたとして再同期が必要であると判定する。または、復調処理部12から状態判定部14に入力されるMERが所定の閾値以下となった場合、設定パラメータ56の再設定を行う必要があると判定してもよい。
ここで状態判定部14が同期異常を検出した場合、複数フレームで同期異常を連続して所定回数(許容同期異常回数X)を超えて検出したか否かカウントする。この時、カウント値があらかじめ決められた許容同期異常回数Xを超えると、状態判定部14は、再同期が必要であると判定して(S25において「YES」)、同期開始信号を同期処理部13に出力する。状態判定部14から同期開始信号が入力されると、同期処理部13は、この同期開始信号に応じて同期処理を再度行う(S26)。
一方、上記カウント値がXを超えない場合、状態判定部14は同期開始信号を同期処理部13に出力せず、同期処理部13は同期状態を維持し、同期再実行処理を終了する。
以上のように、本実施の形態に係る放送波受信システム100では、一度、同期が完了した状態で正しい復調結果が得られない場合、例えば同期異常を検出した場合、まず、チューナ5に設定されている設定パラメータ20を再設定する。そして、再設定後のチューナ5から入力されたIF信号の復調結果から、さらに同期異常を所定回数連続して検出するか否か判定し、同期異常を連続して検出すると判定した場合に同期処理部13に同期処理を実行させる構成である。
このため、チューナ5における設定パラメータ56の消失に起因して正しく復調できなかった場合、すなわち同期異常を検出した場合、同期処理部13に対して再同期処理を指示することなく、チューナ5において設定パラメータ20の再設定を行うだけで復調結果から正しい同期信号を出力出来るようになる。すなわち、正常な復調結果を得ることができるようになる。
したがって、正しい復調結果を得られなかった場合、常に再同期を実行する構成と比較して、正しい復調結果を得るために要する時間を短縮することができる。
本実施の形態に係る放送波受信システム100では、チューナ5から入力されたIF信号において連続して所定回数以上、同期異常が検出された場合、状態判定部14が設定パラメータ56の再設定が必要であると判定し、パラメータ設定部15に対して設定開始信号を出力する構成であった。また、設定パラメータ56の再設定後にチューナ5から入力されたIF信号においても連続して所定回数以上、同期異常が検出された場合、状態判定部14は、同期開始信号を同期処理部13に出力し、再同期を指示する構成であった。
このため、瞬時的な雑音による影響でIF信号を正しく復調できなかった場合は、設定パラメータ56の再設定を行わないようにすることができる。このため、瞬時的な雑音による影響でIF信号を正しく復調できなかった場合は、アンテナ4を介して入力されたRF信号を受信し復調する受信処理を中断させることがない。また、設定パラメータ56の再設定後においても、瞬時的な雑音による影響で正しく復調できなかった場合は、再同期を行わないようにすることができる。このため、瞬時的な雑音による影響で正しく復調できなかった場合は、アンテナ4を介して入力されたRF信号を受信し、復調する受信処理を、上記再同期の実行のため中断させることがない。
したがって、本実施の形態に係る放送波受信システム100は、RF信号に対する受信処理の安定性を向上させることができる。
なお、本実施の形態に係る放送波受信システム100では、状態判定部14による、設定パラメータ56の再設定の実行の要否判定、および再同期の要否判定を、チューナ5から入力されたIF信号において連続して所定回数以上、同期異常が検出された場合に行う構成であった。しかしながら、図5に示すように、これらの要否判定を、復調処理部12が備える誤り訂正処理部(誤り訂正手段)10によって訂正されたビット数(訂正結果)が所定のビット数を超えたか否かによって判定する構成であってもよい。なお、上記誤り訂正処理部10は、OFDM復調装置201の復調処理部209が備える誤り訂正処理部223と同様であるためその詳細については省略する。なお、図5は、本発明の別の実施形態を示すものであり、受信処理に関するOFDM復調装置およびチューナの要部構成を示すブロック図である。
また、上記放送波受信システム100は、図6に示すように、出力状態判定部18をさらに備え、チューナ5から出力されるIF信号の出力レベルが所定の閾値以上か監視する構成としてもよい。このように構成される場合、出力状態判定部18は、IF信号の出力レベルが所定の閾値を下回ると判定した場合、パラメータ設定部15に指示して、IF信号の出力レベルを規定する設定パラメータ56の再設定を指示する。
ところで、上記出力レベルが所定の閾値に満たない場合とは、IF信号の出力レベルを規定するための設定パラメータ56を喪失してしまった場合が考えられる。そこで、IF信号の出力レベルが所定の閾値に満たない場合、IF信号の出力レベルを規定する設定パラメータ56を再設定することで、出力レベルが所定の閾値以上となるように状態を維持することができる。したがって、IF信号の出力レベルを規定するための設定パラメータ56の喪失に起因して、正しい復調結果が得られなくなるケースを防ぐことができる。
このように、正しい復調結果を得ることができなくなる要因の中から、出力信号の出力レベルを規定するための設定パラメータ56の喪失を除外できるため、正しい復調結果を得ることができない状態が発生する頻度が低減される。このため、再同期すべきか否か判定する機会を低減することができ、結果としてアンテナ4を介して入力されたRF信号をIF信号に変換し、このIF信号を復調する、放送波受信システム100による受信処理を中断してしまう頻度を低減させることができる。
なお、上記出力状態判定部18が判定基準として利用する閾値は、出力レベルが「0」の状態とする。すなわち、出力レベルを規定する設定パラメータ56を喪失した場合、IF信号の出力レベルは「0」となるためである。
また、上記では出力状態判定部18は、IF信号の出力レベルが所定の閾値を満たすか否か判定する構成であったが、所定期間に出力レベルが減衰した値を基準にして、設定パラメータ56の再設定を決定する構成としてもよい。
なお、上記したOFDM復調装置1は、復調処理部12とともに、ADC11、同期処理部13、状態判定部14、パラメータ設定部15、AGC16、およびパラメータ記憶装置17を備える構成であった。しかしながら、復調処理部12を除く各部については必ずしもOFDM復調装置1が備えておく必要はなく、これら各部は、OFDM復調装置1とは別の装置が備えるものであってもよい。
また、上記したOFDM復調装置1では、復調処理部12が誤り訂正処理部10を備える構成として説明した。しかしながら、誤り訂正処理部10は、必ずしも復調処理部12の構成要素である必要はなく、復調処理部12とは別に設けられるものであってもよい。
また、OFDM復調装置1が備える復調処理部12、同期処理部13、状態判定部14、およびパラメータ設定部15は、上述のようにハードウェアロジックによって構成してもよいし、次のようにCPUを用いてソフトウェアによって実現してもよい。
すなわち、OFDM復調装置1は、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU(central processing unit)、上記プログラムを格納したROM(read only memory)、上記プログラムを展開するRAM(random access memory)、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えた構成としてもよい。そして、上述した機能を実現するソフトウェアであるOFDM復調装置1の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、上記OFDM復調装置1に供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行する。
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。