JP2010032233A - 磁界または電界解析結果の表示方法 - Google Patents

磁界または電界解析結果の表示方法 Download PDF

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Abstract

【課題】時間的に変化する磁界または電界の解析結果において、ベクトル量の時間変化を明確に表示可能とした表示方法を提供する。
【解決手段】電磁機器の磁界または電界の時間変化を解析して表示する表示方法において、解析対象としての電磁機器のある部位における磁束密度、磁界強度、変位電流密度、電界強度または電流密度のベクトル軌跡を、残像付きで動的に表示する。更に、ベクトル軌跡を描く速度及び残像の表示時間を調整可能とすると共に、ベクトル軌跡の動的な表示と同期して、解析モデルの時間変化または解析モデルにおける他の変化量を表示する。
【選択図】図1

Description

本発明は磁界または電界解析結果の表示方法に関し、詳しくは、リアクトルやモータ、トランス等の電磁機器を対象として時間的に変化する磁界または電界を解析する場合において、解析結果の理解を促進し、分析を容易にするベクトル量の表示方法に関するものである。
電磁機器の現象の解析において、コンピュータシステムを用いた有限要素法等の数値解析が一般的に使用されている。
数値解析によれば、実機では観測することができない電界や磁界の分布を可視化、定量化することができ、また、実機を製作する前の設計段階において特性を詳細にシミュレートすることが可能となる。よって、電磁機器の数値解析は、研究、開発、設計において多用されている。
例えば、図5(a)に示す電磁機器としてのリアクトル100では、コイル102と共にリアクトル100を構成する鉄心101の内部の磁束密度が、時間的に交番する。すなわち、図5(b)に示す如く、磁束密度ベクトルが1方向にのみ(y軸成分Bのみ)変化することが知られている。このような交番磁界については、鉄心101の材料データとしてコアロス(鉄損とも呼ばれる)の情報が提示されており、磁束密度に基づいて比較的高精度にコアロスを算定できることが知られている。
次に、図6(a),(b)に示すように、電磁機器としての回転機(モータ200)の磁束密度変化について考察する。なお、図6(a)では、コイル及びスロットの図示を省略してある。
このモータ200では、ステータ201及びロータ202の鉄心内部において、磁束密度ベクトルが時間的に回転する部位が存在することが知られている。この回転磁界においては、コアロスの発生の仕組みが不明確であり、現時点ではコアロスを高精度に算定することができない。
回転磁界に関する上記事項は、例えば非特許文献1に詳述されている。
一方、前述した有限要素法等の数値解析により磁束密度、電界強度、電気力線、磁力線等を計算する計算装置及び計算方法が、特許文献1により公知となっている。
この特許文献1には、磁束密度、電界強度等のベクトル量を表示することが記載されている。
S. Urata, M. Enokizono, T. Todaka, H. Shimoji, "Magnetic Characteristic Analysis of the Motor Considering 2-D Vector Magnetic Property", IEEE Transactions on Magnetics, Vol. 42, No. 4, APRIL 2006, pp. 615-618 特開平11−96137号公報(段落[0036],[0071]、図2,図6等)
ここで、図7(a),(b)は、従来の磁束密度ベクトルの表示例である。
回転磁界を評価する場合、そのベクトル軌跡を観測することが基本となる。すなわち、評価すべきベクトル、例えば磁束密度ベクトルの軌跡を平面上に描画することが一般的であり、このような表示例は前述した非特許文献1にも記載されている。
上述した如く、現状のベクトル軌跡の表示は静的なものであり、所定期間内のベクトル軌道を表すに留まっている。この場合、ベクトルが軌跡を描く速度の情報が欠落するため、ベクトルの時間変化が不明確となる。
例えば、前述したコアロスは磁束密度ベクトルの時間変化率に強く依存するため、この情報が無ければ、コアロスの傾向を把握することが困難となる。
同様なことは、磁界と電界との双対性より、電界解析においても当てはまるものである。
そこで、本発明の解決課題は、時間的に変化する磁界または電界の解析結果において、ベクトルの時間変化を明確に表示可能とした表示方法を提供することにある。
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、電磁機器の磁界の時間変化を解析して表示する表示方法において、解析対象としての電磁機器のある部位における磁束密度、磁界強度、または電流密度のベクトル軌跡を、残像付きで動的に表示するものである。
請求項2に係る発明は、電磁機器の電界の時間変化を解析して表示する表示方法において、解析対象としての電磁機器のある部位における変位電流密度、電界強度、または電流密度のベクトル軌跡を、残像付きで動的に表示するものである。
請求項3に係る発明は、請求項1または2に記載した発明において、ベクトル軌跡を描く速度及び残像の表示時間を調整可能としたものである。
請求項4に係る発明は、請求項1〜3の何れか1項に記載した発明において、ベクトル軌跡の動的な表示と同期して、解析モデルの時間変化または解析モデルにおける他の変化量を表示するものである。
本発明によれば、磁束密度ベクトル等の時間変化を残像付きで動的に表示することにより、コアロスを始めとした電磁機器の特性の把握や分析を容易に行うことができる。
以下、図に沿って本発明の実施形態を説明する。
まず、図1,図2は請求項1に係る本発明の実施形態を示しており、この実施形態は、図7(a),(b)に示した磁束密度ベクトルの軌跡について、何れも約1/6周期毎に、第1番目、第2番目及び第3番目の期間内の磁束密度ベクトルの軌跡を図1(a),(b),(c)、図2(a),(b),(c)としてそれぞれ順番に示したものである。
ここで、図1,図2に示したベクトル軌跡は、同一の時間幅におけるものであり、例えば、図1(a)と図2(a)とは同一の時間幅におけるベクトル軌跡を示している。
図1,図2から明らかなように、同一の時間幅におけるベクトル軌跡の長さ、つまり磁束密度の変化率が大きく異なることがある。このような情報は、図7(a),(b)に示したような静的な表示方法では完全に欠落しており、磁束密度ベクトルが時間的にどのように変化しているかを認識することができない。
これを解決するには、ベクトル軌跡を動画として示せば良い。これによって、磁束密度ベクトルの変化率を把握することができ、コアロスの程度の理解を容易にすることが可能となる。
但し、ベクトルの頂点の瞬時位置が移動するような動画とすると、ベクトルの軌跡が不連続になって把握し難くなる。そこで、適切に残像を表示しながら磁束密度ベクトルを描画することにより、ベクトル軌跡及びその変化率の両者を同時に把握できるようになる。
残像の形成方法としては、図1,図2に示すような、ある固定期間中の軌跡を表示し、ベクトルの頂点の瞬時位置を先頭として、軌跡として描いた古い点から順次消去していくということが考えられる。換言すれば、時間的に連続して描いたベクトルの頂点の瞬時位置の点を、一定時間経過後に順次消去することによって残像を形成する、ということである。
図3は、図2(b)に相当するベクトル軌跡を対象とした残像の表示方法の説明図である。この図3は、時刻T−Δtから時刻T+Δtまでのベクトル軌跡を連続的に示したもので、時刻Tから時刻Tまでのベクトル軌跡を表示する際には、それ以前の時刻T−Δtから時刻Tまでのベクトル軌跡を残像として表示し、時刻Tから時刻T+Δtまでのベクトル軌跡を表示する際には、時刻T−Δtから時刻Tまでのベクトル軌跡の残像を消去すると共に、時刻Tから時刻Tまでのベクトル軌跡を残像として表示することを表している。
なお、残像表示に当たってベクトルの頂点の瞬時位置の点を消去する際に、徐々に点の色または明るさを薄めていくことも可能である。
更に、図7(a),(b)に示したような1周期間のベクトル軌跡をバックグラウンドに表示しておき、そのベクトル軌跡とは色または明度が異なる点を、バックグラウンドのベクトル軌跡をなぞるように動画として描画するような表示方法を用いても良い。その際にも、前述のごとく残像を表示することが、現象の理解と分析において有用である。
上記実施形態では磁束密度ベクトルを例にとって説明したが、他にも、解析対象である電磁機器のある部位における磁界強度、電流密度など、時間的に変化するベクトル量について同様に残像付きの動的表示を行うことができる。
また、上述した磁界解析結果の表示方法は、請求項2に記載するように、双対性の関係から電界解析結果にもそのまま当てはめることができる。
以上に説明したベクトルの頂点とその残像の描画方法においては、請求項3に記載するように、描画速度や残像を表示する時間を調整することもできる。これによって、例えばベクトルの変化率が大きい場合には、描画速度を低下させて詳細に現象を観測したり、あるいは、変化率が小さい場合や変化が単調な場合には、描画速度を増加させて短時間で現象を把握する、といったことが可能となる。この際、描画速度に応じて残像の表示時間を変更することにより、現象の変化の履歴を確認する時間を調整できるため、便利である。これらの方法によって、結果の分析効率及び正確さの両者を向上させることができる。
次に、図4は、請求項4に対応する実施形態であり、ベクトル軌跡の描画に合わせて関連諸量を表示した表示画面の例である。
例えばモータにおいては、ある部位の磁束密度ベクトルの頂点の位置が、モータのロータの位置や電流値がどのような場合のものであるか、という点が極めて重要である。すなわち、磁束密度変化に高周波成分が含まれている場合に、その磁束密度の変化が、モータをインバータで駆動することによって生じる電流リプルと同期しているかを確認したり、あるいはベクトルの方向が大きく変化する場合に、ロータの磁極位置がステータの歯の位置とどのような関係にあるか等を観測することで、現象の変化の理由付けが可能となる。こうして理由付けができれば、より好ましい特性とするための改善策を立案する上で有利となる。
このようなことを可能とするには、ベクトル軌跡の描画と同期して、解析モデルの時間変化や他の変数のグラフ等を表示すれば良い。
図4は、解析対象がモータの場合の表示例であり、コンピュータシステムのディスプレイ上の結果表示画面300に、解析モデル301と、ステータSの部位A,Bにおける基準時刻Tの磁束密度ベクトル軌跡302A,302Bと、電流波形303とを同期させて表示した例である。なお、解析モデル301の他の部位におけるベクトル量の軌跡を領域304に表示しても良いし、ロータRの回転角度やベクトル軌跡の残像範囲(残像の表示時間)303aを表示することも可能である。
このようなツールは、GUI(グラフィカル・ユーザ・インターフェース)を備えたOS、例えばWindows(登録商標)によって作成可能である。
上記の実施形態は、コンピュータシステムによる数値解析に基づく磁界解析または電界解析を行う場合のものであるが、将来的には、実機のベクトル量を実測する技術が開発される可能性がある。その場合でも、上述したベクトル軌跡の表示方法を適用することにより、現象の理解や分析に供することができる。
本発明の実施形態における磁束密度ベクトルの軌跡を示す図である。 本発明の実施形態における磁束密度ベクトルの軌跡を示す図である。 本発明の実施形態における残像の表示方法の説明図である。 本発明の実施形態における結果表示画面の表示例を示す図である。 リアクトルの磁束密度ベクトルの説明図である。 モータの磁束密度ベクトルの説明図である。 従来の磁束密度ベクトルの表示方法の説明図である。
符号の説明
100:リアクトル
101:鉄心
102:コイル
200:モータ
201:ステータ
202:ロータ
300:結果表示画面
301:解析モデル
302A,302B:磁束密度ベクトル軌跡
303:電流波形
303a:ベクトル軌跡の残像範囲
304:領域

Claims (4)

  1. 電磁機器の磁界の時間変化を解析して表示する表示方法において、
    解析対象としての電磁機器のある部位における磁束密度、磁界強度、または電流密度のベクトル軌跡を、残像付きで動的に表示することを特徴とする磁界解析結果の表示方法。
  2. 電磁機器の電界の時間変化を解析して表示する表示方法において、
    解析対象としての電磁機器のある部位における変位電流密度、電界強度、または電流密度のベクトル軌跡を、残像付きで動的に表示することを特徴とする電界解析結果の表示方法。
  3. 請求項1または2に記載した磁界または電界解析結果の表示方法において、
    ベクトル軌跡を描く速度及び残像の表示時間を調整可能としたことを特徴とする磁界または電界解析結果の表示方法。
  4. 請求項1〜3の何れか1項に記載した磁界または電界解析結果の表示方法において、
    ベクトル軌跡の動的な表示と同期して、解析モデルの時間変化または解析モデルにおける他の変化量を表示することを特徴とする磁界または電界解析結果の表示方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2016178994A (ja) * 2015-03-23 2016-10-13 株式会社日立ハイテクノロジーズ 心磁場解析装置、心磁場解析システム及び心磁場解析方法
CN109374985A (zh) * 2018-08-17 2019-02-22 中国电子科技集团公司电子科学研究院 电磁环境监测方法、系统及存储介质
JP2020036953A (ja) * 2019-11-20 2020-03-12 東芝エネルギーシステムズ株式会社 粒子線ビーム照射装置、粒子線ビーム表示方法および粒子線ビーム表示プログラム

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