JP2010029786A - 酸化物及びその製造方法、並びに塩素の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】熱安定性や触媒寿命に優れた酸化物を提供すること。また、この酸化物を製造する方法や、この酸化物の存在下、長時間にわたり安定して塩素を製造する方法を提供すること。
【解決手段】チタニア、アルミナ、シリカ及びジルコニアからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物からなる担体に酸化リン及び酸化ルテニウムが担持されてなる酸化物。また、この酸化物は、好ましくは、前記担体にリン化合物を担持させた後、酸化性ガスの雰囲気下で焼成して酸化リンが担持された担体を得、この担体にルテニウム化合物を担持させた後、酸化性ガスの雰囲気下で焼成することにより製造される。さらに、上記酸化物の存在下、塩化水素を酸素で酸化して塩素を製造する。
【選択図】なし

Description

本発明は、担体に酸化ルテニウムが担持されてなる酸化物に関する。また、本発明は、前記酸化物を製造する方法や、前記酸化物の存在下、塩化水素を酸素で酸化して塩素を製造する方法にも関係している。
チタニアやアルミナ等からなる担体に酸化ルテニウムが担持されてなる酸化物は、例えば、塩化水素を酸素で酸化して塩素を製造するための触媒として知られている(特許文献1〜7参照)。
特開平9−67103号公報 特開2000−229239号公報 特開2000−254502号公報 特開2000−281314号公報 特開2002−79093号公報 特開2002−292279号公報 特開2004−074073号公報
しかしながら、上記従来の酸化物は、例えば、塩化水素の酸化反応に長時間用いられる等の熱負荷を受けると、担体や担体に担持された酸化ルテニウムが焼結(シンタリング)して触媒活性が低下することがあり、触媒の熱安定性や触媒寿命の点で必ずしも満足のいくものではなかった。そこで、本発明の目的は、かかる焼結を抑制し、熱安定性や触媒寿命に優れた酸化物を提供することにある。また、この酸化物を製造する方法や、この酸化物の存在下、長時間にわたり安定して塩素を製造する方法を提供することにある。
本発明者らは鋭意検討を行った結果、上記目的を達成しうる酸化物を見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、チタニア、アルミナ、シリカ及びジルコニアからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物からなる担体に酸化リン及び酸化ルテニウムが担持されてなる酸化物を提供するものである。
また、本発明は、前記担体にリン化合物を担持させた後、酸化性ガスの雰囲気下で焼成して酸化リンが担持された担体を得、この担体にルテニウム化合物を担持させた後、酸化性ガスの雰囲気下で焼成することを特徴とする前記酸化物の製造方法を提供するものであり、さらに、この酸化物の存在下、塩化水素を酸素で酸化して塩素を製造する方法を提供するものである。
本発明によれば、熱安定性や触媒寿命に優れた酸化物を提供することができ、この酸化物の存在下、塩化水素を酸素で酸化することにより、長時間にわたり安定して塩素を製造することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明は、チタニア、アルミナ、シリカ及びジルコニアからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物からなる担体に酸化リン及び酸化ルテニウムが担持されてなる酸化物(以下、リン−ルテニウム担持酸化物ということがある。)である。このリン−ルテニウム担持酸化物は、所定の担体に酸化ルテニウムだけでなく酸化リンが担持されてなることにより、担体や酸化ルテニウムの焼結(シンタリング)を良好に抑制することができ、このリン−ルテニウム担持酸化物の存在下、塩化水素を酸素で酸化することにより、長期間にわたって安定して塩素を製造することができる。
本発明の担体としては、チタニア、アルミナ、シリカ及びジルコニアからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物が挙げられ、また必要に応じてそれらの2種以上を用いることもできる。中でも、チタニアやアルミナが好ましく、チタニアがより好ましい。担体としてチタニアを用いる場合、このチタニアは、ルチル型チタニア(ルチル型の結晶構造を有するチタニア)やアナターゼ型チタニア(アナターゼ型の結晶構造を有するチタニア)、非晶質のチタニア等からなるものであることができ、また、これらの混合物からなるものであってもよい。中でも、ルチル型チタニア及び/又はアナターゼ型チタニアからなるチタニア担体が好ましい。さらに、チタニア担体中のルチル型チタニア及びアナターゼ型チタニアに対するルチル型チタニアの比率(以下、ルチル型チタニア比率ということがある。)が20%以上のチタニア担体が好ましく、30%以上のチタニア担体がより好ましく、90%以上のチタニア担体がさらにより好ましい。ルチル型チタニア比率が高くなるほど、得られるリン−ルテニウム担持酸化物の触媒活性もより良好となる。上記ルチル型チタニア比率は、X線回折法(以下XRD法)により測定でき、以下の式(1)で示される。
ルチル型チタニア比率[%]=〔IR/(IA+IR)〕×100 (1)
R:ルチル型チタニア(110)面を示す回折線の強度
A:アナターゼ型チタニア(101)面を示す回折線の強度
尚、担体としてチタニアを用いる場合、チタニア中のナトリウム含有量やカルシウム含有量が多いほど、得られるリン−ルテニウム担持酸化物の触媒活性が低くなる傾向があるので、ナトリウム含有量は200重量ppm以下であるのが好ましく、また、カルシウム含有量は200重量ppm以下であるのが好ましい。また、ナトリウム以外のアルカリ金属や、カルシウム以外のアルカリ土類金属も、得られるリン−ルテニウム担持酸化物の触媒活性に悪影響を及ぼしうるので、チタニア中の全アルカリ金属の含有量が200重量ppm以下であるのがより好ましく、また、全アルカリ土類金属の含有量が200重量ppm以下であるのがより好ましい。これらアルカリ金属やアルカリ土類金属の含有量は、例えば、誘導結合高周波プラズマ発光分光分析(以下、ICP分析ということがある。)、原子吸光分析、イオンクロマトグラフィー分析等で測定することができ、好ましくはICP分析で測定する。
また、かかるチタニアとしては、粉末状やゾル状のチタニアを混練、成形し、次いで焼成したものを用いることができる。焼成したチタニアは、公知の方法に基づいて調製することができ、例えば、チタニア粉末やチタニアゾルを、有機バインダー等の成形助剤及び水と混練し、ヌードル状に押出成形した後、乾燥、破砕して成形体を得、次いでこの成形体を空気等の酸化性ガス雰囲気下で焼成することで調製できる。本発明では、焼成したチタニアを用いるのが好ましい。
担体の比表面積は、窒素吸着法(BET法)で測定することができ、通常BET1点法で測定する。該測定により得られる比表面積は、通常5〜300m2/gであり、好ましくは5〜50m2/gである。比表面積が高すぎると、得られるリン−ルテニウム担持酸化物における担体や酸化ルテニウムが焼結しやすくなり、熱安定性が低くなることがある。一方、比表面積が低すぎると、得られるリン−ルテニウム担持酸化物における酸化ルテニウムが分散しにくくなり、触媒活性が低くなることがある。
本発明のリン−ルテニウム担持酸化物は、前記担体に酸化リン及び酸化ルテニウムが担持されてなるものである。ここでいう酸化リンは、通常、五酸化二リン(P)であることができる。また、酸化リンの担持量は、リン−ルテニウム担持酸化物100重量部に対して通常0.1〜4.0重量部、好ましくは0.2〜2.0重量部である。
担持されている酸化ルテニウムにおけるルテニウムの酸化数は、通常+4であり、酸化ルテニウムとしては二酸化ルテニウム(RuO2)であるが、他の酸化数のルテニウムないし他の形態の酸化ルテニウムが含まれていてもよい。また、酸化ルテニウムの担持量は、リン−ルテニウム担持酸化物100重量部に対して通常0.1〜20重量部、好ましくは0.3〜10重量部、より好ましくは0.5〜5重量部である。酸化ルテニウムがあまり少ないと触媒活性が十分でないことがあり、あまり多いとコスト的に不利となる。
加えて、酸化ルテニウムの担持量は、酸化リン1モルに対して0.1〜4モルであるのが好ましく、0.3〜2モルであるのがより好ましい。酸化リン1モルに対する酸化ルテニウムのモル数が高すぎると、担持酸化ルテニウムの熱安定性が低くなることがあり、低すぎると、触媒活性が低くなることがある。
尚、本発明のリン−ルテニウム担持酸化物には、酸化リン及び酸化ルテニウムの他に、シリカ等の酸化物も合わせて担持されていてもよい。この場合は、担体とは異なる酸化物が担持させる。
次に、本発明のリン−ルテニウム担持酸化物の製造方法について説明する。本発明のリン−ルテニウム担持酸化物の製造方法としては、例えば、(1)上記担体に、リン化合物を担持させた後、酸化性ガスの雰囲気下で焼成し、次いで、ルテニウム化合物を担持させた後、酸化性ガスの雰囲気下で焼成する方法や、(2)上記担体に、ルテニウム化合物を担持させた後、酸化性ガスの雰囲気下で焼成し、次いで、リン化合物を担持させた後、酸化性ガスの雰囲気下で焼成する方法、(3)上記担体に、リン化合物及びルテニウム化合物を担持させた後、酸化性ガスの雰囲気下で焼成する方法等が挙げられ、中でも、上記(1)の方法が好ましい。
担体に担持させるリン化合物としては、例えば、リン酸や、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリプロピル、リン酸トリブチルのようなリン酸エステル、亜リン酸トリメチルのような亜リン酸エステル等が挙げられ、必要に応じてそれらの2種以上を用いることもできる。中でも、リン酸エステルが好ましく、リン酸トリエチルがより好ましい。また、リン化合物の担持方法としては、リン化合物をメタノール、エタノール等のアルコールや、水、又はそれらの混合溶媒に溶解させてなる溶液を担体に含浸させる方法や、担体を該溶液に浸漬して、リン化合物を吸着させる方法等が挙げられる。
リン化合物の使用量は、リン−ルテニウム担持酸化物に対する酸化リンの担持量が前述の範囲内となるように適宜調整すればよく、担体1モルに対して、通常0.001〜0.3モル、好ましくは0.001〜0.3モルである。
担体に担持させるルテニウム化合物としては、例えば、RuCl3、RuBr3の如きハロゲン化物、K3RuCl6、K2RuCl6の如きハロゲノ酸塩、K2RuO4の如きオキソ酸塩、Ru2OCl4、Ru2OCl5、Ru2OCl6の如きオキシハロゲン化物、K2[RuCl5(H2O)4]、[RuCl2(H2O)4]Cl、K2[Ru2OCl10]、Cs2[Ru2OCl4]の如きハロゲノ錯体、[Ru(NH352O]Cl2、[Ru(NH35Cl]Cl2、[Ru(NH36]Cl2、[Ru(NH36]Cl3、[Ru(NH36]Br3の如きアンミン錯体、Ru(CO)5、Ru3(CO)12の如きカルボニル錯体、[Ru3O(OCOCH36(H2O)3]OCOCH3、[Ru2(OCOR)4]Cl(R=炭素数1〜3のアルキル基)の如きカルボキシラト錯体、K2[RuCl5(NO)]、[Ru(NH35(NO)]Cl3、[Ru(OH)(NH34(NO)](NO32、[Ru(NO)](NO33の如きニトロシル錯体、ホスフィン錯体、アミン錯体、アセチルアセトナト錯体等が挙げられる。中でもハロゲン化物が好ましく用いられ、特に塩化物が好ましく用いられる。尚、ルテニウム化合物としては、必要に応じて、その水和物を使用してもよいし、また、それらの2種以上を使用してもよい。
ルテニウム化合物の担持方法としては、例えば、ルテニウム化合物の溶液を該担体に含浸させる方法や、該担体をルテニウム化合物の溶液に浸漬して、ルテニウム化合物を該担体に吸着させる方法等が挙げられる。
ルテニウム化合物の使用量は、リン−ルテニウム担持酸化物に対する酸化ルテニウムの担持量が前述の範囲内となるように適宜調整すればよい。
尚、リン化合物やルテニウム化合物の他に、ケイ素化合物等の金属化合物も担体に担持することができる。この場合、担体とは異なる金属種を有する金属化合物を担持させる。かかるケイ素化合物としては、Si(OR)4(以下、Rは炭素数1〜4のアルキル基を表す。)の如きケイ素アルコキシド化合物、塩化ケイ素(SiCl4)、臭化ケイ素(SiBr4)の如きハロゲン化ケイ素、SiCl(OR)3、SiCl2(OR)2、SiCl3(OR)の如きケイ素ハロゲン化物アルコキシド化合物等が挙げられる。また、必要に応じて、その水和物を用いてもよいし、それらの2種以上を用いてもよい。本発明では、中でも、ケイ素アルコキシド化合物が好ましく、ケイ素テトラエトキシド、すなわちオルトケイ酸テトラエチル〔Si(OC254〕がより好ましい。また、担持方法としては、ケイ素化合物をメタノール、エタノール等のアルコールや、水、又はそれらの混合溶媒に溶解させてなる溶液をチタニアに含浸させる方法や、チタニアを該溶液に浸漬して、ケイ素化合物を吸着させる方法等が挙げられる。ケイ素化合物の使用量は、担体に1モルに対し、通常0.001〜0.3モル、好ましくは0.004〜0.03モルである。
担体にリン化合物やルテニウム化合物を担持させた後、酸化性ガス雰囲気下で焼成することにより、リン化合物が酸化リンに、ルテニウム化合物が酸化ルテニウムにそれぞれ変換され、酸化リン及び酸化ルテニウムが担体に担持されてなるリン−ルテニウム担持酸化物を調製することができる。ここでいう酸化性ガスとは、酸化性物質を含むガスであり、例えば、酸素含有ガスが挙げられる。その酸素濃度は通常1〜30容量%程度である。この酸素源としては、通常、空気や純酸素が用いられ、必要に応じて不活性ガスで希釈される。酸化性ガスは、中でも、空気が好ましい。焼成温度は、通常100〜500℃、好ましくは200〜350℃である。
尚、担体にリン化合物を担持させた後、酸化性ガスの雰囲気下で焼成し、次いで、ルテニウム化合物を担持させた後、酸化性ガスの雰囲気下で焼成することにより、本発明のリン−ルテニウム担持酸化物を調製する場合において、担体にリン化合物を担持させた後、焼成して得られる酸化リンが担持された担体(以下、酸化リン担持担体ということがある。)が、以下の式(2)で示される単分子被覆率θを満たすものであるのが好ましい。
θ=am×A/S×100 (2)
θ:単分子被覆率[%]
S:担体に酸化リンが担持された担体(酸化リン担持担体)の比表面積[m2/g]
A:担体1g当たりに担持されている酸化リンの分子数
m:酸化リンの分子占有面積〔=0.233×10-18[m2]〕
尚、酸化リンの分子占有面積amは、以下の式(3)から求められる値である。
m=1.091(Mw/(Nd))2/3 (3)
w:酸化リンの分子量〔=141.9[g/mol]〕
N:アボガドロ数〔=6.02×1023[個]〕
d:酸化リンの真密度〔=2.4[g/m3]〕
ここでいう単分子被覆率θは、担体の比表面積に対する、担体に担持されている酸化リンの被覆割合を意味し、通常10〜200%、好ましくは20〜120%である。即ち、このような値となるように、担体調製時にリン化合物の使用量を適宜調整する。かかる単分子被覆率θが低すぎると、リン−ルテニウム担持酸化物における担体や酸化ルテニウムが焼結しやすくなり、熱安定性が低くなることがある。また、単分子被覆率θが高すぎると、ルテニウム化合物が担体に担持されにくくなり、例えば、リン−ルテニウム担持酸化物を塩化水素の酸化反応に用いた場合にその触媒活性が低くなることがある。
かくして所定の担体に酸化リン及び酸化ルテニウムが担持されてなる酸化物(リン−ルテニウム担持酸化物)を調製することができる。かかるリン−ルテニウム担持酸化物は、例えば、アルカン、アルコール、塩化水素等の酸化反応に触媒として用いられることができる。中でも、長時間にわたり安定して塩素を製造しうる点から、該酸化物を塩化水素の酸化反応に触媒として使用するのが好ましい。
リン−ルテニウム担持酸化物を塩化水素の酸化反応に触媒として用いる場合、反応の方式は、固定床方式であってもよいし、流動床方式であってもよく、中でも固定床気相流通方式や流動床気相流通方式の如き気相反応が有利に採用される。
塩化水素の酸化反応は平衡反応であり、あまり高温で行うと平衡転化率が下がるため、比較的低温で行うのが好ましく、反応温度は、通常100〜500℃、好ましくは200〜450℃である。また、反応圧力は、通常0.1〜5MPa程度である。酸素源としては、空気を使用してもよいし、純酸素を使用してもよい。塩化水素に対する酸素の理論モル量は1/4モルであるが、通常、この理論量の0.1〜10倍の酸素が使用される。また、塩化水素の供給速度は、触媒1Lあたりのガス供給速度(L/h;0℃、1気圧換算)、すなわちGHSVで表して、通常10〜20000h-1程度である。
以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこれらによって限定されるものではない。例中、使用量ないし含有量を表す部及び%は、特記ない限り重量基準である。また、例中、チタニア担体のルチル型チタニア比率はXRD分析により求め、チタニア担体中の該担体に対するナトリウム含有量及びカルシウム含有量はICP分析により求めた。
実施例1
(担体の調製)
チタニア粉末〔昭和タイタニウム(株)製のF−1R、ルチル型チタニア比率93%〕100部と有機バインダー2部〔ユケン工業(株)製のYB−152A〕とを混合し、次いで純水29部、チタニアゾル〔堺化学(株)製のCSB、チタニア含有量40%〕12.5部を加えて混練した。この混合物を直径3.0mmφのヌードル状に押出し、60℃で2時間乾燥した後、長さ3〜5mm程度に破砕した。得られた成形体を、空気中で室温から600℃まで1.7時間かけて昇温した後、同温度で3時間保持して焼成した。さらに得られた焼成物20.0gに、リン酸トリエチル〔和光純薬工業(株)製のPO(OC25)3〕0.525gをエタノール3.43gに溶解して調製した溶液を含浸させ、24℃で15時間放置した。得られた固体20.1gを、空気流通下、室温から300℃まで0.8時間かけて昇温した後、同温度で2時間保持して焼成し、五酸化二リン(P)の含有量が1.0%である白色のチタニア担体20.0g〔ルチル型チタニア比率90%以上、ナトリウム含有量12重量ppm、カルシウム含有量8重量ppm〕を得た。また、該担体の比表面積、五酸化二リン含有量から計算した単分子被覆率を表1に示した。
(リン−ルテニウム担持酸化物の製造)
上記で得られたチタニア担体に、塩化ルテニウム水和物〔NEケムキャット(株)製のRuCl3・nH2O、Ru含有量40.0%〕0.486gを純水4.78gに溶解して調製した水溶液を含浸させ、24℃で15時間放置した。得られた固体20.9gを、空気流通下、室温から250℃まで1.3時間かけて昇温した後、同温度で2時間保持して焼成し、酸化ルテニウムの含有量が1.25%である青灰色のリン−ルテニウム担持酸化物20.9gを得た。
(塩化水素の酸化反応に対するリン−ルテニウム担持酸化物の初期活性評価)
上記で得られたリン−ルテニウム担持酸化物1.0gを、直径2mmのα−アルミナ球〔ニッカトー(株)製のSSA995〕12gで希釈し、ニッケル製反応管(内径14mm)に充填し、さらに反応管のガス入口側に上と同じα−アルミナ球12gを予熱層として充填した。この中に、塩化水素ガスを0.214mol/h(0℃、1気圧換算で4.8L/h)、及び酸素ガスを0.107mol/h(0℃、1気圧換算で2.4L/h)の速度で常圧下に供給し、触媒層を282〜283℃に加熱して反応を行った。反応開始1.5時間後の時点で、反応管出口のガスを30%ヨウ化カリウム水溶液に流通させることによりサンプリングを20分間行い、ヨウ素滴定法により塩素の生成量を測定し、塩素の生成速度(mol/h)を求めた。この塩素の生成速度と上記の塩化水素の供給速度から、下式より塩化水素の転化率を計算し、表1に示した。
塩化水素の転化率(%)=〔塩素の生成速度(mol/h)×2÷塩化水素の供給速度(mol/h)〕×100
(リン−ルテニウム担持酸化物の熱安定性試験)
上記で得られたリン−ルテニウム担持酸化物1.2gを、石英製反応管(内径21mm)に充填した。この中に、塩化水素ガスを0.086mol/h(0℃、1気圧換算で1.9L/h)、及び酸素ガスを0.075mol/h(0℃、1気圧換算で1.7L/h)、塩素ガスを0.064mol/h(0℃、1気圧換算で1.4L/h)、水蒸気を0.064mol/h(0℃、1気圧換算で1.4L/h)の速度で常圧下に供給し、触媒層を375〜380℃に加熱して反応を行った。反応開始50時間後の時点で、反応を停止し、窒素ガスを0.214mol/h(0℃、1気圧換算で4.8L/h)の速度で供給しながら冷却した。
(熱安定性試験後のリン−ルテニウム担持酸化物の活性評価)
上記熱安定性試験に付されたリン−ルテニウム担持酸化物1.2gのうち、1.0gを分取し、上記初期性能評価と同様の方法で塩化水素の転化率を求め、表1に示した。
実施例2
(担体の調製)
チタニア粉末〔昭和タイタニウム(株)製のF−1R、ルチル型チタニア比率93%〕100部と有機バインダー2部〔ユケン工業(株)製のYB−152A〕とを混合し、次いで純水29部、チタニアゾル〔堺化学(株)製のCSB、チタニア含有量40%〕12.5部を加えて混練した。この混合物を直径3.0mmφのヌードル状に押出し、60℃で2時間乾燥した後、長さ3〜5mm程度に破砕した。得られた成形体を、空気中で室温から600℃まで1.7時間かけて昇温した後、同温度で3時間保持して焼成した。さらに得られた焼成物20.0gに、リン酸トリエチル〔和光純薬工業(株)製のPO(OC25)3〕0.263g及びオルトケイ酸テトラエチル〔和光純薬工業(株)製のSi(OC25)4〕0.355gをエタノール3.48gに溶解して調製した溶液を含浸させ、24℃で15時間放置した。得られた固体20.1gを、空気流通下、室温から300℃まで0.8時間かけて昇温した後、同温度で2時間保持して焼成し、五酸化二リン(P)及びシリカの含有量がそれぞれ0.5%である白色のチタニア担体20.0g〔ルチル型チタニア比率90%以上、ナトリウム含有量12重量ppm、カルシウム含有量8重量ppm〕を得た。また、該担体の比表面積、五酸化二リン及びシリカ含有量から計算した単分子被覆率を表1に示した。尚、シリカの単分子被覆率は、前記式(1)において、Mwを60.07[g/mol]とし、dを2.2[g/m]として算出した。
(リン−ルテニウム担持酸化物の製造)
上記で得られたチタニア担体に、塩化ルテニウム水和物〔NEケムキャット(株)製のRuCl3・nH2O、Ru含有量40.0%〕0.486gを純水4.78gに溶解して調製した水溶液を含浸させ、24℃で15時間放置した。得られた固体20.9gを、空気流通下、室温から250℃まで1.3時間かけて昇温した後、同温度で2時間保持して焼成し、酸化ルテニウムの含有量が1.25%である青灰色のリン−ルテニウム担持酸化物20.9gを得た。
(リン−ルテニウム担持酸化物の評価)
上記リン−ルテニウム担持酸化物を、実施例1と同様の操作で初期活性評価、熱安定性試験、該試験後の活性評価を行った。結果を表1に示した。
比較例1
(担体の調製)
チタニア粉末〔昭和タイタニウム(株)製のF−1R、ルチル型チタニア比率93%〕100部と有機バインダー2部〔ユケン工業(株)製のYB−152A〕とを混合し、次いで純水29部、チタニアゾル〔堺化学(株)製のCSB、チタニア含有量40%〕12.5部を加えて混練した。この混合物を直径3.0mmφのヌードル状に押出し、60℃で2時間乾燥した後、長さ3〜5mm程度に破砕した。得られた成形体を、空気中で室温から600℃まで1.7時間かけて昇温した後、同温度で3時間保持して焼成して、チタニア担体〔ルチル型チタニア比率90%以上、ナトリウム含有量12重量ppm、カルシウム含有量8重量ppm〕を得た。また、該担体の比表面積を表1に示した。
(ルテニウム担持酸化物の製造)
上記で得られたチタニア担体に、塩化ルテニウム水和物〔NEケムキャット(株)製のRuCl3・nH2O、Ru含有量40.0%〕0.456gを純水4.78gに溶解して調製した水溶液を含浸させ、24℃で15時間放置した。得られた固体20.9gを、空気流通下、室温から250℃まで1.3時間かけて昇温した後、同温度で2時間保持して焼成し、酸化ルテニウムの含有量が1.25%である青灰色のルテニウム担持酸化物20.9gを得た。
(ルテニウム担持酸化物の評価)
上記ルテニウム担持酸化物を、実施例1と同様の操作で初期活性評価、熱安定性試験、該試験後の活性評価を行った。結果を表1に示した。
Figure 2010029786

Claims (7)

  1. チタニア、アルミナ、シリカ及びジルコニアからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物からなる担体に酸化リン及び酸化ルテニウムが担持されてなる酸化物。
  2. 担体が、チタニア及び/又はアルミナからなる担体である請求項1に記載の酸化物。
  3. 担体が、ルチル型チタニア及びアナターゼ型チタニアに対するルチル型チタニアの比率が20%以上のチタニアからなる担体である請求項1に記載の酸化物。
  4. 前記担体にリン化合物を担持させた後、酸化性ガスの雰囲気下で焼成して酸化リンが担持された担体を得、この担体にルテニウム化合物を担持させた後、酸化性ガスの雰囲気下で焼成することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の酸化物の製造方法。
  5. 酸化リンが担持された担体が、担体の比表面積に対する酸化リンの単分子被覆率が10〜90%の担体である請求項4に記載の製造方法。
  6. 請求項1〜3のいずれかに記載の酸化物の存在下、塩化水素を酸素で酸化する塩素の製造方法。
  7. 請求項4又は5に記載の方法により酸化物を製造し、この酸化物の存在下、塩化水素を酸素で酸化する塩素の製造方法。
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