JP2013169517A - 担持酸化ルテニウムの製造方法及び塩素の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】優れた触媒活性を有する担持酸化ルテニウムを製造する方法を提供することにある。また、この方法により得られた担持酸化ルテニウムを用いて、良好な転化率で塩化水素を酸素で酸化して塩素を製造しうる方法を提供することにある。
【解決手段】担持酸化ルテニウムの製造方法であって、担体をルテニウム化合物を含む溶液で接触処理した後、撹拌しながらガス流通下で乾燥し、次いで、酸化性ガス雰囲気下で焼成することを特徴とする。かかる製法により製造された担持酸化ルテニウムを触媒として用い、この触媒の存在下に塩化水素を酸素で酸化することにより、塩素を製造する。
【選択図】なし

Description

本発明は、酸化ルテニウムが担体に担持されてなる担持酸化ルテニウムを製造する方法に関する。また、本発明は、かかる製造方法により製造された担持酸化ルテニウムを触媒に用いて塩化水素を酸素で酸化することにより、塩素を製造する方法に関する。
担持酸化ルテニウムは、塩化水素を酸素で酸化して塩素を製造するための触媒として有用であることが知られている(特許文献1〜5参照)。かかる担持酸化ルテニウムとして、酸化ルテニウムが担体に担持されてなる担持酸化ルテニウムが知られており、その製造方法として、例えば、特許文献6〜9には、チタニア担体をルテニウム化合物を含む溶液と接触させた後、空気中で乾燥し、次いで空気中で焼成する方法が記載されている。
特開2000−229239号公報 特開2000−254502号公報 特開2000−281314号公報 特開2002−79093号公報 特開2004−276012号公報 特開2002−292279号公報 特開2004−074073号公報 特開2008−155199号公報 特開2011−110509号公報
しかしながら、上記従来の製造方法により得られる担持酸化ルテニウムは、触媒活性の点で必ずしも満足できないことがあった。そこで、本発明の目的は、優れた触媒活性を有する担持酸化ルテニウムを製造する方法を提供することにある。また、この方法により得られた担持酸化ルテニウムを用いて、良好な転化率で塩化水素を酸素で酸化して塩素を製造しうる方法を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の構成からなる。
〔1〕担持酸化ルテニウムの製造方法であって、担体をルテニウム化合物を含む溶液で接触処理した後、撹拌しながらガス流通下で乾燥し、次いで、酸化性ガス雰囲気下で焼成することを特徴とする担持酸化ルテニウムの製造方法。
〔2〕前記乾燥における担体1gあたりの溶媒の蒸発速度が0.03〜0.07g/hである前記〔1〕に記載の担持酸化ルテニウムの製造方法。
〔3〕前記乾燥において、担体におけるガスの空間速度が、標準状態で10〜100000/hである前記〔1〕又は〔2〕に記載の担持酸化ルテニウムの製造方法。
〔4〕前記担体が、チタニア、アルミナ及びシリカからなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する前記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の担持酸化ルテニウムの製造方法。
〔5〕前記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の方法により製造された担持酸化ルテニウムの存在下で、塩化水素を酸素で酸化することを特徴とする塩素の製造方法。
本発明によれば、優れた触媒活性を有する担持酸化ルテニウムを製造することができ、得られた担持酸化ルテニウムを触媒に用いて、良好な転化率で塩化水素を酸素で酸化して塩素を製造することができる。
担持酸化ルテニウムにおけるルテニウム原子についてEPMAにより線分析を行った場合における断面幅方向距離xとX線強度Iの関係を説明するための説明図である。 本発明の担持酸化ルテニウムの一例を模式的に示す斜視図である。 実施例1で得られた担持酸化ルテニウムをEPMAにより線分析を行った時の断面幅方向距離xとX線強度Iとの関係を示すグラフである。 比較例1で得られた担持酸化ルテニウムをEPMAにより線分析を行った時の断面幅方向距離xとX線強度Iとの関係を示すグラフである。 比較例2で得られた担持酸化ルテニウムをEPMAにより線分析を行った時の断面幅方向距離xとX線強度Iとの関係を示すグラフである。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明では、担体をルテニウム化合物を含む溶液で接触処理した後、撹拌しながらガス流通下で乾燥し、次いで、酸化性ガス雰囲気下で焼成することにより、担持酸化ルテニウムを製造する。
担体としては、チタニア、アルミナ、シリカ、ジルコニア、ゼオライト、酸化ニオブ、酸化スズ等が挙げられ、必要に応じてそれらの2種以上の混合物や複合酸化物(シリカアルミナ等)を用いることができる。中でも、チタニア、アルミナ及びシリカからなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する担体が好ましい。アルミナとしては、α−アルミナ、γ−アルミナ、θ−アルミナ等が挙げられ、中でも、α−アルミナが好ましい。チタニアとしては、ルチル型チタニア(ルチル型の結晶構造を有するチタニア)やアナターゼ型チタニア(アナターゼ型の結晶構造を有するチタニア)、非晶質のチタニア等からなるものであることができ、また、これらの混合物からなるものであってもよい。本発明においては、担体として少なくともチタニアを含有する担体を用いる場合、チタニアとしては、ルチル型チタニア及び/又はアナターゼ型チタニアからなるチタニアが好ましく、中でも、チタニア中のルチル型チタニア及びアナターゼ型チタニアに対するルチル型チタニアの比率(以下、ルチル型チタニア比率ということがある。)が50%以上のチタニアが好ましく、70%以上のチタニアがより好ましく、90%以上のチタニアがさらにより好ましい。ルチル型チタニア比率が高くなるほど、得られる担持酸化ルテニウムの触媒活性がより良好となる傾向にある。上記ルチル型チタニア比率は、X線回折法(以下XRD法)により測定でき、以下の式(1)で示される。
ルチル型チタニア比率[%]=〔I/(I+I)〕×100 (1)
:ルチル型チタニア(110)面を示す回折線の強度
:アナターゼ型チタニア(101)面を示す回折線の強度
尚、少なくともチタニアを含有する担体を用いる場合、チタニア中のナトリウム含有量は200重量ppm以下であるのが好ましく、また、カルシウム含有量は200重量ppm以下であるのが好ましい。また、チタニア中の全アルカリ金属元素の含有量が200重量ppm以下であるのがより好ましく、また、チタニア中の全アルカリ土類金属元素の含有量が200重量ppm以下であるのがより好ましい。これらアルカリ金属元素やアルカリ土類金属元素の含有量は、例えば、誘導結合高周波プラズマ発光分光分析法(以下、ICP分析法ということがある。)、原子吸光分析法、イオンクロマトグラフィー分析法等で測定することができ、好ましくはICP分析法で測定する。
ルテニウム化合物を含む溶液での接触処理に付される担体において、その比表面積は、窒素吸着法(BET法)で測定することができ、通常BET1点法で測定する。該測定により得られる比表面積は、通常5〜300m/gであり、好ましくは5〜50m/gである。比表面積が高すぎると、得られる担持酸化ルテニウムにおける担体や酸化ルテニウムが焼結しやすくなり、熱安定性が低くなることがある。一方、比表面積が低すぎると、得られる担持酸化ルテニウムにおける酸化ルテニウムが分散しにくくなり、触媒活性が低くなることがある。
上述の担体を、ルテニウム化合物を含む溶液で接触処理する。前記ルテニウム化合物としては、例えば、RuCl、RuBr等のハロゲン化物;KRuCl、KRuCl等のハロゲノ酸塩;KRuO、NaRuO等のオキソ酸塩;RuOCl、RuOCl、RuOCl等のオキシハロゲン化物;K[RuCl(HO)]、[RuCl(HO)]Cl、K[RuOCl10]、Cs[RuOCl]等のハロゲノ錯体;[Ru(NHO]Cl、[Ru(NHCl]Cl、[Ru(NH]Cl、[Ru(NH]Cl、[Ru(NH]Br等のアンミン錯体;Ru(CO)、Ru(CO)12等のカルボニル錯体;[RuO(OCOCH(HO)]OCOCH、[Ru(OCOR)]Cl(R=炭素数1〜3のアルキル基)等のカルボキシラト錯体;K[RuCl(NO)]、[Ru(NH(NO)]Cl、[Ru(OH)(NH(NO)](NO、[Ru(NO)](NO等のニトロシル錯体;ホスフィン錯体;アミン錯体;アセチルアセトナト錯体等が挙げられる。中でもハロゲン化物が好ましく用いられ、特に塩化物が好ましく用いられる。尚、ルテニウム化合物としては、必要に応じて、その水和物を使用してもよいし、また、それらの2種以上を使用してもよい。
担体とルテニウム化合物を含む溶液との接触処理により、ルテニウム化合物がチタニア担体に担持される。該溶液の調製に使用される溶媒としては、水、アルコール、エーテル等が挙げられ、必要に応じて、それらの2種以上を使用してもよい。中でも、水が好ましい。水としては、蒸留水、イオン交換水、超純水などの純度の高い水が好ましい。使用する水に不純物が多く含まれると、かかる不純物が触媒に付着して、触媒の活性を低下させる場合がある。アルコールとしては、メタノール、エタノール等が挙げられる。エーテルとしては、テトラヒドロフラン等が挙げられる。該溶液に含まれる溶媒の量は、使用する担体の総細孔容積から担持させるルテニウム化合物の体積を除いた量の70体積%以上であることが好ましい。上限は特に制限はないが、使用する溶媒量が多すぎると乾燥に時間がかかる傾向となるため、120体積%以下程度とすることが好ましい。該接触処理において、処理時の温度は、通常0〜100℃、好ましくは0〜50℃であり、処理時の圧力は通常0.1〜1MPa、好ましくは大気圧である。また、かかる接触処理は、空気雰囲気下や、窒素、ヘリウム、アルゴン、二酸化酸素等の不活性ガス雰囲気下で行うことができ、この際、水蒸気を含んでいてもよい。
接触処理としては、含浸、浸漬、噴霧等が挙げられる。チタニア担体をルテニウム化合物を含む溶液で接触処理する方法として、例えば、(a)ポアフィリング法により担体にルテニウム化合物を含む溶液を含浸させる方法、(b)担体をルテニウム化合物を含む溶液に浸漬させる方法、(c)担体にルテニウム化合物を含む溶液をスプレーする方法等が挙げられるが、前記(a)の方法が好ましい。該接触処理により、チタニア担体にルテニウム化合物が担持される。
担体とルテニウム化合物との使用割合は、後述する焼成後に得られる担持酸化ルテニウム中の酸化ルテニウム/担体の重量比が、好ましくは0.1/99.9〜20.0/80.0、より好ましくは0.3/99.7〜10.0/90.0、さらに好ましくは0.5/99.5〜5.0/95.0となるように、適宜調整すればよい。酸化ルテニウムがあまり少ないと触媒活性が十分でないことがあり、あまり多いとコスト的に不利となる。
担体をルテニウム化合物を含む溶液で接触処理した後、得られたルテニウム化合物及び溶媒を含む担体を、撹拌しながらガス流通下で乾燥する。尚、撹拌しながらの乾燥とは、ルテニウム化合物及び溶媒を含む担体を静止状態ではなく流動状態で乾燥することを意味する。かかる乾燥において、その温度は、熱負荷による劣化を抑制する観点から、0℃〜100℃が好ましく、5〜50℃がより好ましい。乾燥における圧力は、0.01〜1MPaが好ましく、より好ましくは大気圧である。乾燥時間は、適宜設定される。前記撹拌の方法としては、乾燥容器そのものを回転させる方法、乾燥容器そのものを振動させる方法、乾燥容器内に備えられた撹拌機により撹拌する方法等が挙げられる。流通させるガスとしては、空気等の酸化性ガスや、窒素、ヘリウム、アルゴン、二酸化酸素等の不活性ガスが挙げられ、この際、水蒸気を含んでいてもよい。前記乾燥において、前記ガスの流通速度は、担体におけるガスの空間速度(GHSV)として、標準状態(0℃、0.1MPa換算)で10〜100000/hが好ましく、100〜10000/hがより好ましい。尚、空間速度は、乾燥処理を施す装置内を通過する1時間当りのガス量(L/h)を、乾燥処理を施す装置内の担体容量(L)で除することにより求めることができる。
前記乾燥における乾燥速度は適宜設定されるが、生産性及び担持酸化ルテニウムにおける酸化ルテニウムの分布の均一性の観点から、担体1gあたりの溶媒の蒸発速度として、0.03〜0.07g/hが好ましく、0.04〜0.06g/hがより好ましい。かかる乾燥速度は、温度、圧力、時間、ガスの流通速度、ガスの組成等の条件を調整することにより制御できるが、乾燥中において、乾燥速度を上述の範囲内で制御するためには、流通させるガスの組成は一定とすることが好ましい。
前記乾燥後に得られる乾燥物に含まれる溶媒の含有量は、得られる担持酸化ルテニウムにおいて酸化ルテニウムの偏在(ムラ)が生じることなく均一に酸化ルテニウムが担持されるという点で、担持される担体の重量を基準として10重量%以下が好ましく、4重量%以下がより好ましい。該乾燥物における、担体の重量を基準とした溶媒の含有量は、以下の式(2)で算出される。
乾燥物における担体の重量を基準とした溶媒の含有量(重量%)=[乾燥物における残存溶媒量(g)]/[乾燥物における担体の含有量(g)]×100 (2)
尚、担体とルテニウム化合物を含む溶液との接触処理を含浸により行った場合において、乾燥物における残存溶媒量は、接触処理に使用した溶媒の量から、乾燥前後の重量変化量を差し引くことにより求めることができる。
こうして得られる乾燥物を、酸化性ガスの雰囲気下で焼成を行う。かかる焼成により、担持されたルテニウム化合物は酸化ルテニウムへと変換され、酸化ルテニウムが担体に担持されてなる担持酸化ルテニウムが得られる。酸化性ガスとは、酸化性物質を含むガスであり、例えば、酸素含有ガスが挙げられる。その酸素濃度は通常1〜30容量%程度である。この酸素源としては、通常、空気や純酸素が用いられ、必要に応じて不活性ガスや水蒸気で希釈される。酸化性ガスは、中でも、空気が好ましい。焼成温度は、通常100〜500℃、好ましくは200〜400℃である。
前記焼成は、前記乾燥の後、還元処理を行ってから行ってもよい。かかる還元処理としては、例えば特開2000−229239号公報、特開2000−254502号公報、特開2000−281314号公報、特開2002−79093号公報等に記載される還元処理が挙げられる。
前記焼成により得られる担持酸化ルテニウムにおいて、担持されている酸化ルテニウムにおけるルテニウムの酸化数は、通常+4であり、酸化ルテニウムとしては二酸化ルテニウム(RuO)であるが、他の酸化数のルテニウムないし他の形態の酸化ルテニウムが含まれていてもよい。
本発明の製造方法により得られる担持酸化ルテニウムは、好ましくは成形体として使用される。その形状としては、例えば、球形粒状、円柱状、ペレット状、押出形状、リング形状、ハニカム状あるいは成形後に粉砕分級した適度の大きさの顆粒状等が挙げられ、中でも、ペレット状であることが好ましい。この際、成形体の直径としては5mm以下が好ましい。成形体の直径が大きすぎると、酸化反応触媒として使用した際にその転化率が低くなることがある。成形体の直径の下限は特に制限はないが、過度に小さくなると、触媒層での圧力損失が大きくなるため、通常は0.5mm以上のものが用いられる。尚、ここでいう成形体の直径とは、球形粒状では球の直径、円柱状では円形断面の直径、その他の形状では断面の最大直径を意味する。
前記成形は、担体の調製時に行ってもよいし、担体に酸化ルテニウムを担持した後に行ってもよいが、担体の調製時に行うのが好ましい。担体の調製時に成形を行う場合は、公知の方法に基づいて行うことができ、例えば、粉末状やゾル状の担体を混練、成形し、次いで熱処理したものを担体の成形体として用いることができる。具体的には、担体の粉末や担体のゾルを、有機バインダー等の成形助剤及び水と混練し、ヌードル状に押出成形した後、乾燥、破砕して成形体を得、次いで得られた成形体を空気等の酸化性ガス雰囲気下で熱処理することにより調製できる。前記酸化性ガスとは、酸化性物質を含むガスであり、例えば酸素含有ガス等が挙げられ、その酸素濃度は、通常、1〜30容量%程度である。この酸素源としては、通常、空気や純酸素が用いられ、必要に応じて不活性ガスや水蒸気で希釈される。酸化性ガスは、中でも、空気が好ましい。前記不活性ガスとしては、例えば窒素、ヘリウム、アルゴン、二酸化酸素等が挙げられ、必要に応じて水蒸気で希釈される。不活性ガスは、中でも、窒素、二酸化炭素が好ましい。前記熱処理を行う場合の処理温度は、通常、400〜900℃、好ましくは500〜850℃である。
前記成形体において、その細孔容積は、0.15〜0.40mL/gであることが好ましく、0.15〜0.30ml/gであることがより好ましい。尚、成形体の細孔容積は、上述の成形に付される原料の組成や、成形体の熱処理温度を調整することによって調節することができる。成形体の細孔容積は、例えば、水銀圧入法により測定することができる。
本発明の製造方法により得られる担持酸化ルテニウムは、酸化ルテニウムが均一に担持されており、その分布状態は、電子線プローブマイクロアナライザ(Electron Probe Micro Analyzer;以下、EPMAということがある。)により分析することができる。本発明においては、特に、担持酸化ルテニウムの断面をEPMAにより幅方向にルテニウム原子について線分析を行った結果において、以下の条件:
断面幅方向距離x(一方の担持酸化ルテニウム表面からの断面幅方向の距離)とX線強度Iの関係を示す図において、一方の担持酸化ルテニウム表面(x=0)から他方の担持酸化ルテニウム表面(x=x)の間におけるX線強度I(x)についての最大値(A)と、X線強度I(x)の極小かつ最小の値(B)との比〔(A)/(B)〕が1.0〜1.3
を満たす担持酸化ルテニウムであることが好ましい。得られる担持酸化ルテニウムが上記の条件を満たすようにするには、例えば、上述の乾燥速度や、乾燥後に得られる乾燥物に含まれる溶媒の含有量を調整すればよい。
以下に、図1及び図2を用いて担持酸化ルテニウムにおける酸化ルテニウムの分布の均一性の評価について説明する。本発明の担持酸化ルテニウムが、例えば図2に示す円柱状のものである場合、円形底面に平行な円形断面に対し、円形断面の中心を通る直線方向にルテニウム原子についてEPMAによる線分析を行う。この結果から、横軸を断面幅方向距離x(一方の担持酸化ルテニウム表面からの断面幅方向の距離)とし、縦軸をルテニウム原子濃度を示すX線強度Iとして、図1に例示されるグラフを作成する。図1に例示されるグラフから、一方の担持酸化ルテニウム表面(x=0)から他方の担持酸化ルテニウム表面(x=x)の間におけるX線強度I(x)のxについての最大値(A)と、上記X線強度I(x)の極小かつ最小の値(B)とを求め、(A)と(B)との比〔=(A)/(B)〕を算出する。
かくして製造される担持酸化ルテニウムを触媒に用い、この触媒の存在下で塩化水素を酸素で酸化することにより、塩素を効率的に製造することができる。反応方式としては、流動床、固定床、移動床等の反応方式が採用可能であり、断熱方式又は熱交換方式の固定床反応器、あるいは断熱方式又は熱交換方式の流動床反応器が好ましい。断熱方式の固定床反応器を用いる場合には、単管式固定床反応器、多管式固定床反応器のいずれも使用することができるが、単管式固定床反応器を好ましく使用することができる。熱交換方式の固定床反応器を用いる場合には、単管式固定床反応器、多管式固定床反応器のいずれも使用することができるが、多管式固定床反応器を好ましく使用することができる。
この酸化反応は平衡反応であり、あまり高温で行うと平衡転化率が下がるため、比較的低温で行うのが好ましく、反応温度は、通常100〜500℃、好ましくは200〜450℃である。また、反応圧力は、通常0.1〜5MPa程度である。酸素源としては、空気を使用してもよいし、純酸素を使用してもよい。塩化水素に対する酸素の理論モル量は1/4モルであるが、通常、この理論量の0.1〜10倍の酸素が使用される。また、塩化水素の供給速度は、触媒1Lあたりのガス供給速度(L/h;0℃、0.1MPa換算)、すなわちGHSVで表して、通常10〜20000h−1程度である。
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではない。
以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこれらによって限定されるものではない。尚、以下の各例において、得られた担持酸化ルテニウムのEPMAによる線分析は、(株)島津製作所製の電子線プローブマイクロアナライザ「EPMA−1600」を用いて、以下の測定条件にて行った。得られた担持酸化ルテニウムにおける酸化ルテニウムの分布の均一性の評価は、EPMAによる線分析の結果から、縦軸をX線強度I、横軸を断面幅方向距離x(一方の担持酸化ルテニウム表面からの断面幅方向の距離)としてグラフを得、一方の担持酸化ルテニウム表面(x=0)から他方の担持酸化ルテニウム表面(x=x)の間におけるX線強度I(x)についての最大値(A)と、X線強度I(x)の極小かつ最小の値(B)との比R〔=(A)/(B)〕を求めることにより行った。Rの値が1.0に近いほど、得られた担持酸化ルテニウムにおける酸化ルテニウムの分布の均一性が高いことを示す。
〔EPMA線分析の条件〕
加速電圧:15kV
照射電流:50nA
ビーム径:100μmφ
サンプリング幅:5μm
サンプリング時間:0.5sec
分光結晶:PET
実施例1
(担体の調製)
チタニア粉末〔堺化学(株)製のSTR−60R、100%ルチル型〕33.3質量部、α−アルミナ粉末〔住友化学(株)製のAES−12〕66.7質量部、チタニアゾル〔堺化学(株)製のCSB、チタニア含有量38重量%〕13.2質量部、ポリエチレングリコール〔三洋化成工業(株)製のPEG4000S〕10.5質量部、メタクリル樹脂粉末〔綜研化学(株)製のケミスノーMR−2G〕5.0質量部、水溶性セルロース〔信越化学工業(株)製のメトローズ65SH−400〕0.6質量部、及びグリセリン〔和光純薬工業(株)製、液状〕0.6質量部に純水を加えて混練した。この混合物を直径3.0mmφの円柱状に押出し、乾燥した後、長さ4〜6mm程度に破砕した。得られた成型体を空気中、800℃で3時間焼成し、チタニアとα−アルミナの混合物からなる担体を得た。
(担持酸化ルテニウムの製造)
上記で得られた担体100g(容量:74mL)を300mLのナス型フラスコに入れ、回転式含浸−乾燥装置にセットし、塩化ルテニウム水和物〔NEケムキャット(株)製のRuCl・nHO、Ru含有量40.0重量%〕3.88g(15.35mmol)を純水18.1gに溶解して調製した水溶液を、担体を仕込んだナス型フラスコを水平を軸として14rpmで回転させながら該ナス型フラスコ内に30分間で滴下することによりポアフィリング法で含浸した。その後、塩化ルテニウム水溶液が含浸された担体の入ったナス型フラスコを14rpmで回転させることにより該担体を撹拌しながら、ナス型フラスコを加熱する温水バスの温度(乾燥温度)を25℃とし、ナス型フラスコ内に乾燥空気(水蒸気濃度:0.3体積%以下)を5.0L/min(0℃、0.1MPa換算)の流量で連続的に供給し、流通させた。尚、該担体の容量に対する乾燥空気の供給速度の比(GHSV)は、4200/h(0℃、0.1MPa換算)であった。得られた乾燥物における担体の重量を基準とした水の含有量〔乾燥物中の水分量(g)/乾燥物中の担体の含有量(g)×100〕が4重量%以下となるまで4.0時間の間乾燥空気を流通させることにより乾燥し、104.6gの乾燥物Aを得た。尚、乾燥における乾燥速度は、担体1gあたりの水の蒸発速度として、0.04g/hであった。
上記で得られた乾燥物Aの内20.9gを、空気流通下、室温から250℃まで1.3時間かけて昇温した後、同温度で2時間保持して焼成し、酸化ルテニウムの含有量が2.0重量%である青灰色の担持酸化ルテニウム20.3gを得た。得られた担持酸化ルテニウムについて、EPMAによる線分析を行い、結果を図3に示した。EPMAによる線分析の結果から、得られた担持酸化ルテニウムにおける酸化ルテニウムの分布の均一性の評価を行ったところ、Rの値は1.14であった。
(担持酸化ルテニウムの初期活性評価)
上記で得られた担持酸化ルテニウム1.0gを、直径2mmのα−アルミナ球〔ニッカトー(株)製のSSA995〕12gで希釈し、ニッケル製反応管(内径14mm)に充填し、さらに反応管のガス入口側に上と同じα−アルミナ球12gを予熱層として充填した。この中に、塩化水素ガスを0.214mol/h(0℃、0.1MPa換算で4.8L/h)、及び酸素ガスを0.107mol/h(0℃、0.1MPa換算で2.4L/h)の速度で常圧下に供給し、触媒層を282〜283℃に加熱して反応を行った。反応開始1.5時間後の時点で、反応管出口のガスを30%ヨウ化カリウム水溶液に流通させることによりサンプリングを20分間行い、ヨウ素滴定法により塩素の生成量を測定し、塩素の生成速度(mol/h)を求めた。この塩素の生成速度と上記の塩化水素の供給速度から、下式より塩化水素の転化率を計算したところ、10.0%であった。
塩化水素の転化率(%)=〔(塩素の生成速度(mol/h))×2÷(塩化水素の供給速度(mol/h))〕×100
比較例1
(担体の調製)
実施例1(担体の調製)と同様の操作でチタニアとα−アルミナの混合物からなる担体を得た。
(担持酸化ルテニウムの製造)
上記で得られた担体100g(容量:74mL)を300mLのナス型フラスコに入れ、回転式含浸−乾燥装置にセットし、塩化ルテニウム水和物〔NEケムキャット(株)製のRuCl・nHO、Ru含有量40.0重量%〕3.88g(15.35mmol)を純水18.1gに溶解して調製した水溶液を、担体を仕込んだナス型フラスコを水平を軸として14rpmで回転させながら該ナス型フラスコ内に30分間で滴下することによりポアフィリング法で含浸した。その後、塩化ルテニウム水溶液が含浸された担体の内24.5gを蒸発皿上に分取し、乾燥室内に静置した。乾燥室の温度(乾燥温度)を26〜28℃とし、乾燥室内に水蒸気と空気との混合ガス(相対湿度:30〜38%)を1.0L/min(0℃、0.1MPa換算)の流量で連続的に供給し、流通させた。尚、該担体の容量に対する水蒸気と空気との混合ガスの供給速度の比(GHSV)は、4200/h(0℃、0.1MPa換算)であった。得られた乾燥物における担体の重量を基準とした水の含有量が4重量%以下となるまで6.9時間の間水蒸気と空気との混合ガスを流通させることにより乾燥し、20.8gの乾燥物Bを得た。尚、乾燥における乾燥速度は、担体1gあたりの水の蒸発速度として、0.02g/hであった。
上記で得られた乾燥物Bを、空気流通下、室温から250℃まで1.3時間かけて昇温した後、同温度で2時間保持して焼成し、酸化ルテニウムの含有量が2.0重量%である青灰色の担持酸化ルテニウムを得た。得られた担持酸化ルテニウムについて、EPMAによる線分析を行い、結果を図4に示した。EPMAによる線分析の結果から、得られた担持酸化ルテニウムにおける酸化ルテニウムの分布の均一性の評価を行ったところ、Rの値は1.38であった。
(担持酸化ルテニウムの初期活性評価)
上記で得られた担持酸化ルテニウムについて、実施例1と同様に、初期活性評価を行ったところ、塩化水素の転化率は9.0%であった。
比較例2
(担持酸化ルテニウムの製造)
比較例1で得られた塩化ルテニウム水溶液が含浸された担体の内24.5gを蒸発皿上に分取し、乾燥室内に静置した。乾燥室の温度(乾燥温度)を27〜29℃とし、乾燥室内に水蒸気と空気との混合ガス(相対湿度:20〜24%)を10.0L/min(0℃、0.1MPa換算)の流量で連続的に供給し、流通させた。尚、該担体の容量に対する水蒸気と空気との混合ガスの供給速度の比(GHSV)は、42000/h(0℃、0.1MPa換算)であった。得られた乾燥物における担体の重量を基準とした水の含有量が4重量%以下となるまで3.0時間の間水蒸気と空気との混合ガスを流通させることにより乾燥し、21.3gの乾燥物Cを得た。尚、乾燥における乾燥速度は、担体1gあたりの水の蒸発速度として、0.05g/hであった。
上記で得られた乾燥物Cを、空気流通下、室温から250℃まで1.3時間かけて昇温した後、同温度で2時間保持して焼成し、酸化ルテニウムの含有量が2.0重量%である青灰色の担持酸化ルテニウムを得た。得られた担持酸化ルテニウムについて、EPMAによる線分析を行い、結果を図5に示した。EPMAによる線分析の結果から、得られた担持酸化ルテニウムにおける酸化ルテニウムの分布の均一性の評価を行ったところ、Rの値は1.55であった。
(担持酸化ルテニウムの初期活性評価)
上記で得られた担持酸化ルテニウムについて、実施例1と同様に、初期活性評価を行ったところ、塩化水素の転化率は8.8%であった。

Claims (5)

  1. 担持酸化ルテニウムの製造方法であって、担体をルテニウム化合物を含む溶液で接触処理した後、撹拌しながらガス流通下で乾燥し、次いで、酸化性ガス雰囲気下で焼成することを特徴とする担持酸化ルテニウムの製造方法。
  2. 前記乾燥における担体1gあたりの溶媒の蒸発速度が0.03〜0.07g/hである請求項1に記載の担持酸化ルテニウムの製造方法。
  3. 前記乾燥において、担体におけるガスの空間速度が、標準状態で10〜100000/hである請求項1又は2に記載の担持酸化ルテニウムの製造方法。
  4. 前記担体が、チタニア、アルミナ及びシリカからなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する請求項1〜3のいずれかに記載の担持酸化ルテニウムの製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の方法により製造された担持酸化ルテニウムの存在下で、塩化水素を酸素で酸化することを特徴とする塩素の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN111495359A (zh) * 2020-04-01 2020-08-07 浙江师范大学 一种用于氯化氢氧化制氯气的成型催化剂及其制备方法

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