JP2010029662A - バルーンカテーテル及びシースの加工方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明は、少なくとも一つの管腔9、10を有する可撓性のシース2と、筒状に形成されてシース2の外周面に固定され、管腔10から流体が供給されることによって膨張可能であるバルーン3とを備え、シース2は、外径がその基本外径よりも大きい大径部7を有し、バルーン3は、収縮時における最大内径が基本外径よりも大きく設定されて大径部7の外周面に取り付けられているバルーンカテーテル1である。
【選択図】図2
Description
したがって、胆管への高いカニュレーション性(挿入性)や、胆管の内壁に密着するサイズまでバルーンを膨張可能であるといった特性が上述のバルーンカテーテルには要求される。
バルーンの最大膨張径は、主にバルーンの材質と、収縮時におけるバルーンの内径等の寸法によって決定される。したがって、バルーンの材質が同一である場合、より大きな最大膨張径を得るためには、収縮時のバルーンの寸法を従来のバルーンカテーテルよりも大きくする必要がある。
また、他の例として、カテーテル先端部の外径は細く保ちつつ、かつバルーンの最大膨張径をより大きくするために、中央部のみが大径に形成され、カテーテルに固定される軸線方向の端部が小径に形成された、いわゆる樽型もしくは提灯型のバルーンを備えたバルーンカテーテルが知られている(例えば、特許文献2参照。)。
また、特許文献2に記載のバルーンカテーテルでは、バルーンの中央部がカテーテルの外面に密着しないので、たるみが発生する。そのため、側視内視鏡の起上台をカテーテルのバルーンが通過する際に、当該たるみが起上台の突起等に引っかかり破れてしまうことがあるという問題があった。
そして、本発明の他の目的は、上述のバルーンカテーテルに用いることができるシースの加工方法を提供することである。
本発明の第1の態様は、少なくとも一つの管腔を有する可撓性のシースと、筒状に形成されて前記シースの外周面に固定され、前記管腔から流体が供給されることによって膨張可能であるバルーンとを備え、前記シースは、外径がその基本外径よりも大きい大径部を有し、前記バルーンは、収縮時における最大内径が前記基本外径よりも大きく設定されて前記大径部の外周面に取り付けられていることを特徴とするバルーンカテーテルである。
なお、「基本外径」とは、シースにおいて、大径部が形成される領域の外径寸法を指す。
また、本発明のシースの加工方法によれば、固定したバルーンが破れないような形状にシースを加工することができる。
以下、図1から図14を参照して、本発明の第1実施形態のバルーンカテーテルについて説明する。
図1に示すように、本実施形態のバルーンカテーテル1は、可撓性を有する長尺のシース2と、シース2の外周面に取り付けられたバルーン3と、シース2の基端に取り付けられた操作部4とを備えて構成されている。
本実施形態においては、体腔内に挿入される第1シース5は、生体適合性や胆管への挿入性(コシ、滑り、柔軟さ等)、ガイドワイヤとの滑り等を考慮してフッ素系の樹脂で形成され、もっぱら内視鏡のチャンネル内に位置する第2シース6は、押し込む力の伝達性(プッシャビリティ)や引張強度、製造原価等を考慮して、剛性が高く安価であるポリアミド等の樹脂で形成されている。
図2に示すように、第1シース5の先端から所定の長さ、例えば10mm程度基端側の領域には、外径が基本外径D1よりも大きくなるように形成された大径部7が形成されている。大径部の軸線方向両端は徐々に縮径するテーパ状に形成され、両端を除く中間部分は基本外径D1よりも大径、例えば2.4mm程度の値で同一径となるように設定されている。
第1ルーメン8は、第1シース5の先端近傍から第2シース6の基端まで連通している。第2ルーメン9は、大径部7よりも先端側の第1シース5の先端から、第1シース5の基端まで連通している。第3ルーメン10は、大径部7の外周面に開口し、第2シース6の基端まで連通している。
このように、第1シース5には各ルーメン8、9、10が設けられた3ルーメン構造となっているが、第2シース6には、第1ルーメン8と第3ルーメン10のみが設けられており、2ルーメン構造となっている。第1シース5と第2シース6との詳細な接続態様については後述する。
より具体的には、バルーン3の軸線方向の両端は、大径部7に隣接する基本外径D1と略同一の外径を有する箇所に、糸11及び接着剤12を用いて固定されている。このような糸巻きと接着を併用した固定に代えて、熱溶着、レーザー溶着等の他の方法が適宜使用されてもよい。
このように、バルーン3は、軸線方向両端がシース2に対して気密に固定されることによって、第3ルーメン10を経由して流体を供給及び回収することによって、膨張及び収縮が可能となっている。
なお、たるみの発生をさらに低減させるように、バルーン3を軸方向に伸ばした状態で大径部7に取り付けてもよい。この場合、バルーン取り付け後において、バルーン3の収縮時における内径が大径部7の外径と略同程度であれば本発明の効果が得られるため、バルーン取り付け前の収縮時内径を2.6mm程度とすることができ、より大きい膨張径を得ることができる。
本方法では、ユーザは、まず図4に示すように、初期外径を有する第1シース5の先端部13を軟化する状態まで加熱する。加熱温度としては、第1シース5の材質のガラス転移点が目安となるが、諸条件等により適宜調整してよい。
そして、先端部13が充分軟化したところで、図5に示すように、先端部13を軸線方向に牽引して引き伸ばし、第1シース5の先端側に、初期外径よりも小径の基本外径部14を形成する(第1の工程)。この工程において、第1シース5には、先端側の基本外径部14と、基端側の初期外径部5Aとが形成され、基本外径部14には、引き伸ばされたことによる残留ひずみが発生する。
略円筒状の第2シース6は、上述のように第1ルーメン8及び第3ルーメン10の2ルーメン構造であるので、第2ルーメン9を設けなくてよい分、第1ルーメン8及び第3ルーメン10の内径をより大きく設定することができる。したがって、これらのルーメン8、10を介した送気・送液、あるいは吸引等の流体供給及び回収の効率を向上させて、より手技効率のよいバルーンカテーテルを構成することができる。
また、第2ルーメン9を設けなくてよい分、第2シース6の外径を小さくすることができ、より細い径の内視鏡と組み合わせることが可能となる。本実施形態において第2シース6の外径は、一般的に用いられる外径0.035インチ(0.089mm)のガイドワイヤ及びチャンネルの内径が3.2mmの内視鏡と組み合わせてモノレール式に使用できるよう、例えば2.0mmに設定されている。
固定部20は略C字状に形成された公知のものであり、必要に応じて内視鏡のハンドル等に係合させることによって、バルーンカテーテル1を内視鏡等に固定することができる。
第1ポート21には、図示しないシリンジ等を接続することができ、第1ルーメン8に造影剤等を供給することができる。
同様に、第2ポート22にも図示しないシリンジ等を接続することができ、第3ルーメン10に、バルーン3を膨張させるための空気や生理食塩水等の流体を供給することができる。
まずユーザは、口等の自然開口から側視タイプの内視鏡を患者の体腔内に挿入し、図10に示すように、内視鏡101の先端を十二指腸乳頭110付近まで進める。
次に、ユーザは内視鏡101の図示しない鉗子口からガイドワイヤ102を挿入し、図示しない起上台を適宜操作しながら、ガイドワイヤ102の先端を十二指腸乳頭110に向かって突出させる。そして、ガイドワイヤ102の先端を十二指腸乳頭110から胆管111内に挿入する。
このとき、収縮状態のバルーン3は、大径部7に密着していてたるみがないため、起上台等に引っかかって破れることはない。
なお、このとき、シース2、特に大径部7を形成する材料に、X線不透過性の材料を混入する等によって大径部7にX線不透過性を付与しておくと、胆石112と大径部7との位置関係をユーザが容易かつ正確に確認することができる。
バルーン3の収縮時における最大内径は、一般的な採石用のバルーンよりも大きい2.4mm前後に設定されている。したがって、胆管111の内径が、胆石112による胆汁うっ滞等によって例えば20mm程度まで拡張されていても、バルーン3を胆管112と略同一径まで膨張させて、胆管111の内壁に密着させることができる。
また、特開2001−46378号公報に記載のバルーンカテーテルでは、バルーンの中央部がカテーテルの外面に密着しないので、たるみが発生する。そのため、図18に示すように、側視内視鏡120の起上台121をカテーテル130のバルーン131が通過する際に、当該たるみが起上台121の突起等に引っかかり破れてしまうことがあるという問題があった。
したがって、バルーンカテーテルを内視鏡の鉗子口に挿入するときや、起上台の配置されたチャンネルの先端から突出させる際、もしくはチャンネル内に引き込む際に、バルーンが引っかかって破れることを好適に防止することができる。
さらに、バルーン3の軸線方向の端部が、大径部7に隣接する、大径部7より小さい外径のシース外面に固定されている。したがって、大径部7によって生じる段差が固定部位に対してストッパとして機能するので、バルーンカテーテル1の挿入時やバルーンで胆石をかき出すとき等におけるバルーン3の軸線方向のズレ等の発生を好適に防止することができる。
なお、このような大径部7Aは、上述の第2の工程において、円筒状の治具100を用いないことによって容易に形成することが可能である。そして、大径部をこのような形状に形成する場合は、バルーンの形状を当該大径部に対応させた、いわゆる樽型や提灯型に形成すると、たるみの発生がより好適に抑制され、好ましい。
また、スペーサーを用いる場合、基本外径部に残留ひずみを発生させる必要はないので、基本外径部と初期外径部とをそれぞれ別に成形し、両者を接続することによって第1シースが形成されてもよい。
さらに、本実施形態では、第1シース5と第2シース6とが異なる材料で形成されている例を説明したが、両者が同一の材料で形成されても構わない。
続いて、本発明の第2実施形態について、図15及び図16を参照して説明する。本実施形態のバルーンカテーテルと、上述の第1実施形態のバルーンカテーテル1との異なるところは、バルーンのシースに対する固定位置である。
なお、上述の第1実施形態と共通する構成については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
大径部7の形状は第1実施形態とほぼ同様であり、軸線方向にわたってほぼ外径が同一に形成されている。バルーン32は、収縮時の外径が、軸線方向にわたって大径部7と略同一となるように、略円筒状に形成されている。そして、バルーン32の軸線方向の両端部32Aは、糸や接着剤等を用いて、大径部7の外周面上に、シース2に対して気密となるように固定されている。
また、バルーン32の軸線方向の端部32Aが、軸線方向にわたって外径がほぼ同一の大径部7の外周面上に固定されるので、円筒状のバルーン32を用いても、固定される端部32Aにしわやたるみ等が発生しにくい。したがって、固定部位のたるみ等をなくすために、バルーンの軸線方向端部の内径を縮径する等の加工が必要ないので、バルーンの加工を省略して、より製造効率のよいバルーンカテーテルとすることができる。
次に、本発明の第3実施形態について、図17を参照して説明する。本実施形態のバルーンカテーテルと、上述の第1実施形態のバルーンカテーテル1との異なるところは、シースの形状である。
なお、上述の各実施形態と共通する構成については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
バルーンカテーテル41のシース42は、先端側の小径部43と、小径部43より基端側の大径部44のみからなり、大径部44は、シース42の基端まで略同一径で連続している。大径部44の外径は、他の実施形態の大径部と略同一の2.4mm前後に設定されている。
本実施形態のバルーンカテーテル41によっても、第1実施形態のバルーンカテーテル1と同様に、バルーンが内視鏡の鉗子台等に引っかかることによる破損を防止することができる。
また、大径部44がシース42の基端まで同一径で連続しているので、構造がシンプルになる。その結果、製造にあたって、上述したような第2の工程のような工程が必要なく、製造コストを下げることができる。
例えば、上述の各実施形態においては、胆石等の除去に用いられる採石用のバルーンカテーテルの例を説明したが、本発明のバルーンカテーテルはこれには限定されず、例えば、管腔臓器の狭窄部を拡張させるために使用されるバルーンカテーテルとして本発明のバルーンカテーテルが使用されてもよい。
さらに、プラズマ処理等によって微小凹凸を大径部の外周面に形成し、大径部外周面の摩擦係数をシースの他の外周面よりも高くしてもよい。このようにすると、取り付けられたバルーンと大径部との摩擦が高まるので、バルーンが大径部外面をすべることによる皺やたるみの発生をさらに抑制することができる。
2 シース
3、32、45 バルーン
5A 初期外径部
7、7A、7B 大径部
10 第3ルーメン(管腔)
14 基本外径部
23 スペーサー
Claims (11)
- 少なくとも一つの管腔を有する可撓性のシースと、
筒状に形成されて前記シースの外周面に固定され、前記管腔から流体が供給されることによって膨張可能であるバルーンと、
を備え、
前記シースは、外径がその基本外径よりも大きい大径部を有し、
前記バルーンは、収縮時における最大内径が前記基本外径よりも大きく設定されて前記大径部の外周面に取り付けられているバルーンカテーテル。 - 請求項1に記載のバルーンカテーテルであって、
前記大径部の外径は、前記バルーンの前記最大内径以上の値に設定されている。 - 請求項1に記載のバルーンカテーテルであって、
前記バルーンは、軸線方向中央部の内径が最大となる紡錘状に形成されており、
前記大径部は、前記バルーンの収縮時において前記バルーンと密着するように、前記バルーンに対応した紡錘状に形成されている。 - 請求項1に記載のバルーンカテーテルであって、
前記大径部は、前記シースの外周面に取り付けられた、前記シースよりも柔軟な材質からなるスペーサーによって形成されている。 - 請求項1に記載のバルーンカテーテルであって、
前記大径部は、前記シースの外周面に取り付けられた、X線不透過性を有するスペーサーによって形成されている。 - 請求項1に記載のバルーンカテーテルであって、
前記大径部は、前記シースと同一の材質で一体に形成されており、
前記シースはX線不透過性を有する。 - 請求項1に記載のバルーンカテーテルであって、
前記大径部は、前記シースの先端側に形成されており、
前記バルーンは、軸線方向の端部が前記大径部の外周面に固定されることによって前記シースに取り付けられている。 - 請求項1に記載のバルーンカテーテルであって、
前記シースは、先端側に設けられた前記基本外径を有する基本外径部と、
前記基本外径部の基端側に設けられ、前記基本外径より大きい外径を有し、全長にわたって同一径に形成された初期外径部と、を有する。 - 少なくとも一つの管腔を有する可撓性のシースと、
筒状に形成されて前記シースの外周面に固定され、前記管腔から流体が供給されることによって膨張可能であるバルーンと、
を備え、
前記シースは、先端側の小径部と、前記小径部より基端側において、全長にわたって前記小径部よりも大きい外径で同径に形成された大径部とを有し、
前記バルーンは、収縮時における最大内径が前記大径部と同等に設定されているバルーンカテーテル。 - 請求項1に記載のバルーンカテーテルであって、
前記大径部の少なくとも前記バルーンが取り付けられる部位の外面は、他の部位の外面よりも摩擦係数が高い。 - バルーンカテーテルに用いるシースの加工方法であって、
初期外径を有する前記シースの先端部を所定の温度に加熱して軟化させ、前記先端部を軸線方向に牽引して前記先端部の外径を前記初期外径より小さくして基本外径部を形成する第1の工程と、
前記第1の工程後に、前記基本外径部の先端を除く一部領域を再加熱し、前記基本外径部に発生した残留ひずみによって、前記一部領域の外径を前記基本外径部の基本外径よりも大きくして大径部を形成する第2の工程と、
を備える。
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