JP2010029111A - 温室用保温シート - Google Patents

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Abstract

【課題】温室内の保温効果を向上させて暖房に要する燃料消費量を減少させると共に、温室内の結露、作物の損傷も抑制可能な温室用保温シートを提供する。
【解決手段】再生セルロース由来の繊維状物からなる不織布12の両面に低密度ポリエチレン層13,13を押出ラミネート法により積層した積層シート11であって、不織布の目付量は20〜60g/m2であり、積層シートにおける波長800〜2600nmの赤外線分光吸収率が15%以上とする。また、積層シートの一面側に合成樹脂織布21の補強層20を貼り合わせる。
【選択図】図2

Description

本発明は、温室用保温シートに関し、特に温室内の壁面に施工して温室内の保温性能を高める温室用保温シートに関する。
果実、野菜等の促成栽培、育苗においては、ビニールハウス等の温室が用いられる。特に冬期や夜間の低温状態に室内を暖房機により暖めることにより、効率よく作物の生育を促進している。そのため、路地栽培の作物よりも早期に市場に供給できる。例えば、品薄時期に食べ頃の果実を供給することが可能となり、利益率が大きく魅力的な栽培方法である。
しかしながら、ビニールハウス等の温室の暖房には多くの光熱費を必要とする。厳冬期の灯油、重油等の燃料費は農業経営に大きな負担となり、これを圧縮することが切望されている。また、暖房に伴う炭酸ガスの排出抑制も課題である。これまでにも、ビニールハウス内の保温を目的とする温室用保温シート類が開発されている(例えば、特許文献1ないし6等参照)。保温シートは、主にビニールハウスの壁面をハウスの内側から覆い、ハウス外からの冷気の伝導を防ぎ、ハウスの外部への放熱を防ぐ。
旧来から使用されている温室用保温シートであっても、一定の保温性能は得られている。ただし、ビニールハウス内外の温度差による結露、ハウス内の湿度変化に伴う果実等の損傷の問題点は解消されていない。温室栽培の作物は高単価となるため、栽培途中での不良品率の高まりは直接減収になる。さらには耐久性を含めた取り扱いやすさも勘案すると、現状の保温シートは必ずしも満足のいくものではない。
実公昭47−23160号公報 実公昭47−23161号公報 実公昭47−41321号公報 実公昭49−23079号公報 実公昭50−25643号公報 実開昭57−19037号公報
本発明は、前記の点に鑑みなされたものであり、温室内の保温効果を向上させると共に、温室内の結露、作物の損傷も抑制可能な温室用保温シートを提供することを目的とする。
すなわち、請求項1の発明は、不織布の両面に低密度ポリエチレン層を押出ラミネート法により積層した積層シートであって、前記不織布の目付量は20〜60g/m2であり、前記積層シートにおける波長800〜2600nmの赤外線分光吸収率が15%以上であることを特徴とする温室用保温シートに係る。
請求項2の発明は、前記不織布が再生セルロース由来の繊維状物からなる不織布である請求項1に記載の温室用保温シートに係る。
請求項3の発明は、前記積層シートの一面側に補強層が貼り合わされている請求項1又は2に記載の温室用保温シートに係る。
請求項4の発明は、前記補強層が合成樹脂織布である請求項3に記載の温室用保温シートに係る。
請求項1の発明に係る温室用保温シートによると、不織布の両面に低密度ポリエチレン層を押出ラミネート法により積層した積層シートであって、前記不織布の目付量は20〜60g/m2であり、前記積層シートにおける波長800〜2600nmの赤外線分光吸収率が15%以上であるため、保温シートとしての強度を備え、温室内の保温効果を向上させると共に、温室内の結露、作物の損傷も抑制可能となった。
請求項2の発明に係る温室用保温シートによると、請求項1において、前記不織布が再生セルロース由来の繊維状物からなる不織布であるため、吸水性、保水性が高くなり、加工がしやすい。
請求項3の発明に係る温室用保温シートによると、請求項1又は2の発明において、前記積層シートの一面側に補強層が貼り合わされているため、保温シートに適度なこしと強度を持たせることができる。
請求項4の発明に係る温室用保温シートによると、請求項3の発明において、前記補強層が合成樹脂織布であるため、保温シートに硬さが生じ、施工作業時の取り扱いやすさも高まる。
以下添付の図面に従ってこの発明を説明する。
図1は第1実施形態に係る温室用保温シートの概略断面図、図2は第2実施形態に係る温室用保温シートの概略断面図である。
第1実施形態の温室用保温シート10Aは、図1に開示し、請求項1の発明に規定するように、不織布12の両面にそれぞれ低密度ポリエチレン層13,13を配した積層シート11から構成される。特に当該温室用保温シートにおいて、不織布12は、空気や水分(水蒸気)をその内部に保持し温室用保温シートの比熱を高めて蓄熱性能を発揮する層として機能する。そこで、当該不織布は水との親和性の高いセルロースを主な構成成分とする。特に重量比において80%以上からほぼ全量をセルロースとしている。
不織布を構成するセルロースには、木質パルプをN−メルモルフォリン−N−オキシド(NMNO)に溶解し、ろ過して不純物を除いた後に紡糸するテンセル等の精製セルロースが挙げられる。また、請求項2の発明に規定するように、不織布の構成成分であるセルロースには、再生セルロースが用いられる。再生セルロースには、銅アンモニアレーヨンの他、綿花もしくは木材チップをアルカリ溶解等により調整したパルプをビスコース化して得たポリノジックレーヨン、同ビスコース法によりヒドロキシメチルセルロースザンテートから誘導したビスコースレーヨン等がある。これらの調製を経たセルロース繊維は抄造を経てシート状に形成される。あるいは、セルロースの繊維状物のニードルパンチ方式やスパンレース方式等により布状物に加工される。
前記の再生セルロース由来の繊維状物からなる不織布において、ビスコース法によりヒドロキシメチルセルロースザンテートから誘導した不織布でTCFと称されるものがある。これは、中間生成物の時点で自己接着して布状となるため、保湿時の強度が比較的保たれる。結果として製造経費が比較的低廉に抑制でき好ましい。
不織布の目付量は、繊維の調製方法による性質の相違、毛羽立ち具合、完成後の積層シートの厚さ等により、20〜60g/m2の目付量の不織布が好ましく用いられる。不織布の目付量は、温室用保温シートの強度、取り扱いやすさ、後記の赤外線の吸収も考慮して適切に設定される。なお、極端に目付量が少なければ、保温効果を持たせられないので好ましくない。逆に前記の目付量を超える場合、不織布自体の嵩が増して厚くなり、不織布の層で剥離しやすく保温シートの耐久性が劣る。
不織布12の両面に配される低密度ポリエチレン層13,13は、主にメタロセン系触媒を用いて生成された低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)から形成される。低密度ポリエチレン樹脂は、樹脂そのものが軟質であり、他の樹脂と比較して分子同士の隙間が大きくなりやすい。フィルム状に形成した際、積層シートの外部と不織布との間のガス透過性能を発揮する上で都合がよい。つまり、低密度ポリエチレン層は、積層シート内の不織布への水分(水蒸気)の透過を可能とし、かつ、いったん不織布に保持された水分(水蒸気)の蒸散を抑制する。このため、互いの機能を両立させる観点から樹脂フィルム層の厚さは、10〜30μmとすることが好ましいといえる。
続いて図2に開示する第2実施形態の温室用保温シート10Bは、請求項3の発明に規定するように、前掲の積層シート11のいずれかの一面に補強層20が貼り合わされている構造である。図中、不織布層12、低密度ポリエチレン層13,13は温室用保温シート10Aと共通である。
第1実施形態の温室用保温シート10Aの場合、不織布と低密度ポリエチレン層の積層シートのみであることから、シート自体が軟らかい。このため、折り畳む等の作業は容易である一方、保温シートとしての剛性(こし)が乏しくなりがちである。例えば、温室内に施工する際に適度に広げた状態を維持し難い。また、穴を開け、フック等を取り付ける際に該当箇所の強度が要求される。なお、補強層20は、前述の低密度ポリエチレン層における水蒸気の透過を抑制しすぎないことが必要となる。
そこで、保温シートに適度なこしと強度を持たせるため、補強層20が貼り合わされる。特に、軽量であり強度も備えていることから、請求項4の発明に規定するように、補強層には合成樹脂布21が用いられる。合成樹脂布21を積層シート11に貼り合わせたことによって、温室用保温シート自体の強度はさらに向上し、耐久性も増す。例えば、ビニールハウス等の温室内にこの保温シートを施工する場合、クリップ、ピン、または紐により縛って固定される。また、保温シートに硬さも生じる。このため、施工作業時の取り扱いやすさも高まる。
合成樹脂織布21は、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリエチレン等のポリオレフィン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ナイロン、ポリアミド等の織布となる。この合成樹脂織布20は、引裂強度を高めるために、合成樹脂のシートやフィルム状物からフラットヤーン、スプリットヤーン等を作製し、平織り、綾織り、ラッセル織り等により製造された織布とされる。合成樹脂織布20の厚みは特に限られず、例えば約10〜30μm程度とされる。また、合成樹脂織布は700〜1500デニールの繊維から形成される。これらの合成樹脂織布は留め金具等を突き刺して固定する場合においても不用意なシートの裂けを防ぐことができる。織布の場合、その織り目は粗く仕上がっていることから、水蒸気透過を遮るおそれはない。
保温シートの性能上、赤外線等の熱線のエネルギーを吸収できることは、保温効果を高める上で大きな意味がある。特に、冬季であっても晴れ間の日照は決して無視できない。温室が受ける太陽光のエネルギーを保温シートが熱エネルギーとして吸収することにより、日没後の温室内の保温にも役立てることが可能となる。そこで、エネルギー吸収の指標として、積層シートにおける波長800〜2600nmの赤外線分光吸収率(%)を採用し、同赤外線分光吸収率が少なくとも15%以上、好ましくは25%以上となることを要件としている。
赤外線分光反射率、赤外線分光透過率、赤外線分光吸収率は、3者間の相対割合により規定される。従って、太陽光を受け入れるべく反射率を抑制しつつ、透過率と吸収率を高めることが保温シートに求められる。
これより、温室用保温シートの製造過程を説明する。温室用保温シートの製造に際しては適宜の積層シートの製造方法を用いることができる。この場合、量産性に優れていることから、不織布に対し押出ラミネート法により低密度ポリエチレンが追加積層される。当該押出ラミネート法によると、溶融押出機に合成樹脂が供給され、加熱溶融された状態でTダイから押し出され、二つの層の間に流し込まれて冷却され積層体であるシート状物が形成される。また、低密度ポリエチレン層の厚さの制御も容易である。
第1実施形態の温室用保温シート10Aを製造する場合、不織布を送出しながら、その一方の面に対し、低密度ポリエチレン樹脂が供給された溶融押出機より、同樹脂が加熱溶融された状態で溶融押出機のTダイから押し出される。まず、不織布層と低密度ポリエチレン層とからなる2層品が形成される。次に、当該2層品の不織布層側の面に対して同様に低密度ポリエチレン層が形成される。あるいは、不織布を送出しながら、その両面に対し、低密度ポリエチレン樹脂が供給された溶融押出機より同樹脂が加熱溶融された状態で溶融押出機のTダイから押し出され、一度に低密度ポリエチレン層を形成し積層化することもできる。
また、第2実施形態の温室用保温シート10Bを製造する場合、不織布を送出しながら、その一方の面に対し、低密度ポリエチレン樹脂が供給された溶融押出機より、樹脂が加熱溶融された状態で溶融押出機のTダイから押し出され、同時に、低密度ポリエチレン樹脂が押し出されている面に合成樹脂織布も送出される。このとき、不織布層/低密度ポリエチレン層/合成樹脂織布の3層品が形成される。続いて、当該3層品の不織布層側の面に対して同様に樹脂フィルム層が形成される。
むろん、開示の各押出ラミネート法による製造工程は一例であり、開示の工程以外とすることもできる。ここで、事後的に樹脂フィルム層となる樹脂が不織布内へ浸透しすぎない程度にTダイからの樹脂の吐出を制御するべきである。不織布層内を樹脂で満たしてしまうと、空気等の保持量が極端に減少し、断熱効果が期待できなくなるためである。
発明者は、不織布の目付量、補強層の有無により3品の温室用保温シートを作成した(実施例1ないし3)。また、性能評価のため、既存の保温シートも5品用意した(比較例1ないし5)。加えて、実施例の対照例として比較例6,7も用意した。
・実施例1の温室用保温シートの作成
実施例1の温室用保温シートの作成に当たり、再生セルロース由来の不織布(フタムラ化学株式会社製:製品名「TCF#503」,目付量30g/m2)、低密度ポリエチレン層に日本ポリエチレン株式会社製:製品名「ノバテックLC720」を用いた。合成樹脂布には高密度ポリエチレンのフラットヤーンにより作製された平織りの織布(1平方インチ(6.45cm2)あたり縦横6本×6本の平糸)を用いた。以降の実施例、比較例には上記の低密度ポリエチレン樹脂を用いた。
はじめに不織布を送出し、その一方の面に対し、溶融押出機より低密度ポリエチレン樹脂を加熱溶融して押出機のTダイから押し出し、同時に、樹脂が押し出されている面にも合成樹脂織布を送出した。こうして、不織布/第1低密度ポリエチレン層/合成樹脂織布の3層品を形成した。続いて、当該3層品の不織布が露出している面に対して同様にTダイからの溶融樹脂の吐出により低密度ポリエチレン樹脂フィルム層を形成し、第2低密度ポリエチレン層/不織布/第1低密度ポリエチレン層/合成樹脂織布の4層品とする実施例1の温室用保温シートを得た。実施例1の保温シートにおいて、第1低密度ポリエチレン層は20μm、第2低密度ポリエチレン層は13μm、シート全体の厚さは0.20mmであった。
・実施例2の温室用保温シートの作成
実施例2の温室用保温シートは、実施例1の保温シートから第2低密度ポリエチレン層を20μmに変更した。
・実施例3の温室用保温シートの作成
実施例3の温室用保温シートは、前出の不織布(製品名「TCF#503」)をロールから送出しながら、溶融押出機より低密度ポリエチレン樹脂を加熱溶融して押出機のTダイから押し出し、不織布の一方の面に一定量ずつ吐着して不織布と低密度ポリエチレン層とからなる2層品(第1低密度ポリエチレン層/不織布)を得た。次に、当該2層品の不織布が露出している面に対して同様にTダイからの溶融低密度ポリエチレン樹脂の吐出により樹脂層を形成して積層シートとし、実施例3の温室用保温シート(第1低密度ポリエチレン層/不織布/第2低密度ポリエチレン層)を得た。低密度ポリエチレン層は共に20μmであった。
・比較例のシート類について
比較例1にはアルミニウム蒸着延伸ポリプロピレンシート(株式会社麗光製:製品名「マルチミラーF」)を用いた。
比較例2にはアルミニウム蒸着延伸ポリプロピレンシート(株式会社麗光製:製品名「マルチミラーWB」)を用いた。
比較例3には気泡シート(川上産業株式会社製:製品名「エコポカプチ#37L」)を用いた。
比較例4には樹脂製シート(積水フィルム株式会社製:製品名「タフカーテン」,厚さ0.07mm)を用いた。
比較例5には樹脂製シート(フタムラ化学株式会社製:製品名「FOR」,厚さ0.03mm)を用いた。
比較例6の温室用保温シートは、前出の不織布(製品名「TCF#503」)をロールから送出しながら、溶融押出機より低密度ポリエチレン樹脂を加熱溶融して押出機のTダイから押し出し、不織布の一方の面に一定量ずつ吐着して不織布と低密度ポリエチレン層とからなる2層品(低密度ポリエチレン層/不織布)とした。
比較例7の温室用保温シートは、実施例1の保温シートから不織布をフタムラ化学株式会社製:製品名「TCF#506」,目付量60g/m2、第2低密度ポリエチレン層を20μmに変更した。
[赤外線分光透過率の測定]
分光光度計(島津製作所株式会社製:製品名「UV−3101PC」)を用い、波長800〜2600nmの赤外線の赤外線分光透過率と併せて、赤外線分光反射率、赤外線分光吸収率を測定した。また、波長240〜2600nmの全波長領域における全光線透過率も測定した。いずれも単位はパーセントである。赤外線分光透過率、赤外線分光反射率、赤外線分光吸収率の合計は100%となる。
[保水による影響評価]
実施例2の温室用保温シートに関し、保水の有無による差異を確認するため、乾燥状態の保温シートを実施例2aとし、これに限界まで吸水させた状態の保温シートを実施例2bとした。また、実施例及び比較例の保温シートに対し、限界まで吸水させた際の単位面積当たりの飽和吸水量(g/cm2)も求めた。吸水量の評価は室温20℃にて室温と同じ温度の水を用いた。
[強度、扱いやすさの評価]
強度の評価に際し、JIS−K−7128−2に準拠し、エルメンドルフ形引裂度試験機を用い測定した。10N以上は十分な強度ありとして「◎」、3N〜10Nの場合は並みの強度ありとして「○」、3Nを下回る場合は強度不足として「×」と評価した。扱いやすさの評価は、保温シートの重量、折り曲げやすさ、こしの強さ、嵩張り具合を踏まえ、主に温室内での作業を想定し「優:◎」>「良:○」>「不可:×」の3段階の評価とした。以上の実施例、比較例の測定並びに評価の結果を表1,表2に示す。
Figure 2010029111
Figure 2010029111
実施例1,2a,2b,3の保温シート及び比較例6,7の保温シートは、不織布を有するため全体に不透明な白色となる。そのため、赤外線分光反射率、赤外線分光透過率、赤外線分光吸収率のそれぞれの指標に分散した。この点は比較例1,2のアルミニウム蒸着シート、比較例3,4,5の樹脂シートと著しく異なる。比較例1,2は主に遮熱を目的とした保温シートであり、比較例3,4,5は光線透過の良さを目的とした保温シートである。
このように、赤外線の反射、透過、吸収の全てを備えることは、温室を照らす太陽光を透過させると共に、その赤外線(熱線)のエネルギーを吸収する性質となって現れる。比較例1,2のように赤外線分光透過率が低いとは、太陽光を取り入れることができず、専ら熱源を温室内の暖房機に依存する。また、比較例3,4,5のように赤外線分光透過率が高いとは、太陽光を取り入れる効果は非常に高いものの、日照の影響を強く受けるため、日照のない夜間等の保温性に問題がある。
これら既存の保温シートに対し、実施例の保温シートは蓄熱性能に着目したと言える。日照時には太陽光を透過させると共に、その一部をエネルギーとしても蓄積できる。保温シートに求められる蓄熱性能は、その指標となる赤外線分光吸収率が高い数値であるほど望ましい。ただし、他の反射率や透過率とのバランスが重要である。そこで、実施例の赤外線分光吸収率から15%以上、さらには25%以上が好ましい。
実施例2aと2bの吸水による影響では、吸水後の赤外線分光吸収率、全光線透過率が上昇した。原因として、不織布が吸水したことにより、保温シート内に保持された水分に赤外線が吸収されたと考えられる。また、吸水に伴い、不織布の白濁が多少弱まった結果であるとされる。
強度面に関し、実施例3のように合成樹脂織布は必須ではないものの、合成樹脂織布を備えた実施例は良好である。比較例2,7は実施例と同様に合成樹脂布を備えているため十分な強度である。次に、扱いやすさに着目すると、実施例の保温シートは、こしや嵩張りにおいて良好である。比較例3の気泡シートのように厚みある保温シートと比べて顕著である。比較例6では強度不足により破れが生じた。比較例7では不織布の層に剥離が生じた。従って、強度や扱いやすさを勘案して、低密度ポリエチレン層は不織布の両面に必要である。不織布の目付量は20g/m2を下回ると嵩高が減り、水蒸気の保持容量が減少して保温効果が発揮できない。不織布の目付量は60g/m2を超えると、その厚さにより脆弱となる。そこで、不織布の目付量は20〜60g/m2となる。
[保温性能の測定]
温度変化への追従性をもって、保温性能の良否を評価した。測定には実施例2a,2bと、比較例2,3を用いた。容量125mLの蓋付きガラス製密閉容器を用意し、この容器側面全体に合わせて実施例、比較例の各保温シートを縦8cm×横12.5cmに裁断し、それぞれの保温シートを当該容器の内側の側面に張り付けた。容器に温度計を装着し蓋で完全に密閉した。
はじめに、実施例、比較例の保温シートとも、保温シートと温度計を含んだ密封容器の状態で30℃に設定した恒温槽に入れて温度計を30℃に合わせた。その後直ちに密封容器を3℃に設定した恒温槽に移して、時間経過に伴う密閉容器内の温度を測定した。温度変化の結果は図3のグラフである。縦軸は温度(℃)、横軸は時間(時間:分)であり3時間10分まで測定した。
実施例2a、比較例2,3の保温シートは密封容器の外部温度に追従して、20分を経過後から急激に容器内の温度が低下した。しかし、実施例2bの保温シートは、1時間20分ごろまで密封容器内の温度を維持し、その後、容器内の温度は低下した。つまり、実施例2bの保温シートでは、吸水に伴い比熱容量が高まり温度保持性能が向上した。
[実証試験]
実施例の温室用保温シートの温度保持性能を確信した発明者らは、実際に果樹を栽培している温室に実施例2aの保温シートを施工し、同時に比較例1,3,4の保温シートも施工した。そこで、暖房機の運転に要した燃料消費量、燃料節減率と共に、温室内の結露、果樹の裂果を観察した。結果は表3である。表中、結露、果樹の裂果(果皮の裂け)の評価は、毎日温室内を確認して目視により有無を調べた。
試験は2008年(平成20年)1月2日から4月30日まで、山形県寒河江市内のサクランボ(品種:佐藤錦)を栽培している樹脂フィルムからなる温室で行い、同温室内の設定温度を20℃とした。試験期間中の外気温は−10〜5℃であった。
1棟の温室は、縦70m、横14m、最大高さ5mである。対照となる比較例3品を検証するため同規模の温室をさらに3棟用意した。各温室に、暖房機として灯油を燃料とするフルタ電気株式会社製のボイラー「RE500型(エンネツ株式会社製循環システム付き)」を設置した。暖房機は室温20℃を維持する間欠運転とした。用意した温室の壁面から内側に10cm離した位置に高さ3.5mで温室の内部の四方を保温シートで取り囲み、保温シートを支柱に固定した。各保温シートとも温室1棟当たり使用面積は595m2であった。
Figure 2010029111
[結果・考察]
実施例2aの保温シートは、比較例よりも燃料(灯油)消費量の節減が顕著である。基準とした比較例4は現行のポリエチレン製の保温シートである。試験環境を鑑みると、温室内は、地面からの蒸発、暖房機の燃焼、さらには果樹から蒸散等により高湿度状態にある。実施例の保温シートにあっては、既述のとおり水蒸気が不織布に保持されたと考えられる。保温性能の測定からも自明なように、保温シートの比熱容量が高まる。そこで、いったん設定温度に暖められた温室内の空気は保温され、その温度低下は緩やかとなる。この結果、暖房機の間欠運転の間隔が以前よりも長くなり、燃料消費量の節約に大きく貢献した。
・結露,裂果について
実施例の保温シートは前記の要因により生じる温室内に生じた水蒸気を適度に吸収するため、温室の内壁面に結露は生じなかった。比較例の保温シートでは、もとより水蒸気吸収性能が低い。このため、実施例の保温シートと同様の効果が発揮できなかった。実施例の保温シートの保湿効果は、温室内の過剰な水蒸気を吸収すると共に適度に放出することにより、水蒸気量を一定に維持している可能性がある。そこで、果実が被る湿気や乾燥の湿度変化の影響が軽減され、裂果がほぼなくなった。
実証試験を含め、各評価の結果をまとめると、本発明の温室用保温シートは、水分(水蒸気)の吸収を可能としたことにより比熱容量を高め、蓄熱効果により温室の保温性能を向上させるに至った。さらに、使用環境の湿度調整機能も担うことも明らかとなり、製品としての完成度が高まった。
本発明の第1実施形態に係る温室用保温シートの概略断面図である。 本発明の第2実施形態に係る温室用保温シートの概略断面図である。 保温性能の測定結果のグラフである。
符号の説明
10A,10B 温室用保温シート
11 積層シート
12 不織布
13 低密度ポリエチレン層
20 補強層
21 合成樹脂布

Claims (4)

  1. 不織布の両面に低密度ポリエチレン層を押出ラミネート法により積層した積層シートであって、前記不織布の目付量は20〜60g/m2であり、前記積層シートにおける波長800〜2600nmの赤外線分光吸収率が15%以上であることを特徴とする温室用保温シート。
  2. 前記不織布が再生セルロース由来の繊維状物からなる不織布である請求項1に記載の温室用保温シート。
  3. 前記積層シートの一面側に補強層が貼り合わされている請求項1又は2に記載の温室用保温シート。
  4. 前記補強層が合成樹脂織布である請求項3に記載の温室用保温シート。
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